固形物処理装置
【課題】節水と配水管詰まりの防止との両立を図ることが可能な固形物処理装置を提供すること。
【解決手段】固形物処理装置としての厨芥処理装置1は、未粉砕厨芥を粉砕する初期段階においてスイングハンマー18を逆回転方向D2に回転駆動し、当該回転駆動によって給水量を増やすことなく厨芥処理室8における水位を上昇させ、未粉砕厨芥を粉砕する初期段階においてスイングハンマー18による未粉砕厨芥の粉砕量を抑制するように構成されていることを特徴とする。
【解決手段】固形物処理装置としての厨芥処理装置1は、未粉砕厨芥を粉砕する初期段階においてスイングハンマー18を逆回転方向D2に回転駆動し、当該回転駆動によって給水量を増やすことなく厨芥処理室8における水位を上昇させ、未粉砕厨芥を粉砕する初期段階においてスイングハンマー18による未粉砕厨芥の粉砕量を抑制するように構成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水口に設けられ、投入された未粉砕固形物を粉砕し、粉砕された粉砕済固形物を水と共に排出する給水型の固形物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような給水型の固形物処理装置の一種として厨芥処理装置がある。厨芥処理装置としては、粉砕動作と連動させて水を供給し、供給水量不足による配水管詰まりを起こり難くするものが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。下記特許文献1では、単に粉砕動作と連動させて水を供給するのみでは、粉砕初期に多量の粉砕済厨芥が排出され、その後、粉砕済厨芥の排出量が急激に減少することに着目している。具体的には、このように粉砕初期に多量の粉砕済厨芥が排出される場合、粉砕初期に供給される水が少ないと配水管詰まりを起こしてしまうため、通常はこの配水管詰まりを起こさないように供給する水の量を多くしなければならないと考えられる。これに対して、そのようないわば無駄な水を使わずに配水管詰まりを起こさないことを目的とし、粉砕手段の駆動態様に工夫することで新たな厨芥処理装置を提案している。
【0003】
下記特許文献1において提案されている厨芥処理装置は、回転駆動されることによって未粉砕厨芥を粉砕する粉砕手段を備えるものであって、粉砕工程の進行に従って粉砕手段の回転数を増やすように構成したものである。このように構成することで、粉砕初期においては粉砕手段の回転数を抑えることで粉砕済厨芥の排出量を抑制し、配水管詰まりを防止するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−260380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、未粉砕厨芥としては、柔らかいものや硬いもの、繊維質のものや非繊維質のものといったように、種々雑多なものが含まれる。そのため、低速で粉砕手段を駆動しても、柔らかいものが多く含まれている未粉砕厨芥の場合には粉砕初期に多量の粉砕済厨芥が排出されることになり、配水管詰まりのおそれがある。このような事態に対応するため、粉砕手段の回転数をより抑えて極低速で駆動することも想定されるけれども、未粉砕厨芥には柔らかいものと共に硬いものも多く含まれている場合もあり、あまりに粉砕手段の回転数を抑えれば硬い未粉砕厨芥を噛み込んでしまって、粉砕手段が停止してしまうことになる。
【0006】
一方で、粉砕済厨芥によって配水管詰まりを起こさないことのみに着目すれば、粉砕時の供給水量をより多くし、結果として粉砕済厨芥の濃度を下げて流動性を確保し、配水管詰まりを起こさないようにすることも考えられる。しかしながら、未粉砕厨芥の量は様々であって、未粉砕厨芥に含まれる柔らかいものや硬いものの比率を予め想定することも困難であり、粉砕初期に排出される粉砕済厨芥の量を予測することは極めて困難であるため、配水管詰まりを無くすことだけに着目すれば供給水量を非常に多くすることで対応しなければならない。このように従来の技術では、節水と配水管詰まりの防止とを両立させることはできなかったものである。また、このような従来技術が内包する課題は、固形物処理装置の一例としての厨芥処理装置に留まらず、大便を含む固形物を粉砕処理する圧送式トイレ装置においても同様なものである。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、排水口に設けられ、投入された未粉砕固形物を粉砕し、粉砕された粉砕済固形物を水と共に排出する給水型の固形物処理装置であって、節水と配水管詰まりの防止との両立を図ることが可能な固形物処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る固形物処理装置は、排水口に設けられ、投入された未粉砕固形物を粉砕し、粉砕された粉砕済固形物を水と共に排出する給水型の固形物処理装置であって、粉砕するための未粉砕固形物を投入する固形物投入口と、前記固形物投入口に連通し、投入された未粉砕固形物が貯留される第一貯留室と、回転駆動されることにより、前記第一貯留室内に貯留された未粉砕固形物を粉砕する粉砕手段と、前記第一貯留室の下方に位置すると共に前記第一貯留室と連通部を介して繋がっており、前記粉砕手段によって粉砕された粉砕済固形物を前記連通部を介して受け入れ一時的に貯留すると共に、貯留された粉砕済固形物を排出する排出口を有する第二貯留室と、前記第二貯留室に貯留された粉砕済固形物を前記排出口から排出させる排出手段と、前記粉砕手段と前記排出手段とを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記粉砕手段の回転駆動方向を正回転方向と逆回転方向とに切り替えて制御するものであり、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動し、当該回転駆動によって給水量を増やすことなく前記第一貯留室における水位を上昇させ、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段による未粉砕固形物の粉砕量を抑制するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、固形物投入口から投入され第一貯留室に貯留された未粉砕固形物を粉砕し、連通部を介して第二貯留室に送り込んで一時的に貯留する。従って、粉砕済固形物が生じたとしても、生じた粉砕済固形物を第二貯留室に一時的に貯留することで排水管の詰まり発生を防止することができる。更に本発明では、粉砕手段の回転駆動方向を逆回転方向に回転駆動し、この回転駆動によって給水量は増やさずに第一貯留室における水位を上昇させている。このような粉砕手段の逆回転方向への回転駆動を粉砕工程の初期段階において実行することで、未粉砕固形物の特に軽いものを浮き上がらせて粉砕手段から引き離すことが可能となり、粉砕手段による未粉砕固形物の粉砕量を抑制することができる。未粉砕固形物の比較的軽量なものは繊維質のものが多いことから、結果として未粉砕固形物を粉砕する初期段階において繊維質の未粉砕固形物を粉砕してしまうことを抑制することができ、配水管の詰まりをより確実に防止することができる。
【0010】
また本発明に係る固形物処理装置では、前記粉砕手段は、前記第一貯留室の下方外周に設けられた固定粉砕部と、回転駆動されることによって回転し前記固定粉砕部との間に未粉砕固形物を挟みこんで粉砕する回転粉砕部とを有することも好ましい。上述したように本発明では、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動することで、給水量を増やすことなく第一貯留室における水位を上昇させるものである。そのため、第一貯留室においては粉砕手段の回転によって生じる旋回エネルギーによって、第一貯留室内の水位は周辺が高くなる傾向にある。そこでこの好ましい態様によれば、第一貯留室の下方外周に固定粉砕部を設け、回転駆動する回転粉砕部との間に未粉砕固形物を挟みこんで粉砕するように構成することで、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した場合の水位上昇効果を、粉砕手段の実際に粉砕する部分においてより効果的に発揮させ、粉砕の初期段階において粉砕量の抑制効果を確実に高めることができる。
【0011】
また本発明に係る固形物処理装置では、前記制御手段は、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段の回転数を抑制することも好ましい。この好ましい態様によれば、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動することによる粉砕量の抑制効果と、粉砕手段の回転数を抑制することによる粉砕量の抑制効果との相乗効果を発揮させ、粉砕の初期段階において粉砕量の抑制効果を確実に高めることができる。
【0012】
また本発明に係る固形物処理装置では、前記制御手段は、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において、前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した後に正回転方向に回転駆動するものであって、前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動する回転速度を、前記粉砕手段を正回転方向に回転駆動する際の初期の回転速度よりも高くすることも好ましい。この好ましい態様では、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動する場合の回転速度を高めることで、上述したような第一貯留室における水位上昇効果をより高めることができ、粉砕の初期段階において粉砕量の抑制効果を確実に高めることができる。
【0013】
また本発明に係る固形物処理装置では、前記排出手段は、回転駆動されることにより、前記第二貯留室に貯留された粉砕済固形物を前記排出口から押し出して排出するものであって、回転方向によって粉砕済固形物の排出能力が異なるように構成されており、前記制御手段が前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した場合の前記排出手段の排出能力は、前記制御手段が前記粉砕手段を正回転方向に回転駆動した場合の前記排出手段の排出能力よりも低いことも好ましい。この好ましい態様によれば、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した場合の排出手段の排出能力を低くすることで、第二貯留室から排出口を経由して排出するエネルギーを第二貯留室内に留保し、第一貯留室における水位上昇効果を高めることに振り分けることができる。従って、粉砕手段の回転駆動方向を変えるという簡単な構成で第一貯留室における水位上昇効果をより高めることができ、粉砕の初期段階において粉砕量の抑制効果を確実に高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、節水と配水管詰まりの防止との両立を図ることが可能な固形物処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明の実施形態に係る厨芥処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す厨芥処理装置の厨芥処理室を説明するための図である。
【図3】図1に示す厨芥処理装置の厨芥処理室及び一時貯留室を説明するための図である。
【図4】図1に示す厨芥処理装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】図4に示す動作を行わせた場合の厨芥処理室及び一時貯留室の状態を説明するための図である。
【図6】図4に示す動作を行わせた場合の厨芥処理室及び一時貯留室の状態を説明するための図である。
【図7】図1に示す厨芥処理装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】図7に示すタイミングチャートに対応するモータの駆動電流を示す図である。
【図9】図7に示す動作を行わせた場合の厨芥処理装置から排出される粉砕済厨芥の量を示す図である。
【図10】図1に示す厨芥処理装置における厨芥処理室の変形例を説明するための図である。
【図11】図1に示す厨芥処理装置における厨芥処理室及び一時貯留室の変形例を説明するための図である。
【図12】図10及び図11に示す変形例において図4に示す動作を行わせた場合の厨芥処理室及び一時貯留室の状態を説明するための図である。
【図13】図10及び図11に示す変形例において図4に示す動作を行わせた場合の厨芥処理室及び一時貯留室の状態を説明するための図である。
【図14】図12及び図13に示す状況の原理を説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態である厨芥処理装置を大便等の固形物粉砕に応用した圧送式トイレ装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0017】
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る厨芥処理装置(固形物処理装置)を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る厨芥処理装置、及びこれを設置したシンク全体を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る厨芥処理装置1は、厨芥を投入する厨芥投入口2が、シンク4の底面に開口するように設置される。また、シンク4の近傍には水栓6が設けられており、厨芥処理装置1によって厨芥を粉砕する際及び清掃する際に、この水栓6から洗浄水を供給することも可能なように構成されている。
【0019】
厨芥処理装置1は、厨芥投入口2を上方に形成した厨芥処理室8(第一貯留室)と、厨芥処理室8の下方に設けられた一時貯留室9(第二貯留室)と、厨芥処理室8と一時貯留室9とを仕切るように配置された回転板10と、この回転板10を回転駆動する駆動手段であるモータ12と、一時貯留室9に連通して設けられ、粉砕された厨芥を一時貯留室9から排水管(図示せず)に排出する厨芥排出部14(排出口)と、を有する。
【0020】
厨芥処理室8の下部の内壁面には固定刃16(粉砕手段、固定粉砕部)が取付けられている。さらに、回転板10の上面には、2つのスイングハンマー18(粉砕手段、回転粉砕部)がシャフト18aを中心に回転可能に取付けられている。回転板10の下面には、一時貯留室9内の洗浄水を攪拌する羽根20b(排出手段)が取付けられている。
【0021】
厨芥処理室8は、上方に円形の厨芥投入口2が開口した概ね円錐台状に形成されている。また、厨芥投入口2は、シンク4の排水口を兼ねており、シンク4内の水は厨芥投入口2から厨芥処理室8に入り、厨芥排出部14を介して排水管(図示せず)に排水されるように構成されている。更に、厨芥処理室8に自動給水可能なように給水管WF(水供給手段)が設けられている。給水管WFには、給水弁V1と水量センサS1が設けられている。給水弁V1はコントローラ22からの制御信号に応じて開閉するように構成されている。水量センサS1は検出した水量データをコントローラ22に出力する。
【0022】
回転板10は、厨芥処理室8と一時貯留室9との中間に水平に支持された金属製の円板である。さらに、回転板10は、その中心がモータ12の回転軸12aにネジ止めされており、モータ12によって回転駆動される。また、回転板10には、それを直角に貫通するように、2本のシャフト18aが取付けられている。シャフト18aは、回転板10の上面側において、金属製のスイングハンマー18を回転可能に支持している。スイングハンマー18は、概ね直方体のブロック状であり、一端にシャフト18aが通されている。また、スイングハンマー18の底面は平面であり、先端に向かって厚さが厚くなり、先端は回転板10の周縁とほぼ同一曲率の円弧状に形成されている。また、スイングハンマー18の長さは、スイングハンマー18が、回転板10の半径方向外方に向けられたとき、その先端が回転板10の周縁とほぼ一致するように設定されている。
【0023】
回転板10及び固定刃16を上方から見た状態を図2に示す。図2に示すように、厨芥処理室8の下部の内壁には、回転板10を囲繞するように、金属製の固定刃16が取付けられている。固定刃16には、円周方向に等間隔に多数の切抜き部16aが形成されている。投入された未粉砕厨芥は、固定刃16の各切抜き部16aのエッジと、スイングハンマー18の間に押し込まれることにより、厨芥処理室8内で粉砕される。そして、連通部としての切抜き部16aを通って一時貯留室9へと送り込まれる。
【0024】
図2に示すように、本実施形態においては、固定粉砕部として、厨芥処理室8(第一貯留室)を囲繞するように設けられた固定刃16が設けられ、回転粉砕部としてのスイングハンマー18は、一端側がシャフト18aによって貫通されており、他端側が固定粉砕部としての固定刃16に近接可能なように回動可能に支持されている。回転板10が回転され遠心力が作用すると未粉砕厨芥は固定刃16に向って移動する。そして、回転粉砕部としてのスイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定粉砕部としての固定刃16に押し付けることで粉砕する。従って、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は、回転板10の回転速度に応じて増減する。具体的には、回転板10の回転速度が低ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は弱くなるため、比較的柔らかい未粉砕厨芥が粉砕される。一方、回転板10の回転速度が高ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は強くなるため、比較的硬い未粉砕厨芥が粉砕される。
【0025】
また、厨芥排出部14は、厨芥処理室8の外周における接線方向に沿うように設けられている。回転板10を正回転方向D1に回転させると、厨芥排出部14が延びる方向に厨芥や水が排出され易くなり、回転板10を逆回転方向D2に回転させると厨芥や水が排出され難くなる。
【0026】
図3には、厨芥処理室8及び一時貯留室9の縦断面図を示す。図3は、図2の回転軸12a近傍における縦断面図である。図3に示すように、厨芥排出部14は、一時貯留室9の底面近傍に水平方向に向けて形成された円筒状の管路であり、その先端は排水管(図示せず)に接続されている。また、厨芥排出部14は、回転板10を回転させるモータ12の回転軸12aを中心とする円のほぼ接線方向に向くように形成されている。このため、回転軸12aが図2の矢印D2方向に回転されると、一時貯留室9内の洗浄水は羽根20bによって攪拌され、その厨芥排出部14からの排水が抑制される。これにより、洗浄水は一時貯留室9内に滞留されやすくなる。一方、回転軸12aが矢印D1方向に回転されると、洗浄水の厨芥排出部14からの排水が促進され、一時貯留室9内の洗浄水は速やかに排出される。
【0027】
図1に戻り、厨芥処理装置1は、制御手段であるコントローラ22を有し、コントローラ22は、厨芥投入口2に設けられた磁気検出素子24の検出信号に基づいて、モータ12を作動させるように構成されている。さらに、厨芥処理装置1は、所定の場合においてコントローラ22によって鳴動され、使用者に清掃時期の到来を報知する報知手段であるランプ25と、第一制御手段22aから第二制御手段22bへの制御移行を規制するスイッチ28と、を有する。
【0028】
コントローラ22は、磁気検出素子24の検出信号に基づいて、厨芥処理装置1の粉砕運転を実行するように構成されている。また、コントローラ22は、第一制御手段22aと第二制御手段22bとを有している。第一制御手段22a及び第二制御手段22bは、それぞれ異なる態様でモータ12を回転駆動するものである。第一制御手段22aと第二制御手段22bとは、それぞれが選択的に動作するように構成されている。第一制御手段22aと第二制御手段22bとは、モータ12に制御信号を出力してその回転方向と回転速度とを制御し、モータ12の駆動電流を検知する電流センサS2が検出した電流値データを取得するものである。尚、第一制御手段22a及び第二制御手段22bによる具体的な制御態様については後述する。コントローラ22は、具体的には、マイクロプロセッサ、メモリ及びそれに記憶されたプログラム(以上図示せず)等により構成される。
【0029】
続いて、厨芥処理装置1の駆動シーケンスの一例について、図4に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。図4に示すタイミングチャートにおいては、横軸に時間をとり、縦軸にはモータ12の回転数を示している。モータ12の回転は、r1が正回転(図2における矢印D1の方向)であって、r1’が逆回転(図2における矢印D2の方向)である。また、図4に示すシーケンスでは、第一制御手段22aによる制御のみが実行されている。尚、図4に示すシーケンスでは、モータ12の回転が正回転であっても逆回転であっても同じ回転数としているけれども、逆回転方向の回転速度を正回転方向の回転速度よりも高くすることも好ましいものである。そのようにすることで、粉砕工程初期の粉砕量をより効果的に低減することができる。
【0030】
時刻t1から時刻t2までは、回転数r1’でモータ12を駆動する。回転数r1’は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1’での回転は、逆回転(図2における矢印D2の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は低減されており、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が徐々に排出される。
【0031】
更に、本実施形態の場合、モータ12を逆回転させると、逆回転する回転板10に伴って回転する羽根20bの攪拌によって、厨芥処理室8における水位が上昇する。この状態を図5に示す。図5に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、外周部が特に高くなり、それにともなって水に浮くような未粉砕厨芥SMが固定刃16よりも上方に位置する。その結果、未粉砕厨芥SMが一度に粉砕されてしまい排出される事態を確実に回避できる。
【0032】
より具体的には、回転板10を回転させることによって、厨芥処理室8及び一時貯留室9に存在する水は回転エネルギーを受けて回転方向に向いた旋回流となる。本実施形態の場合、排出口14が回転軸12aから偏芯した位置に設けられており、一時貯留室9の壁面に対して接線方向に設けてあるので、排出口14が延びる方向に沿う回転とは逆の回転(逆回転(図2における矢印D2の方向)方向の回転)の場合には、一時貯留室9において旋回流は排出口14が延びる方向とは逆向きに発生するため、排水のために旋回流方向の運動はほとんど作用せず遠心力のみが作用するので、排出効率が略半減する。結果として、一時貯留室9に水が溜まり、厨芥処理室8から一時貯留室9へ排水ができない分に見合った水位が上昇する。厨芥処理室8ではスイングハンマー18が旋回しているため、厨芥処理室8の水も旋回のエネルギーを受けて旋回し、その水面WLは放物線状になり、厨芥処理室8の壁面側ではより水位が上昇し、中央側では水位が下がるようになる。未粉砕厨芥SMは水が媒体となって回転板10等の遠心力によって厨芥処理室8下方外周にある固定刃16に向うけれども、周辺部では水位が高くなっているため、周辺部に移動した未粉砕厨芥SMが固定刃16に当たる機会は少なくなり、結果として粉砕量が抑制される。
【0033】
図4に戻り、時刻t2から時刻t3までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t2から時刻t3においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0034】
時刻t3から時刻t4までは、回転数r1でモータ12を駆動する。回転数r1は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。回転数r1での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、逆回転に比較すれば水位は低い状態となる。
【0035】
更に、本実施形態の場合、モータ12を正回転させると、正回転する回転板10に伴って回転する羽根20bの攪拌によって、厨芥処理室8における水位が下降し、通常の状態に戻る。この状態を図6に示す。図6に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、略水平となって未粉砕厨芥SMは固定刃16に当たる位置まで降りてくる。その結果、逆回転においては粉砕されなかった未粉砕厨芥SMが粉砕され、一時貯留室9へと送り込まれる。
【0036】
より具体的には、回転板10を回転させることによって、厨芥処理室8及び一時貯留室9に存在する水は回転エネルギーを受けて回転方向に向いた旋回流となる。本実施形態の場合、排出口14が回転軸12aから偏芯した位置に設けられており、一時貯留室9の壁面に対して接線方向に設けてあるので、排出口14が延びる方向に沿う回転(正回転(図2における矢印D1の方向)方向の回転)の場合には、一時貯留室9内の遠心力と、排出口14が延びる方向に沿った旋回運動との両方の作用によって排出量は多くなる。結果として、厨芥処理室8から一時貯留室9への排水の移動はスムーズであり、したがって厨芥処理室8に水は溜まらないので水位は上がらない。
【0037】
続いて、厨芥処理装置1の駆動シーケンスの別例について、図7に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。図7に示すタイミングチャートにおいては、横軸に時間をとり、縦軸にはモータ12の回転数を示している。モータ12の回転は、r1,r2,r3,r4,r5が正回転(図2における矢印D1の方向)であって、r1’,r2’,r5’が逆回転(図2における矢印D2の方向)である。また、時刻t1から時刻t11までは第一制御手段22aによる制御が実行され、時刻t11から時刻t12までは第二制御手段22bによる制御が実行され、時刻t12から時刻t17まではコントローラ22による制御が実行されるものとしている。
【0038】
時刻t1から時刻t2までは、回転数r1’でモータ12を駆動する。回転数r1’は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1’での回転は、逆回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は低減されており、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が徐々に排出される。
【0039】
更に、本実施形態の場合、モータ12を逆回転させると、逆回転する回転板10に伴って回転する羽根20bの攪拌によって、厨芥処理室8における水位が上昇する。この状態は既に説明した図5に示す状態である。図5に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、外周部が特に高くなり、それにともなって水に浮くような未粉砕厨芥SMが固定刃16よりも上方に位置する。その結果、未粉砕厨芥SMが一度に粉砕されてしまい排出される事態を確実に回避できる。
【0040】
図7に戻り、時刻t2から時刻t3までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t2から時刻t3においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0041】
時刻t3から時刻t4までは、回転数r1でモータ12を駆動する。回転数r1は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。時刻t1から時刻t4までは、低速駆動モードでの運転となっている。
【0042】
更に、本実施形態の場合、モータ12を正回転させると、正回転する回転板10に伴って回転する羽根20bの攪拌によって、厨芥処理室8における水位が下降し、通常の状態に戻る。この状態は既に説明した図6に示す状態である。図6に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、略水平となって未粉砕厨芥SMは固定刃16に当たる位置まで降りてくる。その結果、逆回転においては粉砕されなかった未粉砕厨芥SMが粉砕され、一時貯留室9へと送り込まれる。
【0043】
図7に戻り、時刻t4からt5までは、回転数r2でモータ12を駆動する。回転数r2は、やや粉砕しにくい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、やや粉砕しにくいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r2での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0044】
時刻t5から時刻t6までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t5から時刻t6においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。時刻t5から時刻t6において、一時貯留室9に水が溜められて粉砕済厨芥の濃度が下がって流動性が増すので、次のモータ12の駆動によって効果的に粉砕済厨芥が排出される。
【0045】
時刻t6から時刻t7までは、回転数r2でモータ12を駆動する。回転数r2は、やや粉砕しにくい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、やや粉砕しにくいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r2での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0046】
時刻t6から時刻t7においては、未粉砕厨芥の有無を判定している。未粉砕厨芥の有無は、モータ12の駆動電流の変化態様に基づいて判断される。モータ12の駆動電流の振れ幅が大きければ未粉砕厨芥がまだ存在し、モータ12の駆動電流の振れ幅が小さくなれば未粉砕厨芥が存在しないと判断する。
【0047】
モータ12の駆動電流の一例を図8に示す。図8に示す例においては、時刻t6から時刻t7の間の領域AR1ではモータ12の駆動電流の振れ幅が大きく、未粉砕厨芥はまだ存在しているものと想定される。一方、時刻t10から時刻t13の間の領域AR2ではモータ12の駆動電流の振れ幅が小さく、未粉砕厨芥が無くなったものと想定される。従って、もしも時刻t6から時刻t7において領域AR2のような振れ幅となった場合には、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断する。時刻t6から時刻t7において、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断されれば、第一制御手段22aによる残りの制御(時刻t7〜時刻t11)と第二制御手段22bによる制御(時刻t11〜時刻t12)を飛ばして、時刻t12からの制御を実行する。
【0048】
図7に戻り、時刻t7から時刻t8までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t7から時刻t8においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0049】
時刻t8から時刻t9までは、回転数r2’でモータ12を駆動する。回転数r2’は、やや粉砕しにくい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、やや粉砕しにくいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r2’での回転は、逆回転(図2における矢印D2の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は低減されており、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が徐々に排出される。時刻t8から時刻t9までの運転によって、引っかかった繊維状の粉砕済厨芥が排出される。
【0050】
時刻t9から時刻t10までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t9から時刻t10においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0051】
時刻t10から時刻t11までは、回転数r3でモータ12を駆動する。回転数r3は、粉砕されにくい繊維質の未粉砕厨芥を絡ませずに排出するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕されて残った繊維質のものが一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r3での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0052】
時刻t10から時刻t11においては、未粉砕厨芥の有無を判定している。未粉砕厨芥の有無は、モータ12の駆動電流の変化態様に基づいて判断される。モータ12の駆動電流の振れ幅が大きければ未粉砕厨芥がまだ存在し、モータ12の駆動電流の振れ幅が小さくなれば未粉砕厨芥が存在しないと判断する。
【0053】
図8に示す例においては、時刻t6から時刻t7の間の領域AR1ではモータ12の駆動電流の振れ幅が大きく、未粉砕厨芥はまだ存在しているものと想定される。一方、時刻t10から時刻t13の間の領域AR2ではモータ12の駆動電流の振れ幅が小さく、未粉砕厨芥が無くなったものと想定される。従って、もしも時刻t10から時刻t13のある段階において領域AR2のような振れ幅となった場合には、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断する。時刻t10から時刻t11において、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断されれば、第一制御手段22aによる残りの制御(〜時刻t11)を飛ばして、第二制御手段22bによる制御(時刻t11〜時刻t12)に移行する。尚、未粉砕厨芥が存在していると判断した場合には、継続的に未粉砕厨芥の存在有無の判定を繰り返す。
【0054】
図7に戻り、時刻t11から時刻t12までは、回転数r4でモータ12を駆動する。回転数r4は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r3での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0055】
時刻t12から時刻t13までは、回転数r5でモータ12を駆動する。回転数r5は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものや粉砕し難い形状(球体)のものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r5での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0056】
時刻t13から時刻t14までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t13から時刻t14においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0057】
時刻t14から時刻t15までは、回転数r5’でモータ12を駆動する。回転数r5’は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものや粉砕し難い形状(球体)のものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r5’での回転は、逆回転(図2における矢印D2の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量はやや多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0058】
時刻t15から時刻t16までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t15から時刻t16においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0059】
時刻t16から時刻t17までは、回転数r5でモータ12を駆動する。回転数r5は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものや粉砕し難い形状(球体)のものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r5での回転は、正回転(図1における矢印D1の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0060】
上述したような制御を実行することで、時間の経過に対して排出される粉砕済厨芥の量は、図9のL1に示すように平準化される。一方、従来のように最初から同じような回転数でモータ12を制御すれば、L3のように初期段階で多くの粉砕済厨芥が排出されてしまう。また、排出手段に特段の工夫をしなければ、モータ12の回転数を落としてもL2程度の粉砕済厨芥の排出量低減しかできないものである。従って、本実施形態のような厨芥処理装置1を用いて、上述のような制御を実行することで、L1に示すように粉砕済厨芥の排出量を確実に平準化することができる。
【0061】
尚、本実施形態では、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されているものとしたけれども、水の供給量を変動させたとしても、その変動量を水量センサS1によって検知し、コントローラ22が第一制御手段22aから第二制御手段22bへの移行判断において、その水量を勘案して未粉砕厨芥の有無の判定に反映させることも好ましい。
【0062】
続いて、回転板10を正回転方向に回転駆動した場合と逆回転方向に回転駆動した場合とで、厨芥処理室8の水位を変動させる変形例について図10を参照しながら説明する。図10は、上述した本実施形態の図2に相当する図である。
【0063】
図10に示すように、固定粉砕部として、厨芥処理室8(第一貯留室)を囲繞するように設けられた固定刃16が設けられ、回転粉砕部としてのスイングハンマー18は、一端側がシャフト18aによって貫通されており、他端側が固定粉砕部としての固定刃16に近接可能なように回動可能に支持されている。回転板101が回転され遠心力が作用すると未粉砕厨芥は固定刃16に向って移動する。そして、回転粉砕部としてのスイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定粉砕部としての固定刃16に押し付けることで粉砕する。従って、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は、回転板101の回転速度に応じて増減する。具体的には、回転板101の回転速度が低ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は弱くなるため、比較的柔らかい未粉砕厨芥が粉砕される。一方、回転板101の回転速度が高ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は強くなるため、比較的硬い未粉砕厨芥が粉砕される。
【0064】
また、厨芥排出部141は、回転軸12aから半径方向に沿って伸びており、回転板101の回転方向によっては厨芥や水の排出量が変化しないように構成されている。この変形例の場合、回転板101には邪魔板50と邪魔板51とが配置されている。邪魔板50は回転板101の厨芥処理室8側に取り付けられており、邪魔板51は回転板101の一時貯留室9側に取り付けられている。スイングハンマー18は、回転軸12aを挟んで一対設けられており、邪魔板50,51も回転軸12aを挟んで一対設けられている。
【0065】
図11には、邪魔板50,51を設けた場合の厨芥処理室8及び一時貯留室9の縦断面図を示す。図11は、図10の回転軸12a近傍における縦断面図である。図11に示すように、厨芥排出部141は、一時貯留室9の底面近傍に水平方向に向けて形成された円筒状の管路であり、その先端は排水管(図示せず)に接続されている。また、厨芥排出部141は、回転板101を回転させるモータ12の回転軸12aを中心とする円のほぼ半径方向に向くように形成されている。
【0066】
図11に示すように、邪魔板50と邪魔板51との間の回転板101には、開口部101aが形成されている。邪魔板50は、その一部が回転板101に沿って固定され、残部が開口部101aを跨いで徐々に回転板101から離れるように斜めに形成されている。邪魔板51も同様に、その一部が回転板101に沿って固定され、残部が開口部101aを跨いで徐々に回転板101から離れるように斜めに形成されている。図11に示すように側方から見た場合、邪魔板50と邪魔板51とは開口部101aを挟んで対象な形態を成すように配置されている。
【0067】
続いて、図10及び図11に示す変形例において、図4に示すタイミングチャートに沿ってモータ12を回転させた場合の状態について説明する。
【0068】
時刻t1から時刻t2までは、回転数r1’でモータ12を駆動する。回転数r1’での回転は、逆回転(図10における矢印D2の方向)なので、逆回転する回転板101に伴って回転する邪魔板50,51の作用によって、厨芥処理室8における水位が上昇する。この状態を図12に示す。図12に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、外周部が特に高くなり、それにともなって水に浮くような未粉砕厨芥SMが固定刃16よりも上方に位置する。その結果、未粉砕厨芥SMが一度に粉砕されてしまい排出される事態を確実に回避できる。
【0069】
より具体的には、回転板101を回転させることによって、邪魔板50,51の作用により開口部101aの近傍において局所的に圧力バランスを崩すように構成している。回転板101を逆回転させると、回転板101の厨芥処理室8側に設けた邪魔板50は開口部101aよりも上流側に位置することで、開口部101a側が負圧になり、開口部101aと反対側は正圧になる。また、回転板101の一時貯留室9側に設けた邪魔板51は開口部101aよりも下流側に位置することで、開口部101a側が正圧になり、開口部101aと反対側は負圧になる。従って、開口部101aを通して一時貯留室9から厨芥処理室8に向けて水がくみ上げられるように作用する(図14参照)。
【0070】
時刻t2から時刻t3までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t2から時刻t3においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0071】
時刻t3から時刻t4までは、回転数r1でモータ12を駆動する。回転数r1は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1での回転は、正回転(図10における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0072】
更に、本実施形態の場合、モータ12を正回転させると、正回転する回転板101に伴って回転する邪魔板50,51の作用によって、厨芥処理室8における水位が下降し、通常の状態に戻る。この状態を図13に示す。図13に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、略水平となって未粉砕厨芥SMは固定刃16に当たる位置まで降りてくる。その結果、逆回転においては粉砕されなかった未粉砕厨芥SMが粉砕され、一時貯留室9へと送り込まれる。
【0073】
尚、上述した本発明の実施形態では、固形物処理装置の一例として厨芥処理装置について説明したけれども、本発明の固形物処理装置の具体例はこれに限られるものではない。図15に、本発明の実施形態である厨芥処理装置を大便等の固形物粉砕に応用した圧送式トイレ装置の構成を示す。
【0074】
図15に示されるように、圧送式トイレ装置61は、便器本体62と、この便器本体62に給水する給水装置64とを備え、この給水装置64の便器給水路64aを経て便器本体62へ給水される水量等は制御装置66によって制御されるようになっている。
【0075】
例えば、便器本体62の着座検知用センサー(図示せず)等が使用者の着座を検知したり、使用者がリモコン(図示せず)等に設けられた給水指令用の給水スイッチ(図示せず)をオンにすると、制御装置66が、これらの着座検知用センサー(図示せず)の検知情報やリモコンスイッチ(図示せず)等からの指令に基づいて給水装置64に給水指令し、給水装置64から便器本体62内へ所定時間給水が行われ、便器本体62内に所定量の水が溜まるようになっている。さらに、使用者がトイレ使用後、便器本体62を洗浄するための洗浄スイッチ(図示せず)をオンにすると、便器本体62の便器洗浄工程が開始し、給水装置64から便器本体62に洗浄用の給水がなされて、便器本体62が洗浄されるようになっている。
【0076】
また、便器本体62の外部には固形物粉砕圧送装置68が設けられており、この固形物粉砕圧送装置68は、便器本体62の排出口62aに連結された貯留槽70を備えている。この便器本体62の排出口62aにはフラップ弁69が設けられ、このフラップ弁69は、便器洗浄の前までは排出口62aを閉鎖している。さらに、このフラップ弁69は、便器本体62の洗浄が行われて便器本体62内の汚水を貯留槽70に排出する際には、制御装置66からの指令によって、排出口62aを所定時間開放して便器本体62内の汚水を排出した後、閉鎖するようになっている。
【0077】
さらに、貯留槽70内には、便器本体62の排出口62aから貯留槽70に排出された汚水中の汚物やトイレットペーパ等の固形物71を粉砕する粉砕部72と、この粉砕部72の下部には、貯留槽70内の汚水を外部へ強制的に圧送するポンプ74が設けられている。
【0078】
また、粉砕部72は、複数の孔76を有するスクリーン78によって形成された粉砕室80を備え、便器本体62の排出口62aから貯留槽70内に排出される汚水は、まず粉砕室80に一旦収容されるようになっている。この粉砕室80内の汚水については、スクリーン78の孔76の大きさよりも大きい固形物71は孔76を通過できずに粉砕室80内に捕捉され、水分やスクリーン78の孔76の大きさよりも小さい固形物は、孔76を通過して粉砕室80から貯留槽70へ流れるようになっている。
【0079】
さらに、粉砕室80とポンプ74とを仕切るように、回転板10が設けられている。回転板10には、粉砕室80側にスイングハンマー18が設けられる一方で、ポンプ74側には羽根20bが設けられている。この回転板10が回転することでスイングハンマー18も回転し、粉砕室80内に捕捉された固形物71が粉砕されるようになっている。回転板10の回転軸の上端には、この回転軸を正逆転可能に駆動する粉砕圧送用モータ88が取り付けられている。この粉砕圧送用モータ88の駆動は、制御装置66によって可変に制御されるようになっており、同一の回転板10に取り付けられているスイングハンマー18と羽根20bの回転数は、互いに連動して制御されるようになっている。
【0080】
また、貯留槽70内には、貯留槽70内の水位を検出する水位センサ90が設けられており、この水位センサ90が検出した水位に基づいて、制御装置66が粉砕圧送用モータ88の駆動の制御を行ったり、給水装置64の便器給水路64aや追加給水手段である粉砕部給水路64bの開閉や切替えの制御を行ったり、フラップ弁69の駆動の制御を行ったりするようになっている。
【0081】
さらに、ポンプ吐出口74bには圧送路92が接続され、貯留槽70内から圧送された汚水がこの圧送路92内を通過するようになっている。また、圧送路92には、圧送抑制手段として電動ボール弁94が設けられている。この電動ボール弁94は、水位センサ90の水位情報に基づく制御装置66からの指令に応じて開閉し、特に、粉砕時にポンプ74からの圧送される汚水量を抑制して貯留槽70内の水位低下を抑制するようになっている。
【0082】
また、上述した給水装置64については、粉砕部72に追加給水する追加給水手段である粉砕部給水路64bが設けられている、この給水装置64及び粉砕部給水路64bは、水位センサ90の水位情報に基づく制御装置66からの指令により、固形物の粉砕時に粉砕部72の水位がスイングハンマー18の上端の水位よりも常に高くなるように粉砕部72に追加給水するようになっている。この粉砕部給水路64bにより、フラップ弁69を開くことなく追加給水可能になるため、追加給水して水位をスイングハンマー18の上端よりも高く、さらには便器排出口62a下端以上に高くする際、便器本体62側への汚水逆流をなくし、フラップ弁69が汚物などの固形物71を噛み込む危険性を低減できる。また、動作シーケンスの全体を通じて、フラップ弁69の開閉動作を減らせるため、効率的で、使用者に違和感を与えない。
【0083】
圧送式トイレ装置61では、上述した給水装置64に粉砕部給水路64bを設ける代わりに、給水装置64とは別体となる追加給水装置(図示せず)を独立に設け、便器本体62の使用中でも追加給水装置(図示せず)から粉砕部72に追加給水できるようにしてもよい。また、粉砕部給水路64bの粉砕部72への給水口(図示せず)については、その形状や配置を工夫することにより、粉砕部給水路64bの給水口(図示せず) から貯留槽70内へ噴霧洗浄ができるようにしてもよい。
【0084】
さらに、圧送式トイレ装置61は粉砕完了検知装置96を備え、この粉砕完了検知装置96により、粉砕部72のスイングハンマー18による固形物71の粉砕が完了したことを検知するようになっている。具体的には、この粉砕完了検知装置96が、粉砕圧送用モータ88あるいはスイングハンマー18のトルクや回転抵抗等を検出し、これらの検出した値の程度によって粉砕状況を判断して、状況に応じて制御装置66により粉砕圧送用モータ88を制御したり、粉砕部給水路64bからの粉砕部72への追加給水を制御するようになっている。尚、詳細な追加説明は省略するけれども、この圧送式トイレ装置61に組み込まれたスイングハンマー18や羽根20bを機能させるために、上述した厨芥処理装置1における制御を適用することは適宜なされるべきものである。また、スイングハンマー18の周囲に固定刃16や切抜き部16aを設けることも、必要に応じて適宜なされることが好ましいものである。いずれにしても、大便を含む固形物を処理して排出するために適切な変形がなされることは好ましい態様である。
【符号の説明】
【0085】
1:厨芥処理装置
2:厨芥投入口
4:シンク
6:水栓
8:厨芥処理室
9:一時貯留室
10:回転板
12:モータ
12a:回転軸
14:厨芥排出部
16:固定刃
16a:切抜き部
18:スイングハンマー
18a:シャフト
20b:羽根
22:コントローラ
22a:第一制御手段
22b:第二制御手段
24:磁気検出素子
25:ランプ
28:スイッチ
101:回転板
141:厨芥排出部
S1:水量センサ
S2:電流センサ
V1:給水弁
WF:給水管
WL:水面
SM:未粉砕厨芥
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水口に設けられ、投入された未粉砕固形物を粉砕し、粉砕された粉砕済固形物を水と共に排出する給水型の固形物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような給水型の固形物処理装置の一種として厨芥処理装置がある。厨芥処理装置としては、粉砕動作と連動させて水を供給し、供給水量不足による配水管詰まりを起こり難くするものが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。下記特許文献1では、単に粉砕動作と連動させて水を供給するのみでは、粉砕初期に多量の粉砕済厨芥が排出され、その後、粉砕済厨芥の排出量が急激に減少することに着目している。具体的には、このように粉砕初期に多量の粉砕済厨芥が排出される場合、粉砕初期に供給される水が少ないと配水管詰まりを起こしてしまうため、通常はこの配水管詰まりを起こさないように供給する水の量を多くしなければならないと考えられる。これに対して、そのようないわば無駄な水を使わずに配水管詰まりを起こさないことを目的とし、粉砕手段の駆動態様に工夫することで新たな厨芥処理装置を提案している。
【0003】
下記特許文献1において提案されている厨芥処理装置は、回転駆動されることによって未粉砕厨芥を粉砕する粉砕手段を備えるものであって、粉砕工程の進行に従って粉砕手段の回転数を増やすように構成したものである。このように構成することで、粉砕初期においては粉砕手段の回転数を抑えることで粉砕済厨芥の排出量を抑制し、配水管詰まりを防止するものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−260380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、未粉砕厨芥としては、柔らかいものや硬いもの、繊維質のものや非繊維質のものといったように、種々雑多なものが含まれる。そのため、低速で粉砕手段を駆動しても、柔らかいものが多く含まれている未粉砕厨芥の場合には粉砕初期に多量の粉砕済厨芥が排出されることになり、配水管詰まりのおそれがある。このような事態に対応するため、粉砕手段の回転数をより抑えて極低速で駆動することも想定されるけれども、未粉砕厨芥には柔らかいものと共に硬いものも多く含まれている場合もあり、あまりに粉砕手段の回転数を抑えれば硬い未粉砕厨芥を噛み込んでしまって、粉砕手段が停止してしまうことになる。
【0006】
一方で、粉砕済厨芥によって配水管詰まりを起こさないことのみに着目すれば、粉砕時の供給水量をより多くし、結果として粉砕済厨芥の濃度を下げて流動性を確保し、配水管詰まりを起こさないようにすることも考えられる。しかしながら、未粉砕厨芥の量は様々であって、未粉砕厨芥に含まれる柔らかいものや硬いものの比率を予め想定することも困難であり、粉砕初期に排出される粉砕済厨芥の量を予測することは極めて困難であるため、配水管詰まりを無くすことだけに着目すれば供給水量を非常に多くすることで対応しなければならない。このように従来の技術では、節水と配水管詰まりの防止とを両立させることはできなかったものである。また、このような従来技術が内包する課題は、固形物処理装置の一例としての厨芥処理装置に留まらず、大便を含む固形物を粉砕処理する圧送式トイレ装置においても同様なものである。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、排水口に設けられ、投入された未粉砕固形物を粉砕し、粉砕された粉砕済固形物を水と共に排出する給水型の固形物処理装置であって、節水と配水管詰まりの防止との両立を図ることが可能な固形物処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る固形物処理装置は、排水口に設けられ、投入された未粉砕固形物を粉砕し、粉砕された粉砕済固形物を水と共に排出する給水型の固形物処理装置であって、粉砕するための未粉砕固形物を投入する固形物投入口と、前記固形物投入口に連通し、投入された未粉砕固形物が貯留される第一貯留室と、回転駆動されることにより、前記第一貯留室内に貯留された未粉砕固形物を粉砕する粉砕手段と、前記第一貯留室の下方に位置すると共に前記第一貯留室と連通部を介して繋がっており、前記粉砕手段によって粉砕された粉砕済固形物を前記連通部を介して受け入れ一時的に貯留すると共に、貯留された粉砕済固形物を排出する排出口を有する第二貯留室と、前記第二貯留室に貯留された粉砕済固形物を前記排出口から排出させる排出手段と、前記粉砕手段と前記排出手段とを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記粉砕手段の回転駆動方向を正回転方向と逆回転方向とに切り替えて制御するものであり、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動し、当該回転駆動によって給水量を増やすことなく前記第一貯留室における水位を上昇させ、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段による未粉砕固形物の粉砕量を抑制するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明では、固形物投入口から投入され第一貯留室に貯留された未粉砕固形物を粉砕し、連通部を介して第二貯留室に送り込んで一時的に貯留する。従って、粉砕済固形物が生じたとしても、生じた粉砕済固形物を第二貯留室に一時的に貯留することで排水管の詰まり発生を防止することができる。更に本発明では、粉砕手段の回転駆動方向を逆回転方向に回転駆動し、この回転駆動によって給水量は増やさずに第一貯留室における水位を上昇させている。このような粉砕手段の逆回転方向への回転駆動を粉砕工程の初期段階において実行することで、未粉砕固形物の特に軽いものを浮き上がらせて粉砕手段から引き離すことが可能となり、粉砕手段による未粉砕固形物の粉砕量を抑制することができる。未粉砕固形物の比較的軽量なものは繊維質のものが多いことから、結果として未粉砕固形物を粉砕する初期段階において繊維質の未粉砕固形物を粉砕してしまうことを抑制することができ、配水管の詰まりをより確実に防止することができる。
【0010】
また本発明に係る固形物処理装置では、前記粉砕手段は、前記第一貯留室の下方外周に設けられた固定粉砕部と、回転駆動されることによって回転し前記固定粉砕部との間に未粉砕固形物を挟みこんで粉砕する回転粉砕部とを有することも好ましい。上述したように本発明では、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動することで、給水量を増やすことなく第一貯留室における水位を上昇させるものである。そのため、第一貯留室においては粉砕手段の回転によって生じる旋回エネルギーによって、第一貯留室内の水位は周辺が高くなる傾向にある。そこでこの好ましい態様によれば、第一貯留室の下方外周に固定粉砕部を設け、回転駆動する回転粉砕部との間に未粉砕固形物を挟みこんで粉砕するように構成することで、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した場合の水位上昇効果を、粉砕手段の実際に粉砕する部分においてより効果的に発揮させ、粉砕の初期段階において粉砕量の抑制効果を確実に高めることができる。
【0011】
また本発明に係る固形物処理装置では、前記制御手段は、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段の回転数を抑制することも好ましい。この好ましい態様によれば、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動することによる粉砕量の抑制効果と、粉砕手段の回転数を抑制することによる粉砕量の抑制効果との相乗効果を発揮させ、粉砕の初期段階において粉砕量の抑制効果を確実に高めることができる。
【0012】
また本発明に係る固形物処理装置では、前記制御手段は、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において、前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した後に正回転方向に回転駆動するものであって、前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動する回転速度を、前記粉砕手段を正回転方向に回転駆動する際の初期の回転速度よりも高くすることも好ましい。この好ましい態様では、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動する場合の回転速度を高めることで、上述したような第一貯留室における水位上昇効果をより高めることができ、粉砕の初期段階において粉砕量の抑制効果を確実に高めることができる。
【0013】
また本発明に係る固形物処理装置では、前記排出手段は、回転駆動されることにより、前記第二貯留室に貯留された粉砕済固形物を前記排出口から押し出して排出するものであって、回転方向によって粉砕済固形物の排出能力が異なるように構成されており、前記制御手段が前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した場合の前記排出手段の排出能力は、前記制御手段が前記粉砕手段を正回転方向に回転駆動した場合の前記排出手段の排出能力よりも低いことも好ましい。この好ましい態様によれば、粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した場合の排出手段の排出能力を低くすることで、第二貯留室から排出口を経由して排出するエネルギーを第二貯留室内に留保し、第一貯留室における水位上昇効果を高めることに振り分けることができる。従って、粉砕手段の回転駆動方向を変えるという簡単な構成で第一貯留室における水位上昇効果をより高めることができ、粉砕の初期段階において粉砕量の抑制効果を確実に高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、節水と配水管詰まりの防止との両立を図ることが可能な固形物処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明の実施形態に係る厨芥処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す厨芥処理装置の厨芥処理室を説明するための図である。
【図3】図1に示す厨芥処理装置の厨芥処理室及び一時貯留室を説明するための図である。
【図4】図1に示す厨芥処理装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】図4に示す動作を行わせた場合の厨芥処理室及び一時貯留室の状態を説明するための図である。
【図6】図4に示す動作を行わせた場合の厨芥処理室及び一時貯留室の状態を説明するための図である。
【図7】図1に示す厨芥処理装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】図7に示すタイミングチャートに対応するモータの駆動電流を示す図である。
【図9】図7に示す動作を行わせた場合の厨芥処理装置から排出される粉砕済厨芥の量を示す図である。
【図10】図1に示す厨芥処理装置における厨芥処理室の変形例を説明するための図である。
【図11】図1に示す厨芥処理装置における厨芥処理室及び一時貯留室の変形例を説明するための図である。
【図12】図10及び図11に示す変形例において図4に示す動作を行わせた場合の厨芥処理室及び一時貯留室の状態を説明するための図である。
【図13】図10及び図11に示す変形例において図4に示す動作を行わせた場合の厨芥処理室及び一時貯留室の状態を説明するための図である。
【図14】図12及び図13に示す状況の原理を説明するための図である。
【図15】本発明の実施形態である厨芥処理装置を大便等の固形物粉砕に応用した圧送式トイレ装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0017】
まず、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る厨芥処理装置(固形物処理装置)を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る厨芥処理装置、及びこれを設置したシンク全体を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る厨芥処理装置1は、厨芥を投入する厨芥投入口2が、シンク4の底面に開口するように設置される。また、シンク4の近傍には水栓6が設けられており、厨芥処理装置1によって厨芥を粉砕する際及び清掃する際に、この水栓6から洗浄水を供給することも可能なように構成されている。
【0019】
厨芥処理装置1は、厨芥投入口2を上方に形成した厨芥処理室8(第一貯留室)と、厨芥処理室8の下方に設けられた一時貯留室9(第二貯留室)と、厨芥処理室8と一時貯留室9とを仕切るように配置された回転板10と、この回転板10を回転駆動する駆動手段であるモータ12と、一時貯留室9に連通して設けられ、粉砕された厨芥を一時貯留室9から排水管(図示せず)に排出する厨芥排出部14(排出口)と、を有する。
【0020】
厨芥処理室8の下部の内壁面には固定刃16(粉砕手段、固定粉砕部)が取付けられている。さらに、回転板10の上面には、2つのスイングハンマー18(粉砕手段、回転粉砕部)がシャフト18aを中心に回転可能に取付けられている。回転板10の下面には、一時貯留室9内の洗浄水を攪拌する羽根20b(排出手段)が取付けられている。
【0021】
厨芥処理室8は、上方に円形の厨芥投入口2が開口した概ね円錐台状に形成されている。また、厨芥投入口2は、シンク4の排水口を兼ねており、シンク4内の水は厨芥投入口2から厨芥処理室8に入り、厨芥排出部14を介して排水管(図示せず)に排水されるように構成されている。更に、厨芥処理室8に自動給水可能なように給水管WF(水供給手段)が設けられている。給水管WFには、給水弁V1と水量センサS1が設けられている。給水弁V1はコントローラ22からの制御信号に応じて開閉するように構成されている。水量センサS1は検出した水量データをコントローラ22に出力する。
【0022】
回転板10は、厨芥処理室8と一時貯留室9との中間に水平に支持された金属製の円板である。さらに、回転板10は、その中心がモータ12の回転軸12aにネジ止めされており、モータ12によって回転駆動される。また、回転板10には、それを直角に貫通するように、2本のシャフト18aが取付けられている。シャフト18aは、回転板10の上面側において、金属製のスイングハンマー18を回転可能に支持している。スイングハンマー18は、概ね直方体のブロック状であり、一端にシャフト18aが通されている。また、スイングハンマー18の底面は平面であり、先端に向かって厚さが厚くなり、先端は回転板10の周縁とほぼ同一曲率の円弧状に形成されている。また、スイングハンマー18の長さは、スイングハンマー18が、回転板10の半径方向外方に向けられたとき、その先端が回転板10の周縁とほぼ一致するように設定されている。
【0023】
回転板10及び固定刃16を上方から見た状態を図2に示す。図2に示すように、厨芥処理室8の下部の内壁には、回転板10を囲繞するように、金属製の固定刃16が取付けられている。固定刃16には、円周方向に等間隔に多数の切抜き部16aが形成されている。投入された未粉砕厨芥は、固定刃16の各切抜き部16aのエッジと、スイングハンマー18の間に押し込まれることにより、厨芥処理室8内で粉砕される。そして、連通部としての切抜き部16aを通って一時貯留室9へと送り込まれる。
【0024】
図2に示すように、本実施形態においては、固定粉砕部として、厨芥処理室8(第一貯留室)を囲繞するように設けられた固定刃16が設けられ、回転粉砕部としてのスイングハンマー18は、一端側がシャフト18aによって貫通されており、他端側が固定粉砕部としての固定刃16に近接可能なように回動可能に支持されている。回転板10が回転され遠心力が作用すると未粉砕厨芥は固定刃16に向って移動する。そして、回転粉砕部としてのスイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定粉砕部としての固定刃16に押し付けることで粉砕する。従って、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は、回転板10の回転速度に応じて増減する。具体的には、回転板10の回転速度が低ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は弱くなるため、比較的柔らかい未粉砕厨芥が粉砕される。一方、回転板10の回転速度が高ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は強くなるため、比較的硬い未粉砕厨芥が粉砕される。
【0025】
また、厨芥排出部14は、厨芥処理室8の外周における接線方向に沿うように設けられている。回転板10を正回転方向D1に回転させると、厨芥排出部14が延びる方向に厨芥や水が排出され易くなり、回転板10を逆回転方向D2に回転させると厨芥や水が排出され難くなる。
【0026】
図3には、厨芥処理室8及び一時貯留室9の縦断面図を示す。図3は、図2の回転軸12a近傍における縦断面図である。図3に示すように、厨芥排出部14は、一時貯留室9の底面近傍に水平方向に向けて形成された円筒状の管路であり、その先端は排水管(図示せず)に接続されている。また、厨芥排出部14は、回転板10を回転させるモータ12の回転軸12aを中心とする円のほぼ接線方向に向くように形成されている。このため、回転軸12aが図2の矢印D2方向に回転されると、一時貯留室9内の洗浄水は羽根20bによって攪拌され、その厨芥排出部14からの排水が抑制される。これにより、洗浄水は一時貯留室9内に滞留されやすくなる。一方、回転軸12aが矢印D1方向に回転されると、洗浄水の厨芥排出部14からの排水が促進され、一時貯留室9内の洗浄水は速やかに排出される。
【0027】
図1に戻り、厨芥処理装置1は、制御手段であるコントローラ22を有し、コントローラ22は、厨芥投入口2に設けられた磁気検出素子24の検出信号に基づいて、モータ12を作動させるように構成されている。さらに、厨芥処理装置1は、所定の場合においてコントローラ22によって鳴動され、使用者に清掃時期の到来を報知する報知手段であるランプ25と、第一制御手段22aから第二制御手段22bへの制御移行を規制するスイッチ28と、を有する。
【0028】
コントローラ22は、磁気検出素子24の検出信号に基づいて、厨芥処理装置1の粉砕運転を実行するように構成されている。また、コントローラ22は、第一制御手段22aと第二制御手段22bとを有している。第一制御手段22a及び第二制御手段22bは、それぞれ異なる態様でモータ12を回転駆動するものである。第一制御手段22aと第二制御手段22bとは、それぞれが選択的に動作するように構成されている。第一制御手段22aと第二制御手段22bとは、モータ12に制御信号を出力してその回転方向と回転速度とを制御し、モータ12の駆動電流を検知する電流センサS2が検出した電流値データを取得するものである。尚、第一制御手段22a及び第二制御手段22bによる具体的な制御態様については後述する。コントローラ22は、具体的には、マイクロプロセッサ、メモリ及びそれに記憶されたプログラム(以上図示せず)等により構成される。
【0029】
続いて、厨芥処理装置1の駆動シーケンスの一例について、図4に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。図4に示すタイミングチャートにおいては、横軸に時間をとり、縦軸にはモータ12の回転数を示している。モータ12の回転は、r1が正回転(図2における矢印D1の方向)であって、r1’が逆回転(図2における矢印D2の方向)である。また、図4に示すシーケンスでは、第一制御手段22aによる制御のみが実行されている。尚、図4に示すシーケンスでは、モータ12の回転が正回転であっても逆回転であっても同じ回転数としているけれども、逆回転方向の回転速度を正回転方向の回転速度よりも高くすることも好ましいものである。そのようにすることで、粉砕工程初期の粉砕量をより効果的に低減することができる。
【0030】
時刻t1から時刻t2までは、回転数r1’でモータ12を駆動する。回転数r1’は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1’での回転は、逆回転(図2における矢印D2の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は低減されており、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が徐々に排出される。
【0031】
更に、本実施形態の場合、モータ12を逆回転させると、逆回転する回転板10に伴って回転する羽根20bの攪拌によって、厨芥処理室8における水位が上昇する。この状態を図5に示す。図5に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、外周部が特に高くなり、それにともなって水に浮くような未粉砕厨芥SMが固定刃16よりも上方に位置する。その結果、未粉砕厨芥SMが一度に粉砕されてしまい排出される事態を確実に回避できる。
【0032】
より具体的には、回転板10を回転させることによって、厨芥処理室8及び一時貯留室9に存在する水は回転エネルギーを受けて回転方向に向いた旋回流となる。本実施形態の場合、排出口14が回転軸12aから偏芯した位置に設けられており、一時貯留室9の壁面に対して接線方向に設けてあるので、排出口14が延びる方向に沿う回転とは逆の回転(逆回転(図2における矢印D2の方向)方向の回転)の場合には、一時貯留室9において旋回流は排出口14が延びる方向とは逆向きに発生するため、排水のために旋回流方向の運動はほとんど作用せず遠心力のみが作用するので、排出効率が略半減する。結果として、一時貯留室9に水が溜まり、厨芥処理室8から一時貯留室9へ排水ができない分に見合った水位が上昇する。厨芥処理室8ではスイングハンマー18が旋回しているため、厨芥処理室8の水も旋回のエネルギーを受けて旋回し、その水面WLは放物線状になり、厨芥処理室8の壁面側ではより水位が上昇し、中央側では水位が下がるようになる。未粉砕厨芥SMは水が媒体となって回転板10等の遠心力によって厨芥処理室8下方外周にある固定刃16に向うけれども、周辺部では水位が高くなっているため、周辺部に移動した未粉砕厨芥SMが固定刃16に当たる機会は少なくなり、結果として粉砕量が抑制される。
【0033】
図4に戻り、時刻t2から時刻t3までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t2から時刻t3においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0034】
時刻t3から時刻t4までは、回転数r1でモータ12を駆動する。回転数r1は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。回転数r1での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、逆回転に比較すれば水位は低い状態となる。
【0035】
更に、本実施形態の場合、モータ12を正回転させると、正回転する回転板10に伴って回転する羽根20bの攪拌によって、厨芥処理室8における水位が下降し、通常の状態に戻る。この状態を図6に示す。図6に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、略水平となって未粉砕厨芥SMは固定刃16に当たる位置まで降りてくる。その結果、逆回転においては粉砕されなかった未粉砕厨芥SMが粉砕され、一時貯留室9へと送り込まれる。
【0036】
より具体的には、回転板10を回転させることによって、厨芥処理室8及び一時貯留室9に存在する水は回転エネルギーを受けて回転方向に向いた旋回流となる。本実施形態の場合、排出口14が回転軸12aから偏芯した位置に設けられており、一時貯留室9の壁面に対して接線方向に設けてあるので、排出口14が延びる方向に沿う回転(正回転(図2における矢印D1の方向)方向の回転)の場合には、一時貯留室9内の遠心力と、排出口14が延びる方向に沿った旋回運動との両方の作用によって排出量は多くなる。結果として、厨芥処理室8から一時貯留室9への排水の移動はスムーズであり、したがって厨芥処理室8に水は溜まらないので水位は上がらない。
【0037】
続いて、厨芥処理装置1の駆動シーケンスの別例について、図7に示すタイミングチャートを参照しながら説明する。図7に示すタイミングチャートにおいては、横軸に時間をとり、縦軸にはモータ12の回転数を示している。モータ12の回転は、r1,r2,r3,r4,r5が正回転(図2における矢印D1の方向)であって、r1’,r2’,r5’が逆回転(図2における矢印D2の方向)である。また、時刻t1から時刻t11までは第一制御手段22aによる制御が実行され、時刻t11から時刻t12までは第二制御手段22bによる制御が実行され、時刻t12から時刻t17まではコントローラ22による制御が実行されるものとしている。
【0038】
時刻t1から時刻t2までは、回転数r1’でモータ12を駆動する。回転数r1’は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1’での回転は、逆回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は低減されており、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が徐々に排出される。
【0039】
更に、本実施形態の場合、モータ12を逆回転させると、逆回転する回転板10に伴って回転する羽根20bの攪拌によって、厨芥処理室8における水位が上昇する。この状態は既に説明した図5に示す状態である。図5に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、外周部が特に高くなり、それにともなって水に浮くような未粉砕厨芥SMが固定刃16よりも上方に位置する。その結果、未粉砕厨芥SMが一度に粉砕されてしまい排出される事態を確実に回避できる。
【0040】
図7に戻り、時刻t2から時刻t3までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t2から時刻t3においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0041】
時刻t3から時刻t4までは、回転数r1でモータ12を駆動する。回転数r1は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。時刻t1から時刻t4までは、低速駆動モードでの運転となっている。
【0042】
更に、本実施形態の場合、モータ12を正回転させると、正回転する回転板10に伴って回転する羽根20bの攪拌によって、厨芥処理室8における水位が下降し、通常の状態に戻る。この状態は既に説明した図6に示す状態である。図6に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、略水平となって未粉砕厨芥SMは固定刃16に当たる位置まで降りてくる。その結果、逆回転においては粉砕されなかった未粉砕厨芥SMが粉砕され、一時貯留室9へと送り込まれる。
【0043】
図7に戻り、時刻t4からt5までは、回転数r2でモータ12を駆動する。回転数r2は、やや粉砕しにくい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、やや粉砕しにくいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r2での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0044】
時刻t5から時刻t6までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t5から時刻t6においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。時刻t5から時刻t6において、一時貯留室9に水が溜められて粉砕済厨芥の濃度が下がって流動性が増すので、次のモータ12の駆動によって効果的に粉砕済厨芥が排出される。
【0045】
時刻t6から時刻t7までは、回転数r2でモータ12を駆動する。回転数r2は、やや粉砕しにくい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、やや粉砕しにくいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r2での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0046】
時刻t6から時刻t7においては、未粉砕厨芥の有無を判定している。未粉砕厨芥の有無は、モータ12の駆動電流の変化態様に基づいて判断される。モータ12の駆動電流の振れ幅が大きければ未粉砕厨芥がまだ存在し、モータ12の駆動電流の振れ幅が小さくなれば未粉砕厨芥が存在しないと判断する。
【0047】
モータ12の駆動電流の一例を図8に示す。図8に示す例においては、時刻t6から時刻t7の間の領域AR1ではモータ12の駆動電流の振れ幅が大きく、未粉砕厨芥はまだ存在しているものと想定される。一方、時刻t10から時刻t13の間の領域AR2ではモータ12の駆動電流の振れ幅が小さく、未粉砕厨芥が無くなったものと想定される。従って、もしも時刻t6から時刻t7において領域AR2のような振れ幅となった場合には、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断する。時刻t6から時刻t7において、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断されれば、第一制御手段22aによる残りの制御(時刻t7〜時刻t11)と第二制御手段22bによる制御(時刻t11〜時刻t12)を飛ばして、時刻t12からの制御を実行する。
【0048】
図7に戻り、時刻t7から時刻t8までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t7から時刻t8においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0049】
時刻t8から時刻t9までは、回転数r2’でモータ12を駆動する。回転数r2’は、やや粉砕しにくい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、やや粉砕しにくいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r2’での回転は、逆回転(図2における矢印D2の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は低減されており、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が徐々に排出される。時刻t8から時刻t9までの運転によって、引っかかった繊維状の粉砕済厨芥が排出される。
【0050】
時刻t9から時刻t10までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t9から時刻t10においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0051】
時刻t10から時刻t11までは、回転数r3でモータ12を駆動する。回転数r3は、粉砕されにくい繊維質の未粉砕厨芥を絡ませずに排出するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕されて残った繊維質のものが一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r3での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0052】
時刻t10から時刻t11においては、未粉砕厨芥の有無を判定している。未粉砕厨芥の有無は、モータ12の駆動電流の変化態様に基づいて判断される。モータ12の駆動電流の振れ幅が大きければ未粉砕厨芥がまだ存在し、モータ12の駆動電流の振れ幅が小さくなれば未粉砕厨芥が存在しないと判断する。
【0053】
図8に示す例においては、時刻t6から時刻t7の間の領域AR1ではモータ12の駆動電流の振れ幅が大きく、未粉砕厨芥はまだ存在しているものと想定される。一方、時刻t10から時刻t13の間の領域AR2ではモータ12の駆動電流の振れ幅が小さく、未粉砕厨芥が無くなったものと想定される。従って、もしも時刻t10から時刻t13のある段階において領域AR2のような振れ幅となった場合には、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断する。時刻t10から時刻t11において、未粉砕厨芥が存在しなくなったと判断されれば、第一制御手段22aによる残りの制御(〜時刻t11)を飛ばして、第二制御手段22bによる制御(時刻t11〜時刻t12)に移行する。尚、未粉砕厨芥が存在していると判断した場合には、継続的に未粉砕厨芥の存在有無の判定を繰り返す。
【0054】
図7に戻り、時刻t11から時刻t12までは、回転数r4でモータ12を駆動する。回転数r4は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r3での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0055】
時刻t12から時刻t13までは、回転数r5でモータ12を駆動する。回転数r5は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものや粉砕し難い形状(球体)のものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r5での回転は、正回転(図2における矢印D1の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0056】
時刻t13から時刻t14までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t13から時刻t14においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0057】
時刻t14から時刻t15までは、回転数r5’でモータ12を駆動する。回転数r5’は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものや粉砕し難い形状(球体)のものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r5’での回転は、逆回転(図2における矢印D2の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量はやや多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0058】
時刻t15から時刻t16までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t15から時刻t16においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0059】
時刻t16から時刻t17までは、回転数r5でモータ12を駆動する。回転数r5は、粉砕しにくい硬い未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、粉砕しにくい硬いものや粉砕し難い形状(球体)のものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r5での回転は、正回転(図1における矢印D1の方向)且つ高速回転なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は多い状態であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0060】
上述したような制御を実行することで、時間の経過に対して排出される粉砕済厨芥の量は、図9のL1に示すように平準化される。一方、従来のように最初から同じような回転数でモータ12を制御すれば、L3のように初期段階で多くの粉砕済厨芥が排出されてしまう。また、排出手段に特段の工夫をしなければ、モータ12の回転数を落としてもL2程度の粉砕済厨芥の排出量低減しかできないものである。従って、本実施形態のような厨芥処理装置1を用いて、上述のような制御を実行することで、L1に示すように粉砕済厨芥の排出量を確実に平準化することができる。
【0061】
尚、本実施形態では、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されているものとしたけれども、水の供給量を変動させたとしても、その変動量を水量センサS1によって検知し、コントローラ22が第一制御手段22aから第二制御手段22bへの移行判断において、その水量を勘案して未粉砕厨芥の有無の判定に反映させることも好ましい。
【0062】
続いて、回転板10を正回転方向に回転駆動した場合と逆回転方向に回転駆動した場合とで、厨芥処理室8の水位を変動させる変形例について図10を参照しながら説明する。図10は、上述した本実施形態の図2に相当する図である。
【0063】
図10に示すように、固定粉砕部として、厨芥処理室8(第一貯留室)を囲繞するように設けられた固定刃16が設けられ、回転粉砕部としてのスイングハンマー18は、一端側がシャフト18aによって貫通されており、他端側が固定粉砕部としての固定刃16に近接可能なように回動可能に支持されている。回転板101が回転され遠心力が作用すると未粉砕厨芥は固定刃16に向って移動する。そして、回転粉砕部としてのスイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定粉砕部としての固定刃16に押し付けることで粉砕する。従って、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は、回転板101の回転速度に応じて増減する。具体的には、回転板101の回転速度が低ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は弱くなるため、比較的柔らかい未粉砕厨芥が粉砕される。一方、回転板101の回転速度が高ければ、スイングハンマー18が未粉砕厨芥を固定刃16に押し付ける力は強くなるため、比較的硬い未粉砕厨芥が粉砕される。
【0064】
また、厨芥排出部141は、回転軸12aから半径方向に沿って伸びており、回転板101の回転方向によっては厨芥や水の排出量が変化しないように構成されている。この変形例の場合、回転板101には邪魔板50と邪魔板51とが配置されている。邪魔板50は回転板101の厨芥処理室8側に取り付けられており、邪魔板51は回転板101の一時貯留室9側に取り付けられている。スイングハンマー18は、回転軸12aを挟んで一対設けられており、邪魔板50,51も回転軸12aを挟んで一対設けられている。
【0065】
図11には、邪魔板50,51を設けた場合の厨芥処理室8及び一時貯留室9の縦断面図を示す。図11は、図10の回転軸12a近傍における縦断面図である。図11に示すように、厨芥排出部141は、一時貯留室9の底面近傍に水平方向に向けて形成された円筒状の管路であり、その先端は排水管(図示せず)に接続されている。また、厨芥排出部141は、回転板101を回転させるモータ12の回転軸12aを中心とする円のほぼ半径方向に向くように形成されている。
【0066】
図11に示すように、邪魔板50と邪魔板51との間の回転板101には、開口部101aが形成されている。邪魔板50は、その一部が回転板101に沿って固定され、残部が開口部101aを跨いで徐々に回転板101から離れるように斜めに形成されている。邪魔板51も同様に、その一部が回転板101に沿って固定され、残部が開口部101aを跨いで徐々に回転板101から離れるように斜めに形成されている。図11に示すように側方から見た場合、邪魔板50と邪魔板51とは開口部101aを挟んで対象な形態を成すように配置されている。
【0067】
続いて、図10及び図11に示す変形例において、図4に示すタイミングチャートに沿ってモータ12を回転させた場合の状態について説明する。
【0068】
時刻t1から時刻t2までは、回転数r1’でモータ12を駆動する。回転数r1’での回転は、逆回転(図10における矢印D2の方向)なので、逆回転する回転板101に伴って回転する邪魔板50,51の作用によって、厨芥処理室8における水位が上昇する。この状態を図12に示す。図12に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、外周部が特に高くなり、それにともなって水に浮くような未粉砕厨芥SMが固定刃16よりも上方に位置する。その結果、未粉砕厨芥SMが一度に粉砕されてしまい排出される事態を確実に回避できる。
【0069】
より具体的には、回転板101を回転させることによって、邪魔板50,51の作用により開口部101aの近傍において局所的に圧力バランスを崩すように構成している。回転板101を逆回転させると、回転板101の厨芥処理室8側に設けた邪魔板50は開口部101aよりも上流側に位置することで、開口部101a側が負圧になり、開口部101aと反対側は正圧になる。また、回転板101の一時貯留室9側に設けた邪魔板51は開口部101aよりも下流側に位置することで、開口部101a側が正圧になり、開口部101aと反対側は負圧になる。従って、開口部101aを通して一時貯留室9から厨芥処理室8に向けて水がくみ上げられるように作用する(図14参照)。
【0070】
時刻t2から時刻t3までは、モータ12の駆動を停止する。モータ12の駆動が停止されている時刻t2から時刻t3においても、水は一定の流量(例えば、6L/min)で供給されている。従って、一時貯留室9に水が溜められている状態である。
【0071】
時刻t3から時刻t4までは、回転数r1でモータ12を駆動する。回転数r1は、柔らかい未粉砕厨芥を粉砕するのに適した回転数であるので、厨芥処理室8に投入された未粉砕厨芥の内、比較的柔らかいものが粉砕されて、一時貯留室9へと送り込まれる。回転数r1での回転は、正回転(図10における矢印D1の方向)なので、一時貯留室9から排出される粉砕済厨芥の排出量は通常の状態(逆回転に比較すれば排出量が高い状態)であり、一時貯留室9へと送り込まれた粉砕済厨芥が排出される。
【0072】
更に、本実施形態の場合、モータ12を正回転させると、正回転する回転板101に伴って回転する邪魔板50,51の作用によって、厨芥処理室8における水位が下降し、通常の状態に戻る。この状態を図13に示す。図13に示すように、厨芥処理室8における水面WLは、略水平となって未粉砕厨芥SMは固定刃16に当たる位置まで降りてくる。その結果、逆回転においては粉砕されなかった未粉砕厨芥SMが粉砕され、一時貯留室9へと送り込まれる。
【0073】
尚、上述した本発明の実施形態では、固形物処理装置の一例として厨芥処理装置について説明したけれども、本発明の固形物処理装置の具体例はこれに限られるものではない。図15に、本発明の実施形態である厨芥処理装置を大便等の固形物粉砕に応用した圧送式トイレ装置の構成を示す。
【0074】
図15に示されるように、圧送式トイレ装置61は、便器本体62と、この便器本体62に給水する給水装置64とを備え、この給水装置64の便器給水路64aを経て便器本体62へ給水される水量等は制御装置66によって制御されるようになっている。
【0075】
例えば、便器本体62の着座検知用センサー(図示せず)等が使用者の着座を検知したり、使用者がリモコン(図示せず)等に設けられた給水指令用の給水スイッチ(図示せず)をオンにすると、制御装置66が、これらの着座検知用センサー(図示せず)の検知情報やリモコンスイッチ(図示せず)等からの指令に基づいて給水装置64に給水指令し、給水装置64から便器本体62内へ所定時間給水が行われ、便器本体62内に所定量の水が溜まるようになっている。さらに、使用者がトイレ使用後、便器本体62を洗浄するための洗浄スイッチ(図示せず)をオンにすると、便器本体62の便器洗浄工程が開始し、給水装置64から便器本体62に洗浄用の給水がなされて、便器本体62が洗浄されるようになっている。
【0076】
また、便器本体62の外部には固形物粉砕圧送装置68が設けられており、この固形物粉砕圧送装置68は、便器本体62の排出口62aに連結された貯留槽70を備えている。この便器本体62の排出口62aにはフラップ弁69が設けられ、このフラップ弁69は、便器洗浄の前までは排出口62aを閉鎖している。さらに、このフラップ弁69は、便器本体62の洗浄が行われて便器本体62内の汚水を貯留槽70に排出する際には、制御装置66からの指令によって、排出口62aを所定時間開放して便器本体62内の汚水を排出した後、閉鎖するようになっている。
【0077】
さらに、貯留槽70内には、便器本体62の排出口62aから貯留槽70に排出された汚水中の汚物やトイレットペーパ等の固形物71を粉砕する粉砕部72と、この粉砕部72の下部には、貯留槽70内の汚水を外部へ強制的に圧送するポンプ74が設けられている。
【0078】
また、粉砕部72は、複数の孔76を有するスクリーン78によって形成された粉砕室80を備え、便器本体62の排出口62aから貯留槽70内に排出される汚水は、まず粉砕室80に一旦収容されるようになっている。この粉砕室80内の汚水については、スクリーン78の孔76の大きさよりも大きい固形物71は孔76を通過できずに粉砕室80内に捕捉され、水分やスクリーン78の孔76の大きさよりも小さい固形物は、孔76を通過して粉砕室80から貯留槽70へ流れるようになっている。
【0079】
さらに、粉砕室80とポンプ74とを仕切るように、回転板10が設けられている。回転板10には、粉砕室80側にスイングハンマー18が設けられる一方で、ポンプ74側には羽根20bが設けられている。この回転板10が回転することでスイングハンマー18も回転し、粉砕室80内に捕捉された固形物71が粉砕されるようになっている。回転板10の回転軸の上端には、この回転軸を正逆転可能に駆動する粉砕圧送用モータ88が取り付けられている。この粉砕圧送用モータ88の駆動は、制御装置66によって可変に制御されるようになっており、同一の回転板10に取り付けられているスイングハンマー18と羽根20bの回転数は、互いに連動して制御されるようになっている。
【0080】
また、貯留槽70内には、貯留槽70内の水位を検出する水位センサ90が設けられており、この水位センサ90が検出した水位に基づいて、制御装置66が粉砕圧送用モータ88の駆動の制御を行ったり、給水装置64の便器給水路64aや追加給水手段である粉砕部給水路64bの開閉や切替えの制御を行ったり、フラップ弁69の駆動の制御を行ったりするようになっている。
【0081】
さらに、ポンプ吐出口74bには圧送路92が接続され、貯留槽70内から圧送された汚水がこの圧送路92内を通過するようになっている。また、圧送路92には、圧送抑制手段として電動ボール弁94が設けられている。この電動ボール弁94は、水位センサ90の水位情報に基づく制御装置66からの指令に応じて開閉し、特に、粉砕時にポンプ74からの圧送される汚水量を抑制して貯留槽70内の水位低下を抑制するようになっている。
【0082】
また、上述した給水装置64については、粉砕部72に追加給水する追加給水手段である粉砕部給水路64bが設けられている、この給水装置64及び粉砕部給水路64bは、水位センサ90の水位情報に基づく制御装置66からの指令により、固形物の粉砕時に粉砕部72の水位がスイングハンマー18の上端の水位よりも常に高くなるように粉砕部72に追加給水するようになっている。この粉砕部給水路64bにより、フラップ弁69を開くことなく追加給水可能になるため、追加給水して水位をスイングハンマー18の上端よりも高く、さらには便器排出口62a下端以上に高くする際、便器本体62側への汚水逆流をなくし、フラップ弁69が汚物などの固形物71を噛み込む危険性を低減できる。また、動作シーケンスの全体を通じて、フラップ弁69の開閉動作を減らせるため、効率的で、使用者に違和感を与えない。
【0083】
圧送式トイレ装置61では、上述した給水装置64に粉砕部給水路64bを設ける代わりに、給水装置64とは別体となる追加給水装置(図示せず)を独立に設け、便器本体62の使用中でも追加給水装置(図示せず)から粉砕部72に追加給水できるようにしてもよい。また、粉砕部給水路64bの粉砕部72への給水口(図示せず)については、その形状や配置を工夫することにより、粉砕部給水路64bの給水口(図示せず) から貯留槽70内へ噴霧洗浄ができるようにしてもよい。
【0084】
さらに、圧送式トイレ装置61は粉砕完了検知装置96を備え、この粉砕完了検知装置96により、粉砕部72のスイングハンマー18による固形物71の粉砕が完了したことを検知するようになっている。具体的には、この粉砕完了検知装置96が、粉砕圧送用モータ88あるいはスイングハンマー18のトルクや回転抵抗等を検出し、これらの検出した値の程度によって粉砕状況を判断して、状況に応じて制御装置66により粉砕圧送用モータ88を制御したり、粉砕部給水路64bからの粉砕部72への追加給水を制御するようになっている。尚、詳細な追加説明は省略するけれども、この圧送式トイレ装置61に組み込まれたスイングハンマー18や羽根20bを機能させるために、上述した厨芥処理装置1における制御を適用することは適宜なされるべきものである。また、スイングハンマー18の周囲に固定刃16や切抜き部16aを設けることも、必要に応じて適宜なされることが好ましいものである。いずれにしても、大便を含む固形物を処理して排出するために適切な変形がなされることは好ましい態様である。
【符号の説明】
【0085】
1:厨芥処理装置
2:厨芥投入口
4:シンク
6:水栓
8:厨芥処理室
9:一時貯留室
10:回転板
12:モータ
12a:回転軸
14:厨芥排出部
16:固定刃
16a:切抜き部
18:スイングハンマー
18a:シャフト
20b:羽根
22:コントローラ
22a:第一制御手段
22b:第二制御手段
24:磁気検出素子
25:ランプ
28:スイッチ
101:回転板
141:厨芥排出部
S1:水量センサ
S2:電流センサ
V1:給水弁
WF:給水管
WL:水面
SM:未粉砕厨芥
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口に設けられ、投入された未粉砕固形物を粉砕し、粉砕された粉砕済固形物を水と共に排出する給水型の固形物処理装置であって、
粉砕するための未粉砕固形物を投入する固形物投入口と、
前記固形物投入口に連通し、投入された未粉砕固形物が貯留される第一貯留室と、
回転駆動されることにより、前記第一貯留室内に貯留された未粉砕固形物を粉砕する粉砕手段と、
前記第一貯留室の下方に位置すると共に前記第一貯留室と連通部を介して繋がっており、前記粉砕手段によって粉砕された粉砕済固形物を前記連通部を介して受け入れ一時的に貯留すると共に、貯留された粉砕済固形物を排出する排出口を有する第二貯留室と、
前記第二貯留室に貯留された粉砕済固形物を前記排出口から排出させる排出手段と、
前記粉砕手段と前記排出手段とを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記粉砕手段の回転駆動方向を正回転方向と逆回転方向とに切り替えて制御するものであり、
未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動し、当該回転駆動によって給水量を増やすことなく前記第一貯留室における水位を上昇させ、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段による未粉砕固形物の粉砕量を抑制するように構成されていることを特徴とする固形物処理装置。
【請求項2】
前記粉砕手段は、前記第一貯留室の下方外周に設けられた固定粉砕部と、回転駆動されることによって回転し前記固定粉砕部との間に未粉砕固形物を挟みこんで粉砕する回転粉砕部とを有することを特徴とする請求項1に記載の固形物処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段の回転数を抑制することを特徴とする請求項1に記載の固形物処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において、前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した後に正回転方向に回転駆動するものであって、
前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動する回転速度を、前記粉砕手段を正回転方向に回転駆動する際の初期の回転速度よりも高くすることを特徴とする請求項1に記載の固形物処理装置。
【請求項5】
前記排出手段は、回転駆動されることにより、前記第二貯留室に貯留された粉砕済固形物を前記排出口から押し出して排出するものであって、回転方向によって粉砕済固形物の排出能力が異なるように構成されており、
前記制御手段が前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した場合の前記排出手段の排出能力は、前記制御手段が前記粉砕手段を正回転方向に回転駆動した場合の前記排出手段の排出能力よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の固形物処理装置。
【請求項1】
排水口に設けられ、投入された未粉砕固形物を粉砕し、粉砕された粉砕済固形物を水と共に排出する給水型の固形物処理装置であって、
粉砕するための未粉砕固形物を投入する固形物投入口と、
前記固形物投入口に連通し、投入された未粉砕固形物が貯留される第一貯留室と、
回転駆動されることにより、前記第一貯留室内に貯留された未粉砕固形物を粉砕する粉砕手段と、
前記第一貯留室の下方に位置すると共に前記第一貯留室と連通部を介して繋がっており、前記粉砕手段によって粉砕された粉砕済固形物を前記連通部を介して受け入れ一時的に貯留すると共に、貯留された粉砕済固形物を排出する排出口を有する第二貯留室と、
前記第二貯留室に貯留された粉砕済固形物を前記排出口から排出させる排出手段と、
前記粉砕手段と前記排出手段とを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記粉砕手段の回転駆動方向を正回転方向と逆回転方向とに切り替えて制御するものであり、
未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動し、当該回転駆動によって給水量を増やすことなく前記第一貯留室における水位を上昇させ、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段による未粉砕固形物の粉砕量を抑制するように構成されていることを特徴とする固形物処理装置。
【請求項2】
前記粉砕手段は、前記第一貯留室の下方外周に設けられた固定粉砕部と、回転駆動されることによって回転し前記固定粉砕部との間に未粉砕固形物を挟みこんで粉砕する回転粉砕部とを有することを特徴とする請求項1に記載の固形物処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において前記粉砕手段の回転数を抑制することを特徴とする請求項1に記載の固形物処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、未粉砕固形物を粉砕する初期段階において、前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した後に正回転方向に回転駆動するものであって、
前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動する回転速度を、前記粉砕手段を正回転方向に回転駆動する際の初期の回転速度よりも高くすることを特徴とする請求項1に記載の固形物処理装置。
【請求項5】
前記排出手段は、回転駆動されることにより、前記第二貯留室に貯留された粉砕済固形物を前記排出口から押し出して排出するものであって、回転方向によって粉砕済固形物の排出能力が異なるように構成されており、
前記制御手段が前記粉砕手段を逆回転方向に回転駆動した場合の前記排出手段の排出能力は、前記制御手段が前記粉砕手段を正回転方向に回転駆動した場合の前記排出手段の排出能力よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の固形物処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−88129(P2011−88129A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159778(P2010−159778)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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