説明

固定装置

【課題】 折板屋根において、様々な形状の屋根面に対応する屋根上設置機器の固定装置を提供する。
【解決手段】 頂部と該頂部を挟むように位置する一対の傾斜部とを有して成る折板屋根上に、太陽光利用機器を固定するための固定装置であって、前記頂部に配置され、前記太陽光利用機器を載置するための設置架台と、前記設置架台を支点として回動できるように該設置架台に結合され、前記一対の傾斜部に固定するための一対の脚体と、を備えたことを特徴とする固定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池や集熱板などの太陽光利用機器を建築物の屋根に固定するための固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋根には様々な形態があるが屋根材を用いた代表的なものとしては平板瓦やスレート瓦等の瓦材による瓦屋根や、鋼鈑を用いた金属屋根が挙げられる。
【0003】
図15は一般的な折板屋根を模式的に示す斜視図である。
【0004】
図15に示すような0.6〜2.0mm厚の鋼製折板の折り曲げによる折板屋根の屋根材は、軽量であることや、施工が容易で、しかも割れにくいことから、工場、倉庫、体育館の屋根や歩道、鉄道のプラットホームの上屋など、様々な建築物で使用されている。
【0005】
さらに詳しく述べると、特に図示しないが、一般住宅以外の施設における鋼製折板屋根では、ある間隔をもって配置された支持梁に前述した波型形状の鋼製折板を固定する構造のものが多く用いられており、この固定構造としては、取付部材からボルト軸部が突出し、鋼製折板の波型底部に孔を開けて通し、上方からナットにて固定する方法が、構造が簡単で施工性に優れる点で一般的である。
【0006】
ところで、近年環境意識の高まりから、これらの鋼製折板屋根上に太陽電池や集熱器などの自然エネルギーを活用する屋根上設置機器が設置されることが多くなっているが、それらを鋼製折板上に固定するためには前述した取付方法とは別に専用の固定装置が必要となる。代表的な例としては前述した鋼製折板屋根の波型頂部に孔を開けてボルトを通し、固定装置を締め付け固定する方法があるが、この場合、固定装置は支持梁のような強固な構造体に固定されておらず、鋼製折板屋根の強度のみによって支持されることになり、特に、ボルト締めされる部分には加重が集中するので、強風などの負圧加重によって金属屋根が破断する等の問題が生じる。そのため、複数のボルト間に補強フレームを渡したり、支持梁と鋼製折板屋根の波型頂部の間に構造材を設けるなどの必要があった。
【0007】
このような鋼製折板上への取付に対応して、固定装置の脚体を鋼製折板の頂部を跨ぐ状態で鋼鈑折板の斜辺に伸ばし、その脚体をボルトなどの複数の固定手段によって固定することで応力の分散を図った固定装置が考案されている(例えば、特許文献1の図1を参照)。
【特許文献1】実開平06−79924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、鋼製折板屋根の波型頂部に孔を開けてボルトを通し、固定装置を締め付け固定する方法では、負圧加重に対する問題の他にも、ボルトを貫通させる孔を屋根の頂部に設けるため、雨漏り防止の止水処理が必要で、施工作業が複雑化するといった問題があった。
【0009】
また、固定装置の脚体を鋼製折板の頂部を跨ぐ状態で鋼鈑折板の斜辺に伸ばし、その脚体をボルトなどの複数の固定手段によって固定する方法においても、波型形状の鋼製折板の頂部の幅や、頂部と底部を結ぶ傾斜辺の傾斜角度に合わせて金具を用意する必要があり、汎用性の点で十分とは云えなかった。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、折板屋根の傾斜部の傾斜角度に柔軟に対応でき、また、止水特性も大幅に向上させた、太陽光利用機器を折板屋根に固定するための固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題に対して、本発明の固定装置は、頂部と該頂部を挟むように位置する一対の傾斜部とを有して成る折板屋根上に、太陽光利用機器を設置するための設置架台であって、前記頂部に配置され、前記太陽光利用機器を載置するための設置架台と、前記設置架台を支点として該設置架台に回動可能に結合され、前記一対の傾斜部に固定するための一対の脚体と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の固定装置は、前記設置架台はその一対の側面を貫く貫通孔を有し、前記脚体はその上端側に設けられた軸部が前記貫通孔に内嵌するようにして前記設置架台と結合することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の固定装置は、前記軸部を前記貫通孔の内壁に対して押圧・固定する固定部材をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の他の固定装置は、前記脚体に当接し、該当接状態を制御することで脚体の回動角度を調整する角度調整部材をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の他の固定装置は、前記角度調整部材は、前記脚体にその下方から当接することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の他の固定装置は、前記角度調整部材は、前記軸部よりもさらに上端側で前記脚体に当接することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の他の固定装置は、前記脚体を前記傾斜部側へ押付ける付勢部材をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の他の固定装置は、前記付勢部材は、前記脚体をその上方から押付けることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の他の固定装置は、前記脚体は、前記軸部よりもさらに上端側外方に張出した張出部を有し、該張出部が前記付勢部材で押えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の固定装置によれば、頂部と該頂部を挟むように位置する一対の傾斜部とを有して成る折板屋根上に、太陽光利用機器を設置するための設置架台であって、前記頂部に配置され、前記太陽光利用機器を載置するための設置架台と、前記設置架台を支点として該設置架台に回動可能に結合され、前記一対の傾斜部に固定するための一対の脚体と、を備えることにより、前記折板屋根の傾斜部の傾斜角度に対応して平行に密着させて固定することができ、負圧加重に対する耐久力も向上する。
【0021】
また、本発明の他の固定装置によれば、前記設置架台はその一対の側面を貫く貫通孔を有し、前記脚体はその上端側に設けられた軸部が前記貫通孔に内嵌するようにして前記設置架台と結合することにより、簡単な構造で上記設置架台に前記脚体を結合させることができる。
【0022】
また、本発明の他の固定装置によれば、前記軸部を前記貫通孔の内壁に対して押圧・固定する固定部材をさらに備えることにより、脚体をより強固にかつ安定した固定を行うことができる。
【0023】
また、本発明の他の固定装置によれば、前記脚体に当接し、該当接状態を制御することで脚体の回動角度を調整する角度調整部材をさらに備えることにより、前記固定装置を屋根に固定する前に前記脚体の角度を固定することができ、施工はより簡単になる。
【0024】
また、本発明の他の固定装置によれば、前記角度調整部材は、前記脚体にその下方から当接することにより、前記固定装置を屋根に固定する前に前記脚体の角度を固定することができ、施工はより簡単になる。
【0025】
また、本発明の他の固定装置によれば、前記角度調整部材は、前記軸部よりもさらに上端側で前記脚体に当接することにより、上記同様な効果が得られる。
【0026】
また、本発明の他の固定装置によれば、前記脚体を前記傾斜部側へ押付ける付勢部材をさらに備えることにより、止水性能を向上させる。
【0027】
また、本発明の他の固定装置によれば、前記付勢部材は、前記脚体をその上方から押付けることにより、止水性能を向上させる。
【0028】
さらに、本発明の他の固定装置によれば、前記脚体は、前記軸部よりもさらに上端側外方に張出した張出部を有し、該張出部が前記付勢部材で押えられることにより、止水性能を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の固定装置の構造について、模式的な図を基に詳細に説明する。
【0030】
図1は本発明に係る固定装置の1例を屋根上に設置した状態を示す一部透視断面図であり、図2は斜視図である。
【0031】
図1に示すように、本発明の固定装置1は、太陽光利用機器などを載置するための設置架台3と、設置架台3を折板屋根40に固定するための2つの脚体4(4a、4b)と、前記脚体4を折板屋根40上に固定する固定手段30と、前記脚体4を支持固定する支持部5とから構成され、前記設置架台3の両側面に設けられた支点である貫通孔からなる軸受け部6(6a、6b)に脚体4の片端を挿入して上記軸受け部6に結合されて回動部2(2a、2b)を構成し、両脚体4の間に脚体を支えるための支持部5の角度調節部材5aを配し、前記角度調節部材5aを上下移動させる支柱部材5bを締め付け部5cで動かすことにより前記脚体4(4a、4b)間の開脚角度を可変および固定させる。
【0032】
具体的には、図2に示すように、鋼製折板を折り曲げ加工した頂部と2つ以上の谷部を有する折板屋根40上に、頂部40c上に設置架台3を配し、前記頂部40cを跨ぐようにして屋根傾斜面40a側に脚体4a、屋根傾斜面40b側に脚体4bがドリルビスのような固定手段30で折板屋根40に固定される。設置架台3の上面は平坦部分もしくは支柱部材に太陽電池モジュールや集熱器、もしくはそれらを載置する架台を載置固定できるようになっており、複数の固定装置に跨って設置される。
【0033】
また、脚体4a、4bが屋根傾斜面40a、40bに固定手段30で固定される部分にはドリルビス等で開いた孔からの雨水の浸入を防止するゴムパッキン等の止水材41を設けて気密性、水密性を高めるようにすると好適であるが、固定手段30にマグネットや粘着材等を用いて、屋根材に孔を開けないようにしても良い。
【0034】
図3の(a)〜(c)は、本発明に係る固定装置の回動部の1例の構造を説明する組み立て図であり、(a)は部品構成、(b)は完成状態、(c)は回動部の応用例を示す斜視図である。
【0035】
図3を用いて、回動部により脚体間の開脚角度が可変および固定される様子について説明する。なお、ここでは設置架台3の側面に貫通孔を開けて軸受け部とした場合の図を例にとり説明するが、後述するような設置架台3の内壁に軸受けの突起を設けるようにしても同様の効果が得られる。
【0036】
図3(a)に示すように、設置架台3の左右側面には円形状の貫通孔である軸受け部6(6a、6b)がそれぞれ設けられている。一方、脚体4(4a、4b)の上端には結合部である軸部7が左右2箇所設けられている。この軸部7を軸受け部6a(または6b)に挿入することにより、図3(b)に示すように、脚体4(4a、4b)を上下に回動させる回動部2(2a、2b)となる。なお、回動部は脚体(4a、4b)を上下方向に回動可能な状態にできれば良いので、軸受け部6もしくは軸部7のいずれかが多角形状であっても良い。また、脚体4と軸部7の関係は一体成型でも良いが、例えば図3(c)のように、脚体4に貫通孔を開けて軸部材を通すような構造にすれば、回動部組み立ての際、軸部7を設置架台3の軸受け部6に嵌め込む作業がやり易く、組み立て性が良い。
【0037】
図4の(a)〜(c)は、本発明に係る固定装置の1例を折板屋根40の傾斜角度に合わせて脚体4(4a、4b)間の開脚角度を可変した場合の両者の位置関係を示す一部透視断面図である。
【0038】
図4(a)〜(c)に、折板屋根40の傾斜角度に合わせて脚体4(4a、4b)間の開脚角度を可変した場合の両者の位置関係を示す。各図は折板屋根40の屋根傾斜面40aと40bの傾斜角度が異なる場合を示したものであるが、そのいずれにおいても脚体4が屋根傾斜面40aと40bに対して略平行であり、よって脚体の固定手段30を配する部分も傾斜面に対して略平行に接触することができるので、止水材41が屋根面に対して均一に押圧され、止水性能を損なわない。また、同様の理由で止水材の代わりにマグネットや粘着材を固定手段に使った場合も密着性に優れ、固定性能を損なわない。また、屋根傾斜面40aと40bの傾斜角度が異なっていても上述の効果を得られるので、様々な形状や、折板屋根自体の歪みや寸法誤差にも対応することができ、汎用性が高い。
【0039】
次に、本発明に係る固定装置を折板屋根に設置される様子を模式的な図を用いて説明する。
【0040】
図5の(a)〜(c)は、本発明に係る固定装置の1例を折板屋根に設置する様子を説明する断面図である。
【0041】
図5(a)に示すように、まず、折板屋根40の傾斜角度に合わせて脚体4(4a、4b)の開脚角度を決定する。2つの脚体4a、4bの間には支持部5が配置されており、支持部5の底面の角度調節部材5aの中央から支柱部材5bが脚体4a、4bの間を通って設置架台3の上部を突き抜けて締め付け部材5cで固定されており、この締め付け部材5cを締め付け(図中ではナットの締付けを例とする)ていくと、図中矢印のように角度調節部材5aが徐々に引き上げられ、図5(b)のように両端部が脚体4aと4bの内壁と接触し、それ以後は角度調節部材5aに阻まれて脚体4aと4b間の開脚角度は狭まらなくなる。この状態で固定手段30を用いて折板屋根40に本固定を行えば、いちいち屋根傾斜面との水平取りをしながらドリルビス等の固定手段30の打ち込みをするといった施工作業をしなくてよいので作業性に優れる。また、止水材41の嵌め込み等の作業も容易となる。
【0042】
そして、固定手段30による固定が完了したならば、図5(c)に示すように、更に締め付け部5cを締め付けていくと、脚体4(4a、4b)は固定手段30によって固定された片端を支点にして図中矢印のように浮き上がろうとするので、軸部7は軸受け部6(6a、6b)の上部に押し付けられ、遊びやガタツキがなくなるので、結果、強固に固定される。なお、この軸受け部6を図6のような載置部3の内壁に軸受けの突起16を設けたものであれば、脚部4の軸部7の上面を面で支えられるので機械的強度が増し、歪み等が生じにくく、より安定性が増す。また、図中のように突起16を軸部7を受ける勘合部とする構造とすれば、載置部3の側面は孔を開けても開けなくてもよい。
【0043】
図14は本発明に係る固定装置の1例を用いて太陽電池モジュールを設置する様子を模式的に示す斜視図である。
【0044】
上述のような固定装置1を図14に示すように折板屋根40に固定し、設置架台3の上面に太陽電池モジュール20や集熱板などの屋根上設置機器を載置してネジ止めや挟持部材で挟持固定することで屋根上利用システムが構築される。
【0045】
このようにして、折板屋根40の傾斜面側に複数の固定手段を用いて固定装置を設置するので、固定装置にかかる載置物や風圧による荷重(正圧加重、負圧加重)を屋根斜面に分散することができ、固定手段や屋根に局所的な応力がかかりにくくできる。また、脚体を回動可能とすることで様々な角度の折板屋根に対応でき、しかも固定装置の可動部分の遊びによるガタツキが無く、騒音の発生や衝撃による破断が生じにくい。
【0046】
以下に本発明における他の応用形態について模式的な図を用いて説明する。
【0047】
図7は本発明に係る固定装置の他の実施例において、支持部に固定部材を配した例を説明する一部透視断面図、図8は本発明に係る固定装置の他の実施例において、脚体の軸側を延長した例を説明する一部透視断面図である。
【0048】
図7に示すように、支柱部材5bに固定部材8を脚体4(4a、4b)よりも上方に配し、例えば図中のように支柱部材5bがネジであればナット18で下方へ移動、もしくは固定部材8そのものがネジ部を回転しながら下降し、脚体4の上面(図中では軸部7)を押えるようにすれば、角度調節部材5aが上昇して脚体4の軸部7が設置架台3の軸受け部6を押圧する際に、締付け部5cの締付け過ぎなどで軸部7が軸受け部6にめり込むなどの部分破壊が生じにくく、角度調節部材5aの締め付けトルクをさらに強くして固定力を向上させることができる。
【0049】
また、図8に示すように、固定部材8を用い、さらに脚体4(4a、4b)の回動部側を軸部7よりも内側に伸ばして張出し部9とし、角度調節部材5aを前記張出し部9で受けるようにすれば、上記同様な効果が得られる。
【0050】
図9は本発明に係る固定装置の他の実施例において、固定部材と角度調節部材を一体構造とした例を説明する一部透視断面図、図10は本発明に係る固定装置の他の実施例において、脚体の軸側を軸部よりも外側上方に折り返して張出し部を設けた例を説明する一部透視断面図、図11は本発明に係る固定装置の他の実施例において、脚体の外側に外フレームを設けた例を説明する断面図である。
【0051】
図9に示すように、固定部材と角度調節部材を一体構造とした支持部15とすれば、脚体4(4a、4b)の開脚角度の調整を、固定部材と角度調節部材の位置あわせという2工程から、図中矢印のように締付け部材5cによる支柱部材5bの上下という1工程で可変することができ、作業を簡素化できる。
【0052】
また、図10に示すように固定部材でもある付勢部材8を用い、さらに脚体4(4a、4b)の回動部側を軸部7よりも外側上方に折り返して張出し部9としても良い。この場合は、設置前は角度調節部材5aにより脚体4(4a、4b)の開脚角度を任意の角度もしくは一定以下にしないように保持し、固定手段30による固定完了後は本固定のために付勢部材8を締め付けて下降させると、前記付勢部材8が張出し部9の上端を押え付けるので、図7の構成における効果以外に、回動部2を支点として図中矢印のように脚体4の固定手段側を押える力が働き、止水性能や固定力が向上する。
【0053】
また、図11に示すように、先の図10の張出し部をさらに延長して脚体4の固定手段付近に連結する外フレーム10とすれば、脚体4の主フレームの補強になるとともに、回動部2を支点として脚体4の固定手段側を押える力が働いた場合にも脚体4(主フレームと外フレーム)が曲がったり歪んだりしにくく、しかも固定手段側を押える力が外フレーム10を介して上方から加わるようになるので、固定手段部分の折板屋根40への密着性が向上する。
【0054】
また、同図において設置架台の両側面に設けられる軸受け部6の形状を縦長にし、脚体間の開脚角度に合わせて上下移動させるようにすれば、図4(a)〜(c)でも述べたように折板屋根40の傾斜角度が変わっても屋根材の傾斜面と脚体の固定手段側の下端が平行状態で接触する調整を、より高精度で合わせられるので、屋根面との密着性がさらに向上する。
【0055】
また、同図において脚体4間の開脚角度に合わせて回動部2の位置を上下移動(開脚角度が小さいときは上方へ、大きい時は下方へ移動)させるが、設置架台3の上面(太陽電池モジュール20等が載置される面)の高さ位置は変化しないので、屋根面の傾斜がゆがみや歪み等で一定していなくても、複数の固定装置上に載置される屋根上設置機器を水平状態で設置することができる。
【0056】
図12は本発明に係る固定装置の他の実施例において、軸受け部の孔形状を横長にした例を説明する斜視図、図13は本発明に係る固定装置の他の実施例において、外フレームを延長して雨水誘導部を設けた例を説明する断面図である。
【0057】
折板屋根40の頂部40cの幅も様々であるので、図12に示すように固定装置1の設置架台3の両側面に設けられる軸受け部6の孔形状を横長にして、屋根材の頂部40cの幅に合わせて脚体4間の距離を可変できるようにすれば、様々な幅の屋根に対応することが可能となる。
【0058】
また、先に述べた図11の外フレーム10の端部を図13のように延長して雨水誘導部10aを構成するようにすれば、図中矢印のように固定装置1上に落ちた雨水は、外フレーム10の表面を流れ、そのまま雨水誘導部10aに導かれて折板屋根40上に落下する。これにより、例えば図のように脚体材4をドリルビスである固定手段30で折板屋根40に孔あけ固定する場合には、ゴムパッキンのような止水材41を配して孔から屋根内部に雨水の侵入が生じないように配慮するのが一般的だが、水圧が強くなるとドリルビスとゴムパッキンの接合面から微少な漏水が生じるという問題に対し、雨水誘導部10aにより外フレーム10上を流れ落ちる雨水の大半が固定部分に流れ込まなくなるので水圧が上昇しにくく、漏水発生が生じにくい。さらに、風による雨水の吹き込みの場合では雨水が雨水誘導部10aよりも下側から吹き付けるのであるが、雨水誘導部10aの張り出しによって吹き込みが生じる開口面積が限定されるので、雨水誘導部10a上からの流れ込みが生じない分、水圧の上昇を抑えられる。このとき、ドリルビスの頭部を覆うカバー12を設ければ、吹き込みが生じる開口面積が雨水誘導部10aの張り出し部先端Aとカバー12の上端Bとの間に縮小されるので、雨水の吹き込み量も減少させることができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正及び変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る固定装置の1例を屋根上に設置した状態を模式的に示す一部透視断面図である。
【図2】本発明に係る固定装置の1例を屋根上に設置した状態を模式的に示す斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明に係る固定装置の回動部の1例の構造を説明する組み立て図であり、(a)は部品構成、(b)は完成状態、(c)は回動部の応用例を示す斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明に係る固定装置の1例を折板屋根40の傾斜角度に合わせて脚体4(4a、4b)間の開脚角度を可変した場合の両者の位置関係を示す一部透視断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明に係る固定装置の1例を折板屋根に設置する様子を説明する断面図である。
【図6】本発明に係る設置架台の軸受け部に突起を設けた様子を模式的に説明する一部透視斜視図である。
【図7】本発明に係る固定装置の他の実施例において、支持部に固定部材を配した例を説明する一部透視断面図である。
【図8】本発明に係る固定装置の他の実施例において、脚体の軸側を延長した例を説明する一部透視断面図である。
【図9】本発明に係る固定装置の他の実施例において、固定部材と角度調節部材を一体構造とした例を説明する一部透視断面図である。
【図10】本発明に係る固定装置の他の実施例において、脚体の軸側を軸部よりも外側上方に折り返して張出し部を設けた例を説明する一部透視断面図である。
【図11】本発明に係る固定装置の他の実施例において、脚体の外側に外フレームを設けた例を説明する断面図である。
【図12】本発明に係る固定装置の他の実施例において、軸受け部の孔形状を横長にした例を説明する斜視図である。
【図13】本発明に係る固定装置の他の実施例において、外フレームを延長して雨水誘導部を設けた例を説明する断面図である。
【図14】本発明に係る固定装置の1例を用いて太陽電池モジュールを設置する様子を模式的に示す斜視図である。
【図15】一般的な折板屋根を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1:固定装置
2、2a、2b:回動部
3:設置架台
4、4a、4b:脚体
5:支持部
5a:角度調節部材
5b:支柱部
5c:締付け部
6、6a、6b:軸受け部
7:軸部
9:張出し部
10:外フレーム
10a:雨水誘導部
12:カバー
15:支持部
16:突起
18:ナット
20:太陽電池モジュール
30:固定手段
40:折板屋根
40a、40b:屋根傾斜面
40c:頂部
41:止水材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部と該頂部を挟むように位置する一対の傾斜部とを有して成る折板屋根上に、太陽光利用機器を設置するための設置架台であって、
前記頂部に配置され、前記太陽光利用機器を載置するための設置架台と、
前記設置架台を支点として該設置架台に回動可能に結合され、前記一対の傾斜部に固定するための一対の脚体と、を備えることを特徴とする設置架台。
【請求項2】
前記設置架台はその一対の側面を貫く貫通孔を有し、前記脚体はその上端側に設けられた軸部が前記貫通孔に内嵌するようにして前記設置架台と結合することを特徴とする請求項1に記載の設置架台。
【請求項3】
前記軸部を前記貫通孔の内壁に対して押圧・固定する固定部材をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の設置架台。
【請求項4】
前記脚体に当接し、該当接状態を制御することで脚体の回動角度を調整する角度調整部材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の設置架台。
【請求項5】
前記角度調整部材は、前記脚体にその下方から当接することを特徴とする請求項4に記載の設置架台。
【請求項6】
前記角度調整部材は、前記軸部よりもさらに上端側で前記脚体に当接することを特徴とする請求項5に記載の設置架台。
【請求項7】
前記脚体を前記傾斜部側へ押付ける付勢部材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の設置架台。
【請求項8】
前記付勢部材は、前記脚体をその上方から押付けることを特徴とする請求項7に記載の設置架台。
【請求項9】
前記脚体は、前記軸部よりもさらに上端側外方に張出した張出部を有し、該張出部が前記付勢部材で押えられることを特徴とする請求項8に記載の設置架台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−284956(P2007−284956A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112160(P2006−112160)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】