説明

圃場用簡易水門

【課題】 用排水路と田面間の畦の埋設され、設置周辺の畦の洩水を防止するとともに設置位置に固持される圃場用簡易水門を提供すること。
【解決手段】 縦断面視U字状で所要長さのフリューム本体1の長手方向一端部外周にフランジ2を周設し、両側壁4の内面に所要間隔で二対の内溝5を対向縦設するとともに、外面に外溝6を縦設して成るフリューム7は、内溝5に止水板8を着脱自在に嵌着して止排水を図り、外溝6に嵌着される外側止水板9は前記フランジ2と協働して畦14にフリューム本体1を位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の畦に埋設される水門に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場の畦を横断して用排水路からの取水及び田面内の水を止水する水門の例は、特開2001−348850号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1の水門は縦断面U状のベンチフリュームの一側面が切除されて側面部が突出形成され、側面部の内側側面に対向して形成された凹部に止水板が取り付けられ、止水板に設けた透孔に円筒状の通水管が溶接され、透孔の前面に設けた蓋部材で透孔を開閉自在にして成る。
上記水門は用排水路と一体であるため、一般的な取水路と田面間及び田面と用排水路間の水門として使用するには大掛りな工事が要求されるという問題がある。
【特許文献1】特開2001−348850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は用排水路と田面間の畦に埋設され、設置周辺の畦の洩水を防止するとともに設置位置に固持される圃場用簡易水門を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載した圃場用簡易水門は、縦断面視U字状で所要長さのフリューム本体の長手方向一端部外周にはフランジを周設し、両側壁の内面には内溝を対向縦設し、外面には外溝を縦設して成るフリュームと、前記内溝に着脱自在に嵌着される止水板と、外溝に嵌着される外側止水板とから成る。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した圃場用簡易水門において、
前記フリューム本体の長手方向の他端面に、該フリューム本体と同一縦断面形状で所要長さの接続フリュームを相互の接続手段を介して接続して成る。
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した圃場用簡易水門において、前記接続フリュームの外端部の両側壁上面に下り勾配の傾斜面を形成して成る。
【発明の効果】
【0005】
本発明の圃場用簡易水門によれば、フリューム本体のフランジと外溝に嵌着されて土中に打ち込まれる外側止水板によって畦に簡単に位置決め固定されるとともに、フリューム本体のフランジ2と外側止水板9とによりフリューム本体の側面及び下方からの洩水防止と畦の法面崩れを防止し、畦幅が長尺な場合はフリュームに接続フリュームを接続することで対応でき、内溝に嵌着される止水板は木質の膨張により内溝との水密性が確保されて止水でき、接続フリュームの外端部が畦の側面の傾斜ブロックに突出するものは、その両側壁の上面が傾斜面に形成されているので傾斜ブロックの傾斜に馴染んで外観調和が図られる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
プレキャストコンクリート製のフリューム本体の両側壁の内外面に縦設される内溝及び外溝は、それぞれ外端を広幅(20mm)とし、所要深さ(10mm)で所要の底幅(15mm)のテーパ状に形成され、フリューム本体と接続フリュームとの接続部は、フリューム本体の他端面に連続して設けた凹溝に、接続フリュームの内端面に連続して設けた凸条を嵌着して成り、接続フリュームの長手方向の寸法は短尺のものから長尺のものまであり、フリューム及び接続フリュームの上面開口部に蓋板を被蓋するものがある。
【実施例】
【0007】
本発明の圃場用簡易水門Aの実施例を説明すると、図1に示すように、縦断面視U字状で所要長さのフリューム本体1の一端部にはフランジ2を周設し、他端面には接続手段の溝部3が内周面にU状に凹設され、両側壁4の内面にはテーパ状の内溝5が所要間隔の2個所に対向縦設されるとともに、外面にもテーパ状の外溝6が両内溝5の略中間位置に対向縦設されて成るフリューム7と、内溝5にその両端を着脱自在に嵌着して止水する止水板8と、それぞれの外溝6に嵌着して長手方向の位置決めをフランジ2と協働して成す外側止水板9とから成る。
【0008】
前記フリューム本体1の他端面に接続される接続フリューム10は、図2に示すように、フリューム本体1と同一の縦断面視U字状でその一端面(内向端)にフリューム本体1の溝部3に嵌着される接続手段としての凸部11をU状に設けて成る。
【0009】
図3に示すように長尺の接続フリューム12は、フリューム本体1と同一の縦断面視U字状で接続フリューム10より長尺で、その外端部の両側壁4の上面を下り勾配の傾斜面13として成り、その一端面にはフリューム本体1の溝部3に嵌着される凸部11をU状に設けて成る。
畦の幅が短尺な場合には、図1に示したフリューム本体1の他端面に溝部3の形成されないフリューム7と、止水板8と、外側止水板9とから成る圃場用簡易水門(図外)が提供される。
【0010】
このようにして成る圃場用簡易水門Aは、図4、図5に示すように、畦14を幅方向に掘り抜いた凹部15に、フランジ2を田面16に面した状態でフリューム7が埋設され、両側壁4の外面の各外溝6に一端を嵌着した外側止水板9も埋設され、フランジ2と協働して畦14の幅方向の位置決めが図られる。2個所の内溝5には各止水板8の両端が嵌着されて田面16の水が止水される。引き上げられると、田面16の水は畦14の外方の傾斜法面に設けた傾斜ブロック17の案内溝18に案内されて用排水路19に排水される。
図5の仮想線で示すように、接続フリューム10の突端側の両側壁4の上面に傾斜面13を形成した接続フリューム12を用いれば、傾斜ブロック17の傾斜に馴染んで外観調和が図られる。フリューム7及び接続フリューム10,12の上面の開口部には蓋板(図外)が被蓋される。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明の圃場用簡易水門は、既設の用排水路と田面間の畦や、新設の圃場の畦において用排水路に限定されることなく簡易に施工できるので、広く需要が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る圃場用簡易水門Aの説明用斜視図。
【図2】接続フリュームの斜視図。
【図3】他の接続フリュームの斜視図。
【図4】圃場用簡易水門Aの使用状態の要部平面図。
【図5】図4のA−A矢視断面図。
【符号の説明】
【0013】
1:フリューム本体
2:フランジ
3:溝部
4:側壁
5:内溝
6:外溝
7:フリューム
8:止水板
9:外側止水板
10:接続フリューム
11:凸部
12:接続フリューム
13:傾斜面
14:畦
15:凹部
16:田面
17:傾斜ブロック
18:案内溝
19:用排水路
A:圃場用簡易水門

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦断面視U字状のフリューム本体の長手方向一端部外周にはフランジを周設し、両側壁の内面には内溝を対向縦設し、外面には外溝を縦設して成るフリュームと、前記内溝間に着脱自在に嵌着される止水板と、各外溝に嵌着される外側止水板とから成る圃場用簡易水門。
【請求項2】
前記フリューム本体の長手方向の他端面に、該フリューム本体と同一縦断面形状の接続フリュームを相互の接続手段を介して接続して成る請求項1記載の圃場用簡易水門。
【請求項3】
前記接続フリュームの外端部の両側壁上面に下り勾配の傾斜面を形成して成る請求項2記載の圃場用簡易水門。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−214225(P2006−214225A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−30145(P2005−30145)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(391002007)福田ヒューム管工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】