説明

圧力測定装置

圧力測定装置(1)が、内燃機関に設けられた室内に配置するために働く。当該圧力測定装置(1)は、ハウジング(3)と、圧力センサ(24)に作用結合されている力伝達エレメント(5)と、センタリングエレメント(19)とを有している。圧力センサ(24)はコンタクトプレート(22,23)と共にセンタリングエレメント(19)のセンタリング区分(21)に被せ嵌められており、これにより当該圧力測定装置(1)のハウジング(3)の内部での圧力センサ(24)およびコンタクトプレート(22,23)の位置決めが可能にされている。これにより、当該圧力測定装置(1)の組付けが容易にされ、かつ場合によっては前組付けが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、内燃機関に設けられた室内に配置するための圧力測定装置に関する。特に本発明は、空気圧縮型の自己着火式の内燃機関に設けられた予燃焼室、渦流室または主燃焼室に配置するための圧力測定グロープラグに関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10343521号明細書に基づき、ディーゼルエンジンに用いられる圧力測定グロープラグが公知である。この公知の圧力測定グロープラグはディーゼルエンジンのシリンダ内に挿入するためのプラグボディを有している。さらに、この公知の圧力測定グロープラグは、プラグボディに配置されたヒータロッドと、センサ装置とを有している。このセンサ装置は、プラグボディと、ヒータロッドに結合されているコンタクト管との間でプリロード(予荷重)をかけられている。この場合、コンタクト管とねじ締結された緊締エレメントが設けられている。センサ装置は一方ではこの緊締エレメントに接触していて、他方ではプラグボディに接触している。センサ装置は、ヒータロッドとコンタクト管とを介して伝達されるシリンダの燃焼室内の圧力を測定するために働く。さらに、この公知の圧力測定グロープラグはダイヤフラムを有している。このダイヤフラムは一方ではプラグボディに、他方ではヒータロッドにそれぞれ結合されており、これによりセンサ装置は燃焼室に対してシールされる。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10343521号明細書に基づき公知の圧力測定グロープラグには、次のような欠点がある。すなわち、圧力測定グロープラグの組付け時に多数の個別構成部分が互いに調和されて嵌め合わされかつ位置決めされなければならない。それゆえに、組付けには比較的手間がかかる。さらに、組付けが完全に終了した後でしか圧力測定グロープラグの機能性を検査することができないという欠点も生じる。特に、圧力測定グロープラグの個々の機能、特に圧力測定機能に関して欠陥が生じると、組み付けられた圧力測定グロープラグ全体が不良部品として処理されなければならなくなる。
【0004】
発明の開示
発明の利点
請求項1に記載の本発明による圧力測定装置、つまり内燃機関に設けられた室内に配置するための圧力測定装置、特に空気圧縮型の自己着火式の内燃機関に用いられる圧力測定グロープラグであって、ハウジングと、該ハウジングから少なくとも部分的に突出した力伝達エレメントと、ハウジングの内室に配置された圧力センサとが設けられており、該圧力センサが、内燃機関の室内に生ぜしめられる圧力を測定するために、一方では少なくとも間接的に力伝達エレメントに作用結合されており、該圧力センサが、他方では少なくとも間接的に位置固定エレメントに支持されており、さらに該圧力センサが、一貫して延びる切欠きを有している形式のものにおいて、センタリングエレメントが設けられており、該センタリングエレメントがセンタリング区分を有しており、該センタリングエレメントと圧力センサとが嵌め合わされていて、センタリングエレメントの前記センタリング区分が、圧力センサを位置決めするために圧力センサの前記切欠きと係合していることを特徴とする圧力測定装置には、当該圧力測定装置の組付けが簡単にされ、特に当該圧力測定装置の構成部分の前組付けが可能となるという利点がある。
【0005】
請求項2以下に記載の手段により、請求項1に記載の圧力測定装置の有利な改良が可能となる。
【0006】
圧力測定装置のセンタリングエレメントはセンタリング区分を有している。このセンタリング区分には、圧力センサおよび場合によっては当該圧力測定装置の別の構成部分を装着し、特に差し被せることができる。これにより、センタリングエレメントは、組み付けられた圧力測定装置において直接的または間接的に圧力測定のために働く構成部分の前組付けを可能にする。この場合、場合によっては、圧力測定装置の製造時におけるこのような中間製品の機能検査も可能となるので、圧力測定に関して生じる可能性のある欠陥源を既に圧力測定装置の最終組付けの前に検知することができる。さらに、センタリング区分は、このセンタリング区分に装着された構成部分のセンタリング、特に圧力センサのセンタリングを可能にするので、当該圧力測定装置の最終組付けが容易となる。さらに、たとえば当該圧力測定装置のハウジングに関して電気的な絶縁のために必要となるギャップの所要のギャップ寸法を、センタリングエレメントのセンタリング区分により保証されたセンタリングおよび位置決めに基づいて信頼性良く維持することができる。センタリングエレメントはこのような位置決めおよびセンタリングを、当該圧力測定装置の作動中でも、たとえば振動またはハウジングに作用する衝撃の発生時でも保証する。
【0007】
本発明の有利な構成では、第1の測定線路と第2の測定線路とが設けられており、第1の測定線路を圧力センサに電気的に接続するために働く第1のコンタクトプレートが設けられており、該第1のコンタクトプレートが、一貫して延びる切欠きを有しており、第2の測定線路を圧力センサに電気的に接続するために働く第2のコンタクトプレートが設けられており、該第2のコンタクトプレートが、一貫して延びる切欠きを有しており、第1第2の両コンタクトプレートが、圧力センサと共にセンタリングエレメントの前記センタリング区分に被せ嵌められており、両コンタクトプレートの間に圧力センサが配置されている。前記コンタクトプレートを圧力センサと共にセンタリングエレメントのセンタリング区分に被せ嵌めることは、前組付けの枠内で行われ得る。このような前組付けされた中間製品は次いで、最終組付けのために当該圧力測定装置のハウジング内へ挿入され得る。その場合、センタリング区分により、当該圧力測定装置のハウジング内でのコンタクトプレートおよび圧力センサの位置決め、特にセンタリングが保証されている。このときに、場合によっては、当該圧力測定装置の導電性のハウジングに対して、圧力センサおよびコンタクトプレートの規定された環状ギャップが保証され得るので、振動またはハウジングに対する衝撃の発生後でも、当該圧力測定装置の機能性は保証されている。この場合、センタリング区分が、1つまたは複数の切欠きを有していると有利である。該切欠き内には、コンタクトプレートに設けられたコンタクト突起もしくはコンタクトノーズが係合するようになっており、これによりセンタリングエレメントのセンタリング区分に関するコンタクトプレートの相対回動防止された位置決め、ひいては当該圧力測定装置のハウジングに関するコンタクトプレートの相対回動防止された位置決めが可能となる。これにより、コンタクトプレートにまで案内されている電気的な測定線路の回動も阻止される。これらの測定線路に与えられる機械的な力の影響を一層低減させるためには、これらの測定線路が、センタリング区分に設けられた切欠き内に案内されていてもよい。これにより、測定線路とコンタクトプレートのコンタクトノーズとの間の接続部または測定線路内部の接続個所が破断したり、あるいは別の形で機械的な負荷に基づいて損傷されたりすることが阻止される。
【0008】
本発明のさらに別の有利な構成では、センタリングエレメントが、一貫して延びる切欠きを有しており、該切欠きが、特にセンタリングエレメントの前記センタリング区分を貫いて延びており、この場合、電流線路が、センタリングエレメントに設けられた前記一貫して延びる切欠き内でセンタリングエレメントを貫いて案内されている。これにより、第1には、当該圧力測定装置のハウジング内部での電流線路の規定された位置が保証される。第2には、センタリングエレメントが、特に圧力センサに関して、電流線路のある程度のシールドを可能にする。特に、当該圧力測定装置が圧力測定グロープラグとして形成されていて、電流線路がグロー電流線路として働く場合には、グロー電流線路を通る著しい電流に基づいて、圧電式の圧力センサのセンサ信号に対する電磁的な影響付与が生じる恐れがある。センタリングエレメントの材料の適当な選択により、電流線路を通る電流によって生ぜしめられる電界を、圧力センサのセンサ信号への影響付与が阻止されるか、または少なくとも減じられる程度にまで減衰させることができる。これにより、圧力測定グロープラグの加熱作動時でも、信頼性の良い圧力測定が可能となる。この場合、センタリングエレメントの前記一貫して延びる切欠きが、内部に位置しかつセンタリングエレメントの存在する壁厚さもしくは残った壁厚さに関して真ん中もしくは中心に配置された切欠きとして形成されていると特に有利である。これにより、半径方向における壁厚さの最小値が最大となり、これによりいずれの半径方向においても最適化されたシールドが得られる。
【0009】
圧力センサおよびコンタクトプレートの他に、当該圧力測定装置の別の構成部分がセンタリング区分に被せ嵌められていてもよい。特に、1つまたは複数の絶縁エレメントが設けられていてよい。特に、両コンタクトプレートのいずれか一方を位置固定エレメントに対して電気的に絶縁する1つの絶縁エレメントが設けられていてよい。
【0010】
センタリングエレメントは、高い含量の酸化アルミニウムを有するセラミックスから成っていてよい。さらに、センタリングエレメントは、酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウムを有する混合物、特に99%よりも多い酸化アルミニウムを有する混合物から成っていてよい。有利には、センタリングエレメントが、ステアタイト、つまり凍石(Protoenstatit, Mg(Si4010)(OH)2)を主体とした材料から成っていてもよい。センタリングエレメントのための材料としては、酸化ジルコニウム、特に完全安定化された酸化ジルコニウム(FSZ)、部分安定化された酸化ジルコニウム(PSZ)または多結晶性の正方晶酸化ジルコニウム(TZP)も適しており、この場合、安定化剤、たとえば酸化マグネシウム、酸化カルシウムまたは酸化イットリウムを使用することができる。センタリングエレメントのためのさらに別の材料は、酸化ジルコニウム強化された酸化アルミニウム(ZTA)である。この場合、種々異なる含量の酸化ジルコニウムおよび酸化アルミニウムを有する種々異なる混合物を選択することができる。
【0011】
図面
以下に、本発明の有利な1実施例を図面につき詳しく説明する。図面中、互いに対応する構成要素は同一の符号を備えている。
【0012】
図1は、本発明による圧力測定装置の1実施例を示す概略的な断面図であり;
図2は、本発明の実施例による圧力測定装置の一部を示す分解図であり;
図3は、本発明の実施例による圧力測定装置の一部を、図2にIIIで示した方向から見た図である。
【0013】
実施例の説明
図1には、圧力測定装置1の第1実施例が軸方向の断面図で図示されている。圧力測定装置1はこの場合、空気圧縮型の自己着火式内燃機関に用いられる圧力測定グロープラグ1として形成されている。圧力測定グロープラグ1はロッド状のヒータエレメント2を有しており、このヒータエレメント2は予燃焼室エンジンおよび渦流室エンジンの場合には内燃機関の予燃焼室および渦流室に、直接噴射式のエンジンの場合にはエンジンの燃焼室に突入している。しかし、本発明による圧力測定グロ―プラグ1は別の使用事例のためにも適している。さらに、圧力測定装置1は混合気圧縮型の火花点火式内燃機関に用いられる圧力測定グロープラグまたは圧力測定噴射弁として形成されていてもよい。
【0014】
圧力測定グロープラグ1はハウジング3を有しており、このハウジング3はシール円錐体もしくはシールコーン4を備えている。ロッド状のヒータエレメント2は所定の区分にわたって力伝達エレメント5により取り囲まれていて、この力伝達エレメント5に結合されている。ロッド状のヒータエレメント2は力伝達エレメント5と共に圧力測定グロープラグ1の発熱体6を形成している。発熱体6のロッド状のヒータエレメント2はコンタクトエレメント7によって、グロー電流線路8として形成された電流線路8に接続されている。グロー電流線路8は適当な形式で制御装置またはこれに類するものに接続されている。さらに、発熱体6の力伝達エレメント5は直接にまたは間接的にハウジング3に電気的に接続されており、この場合、圧力測定グロープラグ1の組み付けられた状態においてハウジング3を介して電気的なアース9との接続が形成可能である。発熱体6のヒータエレメント2を加熱するために必要とされるエネルギをヒータエレメント2へ案内するためには、グロー電流線路8を通じて、比較的大きな電流、たとえば数アンペアの電流が流れる。
【0015】
ハウジング3の内部には金属ダイヤフラム10が設けられている。この金属ダイヤフラム10は一方では力伝達エレメント5に結合されていて、他方ではスリーブ14、特にセンサケージ14に結合されている。この場合、金属ダイヤフラム10の、力伝達エレメント5との結合部の範囲における直径は、金属ダイヤフラム10の、スリーブ14との結合部の範囲における直径よりも小さく形成されているので、金属ダイヤフラム10に軸方向、つまり軸線15に沿った方向で、プリロードもしくは予荷重をかけることが可能となる。スリーブ14は適当な形式で、たとえば溶接シームによってハウジング3に結合されている。
【0016】
圧力測定グロープラグ1はさらに、ハウジング3の内室11に配置された位置固定エレメント16を有している。この位置固定エレメント16は適当な形式で、特に溶接シームによって、スリーブ14に結合されている。発熱体6の力伝達エレメント5は、つば17を有しており、このつば17には環状の端面18が設けられている。力伝達エレメント5のつば17はこの場合、圧力測定グロープラグ1のハウジング3の内部に位置している。力伝達エレメント5のつば17の端面18には、センタリングエレメント19が支持されている。この場合、センタリングエレメント19の端面20が部分的につば17の端面18に接触している。センタリングエレメント19は、図2および図3に図示されているセンタリング区分21を有している。センタリングエレメント19のこのセンタリング区分21には、第1のコンタクトプレート22と圧力センサ24と第2のコンタクトプレート23と絶縁エレメント25とが順次に差し被される。したがって、圧力センサ24は第1第2の両コンタクトプレート22,23によって挟まれており、この場合、絶縁エレメント25は、導電性の材料、特に鋼から形成されている位置固定エレメント16に関して第2のコンタクトプレート23を電気的に絶縁する。絶縁エレメント25はこの場合、直接に位置固定エレメント16に接触している。圧力センサ24は第1のコンタクトプレート22と、センタリングエレメント19の円筒状の部分26とを介して発熱体6の力伝達エレメント5に作用結合されている。さらに、圧力センサ24は第2のコンタクトプレート23と絶縁エレメント25とを介して位置固定エレメント16に支持されている。圧力センサ24が力伝達エレメント5によって負荷されると、圧力センサ24の、たとえば圧電性の部分が測定電荷を発生させる。この測定電荷は、ハウジング3から適当な評価回路にまで通じた測定線路28,29によって測定可能である。圧力センサ24と、第1第2のコンタクトプレート22,23と、絶縁エレメント25と、センタリングエレメント19のセンタリング区分21とは、ハウジング3の内室11に配置されており、この内室11は内燃機関の室に対してシールされている。
【0017】
内燃機関の室内に形成された圧力により、軸方向27、つまりハウジング3の軸線15に沿った方向における発熱体6のロッド状のヒータエレメント2の負荷が達成される。このときにヒータエレメント2に作用する力は、少なくとも主として力伝達エレメント5とセンタリングエレメント19と第1のコンタクトプレート22とを介して圧力センサ24に伝達され、この場合、この圧力センサ24は第2のコンタクトプレート23と絶縁エレメント25とを介して位置固定エレメント16に支持されている。これにより、室内の圧力に関連して、圧力センサ24の特定の電荷が形成され、この電荷は測定線路28,29を介して測定可能となる。
【0018】
位置固定エレメント16は、無圧状態において金属ダイヤフラム10のある程度の予荷重もしくはプリロードが設定されるようにスリーブ14に結合されている。金属ダイヤフラム10の予荷重もしくはプリロードにより、力伝達経路内の個々の構成部分の相互接触、つまり特にセンタリングエレメント19の円筒状の部分26と、第2のコンタクトプレート22と、圧力センサ24と、第1のコンタクトプレート23と、絶縁エレメント25と、位置固定エレメント16との接触が達成される。これにより、圧力測定時のヒステリシス効果が阻止されるか、または少なくとも減じられる。
【0019】
ハウジング3の内部には、さらにガイドエレメント30が設けられている。測定線路28,29ならびにグロー電流線路8はこのガイドエレメント30に機械的に結合されている。測定線路28,29ならびにグロー電流線路8は、図2および図3につき詳しく説明したようにセンタリングエレメント19によっても、ガイドエレメント30によっても案内されて、ハウジング3に関して位置決めされる。したがって、振動時またはハウジング3への衝撃発生時でも、測定線路28,29またはグロー電流線路8の短絡または損傷が阻止されている。測定線路28,29のガイドにより達成された耐振動性は、特に数キロヘルツの範囲における、測定線路28,29への外乱成分の入力結合をも阻止する。さらに、たとえば測定線路28,29およびグロー電流線路8の範囲31における圧力測定グロープラグ1の組付け時に、測定線路28,29および/またはグロー電流線路8の内部の機械的な結合個所が機械的な負荷に関して保護される。さらに、このガイドによってセンタリングエレメント19の範囲においても、ガイドエレメント30の範囲においても、測定線路28,29ならびにグロー電流線路8の回動が阻止される。
【0020】
ガイドエレメント30は別の機能を有していてよい。特にガイドエレメント30は電子構成部分を有していてよく、その場合、これらの電子構成部分は圧力センサ24の、測定線路28,29を介して測定可能な電荷を適当な出力信号に変換する。
【0021】
ボルト形のセンタリングエレメント19は円筒状の部分26とセンタリング区分21とを有している。前組付けの枠内で、第1のコンタクトプレート22と、圧力センサ24と、第2のコンタクトプレート23と、絶縁エレメント25とが順次にセンタリングエレメント19のセンタリング区分21に被せ嵌められる。センタリングエレメント19のセンタリング区分21は第1の切欠き35と、第2の切欠き36とを有している。第1のコンタクトプレート22は、該第1のコンタクトプレート22に設けられたコンタクト突起もしくはコンタクトノーズ37が第1の切欠き35内に配置されるようにセンタリング区分21に被せ嵌められる。これにより、第1のコンタクトプレート22のコンタクトノーズ37は前組付けされた状態において第1の切欠き35内に係合するので、第1のコンタクトプレート22のための回動防止部が形成されている。第1のコンタクトプレート22のコンタクトノーズ37には、測定線路28の端区分38が、たとえばろう接または溶接によって結合されている。第2のコンタクトプレート23は、該第2のコンタクトプレート23に設けられたコンタクトノーズ39がセンタリング区分21の第2の切欠き36内に係合して、第2のコンタクトプレート23のための回動防止部を提供するように被せ嵌められる。さらに、第2のコンタクトプレート23のコンタクトノーズ39には、測定線路29の端区分40が溶接またはろう接によって結合されている。組み付けられた状態において、両測定線路28,29は第1の切欠き35もしくは第2の切欠き36を貫いて延びるので、測定線路28,29は第1第2の両切欠き35,36内に案内されている。さらに、両コンタクトプレート22,23と、圧力センサ24と、絶縁エレメント25とは、センタリングエレメント19のセンタリング区分21への被せ嵌めによって位置決めされ、特に半径方向において位置固定されるので、特にコンタクトプレート22,23ならびに圧力センサ24とスリーブ14との間のコンタクトは、ハウジング3との短絡を回避するために阻止されている。
【0022】
さらに、グロー電流線路8は、図3につき詳しく説明されるように、センタリングエレメント19の円筒状の部分26を通っても、センタリング区分21を通っても案内されている。
【0023】
第1のコンタクトプレート22は一貫して延びる切欠き41を有している。この切欠き41を貫いて、センタリング区分21が、組み付けられた状態において延びている。さらに、第2のコンタクトプレート23も、一貫して延びる切欠き42を有しており、この切欠き42を貫いて、センタリング区分21が、組み付けられた状態において延びている。圧力センサ24は、この圧力センサ24をセンタリングエレメント19のセンタリング区分21に被せ嵌めるために、一貫して延びる切欠き43を有している。この場合、センタリング区分21は圧力センサ24を位置決めするために圧力センサ24の切欠き43と係合している。相応して、センタリング区分21は第1のコンタクトプレート22の切欠き41にも、第2のコンタクトプレート23の切欠き42にも係合している。絶縁エレメント25は同じく、一貫して延びる切欠き44を有しているので、この絶縁エレメント25をセンタリングエレメント19のセンタリング区分21に被せ嵌めることができる。
【0024】
図3には、図2にIIIで示した方向から見た、本発明の実施例の圧力測定具ロープラグ1の一部を示す図が示されている。センタリングエレメント19は一貫して延びる切欠き45を有している。この切欠き45はセンタリングエレメント19のセンタリング区分21を通っても、円筒状の部分26を通っても延びている。この一貫して延びる切欠き45は内側に位置する切欠き45として形成されていて、図3に示したセンタリング区分21の横断面で見て少なくともほぼ中心に配置されており、これにより、グロー電流線路8のできるだけ均一な、あらゆる側でのシールドが達成される。これにより、測定線路28,29を介して測定可能となる、圧力センサ24の圧力測定時に形成された電荷への影響付与が阻止されるか、または少なくとも減じられる。
【0025】
センタリングエレメント19は電気的に絶縁性の材料から形成されていると有利である。この場合、圧電式の圧力センサ24からの電荷の流出を阻止するためには、高い比電気抵抗を有するセラミックスが適している。センタリングエレメント19はワンピースに、ひいては廉価に製造され得る。特にセンタリングエレメント19は高酸化アルミニウム含有のセラミックスまたは酸化アルミニウム、特に99%よりも多い酸化アルミニウムの組成を有する酸化アルミニウムから成っていてよい。センタリングエレメント19のための材料としては、凍石を主体としたステアタイト(Protoenstatit, Mg(Si4010)(OH)2)も使用され得る。材料としては、1種の酸化ジルコニウムまたは数種の酸化ジルコニウム、特に完全安定化された酸化ジルコニウム、部分安定化された酸化ジルコニウムまたは多結晶性の正方晶酸化ジルコニウムの組合せも使用され得る。この場合、酸化ジルコニウムを安定化させるための酸化マグネシウム、酸化カルシウムまたは酸化イットリウムのような安定化剤が有利である。さらに、センタリングエレメント19のための材料としては、酸化ジルコニウム強化された酸化アルミニウムも適している。この場合、酸化ジルコニウムおよび酸化アルミニウムの種々の含量との混合物が可能である。これらの材料を互いに組み合わせることもできる。
【0026】
圧力センサ24と両コンタクトプレート22,23と絶縁エレメント25とを備えたセンタリングエレメント19の前記モジュール構造は、圧力測定のために働く圧力測定モジュールの短い軸方向全構成長さを可能にし、この場合、この圧力測定モジュールはこれらの構成部分の他に、金属ダイヤフラム10と、力伝達エレメント5の一部と、スリーブ14と、位置固定エレメント16とを有している。これにより、圧力測定モジュールの妨害固有周波数を、より高い周波数の方向にシフトすることができ、これにより圧力測定の高い信頼性を達成することができる。
【0027】
本発明は前記実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による圧力測定装置の1実施例を示す概略的な断面図である。
【図2】本発明の実施例による圧力測定装置の一部を示す分解図である。
【図3】本発明の実施例による圧力測定装置の一部を、図2にIIIで示した方向から見た図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に設けられた室内に配置するための圧力測定装置(1)、特に空気圧縮型の自己着火式の内燃機関に用いられる圧力測定グロープラグ(1)であって、ハウジング(3)と、該ハウジング(3)から少なくとも部分的に突出した力伝達エレメント(5)と、ハウジング(3)の内室(11)に配置された圧力センサ(24)とが設けられており、該圧力センサ(24)が、内燃機関の室内に生ぜしめられる圧力を測定するために、一方では少なくとも間接的に力伝達エレメント(5)に作用結合されており、該圧力センサ(24)が、他方では少なくとも間接的に位置固定エレメント(16)に支持されており、さらに該圧力センサ(24)が、一貫して延びる切欠き(43)を有している形式のものにおいて、センタリングエレメント(19)が設けられており、該センタリングエレメント(19)がセンタリング区分(21)を有しており、該センタリングエレメント(19)と圧力センサ(24)とが嵌め合わされていて、センタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)が、圧力センサ(24)を位置決めするために圧力センサ(24)の前記切欠き(43)と係合していることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項2】
第1の測定線路(28)と第2の測定線路(29)とが設けられており、第1の測定線路(28)を圧力センサ(24)に電気的に接続するために働く第1のコンタクトプレート(22)が設けられており、該第1のコンタクトプレート(22)が、一貫して延びる切欠き(41)を有しており、第2の測定線路(29)を圧力センサ(24)に電気的に接続するために働く第2のコンタクトプレート(23)が設けられており、該第2のコンタクトプレート(23)が、一貫して延びる切欠き(42)を有しており、第1第2の両コンタクトプレート(22,23)が、圧力センサ(24)と共にセンタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)に被せ嵌められており、両コンタクトプレート(22,23)の間に圧力センサ(24)が配置されている、請求項1記載の圧力測定装置。
【請求項3】
センタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)が、少なくとも1つの第1の切欠き(35)を有しており、第1のコンタクトプレート(22)にコンタクトノーズ(37)が設けられており、該コンタクトノーズ(37)が、センタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)に設けられた前記第1の切欠き(35)内に係合している、請求項2記載の圧力測定装置。
【請求項4】
第1の測定線路(28)が、第1のコンタクトプレート(22)の前記コンタクトノーズ(37)に、特に溶接またはろう接により結合されており、第1の測定線路(28)が、センタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)に設けられた前記第1の切欠き(35)内に案内されている、請求項3記載の圧力測定装置。
【請求項5】
センタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)が第2の切欠き(36)を有しており、第2のコンタクトプレート(23)にコンタクトノーズ(39)が設けられており、該コンタクトノーズ(39)が、センタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)に設けられた前記第2の切欠き(36)内に係合しており、第2の測定線路(29)が、第2のコンタクトプレート(23)に設けられた前記コンタクトノーズ(39)に結合されており、第2の測定線路(29)が、センタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)に設けられた第2の切欠き(36)内に案内されている、請求項2から4までのいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項6】
センタリングエレメント(19)が、一貫して延びる切欠き(45)を有しており、該切欠き(45)が、特にセンタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)を貫いて延びており、電流線路(8)、特にグロー電流線路(8)が、センタリングエレメント(19)に設けられた前記一貫して延びる切欠き(45)内でセンタリングエレメント(19)を貫いて案内されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項7】
センタリングエレメント(19)の前記一貫して延びる切欠き(45)が、内部に位置する切欠き(45)として形成されている、請求項6記載の圧力測定装置。
【請求項8】
センタリングエレメント(19)の前記一貫して延びる切欠き(45)が、センタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)の横断面の少なくともほぼ中心に配置されている、請求項7記載の圧力測定装置。
【請求項9】
少なくとも1つの絶縁エレメント(25)が設けられており、該絶縁エレメント(25)が、一貫して延びる切欠き(44)を有していて、前記位置固定エレメント(16)に対する電気的な絶縁を可能にしており、該絶縁エレメント(25)が、圧力センサ(24)と共にセンタリングエレメント(19)の前記センタリング区分(21)に被せ嵌められている、請求項1から8までのいずれか1項記載の圧力測定装置。
【請求項10】
センタリングエレメント(19)が、酸化アルミニウムを有するセラミックスおよび/または酸化アルミニウムおよび/またはステアタイトおよび/または酸化ジルコニウムおよび/または酸化マグネシウムおよび/または酸化カルシウムおよび/または酸化イットリウムを有する材料から形成されている、請求項9記載の圧力測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−527748(P2009−527748A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555718(P2008−555718)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050282
【国際公開番号】WO2007/096205
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【出願人】(502281471)キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト (45)
【Fターム(参考)】