説明

圧力容器の蓋クランプ装置

【課題】蓋部を圧力容器の開口部に確実且つ急速に着脱する。
【解決手段】蓋部を開口部に押し付けるための押圧部2と、押圧部2に押し付け力を作用させるためのシリンダ部6とを備える。押圧部2を保持するための一対のロッド部3,3’を備え、各ロッド部3,3’は、互いに平行に回転支持され、複数の押圧部2を保持し、シリンダ部6は、各ロッド部3,3’を回転して、押圧部2に押し付け力を作用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器の開口部に蓋部を装着するための蓋クランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力容器は、処理物を収納して、加圧、負圧、加熱等する耐圧缶胴と、この缶胴から処理物を取り出すための開口部と、開口部を塞ぐ蓋部とを備える。圧力容器は、開口部と蓋部とを密封するためのクランプリングが用いられる(例えば、特許文献1参照)。開口部と蓋部とは、クランプリングをボルト・ナットなどの締結部材で締結することで密閉される。また、その他の方法では、開口部と蓋部とは、スタッドボルトとナットとで直接締結されて密封される(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0003】
従って、作業者による締結部材の締結力が不足していたり、複数の締結部材の締結力が不均等であると、開口部から圧力漏れが発生して、所望の処理物を製造できないことがある。また、ボルト締結には、作業者の煩雑な作業を必要とし、また狭い場所での作業を必要とする場合もあるので、素早く蓋部を着脱できない不都合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−218220号公報
【特許文献2】特開平5−87243号公報
【特許文献3】特開平8−291862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、蓋部を圧力容器の開口部に確実且つ急速に着脱することが可能な蓋クランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、本発明に係る圧力容器の蓋クランプ装置は、
圧力容器の開口部に蓋部を装着するための蓋クランプ装置であって、
蓋部を開口部に押し付けるための押圧部と、押圧部に押し付け力を作用させるためのシリンダ部とを備える。
【0007】
好ましくは、押圧部を保持するための一対のロッド部を備え、
各ロッド部は、互いに平行に回転支持され、複数の押圧部を保持し、
シリンダ部は、各ロッド部を回転して、押圧部に押し付け力を作用させる。
【0008】
好ましくは、ロッド部を回転支持するためのフレーム部を備え、
フレーム部は、開口部を挿通して圧力容器に固定され、一方側には、1つのシリンダ部を備え、他方側には、各ロッド部を連結するリンク部を備え、
リンク部は、1つのシリンダ部が一方のロッド部を正回転させると、他方のロッド部を逆方向に回転させる。
【発明の効果】
【0009】
上記の通り、本発明は、圧力容器の開口部に蓋部を押し付けるための押圧部と、押圧部に押し付け力を作用させるためのシリンダ部とを備える。これにより、シリンダ部の駆動によって、押圧部に押し付け力を作用させることができるので、蓋部を開口部に確実且つ急速に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の蓋クランプ装置を示す平面図。
【図2】蓋クランプ装置を示し、(a)は一方側から観た側面図、(b)は他方側から観た側面図。
【図3】蓋クランプ装置を圧力容器に取り付けた状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る蓋クランプ装置について説明する。
【0012】
図1及び図2の通り、蓋クランプ装置1は、矩形状に枠組みされたフレーム部8を備える。蓋クランプ装置1は、フレーム部8の内側に平行に設けられた一対のロッド部3,3’を備える。各ロッド部3,3’は、フレーム部8に設けられたベアリング部5を介して回転支持される。各ロッド部3,3’は、一対の支持部4を備える。支持部4は、ロッド部3,3’に対して固定されており、ロッド部3,3’の回転に伴って回転する。支持部4は、端部に押圧部2を備える。押圧部2は、車輪状になっており、支持部4に回転自在に支持される。
【0013】
蓋クランプ装置1は、一方側に1つの油圧式又は電動式等のシリンダ部6(図2(a))を備える。シリンダ部6は、フレーム部8に設けられた回転部62を介して回転支持される。シリンダ部6は、蓋クランプ装置1をコンパクトにするために、各ロッド部3,3’の中心を結ぶ方向に延設される。シリンダ部6は、シリンダロッド60を伸縮駆動する。シリンダロッド60は、端部にアーム部61を回転支持する。アーム部61は、ロッド部3の一方側に固定される。シリンダ部6は、回転部62を中心に回転自在なので、シリンダ部6がシリンダロッド60を伸縮することで、アーム部61を介して、ロッド部3を正逆方向に回転できる。
【0014】
蓋クランプ装置1は、他方側に1つのリンク部7(図2(b))を備える。リンク部7は、両端に連結部70を備える。各ロッド部3,3’は、他方側にアーム部71を備える。アーム部71は、各ロッド部3,3’の他方側に固定される。連結部70とアーム部71とは回転自在に支持される。リンク部7は、各ロッド部3,3’の中心軸を結ぶ方向3aに交差するように所定角度θに傾斜した方向に延設される(図2(b))。これにより、シリンダ部6が一方のロッド部3を正方向に回転すると、他方のロッド部3’が逆方向に回転する。同様に、シリンダ部6が一方のロッド部3を逆回転すると、他方のロッド部3’が正回転する。即ち、各ロッド部3,3’は反対方向に回転する。
【0015】
図2の通り、蓋クランプ装置1は、シリンダ部6を駆動することで、押圧部2を下方位置(解除位置、図2の実線)と上方位置(クランプ位置、図2の一点鎖線)とに移動する。蓋クランプ装置1は、一方のロッド部3に2つのセンサーフィン30を固定し、フレーム部8に各センサーフィン30を検知するための両端検知センサー31を備える。そして、各センサーフィン30を両端検知センサー31で検知することで、ロッド部3のそれぞれの位置を検知して、押圧部2の下方位置と上方位置とを検知するようにしてもよい。
【0016】
図3の通り、蓋クランプ装置1は、連結フレーム9を介して圧力容器10に固定される。圧力容器10は、処理物を収納して加圧及び負圧等する耐圧缶胴13を備える。圧力容器10は、缶胴13の下部にバタフライ弁部14を備え、バタフライ弁部14を開くことで処理物を回収可能にする。圧力容器10は、バタフライ弁部14の下部に開口部12を備える。開口部12は、周方向に突出したフランジ部12aを備える。開口部12は、蓋部11で閉じられることで、圧力容器10を密封する。蓋部11は、周方向に突出したフランジ部11aを備える。蓋部11のフランジ部11aと開口部12のフランジ部12aとが互いに密着することで、圧力容器10の開口部12は蓋部11で密封される。
【0017】
蓋クランプ装置1は、開口部12をフレーム部8の内側に挿通して配置される。蓋クランプ装置1は、押圧部2を下方位置(解除位置)に配置した状態で、蓋部11が開口部12に配置される。尚、押圧部2は、下方位置にあるとき、蓋部11より離れて位置するので、蓋部11を開口部12に配置できる。そして、蓋クランプ装置1は、シリンダ部6を駆動して、押圧部2を上方位置(クランプ位置)に移動する。これにより、押圧部2が、蓋部11のフランジ部11aを押し付けて(図1の一点鎖線)、所定の押し付け力で蓋部11のフランジ部11aが開口部12のフランジ部12aに密着する。その結果、圧力容器10の開口部12は蓋部11で密封される。
【0018】
ロッド部3の回転力によって押圧部2に押し付け力を作用するので、蓋クランプ装置1をコンパクトにできると共に、強力なトルク力を付与できる。また、1つのシリンダ部6で、リンク部7を介して一対のロッド部3,3’を回転するので、各押圧部2に対して均等な押し付け力を付与できる。
【0019】
上記した実施形態の他に、シリンダ部6のシリンダロッド60の伸縮駆動によって、ロッド部3を介さずに押圧部2を移動させて押し付け力を作用させてもよい。また、シリンダ部6は複数個設置されていてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 蓋クランプ装置
2 押圧部
3,3’ ロッド部
6 シリンダ部
7 リンク部
8 フレーム部
10 圧力容器
11 蓋部
12 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力容器の開口部に蓋部を装着するための蓋クランプ装置であって、
前記蓋部を前記開口部に押し付けるための押圧部と、前記押圧部に押し付け力を作用させるためのシリンダ部とを備えることを特徴とする圧力容器の蓋クランプ装置。
【請求項2】
前記押圧部を保持するための一対のロッド部を備え、
前記各ロッド部は、互いに平行に回転支持され、複数の前記押圧部を保持し、
前記シリンダ部は、前記各ロッド部を回転して、前記押圧部に押し付け力を作用させることを特徴とする請求項1に記載の圧力容器の蓋クランプ装置。
【請求項3】
前記ロッド部を回転支持するためのフレーム部を備え、
前記フレーム部は、前記開口部を挿通して前記圧力容器に固定され、一方側には、1つの前記シリンダ部を備え、他方側には、前記各ロッド部を連結するリンク部を備え、
前記リンク部は、前記1つのシリンダ部が一方の前記ロッド部を正回転させると、他方の前記ロッド部を逆方向に回転させることを特徴とする請求項2に記載の圧力容器の蓋クランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−132486(P2012−132486A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283158(P2010−283158)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】