説明

圧着工具

【課題】接続要素を圧着するための圧着ペンチの操作を容易にする圧着工具を提供する。
【解決手段】圧着ペンチ2は、接続要素用の入れ子を構築する圧着顎5を備える。圧着顎5は、接続要素に半径方向の圧着力を与えるために、入れ子の長手軸に対して半径方向に動くように設計および配置される。手動で圧着力を与え該圧着顎5を動作させるために、ハンドレバー3,4が設けられる。ハンドレバー3,4は、1つの面内に配置される。面は、該入れ子の長手軸14−14に位置合わせされ、長手軸14−14によって2つの半平面に分離される。該ハンドレバー3,4は共に、1つの同一の半平面内に配置される。伝達または伝送ユニットが、前記ハンドレバー3,4と前記圧着顎5の間の力の流れの中の長手軸14−14に沿った並進作動を、長手軸14−14を中心とした回転作動へ伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2008年1月8日に出願された、タイトル「Presswerkzeug」の同時係属共願のドイツ特許出願第10 2008 003 524.6の優先権を主張する。
【0002】
本発明は一般に、工作物を圧着するための圧着工具に関する。このような圧着工具は、圧着または押圧ペンチであってよい。これらの圧着工具は、例えば、電線管のケーブルシューズ、接触スリーブ、プラグ、ケーブル端部スリーブ、管接続部の管または取り付け具などの接続要素を押圧または圧着するために使用されてよい。圧着される工作物の設計によって(特に、取り付け具または管の場合)、かなりの押圧力を工作物に加える必要がある。より詳細には、本発明は、片手で操作可能であり、1つまたはわずかな圧着ステップで大きな圧着力を工作物に与えるように機能するペンチに関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術は、2つの異なるタイプの圧着工具の作動を開示する。
【0004】
a)例えば、米国特許第6,176,116号に対応するドイツ特許第195 07 347 Clに記載される第1の作動タイプの場合、ペンチの1つの面内でハンドレバーが枢動され、同じ位置に合わされたペンチのヘッドおよび圧着顎もまた、その面内に配置される。圧着すべき接続要素と、接続要素内に挿入された電気ワイヤとが、圧着顎によって形成される入れ子(nest)の中に導入される。接続要素およびワイヤは、上記に記載の面に垂直の方向で入れ子の中に挿入される。圧着顎は、ハンドレバーの動作によって、上記に記載の面内で、接続要素の長手軸に対して互いに向かって動く。
【0005】
b)例えば、欧州特許0 471 977 B1に対応するドイツ特許第40 26 332 C2、米国特許第5,187,968号に対応するドイツ特許第40 39 435 C1または米国特許第6,151,950号に対応するドイツ特許第198 18 482 C1に開示される圧着工具を作動させる第2の方法に関して、ハンドレバーおよび同じ位置に合わされたペンチのヘッドはまた、変形形態a)と同様に1つの共通の面内に延在する。しかしながら、ここで、接続要素は、圧着顎によって形成された入れ子の中に、上記に記載の面に対して垂直には導入されない。代わりに、接続要素は、ペンチのヘッドの前面内に導入され、接続要素の長手軸ならびに圧着顎によって形成された入れ子内への接続要素の導入方向は、上記に記載の面内にある。入れ子の長手軸および入れ子の中に収容された接続要素の長手軸は、2つのハンドレバーの中央軸と整列している。
【0006】
変形形態a)によると、ハンドレバーと圧着ペンチの圧着顎の間に力を伝達しこれを変換するために、異なる機構が使用されることから、複数の圧着顎を使用する必要があり、詳細には圧着顎の数は、圧着工程の終わりの接続要素の断面の角の数と一致する。代わりに、変形形態b)によるペンチに使用される力の伝達機構において、2つの圧着顎のみが使用され、このような変形形態の場合、各圧着顎(または圧着顎それぞれに接続されたダイ)が、圧着工程の終わりに、接続要素内に形成される輪郭の複数の輪郭線を決定する。一般に、変形形態b)に関して、1つの圧着顎またはダイが、圧着輪郭の半輪郭を決定する。変形形態b)による圧着ペンチは、圧着顎またはダイの圧着面の台形の輪郭を使用することが多い。
【0007】
ピストル型の設計の圧着工具は、米国特許第3,201,969号より公知である。筐体は、ピストルの引き金と同様の作動要素を有するL字型に傾斜したハンドルを備える。この作動要素によって、空気圧がピストンに供給されるように、弁を切り替えることができる。作動されたピストンは、軸方向に動かされる。このような軸方向の動作は、トグル機構によって、圧着要素の半径方向の圧着動作に変換される。これらの圧着要素が、ピストルの銃口に配置された圧着工具の入れ子の中に導入された工作物を半径方向に圧着する。また米国特許第3,201,969号は、上記に記載の空気圧式作動の代わりに、圧着動作が、指で押すタイプの作動要素によって手動で行われる一実施形態を記載する。しかしながら、米国特許第3,201,969号は、1本の単独の指で手動で作動するために必要な大きな圧着力を、どのように実現するかに関しては説明していない。
【0008】
ドイツ特許第42 41 224 C1、41 01 284 C2および米国特許第6,173,466 B1もまた、ピストル型の設計を有する圧着工具を開示する。しかしながら、これらの特許に開示される実施形態に関して、圧着される工作物は、ピストル型の工具の銃口に横向きに導入される。
【0009】
米国特許第4,720,911号は、鋲のための工具と同様の設計を有する工具に関する。このような工具は、半径方向に工作物を偏倚させる圧着力を生成せずに、軸方向に圧縮する力を生成する。
【0010】
さらなる従来技術は、ドイツ特許第101 40 270 B4および42 41 971 C1および米国特許第3,156,139号、および3,126,750号に対応するスイス特許第402 099号から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,176,116号
【特許文献2】ドイツ特許第195 07 347 Cl
【特許文献3】欧州特許0 471 977 B1
【特許文献4】ドイツ特許第40 26 332 C2
【特許文献5】米国特許第5,187,968号
【特許文献6】ドイツ特許第40 39 435 C1
【特許文献7】米国特許第6,151,950号
【特許文献8】ドイツ特許第198 18 482 C1
【特許文献9】米国特許第3,201,969号
【特許文献10】ドイツ特許第42 41 224 C1
【特許文献11】ドイツ特許第41 01 284 C2
【特許文献12】米国特許第6,173,466 B1
【特許文献13】米国特許第4,720,911号
【特許文献14】ドイツ特許第101 40 270 B4
【特許文献15】ドイツ特許第42 41 971 C1
【特許文献16】米国特許第3,156,139号
【特許文献17】米国特許第3,126,750号
【特許文献18】スイス特許第402 099号
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、接続要素を圧着するための圧着工具を提供することであり、ハンドレバー、圧着顎、および接続要素または入れ子の配向または相対的位置は、上記の従来技術より既知の工具の相対的位置および/または配向と異なってよい。
【0013】
本発明の別の目的は、特定の作業分野において圧着工具への改良された利用機会を実現することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、圧着顎に手動で作動力を与えるための伝達または伝送機構を提供することである。
【0015】
さらに、本発明は、工具の筐体の設計および/または工具の作動特性を修正する可能性を高める目的を有する。
【0016】
本発明は、従来技術から既知の変形形態a)およびb)に関して、ケーブル、管、導管または接続要素の端部に対する使用者の手の相対的位置および配向を修正するオプションが、限定されるという発見に関連する。本発明の1つの目的は、新規の設計、および使用者の手と圧着工具内の接続要素間の相対的位置および配向を容易にすることである。
【0017】
本発明は、1つの面内にハンドレバーを配置することを提案する。このような面はまた、接続要素の長手軸を有する。このような特徴は、変形形態b)による圧着工具によっても既知であるが、本発明によると、2つのハンドレバーが上記に記載する面の1つの同一の半平面内に配置され、このような半平面が、長手軸によって限定される。このような設計は、接続要素およびハンドレバーに関する新規の相対的位置および配向を構築し、使用者による作動の可能性が高まる。本発明の設計に関して、本発明の工具はまた、密集した組立空間内で使用され得ることも可能である。本発明の設計に関して、上記の半平面内の2つのハンドレバーの配向は、変化してよく、2つのハンドレバーまたはハンドレバーの一方は、長手軸に対して鋭角、直角、または鈍角で配向されてよい。
【0018】
さらに、本発明によると、ハンドレバーと圧着顎間の力の流れの中で、伝達または伝送ユニット(以下「ベース伝送ユニット」とも呼ばれる)が、並進作動を回転作動に変える。
【0019】
上記に記載する従来技術の場合、両方のハンドレバーは通常、圧着工具の筐体に枢動可能に連結される。代わりに、本発明によると、一方のハンドレバーは、圧着工具の筐体に固定式に連結される。他方のハンドレバーは、圧着工具の筐体に可動式または枢動可能に連結される。この設計により、圧着工具を簡単に構築することが可能になる。両方のハンドレバーが可動である場合、可動ハンドレバーを支えるための第3の要素が必要であり、本発明によると、筐体に固定式に連結される、または筐体に一体式の部分を構築する一方のハンドレバーを、直接可動ハンドレバーを支えるまたは誘導するために使用することができる。また、剛性のハンドレバーが、圧着工具の操作を容易にすることが観察されている。このように操作を容易にする理由は、剛性のハンドレバーが、圧着工程の間、圧着工程を通して変わることのない位置および配向を有する固定地点を構築するからである。
【0020】
別の実施形態によると、本発明の圧着工具は、第一次近似において、一種のピストルを構築する外部形状を有する。ここで、圧着顎は、ピストルの銃口領域内に配置されてよく、圧着顎によって形成された接触要素のための入れ子は、ピストルの銃口に同軸に向けられた配向を有する。このような設計の場合、ピストル型の圧着工具の使用に精通しない使用者も、直観的に、ピストルの銃口の中に接続要素を導入することによって工具を使用する。このような実施形態に関して、筐体に固定式に連結されたハンドレバーは、ピストルのハンドルまたはグリップによって形成され、筐体に可動式に連結されたハンドレバーは、ピストルの引き金を形成する。このような引き金は、ピストルの引き金と比較して、わずかにまたは有意に増大した長さを有することが可能である。可動ハンドレバーは、並進または回転自由度に従って動かすことができる。
【0021】
本発明の別の実施形態は、形状、形成過程、および圧着顎によって与えられる力に集中する。このような実施形態は、2つの圧着顎のみを使用することは、不均一な力の配分および/または接続要素の中に形成される輪郭の凹凸または不適切な制限といった欠点を有することがあるという発見に依拠している。特に、2つの圧着顎のみを基にした圧着工程は、4つを超える角を有する圧着輪郭、または複雑な輪郭を圧着する際に不十分であり得る。変形形態b)に関して記載されたような従来技術により既知の圧着ペンチの場合、使用される伝達および伝送ユニットは必然的に、作動する圧着顎の数を2つまでに制限する。ここで、本発明は、少なくとも3つの圧着顎、詳細には4つの圧着顎を使用することを提案する。少なくとも3つの圧着顎は、ハンドレバーを手動で作動することによって、接続要素の長手軸に対して半径方向内側の方向に可動である。圧着顎は、別個に形成され作動されてよいか、または伝達または伝送機構によって結合される自由度を有してよい。
【0022】
本発明の別の実施形態は、ハンドレバーと圧着顎の間に介挿された伝達または伝送機構に関する。
【0023】
ハンドレバーと圧着顎の間の力の流れの中の伝達または伝送機構に関する一実施形態によると、枢動または回転作動は、付加的伝送ユニットを利用して、並進作動へと変換される。このような回転作動は、2つのハンドレバーの相対的動きまたは回転によって生じ得る。回転作動を並進作動へ変換する他に、付加的伝送ユニットは、作動方向を変更することができる。枢動作動の枢軸と、並進作動の軸の間の角度は、伝達または伝送ユニットの設計に左右される。
【0024】
本発明の別の実施形態に関して、付加的伝送ユニットは、枢動可能カムによって構築されてよい。ハンドレバーの相対的動きがカムの動きに相関するように、このようなカムは、ハンドレバーに直接連結されてよい。またハンドレバーに剛性にカムを固定する、または別個のまたは調節可能な伝送速度を有する別の伝送ユニットを介して、カムをハンドレバーに連結することも可能である。並進方向に誘導されたカム被動歯車が、枢動可能カムに当接する。また、ばねによってカム被動歯車をカムに対して押すことも可能である。したがって、カム被動歯車は、カムの枢動角によって決まる一定の距離のための並進経路をたどる。並進動作と枢動動作との関連は、必要に応じて線形または非線形のいずれかの従属関係が与えられ得るように、カムの輪郭によって決定されてよい。さらに、カムの枢軸からのカムの輪郭の距離は、カム被動歯車の軸方向の力に、カムに作用するねじりモーメントを伝達するためのレバーアームを画定する。
【0025】
本発明の一実施形態によると、ベース伝送ユニットを使用することによって、付加的伝送ユニットによって生成されるカム被動歯車の、またはカム被動歯車に結合された要素の並進作動を枢動動作に再変換することが可能であり、このような枢動作動の枢軸は、カムの枢軸とは異なる。カムの枢軸および付加的伝送ユニットの出力は、90°の角度を構築することができる。
【0026】
本発明による圧着工具の修正形態に関して、ベース伝達または伝送ユニットは、回転可能な駆動要素によって構築される。本発明によるこのような駆動要素は、長手軸に対して傾斜角を有する誘導溝を備える。付加的伝送ユニットから生じた並進作動は、並進自由度を有する伝達要素に結合される。伝達要素自体または伝送要素によって保持される少なくとも1つのピンは、駆動要素の誘導溝の中に摺動可能に収容される。伝達要素の並進移動により、誘導溝に沿って伝達要素およびピンが移動することになる。長手軸に対する誘導溝の傾斜角に起因して、伝達要素のこのような線形の動きは、結果として駆動要素の回転になる。伝達要素の並進移動と駆動要素の回転作動の関係は、誘導溝の輪郭、特に長手軸に対する誘導溝の傾斜角によって決定する。誘導溝が長手軸に平行な配向の領域を有する場合、これらの領域における伝達要素の動きによって、駆動要素の回転は生じない。長手軸に対する誘導溝の傾斜角が大きくなると、並進作動と回転作動の間の伝送速度が増す。誘導溝は、いかなる輪郭を有してもよく、少なくとも誘導溝の領域において、若干の可動空間が存在する、または伝達要素と誘導溝の間には可動空間が存在しないことも可能である。また誘導溝の長手軸は、少なくとも部分的に直線または湾曲する場合もある。
【0027】
さらに、圧着工具は、ハンドレバーと圧着顎の間の力の流れの中に介挿される別の伝達または伝送ユニット(以下「別の伝送ユニット」とも呼ばれる)を有してよい。別の伝送ユニットは、回転作動(例えば、上記に記載の駆動要素の)を半径方向内側方向に、圧着顎の作動に変換する。一実施形態によると、別の伝送ユニットは、長手軸に平行な配向を有する平行な枢軸によって圧着顎を筐体で枢動可能に連結するための接続部を備える。枢軸と中心として圧着顎を枢動させるために、駆動要素と圧着顎の間に結合部が形成される。このような結合部は、枢軸に対して偏心に配置される。この結合により、駆動要素の回転作動および動作が、結果として枢軸と中心とした圧着顎の枢動動作となる。
【0028】
本発明の認識において、いずれの「伝送または伝達ユニット」は、以下の特徴の少なくとも1つを実現するのに適した任意のユニットであってよい。
【0029】
−作動する動作、作動力または作動モーメントをシフトアップするまたはシフトダウンする
−作動する動作または作動力または作動モーメントを一箇所から別の場所へ伝達する
−作動する動作または作動力または作動モーメントの方向を変える
−モーメントまたは並進動作に対する力を回転動作に変える(またはその逆)。
【0030】
既知のいずれのタイプの伝達または伝送ユニットも使用することができ、このような伝達または伝送ユニットのいくつかの可能な実施例は、以下の実施形態であるか、または以下の実施形態を有する。
【0031】
−円筒歯車または平歯車、ウォームホイールまたはかさ歯車を有する噛合い歯車ホイール
−スピンドル駆動またはベンディックス駆動ピニオン
−遊星歯車装置
−カム機構
−四節回転機構としての複数のジョイント、または柱状ジョイント、または直線構造の滑り対偶を備えたリンク装置。
【0032】
使用者によって加えられた力またはモーメントを増大させる歯車比を有する伝達または伝送ユニットを使用することが利点につながり得る。本発明によると、ベース伝送ユニット、付加的伝送ユニットおよび別の伝送ユニットを累積的に使用することも可能である。
【0033】
より小型であるが同様に効率のよい実施形態に関して、圧着顎の枢軸は、筐体内に固定されたスリーブによって支持または特定される。このようなスリーブは、上記に記載の誘導溝を備えてよい。誘導溝は少なくとも、スリーブの長手軸および円周方向の両方に対して、長手方向の面に対して傾斜した部分の中にある。駆動要素は、スリーブ内に、スリーブの長手軸に対して回転可能に配置される。伝達要素は、誘導溝内に半径方向外側に延在する少なくとも1つのピニオンによって構築される。駆動要素をスリーブ内に配置することにより、結果として小型であるが効率のよい伝送ユニットにつながる。
【0034】
さらに、本発明は、ハンドレバーと圧着顎の間の力の流れの中にばね要素を介挿することを提案する。このようなばね要素は、作動動作および作動力の特性に影響を与えるために使用されてよい。
【0035】
一方のベースが筐体に連結され、他方のベースが、ペンチの作動を通して動く要素に連結された戻りばねを設けることができる。したがって、ハンドレバーを手動で作動させることは、戻りばねの偏倚力を増大させることになる。ハンドレバーおよび圧着顎を開始位置に手動で戻す必要がないように、戻りばねが、圧着ステップまたは圧着工程全体の終わりにペンチを開始位置に戻す。
【0036】
本発明の圧着工具の別の実施形態によると、ロックデバイスが、圧着工具内に組み込まれる。このようなロックデバイスは、圧着動作中、複数の固定位置、ロックまたは載置位置を有する。ロックデバイスは、ハンドレバーに手動で加えられる力の減少に備えて、圧着顎の逆方向の動きに対抗して、圧着工程を通して達成される圧着ステップを保証する。
【0037】
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討することで、当業者に明らかになるであろう。本明細書に包含されるすべてのこのような付加的特徴および利点は、請求項によって定義される本発明の範囲内にあることが意図される。
【0038】
本発明は、添付の図面を参照することによってより十分に理解することができる。図面中の構成要素は、一定の縮尺である必要はなく、代わりに本発明の原理を明確に示す際に強調がなされる。図中、いくつかの図面を通して、同様の参照番号は対応する部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による圧着工具の側面図である。
【図2】ハンドレバーが開放し、圧着顎が開放した開始位置の、図1による圧着工具の長手方向断面図である。
【図3】部分的に分解された状態の、図1および2による圧着工具の3次元の図である。
【図4】部分的に分解された状態の、図1から3による圧着工具の3次元の図である。
【図5】部分的に分解された状態の、図1から4による圧着工具の3次元の図である。
【図6】図1から5による圧着工具の伝達または伝送機構の3次元の図である。
【図7】図1から6による圧着工具の分解図である。
【図8】図1から7による圧着工具で使用するためのスリーブの3次元の図である。
【図9】図1から7による圧着工具で使用される駆動要素の3次元の図である。
【図10】図1から7による圧着工具の4つの内の2つの圧着顎の3次元の図である。
【図11】図2による圧着工具のXI−XIの断面図である。
【図12】図2による圧着工具のXII−XIIの断面図である。
【図13】図2による圧着工具のXIII−XIIIの断面図である。
【図14】部分的に閉鎖されたハンドレバーおよび圧着顎が部分的に閉鎖された、図1による圧着工具の長手方向断面図である。
【図15】閉鎖されたハンドレバーおよび圧着顎が閉鎖された、図1による圧着工具の長手方向断面図である。
【図16】ハンドレバーと圧着顎間の動作および力の伝達または伝送機構およびこれに伴う複数の伝送ユニットの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に図面をさらに詳細に参照すると、図1から15は、圧着工具1、ここでは圧着ペンチ2または同様の部品を示す。圧着ペンチ2において、ハンドレバー3、4に手動で加えられた力は、伝達または伝送機構7によって圧着顎5に伝達される。ハンドレバー3は、圧着ペンチの筐体6に対して可動である。ハンドレバー4は、筐体6に固定される、またはそれと一体式の部品である。ハンドレバー3、4は、使用者の片手単独で把持することができる。ハンドレバー3は、枢軸8を中心として、ハンドレバー4または筐体6に対して枢動可能である。枢軸8は、図2による製図面に対して垂直な配向を有する。示される実施形態に関して、枢軸8は、ハンドレバー4を貫通して延在し、筐体6の同軸の孔の中でハンドレバー3の両側で枢動可能に連結される軸受けボルト9によって設けられる。枢軸8および軸受けボルト9のハンドレバー3と反対の側に、ハンドレバー3に剛性に連結されたレバー、突起またはカム10が存在する。ハンドレバー3、軸受けボルト9およびカム10は、1つの単一の作動要素11として一体式に構築することが可能である。
【0041】
カム10は、枢軸8から離れて、並進自由度を有して長手軸14−14に沿って可動であるカム被動歯車13を備えた作用接触部12を構築する。図示の実施形態において、カム被動歯車13は、ディスク形状である。ロッド16が、長手軸14−14に沿って、カム被動歯車13の中心を通って延在し、長手方向においてカム被動歯車13とロッド16の間に結合部は存在しない。ロッド16は、円形の断面を有する。さらに、圧着顎5と反対の端部領域において、ロッド16は、筐体6の孔17の中に誘導される。 ハンドレバー3は、枢軸8の方向に角度を付けられた、クランク状に曲げられた、または片寄った領域を有する。クランク状に曲げられた領域は、カム10の延長部の主要な面に対しておよそ90°の角度を形成する。ハンドレバー3の長手軸は、カム10とカム被動歯車13の間の作用接触部12の中にほぼ延在する(少なくとも図2に示される開始状態において)。枢軸8までのハンドレバー3の長さと、枢軸までの作用接触部12の距離との関係は、およそ3対9であり、詳細には4対8または5対6である。
【0042】
示される実施形態に関して、カム被動歯車13は、中央貫通孔を有するリング型のディスクによって構築される。貫通孔は、貫通孔の中に延在するロッド16に対してカム被動歯車13を誘導するために使用される。ばね要素15によって、力がカム被動歯車13から長手軸14−14に沿って伝達される。示される実施形態に関して、ばね要素15は、弾性材料、詳細にはPEで作成されたスリーブ18として構築される。スリーブ18は、内腔を有する。ロッド16は、内腔の中を進み、長手軸14−14に沿って並進自由度を提供するために、ロッド16と内腔の間に半径方向の可動空間が存在する。カム被動歯車13と反対のばね要素15のベースは、支持ディスク19に当接する。支持ディスク19もまた、長手軸14−14に沿ってロッド16を半径方向に誘導し、ただし並進自由度を提供する中央貫通穴を有する。
【0043】
支持ディスク19から、力の流れは、等距離の円周上位置に配置された少なくとも1つの、示される実施形態の場合4つの戻りばね20に分かれる。戻りばね20のベースは、支持ディスク19によって支持される、またはこれに当接し、他方のそれぞれのばねベースは、軸方向に直接または間接的に筐体6に固定される。戻りばね20に平行して、伝達要素21によって力の流れは伝送される。伝達要素21の一方の端部領域は、ロッド16の端部領域を収容するポケット穴を有し、長手軸14−14に沿って伝達要素21とロッド16の間に並進自由度を与える。伝達要素21は、支持ディスク19でリング型の前面に当接する。伝達要素21は、長手軸14−14に沿って並進自由度を有するが、長手軸14−14を中心とした回転は阻止される。このような回転の阻止は、伝達要素21と筐体6の間の好適な誘導要素によって実現することができる。別の実施形態に関して、伝達要素21と隣接する要素、例えば支持ディスク19および/またはロッド16との間の接続が、回転自由度を妨げることができ、隣接する要素は、筐体6に対して長手軸14−14を中心として回転しないように固定される。
【0044】
伝達要素21は支持ディスク19の反対の端部領域で、長手軸14−14を横断して延在し、伝達要素21の円周で対向する位置に配置される2つのタペットまたはピン22を有する。
【0045】
駆動要素23(図9に詳細が示される)は、円筒形の形状を有する。駆動要素23は、圧着顎5の反対の端部領域にポケット孔55を有する。ポケット孔55の領域において、駆動要素23は、囲まれた誘導輪郭を有する誘導溝を備える。誘導溝24は、駆動要素23の外面の展開図において、直線の誘導軸を有するが、長手軸14−14および円周方向の両方に対して傾斜する。伝達要素21の端部領域は、駆動要素23のポケット孔の中に延在するピン22を有し、ピン22は、半径方向に誘導溝24の中に延在する。伝達要素21と駆動要素23を組み立てる可能性を実現するために、伝達要素21を駆動要素23のポケット孔55の中に挿入した後、伝達要素21でピン22を固定することが可能である。一実施形態によると、伝達要素21は、ピン22または1つの単一のより長いピンが伝送貫通穴の中に進むことができるように、横断貫通穴を有してよい。ピン22を貫通穴の中に固定するために、締り嵌め、静止嵌めまたは中間嵌めを使用することができる。
圧着顎5に面する駆動要素23の端部領域において、前面は、4つの結合溝25を備える。結合溝25は、円周方向に等距離に配置され、長手軸14−14から半径方向に延在する。結合溝25は、囲まれた輪郭を有し、溝の底部を備える。駆動要素23が、長手軸14−14の方向に固定位置を有するという事実によって、伝達要素21が長手軸14−14に沿って動くことにより、誘導溝24の中でピン22が移動する結果になる。伝達要素21に対して長手方向に作用する力は、誘導溝24内に、誘導溝24の円周方向に向けられる力を生じさせる。これらの力により駆動要素23の回転が生じる。
【0046】
駆動要素23は、図8に示されるスリーブ26の中に収容される。駆動要素23およびスリーブ26は、駆動要素23が軸方向にスリーブ26に固定されるが、長手軸14−14を中心として回転することができるように接続される。スリーブ26は、第一次近似において、リング型の内部カラー27を有する中空の円筒形を有する。駆動要素23は、圧着顎5の方向で、その軸方向の位置を固定するためにカラー27に当接する。圧着顎5の反対のカラー27の端部領域上で、スリーブ26は、長手軸14−14に平行な配向を有し、底部を有さない支持溝28を備える。ピン22が、駆動要素23から半径方向外側の方向で支持溝28の中に延在する。スリーブ26は、筐体6に対して固定される。したがって、支持溝28は、ピン22と伝達要素21が、長手軸14−14を中心とする回転自由度を有さずに、長手軸14−14に沿って誘導されることを保証する。
【0047】
圧着顎5に面する端部領域において、スリーブ26は、円周方向に等距離に配置された4つの軸受け孔29を有する。示される実施形態に関して、軸受け孔29は、カラー27によって部分的に限定される。図10は、図8および9と比較して反対から見た方向の2つの圧着顎5を示す。圧着顎5は、長手軸14−14に平行に延在する2つの円筒形延長部30、31を備える。圧着面35より半径方向にさらに外側に配置された延長部30は、孔29の中に進められてよく、圧着顎5が長手軸14−14に沿って動かないように、固定要素を利用して孔29の中に固定することができ、孔29の長手軸および延長部30の長手軸を中心として、枢軸32を中心とした枢動動作が可能である。示される実施形態に関して、延長部30はそれぞれ、円周上の溝33を有する。このような円周上の溝33は、延長部30をスリーブ26の中に挿入するために、スリーブ26のスリット34に位置合わせされる。延長部30をスリーブ26の中に固定するために、安全またはロック式プレート、安全ピンまたはU字型安全リングをスリット34と円周上の溝33の中に導入し、長手軸14−14の方向に確実なロック固定を構築することができる。
【0048】
延長部31(延長部30より長手軸14−14からの距離が短い)は、駆動要素23の結合溝25の中に収容される。駆動要素23が回転されない場合、スリーブ26が筐体に対して固定されるという事実により、圧着顎5の位置は固定される。これはまた、延長部30と、スリーブ26との接続が、枢軸32−32を中心とした枢動自由度のみを残すという事実によるものである。しかしながら、このような枢動自由度は、延長部31を支持溝28の限定面に接触させることによって固定される。しかしながら、長手軸14−14を中心として駆動要素23が回転することにより、結合溝25が延長部31を動かすことになり、延長部30によって特定される枢軸32−32を中心とした圧着顎5の枢動動作につながる。駆動要素23の枢動角度に対する枢軸32を中心とした圧着顎5の枢動角度の従属関係は、幾何学的特性、ここでは、長手軸14−14、延長部31の長手軸54−54および枢軸32の距離に左右される。圧着顎5の枢動動作が、長手軸14−14からの延長部31の長手軸54−54の距離を変える。その理由として、結合溝25が単一の孔ではなく、特定の長手方向の延長部を有する溝によって構築されるためである。
【0049】
圧着顎5はそれぞれ、複数の圧着ディスク36によって構築される圧着面35を備える。圧着面35を構築する圧着ディスク36は、圧着ディスク36の厚みよりわずかに大きな距離を有する。したがって、圧着面35は、単一の断続的接触領域によって構築される。隣接する圧着顎5に関して、1つの圧着顎5の圧着ディスク35が隣接する圧着顎5の圧着ディスク36の間の空隙の中に入ることができるように、圧着ディスク36はずらされる。その結果、隣接する圧着顎の圧着ディスク36は、重なり合ってよく、重なる度合いは、枢軸32−32を中心とした圧着顎5の枢動動作に左右される。重なる部分が変わると、圧着面35のサイズが変わる。したがって、圧着顎5とその断面の間で押圧される接続要素の輪郭が変化する。
【0050】
圧着顎5の反対の端部領域で、ロッド16は、筐体6の孔17の中に直接収容される。圧着顎5に面する端部領域で、ロッド16は、筐体6によって半径方向に間接的に支持される。このような目的のために、ロッド16と筐体6の間に、支持ディスク19および/または伝達要素21、駆動要素23ならびにスリーブ26を(可動空間を有さずに、または有して)挿入することが可能である。ロッド16は、長手軸14−14に沿った自由度を有する浮動取り付け台を有することが可能である。しかしながら、ロッド16は、長手軸14−14に沿って並進自由度を有する上記の要素の1つに結合される、または固定することも可能である。
【0051】
示される実施形態に関して、圧着ペンチ12内の力の流れは、以下の通りである。
【0052】
ハンドレバー3、4に手動の力が加わると、ハンドレバー3が枢軸8を中心として図2の反時計方向に回転される。その結果、カム10も、図2の反時計方向に回転する。作用接触部12が、圧着顎5に対して長手軸14−14に沿って移動される。ハンドレバー3、4に手動で加えられた力が、幾何学的特性によって、同様に枢軸からの使用者の手の作動位置の距離、および枢軸8からの作用接触部12の距離に従って伝達される。作用接触部12内の力は、ばね要素15を介して支持ディスク19に伝達される。支持ディスク19で、力が、戻りばね20と伝達要素21とに分離される。伝達要素21から、長手軸14−14に沿った並進動作が駆動要素23の回転動作へと伝達される。これは、上記に記載のピン22と誘導溝24の連結によって行われる。伝達速度は、誘導溝24の傾斜角度に左右される。結合溝25が延長部31と結合することにより、駆動要素23の回転が、圧着顎5の枢動動作につながる。圧着顎5の枢動動作は、長手軸14−14から圧着面35の距離が縮小するようなものである。同時に、半径方向内側に作用する圧着力が生成される。駆動要素23の回転動作の圧着顎5の枢動動作への、および最終的には圧着面35の半径方向の圧着力への伝達速度は、長手軸14−14、延長部31の長手軸54−54および枢軸32−32間の距離によって決定される。
【0053】
示される実施形態に関して、以下の任意選択の特徴が提供されてよい。
【0054】
大きな(または理論上無制限の)剛性を有するばね要素15を使用する場合、枢軸8を中心としたハンドレバー3の枢動動作と、枢軸32−32を中心とした圧着顎5の枢動角度の間に、固定された運動学関係が与えられる。代わりに、極めて小さな剛性(または理論上ゼロの)のばね要素15を使用する場合、圧着顎5を枢動せず、接続要素で圧着顎5の半径方向の圧着力を生成せずに、ハンドレバー3を枢動することが可能である。上記の極値間で選択されたいずれの剛性の場合も、伝達または伝送機構7の異なる作用、同様に圧着顎5での異なる圧着力が、ばね要素15を異なって変形させ、支持ディスク19とカム被動歯車13との距離を変更させることになる。したがって、ばね要素15の剛性の選択は、圧着ペンチ2の作用特性を決定する。任意の入手可能なばね特性、例えば、一定のばね剛性、または力または変形に依存するばね剛性を有するばね要素15を使用することが可能である。さらに、カム10、誘導溝24および/または結合溝25の外部輪郭を設計することによって、作用特性、特にハンドレバーに加えられる力と、圧着力の間の伝送速度に影響を与えることが可能である。
【0055】
誘導ロッド16は、長手軸14−14に沿ってペンチ2の可動構成要素を誘導するために使用することができる。しかしながら、伝達または伝送機構7の要素に対して別のガイダンスを使用することも可能である。ロッド16は、カム被動歯車13に固定式に結合され、その前面と共に駆動要素23を直接作動することも可能である。ロッド16はまた駆動要素23と一体式に構築することもできる。このような場合において、ばね要素15またはスリーブ18および支持ディスク19を使用する必要はない。
【0056】
戻りばね20内の力は、ハンドレバー3、4を閉鎖する動作によって増大する。圧着工程を終了し、ハンドレバー3、4に作用する手動の力を排除する際、戻りばね20は、伝達または伝送機構7を図2に示す状態に戻す。
【0057】
図13の断面図は、互いに平行であり、互いに剛性に結合された2つのカムディスク37、38によって構築されたカム10を示す。これらのカムディスク37、38は、カム被動歯車13に接触する。ロッド16は、カムディスク37、38の間に形成される中間空間の中に延在する。
【0058】
さらに圧着ペンチ2が、ドイツ特許第197 13 580号により詳細に記載されるロックユニット39を備えるオプションがあり、対応する米国特許第5,913,933号ならびに出願人の他の特許および特許出願を参照されたい。ロックユニットを構築するために、作動要素11は、枢軸8と同心に枢軸8に隣接して配置され得る歯状部分40を備える。歯状部分40は、ばね42を利用して歯状部分40に対して押しやられるロック要素41によって係合される。歯状部分40およびロック要素41は、圧着ペンチ2の開始状態から始まり、圧着工程中、ロック要素41が歯状部分40の外周に沿って1つの歯から次へと移動するような輪郭を有する。ロック要素41を利用することにより、使用者の手によって加えられた力が減少することに伴いハンドレバー3、4が互いから離れる逆方向の動作が回避される。ハンドレバー3、4が完全に閉鎖された状態に達した場合、ロック要素41の別の接触面が歯状部分40に接触するように、ロック要素41は、歯状部分40の外部輪郭の歯状の領域を出て、その枢軸を中心として枢動する。このような接触により、ハンドレバー3、4の互いから離れた枢動動作が可能になる。ハンドレバー3、4が完全に開放した状態に達する際、次の圧着工程の際、ロック要素を再度ロックユニット39で使用することができるように、ロック要素41は再び、歯状部分40の外部輪郭の歯状の領域を出て、枢動動作によって反対の位置にスナップ嵌合する。ロックユニット39は、逆方向の動きに対して中間の圧着ステップを保証するために使用される。
【0059】
示される実施形態に関して、圧着ペンチ2は、第一次近似において、ピストルに似た設計で構築され、ピストルのハンドルは、ハンドレバー4によって構築され、ピストルの銃身は、伝達または伝送機構7を包含する。ピストルのハンドルおよび銃身は、ほぼ同一の長さを有する。しかしながら、所望される形状および伝送速度によって、ピストルの長さは、伝達または伝送機構の使用タイプに左右されず、より長くてもより短くてもよい。可動ハンドレバー3は、ピストルの引き金によって構築され、ハンドレバー3は、ハンドレバー4とほぼ同一の長さを有する。伝達または伝送機構7を包含するハンドレバー4および銃身は、およそ90°から130°、詳細には100°から120°の角度を形成し、図1に示す開始状態において、ハンドレバー3、4は、およそ45°から75°、詳細には50°から70°の角度を形成する。ハンドレバー3、4の間の中間の中間軸52−52は、長手軸14−14をほぼ横切る配向を有する。
【0060】
筐体6は、薄い壁の厚みを有する中空の筐体として構築されてよく、金属材料またはプラスチック材料の射出成形によって製造されてよい。さらに、筐体6は、図1の製図面に平行な分離面を有する2つの半殻(half-shells)で構築することが可能である。示される実施形態に関して、筐体6は、その前方領域において、ピストルの銃口を形成する前方開口44で縮小する直径を有する中空の円筒形スリーブで構築される。銃口は、圧着面35によって形成され限定される入れ子45の中に接続要素を導入するのに使用される。2つの半殻は、射出成形工程で製造することができ、ロッド16用の孔17および軸受けボルト用の孔の関連部分を、半殻によって一体式に形成することができる。示される実施形態に関して、ハンドレバー4の分離面の領域内の半殻は、圧着工程の終わりにハンドレバー3を受けるように設計され配置される開口を形成する。
【0061】
図16は、本発明のペンチの伝達または伝送機構7の概略的流れ図を示す。
【0062】
作動ユニット46によって、作動力および/または作動動作が生成される。作動力または作動動作は、付加的伝送ユニット47への入力として伝達される。圧着ペンチ2の示される実施形態に関して、付加的伝送ユニット47は、作動要素11と、カム10と、カム被動歯車13とで構築される。付加的伝送ユニット47は、ハンドレバー3、4の相対的動作(示される実施形態の場合、筐体6に対するハンドレバー3の枢動動作)を並進動作(示される実施形態の場合、長手軸14−14に沿ったカム被動歯車13の)に伝達または変換する。ばね要素15が介在して、または介在せずに、付加的伝送ユニット47の出力で変化した作動力または作動動作は、ベース伝送ユニット48へと入力される。圧着ペンチ2の示される実施形態に関して、ベース伝送ユニット48は、伝達要素21と、駆動要素23とで構築される。ベース伝送ユニット48は、並進動作(示される実施形態の場合、長手軸14−14に沿った伝達要素21の並進動作)を回転動作(示される実施形態の場合、長手軸14−14を中心とした駆動要素23の)に変換する。ベース伝送ユニット48の出力で変化した作動力および作動動作は、別の伝送ユニット49へと入力される。示される実施形態の場合、別の伝送ユニット49は、駆動要素23と枢動可能な圧着顎5の連結によって構築される。別の伝送ユニット49は、回転動作(示される実施形態の場合、駆動要素23の回転動作)を、長手軸14−14に対する圧着顎5の回転動作(示される実施形態の場合、枢軸32を中心とした圧着顎5の枢動動作による)に変える。入れ子45を形成する圧着顎が、圧着される接続要素の外面に対して押圧される。圧着動作の間中、接続要素のための入れ子45の長手軸は、長手軸14−14に同軸の配向を有する。接続要素は、長手軸14−14に沿って入れ子45の中に導入され、圧着工程の終わりに反対方向に除去される。
【0063】
図2において、製図面は面50を画定する。長手軸14−14およびハンドレバー3、4ならびに中間軸は、面50内に延在する。長手軸14−14は、面50を上部半平面53と、下部半平面51とに分離する。示される実施形態に関して、2つのハンドレバー3、4は、下部半平面51内に配置される。しかしながら、ハンドレバー3、4は、任意の異なる配向を有することも可能である。例えば、示される実施形態とは異なり、2つのハンドレバーを、異なる開口角度を有して、下部半平面51内に配置することも可能である。本発明の一実施形態によると、ハンドレバー3、4の中間軸52−52は、半平面51内の長手軸14−14を横切る、またはこれに垂直な配向を有する。しかしながら、本発明は、ハンドレバーが移動される面に対して軸方向にずれてカム被動歯車に作用する1つの単一のカムディスクを有し、長手軸14−14ならびに入れ子45に力を伝達する他の移動要素もまた、ハンドレバーが移動される面に対してずらされる実施形態も含む。
【0064】
筐体6は、伝達または伝送機構の関連部分、詳細には枢軸8、軸受けボルト9、カム10、カム被動歯車13、スリーブ18、ロッド16、支持ディスク19、伝達要素21、ピン22、駆動要素23、スリーブ26、圧着顎5を収容するために、中空の内部空間56を有する。伝送ユニット47から49は、筐体内に配置される。少なくとも圧着工程の一部において、ハンドレバー3のみが、筐体6から外に突出する。
【0065】
圧着工具はまた、複数の圧着顎、異なる数の圧着顎、圧着される接続要素の異なる断面、および圧着されるべき異なる断面に備えて、1セットの交換可能なヘッドを有することが可能である。異なるヘッドおよび圧着ペンチの構成要素は、 交換可能であってよく、筐体および/またはハンドレバーの圧着ペンチまたは伝送機構の他の構成要素は、上記に記載の構成要素を交換する際、維持することができる。このような方法において、多数の異なる接続要素にすぐに適合できる小型で費用削減されたセットを構築することができる。
【0066】
示される実施形態と異なり、ハンドレバー3、4の並進の相対的動作を、伝送機構を介して作動力および作動動作を圧着顎5に伝達するために使用することも可能である。
さらに、ハンドレバー3、4は、部分的動作のみのために、同一の半平面51内に配置することが可能であり、他の部分的動作については、1つのハンドレバーが、半平面51から外に動かされる。
【0067】
本発明の精神および原理から実質的に逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に多くの変形形態および修正形態を行うことができる。すべてのこのような修正形態および変形形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で本明細書に包含されることを意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)接続要素用の入れ子を構築し、前記接続要素に対して半径方向の圧着力を与えるために、前記入れ子の長手軸に対して半径方向に動くように設計および配置された圧着顎と、
b)前記圧着力を手動で与え、前記圧着顎を動作させるためのハンドレバーと、
c)前記ハンドレバーが、中に配置される面であって、前記面が前記入れ子の長手軸と位置合わせされ、前記長手軸によって2つの半平面に分離され、前記ハンドレバーの両方が、1つの同一の半平面内に配置される前記面と、
d)前記ハンドレバーと前記圧着顎の間の力の流れの中の前記長手軸に沿った並進作動を、前記長手軸を中心とした回転作動へ伝達するための伝達または伝送ユニットと、を備える接続要素を圧着するための圧着工具。
【請求項2】
前記ハンドレバーの一方が、前記圧着工具の筐体に対して可動であり、前記ハンドレバーの他方が、前記圧着工具の前記筐体に固定式に連結される、請求項1に記載の圧着工具。
【請求項3】
前記圧着工具が、ピストルに似た外部形状を備え、前記圧着顎がピストルの銃口に配置され、前記入れ子が、前記圧着顎によって、前記銃口に位置合わせされた長手軸を有して構築され、前記ハンドレバーの一方が、ピストルのハンドルを構築する前記筐体に固定式に接続され、前記ハンドレバーの他方が、ピストルの細長い引き金を構築する前記筐体に可動式に連結される、請求項2に記載の圧着工具。
【請求項4】
前記ハンドレバーが手動で作動する際、前記接続要素の長手軸に対して半径方向内側に押しやられる、少なくとも3つの圧着顎が設けられる、請求項1に記載の圧着工具。
【請求項5】
前記ハンドレバーと前記圧着顎の間の力の流れの中に、枢動または回転作動を並進作動に伝達する付加的伝達または伝送ユニットが設けられる、請求項1に記載の圧着工具。
【請求項6】
前記付加的伝達または伝送ユニットが、前記ハンドレバーの相対的動作が、前記カムの枢動動作と相関するように設計および配置された枢動可能カムを備え、前記カムが、並進自由度を有するカム被動歯車に当接する、請求項5に記載の圧着工具。
【請求項7】
前記伝達または伝送ユニットが、伝達要素と、長手軸に対して傾斜した誘導溝を有する回転可能駆動要素とを備え、前記伝達要素が、前記駆動要素の前記誘導溝に摺動可能に係合するピンを有する、請求項1に記載の圧着工具。
【請求項8】
前記ハンドレバーと前記圧着顎の間の力の流れの中の回転作動を、長手軸に対して半径方向内側の前記圧着顎の作動へ伝達する別の伝達または伝送ユニットが設けられる、請求項1に記載の圧着工具。
【請求項9】
前記ハンドレバーと前記圧着顎の間の力の流れの中の回転作動を、長手軸に対して半径方向内側の前記圧着顎の作動へ伝達する別の伝達または伝送ユニットが設けられる、請求項5に記載の圧着工具。
【請求項10】
前記別の伝達または伝送ユニット内で、前記圧着顎が、前記筐体に固定され、長手軸に対して平行な配向を有する枢軸に対して回転可能であり、前記別の伝達または伝送ユニット内で、前記圧着顎に連結された前記枢軸に対して偏心に前記駆動要素と前記圧着顎を結合することによって、前記枢軸を中心とした前記圧着顎の枢動動作が生じる、請求項8に記載の圧着工具。
【請求項11】
前記別の伝達または伝送ユニット内で、前記圧着顎が、前記筐体に固定され、長手軸に対して平行な配向を有する枢軸に対して回転可能であり、前記別の伝達または伝送ユニット内で、前記圧着顎に連結された前記枢軸に対して偏心に前記駆動要素と前記圧着顎を結合することによって、前記枢軸を中心とした前記圧着顎の枢動動作が生じる、請求項9に記載の圧着工具。
【請求項12】
a)前記圧着顎が、前記筐体に対して固定され前記枢軸を特定するスリーブに枢動可能に連結され、
b)前記駆動要素が、前記スリーブ内で回転するように設計および配置され、
c)前記伝達要素が、半径方向外側に突出し傾斜した誘導溝に係合するピンを備え、
d)結合軸が、前記圧着顎を前記駆動要素に回転可能に結合し、
e)前記結合軸の前記枢軸または前記長手軸からの距離が変更可能である、請求項10に記載の圧着工具。
【請求項13】
a)前記圧着顎が、前記筐体に対して固定され前記枢軸を特定するスリーブに枢動可能に連結され、
b)前記駆動要素が、前記スリーブ内で回転するように設計および配置され、
c)前記伝達要素が、半径方向外側に突出し傾斜した誘導溝に係合するピンを備え、
d)結合軸が、前記圧着顎を前記駆動要素に回転可能に結合し、
e)前記結合軸の前記枢軸または前記長手軸からの距離が変更可能である、請求項11に記載の圧着工具。
【請求項14】
前記ハンドレバーと前記圧着顎の間の力の流れの中に、ばね要素が介挿される、請求項1に記載の圧着工具。
【請求項15】
前記ハンドレバーの手動の作動によって偏倚される戻りばねを備え、前記戻りばねの一方のベースが、前記筐体に直接または間接的に固定され、前記戻りばねの他方のベースが、前記ハンドレバーの手動の作動によって動く要素に固定される、請求項1に記載の圧着工具。
【請求項16】
複数の圧着ステップを保証するために、設計および配置されるロックユニットを備える、請求項1に記載の圧着工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−172756(P2009−172756A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−810(P2009−810)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(508244382)ウェザッグ ゲーエムベーハー ウェルクゼウグファブリック (5)
【Fターム(参考)】