説明

圧着装置

【課題】コストの高騰を抑制して、フラット回路体の導体に端子金具を確実に取り付けることができる圧着装置を提供する。
【解決手段】圧着装置1は端子金具にFFCの導体を圧着する。圧着装置1はかしめ部15と押圧部16を備えている。かしめ部15は互いの間に端子金具及びFFCの導体を挟むアンビル19とクリンパ20を備えている。押圧部16は一対の押さえ棒22を備えている。押さえ棒22はクリンパ20に設けられた貫通孔21内に収容されている。押圧部16は押さえ棒22が端子金具の底壁上に位置付けられた導体を該底壁に向かって押圧する。かしめ部15は押さえ棒22が導体を底壁に向かって押圧した状態で端子金具のかしめ片をかしめる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(フレキシブル・プリント・サーキット)やFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)などのフラット回路体の導体に端子金具を取り付ける圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器にバッテリなどの電源からの電力や制御装置からの制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスを配索している。前述したワイヤハーネスは、電線と、コネクタなどを備えている。コネクタは、絶縁性の合成樹脂で形成されたハウジングと、該ハウジング内に収容されるとともに前記電線の端末に取り付けられた端子金具を備えている。
【0003】
前述した自動車は、ユーザなどからより多機能であることが求められている。このため、前述した自動車は、搭載される電子機器が増加する傾向である。このため、勿論、前述したワイヤハーネスの電線が増加して、該ワイヤハーネスの質量や体積が増加する傾向である。
【0004】
このため、ワイヤハーネスは、小型軽量化を図るために、前述した電線としてFFCやFPCなどのフラット回路体を用いることが提案されている。
【0005】
フラット回路体は、断面矩形状の導体と、前記導体を被覆するフィルム状の被覆部とを備えて、扁平な帯状に形成されている。導体は、複数設けられている。導体は、それぞれ、直線状に延在している。複数の導体は、互いに平行に配置されている。被覆部は、導体同士を互いに絶縁している。
【0006】
前述したフラット回路体の導体に端子金具を取り付ける際には、例えば、特許文献1に示すように、導体を取り付ける端子金具に応じた形状に一旦曲げた後、該導体に端子金具を取り付けてきた。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1363362号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した特許文献1に示された端子金具の取り付け方法では、端子金具を取り付ける際に、導体を端子金具に応じた形状に形成するための金型と、端子金具を導体に加締める金型とが必要であった。このため、端子金具を取り付けるためにかかる金型が増加して、コストが高騰する傾向であった。
【0008】
また、前述した特許文献1に示すように、導体を取り付ける端子金具に応じた形状に形成せずに、扁平な導体に端子金具を取り付けることも考えられる。この場合、端子金具を取り付ける際に、導体が扁平であるので、該端子金具と導体とが位置ずれして、端子金具を導体に確実に取り付けることが困難となっていた。
【0009】
したがって、本発明の目的は、コストの高騰を抑制して、フラット回路体の導体に端子金具を確実に取り付けることができる圧着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の圧着装置は、端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめて、前記端子金具に前記導体を圧着する圧着装置において、前記底壁上に位置付けられた導体を該底壁に向かって押圧する押圧手段と、前記押圧手段が前記導体を前記底壁に向かって押圧した状態で、前記かしめ片をかしめるかしめ手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の本発明の圧着装置は、請求項1記載の圧着装置において、前記かしめ手段は、互いに接離自在に設けられ、かつ互いに近づいて前記かしめ片を互いの間に挟んで、該かしめ片をかしめる一対の型を備え、前記押圧手段は、前記一対の型のうち一方の型を貫通した貫通孔内に設けられ、該一方の型から他方の型に向かって突没自在に設けられた押さえ棒を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の本発明の圧着装置は、請求項2に記載の圧着装置において、前記押さえ棒は、複数設けられ、これら複数の押さえ棒は、前記端子金具の幅方向に沿って並設されたことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の本発明の圧着装置は、請求項1に記載の圧着装置において、前記かしめ手段は、互いに接離自在に設けられ、かつ互いに近づいて前記かしめ片を互いの間に挟んで、該かしめ片をかしめる一対の型を備え、前記押圧手段は、前記一対の型同士が接離する方向に沿ってスライド自在に設けられた本体部と、前記本体部から凸に形成されて前記導体を押圧可能な凸部とを有する押さえ型を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の本発明の圧着装置は、請求項4に記載の圧着装置において、前記押さえ型は、複数設けられ、これら複数の押さえ型は、前記端子金具の長手方向に沿って互いに並設されたことを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載した本発明の圧着装置によれば、押圧手段がフラット回路体の導体を端子金具の底壁に向かって押圧するだけであるので、該押圧手段をかしめ手段に取り付けて配置することができる。
【0016】
請求項2に記載した本発明の圧着装置によれば、押圧手段がかしめ手段の一方の型を貫通した貫通孔に配置された押さえ棒を備えているので、フラット回路体の導体に端子金具を取り付ける際に用いられる金型が増加することを防止できる。
【0017】
請求項3に記載した本発明の圧着装置によれば、押さえ棒が端子金具の幅方向に沿って複数並設されているので、該押さえ棒でフラット回路体の導体を確実に端子金具の底壁に押圧することができ、導体を複数の箇所で押圧するので、押圧した導体が位置ずれすることを防止できる。
【0018】
請求項4に記載した本発明の圧着装置によれば、押圧手段がかしめ手段の一対の型が互いに接離する方向にスライド自在に設けられた押さえ型を備えているので、該押さえ型を一対の型のうち一方に取り付けて配置することができ、フラット回路体の導体に端子金具を取り付ける際に用いられる金型が増加することを防止できる。
【0019】
請求項5に記載した本発明の圧着装置によれば、押さえ型が端子金具の長手方向に沿って複数並設されているので、該押さえ型でフラット回路体の導体を確実に端子金具の底壁に押圧することができ、導体を複数の箇所で押圧するので、押圧した導体が位置ずれすることを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、押圧手段をかしめ手段に取り付けて配置することができるので、フラット回路体の導体に端子金具を取り付ける際に用いられる金型が増加することを防止できる。したがって、金型が増加するなどしてコストが高騰することを抑制できる。
【0021】
また、押圧手段がフラット回路体の導体を端子金具の底壁に向かって押圧するので、該導体に端子金具を取り付ける際に、これらの導体と端子金具とが相対的に位置ずれすることを防止できる。したがって、フラット回路体の導体に端子金具を確実に取り付けることができる。
【0022】
請求項2に記載の本発明は、フラット回路体の導体に端子金具を取り付ける際に用いられる金型が増加することを防止できるので、金型が増加するなどしてコストが高騰することを確実に抑制できる。
【0023】
請求項3に記載の本発明は、底壁に向かって押圧した導体が位置ずれすることを防止できるので、フラット回路体の導体を端子金具の底壁に向かって押圧するので、該導体に端子金具を取り付ける際に、これらの導体と端子金具とが相対的に位置ずれすることを確実に防止できる。したがって、フラット回路体の導体に端子金具をより確実に取り付けることができる。
【0024】
請求項4に記載の本発明は、フラット回路体の導体に端子金具を取り付ける際に用いられる金型が増加することを防止できるので、金型が増加するなどしてコストが高騰することを確実に抑制できる。
【0025】
請求項5に記載の本発明は、底壁に向かって押圧した導体が位置ずれすることを防止できるので、フラット回路体の導体を端子金具の底壁に向かって押圧するので、該導体に端子金具を取り付ける際に、これらの導体と端子金具とが相対的に位置ずれすることを確実に防止できる。したがって、フラット回路体の導体に端子金具をより確実に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の第1の実施形態にかかる圧着装置を、図1ないし図14を参照して説明する。
【0027】
図5に示された圧着装置1は、図1に示すフラット回路体としてのFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)2の導体4を端子金具6に取り付ける(圧着する)装置である。
【0028】
FFC2は、図1に示すように、複数の導体4と、該導体4を被覆する被覆部5と、を備えて、扁平な帯状に形成されている。
【0029】
導体4は、導電性を有する金属で構成されている。導体4は、少なくとも銅または銅合金を含んでいる。導体4は、断面形が矩形状に形成されている。導体4は、直線状に延びている。複数の導体4は、互いに平行に配置されている。
【0030】
被覆部5は、絶縁性の合成樹脂からなり帯状に形成されている。被覆部5は、扁平な帯状に形成されて、導体4を被覆している。被覆部5は、複数の導体4同士を電気的に絶縁している。FFC2は、その端末において、互いに隣接する導体4間にスリット7が形成されているとともに、被覆部5が除去されて導体4が露出している。
【0031】
本明細書に記したフラット回路体とは、複数の導体と、該導体を被覆する絶縁性の被覆部とを備えて、扁平な帯状に形成されているものを示す。
【0032】
端子金具6は、導電性の板金を折り曲げるなどして得られ、図1に示すように、相手側の端子金具と接続する電気接触部9と、FFC2の導体4と接続される電線接続部10と、を一体に備えている。
【0033】
電気接触部9は、角筒状の筒部11と、該筒部11内に収容された図示しないばね片とを備えている。筒部11は、図示例では、四角筒に形成されている。ばね片は、筒部内に侵入した相手側の端子金具の雄タブなどの挿入子を、筒部11の内面に向かって付勢して該内面との間に挟む。電気接触部9は、筒部11内に相手側の端子金具の雄タブなどの挿入子が挿入され、ばね片が筒部11の内面との間に前述した挿入子を挟むことで、相手側の端子金具と電気的及び機械的に接続する。
【0034】
電線接続部10は、図2に示すように、断面円弧状の底壁12と、一対の導体かしめ片13と、一対の被覆部かしめ片14とを備えている。底壁12は、筒部11の外壁に連なっている。底壁12は、表面上にFFC2の端末が位置付けられる。即ち、底壁12上には、FFC2の端末で露出した導体4が位置付けられる。
【0035】
導体かしめ片13は、特許請求の範囲に記載されたかしめ片をなしている。一対の導体かしめ片13は、底壁12の長手方向の中央に設けられている。導体かしめ片13は、底壁12の幅方向の両端部から立設している。導体かしめ片13は、底壁12から離れた側の縁が底壁12に近づく方向に曲げられて、底壁12との間にFFC2の導体4を挟む。こうして、導体かしめ片13は、FFC2の導体4をかしめる。
【0036】
被覆部かしめ片14は、底壁12の長手方向の電気接触部9から離れた側の端部に設けられている。被覆部かしめ片14は、底壁12の幅方向の両端部から立設している。被覆部かしめ片14は、底壁12から離れた側の縁が底壁12に近づく方向に曲げられて、底壁12との間にFFC2の被覆部5を挟む。こうして、被覆部かしめ片14は、FFC2の被覆部5をかしめる。
【0037】
前述した構成の端子金具6は、図3に示すように、底壁12上にFFC2の端末が位置付けられた後、図5に示す圧着装置1によって、導体かしめ片13の底壁12から離れた側の縁が底壁12に近づく方向に曲げられ、被覆部かしめ片14の底壁12から離れた側の縁が底壁12に近づく方向に曲げられる。そして、端子金具6は、図4に示すように、圧着装置1によって、かしめ片13,14でFFC2の導体4と被覆部5とをかしめて、FFC2の端末に取り付けられる。
【0038】
圧着装置1は、図5に示すように、図示しない装置本体と、かしめ手段としてのかしめ部15と、押圧手段としての押圧部16と、駆動源としてのエアシリンダ17と、第2駆動源としてのエアシリンダ18とを備えている。装置本体は、工場のフロア上などに設置される。
【0039】
かしめ部15は、型としてのアンビル19と、型としてのクリンパ20とを備えている。アンビル19は、装置本体に固定されている。アンビル19は、表面上に端子金具6が重ねられる(位置付けられる)。
【0040】
クリンパ20は、アンビル19と間隔をあけて相対し、かつ該アンビル19に接離自在に装置本体に支持されている。即ち、アンビル19とクリンパ20とは、互いに接離自在に設けられている。なお、接離とは、互いに近づいたり互いに離れることをいう。アンビル19とクリンパ20とは、互いに離れた状態で、アンビル19上に端子金具6とFFC2の端末とが位置付けられる。そして、アンビル19とクリンパ20とは、互いに近づいて、互いの間に端子金具6とFFC2の端末とを挟んで、かしめ片13,14をかしめる。
【0041】
また、アンビル19とクリンパ20とのうちの一方の型としてのクリンパ20には、図5及び図6に示すように、貫通孔21が複数設けられている。貫通孔21は、クリンパ20を該クリンパ20がアンビル19に接離する方向に沿って直線状に伸びており、該クリンパ20を貫通している。また、貫通孔21は、クリンパ20の前述した端子金具6を位置付けるキャビティに開口している。
【0042】
図示例では、貫通孔21は、一対設けられている。これら一対の貫通孔21は、アンビル19上に位置付けられる端子金具6の幅方向に沿って、互いに並設されている。
【0043】
押圧部16は、複数の押さえ棒22を備えている、図示例では、押さえ棒22は、一対設けられている。押さえ棒22は、円柱状の棒状に形成されており、前述した貫通孔21内に収容されている。押さえ棒22は、前述したアンビル19とクリンパ20とが互いに接離する方向に沿って、スライド自在にクリンパ20に支持されている。こうして、押さえ棒22は、クリンパ20から他方の型としてのアンビル19に向かって突没自在に設けられている。一対の押さえ棒22は、それぞれが貫通孔21内に収容されることで、前述したアンビル19上に位置付けられる端子金具6の幅方向に沿って、互いに並設されている。
【0044】
駆動源としてのエアシリンダ17は、シリンダ本体23と、該シリンダ本体23から突没自在に設けられたロッド24とを備えている。シリンダ本体23は、装置本体に取り付けられている。ロッド24は、クリンパ20に取り付けられている。エアシリンダ17は、ロッド24がシリンダ本体23から伸長すると、クリンパ20がアンビル19に近づき、ロッド24がシリンダ本体23に縮小すると、クリンパ20がアンビル19から離れる状態に配置されている。
【0045】
第2駆動源としてのエアシリンダ18は、シリンダ本体25と、該シリンダ本体25から突没自在に設けられたロッド26とを備えている。シリンダ本体25は、クリンパ20に取り付けられている。ロッド26は、押さえ棒22に取り付けられている。エアシリンダ18は、ロッド26がシリンダ本体25から伸長すると、押さえ棒22がクリンパ20からアンビル19に向かって突出し、ロッド26がシリンダ本体25に縮小すると、押さえ棒22がクリンパ20内に没する状態に配置されている。
【0046】
前述した構成の圧着装置1は、FFC2の導体4に端子金具6を以下のように取り付ける。まず、図7に示すように、アンビル19とクリンパ20とが離れた状態で、アンビル19上に端子金具6を置き、さらに、該端子金具6の底壁12上にFFC2の端末で露出した導体4を位置付ける。このとき、エアシリンダ17,18のロッド24,26が縮小している。その後、エアシリンダ18のロッド26が伸長する。すると、図8及び図9に示すように、押さえ棒22がクリンパ20からアンビル19に向かって突出して、該押さえ棒22の先端が一旦FFC2の導体4に接触する。さらに、ロッド26が伸長して、押さえ棒22が導体4を底壁12に向かって押圧する。すると、図10及び図11に示すように、FFC2の導体4が底壁12に沿って曲げられて、該底壁12と密に接触する。
【0047】
その後、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長しながら、エアシリンダ18のロッド26が徐々に縮小する。すると、図12に示すように、押さえ棒22が底壁12に向かってFFC2の導体4を押圧しながら、アンビル19にクリンパ20が近づく。そして、図13に示すように、アンビル19とクリンパ20との間に端子金具6とFFC2の導体4とを挟んで、かしめ片13,14をかしめて、FFC2に端子金具6を取り付ける。こうして、アンビル19とクリンパ20とは、押さえ棒22がFFC2の導体4を底壁12に向かって押圧した状態で、かしめ片13,14をかしめて、端子金具6に導体4を圧着する。
【0048】
そして、エアシリンダ17のロッド24が縮小して、アンビル19とクリンパ20とが互いに離れて、図14中のアンビル19上の端子金具6を取り除く。前述した工程と同様に、アンビル19上に端子金具6を重ね、該端子金具6の底壁12上にFFC2の導体4を位置付けて、端子金具6をFFC2に取り付ける。
【0049】
本実施形態によれば、押圧部16がFFC2の導体4を端子金具6の底壁12に向かって押圧するだけであるので、該押圧部16をかしめ部15に取り付けて配置することができる。このため、FFC2の導体4に端子金具6を取り付ける際に用いられる金型が増加することを防止できる。したがって、金型が増加するなどしてコストが高騰することを抑制できる。
【0050】
また、押圧部16がFFC2の導体4を端子金具6の底壁12に向かって押圧するので、該導体4に端子金具6を取り付ける際に、これらの導体4と端子金具6とが相対的に位置ずれすることを防止できる。したがって、FFC2の導体4に端子金具6を確実に取り付けることができる。
【0051】
押圧部16がかしめ部15のクリンパ20を貫通した貫通孔21に配置された押さえ棒22を備えているので、FFC2の導体4に端子金具6を取り付ける際に用いられる金型が増加することを防止できる。したがって、コストが高騰することを確実に抑制できる。
【0052】
押さえ棒22が端子金具6の幅方向に沿って複数並設されているので、該押さえ棒22でFFC2の導体4を確実に端子金具6の底壁12に押圧することができ、導体4を複数の箇所で押圧するので、押圧した導体4が位置ずれすることを防止できる。したがって、FFC2の導体4に端子金具6をより確実に取り付けることができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる圧着装置1を、図15ないし図18を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態の圧着装置1の押圧部16は、一対の押さえ型27を備えている。押さえ型27は、厚手の平板状に形成されており、アンビル19上の端子金具6の長手方向に沿って、互いに間隔をあけて相対して配置(並設)されている。また、一対の押さえ型27は、互いの間にクリンパ20を位置付けているとともに、前述したアンビル19とクリンパ20とが接離する方向に沿って、スライド自在にクリンパ20に支持されている。このため、一対の押さえ型27は、クリンパ20及びアンビル19と端子金具6の長手方向に沿って並設されている。押さえ型27には、エアシリンダ18のロッド26が取り付けられており、該ロッド26が伸縮することで、アンビル19に接離する。
【0055】
押さえ型27は、前述した接離する方向にスライド自在にクリンパ20に支持された(設けられた)本体部28と、該本体部28からアンビル19に向かって凸に形成された凸部29とを一体に備えている。凸部29は、本体部28から離れるのにしたがって、アンビル19上の端子金具6の幅方向の幅が徐々に少なくなるように形成されている。凸部29の先端の幅は、前述した端子金具6の一対の導体かしめ片13間の間隔より狭く形成されている。押さえ型27は、エアシリンダ18のロッド26が伸長すると、端子金具6の底壁12上に位置付けられたFFC2の導体4を該底壁12に向かって押圧可能となっている。
【0056】
前述した構成の本実施形態の圧着装置1は、FFC2の導体4に端子金具6を以下のように取り付ける。まず、図15に示すように、アンビル19とクリンパ20とが離れた状態で、アンビル19上に端子金具6を置き、さらに、該端子金具6の底壁12上にFFC2の端末で露出した導体4を位置付ける。このとき、エアシリンダ17,18のロッド24,26が縮小している。その後、エアシリンダ18のロッド26が伸長する。すると、図16に示すように、押さえ型27の凸部29の先端が一旦FFC2の導体4に接触した後、さらに、ロッド26が伸長して、押さえ型27の凸部29が導体4を底壁12に向かって押圧する。すると、図17に示すように、FFC2の導体4が底壁12に沿って曲げられて、該底壁12と密に接触する。
【0057】
その後、エアシリンダ17のロッド24が徐々に伸長しながら、エアシリンダ18のロッド26が徐々に縮小する。すると、図18に示すように、押さえ型27が底壁12に向かってFFC2の導体4を押圧しながら、アンビル19にクリンパ20が近づく。そして、アンビル19とクリンパ20との間に端子金具6とFFC2の導体4とを挟んで、かしめ片13,14をかしめて、FFC2に端子金具6を取り付ける。こうして、アンビル19とクリンパ20とは、押さえ型27がFFC2の導体4を底壁12に向かって押圧した状態で、かしめ片13,14をかしめる。
【0058】
そして、エアシリンダ17のロッド24が縮小して、アンビル19とクリンパ20とが互いに離れて、アンビル19上の端子金具6を取り除く。前述した工程と同様に、アンビル19上に端子金具6を重ね、該端子金具6の底壁12上にFFC2の導体4を位置付けて、端子金具6をFFC2に取り付ける。
【0059】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、押圧部16がFFC2の導体4を端子金具6の底壁12に向かって押圧するだけであるので、該押圧部16をかしめ部15に取り付けて配置することができる。このため、FFC2の導体4に端子金具6を取り付ける際に用いられる金型が増加することを防止できる。したがって、金型が増加するなどしてコストが高騰することを抑制できる。
【0060】
また、押圧部16がFFC2の導体4を端子金具6の底壁12に向かって押圧するので、該導体4に端子金具6を取り付ける際に、これらの導体4と端子金具6とが相対的に位置ずれすることを防止できる。したがって、FFC2の導体4に端子金具6を確実に取り付けることができる。
【0061】
押圧部16がかしめ部15のアンビル19とクリンパ20とが互いに接離する方向にスライド自在に設けられた押さえ型27を備えているので、該押さえ型27をアンビル19とクリンパ20とのうちのクリンパ20に取り付けて配置することができ、FFC2の導体4に端子金具6を取り付ける際に用いられる金型が増加することを防止できる。したがって、金型が増加するなどしてコストが高騰することを確実に抑制できる。
【0062】
押さえ型27が端子金具6の長手方向に沿って複数並設されているので、該押さえ型27でFFC2の導体4を確実に端子金具6の底壁12に押圧することができ、導体4を複数の箇所で押圧するので、押圧した導体4が位置ずれすることを防止できる。したがって、FFC2の導体4に端子金具6をより確実に取り付けることができる。
【0063】
前述した実施形態では、フラット回路体として、FFC2を用いている。しかしながら、本発明では、FPC(フレキシブル・プリント・サーキット)などの他の扁平な帯状のフラット回路体を用いても良い。
【0064】
また、前述した実施形態では、端子金具6の電気接触部9が筒状の所謂雌形の電気接触部となっている。しかしながら、本発明では、端子金具6の電気接触部9を棒状又は板状の所謂雄形の電気接触部にしても良い。さらに、前述した実施形態で、押さえ棒22と押さえ型27とを一対設けている。しかしながら、本発明では、押さえ棒22と押さえ型27とを三つ以上設けても良い。
【0065】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる圧着装置で互いに取り付けられる端子金具とFFCを示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1中の端子金具の底壁上にFFCの導体を位置付けた状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示された端子金具のかしめ片をかしめた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる圧着装置の概略の構成を示す説明図である。
【図6】図5に示された圧着装置のクリンパの要部を示す斜視図である。
【図7】図5に示された圧着装置のアンビル上に端子金具とFFCを位置付けた状態を示す説明図である。
【図8】図7に示された圧着装置の押さえ棒がFFCに接触した状態を示す説明図である。
【図9】図7に示された圧着装置の押さえ棒がFFCに接触した状態を示す斜視図である。
【図10】図8に示された押さえ棒がFFCの導体を端子金具の底壁に向かって押圧した状態を示す説明図である。
【図11】図10中のXI部を拡大して示す説明図である。
【図12】図10に示されたアンビルとクリンパとが互いに近づいた状態を示す説明図である。
【図13】図12に示されたアンビルとクリンパとの間に端子金具とFFCの導体を挟んだ状態を示す説明図である。
【図14】図13に示されたFFCに取り付けられた端子金具を示す説明図である。
【図15】本発明の第2の実施形態にかかる圧着装置の概略の構成を示す説明図である。
【図16】図15に示された圧着装置の押さえ型がFFCに接触した状態を示す説明図である。
【図17】図16に示された押さえ型がFFCの導体を端子金具の底壁に向かって押圧した状態を示す説明図である。
【図18】図17に示されたアンビルとクリンパとが互いに近づいた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1 圧着装置
2 FFC(フラット回路体)
4 導体
5 被覆部
6 端子金具
10 電線接続部
12 底壁
13 導体かしめ片(かしめ片)
15 かしめ部(かしめ手段)
16 押圧部(押圧手段)
19 アンビル(型、他方の型)
20 クリンパ(型、一方の型)
21 貫通孔
22 押さえ棒
27 押さえ型
28 本体部
29 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具の電線接続部の底壁上にフラット回路体の導体を位置付けて、該底壁から立設したかしめ片をかしめて、前記端子金具に前記導体を圧着する圧着装置において、
前記底壁上に位置付けられた導体を該底壁に向かって押圧する押圧手段と、
前記押圧手段が前記導体を前記底壁に向かって押圧した状態で、前記かしめ片をかしめるかしめ手段と、を備えたことを特徴とする圧着装置。
【請求項2】
前記かしめ手段は、互いに接離自在に設けられ、かつ互いに近づいて前記かしめ片を互いの間に挟んで、該かしめ片をかしめる一対の型を備え、
前記押圧手段は、前記一対の型のうち一方の型を貫通した貫通孔内に設けられ、該一方の型から他方の型に向かって突没自在に設けられた押さえ棒を備えたことを特徴とする請求項1記載の圧着装置。
【請求項3】
前記押さえ棒は、複数設けられ、これら複数の押さえ棒は、前記端子金具の幅方向に沿って並設されたことを特徴とする請求項2記載の圧着装置。
【請求項4】
前記かしめ手段は、互いに接離自在に設けられ、かつ互いに近づいて前記かしめ片を互いの間に挟んで、該かしめ片をかしめる一対の型を備え、
前記押圧手段は、前記一対の型同士が接離する方向に沿ってスライド自在に設けられた本体部と、前記本体部から凸に形成されて前記導体を押圧可能な凸部とを有する押さえ型を備えたことを特徴とする請求項1記載の圧着装置。
【請求項5】
前記押さえ型は、複数設けられ、これら複数の押さえ型は、前記端子金具の長手方向に沿って互いに並設されたことを特徴とする請求項4記載の圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−103138(P2007−103138A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290516(P2005−290516)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】