説明

固化対象区域における土壌固化のための方法および構成

本発明は、固化区域(10)での土壌固化方法に関する。この方法では、固化剤は、供給コンテナ(9b)から、固化剤供給ユニット(4)に配置された混合手段(7)によって土壌に供給される。固化剤供給ユニット(4)は、移動手段(1)に接続して配置され、固化剤供給ユニット(4)に配置された固化剤混合手段(7)は、移動手段(1)によって、固化すべき区域(10)の何れの地点においても、垂直方向(Y)、水平方向(X)、および/または垂直方向(Y)および水平方向(X)を通る平面に垂直または実質的に垂直な方向に移動できる。また、本発明は、上記方法を実行するための構成に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固化対象区域での土壌固化方法に関するものである。この方法では、固化剤は、固化剤供給ユニットに配置された混合手段により供給コンテナから土壌に供給され、固化剤供給ユニットは移動手段に接続されて配置されており、そして固化剤供給ユニットに配置された固化剤混合手段は、垂直方向、水平方向、および/または、上記垂直方向と水平方向とを通る平面に対して、垂直または実質的に垂直な方向に、固化対象区域の何れの地点にも任意に移動手段により移動できる。
【0002】
本発明はさらに、固化対象区域での土壌固化のための構成に関するものであり、固化剤混合手段と固化剤を混合手段によって土壌に供給するための供給コンテナとが配置された固化剤供給ユニットと、上記固化剤供給ユニットに接続された移動手段とを備え、移動手段は、上記固化剤供給ユニットが備える固化剤混合手段を垂直方向、水平方向、および/または、上記垂直方向と水平方向とを通る平面に対して、垂直または実質的に垂直な方向に、固化対象区域の何れの地点にも任意に移動させる。
【背景技術】
【0003】
従来、固化剤供給ユニットのようなブーム(boom)を含む固化土壌用の装置が知られている。その一方の端には、公知の固化剤混合手段が配置される。ブームの他の端は、堀削機またはトラクターのような重い乗り物や容器を動かす合理的に容易に移動可能なブームへ一般的には接続されている。それは、合理的に堀削機を運び易い、そしてそれゆえ固化剤供給ユニット、固化対象区域に、別の方法で処理された土壌を運び易い。このタイプの装置は、特許公報US4,652,180に開示されている。
【0004】
現在の事情においては、土壌の固化は、他の物の間で、土壌上で行われる次の処理を参照する。:スラブベアリングの準備、または、例えば混ぜた塊の硬化と安定化のために必要とされるセメントと化学薬品のような添加剤による道路の基礎、汚染された土壌に添加剤を混合して土壌を固化し、汚染粒子を安定化することによって土壌中で安定化させることによる安定化。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このタイプの構成の問題は、堀削機等や、堀削機のリーチの幅によって決定された大きな範囲を結合する混合手段の範囲が制限されることである。このため、例えば、安定化または土壌の他の作業は、固化対象区域の隣に配置されたベアリングベース上で行われることがあり、そのベースには堀削機の重みがかかる。したがって、区域全体にわたる高域で同時に安定化を行うことは不可能であり、これは安定化すべき土壌において不連続な部分が残り、安定化の耐久性を弱め得ることを意味する。不連続な部分は、通常、安定化区域における、異なる時に安定化された2つの隣接した地点間に現れ、特に、これら地点間の垂直レベルにおいて不連続な部分が形成されやすい。
【0006】
従来知られている構成についてのさらなる問題は、例えば安定化のような土壌の固化が、不完全となる可能性があることである。言い換えると、区域の一部が安定化されずに残る可能性がある。これは、混合手段が堀削機によって制御される時、区域の一部がオペレーターによって処理されないまま残る可能性があるからである。この目的のため、現在では、固化剤供給ユニット(例:安定化ユニット)には、GPS装置のような測位手段が備えられ、これにより与えられる位置情報に基づいて固化剤供給ユニットのオペレーターが手動制御で安定化区域を処理する。これは、固化が完全に成功することを確実にするためにオペレーターの多様な知識と多くの経験とを要する。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題点を解消し、または実質的に軽減するための方法および構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の発明の目的を達するため、上記発明の方法は、移動手段に含まれる支持ブリッジは、固化すべき区域を跨いで延在するように配置され、支持ブリッジには固化剤混合手段を垂直方向および/または水平方向に移動させる第1移動エレメントが接続されており、上記移動手段には第2移動エレメントが配置され、上記支持ブリッジと、混合手段を備えた上記固化剤供給手段とを、上記第2移動エレメントによって、上記垂直方向および水平方向を通る平面に対し、垂直または実質的に垂直な方向に移動させることを特徴としている。
【0009】
さらに、上記発明の目的を達するため、上記発明の方法を適用するための構成は、上記移動手段は、固化すべき区域を跨いで延在するように配置される支持ブリッジと、該支持ブリッジに接続され、上記固化剤混合手段を垂直方向および/または水平方向に移動させる第1移動エレメントと、上記支持ブリッジに接続され上記支持ブリッジと上記固化剤供給手段と上記混合手段とを上記垂直方向および水平方向を通る平面に対し垂直または実質的に垂直な方向に移動させる第2移動エレメントとを備えていることを特徴としている。
【0010】
上記発明の方法と構成により、従来技術に対して、混合手段を固化対象区域の各部分へ簡易に配置し得るという利点を有する。ユーザーは、上記方法および構成を実行するために、特に経験や特別なスキルを要しない。これは、制御が全て基本座標システムの範囲内で行われ、これにより、固化剤混合手段の位置座標が常に知得されるからである。したがって、固化対象区域における既に固化した位置と、固化していない位置とを明確に特定することもできる。さらに、上記発明の方法および構成に含まれる移動手段によれば、固化対象区域の全域について、高さ/垂直方向の1つの層を一度に安定化させることも可能ないわゆる層単位(layer by layer)固化も可能になる。これにより、垂直位置の不連続の発生が回避される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0012】
本発明は、添付図面を参照して、以下、より詳細に記述されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】安定化対象区域で安定化ユニットを移動させる本発明の移動手段を示す図である。
【図2】本発明の方法を適用した他の構成を示す図であり、支持ブリッジ2が一方の端でベース上に支持されていないという点においてのみ図1と異なる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、このように、上記方法を利用するための構成を示す。この実施形態における構成では、安定化区域10(固化対象区域)に関連して、安定化ユニットが設けられており、これは参照番号4と、参照番号1で示される安定化ユニット4移動手段とで示されている。
【0015】
安定化区域は、参照番号10により示されている。ここで、安定化区域10は堅い土壌11および12により規定され、そして区域の手前は堅い土壌(図示せず)で規定され、さらに後方の壁(堅い土壌であってもよい)で規定されている。安定化対象区域は、10、10bのように互いに隣接していてもよい。また、より固いまたは頑丈な土壌によって自然に互いに分離されていてもよいし、用地に持ち込まれたまたは用地で作られたベアリング材11(例えばその場で成型されたコンクリートスラブや、用地に持ち込まれたコンクリートスラブ)によって人工的に分離されていてもよい。
【0016】
安定化剤(固化剤)は、好ましくは、移動手段1の近くに持ち込まれた供給コンテナ9bから供給され、供給パイプ8を経由して、安定化剤混合手段7へ供給される。
【0017】
図1に示される移動手段は次に詳細に記述されている。
【0018】
移動手段は、好ましくは安定化区域10を跨いで延在する支持ブリッジ2と、支持ブリッジに接続して移動するように構成された第1移動エレメント3と、支持ブリッジ2を交互に移動させることのできる第2移動エレメント5とを備えている。支持ブリッジ2は、好ましくは、上述の方法により、基礎土壌12に対して第2移動エレメントによって支持されており、また2つの安定化区域10および10aの間に形成されたベアリング材11に対して支持されている。
【0019】
第2移動エレメント5は、支持ブリッジ2の下部に配置されていて、支持ブリッジ2の両端領域に(このケースでは各端に一つ)配置されている。支持ブリッジ2は、さらに好ましくは、長手方向に接続することによって伸長させることのできるモジュール2aを含む。よって、支持ブリッジ2の長さと、第2移動エレメント5間の距離Aとは、安定化区域10および支持ブリッジ2の長手方向の幅と一致するように調整することができる。モジュール2aもまた、集積用地に移動しやすい。
【0020】
第2移動エレメント5は、好ましくは、例えば支持ブリッジ2の下部に設けられたガイド(不図示)によって、支持ブリッジ2に対して可動または移動可能であるよう配置されていると言うべきである。このケースでは、図2の構成を適用できる。この構成では、基礎土壌11上の2つの移動エレメント5によって支持ブリッジ2の一端が支持されており、安定化手段4および移動手段3を備える支持ブリッジ2の他端は、安定化区域10の上部に自由に横たえられている。支持ブリッジ2の支持されている側の端部は、例えばクレーンブーム(crane booms)から知られている釣合おもり(不図示)を備えていてもよいし、あるいは地表にしっかり固定されたレール上に支持されてもよい。
【0021】
支持ブリッジ2は、典型的には、約20〜40mの長さに作られてもよいが、支持ブリッジ2の構造と用途に応じて異なる長さとしてもよく、例えば15メートルや50〜60mとしてもよい。第2移動エレメント5は、好ましくは車輪、軸、および/またはガイドで走る移動車である。
【0022】
支持ブリッジ2には、安定化ユニット4を垂直方向および/または水平方向に動かすための第1移動エレメント3が配置されており、このため安定化剤混合手段7も配置されている(上記の水平方向は、支持ブリッジの長手方向により決められた平面の方向を示し、実際の水平方向からは外れていてもよい。)。
【0023】
第2移動エレメントは、移動車5を含む。移動車5は、安定化区域10を跨ぐ支持ブリッジ2と共に移動するように配置されている(この移動方向は、図の双方向矢印Xにより示されている)。また、この移動車5は、好ましくは車輪、軸、および/またはガイド6で動くよう構成される。
【0024】
安定化ユニット4は、第2移動エレメントに属している移動車5に接続されて配置されている。安定化ユニット4は、垂直方向に第1移動車3に接触して垂直方向に(例えばガイド上を)移動するよう配置された細長いボディ4aを有する。この方向は、双方向矢印Yで図に示されている。このように、安定化剤混合手段7は、上述の方向XとY(水平と垂直)に第1移動エレメント3により移動し、またXとY方向とを通る平面に対し、垂直または実質的に垂直な方向(紙面に対して垂直または実質的に垂直な方向Z)に、第2移動手段5により動くよう構成されている。混合手段7は、独立にあるいは同時に上述の各方向に移動し得る。しかしながら、水平の移動方向は、支持ブリッジ2の移動方向と同じであることが望ましく、これにより支持ブリッジ2の異なる位置において、実質的に同じであることを維持して水平移動方向を選択することができる。安定化ユニット4のボディ4aの長さBは、ボディ4aの下端の混合手段7が、地表面に対して望ましい深さに到達できるように選択すればよい。ボディの長さBは、典型的には2〜12メートルであり、この長さは、混合手段の地表面のレベルに対して深さの下方に向かうリーチに実質的に一致する。
【0025】
安定化剤は、好ましくはローラーフレームまたはトラックトレーラー9a等のような移動可能な車の上に配置された供給台車9に配置された供給コンテナ9bから供給される。供給は、供給台車9のコンプレッサーにより発生させた圧縮空気を用いるといったような公知の方法で行なわれる。供給パイプ8は、好ましくは、移動手段1(このケースでは移動手段に含まれる支持ブリッジ2)の長手方向の一部区域上に接続して配置されている。
【0026】
本発明の方法と構成の利点の1つは、混合手段は、安定化区域10の任意の位置において、移動手段1によって取り扱われる物質を自由に処理することができ、処理するエリアが、例えば先のケースのように区域10の端から安定化するといった処理の進行に依存しないことである。この発明の特徴は、安定化区域の安定化が層において行われ、1つの層が一度に処理され、これにより垂直の不連続箇所が形成されない、いわゆる層単位法(layer-by-layer method)によって安定化区域10を安定化させることに適用可能である。図では、これらの層は参照マークa、b、c、dにより示される。
【0027】
また、本発明によれば、正確な柱状安定化(pillar stabilization)が達成される。柱状安定化では、固化対象区域は、予め位置が定められた安定化すべき区域の集まりであり、各位置では垂直方向の移動のみを必要とするが、各位置間では、水平座標システムにおける正確な距離の移動が必要になる。必要であれば、混合ツールは、柱状安定化を適合するように変更し得る。
【0028】
上記システムでは、自動化し、装置の手動によらない操作を可能にしてもよい。例えば、ミラーをブリッジ2の両端に搭載し、上記のミラーを用いた測距(ranging)およびレーザーによって制御データを受信するPLC制御によって制御を行う。
【0029】
本発明は、記述された実施形態に制限されず、添付の請求項に規定された保護の範囲内で様々な適用が可能である。上記の例では、方法と構成は土壌の安定化に利用されているが、発明はこれにより制限されず、固化対象区域の固化一般に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固化対象区域(10)において土壌を固化するための方法であって、
供給コンテナ(9b)から供給される固化剤は、固化剤供給ユニット(4)に配置された混合手段(7)により土壌に供給され、
固化剤供給ユニット(4)は、移動手段(1)と接続して配置されており、
固化剤供給ユニット(4)に配置された固化剤混合手段(7)は、移動手段(1)によって、固化すべき区域(10)の何れの地点においても、垂直方向(Y)、水平方向(X)および/または、上記垂直方向および水平方向を通る平面に対して垂直または実質的に垂直な方向に任意に移動されるものであって、
移動手段(1)に含まれる支持ブリッジ(2)は、区域(10)を跨いで延在するように配置され、上記支持ブリッジには固化剤混合手段(7)を垂直方向(Y)および/または水平方向(X)に移動させる第1移動エレメント(3)が接続されて配置されており、
移動手段(1)には、第2移動エレメント(5)が配置されており、
第2移動エレメント(5)によって、支持ブリッジ(2)および混合手段(7)を備えた固化剤供給手段(4)を、上記垂直方向(Y)および水平方向(X)を通る平面に対し、垂直または実質的に垂直な方向に移動させることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記水平移動方向(X)は、支持ブリッジ(2)の長手方向と同じ方向であって、支持ブリッジ(2)の異なる位置において実質的に同じ方向であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および/または第2移動エレメント(3、5)は、移動車、または車輪、ロールおよび/またはガイド(6)上を走る移動車を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
供給コンテナ(9b)と混合手段(7)との間には、移動手段(1)の長手方向の一部区域上に接続された細長い固化剤供給パイプ(8)が配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
固化対象区域(10)において土壌を固化するための構成であって、
固化剤混合手段(7)が配置された固化剤供給ユニット(4)と、
ここからの固化剤を混合手段(7)が上記土壌に供給することのできる供給コンテナ(9b)と、
固化剤供給ユニット(4)を接続して配置され、該固化剤供給ユニット(4)に適合された固化剤混合手段(7)を、固化すべき区域(10)の何れの地点においても、垂直方向(Y)、水平方向(X)および/または、上記垂直方向および水平方向を通る平面に対して垂直または実質的に垂直な方向に任意に移動させる移動手段(1)とを備え、
移動手段(1)は、区域(10)を跨いで延在するように配置される支持ブリッジ(2)と、支持ブリッジ(2)に接続され、固化剤混合手段(7)を垂直方向(Y)および/または水平方向(X)に移動させる第1移動エレメント(3)と、支持ブリッジ(2)に接続され、支持ブリッジ(2)と固化剤供給ユニット(4)と混合手段(7)とを上記垂直方向(Y)および水平方向(X)を通る平面に対し、垂直または実質的に垂直な方向に移動させる第2移動エレメント(5)とを備えていることを特徴とする構成。
【請求項6】
上記水平移動方向(X)は、第1移動エレメント(3)によって、支持ブリッジ(2)の長手方向と同じ方向であって、支持ブリッジ(2)の異なる位置において実質的に同じ方向とされることを特徴とする請求項5に記載の構成。
【請求項7】
第1および/または第2移動エレメント(3、5)は、移動車、または車輪、ロールおよび/またはガイド(6)上を走る移動車を含むことを特徴とする請求項5または6の何れかに記載の構成。
【請求項8】
供給コンテナ(9b)と混合手段(7)との間には、移動手段(1)の長手方向の一部区域上に接続された細長い固化剤供給パイプ(8)が配置されていることを特徴とする請求項5から7の何れかに記載の構成。
【請求項9】
供給コンテナ(9b)は、空気を圧縮して固化剤を圧縮空気により供給するための手段を備えた独立して移動可能な台車(9)内に配置されていることを特徴とする請求項5から8の何れか1項に記載の構成。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−510252(P2013−510252A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537428(P2012−537428)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050865
【国際公開番号】WO2011/055009
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(512116206)
【氏名又は名称原語表記】MANNIKKO,Ari
【住所又は居所原語表記】Sadetie 3,FI−15560 Nastola,Finland
【Fターム(参考)】