説明

土壌を健康にする培養液の製法

【課題】 過剰な農薬と化学肥料による栽培を続け、土壌に大切な善玉菌、有用微生物群が死滅し減少した畑に、有機物を施しても望ましい発酵型分解が行われない状況にある。有用微生物群を増殖させ、有機栽培に必要な健康な土壌作りを解決しようとするものである。
【解決の手段】 善玉菌の有用微生物群が増殖に必要な養分液として、ステビア茎葉根・エゾウコギのエキスを始め穀物・果物類・野菜類など60種以上からの抽出液に、オリゴ糖・黒砂糖などを加え、各種微生物・菌類の繁殖に適した低温30〜40℃の培養液に、有用微生物群・褐色腐朽菌・白色腐朽菌・遊離窒素固定菌・VA菌根菌などを混ぜ、バランスよく繁殖させた培養液を作る。
特製の有機肥料又は市販の有機肥料に適量を混ぜ、良く攪拌してから施肥するものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
この発明は農薬や化学肥料の乱用により荒廃した土壌に、有機物を発酵分解させる有用微生物群、木質部のセルロースやリグニンを分解する褐色腐朽菌・白色腐朽菌、大気中の遊離窒素固定菌、土壌中の不溶性燐酸を可溶性に分解するVA菌根菌などを共生培養した培養液を、有機物に混ぜ施肥することにより、荒廃した土壌を健康な土壌に改善しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来実施されているものとしては、遊離窒素固定菌として豆科作物の大豆根粒菌・ささげ豆根粒菌として単独でそれぞれの種子に展着使用するものがある。バーク堆肥としてオガクズやチップが利用されているが、木質部のセルロースやリグニンを分解できる褐色腐朽菌・白色腐朽菌の生息していない畑に施用しても無駄であり、逆に作物に窒素飢餓をもたらすものである。日本のように火山灰土の多い畑では、燐酸肥料を施肥しても鉄やアルミニユムと結合して不溶性燐酸となり作物に利用されないままに、毎年増肥を続けなければならない状況であるが、その解決策は無い。土壌中に不足している微生物菌類を人工的に共生増殖して畑に用いるなどの方法は全く考えられていない。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は開拓当初の土壌のように耕土1g中に10億個を有する豊かな有用微生物群を住み着かせたい。セルロースやリグニンなど硬い木質部を分解する菌類を収集、大気中の遊離窒素固定菌で共生根粒菌・単独固定菌などを収集、土壌中の利用できない不溶性の燐酸を可溶性に溶解するVA菌根菌などを、同一の培養液の中で増殖共生させる培養液を作る。次いでこれら増殖共生培養液を有機物に混ぜ休眠状態とし長期間保存できるようにする。従来堆肥を作る際70℃を越える高熱発酵をさせ殺菌効果を高めると言われているが。発酵には高温は必要ない事を正したい。高温に耐えない有用微生物群の菌が死滅し高温に耐える悪玉菌だけが残り、更に高温により有機物中の肥料養分の窒素などが揮発してしまうことから、有機物肥料の低温30〜40℃における発酵処理技術の開発。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の土壌を健康にする培養液に対する構成について説明する。
【0005】
第1例
培養液は各種の微生物や菌類が増殖に必要な養分液として、ステビア茎葉根のエキス・エゾウコギのエキス・穀物類・果物類・野菜根菜類・野性木の実等60種類以上のエキスにオリゴ糖・黒砂糖などにより調整液を作る。
【0006】
第2例
土壌中の有用微生物を増殖させるために。有用微生物群・褐色腐朽菌・白色腐朽菌・遊離窒素共生窒素固定菌・単独窒素固定菌・VA菌根菌等の収集。
【0007】
第3例
第1例の培養液の中で第2例の有用微生物群と菌類を共生増殖させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態について述べると。従来利用されている大気中の遊離窒素固定菌として豆科の大豆根粒菌とササゲ豆根粒菌くらいで、大気中の約70%を占める遊離窒素がそのままにされている。この無尽蔵の遊離窒素を土壌中に作物と共生する窒素固定菌や単独の窒素固定菌を増殖させ、大気中の遊離窒素を再利用させるものである。VA菌根菌を土壌中に繁殖させることにより今まで不溶性燐酸として存在していた燐酸をVA菌根菌による再利用。バーク堆肥の中のセルロースやリグニンはキノコ菌の腐朽菌が着いていない限り、何十年でもそのままの状態を保つ特徴がある、キノコ菌の廃材処理が期待できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果について述べる。従来の土壌改良材と言われるものは、酸性土壌を中和する石灰などのように対照的な療法で根本的に土壌を改善しょうとするものでない。何故、有機栽培が必要なのか。地球の環境問題もさることながら、今問われているものは。何のためにこんなに農薬を使わなければならないのか、何故こんなに化学肥料を使わなければならないのかである。口先では地球の環境問題を唱えながら、一向に農薬は減らず一層強力な危険なものに改悪されているのである。本発明は地球環境に優しく、健康な土壌を作ることにより、農薬を減らし、化学肥料をも減らし、作物が喜ぶ善玉菌、有用微生物群に包まれた土壌で有機栽培を進めることにある。
【0010】
第4例
バーク堆肥のようにチップやオガクズの中にセルロースやリグニンのような硬い木質部は100℃の熱を加えても分解させることは出来ない。しかし、キノコ菌の腐朽菌である褐色腐朽菌・白色腐朽菌によれば短期間で分解できるのである。今後建物解体廃材や台風などによる風倒木・流木・間伐枝打ち材などのチップをキノコ菌の腐朽菌によって分解させ立派な有機物として再利用できる。
【0011】
第5例
大気中遊離窒素固定菌には特定の植物と共生して遊離窒素を固定利用するものと、単独で土壌に住み着いて遊離窒素を固定するものなど多数存在する、これらの遊離窒素固定菌が土中に住み着きやすいように、有機物と共に土壌に施すとよい。固定された窒素は作物に吸収利用され残った窒素は土中に貯えられ作土を肥沃化する。作物を収穫した後の休耕地に豆科植物の赤クローバー等の種子を散播すると休耕期間中に大気中の遊離窒素を固定するなど、作物を栽培できないような低温でも遊離窒素固定菌は働いてくれる。
【0012】
第6例
VA菌根菌が土壌中に繁殖すると作物の根と有効微生物群との仲立ちをし双方の活性化を図る。燐酸は土中の鉄やアルミニウム等と結合して不溶性の燐酸となることから、毎年必要量以上に施肥しなければ不足するものと考えられていたがVA菌根菌が土中に住み着けば、VA菌根菌が徐々に不溶性の燐酸を可溶性の燐酸として作物に吸収利用される効果がある。
【0013】
第7例
現状の土壌は除草剤を始め病気の農薬・害虫の農薬、更に化学肥料での栽培、かっての開拓時代のような土壌全体が善玉菌即ち有用微生物群で占められ、畑の隅々までキノコが出たのを近年見ることが出来ない。不気味な農薬の臭いのする畑とお別れし、養分液に有用微生物群を増殖した善玉菌入りの、本発明の培養液を有機物と共に施用することにより、病弱な土壌を健康な土壌に改良する効果。
【0014】
第8例
本発明培養液の利用方法として、建築廃材や台風等による大量の風倒木や流木を一気に処理出来ない場合などは、原木のまま本発明の培養液1000倍希釈を全面に散布し野積みして放置する間に、有用微生物群と腐朽菌が繁殖しセルロースやリグニンが分解され軟らかくなった時点でチップとして有機物の原料とする
【0015】
第9例
有機物原料の牛糞・鶏糞・発酵肉骨粉・腐葉土その他有機物を発酵過程で本発明の培養液の500〜1000倍希釈で低温で発酵させ有機肥料が作られる。
【0016】
第10例
従来の市販されている有機質肥料に本発明の培養液を均一に散布攪拌し施肥すると肥料効果を高め、健康な土壌に改良することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有用微生物群・褐色腐朽菌・白色腐朽菌・遊離窒素固定菌及びVA菌根菌等を同一培養液内で増殖させるものである。

【公開番号】特開2006−238864(P2006−238864A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99650(P2005−99650)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(503194370)
【Fターム(参考)】