説明

固定クリップ

【課題】 防水性を確保するためにグロメット体1の胴部10に切欠き等のない構成の固定クリップにおいて、胴部10の外周面に形成した係止突起13をパネルの取付孔に嵌め込み貫通させる際に必要となる外力の低減を図る。
【解決手段】 フランジ部20は、胴部10の中心軸及び係止突起13を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位に、径方向へ延びる長溝21が形成してある。そして、グロメット体1をパネルの取付孔に嵌め込んだとき、当該取付孔の周縁に圧接した係止突起13が内側へ押し込まれ、これに伴い長溝21の形成部位を極大としてフランジ部1が弾力的に撓む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の各種取付部品を所定のパネルに固定するために使用されるクリップの内、特に、防水性に富んだ固定クリップの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の型固定クリップの一例として、例えば、特許文献1に示すものがある。同文献1に開示された固定クリップは、グロメット体とピン体とで構成されている。グロメット体は、固定対象物であるパネルに設けた取付孔に嵌め込み係止されるが、その際に当該グロメット体の外周面に突出形成した係止肩が、取付孔の内周面に圧迫されて内側へ弾力的に押し込まれながら当該取付孔を通過し、反対側の周縁部に係合する。
その後、取付部品を中間部に配置してピン体がグロメット体の中空部(盲孔)に差し込み固定される。
さて、特許文献1に開示された固定クリップは、防水性を確保するために、グロメット体の胴部に切欠き等が設けられていない。しかも、グロメット体の基端部にはフランジ部が形成されている。そのため、特許文献2に開示されたようなスリットで分割された係入脚片を有するグロメット体(ねじ受け具)に比べて、係止肩が撓みにくく、パネルに設けた取付孔に係止肩を押し込み貫通させる際に大きな力が必要となる。
この作業に際して、係止肩を押し込む力加減を適切に調整し、係止肩が取付孔を貫通したと同時に押し込み動作を停止しなければ、過大な押し込み力がパネルに作用して、当該パネルが損傷してしまうおそれもある。しかし、大きな力で係止肩を押し込んでいるとき、そのような力加減の調整をすることは困難であり、よってパネルが過大な外力作用によって損傷するおそれを常に有していた。
【0003】
なお、特許文献2のグロメット体(ねじ受け具)には、係入脚片を分割するスリットを通る切断平面上に欠損部(13)を形成して、頭部(フランジ部)の反りを誘導して、パネルの取付孔を係入脚片が通過し易くする工夫がなされている。
しかし、同様の欠損部を、特許文献1に開示されたグロメット体のフランジ部において対応する部位へ形成しても、剛性の高い胴部を有する当該グロメット体では、外力の作用点である係止肩と欠損部の形成位置が離れており、したがって係止肩に作用する押し込み力が欠損部へ伝わるまでに大きな抵抗力が生じるため、フランジ部の反りに変換できない。よって係止肩の取付孔への貫通に必要な押し込み力を低減させる効果は小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−32825号公報
【特許文献2】実公平6−39134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事象に鑑みてなされたもので、防水性を確保するためにグロメット体の胴部に切欠き等のない構成の固定クリップにおいて、胴部の外周面に形成した係止突起を固定対象物の取付孔に嵌め込み貫通させる際に必要となる外力の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、固定対象物に設けられた取付孔へ嵌め込まれる樹脂製のグロメット体と、このグロメット体に形成した軸方向に延びる中空部内に差し込んで当該中空部内に係止されるピン体とを備えた固定クリップにおいて、
前記グロメット体は、軸方向に延びる胴部と、この胴部の一端から径方向に拡がるフランジ部とを有し、
前記胴部は、内部が前記中空部となっており、フランジ部が形成された一端に前記中空部が開口するとともに、他端では前記中空部が底壁により閉塞されており、
さらに、前記胴部の外周面であって前記フランジ部との間に前記固定対象物を介在させる間隔をあけた部位に係止突起を有し、当該係止突起が前記固定対象物における取付孔に圧入され、当該取付孔を貫通してその周縁に係止される構成となっており、
且つ、前記フランジ部は、前記胴部の中心軸及び前記係止突起を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位に、径方向へ延びる長溝が形成されており、
前記グロメット体を前記固定対象物の取付孔に嵌め込んだとき、当該取付孔の周縁に圧接した前記係止突起が内側へ押し込まれ、これに伴い前記長溝の形成部位を極大として前記フランジ部が弾力的に撓む構成としたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の記載を前提として、
前記中空部の開口は、当該中空部に差し込まれた前記ピン体が横方向に移動自在な長穴形状に形成されており、
前記長溝は、前記フランジ部の外縁から前記開口に至らない任意の位置まで延びていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の記載を前提として、
前記胴部は、前記フランジ部と前記係止突起との中間部が、他の部位よりも薄肉となった薄肉部に形成してあることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3の記載を前提として、
前記薄肉部は、前記フランジ部の下縁に繋がっていることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載を前提として、
前記ピン体が外周面に張出肩を有するとともに、前記胴部は内周面に前記張出肩を係止するピン係止突起を有し、
当該ピン係止突起は、前記胴部の中心軸及び前記係止突起を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5の記載を前提として、
前記胴部は、前記フランジ部と前記ピン係止突起との中間部が、他の部位よりも薄肉となった薄肉部に形成してあることを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、グロメット体を固定対象物の装着孔に嵌め込んだとき、当該取付孔の周縁に圧接した係止突起が内側へ押し込まれ、その際に係止突起に作用する圧縮力が、胴部を介してフランジ部へ伝わり、当該フランジ部を弾力的に撓ませる。
このとき、フランジ部には、胴部の中心軸及び係止突起を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位に、径方向へ延びる長溝が形成されているため、係止突起と長溝の形成部位との距離が短く、したがって係止突起に作用する圧縮力の多くが長溝の形成部位に伝わる。そのため、係止突起の押し込み量が、長溝の形成部位を極大とするフランジ部の弾力的な撓みに変換されて胴部の剛性が小さくなる。その結果、係止突起を固定対象物の取付孔に嵌め込み貫通させる際に必要となる外力を低減させることができる。
【0013】
請求項2の発明は、グロメット体の中空部の開口を長穴形状とすることで、当該グロメット体に対して中空部に差し込んだピン体を横方向へ移動自在としている。ここで、長溝を開口に連結した場合はその連結部にエッジが形成されて、開口周縁の連続性が途切れ、移動するピン体が引っ掛かってしまうおそれがある。請求項2の発明によれば、長溝を終端をフランジ部の開口に至らない任意の位置としてあるので、開口周縁の連続性が確保され、ピン体を引っ掛かりなく円滑に移動させることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、胴部におけるフランジ部と係止突起との中間部を薄肉部としてあるので、当該部分の剛性が小さくなり、係止突起に作用する圧縮力をフランジ部における長溝の形成部位に伝え易くなる。その結果、係止突起を固定対象物の取付孔に嵌め込み貫通させる際に必要となる外力をいっそう低減させることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、薄肉部をフランジ部の下縁に繋げることで、請求項3の発明に係る作用効果をいっそう顕著なものとすることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、胴部の内周面に形成したピン係止突起についても、胴部の中心軸及び係止突起を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位に形成することで、ピン係止突起と長溝の形成部位との距離が短くなり、したがってピン体がグロメット体の中空部内に差し込まれるとき、ピン係止突起に作用する外径方向の力の多くが長溝の形成部位に伝わる。そのため、ピン係止突起の押出し量が、長溝の形成部位を極大とするフランジ部の弾力的な撓みに変換されて胴部の剛性が小さくなる。その結果、ピン体をグロメット体の中空部内に差し込む際に必要となる外力を低減させることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、胴部におけるフランジ部とピン係止突起との中間部を薄肉部としてあるので、当該部分の剛性が小さくなり、ピン係止突起に作用する力をフランジ部における長溝の形成部位に伝え易くなる。その結果、ピン体をグロメット体の中空部内に差し込む際に必要となる外力をいっそう低減させることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したとおり、本発明によれば、防水性を確保するためにグロメット体の胴部に切欠き等のない構成の固定クリップにおいて、胴部の外周面に形成した係止突起を固定対象物の取付孔に嵌め込み貫通させる際に必要となる外力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係る固定クリップの斜視図、(b)は同じく視点を変えて見た固定クリップの斜視図、(c)はグロメット体を縦断面にて切断して示す斜視図である。
【図2】(a)本発明の実施形態に係る固定クリップを構成するグロメット体の平面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく側面図、(d)は同じくA−A線断面図、(e)は同じくB−B線断面図である。(f)は本発明の実施形態に係る固定クリップを構成するピン体の正面図である。
【図3】(a)(b)は本発明の実施形態に係る固定クリップの作用を示す正面図、(c)は同固定クリップの使用状態を示す正面断面図である。
【図4】本発明に係る固定クリップの変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図3に示すように、本実施形態に係る固定クリップは、グロメット体1とピン体2とを構成部品としている。グロメット体1は樹脂成形品である。一方、ピン体2は樹脂成形品のほか、金属材料で成形することもできる。図3(c)に示すように、本実施形態に係る固定クリップは、固定対象物であるパネル100に設けられた取付孔101にグロメット体1を嵌め込み、取付部品200を中間に介在させた状態で、ピン体2をグロメット体1に差し込み固定することで、パネル100に取付部品200を固定する機能を有している。
本実施形態に係る固定クリップは、パネル100の表面側(図3の上側)から裏面側(同図の下側)への水や湿気の侵入を防ぐ防水性に富んだ構造となっている。
【0021】
グロメット体1は、図1及び図2に示すように、軸方向に延びる胴部10と、この胴部10の一端から径方向に拡がる円盤状のフランジ部20とを有している。
胴部10は、内部が中空部11となっており、フランジ部20が形成された一端に中空部11が開口するとともに、他端では中空部11が底壁12により閉塞されている。
胴部10の外周面には、正面と裏面の対称な部位に、一対の係止突起13が形成してある。これらの係止突起13とフランジ部20との間には、パネル100を配置させるための間隔を設けてある。これらの係止突起13は、パネル100に設けた取付孔101に圧入され、当該取付孔101を貫通してその周縁に係止される(図3(c)参照)。
【0022】
ピン体2は、図1及び図2(f)に示すように、丸棒状のピン胴部30と、その基端に形成した円盤状の頭部31とを有している。ピン胴部30の外周面には、中間部に縮径した首部32が形成してあり、その先端部側は張出肩33を形成している。
一方、グロメット体1の胴部10には、内周面に張出肩33を係止する一対のピン係止突起14が、正面と裏面の対称な部位に形成してある。このピン係止突起14の形成位置は、胴部10の中心軸と係止突起13を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位である。すなわち、正面から見て、同じ縦線上に係止突起13とピン係止突起14が形成してある(図2(b)(d)参照)。
ピン体2は、グロメット体1の胴部10に形成した中空部11に開口11aから差し込まれ、張出肩33がピン係止突起14を乗り越えて、ピン係止突起14に係止されて中空部11からの抜けが阻止される(図3(c)参照)。
【0023】
また、グロメット体1の胴部10に形成した中空部11の開口11aは、横方向に延びる長穴形状に形成してあり、中空部11に差し込まれたピン体2が横方向に移動自在となっている。パネル100に対する取付部品200の取り付け位置に誤差があったり、温度変化等の影響により当該位置が相対移動した場合にも、ピン体2が中空部11に対して移動することで、グロメット体1やピン体2などに過大な内部応力が生じない。
【0024】
さらに、本実施形態に係る固定クリップは、グロメット体1のフランジ部20において、胴部10の中心軸及び係止突起13を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する2つの部位に、径方向へ延びる長溝21が形成してある。すなわち、正面から見て、同じ縦線上に係止突起13と長溝21、さらには既述したピン係止突起14が形成されている(図2(b)(d)参照)。本実施形態では、長溝21をフランジ部20の表面に形成したが、フランジ部20の裏面に長溝21を形成してもよい。
【0025】
これらの長溝21の一端は、フランジ部20の外縁に開口11aしており、他端21aは中空部11の開口11aまで至らない途中の位置で止めてある。
既述したように、長溝21を開口11aに連結した場合はその連結部にエッジが形成されて、開口11a周縁の連続性が途切れ、移動するピン体2が引っ掛かってしまうおそれがある。そこで、長溝21を他端21aをフランジ部20の開口11aまでに至らない位置で止めることにより、開口11a周縁の連続性が確保され、ピン体2を引っ掛かりなく円滑に移動させることができる。
【0026】
グロメット体1における胴部10の表面には、係止突起13の周囲に他の部位よりも薄肉となった薄肉部15が形成してある。係止突起13の上側にある薄肉部15は、フランジ部20と係止突起13と中間部を薄肉として当該部位の剛性を小さくする。また、係止突起13の両側方にある薄肉部15は、フランジ部20とピン係止突起14との中間部を薄肉として当該部位の剛性を小さくしている。
【0027】
さらに、本実施形態では、グロメット体1のフランジ部20において、胴部10の中心軸及び係止突起13を通る縦切断面と直交する仮想平面が交叉する2つの部位に、径方向へ延びる補助長溝22が形成してある。そして、グロメット体1の胴部10において、当該仮想平面が交叉する2つの部位にも薄肉部16が形成してあり、当該部位の剛性を小さくしてある。
【0028】
次に、図3(a)(b)を参照して、本実施形態に係る固定クリップの作用を説明する。
グロメット体1をパネル100の装着孔に嵌め込んだとき、取付孔101の周縁に圧接した係止突起13が内側へ押し込まれ、その際に係止突起13に作用する圧縮力が、胴部10を介してフランジ部20へ伝わり、フランジ部20を弾力的に撓ませる。
ここで、長溝21は、フランジ部20において、胴部10の中心軸及び係止突起13を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位に形成されているため、係止突起13との距離が短く、したがって係止突起13に作用する圧縮力の多くが長溝21の形成部位に伝わる。そのため、係止突起13の押し込み量が、図3(a)に示すように、長溝21の形成部位を極大とするフランジ部20の弾力的な撓みに変換されて胴部10の剛性が小さくなる。その結果、係止突起13をパネル100の取付孔101に嵌め込み貫通させる際に必要となる外力を低減させることができる。
【0029】
さらに、本実施形態では、フランジ部20に補助長溝22が形成してあるので、グロメット体1をパネル100の取付孔101に嵌め込んだとき、係止突起13の押し込み量が、図3(b)に示すように、長溝21の形成部位を中心とするフランジ部20の弾力的な撓みに変換されて胴部10の剛性が小さくなる。その結果、係止突起13をパネル100の取付孔101に嵌め込み貫通させる際に必要となる外力をいっそう低減させることができる。
【0030】
また、胴部10には、適所に薄肉部15、16が形成してあるので、当該薄肉部15、16の形成部分は剛性が小さくなり、係止突起13に作用する圧縮力をフランジ部20における長溝21や補助長溝22の形成部位に伝え易くなる。その結果、係止突起13をパネル100の取付孔101に嵌め込み貫通させる際に必要となる外力をいっそう低減させることができる。
【0031】
次に、胴部10の内周面に形成したピン係止突起14についても、胴部10の中心軸及び係止突起13を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位に形成することで、ピン係止突起14と長溝21の形成部位との距離が短くなる。したがって、ピン体2がグロメット体1の中空部11内に差し込まれるとき、ピン係止突起14に作用する外径方向の力の多くが長溝21の形成部位に伝わる。そのため、ピン係止突起14の押出し量が、長溝21の形成部位を極大とするフランジ部20の弾力的な撓みに変換されて胴部10の剛性が小さくなる。その結果、ピン体2をグロメット体1の中空部11内に差し込む際に必要となる外力を低減させることができる。
【0032】
ここでも、胴部10におけるフランジ部20とピン係止突起14との中間部を薄肉部15としてあるので、部分の剛性が小さくなり、ピン係止突起14に作用する力をフランジ部20における長溝21の形成部位に伝え易くなる。その結果、ピン体2をグロメット体1の中空部11内に差し込む際に必要となる外力をいっそう低減させることができる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
図3(a)に示したように、フランジ部20と係止突起13との中間部に形成された薄肉部15は、フランジの下縁に繋がっていなかったが、図4に示すように薄肉部15をフランジ部20の下縁に繋げたほうが、係止突起13に作用する力をフランジ部20における長溝21の形成部位にいっそう伝え易くなり、好ましい。
【符号の説明】
【0034】
100:パネル、101:取付孔、200:取付部品、
1:グロメット体、10:胴部、11:中空部、12:底壁、13:係止突起、14:ピン係止突起、15:薄肉部、16:薄肉部、
20:フランジ部、21:長溝、22:補助長溝、
2:ピン体、30:ピン胴部、31:頭部、32:首部、33:張出肩

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象物に設けられた取付孔へ嵌め込まれる樹脂製のグロメット体と、このグロメット体に形成した軸方向に延びる中空部内に差し込んで当該中空部内に係止されるピン体とを備えた固定クリップにおいて、
前記グロメット体は、軸方向に延びる胴部と、この胴部の一端から径方向に拡がるフランジ部とを有し、
前記胴部は、内部が前記中空部となっており、フランジ部が形成された一端に前記中空部が開口するとともに、他端では前記中空部が底壁により閉塞されており、
さらに、前記胴部の外周面であって前記フランジ部との間に前記固定対象物を介在させる間隔をあけた部位に係止突起を有し、当該係止突起が前記固定対象物における取付孔に圧入され、当該取付孔を貫通してその周縁に係止される構成となっており、
且つ、前記フランジ部は、前記胴部の中心軸及び前記係止突起を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位に、径方向へ延びる長溝が形成されており、
前記グロメット体を前記固定対象物の取付孔に嵌め込んだとき、当該取付孔の周縁に圧接した前記係止突起が内側へ押し込まれ、これに伴い前記長溝の形成部位を極大として前記フランジ部が弾力的に撓む構成としたことを特徴とする固定クリップ。
【請求項2】
前記中空部の開口は、当該中空部に差し込まれた前記ピン体が横方向に移動自在な長穴形状に形成されており、
前記長溝は、前記フランジ部の外縁から前記開口に至らない任意の位置まで延びていることを特徴とする請求項1の固定クリップ。
【請求項3】
前記胴部は、前記フランジ部と前記係止突起との中間部が、他の部位よりも薄肉となった薄肉部に形成してあることを特徴とする請求項1又は2の固定クリップ。
【請求項4】
前記薄肉部は、前記フランジ部の下縁に繋がっていることを特徴とする請求項3の固定クリップ。
【請求項5】
前記ピン体が外周面に張出肩を有するとともに、前記胴部は内周面に前記張出肩を係止するピン係止突起を有し、
当該ピン係止突起は、前記胴部の中心軸及び前記係止突起を通る縦切断面を延長した仮想平面と交叉する部位に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の固定クリップ。
【請求項6】
前記胴部は、前記フランジ部と前記ピン係止突起との中間部が、他の部位よりも薄肉となった薄肉部に形成してあることを特徴とする請求項5の固定クリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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