説明

固液分離装置

【課題】所用コストが安価でしかも騒音を発生させることのない固液分離装置を提供する。
【解決手段】固液分離装置10を、無端環状の細幅のスクリーンベルト14を幅方向に隙間16を隔てて複数連設して成り、隙間16を通じて排水を通過させ固形分を濾過する濾過スクリーン12と、スクリーンベルト14に一体に設けられ、固形分を搬送する複数の突部34とを含んで構成する。またそのスクリーンベルト14として長ベルト14Aと短ベルト14Bとを設けてそれらを交互にベルト幅方向に並べ、そして短ベルト14Bについては一対の主プーリ18,18間に巻き掛ける一方、長ベルト14Aについてはそれら一対の主プーリ18,18と緩み防止用のアイドラプーリ20とに巻き掛けておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばキッチンから排出された生ごみの破砕物と排水との分離用に用いて好適な固液分離装置、特にベルトスクリーン式の固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排水から固形分を濾し取って固液分離する装置として図7に示すようなものが公知である。
図7において、200は濾過により固液分離する濾過スクリーンで、固定状態に設けられた細幅の合成樹脂性のスクリーンバー202を、各スクリーンバー202の間に隙間を形成する状態で幅方向に複数連設して構成してある。
この濾過スクリーン200は、スクリーンバー202と202との間の隙間を通じて排水を下方に通過させることで、固形分を濾過スクリーン200上に濾し取って固液分離する。
【0003】
この固液分離装置においては、スクリーンバー202と202との間の隙間に金属片(ステンレス片)から成る薄片状の突部204が嵌入されて、それらが濾過スクリーン200の濾過面上に突出させられており、そしてそれら複数の突部204が一斉に図中右方向(上方向)に移動することで、濾過スクリーン200の濾過面上の固形分を搬送して除去するようになっている。
ここで各突部204は、無端環状の搬送チェーンに固設されていて、搬送チェーンの回転移動によりそれぞれが同期して一斉に図中右方向に回転移動させられる。
また搬送チェーンは所定距離離隔して配設されたスプロケットに巻き掛けられ、そのスプロケットがモータにて回転駆動されることで無端環状に回転移動させられる。
この種固液分離装置は例えば下記特許文献1,特許文献2に開示されている。
【0004】
この固液分離装置において、スクリーンバー202と202との間の隙間は1mmにも満たない程度の狭いものであり、従って突部204もその隙間に対応した薄いものである。
従来の固液分離装置において、かかる突部204として金属製且つステンレス製のものを用いているのは、そのような薄い突部204に所用の強度を持たせ、またこれを錆びを発生させないものとする必要があるからである。
その結果として、従来の固液分離装置はそれら突部204に要するコストが高く、また突部204と複数のスクリーンバー202とが別々の部品となることから装置の所用部品点数が多くなり、加えて複数の突部204を回転移動させるためのチェーン駆動装置に要するコストも高く、全体としての装置の所用コストが高くなってしまう問題がある。
【0005】
また複数の突部204を回転移動させるためのチェーン駆動装置が、駆動に際して騒音を発生するといった問題も生じていた。
その他この固液分離装置の場合、スクリーンバー202と202との間の狭い隙間を薄片状の突部204が走行し、それらスクリーンバー202に対して摺動運動することから、スクリーンバー202が次第に摩耗し、場合によって隙間が拡大するといった問題を生じていた。
【0006】
【特許文献1】特公平5−57366号公報
【特許文献2】特開2004−33983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような事情を背景とし、所用コストが安価でしかも騒音を発生させることの無い固液分離装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して請求項1のものは、(イ)無端環状の細幅のスクリーンベルトを幅方向に隙間を隔てて複数連設して構成され、該隙間を通じて排水を通過させ固形分を濾過する濾過スクリーンと、(ロ)前記スクリーンベルトを回転駆動する駆動手段と、(ハ)該スクリーンベルトの搬送面上に突出する形態で該スクリーンベルトに一体に設けられ、固形分を該スクリーンベルトの回転移動に伴って搬送する、前記濾過スクリーンの幅方向に配列した複数の突部と、を有し、且つ前記スクリーンベルトとして長ベルトと短ベルトとを有していてそれらが交互にベルト幅方向に並べられ、該短ベルトが一対の主プーリ間に巻き掛けられる一方、該長ベルトがそれら一対の主プーリと緩み防止用の補助プーリとに巻き掛けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2のものは、請求項1において、前記長ベルトの長さが、搬送側において前記突部のそれぞれが設定された一定の配列状態を維持する長さに選定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3のものは、(イ)無端環状の細幅のスクリーンベルトを幅方向に隙間を隔てて複数連設して構成され、該隙間を通じて排水を通過させ固形分を濾過する濾過スクリーンと、(ロ)前記スクリーンベルトを回転駆動する駆動手段と、(ハ)該スクリーンベルトの搬送面上に突出する形態で該スクリーンベルトに一体に設けられ、固形分を該スクリーンベルトの回転移動に伴って搬送する、前記濾過スクリーンの幅方向に配列した複数の突部と、(ニ)固定状態に設けられ、前記スクリーンベルトの間の隙間に嵌入する、前記濾過スクリーンの幅方向に配列した複数の掃除用の櫛片と、を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項4のものは、(イ)無端環状をなして回転移動する細幅のスクリーンベルトと、位置固定の細幅のスクリーンバーとをそれぞれ幅方向に交互に並べて成り、それらスクリーンベルトとスクリーンバーとの間の隙間を通じて排水を通過させ固形分を濾過する濾過スクリーンと、(ロ)前記スクリーンベルトを回転駆動する駆動手段と、(ハ)該スクリーンベルトの搬送面上に突出する形態で該スクリーンベルトに一体に設けられ、固形分を該スクリーンベルトの回転移動に伴って搬送する、前記濾過スクリーンの幅方向に配列した複数の突部と、を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記濾過スクリーンの搬送方向の後端部且つ上面から、固形分と排水とを含む被処理物の投入室を形成する縦の堰止壁が立ち上がっており、該堰止壁は下端部が上下に変位可能とされていて、該下端部を上下に変位させつつ前記突部が該堰止壁を乗り越えて搬送方向前方に進行するものとなしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0013】
以上のように本発明は、無端環状の細幅のスクリーンベルトを幅方向に隙間を隔てて複数連設して、固形分を排水から濾過する濾過スクリーンを構成するとともに、そのスクリーンベルトの搬送面上に固形分をスクリーンベルトの回転移動に伴って搬送する突部をスクリーンベルトと一体に設けたもので、本発明によれば、突部がスクリーンベルトと一体の部品を成しているため、かかる突部が濾過スクリーンを構成する複数の細幅のスクリーン部材(スクリーンバー)と別体を成す従来の固液分離装置に比べて部品点数を少なくでき、しかも本発明の固液分離装置における突部は細幅のスクリーン部材とスクリーン部材との間の狭い隙間を走行するものではないため、かかる突部自体に要するコストも安価となすことができる。
【0014】
更に加えて、本発明ではスクリーン部材としてベルトを用いており、かかるベルトはプーリに巻き掛けてプーリの回転により無端環状に回転移動させ得るため、スクリーンベルトの駆動装置に要するコストも安価となし得るのに加えて、プーリによる駆動ではチェーンによる駆動に比べて騒音も生じず、静粛に装置を稼動することができる利点が得られる。
【0015】
ところで、従来の固液分離装置においてスクリーンバーとスクリーンバーとの間の隙間を走行する薄片状の突部は、同時にその隙間に固形分が詰って目詰まりを起すのを防止する掃除用の部材としての働きも備えている。
従ってこのような隙間を走行する突部が無いと、スクリーンベルトとスクリーンベルトとの間の隙間に固形分が入り込んで目詰まりを起す恐れが生ずる。
【0016】
ここにおいて本発明では、スクリーンベルトとして長ベルトと短ベルトとを用いて、それらをベルト幅方向に交互に並べて濾過スクリーンを構成し、そして短ベルトについては一対の主プーリ間に巻き掛ける一方、長ベルトについてはそれら一対の主プーリと緩み防止用の補助プーリとに巻き掛けて装置を構成しており、このことによってスクリーンベルトとスクリーンベルトとの間の隙間に沿って掃除用の部材を走行させなくても、それらの間の隙間に目詰まりが生じるのを効果的に防止することができる。
【0017】
詳しくは、長ベルトと短ベルトとは搬送方向前端のプーリを通過した時点で互いに離れ離れとなり、その時点で隣接する長ベルトと短ベルトとの間の隙間は強制的に大きく開かれることとなって、それら隣接する長ベルトと短ベルトとの間に固形分が挟まれていたとしても、そこで挟まれていた固形分が隙間から自動的に除去される。
その結果、本発明の固液分離装置ではスクリーンベルトとスクリーンベルトとの間の隙間を掃除する掃除用の部材を特に設けなくても自動的にベルト間の隙間が掃除されることとなり、長期に亘って隙間に目詰まりを起すことなく良好に固液分離作用をなすことができる。
【0018】
また本発明の固液分離装置では、スクリーンベルトとスクリーンベルトとの間の狭い隙間を掃除用の部材が摺動する必要が無いため、その摺動によってスクリーンベルトが摩耗するといった問題を生じない特長を有する。
【0019】
この場合において長ベルトの長さは、搬送側において突部のそれぞれが設定された一定の配列状態を維持する長さに選定しておくことができる(請求項2)。
ここで突部の配列は、搬送側においてそれぞれが濾過スクリーンの幅方向に一列を成す配列となしておくことができる。
このようにしておくことで、固形分を複数の突部が協働して効率的に搬送できる利点が得られる。
【0020】
次に請求項3は、固定状態に設けられてスクリーンベルトの間の隙間に嵌入する掃除用の櫛片を濾過スクリーンの幅方向に配列したもので、この請求項3の固液分離装置では、スクリーンベルトを長ベルトと短ベルトとに分けなくても、その櫛片によってスクリーンベルトとスクリーンベルトとの間の狭い隙間を掃除し、隙間を常に目詰まりの無い状態に保持することができる。
【0021】
次に請求項4は、細幅のスクリーンベルトと位置固定の細幅のスクリーンバーとをそれぞれ幅方向に交互に並べて、それらスクリーンベルトとスクリーンバーとから成る濾過スクリーンを構成したもので、この場合においても装置を安価に構成でき、また騒音も発生させず、しかも細幅のスクリーン部材を摩耗させてしまう問題も解決することができる。
【0022】
次に請求項5は、濾過スクリーンの搬送方向の後端部且つ上面から、固形分と排水とを含む被処理物の投入室を形成する縦の堰止壁を立ち上げるとともに、その堰止壁の下端部を上下に変位可能となし、その下端部を上下に変位させつつ、スクリーンベルトに一体に設けた突部を、その堰止壁を乗り越えて搬送方向前方に進行させるようになしたものである。
【0023】
本発明に従ってスクリーンベルトに突部を一体に設けて、これをスクリーンベルトとともに回転移動させるようになした場合、堰止壁が固定状態に設けられていると、かかる突部が返送側から搬送側に向かって搬送方向後端のプーリを通過して堰止壁を通過する際、かかる突部が堰止壁の下端に当ってこれを通過できなくなってしまう。
しかるにこの請求項5に従って堰止壁の下端部を上下に変位可能となしておくことで、投入室に収容された被処理物の固形分を堰止壁の下端部から漏らしてしまうことなく、突部が堰止壁の下端部を良好に乗り越えて前方に移動することが可能となる。
尚特にこの請求項5においては、突部を濾過スクリーンの幅方向に同じ高さで一列に配列しておくことが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態のベルトスクリーン式の固液分離装置で、12はその主要素をなす濾過スクリーンである。
この濾過スクリーン12は、細幅の可撓性の且つ無端環状をなすスクリーンベルト14を、ベルト幅方向に隙間16(図1の部分拡大図参照)を隔てて複数連設して構成してある。
この濾過スクリーン12は、それらスクリーンベルト14と14との間の隙間16を通じて排水を通過させ、固形分だけを濾し取って固液分離する。即ち固形分を排水から濾過する。
【0025】
本実施形態においては、かかるスクリーンベルト14として図2(B),(C)に示す長ベルト14Aと短ベルト14Bとを用い、それらをベルト幅方向に交互に並べている。
而して短ベルト14Bは、図1に示すように一対の主プーリ18と18との間に緊張状態で巻き掛けられており、また長ベルト14Aは、主プーリ18とは別に設けられた緩み防止用のアイドラプーリ(補助プーリ)20と一対の主プーリ18,18とにまたがって巻き掛けられている。
【0026】
上記主プーリ18には、図2(A)に示しているようにスクリーンベルト14の数に対応した環状の巻掛溝24が設けられており、それぞれに各スクリーンベルト14が巻き掛けられている。
この実施形態において、各スクリーンベルト14は図2(B),(C)に示しているように内周面に噛合歯26の設けられた歯付きベルト、即ちタイミングベルトとされている。
そしてこれに対応して、主プーリ18の各巻掛溝24の底面には対応した噛合歯28が周方向に設けられており、スクリーンベルト14の噛合歯26と主プーリ18の巻掛溝24の底面の噛合歯28とが互いに噛み合うようにされている。
即ち主プーリ18もまた歯付きのタイミングプーリとして構成されている。
この結果、主プーリ18の回転と各スクリーンベルト14の回転とは同期し、従って各スクリーンベルト14の回転移動もまた互いに同期したものとなる。
【0027】
尚アイドラプーリ20についても同様の噛合歯を有する歯付きのタイミングプーリとして構成しておくこともできる。
或いはまた場合によってそのような噛合歯を有しない通常のプーリとして構成しておくことも可能である。
【0028】
図1に示しているように、濾過スクリーン12は上下方向に斜めに傾斜した状態で設けられており、そして上端、即ちスクリーンベルト14の搬送方向前端の主プーリ18には、シャフト32を介して駆動用のモータ30が連結されており、かかるモータ30による駆動力で各スクリーンベルト14、即ち濾過スクリーン12が全体的に回転移動するようになっている。
【0029】
本実施形態では、各スクリーンベルト14のそれぞれに、搬送面上に突出する形態で固形分を搬送する突部34が一体に設けられ、それら突部34がスクリーンベルト14と一体に無端環状に回転移動するようになっている。
ここで各スクリーンベルト14の突部34は、搬送側において濾過スクリーン12の幅方向に一列をなすように配列されている。
これら突部34は、短ベルト14Bについてはここでは合計4個設けられており、一方長ベルト14Aについては合計5個設けられている。
【0030】
この実施形態では、各スクリーンベルト14の突部34は進行方向前端、即ち図中上端の主プーリ18に到るまでは横一列を維持しながら上方に前進移動するが、主プーリ18を通過した段階で短ベルト14Bの突部34はそのまま下端の主プーリ18に向かって返送側を移動するが、長ベルト14Aの突部34は主プーリ18を通過したところで一旦アイドラプーリ20側に向かって前進し、図中下端の主プーリ18への戻りが短ベルト14Bの突部34に比べて遅くなる。
【0031】
但し本実施形態の固液分離装置では、図中下端の主プーリ18を通過した時点で、長ベルト14Aの1つ前の突部34が、先に図中下端の主プーリ18に戻った短ベルト14Bの突部34と一緒になり、従って図中下端の主プーリ18を通過した段階で短ベルト14Bの突部34も長ベルト14Aの突部34も横一列に配列した状態となる。
そのように長ベルト14Aの長さが予め選定されている。
詳しくは、ここでは長ベルト14Aの長さが短ベルト14Bの長さに比べて、突部34の1ピッチ分だけ長くされている。
【0032】
この実施形態の固液分離装置10では、生ごみの破砕物等の固形分と排水とを含む被処理物が、濾過スクリーン12の下端部且つ上面に投入される。
投入された被処理物は、排水のみがスクリーンベルト14と14との間の隙間16を通じて下方に落下し、固形分だけが各スクリーンベルト14上に残る。即ち固形分が濾過スクリーン12によって濾過される。
このようにして濾過された固形分は、各スクリーンベルト14の上方への回転移動に伴って、それぞれに設けられた突部34により上方に搬送され、そして図中上端の主プーリ18を超えたところで下方の容器に落下せしめられる。
【0033】
以上のような本実施形態の固液分離装置10では、突部34がスクリーンベルト14と一体の部品を成しているため、図7に示す従来の固液分離装置、詳しくは突部204が濾過スクリーン200を構成するスクリーンバー202と別体を成す従来の固液分離装置に比べて部品点数を少なくでき、しかも本実施形態における突部34は細幅のスクリーンベルト14と14との間の狭い隙間16を走行するものではないため、かかる突部34自体に要するコストも安価となすことができる。
【0034】
更に加えて本実施形態では、スクリーン部材としてベルト(スクリーンベルト14)を用いており、かかるスクリーンベルト14はプーリ18,20に巻き掛けてプーリ18,20の回転により無端環状に回転移動させているため、スクリーンベルト14の駆動装置に要するコストも安価となし得るのに加えて、プーリ18,20による駆動ではチェーンによる駆動に比べて騒音も生じず、静粛に装置を稼動することができる。
【0035】
また本実施形態においては、スクリーンベルト(スクリーン部材)14として長ベルト14Aと短ベルト14Bとを用いて、それらをベルト幅方向に交互に並べて濾過スクリーン12を構成し、そして短ベルト14Bについては一対の主プーリ18,18間に巻き掛ける一方、長ベルト14Aについてはそれら一対の主プーリ18,18と緩み防止用のアイドラプーリ20とに巻き掛けて固液分離装置10を構成しているため、スクリーンベルト14と14との間の隙間16に掃除用の部材を走行させることなく、それらの間の隙間16に目詰まりが生じるのを効果的に防止することができる。
【0036】
詳しくは、長ベルト14Aと短ベルト14Bとは搬送方向前端の主プーリ18を通過した時点で互いに離れ離れとなり、その時点で隣接する長ベルト14Aと短ベルト14Bとの間の隙間16は強制的に大きく開かれることとなって、それら隣接する長ベルト14Aと短ベルト14Bとの間に固形分が挟まれていたとしても、そこで挟まれていた固形分が隙間16から自動的に除去される。
その結果、本実施形態の固液分離装置10では、スクリーンベルト14と14との間の隙間16を掃除する掃除用の部材を特に設けなくても良く、しかも長期に亘って隙間16に目詰まりを起すことなく良好に固液分離作用をなすことができる。
【0037】
また本実施形態の固液分離装置10では、スクリーンベルト14と14との間の狭い隙間16を掃除用の部材が摺動する必要が無いため、その摺動によってスクリーンベルト14が摩耗するといった問題を生じない特長を有する。
【0038】
更に本実施形態では、長ベルト14Aの長さを短ベルト14Bよりも突部34の1ピッチ分だけ長くしており、搬送側において突部34のそれぞれが濾過スクリーン12の幅方向に一列の配列を維持するようになしてあるため、固形分を複数の突部34により協働して効率的に上方に搬送することができる。
【0039】
次に図3は本発明の他の実施形態を示している。
この実施形態は、スクリーンベルト14の全てを短ベルト14Bにて構成するとともに、各スクリーンベルト14と14との間の隙間16に対応した数の掃除用の櫛片36を固定状態に設けた例である。
ここで櫛片36のそれぞれは、隙間16に嵌入する状態で各スクリーンベルト14の搬送側とは反対側、即ち返送側に設けられている。
尚この櫛片36の図中右の面は、隙間16から除去した固形分を円滑に下方に落下させるための湾曲したガイド面とされている。
【0040】
本実施形態によれば、スクリーンベルト14を長ベルト14Aと短ベルト14Bとに分けなくても、櫛片36によってスクリーンベルト14と14との間の狭い隙間16を掃除し、隙間16を常に目詰まりの無い状態に保持することができる。
【0041】
図4は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例は、スクリーンベルト14(短ベルト14B)と、位置固定の細幅のスクリーンバー38とをそれぞれ幅方向に交互に並べて濾過スクリーン12を構成し、そして各スクリーンベルト14のそれぞれに、上記と同様の突部34を一体に設けた例である。
尚この実施形態において、主プーリ18にはスクリーンベルト14に対応した数の巻掛溝24が形成されている。
本実施形態においても装置を安価に構成でき、また騒音も発生させず、しかもスクリーンベルト14を摩耗させてしまう問題も解決することができる。
【0042】
図5は本発明の更に他の実施形態を示している。
図において40は濾過スクリーン12の搬送方向の後端部且つ上面(搬送面)から上向きに立ち上がる堰止壁で、図中右側に固形分と排水とを含む被処理物を投入する投入室42が形成されている。
固形分と排水とを含む被処理物は、投入口43からこの投入室42に投入され、そしてそのうちの排水が濾過スクリーン12を通過して下方に落下し、固形分だけが濾し取られて突部34により上方に搬送される。
【0043】
この実施形態において、堰止壁40は上部が固定壁44、下部が可動壁46として構成されており、かかる可動壁46が固定壁44に対して上下に移動可能とされている。
ここでは固定壁44の凹部48内に可動壁46が出入可能とされている。
可動壁46の下端部にはローラ50が設けられており、このローラ50が濾過スクリーン12の上面即ち搬送面に回転可能に接触させられている。
【0044】
この実施形態では、スクリーンベルト14に一体に設けられた突部34が搬送方向後端、即ち図中下端の主プーリ18を通過した後、可動壁46を押し上げながら可動壁46を乗り越えて図中右側に進行する。
そして投入室42内の固形分をかかる突部34が上方に搬送する。
従って投入室42内の被処理物中の固形分は、堰止壁40から下方に漏れてしまうことはない。
【0045】
尚この実施形態では、細幅のスクリーン部材を全てスクリーンベルト14にて構成し、且つ突部34を同じ高さで横一列に配列しておくことが望ましい。
また可動壁46は、自重で上下に変位するものとなしておくこともできるし、或いはまたこれをばねにて下向きに付勢しておくこともできる。
【0046】
図6は本発明の更に他の実施形態を示したもので、この実施形態は、可動壁46を固定壁44から横方向に延び出させ、そしてその付根の軸52周りに可動壁46全体を回動させるようになした例である。
【0047】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態である固液分離装置を示す図である。
【図2】図1のプーリ及びスクリーンベルトをそれぞれ単体で示す図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図7】従来の固液分離装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
10 固液分離装置
12 濾過スクリーン
14 スクリーンベルト
14A 長ベルト
14B 短ベルト
16 隙間
18 主プーリ
20 アイドラプーリ(補助プーリ)
30 モータ
34 突部
36 櫛片
38 スクリーンバー
40 堰止壁
42 投入室
46 可動壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)無端環状の細幅のスクリーンベルトを幅方向に隙間を隔てて複数連設して構成され、該隙間を通じて排水を通過させ固形分を濾過する濾過スクリーンと
(ロ)前記スクリーンベルトを回転駆動する駆動手段と
(ハ)該スクリーンベルトの搬送面上に突出する形態で該スクリーンベルトに一体に設けられ、固形分を該スクリーンベルトの回転移動に伴って搬送する、前記濾過スクリーンの幅方向に配列した複数の突部と
を有し、且つ前記スクリーンベルトとして長ベルトと短ベルトとを有していてそれらが交互にベルト幅方向に並べられ、該短ベルトが一対の主プーリ間に巻き掛けられる一方、該長ベルトがそれら一対の主プーリと緩み防止用の補助プーリとに巻き掛けられていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項2】
請求項1において、前記長ベルトの長さが、搬送側において前記突部のそれぞれが設定された一定の配列状態を維持する長さに選定されていることを特徴とする固液分離装置。
【請求項3】
(イ)無端環状の細幅のスクリーンベルトを幅方向に隙間を隔てて複数連設して構成され、該隙間を通じて排水を通過させ固形分を濾過する濾過スクリーンと
(ロ)前記スクリーンベルトを回転駆動する駆動手段と
(ハ)該スクリーンベルトの搬送面上に突出する形態で該スクリーンベルトに一体に設けられ、固形分を該スクリーンベルトの回転移動に伴って搬送する、前記濾過スクリーンの幅方向に配列した複数の突部と
(ニ)固定状態に設けられ、前記スクリーンベルトの間の隙間に嵌入する、前記濾過スクリーンの幅方向に配列した複数の掃除用の櫛片と
を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項4】
(イ)無端環状をなして回転移動する細幅のスクリーンベルトと、位置固定の細幅のスクリーンバーとをそれぞれ幅方向に交互に並べて成り、それらスクリーンベルトとスクリーンバーとの間の隙間を通じて排水を通過させ固形分を濾過する濾過スクリーンと
(ロ)前記スクリーンベルトを回転駆動する駆動手段と
(ハ)該スクリーンベルトの搬送面上に突出する形態で該スクリーンベルトに一体に設けられ、固形分を該スクリーンベルトの回転移動に伴って搬送する、前記濾過スクリーンの幅方向に配列した複数の突部と
を有していることを特徴とする固液分離装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記濾過スクリーンの搬送方向の後端部且つ上面から、固形分と排水とを含む被処理物の投入室を形成する縦の堰止壁が立ち上がっており、該堰止壁は下端部が上下に変位可能とされていて、該下端部を上下に変位させつつ前記突部が該堰止壁を乗り越えて搬送方向前方に進行するものとなしてあることを特徴とする固液分離装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−198516(P2006−198516A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12688(P2005−12688)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】