説明

園芸用土の滅菌・殺虫装置

【課題】
本発明の課題は、用土を供給するだけで、滅菌・殺虫処理を行い他の容器等に送り出してくる園芸用土の滅菌・殺虫装置を提供することである。
【解決手段】
本発明の園芸用土解し装置は、水平に対して傾斜し、架台に回転可能に支持された円筒又はドラムと、この中に入れられた用土を撹拌すると同時に傾斜に沿って下方向に送り出すために円筒又はドラムの回転を行う回転駆動手段と、円筒又はドラムの内側に用土を供給する用土供給口と、撹拌され送付される用土を滅菌・殺虫する滅菌・殺虫手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの園芸用土を滅菌・殺虫を行い再使用するための園芸用土の滅菌・殺虫装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
園芸用土は、一度使用すると、用土の中に細菌が繁殖或いは、夜とう虫などの植物をク荒らす虫が成虫或いは卵の形で存在する。そのため、そのまま次の植栽に使うと植物に障害を引き起こす。これを予防する目的で、使用前に用土を加熱処理することはよく知られている。特許文献1では、表土を掘り起こして採取し、滅菌・殺虫して戻す機械装置が提案されているが、畑のような土壌に適用するものなので、大掛かりな装置となっている。ポット等に使用された用土は、掘り起こすなど余分処理は不要であり、単に滅菌・殺虫を行える装置が欲しいのであるが、これに対応する装置は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−85928
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、用土を供給するだけで、滅菌・殺虫処理を行い他の容器等に送り出してくる園芸用土の滅菌・殺虫装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の園芸用土の滅菌・殺虫装置は、水平に対して傾斜し、架台に回転可能に支持された円筒又はドラムと、この中に入れられた用土を撹拌すると同時に傾斜に沿って下方向に送り出すために円筒又はドラムの回転を行う回転駆動手段と、円筒又はドラムの内側に用土を供給する用土供給口と、撹拌され送付される用土を滅菌・殺虫する滅菌・殺虫手段を有することを特徴とする。
【0006】
請求項1記載の発明は、園芸用土の滅菌・殺虫装置であって、架台100と、水平に対して傾斜し、前記架台に回転可能に支持された円筒又はドラムと、前記円筒又はドラムの中に入れられる用土を撹拌すると同時に前記傾斜に沿って下方向に送り出すために前記円筒又はドラムの回転を行う回転駆動手段と、前記円筒又はドラムの中に用土を供給する用土供給容器と、前記撹拌され送付されるときに前記用土を滅菌・殺虫する滅菌・殺虫手段を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の園芸用土の滅菌・殺虫装置において、前記架台に固定され、前記円筒又はドラムを支持する穴部を有するか、又は複数片を有するところの前記円筒又はドラム支持具と、前記円筒又はドラムに固定され、前記円筒又はドラム支持具に回転移動可能に接触することで、前記円筒又はドラムが前記円筒又はドラム支持具から抜け落ちないようにするところの抜け落ちストッパを有することで前記円筒又はドラムを前記架台に回転可能に支持したことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の園芸用土の滅菌・殺虫装置において、前記用土供給容器は、前記用土を外部から供給するための上穴と、前記円筒又はドラムに前記用土を供給する下穴と、前記下穴に挿入板の挿入状態により前記下穴の間口を調節できる穴調節手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の園芸用土の滅菌・殺虫装置において、前記円筒又はドラムの回転中に前記用土が滑らずに持ち上げられて上側にて落下することで攪拌を行わせるために、前記円筒又はドラムは、前記円筒又はドラムの側内面から立ち上るように備えられ、長さ方向に伸びた複数の板片からなる用土滑り防止板を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の様に構成されているので、本発明の園芸用土の滅菌・殺虫装置では、用土供給口に投入された用土が、円筒又はドラムの中で回転攪拌され、下方に移動する間に滅菌・殺虫手段により、滅菌・殺虫され、円筒又はドラムの下側出口から送出され、再利用がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による園芸用土の滅菌・殺虫装置の一実施態様を示す図である。
【図2】本発明による園芸用土の滅菌・殺虫装置の別の実施態様を示す図である。
【図3】本発明による園芸用土の滅菌・殺虫装置の円筒又はドラムの架台への取り付け状態の一実施態様を示す図である。
【図4】本発明による園芸用土の滅菌・殺虫装置の円筒又はドラムの内側構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による園芸用土の滅菌・殺虫装置は、水平に対して傾斜し、架台に回転可能に支持された円筒又はドラムと、この中に入れられた用土を撹拌すると同時に傾斜に沿って下方向に送り出すために円筒又はドラムの回転を行う回転駆動手段と、円筒又はドラムの内側に用土を供給する用土供給容器と、撹拌され送付される用土を滅菌・殺虫する滅菌・殺虫手段を有することを特徴とする。以下、実施例で説明する。
【0013】
図1は、本発明による園芸用土の滅菌・殺虫装置の一実施態様を示す図である。1−Aにおいて、架台100と、これに回転自在に支持された円筒又はドラム110と、円筒又はドラムの内側に用土を供給する用土供給容器120と、円筒又はドラムの回転を行う回転駆動手段130と、撹拌され送付される用土を滅菌・殺虫する滅菌・殺虫手段140を有している。
【0014】
先ず、円筒又はドラム110は、円形の穴を有する円筒又はドラム支持具111の円形穴に挿入され、回転自在に支持されている。円筒又はドラム支持具111は架台100に固定されているので、円筒又はドラム110も架台100に対して回転自在に支持されていることになる。円筒又はドラム支持具111は、図のように円形穴の開いた円板状でなくともよい。例えば、1−Bに示すように、円筒又はドラム110を3方向から支持する支持板111Bのように、回転自在に支持できるものなら使用できる。円筒又はドラム110は回転するが、このときに円筒又はドラム支持具111から抜け落ちないように、抜け落ちストッパ112が付いている。抜け落ちストッパ112は、円筒又はドラム110に固定され、円筒又はドラム支持具111に接触して引っかかっているので、抜け落ちを防止している。尚、図3は、本発明による園芸用土の滅菌・殺虫装置の円筒又はドラムの架台への取り付け状態の一実施態様を示す図であるが、このような事情が分かりやすいように、円筒又はドラム110、円筒又はドラム支持具111、抜け落ちストッパ112の周辺のみを拡大して示している。
尚、この例では、円筒又はドラム110の側面には、用土供給容器120の下穴122との相対位置に用土取り入れ穴113が開いている。
円筒の上端は開放穴がなく閉じていても、下端が用土送出穴として開いていれば、可能である。ドラムは、上端と下端のうち、少なくとも、下端に用土送出穴114を有する。
又、円筒又はドラム110は、回転につれ、用土が用土送出穴114側に移動するように、水平に対して傾斜し取り付けられるが、その傾斜角は、図においてαで示されている。この角度は、用土の移動の速さに関係するので、角度は結果を見ながら予め調節して固定しておく。なお、用土が用土送出穴114側に移動するようにするに、円筒又はドラム110を回転する例を示したが、回転の代わりに振動を加えることも効果がある。但し、振動のみでは、用土の攪拌が進みにくい。
【0015】
用土供給容器120は、用土を外部から供給するための上穴121と、円筒又はドラム110に用土を供給する下穴122の開いた容器である。尚、1−Cに断面で示すように、下穴122には、例えば、挿入板の挿入状態により穴の間口を調節できる穴調節手段123を備えると、処理の送出条件を調節できて好都合である。
回転駆動手段130は、手動又は電気又はガソリン等のエネルギーで駆動されるモーター等のエンジン131とその回転を円筒又はドラム110に伝える回転伝達手段132を有する。この図では、回転伝達手段132は、円筒又はドラム110に固定された円板又はプーリー133と、エンジン131の回転軸に固定したエンジン側円板又はプーリー134とに掛けられた伝達ベルト135を有している。
【0016】
滅菌・殺虫手段140は、加熱装置又は紫外線照射装置が使用できる。加熱装置では、例えば、130℃で加熱されるが、市販のバーナー、赤外線ランプや熱風供給器が利用できる。紫外線照射装置では、市販の紫外線ランプが使用できる。
【0017】
このような装置では、用土供給容器120に投入された用土は、下穴122から用土取り入れ穴113を経由して、円筒又はドラム110内に落ち込み、円筒又はドラム110の回転により、傾斜した円筒又はドラム110の下側に攪拌されながら移動する。移動間、加熱装置又は紫外線照射装置などの滅菌・殺虫手段140により処理を受けて滅菌・殺虫
され、円筒又はドラム110の下側の用土送出穴から移動し、外部の容器150に貯められる。
【0018】
図2は、本発明による園芸用土の滅菌・殺虫装置の別の実施態様を示す図である。
図1とほとんど同じなので、違いのみを説明する。円筒又はドラム110には、用土取り入れ穴113が円柱側面にはなく、用土供給容器120の下穴122を通過した用土が導入管202を介して、上端201に開いた用土取り入れ穴113Bから導入するようにしたものである。
【0019】
図4は、本発明による園芸用土の滅菌・殺虫装置の円筒又はドラムの内側構造を示す図である。図1及び図2の例では、円筒又はドラム110については、内部については言及しなかったが、4−Aのように単に空間401があいているものが考えられるが、4−Bのように、内部の空間に複数の用土滑り防止板402を有するものも備えると以下のように好都合である。4−Aのものでは、回転につれて、土が円筒又はドラムの内面滑って攪拌されない恐れもあるが、4−Bでは、用土滑り防止板402で円周方向が区分けされているため、回転しても用土が持ち上げられて次第に上側に移動し、落下するので、攪拌が行われる。攪拌により、滅菌・殺虫が十分に行われる。尚、用土滑り防止板402は、円筒またはドラムの側内面から立ち上るように備え、長さ方向(中心軸に平行な方向)に伸びた板片となっている。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上のように本発明に係る園芸用土の滅菌・殺虫装置では、用土供給口に投入された用土が、円筒又はドラムの中で回転攪拌され、下方に移動する間に滅菌・殺虫手段により、滅菌・殺虫され、円筒又はドラムの下側出口から送出され、再利用がなされるので、極めて有効であり産業上利用性が極めて大きい。
【符号の説明】
【0021】
100 架台
110 円筒又はドラム
111 円筒又はドラム支持具
111B 支持板
112 抜け落ちストッパ
113、113B 用土取り入れ穴
114 用土送出穴
120 用土供給容器
121 上穴
122 下穴
123 穴調節手段
130 回転駆動手段
131 エンジン
132 回転伝達手段
133 円板又はプーリー
134 エンジン側円板又はプーリー
135 伝達ベルト
140 滅菌・殺虫手段
150 外部の容器
201 上端
202 導入管
401 空間
402 用土滑り防止板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台100と、水平に対して傾斜し、前記架台に回転可能に支持された円筒又はドラムと、前記円筒又はドラムの中に入れられる用土を撹拌すると同時に前記傾斜に沿って下方向に送り出すために前記円筒又はドラムの回転を行う回転駆動手段と、前記円筒又はドラムの中に用土を供給する用土供給容器と、前記撹拌され送付されるときに前記用土を滅菌・殺虫する滅菌・殺虫手段を有することを特徴とする園芸用土の滅菌・殺虫装置。
【請求項2】
前記架台に固定され、前記円筒又はドラムを支持する穴部を有するか、又は複数片を有するところの前記円筒又はドラム支持具と、前記円筒又はドラムに固定され、前記円筒又はドラム支持具に回転移動可能に接触することで、前記円筒又はドラムが前記円筒又はドラム支持具から抜け落ちないようにするところの抜け落ちストッパを有することで前記円筒又はドラムを前記架台に回転可能に支持したことを特徴とする請求項1記載の園芸用土の滅菌・殺虫装置。
【請求項3】
前記用土供給容器は、前記用土を外部から供給するための上穴と、前記円筒又はドラムに前記用土を供給する下穴と、前記下穴に挿入板の挿入状態により前記下穴の間口を調節できる穴調節手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の園芸用土の滅菌・殺虫装置。
【請求項4】
前記円筒又はドラムの回転中に前記用土が滑らずに持ち上げられて上側にて落下することで攪拌を行わせるために、前記円筒又はドラムは、前記円筒又はドラムの側内面から立ち上るように備えられ、長さ方向に伸びた複数の板片からなる用土滑り防止板を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の園芸用土の滅菌・殺虫装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−110292(P2012−110292A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263163(P2010−263163)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(396020132)株式会社システック (101)
【出願人】(510312684)
【Fターム(参考)】