説明

圧電アクチュエータ、レンズ鏡筒及びカメラ

【課題】制御が簡易な圧電アクチュエータ及びそれを用いたレンズ鏡筒及びカメラの提供を課題とする。
【解決手段】第1圧電素子と、第2圧電素子と、第1の電圧の印加に応じて第1の方向に変形する前記第1圧電素子が取り付けられている第1組の第1部材と、前記第1の電圧の印加に応じて前記第1の方向と逆方向に変形する前記第2圧電素子が取り付けられている第2組の第2部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエータ、レンズ鏡筒及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子を用いた圧電アクチュエータ(駆動装置)として、例えば、複数の圧電素子を駆動させ、被駆動体に接触させるチップ部材を楕円運動させることで、被駆動体を駆動するものが知られている。この特許文献1に記載の圧電アクチュエータは、XYZ直交座標系を設定した場合に、チップ部材のXZ平面に平行な楕円運動により被駆動体をX軸方向に駆動する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−236138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の圧電アクチュエータでは、2つの圧電素子に電圧の周波数と位相を制御して供給することで制御している。このため、2つの圧電素子に別々の駆動回路が必要であり、制御が複雑になるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、制御が簡易な圧電アクチュエータ及びそれを用いたレンズ鏡筒及びカメラの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る圧電アクチュエータは、第1圧電素子と、第2圧電素子と、第1の電圧の印加に応じて第1の方向に変形する前記第1圧電素子が取り付けられている第1組の第1部材と、前記第1の電圧の印加に応じて前記第1の方向と逆方向に変形する前記第2圧電素子が取り付けられている第2組の第2部材と、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係るレンズ鏡筒は、上記に記載の圧電アクチュエータを備えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係るカメラは、上記に記載の圧電アクチュエータを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の駆動装置によれば、制御が簡易な圧電アクチュエータを提供することができる。また、本発明によれば、この駆動装置を備えたレンズ鏡筒及びカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る圧電アクチュエータの正面図である。
【図2】同実施形態に係る圧電アクチュエータの断面図である。
【図3】同実施形態に係る圧電アクチュエータの支持駆動部の斜視図である。
【図4】同実施形態に係る圧電アクチュエータの支持駆動部の正面図である。
【図5A】同実施形態に係る第3圧電素子61を説明する図である。
【図5B】同実施形態に係る第4圧電素子62を説明する図である。
【図6A】同実施形態に係る第5圧電素子71と第6圧電素子72の駆動動作を説明する図である。
【図6B】同実施形態に係る第5圧電素子71と第6圧電素子72の駆動動作を説明する図である。
【図7A】同実施形態に係る圧電アクチュエータの保持部及び駆動駒の正面図(1)である。
【図7B】同実施形態に係る圧電アクチュエータの保持部及び駆動駒の正面図(2)である。
【図8A】同実施形態に係る圧電素子6の模式的な配線図である。
【図8B】同実施形態に係る圧電素子7の模式的な配線図であり。
【図9】同実施形態に係る駆動装置の駆動駒の先端部の変位を示すグラフである。
【図10】同実施形態に係る電源部が供給する電圧のタイミングチャートの一例である。
【図11】同実施形態に係る第1組と第2組の駆動駒31、32の動作と、ロータの動作(Phase0〜2)とを示す正面図である。
【図12】同実施形態に係る第1組と第2組の駆動駒31、32の動作と、ロータの動作(Phase3〜5)とを示す正面図である。
【図13】同実施形態に係る第1組と第2組の駆動駒31、32の動作と、ロータの動作(Phase6〜8)とを示す正面図である。
【図14】同実施形態に係る第1組と第2組の駆動駒31、32の動作と、ロータの動作(Phase9〜10)とを示す正面図である。
【図15】同実施形態に係る駆動装置の駆動駒の先端部の変位を示すグラフである。
【図16】同実施形態に係る駆動装置1を備えたレンズ鏡筒及びカメラの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る圧電アクチュエータを、図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態の圧電アクチュエータ(駆動装置)1は、例えばロータ等の部材Aと駆動駒等の部材Bとを相対的に変位させる相対駆動を行うことで、カメラのレンズ鏡筒等の光学機器や電子機器を駆動するためのものである。
【0012】
図1は本実施形態の圧電アクチュエータ1の正面図であり、図2はその断面図である。
図1及び図2に示すように、圧電アクチュエータ1は、複数の保持部2aが設けられたベース部2(第3の部材)と、保持部2aに保持された駆動駒3と、駆動駒3に隣接して配置されたロータ4と、ベース部2に挿通された支持軸5と、第1圧電素子6と、第2圧電素子7とを備えている。
【0013】
ベース部2(第4部材)は、例えばステンレス鋼等の金属材料により中空円筒状に形成され、支持軸5が挿通されることで、支持軸5を囲むように設けられている。また、ベース部2は、例えば、導電性を有するWC(タングステンカーバイド)等により設けられる。
ロータ4(第3部材)は、ベアリング5aを介して支持軸5によって支持(軸支)され、支持軸5を回転軸として回転自在に設けられている。ロータ4の外周面には、例えばカメラのレンズ鏡筒等を駆動するための歯車4aが形成されている。ロータ4のベース部2側の面は、複数の駆動駒3によって支持されている。
【0014】
ベース部2の一方の端部は、例えば不図示のボルト等により、取付部101aに固定されている。ベース部2の取付部101aに対向する面の中央部には、凹部2bが形成されている。凹部2bには、支持軸5の基端に形成された拡径部5aが挿入(嵌入)されている。この状態でベース部2が取付部101aに固定されることで、支持軸5がベース部2及び取付部101aに固定されている。
【0015】
ベース部2の他方の端部には、凹状の保持部2aが、ベース部2の周方向、すなわちロータ4の回転方向Rに、複数設けられている。保持部2aは、駆動駒3を支持軸5に垂直かつロータ4の回転方向Rに沿う方向(第3の方向)の両側から支持するとともに、駆動駒3(31(第1部材),32(第2部材))を支持軸5に平行な方向(第2の方向)に駆動可能に保持している。また、図1に示すように、ベース部2のロータ4側の端部の角部には、面取り部(露出形成部)2hが設けられている。面取り部2hは、ベース部2のロータ4側の端部の外周側の角部及び内周側の角部の双方に、ベース部2の全周に亘って設けられている。
【0016】
図2に示すように、ベース部2の側面2cは、支持軸5と略平行に設けられている。側面2cの保持部2aと取付部101a側の端部との間には、取付部101aから保持部2aへの振動の伝達を抑制する振動抑制部としての溝部2dが形成されている。すなわち、溝部2dは、支持軸5に略垂直でかつロータ4の回転方向Rに沿う方向(第3の方向)と交差するベース部2の側面2cに設けられている。溝部2dは、ベース部2の周方向に連続的に設けられ、保持部2aと取付部101a側の端部との中間よりも取付部101a側の端部に近い位置に設けられている。
【0017】
溝部2dの深さd1は、例えばベース部2の半径r1の40%以上かつ80%以下の範囲である。また、支持軸5に平行な方向(第2の方向)の溝部2dの幅w1は、ベース部2の振動の振幅よりも大きく、後述する第3圧電素子61、第4圧電素子62、第5圧電素子71、第6圧電素子72、駆動駒3、及びベース部2からなる支持駆動部(構造部)1aの共振振動の振幅よりも大きくなるように形成されている。一例において、溝部2dの幅w1は、ベース部2の半径よりも短い。
【0018】
図2に示すように、ベース部2と支持軸5との間には、取付部101aから保持部2aへの振動を抑制するための間隙(振動抑制部)2eが設けられている。間隙2eは、支持軸5と平行な方向に、ベース部2の保持部2a側の端部から溝部2dの取付部101a側の縁と同様の位置まで設けられている。また、間隙2eの幅w2は、溝部2dの幅w1と同様に、ベース部2の振動の振幅よりも大きく、後述する支持駆動部1aの共振振動の振幅よりも大きくなるように形成されている。
【0019】
次に、駆動駒3、第3圧電素子61、第4圧電素子62、第5圧電素子71、および第6圧電素子72の構成について、図3〜図7を用いて説明する。まず、図3は図1に示す圧電アクチュエータ1の支持駆動部1aの斜視図であり、図4は図1に示す圧電アクチュエータ1の支持駆動部1aの平面図である。
図3及び図4に示すように、駆動駒3は、断面が山形の六角柱形状を有する先端部3aと、略直方体形状を有する基部3bとを有している。先端部3aは、例えばステンレス鋼等により形成されている。基部3bは、例えば軽金属合金等により構成されている。基部3bは、保持部2aによって、支持軸5と平行な方向に駆動可能に支持されている。先端部3aは、保持部2aから突出してロータ4を支持する。先端部3aは、ロータ4に接触する上面の面積が基部3b側の底面の面積よりも小さくなる先細状の形状に設けられている。
【0020】
図3に示すように、保持部2aはベース部2の端部に設けられ、ベース部2に王冠状の凹凸を形成している。図4に示すように、保持部2aはベース部2の周方向の略60°毎に均等に形成されている。保持部2aは平面視でベース部2の中心を通る中心線CLと略平行に設けられた一対の支持面2f,2fを備えている。支持面2fは、駆動駒3の基部3bを、ベース部2の中心線CLと略垂直な保持部2aの幅w4方向(第3の方向)の両側から一対の第1圧電素子6,6を介して挟み込むように保持している。
【0021】
図3及び図4に示すように、本実施形態の駆動駒31(第1組の第1部材)は、先端部31a(第1の先端部)と基部31b(第1の基部)との間に一対の第5圧電素子71,71を備え、基部31bの側面に一対の第3圧電素子61,61を二対備えている。本実施形態の駆動駒32(第2組の第1組の第2部材)は、先端部32a(第2の先端部)と基部32b(第2の基部)との間に一対の第6圧電素子72,72を備え、基部32bの側面に一対の第4圧電素子62,62を二対備えている。
このように、圧電アクチュエータ1は、駆動駒31と二対の第3圧電素子61及び一対の第5圧電素子71を備えた第1組と、駆動駒32と二対の第4圧電素子62及び一対の第6圧電素子72を備えた第2組との、2つの組を備えている。
第1組の駆動駒31と第2組の駆動駒32とは、同一の円周上に配置されている。また、各々の組の駆動駒31,32は、ロータ4の回転方向Rに、それぞれ均等に配置されている。異なる組の駆動駒31,32は、回転方向Rに、交互に(順番に)配置されている。
【0022】
次に、第3圧電素子61、第4圧電素子62、第5圧電素子71、及び第6圧電素子72について、図3〜図6を用いて説明する。
まず、第3圧電素子61、第4圧電素子62について説明する。
図4に示すように、駆動駒31の幅w3(w31)方向(第3の方向)には、駆動駒31の基部3bを幅w3(w31)方向の両側から挟みこむ一対の第3圧電素子61,61が、二対設けられている。駆動駒3の幅方向w3は、支持軸5に垂直でロータ4の回転方向Rに沿う方向であって、ベース部2の平面視における中心線CLと略垂直な方向である。第3圧電素子61は、保持部2aの深さd2方向に沿って延びる細長い長方形状に形成され、基部3bと保持部2aとの間に挟持されている。これにより、第3圧電素子61は、ベース部2に設けられた溝部2d(図1及び図2参照)とロータ4との間に配置されている。
また、駆動駒32の幅w3(w32)方向(第3の方向)には、駆動駒32の基部3bを幅w3(w32)方向の両側から挟みこむ一対の第4圧電素子62,62が、二対設けられている。
【0023】
第3圧電素子61は、例えば導電性の接着剤により、駆動駒31の基部3bと保持部2aとに接着されている。また、ベース部2の中心を通る中心線CLと略平行な駆動駒31の奥行p1方向に配置された2つの第3圧電素子61,61は、互いに略平行になっている。
また、第4圧電素子62は、例えば導電性の接着剤により、駆動駒32の基部3bと保持部2aとに接着されている。また、ベース部2の中心を通る中心線CLと略平行な駆動駒32の奥行p1方向に配置された2つの第3圧電素子62,62は、互いに略平行になっている。
各々の第3圧電素子61または第4圧電素子62の形状及び寸法は、全て略等しくなっている。
【0024】
図5Aは、本実施形態における第3圧電素子61を説明する図である。図5Bは、本実施形態における第4圧電素子62を説明する図である。支持軸5に平行な方向(第2の方向)において、ベース部2からロータ4への方向を正方向とする。この場合、図5Aのように、第3圧電素子61は、正電圧が印加されたとき、+(プラス)電極が正方向に変位するように基部3bに接着されている。一方、図5Bのように、第4圧電素子62は、正電圧が印加されたとき、+(プラス)電極が負方向に変位するように基部3bに接着されている。なお、第3圧電素子61と第4圧電素子62は、電極極性が同じ方向に、各々駆動駒31の基部3bと駆動駒32の基部3bとに接着されている。
【0025】
次に、第5圧電素子71、第6圧電素子72について説明する。
図3に戻って、駆動駒31の基部3bと先端部3aとの間には、一対の第5圧電素子71,71が、互いに略平行に設けられている。第5圧電素子71は、駆動駒31の幅w3方向と略平行に延びる細長い長方形状に形成されている。
また、駆動駒32の基部3bと先端部3aとの間には、一対の第6圧電素子72,72が、互いに略平行に設けられている。第6圧電素子72は、駆動駒32の幅w3方向と略平行に延びる細長い長方形状に形成されている。
第5圧電素子71または第6圧電素子72は、先端部3aの底面と基部3bの上面との間に挟持され、例えば導電性の接着剤により、先端部3aの底面と基部3bの上面とに接着されている。各々の第5圧電素子71または第6圧電素子72の形状及び寸法は、全て略等しくなっている。
【0026】
図6Aは、本実施形態における第5圧電素子71を説明する図である。図6Bは、本実施形態における第6圧電素子72を説明する図である。駆動駒31の幅w3方向(第3の方向)において、ロータ4の回転方向を正方向とする。この場合、図6のように、第5圧電素子71は、正電圧が印加されたとき、+(プラス)電極が正方向に変位するように基部3bに接着されている。一方、第6圧電素子72は、正電圧が印加されたとき、+(プラス)電極が負方向に変位するように基部3bに接着されている。なお、第5圧電素子71と第6圧電素子72は、電極極性が同じ方向に、各々駆動駒31の基部3bと駆動駒32の基部3bとに接着されている。
【0027】
第3圧電素子61、第4圧電素子62、第5圧電素子71、及び第6圧電素子72は、厚み方向に分極されていて、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)により形成され、その振動モードは厚み滑り振動である。すなわち、第3圧電素子61または第4圧電素子62は、駆動駒3を、支持軸5と略平行な保持部2aの深さd2方向に、ベース部2に対して相対的に駆動させる。第5圧電素子71または第6圧電素子72は、駆動駒3の先端部3aを駆動駒3の幅w3方向(第3の方向)に、基部3b及びベース部2に対して相対的に駆動させる。すなわち、本実施形態では、第3圧電素子61または第4圧電素子62が駆動駒3を挟み込む方向(第2の方向)と、第5圧電素子71または第6圧電素子72が駆動駒3の先端部3aを駆動させる方向(第3の方向)とが、略等しくなっている。
【0028】
これら複数の第3圧電素子61、第4圧電素子62、第5圧電素子71、第6圧電素子72、駆動駒3、及びベース部2により、ロータ4を支持し、かつロータ4を駆動駒3及びベース部2と相対的に駆動させる支持駆動部1aが構成されている。
【0029】
次に、図3における駆動駒3の保持部2aについて、図7Aと図7Bを用いて説明する。
図7Aは、本実施形態における圧電アクチュエータの保持部及び駆動駒の正面図(1)であり、図7Bは、本実施形態に係る圧電アクチュエータの保持部及び駆動駒の正面図(2)である。
図7A及び図7Bに示すように、ベース部2に設けられた凹状の保持部2aの支持面2fは、図2に示す支持軸5と略平行な保持部2aの深さd2方向(第2の方向)に対して、傾斜させて設けられている。
【0030】
支持面2fは、図1に示す駆動駒3の先端部3aに支持されたロータ4からの距離が遠ざかるほど、対向する支持面2f,2f同士の間隔が漸次狭くなるように傾斜している。換言すると、保持部2aは、底面2gに近づくほど、幅w4が狭くなっている。保持部2aの深さd2方向に対する支持面2fの傾斜角度αは、各部材の寸法や公差等の関係から、2°以上6°以下であることが好ましい。本実施形態において、支持面の傾斜角度αは4°である。
【0031】
また、図7A及び図7Bに示すように、支持面2fに対向する駆動駒3の基部3bの側面3cは、支持面2fと同様に、支持軸5と略平行な駆動駒3の高さh1方向(第2の方向)に対して、傾斜させて設けられている。これにより、駆動駒3の基部3bの側面3cは、支持面2fと略平行に設けられている。ここで、基部3bの保持部2aの底面2g側の端部における基部3b及び一対の第1圧電素子6,6の幅w5は、保持部2aの開口部における幅w4よりも小さく、保持部2aの深さd2方向の途中における幅w4'よりも大きくなっている。
【0032】
そのため、駆動駒3の基部3b及び一対の第1圧電素子6,6を、保持部2aに保持させると、図5Bに示すように、駆動駒3の底面3dと保持部2aの底面2gとが離間した状態で、基部3bが、保持部2aの幅w4方向の両側から、一対の第1圧電素子6,6を介して支持面2fによって支持される。すなわち、支持面2fは、駆動駒3を、保持部2aの幅w4方向(第3の方向)の両側から支持するとともに、支持軸5と略平行な保持部2aの深さd2方向(第2の方向)において位置決めをするように、深さd2方向に対して、傾斜させて設けられている。
【0033】
図8Aは圧電素子6(第3圧電素子61,第4圧電素子62)の模式的な配線図であり、図8Bは圧電素子7(第5圧電素子71,第6圧電素子72)の模式的な配線図である。
図8A及び図8Bに示すように、本実施形態の圧電アクチュエータ1は、第1圧電素子6及び第2圧電素子7の各々に電圧を供給する電源部10(第1電源部〜第3電源部)、持上駆動回路15(第1駆動部)及び送り駆動回路16(第2駆動部)に接続されている。電源部10は、図3及び図4に示す第1組及び第2組のそれぞれの駆動駒31,32の先端部31a,32aが、順次、図1及び図2に示すロータ4との接触、ロータ4の回転方向Rへの送り、ロータ4からの離間、ロータ4の回転方向Rと逆方向の戻り、を繰り返すように、持上駆動回路15及び送り駆動回路16に電圧を供給する。持上駆動回路15は、供給された電圧に基づき、圧電素子6(第3圧電素子61,第4圧電素子62)を駆動する。送り駆動回路16は、供給された電圧に基づき、圧電素子7(第5圧電素子71,第6圧電素子72)を駆動する。なお、電源部10は、第1電源部〜第3電源部のことであり、用途に応じて第1端子T1のみ(第2電源部)でもよく、用途に応じて第2端子T2のみ(第3電源部)でもよい。なお、第1組の基部31bと第2組の基部32bは接地されている。
【0034】
図8Aに示すように、第1組の駆動駒31の各々が備える第3圧電素子61と、第2組の駆動駒32の各々が備える第4圧電素子62とは、交互に、第1配線11及び持上駆動回路15を介して電源部10の第1端子T1に接続されている。
図8Bに示すように、第1組の駆動駒31の各々が備える第5圧電素子71と、第2組の駆動駒32の各々が備える第6圧電素子72は、交互に、第2配線12と送り駆動回路16を介して電源部10の第2端子T2に接続されている。
また、図8A及び図8Bにおいて、図示は省略するが、駆動駒31,32の基部31b,32bは接地されている。
【0035】
電源部の各端子から第3圧電素子〜第6圧電素子へ供給する電圧を、正弦波や正弦波状の電圧波形としてもよい。また、持上駆動回路15の出力は、各第1圧電素子6に供給してもよく、あるいは、ベース部2が導電性を有している場合はベース部2に供給するようにしてもよい。
次に、駆動駒の組が第1組と第2組の二組構成されている場合を例に図9を用いて説明する。図9は、本実施形態における駆動装置の駆動駒の先端部の変位を示すグラフである。
【0036】
図9(a)〜図9(d)では、ロータ4の回転方向Rに沿う第1組の駆動駒3の幅w31方向(第3の方向)をX1方向とし、支持軸5に平行な方向(第2の方向)をY方向とする直交座標系を用いて説明する。図9(a)は第1組の駆動駒の先端部のY方向の変位を示し、図9(b)は第2組の駆動駒のY方向の変位を示している。また、図9(c)は、第1組の駆動駒のX1方向の変位を示し、図9(d)は第2組のX2方向の変位を示している。
【0037】
第3圧電素子61と第4圧電素子62の駆動方向が逆方向のため、図9(a)及び図9(b)に示すように、Y軸方向に駆動する第1組及び第2組の駆動駒の先端部は、180°の位相差を有する正弦波状の軌跡を描く。このとき、第1組の駆動駒の先端部は、図9(a)に太線で示すように、Y軸方向の変位が接触位置y1を越えるとロータと接触する。また、図9(b)に太線で示すように、第2組の駆動駒の先端部も、同様に、ロータと接触する。
【0038】
ここで、図9(a)に示す第1組の駆動駒の軌跡と、図9(b)第2組の駆動駒の軌跡とは、180°の位相差を有している。そのため、第1組の駆動駒の先端部と、第2組の駆動駒の先端部とが、ロータに交互に接触して、ロータを支持する。ここで、双方の駆動駒の先端部がロータから離間する期間が存在することがある。しかし、この期間、ロータは、その慣性によりY方向へは殆ど変位しない。
【0039】
図9(c)及び図9(d)に示すように、X1軸方向及びX2軸方向へ駆動する第1組及び第2組の駆動駒の先端部は、正弦波状の軌跡を描くようになる。
【0040】
ここで、図9(c)に太線で示すように、第1組の駆動駒の先端部は、ロータと接触している間(図9(a)に示す太線部分の間)に、ロータの回転方向に沿うX1軸正方向に移動する。また、図9(d)に太線で示すように、第2組の駆動駒の先端部も同様に、ロータと接触している間(図15(b)に示す太線部分の間)に、ロータの回転方向に沿うX2軸正方向に移動する。
したがって、ロータ4は、第1組の駆動駒と第2組の駆動駒とによって、交互に回転方向へ駆動される。
【0041】
次に、第1組の駆動駒と第2組の駆動駒の動作、および電源部10の制御電圧の一例を、図10〜図15を用いて説明する。
図10は、電源部10が各端子T1とT2に発生させる電圧のタイミングチャートの一例である。なお、図10は、第1端子T1から供給する電圧波形は矩形波、第2端子から供給する電圧波形は正弦波状の例である。このように、駆動電圧は、正弦波状の電圧のみではなく矩形波状であってもよい。
図10に示すように、電源部10は、第1端子T1に、Phase1〜Phase2の間では−1.0[V]の電圧を発生させ、Phase3〜Phase6の間では1.0[V]の電圧を発生させる。Phase6以降では、−1.0[V]の電圧を4Phaseの間発生させ、1.0[V]の電圧を4Phaseの間発生させることを繰り返す。すなわち、電源部10は、第1端子に8Phaseを一周期とする電圧を発生させる。なお、Phaseとは、駆動電圧が印加されたときの、各状態を表すものである
【0042】
電源部10は、第2端子T2に、Phase1において−1.0[V]の電圧を発生させ、Phase2において−2.0[V]の電圧を発生させる。また、電源部10は、第2端子T2に、Phase3〜Phase6までの各Phaseにおいて電圧を、−2.0[V]〜2.0[V]まで1.0[V]ずつ増加させる。また、電源部10は、第2端子T2に、Phase7〜Phase8の各Phaseにおいて電圧を、2.0[V]〜0[V]まで1.0[V]ずつ減少させる。Phase9以降では、このPhase1〜Phase8の電圧の発生パターンを繰り返す。すなわち、電源部10は、第2端子T2とに、8Phaseを一周期とする電圧を発生させる。
なお、第1の電圧とは、電源部10が第1端子T1と第2端子T2から持上駆動回路15と送り駆動回路16とに供給する電圧であり、例えば第1端子T1における−1.0[V]〜1.0[V]であり、第2端子T2における−2.0[V]〜2.0[V]である。
【0043】
本実施形態では、電源部10が第1圧電素子6及び第2圧電素子7に供給する電圧の周波数は、第1圧電素子6、第2圧電素子7、駆動駒3、及びベース部2からなる支持駆動部(構造部)1aの共振振動の振動数と、略等しくなっている。
【0044】
次に、本実施形態の圧電アクチュエータ1の動作について、図10を用いて説明したタイミングチャートと、図11〜図15とを用いて以下に説明する。
図11〜図14は、第1組と第2組の駆動駒31、32の動作と、ロータ4の動作(Phase0〜10)とを示す正面図である。 図15は、本実施形態における駆動装置の駆動駒の先端部の変位を示すグラフである。図15(a)及び図15(b)において、Y軸方向におけるロータ4との接触位置y1は、破線で表わされる。
【0045】
図11(a)〜図14(a)では、ロータ4の回転方向Rに沿う第1組の駆動駒3の幅w31方向(第3の方向)をX1方向とし、支持軸5に平行な方向(第2の方向)をY方向とする直交座標系を用いて説明する。図11(b)〜図14(b)では、ロータ4の回転方向Rに沿う第2組の駆動駒32の幅w32方向(第3の方向)をX2方向とし、支持軸5に平行な方向(第2の方向)をY方向とする直交座標系を用いて説明する。
【0046】
(Phase0)
電源部10は、図10に示すように、Phase0において、各端子T1とT2に電圧を発生させず(0[V])、図8Aと図8Bに示す第3圧電素子61と第4圧電素子62、第5圧電素子71、および第6圧電素子72に、0[V]の電圧を供給している(すなわち、電圧を供給していない)状態である。
図11(a)及び図11(b)に示すように、Phase0において、第1組の駆動駒31と第2組の駆動駒32とは、それぞれ先端部31a,32aの上面がロータ4に接した状態で静止している。ロータ4は、駆動駒31,32の先端部31a,32aに支持された状態で静止している。
【0047】
(Phase1)
電源部10は、図10に示すように、Phase1において、第1端子T1に−1.0[V]の電圧を発生させ、図8Aに示す第1組の駆動駒31の第3圧電素子61と、第2組の駆動駒32の第4圧電素子62とに、持上駆動回路15と第1配線11を介して電圧を供給する。
また、電源部10は、図10に示すように、Phase1において、第2端子T2に−1.0[V]の電圧を発生させ、図8Bに示す第1組の駆動駒31の第5圧電素子71と、第2組の駆動駒32の第6圧電素子72とに、送り駆動回路16と第2配線12を介して電圧を供給する。
【0048】
この結果、図11(a)に示すように、Phase1において、第1組の駆動駒31を駆動する第3圧電素子61が厚み滑り変形し、駆動駒31の基部31bを保持部2aの支持面2fに対してY方向のベース部2側(Y軸負方向側)へ移動させる(図15(a)、Phase1参照)。これにより、駆動駒31の先端部31aは、Y軸負方向側へ移動し、ロータ4から離間する。
また、図11(a)に示すように、Phase1において、第5圧電素子71は、厚み滑り変形する。このため、先端部31aは、基部31b及びベース部2に対して、X1軸負方向側へ移動する(図15(c)参照、Phase1参照)。このときの先端部31aの移動量は、第5圧電素子71に供給される電圧の絶対値に比例する。
【0049】
また、図11(b)に示すように、Phase1において、第2組の駆動駒32を駆動する第4圧電素子62は、厚み滑り変形し、駆動駒32の基部32bを、保持部2aの支持面2fに対してY方向のロータ4側(Y軸正方向側)へ移動させる(図15(b)、Phase1参照)。これにより、駆動駒32がY軸正方向側へ移動することで、先端部32aは、ロータ4をY軸正方向側へ押し上げる。
また、図11(b)に示すように、Phase1において、第6圧電素子72は、厚み滑り変形する。このため、先端部32aは、基部32b及びベース部2に対して、X2軸正方向側へ移動する(図15(d)参照、Phase1参照)。このときの先端部32aの移動量は、第6圧電素子72に供給される電圧の絶対値に比例する。
【0050】
すなわち、Phase1においては、図11(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aは、Y軸負方向側へ移動して、ロータ4から離間する。また、図11(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aがX2軸正方向側へ移動することにより、先端部32aの上面とロータ4の下面との間に、摩擦力が作用する。ここで、第2組の駆動駒32は、図3及び図4に示すように、ロータ4の回転方向Rに沿って、ベース部2の周方向に配置される。また、先端部32aは、ロータ4の回転方向Rに沿う駆動駒32の幅w32方向(X2方向)に変位する。そのため、ロータ4は、駆動駒32の先端部32aによって、回転方向Rに駆動され、図1及び図2に示す支持軸5を中心とする回転を開始する。
【0051】
(Phase2)
電源部10は、図10に示すように、Phase2において、第1端子T1の電圧を−1.0[V]に維持し、図8Aに示す第1組の駆動駒31の第3圧電素子61と、第2組の駆動駒32の第4圧電素子62とに、持上駆動回路15と第1配線11を介して供給する電圧を維持する。
また、電源部10は、図10に示すように、Phase2において、第2端子T2に−2.0[V]の電圧を発生させ、図8Bに示す第1組の駆動駒31の第5圧電素子71と、第2組の駆動駒32の第6圧電素子72とに、送り駆動回路16と第2配線12を介して電圧を供給する。
【0052】
この結果、図11(a)に示すように、Phase2において、第1組の駆動駒31をY方向に駆動する第3圧電素子61の変形が維持されて先端部31aがロータ4から離間した状態が維持される(図15(a)、Phase2参照)。この状態で、図8Aに示すように、Phase2において、第5圧電素子71は、厚み滑り変形する。このため、先端部31aは、基部31b及びベース部2に対して、X1軸負方向側へ移動する(図15(c)参照)。このときの先端部31aの移動量は、第5圧電素子71にPhase2で新たに供給された−2.0[V]と、Phase1で供給されていた−1.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0053】
また、図11(b)に示すように、Phase2において、第2組の駆動駒32をY方向に駆動する第4圧電素子62の変形が維持されて先端部32aがロータ4に接触した状態が維持される(図15(b)、Phase2参照)。この状態で、図11(b)に示すように、Phase2において、第6圧電素子72は、厚み滑り変形する。このため、先端部32aは、基部32b及びベース部2に対して、X2軸正方向側へ移動する(図15(d)、Phase2参照)。このときの先端部32aの移動量は、第6圧電素子72にPhase2で新たに供給された−2.0[V]と、Phase1で供給されていた−1.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0054】
すなわち、Phase2においては、図11(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aがX2軸正方向側へ移動することにより、先端部32aの上面とロータ4の下面との間に、摩擦力が作用する。このため、ロータ4は、駆動駒32の先端部32aによって、回転方向Rに駆動される。
【0055】
(Phase3)
電源部10は、図10に示すように、Phase3において、第1端子T1に正負が逆転した1.0[V]の電圧を発生させ、図8Aに示す第1組の駆動駒31の第3圧電素子61と、第2組の駆動駒32の第4圧電素子62とに、持上駆動回路15と第1配線11を介して電圧を供給する。
また、電源部10は、図10に示すように、Phase3において、第2端子T2に−1.0[V]の電圧を発生させ、図8Bに示す第1組の駆動駒31の第5圧電素子71と、第2組の駆動駒32の第6圧電素子72とに、送り駆動回路16と第2配線12を介して電圧を供給する。
【0056】
この結果、図12(a)に示すように、Phase3において、第1組の駆動駒31を駆動する第3圧電素子61が正方向に厚み滑り変形し、駆動駒31の基部31bをY軸正方向側へ移動させる(図15(a)、Phase3参照)。同時に、図12(a)に示すように、Phase3において、第5圧電素子71のX1軸負方向側への変形量は、減少する。このため、先端部31aは、基部31b及びベース部2に対して、X1軸正方向側へ移動する(図15(c)、Phase3参照)。このときの先端部31aの移動量は、第5圧電素子71にPhase3で新たに供給された−1.0[V]と、Phase2で供給されていた−2.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0057】
また、図12(b)に示すように、Phase3において、第2組の駆動駒32を駆動する第4圧電素子62が負方向に厚み滑り変形し、駆動駒32の基部32bをY軸負方向側へ移動させる(図15(b)、Phase3参照)。この状態で、図12(b)に示すように、Phase4において、第6圧電素子72のX2軸負方向側への変形量は、減少する。このため、先端部32aは、基部32b及びベース部2に対して、X2軸負方向側へ移動する(図15(d)、Phase3参照)。このときの先端部32aの移動量は、第6圧電素子72にPhase3で新たに供給された−1.0[V]と、Phase2で供給されていた−2.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0058】
すなわち、Phase3においては、図12(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aがX1軸正方向側へ移動することにより、先端部31aの上面とロータ4の下面との間に、摩擦力が作用する。このため、ロータ4は、駆動駒31の先端部31aによって、回転方向Rに駆動される。
【0059】
なお、Phase2とPhase3の間、双方の駆動駒31,32は、極めて短時間の間、ロータ4から離間する場合がある。このような場合であっても、ロータ4は、その慣性により、Y方向の変位を殆どすることなく、第2組の駆動駒32の先端部32aによって支持されていた位置に留まる。そのため、ロータ4は、Y方向の略一定の位置が維持され、回転方向Rに駆動された状態で、第1組の駆動駒31の先端部31aによりY方向に支持され、回転方向Rへ駆動される。これにより、ロータ4は、Y方向の略一定の位置で、支持軸5を中心として回転を継続する。
【0060】
(Phase4)
電源部10は、図10に示すように、Phase4において、第1端子T1の電圧を1.0[V]に維持し、図8Aに示す第1組の駆動駒31の第3圧電素子61と、第2組の駆動駒32の第4圧電素子62とに、持上駆動回路15と第1配線11を介して供給する電圧を維持する。
また、電源部10は、図10に示すように、Phase4において、第2端子T2に供給する電圧を0[V]にし、図8Bに示す第1組の駆動駒31の第5圧電素子71と、第2組の駆動駒32の第6圧電素子72とに、送り駆動回路16と第2配線12を介して供給する電圧を0[V]にする。
【0061】
この結果、図12(a)に示すように、Phase4において、第1組の駆動駒31を駆動する第3圧電素子61の変形が維持されて先端部32aがロータ4に接触した状態が維持される(図15(a)、Phase4参照)。同時に、図12(a)に示すように、Phase4において、第5圧電素子71のX1軸正方向側への変形量は減少し、第5圧電素子71が元の状態に戻る。このため、先端部31aは、基部31b及びベース部2に対して、X1軸正方向側へ移動する(図15(c)、Phase4参照)。このときの先端部31aの移動量は、第5圧電素子71にPhase4で新たに供給された0[V]と、Phase3で供給されていた−1.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0062】
また、図12(b)に示すように、Phase4において、第2組の駆動駒32を駆動する第4圧電素子62の変形が維持されて先端部32aがロータ4から離間された状態が維持される(図15(b)、Phase5参照)。この状態で、図12(b)に示すように、Phase4において、第6圧電素子72は、第6圧電素子72のX2軸負方向側への変形量は減少し、第6圧電素子72が元の状態に戻る。このため、先端部32aは、基部32b及びベース部2に対して、X2軸負方向側へ移動する(図15(d)、Phase4参照)。このときの先端部32aの移動量は、第6圧電素子72にPhase4で新たに供給された0[V]と、Phase3で供給されていた−1.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0063】
すなわち、Phase4においては、図12(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aがX1軸正方向側へ移動することにより、先端部31aの上面とロータ4の下面との間に、摩擦力が作用する。このため、ロータ4は、駆動駒31の先端部31aによって、回転方向Rに駆動される。
【0064】
(Phase5)
電源部10は、図10に示すように、Phase5において、第1端子T1の電圧を1.0[V]に維持し、図8Aに示す第1組の駆動駒31の第3圧電素子61と、第2組の駆動駒32の第4圧電素子62とに、持上駆動回路15と第1配線11を介して供給する電圧を維持する。
また、電源部10は、図10に示すように、Phase5において、第2端子T2に1.0[V]の電圧を発生させ、図8Bに示す第1組の駆動駒31の第5圧電素子71と、第2組の駆動駒32の第6圧電素子72とに、送り駆動回路16と第2配線12を介して電圧を供給する。
【0065】
この結果、図13(a)に示すように、Phase5において、第1組の駆動駒31を駆動する第3圧電素子61の変形が維持されて先端部32aがロータ4に接触した状態が維持される(図15(a)、Phase5参照)。同時に、図13(a)に示すように、Phase5において、第5圧電素子71は、厚み滑り変形する。このため、先端部31aは、基部31b及びベース部2に対して、X1軸正方向側へ移動する(図15(c)、Phase5参照)。このときの先端部31aの移動量は、第5圧電素子71にPhase6で新たに供給された1.0[V]と、Phase6で供給されていた0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0066】
また、図13(b)に示すように、Phase5において、第2組の駆動駒32を駆動する第4圧電素子62の変形が維持されて先端部32aがロータ4から離間された状態が維持される(図15(b)、Phase5参照)。この状態で、図13(b)に示すように、Phase6において、第6圧電素子72は、厚み滑り変形する。このため、先端部32aは、基部32b及びベース部2に対して、X2軸負方向側へ移動する(図15(d)、Phase5参照)。このときの先端部32aの移動量は、第5圧電素子71にPhase6で新たに供給された1.0[V]と、Phase5で供給されていた0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0067】
すなわち、Phase5においては、図13(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aがX1軸正方向側へ移動することにより、先端部31aの上面とロータ4の下面との間に、摩擦力が作用する。このため、ロータ4は、駆動駒31の先端部31aによって、回転方向Rに駆動される。
【0068】
(Phase6)
電源部10は、図10に示すように、Phase6において、第1端子T1の電圧を1.0[V]に維持し、図8Aに示す第1組の駆動駒31の第3圧電素子61と、第2組の駆動駒32の第4圧電素子62とに、持上駆動回路15と第1配線11を介して供給する電圧を維持する。
また、電源部10は、図10に示すように、Phase6において、第2端子T2に2.0[V]の電圧を発生させ、図8Bに示す第1組の駆動駒31の第5圧電素子71と、第2組の駆動駒32の第6圧電素子72とに、送り駆動回路16と第2配線12を介して電圧を供給する。
【0069】
この結果、図13(a)に示すように、Phase6において、第1組の駆動駒31を駆動する第3圧電素子61の変形が維持されて先端部32aがロータ4に接触した状態が維持される(図15(a)、Phase6参照)。同時に、図13(a)に示すように、Phase6において、第5圧電素子71のX1軸正方向側への変形量は、増加する。このため、先端部31aは、基部31b及びベース部2に対して、X1軸正方向側へ移動する(図15(c)、Phase6参照)。このときの先端部31aの移動量は、第5圧電素子71にPhase6で新たに供給された2.0[V]と、Phase5で供給されていた1.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0070】
また、図13(b)に示すように、Phase6において、第2組の駆動駒32を駆動する第4圧電素子62の変形が維持されて先端部32aがロータ4から離間された状態が維持される(図15(b)、Phase6参照)。この状態で、図13(b)に示すように、Phase7において、第6圧電素子72のX2軸正負向側への変形量は、増加する。このため、先端部32aは、基部32b及びベース部2に対して、X2軸負方向側へ移動する(図15(d)、Phase6参照)。このときの先端部32aの移動量は、第6圧電素子72にPhase6で新たに供給された2.0[V]と、Phase5で供給されていた1.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0071】
すなわち、Phase6においては、図13(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aがX1軸正方向側へ移動することにより、先端部31aの上面とロータ4の下面との間に、摩擦力が作用する。このため、ロータ4は、駆動駒31の先端部31aによって、回転方向Rに駆動される。
【0072】
なお、Phase6とPhase7の間、双方の駆動駒31,32は、極めて短時間の間、ロータ4から離間する場合がある。このような場合であっても、ロータ4は、その慣性により、Y方向の変位を殆どすることなく、第2組の駆動駒32の先端部32aによって支持されていた位置に留まる。そのため、ロータ4は、Y方向の略一定の位置が維持され、回転方向Rに駆動された状態で、第1組の駆動駒31の先端部31aによりY方向に支持され、回転方向Rへ駆動される。これにより、ロータ4は、Y方向の略一定の位置で、支持軸5を中心として回転を継続する。
【0073】
(Phase7)
電源部10は、図10に示すように、Phase7において、第1端子T1に正負が逆転した−1.0[V]の電圧を発生させ、図8Aに示す第1組の駆動駒31の第3圧電素子61と、第2組の駆動駒32の第4圧電素子62とに、持上駆動回路15と第1配線11を介して電圧を供給する。
また、電源部10は、図10に示すように、Phase7において、第2端子T2に1.0[V]の電圧を発生させ、図8Bに示す第1組の駆動駒31の第5圧電素子71と、第2組の駆動駒32の第6圧電素子72とに、送り駆動回路16と第2配線12を介して電圧を供給する。
【0074】
この結果、図14(a)に示すように、Phase7において、第1組の駆動駒31を駆動する第3圧電素子61が厚み滑り変形し、駆動駒31の基部31bを保持部2aの支持面2fに対してY方向のベース部2側(Y軸負方向側)へ移動させる(図15(a)、Phase7参照)。これにより、駆動駒31の先端部31aは、Y軸負方向側へ移動し、ロータ4から離間する。
また、図14(a)に示すように、Phase7において、第5圧電素子71のX1軸正方向側への変形量は、減少する。このため、先端部31aは、基部31b及びベース部2に対して、X1軸負方向側へ移動する(図15(c)、Phase7参照)。このときの先端部31aの移動量は、第5圧電素子71にPhase7で新たに供給された1.0[V]と、Phase6で供給されていた2.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0075】
また、図14(b)に示すように、Phase7において、第2組の駆動駒32を駆動する第4圧電素子62は、厚み滑り変形し、駆動駒32の基部32bを、保持部2aの支持面2fに対してY方向のロータ4側(Y軸正方向側)へ移動させる(図15(b)、Phase7参照)。これにより、駆動駒32がY軸正方向側へ移動することで、先端部32aは、ロータ4をY軸正方向側へ押し上げる。
また、図14(b)に示すように、Phase7において、第6圧電素子72のX2軸正方向側への変形量は、減少する。このため、先端部31aは、基部31b及びベース部2に対して、X2軸正方向側へ移動する(図15(d)、Phase7参照)。このときの先端部31aの移動量は、第6圧電素子72にPhase7で新たに供給された1.0[V]と、Phase6で供給されていた2.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0076】
すなわち、Phase7においては、図14(a)に示すように、第1組の駆動駒31の先端部31aは、Y軸負方向側へ移動して、ロータ4から離間する。また、図14(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aがX2軸正方向側へ移動することにより、先端部32aの上面とロータ4の下面との間に、摩擦力が作用する。このため、ロータ4は、駆動駒32の先端部32aによって、回転方向Rに駆動される。
【0077】
(Phase8)
電源部10は、図10に示すように、Phase8において、第1端子T1の電圧を−−1.0[V]に維持し、図8Aに示す第1組の駆動駒31の第3圧電素子61と、第2組の駆動駒32の第4圧電素子62とに、持上駆動回路15と第1配線11を介して供給する電圧を維持する。
また、電源部10は、図10に示すように、Phase8において、第2端子T2に供給する電圧を0[V]にし、図8Bに示す第1組の駆動駒31の第5圧電素子71と、第2組の駆動駒32の第6圧電素子72とに、送り駆動回路16と第2配線12を介して電圧を供給する。
【0078】
この結果、図14(a)に示すように、Phase8において、第1組の駆動駒31をY方向に駆動する第3圧電素子61の変形が維持されて先端部31aがロータ4から離間した状態が維持される(図15(a)、Phase8参照)。この状態で、図14(a)に示すように、Phase8において、第5圧電素子71のX1軸負方向側への変形量は減少し、第5圧電素子71が元の状態に戻る。このため、先端部31aは、基部31b及びベース部2に対して、X1軸負方向側へ移動する(図15(c)、Phase8参照)。このときの先端部31aの移動量は、第5圧電素子71にPhase8で新たに供給された0[V]と、Phase7で供給されていた1.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0079】
また、図14(b)に示すように、Phase8において、第2組の駆動駒32をY方向に駆動する第4圧電素子62の変形が維持されて先端部32aがロータ4に接触した状態が維持される(図15(b)、Phase8参照)。この状態で、図14(b)に示すように、Phase8において、第6圧電素子72のX2軸正方向側への変形量は減少し、第6圧電素子72が元の状態に戻る。このため、先端部32aは、基部32b及びベース部2に対して、X2軸正方向側へ移動する(図15(d)、Phase8参照)。このときの先端部32aの移動量は、第6圧電素子72にPhase8で新たに供給された0[V]と、Phase7で供給されていた1.0[V]との電圧の差の絶対値に比例する。
【0080】
すなわち、Phase8においては、図14(b)に示すように、第2組の駆動駒32の先端部32aがX2軸正方向側へ移動することにより、先端部32aの上面とロータ4の下面との間に、摩擦力が作用する。このため、ロータ4は、駆動駒32の先端部32aによって、回転方向Rに駆動される。
【0081】
Pahse9以降は、上記のPahse1からPahse8までの動作と同様の動作が繰り返し行われ、ロータ4の回転が継続される。これにより、第1組の駆動駒31の先端部31aと先端部3aと第2組の駆動駒32の先端部32aとによって、交互に(順番に)ロータ4のY軸方向の支持及び回転方向Rの駆動がされ、ロータ4が支持軸5回りの回転を継続する。
【0082】
なお、上述した実施形態では、ロータ4を回転方向Rに駆動する例を説明したが、電源部10が駆動電圧の制御することで回転方向Rとは逆方向に回転させることも可能である。
【0083】
以上のように、同じ駆動電圧を印加したことに応じて、第3圧電素子61が、第2の方向に駆動されるように第1組の駆動駒31の基部31bに取り付けられている。また、同じ駆動電圧を印加したことに応じて、第2組の駆動駒32の基部32bに取り付けられている第4圧電素子62が第2の方向と逆方向に駆動される。また、同じ駆動電圧を印加したことに応じて、第5圧電素子71が、第3の方向に駆動されるように第1組の駆動駒31の基部31bと先端部31aとの間に取り付けられている。また、同じ駆動電圧を印加したことに応じて、第2組の駆動駒32の基部32bと先端部32aとの間に取り付けられている第6圧電素子72が第3の方向と逆方向に駆動される。
【0084】
この結果、第3圧電素子61と第4圧電素子62とを駆動する持上駆動回路15を共通にできる。また、第3圧電素子61と第4圧電素子62とを配線する第1配線11を共通にできる。さらに、第3圧電素子61と第4圧電素子62とを駆動する電源部10の第1端子T1を共通にでき、駆動電圧のタイミング制御を共通に出来る。
同様に、第5圧電素子71と第6圧電素子とを駆動する送り駆動回路16を共通にできる。また、第5圧電素子71と第6圧電素子とを配線する第2配線12を共通にできる。さらに、第5圧電素子71と第6圧電素子とを駆動する電源部10の第2端子T2を共通にでき、駆動電圧のタイミング制御を共通にできる。さらに、第3圧電素子61と第4圧電素子62とに同じ駆動電圧を印加できるので、ベース部2に導電性を備えることができる。そして、この場合は、第3圧電素子61と第4圧電素子62への配線が不要になり、ベース部2に直接、駆動電圧を印加することができるので、構成を簡易にできる。この結果、部品点数を削減でき、組み立ておよびメンテナンスが行いやすくなり、コストを削減することができる。
【0085】
また、駆動駒3によりロータ4を回転させ、ロータ4と駆動駒3とを相対駆動させる際に、ロータ4を安定して回転させることができる。また、例えば、基部31bを挟み込む第3圧電素子61が互いに異なる方向に基部31bを駆動させる場合と比較して、損失が発生し難く、エネルギー効率を向上でき、圧電アクチュエータ1の出力を増大できる。
【0086】
また、第1組の第3圧電素子61と、第2組の第4圧電素子62とは、駆動される方向(厚みすべり振動により移動する方向)が互いに異なるように各々の駆動駒の基部(31b,32b)に取り付けられている(接着されている)。このため、第1組の第3圧電素子61と第2組の第4圧電素子62とに、持上駆動回路15と第1端子T1を介して同じ駆動電圧を供給することで、第1組の駆動駒31の基部31bと第2組の駆動駒32の基部32bとは、逆相の動作を行うことができる。
【0087】
また、第1組の第5圧電素子71と、第2組の第6圧電素子72とは、駆動される方向(厚みすべり振動により移動する方向)が互いに異なるように各々の駆動駒の先端部31aと基部31bとの間または先端部32aと基部31bとの間に取り付けられている(接着されている)。このため、第1組の第5圧電素子71と第2組の第6圧電素子72とに、送り駆動回路16と第2端子T2を介して同じ駆動電圧を供給することで、第1組の駆動駒31の先端部31aと第2組の駆動駒32の先端部32aとは、逆相の動作を行うことができる。
【0088】
また、本実施形態では、ロータ4が円形の場合について説明したが、例えばロータ4は線状であってもよい。この場合においても、第3圧電素子61と第5圧電素子71を有する駆動駒31と、第4圧電素子62と第6圧電素子72を有する駆動駒32とを、線状のロータ4に沿って交互に配置する。そして、電源部10が、持上駆動回路15と第1配線11を介して第3圧電素子61と第4圧電素子62に同じ駆動電圧を供給し、送り駆動回路16と第2配線12を介して第5圧電素子71と第6圧電素子72に同じ駆動電圧を供給することで、線状のロータ4を直線方向に沿って駆動することができる。
【0089】
また、基部3bを挟み込む一対の第3圧電素子61,61または第4圧電素子62,62の寸法及び形状は、略等しくなっている。これにより、駆動駒3の幅w3方向の剛性を均等にできる。したがって、駆動駒3の基部3bの幅w3方向の振動を抑制できる。また、全ての第3圧電素子61〜第6圧電素子72を、同一の形状及び寸法とすることで、製造を容易にして、生産性を向上できる。
【0090】
また、本実施形態では、駆動駒31に取り付けられている第3圧電素子と、駆動駒32に取り付けられている第4圧電素子とに同じ駆動電圧を入力し、かつ駆動駒31に取り付けられている第5圧電素子と、駆動駒32に取り付けられている第6圧電素子とに同じ駆動電圧を入力する例を説明した。しかし、これに限られるものではない。例えば、第3圧電素子と第4圧電素子とに同じ駆動電圧を入力し、第5圧電素子と第6圧電素子とには位相を反転させた駆動信号を供給するようにしてもよい。あるいは、第5圧電素子と第6圧電素子とに同じ駆動電圧を入力し、第3圧電素子と第4圧電素子とには位相を反転させた駆動信号を供給するようにしてもよい。
【0091】
次に、本実施形態の圧電アクチュエータ1を備えたレンズ鏡筒の一例として、交換レンズについて説明する。本実施形態の交換レンズは、カメラ本体とともにカメラシステムを形成するものであり、カメラ本体に着脱可能に装着される。交換レンズは、公知のAF(オートフォーカス)制御に応じて合焦動作を行うAFモードと、撮影者からの手動入力に応じて合焦動作を行うMF(マニュアルフォーカス)モードとが切り替え可能になっている。
【0092】
次に、本実施形態の圧電アクチュエータ1を備えたレンズ鏡筒及びカメラの一例について説明する。本実施形態の交換レンズは、カメラボディとともにカメラシステムを形成するものである。交換レンズは、公知のAF(オートフォーカス)制御に応じて合焦動作を行うAFモードと、撮影者からの手動入力に応じて合焦動作を行うMF(マニュアルフォーカス)モードとが切り替え可能になっている。
図16は、本実施形態における圧電アクチュエータ1を備えたレンズ鏡筒及びカメラの概略構成図である。図16に示すように、カメラ201は、撮像素子208が内蔵されたカメラボディ202と、レンズ207を有するレンズ鏡筒203とを備えている。
【0093】
レンズ鏡筒203は、カメラボディ202に着脱可能な交換レンズである。レンズ鏡筒203は、レンズ207、カム筒206、圧電アクチュエータ1等を備えている。圧電アクチュエータ1は、カメラ201のフォーカス動作時にレンズ207を駆動する駆動源として用いられている。圧電アクチュエータ1のロータ4から得られた駆動力は、直接、カム筒206に伝えられる。レンズ207は、カム筒206に保持されており、圧電アクチュエータ1の駆動力により、光軸方向Lに略平行に移動して、焦点調節を行うフォーカスレンズである。
【0094】
カメラ201の使用時には、レンズ鏡筒203内に設けられたレンズ群(レンズ207を含む)によって、撮像素子208の撮像面に被写体像が結像される。撮像素子208によって、結像された被写体像は電気信号に変換され、その信号をA/D(アナログ−デジタル)変換することによって、画像データが得られる。
【0095】
以上説明したように、カメラ201及びレンズ鏡筒203は、上述の駆動装置1を備えている。したがって、従来よりもロータ4を効率よく回転させ、レンズ207を効率よく駆動することができる。
本実施形態では、レンズ鏡筒203は、交換レンズである例を示したが、これに限らず、例えば、カメラボディと一体型のレンズ鏡筒としてもよい。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
例えば、圧電素子は厚みすべり変形ではなく、厚み方向に変形してもよい。この場合、第3圧電素子の縦弾性係数と、第4圧電素子の縦弾性係数との比が、駆動駒の全体の質量及び先端部の質量の和と、駆動駒の先端部の質量との比と同一であってもよい。この場合でも、厚みすべり変形をする圧電素子を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0097】
1・・・圧電アクチュエータ 1a・・・支持駆動部 2・・・ベース部(第4部材)
3・・・駆動駒(第1部材、第2部材) 3a・・・先端部 3b・・・基部 4・・・ロータ(第3部材) 6・・・第1圧電素子 7・・・第2圧電素子
10・・・電源部(第1〜第3電源部) 15・・・持上駆動回路(第1駆動部)
16・・・送り駆動回路(第2駆動部) 31・・・駆動駒(第1組の第1部材)
31a・・・先端部(第1の先端部) 31b・・・基部(第1の基部) 32・・・駆動駒(第2組の第2部材) 32a・・・先端部(第2の先端部) 32b・・・基部(第2の基部) 61・・・第3圧電素子 62・・・第4圧電素子 71・・・第5圧電素子 72・・・第6圧電素子 201・・・カメラ、 203・・・レンズ鏡筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1圧電素子と、
第2圧電素子と、
第1の電圧の印加に応じて第1の方向に変形する前記第1圧電素子が取り付けられている第1組の第1部材と、
前記第1の電圧の印加に応じて前記第1の方向と逆方向に変形する前記第2圧電素子が取り付けられている第2組の第2部材と、
を備えることを特徴とする圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1部材または前記第2部材が駆動されることにより、前記第1部材または前記第2部材と当接して、前記第1の部材または前記第2部材に対して相対移動する第3の部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記第1の方向には、第2の方向が含まれ、
前記第1圧電素子は、一対の第3圧電素子を備え、
前記第2圧電素子は、一対の第4圧電素子を備え、
前記第1部材は、第1の基部を備え、
前記第2部材は、第2の基部を備え、
前記一対の第3圧電素子は、前記第1の基部を両側から挟み込み、前記第1の基部を前記第2の方向に沿って駆動し、
前記一対の第4圧電素子は、前記第2の基部を両側から挟み込み、前記第2の基部を前記第2の方向と逆の方向に沿って駆動する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記一対の第3圧電素子のそれぞれ互いに向かい合う面と反対側の面と当接する2つの面を有し、前記一対の第3圧電素子を介して前記第1の基部を支持し、前記一対の第4圧電素子のそれぞれ互いに向かい合う面と反対側の面と当接する2つの面を有し、かつ前記一対の第4圧電素子を介して前記第2の基部を支持する第4部材、
をさらに備え、
前記一対の第3圧電素子の一端が前記第4の部材に各々接し、前記一対の第4圧電素子の一端が前記第4の部材に各々接し、
前記第4部材を介して、前記一対の第3圧電素子と前記一対の第4圧電素子とに駆動電圧が供給される
ことを特徴とする請求項3に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1の方向には、第3の方向が含まれ、
前記第1圧電素子は、第5圧電素子を備え、
前記第2圧電素子は、第6圧電素子を備え、
前記第1部材は、第1の先端部を備え、
前記第2部材は、第2の先端部を備え、
前記第5圧電素子は、前記第1の先端部と前記第1の基部との間に設けられ、前記第1の先端部を前記第3の方向に沿って駆動し、
前記第6圧電素子は、前記第2の先端部と前記第2の基部との間に設けられ、前記第2の先端部を前記第3の方向と逆の方向に沿って駆動する、
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記一対の第3圧電素子と、前記第5圧電素子と、前記第1の先端部と、前記第1の基部とを有するユニットを複数備え、
前記一対の第4圧電素子と、前記第6圧電素子と、前記第2の先端部と、前記第2の基部とを有するユニットを複数備える
ことを特徴とする請求項5に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1圧電素子と前記第2圧電素子に駆動電圧を供給する第1電源部
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項8】
前記第3圧電素子と前記第4圧電素子の両方を駆動する第1駆動部と、
第1駆動部に駆動電圧を供給する第2電源部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項9】
前記第5圧電素子と前記第6圧電素子の両方を駆動する第2駆動部と、
第2駆動部に駆動電圧を供給する第3電源部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項5、請求項6あるいは請求項8のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項10】
各々の前記第1の基部が、前記第3部材の回転方向に均等に配置され、
かつ前記第2の基部が、前記第3部材の回転方向に前記第1の基部と交互に配置されている、
ことを特徴とする請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項11】
前記第1圧電素子または前記第2圧電素子は、前記第1の電圧の印加に応じて厚みすべり振動をする
ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータを備えたレンズ鏡筒。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータを備えたカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−80611(P2012−80611A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220942(P2010−220942)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】