説明

圧縮機の制御装置

【課題】圧縮機の運転回転数による変動音をなくすことを目的とする。
【解決手段】回転数演算手段109で回転数を演算し、指令回転数の回転数と算出されたDCモータ104の回転数を比較し、回転数制御手段108でDCモータ104の回転数が指令回転数となるように制御し、回転数制御手段108からの出力されるデューティ比が100%であれば指令回転数より低い回転数を設定回転数記憶手段114に記憶された設定回転数から選択し、選択した回転数と回転数演算手段109で演算した回転数を比較し、選択された回転数となるようにタイマ117で一定時間運転するよう制御するので、圧縮機115の変動音がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PWM制御されるスイッチング素子によりモータを駆動するインバータ回路に関するもので、特に冷蔵庫に搭載される圧縮機の駆動に好適な制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の圧縮機の制御装置においてモータ回転数を検出してPWM信号のデューティ比を可変してモータの回転数を制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1は、圧縮機に組み込まれたDCモータの運転により、圧縮機が共振することを防止するものである。
【0004】
以下、図面を参照しながら上記従来の圧縮機の制御装置について説明する。
【0005】
図3は、特許文献1に記載された従来の圧縮機の制御装置の回路図、図4は、従来の圧縮機の制御装置のフローチャートであり、DCモータの回転数を昇降する動作を説明するものである。
【0006】
図3において、AC/DC変換手段1は商用電源2に接続され、商用交流電圧を直流電圧に変換する。インバータ回路3はAC/DC変換手段1に接続され出力はDCモータ4に接続されている。
【0007】
DCモータ4は冷蔵庫等を冷却する圧縮機15に組み込まれている。
【0008】
インバータ回路3は、6つのスイッチング素子T1,T2,T3,T4,T5,T6より構成されており、6つのスイッチング素子は三相ブリッジ接続されている。
【0009】
制御回路5は、位置検出手段6、転流手段7、回転数制御手段8、回転数演算手段9、指令回転数検出手段10、回転数比較手段11、合成手段12、ドライブ手段13より構成されている。
【0010】
位置検出手段6は、DCモータ4の逆起電圧から回転子の位置を検出し、位置検出信号を転流手段7、回転数制御手段8、回転数演算手段9に送出する。
【0011】
転流手段7は、位置検出手段6の出力に応じて、合成手段12駆動する転流パルスを送出する。
【0012】
回転数演算手段9は、位置検出手段6の位置検出信号を一定期間カウントしたり、パルス間隔を測定することによりDCモータ4の回転数を演算し、回転数比較手段11にDCモータ4の運転している回転数を送出する。
【0013】
一方、指令回転数検出手段10は冷蔵庫等から送られてくる指令回転数を検出し、回転数比較手段11に送出する。
【0014】
回転数比較手段11は回転数演算手段9からのDCモータ4の回転数と指令回転数検出手段10からの指令回転数を比較し、DCモータ4の回転数が指令回転数より小さい場合はデューティ比を増加する出力を回転数制御手段8に出力し、回転数制御手段8はデューティ比を増加させDCモータ4に印加される電圧を増加させることで回転数を上昇させる。
【0015】
DCモータ4の回転数が指令回転数より大きい場合はデューティ比を下降する出力を回転数制御手段8に出力し、回転数制御手段8はデューティ比が比を減少させDCモータ4に印加される電圧を減少させることで回転数を下降させる。
【0016】
また、回転数制御手段8は現状のデューティ比を回転数比較手段11に出力している。
【0017】
回転数比較手段11は、回転数制御手段8から出力されるデューティ比が100%であれば、回転数演算手段9で演算された回転数が指令回転数より低い場合に、回転数演算手段9で演算された回転数より低くその回転数に最も近い回転数を設定回転数記憶手段14から選択し、選択した回転数と回転数演算手段9で演算された回転数を比較する。
【0018】
回転数を設定回転数記憶手段14は圧縮機15の共振回転数を避けた回転数を複数記憶しているものである。
【0019】
また、設定回転数記憶手段14から回転数を選択した場合、回転数比較手段11は、回転数制御手段8からの出力がされるデューティ比が90%以下であれば、指令回転数と回転数演算手段9で演算された回転数を比較するようにするものである。
【0020】
合成手段12は転流手段7と回転数制御手段8の出力の論理積をドライブ手段13に出力し、ドライブ手段13はインバータ回路3を構成するスイッチング素子T1〜T6を駆動する。
【0021】
以上のように構成された圧縮機15の制御装置について、以下そのDCモータ4の回転数を昇降する動作について図3を用いて説明する。
【0022】
圧縮機15の制御装置がDCモータ4を運転中に指令回転数検出手段10で冷蔵庫等の制御装置からの指令回転数の変更を受信するとDCモータ4の回転数を変更するように制御する。
【0023】
STEP1で指令回転数を基準回転数として記憶する。
【0024】
STEP2で回転数演算手段9は位置検出手段6の信号よりDCモータ4の回転数を演算し、STEP3で回転数比較手段11は指令回転数検出手段10で検出した指令回転数と回転数演算手段9で演算したDCモータ4の回転数演算結果を比較する。
【0025】
STEP4で回転数演算結果が指令回転数より小さい場合はSTEP5に進み、STEP5で回転数比較手段11は回転数制御手段8からの出力されるデューティ比が100%かを判断する。デューティ比が100%でなければSTEP6に進み、STEP6で回転数制御手段8デューティ比を上昇し、STEP10に進む。これによりON時間が増加するのでDCモータ4への印加電圧が上昇しDCモータ4の回転数が上昇する。
【0026】
STEP5でデューティ比が100%であれば、STEP7に進み、STEP7で基準回転数を指令回転数より低く、回転数演算手段9で演算された回転数より低くその回転数に最も近い回転数を設定回転数記憶手段14から選択し、設定し、STEP10に進む。
【0027】
STEP4で回転数演算結果が基準回転数より小さくない場合はSTEP8に進む。
【0028】
STEP8で回転数演算結果が基準回転数より大きい場合はSTEP9に進み、回転数制御手段8はデューティ比を下降する。これによりON時間が減少するのでDCモータ4への印加電圧が下降しDCモータ4の回転数が下降する。
【0029】
STEP8で回転数演算結果が基準回転数より大きくない場合はSTEP10に進む。
【0030】
STEP10では基準回転数が指令回転数以上であればSTEP1に戻り、再度指令回転数を基準回転数として記憶する。そうでなければSTEP11に進み、STEP11で回転数制御手段8からの出力されるデューティ比が90%以下かを判断し、STEP11で回転数制御手段8からの出力されるデューティ比が90%以下でなければ、STEP2に戻る。
【0031】
STEP11で回転数制御手段8からの出力されるデューティ比が90%以下であればSTEP1に戻り、再度指令回転数を基準回転数として記憶する。
【0032】
よって、現状の回転数より大きい指令回転数が入力されデューティ比が100%に達しない場合は、STEP1,STEP2,STEP3,STEP4,STEP5,STEP6,STEP10と進み回転数制御手段8はデューティ比を徐々に上昇させることで、DCモータ4の回転数を上昇させ、基準回転数と回転数演算結果が同じになれば、STEP1,STEP2,STEP3,STEP8,STEP10と進み、回転数制御手段8はデューティ比を変化させなくなり、DCモータ4の回転数を基準回転数に維持する。
【0033】
デューティ比が100%となった場合は、STEP1,STEP2,STEP3,STEP4,STEP5,STEP7,STEP10進み、基準回転数を回転数演算手段9で演算された回転数より低くその回転数に最も近い回転数を選択した回転数としてSTEP2に戻り、STEP3と進み、STEP4で基準回転数が回転数演算手段9で演算された回転数より低いため、STEP8に進み、STEP8,STEP9と進み、デューティ比を下降させ、回転数制御手段8はデューティ比を徐々に下降させることでDCモータ4の回転数を下降させる。
【0034】
基準回転数と回転数演算結果が同じになれば、STEP2,STEP3,STEP8,STEP10と進み、回転数制御手段8はデューティ比を変化させなくなり、DCモータ4の回転数を基準回転数に維持する。
【特許文献1】特開昭62−66080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
しかしながら、上記従来の構成では、冷蔵庫等の負荷が過負荷状態であったり、入力電圧が低下したりした場合において、最高回転数が指令回転数として入力されれば、回転数制御手段8はデューティ比を上昇させるが、デューティ比が100%、つまり全ての時間がONとなった時点で共振を避けた回転数で運転することとなる。
【0036】
このとき負荷状態によっては共振を避けた回転数で運転した時点でデューティ比が低下し、すぐに再度指令回転数で運転することがあり、指令回転数と共振を避けた回転数で交互に運転する状態を繰り返す事となり、運転する回転数による圧縮機15の変動音が生じる。
【0037】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、共振を避けた回転数に運転回転数を変更した際には、一定時間その回転数で運転することで、圧縮機の変動音をなくすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機の制御装置は、回転数演算手段で回転数を演算し、指令回転数の回転数と算出されたモータの回転数を比較し、回転数制御手段でモータの回転数が指令回転数となるように制御し、回転数制御手段からの出力がデューティ比100%であれば指令回転数より低い回転数を設定回転数記憶手段に記憶された設定回転数から選択し、選択した回転数と回転数演算手段で演算した回転数を比較し、選択された回転数で一定時間運転するように制御するので、変動した回転数で運転することがなくなる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の圧縮機の制御装置は、圧縮機が変動した回転数で運転することがなくなり、圧縮機の変動音をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
請求項1に記載の発明は、モータに印加する電圧をキャリア周期内においてオン時間の割合であるデューティ比を調整して電圧の制御を行い、前記モータを可変速制御する圧縮機の制御装置において、デューティ比が100%になった場合に前記圧縮機の共振を避けた回転数を選択して一定時間運転するもので、圧縮機が変動した回転数で運転することがなくなる。
【0041】
請求項2に記載の発明は、複数個の半導体スイッチをブリッジ結線したインバータ回路と、モータの回転子の位置を検出すると共に位置検出信号を発生する位置検出手段と、前記位置検出手段の出力をもとに前記インバータ回路の動作を決定し転流パルスを出力する転流手段と、圧縮機の回転数を可変にするためにキャリア周期内においてオン時間の割合であるデューティ比を調整し電圧の制御を行う回転数制御手段と、前記転流手段の出力と前記回転数制御手段の出力により前記インバータ回路を動作させるドライブ手段と、前記位置検出手段の出力から前記モータの回転数を演算する回転数演算手段と、前記モータを運転することができる回転数を記憶した設定回転数記憶手段と、指令回転数の回転数と前記回転数演算手段で算出された前記モータの回転数を比較し、前記モータの回転数が指令回転数となるよう前記回転数制御手段に出力する、回転数回転手段と、前記回転数制御手段から出力されるデューティ比が100%になれば動作するタイマを備えた圧縮機の制御装置において、前記回転数制御手段から出力されるデューティ比が100%になれば指令回転数より低い回転数を前記設定回転数記憶手段に記憶された設定回転数から選択し、前記圧縮機を運転し、前記タイマが設定値になった後に、前記回転数制御手段から出力されるデューティ比が一定値以下になれば指令回転数と回転数演算手段で演算した回転数を比較するようにした前記回転数比較手段を備えたものであり、圧縮機が変動した回転数で運転することがなくなる。
【0042】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、回転数制御手段の出力されるデューティ比が100%になれば指令回転数より低く、回転数演算手段で演算した回転数以下の回転数を設定回転数から選択するようにしたもので、請求項1に記載の発明の効果に加えてさらに、冷蔵庫等の冷却性能の低下を最小限にし、圧縮機が変動する回転数を最小限にすることができる。
【0043】
請求項4に記載の内容は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、冷蔵庫を制御するものであって、圧縮機の変動音を低減できるため、変動音の少ない冷蔵庫を提供することができる。
【0044】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における圧縮機の制御装置の回路図、図2は、同実施の形態における圧縮機の制御装置のフローチャートであり、DCモータの回転数の変化を防止する動作を説明するものである。
【0045】
図1において、AC/DC変換手段101、商用電源102、インバータ回路103、モータであるDCモータ104、圧縮機115及びインバータ回路103を構成する、6つのスイッチング素子T101,T102,T103,T104,T105,T106は従来例と同様のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0046】
制御回路105は、回転子104aの位置を検出する位置検出手段106、転流手段107、回転数制御手段108、回転数演算手段109、指令回転数検出手段110、回転数比較手段111、タイマ117、合成手段112、ドライブ手段113より構成されている。
【0047】
位置検出手段106、転流手段107、位置検出信号を転流手段107、回転数制御手段108、回転数演算手段109、回転数演算手段109、指令回転数検出手段110、合成手段112、ドライブ手段113、設定回転数記憶手段114は従来例と同様のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0048】
回転数比較手段111は回転数演算手段109からのDCモータ104の回転数と指令回転数検出手段110からの指令回転数を比較し、DCモータ104の回転数が指令回転数より小さい場合はデューティ比を増加する出力を回転数制御手段108に出力し、回転数制御手段108はデューティ比を増加させDCモータ104に印加される電圧を増加させることで回転数を上昇させる。
【0049】
DCモータ104の回転数が指令回転数より大きい場合はデューティ比を下降する出力を回転数制御手段108に出力し、回転数制御手段108はデューティ比を減少させDCモータ104に印加される電圧を減少させることで回転数を下降させる。
【0050】
また、回転数制御手段108は現状のデューティ比を回転数比較手段111とタイマ117に出力している。
【0051】
回転数比較手段111は、回転数制御手段108から出力されるデューティ比が100%であれば、回転数演算手段109で演算された回転数が指令回転数より低い場合に、回転数演算手段109で演算された回転数より低くその回転数に最も近い回転数を設定回転数記憶手段114から選択し、選択した回転数と回転数演算手段109で演算された回転数を比較する。
【0052】
また、タイマ117は、回転数制御手段108から出力されるデューティ比が100%であれば一定時間動作を開始し、タイマ117動作中は回転数比較手段111に出力する。
【0053】
回転数比較手段111はタイマ117の動作中は回転数制御手段108からの出力がされるデューティ比を検出しないようにしてある。
【0054】
そして、タイマ117の動作が終了し、出力がなくなれば、回転数制御手段108からの出力がされるデューティ比を読み込み、回転数制御手段108からの出力がされるデューティ比が90%以下であれば、指令回転数と回転数演算手段109で演算された回転数を比較するようにするものである。
【0055】
以上のように構成された圧縮機115の制御装置について、以下そのDCモータ104の回転数を昇降する動作について図2を用いて説明する。
【0056】
圧縮機115の制御装置がDCモータ104を運転中に指令回転数検出手段110で冷蔵庫等の制御装置からの指令回転数の変更を受信するとDCモータ104の回転数を変更するように制御する。
【0057】
STEP101で指令回転数を基準回転数として記憶する。
【0058】
STEP102で回転数演算手段109は位置検出手段106の信号よりDCモータ104の回転数を演算し、STEP103で回転数比較手段111は指令回転数検出手段110で検出した指令回転数と回転数演算手段109で演算したDCモータ104の回転数演算結果を比較する。
【0059】
STEP104で回転数演算結果が指令回転数より小さい場合はSTEP105に進み、STEP105で回転数比較手段111は回転数制御手段108からの出力されるデューティ比が100%かを判断する。デューティ比が100%でなければSTEP106に進み、STEP106で回転数制御手段108デューティ比を上昇し、STEP110に進む。これによりON時間が増加するのでDCモータ104への印加電圧が上昇しDCモータ104の回転数が上昇する。
【0060】
また、STEP105でデューティ比が100%であれば、STEP107に進み、STEP107で基準回転数を指令回転数より低く、回転数演算手段109で演算された回転数より低くその回転数に最も近い回転数を設定回転数記憶手段114から選択し、設定する。
【0061】
そして、STEP110に進み、タイマ117をONするSTEP120、STEP110と進む。
【0062】
STEP104において、回転数演算結果が基準回転数より小さくない場合はSTEP108に進む。
【0063】
STEP108において、回転数演算結果が基準回転数より大きい場合はSTEP109に進み、回転数制御手段108はデューティ比を下降する。これによりON時間が減少するのでDCモータ104への印加電圧が下降しDCモータ104の回転数が下降する。
【0064】
STEP108において、回転数演算結果が基準回転数より大きくない場合はSTEP110に進む。
【0065】
STEP110において、基準回転数が指令回転数以上であればSTEP101に戻り、再度指令回転数を基準回転数として記憶する。そうでなければSTEP130に進みタイマ117が動作中であればSTEP102に戻り、動作が終了していればSTEP111に進み、STEP11で回転数制御手段108からの出力されるデューティ比が90%以下かを判断し、STEP111で回転数制御手段108からの出力されるデューティ比が90%以下でなければ、STEP102に戻る。
【0066】
STEP111において、回転数制御手段108からの出力されるデューティ比が90%以下であればSTEP101に戻り、再度指令回転数を基準回転数として記憶する。
【0067】
従って、現状の回転数より大きい指令回転数が入力されデューティ比が100%に達しない場合は、STEP101、STEP102、STEP103、STEP104、STEP105、STEP106、STEP110と進み、回転数制御手段108はデューティ比を徐々に上昇させることで、DCモータ104の回転数を上昇させ、基準回転数と回転数演算結果が同じになれば、STEP101、STEP102、STEP103、STEP104、STEP108、STEP109、STEP110と進み、回転数制御手段108はデューティ比を変化させなくなり、DCモータ104の回転数を基準回転数に維持する。
【0068】
デューティ比が100%となった場合は、STEP101、STEP102、STEP103、STEP104、STEP105、STEP107、STEP120、STEP110と進み、基準回転数を回転数演算手段109で演算された回転数より低く、かつその回転数に最も近い回転数を選択した回転数とし、タイマ117がONであるため、STEP130、STEP102と戻り、STEP103と進み、STEP104で基準回転数が回転数演算手段109で演算された回転数より低いため、STEP108に進み、STEP108、STEP109と進み、デューティ比を下降させ、回転数制御手段108はデューティ比を徐々に下降させることでDCモータ104の回転数を下降させる。
【0069】
基準回転数と回転数演算結果が同じになれば、STEP102、STEP103、STEP108、STEP110とSTEP9を通らずに進み、回転数制御手段108はデューティ比を変化させなくなり、DCモータ104の回転数を基準回転数に維持する。
【0070】
また、STEP110で基準回転数が回転数演算手段109で演算された回転数より低く、かつその回転数に最も近い回転数に設定されていれば、STEP130に進みタイマ117の動作中はSTEP111でデューティ値の判断をしないので、タイマ117が動作中の一定時間は変更された回転数で圧縮機115を運転することとなる。
【0071】
このような運転を続けていれば、タイマ117の動作が終了し、冷蔵庫の庫内が冷却されて、次第に過負荷状態が解消されDCモータ104に印加する電圧を減少させても回転数を維持できるようになる。
【0072】
よって、STEP110で基準回転数が回転数演算手段109で演算された回転数より低く、かつその回転数に最も近い回転数に設定されていれば、STEP130に進みタイマ117の動作が終了していれば、STEP111に進み、デューティ比が90%以下であればSTEP101に進み、基準回転数を指令回転数に設定し、通常の制御となる。
【0073】
本実施の形態ではデューティ比が90%以下としたが、この値は実験等により基準回転数を指令回転数に戻してもDCモータ104が指令回転数で運転できるデューティ比を算出するものである。
【0074】
また、現状の回転数より小さい指令回転数が入力された場合は、STEP101,STEP102,STEP103,STEP104,STEP108,STEP109,STEP110と進み、回転数制御手段108はデューティ比を徐々に下降させることで、DCモータ104の回転数を下降させ、基準回転数と回転数演算結果が同じになれば、STEP101,STEP102,STEP103,STEP108,STEP110と進み、回転数制御手段108はデューティ比を変化させなくなり、DCモータ104の回転数を基準回転数に維持する。
【0075】
従って、通常時はDCモータ104の回転数を指令回転数と同じになるようデューティ比を増加,減少させるよう制御し、デューティ比が100%になれば、圧縮機115を共振回転数で回転することがないよう一定時間制御することで、圧縮機115の回転数変動による変動音をなくすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明にかかる圧縮機の制御装置は、圧縮機の運転回転数変化による変動音をなくすことができるという機能を有するので、圧縮機のインバータ駆動装置や冷蔵庫制御に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態1における圧縮機の制御装置の回路図
【図2】同実施の形態における圧縮機の制御装置のフローチャート
【図3】従来の圧縮機の制御装置の回路図
【図4】従来の圧縮機の制御装置のフローチャート
【符号の説明】
【0078】
103 インバータ回路
104 DCモータ(モータ)
104a 回転子
106 位置検出手段
107 転流手段
108 回転数制御手段
109 回転数演算手段
111 回転数比較手段
113 ドライブ手段
114 設定回転数記憶手段
117 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに印加する電圧をキャリア周期内においてオン時間の割合であるデューティ比を調整して電圧の制御を行い、前記モータを可変速制御する圧縮機の制御装置において、デューティ比が100%になった場合に前記圧縮機の共振を避けた回転数を選択して一定時間運転する圧縮機の制御装置。
【請求項2】
インバータ回路と、モータの回転子の位置を検出すると共に位置検出信号を発生する位置検出手段と、前記位置検出手段の出力をもとに前記インバータ回路の動作を決定し転流パルスを出力する転流手段と、圧縮機の回転数を可変にするためにキャリア周期内においてオン時間の割合であるデューティ比を調整し電圧の制御を行う回転数制御手段と、前記転流手段の出力と前記回転数制御手段の出力により前記インバータ回路を動作させるドライブ手段と、前記位置検出手段の出力から前記モータの回転数を演算する回転数演算手段と、前記モータを運転することができる回転数を記憶した設定回転数記憶手段と、指令回転数の回転数と前記回転数演算手段で算出された前記モータの回転数を比較し、前記モータの回転数が指令回転数となるよう前記回転数制御手段に出力する回転数比較手段と、前記回転数制御手段から出力されるデューティ比が100%になれば動作するタイマを備えた圧縮機の制御装置において、前記回転数制御手段から出力されるデューティ比が100%になれば指令回転数より低い回転数を前記設定回転数記憶手段に記憶された設定回転数から選択し、前記圧縮機を運転し、前記タイマが設定値になった後に、前記回転数制御手段から出力されるデューティ比が一定値以下になれば指令回転数と前記回転数演算手段で演算した回転数を比較するようにした前記回転数比較手段を備えたことを特徴とした圧縮機の制御装置。
【請求項3】
回転数制御手段の出力されるデューティ比が100%になれば指令回転数より低く、回転数演算手段で演算した回転数以下の回転数を設定回転数から選択する請求項1に記載の圧縮機の制御装置。
【請求項4】
冷蔵庫を制御するものである請求項1から3のいずれか一項記載の圧縮機の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−127216(P2010−127216A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303984(P2008−303984)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】