説明

圧電アクチュエータ機構

【課題】光学システムにおけるミラーホルダの調整や直動ステージの可動テーブルの位置決めの自動操作に適し、全長が短く、小形で高精度な位置・角度調整、位置決めが可能な圧電アクチュエータ機構を提供する。
【解決手段】この圧電アクチュエータ機構は、送りネジ11と送りネジナット14によるネジ送り機構と、この送りネジナット14の後端面に取り付けられた円盤形ロータ17と、ロータ17の周面に接当する圧電振動子21を有する超音波モータ18と、ばね力で送りネジ11の先端に押圧され、かつ該送りネジの送り動作で変位、位置出しされる被動マウント部とを有している。被動マウント部は、例えば光学システムで用いられるミラーホルダ1や直動ステージ10の可動テーブル21とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電アクチュエータ機構に関し、特に、ネジ送り機構を圧電振動子で駆動して送りネジ先端のマウント部を変位、角度調整あるいは位置決めする圧電アクチュエータ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光学機器の分野においては、レンズやミラーなど各種の光学部材を位置や角度の調整を行ってアラインメントを取ったり、精密位置決めを行う必要があり、このための駆動源として電磁モータのプランジャに減速機構を連結し、その出力軸をミラーホルダの片面を押し付ける電動アクチュエータ、あるいは圧電振動子を用いた超音波モータによる圧電アクチュエータが知られている。この超音波モータは圧電振動子に設けた電極を電圧印加することにより、振動子先端に伸縮運動や楕円運動を行わせ、振動子先端と摩擦接触する被動部材を間欠直線動作あるいは回転動作を生起する機能を有している。超音波モータについては、例えば特許文献1に詳述されている。
【0003】
超音波モータを組み込んだ光学アラインメント用の圧電アクチュエータとして、特許文献2に示すものが知られている。これは、ミラーを保持するステージ板を3点支持し、この3点支持部に配置した3本の調整ネジ部材の外周をそれぞれ3体の圧電アクチュエータの一対の顎部材で把持し、圧電アクチュエータの付勢により前記顎部材を前記調整ネジ部材のネジ回転方向に作動させて前記調整ネジ部材との間の摩擦力で調整ネジ部材をネジ送りして前記ステージ板のアラインメント調整を行う構成としている。この構成では圧電振動子は伸縮動作を行い、一対の顎部材の低速動作で調整ネジ部材を摩擦力でネジ送りし、顎部材の復帰動作は高速動作で前記調整ネジ部材に対してスリップさせることで前記調整ネジ部材を間欠送りする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−54407号公報
【特許文献2】特開平8−251950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
各種の精密機器、特に光学機器の分野では、各種検査技術の高度化、高精密化に伴ない、ミラーの角度調整や対物レンズの焦点機構などで精密自動操作の必要性が増大している。しかし、駆動源として前述した電磁モータを使用した場合は、小形化しようとして小さな電磁モータを選定すると、角度調整に必要な推力を得るためにボールネジなどの送り機構と減速機構が必要となり、電動アクチュエータの全長が長くなる。そのため干渉計システムなどで多連に自動操作型ミラーホルダを配置したとき全体の装置構成が大型化してしまう。
【0006】
特許文献2に示す光学アラインメントねじの圧電アクチュエータはアラインメントねじの側部にアクチュエータを配置するため全長を短くでき、直動駆動アクチュエータ(位置決め装置)としては高精度を維持しながら小形化が図られるものの、インパクトドライブ方式を採用しているため、0.02mm/sec.以下と動作速度が遅く、自動化検査用としては適さない。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、光学システムにおけるミラーホルダの調整や直動ステージにおける可動テーブルの位置決めの自動操作に適し、全長が短く、小形で高精度な位置・角度調整、位置決めが可能な圧電アクチュエータ機構を提供することを目的、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、(1)送りネジと送りネジナットによるネジ送り機構と、前記送りネジナットの後端面に取り付けられた円盤形ロータと、前記ロータの周面に接当する圧電振動子を有する超音波モータと、ばね力で前記送りネジの先端に押圧され、かつ該送りネジの送り動作で変位、位置出しされる被動マウント部とを有する圧電アクチュエータ機構が提供される。
【0009】
本発明の1つの形態によれば、(2)前記(1)に記載の圧電アクチュエータ機構において、前記被動マウント部が固定支点によって片側の面で旋回可能に支持されたミラーホルダである圧電アクチュエータ機構が提供される。
【0010】
また本発明の他の形態によれば、(3)前記(1)に記載の圧電アクチュエータ機構において、前記被動マウント部が直動ステージの可動テーブルである圧電アクチュエータ機構が提供される。
【0011】
また本発明の他の形態によれば、(4)前記(1)または前記(2)に記載の圧電アクチュエータ機構において、前記円盤形ロータが前記送りネジの後端面に交換可能に取り付けられ、前記超音波モータが前記圧電振動子の軸方向に前記円盤形ロータの外径に対応して位置調整可能に取り付けられた圧電アクチュエータ機構が提供される。
【0012】
さらに本発明の他の形態によれば、(5)前記(1)または前記(2)に記載の圧電アクチュエータ機構において、前記円盤形ロータが前記送りネジの後端面に交換可能に取り付けられ、前記超音波モータが前記前記円盤形ロータの外径に対応して交換可能に取り付けられた圧電アクチュエータ機構が提供される。
【0013】
また、本発明の別の形態によれば、(6)送りネジと送りネジナットによるネジ送り機構と、前記送りネジナットの後端面に取り付けられた円盤形ロータと、前記ロータの片端面に接当する圧電振動子を有する超音波モータと、ばね力で前記送りネジの先端に押圧され、かつ該送りネジの送り動作で変位、位置出しされる被動マウント部とを有する圧電アクチュエータ機構が提供される。
【0014】
さらに、本発明の他の形態によれば、(7)前記円盤形ロータは前記送りネジナットの外径より大きい外径に形成され、前記超音波モータは前記円盤形ロータの前記送りネジナットに対面する側の片端面に接当している前記(6)に記載の圧電アクチュエータ機構我提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来の電磁モータや減速機構を必要とせず、全長が短く、小形化され、高精度でかつ微細な送り分解能の圧電アクチュエータ機構が得られ、被動マウント部を高精度で直動送り動作、傾動動作、位置決めの自動操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1によるミラーホルダの圧電アクチュエータ機構の縦断面図である。
【図2】図1の矢視Fからみた圧電アクチュエータ機構の背面図である。
【図3】図1に示す圧電アクチュエータ機構の斜視図である。
【図4】本発明の実施例3に係る直動ステージの平面図である。
【図5】図4の直動ステージのテーブル移動方向からみた側面図である。
【図6】図4の直動ステージのテーブル移動方向に対し横方向からみた側面図である。
【図7】本発明の実施例4に係るミラーホルダの圧電アクチュエータ機構の縦断面図である。
【図8】従来の電動アクチュエータを用いた電動ミラーホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、従来例による図面を参照しながら本発明の実施形態に係る圧電アクチュエータ機構を説明する。本発明の実施形態では被動マウント部をミラーホルダとして構成し、このミラーホルダの片端面の対角線上の位置にある2つの隅部に圧電アクチュエータ機構を配置している。圧電アクチュエータ機構は超音波モータによってネジ送り機構の送りネジナットを回転駆動し、前記ナットと螺合する送りネジをミラーホルダに接当させる。そして、この2本の送りネジの位置を仮りに三角形の2つの頂点位置とした場合に、残り1つの頂点に対応する位置に固定支点を設けて、ミラーホルダを前記2本の送りネジと1つの固定支点で3点支持するようにしている。超音波モータは圧電アクチュエータ機構の送りネジの軸線方向に対して直交する方向に配置して送りネジナットを回転動作させるようにする。圧電アクチュエータの軸線方向にはネジ送り機構が配置されるだけであるため、装置全体の長さが短くなる。
【0018】
この関係を従来の電動アクチュエータを使用した電動ミラーホルダと比較して説明すれば、従来の電動アクチュエータは図8に示すように、ミラーホルダ1の片側の面に電磁モータを内蔵した一対の電動アクチュエータ2,3が配置され、また、ミラーホルダ1の隅部が図示されない支点ピンで旋回可能に支持されている。電動アクチュエータ2,3は、電磁モータの出力軸に減速機構が連結され、前記減速機構にネジ送り機構部4を介してスピンドル5が出入可能に連結され、スピンドル5がミラーホルダ1の前記片側の面に接当するように構成されており、前記電磁モータの付勢によりミラーホルダ1の変位動作や角度調整を行う。この例でも分かるように、電動アクチュエータ2,3による電動ミラーホルダは全長がきわめて長くなる。
【実施例】
【0019】
次に、本発明を各種の実施例について具体的に説明する。
【0020】
実施例1:
実施例1は本発明に係る圧電アクチュエータ機構を光学システムのミラーホルダの角度調整機構に適用した例である。例えば光学システムにおける光学装置の光軸に対し、ミラーホルダに保持したミラーを適切に配向させるために、ミラーホルダをミラー中心の縦軸線のまわりに回転させたり、横軸線まわりに回転、いわゆるあおり動作を行わせるが、この実施例ではミラーホルダの一隅部を1つの支点で支持し、この支点を中心にして回転動作やあおり動作させることでミラーの配向角度を調整する。
【0021】
図1〜図3を参照すれば、全体としてL形に形成された圧電アクチュエータ6(6a,6b)の筐体7前面に被動マウント部、この場合はミラーホルダ1が配置される。ミラーホルダ1は枠形の前面板8を有し、この中心部にミラー10が取り付けられている。ミラーホルダ1の前面板8は圧電アクチュエータ6の筐体7のL形角部に立設した支点ピン9に回動可能に支持されている。L形の筐体7の両端部(腕部)に、後記するネジ送り機構が組み込まれ、各アクチュエータ6の筐体7から突出した2本の送りネジ11の先端がミラーホルダ1の前面板8に対角線上の位置で接当し、これによってミラーホルダ1は支点ピン9と2本の送りネジ11の先端とによって3点支持の形態で支持されている。また、ミラーホルダ1の前面板8と筐体7との間に引張ばね12が装着され、これによって前面板8は常時送りネジ11の先端に圧接されている。
【0022】
筐体7内の2体のネジ送り機構はこの実施例では同一の構造を有し、したがってここではその一方について説明する。送りネジ11は、筐体7に軸受13を介して回転自在に軸支された送りネジナット14と螺合しており、また送りネジ11の外周中途部に固着したキー15が筐体7の内壁に形成されたキー溝16に軸方向にスライド可能に係合し、これによって送りネジ11の回転が阻止されている。なお、送りネジ11の回り止め機構としては、キーとキー溝の形成箇所を逆にして軸方向に伸長したキーを筐体内壁に形成し、送りネジ11の外周に固着した鍔部に前記キーが係合するキー溝を形成してもよい。
【0023】
送りネジナット14の後端部は大径の円板形に形成され、この後端部の円板部分に幅厚の円環(符号17の部材)が固着あるいは脱着可能に取り付けられている。この円環をここではロータ17と称することとする。ロータ17の側方位置で筐体7内に超音波モータ18が取り付けられている。超音波モータ18の圧電振動子19の先端はロータ17の外周面に摩擦接当し、圧電振動子19に設けた電極(図示省略)に所定の電圧を印加することにより、振動子19の先端が微小な反復円軌道動作を行い、摩擦力でロータ17が中心まわりに回転し、この回転力が送りネジナット14に伝えられ、ネジ送り作用で送りネジ11が軸方向に出入動作する。なお、ロータ17の回転方向および回転速度は圧電振動子19に印加する電圧によって制御される。
【0024】
ミラーホルダ1の前面板8の隅部に配置された1組の圧電アクチュエータ6はそれぞれ個別に制御され、これによって各々の送りネジ11の移動量も個別に制御される。送りネジ11の移動、即ち前進、後進によって引張ばね12で送りネジ11の先端に押し付けられているミラーホルダ1は支点ピン9の位置を1つの支点として回転あるいは種々の傾動動作を行う。
【0025】
例えば、両方の圧電アクチュエータ6a,6bの送りネジ11が伸縮動作するときは、ミラーホルダ1は支点ピン9を唯一の支点として送りネジ11の伸縮量に対応した傾動動作を行う。また、図3で上側の圧電アクチュエータ6aの送りネジが停止し、下側の圧電アクチュエータ6bの送りネジが伸長(前進)動作をすると、ミラーホルダ1は停止した送りネジの先端と支点ピン9の位置を支点としてこれらの支点位置を結ぶ線Aのまわりに回転動作し、逆に上側の圧電アクチュエータの送りネジが伸長し、下側の圧電アクチュエータ6bの送りネジが停止状態となっている場合は、この停止している送りネジの先端と支点ピンの位置を結ぶ線Bのまわりに「あおり」動作を行う。そのほか2つの送りネジの前進、後進およびそれらの移動量の組み合せで所望の回転、傾動動作を行わせ得る。
【0026】
上述のように、この実施例の圧電アクチュエータ6は超音波モータ18がロータ17の軸線上ではなく、ロータ17の側方、即ちネジ送り機構の側方に配置され、しかもロータ17の回転を送りネジ直動動作に変換する構成としているため、装置全体の長さ(ミラー10の軸線方向の長さ)がきわめて短くなり、減速歯車機構などを有しないので、全体がコンパクトな構造となる。
【0027】
本発明でミラーホルダ1の角度調整をより細かく調整する場合は、外径の大きいロータ17と交換することによって達成でき、減速機を設けるのと同様の効果をもたらすことができる。このため、ロータ17は送りネジナット14に対して交換可能に取り付けられ、またロータ17に接当する超音波モータ18は筐体7に対して振動子19の軸方向に位置調整可能に取り付けられる。
【0028】
実施例1の変形例では、超音波モータ18は筐体7に対して交換可能に取り付けられる。外径の大きいロータ17を取り付けたとき、このロータ17の外径に対応する別の超音波モータ18に交換し、これによって圧電振動子19の先端がロータ17の外周に適切な押圧で接当するようにすることが可能となる。
【0029】
実施例2:
実施例1では、圧電アクチュエータを2体設け、1つの固定支点と2本の送りネジの船体で3点支持し、ミラーホルダを縦軸線(鉛直軸線)まわりの回転動作と横軸線(水平軸線)まわりの「あおり」動作の2つの動作を行わせるようにしたが、実施例2では圧電アクチュエータを1台とし、2つの固定支点でミラーホルダを旋回可能に支持し、これらの固定支点の位置と圧電アクチュエータの配置位置を適切に選定し、1本の送りネジの伸縮動作で上述のあおり動作、縦軸線まわりの回転動作のいずれか一方のみを行わせるようにしてもよい。
【0030】
実施例3:
図4〜図6は本発明の実施例3による圧電アクチュエータ機構を示した図である。実施例1では被動マウント部をミラーホルダとした例であるが、実施例3では前記被動マウント部を可動テーブル21とし、直動ステージ20として構成した例である。可動テーブル21は基台22上にクロスローラーガイドと称する直動ガイド機構23を介してスライド可能に載置されている。直動ガイド機構23としては、前記クロスローラーガイドのほかに例えば公知の転動ボール循環式のリニアモーションガイドも採用可能である。これらの直動ガイド機構は、基台上面に一対の平行配置されたローラーまたはボールの転動溝をもつレール部が形成され、このレール部の転動溝に対応して可動テーブル側にもローラーまたはボールの転動溝が形成され、これらの溝間に多数のローラーまたはボールが転動可能に収容された構成となっている。
【0031】
基台の片側部には本発明に係る圧電アクチュエータ6が配置されており、また可動テーブル21の側部に張出しブラケット25が固着されている。実施例3における圧電アクチュエータ機構も実施例1で説明した構成と略同一の構造を有し、アクチュエータ本体部から突出する送りネジ11と、送りネジ11と螺合する送りネジナットと、送りネジ11の回り止めと、送りネジナットの後端部に取り付けられる円環状ロータと、アクチュエータ本体部の側方に配置され、かつロータの周面に圧電振動子の先端が接当する超音波モータ18とを有している。送りネジ11の先端は可動テーブル21のブラケット25に接当し、かつ可動テーブル21は、図示しない引張ばねによってブラケット25と送りネジ11が常時圧接するように付勢されている。
【0032】
超音波モータ18の電圧印加によって圧電振動子19がロータ17を回転させる方向に円軌道動作し、ロータ17の回転に伴なってネジ送り機構で送りネジ11が前進あるいは後進し、ブラケット25を介して可動テーブル21が基台22を直動動作する。可動テーブル21の復帰動作、即ち後退動作は送りネジ11が後進することにより引張ばねによって後退位置へ戻される。送りネジ11の停止位置を制御することによって可動テーブル21の位置制御、位置決めがなされる。
【0033】
実施例3においても、圧電アクチュエータ機構が可動テーブルの移動方向に対して側方に配置されるので、直動ステージ全体として移動方向に長くなることはなく、コンパクトな構造となる。また、圧電振動子と接触するロータを外径の大きな円環で構成することで全長を短くしつつも、高精度でより細かな送り分解能の直動動作が可能となる。電磁モータを使用した場合のような減速機構も不要であり、構造の簡単な直動ステージが得られるなど多くの利点がもたらされる。
【0034】
実施例4:
図7は本発明の実施例4に係るミラーホルダの圧電アクチュエータ機構の図1と類似した縦断面図である。実施例4においては、超音波モータ18の配置、圧電振動子19の相手部材との接触形態、および円盤形ロータ17の形状が若干異なるのみで、他は図1と同様である。したがって図1の構成と同じ部分には同一の符号を付し、その部分の重複した説明は可能な限り省略する。
【0035】
図7において、送りネジナット14に取り付けられる円盤形のロータ17は送りネジナット14の外径より大きい外径に形成され、また、このロータ17を回転駆動する超音波モータ18は送りネジ11と平行に配置されている。具体的には、図7に示すように、超音波モータ18はロータ17の内端面(裏面)側、即ち、送りネジナット14に対面する側のロータ17の片端面に圧電振動子19の先端が接触するように超音波モータ18が配置されている。圧電振動子19先端の反復円軌道運動により、ロータ17の片端面をロータ中心まわりに回転させるようにロータ17を摩擦送りし、これによって、送りネジナット14と送りネジ11とのネジ送り作用で送りネジ11を軸方向に出入動作させてミラーホルダ1の各種調整を行う。この実施例では超音波モータは円盤形のロータ17の内面側位置に配置されるため、ネジ送り機構の軸線方向における装置の長さが大きくなることはなく、装置全体がさらに小形化される。
【符号の説明】
【0036】
1 ミラーホルダ
2,3 電動アクチュエータ
4 減速機構
5 出力軸
6 圧電アクチュエータ
7 筐体
8 前面板
9 固定支点(支持ピン)
10 ミラー
11 送りネジ
12 引張ばね
14 送りネジナット
15 キー
16 キー溝
17 円環(ロータ)
18 超音波モータ
19 圧電振動子
20 直動ステージ
21 可動テーブル
22 基台
23 直動ガイド機構
25 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送りネジと送りネジナットによるネジ送り機構と、前記送りネジナットの後端面に取り付けられた円盤形ロータと、前記ロータの周面に接当する圧電振動子を有する超音波モータと、ばね力で前記送りネジの先端に押圧され、かつ該送りネジの送り動作で変位、位置出しされる被動マウント部とを有することを特徴とする圧電アクチュエータ機構。
【請求項2】
前記被動マウント部は固定支点によって片側の面で旋回可能に支持されたミラーホルダである請求項1に記載の圧電アクチュエータ機構。
【請求項3】
前記被動マウント部は直動ステージの直線ガイドに支持された可動テーブルである請求項1に記載の圧電アクチュエータ機構。
【請求項4】
前記円盤形ロータは前記送りネジの後端面に交換可能に取り付けられ、前記超音波モータは前記圧電振動子の軸方向に前記円盤形ロータの外径に対応して位置調整可能に取り付けられている請求項1または2に記載の圧電アクチュエータ機構。
【請求項5】
前記円盤形ロータは前記送りネジの後端面に交換可能に取り付けられ、前記超音波モータは前記前記円盤形ロータの外径に対応して交換可能に取り付けられている請求項1または2に記載の圧電アクチュエータ機構。
【請求項6】
送りネジと送りネジナットによるネジ送り機構と、前記送りネジナットの後端面に取り付けられた円盤形ロータと、前記ロータの片端面に接当する圧電振動子を有する超音波モータと、ばね力で前記送りネジの先端に押圧され、かつ該送りネジの送り動作で変位、位置出しされる被動マウント部とを有することを特徴とする圧電アクチュエータ機構。
【請求項7】
前記円盤形ロータは前記送りネジナットの外径より大きい外径に形成され、前記超音波モータは前記円盤形ロータの前記送りネジナットに対面する側の片端面に接当している請求項6に記載の圧電アクチュエータ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−172331(P2011−172331A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31954(P2010−31954)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、経済産業省、地域イノベーション創出研究開発事業委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591040236)石川県 (70)
【出願人】(592253736)シグマ光機株式会社 (46)
【出願人】(390010216)ニッコー株式会社 (49)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】