説明

土留用コンクリートブロック

【課題】 土留壁の平坦前面に丸太嵌合部を設けることなく、土留壁の平坦前面の略全面に簡単に且つ強固に加工丸太材を配設固定することができる土留用コンクリートブロックを提供すること。
【解決手段】 土留壁1の平坦前面1Aに丸太嵌合用凹部などを設けることなく、沿設平坦面2Aが加工形成された多数の加工丸太材2を、この沿設平坦面2Aを土留壁1の平坦前面1Aに当接させてこの平坦前面1Aの略全面を覆うように並設配設し、この多数並設配設した各加工丸太材2の前側面に、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向に配設した加工丸太材2と同構造の押え用丸太材3の沿設平坦面3Aを当接し、この押え用丸太材3と前記加工丸太材2とに固定具4を貫通させてこの固定具4により押え用丸太材3と加工丸太材2とを土留壁1の平坦前面1Aに固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土留用コンクリートブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、土留用コンクリートブロックの土留壁に丸太材を配設固定した特許第3113220号を確保している。
【0003】
この特許文献1を更に説明すると、土留ブロック体の土留壁に丸太嵌合部を設け、この丸太嵌合部に丸太を上下多段に横架し、この丸太を土留壁に沿設状態に固定する固定金具を土留壁に配設した構成である。
【0004】
そして、この特許文献1によれば、土壁面に沿設する土留ブロック体の土留壁の丸太嵌合部に補強用丸太を上下多段に横架固定したから、従来までは不要廃材として処理されていた土留擁壁形成に際して伐採する丸太材を土留ブロック体の補強材として使用することができ、これにより廃棄する無駄と廃棄に要する余計な作業を無くすると共に、土留用コンクリートブロック自体を補強しながら同時に丸太材による自然感も合わせ持つ極めて体裁が良好で実用性にも秀れた土留用コンクリートブロックを提供できるという作用・効果を奏するものである。
【0005】
【特許文献1】特許第3113220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記特許文献1の改良出願に係るもので、土留壁の平坦前面に丸太嵌合部を設けることなく、土留壁の平坦前面の略全面に簡単且つ強固に加工丸太材を配設固定することができる土留用コンクリートブロックを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
土留壁1の平坦前面1Aに丸太嵌合用凹部などを設けることなく、沿設平坦面2Aが加工形成された多数の加工丸太材2を、この沿設平坦面2Aを土留壁1の平坦前面1Aに当接させてこの平坦前面1Aの略全面を覆うように並設配設し、この多数並設配設した各加工丸太材2の前側面に、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向に配設した加工丸太材2と同構造の押え用丸太材3の沿設平坦面3Aを当接し、この押え用丸太材3と前記加工丸太材2とに固定具4を貫通させてこの固定具4により押え用丸太材3と加工丸太材2とを土留壁1の平坦前面1Aに固定したことを特徴とする土留用コンクリートブロックに係るものである。
【0009】
また、前記加工丸太材2には、前記沿設平坦面2Aの反対側に押え込み用平坦面2Bを形成し、前記土留壁1の平坦前面1Aに多数並設配設した各加工丸太材2の押え込み用平坦面2Bに、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向に配設した前記押え用丸太材3の前記沿設平坦面3Aを面接当接する構成としたことを特徴とする請求項1記載の土留用コンクリートブロックに係るものである。
【0010】
また、前記加工丸太材2には、前記沿設平坦面2Aと略直交する方向に面方向を有する並設用平坦面2Cを形成し、前記土留壁1の平坦前面1Aに多数並設配設した各加工丸太材2は、この並設用平坦面2C同士を面接当接する構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の土留用コンクリートブロックに係るものである。
【0011】
また、前記土留壁1の平坦前面1Aに多数並設配設した前記各加工丸太材2の少なくとも両端位置に存する加工丸太材2の前側面に、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向に配設した前記押え用丸太材3の前記沿設平坦面3Aを当接し、この押え用丸太材3と加工丸太材2とに固定具4を貫通させてこの固定具4により押え用丸太材3と加工丸太材2とを土留壁1の平坦前面1Aに固定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の土留用コンクリートブロックに係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、土留壁の平坦前面の略全面に丸太材による良好な景観が表出する体裁良好なコンクリートブロックとなり、土留壁の平坦前面に丸太嵌合用凹部などを設けない分、土留用コンクリートブロックは通常の汎用タイプの擁壁ブロックで良いため量産性に秀れ、また、従来までは不要廃材として処理されていた土留擁壁形成に際して伐採する丸太材を利用するなどして、この丸太材に沿設平坦面を形成するだけで加工丸太材を簡易に構成できると共に、押え用丸太材も加工丸太材と同構造としたため、別個に異なる構造の押え用丸太材を用意する必要がなく、加工用丸太材を多数用意することでこの加工用丸太材を押え用丸太材と共用できるので、簡易に設計実現可能となり、しかも、加工丸太材と押え用丸太材とに貫通させた固定具によりこの加工丸太材と押え用丸太材を土留壁の平坦前面に固定するから、加工丸太材と押え用丸太材の固定強度が高く、商品性に秀れると共に、この加工丸太材と押え用丸太材によるコンクリートブロックの補強作用が良好に発揮されることになるなど、極めて実用性に秀れた土留用コンクリートブロックとなる。
【0013】
また、請求項2記載の発明においては、押え用丸太材の沿設平坦面が多数の加工丸太材の押え込み用平坦面に面接当接することで、押え用丸太材が一層安定的且つ確実に加工丸太材を押え込み固定することになるので、この各丸太材による一層秀れた補強作用が得られることになる秀れた構成の土留用コンクリートブロックとなる。
【0014】
また、請求項3記載の発明においては、加工丸太材同志を安定的に並設配設できるために、この加工丸太材の並設作業を容易に行うことができ、しかも、並設配設する加工丸太材による補強作用が一層良好に発揮されると共に、ほとんど隙間なく加工丸太材が並設するので、体裁も一層良好となるなど、極めて実用性に秀れた構成の土留用コンクリートブロックとなる。
【0015】
また、請求項4記載の発明においては、両端位置の押え用丸太材により並設配設する多数の加工丸太材を良好に押え込むことができるので、この加工丸太材,押え用丸太材による極めて秀れたコンクリートブロックの補強作用が得られる一層秀れた構成の土留用コンクリートブロックとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
本発明は、土留壁1の平坦前面1Aに丸太嵌合用凹部などを設けることなく、沿設平坦面2Aが加工形成された多数の加工丸太材2を、この沿設平坦面2Aを土留壁1の平坦前面1Aに当接させてこの平坦前面1Aの略全面を覆うように並設配設し、この多数並設配設した各加工丸太材2の前側面に、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向に配設した加工丸太材2と同構造の押え用丸太材3の沿設平坦面3Aを当接し、この押え用丸太材3と前記加工丸太材2とに固定具4を貫通させてこの固定具4により押え用丸太材3と加工丸太材2とを土留壁1の平坦前面1Aに固定する。
【0018】
加工丸太材2は、前記特許文献1と同様に、従来までは不要廃材として処理されていた土留擁壁形成に際して伐採する丸太材を利用するなどして、この丸太材に沿設平坦面2Aを形成するだけで加工丸太材2を簡易に構成できる。
【0019】
また、土留壁1の平坦前面1Aの略全面を覆う加工丸太材2と押え用丸太材3とは、この加工丸太材2,押え用丸太材3を貫通させた固定具4により土留壁1の平坦前面1Aに固定するので、この固定構造は簡易に設計実現可能で固定作業も容易に行えると共に、この固定構造による加工丸太材2,押え用丸太材3の固定強度は高く、高強度固定された加工丸太材2と押え用丸太材3とがコンクリートブロックA自体を良好に補強することになるので秀れた土留作用を発揮し、同時に土留壁1Aの平坦前面1Aの略前面に丸太材による自然感も合わせ持つ良好な景観が表出することになる。
【0020】
しかも、土留壁1の平坦前面1Aに丸太嵌合用凹部などを設けない分、土留用コンクリートブロックAは通常の汎用タイプの擁壁ブロックで良いため量産性に秀れ、また、押え用丸太材3も加工丸太材2と同構造としたため、別個に異なる構造の押え用丸太材3を用意する必要がなく、加工用丸太材2を多数用意することでこの加工用丸太材2を押え用丸太材3と共用できるので、簡易に設計実現可能となるなど、極めて実用性に秀れた土留用コンクリートブロックとなる。
【0021】
また、例えば、前記加工丸太材2には、前記沿設平坦面2Aの反対側に押え込み用平坦面2Bを形成し、前記土留壁1の平坦前面1Aに多数並設配設した各加工丸太材2の押え込み用平坦面2Bに、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向に配設した前記押え用丸太材3の前記沿設平坦面3Aを面接当接する構成とすれば、押え用丸太材3の沿設平坦面3Aが多数の加工丸太材2の押え込み用平坦面2Bに面接当接することで、押え用丸太材3が一層確実に加工丸太材2を押え込み固定することになるので、この各丸太材2,3による一層秀れた補強作用が得られることになる。
【0022】
また、例えば、前記加工丸太材2には、前記沿設平坦面2Aと略直交する方向に面方向を有する並設用平坦面2Cを形成し、前記土留壁1の平坦前面1Aに多数並設配設した各加工丸太材2は、この並設用平坦面2C同士を面接当接する構成とすれば、加工丸太材2同志を安定的に並設配設できるために、この加工丸太材2の並設作業を容易に行うことができ、しかも、並設配設する加工丸太材2による補強作用が一層良好に発揮されると共に、ほとんど隙間なく加工丸太材2が並設するので、体裁も一層良好となる。
【0023】
また、例えば、前記土留壁1の平坦前面1Aに多数並設配設した前記各加工丸太材2の少なくとも両端位置に存する加工丸太材2の前側面に、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向に配設した前記押え用丸太材3の前記沿設平坦面3Aを当接し、この押え用丸太材3と加工丸太材2とに固定具4を貫通させてこの固定具4により押え用丸太材3と加工丸太材2とを土留壁1の平坦前面1Aに固定すれば、両端位置の押え用丸太材3により並設配設する多数の加工丸太材2を良好に押え込むことができるので、この加工丸太材2,押え用丸太材3による極めて秀れたコンクリートブロックAの補強作用が得られる。
【実施例1】
【0024】
本発明の具体的な実施例1について図1〜図6に基づいて説明する。
【0025】
本実施例は、土留壁1の平坦前面1Aに丸太嵌合用凹部などを設けることなく、沿設平坦面2Aが加工形成された多数の加工丸太材2を、この沿設平坦面2Aを土留壁1の平坦前面1Aに当接させてこの平坦前面1Aの略全面を覆うように並設配設し、この多数並設配設した各加工丸太材2の前側面に、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向に配設した加工丸太材2と同構造の押え用丸太材3の沿設平坦面3Aを当接し、この押え用丸太材3と前記加工丸太材2とに固定具4を貫通させてこの固定具4により押え用丸太材3と加工丸太材2とを土留壁1の平坦前面1Aに固定したことを特徴とする土留用コンクリートブロックに係るものである。
【0026】
本実施例の土留用コンクリートブロックAは、土壁面1の前面が平坦面(平坦前面1A)となるL形の擁壁ブロックを採用している。図中符号5は補強壁、8は排水口である。
【0027】
加工丸太材2は、土留擁壁形成に際し伐採して不要となった丸太廃材を使用して構成するもので、この丸太廃材をその直径部分から半割形状(断面半円形状)にカットし、この加工により丸太材の直径部分に形成された平坦面を前記沿設平坦面2Aとしている。
【0028】
また、この沿設平坦面2Aの反対側面を、この沿設平坦面2Aと平行にカットし、この加工により形成された沿設平坦面2Aの反対側の平坦面を前記押え込み用平坦面2Bとし、前記土留壁1の平坦前面1Aに多数並設配設した各加工丸太材2の押え込み用平坦面2Bに、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向に配設した前記押え用丸太材3の前記沿設平坦面3Aを面接当接する構成としている。
【0029】
また、この沿設平坦面2Aの直径方向の両端部に位置する側面部を、沿設平坦面2Aと略直交する方向に面方向を有するように平坦面状にカットし、この加工により形成された沿設平坦面2Aと直交する方向の平坦面を前記並設用平坦面2Cとし、前記土留壁1の平坦前面1Aに多数並設配設する各加工丸太材2は、この並設用平坦面2C同士を面接当接して並設する構成としている。
【0030】
また、押え用丸太材3は、前記加工丸太材2と全く同一の構造のものを採用している。即ち、本実施例では、説明の都合上異なる符号を付しているが、押え用丸太材3と加工丸太材2とを共用している。
【0031】
本実施例では、多数の加工丸太材2を前記平坦前面1Aに上下多段に並設配設し、この多数の加工丸太材2の各両端位置に配設するようにして二本の前記押え用丸太材3を配設した構成としている。
【0032】
また、本実施例の押え用丸太材3と加工丸太材2の前記平坦前面1Aへの固定構造は、予め土留用コンクリートブロックA成形時に、平坦前面1Aの四隅位置に前記固定具4としてのボルト4Aをその螺子杆が前方へ突出するようにしてインサート成形し(図2参照。)、この平坦前面1Aの四隅から突出する各ボルト4Aに、平坦前面1Aの上下位置に配設する各加工丸太材2の両端部に形成した固定孔2Dを挿通してこの加工丸太材2の沿設平坦面2Aを平坦前面1Aに面接当接し、この固定孔2Dから平坦前面1Aの前方へ突出する各ボルト4A先端に前記押え用丸太材3の両端部に形成した固定孔3Dを挿通して押え用丸太材3の沿設平坦面3Aを加工丸太材2の押え込み用平坦面2Bに面接当接し、この各固定孔3Dから平坦前面1Aの前方へ突出する各ボルト4A先端に固定具4としてのナット4Bを螺着固定することで、押え用丸太材3と加工丸太材2とを固定具4により平坦前面1Aに固定する構造としている(図3,図4参照。)。
【0033】
尚、図5,図6は、固定具4としてのナット4Bを、その螺子孔が平坦前面1A側に露出するようにして平坦前面1Aにインサート成形し、この平坦前面1Aの四隅のナット4Bに押え用丸太材3,加工丸太材2の両端部の固定孔3D,2Dに通した固定具4としてのボルト4Aを螺着固定することで、押え用丸太材3と加工丸太材2とを固定具4により平坦前面1Aに固定した場合(固定具4による固定構造の別例)を示している。
【0034】
また、この別例のようにナット4Bをインサート成形する場合、このナット4Bに固定具4としての螺子杆を螺着し、この螺子杆に押え用丸太材3と加工丸太材2とを通した後、螺子杆の前方側突出端部にナットを螺着することで、押え用丸太材3と加工丸太材2とを平坦前面1Aに固定する構造としても良い。
【0035】
また、本実施例では、平坦前面1Aの下部の小範囲を除いた略全面に加工丸太材2を上下多段に並設配設した場合を示している。
【0036】
次に、本実施例の土留用コンクリートブロックAの製造方法を説明する。
【0037】
コンクリートブロックA成形時に、平坦前面1Aの四隅位置に前記固定具4としてのボルト4Aをその螺子杆が前方へ突出するようにしてインサート成形する(図2参照。)。
【0038】
このコンクリートブロックAの平坦前面1Aの上下位置に一本ずつ加工丸太材2を横設配設し(図2参照。)、下側に配した加工丸太材2はその両端部に形成した固定孔2Dに下側左右のボルト4Aを挿通して沿設平坦面2Aを平坦前面1A下部に面接当接し、上側に配した加工丸太材2はその両端部に形成した固定孔2Dに上側左右のボルト4Aを挿通して沿設平坦面2Aを平坦前面1A上部に面接当接する(図3参照。)。
【0039】
次いで、この上下の加工丸太材2の上から(平坦前面1Aの前方向から)、この上下の加工丸太材2の両端部間に架け渡すようにして平坦前面1Aの左右位置に一本ずつ押え用丸太材3を縦設配設し(図3参照。)、夫々の押え用丸太材3の両端部に形成した固定孔3Dに両側の上下のボルト4Aを挿通してこの押え用丸太材3の沿設平坦面3Aを上下の加工丸太材2の押え込み用平坦面2Bに面接当接する(図4参照。)。
【0040】
次いで、この各固定孔3Dから平坦前面1Aの前側に突出している各ボルト4A先端にナット4Bを螺着固定することで、上下左右に方形状をなすように配設した二本の加工丸太材2と二本の押え用丸太材3とを平坦前面1Aに固定する(図4参照。)。
【0041】
次いで、この上下位置に固定された加工丸太材2間の隙間に、土留壁1の左右両側から、平坦前面1Aと押え用丸太材2との空間を介し多数の加工丸太材2を挿入して横設配設し、各加工丸太材2は、その沿設平坦面2Aを平坦前面1Aに略面接当接させると共に、押え込み用平坦面2Bを押え用丸太材3の沿設平坦面3Aに略面接当接させ、更に各加工丸太材2の左右両端部の位置を、先に上下位置に固定されている加工丸太材2の両端部の位置に合わせる(図4参照。)。
【0042】
次いで、左右の押え用丸太材3の上から(平坦前面1Aの前方向から)、この押え用丸太材3を貫通させて上下の加工丸太材2間に並設配設した各加工丸太材2の両端部に釘などの止着具6(釘)を打ち込みして押え用丸太材3に各加工丸太材2を固定し、平坦前面1Aの略全面が丸太材によって覆われる本実施例の土留用コンクリートブロックが完成する(図1参照。)。図中符号3Eは押え用丸太材3に形成した釘6打ち込み用の止着孔である。
【実施例2】
【0043】
本発明の具体的な実施例2について図7に基づいて説明する。
【0044】
本実施例は、前記実施例1において、土壁面1の平坦前面1Aの左右方向の中間の上下位置にもボルト4Aをインサート成形し、横設状態にして上下多段に並設配設した多数の加工丸太材2の中間部をも押え込むようにこの各加工丸太材2の中間位置に押え用丸太材3を縦設配設固定した場合である。
【0045】
このように構成した本実施例によれば、加工丸太材2及び押え用丸太材3の平坦前面1Aへの固定強度が一層向上するので、製品の耐久寿命が長期化すると共に、この加工丸太材2,押え用丸太材3によるコンクリートブロックA(平坦前面1A)の補強作用も一層向上することになる。
【0046】
尚、この図7では、本実施例の設置(施工)状態を示している。図中符号7はコンクリートブロックAを載置するための基礎である。
【実施例3】
【0047】
本発明の具体的な実施例3について図8に基づいて説明する。
【0048】
本実施例は、前記実施例1に対して、多数並設する加工丸太材2の並設方向を異ならせた場合である。
【0049】
具体的には、加工丸太材2が土留壁1の左右方向に縦設状態で並設配設する構成とし、押え用丸太材3は、この各加工丸太材2の長さ方向と直交する方向、即ち横設状態で配設固定した場合である。
【実施例4】
【0050】
本発明の具体的な実施例4について図9に基づいて説明する。
【0051】
本実施例は、前記実施例2において、加工用丸太材2の形状を異ならせた場合である。
【0052】
具体的には、丸太材を断面半割(半円)形状とせずに、断面略正八角形状に加工し、このうちの一面を沿設平坦面2Aとし、この沿設平坦面2Aの反対側面を押さえ込み用平坦面2Bとし、この沿設平坦面2Aと押さえ込み用平坦面2Bの対向方向と直交する方向の対向二面を並設用平坦面2Cとした場合である。
【0053】
尚、本発明は、実施例1〜4に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1(の完成状態)を示す斜視図である。
【図2】実施例1の、コンクリートブロックの平坦前面の上下位置に加工丸太材を横設配設しようとする状態を示す説明斜視図である。
【図3】図2の状態から、平坦前面の上下位置に加工丸太材を配設し、平坦前面の左右位置に押え用丸太材を縦設配設しようとする状態を示す説明斜視図である。
【図4】図3の状態から、平坦前面の左右位置に押え用丸太材を配設して固定(ナット止め)し、上下の加工丸太材間に上下多段に加工丸太材を挿入配設しようとする状態を示す説明斜視図である。
【図5】実施例1の丸太固定構造の別例を示す説明分解側面図である。
【図6】実施例1の丸太固定構造の別例による完成状態を示す説明側面図である。
【図7】実施例2の設置(施工)状態を示す説明斜視図である。
【図8】実施例3を示す斜視図である。
【図9】実施例4を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 土留壁
1A 平坦加工面
2 加工丸太材
2A 沿設平坦面
2B 押え込み用平坦面
2C 並設用平坦面
3 押え用丸太材
3A 沿設平坦面
4 固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土留壁の平坦前面に丸太嵌合用凹部などを設けることなく、沿設平坦面が加工形成された多数の加工丸太材を、この沿設平坦面を土留壁の平坦前面に当接させてこの平坦前面の略全面を覆うように並設配設し、この多数並設配設した各加工丸太材の前側面に、この各加工丸太材の長さ方向と直交する方向に配設した加工丸太材と同構造の押え用丸太材の沿設平坦面を当接し、この押え用丸太材と前記加工丸太材とに固定具を貫通させてこの固定具により押え用丸太材と加工丸太材とを土留壁の平坦前面に固定したことを特徴とする土留用コンクリートブロック。
【請求項2】
前記加工丸太材には、前記沿設平坦面の反対側に押え込み用平坦面を形成し、前記土留壁の平坦前面に多数並設配設した各加工丸太材の押え込み用平坦面に、この各加工丸太材の長さ方向と直交する方向に配設した前記押え用丸太材の前記沿設平坦面を面接当接する構成としたことを特徴とする請求項1記載の土留用コンクリートブロック。
【請求項3】
前記加工丸太材には、前記沿設平坦面と略直交する方向に面方向を有する並設用平坦面を形成し、前記土留壁の平坦前面に多数並設配設した各加工丸太材は、この並設用平坦面同士を面接当接する構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の土留用コンクリートブロック。
【請求項4】
前記土留壁の平坦前面に多数並設配設した前記各加工丸太材の少なくとも両端位置に存する加工丸太材の前側面に、この各加工丸太材の長さ方向と直交する方向に配設した前記押え用丸太材の前記沿設平坦面を当接し、この押え用丸太材と加工丸太材とに固定具を貫通させてこの固定具により押え用丸太材と加工丸太材とを土留壁の平坦前面に固定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の土留用コンクリートブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−125113(P2006−125113A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−317182(P2004−317182)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(591036125)藤林コンクリート工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】