説明

圧力を受けて流体生成物を分配するデバイスを製造する方法、このような方法を実行する器具及び圧力を受けて流体生成物を分配するデバイス

分配デバイス(1)を製造する方法であって、以下の行程、− 容積が可変である内側容器(3)の分配開口部(7)へバルブ(4)を備え付ける工程と、− 熱可塑性ポリマーで形成された取付スリーブ(22)を内側容器(3)に封止的に取り付ける工程と、− 内側容器(3)とバルブ(4)とを熱可塑性ポリマーで形成された外側容器(5)の内側に配置する工程と、− 外側容器(5)の備付開口部(16)と向かい合ってかつ備付開口部(16)から離間して取付スリーブ(22)を配置する工程と、− 備付開口部(16)を通って加圧ガスを内側容器(3)と外側容器(5)との間に入れる工程と、− 備付開口部(16)を取付スリーブ(22)で閉塞し、取付スリーブ(22)と外側容器(5)とを互いに溶接する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力を受けて流体生成物を分配するデバイスを製造する方法、このような方法を実行する器具及び圧力を受けて流体生成物を分配するデバイスに関する。
【0002】
特に、本発明は、加圧流体生成物を分配するデバイスに適用し、当該デバイスは、
− 容積が可変である内側容器であって、分配される流体生成物を収容するのに適しており、当該内側容器が変形可能な側壁部と分配開口部とを備えている、内側容器と、
− 作動部材が設けられ、分配開口部に取り付けられており、加圧流体生成物を外部に分配するのに適したバルブと、
− 軸に沿うほぼシリンダ状をなす硬質な外側容器であって、第1閉鎖端部と備付開口部を有する第2端部とを備え、内側容器とバルブとが軸に沿って当該外側容器の内側に配置され、作動部材が備付開口部に対して外部に向けて突出し、内側容器と当該外側容器とがこれらの間で内部容積を画成し、内部容積内には加圧ガスが配置される、外側容器と、
− 内側容器に封止的に取り付けられた取付スリーブであって、上記取付スリーブが備付開口部を封止的に閉塞しかつ外側容器の第2端部に取り付けられている、取付スリーブと、
を備えている。
【背景技術】
【0003】
このタイプの既知の分配デバイスにおいて、取付スリーブは、圧接によって容器に取り付けられている。内部容積におけるガス封止を確実にするため、弾性シールは、圧接時に取付スリーブと外側容器との間に介挿されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】仏国特許第2893315号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/087462号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような分配デバイスを製造する方法は、実行が困難である。
【0006】
実際には、製造方法は、特に圧接工程を備えており、この圧接工程は、圧接中にかかる力に耐えるためかつ十分な結合性をもたらすために、特に、取付スリーブを形付ける工程と取付スリーブを位置決めする工程と外側容器の第2端部を位置決めする工程とからなる初期行程を必要とする。また、正確にシール部を取り付ける工程は、空気気密性を達成するために必要である。実際には、不正確に位置決めした場合、圧接工程において、分配デバイスを使用不可能としてしまうシール部の損傷の危険性がある。
【0007】
本発明の目的は、上述した問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、圧力を受けて流体生成物を分配するデバイスを製造する方法を提案し、圧力を受けて流体生成物を分配するデバイスは、上記タイプからなり、外側容器と熱可塑性ポリマーで形成された取付スリーブとを備え、上記方法は、以下の行程、
− バルブを内側容器の分配開口部の中に備え付ける工程と、
− 取付スリーブを内側容器に封止的に取り付ける工程と、
− 備付開口部を通って内側容器とバルブとを外側容器の内側に配列する工程と、
− 外側容器の第2端部と向かい合いかつ第2端部から所定距離に取付スリーブを配置する工程と、
− 備付開口部を介して、内部区間内に加圧ガスを入れる工程と、
− 備付開口部を取付スリーブで閉塞し、取付スリーブと外側容器とを互いに溶接する工程と、
を備える。したがって、取付スリーブと外側容器とは、特に射出成形またはブロー成形からなる単一の工程を利用することによって形付けられる。
【0009】
さらに、外側容器に対する取付スリーブの結合性と内部容積のガス気密性とは、容易にかつ単一の操作で達成され、溶接中に溶融した熱可塑性ポリマーは、結合及び封止機能を果たす。
【0010】
その上、両者が熱可塑性ポリマーで形成されている取付スリーブと外側容器との間を溶接することは、内部容積を気密したかつ密封した様式で封止する前に加圧される分配デバイスにおける気密性及び結合性を改善する。溶接すること、ひいては気密性及び取付性は、内部容積内でガス圧力に耐えるように構成されている。このため、分配デバイスの安全性は、強化される。
【0011】
また、方法は、デバイスが組み立てられた後にアクセス可能な充填開口部のない分配デバイスを製造することを可能とする。方法は、特に、備付開口部が外側容器のたった1つの開口部でありかつ取付スリーブがバルブについてのたった1つの中央開口部を備える分配デバイスを製造することを可能とする。このように、分配デバイスを製造することは、容易化され、分配デバイスの安全性は、強化され、ガス漏れの危険性とユーザによる内部容積へのアクセスの危険性とは、防止される。
【0012】
複数の形態において、製造方法は、以下の構成、すなわち、
− 製造方法において、
− 取り付ける工程の前に、一方で、外側容器であって当該外側容器の第2端部が備付開口部を画成する首部を形成する外側容器を製造し、そして他方で、首部へスリーブ嵌合(sleeve-fitted)するのに適した側壁部を備える取付スリーブを製造し、側壁部と首部とがそれぞれ2つの径方向厚肉部を備え、径方向厚肉部それぞれが、閉塞して溶接する工程中において互いに接触するのに適した2つの端部領域を備え、端部領域の少なくとも一方が、外部へ口を広げた切頭円錐形の端面を有し、
− 閉塞して溶接する工程中に、側壁部が首部にスリーブ嵌合され、端部領域が互いに溶融されること、
− 方法において、
− 外側容器を製造しかつ取付スリーブを製造する間に、
− 首部には、径方向外方に延在しかつ第1接触面を有する環状リムが形成され、
− 取付スリーブには、第1接触面と接触するのに適した第2接触面を有する環状襟部が形成され、
− 第1及び第2接触面の少なくとも一方に凹所が形成され、
− 閉塞して溶接する工程中に、端部領域の溶融した熱可塑性ポリマーの少なくとも一部が凹所に移動されること、
− 方法において、配列する工程の後、取付スリーブは、外側容器の第2端部に位置付けられ、配置する工程中に、取付スリーブを上昇させること、
− 方法において、取付スリーブを上昇させるため、取付スリーブは、真空が発生している座部の中に吸引されること、
− 方法において、取り付ける工程中に、内側容器と取付スリーブとは、互いに溶接されること、
− 方法において、
− 取付行程前に、一方では軸に垂直に延在しかつ第1溶接面を有する環状基部を備える取付スリーブと、他方では軸に垂直な分配開口部近傍に延在しかつ第2溶接面を有する内側容器とは、熱可塑性ポリマーで形成されており、第1及び第2溶接面の少なくとも一方は、突出する環状の保持リング部を備え、
− 取り付ける工程中に、基部とリング部とは、同軸に位置付けられており、保持リング部は、第1及び第2溶接面の一方であって他方の溶接面と接触する一方の溶接面に対して突出しており、保持リング部と上記溶接面とは、溶融されること、
− 方法において、閉塞して溶接する工程中に、軸方向の負荷をかけ、取付スリーブと外側容器との間に摩擦を発生させること、
− 方法において、摩擦は、取付スリーブにかけられた超音波振動によって発生すること、
− 製造方法は、閉塞して溶接する行程の後に、作動部材をバルブに取り付ける工程を備えること、
− 製造方法は、閉塞して溶接する行程の後に、内側容器に流体生成物を充填する工程を備えること、
のうちの1以上を備えてもよい。
【0013】
また、本発明は、上記製造方法を実行する装置を提案しており、この装置は、
− 加圧ガスの充填デバイスと、
− 封止様式で閉塞されて充填デバイスに接続された充填チャンバであって、当該チャンバが少なくとも外側容器の第2端部と上記第2端部に位置付けられた取付スリーブとを受けるのに適している、充填チャンバと、
− 充填チャンバに備え付けられ、外側容器と取付スリーブとを互いに対して移動させかつ備付開口部を開放させるのに適した開放システムと、
− 充填チャンバの少なくとも部分的に配置され、外側容器と取付スリーブとを互いに溶接するのに適した溶接デバイスと、
を備える。
【0014】
複数の形態において、装置は、以下の構成、すなわち、
− 溶接デバイスは、取付スリーブに軸方向の負荷をかけかつ取付スリーブと外側容器との間に摩擦を発生させるのに適していること、
− 溶接デバイスは、超音波振動を取付スリーブにかけることによって摩擦を発生させること、
− 溶接デバイスは、超音波振動発生器と、外側容器の軸に沿って延在する溶接腕部と、を備え、溶接腕部は、発生器に接続される第1端部と、充填チャンバ内に延在しかつ取付スリーブと接触する第2端部と、を備え、発生器と溶接腕部とは、外側容器の軸に沿って充填チャンバに対して並進移動可能であること、
− 開放システムは、外側容器を締め付ける締付デバイスと、吸引デバイスと、ダクトと、を備え、ダクトは、吸引デバイスに接続されて溶接腕部の第2端部に形成された座部の中に現れ、取付スリーブの少なくとも一部を収容するのに適していること、
のうちの1以上を備えてもよい。
【0015】
別の態様において、本発明の目的は、加圧流体生成物を分配するデバイスであって、このデバイスは、
− 容積が可変である内側容器であって、分配される流体生成物を収容するのに適しており、当該内側容器が変形可能な側壁部と分配開口部とを備えている、内側容器と、
− 分配開口部に備え付けられた本体部と、待機位置と作動位置との間で本体部内にスライド式に備え付けられたステムと、ステムに備え付けられた作動部材と、を備えるバルブであって、当該バルブが、ステムが作動位置にあるときに加圧流体生成物を外部に分配するのに適している、バルブと、
− 熱可塑性ポリマーで形成され、硬質であり、軸に沿うほぼシリンダ状をなす外側容器であって、第1端部と、1つの備付開口部を有する第2端部と、を備え、内側容器とバルブとが軸に沿って当該外側容器の内側に配置され、作動部材が備付開口部に対して外部に向けて突出し、内側容器と当該外側容器とが内側容器と当該外側容器との間に内部容積を画成し、内部容積には加圧ガスが配置されている、外側容器と、
− 熱可塑性ポリマーで形成された取付スリーブであって、内側容器に封止的に取り付けられており、当該取付スリーブが、備付開口部を封止的に閉塞し、外側容器の第2端部に溶接されており、当該取付スリーブがステムによって横断される1つの中央開口部を備える、取付スリーブと、
を備える。
【0016】
上述のように、取付スリーブと外側容器とは、両者とも熱可塑性プラスチックで形成されており、互いに溶接して、内側容器を気密かつ密封した様式で封止する前に加圧される分配デバイスにおける気密性、結合性及び安全性を改善する。そして、充填開口部のない分配デバイスにより、製造方法が簡素化され、また、安全性が強化される。
【0017】
さらに、取付スリーブと外側容器とは、リサイクル可能な材料または同種のもので形成されており、分配デバイスのリサイクルを改善する。
【0018】
複数の形態において、分配デバイスは、以下の構成、すなわち、
− 外側容器の第2端部は、備付開口部を画成する首部を形成し、取付スリーブは、首部の中にスリーブ嵌合される側壁部を備え、側壁部と首部とは、軸方向溶接領域に沿って互いに溶接されていること、
− 首部は、径方向外方に延在する環状リムを備え、取付スリーブは、径方向接触領域に沿ってリムと接触する環状襟部と、径方向接触領域に形成された軸方向溶接領域における熱可塑性ポリマーの少なくとも一部を受ける凹所と、を備えること、
− 内側容器は、少なくとも部分的に熱可塑性ポリマーで形成されており、内側容器と取付スリーブとは、互いに溶接されること、
− 取付スリーブは、外側容器の径方向内方に延在する環状基部を備え、内側容器は、分配開口部の近傍に径方向に延在するリング部を備え、基部とリング部とは、径方向溶接領域に沿って互いに溶接されていること、
− 外側容器の第1端部は、球形をなしており、分配する当該デバイスは、外側容器に取り付けられかつ平坦な支持面を形成する台枠を備えること、
− 熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートから選択されること、
− 熱可塑性ポリマーは、透光性を有すること、
− 内側容器内に配置される流体生成物を備えること、
のうちの1以上を備えてもよい。
【0019】
本発明の他の目的及び有利点は、添付の図面を参照しながらなされる以下の説明を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態における分配デバイスを示す長手方向断面図である。
【図2】図1の分配デバイスにおける拡張状態にある内側容器を示す長手方向断面図である。
【図3】図1の分配デバイスにおける収縮状態にある内側容器を示す側面図である。
【図4】図1の分配デバイスにおける外側容器を示す長手方向断面図である。
【図5】図4のVが付された詳細を示す拡大図である。
【図6】図1の分配デバイスにおける内側容器を外側容器に取り付けるためのスリーブを示す長手方向断面図である。
【図7】図6のVIIが付された詳細を示す拡大図である。
【図8】図6のVIIIが付された詳細を示す拡大図である。
【図9】図1の分配デバイスの製造工程を示す長手方向断面図である。
【図10】図9のXが付された詳細を示す拡大図である。
【図11】図9のXIが付された詳細を示す拡大図である。
【図12】図1の分配デバイスを製造する方法に適用される器具を示す側面図である。
【図13】図12の器具を示す正面図である。
【図14】図12のXIVが付された詳細を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図において、同一の参照符号は、同一または同様の構成要素を示している。
【0022】
図1は、洗浄剤または殺菌剤を含む液体2または薬学、化粧品もしくは香水の分野における液体2のような加圧流体生成物を分配、特に噴霧するのに適したデバイス1を示している。
【0023】
図示の実施形態において、分配デバイス1は、
− 分配される液体2を収容する容積が可変である内側容器3と、
− 加圧流体2を外方へ分配するのに適したバルブ4と、
− 外側容器5であってこの外側容器5内に内側容器3及びバルブ4が配置される外側容器5と、
− 内側容器3を外側容器5に取り付けるためのスリーブ22と、
を備えている。
【0024】
図2及び図3において、内側容器3は、軸Aに沿うほぼシリンダ状をなしている。内側容器3は、変形可能な側壁部6と、端部において軸Aの周囲にある管状延長部8と、を備えている。延長部8は、分配開口部7を画成しており、外表面であってこの外表面からリング部9が径方向外方に延在する外表面を有している。
【0025】
少なくとも延長部8、本実施形態では内側容器3全体は、熱可塑性ポリマー、すなわち反復方式において熱の作用を受けて軟化され、冷却中に硬化されるプラスチックで形成されている。例として、使用される熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)である。有利には、熱可塑性ポリマーは、透光性を有している。
【0026】
内側容器3は、内側容器が液体2で満たされているときの図1及び図2に示す拡張状態と、内側容器が空であるときの図3に示す収縮状態と、の間で変形できるように形成されている。長手方向の折畳線またはリブを有する内側容器3の例示的な形態は、仏国特許第2893315号明細書に記載されている。
【0027】
図1に示すように、バルブ4は、
− 軸Aに沿って分配開口部7に備え付けられ、第1及び第2開口端を有する中空本体部10と、
− 待機位置と作動位置との間で本体部10内をスライドするように備え付けられた中空ステム11であって、このステム11はステム11が作動位置にあるときに本体部の内側と連通する入口開口部12を有する、中空ステム11と、
− シール部13によって形成され、入口開口部を閉鎖するバルブ素子であって、シール部13はステム11が待機位置にある状態で入口開口部12を閉鎖する、バルブ素子と、
− バネ14のような復帰部材であって、ステム11を待機位置に押し付ける、復帰部材と、
を備えている。
【0028】
図1に示すように、押しボタン15の形態をなす作動部材は、ステム11にスリーブ嵌合されており、待機位置から作動位置へステムを移動させることができる。
【0029】
図4において、外側容器5は、軸Bに沿うほぼシリンダ状を有しており、底部5aを形成する第1閉鎖端部と、備付開口部16を有する第2端部と、を備えている。代表的な形態において、備付開口部は、外側容器5における唯一の開口部である。そして、外側容器5には、圧力を受けてガスを充填する穴のような他の開口が形成されておらず、充填は、後述するように、分配デバイスを組み立てることによって、備付開口部16を介してなされる。
【0030】
図5において、外側容器5の第2端部は、備付開口部16を画成する首部17を形成している。首部17は、軸Bに対して径方向外方に延在する環状リム18を備えている。さらに、首部17は、軸Bに対して径方向内側の厚肉部20を有している。厚肉部は、外側容器5の底部5aに向けて径方向でずらされており、底部5aと向かい合う最外領域を備えている。最外領域は、外方へ口を広げる切頭円錐形の端面21を有する。
【0031】
図1に示すように、内側容器3とバルブ4とは、外側容器5内に配置されており、内側容器3の軸Aと外側容器5の軸Bとは、同軸となり、押しボタン15は、備付開口部16に対して外方に突出している。そして、外側容器5と内側容器3とは、これら容器間で加圧ガスが配置される内部容積を画成する。
【0032】
ガスは、特に空気、窒素、アルゴン、二酸化炭素または別のガスである。ガスは、任意の適切な形態、特にガス状または適切な液体もしくは固体の媒体に溶解された形態で内部容積へ入れられており、液体または固体の媒体内に溶解されたガスが開放することにより、外側容器5と内側容器3との間に形成された内部容積を一定の圧力で保持することが可能となる。
【0033】
外側容器5は、ガスをバリアするように形成されており、ガスに対して化学的耐性を有しかつ20barよりも高い圧力に対して機械的耐性を有している。
【0034】
特に、外側容器5は、有利には透光性を有するPETまたはPENのような熱可塑性ポリマーであって単独または混合物の形態で使用される熱可塑性ポリマーで形成されており、熱の作用を受けて軟化されかつ冷却時に硬化されることができ、ガスをバリアするように形成されており、化学的耐性と圧力に対する機械的耐性とを与える。例えば、外側容器5は、PETまたはPENからなる層あるいはナイロン、特にナイロンMXD6からなる層、あるいはエチレンビニルアルコール(EVOH)レジンからなる層、あるいは酸化珪素からなる層を含むロール状エレメントの形状をなしてもよい。また、このようなロール状エレメントの形状をなす形態は、内側容器3にも適用してもよく、ガス及び液体へのバリアを形成しかつ分配デバイスの使用に適した化学的及び機械的耐性を与える。
【0035】
また、外側容器5の形状は、このような圧力に耐えるように構成されている。例えば、図1において、外側容器5の底部5aは、球形をなしており、また、分配デバイス1は、台枠25であって台枠25の環状ロール部26を外側容器5の環状溝部27にスナップ嵌合させることによって外側容器5と取り付けられる台枠25を備えている。台枠25は、平坦な支持面を形成し、支持面には、分配デバイス1が載置される。
【0036】
内側容器3を外側容器5に取り付けるため、図6から図8に示す取付スリーブ22が使用される。
【0037】
取付スリーブ22は、有利には透光性を有する熱可塑性ポリマー、特にPETまたはPENで形成されている。取付スリーブ22は、軸Cに沿う管状の側壁部28を備えており、側壁部28は、軸Cと同軸に配置されかつ環状基部30によって側壁部28に接続された環状壁部29を囲んでおり、環状基部30は、軸Cに対して径方向にある。側壁部28は、外側容器5の首部17における径方向の寸法とほぼ等しい径方向の寸法を有している。
【0038】
非限定的な例として、径方向壁部28は、取付スリーブ22が標準寸法である外側容器5に適合することを可能とする。したがって、首部17と側壁部28とは、標準的な径方向の寸法、すなわち25.4mmのオーダーの直径を有している。しかしながら、側壁部28と首部17とは、後述のように、分配デバイスの用途に適しかつ取付スリーブ22を外側容器5に取り付けるのに適した任意の寸法であってもよい。
【0039】
また、取付スリーブ22は、側壁部28の自由端から軸Cに対して径方向外方に延在する環状襟部31を備えている。中央開口部33が設けられた径方向平面部32は、内壁部29の自由端から延在している。代表的な形態において、中央開口部33は、取付スリーブ22における唯一の開口部である。このため、外側容器5についてのように、取付スリーブ22には、圧力下でガスを充填するための穴が形成されていない。圧力下でガスを充填することは、後述する。
【0040】
図7に示すように、側壁部28は、厚肉部35を備えており、厚肉部35は、環状襟部31から最外領域であって基部30から離間して配置された最外領域まで軸Cに対して径方向外方に延在している。側壁部28に形成された厚肉部35の最外領域は、径方向の端面を有しており、首部17の厚肉部20における最外領域と衝突する。変形例として、端面は、外方に口を広げる切頭円錐形であってもよい。したがって、図7において、環状襟部31は、底部接触面を有しており、底部接触面は、基部30に向けられており、かつ底部接触面には、凹所34が形成されている。
【0041】
また、図8に示すように、取付スリーブ22の基部30は、側壁部28とは反対側の面に対して突出する環状保持リング部37を有している。
【0042】
図1に示す実施形態において、内側容器3の延長部8は、内壁部29の内側と同軸に延在しており、シール部13は、取付スリーブ22の平面部32と延長部の自由端との間で保持されている。ステム11は、平面部32の中央開口部33を横断しており、バルブ4の本体部10と押しボタンとは、平面部32の両側に配置されている。取付スリーブ22は、径方向溶接領域49に沿って溶接することにより、封止された様式で内側容器3に取り付けられている。
【0043】
さらに、側壁部28は、首部17にスリーブ嵌合されており、取付スリーブ22は、備付開口部16を閉塞している。環状襟部31は、環状襟部31の接触面とリム18に形成された接触面とによって形成された径方向接触領域に沿ってリム18に接触している。環状基部30は、外側容器5の内側において径方向に延在している。取付スリーブ22を外側容器5に封止的に取り付けることを確実にするため、側壁部28と首部17とは、代表的な形態において首部17内に位置する軸方向溶接領域41に沿って互いに溶接されている。
【0044】
溶接領域40、41において、熱可塑性ポリマーは、加熱によって一方では取付スリーブ22と内側容器3との間の界面、他方では取付スリーブ22と外側容器5との界面とで軟化され、溶融し、そして硬化されて、外側容器5の軸B回りで連続した環状結合を形成する。そして、環状結合は、取付スリーブ22の内側容器3及び外側容器5への結合性とガスの気密性との双方をもたらす。
【0045】
いったん取付スリーブ22を外側容器5に固定すると、内部容積は、溶接領域と外側容器5の壁部と取付スリーブの壁部とに内部容積と連通する開口部が形成されていないため、気密されかつ密封された様式で封止されている。内部容積内にある加圧ガスは、外方に漏洩せず、その他外方にある流体、特に空気は、内部容積内に流入しない。
【0046】
上述したデバイスにおいて、液体2は、ガスによって内側容器3にかけた機械的圧力の作用を受けて分配されまたは噴霧される。そして、このような分配デバイスは、すべての姿勢で動作する。
【0047】
液体2を噴霧するため、ユーザは、圧力をかけて押しボタン15を作動させ、ステム11を作動位置へ向けて移動させ、シール部13の入口開口部12を開放して入口開口部を本体部10の内側及び内側容器3の内側と連通する状態に置く。加圧ガスの作用を受けて、内側容器3の側壁部6は、収縮状態に変形し、加圧流体2は、適当な押しボタン15を用いて、外方に分配され、特に噴霧される。
【0048】
ユーザが圧力を開放すると、中空ステム11は、バネ14の効果を受けて上昇し、入口開口部12をシール部13と向かい合うように位置を戻す。
【0049】
ここで、上述したような分配デバイスを製造する方法を説明する。
【0050】
前工程において、上述した内側容器3と外側容器5と取付スリーブ22とは、熱可塑性ポリマーから製造される。
【0051】
特に、取付スリーブ22は、射出成形によって製造されてもよく、内側容器3と外側容器5とは、ブロー成形法、特に「延伸ブロー」法と称される二軸延伸ブロー成形によって製造されてもよい。
【0052】
「延伸ブロー」法において、プリフォームは、第1型への射出によって製造されている。プリフォームは、閉鎖端部から開口端部まで延在する側壁部を有する。側壁部は、例えば頂点で1°と5°との間に位置する所定角度を有する開口端部に向けて口を広げたほぼ円錐形を有している。そして、プリフォームは、インデクセーション(indexation)によって第2型へ搬送され、この第2型において、プリフォームは、開口端部を通って挿入されたスタイレット(stylet)を用いて軸方向に延伸される。延伸は、ブローと組み合わされる。
【0053】
上述のように、内側容器3に、特に国際特許第2006/087462号パンフレットに記載されている方法を介して、長手方向の折畳線またはリブを形成することは可能である。製造方法の次の工程において、バルブ4の本体部10であってこの本体部10内にバネ14及びステム11が配置される本体部10は、内側容器3の分配開口部7へスリーブ嵌合されている。
【0054】
シール部13と内側容器3の延長部8とは、取付スリーブ22の内壁部29内に配置されており、中空ステム11は、平面部32の中央開口部を横断し、基部30とリング部9とは、同軸に位置している。
【0055】
次に、製造方法は、取り付ける工程を備えており、取り付ける工程中には、突出保持リング部37がリング部9と向かい合う溶接面と接触して配置され、リング部9は、保持リング部37とリング部9の溶接面とを溶融させることによって基部30に溶接される。特に例示的な実施形態において、溶接は、基部30とリング部9との間に摩擦を発生させることによって行われる。基部30は、例えば取付スリーブ22に超音波振動をかけることによってリング部9に押し付けられており、内側容器3は、支持面を有するフレームに取り付けられており、この支持面には、溶接面と向かい合うリング部9の面が載置されている。超音波振動は、摩擦を発生させ、この摩擦は、熱可塑性樹脂の摩擦を引き起こしかつ取付スリーブ22の内側容器3への溶接を引き起こす局所的な加熱をもたらす。環状保持リング部37により、溶接を容易にする線形接触を形成することが可能となる。
【0056】
取付スリーブ22の基部30に形成された環状保持リング部37について説明した。しかしながら、他の実施形態において、内側容器3のリング部9に及び/または基部30に1以上の突出保持リング部を形成してもよい。
【0057】
方法において、上述した取り付ける工程の後に、
− 収縮状態にある内側容器3とバルブ4とは、備付開口部16を通って外側容器5の内側に配置されており、そして、
− 取付スリーブ22は、外側容器5の第2端部に位置付けされており、特に、側壁部28は、隆起部20、35の端部領域の端面が接触するまで、首部17へスリーブ嵌合される。
【0058】
製造方法において、内部容積に圧力下でガスを充填することは、取付スリーブ22を外側容器5に取り付けて備付開口部16を閉塞する前に行われる。そして、分配デバイスは、取付スリーブ22を外側容器5に取り付けて内部容積を気密かつ密封して封止する前に加圧される。次に、製造方法は、取付スリーブ22を上昇させる工程を備えており、外側容器5の第2端部と向かい合いかつ第2端部と離間して取付スリーブ22を配置し、これにより備付開口部16内の経路内のものを除去して内部容積にガスを充填することを可能とする。取付スリーブ22を上昇させることは、例えば取り付けスリーブ22を真空吸引することによって実行され、真空吸引は、分配デバイスを製造する方法の利用を可能とする装置に関して後述される。
【0059】
ガスは、備付開口部16の経路を通って内部容積の中に、圧力下で入れられまたは適切な媒体に溶解される。
【0060】
液体2が充填された内側容器3が拡張状態にあるときに最終的な圧力が達成されるため、充填圧力は、例えば1.5barと3.5barとの間、すなわち例えば4barと10barとの間に位置する最終的な圧力未満の値に位置している。具体的には、外側容器5の圧力は、圧力が閉じ込められる内部容積が減少することにより、内側容器3を充填している間に増大する。
【0061】
そして、方法は、備付開口部16を取付スリーブ22で閉塞する工程と、取付スリーブ22及び外側容器5を溶接する工程と、を備える。閉塞して溶接する工程中において、首部17は、保持されており、支持面は、環状リム18の下方に位置し、側壁部28は、首部17の中に再びスリーブ嵌合される。そして、取付スリーブ22及び外側容器5の厚肉部20、35の端部領域間の摩擦を発生させながら、軸方向の負荷を取付スリーブ22にかける。これにより、図9及び図10に示すような組立体が形成される。
【0062】
上述のように、摩擦は、取付スリーブ22にかけられた超音波振動によって発生されてもよい。厚肉部20、35の端部領域は、摩擦によって生じた熱の影響を受けて軟化し、そして図11に示すように、溶融して軸方向溶接領域41における環状結合を形成する。そして、加圧ガスを充填するための経路は、気密かつ密封した様式で閉塞され、内部容積は、封止される。
【0063】
外部へ口を広げた切頭円筒状の端面により、側壁部28を首部17の中に挿入することが容易にすることと端部領域の加熱に役立つこととが可能となる。また、図11に示すように、側壁部28を首部の中に挿入している間、端部領域における溶融した熱可塑性ポリマーの少なくとも一部は、凹所34内に移動される。
【0064】
この説明は、環状襟部31の接触面に配置された凹所34についてなされる。
【0065】
しかしながら、リム18の接触面及び/または襟部31の接触面に1以上の凹所を形成することは可能である。
【0066】
次に、内側容器3は、バルブ4のステム11が作動位置に位置しているバルブ4を通って液体2が充填される。そして、押しボタン15をステム11に取り付け、押しボタン15は、備付開口部16に対して突出する。
【0067】
図12から図14と関連付けて、上述した製造方法を利用する装置を説明する。より具体的には、装置は、取付スリーブ22を上昇させる工程、内部容積にガスを充填する工程及び取付スリーブ22を閉塞して溶接する工程からなる上述した工程を容器に適用することを可能とする。
【0068】
図12において、装置は、足部50と足部50から垂直方向Zに延在する支持部51とが設けられたフレームを備えている。また、水平長手方向Xと、水平かつ方向Xに垂直な横方向Yと、が規定されている。
【0069】
また、装置は、外側容器5を保持するのに適した底部キャリッジ52を備えており、軸Bは、垂直になる。
【0070】
特に、底部キャリッジは、垂直に配置された備付プレート53を備えており、封止された充填チャンバ54は、備付プレート53に取り付けられる。充填チャンバ54は、例えば気体または加圧した形態にあるガスを充填する図示しないデバイスに接続されている。
【0071】
特に図14に示すように、図示の形態において、充填チャンバ54は、外側容器5の第2端部と上記第2端部に位置付けられた取付スリーブ22とを受けるのに適している。しかしながら、変形例として、充填チャンバが外側容器5全体を受けることができるように形成することは可能である。
【0072】
充填チャンバ54は、備付プレート53から水平に延在する底部プレート55と底壁部及び側壁部を備えるベル部56とによって画成されている。側壁部は、底部プレート55に取り付けられる自由端まで底壁部から上方に延在しており、シール部64は、側壁部とプレート55との間に介挿されている。底壁部は、管状ブッシュ59内で側壁部から離間して延在する案内開口部を有する。案内開口部は、特にシール部68を用いて、後述のように溶接腕部70により封止様式で閉塞されている。
【0073】
底部プレート55は、外側容器5の外側面における底部5aに向けて軸方向でずれた部分を受けるように形成された端部57によって画成された保持開口部を有している。シール部58は、端部に配置された溝部内に配置されており、充填チャンバ54を封止している。外側容器5を取り付けるデバイスは、封止様式でベル部56の側壁部を通ってスライド式に備え付けられている。図14において、取付デバイスは、外側容器5の第2端部の両側に配置された2つの顎部60を備えている。顎部60は、アクチュエータ62を用いて移動されるロッド61に備え付けられている。シール部63は、ロッドが封止様式で移動することを確実にする。顎部60は、外側容器5の首部17をリム18の下方で挟み込むために形成されており、これにより、支持面を形成する。図13に示すように、充填デバイスに接続されたガス注入開口部65は、ブッシュ59に形成されており、充填チャンバ54の内部に現れる。
【0074】
充填チャンバ54内の容器の適切な位置決めを可能とするため、底部キャリッジは、垂直方向Zにスライド式に備え付けられている。装置は、案内ロッド69を備えており、案内ロッド69には、備付プレート53がランナ71を用いて備え付けられている。
【0075】
駆動システムは、ロッド73を備えており、ロッド73は、並進移動され、駆動部材72に接続される頂端部と底部キャリッジ52に接続される底端部とを備えている。例えば、駆動部材72は、シリンダ、特に圧空シリンダである。変形例として、ロッド73に頂端部がモータによって回転されるナット内に配置されるネジロッドを設けることが可能である。このように、ナットが回転すると、ロッドが並進移動され、底部キャリッジが並進移動される。底部キャリッジの運動は、特に足部50に備え付けられた停止部材75によって規定される行程に制限される。
【0076】
また、装置は、底部キャリッジ52に対して方向Zにずらした頂部キャリッジ16に備え付けられた溶接デバイスを備えている。頂部キャリッジ76は、案内ロッド69にスライド式に備え付けられており、底部キャリッジ52の運動に追従する。
【0077】
上述した製造方法を適用するため、溶接デバイスは、取付スリーブ22に軸方向の負荷をかけ、また取付スリーブ22と外側容器5との間に、特に超音波振動によって摩擦を発生させることができるようになっている。
【0078】
溶接デバイスは、超音波振動発生器77と、外側容器5の軸に沿って垂直に延在する溶接腕部70と、を備えている。
【0079】
溶接腕部70は、発生器77に接続される第1端部と、第2端部と、を備えている。第2端部は、案内開口部を通って充填チャンバ54内に延在しており、取付スリーブ22と接触する。
【0080】
発生器77は、溶接腕部70を介して取付スリーブ22に伝達される超音波振動を発生させ、取付スリーブ22と外側容器5との間に摩擦及び熱を発生させる。
【0081】
軸方向の負荷をかけて取付スリーブ22の上昇を可能とするため、取付スリーブ22は、溶接腕部70の第2端部に取り付けられることができるようになっており、頂部キャリッジ76は、底部キャリッジ52に対して方向Zに移動されることができるようになっている。
【0082】
特に、図14に示すように、取付スリーブ22の少なくとも一部を収容するのに適した座部80は、溶接腕部70の第2端部に形成されている。座部80の中に開口するダクト81は、図示しない吸引デバイスに接続されており、座部80内に真空を形成することができる。図14において、吸引デバイスに接続されている真空開口部は、シール部68の上方に位置するブッシュ59の所定部分に形成されている。第2シール部82は、真空チャンバを画成しており、この真空チャンバの中には、ダクト81に連通する吸引開口部83が現れている。
【0083】
このようにして、頂部キャリッジ76の運動と共に実現される溶接腕部70のスライドにより、吸引デバイスが作動されると、取付スリーブ22が外側容器5に対して上昇することが可能となる。取付デバイスが外側容器を所定位置に保持している結果、吸引デバイス、ダクト及び座部は、備付開口部16を開放するためのシステムを形成し、内部容積へガスを入れることを可能とする。
【0084】
底部キャリッジに対する頂部キャリッジの運動は、上述した底部キャリッジの駆動システムと同様の駆動システムを用いて達成される。したがって、駆動部材86、例えば圧空シリンダに接続される頂端部を備えるロッド85と頂部キャリッジ76に接続される底端部とを備えるロッド85は、並進移動可能となっている。変形例として、ロット85は、ネジ山が形成されてもよく、駆動部材86は、モータによって回転されるナットを備えてもよい。
【0085】
このような装置は、同様に、取付スリーブ22を内側容器3に溶接することを実行するために使用されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 分配デバイス,デバイス、2 加圧流体,液体(流体生成物)、3 内側容器、4 バルブ、5 外側容器、5a 第1閉鎖端部、6 側壁部、7 分配開口部、9 リング部、10 中空本体部,本体部、11 中空ステム,ステム、15 押しボタン(作動部材)、16 備付開口部、17 首部、18 リム,環状リム、20,35 厚肉部,隆起部(径方向厚肉部)、21 端面、22 スリーブ,取付スリーブ、25 台枠、28 側壁部,径方向壁部、30 基部,環状基部、31 襟部,環状襟部、34 凹所、37 保持リング部,突出保持リング部、41 軸方向溶接領域、54 充填チャンバ、70 溶接腕部、77 発生器,超音波振動発生器、80 座部、81 ダクト、A,B,C 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下で流体生成物を分配するデバイスであって、
− 変形可能な側壁部(6)と分配開口部(7)とを備える容積が可変である内側容器(3)と、
− 作動部材(15)が設けられたバルブ(4)と、
− 軸(B)に沿うほぼシリンダ状をなす硬質な熱可塑性ポリマーで形成され、第1閉鎖端部(5a)と備付開口部(16)を有する第2端部とを備える外側容器(5)と、
− 熱可塑性プラスチックで形成された取付スリーブ(22)と、
を備える、デバイスを製造する方法であって、
当該方法は、以下の工程、
− 前記バルブ(4)を前記内側容器(3)の前記分配開口部(7)の中に備え付ける工程と、
− 前記取付スリーブ(22)を前記内側容器(3)に封止的に取り付ける工程と、
− 前記備付開口部(16)を通って前記内側容器(3)と前記バルブ(4)とを前記外側容器(5)の内側に配列する工程と、
− 前記外側容器(5)の前記第2端部と向かい合いかつ前記第2端部から所定距離に前記取付スリーブ(22)を配置する工程と、
− 前記備付開口部(16)を介して、前記内側容器(3)と前記外側容器(5)との間に画成された内部区間内に加圧ガスを入れる工程と、
− 前記備付開口部(16)を前記取付スリーブ(22)で閉塞し、前記取付スリーブ(22)と前記外側容器(5)とを互いに溶接する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
− 前記取り付ける工程の前に、一方で、前記外側容器(5)であって当該外側容器(5)の前記第2端部が前記備付開口部(16)を画成する首部(17)を形成する外側容器(5)を製造し、そして他方で、前記首部(17)へスリーブ嵌合するのに適した側壁部(28)を備える前記取付スリーブ(22)を製造し、
前記側壁部(28)と前記首部(17)とがそれぞれ2つの径方向厚肉部(20、35)を備え、
前記径方向厚肉部(20、35)それぞれが、前記閉塞して溶接する工程中において互いに接触するのに適した2つの端部領域を備え、
前記端部領域の少なくとも一方が、外部へ口を広げた切頭円錐形の端面(21)を有し、
− 前記閉塞して溶接する工程中に、前記側壁部(28)が前記首部(17)にスリーブ嵌合され、前記端部領域が互いに溶融されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
− 前記外側容器(5)を製造しかつ前記取付スリーブ(22)を製造する間に、
− 前記首部(17)には、径方向外方に延在しかつ第1接触面を有する環状リム(18)が形成され、
− 前記取付スリーブ(22)には、前記第1接触面と接触するのに適した第2接触面を有する環状襟部(31)が形成され、
− 前記第1及び第2接触面の少なくとも一方に凹所(34)が形成され、
− 前記閉塞して溶接する工程中に、前記端部領域の溶融した熱可塑性ポリマーの少なくとも一部が前記凹所(34)に移動されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記配列する工程の後、前記取付スリーブ(22)は、前記外側容器(5)の前記第2端部に位置付けられ、
前記配置する工程中に、前記取付スリーブ(22)を上昇させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記取付スリーブ(22)を上昇させるため、前記取付スリーブ(22)は、真空が発生している座部の中に吸引されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記取り付ける工程中に、前記内側容器(3)と前記取付スリーブ(22)とは、互いに溶接されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
− 前記取り付ける工程前に、一方では軸(C)に垂直に延在しかつ第1溶接面を有する環状基部(30)を備える前記取付スリーブ(22)と、他方では軸(A)に垂直な分配開口部(7)近傍に延在しかつ第2溶接面を有する前記内側容器(3)とは、熱可塑性ポリマーで形成されており、前記第1及び第2溶接面の少なくとも一方は、突出する環状の保持リング部(37)を備え、
− 前記取り付ける工程中に、前記環状基部(30)と前記リング部(9)とは、同軸に位置付けられており、前記保持リング部(37)は、前記第1及び第2溶接面の一方であって他方の溶接面と接触する一方の溶接面に対して突出しており、前記保持リング部(37)と前記一方の溶接面とは、溶融されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記閉塞して溶接する工程中に、軸方向の負荷をかけ、前記取付スリーブ(22)と前記外側容器(5)との間に摩擦を発生させることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記摩擦は、前記取付スリーブ(22)にかけられた超音波振動によって発生することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記閉塞して溶接する行程の後に、作動部材(15)を前記バルブ(4)に取り付ける工程を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記閉塞して溶接する行程の後に、前記内側容器(3)に前記流体生成物(2)を充填する工程を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の製造する方法を実行する装置であって、
− 加圧ガスの充填デバイスと、
− 封止様式で閉塞されて前記充填デバイスに接続された充填チャンバ(54)であって、当該充填チャンバが少なくとも前記外側容器の第2端部と前記第2端部に位置付けられた前記取付スリーブ(22)とを受けるのに適している、充填チャンバ(54)と、
− 前記充填チャンバに備え付けられ、前記外側容器(5)と前記取付スリーブ(22)とを互いに対して移動させかつ前記備付開口部(16)を開放させるのに適した開放システムと、
− 前記充填チャンバの少なくとも部分的に配置され、前記外側容器(5)と前記取付スリーブ(22)とを互いに溶接するのに適した溶接デバイスと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記溶接デバイスは、前記取付スリーブ(22)に軸方向の負荷をかけかつ前記取付スリーブ(22)と前記外側容器(5)との間に摩擦を発生させるのに適していることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記溶接デバイスは、超音波振動を前記取付スリーブ(22)にかけることによって前記摩擦を発生させることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記溶接デバイスは、超音波振動発生器(77)と、前記外側容器の軸に沿って延在する溶接腕部(70)と、を備え、
前記溶接腕部(70)は、前記超音波発生器に接続される第1端部と、前記充填チャンバ内に延在しかつ前記取付スリーブ(22)と接触する第2端部と、を備え、
前記超音波発生器(77)と前記溶接腕部(70)とは、前記外側容器(5)の軸に沿って前記充填チャンバ(54)に対して並進移動可能であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記開放システムは、前記外側容器(5)を締め付ける締付デバイスと、吸引デバイスと、ダクト(81)と、を備え、
前記ダクト(81)は、前記吸引デバイスに接続されて前記溶接腕部(70)の第2端部に形成された座部(80)の中に現れ、前記取付スリーブ(22)の少なくとも一部を収容するのに適していることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
加圧された流体生成物(2)を分配するデバイス(1)であって、
− 容積が可変である内側容器(3)であって、分配される前記流体生成物(2)を収容するのに適しており、当該内側容器(3)が変形可能な側壁部(6)と分配開口部(7)とを備えている、内側容器(3)と、
− 前記分配開口部(7)に備え付けられた本体部(10)と、待機位置と作動位置との間で前記本体部(10)内にスライド式に備え付けられたステム(11)と、前記ステム(11)に備え付けられた作動部材(15)と、を備えるバルブ(4)であって、当該バルブ(4)が、前記ステムが前記作動位置にあるときに加圧された前記流体生成物(2)を外部に分配するのに適している、バルブ(4)と、
− 熱可塑性ポリマーで形成され、硬質であり、軸(B)に沿うほぼシリンダ状をなす外側容器(5)であって、第1端部(5a)と、1つの備付開口部(16)を有する第2端部と、を備え、前記内側容器(3)と前記バルブ(4)とが軸(B)に沿って当該外側容器(5)の内側に配置され、前記作動部材(15)が前記備付開口部(16)に対して外部に向けて突出し、前記内側容器(3)と当該外側容器(5)とが前記内側容器(3)と当該外側容器(5)との間に内部容積を画成し、前記内部容積には加圧ガスが配置されている、外側容器(5)と、
− 熱可塑性ポリマーで形成された取付スリーブ(22)であって、前記内側容器(3)に封止的に取り付けられており、当該取付スリーブ(22)が、前記備付開口部(16)を封止的に閉塞し、前記外側容器(5)の第2端部に溶接されており、当該取付スリーブ(22)が前記ステム(11)によって横断される1つの中央開口部を備える、取付スリーブ(22)と、
を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項18】
前記外側容器(5)の第2端部は、前記備付開口部(16)を画成する首部(17)を形成し、
前記取付スリーブ(22)は、前記首部(17)の中にスリーブ嵌合される側壁部(28)を備え、
前記側壁部(28)と前記首部(17)とは、軸方向溶接領域(41)に沿って互いに溶接されていることを特徴とする請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記首部(17)は、径方向外方に延在する環状リム(18)を備え、
前記取付スリーブ(22)は、径方向接触領域に沿って前記環状リム(18)と接触する環状襟部(31)と、前記径方向接触領域に形成された前記軸方向溶接領域(41)における熱可塑性ポリマーの少なくとも一部を受ける凹所(34)と、を備えることを特徴とする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記内側容器(3)は、少なくとも部分的に熱可塑性ポリマーで形成されており、
前記内側容器(3)と前記取付スリーブ(22)とは、互いに溶接されることを特徴とする請求項17から19のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記取付スリーブ(22)は、前記外側容器(5)の径方向内方に延在する環状基部(30)を備え、
前記内側容器(3)は、前記分配開口部(7)の近傍に径方向に延在するリング部(9)を備え、
前記環状基部(30)と前記リング部(9)とは、径方向溶接領域(40)に沿って互いに溶接されていることを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記外側容器(5)の第1端部(5a)は、球形をなしており、
分配する当該デバイス(1)は、前記外側容器(5)に取り付けられかつ平坦な支持面を形成する台枠(25)を備えることを特徴とする請求項17から21のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項23】
熱可塑性ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートから選択されることを特徴とする請求項17から22のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項24】
熱可塑性ポリマーは、透光性を有することを特徴とする請求項17から23のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記内側容器(3)内に配置される流体生成物(2)を備えることを特徴とする請求項17から24のいずれか1項に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−535676(P2010−535676A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520572(P2010−520572)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060645
【国際公開番号】WO2009/021976
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(509166984)パワー・コンテナー・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】