説明

固形ルウ包装容器

【課題】固形ルウブロックを収容したトレーの畝の部分を折り曲げてルウブロックを割ったときに、トレーの形状の観点からトレーに割れや白化が発生するのを低減する。
【解決手段】2つの分割トレー(102)の各々は2本の畝(112)によって区分された4つのルウピース成型区画(114)を有する。畝(112)の頂面(112a)は平らな面で構成され、この頂面(112a)の幅方向各端と、側壁(116)との間に湾曲連結部(112b)が介在している。畝(112)の長手方向端部はトレー(102)の周囲壁(122)に接近する従って上方に隆起した立ち上がり部(124)を介して周囲壁(122)に合流されている。2本の畝(112)の交差部分(130)では、互いに交差する畝(112)の側壁(116)の合流部分に湾曲した形態(132)が与えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の中で固形ルウを小分けすることのできる包装容器に関し、より詳しくは、包装容器に収容した固形ルウのブロックを、この包装容器の密封状態を保った状態で割る操作を行って複数のルウピースに小分けするのに好都合な包装容器を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
この種の包装容器はカレールウ、シチュールウなどの固形ルウで実用化されている。固形ルウは、調理時に鍋で溶かし易い大きさの小分けルウピースが連続した例えば4人用や6人用のブロックの形態で消費者に提供され、消費者は、このルウブロックを割ってルウピースに小分けした状態で調理に使うのが一般的である。
【0003】
固形ルウは、一般的には、特許文献1、2に見られるトレーと、このトレーを密閉する蓋フィルムとからなる包装容器に収容した状態で消費者に提供される。消費者は、蓋フィルムを剥がすことでトレーから固形ルウを取り出すことができる。特許文献1、2を参照して、この種のトレーは、側壁と底壁で構成される上方に開放したブロック収容区画を有し、このブロック収容区画は底壁を隆起させることにより畝が形成され、例えば4人前又は6人前のルウブロックを収容するトレーであれば平面視十文字に縦横に延びる複数の畝でブロック収容区画が4又は6つのルウピース成型区画に仕切られている。
【0004】
特許文献2はトレーの材料としてポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの合成樹脂の薄い単層樹脂シート、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリプロピレンなどの比較的薄い合成樹脂製多層樹脂シートを例示し、また、トレーの製法として真空成形法や圧空成形法を挙げている。
【0005】
周知のように、ルウ製造工程では、加熱調理したペースト状のルウがトレーに充填され、そして、トレーの中で冷えて固形ルウになる。つまり、トレーは固形ルウの成形型の機能を有している。例えば4人用の固形ルウのブロックは4つの小分けルウピースを互いに連結した形態を有し、隣接するルウピースの間は上記畝によって比較的肉薄の連結部が形成され、この連結部に対応する畝の部分を折り曲げる操作を行うことで固形ルウのブロックを割って4つのルウピースに小分けすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−137729号公報
【特許文献2】特開2007−217033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12は従来の典型的なトレー1を示す。このトレー1は、第1、第2の2つの分割トレー1A、1Bを有し、第1、第2の分割トレー1A、1Bは弱化線であるミシン目2を切断することにより分離可能である。第1、第2の分割トレー1A、1Bは、夫々、6つに小分けすることのできる固形ルウブロックが収容される。すなわち、各分割トレー1A(1B)は、その底壁3から隆起して縦横に延びる3本の畝4を有し、この3本の畝4によって6つの平面視矩形のルウピース成型区画5が形成され、これにより各分割トレー1A(1B)に収容される固形ルウブロックは6つの小分けルウピースが形作られる。そして各分割トレー1A(1B)の中で固化した固形ルウブロックは、上記の縦横に延びる複数の畝4によって6つの小分けルウピースが互いに連結した形状に形作られる。消費者は、この連結部を割ることによって固形ルウブロックを6つの小分けルウピースに分割することができる。
【0008】
従来のトレー1に含まれる畝4は、その断面形状を示す図13から分かるように上方に向けて凸状に湾曲した頂部7と、この湾曲した頂部7の両端7a、7bから斜め下方に延びる一対の壁8とで構成されている。勿論、一対の傾斜壁8の下端はトレーの底壁3に連なっている。また、各畝4は、図13の断面形状を維持しながら、長手方向端がトレー1の周囲壁9に合流されている。
【0009】
従来のトレー1は、蓋フィルムを剥がしてトレー1の中の固形ルウブロックを露出させた状態で、トレー1を折り曲げることで固形ルウブロックを割ることを想定して設計されているが、固形ルウを割る操作を行っている最中に指が固形ルウに触れて手を汚すことを嫌う消費者は蓋フィルムを剥がすことなく密閉状態のままで固形ルウを割る操作を行っているのが実情である。
【0010】
消費者は、前述したように畝4に沿ってトレー1を折り曲げることにより固形ルウブロックを割って小分けルウピースにすることができる。従来の典型的なトレー1は、蓋フィルムを剥がした後にトレー1を折り曲げることで固形ルウブロックを割ることを想定して設計されているため、この使用態様であれば、トレー1を折り曲げても自己復元力によってトレー1は元の形に戻る。他方、蓋フィルムを剥がすことなくトレー1を密封した状態でトレー1を折り曲げて固形ルウブロックを割る操作を行った場合、極く稀ではあるが、トレー1が破損してしまうという問題がある。環境負荷低減のためにトレー1の肉厚を薄くした場合にトレー1が破損する傾向が強まる。
【0011】
本願発明者らは、この問題を解決するために様々な検討を加えたところ、トレー1が破損する際に、白化や割れが発生する起点があり、この起点から割れや白化が広がることを知った。この点について具体的に説明すると、先ず、樹脂使用量を減量した複数のトレー1を作り、この複数のトレー1の中にルウを入れた後に蓋フィルムで密閉し、これを冷蔵庫に入れてトレー1の中のルウを固化させた。次いで、冷蔵庫から密封トレー1を取り出して、蓋フィルムで密封したトレー1を畝4に沿って勢い良く折り曲げて固形ルウブロックを割ったところ、幾つかのトレー1で割れや白化が発生した。ここに、140〜250gの固形ルウに対して従来の典型的なトレー1は厚み280〜410μmの樹脂シートを使って成形されている。樹脂量を減量したトレー1では280μmの厚みの樹脂シートを使って作製した。
【0012】
次いで、割れや白化を検証したところ、第1にトレー1の畝4の長手方向端部(図12の矢印Cで示す部分)、第2に縦横に延びる畝4の交差する部分(図12の矢印Dで示す部分)に割れや白化が現れ、これを起点として割れや白化が畝4に沿って広がることが分かった。
【0013】
本発明の目的は、固形ルウブロックを収容した状態の容器を折り曲げることによりルウブロックを割って小分けルウピースに分けることのできる包装容器を前提として、固形ルウブロックを収容したトレーの畝の部分を折り曲げてルウブロックを割ったときに、トレーの形状の観点からトレーに割れや白化が発生するのを低減することのできる固形ルウブロックを密封した包装容器及びトレーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
複数のルウピースが比較的肉薄の連結部によって互いに連結された固形ルウブロックを収容し、前記ルウピース間の連結部が縦横に延びる畝によって形成されて該畝の部分を折り曲げることにより前記複数のルウピースを小分けすることのできるトレーと、該トレーに剥離可能に接着される蓋フィルムとを有する包装容器であって、
前記縦横に延びる畝の側壁が、該縦横に延びる畝の合流部分において、平面視したときに外方に向けて凹状の湾曲した中間側壁を介して連結されていることを特徴とする包装容器を提供することにより達成される。
【0015】
実験によれば、縦横の畝の合流部分の側壁を外方に向けて凹状に湾曲した中間側壁を介して連結することにより、この縦横の畝の合流部分を起点とする白化や割れの問題を改善できることが確認できた。ここに、前記畝の断面形状は、図13で説明した、上方に向けて凸状に湾曲した頂部7を備えた畝4であってもよいし、後に説明する図3で示す2つの外方に向けて凸形状に湾曲した連結湾曲部112bと、この2つの連結湾曲部112b、112b間を連結する横方向に延びる頂面112aとを有する畝112であってもよい。この畝112の頂面112aは平らな面で構成してもよいし、例えば上方に向けて凸状に若干湾曲した湾曲面で構成してもよい。
【0016】
好ましい一つの実施形態では、畝の長手方向端部がトレーの周囲壁に接近するに従って上方に向けて立ち上がる立ち上がり部を有し、該立ち上がり部を介して前記畝の長手方向端がトレーの前記周囲壁に合流されている。好ましい他の実施形態では、畝の長手方向端部の一対の側壁の離間距離をトレーの周囲壁に接近するに従って拡大しながら該畝の長手方向端が前記トレーの周囲壁に合流される。この2つの実施形態のいずれにおいても、畝の長手方向端部を起点する白化や割れの問題を改善できることが確認できた。
【0017】
本発明の更なる技術的課題、作用効果は、以下の好ましい実施例の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施例の固形ルウ包装容器の斜視図である。
【図2】第1実施例の主要部を構成するトレーの斜視図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った畝の断面図である。
【図4】図2の参照符号120で示す部位つまり畝の長手方向端とトレーの周囲壁面との合流部分を示す図である。
【図5】互いに縦横に交差する2本の畝の合流部分の平面図であり、図2の参照符号130で示す部位の図である。
【図6】第2実施例に含まれるトレーの斜視図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿ったトレーの断面図である。
【図8】図6のトレーの側面図である。
【図9】第3実施例に含まれるトレーの斜視図である。
【図10】図9のX−X線に沿ったトレーの断面図である。
【図11】図9のトレーの側面図である。
【図12】従来のトレーの斜視図である。
【図13】従来の畝の断面形状を説明するための図12のXIII−XIII線に沿った畝の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0020】
第1実施例(図1〜図5)
図1は第1実施例の包装容器100を示し、図2は、包装容器100の主要部を構成するトレー102を示す。包装容器100にはカレーやシチューの固形ルウが収容される。従来と同様に、加熱調理したペースト状のルウがトレー102に充填され、このトレー102の中で冷えて固形ルウになる。消費者には、図示のトレー102の外周フランジ104に蓋フィルム106(図1)を熱シール法により剥離可能に接着した状態つまりトレー102を蓋フィルム106で密封した状態で提供される。
【0021】
トレー102のなかに充填したペースト状のルウが固化する前に蓋フィルム106でシールしてもよいし、トレー102のペースト状のルウが固化した後に蓋フィルム106でシールしてもよい。すなわち、蓋フィルム106を熱シールする工程は、トレー102内のペースト状のルウが固化する前であってもよいし、固化した後であってもよい。
【0022】
包装容器100は、分離可能な2つの分割トレー102A、102Bを有し(図2)、この2つの分割トレー102A、102Bは、実質的に同じ構成を有している。トレー102は、熱シールした蓋フィルム106と一緒に、典型的にはミシン目で構成される弱化線108に沿って外周フランジ104を切断することによって切り離すことができる。
【0023】
個々の分割トレー102A、102Bには、4人前の固形ルウのブロック(図示せず)が収容される。分割トレー102A、102Bは、その底壁110から隆起した2本の畝112を有し、この2本の畝112は平面視したときに縦横に直交して交差し、この互いに交差する2本の畝112、112によって4つのルウピース成型区画114が形成されている。
【0024】
各分割トレー102A(102B)の中で固化した固形ルウブロックは、4つの小分けルウピースが従来と同様に互いに連結した形状を有し、この連結部が割れることによって4つのルウピースに分割される。周知のように、固形ルウブロックの連結部は上述した畝112によって形成される。
【0025】
トレー102は、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリエチレンからなる多層樹脂シートで作られているが、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの単層樹脂シートや他の材料からなる多層樹脂シートであってもよい。
【0026】
樹脂シートの厚みは、容器の大きさや保存性によって左右されるが250〜550μm、好ましくは280〜370μmである。例えば、比較的劣化し難い固形ルウであれば250〜350μm、好ましくは280〜310μmであるのがよく、比較的劣化し易い固形ルウであれば、300〜400μm、好ましくは350〜400μmであるのがよい。
【0027】
図3は畝112の断面を示し、図2のIII−III線に沿った断面図である。図3を参照して、畝112は横方向に延びる頂面112aを有する。すなわち、畝112は、従来と同様に底壁110から傾斜して延びる2つの側壁116、116を有する。この傾斜した側壁116、116は上方に向かうに従って離間距離が狭くなっている。そして、この2つの側壁116の上端は頂面112aを介して連結され、頂面112aは、横方向に延びる平らな水平面で構成されている。より具体的に畝112の断面形状を説明すると、2つの互いに対向する側壁116は底壁110に対して74.6度の角度で傾斜しており、各側壁116の上端116aと頂面112aとの間に、外方に向けて凸状に湾曲した湾曲連結部112bが介在している。
【0028】
すなわち、畝112は、互いに対向した一対の側壁116と、この一対の側壁116の間に水平に延びる平らな頂面112aと、各側壁116の上端116aと頂面112aの幅方向各端との間に介在する湾曲連結部112bとで構成されている。頂面112aの変形例として、この頂面112aは上方に向けて凸状に若干湾曲した湾曲面であってもよい。
【0029】
図4は、図2の参照符合120で指し示す部位を抽出した図である。すなわち、図4は、畝112の長手方向端がトレー102の周囲壁122と合流する部分120を示す。この図4に示す仮想線126は従来例であり、前述したように従来は畝4(図12、図13)の高さを変化させることなく、そのまま周囲壁122に合流させる手法が採用されていた。
【0030】
これに対して、実施例では、畝112の長手方向端部の頂面112aがトレー102の周囲壁122に接近するに従って上方に向けて立ち上がっている。すなわち、畝112の長手方向端部は、周囲壁122に接近する従って上方に隆起した立ち上がり部124を有し、この立ち上がり部124を介して畝112の長手方向端が周囲壁122に合流されている。この立ち上がり部124は、図4から分かるように、断面形状において、上方に向けて凹状に湾曲しながら徐々に周囲壁122に接近するように設定されている。
【0031】
また、畝112の長手方向端部は、図2から分かるように、平面視したときに、一対の側壁116の離間距離が周囲壁122に接近する従って徐々に拡大して周囲壁122に合流されている。具体的には、一対の側壁116の長手方向端部は、外方に向けて凹状の湾曲した端部湾曲側壁128を介して周囲壁122に合流している。
【0032】
このように、立ち上がり部124を介して、畝112の長手方向端を周囲壁122に合流させ、また、一対の側壁116の離間距離を徐々に拡大させて周囲壁122に合流させる構成を採用することにより、実験の結果、畝112の長手方向端部つまり周囲壁122との合流部分の割れや白化の発生率を従来(図12)との対比で大幅に低減できることが確認できた。
【0033】
この実験は次のようにして行った。先ず、トレー102の中にルウを入れた後に蓋フィルム106で密閉し、これを冷蔵庫に入れてトレー102の中のルウを固化させた。次いで、冷蔵庫から包装容器100つまり密封トレー102を取り出して、蓋フィルム106で密封したトレー102を畝112に沿って勢い良く折り曲げて固形ルウブロックを割った。
【0034】
図5は、平面視十文字に交差する2本の畝112、112の交差部分130の平面図である。図5から分かるように、この交差部分130では、互いに交差する畝112、112の側壁116の合流部分に湾曲した形態が与えられている。この湾曲した連結部分を参照符合132で示してある。すなわち、2本の畝112同士の合流部分には、平面視で交差部分130の中心に向けて凸状に湾曲した中間側壁132が付与され、この湾曲中間側壁132を介して縦横に延びる畝112の側壁116が互いに連結されている。
【0035】
このように、互いに交差する2本の畝112の側壁116の合流部分に、外方に向けて凹状に湾曲した湾曲中間側壁132を介在させることにより、実験によれば、2本の畝112の合流部分の割れや白化の発生率を従来(図12)との対比で大幅に低減できることが確認できた。
【0036】
図6〜図11は第2、第3実施例を示す。これら実施例に於いて上述した第1実施例と同じ要素には同じ参照符号を付すことにより、その説明を省略し、以下に第2、第3実施例の特徴部分について説明する。
【0037】
第2実施例(図6〜図8)
第2実施例のトレー202は、各分割トレー202A、202Bが夫々6つのルウピース成型区画114を有している。すなわち、各分割トレー202A、202Bには夫々6人前の固形ルウブロックが収容される。縦横に延びる各畝112は、その長手方向端部が、図6から分かるように、平面視したときに、一対の側壁116の離間距離が周囲壁122に接近する従って徐々に拡大して周囲壁122に合流されている。すなわち、一対の側壁116の長手方向端部は、外方に向けて凹状の湾曲した湾曲端部側壁128を介して周囲壁122に合流されている。
【0038】
実験によれば、第2実施例のトレー202においても、畝112の長手方向端部の割れや白化の発生率を従来(図12)との対比で大幅に低減できることが確認できた。
【0039】
なお、実験は、前述した第1実施例と同様であり、先ず、トレー202の中にルウを入れた後に蓋フィルム106で密閉し、これを冷蔵庫に入れてトレー202の中のルウを固化させた。次いで、冷蔵庫から密封トレー202を取り出して、蓋フィルム106で密封したトレー202を畝112に沿って勢い良く折り曲げて固形ルウブロックを割った。
【0040】
第3実施例(図9〜図11)
第3実施例のトレー302は、第2実施例(図6〜図8)と同様に、各分割トレー302A、302Bが夫々6つのルウピース成型区画114を有している。縦横に延びる各畝112は、その長手方向端部が、周囲壁122に接近する従って上方に大きく隆起した立ち上がり部124を有し、この立ち上がり部124を介して畝112の長手方向端が周囲壁122に合流され、この立ち上がり部124は図10から最も良く分かるように周囲壁122に対してその上端部で合流している。
【0041】
実験によれば、第3実施例のトレー302においても、畝112の長手方向端部の割れや白化の発生率を従来(図12)との対比で大幅に低減できることが確認できた。
【0042】
なお、実験は、前述した第1、第2実施例と同様であり、先ず、トレー302の中にルウを入れた後に蓋フィルム106で密閉し、これを冷蔵庫に入れてトレー302の中のルウを固化させた。次いで、冷蔵庫から密封トレー302を取り出して、蓋フィルム106で密封したトレー302を畝112に沿って勢い良く折り曲げて固形ルウブロックを割った。
【0043】
前述した第1〜第3実施例に含まれるトレー102、202、302の実験は、280μmの樹脂シートからトレー102、202、302を作製して、畝112の頂面112aに割れや白化が発生しているか否かを目で確認した。その結果、割れや白化の発生率は、同じ厚みの樹脂シートで作った従来品(図12)の割れ、白化の発生率を半減又は大幅に低減できることが確認できた。
【0044】
以上、第1〜第3実施例の説明において、畝112の断面形状として、図3を参照して説明した形状つまり、互いに対向する一対の側壁116、116の上端116a、116aを、外方に向けて凸状に湾曲した湾曲連結部112bを介して頂面112aに連結した断面形状を採用した例で説明したが、従来の断面形状つまり図13に図示した一対の側壁8、8の上端を、上方に向けて凸状の湾曲部7で連結した断面形状であっても、畝112の長手方向端部の割れや白化、互いに交差する畝112の合流部分での割れや白化を激減できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
内容物の固形ルウブロックを収容した状態で包装容器を折り曲げることによりルウブロックを割って複数のルウピースに小分けするのに好都合な包装容器である。この包装容器はカレーやシチューなどの固形ルウを消費者に提供する際に用いられる。
【符号の説明】
【0046】
100 実施例の包装容器
102 第1実施例に含まれるトレー
104 外周フランジ
106 蓋フィルム
110 トレーの底壁
112 トレーの畝
112a 畝の頂面
112b 畝の頂部の湾曲連結部
116 畝の側壁
120 トレーの周囲壁と畝との合流部分
122 トレーの周囲壁
124 畝の長手方向端部の立ち上がり部
128 畝の長手方向端部の湾曲端部側壁
130 2本の畝の交差部分
132 互いに交差する畝の合流部分の湾曲中間側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のルウピースが比較的肉薄の連結部によって互いに連結された固形ルウブロックを収容し、前記ルウピース間の連結部が縦横に延びる畝によって形成されて該畝の部分を折り曲げることにより前記固形ルウブロックを割って前記複数のルウピースに小分けすることのできるトレーと、該トレーに剥離可能に接着される蓋フィルムとを有する包装容器であって、
前記縦横に延びる畝の側壁が、該縦横に延びる畝の合流部分において、平面視したときに外方に向けて凹状の湾曲した中間側壁を介して連結されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記畝の長手方向端部が、前記トレーの周囲壁に向かうに従って隆起した立ち上がり部を介して前記周囲壁に合流している、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記畝の長手方向端部は、該畝の一対の側壁の間隔が前記トレーの周囲壁に向かうに従って拡大しながら前記周囲壁に合流している、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記畝の一対の側壁が、上方に向かうに従って側壁間の間隔が狭くなるように傾斜している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装容器。
【請求項5】
前記畝は、前記一対の側壁の各々の上端が、外方に向けて凸状に湾曲した連結湾曲部を介して、横方向に延びる頂面に連結された断面形状を有する、請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記畝は、上方に向けて凸状に湾曲した頂部を備えた断面形状を有する、請求項4に記載の包装容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−246141(P2011−246141A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118814(P2010−118814)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(592111894)ヤマトエスロン株式会社 (20)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】