説明

圧縮空気注油器

本発明は、圧縮空気用流通路(2)及び油容器(3)を持つハウジング(1)を含む圧縮空気注油器であって、流通路(2)が狭隘部(4)及び油容器(3)との少なくとも1つの接続部(6,7)を持ち、狭隘部(4)に接続される噴霧装置(8)が設けられているものに関する。空気流用に関して非常に大きい範囲にわたって、供給される一定の油量を保証し、非常に微細な油霧により大きい搬送長を与えるため、油容器(3)の底に設けられて空気用流出ノズル(15)及び油流入孔(16)を持つ噴霧装置(8)が、流通路(2)からその狭隘部(4)の前で分かれる導管(9)を介して空気を供給され、噴霧装置(8)から、狭隘部(4)へ通じかつ油霧を流通路(2)へ受入れかつ導入する導管(10)が延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気用流通路を持つハウジング及び油容器を持つ圧縮空気注油器であって、流通路が狭隘部及び油容器との少なくとも1つの接続部を持ち、狭隘部に接続される噴霧装置が設けられているものに関する。
【背景技術】
【0002】
油霧装置の公知の構造原理の1つは、直接空気流へではなく油容器への油の噴霧を含み、油供給のために必要な圧力差は、インジェクタ原理により、高い速度で噴霧ノズルのそばを流れる空気によって生じる。油霧流は、大きい油滴を分離するため、主空気流へ入れられる前に、衝突板において転向される。
【0003】
SMCのALD600/900シリーズの公知の装置は、差圧により油に気泡を発生し、出る際これらの気泡が油面で破裂し、それによりエールゾルを放出するので、直接の噴霧は行われない。ここで生じる非常に微細な油霧は、主空気通路へ導入される。それにより得られる主空気流中の油量は非常に小さく、例えば圧縮空気−回転板式液圧モータにとって全く不十分である。
【0004】
ノルグレンマイクロフォグクロフォグ注油器では、油滴が主空気通路へ落下し、そこで霧化し、滴分離器を経て大きすぎる滴が分離される。滴原理に基くすべての装置におけるように、これは、油霧に含まれ従って負荷へも供給される油量が脈動するという欠点を持っている。
【0005】
欧州特許出願公開第65915号明細書に開示されている装置では、流通路から取出される圧縮空気が、導管を経て潤滑油貯蔵容器へ導入され、そこで潤滑油と混合される。生じる空気−油混合物は、分離して噴霧室の底に設けられる噴霧装置へ供給され、噴霧装置を経て噴霧室へ入れられる。噴霧室から空気−油混合物が、流通路の狭隘部へ開口する孔を経て、流通路へ導入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎になっている課題は、流量の非常に大きい範囲にわたって一定の油量を保証し、かつ非常に微細な油霧により大きい搬送長を与える圧縮空気油容器を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決策は、本発明の有利な構成及び展開を含めて、この明細書の後に置かれる特許請求の範囲の内容から明らかになる。
【0008】
本発明は、その基本原理において、油容器の底に設けられて空気用流出ノズル及び油流入孔を持つ噴霧装置が、流通路からその狭隘部の前で分かれる導管を介して空気を供給され、噴霧装置から、狭隘部へ通じかつ油霧を流通路へ受入れかつ導入する導管が延びているようにする。それにより滴油とは異なり、外部からの油供給量の望ましくない調節を可能にすることなく、主空気流への油の連続供給が補償される。平均油量(1mg/m〜100mg/m)までの非常に小さい油量でも確実に供給可能である。
【0009】
第1の実施形態によれば、狭隘部に少なくとも1つの弾性的に偏向可能な部分を持つせき止め板が設けられ、噴霧装置へ至る導管が、このせき止め板の前で分かれている。
【0010】
有利なように、狭隘部がベンチュリノズルとして構成することができる。これは高い効率を可能にする。なぜならば、ベンチュリノズル及び場合によってはせき止め板のほかに、別の流れ障害物が主空気通路に存在しないからである。
【0011】
有利なように、油霧用導管が、せき止め板のすぐ後で狭隘部へ通じているようにすることができる。
【0012】
本発明の別の特徴により、油霧用導管に滴分離器が設けられている。非常に微細で従って遠くへ搬送可能な油霧の連続的な供給が保証される。
【0013】
有利なように、滴分離器が、場合によっては孔により規定される開口を備えた衝突板及び油霧転向体によって形成されている。
【0014】
本発明の有利な実施形態によれば、噴霧装置の油流入孔が、側方へ自由に動くノズルニードルを中心に持つ環状ノズルとして構成されている。それにより圧縮空気注油器が逆流しないので、正常作動中に流通方向とは逆向きに排気する際、過度な油供給を生じることがない。
【0015】
図面に示されている有利な実施例により、本発明が以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明による圧縮空気注油器の断面図を示す。
【図2】 噴霧装置を持つ油容器の下部範囲を拡大寸法で示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
圧縮空気注油器の図1に示されている実施例は、圧縮空気用流通路2を持つハウジング1を示している。
【0018】
流通路2には、なるべくベンチュリノズル4として構成されて有利なようにせき止め板5を持つ狭隘部がある。このせき止め板5はなるべく1つの弾性的に転向可能な部分を持ち、この部分が非常に大きい圧力範囲にわたってほぼ一定な圧力差を生じる。流通方向においてベンチュリノズル4の前に、かつ適当なせき止め板5の前に、流通路2と容器3との接続個所6がある。ベンチュリノズル4の狭隘個所には、流通路2と容器3との第2の接続個所7がある。両方の狭隘個所6,7はなるべく滑り板13により閉じることができる。
【0019】
両方の狭隘個所6,7は、図2に一層大きい寸法で詳細に示されている噴霧装置8に接続されている。第1の接続個所6から、ホース9が噴霧装置8へ至り、噴霧装置8は実質的に剛性の管10を介して第2の接続個所7に接続され、管10が噴霧装置8を機械的にも保持又は固定している。噴霧装置8から第2の接続個所へ至る管10の上部において、ハウジング1への移行部のすぐ前に滴分離器11が設けられている。
【0020】
噴霧装置8は、機能を外部から監視できるようにするため、容器3の最も深い点でなるべく点検ガラス17内に設けられ、1つ又は複数の空気ノズル15及び1つ又は複数の油流入孔16を含むノズル板14から成っている。油流入孔16は環状ノズルとして構成され、中央に側方へ自由に可動なノズルニードル18を持ち、このノズルニードル18が一方では油の流通を限定し、他方ではその可動性によりノズルのふさがりを防止する。
【0021】
圧縮空気が注油器を通って流れると、ベンチュリノズル4及び場合によってはせき止め板5により、容器3と流通路2との間に差圧が発生される。今や接続個所6から空気がホース9を経て噴霧装置8へ流入する。ノズル15から出る空気は、まず管10にある油を上方へ押すが、この油は滴分離器11にある側方開口を通って再び容器3へ流れ戻る。その場合噴霧装置8に生じる油霧は、空気流により滴分離器11へ送られる。
【0022】
滴分離器11は、油霧のみが滴と共に特定の量まで更に搬送されるように、寸法を定められかつ調節可能である。分離されるすべての滴は油容器3へ戻る。そのため滴分離器11は衝突板12を含み、噴霧装置8から渦を巻いて上がる滴がこの衝突板12へ当たる。管10の空気流は、衝突板12により側方へ管10外へ転向され、衝突板12より上で再び管10へ入り、続いて接続個所7へ達し、そこで油霧が流通路2へ達する。側方転向の大きさ及び管10における開口の長さは、分離される滴の数及び大きさを決定する。衝突板12は、要求される油量に応じて、1つ又は複数の穴を持つようにも構成可能である。
【0023】
管10にある入口の上で衝突板12の上に取付け可能で移動可能な適当なスリーブによって、小油滴と共に空気流が管10へ再び入るための入口の断面を更に変化することができる。それにより接続個所7を経て主空気流へ導かれる油霧のそれ以上の配量が可能である。
【0024】
本発明による圧縮空気注油器は、作動中に油容器3の追加充填が可能であるという付加的な利点を持っている。全システムは圧力を受けているが、油を容器3へ追加充填することができる。そのためハウジング1にある注入ねじが、1回転以下なるべく90°だけ、停止突起へ向かって回される。この回転中に、注入ねじの下端に偏心して設けられているピンが、容器3へ至る流通路2の接続孔6,7を遮断する滑り板13を動かす。ストッパへ達する直前に、周囲への容器3の圧力逃がしが行われる。それから注入ねじの回転を限定したストッパ突起が下方へ押され、それにより注入ねじが別の値なるべく90°だけ回されて、ハウジング1から引抜かれる。その時油を、今や圧力のない容器へ注入することができる。それから注入ねじがハウジング1へはめられ、ストッパ突起を介して回し戻される。この回転中に注油器は再び圧密にされ、流通路2へ至る接続孔6,7が滑り板13により再び開かれるので容器3が再び圧力を受ける。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気用流通路(2)及び油容器(3)を持つハウジング(1)を含む圧縮空気注油器であって、流通路(2)が狭隘部(4)及び油容器(3)との少なくとも1つの接続部(6,7)を持ち、狭隘部(4)に接続される噴霧装置(8)が設けられているものにおいて、油容器(3)の底に設けられて空気用流出ノズル(15)及び油流入孔(16)を持つ噴霧装置(8)が、流通路(2)からその狭隘部(4)の前で分かれる導管(9)を介して空気を供給され、噴霧装置(8)から、狭隘部(4)へ通じかつ油霧を流通路(2)へ受入れかつ導入する導管(10)が延びていることを特徴とする、圧縮空気注油器。
【請求項2】
狭隘部(4)に少なくとも1つの弾性的に偏向可能な部分を持つせき止め板(5)が設けられ、噴霧装置(8)へ至る導管(9)が、このせき止め板(5)の前で分かれていることを特徴とする、請求項1に記載の圧縮空気注油器。
【請求項3】
狭隘部(4)がベンチュリノズルとして構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧縮空気注油器。
【請求項4】
油霧を受入れかつ導入する導管(10)が、せき止め板(5)のすぐ後で狭隘部へ通じていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の圧縮空気注油器。
【請求項5】
油霧を受入れかつ導入する導管(10)に滴分離器(11)が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載の圧縮空気注油器。
【請求項6】
滴分離器(11)が、場合によっては孔により規定される開口を備えた衝突板(12)及び油霧転向体によって形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の圧縮空気注油器。
【請求項7】
噴霧装置(8)の油流入孔(16)が、側方へ自由に動くノズルニードル(18)を中心に持つ環状ノズルとして構成されていることを特徴とする、請求項1〜6の1つに記載の圧縮空気注油器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−512372(P2012−512372A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543982(P2011−543982)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008983
【国際公開番号】WO2010/072356
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511159598)パルケル−オリガ・プノイマテイク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】