説明

圧縮空気除湿装置および圧縮空気除湿装置の制御方法

【課題】2台以上の圧縮機を適切に制御して、過負荷または省エネルギーを達成することが可能、または長寿命化を図ることが可能な圧縮空気除湿装置または圧縮空気除湿方法を提供する。
【解決手段】圧縮空気を冷却して水分を結露させることにより、除湿を行うための圧縮空気除湿装置10であり、冷媒を圧縮するための複数の圧縮機40と、複数の圧縮機40により圧縮された後に液化がなされた冷媒が導入され、この冷媒を蒸発させるための蒸発器22と、蒸発器22への接触によって除湿がなされた圧縮空気の温度を計測するための第1温度計測手段110と、蒸発器22から圧縮機40に向かう冷媒の温度を計測するための第2温度計測手段120と、第1温度計測手段110による温度の計測結果と第2温度計測手段120により温度の計測結果とに基づいて、複数の圧縮機40の中から作動させる圧縮機40の台数を変動させる制御手段100と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気除湿装置および圧縮空気除湿装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より圧縮空気除湿装置が知られているが、この圧縮空気除湿装置においては、空気を圧縮した圧縮空気を熱交換機に導入する。そして、その熱交換機の内部に存在する蒸発器に圧縮空気を接触させる。すると、圧縮空気が露点温度まで冷却され、その圧縮空気の内部に含まれている水分が結露する。それにより、圧縮空気中から水分を除去している。
【0003】
ここで、圧縮空気除湿装置の中には、特許文献1に開示されているようなタイプが存在する。特許文献1に開示されている圧縮空気除湿装置は、冷媒を圧縮する圧縮機を2つ備える構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−311456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示されている圧縮空気除湿装置においては、常に優先的に運転される第1の圧縮機と、この第1の圧縮機の運転中に冷凍サイクルの運転能力に応じて運転または停止される第2の圧縮機とを備える構成を採用している。しかしながら、この特許文献1に開示されている構成では、どのようなタイミングで、第2の圧縮機の運転または停止を行うのかについては、明らかにされていない。
【0006】
ここで、第1の圧縮機のみを作動させる場合、当該第1の圧縮機に過負荷状態が生じる場合がある。たとえば、露点温度が10度になるように圧縮空気を冷却している状態から、露点温度が15度になるように圧縮空気を冷却する状態に移行する場合において、1台の圧縮機のみを作動させるようにすることがある。この状態で、ユーザが多くの空気を入れるように制御すると、現在運転している1台の圧縮機において、過負荷状態となる。その場合、冷媒の温度が上昇していき、それを抑えるべく圧縮機を作動させるようにモータを駆動させると、結果として圧縮機のモータの温度上昇を来たし、場合によっては、圧縮機の安全装置が作動して、運転を強制的に停止させる状態が発生しかねない。
【0007】
これとは逆に、2台の圧縮機を作動させている状態において、露点温度が徐々に降下していくと、必要以上に圧縮機を作動させている状態となり、エネルギー効率が悪いものとなる、という問題がある。すなわち、省エネルギーの要請に反するものとなってしまう。
【0008】
これらの問題を解決するためには、2台またはそれ以上の台数の圧縮機の作動または作動停止を適切に制御する必要があるが、そのような点は、特許文献1には、何等開示されていない。
【0009】
一方、圧縮機においては、長寿命化の要望もあるが、2台以上の圧縮機が存在する場合において、それらの作動または作動停止を適切に制御しない場合には、長寿命化の要望を満たすことができない。この点についても、特許文献1には何等開示がない。
【0010】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、上述の課題のうち少なくとも1つを解決するべく、2台以上の圧縮機を適切に制御することにより、過負荷または省エネルギーを達成することが可能である、あるいは長寿命化を図ることが可能な圧縮空気除湿装置または圧縮空気除湿装置の制御方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の圧縮空気除湿装置の第1の側面は、圧縮空気を導入し、この圧縮空気を冷却することにより当該圧縮空気に含まれる水分を結露させることにより、除湿を行うための圧縮空気除湿装置であって、冷媒を圧縮するための複数の圧縮機と、複数の圧縮機により圧縮された後に、液化がなされた冷媒が導入されると共に、当該冷媒を蒸発させるための蒸発器と、蒸発器への接触によって除湿がなされた圧縮空気の温度を計測するための第1温度計測手段と、蒸発器から圧縮機に向かう冷媒の温度を計測するための第2温度計測手段と、第1温度計測手段による温度の計測結果と第2温度計測手段により温度の計測結果とに基づいて、複数の圧縮機の中から作動させる圧縮機の台数を変動させる制御手段と、を具備するものである。
【0012】
このように構成する場合には、作動させるべき圧縮機の台数を、第1温度計測手段による温度の計測結果と、第2温度計測手段による温度の計測結果とに基づいて、適切に制御することが可能となる。特に、第1温度計測手段による圧縮空気の温度のみならず、第2温度計測手段によって冷媒の温度を計測していることにより、当該冷媒の温度と作動状況が密接に関連する圧縮機の作動を、より適切に制御することが可能となる。
【0013】
また、本発明の圧縮空気除湿装置の他の側面は、上述の発明に加えて更に、制御手段は、第2温度計測手段により計測される冷媒の温度が冷媒温度閾値を下回る状態が所定時間継続したと判断され、さらに第1温度計測手段により計測される圧縮空気の温度が圧縮空気温度閾値を下回ったと判断された場合に、複数の圧縮機のうち現在作動している圧縮機を除いた中から、少なくとも1台の圧縮機を停止させる制御を行う、ことが好ましい。
【0014】
このように構成する場合には、冷媒の温度が冷媒温度閾値を下回る状態が所定時間継続し、さらに圧縮空気の温度が圧縮空気温度閾値を下回ったと判断された場合に、複数の圧縮機のうち現在作動している圧縮機を除いた中から、少なくとも1台の圧縮機を停止させる制御を行っている。このため、必要以上に圧縮機を作動させている状態を解消可能となり、圧縮空気除湿装置の作動に要する消費エネルギーを削減することが可能となる。
【0015】
ここで、冷媒の温度が冷媒温度閾値を下回っても直ぐに少なくとも1台の圧縮機を停止させる制御を行わずに、冷媒の温度が冷媒温度閾値を下回る状態が所定時間継続した後に、少なくとも1台の圧縮機を停止させるように制御しているため、たとえば冷媒の温度が冷媒温度閾値の近傍で変動したとしても、頻繁に圧縮機の作動と停止とが切り替えられるのを防止することができる。それにより、圧縮機の寿命を延ばすことが可能となり、ひいては圧縮空気除湿装置の寿命を延ばすことが可能となる。
【0016】
さらに、本発明の圧縮空気除湿装置の他の側面は、上述の発明に加えて更に、制御手段は、第1温度計測手段により計測される圧縮空気の温度が圧縮空気温度閾値を上回ったと判断される場合、または第2温度計測手段により計測される冷媒の温度が冷媒温度閾値を上回ったと判断される場合であって、新たに起動させる予定の圧縮機の前回の停止からの経過時間が規定時間に到達したと判断される場合に、当該起動させる予定の圧縮機を作動させる制御を行う、ことが好ましい。
【0017】
このように構成する場合には、圧縮空気の温度が圧縮空気温度閾値を上回ったと判断される場合、または冷媒の温度が冷媒温度閾値を上回ったと判断される場合であって、新たに起動させる予定の圧縮機の前回の停止からの経過時間が規定時間に到達したと判断される場合に、起動させる予定の圧縮機を作動させるように制御している。そのため、圧縮空気の温度上昇、または冷媒の温度上昇に伴って、現在作動させられている圧縮機の負荷を軽減し、現在作動させられている圧縮機が過負荷状態となるのを解消可能となる。
【0018】
ここで、圧縮空気の温度が圧縮空気温度閾値を上回ったと判断されるか、または冷媒の温度が冷媒温度閾値を上回ったと判断されても、直ぐに新たな圧縮機を作動させることはせずに、新たに起動させる予定の圧縮機の前回の停止からの経過時間が規定時間に到達したと判断される場合に、起動させる予定の圧縮機を作動させるようにしている。そのため、たとえば冷媒の温度が冷媒温度閾値の近傍で変動する場合、または圧縮空気の温度が圧縮空気温度閾値の近傍で変動する場合であっても、頻繁に圧縮機の作動と停止とが切り替えられるのを防止することができる。それにより、圧縮機の寿命を延ばすことが可能となり、ひいては圧縮空気除湿装置の寿命を延ばすことが可能となる。
【0019】
また、本発明の圧縮空気除湿装置の他の側面は、上述の各発明に加えて更に、制御手段は、複数の圧縮機のうちいずれか一の圧縮機の累積作動時間をカウントすると共に、他の圧縮機の累積作動時間をカウントすると共に、いずれか一の圧縮機の累積作動時間が、所定の切り替え閾値に到達した場合に、他の圧縮機の中から少なくとも1台の圧縮機を、いずれか一の圧縮機と共に作動させると共に、所定のオーバーラップ時間が経過した後に、いずれか一の圧縮機の作動を停止させる制御を行う、ことが好ましい。
【0020】
このように構成する場合には、現在作動させている圧縮機の作動を停止させ、現在停止している圧縮機を作動させるというような、運転の切り替えを、制御手段に基づいて制御可能となる。ここで、現在作動させている圧縮機の作動を停止させる前に、現在停止している他の圧縮機と共に、現在作動している圧縮機を、所定のオーバーラップ時間だけ作動させている。そのため、圧縮機の運転切り替え時に、いずれの圧縮機も作動していない、という状態を解消可能となり、圧縮空気除湿装置の性能を、運転切り替え時においても維持可能となる。
【0021】
さらに、他の発明は、圧縮空気を導入し、この圧縮空気を冷却することにより当該圧縮空気に含まれる水分を結露させることにより、除湿を行うための圧縮空気除湿装置の制御方法であって、冷媒を圧縮するための複数の圧縮機と、複数の圧縮機により圧縮された後に、液化がなされた冷媒が導入されると共に、当該冷媒を蒸発させるための蒸発器と、蒸発器への接触によって除湿がなされた圧縮空気の温度を計測するための第1温度計測手段と、蒸発器から圧縮機に向かう冷媒の温度を計測するための第2温度計測手段と、を具備し、第1温度計測手段による温度の計測結果と第2温度計測手段により温度の計測結果とに基づいて、複数の圧縮機の中から作動させる圧縮機の台数を変動させる制御を行う、ことが好ましい。
【0022】
このように構成する場合には、作動させるべき圧縮機の台数を、第1温度計測手段による温度の計測結果と、第2温度計測手段による温度の計測結果とに基づいて、適切に制御することが可能となる。特に、第1温度計測手段による圧縮空気の温度のみならず、第2温度計測手段によって冷媒の温度を計測していることにより、当該冷媒の温度と作動状況が密接に関連する圧縮機の作動を、より適切に制御することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、2台以上の圧縮機を適切に制御することにより、過負荷または省エネルギーを達成することが可能となる。また、圧縮機の長寿命化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の形態の一実施の形態に係る圧縮空気除湿装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の圧縮空気除湿装置における制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の圧縮空気除湿装置の第1の停止条件のイメージを示す図である。
【図4】図1の圧縮空気除湿装置の第2の停止条件のイメージを示す図である。
【図5】図1の圧縮空気除湿装置の第1の作動(起動)条件のイメージを示す図である。
【図6】図1の圧縮空気除湿装置の第2の作動(起動)条件のイメージを示す図である。
【図7】図1の圧縮空気除湿装置の圧縮機の運転切り替えのイメージを示す図である。
【図8】本発明の変形例に係る圧縮空気除湿装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の変形例に係るフィルタ機構近傍の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る圧縮空気除湿装置10について、図1から図7に基づいて説明する。
【0026】
なお、以下の各説明においては、「上回る」、「下回る」、「到達する」、「経過する」等の各表現においては、境界点が含まれる場合と含まれる場合の両方が該当するものとし、その境界点には多少の誤差が含まれるものとして説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態における圧縮空気除湿装置10の概略構成を示す図である。圧縮空気除湿装置10は、熱交換機20、アキュムレータ30、第1圧縮機40A、第2圧縮機40B、逆止弁50A,50B、オイルセパレータ60、凝縮器70、冷媒ドライヤ80、キャピラリチューブ90を具備している。これらの各構成要素は、冷媒管路11によって接続されていて、この冷媒管路11によって、上述の各構成要素に冷媒が供給される構成となっている。また、圧縮空気除湿装置10は、上述の各構成要素に加えて、制御部100を備えると共に、第1温度センサ110および第2温度センサ120を有している。
【0028】
図1に示すように、熱交換機20は、チャンバ21と、蒸発器22と、再熱器23とを備えている。これらのうち、チャンバ21は、空気導入口211と空気排出口212とを備えている。空気導入口211は、不図示のエアーコンプレッサに接続されていて、熱交換機20のチャンバ21の内部に、エアーコンプレッサの作動によって送出される圧縮空気を導入するためのものである。また、空気排出口212は、除湿された圧縮空気を、外部機器等の空気を利用する部位に排出するための部分である。
【0029】
また、蒸発器22は、後述するキャピラリチューブ90を通過して減圧されている液体冷媒を蒸発させることにより、空気導入口211から導入された圧縮空気の熱を奪い、その圧縮空気に含まれている水分を結露させるための部分である。
【0030】
なお、本実施の形態における蒸発器22は、2台の圧縮機40A,40Bの作動に対応させている。すなわち、2台の圧縮機40A,40Bに対応させている蒸発器22は、1台の圧縮機のみに対応させている蒸発器と比較すると、圧縮空気との接触面積が大きなものとなっている。そのため、本実施の形態における蒸発器22は、1台の圧縮機のみに対応させている蒸発器と比較すると、温度上昇が生じやすくなっており、かかる温度上昇が生じやすいことに起因して、圧縮機40(モータ41)に過負荷が生じやすいものとなっている。
【0031】
また、再熱器23は、蒸発器22と接触することによって温度が低下している圧縮空気(除湿後の圧縮空気)の温度を上昇させるための部分である。この再熱器23には空気導入口211を介して、温度を低下させる前の圧縮空気が配管等を介して導入されると共に、蒸発器22による除湿後の圧縮空気も配管等を介して導入される。そして、これら温度低下前の圧縮空気と除湿後の圧縮空気との間で、熱交換を行うことにより、除湿後の空気の温度を上昇させることが可能となる。一方、温度を低下させる前の圧縮空気は、除湿後の圧縮空気と熱交換を行うことにより、蒸発器22に導入される前に予備的に冷却される状態となる。
【0032】
また、アキュムレータ30は、熱交換機20から戻る冷媒を、液体状の冷媒(以下、液体冷媒とする)と気体状の冷媒(以下、気体冷媒とする)とに分離し、気体冷媒のみを、第1圧縮機40Aまたは第2圧縮機40Bに送り込むための部分である。アキュムレータ30において、液体冷媒を第1圧縮機40Aまたは第2圧縮機40Bに送り込ませないように気体冷媒から分離させられることで、液圧縮によって第1圧縮機40Aまたは第2圧縮機40Bのシリンダが破損するのを防止している。
【0033】
また、第1圧縮機40Aは、第1モータ41Aを具備していて、この第1モータ41Aの駆動によって不図示のピストンを作動させることにより、気体冷媒を高圧に圧縮し、オイルセパレータ60側に送出する。なお、第2圧縮機40Bは、第2モータ41Bを備えているが、当該第2圧縮機40Bの構成は、第1圧縮機40Aと同様であるため、その説明は省略する。
【0034】
なお、以下の説明では、第1圧縮機40Aと第2圧縮機40Bを特に区別する必要がない場合には、単に圧縮機40と称呼する。また、以下の説明では、第1圧縮機40Aと第2圧縮機40Bとを総称する場合には、必要に応じて圧縮機40A,40Bと称呼する。同様に、以下の説明では、第1モータ41Aと第2モータ41Bを特に区別する必要がない場合には、単にモータ41と称呼する。また、以下の説明では、第1モータ41Aと第2モータ41とを総称する場合には、必要に応じてモータ41A,41Bと称呼する。
【0035】
また、逆止弁50Aは、第1圧縮機40Aによって圧縮された冷媒、または第2圧縮機40Bによって圧縮された冷媒が、第1圧縮機40A側に戻るのを防止するための弁である。同様に、逆止弁50Bは、第2圧縮機40Bによって圧縮された冷媒、または第1圧縮機40Aによって圧縮された冷媒が、第2圧縮機40B側に戻るのを防止するための弁である。
【0036】
オイルセパレータ60は、冷媒中に含まれているオイルを冷媒から分離し、分離されたオイルをアキュムレータ30側に戻すための部分である。
【0037】
また、凝縮器70は、第1圧縮機40Aまたは第2圧縮機40Bによって加圧されて高温となっている冷媒を冷却することにより液体冷媒へと凝縮するための部分である。なお、凝縮器70は、水冷方式または空冷方式のいずれの方式を採用しても良い。また、ペルチエ素子を用いる等、その他の冷却方式を採用しても良い。
【0038】
また、冷媒ドライヤ80は、冷媒中に含まれている水分を除去するものであり、たとえば乾燥剤を内部に充填している構成を採用している。
【0039】
キャピラリチューブ90は、液体冷媒の圧力を低下させるための部分である。このキャピラリチューブ90は、たとえば渦巻き状の毛細管を具備していて、その毛細管部分を液体冷媒が通過することにより、液体冷媒の圧力が低下する。
【0040】
上述の各構成要素に加えて、制御部100、第1温度センサ110、および第2温度センサ120を有している。なお、制御部100の構成については後述する。また、第1温度センサ110は、蒸発器22への接触によって除湿が為された後であって、再熱器23によって温度上昇が為される前の圧縮空気の温度を計測するためのものである。この第1温度センサ110によって計測された温度に基づく検出信号は、制御部100に送信される。なお、第1温度センサ110は、第1温度計測手段の一例に対応し、第2温度センサ120は、第2温度計測手段の一例に対応する。
【0041】
また、第2温度センサ120は、蒸発器22とアキュムレータ30の間の冷媒管路11(この冷媒管路11を、必要に応じて冷媒管路11aと称呼する。)に取り付けられている。それによって、蒸発器22から送出された冷媒の温度を検出することを可能としている。この第2温度センサ120によって計測された温度に基づく検出信号も、制御部100に送信される。なお、第2温度センサ120は、冷媒管路11aのうちいずれの部位に取り付けられていても良いが、当該冷媒管路11aのうち蒸発器22に近い部位に取り付けられる方が、より好ましくなっている。
【0042】
<制御部に関して>
続いて、制御部100の構成について、図2に基づいて説明する。この制御部100は、制御手段の一例に対応し、当該制御部100は、不図示のCPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ等のデータ記憶部位、バス、タイマ、インターフェース等を有している。
【0043】
また、上述の記憶部位の中のデータ、およびプログラムがCPUで実行され、制御部100の各構成が協働することにより、機能的には、図2のブロック図に示すような構成が実現される。この図2に示すように、制御部100は、主制御部101、メモリ102、モータ制御部103、タイマ104、第1モータドライバ105、第2モータドライバ106等を具備している。
【0044】
これらのうち、主制御部101は、圧縮空気除湿装置10の全体の制御を司る部分であり、第1温度センサ110および第2温度センサ120からの出力(検出信号)、タイマ104からの計時出力が入力される。なお、主制御部101は、制御部100の他の部分と協働することにより、後述するような制御動作を実現可能となっている。
【0045】
また、メモリ102には、後述するような第1モータ41Aおよび/または第2モータ41Bの作動に関するプログラム(モータ制御プログラム102a)と、それら第1モータ41Aおよび/または第2モータ41Bの作動に関する条件等のデータを記憶するためのデータ(モータ制御データ102b)が記憶されている。その他、メモリ102には、第1モータ41Aの累積作動時間を記憶するための第1モータ作動時間記憶部102c、および第2モータ41Bの累積作動時間を記憶するための第2モータ作動時間記憶部102dが設けられている。
【0046】
モータ制御部103は、主制御部101からの指令に基づいて、第1モータドライバ105および/または第2モータドライバ106を介して第1モータ41Aおよび/または第2モータ41Bの駆動を制御する部分である。
【0047】
タイマ104は、不図示のクロック信号をカウントすることで計時する。そして、この計時結果は、主制御部101に出力される。
【0048】
また、第1モータドライバ105は、モータ制御部103からの指令に応じて所定の電圧を生成し、その電圧を第1モータ41Aに印加する。同じく、第2モータドライバ106は、モータ制御部103からの指令に応じて所定の電圧を生成し、その電圧を第2モータ41Bに印加する。
【0049】
<圧縮空気除湿装置における第1圧縮機および第2圧縮機の作動の制御に関して>
続いて、圧縮空気除湿装置10における、第1圧縮機40Aおよび第2圧縮機40Bの作動の制御について、以下に説明する。なお、最初に2台の圧縮機40A,40Bの中から1台を停止させる制御に関して説明し、続いて1台の圧縮機40Aまたは圧縮機40Bの作動状態からもう1台を作動させる制御について説明し、その次に1台の圧縮機40を運転している途中における運転切り替えについて説明する。
【0050】
なお、制御部100に基づく、第1圧縮機40Aおよび第2圧縮機40Bの制御は、下記の(1A)の第1の停止条件、または(1B)の第2の停止条件を満たすときに、いずれか1台の圧縮機40の作動を停止させている。また、(2A)の第1の作動(起動)条件、または(2B)の第2の作動(起動)条件のいずれかを満たすときに、停止している他方の圧縮機40を作動(起動)させている。
【0051】
また、後述する(2A)の第1の作動(起動)条件、および(2B)の第2の作動(起動)条件においても触れるが、制御部100は、1台の圧縮機40が停止させられた状態からNc以上またはNd以上の時間は、当該1台の圧縮機40を停止している状態を継続させるように制御する。また、(2A)の第1の作動(起動)条件、または(2B)の第2の作動(起動)条件のいずれかを満たして、停止している他方の圧縮機40を作動(起動)させた場合、新たに作動(起動)させた圧縮機40は、最小Neの時間は、その作動状態を継続するよう、制御部100は制御する。
【0052】
(1)2台の圧縮機の中から1台を停止させる制御に関して
第1圧縮機40Aと第2圧縮機40Bの両方が作動している状態から、いずれか1台の圧縮機40の作動を停止させる場合の制御について、以下に述べる。なお、以下の第1の停止条件である(1A)と第2の停止条件である(1B)とは、いずれか一方のみを満たせば、2台の圧縮機40A,40Bのうち、いずれか1台の圧縮機40の作動を停止させるものとなる。
【0053】
(1A)第1の停止条件について
上述の主制御部101には、所定のタイミング毎に、第1温度センサ110および/または第2温度センサ120から、計測された温度に基づく検出信号が入力される。このとき、主制御部101は、メモリ102のモータ制御プログラム102aおよびモータ制御データ102bに基づいて、第1モータ41Aおよび第2モータ41Bの作動を制御している状態となっている。なお、第1温度センサ110と第2温度センサ120とから検出信号が入力されるタイミングは、2つの温度センサ110,120で同時であっても良いし、別々のタイミングであっても良い。
【0054】
上述のように、主制御部101は、モータ制御データ102b中の、第1モータ41Aおよび/または第2モータ41Bの作動に関する条件等のデータを読み出している。そして、この条件等のデータの中には、2台のモータ41A,41Bの中から、いずれかのモータ41Bを停止させるときの停止条件に関するデータも存在している。かかるデータ、およびかかるデータに基づく制御は、以下の図3に示すとおりである。
【0055】
すなわち、第2温度センサ120からの検出信号に基づいて、冷媒温度が温度閾値Tb(冷媒温度閾値の一例に対応)を下回った状態が、規定の時間であるNa以上継続したと主制御部101で判断した後に、第1温度センサ110からの検出信号に基づいて、圧縮空気の温度(露点温度)が温度閾値Ta(圧縮空気温度閾値の一例に対応)を下回ったとき、2台の圧縮機40A,40Bのうち1台の圧縮機40の作動を停止させる。
【0056】
換言すると、主制御部101は、冷媒温度が温度閾値Tbを下回った状態がNa以上継続し、かつ圧縮空気の温度(露点温度)が温度閾値Taを下回ったと判断されたとき、モータ制御部103に、いずれかのモータ41を停止させるための指令を出力する。それにより、モータ制御部103は、第1モータドライバ105または第2モータドライバ106を介して、いずれかのモータ41の作動を停止させる。
【0057】
このように、冷媒の温度が温度閾値Tbを下回った状態がNa以上継続し、かつ圧縮空気の温度(露点温度)が温度閾値Taを下回ったと判断されたときに、いずれかの圧縮機40(モータ41)の作動を停止させる場合、冷媒温度は温度閾値Tbよりも所定だけ(ΔT1だけ)下回った状態で、いずれかの圧縮機40(モータ41)の作動が停止させられる。
【0058】
(1B)第2の停止条件について
上述の(1A)で述べたように、主制御部101は、モータ制御データ102b中の、第1モータ41Aおよび/または第2モータ41Bの作動に関する条件等のデータを読み出している。そして、この条件等のデータの中には、2台のモータ41A,41Bの中から、いずれかのモータ41を停止させるときの停止条件に関するデータも存在している。かかるデータ、およびかかるデータに基づく制御は、以下の図4に示すとおりである。
【0059】
すなわち、第1温度センサ110からの検出信号に基づいて、圧縮空気が温度閾値Taを下回ったと主制御部101で判断した場合であっても、第2温度センサ120からの検出信号に基づいて、冷媒温度が温度閾値Tbを下回っていない場合には、2台の圧縮機40A,40Bの作動は継続したままとなる。すなわち、いずれのモータ41A,41Bも、作動を継続した状態となる。
【0060】
しかしながら、図4に示すように、主制御部101は、第1温度センサ110からの検出信号に基づいて、圧縮空気が温度閾値Taを下回ったと判断した場合であって、冷媒温度が温度閾値Tbを下回った状態が規定の時間であるNb以上継続したと判断した場合には、2台の圧縮機40A,40Bのうち1台の圧縮機40の作動を停止させる。すなわち、モータ制御部103は、第1モータドライバ105または第2モータドライバ106を介して、いずれかのモータ41の作動を停止させる。
【0061】
このように、圧縮空気の温度が温度閾値Taを下回っても、直ちに2台の圧縮機40(モータ41)の作動を停止させずに、冷媒の温度が温度閾値Tbを下回った時間がNb以上継続したと判断されたときに、いずれかの圧縮機40(モータ41)の作動を停止させている。その場合、冷媒温度は温度閾値Tbを下回る状態となるが、さらに冷媒温度が温度閾値Tbを下回っている状態がNb以上継続することにより、冷媒の温度は、温度閾値Tbよりも所定だけ(ΔT2だけ)下回った状態で、いずれかのモータ41の作動が停止させられている。
【0062】
(2)1台のみの圧縮機が作動している状態から2台の圧縮機を作動させる制御に関して
次に、1台のみの圧縮機40が作動している状態から、2台の圧縮機40A,40bを作動させる場合の制御について、以下に述べる。なお、以下の第1の作動(起動)条件である(2A)と第2の作動(起動)条件である(2B)とは、いずれか一方のみを満たせば、両方の圧縮機40A,40Bを作動させるものとなる。
【0063】
(2A)第1の作動(起動)条件について
上述の(1A)または(1B)で述べたように、主制御部101は、モータ制御データ102b中の、第1モータ41Aおよび/または第2モータ41Bの作動に関する条件等のデータを読み出している。そして、この条件等のデータの中には、いずれか1台のモータ41を作動している状態から、2台のモータ41を共に作動させるときの作動条件に関するデータも存在している。かかるデータ、およびかかるデータに基づく制御は、以下の図5に示すとおりである。
【0064】
すなわち、第1温度センサ110からの検出信号に基づいて、圧縮空気が温度閾値Taを上回ったと主制御部101で判断した場合であって、上記の(1A)の停止条件、または(1B)の停止条件のいずれかを満たしたときから所定時間Nc以上が経過したときに、圧縮機40A,40Bの両方とも作動させる。
【0065】
換言すると、主制御部101は、圧縮空気の温度が温度閾値Taを上回り、かつ上記の(1A)の停止条件、または(1B)の停止条件のいずれかを満たして、1台の圧縮機40が停止させられた状態からNc以上の時間が経過したと判断されたとき、モータ制御部103に、両方のモータ41A,41Bを作動させるための指令を出力する。それにより、モータ制御部103は、第1モータドライバ105および第2モータドライバ106を介して、両方のモータ41A,41Bを作動させる。なお、新たに作動(起動)させた圧縮機40は、最小Neの時間は、その作動状態を継続するよう、制御部100は制御する。
【0066】
このように、圧縮空気の温度が温度閾値Taを上回り、かつ1台の圧縮機40が停止させられた状態からNc以上の時間が経過したと判断されたときに、両方の圧縮機40A,40B(モータ41A,41B)を作動させている。それにより、少なくとも1つの圧縮機40のオン・オフが頻繁に為されることを防いでいる。
【0067】
(2B)第2の作動(起動)条件について
上述の(1A)または(1B)で述べたように、主制御部101は、モータ制御データ102b中の、第1モータ41Aおよび/または第2モータ41Bの作動に関する条件等のデータを読み出している。そして、この条件等のデータの中には、いずれか1台のモータ41を作動している状態から、2台のモータ41を共に作動させるときの作動条件に関するデータも存在している。かかるデータ、およびかかるデータに基づく制御は、以下の図6に示すとおりである。
【0068】
すなわち、第2温度センサ120からの検出信号に基づいて、冷媒の温度が温度閾値Tbを上回ったと主制御部101で判断した場合であって、上記の(1A)の停止条件、または(1B)の停止条件のいずれかを満たしたときから所定時間Nd以上が経過したときに、圧縮機40A,40Bの両方とも作動させる。
【0069】
換言すると、主制御部101は、冷媒の温度が温度閾値Tbを上回り、かつ上記の(1A)の停止条件、または(1B)の停止条件のいずれかを満たして、1台の圧縮機40が停止させられた状態からNd以上の時間が経過したと判断されたとき、モータ制御部103に、両方のモータ41A,41Bを作動させるための指令を出力する。それにより、モータ制御部103は、第1モータドライバ105および第2モータドライバ106を介して、両方のモータ41A,41Bを作動させる。このときも、新たに作動(起動)させた圧縮機40は、最小Neの時間は、その作動状態を継続するよう、制御部100は制御する。
【0070】
このように、冷媒の温度が温度閾値Tbを上回り、かつ1台の圧縮機40が停止させられた状態からNd以上の時間が経過したと判断されたときに、両方の圧縮機40A,40B(モータ41A,41B)を作動させている。それにより、少なくとも1つの圧縮機40のオン・オフが頻繁に為されることを防いでいる。
【0071】
(3)圧縮機の運転切り替えに関して
続いて、圧縮機40の運転切り替えに関して説明する。ここで、圧縮機40の運転切り替えとは、いずれか一方の圧縮機40が作動し、他方の圧縮機40が停止している状態において、停止している圧縮機40を作動させると共に、作動している圧縮機40を停止させることを指す。
【0072】
上述の主制御部101には、タイマ104から計時に関する信号が入力される。また、主制御部101は、メモリ102から、モータ制御プログラム102aおよびモータ制御データ102bを読み出して、実行している。また、主制御部101は、第1モータ作動時間記憶部102cおよび第2モータ作動時間記憶部102dから、第1モータ41Aと第2モータ41Bの累積作動時間に関するデータを読み出している。
【0073】
ここで、モータ制御データ102bの中には、圧縮機40A,40Bの運転切り替えタイミングに関するデータも存在している。そのため、主制御部101は、モータ制御プログラム102aを実行している状態において、運転切り替えタイミングに関するデータに基づいて、圧縮機40A,40Bの運転切り替えを行う。
【0074】
かかる運転切り替えに関して、図7を参照しつつ説明する。主制御部101は、第1モータ作動時間記憶部102cおよび第2モータ作動時間記憶部102dから、第1モータ41Aと第2モータ41Bの累積作動時間に関するデータを読み出すことにより、これらのモータ41A,41Bの累積作動時間に関する差分を算出する。すなわち、第1モータ41Aの累積作動時間Jaと、第2モータ41Bの累積作動時間Jbとから、差分ΔJを算出する。
【0075】
そして、主制御部101は、かかる差分ΔJが、切り替え閾値Kに到達したか否かを判定する。そして、切り替え閾値Kに到達していないと判定された場合、現在運転しているモータ41の運転を継続させる。なお、2台のモータ41A,41Bが共に作動停止の状態にある場合、累積作動時間が大きい方のモータ41A,41Bを作動させるように制御する。このようにした方が、次の切り替え閾値Kに到達するまでの連続した運転時間が短くて済むからである。しかしながら、累積作動時間が小さい方のモータ41A,41Bを作動させるようにしても良い。この場合には、モータ41A,41Bのオン/オフ回数を少なくすることができる、というメリットがある。
【0076】
ここで、差分Jが切り替え閾値Kに到達したと判定される場合、主制御部101は、規定の時間L(オーバーラップ時間L)だけ、モータ制御部103に、第1モータ41Aと第2モータ41Bの両方を運転させる指令を出力する。すなわち、2台のモータ41A,41Bを共に運転させる、オーバーラップ時間Lを設けるようにしている。かかるオーバーラップ時間Lの時間長さは、作動が停止している圧縮機40において、冷媒を安定的に圧縮できる程度の時間長さとすることが好ましい。しかしながら、かかるオーバーラップ時間Lの時間長さは、作動が停止しているモータ41の作動が安定する程度としても良い。
【0077】
そして、上述のオーバーラップ時間Lが経過すると、主制御部101は、モータ制御部103に、切り替え閾値Kに到達するまで運転していたモータ41の作動を停止させる指令を出力し、その指令に基づいて、モータ制御部103は、第1モータドライバ105または第2モータドライバ106を介して、切り替え閾値Kに到達するまで運転していたモータ41の作動を停止させる。
【0078】
また、主制御部101は、第1モータ作動時間記憶部102cまたは第2モータ作動時間記憶部102dに、タイマ104で計時した運転時間を加算して記憶させる。このとき、切り替え閾値Kに相当する時間長さと、オーバーラップ時間Lに相当する時間長さを、それまで作動させていた(作動を停止させる)モータ41に対応する累積時間に関するデータに加算して、第1モータ作動時間記憶部102cまたは第2モータ作動時間記憶部102dに記憶させる。なお、このような加算方式によらずに、それまで作動させていた(作動を停止させる)モータ41に関する累積時間に関するデータには、切り替え閾値Kのみを加算すると共に、新たに作動させられるモータ41に関する累積時間に関するデータには、オーバーラップ時間Lに相当する時間を加算させるようにしても良い。
【0079】
また、圧縮空気除湿装置10を設置後、一番最初に(優先的に)作動させる圧縮機40については、上述のモータ制御データ102bに対応するデータが存在していて、そのデータに基づいて主制御部101の指令に基づいて、優先的に作動させる圧縮機40を決定するようにしても良い。しかしながら、たとえばユーザの入力に基づいて、一番最初に(優先的に)作動させる圧縮機40を決定するようにしても良い。
【0080】
<効果>
以上のような構成の圧縮空気除湿装置10によると、作動させるべき圧縮機40の台数を、第1温度センサ110による温度の計測結果と、第2温度センサ120による温度の計測結果とに基づいて、適切に制御することが可能となる。特に、第1温度センサ110による圧縮空気の温度のみならず、第2温度センサ120によって冷媒の温度を計測していることにより、当該冷媒の温度と作動状況が密接に関連する圧縮機40の作動を、より適切に制御することが可能となる。
【0081】
また、本実施の形態では、冷媒の温度が温度閾値Tbを下回る状態が所定時間であるNa以上またはNb以上継続し、さらに圧縮空気の温度が温度閾値Taを下回ったと判断された場合に、制御部100は、作動している2台の圧縮機40A,40B(モータ41A,41B)の中から、1台の圧縮機40(モータ41)を停止させる制御を行っている。このため、必要以上に圧縮機40(モータ41)を作動させている状態を解消可能となり、圧縮空気除湿装置10の作動に要する消費エネルギーを削減することが可能となる。
【0082】
ここで、冷媒の温度が温度閾値Tbを下回っても直ぐに1台の圧縮機40(モータ41)を停止させる制御を行わずに、冷媒の温度が温度閾値Tbを下回る状態が所定時間であるNa以上またはNb以上継続した後に、1台の圧縮機40を停止させるように制御している。そのため、たとえば冷媒の温度が温度閾値Tbの近傍で変動したとしても、頻繁に圧縮機40の作動と停止とが切り替えられるのを防止することができる。それにより、圧縮機40の寿命を延ばすことが可能となり、ひいては圧縮空気除湿装置10の寿命を延ばすことが可能となる。
【0083】
さらに、本実施の形態では、圧縮空気の温度が温度閾値Taを上回ったと判断される場合、または冷媒の温度が温度閾値Tbを上回ったと判断される場合であって、新たに起動させる予定の圧縮機40(モータ41)の前回の停止からの経過時間が規定時間であるNc以上またはNd以上経過したと判断される場合に、停止している圧縮機40(モータ41)を作動させるように制御している。そのため、圧縮空気の温度上昇、または冷媒の温度上昇に伴って、現在作動させられている圧縮機40(モータ41)の負荷を軽減し、現在作動させられている圧縮機40(モータ41)が過負荷状態となるのを解消可能となる。
【0084】
ここで、圧縮空気の温度が温度閾値Taを上回ったと判断されるか、または冷媒の温度が温度閾値Tbを上回ったと判断されても、直ぐに新たな圧縮機40(モータ41)を作動させることはせずに、現在停止している圧縮機40(モータ41)の前回の停止からの経過時間がNc以上またはNd以上経過したと判断される場合に、もう1台の圧縮機40(モータ41)を作動させるようにしている。そのため、たとえば冷媒の温度が温度閾値Tbの近傍で変動する場合、または圧縮空気の温度が温度閾値Taの近傍で変動する場合であっても、頻繁に圧縮機40(モータ41)の作動と停止とが切り替えられるのを防止することができる。それにより、圧縮機40(モータ41)の寿命を延ばすことが可能となり、ひいては圧縮空気除湿装置10の寿命を延ばすことが可能となる。
【0085】
また、本実施の形態では、現在作動させている圧縮機40(モータ41)の作動を停止させ、現在停止している圧縮機40(モータ41)を作動させるような、運転の切り替えを、制御部100に基づいて制御可能となる。ここで、現在作動させている圧縮機40(モータ41)の作動を停止させる前に、現在停止している圧縮機40(モータ41)と共に、現在作動している圧縮機40(モータ41)を、所定のオーバーラップ時間Lだけ、共に作動させている。そのため、圧縮機40(モータ41)の運転切り替え時に、いずれの圧縮機40(モータ41)も作動していない、という状態を解消可能となり、圧縮空気除湿装置10の性能を、運転切り替え時においても維持可能となる。
【0086】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態に係る、圧縮空気除湿装置10について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0087】
<変形例1>
上述の実施の形態においては、圧縮機40の交換について触れられていないが、圧縮機40(または圧縮機40自体は交換しないが当該圧縮機40のモータ41)を交換する際に、交換された圧縮機40に係る第1モータ作動時間記憶部102cまたは第2モータ作動時間記憶部102dに記憶させている、モータ41に関する累積作動時間に関するデータをリセットするようにしても良い。
【0088】
このように、圧縮機40(または圧縮機40自体は交換しないが当該圧縮機40のモータ41)を交換するのに併せて、当該交換に係るモータ41に関する累積作動時間に関するデータをリセットする場合、圧縮空気除湿装置10の作動時間を長く確保することが可能となる。
【0089】
すなわち、一方の圧縮機40(または圧縮機40自体は交換しないが当該圧縮機40のモータ41)が故障等により交換しなければならなくなった場合、他方の圧縮機40(または圧縮機40自体は交換しないが当該圧縮機40のモータ41)においても、同様に交換のタイミングが近づいている場合が多い。そして、一方の圧縮機40(または圧縮機40自体は交換しないが当該圧縮機40のモータ41)が故障等により交換したにも係らず、上述の累積作動時間に関するデータを何等リセットしないことに起因して、直ぐに他方の圧縮機40を交換しなければならないとすると、その交換等のメンテナンスに要する分だけ、圧縮空気除湿装置10を停止させなければならない。
【0090】
しかしながら、上述のように、累積作動時間に関するデータをリセットすると、いずれか一方のモータ41のみを運転させる場合においては、第1モータ41Aの累積作動時間Jaと、第2モータ41Bの累積作動時間Jbの差分ΔJに到達するまでは、新しく交換した圧縮機40を作動させることになる。そのため、圧縮機40(または圧縮機40自体は交換しないが当該圧縮機40のモータ41)に故障が生じて、圧縮空気除湿装置10を停止させるまでの時間を長く確保することが可能となる。
【0091】
<変形例2>
また、上述の実施の形態においては、図1に示すような圧縮空気除湿装置10の構成に基づいて説明している。しかしながら、圧縮空気除湿装置の構成は、図1に示すものには限られず、たとえば図8に示すような構成を採用して良い。この図8に示す構成では、圧縮機40以外の、オイルセパレータ60、凝縮器70、冷媒ドライヤ80、キャピラリチューブ90も、それぞれ2つずつ設けられている。すなわち、圧縮機40〜キャピラリチューブ90の間は、冷媒を送出する管路構成が2系統存在していて、蒸発器22に冷媒が導入される前に、これら2系統の管路構成が合流している。しかしながら、蒸発器22は、1台の圧縮機40のみに対応させているものと比較して、2台の圧縮機40A,40Bに対応させている分だけ圧縮空気との接触面積が大きなものとなっている、という点は、上述の実施の形態におけるものと変わらない。
【0092】
かかる図8に示す構成においても、本実施の形態における圧縮空気除湿装置10と同様の作用効果を生じさせることが可能となっている。なお、図8では、冷媒を送出する2系統の管路構成は、キャピラリチューブ90と蒸発器22との間において合流しているが、オイルセパレータ60からキャピラリチューブ90の間のいずれの位置においても、2系統の冷媒を送出する管路構成が合流するものとしても良い。
【0093】
<変形例3>
また、上述の実施の形態では、2台の圧縮機40A,40Bを備える圧縮空気除湿装置10について説明している。しかしながら、圧縮空気除湿装置は、2台の圧縮機40を備える構成には限られず、3台以上の圧縮機40を備える構成を採用しても良い。
【0094】
3台以上のN台の圧縮機40を備える構成を採用する場合、(1A)の第1の停止条件における圧縮空気の温度閾値Taについては、Ta(1),Ta(2),・・・Ta(n−1)と、N−1段階の異なる温度閾値の値を設けるようにする。また、冷媒の温度閾値Tbについては、Tb(1),Tb(2),…Tb(n−1)と、N−1段階の異なる温度閾値の値を設けるようにする。なお、各温度閾値の間には、Ta(1)>Ta(2)>…>Ta(n−1)の関係、およびTb(1)>Tb(2)>…>Tb(n−1)の関係が成り立っている。
【0095】
そして、主制御部101は、冷媒温度が温度閾値Tb(x)を下回った状態がNa以上継続し、かつ圧縮空気の温度(露点温度)が温度閾値Ta(x)を下回ったと判断されたとき、モータ制御部103に、現在作動しているモータ41の中から、いずれか1台のモータ41を停止させるための指令を出力する。同様にして、主制御部101は、冷媒温度が温度閾値Tb(x)を下回った状態がNa以上継続し、かつ圧縮空気の温度(露点温度)が温度閾値Ta(x)を下回ったと判断されたとき、再びモータ制御部103に、現在作動しているモータ41の中から、いずれかのモータ41を停止させるための指令を出力する。以後、この動作を繰り返す。なお、上述のxおよびx+1は、1からn−1の間の整数となる変数である。
【0096】
また、3台以上のN台の圧縮機40を備える構成を採用する場合、(1B)の第2の停止条件においても、同様に考えることができる。すなわち、(1B)の第2の停止条件においても、圧縮空気の温度閾値Taについては、Ta(1),Ta(2),・・・Ta(n−1)と、N−1段階の異なる温度閾値の値を設けるようにする。また、冷媒の温度閾値Tbについては、Tb(1),Tb(2),…Tb(n−1)と、N−1段階の異なる温度閾値の値を設けるようにする。なお、各温度閾値の大小関係は、上述の(1A)の場合と同様である。また、xおよびx+1が、1からn−1の間の整数となる変数である点も同様である。
【0097】
そして、主制御部101は、圧縮空気が温度閾値T(x)を下回ったと判断した場合であって、冷媒温度が温度閾値T(x)を下回った状態が規定の時間であるNb以上継続したと判断されたとき、モータ制御部103に、現在作動している圧縮機40の中から、いずれか1台の圧縮機40の作動を停止させるための指令を出力する。同様にして、主制御部101は、圧縮空気が温度閾値T(x+1)を下回ったと判断した場合であって、冷媒温度が温度閾値T(x+1)を下回った状態が規定の時間であるNb以上継続したと判断されたとき、再びモータ制御部103に、現在作動しているモータ41の中から、いずれか1台のモータ41を停止させるための指令を出力する。
【0098】
以上のようにすれば、3台以上の圧縮機40を備える場合においても、段階的に、圧縮機40の作動を停止させることが可能となる。
【0099】
また、3台以上のN台の圧縮機40を備える構成を採用する場合においても、圧縮空気の温度閾値Taを、Ta(1),Ta(2),・・・Ta(n−1)と段階的に設定し、これらがTa(1)<Ta(2)<…<Ta(n−1)の関係を満たす状態とし、それぞれの温度閾値Ta(x)を上回り、かつ新たに作動(起動)させる圧縮機40が停止させられた状態からNc以上の時間が経過したと判断されたときに、1台ずつ圧縮機40を作動(起動)させるように制御することも可能である。
【0100】
また、3台以上のN台の圧縮機40を備える構成を採用する場合においても、冷媒の温度閾値Tbを、Tb(1),Tb(2),・・・Tb(n−1)と段階的に設定し、これらがTb(1)<Tb(2)<…<Tb(n−1)の関係を満たす状態とし、それぞれの温度閾値Tb(x)を上回り、かつ新たに作動(起動)させる圧縮機40が停止させられた状態からNd以上の時間が経過したと判断されたときに、1台ずつ圧縮機40を作動(起動)させるように制御することも可能である。
【0101】
<変形例4>
上述の変形例3では、1台ずつ、段階的に停止/作動(起動)させる場合について述べているが、1台ずつ、段階的に停止/作動(起動)させるものとはせずに、複数の段階の中の少なくとも1つの段階において、複数の圧縮機40を停止/作動(起動)させるようにしても良い。
【0102】
<変形例5>
また、上述の実施の形態では、圧縮空気除湿装置10の操作盤、またはその近辺に、圧縮機40に存在するフィルタエレメントの交換時期を促す専用の表示部を設け、圧縮空気除湿装置10の運転操作時または点検時に、フィルタ機構のエレメント交換が必要であることを必ず気付かせるように構成しても良い。
【0103】
すなわち、図9に示すように、空気導入口211に接続されているエアーコンプレッサ130には、ドレン配管12を介して、フィルタ機構140に接続されている。このフィルタ機構140には、大気の圧縮に際して生じたドレン水から、固形分や油分を除去するための、交換容易なフィルタエレメント141が設けられている。このフィルタエレメント141は、油分等を吸着する不図示の吸着剤を充填していると共に、固形分を補足するための不図示のトラップを備えている。そのため、フィルタ機構140に導入されたドレン水は、フィルタエレメント141を通過することにより、固形分や油分が取り除かれる構成となっている。
【0104】
それぞれのフィルタエレメント141には、ドレン水の入口側の供給側の所定位置における圧力を検出する第1圧力センサ142Aと、出口側の所定位置における圧力を検出する第2圧力センサ142Bとを備え、さらにこれらの圧力センサ142が接続される差圧計143が設けられている。そして、差圧計143からの検出信号は、制御部100に送信される。また、制御部100における主制御部101は、差圧計143からの検出信号に基づく差圧が、メモリ102から読み出される圧力閾値に到達したと判断される場合、主制御部101は、操作盤150に、フィルタエレメント141の交換時期であることを示す信号を送出する。
【0105】
ここで、操作盤150には、表示部151と、スイッチ152と、タイマ機構153とが設けられている。表示部151は、フィルタエレメント141の交換時期を知らせるためのものであり、たとえばランプやブザー等が該当する。しかしながら、これらに加えて、文字等の情報を表示する表示パネルを具備する構成を採用しても良い。また、スイッチ152は、表示部151が交換時期を知らせるべく作動した場合に、その作動を停止させるためのものである。また、スイッチ152は、フィルタエレメント141を交換したことを差圧計143からの検出信号により検出した状態で押された場合には、タイマ機構153に対して、交換時期のカウントをクリアさせるための信号を送信可能となっている。
【0106】
なお、この操作盤150は、圧縮空気除湿装置10のハウジングのうち、作業者の目が届き易い表面側に、各種の操作ボタン、運転に係る各種の表示部位と共に設けられている。また、この操作盤150には、圧縮空気除湿装置10の電源から電力が供給される構成となっている。
【0107】
タイマ機構153は、フィルタエレメント141の交換時期を計時するものである。なお、このタイマ機構153は、計時実行および計時した情報を記憶するための計時部153aと、制御部100からの制御信号に基づいて計時部153aにおける計時した情報を補正するための計時補正部153bとを備えている。
【0108】
ここで、フィルタエレメント141の交換に関しては、従来は、上述の差圧計143と同様の差圧計で計測し、その計測結果が一定の圧力閾値に到達したら、フィルタエレメント141の交換時期としている。しかしながら、差圧に関する情報は、差圧計で計測したものを、フィルタ機構140の筐体等に作業者が記入して取り付ける等の手法を採用している。また、フィルタエレメント141を交換した年月日または次回の交換日を予測した情報も、作業者がプレート等に記入して、フィルタ機構140の筐体等に貼り付けている。
【0109】
また、従来の構成においては、仮にフィルタエレメント141の交換時期を表示させるための表示装置を用いるとしても、フィルタ機構140の筐体等に取り付ける方式を採用している。なお、かかる表示装置の電源は、電池等とするのが通常である。
【0110】
そのため、従来の構成においては、以下のような課題が生じている。
[A1]フィルタエレメント141には、圧縮空気中の固形分や油分を除去することに起因して、詰まりによる寿命が有るため、適切にフィルタエレメント141を交換しなければならないが、ほとんど交換されない場合が多い。
【0111】
[A2]フィルタエレメント141を適切に交換するためには、上述のように作業者が記入したプレート等で交換の目安を表示する必要がある。しかしながら、フィルタエレメント141の交換は、通常の場合、たとえば1年等の長期であることが多く、上述のようにプレートに次回の交換日を記入してフィルタ機構140の筐体等に表示する方式では、交換時期を忘れやすい。
【0112】
[A3]フィルタ機構140は、エアーコンプレッサ130を具備する専用室の中に設置される場合が多く、その場合、エアーコンプレッサ130の背面や圧縮空気除湿装置10の筐体等の陰になる場合が多く、管理者の目が届きにくい。
【0113】
[A4]エアーコンプレッサ130の騒音が大きく、そのため、たとえばフィルタ機構140の筐体にブザー等を有する従来の表示装置をつけたとしても、かかるブザー程度では、聞こえにくいものとなっている。
【0114】
[A5]エアーコンプレッサ130や圧縮空気除湿装置10は、毎日点検する必要があり管理者の目が届くが、フィルタ機構140は、毎日点検する必要がないので忘れられやすい。
【0115】
かかる課題に鑑みて、図9に示す構成では、以下の制御を実行可能となっている。
[B1]主制御部101は、差圧計143からの検出信号に基づく差圧が、メモリ102から読み出される圧力閾値に到達したと判断される場合、操作盤150の表示部151に、たとえばブザーやランプ等の表示部151を作動させる旨の信号を送信する。それによって、表示部151が作動して、フィルタエレメント141の交換時期であることを知らせる。
【0116】
[B2]交換時期の表示(判断)は、フィルタエレメント141の差圧を、上述の差圧計143で測定し、その測定値が圧力閾値に到達したと主制御部101が判断したとき、あるいはフィルタエレメント141を交換してから所定の時間(時間閾値)が経過したと主制御部101が判断したときに、当該主制御部101は、操作盤150の表示部151に、たとえばブザーやランプ等の表示部151を作動させる旨の信号を送信する。それによって、表示部151が作動して、フィルタエレメント141の交換時期であることを知らせる。
【0117】
[B3]上述の[B2]において、フィルタエレメント141を交換してから所定の時間(時間閾値)が経過したか否かを主制御部101で判断する場合、圧縮空気の流量を換算して(考慮して)、フィルタエレメント141を交換してからの時間が時間閾値に到達したか否かを判断する。なお、フィルタエレメント141の寿命は、圧縮空気の積算流量によって、定まる場合が多い。かかる圧縮空気の流量を換算する(考慮する)方法としては、以下のものがある。
【0118】
[B3−1]2台の圧縮機40のうち1台が停止した時は、経過時間のカウントを1/2とする。すなわち、2台の圧縮機40のうち1台が停止した場合、蒸発器22における温度上昇がしないとすれば、圧縮空気の流量が半分になったと考えることができる。そのため、タイマ機構153の計時補正部153bにて、1台の圧縮機40が停止してから加算する時間を半分とするように補正して、計時部153aに記憶させる。
【0119】
[B3−2]圧縮空気除湿装置10における、第1温度センサ110で計測される圧縮空気の温度(露点)または第2温度センサ120で計測される冷媒の温度が温度が所定の温度閾値を下回ったときは、タイマ機構153の計時補正部153bにて、加算する時間が少なくなるように補正して(すなわち経過する時間が遅くなるように補正して)、計時部153aに記憶させる。
【0120】
[B3−3]差圧計143で測定される差圧、または圧縮空気除湿装置10の空気導入口211と空気排出口212との間に存在する別途の差圧計で測定される差圧に基づき、それら少なくとも一方の差圧の増減に基づいて、計時補正部153bで計時の補正を行い、その補正された結果を計時部153aに記憶させる。かかる差圧は、圧力空気の流量と関連性があり、圧力空気の流量はフィルタエレメント141の寿命と関連性があるためである。
【0121】
[B3−4]たとえばブザーやランプ等の表示部151が作動した後にフィルタエレメント141を交換したときには、作業者はスイッチ152を押し、表示部151の作動を停止させるようにする。
【0122】
[B3−5]たとえばブザーやランプ等の表示部151が作動した後にフィルタエレメント141を交換し、作業者がスイッチ152を押したときには、タイマ機構153に対して、計時部153aにおける交換時期のカウントをクリアさせるための信号を送信可能となっている。このとき、差圧計143からの検出信号により、フィルタエレメント141が交換されたことを検出してから、計時部153aにおける交換時期のカウントをクリアするようにしても良い。
【0123】
以上のように、図9に示す構成において、上述の[B1]〜[B3]に基づく制御を実行すると、圧縮空気の流量の換算を、タイマ機構153における計時に反映させることにより、フィルタエレメント141の寿命を延ばすことが可能となる。また、操作盤150の表示部151において交換時期が表示されるため、フィルタエレメント141の交換を確実に実行させることが可能となる。また、圧縮空気除湿装置10が具備する操作盤150を利用して、交換時期を表示させる方式のため、フィルタ機構140に単独で、交換時期を表示させるための専用の表示装置を設ける場合と比較して、コストを低減させることが可能となる。
【0124】
また、上述の操作盤150は、圧縮空気除湿装置10の電源を使用する構成のため、フィルタ機構140に単独で、専用の表示装置を設置する場合と比較して、その表示装置で用いるための電源等を準備しなくても済む。さらに、フィルタ機構140に単独で、専用の表示装置を設置する場合には、電源として電池を使用する場合が多いが、図9の構成では、圧縮空気除湿装置10の電源を使用する構成のため、電池切れを心配しなくてよい。
【0125】
<変形例5>
上述の実施の形態における圧縮空気除湿装置においては、圧縮空気に代えて、他の気体を用いることが可能である。他の気体の例としては、たとえば窒素、二酸化炭素等が挙げられる。
【符号の説明】
【0126】
10…圧縮空気除湿装置
20…熱交換機
22…蒸発器
23…再熱器
30…アキュムレータ
40,40A,40B…圧縮機
40A…第1圧縮機
40B…第2圧縮機
41,41A,41B…モータ
41A…第1モータ
41B…第2モータ
50A,50B…逆止弁
60…オイルセパレータ
70…凝縮器
80…冷媒ドライヤ
90…キャピラリチューブ
100…制御部(制御手段の一例に対応)
101…主制御部
102…メモリ
102a…モータ制御プログラム
102b…モータ制御データ
102c…モータ作動時間記憶部
102d…モータ作動時間記憶部
103…モータ制御部
104…タイマ
110…第1温度センサ(第1温度計測手段の一例に対応)
120…第2温度センサ(第2温度計測手段の一例に対応)
130…エアーコンプレッサ
140…フィルタ機構
141…フィルタエレメント
142A,142B…圧力センサ
143…差圧計
150…操作盤
151…表示部
152…スイッチ
153…タイマ機構
153a…計時部
153b…計時補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を導入し、この圧縮空気を冷却することにより当該圧縮空気に含まれる水分を結露させることにより、除湿を行うための圧縮空気除湿装置であって、
冷媒を圧縮するための複数の圧縮機と、
上記複数の圧縮機により圧縮された後に、液化がなされた上記冷媒が導入されると共に、当該冷媒を蒸発させるための蒸発器と、
上記蒸発器への接触によって除湿がなされた上記圧縮空気の温度を計測するための第1温度計測手段と、
上記蒸発器から上記圧縮機に向かう上記冷媒の温度を計測するための第2温度計測手段と、
上記第1温度計測手段による温度の計測結果と上記第2温度計測手段により温度の計測結果とに基づいて、複数の上記圧縮機の中から作動させる上記圧縮機の台数を変動させる制御手段と、
を具備することを特徴とする圧縮空気除湿装置。
【請求項2】
請求項1記載の圧縮空気除湿装置であって、
前記制御手段は、
前記第2温度計測手段により計測される前記冷媒の温度が冷媒温度閾値を下回る状態が所定時間継続したと判断され、
さらに前記第1温度計測手段により計測される前記圧縮空気の温度が圧縮空気温度閾値を下回ったと判断された場合に、
複数の前記圧縮機のうち現在作動している前記圧縮機を除いた中から、少なくとも1台の圧縮機を停止させる制御を行う、
ことを特徴とする圧縮空気除湿装置。
【請求項3】
請求項2記載の圧縮空気除湿装置であって、
前記制御手段は、
前記第1温度計測手段により計測される前記圧縮空気の温度が圧縮空気温度閾値を上回ったと判断される場合、または前記第2温度計測手段により計測される前記冷媒の温度が冷媒温度閾値を上回ったと判断される場合であって、
新たに起動させる予定の前記圧縮機の前回の停止からの経過時間が規定時間に到達したと判断される場合に、当該起動させる予定の前記圧縮機を作動させる制御を行う、
ことを特徴とする圧縮空気除湿装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮空気除湿装置であって、
前記制御手段は、
複数の前記圧縮機のうちいずれか一の前記圧縮機の累積作動時間をカウントすると共に、他の前記圧縮機の累積作動時間をカウントすると共に、
いずれか一の前記圧縮機の累積作動時間が、所定の切り替え閾値に到達した場合に、他の前記圧縮機の中から少なくとも1台の前記圧縮機を、いずれか一の前記圧縮機と共に作動させると共に、所定のオーバーラップ時間が経過した後に、いずれか一の前記圧縮機の作動を停止させる制御を行う、
ことを特徴とする圧縮空気除湿装置。
【請求項5】
圧縮空気を導入し、この圧縮空気を冷却することにより当該圧縮空気に含まれる水分を結露させることにより、除湿を行うための圧縮空気除湿装置の制御方法であって、
冷媒を圧縮するための複数の圧縮機と、
上記複数の圧縮機により圧縮された後に、液化がなされた上記冷媒が導入されると共に、当該冷媒を蒸発させるための蒸発器と、
上記蒸発器への接触によって除湿がなされた上記圧縮空気の温度を計測するための第1温度計測手段と、
上記蒸発器から上記圧縮機に向かう上記冷媒の温度を計測するための第2温度計測手段と、
を具備し、
上記第1温度計測手段による温度の計測結果と上記第2温度計測手段により温度の計測結果とに基づいて、複数の上記圧縮機の中から作動させる上記圧縮機の台数を変動させる制御を行う、
ことを特徴とする圧縮空気除湿装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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