説明

土砂分級装置

【課題】異物が含まれる土砂の中から所望の比重の砂を手間と費用とを掛けることなく、短時間に、多量に、連続して分級,採取できるようにする。
【解決手段】排出路8に溢れる程度の水を給水管15から採取槽11,取出口4を介して分級槽1に供給し且つ異物を含む土砂を供給手段7から分級槽1に供給しながら、コンベア3を回転させると、異物を含む土砂や比重の異なる砂を、分級槽1の底部1aにおいて、コンベア3の送り方向に運搬しながら、水と撹拌して混合した上、水面に掻き出して、ジャンプボード5,6に向けて流し、比重の軽い異物や土砂をそのまま水面の水の流れに乗せて分級槽1から排出路8に排出し、比重の重い土砂或いは比重の重い砂をジャンプボード5,6に当接或いは接触させて分級槽1の傾斜面1bに落下させ、底部1aに掻き込むことを連続して行って、所望の比重の砂を分級し、採取機12によって採取する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枯葉,木片,動物の糞等の異物と土と比重の異なる砂とが混ざり合っている土砂や火山灰の中から所望の比重の砂を分級,採取する土砂分級装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントに混合する建材用の砂は、川或いは海等から採取したり、砂を含む山の土を洗浄して採取したりしていたが、砂を採取できる場所も次第に規制されるようになってきたため、火山灰に多量に含まれる砂を利用する試みがなされるようになった。
【0003】
特許文献1に記載されている「火山灰の精製方法、及び流体の分級装置」によれば、火山灰を目の径が異なる篩に順次掛けて、所望の粒径以下の砂を分級,採取しても、篩い分けた所望の粒径以下の砂に枯葉,木片,動物の糞,土等の異物が付着,混入していると、セメントの結合力を弱めて、建材用の砂として利用できない。
【0004】
そこで、特許文献1によれば、所定の温度、例えば25℃の水を入れた分級槽に篩い分けた火山灰を投入して撹拌し、所定の時間、例えば1時間程度が経過した後、枯葉,木片,動物の糞等の異物が浮いている上層の水を分級槽から排出する。
【0005】
そして、分級槽の水を再度撹拌して、所定の時間、例えば1時間程度だけ放置した後、沈殿物の存在を検出したときに、分級槽のコックを僅かの時間だけ開放して、その沈殿物を分級槽から排出させれば、所望の比重の砂が分級,採取できる。
【0006】
又、この段階で採取できる砂の比重が大き過ぎるようであれば、分級槽の水を更に撹拌して、所定の時間、例えば12時間程度だけ放置した後、水の汚濁度が所定の値になったときに、分級槽のコックを僅かの時間だけ開放して、その沈殿物を分級槽から排出させれば、比重の小さい砂が分級,採取できる。
【特許文献1】特開平8−52429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このような土砂分級装置は、火山灰と水との撹拌及び火山灰等の沈澱の工程を要するため、砂の分級,採取に時間を要する上、分級の程度を高めようとすると、分級槽の容量を大きくできなくなって、多量の砂を短時間に連続して分級,採取できない。
【0008】
又、火山灰に混ざり合っている土,砂等の沈降速度を一定にするため、水の温度を一定に保持しなければならないので、土砂の分級,採取に手間と費用とが嵩んでしまう。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、土砂の分級,採取に手間と費用とを掛けることなく、所望の比重の砂を短時間に、多量に、連続して分級,採取できる土砂分級装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の本発明の土砂分級装置は、スクリューコンベアを内装すると共に、スクリューコンベアに並設される一方の壁面を底部からスクリューコンベアが水没する高さの上端にかけて傾斜させ、スクリューコンベアの送り方向において下流の壁面の下部或いは底部に取出口を設けてなる分級槽と、傾斜した壁面の上端よりも低い位置にそれぞれスクリューコンベアと平行に設けた複数のジャンプボードと、枯葉,木片,動物の糞等の異物を含む土砂を分級槽のスクリューコンベアの送り方向において上流に供給する供給手段と、取出口を介して分級槽と連通しており、周壁の高さが分級槽の傾斜した壁面の上端の高さと等しいかそれ以上ある採取槽と、採取槽に取り付けた採取手段及び給水管と、採取手段を駆動する動力手段とからなり、分級槽の傾斜した壁面の上端から溢れる程度の水を給水手段から採取槽と取出口とを介して分級槽に供給し且つ異物を含む土砂を供給手段から分級槽に供給しながら、スクリューコンベアを回転させると、分級槽の底部の異物を含む土砂や比重の異なる砂を、スクリューコンベアの送り方向に運搬しながら、水と撹拌して混合すると共に、異物を含む土砂や比重の異なる砂の混合した水を分級槽の底部から水面に掻き出して、複数のジャンプボードに向けて流し、水面近くまで浮き上がった比重の軽い異物や土砂をそのまま水面の水の流れに乗せて分級槽の傾斜した壁面の上端から排出し、水中を流れる比重の重い土砂或いは比重の重い砂を複数のジャンプボードに当接或いは接触させて分級槽の傾斜した壁面に落下させて分級槽の底部に掻き込むことを分級槽で繰り返し行って所望の比重の砂を分級した上、取出口から採取層に取り出された所望の比重の砂を採取手段により水と分離して採取するものである。
【0011】
請求項1に記載の本発明の土砂分級装置によれば、給水管から供給する水の温度は常温ですむので、所望の比重の砂の分級に手間と費用が掛からない上、所望の比重の砂が短時間に、多量に、連続して分級,採取できる。
【0012】
又、給水管から採取槽に供給された水は、分級槽の底部に設けた取出口から分級槽へ流れ込む、即ち所望の比重の砂の流れ込む方向と逆の方向に流れるので、分級槽の中の異物を含む土砂や比重の異なる砂の混合した水が採取槽に全く流れ込まなくなるので、所望の比重の砂だけが分級,採取できる。
【0013】
請求項2に記載の本発明の土砂分級装置は、前記取出口に前記取出口の口径を変える手段を設けるものである。
【0014】
請求項2に記載の本発明の土砂分級装置によれば、分級槽の取出口から採取槽に取り出される所望の比重の砂の量に応じて取出口の口径を変えて、採取槽から分級槽への水の流れの強さを調節することにより、異物を含む土砂や比重の異なる砂の混合された水が分級槽から採取層に流れ込まなくなって、所望の比重の砂だけが採取できる。
【0015】
請求項3に記載の本発明の土砂分級装置は、スクリューコンベアの外周部に水掻きを突設するものである。
【0016】
請求項3に記載の本発明の土砂分級装置によれば、異物を含む土砂や比重の異なる砂と水との撹拌,混合が促進されると共に、分級領域の水の流れが強くなって、水面近くの水の流れの強さとジャンプボード周辺の水の流れの強さとの差が大きくできるので、所望の比重の砂の分級がし易くなる。
【0017】
請求項4に記載の本発明の土砂分級装置は、スクリューコンベアに並設される他方の壁面をスクリューコンベアの外周に沿って彎曲させたものである。
【0018】
請求項4に記載の本発明の土砂分級装置によれば、異物を含む土砂や比重の異なる砂の混合された水の分級槽の底部から水面までの流れが円滑になって、異物や土砂の遠心力による分離も円滑になるため、所望の比重の砂の分級が促進される。
【0019】
請求項5に記載の本発明の土砂分級装置の複数のジャンプボードは、スクリューコンベアに近い側に設けたジャンプボードの迎え角を大きく、スクリューコンベアから遠い側に設けたジャンプボードの迎え角を小さくしたものである。
【0020】
請求項5に記載の本発明の土砂分級装置の複数のジャンプボードによれば、水面近くの水の流れの強さと水中の水の流れの強さとに差を生じて、異物を含む土砂や比重の異なる砂がスクリューコンベアから水面に沿って流れ易くなると共に、比重の重い砂が分級槽の傾斜部に落下し易くなり、所望の比重の砂の分級が促進される。
【0021】
請求項6に記載の本発明の土砂分級装置は、複数の仕切板を分級槽の傾斜した壁面の少なくとも上部にスクリューコンベアの中心線に対して垂直の向きに所望の間隔で配設して、複数の水路に仕切るものである。
【0022】
請求項6に記載の本発明の土砂分級装置によれば、分級の進んでいない異物を含む土砂や比重の異なる砂を含む水が分級の進んだ土砂や砂を含む水に混ざり難くなる上、各水路の水の流れが乱れ難くなるため、比重の軽い異物や土砂の混合された水が分級槽から円滑に排出できるようになって、所望の比重の砂の分級が促進される。
【0023】
請求項7に記載の本発明の土砂分級装置は、ジャンプボードの迎え角が水路毎に異なるものである。
【0024】
請求項7に記載の本発明の土砂分級装置によれば、スクリューコンベアからジャンプボードに流れる水の強さは各水路で同一であるので、ジャンプボードの迎え角を各水路の砂の分級の進み度合いに応じて変えることにより、所望の比重の砂の分級が促進される。
【0025】
請求項8に記載の本発明の土砂分級装置は、複数のジャンプボードの少なくとも1つの迎え角を可変としたものである。
【0026】
請求項8に記載の本発明の土砂分級装置によれば、混合成分の異なる土砂から所望の比重の砂を分級するときでも、所望の比重の砂を迅速に分級できる。所望の比重の砂の分級が促進される。
【0027】
請求項9に記載の本発明の土砂分級装置は、分級槽の傾斜した壁面に落下してくる異物を含む土砂や比重の異なる砂をスクリューコンベアの送り方向に誘導する突起を分級槽の傾斜した壁面に設けるものである。
【0028】
請求項9に記載の本発明の土砂分級装置によれば、分級が進んでいない異物を含む土砂や比重の異なる砂と分級が進んだ土砂や砂との流れが分離されて、所望の比重の砂の分級が促進される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の土砂分級装置によれば、土砂の分級,採取に手間と費用とを掛けることなく、所望の比重の砂を短時間に、多量に、連続して分級,採取できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の土砂分級装置について説明する。
【0031】
図1は本発明の土砂分級装置の構成を示す構成図、図2は本発明の土砂分級装置の分級槽の平面図、図3は図2のI−I線からみた本発明の土砂分級装置の分級槽の断面図である。
【0032】
1は回転軸2に取り付けたスクリューコンベア3(以下「コンベア3」という)を内装した分級槽で、この分級槽1のコンベア3に並設される一方の壁面、例えば図2において背面側の壁面は底部1aからコンベア3の水没する高さの上端にかけて傾斜しており(以下「傾斜面1b」という)、コンベア3の送り方向において下流の壁面、即ち回転軸2を取り付けた壁面の下部(図1参照)や底部1a(図4参照)には取出口4が設けられている。
【0033】
5及び6は分級槽1の傾斜面1bの上端よりも低い位置にそれぞれ回転軸2と平行に設けたジャンプボード(図2,図3参照)で、コンベア3に近い方のジャンプボード5の迎え角は大きく、コンベア3から遠い方のジャンプボード6の迎え角は小さい。
【0034】
7は枯葉,木片,動物の糞等の異物と土砂とが含まれる火山灰を分級槽1のコンベア3の送り方向において上流に供給する供給手段、8は分級槽1の傾斜面1bの上端に沿って設けた排出路(図2参照)、9は回転軸2を介してコンベア3を図3において矢印A方向に回転させる動力機、10は分級槽1の傾斜面1bの少なくとも上部に回転軸2に対して垂直の向きに所望の間隔で配設して6つの水路形成した7枚の仕切板、11は分級槽1と取出口4を介して連通しており、周壁の高さが分級槽1の傾斜面1bの上端の高さと等しいかそれ以上ある採取槽、12は採取槽11に回転自在に取り付けた採取機、13は採取機12を回転させる動力機、14は採取機12で採取した所望の比重の砂を運び出すシュート、15は採取槽11に取り付けた給水管である。
【0035】
このように構成された本発明の土砂分級装置において、給水管15から採取槽11に水を供給すると、その水は採取槽11から取出口4を介して分級槽1にも流れ込み、分級槽1と採取槽11との水位は同一の高さになる。
【0036】
今、分級槽1の傾斜面1bの上端から排出路8に溢れ出るようにして、水を給水管15から採取槽11と取出口4とを介して分級槽1に供給しながら、コンベア3を動力機9によって矢印A方向に回転させると、分級槽の中の水は、分級槽1の底部1aから水面に掻き出されてジャンプボード5とジャンプボード6とに向って流れた上、水面近くの水は、その流れが余り弱まることなくジャンプボード5とジャンプボード6との上を通って分級槽1の傾斜面1bの上端から排出路8に向って流れ、水中の水は、ジャンプボード5或いはジャンプボード6に当接或いは接触してその流れを弱めながら分級槽1の傾斜面1bに向って流れた上、分級槽1の底部1aに掻き込まれる。
【0037】
そこで、予め篩に掛けて分級,採取しておいた所望の粒径以下の火山灰を供給手段7から分級槽1に供給すると、火山灰に含まれる枯葉,木片,動物の糞等の異物や、比重が異なる土砂が、水と共にコンベア3によって攪拌,混合されながら水面に掻き出されるが、このとき枯葉,木片,動物の糞等の異物や土砂に働く遠心力によって、比重の軽い枯葉,木片,動物の糞等の異物は水面近くに浮き上がり、比重の重い土砂は水中に漂う。
【0038】
このため、水面近くまで浮き上がった比重の軽い枯葉,木片,動物の糞等の異物は、ジャンプボード5とジャンプボード6との上を通る水の流れに乗って分級槽1の傾斜面1bの上端から排出路8に排出されるが、水中の比較的比重の重い土砂は、ジャンプボード5或いはジャンプボード6に当接或いは接触して流速が弱められることにより、自重で分級槽1の傾斜面1bに落下して、分級槽1の底部1aに掻き込まれる。
【0039】
即ち、火山灰の中から枯葉,木片,動物の糞等の異物を除去した土砂が得られる。
【0040】
又、分級槽1の底部1aに流れ込んだ土砂は、コンベア3によってコンベア3の送り方向(図1において矢印B方向)に運搬されると共に、水と攪拌,混合されながら水面に掻き出されるが、このときの遠心力によって水面近くに浮き上がった比重の軽い土はジャンプボード5とジャンプボード6との上を通って排出路8に排出され、水中に漂う比重の重い砂はジャンプボード5或いはジャンプボード6に当接或いは接触して流速が弱められると、自重で分級槽1の傾斜面1bに落下して、分級槽1の底部1aに掻き込まれることにより、火山灰の中から更に土を除去した比重の異なったものが混ざった砂が得られる。
【0041】
更に、分級槽1の底部1aに流れ込んだ比重の異なったものが砂は、コンベア3によってコンベア3の送り方向(図1において矢印B方向)に運搬されると共に、水と攪拌,混合されながら水面に掻き出されるが、このときの遠心力によって水面近くに浮き上がった比較的比重の軽い砂はジャンプボード5とジャンプボード6との上を通って排出路8に排出され、水中に漂う比較的比重の重い砂はジャンプボード5或いはジャンプボード6に当接或いは接触して流速が弱められると、自重で分級槽1の傾斜面1bに落下して、分級槽1の底部1aに掻き込まれることにより、火山灰の中から更に比重の軽い砂を除去した所望の比重の重い砂が得られる。
【0042】
そして、所望の比重の重い砂は、コンベア3によって取出口4から採取槽11に運搬された上、動力機13によって駆動される採取機12のバケットによって採取槽11の底から掬い上げられて、水と分離された上、シュート14から採取される。
【0043】
このように、本発明の土砂分級装置によれば、分級槽1の傾斜面1bの上端から排出路8に溢れ出るようにして、水を分級槽1に供給しながら、コンベア3を回転させるだけで、火山灰,土砂或いは砂をコンベア3によって送り方向(図1において矢印B方向)に連続して運搬しながら、ジャンプボード5或いはジャンプボード6において枯葉,木片,動物の糞等の異物,土,比重の軽い砂を連続して排出路8に排出することにより、土砂,比重の異なるものが混ざった砂,所望の比重の砂へと連続して分級できる上、給水管15から供給する水の温度は常温ですむので、所望の比重の砂の分級に手間と費用が掛からない上、所望の比重の砂が短時間に、多量に、連続して分級,採取できる。
【0044】
又、給水管15から採取槽11に供給された水は、分級槽1の下部或いは底部に設けた取出口4を介して分級槽1に所望の比重の砂の運搬方向と逆の方向に供給されるので、枯葉,木片,動物の糞等の異物や比重が異なる土砂の混合された水が、取出口4から採取槽11に流れ込まなくなるので、採取槽11から所望の比重の砂だけが採取できる。
【0045】
更に、分級槽1と採取槽11とを連通する取出口4に分級槽1の取出口4から採取槽11に取り出される所望の比重の砂の量に応じて取出口の口径を変える手段(図示しない)を設けて、採取槽11から分級槽1への水の流れの強さを調節することにより、異物を含む土砂や比重の異なる砂の混合された水が分級槽1から採取層11に流れ込まなくなって、所望の比重の砂だけが採取できる。
【0046】
ところで、コンベア3の外周部に水掻き16を回転軸2と平行に突設する(図5参照)と、異物を含む土砂や比重の異なる砂と水との撹拌,混合が促進されると共に、分級槽1の中に形成される水の流れが強くなって、水面近くの水の流れの強さとジャンプボード7とジャンプボード8との周辺の水の流れの強さの差が大きくできるので、所望の比重の砂の分級がし易くなる。
【0047】
又、分級槽1の底部1aからコンベア3に並設される他方の壁面、即ち正面側の壁面をコンベア3の外周に沿って彎曲させる(図5参照)ことにより、異物を含む土砂や比重の異なる砂の混合された水の分級槽1の底部1aから水面までの流れが円滑になって、異物や土砂の遠心力による分離も円滑になるため、所望の比重の砂の分級が促進される。
【0048】
更に、ジャンプボード5とジャンプボード6とにおいて、コンベア3に近い側に設けたジャンプボード5の迎え角を大きく、コンベア3から遠い側に設けたジャンプボード6の迎え角を小さくすることにより、水面近くの水の流れの強さと水中の水の流れの強さとに差を生じて、異物を含む土砂や比重の異なる砂がコンベア3から水面に沿って流れ易くなると共に、比重の重い砂が分級槽1の傾斜部1bに落下し易くなり、所望の比重の砂の分級が促進される。
【0049】
更に、分級槽1の傾斜面1bの少なくとも上部に仕切板10を配設して、分級槽1の傾斜面1bの上部を6つの水路に仕切ることにより、分級の進んでいない異物を含む土砂や比重の異なる砂を含む水が分級の進んだ土砂や砂を含む水に混ざり難くなる上、各水路の水の流れが乱れ難くなるため、比重の軽い異物や土砂の混合された水が分級槽1から排出路8に円滑に排出できるようになって、所望の比重の砂の分級が促進される。
【0050】
更に、コンベア3からジャンプボード5とジャンプボード6との上に流れる水の強さは各水路で同一であるので、ジャンプボード5とジャンプボード6との迎え角を各水路の砂の分級の進み具合に応じて変えると、所望の比重の砂の分級が促進される。
【0051】
更に、ジャンプボード5とジャンプボード6との少なくとも1つの迎え角を可変とする(図5参照)ことにより、混合成分の異なる土砂から所望の比重の砂を分級するときでも、所望の比重の砂を迅速に分級できる。
【0052】
更に、分級槽1の傾斜面1bに落下してくる異物を含む土砂や比重の異なる砂をコンベア3の送り方向に誘導する誘導突起17を分級槽1の傾斜面1bに設ける(図6参照)ことにより、分級が進んでいない異物を含む土砂や比重の異なる砂と分級が進んだ土砂や砂との流れが分離されて、所望の比重の砂の分級が促進される。
【0053】
なお、本発明の実施の形態では、火山灰から所望の比重の砂を分級する例で説明したが、あらゆる種類の土砂から所望の比重の砂を分級することもできる。
【0054】
又、仕切板の数や、ジャンプボードの数或いは迎え角は、土砂の成分や比重に応じて増減させればよい。
【0055】
更に、採取機12は、図1に示す如く、水車状のものを例にして説明したが、スクリューコンベア,ベルトコンベア、バケットであってもよい。
【0056】
更に、コンベア3と採取機12とは、図1に示す如く、動力機9と動力機13とで駆動される例で説明したが、1つの駆動機で駆動するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、土砂の分級,採取に手間と費用とを掛けることなく、所望の比重の砂を短時間に、多量に、連続して分級,採取する土砂分級装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の土砂分級装置の構成を示す構成図
【図2】本発明の土砂分級装置の分級槽の平面図
【図3】図2のI−I線からみた本発明の土砂分級装置の分級槽の断面図
【図4】本発明の土砂分級装置の分級槽の他の実施例の構成図
【図5】本発明の土砂分級装置の分級槽の更に他の実施例の構成を示す断面図
【図6】本発明の土砂分級装置の分級槽の更に他の実施例の構成を示す平面図
【符号の説明】
【0059】
1 分級槽
1a 底部
1b 傾斜面
1c 彎曲部
2 回転軸
3 スクリューコンベア
4 取出口
5,6 ジャンプボード
7 供給手段
8 排出路
9,13 動力機
10 仕切板
11 採取槽
12 採取機
14 シュート
15 給水管
16 水掻き
17 誘導突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューコンベアを内装すると共に、前記スクリューコンベアに並設される一方の壁面を底部から前記スクリューコンベアが水没する高さの上端にかけて傾斜させ、前記スクリューコンベアの送り方向において下流の壁面の下部或いは底部に取出口を設けてなる分級槽と、
前記傾斜した壁面の上端よりも低い位置にそれぞれ前記スクリューコンベアと平行に設けた複数のジャンプボードと、
枯葉,木片,動物の糞等の異物を含む土砂を前記分級槽の前記スクリューコンベアの送り方向において上流に供給する供給手段と、
前記スクリューコンベアを回転させる動力手段と、
前記取出口を介して前記分級槽と連通しており、周壁の高さが前記分級槽の傾斜した斜面の上端の高さと等しいかそれ以上ある採取槽と、
前記採取槽に取り付けた採取手段及び給水管と、
前記採取手段を駆動する動力手段とからなり、
前記分級槽の傾斜した壁面の上端から溢れる程度の水を前記給水手段から前記採取槽と前記取出口とを介して前記分級槽に供給し且つ異物を含む土砂を前記供給手段から前記分級槽に供給しながら、前記スクリューコンベアを回転させると、前記分級槽の底部の異物を含む土砂や比重の異なる砂を、前記スクリューコンベアの送り方向に運搬しながら、水と撹拌して混合すると共に、異物を含む土砂や比重の異なる砂の混合した水を前記分級槽の底部から水面に掻き出して、前記複数のジャンプボードに向けて流し、水面近くまで浮き上がった比重の軽い異物や土砂をそのまま水面の水の流れに乗せて前記分級槽の傾斜した壁面の上端から排出し、水中を流れる比重の重い土砂或いは比重の重い砂を前記複数のジャンプボードに当接或いは接触させて前記分級槽の傾斜した壁面に落下させて前記分級槽の底部に掻き込むことを前記分級槽で繰り返し行って所望の比重の砂を分級した上、前記取出口から前記採取層に取り出された所望の比重の砂を前記採取手段により水と分離して採取することを特徴とする土砂分級装置。
【請求項2】
前記取出口に前記取出口の口径を変える手段を設けることを特徴とする請求項1に記載の土砂分級装置。
【請求項3】
前記スクリューコンベアの外周部に水掻きを突設することを特徴とする請求項1に記載の土砂分級装置。
【請求項4】
前記スクリューコンベアに並設される他方の壁面を前記スクリューコンベアの外周に沿って彎曲させたことを特徴とする請求項1に記載の土砂分級装置。
【請求項5】
前記複数のジャンプボードは、前記スクリューコンベアに近い側に設けた前記ジャンプボードの迎え角が大きく、前記スクリューコンベアから遠い側に設けた前記ジャンプボードの迎え角が小さいことを特徴とする請求項1に記載の土砂分級装置。
【請求項6】
複数の仕切板を前記分級槽の傾斜した壁面の少なくとも上部に前記スクリューコンベアの中心線に対して垂直の向きに所望の間隔で配設して、複数の水路に仕切ることを特徴とする請求項1に記載の土砂分級装置。
【請求項7】
前記ジャンプボードの迎え角は前記水路毎に異なることを特徴とする請求項7に記載の土砂分級装置。
【請求項8】
前記複数のジャンプボードの少なくとも1つは、迎え角が任意の角度に調整できることを特徴とする請求項5又は請求項7に記載の土砂分級装置。
【請求項9】
前記分級槽の底部に還流してくる前記異物を含む土砂や前記比重の異なる砂を前記スクリューコンベアの送り方向に誘導する突起を前記分級槽の傾斜した壁面に設けることを特徴とする請求項1に記載の土砂分級装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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