土壌改良剤、それを用いた土壌改良方法及びその他の使用方法
【課題】 天然ミネラル鉄分主体の土壌改良剤及びその鉄分安定化方法の提供。
【解決手段】 主成分が塩化マグネシウム、硫酸第一鉄であることを特徴とし、さらにカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、ストロンチウムを含むことを特徴とする土壌改良剤及び土壌改良剤にミョウバンを添加することによる硫酸第一鉄(二価鉄)の安定化方法。
【解決手段】 主成分が塩化マグネシウム、硫酸第一鉄であることを特徴とし、さらにカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、ストロンチウムを含むことを特徴とする土壌改良剤及び土壌改良剤にミョウバンを添加することによる硫酸第一鉄(二価鉄)の安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、土壌の改良剤に関し、特に無機材料により、土壌の大幅な改良を可能とした改良剤に関する。さらに、その改良剤のその他の使用方法も提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、土壌において見られる障害としては、連作障害、塩類集積障害、病害虫被害、未熟有機物分解時におけるアンモニア(窒素)ガス発生による障害、など多くのものがある。
しかしこれらを改良することは容易ではなく、化学肥料の使用によっては一時的に採取量の改善が見られても、結局土がやせてしまったり、人畜に対する薬害が問題となったりと、問題点を抱えていた。また種々の土壌改良資材は存在するが、それぞれ特定の用途、pHの矯正、土壌団粒化促進、透水性の改善、保水性の向上、陽イオン交換容量の増大など限られた範囲での効果しかなく、さらには非常に高価であったりと問題があった。
【0003】
さらに、化学肥料に頼らない天然由来の素材で土作りを基本とした有機農法が維持できる、すなわち有機認証が取得可能な土壌改良剤が望まれていた。従って、本発明は用途が広範囲にわたり、安価で安全な無機素材の土壌改良剤を提供するものである。
【0004】
また、土壌改良剤の使用にあたっては、使用する土壌ごとに、土壌の状態は異なるため、使用しようとする土壌に最適な使用量については、勘に頼るしか方法が無かったところ、本発明においては、誰にでもわかり易く、使用する土壌に最適の使用量が簡単にわかる使用方法を開発している。この方法により、無駄なく、土壌改良剤の使用が可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−75848号 上記特許出願は、本願と同様な土壌改良剤でありますが、主にゼオライトを用いたものであるため、基本的な構成が本願とは異なるものである。また、本願の特徴であるニ価鉄の安定化方法は記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、土壌の改良において最も重要な土壌のpH調整は、生石灰・硫黄等を用いて行っていたが、硫黄を使用すると石灰の塊(チョーク状)ができていた。これは生石灰をpHの調整に使用するために起こる。生石灰が土壌と混ぜ合わされることで消石灰に変わり、多量の水分を吸収し、時間とともに石灰と土がしっかりと結合し、硬くなる。この状態で硫黄を使用するため、土壌中にチョーク状のものができる。また、一部の試験場では硫酸を使用しているが、一般の生産者では硫酸は危険で扱いにくい。したがって、石灰の塊が出来ず、危険でないpHの調整方法が望まれていた。
pHの調整資材は他にもあるが、本発明の土壌改良剤の土壌に対する効果はそれとは比較にならないほどのよい結果をもたらしている。
例えば、根圏のリン酸飢餓を解消する。つまり、土壌中に施用されたリン酸は鉄やアルミとすぐに結合し、不溶性となる(水に溶けないということは根からも吸収されない)。しかし本発明の土壌改良剤を使用することにより酸根とリン酸が置換、溶解し、鉄やアルミと結合していたリン酸が遊離する。するとリン酸は可溶性に変化し根から吸収されやすい形態になる。
同時に、リン酸と鉄が結合していたために土壌中で植物に利用されなかった鉄が本発明の土壌改良剤の溶解作用(酸による効果が大きい。ちなみに、土壌中の反応が中性ないし、アルカリ性になると鉄は不溶性に変わり吸収が妨げられるということから土壌中のpHを下げることにより鉄が有効化する)により、より吸収しやすい状況となる。さらに本発明の土壌改良剤に含まれる二価の鉄が植物に直接働きかけるため、植物中葉緑体のリンタンパクと結合し、葉緑素の形成に大きく貢献する。さらに植物体中に適度に鉄分が吸収されると、酸化と還元(Fe2+とFe3+)とに相互変化が活発化するため、植物体も活性化される。
軟弱野菜や塩基に弱い植物の窒素過剰害が増加傾向にあるが、鉄を安定して供給することにより窒素の代謝作用を大幅に改善することができる。植物体の鉄が欠乏すると
タンパクの合成反応が阻害され、植物体内にて可溶性窒素化合物が蓄積するため病気にかかりやすくなる。
さらに、リン酸肥料過多時における植物体内の鉄欠乏症も未然に防止できる。(植物中でもリン酸が過剰に吸収されると、土壌中と同じように鉄と結合する。するとリン酸だけが過剰に吸収されているため、鉄が不足する。)
また、土壌改良剤は、一般に土壌の改良にのみ作用し、農家、畜産農家にとって必要なその他の消臭作用や、防虫作用を望む場合は、別の化学薬品を購入しているのが一般であった。従って、多用途に使用可能な、天然由来成分の改良剤が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の土壌改良剤は、主成分が塩化マグネシウムおよび硫酸第一鉄であり、天然ミネラル鉄分主体であることを要旨とする。
【0008】
本発明の土壌改良剤は、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、塩素、ストロンチウムを含むことを要旨とする。
【0009】
本発明の完熟堆肥・肥料製造方法は、牛糞、鶏糞、豚糞、魚粉、油粕、おがくず、米ぬかの少なくとも2種以上をよく攪拌配合し、小高く積み上げ、これに請求項1から2記載の本発明の土壌改良剤を200倍に希釈した溶液を材料がしっとりと湿る程度にかけ、ビニールを表面にかぶせ、期間をおき、時々切り替えしを行い、アンモニア臭が消えるまで土壌改良剤の散布と切り替えしを行うことを要旨とする。
【0010】
本発明の土壌改良剤の最適使用量決定方法は、以下の手順で行うことを要旨とする。改良しようとする土壌を複数箇所より採取し、それに2倍の分量の水を加え、それを200ccの観察用のグラスまたはビーカーに4−5分割して、それぞれに本発明原液の土壌改良剤を1ccから順に1cc毎に増加して加え、観察対象のグラス・ビーカー内の水が最も早く澄んだものを決定し、当該グラス・ビーカーの添加分量×20Lを10aあたりの本発明の土壌改良剤の必要分量として算出することを要旨とする。
【0011】
本発明の土壌改良方法は、請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を、100倍から1000倍の希釈液にし、水田、畑地、果樹の土壌に定期的に散布することを要旨とする。
【0012】
本発明の土壌改良方法は、請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を用いて、土壌のpH調整を行い、pHを5.0から7.5の適正値に調整する土壌の改良を行うことを要旨とする。
【0013】
本発明の消臭方法は請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を、100倍の希釈液にし、畜舎、蓄糞尿布、厩肥舎など悪臭の発生する場所への散布することを要旨とする。
【0014】
さらに本発明は ミョウバンを用いて硫酸第一鉄を安定化させたことによる液体二価鉄の製造法を要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は鉄を主成分とした液体であるため、液体そのものも濃度に関わらず無害であり、有機農法が維持でき、液状で二価の鉄を安定させたという理由で含鉄液体土壌改良資材としての保存性がある。特に本土壌改良剤は緑色の液体であり、これは二価鉄を安定して多く含むことを意味している。二価鉄は植物に直接作用し、吸収されるため、酸素と結合している三価鉄より好ましい。
また本発明の土壌改良剤は強酸性であるため(pH1.42)、農薬や化学肥料の多投でアルカリ性に傾いた土壌(約pH7.1〜)を中和し、適正値(約PH5.0〜7.5))に保つことが可能となる。さらに、成分中に植物に必要な微量元素であり、葉緑素の構成元素であるマグネシウムを有する。そのため、光合成を高め、生育を促進し、微生物の活性化を促進する。また、マグネシウムは酵素の活性化に重要な元素であり、かんがい水や雨水に溶けて流亡しやすいため、本発明による補給が土壌にとって効果的となる。その結果、収穫物の糖度・秀品率・日持ち等が大幅に向上し土壌を保肥力の高い団粒構造にする。さらに、本発明に含まれるミョウバンの作用により、防腐効果、殺菌効果があり、水質浄化作用もある。さらには、蓄舎、蓄糞尿布、厩肥舎など悪臭の発生する場所への散布により、消臭効果がある。本願発明は、土壌の改良のほかに消臭、防虫、ハエ、蛆の発生防止などの効果も備えているため、多用途に使用可能で非常に好ましい。また、塩類集積土壌における過剰な塩基を中和し土壌水中のpHを適正に保つことが可能となる。その結果土壌は、pH依存型の特定病原菌や病害虫の増加を抑え連作が可能となり好ましい。さらに、本発明により処理した種子は、発根量が増し、秀逸な作物が生産可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は液体であり、塩化マグネシウムに硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)と鉄ミョウバン、硫酸第一鉄を混合して作られる。混合割合は、以下に示す。
本発明の液体約(原料の比重が水より重いためと製造中に蒸発する水の量が多いため)1L製造に必要な原料は以下の通りである。
水590gを沸騰させる。沸騰している中にカリミョウバン約5gを溶かす。続けて鉄ミョウバン約5gを溶かす。よく攪拌しそれらが完全に溶けたら硫酸第一鉄150gを溶かす。硫酸第一鉄が完全に溶けたら塩化マグネシウム250gを溶かす。この作業の間は加熱を続ける。
最後の塩化ナトリウムの添加が終了し、よく混ぜ合わせたら加熱を止める。常温で24時間以上経過すると液体が緑色透明に変化し、下部には鉄錆色の沈殿物ができる。
上澄みの緑色透明の液体が本発明の土壌改良剤である。
鉄ミョウバン 約5g
カリミョウバン 約5g
硫酸第一鉄 約150g
塩化マグネシウム 約250g
水分 590g
これらの成分はそれぞれ、鉄分として、硫酸第一鉄、鉄ミョウバンを使用し、カリミョウバンにより防腐効果、殺菌効果、水質浄化作用、アンモニア臭の中和分解、消臭作用、細胞の引き締めと水揚げを良くする効果を得、マグネシウムにより微生物の活性化と光合成の活発化の作用を示す。それにより、消臭効果や防虫効果が認められる。
【0017】
この混合割合が最適であるが、その理由としては、カリミョウバンがこれ以上増加すると、カリ過剰によるマグネシウム欠乏(拮抗作用)の障害を誘発すると考えられ、肥料として使用する資材ではない為に不適切である。少なすぎると硫酸第一鉄がうまく安定しない。また、2種類のミョウバンを用いた理由としては、まず、鉄ミョウバンを使用した理由としては、本発明の主な成分を鉄分にするため、硫酸第一鉄を利用するとともに鉄ミョウバンを使用した。硫酸第一鉄とカリミョウバンだけでは鉄分が少なく、さらに本発明の液体が酸化しやすいと考え、化合物である鉄ミョウバンを加えた。硫酸第1鉄については、以前より含鉄土壌改良剤として利用されていることと、植物にとって非常に重要な要素であるという点を、マグネシウムと組み合わせること(酸に塩を溶かし込むこと)によりさらに改良し、開発したものである。
【0018】
本土壌改良資材は鉄分として硫酸第一鉄を主体として使用している。硫酸第一鉄は粉末状で薄い緑色をしている。硫酸第一鉄は、粉末状では酸素と結合しにくい(していない)二価の状態で安定している。しかし、この硫酸第一鉄を水に溶かしこむと、水中の酸素と結合して、三価の鉄に変化する(酸化する)。このような状態となると、硫酸第一鉄を溶かし込んだ溶液はすぐに鉄錆色に変化する。こうなると植物に吸収されない三価の(酸化鉄)状態となり、さらには資材としての利便性や保存性にも課題が残される。本土壌改良資材はこのような問題点を解決するものである。現在までの技術では、二価の鉄を液状で安定させるということは非常に困難とされてきた。しかし本土壌改良資材では、ミョウバンを用いることにより二価鉄の状態で安定させることが可能となる。
その根拠として、本土壌改良資材は緑色透明である。この緑色は硫酸第一鉄の緑色であり、上記の説明の通り酸素と結合してないため二価の状態(緑色)で安定しているということが言える。硫酸鉄は強い酸性(pH3以下)でよく安定する。この特性に注目し、副原料としてミョウバンを選択した。ミョウバンは水に溶かし込むと強酸性に変化する。製造段階でミョウバンを溶かし込んだ液体に硫酸第一鉄を加えることにより、液体状でも硫酸鉄は二価の状態を保ち緑色を呈している。
また、本発明の300倍希釈液を使用して種子処理も可能であり、種子の大きさによって4分〜10分間溶液に漬し、その後陰干しする。本発明の原料である硫酸第一鉄、鉄ミョウバンにより種子がコートされ帯電作用を有することにより、発芽発根を促進させる。これにより様々な病害を寄せ付けない健全な苗を作ることが可能となる。
【実施例1】
【0019】
本発明の土壌改良剤は使用にあたっては100倍〜1000倍に希釈して用いる。
なお、本発明の土壌改良剤における成分分析を蛍光X線法で行った結果を図1から5に示す。この結果から、成分中には、イオウ、塩素、カリウム、カルシウム、チタニウム、マンガン、鉄、亜鉛、ストロンチウム、窒素、臭素が含まれていることがわかる。また、X線回折法によると、主成分と思われる塩化マグネシウムを検出できた(図6・7)。さらに、イオンクロマト法においては、塩素とSO4とが検出されている(図8)、他の主成分は硫酸第一鉄である。これらの成分により、防腐効果、殺菌効果、水質浄化作用、アンモニア臭の中和消臭効果(カリミョウバンに由来)がみとめられ、光合成を行う葉緑素の元になる(マグネシウムに由来)。
【実施例2】
【0020】
本実施例においては、土壌改良剤の最適使用量を決定する方法を図9を用いて説明する。
まず、要改善土壌Aを改良する場合、まず問題の土壌Aの4〜5箇所から、一掴みずつ土を採取する。次にそれらを1つのバケツにまとめ、土の2倍量の農業用水を加える。さらに、バケツの中の水と土をよく混ぜ合わせて1〜2分待ち、土の動きが落ち着いたら、200cc程度のコップ4つに分けて入れます。それぞれに本発明の土壌改良剤の分量を変えて加える。例えば1cc、2cc、3cc、4ccというようにである。そしてよくかき混ぜる。5分から10分ほどコップの中の水をよく観察し、コップの中の水が最も早く澄んだものが適量の使用量ということになる。1ccのコップが最も澄んだものであれば、10a当たり、20Lの土壌改良剤が必要となる。他の場合は1cc相当分が20Lとして計算可能となる。このように、本発明においては、使用量が実際の土壌をもちいて短時間に簡単に判明できるので、非常に便利である。これは、成分中にミョウバンを混合しているためであると考えられる。
【実施例3】
【0021】
本実施例においては、水田を改良する場合について説明する。乾田に動力散布機などで100倍希釈溶液を散布した後、水を張る。または、実施例2で決定した適正使用量を注水時に水に混ぜて直接投入する。水が張れたらロータリーにて十分攪拌する。この際に土壌中の余分な塩類等が溶け出し泡と一緒に水面に現れる。この泡は余分な塩基などが付着しているため、水田外に排出した方が良い。この際、全ての水を水田外に排出する。水が全量排出できたら、水田を3〜4日間干す。この作業を行わないと、土表面が柔らかくなりすぎて田植えができない。
このような処理を行った水田は、根張りもよく、強風による倒伏を防ぐ。本土壌改良剤に含まれる塩素が窒素の過剰吸収を抑え、マグネシウム、カルシウム、カリ、ケイ酸などの吸収をたすけるため稔実が良くなる。
【実施例4】
【0022】
次に、本発明を使用して、完熟堆肥の作成方法を説明する。
原料として、牛糞、鶏糞、豚糞などの動物糞尿のほかに、副資材として魚粉、油粕、骨粉、おがくずなどが使用可能である。牛糞はおがくず混入のものでもワラ混入のものでも良い。牛糞をメインにするときには牛糞10:鶏糞又は豚糞3の割りあいで配合すれば、分解促進や栄養バランスの安定になる。それらの材料をよく攪拌し、小高く積み上げる(1m以内)。本発明の土壌改良剤を200倍(pH6.5〜7に調整)に希釈した溶液を作成し、その積み上げた材料にしっとり湿る程度までたっぷりとかける。それにより、材料が黒く変色し、アンモニア臭が消える。最後に材料の上からビニールを被せ、雨に打たれるのを防ぐ。時々切り替えしを行う。2回目の切り替えしから、用途に応じて油粕、魚粉、米糠当をまぜると良い。切り替えしの度に本発明の土壌改良剤を散布すると熟成が早まりバランスの良い、優れた堆肥が出来る。アンモニア臭が消えたら「ガス障害」すなわち、
有機物が微生物により分解される際にアンモニアガスが発生する。このアンモニアガスは様々な病気の原因になり、本発明の土壌改良剤の原料のひとつである、ミョウバンはアンモニア中和分解作用があるため、有機物の分解時に発生するアンモニアを中和し、使用段階でガス障害などが発生しない安全で高級な堆肥の出来上がりとなる。
また、本発明を使用して、完熟有機肥料の作成方法を説明する。
他からの水分が入ってこないように周りより高くした土の上で鶏糞、魚粉、油粕、米ぬかこれらの材料を全て同割合で混ぜ合わせる。よく混ざったら、その上から土壌改良剤を200倍に希釈したものをしっとりぬれる程度に散布する。1年に4回から5回、切り替えしを行うが、その度に本発明の土壌改良剤を200倍に希釈したものを散布する。常に水分がある状態に保ち、乾燥させないことが重要である。乾燥すると途中で分解が止まり腐ってしまう。逆に水分が多すぎても腐る。従って、材料を強く握り締めた場合に、水が垂れない程度が目安となる。肥料の臭いをかいでみて土の臭いがすれば出来上がりである。なお、出来上がり以前の強制乾燥処理はガス障害を引き起こす肥料となるため、行ってはならない。アンモニア臭が残っている間は完成していない。
使用方法としては肥料の製造段階で土壌改良剤を「肥料を作るための材料」として使用する。すなわち、本発明の土壌改良資材を利用して高級な肥料をつくり、さらにそれを施す土壌をも本発明の土壌改良資材で改善しておくと申し分ない。
肥料を施しても土壌改良資材は使用する。特にボカシ肥料などは土に施肥してから微生物の分解力を借り、植物に利用されやすい形になる。
この際には必ずガスが発生し、植物に抵抗力がない場合(幼少時や病気時)には根が焼けたり窒素が根あたりしたりと様々な弊害が発生する。しかし、
ぼかし肥料(有機発酵肥料)などを施肥した後本発明の土壌改良剤希釈液で土壌ごと処理しておけば、土壌のpHを適正(6.5前後)に保ち、同時にぼかし肥料の急激な分解を防ぎます。粗大有機物(ボカシ肥料)を分解するのが得意な糸状菌は高pH下(7~8.5付近)で盛んに活動します。土壌のpHを6.5前後に保っていれば分解型糸状菌の爆発的増殖を防ぐためボカシ肥料の分解も穏やかに進みます。ガスの発生はぼかし肥料の分解具合に比例するので、一度に大量のガスが発生し根に障害を与えることはありません。
上記のようなことから有機質肥料をいれるのであれば、先に有機質肥料を入れてから本発明の土壌改良剤処理を行うのが望ましい。
【実施例5】
【0023】
本発明を畑地に使用した場合について説明する。
小ねぎ栽培ハウスに本発明の土壌改良剤を使用する場合について説明する。播種1週間ほど前に、まず200倍に希釈したものを上記実施例2の方法で決定した適正量を散布する。なお、このとき、土壌改良剤の散布の偏りを無くすため、降雨中に行うか、ひと雨きそうな直前に散布するようにすると良い。
このような処理を行った畑地では、夏場の発芽が3〜4日は早くなり(従来は7日〜8日)、発芽も揃い、葉先の枯れが減少し、消毒や、殺虫の回数も激減する。これは本土壌改良資材が土壌の状態を大幅に改善した事で、植物が活性化し病気や虫を寄せ付けない、いっそう秀逸な小ネギが省力で収穫できたものと考えられる。
【実施例6】
【0024】
さらに、本発明の施設園芸(グリーンアスパラガス)での使用実施例を説明する。
アスパラガスの栽培(ビニールハウス)に本発明の土壌改良剤を使用する場合について説明する。作付け時1週間ほど前にまず200倍に希釈したものを上記実施例2の方法で決定した適性量を散布する。そして作付け後も4日〜7日間隔(作物の生育具合を見ながら変更可能)1000倍に希釈したものを植物体にかからないように谷間灌水もしくは灌注機にて灌注をおこなう。このような処理を行った施設園芸圃場は従来よりいっそう秀逸なアスパラガスが収穫できた(図12)。たとえば、外見は鮮やかな黄緑色で、曲がりがほとんどなく秀品率は大幅に増加し根元まで完全にやわらかい。慣行栽培アスパラガス特有のにおい・えぐみもなく、さっと水洗いして根元まで生食できるほどである。慣行栽培における収穫後のアスパラガス株の切り口は腐っていたが本発明の土壌改良剤を使用して栽培すると収穫後の切り口は腐らない。慣行栽培法での夏期アスパラガスの先端は開き気味になり、商品価値は下がる。アスパラガスは展開していく茎を食用とするため、穂先が早く開くような栽培法は都合が悪い。しかし、本土壌改良資材を使用して栽培すると、この夏季のアスパラガス先端の開きが発生しないため商品価値は春物、秋物と大差なく安定した品質のものを継続して収穫できる。窒素過多や軟弱体のものは早く枝を出し葉を繁らせようとする(徒長状態という)。しかし、本土壌改良資材で土の状態を大幅に改善することにより、植物が本来もつ性質を最大限に高め、植物本位の生長を促し、欲しいときに欲しい栄養を植物が自ら取捨選択できるため、軟弱体や窒素過多などの状態に陥らない。このとき、pHを測定したら、当初pH7.5のアルカリ性に傾いた土壌が、本発明の土壌改良剤を使用することでpH6.2となっていた。
【実施例7】
【0025】
本発明の土壌改良剤をりんご栽培に使用した例を説明する。上記実施例5と同様に作付け時(作付け後からでもかまわない)に散布し、以後実施例5の方法で主幹部分の下部から根張り部分土壌に散布する。さらに月1回の割りあいで土壌に散布すると、軟弱果や低糖果を防ぐ。このような方法で栽培したりんごと使用していないりんごの日持ち実験を行った。日向に同時に置いて経時変化を観察した。60日経過後、図13に示すように土壌改良剤を使用して栽培したりんごは新鮮さが持続し(左側)、全くしわだらけに変化したりんご(右側)と対比して対照的な結果となった。この理由は、本発明の原料であるマグネシウムやミョウバンが土壌を活性化しその結果としてりんごの細胞を強化し保水力を高め、同時に細胞の免疫力も高くなるからと思われる。
【実施例8】
【0026】
本実施例では、ハウスによるイチゴ栽培について説明する。ある地域で毎年炭そ病や軟弱果に悩ませられている圃場の土壌を本発明の土壌改良剤で改良し、イチゴを栽培した。定植約1週間前に本土壌改良剤200倍液を上記実施例2の方法で決定した適性量を散布する。さらにマルチングを行った後に潅水チューブより週に1回のペースで1000倍液を施用した。前年は定植から2ヶ月間ほどで3000本から4000本の数のイチゴの苗が病気で枯れたが、本発明の土壌改良剤を使用して土壌改良を行ったら2ヶ月間で200本から300本でおさまった。これは、本発明の土壌改良剤が土壌のpHを適正値に維持し、悪性の糸状菌や細菌などの活性を抑えるとともに、植物体内での窒素の代謝を促したことに起因すると考えられる。さらに塩化マグネシウム中に含まれる塩素が窒素の過剰吸収を抑え、病気に対する抵抗性を増大していると考えられる。
その結果図14に示すように、定植4〜7日ほどで、株元を揺すってもビクともしないほどの根張りを実現するとともに、新葉や花芽の展開は著しく改善し素晴らしい植物生理活性効果と成長促進効果が認められた。
【実施例9】
【0027】
本実施例では、本発明溶液による種子の処理方法について各種の種子ごとに説明する。
1)種子が大きい場合 (かぼちゃ、とうもろこし等)
300倍希釈溶液(農業用水を用いる)に10分間、溶液に浸す。その後陰干しする。
2)種子が小さい場合 (キャベツ、ごま等)
種子が小さいため、まず種子を布袋に入れ、300倍希釈溶液(農業用水を用いる)に4〜5分間、強制的に沈める。その後布袋から取り出し、陰干しする。
3)穀物類(麦、米等)
300倍希釈溶液(農業用水を用いる)を作り、中に処理したい穀物をそのまま入れる。よくかき混ぜた後、水が落ち着くのを待つ。希釈溶液を入れた容器の下部に沈んだ種子だけを使用する。水面に浮いたものや中間部に浮いているものは発芽しないか、発芽しても生育が悪いためである。この作業を7〜8分程度で行う。希釈溶液の入った容器の下部に沈んだ種子だけを取り出し、陰干しする。
4)コート種子の場合
育苗ポットに通常の方法で播種する。上から水を掛ける代わりに300倍希釈溶液(農業用水を用いる)の入った容器に浸す。このとき、しばらく浸し、ポットの土表面まで水分が上がっていることを確認する。その後の管理は通常通りでかまわない。
以上のようにして、本発明の土壌改良剤を用いて種子処理を行うと、発根量が増し、秀逸な作物が生産可能となる。その原因としては、原料である硫酸第一鉄、鉄ミョウバンが種子に鉄の皮膜を形成し、土中に流れる電流を通し易くなったためと考えられる。さらには、原料であるカリミョウバンに由来するアンモニア中和作用により、種子自体が養分として過剰な窒素を吸収せずに済む。これにより様々な病害を寄せ付けない健全な苗が生産できる。
【実施例10】
【0028】
本実施例では、本発明の消臭方法について具体的に説明する。
厩舎や堆肥センター、処理槽などの悪臭が発生する場所に本発明の土壌改良資材を100倍に希釈したものを満遍なく散布する。すると間もなく悪臭が消える。これは本発明の土壌改良剤の原料であるミョウバンのアンモニア中和分解作用に由来するところが大きい。本発明の土壌改良剤を100倍に希釈した場合(希釈用の水がpH7.5の場合)pHが4.5〜5前後となり、この希釈液を堆肥や厩肥などにかけることにより粗大有機物分解型の糸状菌(好気的)の増殖が抑えられるため、分解は穏やかに進む。ガスの発生量は有機物の分解速度に比例するため、急激な分解による異臭や悪臭の発生を最小限に抑えることとなる。
【実施例11】
【0029】
本実施例では、本発明の防虫方法について具体的に説明する。
厩舎や堆肥センターなど、ウジ虫やハエが発生する場所に本発明の土壌改良剤を100倍に希釈したものを満遍なく散布する。
本発明の土壌改良資材の原料であるミョウバンがアンモニアを中和分解するので、アンモニア臭に寄ってきていた食糞性のハエの飛来を最小限に抑えることができる。
よって家畜糞尿などに飛来し産卵するハエなども比例して減少することになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の土壌改良剤は、畑地、果樹など全てに対応可能で、簡便に良質な土壌への改良が可能となるため、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図2】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図3】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図4】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図5】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図6】本発明の土壌改良剤のX線回折法における分析結果を示した図である。
【図7】対照の塩化マグネシウムのX線回折法における分析結果を示した図である。
【図8】本発明の土壌改良剤のイオンクロマト法における分析結果を示した図である。
【図9】土壌改良剤の最適使用量を決定するための方法を説明した図である
【図10】本発明の土壌改良剤をハウス小ねぎ栽培に使用する前の図である。
【図11】本発明の土壌改良剤をハウス小ねぎ栽培に使用した結果を示した図である。
【図12】本発明の土壌改良剤をアスパラ栽培に使用した結果を示した図面である。
【図13】本発明の土壌改良剤をりんご栽培に使用した結果を示した図である。
【図14】本発明の土壌改良剤をイチゴ栽培に使用した結果を示した図面である。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、土壌の改良剤に関し、特に無機材料により、土壌の大幅な改良を可能とした改良剤に関する。さらに、その改良剤のその他の使用方法も提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、土壌において見られる障害としては、連作障害、塩類集積障害、病害虫被害、未熟有機物分解時におけるアンモニア(窒素)ガス発生による障害、など多くのものがある。
しかしこれらを改良することは容易ではなく、化学肥料の使用によっては一時的に採取量の改善が見られても、結局土がやせてしまったり、人畜に対する薬害が問題となったりと、問題点を抱えていた。また種々の土壌改良資材は存在するが、それぞれ特定の用途、pHの矯正、土壌団粒化促進、透水性の改善、保水性の向上、陽イオン交換容量の増大など限られた範囲での効果しかなく、さらには非常に高価であったりと問題があった。
【0003】
さらに、化学肥料に頼らない天然由来の素材で土作りを基本とした有機農法が維持できる、すなわち有機認証が取得可能な土壌改良剤が望まれていた。従って、本発明は用途が広範囲にわたり、安価で安全な無機素材の土壌改良剤を提供するものである。
【0004】
また、土壌改良剤の使用にあたっては、使用する土壌ごとに、土壌の状態は異なるため、使用しようとする土壌に最適な使用量については、勘に頼るしか方法が無かったところ、本発明においては、誰にでもわかり易く、使用する土壌に最適の使用量が簡単にわかる使用方法を開発している。この方法により、無駄なく、土壌改良剤の使用が可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−75848号 上記特許出願は、本願と同様な土壌改良剤でありますが、主にゼオライトを用いたものであるため、基本的な構成が本願とは異なるものである。また、本願の特徴であるニ価鉄の安定化方法は記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、土壌の改良において最も重要な土壌のpH調整は、生石灰・硫黄等を用いて行っていたが、硫黄を使用すると石灰の塊(チョーク状)ができていた。これは生石灰をpHの調整に使用するために起こる。生石灰が土壌と混ぜ合わされることで消石灰に変わり、多量の水分を吸収し、時間とともに石灰と土がしっかりと結合し、硬くなる。この状態で硫黄を使用するため、土壌中にチョーク状のものができる。また、一部の試験場では硫酸を使用しているが、一般の生産者では硫酸は危険で扱いにくい。したがって、石灰の塊が出来ず、危険でないpHの調整方法が望まれていた。
pHの調整資材は他にもあるが、本発明の土壌改良剤の土壌に対する効果はそれとは比較にならないほどのよい結果をもたらしている。
例えば、根圏のリン酸飢餓を解消する。つまり、土壌中に施用されたリン酸は鉄やアルミとすぐに結合し、不溶性となる(水に溶けないということは根からも吸収されない)。しかし本発明の土壌改良剤を使用することにより酸根とリン酸が置換、溶解し、鉄やアルミと結合していたリン酸が遊離する。するとリン酸は可溶性に変化し根から吸収されやすい形態になる。
同時に、リン酸と鉄が結合していたために土壌中で植物に利用されなかった鉄が本発明の土壌改良剤の溶解作用(酸による効果が大きい。ちなみに、土壌中の反応が中性ないし、アルカリ性になると鉄は不溶性に変わり吸収が妨げられるということから土壌中のpHを下げることにより鉄が有効化する)により、より吸収しやすい状況となる。さらに本発明の土壌改良剤に含まれる二価の鉄が植物に直接働きかけるため、植物中葉緑体のリンタンパクと結合し、葉緑素の形成に大きく貢献する。さらに植物体中に適度に鉄分が吸収されると、酸化と還元(Fe2+とFe3+)とに相互変化が活発化するため、植物体も活性化される。
軟弱野菜や塩基に弱い植物の窒素過剰害が増加傾向にあるが、鉄を安定して供給することにより窒素の代謝作用を大幅に改善することができる。植物体の鉄が欠乏すると
タンパクの合成反応が阻害され、植物体内にて可溶性窒素化合物が蓄積するため病気にかかりやすくなる。
さらに、リン酸肥料過多時における植物体内の鉄欠乏症も未然に防止できる。(植物中でもリン酸が過剰に吸収されると、土壌中と同じように鉄と結合する。するとリン酸だけが過剰に吸収されているため、鉄が不足する。)
また、土壌改良剤は、一般に土壌の改良にのみ作用し、農家、畜産農家にとって必要なその他の消臭作用や、防虫作用を望む場合は、別の化学薬品を購入しているのが一般であった。従って、多用途に使用可能な、天然由来成分の改良剤が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の土壌改良剤は、主成分が塩化マグネシウムおよび硫酸第一鉄であり、天然ミネラル鉄分主体であることを要旨とする。
【0008】
本発明の土壌改良剤は、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、塩素、ストロンチウムを含むことを要旨とする。
【0009】
本発明の完熟堆肥・肥料製造方法は、牛糞、鶏糞、豚糞、魚粉、油粕、おがくず、米ぬかの少なくとも2種以上をよく攪拌配合し、小高く積み上げ、これに請求項1から2記載の本発明の土壌改良剤を200倍に希釈した溶液を材料がしっとりと湿る程度にかけ、ビニールを表面にかぶせ、期間をおき、時々切り替えしを行い、アンモニア臭が消えるまで土壌改良剤の散布と切り替えしを行うことを要旨とする。
【0010】
本発明の土壌改良剤の最適使用量決定方法は、以下の手順で行うことを要旨とする。改良しようとする土壌を複数箇所より採取し、それに2倍の分量の水を加え、それを200ccの観察用のグラスまたはビーカーに4−5分割して、それぞれに本発明原液の土壌改良剤を1ccから順に1cc毎に増加して加え、観察対象のグラス・ビーカー内の水が最も早く澄んだものを決定し、当該グラス・ビーカーの添加分量×20Lを10aあたりの本発明の土壌改良剤の必要分量として算出することを要旨とする。
【0011】
本発明の土壌改良方法は、請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を、100倍から1000倍の希釈液にし、水田、畑地、果樹の土壌に定期的に散布することを要旨とする。
【0012】
本発明の土壌改良方法は、請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を用いて、土壌のpH調整を行い、pHを5.0から7.5の適正値に調整する土壌の改良を行うことを要旨とする。
【0013】
本発明の消臭方法は請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を、100倍の希釈液にし、畜舎、蓄糞尿布、厩肥舎など悪臭の発生する場所への散布することを要旨とする。
【0014】
さらに本発明は ミョウバンを用いて硫酸第一鉄を安定化させたことによる液体二価鉄の製造法を要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は鉄を主成分とした液体であるため、液体そのものも濃度に関わらず無害であり、有機農法が維持でき、液状で二価の鉄を安定させたという理由で含鉄液体土壌改良資材としての保存性がある。特に本土壌改良剤は緑色の液体であり、これは二価鉄を安定して多く含むことを意味している。二価鉄は植物に直接作用し、吸収されるため、酸素と結合している三価鉄より好ましい。
また本発明の土壌改良剤は強酸性であるため(pH1.42)、農薬や化学肥料の多投でアルカリ性に傾いた土壌(約pH7.1〜)を中和し、適正値(約PH5.0〜7.5))に保つことが可能となる。さらに、成分中に植物に必要な微量元素であり、葉緑素の構成元素であるマグネシウムを有する。そのため、光合成を高め、生育を促進し、微生物の活性化を促進する。また、マグネシウムは酵素の活性化に重要な元素であり、かんがい水や雨水に溶けて流亡しやすいため、本発明による補給が土壌にとって効果的となる。その結果、収穫物の糖度・秀品率・日持ち等が大幅に向上し土壌を保肥力の高い団粒構造にする。さらに、本発明に含まれるミョウバンの作用により、防腐効果、殺菌効果があり、水質浄化作用もある。さらには、蓄舎、蓄糞尿布、厩肥舎など悪臭の発生する場所への散布により、消臭効果がある。本願発明は、土壌の改良のほかに消臭、防虫、ハエ、蛆の発生防止などの効果も備えているため、多用途に使用可能で非常に好ましい。また、塩類集積土壌における過剰な塩基を中和し土壌水中のpHを適正に保つことが可能となる。その結果土壌は、pH依存型の特定病原菌や病害虫の増加を抑え連作が可能となり好ましい。さらに、本発明により処理した種子は、発根量が増し、秀逸な作物が生産可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は液体であり、塩化マグネシウムに硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)と鉄ミョウバン、硫酸第一鉄を混合して作られる。混合割合は、以下に示す。
本発明の液体約(原料の比重が水より重いためと製造中に蒸発する水の量が多いため)1L製造に必要な原料は以下の通りである。
水590gを沸騰させる。沸騰している中にカリミョウバン約5gを溶かす。続けて鉄ミョウバン約5gを溶かす。よく攪拌しそれらが完全に溶けたら硫酸第一鉄150gを溶かす。硫酸第一鉄が完全に溶けたら塩化マグネシウム250gを溶かす。この作業の間は加熱を続ける。
最後の塩化ナトリウムの添加が終了し、よく混ぜ合わせたら加熱を止める。常温で24時間以上経過すると液体が緑色透明に変化し、下部には鉄錆色の沈殿物ができる。
上澄みの緑色透明の液体が本発明の土壌改良剤である。
鉄ミョウバン 約5g
カリミョウバン 約5g
硫酸第一鉄 約150g
塩化マグネシウム 約250g
水分 590g
これらの成分はそれぞれ、鉄分として、硫酸第一鉄、鉄ミョウバンを使用し、カリミョウバンにより防腐効果、殺菌効果、水質浄化作用、アンモニア臭の中和分解、消臭作用、細胞の引き締めと水揚げを良くする効果を得、マグネシウムにより微生物の活性化と光合成の活発化の作用を示す。それにより、消臭効果や防虫効果が認められる。
【0017】
この混合割合が最適であるが、その理由としては、カリミョウバンがこれ以上増加すると、カリ過剰によるマグネシウム欠乏(拮抗作用)の障害を誘発すると考えられ、肥料として使用する資材ではない為に不適切である。少なすぎると硫酸第一鉄がうまく安定しない。また、2種類のミョウバンを用いた理由としては、まず、鉄ミョウバンを使用した理由としては、本発明の主な成分を鉄分にするため、硫酸第一鉄を利用するとともに鉄ミョウバンを使用した。硫酸第一鉄とカリミョウバンだけでは鉄分が少なく、さらに本発明の液体が酸化しやすいと考え、化合物である鉄ミョウバンを加えた。硫酸第1鉄については、以前より含鉄土壌改良剤として利用されていることと、植物にとって非常に重要な要素であるという点を、マグネシウムと組み合わせること(酸に塩を溶かし込むこと)によりさらに改良し、開発したものである。
【0018】
本土壌改良資材は鉄分として硫酸第一鉄を主体として使用している。硫酸第一鉄は粉末状で薄い緑色をしている。硫酸第一鉄は、粉末状では酸素と結合しにくい(していない)二価の状態で安定している。しかし、この硫酸第一鉄を水に溶かしこむと、水中の酸素と結合して、三価の鉄に変化する(酸化する)。このような状態となると、硫酸第一鉄を溶かし込んだ溶液はすぐに鉄錆色に変化する。こうなると植物に吸収されない三価の(酸化鉄)状態となり、さらには資材としての利便性や保存性にも課題が残される。本土壌改良資材はこのような問題点を解決するものである。現在までの技術では、二価の鉄を液状で安定させるということは非常に困難とされてきた。しかし本土壌改良資材では、ミョウバンを用いることにより二価鉄の状態で安定させることが可能となる。
その根拠として、本土壌改良資材は緑色透明である。この緑色は硫酸第一鉄の緑色であり、上記の説明の通り酸素と結合してないため二価の状態(緑色)で安定しているということが言える。硫酸鉄は強い酸性(pH3以下)でよく安定する。この特性に注目し、副原料としてミョウバンを選択した。ミョウバンは水に溶かし込むと強酸性に変化する。製造段階でミョウバンを溶かし込んだ液体に硫酸第一鉄を加えることにより、液体状でも硫酸鉄は二価の状態を保ち緑色を呈している。
また、本発明の300倍希釈液を使用して種子処理も可能であり、種子の大きさによって4分〜10分間溶液に漬し、その後陰干しする。本発明の原料である硫酸第一鉄、鉄ミョウバンにより種子がコートされ帯電作用を有することにより、発芽発根を促進させる。これにより様々な病害を寄せ付けない健全な苗を作ることが可能となる。
【実施例1】
【0019】
本発明の土壌改良剤は使用にあたっては100倍〜1000倍に希釈して用いる。
なお、本発明の土壌改良剤における成分分析を蛍光X線法で行った結果を図1から5に示す。この結果から、成分中には、イオウ、塩素、カリウム、カルシウム、チタニウム、マンガン、鉄、亜鉛、ストロンチウム、窒素、臭素が含まれていることがわかる。また、X線回折法によると、主成分と思われる塩化マグネシウムを検出できた(図6・7)。さらに、イオンクロマト法においては、塩素とSO4とが検出されている(図8)、他の主成分は硫酸第一鉄である。これらの成分により、防腐効果、殺菌効果、水質浄化作用、アンモニア臭の中和消臭効果(カリミョウバンに由来)がみとめられ、光合成を行う葉緑素の元になる(マグネシウムに由来)。
【実施例2】
【0020】
本実施例においては、土壌改良剤の最適使用量を決定する方法を図9を用いて説明する。
まず、要改善土壌Aを改良する場合、まず問題の土壌Aの4〜5箇所から、一掴みずつ土を採取する。次にそれらを1つのバケツにまとめ、土の2倍量の農業用水を加える。さらに、バケツの中の水と土をよく混ぜ合わせて1〜2分待ち、土の動きが落ち着いたら、200cc程度のコップ4つに分けて入れます。それぞれに本発明の土壌改良剤の分量を変えて加える。例えば1cc、2cc、3cc、4ccというようにである。そしてよくかき混ぜる。5分から10分ほどコップの中の水をよく観察し、コップの中の水が最も早く澄んだものが適量の使用量ということになる。1ccのコップが最も澄んだものであれば、10a当たり、20Lの土壌改良剤が必要となる。他の場合は1cc相当分が20Lとして計算可能となる。このように、本発明においては、使用量が実際の土壌をもちいて短時間に簡単に判明できるので、非常に便利である。これは、成分中にミョウバンを混合しているためであると考えられる。
【実施例3】
【0021】
本実施例においては、水田を改良する場合について説明する。乾田に動力散布機などで100倍希釈溶液を散布した後、水を張る。または、実施例2で決定した適正使用量を注水時に水に混ぜて直接投入する。水が張れたらロータリーにて十分攪拌する。この際に土壌中の余分な塩類等が溶け出し泡と一緒に水面に現れる。この泡は余分な塩基などが付着しているため、水田外に排出した方が良い。この際、全ての水を水田外に排出する。水が全量排出できたら、水田を3〜4日間干す。この作業を行わないと、土表面が柔らかくなりすぎて田植えができない。
このような処理を行った水田は、根張りもよく、強風による倒伏を防ぐ。本土壌改良剤に含まれる塩素が窒素の過剰吸収を抑え、マグネシウム、カルシウム、カリ、ケイ酸などの吸収をたすけるため稔実が良くなる。
【実施例4】
【0022】
次に、本発明を使用して、完熟堆肥の作成方法を説明する。
原料として、牛糞、鶏糞、豚糞などの動物糞尿のほかに、副資材として魚粉、油粕、骨粉、おがくずなどが使用可能である。牛糞はおがくず混入のものでもワラ混入のものでも良い。牛糞をメインにするときには牛糞10:鶏糞又は豚糞3の割りあいで配合すれば、分解促進や栄養バランスの安定になる。それらの材料をよく攪拌し、小高く積み上げる(1m以内)。本発明の土壌改良剤を200倍(pH6.5〜7に調整)に希釈した溶液を作成し、その積み上げた材料にしっとり湿る程度までたっぷりとかける。それにより、材料が黒く変色し、アンモニア臭が消える。最後に材料の上からビニールを被せ、雨に打たれるのを防ぐ。時々切り替えしを行う。2回目の切り替えしから、用途に応じて油粕、魚粉、米糠当をまぜると良い。切り替えしの度に本発明の土壌改良剤を散布すると熟成が早まりバランスの良い、優れた堆肥が出来る。アンモニア臭が消えたら「ガス障害」すなわち、
有機物が微生物により分解される際にアンモニアガスが発生する。このアンモニアガスは様々な病気の原因になり、本発明の土壌改良剤の原料のひとつである、ミョウバンはアンモニア中和分解作用があるため、有機物の分解時に発生するアンモニアを中和し、使用段階でガス障害などが発生しない安全で高級な堆肥の出来上がりとなる。
また、本発明を使用して、完熟有機肥料の作成方法を説明する。
他からの水分が入ってこないように周りより高くした土の上で鶏糞、魚粉、油粕、米ぬかこれらの材料を全て同割合で混ぜ合わせる。よく混ざったら、その上から土壌改良剤を200倍に希釈したものをしっとりぬれる程度に散布する。1年に4回から5回、切り替えしを行うが、その度に本発明の土壌改良剤を200倍に希釈したものを散布する。常に水分がある状態に保ち、乾燥させないことが重要である。乾燥すると途中で分解が止まり腐ってしまう。逆に水分が多すぎても腐る。従って、材料を強く握り締めた場合に、水が垂れない程度が目安となる。肥料の臭いをかいでみて土の臭いがすれば出来上がりである。なお、出来上がり以前の強制乾燥処理はガス障害を引き起こす肥料となるため、行ってはならない。アンモニア臭が残っている間は完成していない。
使用方法としては肥料の製造段階で土壌改良剤を「肥料を作るための材料」として使用する。すなわち、本発明の土壌改良資材を利用して高級な肥料をつくり、さらにそれを施す土壌をも本発明の土壌改良資材で改善しておくと申し分ない。
肥料を施しても土壌改良資材は使用する。特にボカシ肥料などは土に施肥してから微生物の分解力を借り、植物に利用されやすい形になる。
この際には必ずガスが発生し、植物に抵抗力がない場合(幼少時や病気時)には根が焼けたり窒素が根あたりしたりと様々な弊害が発生する。しかし、
ぼかし肥料(有機発酵肥料)などを施肥した後本発明の土壌改良剤希釈液で土壌ごと処理しておけば、土壌のpHを適正(6.5前後)に保ち、同時にぼかし肥料の急激な分解を防ぎます。粗大有機物(ボカシ肥料)を分解するのが得意な糸状菌は高pH下(7~8.5付近)で盛んに活動します。土壌のpHを6.5前後に保っていれば分解型糸状菌の爆発的増殖を防ぐためボカシ肥料の分解も穏やかに進みます。ガスの発生はぼかし肥料の分解具合に比例するので、一度に大量のガスが発生し根に障害を与えることはありません。
上記のようなことから有機質肥料をいれるのであれば、先に有機質肥料を入れてから本発明の土壌改良剤処理を行うのが望ましい。
【実施例5】
【0023】
本発明を畑地に使用した場合について説明する。
小ねぎ栽培ハウスに本発明の土壌改良剤を使用する場合について説明する。播種1週間ほど前に、まず200倍に希釈したものを上記実施例2の方法で決定した適正量を散布する。なお、このとき、土壌改良剤の散布の偏りを無くすため、降雨中に行うか、ひと雨きそうな直前に散布するようにすると良い。
このような処理を行った畑地では、夏場の発芽が3〜4日は早くなり(従来は7日〜8日)、発芽も揃い、葉先の枯れが減少し、消毒や、殺虫の回数も激減する。これは本土壌改良資材が土壌の状態を大幅に改善した事で、植物が活性化し病気や虫を寄せ付けない、いっそう秀逸な小ネギが省力で収穫できたものと考えられる。
【実施例6】
【0024】
さらに、本発明の施設園芸(グリーンアスパラガス)での使用実施例を説明する。
アスパラガスの栽培(ビニールハウス)に本発明の土壌改良剤を使用する場合について説明する。作付け時1週間ほど前にまず200倍に希釈したものを上記実施例2の方法で決定した適性量を散布する。そして作付け後も4日〜7日間隔(作物の生育具合を見ながら変更可能)1000倍に希釈したものを植物体にかからないように谷間灌水もしくは灌注機にて灌注をおこなう。このような処理を行った施設園芸圃場は従来よりいっそう秀逸なアスパラガスが収穫できた(図12)。たとえば、外見は鮮やかな黄緑色で、曲がりがほとんどなく秀品率は大幅に増加し根元まで完全にやわらかい。慣行栽培アスパラガス特有のにおい・えぐみもなく、さっと水洗いして根元まで生食できるほどである。慣行栽培における収穫後のアスパラガス株の切り口は腐っていたが本発明の土壌改良剤を使用して栽培すると収穫後の切り口は腐らない。慣行栽培法での夏期アスパラガスの先端は開き気味になり、商品価値は下がる。アスパラガスは展開していく茎を食用とするため、穂先が早く開くような栽培法は都合が悪い。しかし、本土壌改良資材を使用して栽培すると、この夏季のアスパラガス先端の開きが発生しないため商品価値は春物、秋物と大差なく安定した品質のものを継続して収穫できる。窒素過多や軟弱体のものは早く枝を出し葉を繁らせようとする(徒長状態という)。しかし、本土壌改良資材で土の状態を大幅に改善することにより、植物が本来もつ性質を最大限に高め、植物本位の生長を促し、欲しいときに欲しい栄養を植物が自ら取捨選択できるため、軟弱体や窒素過多などの状態に陥らない。このとき、pHを測定したら、当初pH7.5のアルカリ性に傾いた土壌が、本発明の土壌改良剤を使用することでpH6.2となっていた。
【実施例7】
【0025】
本発明の土壌改良剤をりんご栽培に使用した例を説明する。上記実施例5と同様に作付け時(作付け後からでもかまわない)に散布し、以後実施例5の方法で主幹部分の下部から根張り部分土壌に散布する。さらに月1回の割りあいで土壌に散布すると、軟弱果や低糖果を防ぐ。このような方法で栽培したりんごと使用していないりんごの日持ち実験を行った。日向に同時に置いて経時変化を観察した。60日経過後、図13に示すように土壌改良剤を使用して栽培したりんごは新鮮さが持続し(左側)、全くしわだらけに変化したりんご(右側)と対比して対照的な結果となった。この理由は、本発明の原料であるマグネシウムやミョウバンが土壌を活性化しその結果としてりんごの細胞を強化し保水力を高め、同時に細胞の免疫力も高くなるからと思われる。
【実施例8】
【0026】
本実施例では、ハウスによるイチゴ栽培について説明する。ある地域で毎年炭そ病や軟弱果に悩ませられている圃場の土壌を本発明の土壌改良剤で改良し、イチゴを栽培した。定植約1週間前に本土壌改良剤200倍液を上記実施例2の方法で決定した適性量を散布する。さらにマルチングを行った後に潅水チューブより週に1回のペースで1000倍液を施用した。前年は定植から2ヶ月間ほどで3000本から4000本の数のイチゴの苗が病気で枯れたが、本発明の土壌改良剤を使用して土壌改良を行ったら2ヶ月間で200本から300本でおさまった。これは、本発明の土壌改良剤が土壌のpHを適正値に維持し、悪性の糸状菌や細菌などの活性を抑えるとともに、植物体内での窒素の代謝を促したことに起因すると考えられる。さらに塩化マグネシウム中に含まれる塩素が窒素の過剰吸収を抑え、病気に対する抵抗性を増大していると考えられる。
その結果図14に示すように、定植4〜7日ほどで、株元を揺すってもビクともしないほどの根張りを実現するとともに、新葉や花芽の展開は著しく改善し素晴らしい植物生理活性効果と成長促進効果が認められた。
【実施例9】
【0027】
本実施例では、本発明溶液による種子の処理方法について各種の種子ごとに説明する。
1)種子が大きい場合 (かぼちゃ、とうもろこし等)
300倍希釈溶液(農業用水を用いる)に10分間、溶液に浸す。その後陰干しする。
2)種子が小さい場合 (キャベツ、ごま等)
種子が小さいため、まず種子を布袋に入れ、300倍希釈溶液(農業用水を用いる)に4〜5分間、強制的に沈める。その後布袋から取り出し、陰干しする。
3)穀物類(麦、米等)
300倍希釈溶液(農業用水を用いる)を作り、中に処理したい穀物をそのまま入れる。よくかき混ぜた後、水が落ち着くのを待つ。希釈溶液を入れた容器の下部に沈んだ種子だけを使用する。水面に浮いたものや中間部に浮いているものは発芽しないか、発芽しても生育が悪いためである。この作業を7〜8分程度で行う。希釈溶液の入った容器の下部に沈んだ種子だけを取り出し、陰干しする。
4)コート種子の場合
育苗ポットに通常の方法で播種する。上から水を掛ける代わりに300倍希釈溶液(農業用水を用いる)の入った容器に浸す。このとき、しばらく浸し、ポットの土表面まで水分が上がっていることを確認する。その後の管理は通常通りでかまわない。
以上のようにして、本発明の土壌改良剤を用いて種子処理を行うと、発根量が増し、秀逸な作物が生産可能となる。その原因としては、原料である硫酸第一鉄、鉄ミョウバンが種子に鉄の皮膜を形成し、土中に流れる電流を通し易くなったためと考えられる。さらには、原料であるカリミョウバンに由来するアンモニア中和作用により、種子自体が養分として過剰な窒素を吸収せずに済む。これにより様々な病害を寄せ付けない健全な苗が生産できる。
【実施例10】
【0028】
本実施例では、本発明の消臭方法について具体的に説明する。
厩舎や堆肥センター、処理槽などの悪臭が発生する場所に本発明の土壌改良資材を100倍に希釈したものを満遍なく散布する。すると間もなく悪臭が消える。これは本発明の土壌改良剤の原料であるミョウバンのアンモニア中和分解作用に由来するところが大きい。本発明の土壌改良剤を100倍に希釈した場合(希釈用の水がpH7.5の場合)pHが4.5〜5前後となり、この希釈液を堆肥や厩肥などにかけることにより粗大有機物分解型の糸状菌(好気的)の増殖が抑えられるため、分解は穏やかに進む。ガスの発生量は有機物の分解速度に比例するため、急激な分解による異臭や悪臭の発生を最小限に抑えることとなる。
【実施例11】
【0029】
本実施例では、本発明の防虫方法について具体的に説明する。
厩舎や堆肥センターなど、ウジ虫やハエが発生する場所に本発明の土壌改良剤を100倍に希釈したものを満遍なく散布する。
本発明の土壌改良資材の原料であるミョウバンがアンモニアを中和分解するので、アンモニア臭に寄ってきていた食糞性のハエの飛来を最小限に抑えることができる。
よって家畜糞尿などに飛来し産卵するハエなども比例して減少することになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の土壌改良剤は、畑地、果樹など全てに対応可能で、簡便に良質な土壌への改良が可能となるため、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図2】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図3】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図4】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図5】本発明の土壌改良剤の蛍光X線法による成分分析結果を示した図である。
【図6】本発明の土壌改良剤のX線回折法における分析結果を示した図である。
【図7】対照の塩化マグネシウムのX線回折法における分析結果を示した図である。
【図8】本発明の土壌改良剤のイオンクロマト法における分析結果を示した図である。
【図9】土壌改良剤の最適使用量を決定するための方法を説明した図である
【図10】本発明の土壌改良剤をハウス小ねぎ栽培に使用する前の図である。
【図11】本発明の土壌改良剤をハウス小ねぎ栽培に使用した結果を示した図である。
【図12】本発明の土壌改良剤をアスパラ栽培に使用した結果を示した図面である。
【図13】本発明の土壌改良剤をりんご栽培に使用した結果を示した図である。
【図14】本発明の土壌改良剤をイチゴ栽培に使用した結果を示した図面である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分が塩化マグネシウムおよび硫酸第一鉄であることを特徴とする天然ミネラル鉄分主体の土壌改良剤。
【請求項2】
カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、塩素、ストロンチウムを含むことを特徴とする土壌改良剤
【請求項3】
改良しようとする土地の土壌を複数箇所より一掴み採取し、それに2倍の分量の水を加え、それを200ccの観察用のグラスまたはビーカーに4−5分割して、それぞれに本発明の請求項1又は2記載の土壌改良剤原液を1ccから順に1cc毎に増加して加え、観察対象のグラス・ビーカー内の水が最も早く澄んだものを決定し、そのグラス・ビーカーへの添加分量×20Lが10aあたりの必要分量とする土壌改良剤の最適使用量決定方法。
【請求項4】
牛糞、鶏糞、豚糞、魚粉、油粕、骨粉、おがくず、米ぬかの少なくとも2種以上をよく攪拌配合し、小高く積み上げ、これに請求項1から2記載の本発明の土壌改良剤を200倍に希釈した溶液を材料がしっとりと湿る程度にかけ、ビニールを表面にかぶせ、時々切り替えしを行い、アンモニア臭がなくなるまで土壌改良剤の散布と切り返しを行うことを特徴とする完熟堆肥・肥料の作成方法。
【請求項5】
請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を、100倍から1000倍の希釈液にし、水田、畑地、果樹の土壌に定期的に散布することを特徴とする土壌改良方法。
【請求項6】
請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を用いて土壌の改良を行い、特に土壌のpH調整を行い、pHを5.0から7.5の適正値に調整する土壌の改良を行うことを特徴とする土壌改良方法。
【請求項7】
請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を、100倍の希釈液にし、畜舎、蓄糞尿布、厩肥舎など悪臭の発生する場所への散布することを特徴とする消臭方法。
【請求項8】
請求項1から2記載の土壌改良剤にミョウバンを添加することによる硫酸第一鉄(二価鉄)の安定化方法。
【請求項1】
主成分が塩化マグネシウムおよび硫酸第一鉄であることを特徴とする天然ミネラル鉄分主体の土壌改良剤。
【請求項2】
カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛、塩素、ストロンチウムを含むことを特徴とする土壌改良剤
【請求項3】
改良しようとする土地の土壌を複数箇所より一掴み採取し、それに2倍の分量の水を加え、それを200ccの観察用のグラスまたはビーカーに4−5分割して、それぞれに本発明の請求項1又は2記載の土壌改良剤原液を1ccから順に1cc毎に増加して加え、観察対象のグラス・ビーカー内の水が最も早く澄んだものを決定し、そのグラス・ビーカーへの添加分量×20Lが10aあたりの必要分量とする土壌改良剤の最適使用量決定方法。
【請求項4】
牛糞、鶏糞、豚糞、魚粉、油粕、骨粉、おがくず、米ぬかの少なくとも2種以上をよく攪拌配合し、小高く積み上げ、これに請求項1から2記載の本発明の土壌改良剤を200倍に希釈した溶液を材料がしっとりと湿る程度にかけ、ビニールを表面にかぶせ、時々切り替えしを行い、アンモニア臭がなくなるまで土壌改良剤の散布と切り返しを行うことを特徴とする完熟堆肥・肥料の作成方法。
【請求項5】
請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を、100倍から1000倍の希釈液にし、水田、畑地、果樹の土壌に定期的に散布することを特徴とする土壌改良方法。
【請求項6】
請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を用いて土壌の改良を行い、特に土壌のpH調整を行い、pHを5.0から7.5の適正値に調整する土壌の改良を行うことを特徴とする土壌改良方法。
【請求項7】
請求項1ないし2の何れかに記載の土壌改良剤を、100倍の希釈液にし、畜舎、蓄糞尿布、厩肥舎など悪臭の発生する場所への散布することを特徴とする消臭方法。
【請求項8】
請求項1から2記載の土壌改良剤にミョウバンを添加することによる硫酸第一鉄(二価鉄)の安定化方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−177065(P2007−177065A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376561(P2005−376561)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(304024555)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(304024555)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]