説明

固液分離装置

【課題】予め固形物を破砕機で破砕する必要がない固液分離装置を提供する。
【解決手段】回転軸21を中心とした略円筒状の空間を形成した容器30と、回転軸21から容器30の内周近傍まで突出した平板状の回転羽根27と、所定間隔で積層した平板状のレールで構成され回転軸21の上方を横切って配置されると共にその両端を容器30に固定したストレーナ23と、容器30のストレーナ23下方に開口されストレーナ23の間隙を通過した液体を排水する排水口36と、回転羽根27が上方へ回転する側の上方に開口した固液を流入する流入口37と、回転羽根27が下方へ回転する側の上方に開口した取出口41とを備え、ストレーナ23の間隙に挟まれた回転羽根27の回転によってストレーナ23上に付着した固形物を掻き取って回転方向へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生ごみ等の固形物を含んだ廃液を固形物と液体とに分離する固液分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の固液分離装置は、台所等で発生する生ごみを破砕し、脱水する生ごみ処理装置に使われている(例えば、特許文献1参照)。図3はこの特許文献1に記載された従来の固液分離装置を示すものである。
【0003】
この固液分離装置は、外周に所定間隔で突出した(例えば突出高さ10mm)突起部1と、加えて内周に突出した突出部2と、さらに内周面に延設された二股状突片3とを形成した円形リング体4の複数枚を積層して円筒状のストレーナ5を構成している。
【0004】
第1横架部材7は、各円形リング体4は掛け渡して複数取り付けられ、表面には突出部2と係合して各円形リング体4を、隙間(例えば0.5mm)を設けた状態で保持する係合部6がストレーナ5の周方向の各側面側にかつ長手方向に複数形成されている。
【0005】
第2横架部材8は、一対の両端の円形リング体4間に掛け渡して複数取り付けられ、二股状突片3と係合することによって突出部2が係合部6から外れることを規制する。連結体10は第1横架部材7と回転軸9を連結する。
【0006】
容器11は、ストレーナ5より大きい略円筒状の空間を横になるように形成し、かつストレーナ5を回転自在になるように内蔵している。流入口12は、ストレーナ5の外側に位置し、外へ拡げるように変形した容器11の端面に開口した固液を流入する。排水口13は、ストレーナ5の内側に位置し容器11の端面にストレーナ5の間隙を通過した液体を排水する。
【0007】
スクレーパ14は、ストレーナ5の各間隙に先端が進入して円形リング体4に付着する固形物を掻き取る。スペーサ15は、ストレーナ5の各間隙にスクレーパ14の位置を調整する。
【0008】
取出口16は、容器11の周面に開口したスクレーパ14で掻き取った固形物を外へ排出する。取出口16端縁部分のヒンジ17に蓋体18が取り付けられ、蓋体18を加圧手段19(スプリング)でスクレーパ14へ押し付ける。
【0009】
以上のように構成された固液分離装置の動作を説明する。
【0010】
上記固液分離装置は、まず破砕機(図示せず)が投入された生ごみを破砕し、次に混合した固液が流入口12から容器11に流入する。そして、駆動部(図示せず)により回転する回転軸2が連結体10と第1横架部材7を介してストレーナ5を回転させるので、突出部1が固形物(破砕された生ごみ)を掻き揚げる。その後、突出部1に乗った固形物や円形リング体4の外面に付着した固形物はスクレーパ14によりストレーナ5から剥離する。スクレーパ14で剥離された固形物は、加圧手段19で押し付けられた蓋体18により脱水され、取出口16から外部の乾燥処理手段(図示せず)へ回収(排出)される。また、固形物に付着した液体(水道水や生ごみの汁等)は自重によりストレーナ5の間隙を通過して排水口13から排水される。
【特許文献1】特許第3600474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来の固液分離装置では、突起部1が掻き揚げる固形物の大きさは突起部1の高さが限界なので、固形物を破砕する破砕機が必要になるという課題を有していた。
【0012】
具体的には、流入口12と同等の大きさの固形物(例えば直径30mm)は、突起部1で掻き揚げることはできず、固形物が流入口12の近傍で詰まって流れなくなるか、または詰まった固形物がストレーナ5の動きをロックする。
【0013】
逆に、破砕機が固形物を破砕する際に発生する細かな固形物はストレーナ5の間隙を通過して排水口13から排水されるので、水質を悪化することは避けられない。市販品では乾燥重量回収率70%程度であり、乾燥重量回収率30%程度の細かな固形物が排水口13から排出されるので、排水の水質を悪化する。
【0014】
なお、突出部1の突出高さを高くすると、突出部1を高くした分、円形リング体4の径を小さくしなければ容器11の形状が大きくなる。もし、容器11の形状を変更しないのであれば、円形リング体4の径を小さくする分、排水口13も小さくなるので、排水性能が悪くなる。
【0015】
本発明は上記課題を解決するもので、固形物の破砕機を必要としない固液分離装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記従来の課題を解決するために、本発明の固液分離装置は、略水平に配置した回転軸と、前記回転軸を中心とした略円筒状の空間を形成した容器と、前記回転軸から前記容器の内周近傍まで延在し且つその延在方向の中央部が前記回転軸の回転方向に突出するように湾曲した回転羽根と、所定間隔で積層した平板状のレールで構成され前記回転軸の上方を横切って配置されると共にその両端を前記容器に固定したストレーナと、前記容器の前記ストレーナ下方に開口され前記ストレーナの間隙を通過した液体を排水する排水口と、前記回転羽根が上方へ回転する側の前記容器の上方に開口した固液を流入する流入口と、前記回転羽根が下方へ回転する側の前記容器の上方に開口した取出口とを備え、前記ストレーナの間隙に挟まれた前記回転羽根の回転によって前記ストレーナ上に付着した固形物を掻き取って回転方向へ移動させるものである。
【0017】
まず、生ごみを含んだ排水が流入口から容器に投入され、液体はストレーナの間隙を通過して排水口から排水し、固形物である生ごみはストレーナ上面に溜まる。そして、回転羽根が回転して固形物をストレーナ上面に沿って搬送する。同時に、固形物に付着した液体は自重によりストレーナの間隙を通過して排水口から排水する。そして、回転する回転羽根が固形物を取出口から排出する。
【0018】
他方、回転羽根が回転してストレーナの間隙を移動する際に、回転羽根とストレーナ上面との角度が狭い鋭角になり難いので、硬い固形物が回転羽根とストレーナ上面に挟まれて回転羽根がロックすることを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、固形物の破砕機を必要としない、硬い固形物もロックすることなく処理できる固液分離装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
第1の発明は、略水平に配置した回転軸と、前記回転軸を中心とした略円筒状の空間を形成した容器と、前記回転軸から前記容器の内周近傍まで延在し且つその延在方向の中央部が前記回転軸の回転方向に突出するように湾曲した回転羽根と、所定間隔で積層した平板状のレールで構成され前記回転軸の上方を横切って配置されると共にその両端を前記容器に固定したストレーナと、前記容器の前記ストレーナ下方に開口され前記ストレーナの間隙を通過した液体を排水する排水口と、前記回転羽根が上方へ回転する側の前記容器の上方に開口した固液を流入する流入口と、前記回転羽根が下方へ回転する側の前記容器の上方に開口した取出口とを備え、前記ストレーナの間隙に挟まれた前記回転羽根の回転によって前記ストレーナ上に付着した固形物を掻き取って回転方向へ移動させる固液分離装置である。
【0021】
まず、生ごみや液体からなる固液が流入口から容器に投入され、液体はストレーナの間隙を通過して排水口から排水され、固形物である生ごみはストレーナ上面に溜まる。そして、回転を開始した回転羽根は、先端部がストレーナの間隙を通り抜けて上方へ突出し始め、ストレーナの上方を移動しながら固形物をストレーナ上面に沿って搬送する。その後、回転する回転羽根は、回転軸寄りの部分から徐々にストレーナの間隙へと沈み始め、最後に残った回転羽根の先端部が固形物を取出口へと押し出して排出する。
【0022】
この動作において、回転羽根の大部分がストレーナの上方に突出するので、大きな固形物をそのまま搬送でき、流入口から投入する前に固形物を小さくする必要はないから、破砕機は不要である。固形物を予め破砕しなければ、細かな固形物が発生しないので、乾燥重量回収率を高められ、排水口から排出する水質の悪化を防止できる。また、大きな固形物のまま固液分離処理するので、ストレーナの間隙を広げて、回転羽根も厚い平板で構成することが可能であり、組立を容易にし、組立コストを低減することができる。
【0023】
また、回転羽根が回転方向へ突出して湾曲しているので、回転羽根23の回転によりストレーナの間隙に沈みかけた回転羽根27とストレーナ23との角度を所定角度以上に確保でき、固形物がストレーナ23上面と回転羽根27との間に挟まって回転羽根27をロックすることを防止でき、固形物を取出口41から外部へスムーズに排出できる。
【0024】
第2の発明は、特に、第1の発明の回転羽根は回転軸を中心に複数枚から形成されたことにより、ストレーナから突出する回転羽根がストレーナの間隙を通過し終わっても、次に来る他の回転羽根がストレーナの間隙から直ちに突出し始めて、固形物をストレーナ上面に沿って搬送する。この結果、流入口から容器内に投入された生ごみが大量の場合でも短時間で固液分離処理することができる。
【0025】
第3の発明は、特に、第1の発明の回転軸から離間し且つレールに連なって前記回転軸を周回するような形状に構成されたレール案内板と、前記レール案内板を挟んで積層するように回転軸に固定された複数の回転羽根と、円筒状の容器下方に位置する前記レール案内板に沿って前記容器の両端面から内側に突出したリブ部とを有し、前記リブ部が前記複数の回転羽根のうち積層方向の外側に位置する回転羽根を積層方向の外側から内側に向けて支持している構成である。
【0026】
この構成により、複数の回転羽根は、レール案内板とリブ部とによって支持された状態で回転するので、複数の回転羽根を積層方向に変形せずに回転させることができる。また、積層方向の外側の回転羽根が円筒状の容器端面の内側全体に接触せず、リブ部との部分的な接触による位置規制によって複数の回転羽根を回転させることができるため、回転軸を駆動する駆動部の負荷を少なくすると共に、回転羽根にかかる摩擦を小さくすることができる。
【0027】
第4の発明は、特に、第1の発明の取出口には、取出口には、前記取出口の略上方端縁部分に回転自在に設けられた蓋体と、前記蓋体に外部からストレーナ側へ押し付ける力を与える加圧手段とを有しているので、固形物を取出口へ押し出す回転羽根の先端部分と加圧手段に押された蓋体とが固形物を圧縮し、固形物に付着した液体(汁や水道水等)を搾り取って脱水する。
【0028】
また、大量の固形物を含んだ排水が流入口から容器に流入した場合、大量の排水はストレーナの間隙を一気に通過できずに、その一部がストレーナ上面を拡がって取出口に達する一方、容器内の空気圧が上昇するので、固形物を含んだ排水を取出口から排出しようとする力が蓋体に働く。しかし、加圧手段で押し付けられた蓋体は、容器内の空気圧の上昇で蓋体を押し開くのを阻むので、固形物を含んだ排水が取出口から漏れ出すことを抑制できる。
【0029】
第5の発明は、特に、第1の発明の流入口から容器内へ繋がる投入通路は、断面積が前記流入口から下方の容器に向かって増加しているので、流入口から投入された生ごみは投入通路に触れることが少なく、ストレーナの上面に落下し溜まるため、投入通路が汚れにくいという効果がある。
【0030】
第6の発明は、特に、第1の発明の投入通路から容器内への出口は、回転羽根の回転方向の下流側に角状切断部を形成しているので、流入口から容器に投入され固液が投入通路まで溜まる程の大量の固形物の場合、回転羽根がストレーナ上面に沿って搬送する固形物を角状切断部が切断、分離するので、駆動部の負荷を低減できる。そして、投入通路の固形物はストレーナ上面に落下して溜まり、次の回転羽根により搬送される。
【0031】
第7の発明は、特に、第1の発明の流入口または投入通路は、回転軸の直径方向の長さが短くなる矩形形状に開口したことにより、長い固形物は回転軸の直径方向の投入通路に衝突するので、容器の筒方向に揃ってストレーナの上面に溜まる。この結果、ストレーナの間隙を移動する回転羽根が固形物を揃えたままストレーナ上面に沿って搬送することができる。
【0032】
第8の発明は、特に、第1の発明の流入口または投入通路の容器筒方向長さは、容器自身の筒方向長さより短く形成したことにより、大量の固液が流入口から投入された場合、固形物はストレーナの上面から流入口に向かって堆く溜まり、容器の端部近傍には固形物が溜まりにくい。このため、流入口から容器に流入した水道水や排水は、容器端部近傍のストレーナの間隙を通過して排水口から排水できるから、大量の固液が流入口に投入されても、水道水や排水が取出口から漏れ出すことを防止できる。
【0033】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の排水栓には、液体が通過する排水路を設けたことにより、排水栓が入口に差し込まれていても、シンクの排水を流すことができ、調理中に生じた排水を自由に排出することができる。
【0034】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図1、図2を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態1における固液分離装置の構成図、図2は図1のX−X断面を示す固液分離装置の断面図である。
【0035】
図1及び図2において、六角柱の回転軸21は、ギヤドモータからなる駆動部22に連結しており、水平に設けられている。ストレーナ23は、例えば厚さ1.0〜1.5mm、高さ5〜10mmの平板状のレール24を用いて、そのレール24の複数枚を所定の間
隔(例えば0.5〜1.6mm)で積層して構成され、上面が上方へ屈曲しており、レール24の両端にはレール連通口25が開口されている。
【0036】
レール案内板26は、レール24と同じ平板状をしており、レール24と一体成形され、回転軸21から離間した状態でレール24と連なって回転軸21を周回するような形状に構成されている。
【0037】
回転羽根27は、例えば厚さ0.4〜1.5mm、幅5〜10mmの平板状をしており、ストレーナ23同士の間に位置するように組み立てられ、ストレーナ23の各間隙に下側から上側へ先端が突っ切るように形成され、中央部が回転方向へ突出するように湾曲している。回転羽根27は、回転軸21に対して等間隔の三対で形成されており、回転中心部には六角穴28が開口され、その六角穴28に六角形の回転軸21を挿入している。回転羽根27は、回転軸21から容器30の内周面の近傍まで延びるように取り付けられ、回転移動してストレーナ23上に突出した時の最大突出長さを30mm以上としている。
【0038】
ストレーナ23は、細長い平板状をしており、回転羽根27の回転方向下流側、後述する取出口42に向けて上方へ傾斜するように、回転軸21上方を横切って設置され、両端を容器30に固定している。レール案内板26は、ストレーナ23と一体的に成形され、ストレーナ23に連なって回転軸21を周回するように、回転羽根27の先端部(自由端)付近に構成されている。
【0039】
スペーサ29は、回転羽根27同士の間隙を例えばレール24と同等の幅に設定するもので、回転羽根27と交互に回転軸21に挿入されている。
【0040】
容器30は回転軸21を中心とした略円筒状の空間を形成し、かつ回転軸21に対して回転羽根27を回転自在になるように内蔵しており、内面に回転羽根27の両端部を夫々挿入する挿入口31を二ヶ所に複数開口している。容器連通口32は挿入口31に開口してある。
【0041】
レール24の両端を挿入口31に挿入した後、レール連通口25と容器連通口32には固定棒33を挿入し、固定棒33の両端には固定手段34(ねじやEリングなど)を取り付けて、レール24の両端を容器30に固定している。
【0042】
リブ部35は、略円筒状の容器30端面の内側に突出するように形成され、レール24およびレール案内板26と対応する位置に設けられ、ストレーナ23の両端に位置する回転羽根27Aを位置規制している。図1において、リブ部35はレール24およびレール案内板26に隠れているが、図2に示すように、円筒状の容器30の両端面におけるレール24およびレール案内板26と対応する位置にそれぞれ設けてある。
【0043】
なお、リブ部35は、レール24およびレール案内板26と対応する位置に沿った帯状の凸部であっても良いし、レール24およびレール案内板26と対応する位置に沿って配列された複数の凸部であっても良いし、レール24およびレール案内板26より大きい形状にしても構わない。
【0044】
また、レール24およびレール案内板26の一体物と複数の回転羽根27を積層し、その積層方向の最外側にレール24およびレール案内板26の一体物が位置するように積層体を構成し、その積層方向の最外側の一体物をリブ部35の代用にしても良い。このような積層体を一旦構成してから容器30内に取り付ける場合は、装置の組み立て中に積層体の最外側に位置する一体物を傷付けることを多少は許容することができる。
【0045】
排水口36は、ストレーナ23の下方に位置し、円筒状の容器30の端面にリブ部35の上部と下部を開口して、開口面積を大きくして排水能力を高めており、ストレーナ23の間隙を通過した液体を排水する。
【0046】
流入口37は、例えば直径60mmの円形状をしており、回転羽根27が上方へ回転する側のストレーナ23の上方に位置し容器30の周面に開口され、流し台のシンク38に接続しており、生ごみや排水からなる固液を流入する。流入口37の通路断面積は排水口36と同等以下である。
【0047】
投入通路39は、流入口37から下方の容器30に向かって断面積を増加する構成であり、回転軸21の直径方向の長さが短くなる矩形形状(例えば略60mm×略120mm)に開口している。
【0048】
角状切断部40は、投入通路39から容器30内への出口に、かつ回転羽根21の回転方向の下流側に角を形成している。
【0049】
取出口41は回転羽根27が下方へ回転する側、すなわち、流入口37に対して回転羽根27の回転方向下流側の容器30に開口され、ストレーナ23上面と容器30内面との間隙Aが、流入口37の回転軸21直径方向(容器30の周方向)の長さBより小さくなる位置全体に開口している。なお、取出口41の下方端縁部には、挿入口31を複数開口している。取出口41の幅は容器30筒方向の長さと同等の寸法である。
【0050】
蓋体42は、取出口41上方端縁部分にヒンジ43を用いて回転自在に取り付けられており、この蓋体42上部はスプリング等からなる加圧手段44でストレーナ23側へ押し付けられる。
【0051】
排水栓45は、金属片46を内蔵し、中央部には手が入らない程度の大きさで開口した排水路47を有しており、この排水路47は容器30とシンク38とを連通する。排水栓スイッチ48は排水栓45の金属片46を検知する磁石を内蔵しており、排水栓45が流入口37に装着されているか否かを判断するものである。
【0052】
駆動部22の駆動は、排水栓45が流入口37に差し込まれたことを、排水栓スイッチ48によって検出した場合に許可される。また、水位検知手段(図示せず)は、容器30の水位を検知する。制御部(図示せず)は、駆動部22を制御する。
【0053】
以上のように構成された固液分離装置において、その動作を説明する。
【0054】
その前に、固液分離処理の基本的な動作について説明しておく。図1に示す回転羽根27は、所定の回転角度で停止した状態を太い実線で描き、その停止状態から少し回転し始めた状態を二点鎖線で描いている。この実線で図示したように、ストレーナ23から上方に突き出し頂部に位置する回転羽根27の自由端が投入通路39と取出口41までの間に停止している状態を最善な所定の停止位置とする。
【0055】
使用者が排水栓45を流入口37から外して、シンク30内の生ごみを流入口37より容器30内に流し込んだ後、排水栓45を再び取り付けると固液分離処理を自動的に開始する。
【0056】
先ず、使用者が排水栓45を外して、生ごみが流入口37から容器30に流し込まれて投入されると、生ごみは投入通路39を通ってストレーナ23の上面に溜まる。その際、投入通路39の断面積を下方に向かって大きくしているので、投入された生ごみは投入通
路39に触れる機会が少なく、投入通路39が汚れにくい。他方、水道水や排水が流入口37から容器30に注水されると、水道水や排水がストレーナ23の間隙を通り、排水口36から排水される。
【0057】
その後、排水栓45が流入口37に差し込まれ、排水栓スイッチ48が排水栓45の金属片46を検知する。これにより、使用者が誤って流入口37内に手を突込んでいないことを確認することができる。そして更に、排水栓スイッチ48が排水栓45の金属片46を検知できない場合は、制御部が駆動部22の駆動を禁止するので、使用者の安全を確保することができる。
【0058】
次に、水位検知手段(図示せず)が所定値以上の水位を検知しない、或いは水道水や排水が排水路47を介して流入口37から容器30に注水されていない期間を計測し、生ごみに付着した水滴が自重でストレーナ23の間隙を通過する期間に相当する所定期間(10秒〜5分程度)を経過した場合、制御部(図示せず)が止まっていた駆動部22の駆動を開始する。なお、水位検知手段(図示せず)が所定期間内で所定値以上の水位を検知した場合、制御部(図示せず)は止まっていた駆動部22の駆動を開始しない。そして、水位検知手段が次に水位が所定値以下になった時から、再度所定値以上の水位を検知しない期間の計測を開始する。
【0059】
次に、図3中の工程D1〜D3の間で行う生ごみ搬送動作に関して、詳しく説明する。
【0060】
制御部(図示せず)は、排水栓検知部48が排水栓45の有の状態を検知し、かつ水位検知手段(図示せず)が所定値以下の水位を検知している期間が第2の所定期間に達した場合、止まっていた駆動部22の駆動を開始する。そして、駆動部22が回転軸21を回転させて回転羽根27を、例えば1分間に10回転程度の回転速度で第1の所定期間(30秒〜1分間)回転させた後に停止させる。
【0061】
その際、レール連通口25と容器連通口32とを貫通した固定棒33が、挿入口31に挿入したレール24の両端が容器30から外れることを規制しているので、ストレーナ23同士の間隙を確保して、レール24と回転羽根27との接触を極力低減でき、回転羽根27を回転駆動する駆動部22の負荷を減らし、レール24と回転羽根27との摩擦を減らすことができる。
【0062】
図1に示すように、回転を開始した回転羽根27は、左回りに回転し、回転羽根27の先端部分がストレーナ23の間隙を抜けてストレーナ23の右側から上方に突出し始め、回転羽根27の回転運動と共にストレーナ23上を右から左へ移動して行くので、回転羽根27が固形物(生ごみ)をストレーナ23上面に沿って押すように搬送する。その際、回転羽根27が固形物を掻き揚げる作用はなく、ストレーナ23上面に沿って搬送されている固形物に付着した液体は、搬送による振動と自重によりストレーナ23の間隙を通過して排水口36から排水される。
【0063】
ストレーナ23から突出した回転羽根27の先端部は、取出口41まで移動した固形物を取出口41から外部のごみ収容部(図示せず)へ押し出そうとする。その際に、スプリング等の加圧手段44でストレーナ23側に押し付けられた蓋体42は、固形物を押し出す回転羽根27と共に固形物を圧縮して、固形物に付着した液体(汁や水道水等)をさらに脱水し、脱水した液体はストレーナ23の間隙を通過し排水口36から排出される。
【0064】
更に、回転羽根27の回転を進めると、取出口41近傍のストレーナ23の間隙に沈みかけた回転羽根27とストレーナ23との交差角度が鋭角になる。しかし、レール24を上方へ湾曲させ、かつ回転羽根27を回転方向へ突出するように湾曲させているので、そ
の交差角度は極端な鋭角にはならずに所定角度以上の角度を確保できる。回転羽根27とストレーナ23とで固形物を挟み込んで往く時、固形物には、上下方向から挟むベクトルと横方向へ押すベクトルが働くが、その交差角度(湾曲度合い)が大きくなるほど、横方向のベクトルが大きくなり、硬い固形物はストレーナ23上面を滑って搬送され、蓋体42を押し開けて取出口41から外部へ押し出される。即ち、固形物が回転羽根27をロックすることを防止でき、固形物を取出口41から外部へスムーズに排出できる。
【0065】
また、流入口37を通過する固形物の大部分は、当然、流入口37の回転軸21直径方向の長さBより小さく、流入口37の回転軸21直径方向の長さBは、ストレー23上面と容器30内面との間隙Aより小さくしている。即ち、ストレー23上面と容器30内面との間隙Aより小さいので、固形物は回転羽根27の先端部でストレーナ23上面を右から左へ移動しながら搬送され、投入されたままの大きさで取出口41から排出される。
【0066】
これらの動作において、回転羽根27のほぼ全体(長さ30mm)がストレーナ23の間隙から突出するので、大きな固形物を搬送できるから、固形物を流入口37から投入する前に、固形物を小さく破砕する必要がなく、流入口37の手前に破砕機は不要である。また、固形物を破砕せずに固液分離処理するので、ストレーナ23の間隙を通過するような細かな固形物が殆ど発生しないので、乾燥重量回収率を90%以上に高めることができ、水質の悪化を防止できる。
【0067】
さらに、破砕処理しないままの大きな固形物を固液分離するので、ストレーナ23の間隙を従来例に比べ約2〜3倍に広くでき、また回転羽根27も厚い平板でよいので、レール24や回転羽根27の枚数を減らすことが可能であり、それらの数を減らせる分、装置の組立作業を容易にし、組立コストを低減することができる。また、ストレーナ23の下表面と容器30内面下部と間隙が広いので、排水口36の開口面積を大きくすることができ、排水性能を高めることができる。
【0068】
流入口37から容器30に投入された固液が投入通路39まで溜まる程の大量の固形物である場合、回転羽根27がストレーナ23の間隙を移動しながらストレーナ23上面に沿って搬送する固形物を角状切断部40が切断、分離するので、駆動部22の負荷を低減できる。
【0069】
そして、投入通路39に残った一部の固形物は、ストレーナ23上面に落下するが、次に来る他の回転羽根27が落下した固形物をストレーナ23上面に沿って取出口41へと搬送し、固形物は取出口41から外部へ押し出される。この結果、流入口37から容器30に投入された固形物が多量の場合でも、固形物を含んだ排水を短時間で固液分離処理できる。
【0070】
駆動部22が回転軸21を第1の所定期間駆動した後に停止すると、制御部は駆動部22の駆動を禁止する。即ち、一度排水栓45が流入口37から抜き取られ、駆動部22が所定時間動作して停止すると、その停止状態を維持し続けて、再び排水栓45が流入口37に差し込まれ、排水栓検知部48が排水栓45の金属片46を再検知した場合にのみ、駆動部22の駆動が許可される。即ち、この固液分離装置は、生ごみを含んだ排水を容器30内に流し込むタイミングに合わせて動作するので、連続運転に比べて極めて少ない電力消費で動作することができ、使用者が排水栓45をし忘れても無駄な電力を消費しない。
【0071】
また、固形物を取出口41から排出し、ストレーナ23の間隙を通過し終わった回転羽根27は直ちにレール案内板26同士の間隙を通過する。この結果、回転羽根27同士の間隙は維持されるので、回転羽根27はレール案内板26同士の間隙を通過後、レール2
4の下面に衝突せずに再びストレー23の間隙に進入する。
【0072】
他方、ストレーナ23の両端面に接している回転羽根27Aはストレーナ23の両端面を形成しているレール24Aとリブ部35との間隙と、先のレール24と一体形成されているレール案内板26とリブ部35との間隙とを通過する。この結果、回転羽根27Aはレール案内板26とリブ部35との間隙を通過後、レール24の下面に衝突せずに再びレール24Aとリブ部35との間隙に進入する。
【0073】
図2に示すように、積層した複数の回転羽根27のうち積層方向の外側に位置する回転羽根27Aは、一方の面はレール24Aおよびレール案内板26で規制され、それと反対側の面はリブ部35で規制されるので、レール24Aおよびレール案内板26とリブ部35とによって両面から規制された状態で回転する。そのため、回転羽根27Aは、回転運動しても殆ど振動しないので、回転運動による金属疲労を起こしにくく、変形もしにくい。また、回転羽根27Aは、容器30端面全体には接触せず、リブ部35で部分的に位置規制された状態で回転するので、回転羽根27Aにかかる摩擦力を小さくし、駆動部22にかかる負荷を小さくすることができる。
【0074】
固形物や排水からなる固液が流入口37から容器30に流入した場合、ストレーナ23が取出口41に向かって上向きに傾斜しているので、水道水や排水はストレーナ23の上面を上昇できず、ストレーナ23の間隙を通り、排水口36から排水される。
【0075】
さらに、大量の固液が流入口37から容器30に流入した場合、大量の水道水や排水はストレーナ23の間隙を一気に通過できずに、その一部がストレーナ23上面を周囲に向かって拡がり、取出口41に向かう水道水や排水は所定角度で停止した頂部に位置する回転羽根27によって拡がる勢いが弱められ、固形物の動きはその頂部の回転羽根27で阻止される。一方、投入する固液の勢いで容器30内の空気圧が上昇するので、その空気圧が蓋体42を上方に押し上げる方向に働く。しかし、加圧手段44で押し付けられた蓋体42は、容器30内の空気圧の上昇が蓋体42を押し開くのを阻むので、水道水や排水が取出口41から漏れ出すことを阻止できる。なお、上述した効果はその頂部に位置する回転羽根27の自由端が取出口41の半ばまで位置ずれしても十分に得られる。
【0076】
流入口37から投入された固形物は、流入口23直下のストレーナ23の上面に流入口23に向かって堆く溜まり、その周辺部には固形物が溜まり難く、円筒状の容器30の両端部近傍には固形物が殆ど溜まらない。ストレーナ23上面に堆く溜まった固形物は、流入口37から容器30に流入した水道水や排水の流れを阻害するが、容器30両端部近傍に堆積した固形物は堆積量が少ないので、容器30に流し込んだ水道水や排水は、容器30両端部近傍のストレーナ23の間隙を短時間で通過して排水口36から排出される。即ち、シンク38に溜まった生ごみを含んだ排水を一気に流し込んでも、その排水を短時間で固液分離処理して液体のみを排水口36から排出できる。
【0077】
なお、レール案内板26は必ずしもレール24と一体に形成する必要はなく、単独に設けレール24と同様に容器30に差し込んでもよく、レール24とレール案内板26との間の空間分の材料費を削減できる。取出口41は、ストレーナ23上面と容器30内面との間隙Aが、回転羽根27の回転方向下流側へ向かって、流入口37の回転軸21直径方向の長さBより大きい位置から開口してもよく、要はストレー23上面と容器30内面との間隙Aが流入口37の回転軸21直径方向の長さBより大きければよい。
【0078】
また、水位検知手段は、水位センサであっても水量センサであっても良く、水道水や排水が排水路47を介して流入口37から容器30に注水されていないかどうかを判断できればよい。
【0079】
なお、以上の本実施の形態は、流入口37および投入通路39の断面積が円形形状である事例で説明したが、流入口37および投入通路39の断面積が矩形形状であっても良く、その場合には、投入する固形物が細長いものであれば、その細長い固形物が投下する途中で投入通路39の壁面に衝突して、固形物の長さ方向が容器30の筒方向に揃ってストレーナ23上面に堆積し易くなる。従って、細長い固形物は角状切断部40で切断されることなく、回転羽根27の回転によって取出口41まで移送され、そのまま取出口41から排出されるから、ストレーナ23の間隙を通過する細かな固形物の量を抑制して、水質の悪化を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明に係る固液分離装置は、投入した固形物をそのまま固液分離処理するので、固形物の破砕機を特に必要とせず、家庭用のものに限らず、ホテルや工場等の厨房施設にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1における固液分離装置の構成図
【図2】図1のX−X断面を示す同固液分離装置の断面図
【図3】従来のストレーナとそれを搭載した固液分離装置の構成図
【符号の説明】
【0082】
21 回転軸
23 ストレーナ
24 レール
26 レール案内板
27 回転羽根
30 容器
35 リブ部
36 排水口
37 流入口
39 投入通路
40 角状切断部
41 取出口
42 蓋体
44 加圧手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平に配置した回転軸と、前記回転軸を中心とした略円筒状の空間を形成した容器と、前記回転軸から前記容器の内周近傍まで延在し且つその延在方向の中央部が前記回転軸の回転方向に突出するように湾曲した回転羽根と、所定間隔で積層した平板状のレールで構成され前記回転軸の上方を横切って配置されると共にその両端を前記容器に固定したストレーナと、前記容器の前記ストレーナ下方に開口され前記ストレーナの間隙を通過した液体を排水する排水口と、前記回転羽根が上方へ回転する側の前記容器の上方に開口した固液を流入する流入口と、前記回転羽根が下方へ回転する側の前記容器の上方に開口した取出口とを備え、前記ストレーナの間隙に挟まれた前記回転羽根の回転によって前記ストレーナ上に付着した固形物を掻き取って回転方向へ移動させる固液分離装置。
【請求項2】
回転羽根は回転軸を中心に複数枚で形成されている請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
回転軸から離間し且つレールに連なって前記回転軸を周回するような形状に構成されたレール案内板と、前記レール案内板を挟んで積層するように回転軸に固定された複数の回転羽根と、円筒状の容器下方に位置する前記レール案内板に沿って前記容器の両端面から内側に突出したリブ部とを有し、前記リブ部が前記複数の回転羽根のうち積層方向の外側に位置する回転羽根を積層方向の外側から内側に向けて支持している請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項4】
取出口には、前記取出口の略上方端縁部分に回転自在に設けられた蓋体と、前記蓋体に外部からストレーナ側へ押し付ける力を与える加圧手段とを有している請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項5】
流入口から容器内へ繋がる投入通路は、断面積が前記流入口から下方の容器に向かって増加している請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項6】
投入通路から容器内への出口は、回転羽根の回転方向の下流側に角状切断部を形成している請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項7】
流入口または投入通路は、回転軸の直径方向の長さが短くなる矩形形状に開口した請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項8】
流入口または投入通路の容器筒方向長さは、前記容器自身の筒方向長さより短く形成した請求項7に記載の固液分離装置。
【請求項9】
排水栓には、液体が通過する排水路を設けている請求項1〜8のいずれか1項に記載の固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−125437(P2010−125437A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306006(P2008−306006)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】