説明

圧送塗装装置

【課題】 従来の圧送塗装装置を更に改良し、より作業性を向上させ得る圧送塗装装置を提供する。
【解決手段】 液状塗料を圧送するための塗料供給体3に接続される塗料供給パイプ4と、塗料供給パイプ4に接続されて液状塗料を吐出させ塗装するための塗装機2と、塗料供給パイプ4に介在され塗料供給路を開閉するエアコントロールバルブ5と、エアコントロールバルブ5に駆動エアを供給するために該エアコントロールバルブにエアホース6を介して接続される携帯型エアボンベ7と、塗装機2若しくはエアコントロールバルブ5とローラー塗装機2との間における塗料供給パイプ4上に取り付けられエアコントロールバルブ5の開閉を制御するスイッチ8と、を有することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装作業性に優れた圧送塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅、ビル、塀、船舶の内外壁面などにローラー塗装機を用いて液状塗料を塗装することは広く行なわれている。ローラー塗装は、回転可能なローラーの多孔質部分に液状塗料を浸みこませ、それを被塗物の表面で回転させながら塗料を被塗面に転写することにより塗装を行う方法であり、噴霧塗装に比べて、塗料の飛散が少ないので作業環境上良好であり、しかも塗着効率がすぐれている。
【0003】
しかしながら、塗装面積が大きくなるとローラーの多孔質部分への塗料浸み込み作業の回数が増加し、労力が多大となって塗装能率が低下し、さらに塗装中に塗料がタレたりすることは避けられず周囲を汚染することがあるなどの欠陥を有している。
【0004】
そうした現状に鑑み、図6に示すように、液状塗料の入った密閉タンク20をエアコンプレッサー21によって加圧することにより、液状塗料をローラー塗装機22に圧送して塗装を行う加圧式のローラー塗装装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この種のローラー塗装装置は、一般に、金属製の高圧用ニードルバルブ23と、金属製の中空構造の塗料供給管兼支持部24とを具備し、重量(ローラーパイル部、コア、支持部、ニードルバルブの総重量)としては、例えば700g以上であり、全体的に重量が重い場合が多い。
【0006】
上記ローラー塗装機によれば、圧送された液状塗料の吐出量の制御は、ニードルバルブ23のトリガーにより調整され、良好な塗装仕上りが得られるが、該ローラー塗装機では、重量が重く、重心が手元側(ローラー塗装装置の把持部)に有るために重量感が増し、塗装作業が長時間にわたる等、ローラー塗装作業性が悪い場合があった。
【0007】
上記した問題点を解決すべく、図7に示すように、塗料供給ポンプ3bとローラー塗装機2のコア2aとを連結する塗料供給パイプ4に配設されたエアコントロールバルブ5を把持部2dに配設されたスイッチ8により制御して、塗料容器3a内の液状塗料を塗料供給ポンプ3bからローラー塗装機2へ圧送する圧送塗装装置が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−119909号公報
【特許文献2】特開2004−358460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2に開示の圧送塗装装置は、軽量化が図られ作業性も格段に向上しているが、以下のような問題があった。
【0009】
エアコントロールバルブ5は、圧縮エアの供給を要する。圧縮エアは、エアコンプレッサー30からエアホース6、6を通じて供給されるが、エアホース6、6は、把持部2dに設けたスイッチ8を介して、エアコントロールバルブ5に供給される。斯かる構成においては、ローラー塗装機2に接続される管が、塗料供給パイプ4、エアホース6、6の3本あり、これらの管を束ねる作業も容易ではなく、束ねた管は可撓性が低下するため塗装作業時に引き回し難く、建築足場上での作業性を損なうことがあった。
【0010】
そこで本発明は、上記の圧送塗装装置を更に改良し、より作業性を向上させ得る圧送塗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る圧送塗装装置は、液状塗料を圧送するための塗料供給体に接続される塗料供給パイプと、該塗料供給パイプに接続されて液状塗料を吐出させ塗装するための塗装機と、該塗料供給パイプに介在され塗料供給路を開閉するエアコントロールバルブと、該エアコントロールバルブに駆動エアを供給するために該エアコントロールバルブにエアホースを介して接続される携帯型エアボンベと、前記塗装機若しくは前記エアコントロールバルブと前記ローラー塗装機との間における前記塗料供給パイプ上に取り付けられ前記エアコントロールバルブの開閉を制御するスイッチと、を有することを特徴とする。
【0012】
前記塗装機は、コアを内蔵したローラー部、支持部、及び把持部を具有するローラー塗装機であることが好ましい。
【0013】
前記スイッチは、前記塗料供給パイプ上に位置調節可能に取り付けられていることが好ましく、前記塗料供給パイプ上を摺動自在であって且つ所望位置に位置保持可能に取り付けられていることがより好ましい。
【0014】
前記スイッチは、前記塗料供給パイプ上の前記ローラー塗装機からの距離が20〜100cmの位置に取り付けられることが好ましい。
【0015】
前記スイッチが前記塗料供給パイプ上に配置されている場合は、前記ローラー塗装機から前記スイッチまでの前記塗料供給パイプの長さが20〜100cmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エアコンプレッサーに代えて携帯型エアボンベの加圧エアをエアコントロールバルブの作動エアとすることで、携帯型エアボンベを携帯して塗装作業が行え、地上に配置されるエアコンプレッサーからエアホースを引き回さずに済むため、足場上での塗装作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る圧送塗装装置の好適な実施形態について、以下に図1〜5を参照しつつ説明する。
【0018】
第1実施形態の圧送塗装装置1は、液状塗料をローラー塗装機2に供給するための塗料供給体3と、コア2aを内蔵したローラー部2b、支持部2c、把持部2dを具備するローラー塗装機2と、塗料供給体3とローラー塗装機2のローラー部コア2aとを連結するための塗料供給パイプ4と、塗料供給パイプ4に介在され塗料供給路を開閉するエアコントロールバルブ5と、エアコントロールバルブ5に駆動エアを供給するためにエアコントロールバルブ5にエアホース6を介して接続される携帯型エアボンベ7と、塗料供給パイプ4に取り付けられエアコントロールバルブ5の開閉を制御するスイッチ8と、を有する。
【0019】
塗料供給体3は、液状塗料を圧送する仕組みのものであれば、制限はないが、図示例の如く、塗料を収容した塗料容器3aを備えたポンプ3bにより塗料をローラー塗装機2へ供給するポンプ型とする他、例えばエアコンプレッサー等の空気供給体により耐圧性の密閉タンクを加圧することにより塗料が放出される耐圧タンク型等とすることもできる。
【0020】
ポンプ型の塗料供給体3は、例えば、ダイヤフラム式ポンプ、プランジャー式ポンプ、スネーク式ポンプ、チュービング式ポンプ等のポンプを備えることができる。ポンプ型の塗料供給体3は、塗料容器3aを構成するホッパーに液状塗料を注入し、該ホッパーから排出される液状塗料をポンプ3bによって加圧してローラー塗装機2へ送る。
【0021】
塗料供給体3として、空気供給体により加圧する耐圧タンク型としては、塗料流入口、エア供給口及び塗料排出口を具備する耐圧タンクが挙げられる。上記耐圧タンクは、エア供給口からエアを圧入されることにより加圧され、塗料排出口から塗料が送り出される仕組みになっている。また、該耐圧タンクは必要に応じて内部壁面底部に液面センサーを備えていてもよい。塗料残量が少なくなり、内部壁面底部に設けられた液面センサーが空気にさらされるとセンサーが感知され、塗料の補充時期を知ることができる。該耐圧タンク内の圧力としては0.1MPa〜3MPa、好ましくは0.1Mpa〜0.5MPaの範囲が適している。圧力が0.1MPaより低くなると塗料の吐出量が少なくなり、一方、3MPaより高くなると、塗料の供給量と転写量のバランスが崩れ、垂れ、飛散が発生しやすくなるので、好ましくない。
【0022】
塗料供給体3とローラー部コア2aを連結する塗料供給パイプ4は中空状で、その一端は塗料供給体につながっており、他端はローラー部コア2aに連結している。塗料供給パイプ4は、塗装作業性の点から重量が軽く、柔軟性に優れるものが好適に使用できる。また、塗料供給パイプ4を、塗料供給体3からエアコントロールバルブ5までを連結する耐圧性の高い塗料供給パイプ4−1とエアコントロールバルブ5からローラー部コア2aまでを連結する耐圧性の低い塗料供給パイプ4−2から構成することもできる。
【0023】
塗料供給パイプ4−1において、塗料を搬送するための高い圧力がかかることがあることから、塗料供給パイプ4−1の耐圧性が高いことが望ましく、具体的には耐圧性が0.1〜50MPaの範囲内であることが望ましく、内径が5〜13mmの範囲内、外径が7〜25mmの範囲内であることが望ましい。材質としては、ナイロン、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂製が挙げられ、鋼線やナイロン糸等で補強されたものであってもよい。
【0024】
他方、塗料供給パイプ4−2において、エアコントロールバルブ5からローラー部コア2aまでにかかる圧力が低いことから、塗料供給パイプ4−2の耐圧性は低いものであってもよく、具体的には、塗料供給パイプ4−2の耐圧性が、10MPa以下、好ましくは0.3〜2.5Mpaの範囲内であることが望ましく、内径は4〜13mmの範囲内、外径が5〜20mmの範囲内であることが望ましい。材質としては、ナイロン、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂製が挙げられ、塩化ビニル樹脂製が適している。
【0025】
液状塗料としては、それ自体既知のものが使用され、目的により任意に選択できる。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂などを基体樹脂として含有する水系、有機溶剤系、無溶剤系の塗料があげられ、これらは常温乾燥型、常温硬化型、重合反応硬化型などに分類され、いずれも適用できる。さらに、液状塗料は、無色透明、着色透明、着色不透明の塗膜を形成することができる。ここで「着色」とはソリッドカラー調、メタリック調、光干渉調などを包含する。
【0026】
上記液状塗料において、ポンプ型の塗料供給体を使用した場合においては、液状塗料の粘度を5000Pa・s/20℃以下、特に100〜4000Pa・s/20℃の範囲内であることが望ましく、耐圧タンク型の塗料供給体を使用した場合には、粘度を2000Pa・s/20℃以下、特に100〜700Pa・s/20℃の範囲内であることが好ましい。
【0027】
本明細書において、液状塗料の粘度は、試料を20℃に調整し、B型粘度計にて20回転/分で測定した値とする。
【0028】
また、液状塗料が水系塗料又は有機溶剤系塗料である場合において、該液状塗料の固形分含有率としては、1〜95重量%、好ましくは40〜80重量%の範囲内であることが好ましい。
【0029】
ローラー塗装機2は、図2、3に拡大して示すように、ローラー部2bを構成する回転可能な円筒状多孔質部材材に液状塗料を浸みこませ、それを被塗物の表面で回転させながら塗料を被塗面に転写することにより塗装を行う塗装機であり、ローラー部2b、支持部2c、把持部2dを具備している。塗装機としては、図示例では、ローラー塗装機であるが、これに限らず、圧送式の刷毛ガン等の圧送式塗装に用いられる他の塗装機を採用することもできる。
【0030】
ローラー部2bは、ローラー塗装機2の先端部に位置しており、コア2aを内蔵し、コア2aを円筒状多孔質部材材で形成されたローラー部2bで覆い、コア2aに対してローラー部2bが回転自在となるように構成されている。
【0031】
コア2aは、円筒状多孔質部材で構成されるローラー部2bの中空内部に装着させるものであり、従来公知のものが使用できる。形状としては制限されないが、円柱及び三角柱、四角柱等の多角柱が挙げられ、これらが組み合わされた形状であってもよいが内部は中空であることが好ましい。特にローラー部への液状塗料の染み出しが均一になることから多角柱であることが望ましく、その太さは多角柱の外側綾線がローラー部2bの中空内壁に接する程度が好ましい。その結果、中空内壁面と多角柱の外面部分との間に、ほぼ「かまぼこ状」の中空部X(図3参照)が形成される。そして、コア2aの面部分(三角柱であれば、3面存在する)に複数の塗料整流孔2eを有せしめることが好適である。
【0032】
塗料整流孔2eは、塗料供給体3から圧送された液状塗料が、ローラー部の円筒状多孔質部材から均一に滲み出るように調整するために設けるものである。また、コア2aの中空部2fは、コア内部で液状塗料を搬送するための塗料流通経路として設けられるものであり、形状としては円筒状であることが望ましい。コア2aの内径は2〜5cm、長さは5〜30cmの範囲内が適している。
【0033】
圧送されてきた液状塗料は、ローラー部2bのコア2aの塗料流入部からコア内部の中空部2fに流入し、そして、コア内部から外部へ通じている塗料整流孔2eから出て、ローラー部2bの中空内壁面とコア2aの外側面部分との間に形成される「かまぼこ状」の中空部に達し、それからローラー部2bを構成する円筒状多孔質部材を通って外側に滲み出るようになっている。
【0034】
コア2aに設ける塗料整流孔2eは、コア内部と外部とを連通するように貫通しており、コア1本あたり、複数個、好ましくは、2〜10個、特に好ましくは2〜5個程度が望ましい。その内径は0.5〜10mm、特に1〜8mm程度が適している。また、単一のコアに複数の塗料整流孔を設ける場合は、その内径は同一であってもよいが、特に、液状塗料が流入する入り口付近は内径を小さく(例えば0.5〜4mm、好ましくは1〜3mm)、最も遠い位置では内径を大きく(例えば6〜10mm、特に7〜8mm)すると、円筒状多孔質部材から外側への液状塗料の滲み出し量が均一になりやすいので好適である。塗料整流孔は、コアのそれぞれの面に1個以上をほぼ同数設けてもよい。
【0035】
圧送された液状塗料が、ローラー部2bのいずれの部分からも適正なバランスで塗料が滲み出し、被塗物に均一に転写できるようにするために、コア2aに設ける塗料整流孔2eは、塗料流入口付近及び最も奥の部分にそれぞれ1個以上ずつ、さらに必要に応じてコアの中央部などに1個以上ずつを等間隔で設けることが好ましい。塗料入り口付近における整流孔の内径を1とすると、奥部における整流孔の内径は2〜5倍程度大きくしてもよい。
【0036】
塗料整流孔2eの方向としては、コアの面部分(三角柱であれば3面存在する)に対して垂直であっても傾斜角度を有していてもよく、具体的には該塗料整流孔が設けられているコア面部分又は該塗料整流孔を接点とする接平面に対して10°〜90°の範囲内であることが好ましく、特に10〜60°の範囲内の角度を有していることが望ましい。
【0037】
ここで、塗料整流孔2eが設けられているコア面部分とは、塗料整流孔2eが開口する面が平面である場合において該平面を意味する。また、塗料整流孔を接点とする接平面とは、塗料整流孔が曲面上に有している場合において、該曲面上の塗料整流孔を接点とする平面を意味する。
【0038】
塗料整流孔2eが中空部2fの中心線方向に対して傾斜角度を有していると、コア内部の塗料流通経路からローラー部2bを構成する多孔質部材へ液状塗料を均一に効率よく移行させることができる。なお、塗料整流孔2eに液状塗料の流れ方向を調整できるノズルを付設することもできる。
【0039】
ローラー部2bを構成する円筒状多孔質部材は、通常、紙管などの円筒形ローラーの外側表面に羊毛や化学繊維、スポンジなどの多孔質体を巻き付けてなるウールローラー、マスチックローラーなどがあげられ、その内側から外側に液状塗料が滲み出るように多孔質構造を有している。
【0040】
ローラー部2bを支える支持部2cとしては従来公知のものが使用でき、内部を中空にして塗料供給パイプ4と兼用とした管状のも使用できる。
【0041】
把持部2dは、支持部2c及び後述の塗料供給パイプ4を部分的に包含する事が出来ればよい。把持部2dの材質、形状等については特に制限はなく、塗装時において重心をローラー部側近傍に位置させるために軽量な素材が好適であり、特に樹脂製が好適である。
【0042】
また、把持部2dには、必要に応じて跳ね返りの塗料を受けるための汚れ防止板(不図示)を付設することもできる。
【0043】
スイッチ8は、後述のエアコントロールバルブ5を遠隔操作するために設けられるものである。スイッチ8の構造としては、エア信号を発する押しボタンタイプ、ピンタイプなどが挙げられ、携帯型エアボンベ7からの加圧エア(エア信号)をオン・オフすることによって、エアコントロールバルブ5を開閉させる。エアコントロールバルブ5は、エア信号を受信して作動するエアオペレートバルブである。
【0044】
スイッチ8は、エアコントロールバルブ5とローラー塗装機2の塗料供給パイプ4上に取り付けられている。スイッチ8は、塗料供給パイプ4に固定しておくこともできるが、塗料供給パイプ4に位置調節可能に取り付けられていることが好ましい。例えば、スイッチ8を固定したスパイラルラッピングバンド(不図示)を塗料供給パイプ4に巻き付けることにより、スイッチ4を塗料供給パイプ4上で摺動自在とし、且つ、塗料供給パイプ4上の所望位置でスイッチ4をずれ落ちないように位置保持することができる。スパイラルラッピングバンドに限らず、クリップ、面ファスナーベルト等、スイッチ8を塗料供給パイプ4上で着脱可能にして位置調整できる留め具であっても良い。
【0045】
スイッチ8は、塗料供給パイプ4の把持部2dから20〜100cmの範囲内で摺動できることが好ましく、少なくとも40〜60cmの範囲で摺動可能とすることが好ましい。これは、塗装作業に際し、一方の手でローラー塗装機2を持ち、他方の手でスイッチ8を持ってスイッチ操作する場合、スイッチ8と把持部2dとの間の塗料供給パイプ4が長すぎると垂れて作業の邪魔になり、短すぎると作業しづらいからである。なお、スイッチ8は、図4に示すように、把持部2dに設けることもできる。
【0046】
携帯型エアボンベ7は、容量200〜600cc程度のものが好ましく、作業者のベルト等に携帯させることができる。携帯型エアボンベ7は、例えば、エアブラシやエアガン等に使用されているエア缶を利用することができる。
【0047】
図5は、携帯型エアボンベ7の口部とエアホース6との接続構造を示す拡大断面図である。携帯型エアボンベ7の口部は、外螺子付きジョイント部10と、外螺子付きジョイント部10から突出し内蔵バルブ(不図示)と連結されたノズル11とを備えている。ノズル11は、突出側に弾性付勢され、押圧されることにより、内蔵バルブが開いてノズル孔11aからエアが噴出するようになっている。
【0048】
ジョイント部10には、連結治具12が螺着され、連結治具12にエアホース6が接続される。連結治具12は、ノズル11を押圧操作してノズル孔11aから噴射する圧縮空気をエアホース6に通す操作部13と、ジョイント部10に螺着され操作部13を連結支持する連結支持部14とを備える。連結支持部14は、結合された2つの部品15、16で構成されており、一方の部品15がジョイント部10に螺合され、他方の部品16に操作部13が螺入されている。操作部13を他方の部品16に対して螺入することにより、2つの部品15,16間に形成された空間内を、操作部13の先に取り付けられたシールパッキン17が摺動するとともに、操作部13の通孔13a途中に形成されている座部13bがノズル11を押圧し、ボンベ内の圧縮空気が噴出する。操作部13には、摘み用の鍔部13cが形成されており、鍔部13cを摘んで回すことにより、携帯型エアボンベ7内の圧縮空気の噴射を操作できる。
【0049】
エアコントロールバルブ5は、ローラー塗装機に供給される塗料の量を調整するために設けられるものであり、把持部2dと塗料供給体3とを連結する塗料供給パイプ4に介在されている。
【0050】
また、エアコントロールバルブ5の構造としては、ニードル式、ボール式、バタフライ式等が挙げられ、液体の制御ができる構造の物で在れば特に制限は無いが、好ましくは、ニードル方式がよい。
【0051】
エアコントロールバルブ5の設置位置としては、塗料供給パイプ上であれば、特に制限は無いが、エアコントロールバルブ5とローラー塗装機との距離が、50〜300cm、好ましくは100〜200cmの範囲内であることが望ましい。
【0052】
エアコントロールバルブ5とローラー塗装機2の距離が50cm未満では、塗装作業がやりにくくなることがあり、300cmを超えると、塗料を吐出したり、止めたりする場合に時間差が生じて、スムーズな塗装作業が出来ないばかりか、吐出する塗料の量も減少する傾向がある。
【0053】
また塗料供給パイプ4に配設されたエアコントロールバルブ5は、塗装作業者の体や、作業現場の足場等に固定することもできる。
【0054】
エアコントロールバルブ5を塗料供給パイプ4上に配設させることにより、把持部2dの重量軽減が可能になる。
【0055】
塗料供給体3から圧送された液状塗料は、塗料供給パイプ4を通り、エアコントロールバルブ5まで達する。エアコントロールバルブ5の開閉は、塗料供給パイプ4に付設された遠隔スイッチ8により行い、ローラー部2bに塗料が供給される。
【0056】
コア2aに供給された塗料は、コア2aから塗料整流孔2eを経て円筒状多孔質部材で構成されるローラー部2bの外側表面に滲み出し、そして、かかるローラー部2bを被塗面と接するようにあてがいながら回転することによって多孔質部材の液状塗料が被塗面に転写されて、塗装が行なわれる。
【0057】
被塗面への液状塗料の吐出量は特に制限されず、塗料供給体3の種類や塗布量に応じて任意に選択できる。
【0058】
たとえば、耐圧タンク方式で塗布量が0.15kg/mの塗装作業を行う場合、塗料の吐出量は0.15〜0.6kg/分の範囲内であることが望ましく、又ポンプ方式で塗布量1.0kg/mの塗装作業を行う場合は、吐出量を1.0〜2.0kg/分の範囲内に調整することが望ましい。
【0059】
上記のように、従来のエアコンプレッサーに代えて携帯型エアボンベ7を採用したことにより、携帯型エアボンベ7は作業者が携帯できるためスイッチ8から携帯型エアボンベ7迄のエアホースの距離も短縮でき、作業性が向上する。
【0060】
スイッチ8を把持部2dから離れた塗料供給パイプ4上に配置しておけば、スイッチ8からローラー塗装機2迄は塗料供給パイプ41本のみのとなるため、ローラー塗装機2の操作性が向上し得る。また、スイッチ8がローラー塗装機2の把持部2dに無い分、ローラー塗装機2の軽量化が図られ、塗装作業がし易くなる場合がある。さらに、一方の手でローラー塗装機2を持ち、他方の手でスイッチ8を操作しつつ塗装が行えるので、スイッチ操作する手が塗料で汚れず、操作性が良くなる。
【0061】
本発明に係る圧送塗装装置によって塗装する被塗物は特に制限されず、ローラー塗装が可能な被塗物に適用することができ、例えば、一般住宅、ビル、建造物の屋根、塀、外壁、内壁、天井など、さらに船舶、橋梁、土木関連などの塗装に適用することができる。また、仕上げられる塗膜として、ソリッドカラー調、メタリック調、光干渉調などの他に、さらに、凹凸模様、ユズ肌模様などがあげられる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る圧送塗装装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示された塗装機を示す拡大断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】本発明に係る圧送塗装装置の変更態様を示す概略構成図である。
【図5】本発明構成要素である携帯型エアボンベにエアホースを連結するための連結治具を示す拡大断面図である。
【図6】従来の加圧式ローラー塗装装置を示す概略構成図である。
【図7】従来の圧送塗装装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0063】
1 圧送塗装装置
2 塗装機
3 塗料供給体
4 塗料供給パイプ
5 エアコントロールバルブ
6 エアホース
7 携帯型エアボンベ
8 スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状塗料を圧送するための塗料供給体に接続される塗料供給パイプと、
該塗料供給パイプに接続されて液状塗料を吐出させ塗装するための塗装機と、
該塗料供給パイプに介在され塗料供給路を開閉するエアコントロールバルブと、
該エアコントロールバルブに駆動エアを供給するために該エアコントロールバルブにエアホースを介して接続される携帯型エアボンベと、
前記塗装機若しくは前記エアコントロールバルブと前記ローラー塗装機との間における前記塗料供給パイプ上に取り付けられ前記エアコントロールバルブの開閉を制御するスイッチと、
を有することを特徴とする圧送塗装装置。
【請求項2】
前記塗装機は、コアを内蔵したローラー部、支持部、及び把持部を具有するローラー塗装機であることを特徴とする請求項1記載の圧送塗装装置。
【請求項3】
前記スイッチは、前記塗料供給パイプ上に位置調節可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の圧送塗装装置。
【請求項4】
前記スイッチが前記塗料供給パイプ上を摺動自在であって且つ所望位置に位置保持可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の圧送塗装装置。
【請求項5】
前記スイッチは、前記塗料供給パイプ上の前記ローラー塗装機からの距離が20〜100cmの位置に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の圧送塗装装置。
【請求項6】
前記エアホースが連結治具を介して携帯型エアボンベに接続され、
前記携帯型エアボンベは、外螺子付きジョイント部と、該外螺子付きジョイント部から突出し内蔵バルブと連結されたノズルとを備え、
前記連結治具は、前記携帯型エアボンベのノズルを押圧操作してノズル孔から噴射する圧縮空気をエアホースに通すための操作部と、前記ジョイント部に螺着され前記操作部を支持する支持部とを備え、前記支持部は、結合された2つの部品で構成されており、一方の部品が前記ジョイント部に螺合され、他方の部品に前記操作部が螺入され、該操作部を他方の部品に対して螺入することにより、前記2つの部品間に形成された空間内を、前記操作部の先に取り付けられたシールパッキンが摺動するとともに、前記操作部の内部エア通路途中に形成された座部が前記ノズルを押圧し、ボンベ内の圧縮空気を噴出させるように構成されている、請求項1記載の圧送塗装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate