説明

圧縮成型装置における型押し器のための安全器具

圧縮成型対象物のための装置の安全器具であって、装置は、複数の型押し器(1)および複数の対応する成型エレメント(2)が設けられた成型用カルーセル(G)を備え、各成型エレメントは、成型エレメントが各型押し器(1)と相互に作用しない第1位置と、対象物(3)を成型するために成型エレメントが各型押し器(1)と相互に作用する第2位置との間で移動可能となっており、各型押し器は、成型された対象物(3)を各型押し器(1)から取り出す上で適切なものとなっている取出器具(4)に関連付けられており、前記取出器具(4)は、前記成型カルーセル(G)の固定フレーム(T)に設けられたカムトラック(8)によって動作可能となっており、前記カムトラック(8)は、カムトラック部分(9)を備え、カムトラック部分(9)は、カムトラック部分(9)が前記取出器具(4)と相互に作用する動作位置と、カムトラック部分(9)が前記取出器具(4)と相互に作用しない非動作位置との間で移動可能となっている、安全器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成型されたキャップなどの対象物を形成するための装置における型押し器のための安全器具に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮成型の対象物のための装置は、一般に、複数の成型エレメントを有する成型カルーセルを備えている。成型エレメントは各々、対象物を形成するための1回分のプラスチックを受け入れるよう構成されたキャビティを有している。各成型エレメントは、型押し器と関連付けられており、型押し器は、各成型エレメントと相互に作用することによって、対象物の圧縮成型を生じさせる。
【0003】
対象物の成型工程の間、成型エレメントは、1回分のプラスチックが入れられている成型エレメントのキャビティに型押し器が入り込み、型押し器が前記1回分のプラスチックを前記キャビティの内側で圧縮し、そして対象物の形成が確認されるまで、鉛直方向上方へ動かされる。
【0004】
形成工程が完了された後、成型エレメントは下がるように構成されており、これによって、成型エレメントはその当初の位置に戻る。形成された対象物は、型押し器に接着したままとなっている。
【0005】
対象物を型押し器から取り出すため、対象物を下方へ押して対象物を型押し器から解放する取出器具が設けられている。
【0006】
取出器具は、型押し器に沿って摺動することにより対象物の端部に当接し、そして、対象物が型押し器から分離されるまで対象物を下方へ押す環状エレメントからなっていてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このタイプの装置において生じうる問題は、成型エレメントが開くことの失敗である。ここで、開くことの失敗は、成型エレメントが、対象物を形成した後にその当初の位置に戻るようには下がらず、型押し器に連結されたままになっている、という事実として定義される。この開くことの失敗は、型押し器から対象物を取り出す機構を駆動させることにより、取出リングがそれ自体を成型エレメントに対して押し込み、これによって、成型エレメントまたは取出機構への損傷が生じうる、ということを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、成型エレメントが開くことに失敗した場合に取出機構の駆動を妨げる安全器具を提供することを目的とする。
【0009】
取出機構は、成型カルーセルの回転の間に取出機構を動作させる固定カムによって駆動される。
【0010】
本発明によれば、安全器具は、請求項1の特徴に従って提供される。
【0011】
本発明によれば、成型エレメントが開くことに失敗した場合に、成型エレメントに関連付けられた型押し器の取出機構の駆動が禁止される。このため、成型エレメントまたは取出機構に損傷が生じ得るという可能性を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、非動作位置にある本発明による安全器具を有する型押し器を示す図。
【図2】図2は、動作位置にある安全器具を示す、図1と同様の図。
【図3】図3は、非動作位置にある本発明による安全器具を示す図。
【図4】図4は、動作位置にある本発明による安全器具を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一形態は、付随する図を参照して、単に非限定的な例という方法によって開示される。
【0014】
図1において、対象物3、例えばキャップの成型の後であって、取出機構4が対象物3を型押し器1から取り出す前の、動作位置における、対応する成型エレメント2を有するキャップ用の成型カルーセルGの型押し器1が示されている。
【0015】
成型カルーセルGは、成型カルーセルに沿って一定の角度ピッチで配置された複数の型押し器1および複数の成型エレメント2を備えている。型押し器1は、不変の位置に配置されており、一方、成型エレメント2は、成型エレメント2が型押し器1から離れている図1に示される第1下方位置と、対象物3を成型するために成型エレメント2が型押し器1と相互に作用する図2に示される第2上方位置と、の間で、鉛直方向に移動可能となっている。
【0016】
対象物3の成型の後、成型エレメント2は再び、第1下方位置に下がり、型押し器1から分離する。一方、形成された対象物3は、型押し器1に接着したままとなっている。
【0017】
対象物3を型押し器1から取り出すために取出機構4が設けられている。取出機構4は、例えば、対象物3と相互に作用するまで型押し器1に沿って動くことができ、そして対象物を下方へ押し、これによって対象物を型押し器1から取り出す取出リング5を備えている。
【0018】
取出器具4は、さらにロッド6を備えている。ロッド6には取出リング5が固定されている。またロッド6には、その上側端部において、ロッド6から横方向に突出する回転エレメント7が設けられている。回転エレメント7は、成型カルーセルGの固定フレームTに設けられたカムトラック8と係合し、そして、成型カルーセルGの動作の間、カムトラック8の外形に沿って回転する。カムトラック8は、成型カルーセルGの前記固定フレームTに設けられた円周方向溝として形作られていてもよい。カムトラック8は、形成された対象物3が型押し器1から取り出されるべきときに取出リング5の下方への移動を決定し、かつ、対象物3が型押し器1から抜き出された後に取出リングを非動作位置に戻すよう、形作られている。
【0019】
図2において、キャップ3の成型の後、成型エレメント2が、下方位置へと下に向かって動く代わりに型押し器1と結合されたままになっている、という場合に生じ得る異常な状況が示されている。この場合、仮に取出器具4が駆動されると、キャップ3を型押し器1から取り出すための取出リング5が成型エレメント2にぶつかって成型エレメント2に押圧を与え、この結果、成型エレメント2または取出器具4または両者への損傷が生じ得るであろう。
【0020】
本発明による安全器具は、カムトラック8の一部分9であって、型押し器1によって形成された対象物3を排出するために取出リング5を下方へ導くようカムトラック部分9が回転エレメント7と相互に作用する動作位置と、取出リング5が対象物3と相互に作用することなく取出リング5が非動作位置にとどまるようカムトラック部分9が回転エレメント7と相互に作用しない非動作位置と、の間で移動可能な一部分9を備えている。
【0021】
前記動作位置と前記非動作位置との間でのカムトラック部分9の移動は、成型エレメント2の開くことの失敗が検出されたとき、すなわち、対象物3の成型の後に成型エレメント2がその当初の位置に戻らずに成型エレメント2が型押し器1に係合されたままとなっているときに生じる。成型エレメント2の開くことの失敗は、適切なセンサによって検出される。センサは、カムトラック部分9をその非動作位置へ移動させることによって、安全器具の駆動を制御する。
【0022】
カムトラック部分9の第1端部10が、成型カルーセルGの固定フレームTに蝶番式に取付けられており、一方、トラック部分9の第2端部10が、結合ロッド12を介して動作シリンダー14のステム13に結合されている。動作シリンダー14の本体部15は、成型カルーセルGの固定フレームTに固定された第1結合エレメント16に蝶番式に取付けられている。カムトラック部分9の第2端部11には、第2結合エレメント17が設けられており、第2結合エレメント17の上には、結合ロッド12の第1端部が蝶番式に取付けられており、結合ロッド12の第2端部は、ステム13の端部18に蝶番式に取付けられている。動作シリンダー14のステムは、さらなる結合ロッド19によって、成型カルーセルGの固定フレームTに固定された第3結合エレメント20にさらに結合されている。
【0023】
動作シリンダー14を駆動することにより、ステム13がカムトラック部分9の第2端部11を持ち上げ、カムトラック部分9を、成型カルーセルGの固定フレームTに蝶番式に取付けられたカムトラック部分9の端部10の周りで回転させる。これによって、カムトラック部分9が持ち上げられ、そしてカムトラック部分9は、カムトラック部分9が回転エレメント7と相互に作用しない非動作位置(図4)へと動く。従って、回転エレメント7がカムトラック部分9の領域に到達するとき、そこにはもはや、回転エレメント7とカムトラック部分9との間での相互作用は存在せず、このため、取出リング5は下方へ押されず、かつ、取出リング5は、型押し器1と関連付けられたままとなっている成型エレメント2と、取出リング5および/または成型エレメント2への損傷の危険を伴いながら干渉することができない。
【0024】
対象物3の成型の後に成型エレメント2が下がることの失敗を引き起こした原因が取り除かれた後、カムトラック部分9が動作位置に戻され、そして、カムトラック部分9が図3に示される位置に戻るまで、再び動作シリンダー14を駆動する。カムトラック部分9は、図3に示される位置で、取出リング5を駆動するよう回転エレメント7と再び相互に作用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮成型対象物のための装置の安全器具であって、
前記装置は、複数の型押し器(1)および複数の対応する成型エレメント(2)が設けられた成型用カルーセル(G)を備え、
各成型エレメントは、成型エレメントが各型押し器(1)と相互に作用しない第1位置と、対象物(3)を成型するために成型エレメントが各型押し器(1)と相互に作用する第2位置との間で移動可能となっており、
各型押し器は、成型された対象物(3)を各型押し器(1)から取り出す上で適切なものとなっている取出器具(4)に関連付けられており、
前記取出器具(4)は、前記成型カルーセル(G)の固定フレーム(T)に設けられたカムトラック(8)によって動作可能となっており、
前記カムトラック(8)は、カムトラック部分(9)を備え、カムトラック部分(9)は、カムトラック部分(9)が前記取出器具(4)と相互に作用する動作位置と、カムトラック部分(9)が前記取出器具(4)と相互に作用しない非動作位置との間で移動可能となっていることを特徴とする安全器具。
【請求項2】
前記取出器具(4)は、前記カムトラック(8)と結合する上で適切なものとなっている回転エレメント(7)を備えている、請求項1に記載の安全器具。
【請求項3】
前記カムトラック(8)は、前記成型カルーセル(G)の前記固定フレーム(T)に設けられた円周方向溝を備えている、請求項2に記載の安全器具。
【請求項4】
前記カムトラック部分(9)の第1端部が、前記成型カルーセル(G)のフレーム(T)に蝶番式に取付けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の安全器具。
【請求項5】
前記カムトラック部分(9)の第2端部が、第1接続ロッドエレメント(12)を介して動作シリンダー(14)のステム(13)に接続されている、請求項4に記載の安全器具。
【請求項6】
前記ステム(13)は、第2接続ロッドエレメント(16)を介して前記固定フレーム(T)に接続されている、請求項5に記載の安全器具。
【請求項7】
前記操作シリンダー(14)の本体部(15)が、前記固定フレーム(T)に蝶番式に取付けられている、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の安全器具。
【請求項8】
前記取出器具(4)は、型押し器(1)に接着している成型対象物(3)と相互に作用する上で適切なものとなっている取出エレメント(5)を備えている、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の安全器具。
【請求項9】
前記取出エレメント(5)は、鉛直方向において摺動可能なアーム(6)に固定されている、請求項8に記載の安全器具。
【請求項10】
前記アーム(6)の上側端部に、前記カムトラック(8)と結合する上で適切なものとなっている回転エレメント(7)が設けられている、請求項9に記載の安全器具。
【請求項11】
成形対象物(3)を成型した後に対応する成型エレメント(2)が前記第1位置に戻るかどうか、を検出する上で適切なものとなっているセンサ手段をさらに備えている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の安全器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−526682(P2012−526682A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510426(P2012−510426)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052091
【国際公開番号】WO2010/131205
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(509238432)サチミ、コオペラティバ、メッカニーチ、イモラ、ソチエタ、コオペラティバ (14)
【氏名又は名称原語表記】SACMI COOPERATIVA MECCANICI IMOLA SOCIETA’ COOPERATIVA
【Fターム(参考)】