説明

圧着工具

【課題】被覆電線が多芯であってもカッター付き圧着端子の結線作業が簡便な圧着工具を提供する。
【解決手段】圧着端子台17が先端部に摺動可能に設けられた圧着端子保持部材11と、圧着端子台17に載置された圧着端子を押圧する押圧部18が先端部に設けられた従動圧着部材13と、圧着端子台17に載置された圧着端子に押圧力を作用させる圧着レバー部材14とを有し、圧着端子保持部材11と従動圧着部材13と圧着レバー部材14との後端部を軸支するとともに、圧着端子台17の後端側の圧着端子保持部材11にリンク部材16の一端を軸支し、リンク部材16の他端を連接レバー部材15の一端に軸支し、かつ連接レバー部材15を従動圧着部材13に支持軸22で軸支し連接レバー部材15の他端を圧着レバー部材14に内壁面側に当接し、リンク部材16と連接レバー部材15と軸支する支持軸21にバネ23を設けて圧着レバー部材14を付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話回線等に使用される被覆電線をカッター付き圧着端子で結線するための圧着工具に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電話回線等の電線には芯線を被覆した被覆電線が使用されている。被覆電線を圧着端子或いは圧着コネクタに結線するには、プライヤー等の圧着工具或いは結線工具を使用しており、このようなプライヤーについて、図17(a),(b)を参照し説明する。図17(a)は、プライヤーを用いて被複電線を端子に圧着接続する使用例を示している。プライヤー1は両ワーク挟み面1a,1bが開いた状態でこれらが互いに略均衡が取れるように開閉支点ピン1cの位置を切り替え、ワーク挟み面1a,1b間には、端子圧着治具2が接着テープ6a,6bで接着するか、或いは磁化されて着磁されて設けられている。端子圧着治具2は、凹部2bを有する圧着凹部2aと凸部2dを有する圧着突起2cとからなり、圧着凹部2aがワーク挟み面1aに、圧着突起2cがワーク挟み面1bに設けられる。圧着凹部2bには、被覆電線5の芯線を差し込む端子ピン4が載置されて両ワーク挟み面1aで端子圧着治具2を挟み込むことにより、端子ピン4の芯線クランプ部に被覆電線5の芯線が挟着されて接続される。なお、端子ピン4は、図17(b)に示すようなカシメ部4bを有するカール端子等を使用する場合もある。
【0003】
上記端子では、被覆電線の被覆部を剥がして芯線を露出させた後、プライヤーと端子圧着治具とを用いて圧着接続しているが、電話ケーブルのように多芯である場合、結線作業に時間を要し煩雑であり、多芯の結線には図18(a),(b)、図19に示す圧着コネクタが使用されている。図18(a),(b)、図19の圧着コネクタは、箱状部7aと箱状部7aに折曲部7cで連接された蓋状部7bとからなり、図18(b)は圧着コネクタ7に被覆電線を結線していない外観形状を示している。図19は圧着コネクタに次側被覆電線W1と二次側被覆電線W2とを夫々接続した外観を示している。箱状部7aは一次側結線部7と二次側結線部7との二区画からなり、互いに接続された二股状電極片8a,8bの二股部が一次側結線部7と二次側結線部7とに夫々設けられ、同様に二股状電極片9a,9bが箱状部7aに設けられ、かつ一次側結線部7側には被覆電線を切断するカッターによる切断部10が設けられている。二股状電極片8a,8bの夫々の二股部は互いに同一部材で連接されており、二股状電極片9a,9bも同様である。結線作業は、圧着により箱状部7aを蓋状部7bで閉じる際に、二股部に載置した被覆電線を蓋状部7bで押圧しながら被覆電線の被覆膜を二股部で切り裂かれて芯線に接触させて、一次側被覆電線W1と二次側被覆電線W2との互いの芯線同士が結線される。なお、圧着コネクタ7には、被覆電線の押圧部や箱状部7aと蓋状部7bとが嵌合する係止部等が設けられているが、その詳細説明は省略する。
【0004】
【特許文献1】特開2002−190366号公報(明細書全文,全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の圧着工具では、上記圧着コネクタを用いて結線作業を行う場合、例えば、プライヤーの両ワーク挟み面に圧着治具を設けて圧着コネクタを固定し結線作業を行う必要があり、また、圧着コネクタに一次側結線をした後、圧着コネクタの位置を変えて二次側結線を行う必要があり、作業性が悪く、多芯の被覆電線の場合は極めて結線作業が困難となる欠点があり、新たな圧着コネクタに適した圧着工具の開発が必要であった。さらに、圧着コネクタの結線作業は多数の被覆電線が交錯する中での作業であり、圧着部を他の多数の配線内に差し込んだ際に他の配線に損傷を与えることなく結線作業ができることが望まれるし、圧着工具自体が小型であることが要求された。さらに、圧着コネクタにはサイズの異なるものがあり、一つの工具でこれらのサイズに対応できることが望まれていた。
【0006】
本発明は、上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、被覆電線が多芯であってもカッター付き圧着端子による結線作業が簡便となる圧着工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を達成したものであり、請求項1の発明は、圧着端子台が先端部に摺動可能に設けられた圧着端子保持部材と、該圧着端子台に載置された圧着端子を押圧する押圧部が先端部に設けられた従動圧着部材と、該圧着端子台に載置された圧着端子に押圧力を作用させる圧着レバー部材とを備え、前記圧着端子保持部材と前記従動圧着部材と前記圧着レバー部材との後端部を軸支するとともに、前記圧着端子台の後端側の前記圧着端子保持部材にリンク部材の一端を軸支し、該リンク部材の他端に連接レバー部材の一端を軸支し、かつ該連接レバー部材を前記従動圧着部材に軸支して該連接レバー部材の他端を前記圧着レバー部材の内壁面側に当接し、該リンク部材と該連接レバー部材とを軸支する支持軸にバネを設けて前記圧着レバー部材を付勢するようにし、前記圧着端子保持部材と前記圧着レバー部材とを把握して被覆線を前記圧着端子に結線することを特徴とする圧着工具である。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記圧着端子台が、圧着端子を載せる載置面と、該圧着端子の一側壁を支持する凸条部を有する保持部本体と、該載置面の該圧着端子を該凸条部とで挟持するレバー付き保持部材と、該レバー付き保持部材の位置を圧着端子のサイズに応じて調節可能とする調整レバー部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の圧着工具である。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記圧着端子台の圧着端子の載置面が、圧着端子の蓋体を閉じて被覆線を結線する圧着載置部分と該圧着端子に設けたカッターで結線した配線を切断する載置部分とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着工具である。
【0010】
また、請求項4の発明は、前記圧着端子保持部材の先端部より前記圧着端子台を突出させたり、該圧着端子保持部材内に引き込むことができるレバー付き挟持バネが、前記圧着端子保持部内に設けられていることを特徴とする請求項1,2又3に記載の圧着工具である。
【0011】
また、請求項5の発明は、前記レバー付き挟持バネの前記圧着端子保持部材内の移動可能距離を規制する規制部材が、前記圧着端子保持部材の内壁面に有することを特徴とする請求項4に記載の圧着工具である。
【0012】
また、請求項6の発明は、前圧着端子台がその先端部を圧着端子を載せる載置部と該載置部から後方に延在する後端部とを有し、前記圧着端子保持部材と前記リンク部材を軸支する支持軸が貫通する長孔状の貫通孔が前記後端部に設けられ、かつ前記圧着端子台に摺動抵抗を与えて前後方向に摺動可能にするバネが前記後端部に有することを特徴とする請求項1,2又3に記載の圧着工具である。
【0013】
また、請求項7の発明は、前記バネを当接させて前記圧着端子台の摺動可能範囲を設定する凹部又は凸部が、前記圧着端子保持部材の内壁面に有することを特徴とする請求項6に記載の圧着工具である。
【0014】
また、請求項8の発明は、前記レバー付き保持部材と前記調整レバー部材とが互いに係合する第1と第2回動軸を有し、前記第1と第2回動軸の軸中心と離れた位置に前記レバー付き保持部材の回転軸の軸中心が設けられていることを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の圧着工具である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、圧着端子台が先端部に摺動可能に設けられ圧着端子保持部材と、該圧着端子台に載置された圧着端子を押圧する押圧部が先端部に設けられた従動圧着部材と、該圧着端子台に載置された圧着端子に押圧力を作用させる圧着レバー部材とを備え、前記圧着端子保持部材と前記従動圧着部材と前記圧着レバー部材との後端部を軸支するとともに、前記圧着端子台の後端側の前記圧着端子保持部材にリンク部材の一端を軸支し、該リンク部材の他端に連接レバー部材の一端を軸支し、かつ該連接レバー部材を前記従動圧着部材に軸支して該連接レバー部材の他端を前記圧着レバー部材の内壁面側に当接し、該リンク部材と該連接レバー部材とを軸支する支持軸にバネを設けて該圧着レバー部材を付勢するようにし、前記圧着端子保持部材と前記圧着レバー部材とを把握して被覆線を前記圧着端子に結線することを特徴とする圧着工具であるので、被覆線を差し込んだ圧着端子を圧着端子台に載置し、圧着端子保持部材と圧着レバー部材とを片手で把握することによって、圧着端子に被覆線を容易に結線することができる利点がある。また、圧着部(ワーク部)が把持部より前方に設けられており、結線作業に際し、他の配線を避けるように行える利点があり、配線が複雑に交錯する作業環境であっても他の配線に断線といった損傷を与えることなく、圧着部を差し込んで作業できる利点がある。
【0016】
また、請求項2の発明では、前記圧着端子台が、圧着端子を載せる載置面と、該圧着端子の一側壁を支持する凸条部を有する保持部本体と、該載置面の該圧着端子を該凸条部とで挟持するレバー付き保持部材と、該レバー付き保持部材の位置を圧着端子のサイズに応じて調節可能とする調整レバー部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の圧着工具であるので、調整レバー部材を操作することにより、サイズの異なる圧着端子を保持部本体の載置面に凸条部とレバー付き保持部材とで挟持することができる利点がある。
【0017】
また、請求項3の発明では、前記圧着端子台の圧着端子の載置面が、圧着端子の蓋体を閉じて被覆線を結線する圧着載置部分と該圧着端子に設けたカッターで結線した配線を切断する載置部分とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着工具であるので、異なった載置部分を利用して被覆線の結線作業と被覆線のカッティング作業を行うことができ、カッター付き圧着端子の結線作業の作業性が改善される利点がある。
【0018】
また、請求項4の発明では、前記圧着端子保持部材の先端部より前記圧着端子台を突出させたり、該圧着端子保持部材内に引き込むことができるレバー付き挟持バネが、前記圧着端子保持部内に設けられていることを特徴とする請求項1,2又3に記載の圧着工具であるので、レバー付き挟持バネを操作してカッター付き圧着端子の一次側結線と二次側結線とを最適な圧着位置にセットして結線作業ができ、カッター付き圧着端子の結線作業の作業性が改善できる利点がある。
【0019】
また、請求項5の発明では、前記レバー付き挟持バネの前記圧着端子保持部材内の移動可能距離を規制する規制部材が、前記圧着端子保持部材の内壁面に有することを特徴とする請求項4に記載の圧着工具であるので、レバー付き挟持バネが圧着端子保持部材内を円滑に摺動させることができるし、圧着端子台が圧着端子保持部材内から飛び出すといったおそれもなく、カッター付き圧着端子の結線作業における使い勝手の良い圧着工具が提供できる利点がある。
【0020】
また、請求項6の発明では、前圧着端子台がその先端部を圧着端子を載せる載置部と該載置部から後方に延在する後端部とを有し、前記圧着端子保持部材と前記リンク部材を軸支する支持軸が貫通する長孔状の貫通孔が前記後端部に設けられ、かつ前記圧着端子台に摺動抵抗を与えて前後方向に摺動可能にするバネが前記後端部に有することを特徴とする請求項1,2又3に記載の圧着工具であるので、圧着端子台が前後方向に無軌道に摺動することがなく、圧着工具を操作する際に安定し、圧着処理操作が容易である利点がある。
【0021】
また、請求項7の発明では、前記バネを当接させて前記圧着端子台の摺動可能範囲を設定する凹部又は凸部が、前記圧着端子保持部材の内壁面に有することを特徴とする請求項6に記載の圧着工具であるので、圧着工具を操作する際に圧着端子台を所定位置で固定することができ、圧着処理操作が容易である利点がある。
【0022】
また、請求項8の発明では、前記レバー付き保持部材と前記調整レバー部材とが互いに係合する第1と第2回動軸を有し、前記第1と第2回動軸の軸中心と離れた位置に前記レバー付き保持部材の回転軸中心が設けられていることを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の圧着工具であるので、圧着端子台の圧着端子のサイズに合わせてレバー付き保持部材を調整することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。なお、図1から図14までが本発明の一実施形態の圧着工具を説明するための図であり、図15から図19が本発明の他の実施形態の圧着工具を説明するための図である。図1(a),(b)は本発明の一実施形態の圧着工具を示す側面図であり、同図(a)は圧着工具を開放した状態を示し、同図(b)はその閉成した状態を示す側面図である。図2から図5は本実施形態の各部を示しており、図2(a),(b)が圧着レバー部材、図3(a),(b)が従動圧着部材、図4(a),(b)がその圧着端子保持部材、図5(a),(b)がリンク部材及び連接レバー部材を示している。図6は本実施形態の圧着端子台の組立斜視図であり、図7(a)は圧着端子台の保持部本体、図8がレバー付き保持部材、図9がレバー付き保持部材を付勢するためのバネを示し、図10(a),(b)が連結軸部材であり、図11が調整レバー部材である。図12は圧着端子保持部の分解斜視図である。図13(a),(b)、図14(a),(b)はカッター付き圧着端子の結線作業工程を示す側面図である。図15(a),(b)は本発明の他の実施形態を示し、図16はその要部分解斜視図である。
【0024】
本実施形態の圧着工具は、図1(a)に示すように、圧着端子台17が先端部に設けられた圧着端子保持部材11と、圧着端子台17に載置された圧着端子を押圧する押圧部18が先端部に設けられた従動圧着部材13と、圧着端子台17に載置された圧着端子に押圧力を作用させる圧着レバー部材14とを有し、圧着端子保持部材11と従動圧着部材13と圧着レバー部材14とが圧着レバー部材14の後端部に設けた支持部材12に挿通された支持軸19で軸支されており、圧着端子台17の後端側の圧着端子保持部材11にリンク部材15の一端が支持軸20により軸支され、リンク部材15の他端が連接レバー部材16の一端とで軸支され、かつ連接レバー部材16を従動圧着部材13に支持軸22で軸支して連接レバー部材16の他端を圧着レバー部材14に内壁面側に当接させ、リンク部材15と連接レバー部材16とを軸支する支持軸21にバネ23を設けて付勢し圧着レバー部材14が拡開するようになされている。圧着端子保持部材11と圧着レバー部材14とを片手で把握することによって、圧着端子保持部材11と圧着レバー部材14とが閉成し、圧着端子台17に載置されたカッター付き圧着端子に被覆線が結線され、必要に応じ不要な被覆線を切断することができる。
【0025】
続いて、上記実施形態の各部材について図2〜図5を参照し説明する。先ず、圧着レバー部材14は、図2(a),(b)に示すように、断面コ字状部材であって、連接レバー部材16を押圧する部材であり、その後端部に突片部14aが形成され、突片部14aに支持軸19が挿通される貫通孔14bが設けられ、その内面壁にガイド突起14cが設けられ、ガイド突起14cは圧着レバー部材14の最大拡開度を規制する部材である。
【0026】
従動圧着部材13は、図3(a)に示すように、カッター付き圧着端子を押圧するための押圧部18が取着される貫通孔13aが先端部に設けられ、従動圧着部材13の中央より先端部側に貫通孔13bが設けられ、貫通孔13bには連接レバー部材16を回動自在とする支持軸21が挿通される。また、従動圧着部材13の後端部には、圧着レバー部材14に設けられたガイド突起14cが嵌合し、摺動する円弧状案内溝13dが設けられ、かつ支持軸19が挿通される貫通孔13cが設けられている。円弧状案内溝13dは、ガイド突起14cが回動する範囲を規制して、圧着レバー部材14の最大拡開角度を規制する。また、従動圧着部材13は、図1(a),(b)に示すように、その上端部側が圧着レバー部材14内に収納されるように組み合わされている。
【0027】
圧着端子保持部材11は、図4(a)に示すように、その後端部に軸受部材11bが溶接により固着され、保持部材本体11aの先端側底部に長孔状のガイド孔11cが設けられ、ガイド孔11cの後端部にリンク部材15を軸支する支持軸20が挿通される貫通孔11dが設けられ、その中央部後方の片側内壁面に前後方向に突起11fが設けられ、突起11fと対峙する側の内壁面に突条部11eが形成され、軸受部材11bには支持軸19が挿通される貫通孔11gが設けられている。圧着端子保持部材11の先端部に設けたガイド孔11cは圧着端子台17の前後方向の摺動可能な範囲を規制している。
【0028】
リンク部材15と連接レバー部材16は、てこの原理を利用して圧着レバー部材14に加わる力を従動圧着部材13に伝達する部材であり、図5に示すように、リンク部材15の一端に設けられた貫通孔15aには支持軸20が挿通されて圧着端子保持部材11に軸支され、かつリンク部材15の他端に設けられた貫通孔15bと連接レバー部材16の一端に設けられた貫通孔16aとに支持軸21が挿通されてリンク部材15と連接レバー部材16とが軸支され、さらに、連接レバー部材16の中央部より前方に設けた貫通孔16cと従動圧着部材13の貫通孔13bとに支持軸22が挿通されて連接レバー部材16が従動圧着部材13に軸支され、連接レバー部材16の後端部は湾曲形状であり、この湾曲部16dが圧着レバー部材14の上部内壁面を当接し摺動容易としている。
【0029】
次に、圧着端子保持部材11の先端部に設けらる圧着端子台17について、図6及び図7(a),(b)を参照して説明する。圧着端子台17には圧着端子を載せる載置面17aが形成され、軸受貫通孔17bが設けられ、圧着端子台17の両側面には摺動切欠部17dが設けられ、摺動切欠部17dに圧着端子保持部材11の先端部が差し込まれて圧着端子台17を摺動可能にし、載置面17aの一側端部には凸条部17cが形成され、凸条部17cに隣接して逃がし溝17eが設けられ、載置面17aから穿設したバネ収納溝17gが設けられ、圧着端子台17の後方から突出する板状突出部17hが設けられ、板状突出部17hの後端部に貫通孔17fが設けられている。
【0030】
圧着端子台17には、図1(a),(b)に示すように、調整レバー部材25が圧着端子台17を貫通するネジ28で固着され、圧着端子台17の載置面17a側にはレバー付き保持部材24がネジ28を軸中心として回動するように設けられている。レバー付き保持部材24は、図8に示すように、保持部24aが設けられ、保持部24aに直交方向にレバー部24cが突出し、保持部24aとレバー部24cとの交差部に貫通孔24dが設けられ、保持部24aに切欠部24bが設けられている。レバー付き保持部材24は、その保持部24aが圧着端子台17のバネ収納溝17gに収納されたバネ26(図9)により、凸条部17c側に付勢され、載置面17aに載置したカッター付き圧着端子を凸条部17c側に押し付けて保持する。レバー付き保持部材24と調整レバー部材25は、その軸部分が圧着端子台17の後端部に設けた軸受貫通孔17bに支承されている。
【0031】
また、レバー付き保持部材24は鉤状部材であり、圧着端子に当接する保持部24aと、保持部24aに設けたバネ26の一端が当接する切欠部24bと、圧着端子を載置する際に保持部24aを指で開くためのレバー部24cと、レバー付き保持部材24を支持軸に支承するための貫通孔24dとが設けられている。また、バネ26は、その一端がバネ収納溝17g内に固定され、他端をレバー付き保持部材24に当接するようにしている。なお、保持部24aに切欠部24bを設けることなく、保持部24aに貫通孔を設け、バネ26の端部をこの貫通孔に嵌合させてもよい。また、ネジ28は支持軸であってもよく、この支持軸の先端部を調整レバー部材25に溶接して固着してもよいし、ネジ28の端部をダブルナットで固定してもよい。
【0032】
調整レバー部材25は、図11(a),(b)に示すように、調整レバー25bが軸本体25aの一端部に直交方向に突出し、軸本体25aの他端部には半円柱状の係合突部25cが設けられ、係合突部25cの底部半円部25dにはネジ28が螺合されるネジ孔部25eが設けられている。ネジ28の軸中心は、軸本体25aの軸中心とは離れた位置となっている。また、調整レバー部材25の係合突部25cは、図10(a),(b)に示す略円柱状の回転部材である従動軸部材27に係合し、調整レバー部材25の操作によって、従動軸部材27が回動するように設けられている。従動軸部材27は、回転体27aの一端部側に係合突部25cを受ける突出した半円柱状の係合受部27bと半円状切欠底部27cとが設けられ、係合受部27bに貫通孔27dが軸方向に設けられ、従動軸部材27の他端部に開口する貫通孔27dの周囲を囲むように突出した円筒部27eが設けられ、この円筒部27eがレバー付き保持部材24の貫通孔24dに嵌入され、レバー付き保持部材24が回転自在に設けられている。調整レバー部材25の軸本体25aと従動軸部材27の回転体27aとは、圧着端子台17の軸受貫通孔17b内に挿入されて係合突部25cと係合受部27bとが係合し、調整レバー部材25を回動させることによって、係合受部27bが回転し、レバー付き保持部材24の軸中心が移動する。
【0033】
また、調整レバー部材25は、図18に示すカッター付き圧着端子7が被覆線の線材の直径に対応して少なくとも幅が異なる2種のサイズがあり、これらのサイズの異なる圧着端子7が圧着端子台17の載置面17aに載置可能にするために設けられ、調整レバー部材25を操作することによって、レバー付き保持部材24のネジ28の軸中心が凸条部17cから離れたり接近したり円弧状に回動し、異なるサイズに対応することができる。
【0034】
図12を参照して詳細に説明すると、ネジ孔部25eと貫通孔27dとは同一軸中心であり、この軸中心線Cは調整レバー部材25の軸本体25aの回転中心である軸中心線Cとは異なる位置にある。調整レバー25bを操作することにより軸本体25aが軸中心Cに回転し、軸中心Cは軸中心Cを中心として円弧状の軌跡に沿って回動する。即ち、調整レバー25bを操作すると、レバー付き保持部材24の軸中心線Cが凸条部17cから離れるように移動し、また、調整レバー25bを逆方向に操作すると、レバー付き保持部材24の軸中心線Cが凸条部17cに接近するように移動する。従って、調整レバー部材25を操作することにより、凸条部17cとレバー付き保持部材24の保持部24aとの間隔が調整でき、圧着端子のサイズが異なっても、凸条部17cとレバー付き保持部材24の保持部24aとで挟み圧着端子台17の載置面に保持することができる。
【0035】
また、圧着端子台17に設けた貫通孔17fには、摺動バネ29がネジ30により装着されて圧着端子保持部材11内に配置されている。摺動バネ29は、コイル状部29aから延在する摺動バネ29の一端には屈曲したレバー29bが形成され、他端には係止部29cが形成されている(図1,図12参照)。レバー29bは、圧着端子保持部材11の先端部から圧着端子台17を前方に押し出したり、後方に引き込んだりするためのものであり、圧着端子台17を前方に押し出すことによって、圧着端子台17への圧着端子の装着が容易なものとなる。また、カッター付き圧着端子には、図18に示しように、二箇所の箱状の結線部があり、圧着端子台17を前方に押し出した状態で、圧着端子の一方の結線部を最適なワーク位置とし、この結線部を蓋で閉鎖した後、レバー29bを後方に引いて圧着端子台17を圧着端子保持部材11内に引き込み、圧着端子の他方の結線部を最適はワーク位置とし結線部を蓋で閉成する。
【0036】
一方、摺動バネ29は、その係止部29cが圧着端子保持部材11の内側壁部に設けた二つの突起11fに係合し、圧着端子台17の摺動可能な範囲を規制している。また、突起11fの反対側の圧着端子保持部材11の内側壁部には突条部11eが形成され、突条部11eは摺動バネ29の仮止めストッパーとして機能する。なお、レバー29bを後方に強く引くと、摺動バネ29の端部は突条部11eを乗り越え、摺動バネ29の他方の係止部29cが後方の突起11fで係止する。なお、レバー29bには樹脂製レバーを装着するようにしてもよい。
【0037】
次に、本実施形態の結線操作について図13(a),(b)及び図14(a),(b)を参照して説明する。先ず、カッター付き圧着端子7は図18に図示したものを使用し、この圧着端子7には一次側結線部7と二次側結線部7とが設けられた箱状部7aと、箱状部7aと折曲部7cを介して設けられ、被覆線を押圧して箱状部7の開口部を閉成する蓋状部7bと、不要な被覆線を切断する切断部(カッター)10とが設けられており、本実施形態の圧着工具を片手で把持し、レバー29bを操作し、圧着端子台17を最適なワーク位置に設定し、レバー付き保持部材24を操作して開き、圧着端子7の二次側結線部7に被覆線を装着し、圧着端子7の折曲部7c側を後端部側として圧着端子台17の載置面に載置する。この時、圧着端子7は、その切断部(カッター)10が圧着端子台17の逃がし溝17eに位置しており、この載置位置では切断部(カッター)10が圧着治具で押圧されて被覆線が切断されることはない。また、圧着端子7の横幅が広い場合、調整レバー部材25を操作して凸条部17cとレバー付き保持部材24の保持部24aとの間隔を拡げて圧着端子7を載置し保持する。逆に圧着端子7の横幅が狭い場合、調整レバー部材25を反対方向に操作し凸条部17cとレバー付き保持部材24の保持部24aとの間隔を狭める。なお、圧着端子7の一次側結線部7と二次側結線部7は、信号線等の入力側と出力側とで分けたものではなく、何れを使用してもよい。
【0038】
その後、圧着端子台17に圧着端子7を載置した後、圧着端子保持部材11と圧着レバー部材14とを把握することによって、圧着レバー部材14が従動圧着部材13を、支持軸22を支点とするてこの原理により、圧着レバー部材14の先端部の押圧部18が蓋状部7bを押圧し、図13(b)に示したように、蓋状部7bが箱状部7の二次側結線部7の開口部を蓋状部7bで閉成するとともに、被覆線が押圧されて内部結線が行われる。
【0039】
続いて、圧着端子7の一次側結線部7に被覆線を差し込み、レバー29bを手前側に引き込むことによって、圧着端子台17が圧着端子保持部材11内側に引き込まれ、最適なワーク位置とし圧着端子保持部材11と圧着レバー部材14とを把握することによって、開いた状態の蓋状部7bが押圧され、被覆線の結線が完了する。この時、カッター10は逃がし溝17eに位置し被覆線を切断することはない。一次側結線部7への被覆線の結線完了後、必要に応じて、レバー付き保持部材24の凸条部17cが形成されていない側の載置面17aに載置し、圧着端子保持部材11と圧着レバー部材14とを把握することによって、カッター10が押圧されて被覆線が切断される。
【0040】
次に、本発明の他の実施形態について、図15及び図16を参照し説明する。本実施形態では、圧着端子台の形状と圧着端子台の摺動機構とが上記実施形態と異なり、圧着端子台30は圧着端子載置部30aと後方に延在した後端部30bとからなり、圧着端子台30は、圧着端子保持部材31の先端から突出した状態で前後方向に摺動可能に設けられている。圧着端子台30の後端部30bには長孔状の貫通孔30cが設けられ、貫通孔30cより後方に操作レバー32とバネ33とを固着する係止部材34が設けられる。係止部材34は貫通孔34c,34dが設けられたL字状金具である。圧着端子載置部30aには上記実施形態の圧着端子台17と同様にレバー付き保持部24、調整レバー部材25、バネ26等が設けられ、レバー付き保持部24及び調整レバー部材25の動作は上記実施形態と同様である。
【0041】
また、圧着端子保持部材31には、上記実施形態と同様にガイド孔11cと支持軸20とが設けられ、圧着端子保持部材31の後端部にもガイド孔31aが設けられている。支持軸20は圧着端子台30の後端部30bに設けた貫通孔30cに挿通され、後端部30bに設けた貫通孔30cが長孔状であり、圧着端子台30は前後方向に摺動可能である。圧着端子台30の後端部30bの後方には貫通孔30dとネジ孔30eとが設けられ、ネジ34aは貫通孔30dから底部へと貫通し、さらに、圧着端子保持部材31のガイド孔31aを貫通し、操作レバー32のネジ孔32aに螺設し、操作レバー32を固定し、かつ、後端部30bに設けたネジ孔30eにリングバネ33の両端部に係合させてネジ34bが螺設され、リングバネ33が係止部材34で固定されるとともに、圧着端子台30の後端部30bを支持し、圧着端子台30が圧着端子保持部材31内に摺動可能に設けられている。
【0042】
リングバネ33は、図15(b),図16に示すように、その中央部にリング部33aが設けられ、その両端部に鉤部33cが設けられ、ネジ34bに鉤部33cを係合させてリングバネ33が係止部材34で支持され、リングバネ33が後端部30bの側壁に設けられて圧着端子台30の底部から下方に突出し、リングバネ33の弾性による付勢力により圧着端子保持部材31の内底面を押圧して圧着端子台30に摺動抵抗が与えられている。また、圧着端子保持部材31の内底面には凹部31b,31cが設けられ、リング部33aの先端部がこの凹部31b,31cに嵌合することにより、圧着端子台30の前後方向の摺動可能な範囲を規制している。なお、凹部31b,31cは、この形態に限ることなく凸部であってもよい。
【0043】
この実施形態では、指で操作レバー32を前方に押し出して圧着端子の装着が容易な位置である、圧着端子台30が貫通孔30cとガイド孔31aで規制される位置まで前方に突出させ、この位置で圧着端子載置部30aに圧着端子を載置する。続いて、操作レバー32を後方に引き戻し、圧着端子台30が後方へ移動し、リング部33aが凹部31bに嵌合するまで移動し、圧着端子台30が図13に示す位置であり、圧着端子の蓋体を閉成するのに最良のワーク位置に設定することができる。さらに、操作レバー32を指で引き戻すとリング部33aが凹部31cに嵌合し、圧着端子台30が引き戻されて図14に示す位置になる。圧着端子載置部30aの位置が圧着端子の蓋体で他の開口部を閉成するのに最良のワーク位置に設定することができる。このワーク位置の設定は、上記実施形態であっても適用することができる。
【0044】
また、調整レバー部材25は、その軸部に係止突起部25eが設けられ、調整レバー部材25を操作した際に、係止突起部25eがガイド孔11cの互いに向かい合う壁面の何れかに当接して係止され、これによって、調整レバー部材25の回動可能な角度が設定される。これにより、調整レバー部材25が不必要に回動することなく、レバー付き保持部24と凸条部37c(凸条部17cに対応)との幅を二段階に切り替え可能になる。この係止突起部25eは上記実施形態にも適用することができる。
【0045】
圧着端子台30の前後方向の摺動機構は、その主要部が上記実施形態では摺動バネ29が用いられたのに対し、図15の実施形態ではリングバネ33が用いられている。また、操作レバー32は、図15(c)に示すように、圧着端子保持部材31の底部に位置するネジ孔32aを有する操作基部位32bから圧着端子保持部材31の側壁部側面に至る操作突起部32cを設けた概略L字状部材であってもよいし、さらに、操作突起部32cが圧着端子保持部材31の両側壁部側面に張り出すように設けてもよい。また、圧着端子保持部材31の側壁部から突出するように設けてもよく、親指で簡単に操作できる構造であればよい。
【0046】
本発明の圧着治具は、上述のように、圧着端子台を手前にして圧着端子保持部材と圧着レバー部材とを片手で把持し、圧着端子台に被覆線を挟み込んだカッター付き圧着端子を圧着端子台の逃げ溝側の載置位置に載せ、この圧着端子を圧着端子保持部材と圧着レバー部材とで保持し、圧着端子保持部材と圧着レバー部材とを片手で把握し、圧着レバー部材が従動圧着部材を、てこの原理を応用して押圧し、カッター付き圧着端子に被覆線を結線する。結線した被覆線を切断する場合、圧着端子台の逃げ溝がない載置位置に変えて圧着端子を載せ、圧着端子保持部材と圧着レバー部材とを把握することによって、不要な被覆線を切断することができる。また、サイズの異なる圧着端子を結線する場合、調整レバー部材を操作することにより載置スペースが二段階に切り替えが可能である。また、圧着端子台が圧着治具の先端部に突出するように設けられており、錯綜する配線中に圧着端子台を差し込んで結線作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の活用例としては、カッター付き圧着端子に被覆電線を接続する圧着工具として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態の圧着工具を示す側面図であり、(a)は圧着工具を開放した状態を示し、(b)はその閉成した状態を示す側面図である。
【図2】本実施形態の圧着レバー部材を示し、(a)はその側面図、(b)はその右側面図である。
【図3】本実施形態の従動圧着部材を示し、(a)はその側面図、(b)はその右側面図である。
【図4】本実施形態の圧着端子保持部材を示し、(a)はその側面図、(b)はその右側面図である。
【図5】本実施形態のリンク部材及び連接レバー部材を示し、(a)はその側面図、(b)はその右側面図である。
【図6】本実施形態の圧着端子保持部の組立斜視図である。
【図7】(a)は圧着端子保持部の保持部本体の側面図、(b)はその平面図である。
【図8】本実施形態のレバー付き保持部材の平面図である。
【図9】本実施形態のレバー付き保持部材を付勢するためのバネの側面図である。
【図10】、 (a)が本実施形態の連結軸部材の平面図、(b)がその側面図である。
【図11】本実施形態の調整レバー部材であり、(a)が側面図、(b)が平面図である。
【図12】本実施形態の圧着端子保持部の分解斜視図である。
【図13】(a),(b)はカッター付き圧着端子の結線作業工程を示す側面図である。
【図14】(a),(b)はカッター付き圧着端子の結線作業工程を示す側面図である。
【図15】(a)は本発明の他の実施形態を示す要部斜視図、(b)はその要部側面図、(c)は操作レバーの他の実施例である。
【図16】本発明の他の実施形態の要部分解斜視図である。
【図17】(a)は従来のプライヤー(圧着工具)を用いて被複電線を端子に圧着接続する使用例を示しす側面図であり、(b)はカール端子を示す斜視図である。
【図18】(a)はカッター付き圧着端子の斜視図であり、(b)は蓋を閉じた状態のカッター付き圧着端子の斜視図である。
【図19】結線をしたカッター付き圧着端子の斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
7 圧着端子
7a 箱状部
7b 蓋状部
7c 折曲部
11 圧着端子保持部材
11a 保持部材本体
11b 軸受部材
11c ガイド孔
11d,11g 貫通孔
11e 突条部
11f 突起
12 支持部材
13 従動圧着部材
14 圧着レバー部材
15 リンク部材
16 連接レバー部材
17 圧着端子台
17a 載置面
17b 軸受貫通孔
17c 凸条部
17d 切欠部
17e 逃がし溝
17f 貫通孔
17g バネ溝
17h 板状突出部
18 押圧部
19〜22 支持軸
23 バネ
24 レバー付き保持部
24a 保持部
24b 切欠部
24c レバー部
24d 貫通孔
25 調整レバー部材
25a 軸本体
25b 調整レバー
25c 係合突部
25d 底部半円部
25e ネジ孔部
26 バネ
27 従動軸部材
27a 回転体
27b 係合受部
27c 係合突部
27d 貫通孔
27e 円筒部
28 ネジ
29 摺動バネ
29a コイル状部
29b レバー
29c 係止部
30 圧着端子台
30a 圧着端子載置部
30b 後端部
30c 貫通孔
31 圧着端子保持部材
31a ガイド孔
32 操作レバー
33 リングバネ
34 係止部材
W1 一次側被覆電線
W2 二次側被覆電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧着端子台が先端部に摺動可能に設けられた圧着端子保持部材と、該圧着端子台に載置されたカッター付き圧着端子を押圧する押圧部が先端部に設けられた従動圧着部材と、該圧着端子台に載置された圧着端子に押圧力を作用させる圧着レバー部材とを備え、前記圧着端子保持部材と前記従動圧着部材と前記圧着レバー部材との後端部を軸支するとともに、前記圧着端子台の後端側の前記圧着端子保持部材にリンク部材の一端を軸支し、該リンク部材の他端に連接レバー部材の一端を軸支し、かつ該連接レバー部材を前記従動圧着部材に軸支して該連接レバー部材の他端を前記圧着レバー部材の内壁面側に当接し、該リンク部材と該連接レバー部材とを軸支する支持軸にバネを設けて前記圧着レバー部材を付勢するようにし、前記圧着端子保持部材と前記圧着レバー部材とを把握して被覆線を前記圧着端子に結線することを特徴とする圧着工具。
【請求項2】
前記圧着端子台が、圧着端子を載せる載置面と、該圧着端子の一側壁を支持する凸条部を有する保持部本体と、該載置面の該圧着端子を該凸条部とで挟持するレバー付き保持部材と、該レバー付き保持部材の位置を圧着端子のサイズに応じて調節可能とする調整レバー部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の圧着工具。
【請求項3】
前記圧着端子台の圧着端子の載置面が、圧着端子の蓋体を閉じて被覆線を結線する圧着載置部分と該圧着端子に設けたカッターで結線した配線を切断する載置部分とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着工具。
【請求項4】
前記圧着端子保持部材の先端部より前記圧着端子台を突出させたり、該圧着端子保持部材内に引き込むことができるレバー付き挟持バネが、前記圧着端子保持部内に設けられていることを特徴とする請求項1,2又3に記載の圧着工具。
【請求項5】
前記レバー付き挟持バネの前記圧着端子保持部材内の移動可能距離を規制する規制部材が、前記圧着端子保持部材の内壁面に有することを特徴とする請求項4に記載の圧着工具。
【請求項6】
前圧着端子台がその先端部を圧着端子を載せる載置部と該載置部から後方に延在する後端部とを有し、前記圧着端子保持部材と前記リンク部材を軸支する支持軸が貫通する長孔状の貫通孔が前記後端部に設けられ、かつ前記圧着端子台に摺動抵抗を与えて前後方向に摺動可能にするバネが前記後端部に有することを特徴とする請求項1,2又3に記載の圧着工具。
【請求項7】
前記バネを当接させて前記圧着端子台の摺動可能範囲を設定する凹部又は凸部が、前記圧着端子保持部材の内壁面に有することを特徴とする請求項6に記載の圧着工具。
【請求項8】
前記レバー付き保持部材と前記調整レバー部材とが互いに係合する第1と第2回動軸を有し、前記第1と第2回動軸の軸中心と離れた位置に前記レバー付き保持部材の回転軸の軸中心が設けられていることを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の圧着工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2009−104894(P2009−104894A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275453(P2007−275453)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000220572)株式会社トーツー創研 (6)
【出願人】(591105557)株式会社ソルコム (3)
【Fターム(参考)】