説明

圧電駆動装置、圧電駆動装置の制御方法および電子機器

【課題】確実な駆動を実現することができる圧電駆動装置、圧電駆動装置の制御方法および電子機器を提供する。
【解決手段】圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えてこの振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターを以下のように駆動制御する。圧電駆動装置の構成を、圧電素子に所定周波数f0の駆動信号を印加する定常駆動制御モードと、圧電素子に、定常駆動制御モード時の駆動信号の周波数f0よりも、圧電素子のインピーダンスが小さくなる周波数f1の駆動信号を印加する強制駆動制御モードとを切替可能とする。そして、定常駆動制御モードで圧電アクチュエーターの駆動を開始した後、所定時間t0内に駆動検出信号が入力されなかった場合は、強制駆動制御モードに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電駆動装置、圧電駆動装置の制御方法および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電アクチュエーター(超音波モーター)は、周囲の温度や負荷等で共振周波数が変動する為、状況に応じた最適な駆動周波数に調整して駆動することが望まれる。そこで、圧電アクチュエーターを周期的に動作させて使用する場合、所定範囲で駆動信号の周波数をスイープ(変化)させながら、駆動状態に応じた信号をフィードバックして周波数制御を行うことによって最適かつ確実にモーターを駆動する方式が知られている。
【0003】
特許文献1では、圧電アクチュエーターを構成する圧電素子からの検出信号と駆動信号との位相差に基づいて当該圧電素子に印加する駆動信号の周波数を制御して、目標位相差から大きく外れている場合にはスイープ速度を速くし、目標位相差に近づいている場合にはスイープ速度を遅くすることにより、高効率に達するまでの時間を短縮し、確実且つ高効率な駆動を実現している。
【0004】
しかしながら、前記特許文献1では、一定の初期周波数から周波数のスイープによる駆動を開始しているため、このスイープによる駆動中の電力消費を更に低減することは考えにくい。
これを更に改善するため、例えば特許文献2に示されているように、前回駆動した時の駆動信号の周波数を記憶しておき、次回駆動する時に、この記憶した周波数からスイープを開始する制御を行うことによって、スイープ期間を短縮し余分な電力消費を削減して、より高効率な駆動を実現することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開番号W02004/088830
【特許文献2】特開平6−6990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、温度変化、負荷変動、衝撃等の急激な環境変化が起こった場合には、前回駆動時の周波数が最適なものとは限らず、場合によっては、効率の悪い状態で駆動することとなったり、駆動しても動かないといった最悪な状況もあり得るという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、確実な駆動を実現することができる圧電駆動装置、圧電駆動装置の制御方法および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧電駆動装置は、圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段と、前記被駆動体の駆動を検出する駆動検出手段とを備え、前記駆動検出手段は、前記圧電アクチュエーターによって前記被駆動体が所定量駆動したことを検出すると駆動検出信号を前記駆動制御手段に出力し、前記駆動制御手段は、前記圧電素子に所定周波数の駆動信号を印加する定常駆動制御モードと、前記圧電素子に、前記定常駆動制御モード時の駆動信号の周波数よりも、前記圧電素子のインピーダンスが小さくなる周波数の駆動信号を印加する強制駆動制御モードとを切替可能であり、前記定常駆動制御モードで前記圧電アクチュエーターの駆動を開始した後、所定時間内に前記駆動検出信号が入力されなかった場合は、前記強制駆動制御モードに切り替えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、定常駆動制御モードによる駆動制御を行うことで、正常時には被駆動体を所定時間内に駆動することができる。一方、圧電アクチュエーターで駆動される被駆動体の負荷の変化や、温度変化等の外的要因が生じると前記定常駆動制御モードによる駆動制御、例えば振動体の検出位相差と目標位相差との比較に基づく周波数制御では、必要な駆動力が得られず、高効率での駆動でなくなるばかりか、駆動するまでに必要以上に時間を要し、最悪の場合、圧電アクチュエーターを駆動しても被駆動体が駆動しないという事態が生じうる。
【0010】
そこで、本発明では、定常駆動制御モードにより圧電アクチュエーターを駆動しても駆動検出手段が被駆動体の駆動を所定時間内に検出しなかった場合に、強制駆動制御モードに切り替えている。この強制駆動制御モードでは、駆動信号の周波数を、定常駆動制御時の周波数の駆動信号よりも、圧電素子のインピーダンスが小さくなる周波数の駆動信号を印加している。このため、強制駆動制御モードでの駆動信号を圧電素子に印加すると、定常駆動制御モード時に比べて、大きな電流が流れて消費電力が増大するため強い駆動力を得ることができ、被駆動体を確実に駆動することができる。
【0011】
例えば、図2で示された形状の圧電アクチュエーターに駆動信号を印加すると、当初は、振動体には、主振動である圧電素子の長手方向の振動(縦振動)のみが生じて直線運動だけとなるが、徐々にその縦振動に誘発されて副振動である直交方向の振動(屈曲振動)が励振する。
また、このような圧電素子に印加する駆動周波数とインピーダンスとの関係について説明すると、駆動周波数に対してインピーダンスが極小であって振幅が最大となる共振点が二点現れ、これらのうち周波数の低い方が縦振動の共振点、高い方が屈曲振動の共振点となる。このため、定常駆動制御モードでは、縦振動と屈曲振動の両方が励振されるように、駆動信号の周波数は、縦振動の共振点(縦共振点)の周波数以上で、インピーダンスが最大となる反共振点以下の周波数に設定している。例えば、駆動信号の周波数を、駆動信号および検出信号の位相差で制御する場合、前記範囲の周波数となるように、目標位相差が設定されている。
【0012】
上記インピーダンスが極小となる周波数の代表例は、縦振動の共振周波数であり、例えば図3のようにfr1である。但し、上記インピーダンスが極小となる周波数は、この縦振動の共振周波数に限定されるものではない。例えば、振動体の平面形状、駆動電極の配置、圧電素子の特性等の諸条件により屈曲振動の共振周波数が縦振動の共振周波数よりも小さい場合には、屈曲振動の共振周波数がインピーダンスが極小となる周波数となる。
本発明の定常駆動制御モードとは、振動体の振動状態に応じて駆動信号の周波数を制御する可変駆動周波数制御を少なくとも含む制御モードを指す。そこで、前記定常駆動制御モードは、例えば圧電アクチュエーターの駆動開始時には固定周波数で駆動する固定駆動周波数制御を行い所定条件が整ったならば前記可変駆動周波数制御に切り替える場合、圧電アクチュエーターの駆動開始時から前記可変駆動周波数制御を行う場合、圧電アクチュエーターの駆動開始時から前記固定駆動周波数制御を行う場合があり得る。
【0013】
上記固定駆動周波数制御は、例えば前回駆動停止時の周波数で駆動する場合、前回駆動停止時の周波数より圧電素子のインピーダンスが小さい(最小ではない)周波数で駆動する場合等があり得る。また上記所定条件とは、例えば振動体の振動振幅が所定値以上となる場合、所定時間が経過した場合などがあり得る。
また、前記可変駆動周波数制御の前記振動体の振動状態は、代表的には振動体の駆動信号と検出信号との位相差や検出信号と他の検出信号との位相差、あるいは振動体の振幅等である。そこで、前記可変駆動周波数制御の具体例としては、振動体の振幅が所定レベル以上となった場合に、駆動信号と検出信号の位相差である検出位相差を目標位相差と比較し、検出位相差を目標位相差に合致させるように周波数制御を行う。
従って、可変駆動周波数制御は、振動状態に応じて駆動信号の周波数を制御するため、最適な周波数の駆動信号を圧電素子に印加でき、圧電アクチュエーターを高効率で駆動することができる。
【0014】
本発明の圧電駆動装置において、前記駆動制御手段は、前記圧電アクチュエーターを一定間隔で駆動制御するとともに、前記定常駆動制御モードから強制駆動制御モードに切り替えた場合、その次から所定回数の圧電アクチュエーターの駆動制御は前記強制駆動制御モードで実行し、前記所定回数の強制駆動制御モードでの駆動制御を行った後は、次の圧電アクチュエーターの駆動制御モードを前記定常駆動制御モードに設定することが好ましい。
【0015】
本発明では、圧電アクチュエーターは、一定間隔で駆動制御される。例えば、時分針を20秒間隔で駆動する場合には、駆動制御手段は圧電アクチュエーターを20秒毎に駆動制御する。
そして、本発明では、定常駆動制御モードで被駆動体が駆動しなかった場合は強制駆動制御モードに切り替えて強制的に駆動する。また、この強制駆動制御モードに切り替えられた後、所定回数、例えば5回の圧電アクチュエーターの駆動制御は、強制駆動制御モードのままで制御し、所定回数の制御が終わった後に定常駆動制御モードに戻している。
【0016】
急激な温度変化などの一時的な外的要因によって被駆動体が突発的に駆動しなくなった場合は、ある程度の時間は強制駆動制御モードで駆動する必要がある。ここで、圧電アクチュエーターを1回制御する毎に、定常駆動制御モードに戻して実際に駆動が検出できなかった場合のみ強制駆動制御モードに移行することもできる。但し、この場合は、1回の圧電アクチュエーターの駆動制御時に、定常駆動制御モードと強制駆動制御モードとの両方を実行するため、被駆動体が実際に駆動されるまでの時間が長くなり、かつ、消費電力も増大する。
これに対し、本発明では、所定回数の間は、強制駆動制御モードのみが実行されるので、被駆動体の駆動時間も短くでき、消費電力も低減できる。
また、前記所定回数を使用環境などに応じて適切に設定すれば、予測される外的要因に対して適切に対応することができる。
【0017】
本発明の圧電駆動装置において、前記駆動制御手段は、前記圧電アクチュエーターを一定間隔で駆動制御するとともに、前記定常駆動制御モードから強制駆動制御モードに切り替えた時は、次の圧電アクチュエーターの駆動制御モードを前記強制駆動制御モードに設定し、前記強制駆動制御モードで圧電アクチュエーターの駆動制御を開始した後、所定時間内に前記駆動検出信号が入力された場合は、次の圧電アクチュエーターの駆動制御モードを前記定常駆動制御モードに設定し、前記強制駆動制御モードで圧電アクチュエーターの駆動制御を開始した後、所定時間内に前記駆動検出信号が入力されなかった場合は、次の圧電アクチュエーターの駆動制御モードを前記強制駆動制御モードのままに維持することが好ましい。
【0018】
本発明では、強制駆動制御モード時の駆動検出時間によって、定常駆動制御モードに戻すのか、強制駆動制御モードのまま制御を続けるのかを判断できる。すなわち、強制駆動制御モードにおいても被駆動体が所定量駆動(所定位置まで駆動)するまでにある程度の時間が必要な場合には、定常駆動制御モードでは駆動できない可能性が高い。本発明では、このような場合は強制駆動制御モードを継続するために、被駆動体を確実に駆動することができる。
また、強制駆動制御モードによる被駆動体の駆動時間が短くなれば、定常駆動制御モードでも駆動できる状態であることが判明するため、次回は定常駆動制御モードに戻して制御を行うことができ、消費電力を低減することができる。
【0019】
ここで、前記定常駆動制御モードは、前記圧電アクチュエーターの駆動開始時は、前回圧電アクチュエーターの駆動制御を行った際の駆動停止時の周波数の駆動信号を印加する固定駆動周波数制御を行い、その後、前記振動体が所定レベル以上の振動状態となった場合に、振動状態に応じて前記駆動信号の周波数を制御する可変駆動周波数制御を行うことが好ましい。
【0020】
本発明によれば、定常駆動制御モードでは、最初に固定駆動周波数制御が行われ、前回の圧電アクチュエーターの駆動終了時点の周波数の駆動信号を、今回の駆動制御時に印加することができる。この場合、温度などの外的要因が変化していなければ、前回と同じ周波数の駆動信号を印加することで、前回の駆動時と同様に圧電アクチュエーターを効率よく駆動することができる。
また、振動体が所定レベル以上の振動状態となった場合には、可変駆動周波数制御が行われ、振動状態に応じて駆動信号の周波数を制御するため、最適な周波数の駆動信号を圧電素子に印加でき、圧電アクチュエーターを高効率で駆動することができる。上記振動体の振動状態は、例えば、振動体の駆動信号と検出信号との位相差や検出信号と他の検出信号との位相差、あるいは振動体の振幅等である。また、この最適な駆動周波数は、例えば、駆動信号と検出信号の位相差を目標位相差と比較した結果に基づいて周波数制御することにより得られる。
【0021】
ここで、前記駆動制御手段は、前記強制駆動制御モードで圧電アクチュエーターを制御する場合は、前記圧電素子の縦振動の共振周波数または縦振動の共振周波数に対する周波数の差が所定値以内の予め設定された周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加することが好ましい。
【0022】
本発明によれば、強制駆動制御モード時に、縦振動の共振周波数や、その周波数に近い周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加することができるので、消費電力は増大するが、圧電アクチュエーターで発生可能な最大値に近い駆動力を被駆動体に与えることができるので、被駆動体を確実にかつ迅速に駆動することができる。
【0023】
また、前記駆動制御手段は、前記強制駆動制御モードで圧電アクチュエーターを制御する場合は、前記定常駆動制御モード時の駆動信号の周波数から前記インピーダンスが小さくなる周波数側に所定周波数分シフトした周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加し、その後、前記駆動検出信号が入力されるまで設定時間毎に、前記圧電素子に印加される駆動信号の周波数を前記所定周波数分シフトすることを特徴とするものでもよい。
【0024】
本発明によれば、強制駆動制御モード時の駆動信号周波数を、圧電素子のインピーダンスが小さい周波数に近づけることができる。このため、例えば、定常駆動制御モード時は、被駆動体を駆動可能な駆動力に僅かに足りない場合に、被駆動体を駆動可能な最小限の駆動力を与えることができ、必要最小限の消費電力での駆動を実現することができる。また、1回の周波数シフトでは駆動できない場合には、さらに周波数シフトを行うことができるので、被駆動体を確実に駆動することができる。
【0025】
本発明は、圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段と、前記被駆動体の駆動を検出する駆動検出手段とを備えた圧電駆動装置の制御方法であって、前記駆動検出手段は、前記圧電アクチュエーターによって前記被駆動体が所定量駆動したことを検出すると駆動検出信号を前記駆動制御手段に出力し、前記圧電素子に所定周波数の駆動信号を印加する定常駆動制御モードと、前記圧電素子に、前記定常駆動制御モード時の駆動信号の周波数よりも、前記圧電素子のインピーダンスが小さくなる周波数の駆動信号を印加する強制駆動制御モードとを切替可能とされ、前記定常駆動制御モードで前記圧電アクチュエーターの駆動を開始した後、所定時間内に前記駆動検出信号が入力されなかった場合は、前記強制駆動制御モードに切り替えることを特徴とする。
この圧電駆動装置の制御方法によれば、前述した圧電駆動装置と同様の作用効果を得ることが出来る。
【0026】
本発明の電子機器は、前記圧電駆動装置と、その圧電駆動装置により駆動される被駆動体とを備えることを特徴とする。
本発明の電子機器において前記被駆動体は、計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部であることが好ましい。
【0027】
これら本発明の圧電駆動装置の制御方法、電子機器においても、前記圧電駆動装置と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかる電子時計の概略構成を示す平面図である。
【図2】第1実施形態における圧電アクチュエーターの構成を示す図である。
【図3】駆動信号の周波数に対するインピーダンス特性を示す図である。
【図4】圧電駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図5】電圧調整回路の構成を示すブロック図である。
【図6】駆動信号と駆動検出信号のタイミングチャートを示す。
【図7】駆動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態における圧電アクチュエーターの構成を示す図である。
【図9】駆動信号と駆動検出信号のタイミングチャートを示す。
【図10】第2実施形態での駆動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】駆動信号と駆動検出信号のタイミングチャートを示す。
【図12】第3実施形態での駆動制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】変形例による電圧調整回路の構成を示すブロック図である。
【図14】駆動信号の周波数、位相差、トルクおよび電力の関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[1.第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、後述する第2実施形態以降では、以下に説明する第1実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
【0030】
[1−1.全体構成]
図1は、本実施形態における圧電駆動装置を用いた電子機器としての電子時計1の概略構成を示す平面図であり、図2は、電子時計1における圧電アクチュエーター20を示す平面図(図2(A))および断面図(図2(B))である。
図1は、電子時計1の時刻表示側とは反対側(裏蓋側)から見た図であり、この図1において、上方向が電子時計1の3時方向、下方向が9時方向、右方向が12時方向、左方向が6時方向となっている。また、図2(A)の平面図も、電子時計1の時刻表示側とは反対側(裏蓋側)から見た図となっている。
【0031】
図1に示すように、電子時計1は、時刻を表示する指針(時分針)を駆動する圧電アクチュエーター20と、電池2と、IC5と、水晶チップ6とを備えている。電池2、IC5、水晶チップ6等は、図示しない回路基板に設けられている。また、電子時計1は、圧電アクチュエーター20によって回転駆動される被駆動体であるローター30と、ローター30の回転を伝えて時分針を回転させる輪列40とを備えている。当該構成を有する電子時計1の圧電アクチュエーター20は、後述する駆動制御装置によって制御される。
【0032】
[1−2.圧電アクチュエーターの構成]
図2に示すように、圧電アクチュエーター20の振動体21は、二長辺と二短辺(例えば長辺長さと短辺長さの比をほぼ7対2とした長辺と短辺)とにより囲まれた長方形状の板である。その長方形を例示すれば、長辺×短辺が、7mm×2mmから3.5mm×1mmまでの間の寸法である。また、振動体21は、2枚の長方形かつ板状の圧電素子22の間に、これらの圧電素子22と略同形状であり、かつ圧電素子22よりも肉厚の薄いステンレス鋼等の補強板23を挟んだ積層構造を有している。圧電素子22としては、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT(商標))、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものを用いることができる。
【0033】
振動体21は、一短辺の幅方向略端部に当接部25を有している。この当接部25は、補強板23を切断成形する等の方法により得られたものであり、緩やかな曲面を持った先端部分を圧電素子22から突出させている。振動体21は、前記当接部25が幅方向の一方の端部側に配置され、幅方向に重量アンバランスが生じるように構成されている。振動体21は、支持部26等によってこの当接部25の先端をローター30の外周面に当接させる姿勢を保っている。なお、当接部25が形成された短辺でない他方の短辺にも当接部25と同様の大きさのバランス用突起部25Aが形成されている。このバランス用突起部25Aは、振動体21の平面形状の中心点に対して点対称位置に設けられている。
【0034】
圧電アクチュエーター20の振動体21は、後述する駆動制御装置から所定の周波数の駆動信号が圧電素子22に印加されることで第1の振動モード(主振動モード)である縦振動が励振し、前記当接部25、バランス用突起部25Aによって重量アンバランスが生じているため、縦振動に誘発されて第2の振動モード(副振動モード)である屈曲振動が励振し、これらの振動が混合されて、その板面を含む平面内において当接部25が楕円軌道を描いて運動する。ローター30は、この振動体21の当接部25によってその外周面が叩かれ、回転駆動される。このローター30の回転は輪列40に伝達され、輪列を構成する筒車44に固定されている時針および二番車421に固定されている分針を回転させる。
【0035】
この圧電アクチュエーター20の駆動は、駆動制御装置によって周期的(例えば20秒に1回の一定間隔)に制御される。例えば、電子時計1の電源をオンにするなどして、電子時計1の計時機能の動作開始とともに、駆動制御装置の電源をオンにする図示しないスイッチがオフからオンに切り替えられ、駆動制御装置による圧電アクチュエーター20の駆動制御が開始される。この周期的な各部の駆動は、例えばIC5の管理の下、電子時計1の内部時計に基づき行われる。
【0036】
圧電アクチュエーター20の支持部26には圧電素子用回路基板が取り付けられ、圧電素子22の表面に設けられた駆動用電極201に、回路基板から伸ばされたリード線が接続され、圧電素子22を駆動可能に構成されている。
【0037】
圧電素子22の表面には、駆動用電極201と絶縁された検出用電極202が設けられている。検出用電極202についても、駆動用電極201と同様に、回路基板から伸ばされたリード線が接続され、圧電素子22の振動状態を検出可能に構成されている。
検出用電極202は、縦振動成分が検出しやすいように、縦振動のひずみが大きく、かつ、屈曲振動のひずみが小さい位置に配置されている。なお、この配置位置は、使用する圧電アクチュエーター20によって変わってくるが、図示した例では、振動体21において一方の長手方向の略中央部にある支持部26近傍のやや当接部25側寄りに、検出用電極202が配置されている。
【0038】
[1−3.圧電アクチュエーターの駆動制御装置の構成]
先ず、駆動制御装置の構成を説明する前に、圧電アクチュエーター20の特性について、図3に基づいて説明する。
図3は、圧電アクチュエーター20の駆動信号の周波数とインピーダンスおよび位相差との関係を示す図である。
図3に示すように、駆動周波数に対してインピーダンスが極小であって振幅が最大となる共振点が二点現れ、これらのうち周波数の低い方が縦振動の共振点、高い方が屈曲振動の共振点である。また、この二点の共振点の間にインピーダンスが最大となる反共振点が現れる。すなわち、縦振動の縦共振周波数はfr1、屈曲振動の屈曲共振周波数fr2、反共振動の反共振周波数はfr3である。
【0039】
ここで、圧電アクチュエーター20に印加される駆動信号は、屈曲振動の屈曲共振周波数はfr2および縦振動の縦共振周波数fr1間の周波数に制御され、通常は、反共振動の反共振周波数fr3および縦振動の縦共振周波数fr1間の周波数に制御される。この周波数に制御すれば、縦振動および屈曲振動双方の振幅が確保され、圧電アクチュエーター20は高効率で駆動する。
また、圧電アクチュエーター20のインピーダンス特性は、温度変化、負荷変化等の環境変化によって変化する。
この区間(fr1〜fr2)内における最適駆動周波数f0は、圧電アクチュエーター20に印加する駆動信号と圧電アクチュエーター20からの検出信号の位相差を目標位相差と比較することで設定することができ、この位相差に基づいて駆動周波数を制御することで高効率な駆動を行うことができる。
【0040】
最適駆動周波数f0は、圧電アクチュエーター20の駆動に最適となる周波数であり、インピーダンス特性に基づき設定することができる。本実施形態では、最適駆動周波数f0は、位相差に基づきフィードバック制御されることにより変動する周波数とされている。
また、本実施形態では、前回駆動した時の駆動信号の周波数を記憶しておき、次回駆動する時に、この記憶した周波数でまず駆動を開始し、その後、駆動状態に応じた信号をフィードバックして周波数制御を行うことによって、最適な駆動周波数に変化させるまでのスイープ期間を短縮し余分な電力消費を削減して、より高効率な駆動を実現することができる構成とされている。
【0041】
一方、前記環境変化によって圧電アクチュエーター20の駆動特性が変化し得る。例えば、電子時計1が低温環境で使用されると、輪列40の軸受け部分に塗布されている潤滑油の粘度が上昇し負荷が増える。これによって、最適駆動周波数f0ではローター30を駆動するのに必要十分な駆動力が得られず、高効率での駆動でなくなるばかりか、圧電アクチュエーター20を駆動してもローター30が駆動するまでに必要以上に時間を要し、最悪の場合には、圧電アクチュエーター20の駆動によって駆動されるはずのローター30が駆動しないという事態が生じ得る。
【0042】
また、圧電素子22も温度特性がある。例えば、圧電素子22の材質によっては80℃等の高温になると電気機械結合係数(電気−機械の変換能力を示す係数)の値が小さくなり、変換能力が低下してしまう。つまり、駆動力が低下することとなり、前記低温に起因する現象と同様の現象が生じ得る。
さらに、歯車にゴミが付着することなどにより、ローター30の回転動作に抵抗が生じた場合にも、同様の現象が生じ得る。
そこで、本発明者は、このような場合であっても確実な駆動を実現することができる本発明の圧電駆動装置を発明するに至った。
【0043】
以下、本実施形態の圧電駆動装置における駆動制御装置(駆動制御手段)について、図4のブロック図に基づいて説明する。
図4に示すように、圧電アクチュエーター20を駆動制御する駆動制御装置100は、圧電素子22に印加する駆動信号と圧電素子22で検出される検出信号の位相差を検出し、位相差に相当する電圧値の位相差電圧信号を出力する位相差−電圧変換回路101と、位相差を比較するための基準電圧と振幅信号を検出するための基準電圧とをそれぞれ出力する定電圧回路102と、この定電圧回路102で出力される位相比較用基準電圧と位相差−電圧変換回路101から出力される位相差電圧とを比較して比較結果信号を出力する比較回路103と、比較結果信号を受けて出力電圧を制御する電圧調整回路104と、圧電素子22に対して駆動信号を印加する駆動回路(ドライバー)105と、この電圧調整回路104で出力された電圧に対応して駆動回路105に出力する周波数を調整する電圧制御発振器(VCO)106と、定電圧回路102で出力される振幅検出用基準電圧と圧電素子22の振幅信号とを比較して振幅信号を検出する振幅検出回路107と、を備えている。
【0044】
駆動制御装置100の各部は、IC5に組み込まれた時刻計測や時間計測を行う計時回路(計時部)から駆動開始を指示する制御信号が出力されると動作を開始し、駆動終了を指示する制御信号が出力されると動作を停止する。ここで、駆動開始の制御信号は、前記のように、例えば20秒ごとに出力される。
駆動時間検出部108は、圧電アクチュエーター20の駆動開始時(駆動開始の制御信号の入力時)からの経過時間を検出して、検出結果を出力する。この経過時間は、例えば、電子時計1の計時回路を用いて計時される。
【0045】
前記駆動終了のタイミングは、駆動検出手段である駆動検出部109によって検出される。駆動検出部109は、被駆動体であるローター30が所定量駆動(所定位置まで駆動)し、駆動が完結したことを検出し、検出結果を駆動検出信号として出力する。この出力に基づき駆動制御装置100の各部の動作がオフにされる。このように駆動検出部109は、被駆動体であるローター30またはこのローター30に連動して駆動する輪列40のいずれかの回転角度が所定角度となったことを検出可能とされている。
例えば、時分針を20秒間隔で駆動するために、圧電アクチュエーター20の駆動制御の周期が20秒間隔である場合、1回の駆動(20秒間隔の1つの駆動)で分針は2°回転させる必要がある。そして、分針が2°回転する際の、輪列40の各歯車やローター30の回転角度も規定されるため、駆動検出部109はこれらのいずれかの部材の回転角度が、前記分針が2°回転する角度だけ回転することを検出する。すなわち、駆動検出部109は、被駆動体であるローター30が所定角度回転したことを直接検出したり、ローター30に連動して回転する輪列40の車が所定角度回転したことを検出することで、被駆動体(ローター30)が所定量駆動したことを間接的に検出できるものであればよい。
そのため、駆動検出部109は、例えば、検出対象の車に、所定の角度間隔で検出孔を形成し、発光素子からの光を前記検出孔を介して受光素子で受光する光センサーを用いることができる。なお、光センサーの代わりに、磁気センサー等の各種回転エンコーダーを用いてもよい。
【0046】
電圧調整回路104は、比較回路103、振幅検出回路107、駆動時間検出部108および駆動検出部109から出力された信号に基づいて、電圧制御発振器106に供給する電圧レベルを制御する電圧制御機能を有する。
具体的には、図5に示すように、電圧調整回路104は、電圧制御発振器106に出力する電圧を調整する電圧調整部541と、振幅検出回路107からの出力(振幅検出出力)に応じてクロックを出力するクロック回路544と、このクロック回路544および比較回路103の出力(位相差検出出力)に対応して信号を出力する第1制御回路545と、駆動時間検出部108、駆動検出部109からの出力(振動時間検出出力、振動検出出力)に応じて駆動信号の周波数を設定するための信号を出力する周波数設定回路546と、この周波数設定回路546からの出力信号と第1制御回路545からの出力信号とを選択的に電圧調整部541へ出力する信号選択回路547と、を備えている。
【0047】
電圧調整部541は、アップダウンカウンター(UDカウンター)542と、このUDカウンター542から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器543とを備えている。
UDカウンター542は、信号選択回路547を介して入力される情報を積算する。このUDカウンター542は、例えば、12ビットのカウンター等から構成されており、信号選択回路547からの信号により、カウンター値をアップあるいはダウンする。
【0048】
D/A変換器543は、内部にUDカウンター542のカウンター値に応じた周波数制御電圧値が設定されている。そして、このD/A変換器543は、UDカウンター542から出力されるカウンター値を入力すると、このカウンター値に応じた周波数制御電圧値に相当する周波数制御電圧を電圧制御発振器106に出力する。
【0049】
クロック回路544は、定常駆動制御モード時に固定駆動周波数制御、可変駆動周波数制御のいずれを行うか否かを制御する。また、周波数設定回路546は、定常駆動制御モード、強制駆動制御モードのいずれを行うかを制御する。
【0050】
第1制御回路545は、NANDゲート545A,545Bと、NOTゲート545Cとを備える。NANDゲート545A,545Bには、クロック回路544の出力が入力される。また、NANDゲート545Aには、比較回路103の出力が入力される。比較回路103の出力は、NOTゲート545Cを介してNANDゲート545Bにも入力される。
信号選択回路547は、ANDゲート547A,547Bを備える。ANDゲート547Aには、NANDゲート545Aおよび周波数設定回路546の出力が入力され、ANDゲート547Bには、NANDゲート545Bおよび周波数設定回路546の出力がそれぞれ入力される。
ANDゲート547Aの出力は、UDカウンター542のアップカウント入力に出力され、ANDゲート547Bの出力は、UDカウンター542のダウンカウント入力に出力される。
【0051】
このような構成において、本実施形態では、先ず、定常駆動制御モードによって圧電アクチュエーター20を駆動する。定常駆動制御モードで駆動してもローター30が正常に駆動しない場合には、強制駆動制御モードに切り替えて圧電アクチュエーター20を駆動する。定常駆動制御モードでは、固定駆動周波数制御と可変駆動周波数制御が行われる。駆動開始時から所定のタイミングまでの期間は、固定駆動周波数制御が行われ、所定レベル以上となった後は、可変駆動周波数制御が行われる。以下、これら駆動制御モードの切り替えを行うクロック回路544、周波数設定回路546について、これら駆動制御モード毎に説明する。
【0052】
<定常駆動制御モード時(固定駆動周波数制御時)>
クロック回路544は、駆動開始時から目標位相差に対する駆動信号と検出信号の位相差が安定する所定のタイミングまではクロックの出力を停止(ローレベル信号を出力)する。駆動開始時からこのタイミングまでの所定時間は、駆動時間検出部108に予め設定されており、周波数設定回路546が、このタイミングにおいて駆動時間検出部108から出力される検出信号に基づく制御信号をクロック回路544に出力する。クロック回路544は、この制御信号に基づき当該クロックの出力を制御する。
【0053】
一方、定常駆動制御モード時は、周波数設定回路546は、ハイレベル信号を出力し続ける。クロック回路544、周波数設定回路546が共にクロックを出力しないため、UDカウンター542のカウンター値は変化せずに保持される。後述するが、駆動開始時には、前回の駆動終了時の駆動周波数f0に対応するカウンター値となっている。従って、固定駆動周波数制御時は、前回駆動終了時の駆動周波数の固定周波数である前回駆動周波数f0Aの駆動信号によって圧電アクチュエーター20が駆動される。
【0054】
<定常駆動制御モード時(可変駆動周波数制御時)>
周波数設定回路546は、可変駆動周波数制御時には、信号選択回路547にクロックの出力を行わず、ハイレベル信号を出力する。
クロック回路544は、遅クロックと早クロックの2種類のクロックを出力可能であり、早クロックとは、遅クロックよりも早い周期の周波数のことをいう。例えば、遅クロックは1kHzであり、早クロックは100kHzである。
クロック回路544は、可変駆動周波数制御時において振幅検出回路107から出力される振幅検出出力により振動体21の振幅が所定レベル以上である場合には、位相差に基づく駆動信号の周波数制御が適切に行える(最適な駆動周波数付近)と判断して遅クロック(早クロックに比してクロック速度が遅いクロック)を出力する。駆動開始時からこのタイミングまでの所定時間は、駆動時間検出部108に予め設定されており、周波数設定回路546が、このタイミングにおいて駆動時間検出部108から出力される検出信号に基づく制御信号をクロック回路544に出力する。クロック回路544は、この制御信号に基づき当該クロックの出力を制御する。
【0055】
NANDゲート545Aに入力される比較回路103からの位相差検出出力がハイレベル信号である場合(駆動信号と検出信号の位相差が目標位相差よりも高い場合)には、NANDゲート545Aは、クロック回路544から出力される遅クロックに基づいてパルスを出力する。
周波数設定回路546からはハイレベル信号が出力されるため、ANDゲート547Aは、NANDゲート545Aから出力されるパルスをUDカウンター542のアップカウント入力に出力し、UDカウンター542のカウンター値がアップカウントされる。すなわち、目標位相差に近づくようにパルスに応じて駆動周波数が高くなる。
【0056】
一方、NOTゲート545Cを介してNANDゲート545Bに入力される比較回路103からの位相差検出出力がローレベル信号である場合(駆動信号と検出信号の位相差が目標位相差よりも低い場合)には、NANDゲート545Bは、クロック回路544から出力される遅クロックに基づいてパルスを出力する。
周波数設定回路546からはハイレベル信号が出力されるため、ANDゲート547Bは、NANDゲート545Bから出力されるパルスをUDカウンター542のダウンカウント入力に出力し、UDカウンター542のカウンター値がダウンカウントされる。すなわち、目標位相差に近づくようにパルスに応じて駆動周波数が低くなる。
【0057】
このように、可変周波数駆動制御時において振動体21の振幅が所定レベル以上である場合には、クロック回路544によって位相差に基づき駆動信号の周波数を変動する制御が行われ、位相差に基づき変動する可変駆動周波数f0Bの駆動信号によって圧電アクチュエーター20が駆動される。すなわち、位相差検出出力により、UDカウンター542のカウンター値がアップカウントまたはダウンカウントされる。
【0058】
また、クロック回路544は、可変駆動周波数制御時において振幅検出回路107から出力される振幅検出出力により振動体21の振幅が所定レベル未満のときは、位相差に基づく駆動信号の周波数制御が適切に行えない(最適な駆動周波数から大きく外れている)と判断して早クロックを出力する。
この場合は、前記遅クロックの場合と異なり位相差に依らず一義的にダウンクロック制御が、早クロック(遅クロックに比してクロック速度が速いクロック)に基づき制御されるため、遅クロックの場合よりも所定時間当たりのカウント数が大きくなり、変化する電圧値も大きくなる。よって、最適な駆動周波数から大きく外れている場合にも早く目標値に近づけることができる。
【0059】
正常な駆動状態では、以上のように固定駆動周波数制御後、可変駆動周波数制御が行われることでローター30が所定量駆動され、駆動検出部109でローター30が所定量駆動したことを検出したら圧電アクチュエーター20の駆動制御が終了し、駆動停止状態となる。
【0060】
<駆動停止時>
駆動停止時においては、クロック回路544、周波数設定回路546は、ハイレベル信号を出力し続ける。よって、UDカウンター542のカウンター値は変化せず、駆動終了時の駆動周波数に応じたカウンター値が保持される。従って、次回の駆動開始時には、前回の駆動終了時における駆動周波数を基準として周波数制御が開始されることになる。
【0061】
しかしながら、前記のように、温度変化等の環境変化により、定常駆動制御モードではローター30が正常に駆動しない場合が考えられる。そこで、本実施形態では、定常駆動制御モードで駆動しても所定時間t0以内にローター30が所定量駆動しない場合には、強制駆動制御モードに切り替えて圧電アクチュエーター20を駆動する。この切り替えを行うため、周波数設定回路546は、駆動時間検出出力と駆動検出出力に基づき、所定時間t0以内にローター30が所定量駆動したことが検出されなかった場合には、強制駆動制御モードに切り替える。
【0062】
所定時間t0は、通常の駆動状態において圧電アクチュエーター20の駆動制御の終了(ローター30の所定量の駆動の終了)が予測される時間である。当然のことながら、所定時間t0は、圧電アクチュエーター20の駆動制御の周期(例えば20秒)よりも短い時間となる。この駆動制御終了の予測時間は、圧電アクチュエーター20の駆動特性に基づき初期的に求めておくことができる。所定時間t0は、駆動時間検出部108に予め設定してあり、駆動開始時から所定時間t0の経過タイミングにおいて駆動時間検出部108から検出信号が出力される。
【0063】
<強制駆動制御モード時>
周波数設定回路546は、強制駆動制御モードになると、クロック回路544に対して制御信号を出力し、クロック回路544を停止つまりクロック回路544からのクロックの出力を停止(ローレベル信号を出力)する。
周波数設定回路546は、強制駆動制御開始時に所定パルス数のダウンカウントクロック(P1)をANDゲート547Bに出力する。ANDゲート547Bは、周波数設定回路546から出力されるダウンカウントクロック(P1)をUDカウンター542のダウンカウント入力に出力し、UDカウンター542のカウンター値がダウンカウントされる。すなわち、ダウンカウントクロック(P1)に応じて駆動周波数が低くなる。
【0064】
上記ダウンカウントクロック(P1)として出力される上記所定パルス数に関して説明する。図3に図示されているように、駆動に最適な周波数f0(前回駆動周波数f0)と縦振動共振周波数fr1との関係が予め明らかとされており、上記f0とfr1との周波数差も明らかとされている。この周波数差に対応するカウント値が予め周波数設定回路546に記憶されており、上記周波数差に対応するカウント値分のパルス数(前記所定パルス数)が周波数設定回路546からANDゲート547Bに出力される。
このP1のパルス入力に応じて駆動回路105から出力される駆動信号の周波数は、定常駆動制御モード時の周波数f0から、周波数f0よりも圧電素子22の縦振動の共振周波数に近い所定の駆動周波数f1に切り替わる。駆動周波数f1は、図3のインピーダンス特性から初期的に設定することができ、本実施形態では駆動周波数f1は縦振動の共振周波数fr1である。この際、前記所定パルス数のダウンカウントクロック(P1)は、ダウンカウントクロック(P1)入力前のUDカウンター542のカウンター値と、前記共振周波数fr1に対応するカウンター値との差分のカウント数に設定される。
【0065】
一方、周波数設定回路546は、強制駆動制御終了の際(強制駆動制御モードによるローター30の所定量の駆動終了の際)に、所定パルス数のアップカウントクロック信号(P1)をANDゲート547Aに出力する。この所定パルス数は、前述した上記f0とfr1との周波数差に対応するカウント値分のパルス数である。ANDゲート547Aは、周波数設定回路546から出力されるアップカウントクロック信号(P1)をUDカウンター542のアップカウント入力に出力し、UDカウンター542のカウンター値がアップカウントされる。すなわち、アップカウントクロック(P1)に応じて駆動周波数が高くなる。
このP1のパルス入力に応じて駆動回路105から出力される駆動信号の周波数は、駆動周波数f1(縦振動の共振周波数fr1)から、定常駆動制御モード時の駆動周波数f0となる。
【0066】
なお、駆動周波数f1は、縦振動の共振周波数fr1に限らず、その前後の所定範囲内の周波数でもよく、少なくとも周波数f0に比べて圧電素子22のインピーダンスが低くなる周波数に設定される。
また、本実施形態では、駆動周波数f1は予め設定された固定値であるが、例えば、強制駆動制御モード時に出力するダウンカウントクロック数を固定値としておき、定常駆動制御モード時の周波数f0Bに対して所定周波数だけ小さい周波数に設定してもよい。この場合、位相差制御で周波数f0Bの具体的な値が変動している場合、強制駆動制御モード時の駆動周波数f1は、予め決められた周波数分だけ小さい周波数にシフトされることになる。
さらに、この周波数シフトは、一度に行うことに限らず段階的にシフトさせてもよい。これによって、外的負荷によるインピーダンスの変動に応じた必要最小限の消費電力での確実な駆動を実現することができる。
【0067】
図6は、駆動信号と駆動検出信号のタイミングチャートを示す。図6(A)に示すように、通常の駆動においては、定常駆動制御モードで制御される。定常駆動制御モードでは、駆動開始時から目標位相差に対する駆動信号と検出信号の位相差が安定する所定のタイミングまでの期間は前回駆動周波数f0Aの駆動信号によって駆動される固定駆動周波数制御が行われ、それ以降は可変駆動周波数f0Bの駆動信号によって駆動される可変駆動周波数制御が行われる。定常駆動制御モードで駆動することで、所定時間t0以内に駆動検出信号が検出されて、駆動制御が終了する。
【0068】
一方、図6(B)に示すように、温度変化等の外的要因により、本来、圧電アクチュエーター20の駆動が終了(ローター30が所定量駆動)しているはずの所定時間t0を過ぎても駆動検出信号が得られない場合には、定常駆動制御モードから強制駆動制御モードに切り替わり、駆動信号の周波数を駆動周波数f0から所定駆動周波数f1に切り替えて駆動する。所定駆動周波数f1に切り替えることによって、圧電素子22に駆動信号を印加するときのインピーダンスを駆動周波数f0よりも低くすることができる。これにより、所定駆動周波数f1の駆動信号による駆動では、駆動周波数f0の駆動信号で駆動した場合よりも大電流が流れ消費電力が増大するため強い駆動力を得ることができる。したがって、このように外的要因などによって駆動周波数f0では駆動力が足りず、ローター30が駆動しなくなった場合においても、通常時と同様に確実な駆動を行うことができる。
【0069】
[1−4.圧電アクチュエーターの駆動制御方法]
次に、電圧調整回路104を用いた圧電アクチュエーター20の駆動方法について、図7のフローチャートに基づいて説明する。図7は、圧電アクチュエーター20の各駆動時、例えば20秒間隔で駆動されている場合には、20秒毎の駆動時の処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すように、駆動制御処理では、先ず、クロック回路544での定常駆動制御により、駆動開始時に定常駆動制御モードで圧電アクチュエーター20が駆動される(ステップS1)。定常駆動制御モードでは、開始時は前述のように固定駆動周波数制御によって駆動信号の周波数が駆動周波数f0Aに固定され、振幅検出出力が所定レベル以上になったら、可変駆動周波数制御により可変する駆動周波数f0Bとされる。
【0070】
次に、駆動検出部109によってローター30の所定量の駆動が検出されたか否かが判定される(ステップS2)。ステップS2において、駆動が検出された場合には定常駆動制御による駆動制御が終了する。次回の駆動開始時の定常駆動制御のために、今回終了した定常駆動制御モードでの駆動周波数(f0B)が次回の駆動開始時における前回駆動時の駆動周波数(f0A)として設定される。
ステップS2において、ローター30の所定量の駆動が検出されていない場合には、周波数設定回路546によって所定時間t0を経過したか否かが判定される(ステップS3)。所定時間t0が経過するまでは、ステップS1,S2の処理が繰り返される(ステップS3の「No」判定)。
所定時間t0が経過したら(ステップS3の「Yes」判定)、周波数設定回路546によって強制駆動制御に切り替えられ、所定駆動周波数f1の駆動信号によって圧電アクチュエーター20が駆動される(ステップS4)。
【0071】
次に、ステップS2と同様にローター30の所定量の駆動が検出されたか否かが判定される(ステップS5)。ステップS5において、ローター30の所定量の駆動が検出された場合(Yes)には強制駆動制御による駆動制御が終了する。この終了時には、次回の駆動開始時の定常駆動制御のために、前記定常駆動制御モードでの駆動周波数(f0B)が次回の駆動開始時における前回駆動時の駆動周波数(f0A)として設定される。
ステップS5において、ローター30の所定量の駆動が検出されていない場合(No)には、タイムアウトか否かが判定される(ステップS6)。タイムアウトになるまでは、ステップS4,S5の処理が繰り返される(ステップS6の「No」判定)。このタイムアウト時間は、例えば、20秒間隔で圧電アクチュエーター20が駆動される場合、20秒以下の時間、例えば15秒等に設定される。このタイムアウトか否かの判定は、設定時間内に駆動検出部109から検出信号が出力されるか否かを判断することでなされる。
強制駆動制御によってもタイムアウトになった場合(ステップS6の「Yes」判定)には、強制駆動制御による駆動制御を終了し、次回の駆動開始時の定常駆動制御のために、前記定常駆動制御モードでの駆動周波数(f0B)が次回の駆動開始時における前回駆動時の駆動周波数(f0A)として設定される。この場合、運針に失敗したことになるため、例えば、電子時計1の秒針を往復駆動させたり、ディスプレイが設けられている場合には表示画面に表示したり、音声での警告などでエラーメッセージを出力してもよい。また、運針に失敗した数をカウントしておき、正常な駆動が可能になった時点で失敗分を含めて運針して、時刻を合わせても良い。
【0072】
[1−5.第1実施形態の作用効果]
第1実施形態によれば、定常駆動制御モードにより圧電アクチュエーター20を駆動しても駆動検出部109がローター30等の被駆動体の駆動を所定時間内に検出しなかった場合に、強制駆動制御モードに切り替えている。この強制駆動制御モードでは、駆動信号の周波数を、定常駆動制御時の周波数f0よりも圧電素子22のインピーダンスが小さくなる駆動周波数f1としている。このため、強制駆動制御モードでの駆動信号を圧電素子22に印加すると、定常駆動制御モード時に比べて、大きな電流が流れて消費電力が増大するため強い駆動力を得ることができ、被駆動体を確実に駆動することができる。
【0073】
駆動制御装置100が強制駆動制御モードで圧電アクチュエーター20を制御する場合に、圧電素子22の縦振動の共振周波数fr1または縦振動の共振周波数fr1に対する周波数の差が所定値以内の予め設定された周波数の駆動信号を圧電素子22に印加すれば、強制駆動制御モード時に、縦振動の共振周波数fr1や、その周波数に近い周波数の駆動信号を圧電素子22に印加することができるので、圧電アクチュエーター20で発生可能な最大値に近い駆動力を被駆動体に与えることができるので、被駆動体を確実にかつ迅速に駆動することができる。
【0074】
また、定常駆動制御モード時の可変駆動周波数制御では、圧電素子22、すなわち振動体21の振動状態に基づいて最適な駆動周波数f0Bの駆動信号を圧電素子22に印加しているため、圧電アクチュエーター20を高効率で駆動することができる。この最適な駆動周波数f0Bは、圧電素子22、すなわち振動体21の振動状態の検出信号が所定レベル以上の場合に、駆動信号および検出信号の位相差を目標位相差と比較した結果に基づいて制御できる。
【0075】
また、定常駆動制御モード時の固定駆動周波数制御では、前回の圧電アクチュエーター20の駆動終了時点の駆動周波数f0Aの駆動信号を、圧電アクチュエーター20に印加するため、温度などの外的要因が変化していなければ、前回の駆動時と同様に圧電アクチュエーター20を効率よく駆動することができる。
【0076】
[2.第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。前記第1実施形態では、圧電アクチュエーター20の駆動終了後に強制駆動制御モード用の駆動周波数f1から定常駆動制御モード用の駆動周波数f0に戻したが、駆動しない期間が継続する可能性もあり、この場合、毎回、駆動開始時にローター30が動作しない駆動周波数f0から駆動するのは電力の無駄となる。そこで、第2実施形態では、強制駆動制御モードに切り替わった場合に、その後の周期的な駆動も所定駆動周波数f1によって行い、圧電アクチュエーター20の駆動回数に応じて駆動周波数f0に戻す構成とされている。
【0077】
[2−1.全体構成]
本実施形態は、第1実施形態と同様、電子時計1に適用したものである。したがって、全体構成については説明を省略する。
[2−2.圧電アクチュエーターの構成]
本実施形態における圧電アクチュエーター20は、検出用電極を複数個所に設けている点において第1実施形態と相違する。その他の点は、第1実施形態と同様の構成である。
図8は、本実施形態における圧電アクチュエーター20の構成を示す平面図である。
圧電素子22(図2(B)参照)の表面には、駆動用電極201と絶縁された検出用電極203,204が設けられている。検出用電極203,204は、駆動用電極201と同様に、回路基板から伸ばされたリード線が接続され、圧電素子22の振動状態を検出可能に構成されている。
【0078】
検出用電極203は、縦振動成分が検出しやすいように、縦振動のひずみが大きい位置に配置されている。また、検出用電極204は、屈曲振動成分を検出しやすいように、屈曲振動のひずみが大きい位置に配置されている。これら配置位置は、使用する圧電アクチュエーター20によって変わってくるが、図示した例では、一方の長手方向の略中央部に支持部26が設けられた振動体21において、圧電素子22の表面の略中央部に検出用電極203が配置されており、検出用電極203と当接部25の間の当該長手方向側に検出用電極204が配置されている。
【0079】
このように、圧電素子22の表面の異なる場所に2つの検出用電極203,204を配置することによって、検出用電極203,204から振動に応じた検出信号が出力され、各検出信号の位相差を検出することができる。なお、第2実施形態においても、第1実施形態の圧電アクチュエーター20を用いることもできる。
【0080】
[2−3.圧電アクチュエーターの駆動制御装置の構成]
本実施形態の駆動制御装置100について、図4のブロック図に基づいて説明する。
第1実施形態では、位相差−電圧変換回路101は、圧電素子22へ印加する駆動信号と圧電素子22の検出用電極202から出力される検出信号との位相差を検出し、位相差に相当する電圧値の位相差電圧信号を出力する構成であったが、本実施形態では、検出用電極203,204から出力される検出信号の位相差に相当する電圧値の位相差電圧信号を出力する構成とされている。
つまり、図4に破線で示すように、駆動回路105からの駆動信号の代わりに、圧電素子22から他の検出信号が位相差−電圧変換回路101に出力される。圧電素子22から出力される2種類の検出信号は、前記検出用電極203,204から出力されるものである。このように駆動制御装置100を構成しても、第1実施形態と同様の位相差に基づく処理を行うことができる。
【0081】
本実施形態における電圧調整回路104は、図5に示す第1実施形態と同様の構成を備えている。また、周波数設定回路546についても、第1実施形態と同様の構成を備えている。ただし、周波数設定回路546における具体的な制御が第1実施形態とは相違する。
【0082】
本実施形態では、図5に示す周波数設定回路546は、強制駆動制御モードでの周期的な駆動の回数をカウントし、駆動回数が5回に達した場合には、通常の状態に戻ったとみなして、5回目の駆動終了後にアップカウントクロック信号(P1)を出力する。これにより、駆動回路105から出力される駆動信号の周波数は、所定駆動周波数f1から駆動周波数f0に戻される。なお、この回数は5回に限ったものでなく、適宜所定回数を設定しておけばよい。
【0083】
図9は、本実施形態での駆動信号と検出信号のタイミングチャートを示す。図9の左側の「通常状態」に図示するように定常駆動制御モードによる周波数f0の駆動が所定時間t0を過ぎる前に駆動検出信号が得られるとローター30が所定位置に駆動されたものであり、次回の駆動周波数は定常駆動制御モードの周波数f0が設定される。所定時間t0を過ぎても駆動検出信号が得られない場合には、図9の「異常状態」の1番目の駆動信号のケースに示すように「駆動周波数を駆動周波数f0から所定駆動周波数f1に切り替えて駆動することは、第1実施形態と同様である。本実施形態では、図9の「異常状態」に示すようにその後の周期的な駆動においても所定駆動周波数f1による駆動が継続される。そして、5回目の駆動信号の駆動が終了した後、異常状態が解消したであろうと判断して、右側の「通常状態」に図示されるように定常駆動制御モードに切り替えられる。すなわち、駆動信号の周波数が駆動周波数f0に戻される。
【0084】
[2−4.圧電アクチュエーターの駆動制御方法]
図10は、本実施形態での駆動制御処理の流れを示すフローチャートである。先ず、駆動制御が開始されると、前回の圧電アクチュエーター20の駆動が強制駆動制御モードでの駆動であったか否かが判定される(ステップS11)。この判定は、例えば、周波数設定回路546が前回の駆動の際にその駆動が強制駆動制御モードによるものか否かを記憶しておくことによって可能とされる。
【0085】
ステップS11において、前回の駆動が定常駆動制御モードによるものであったと判定された場合には、定常駆動制御モードによって圧電アクチュエーター20が駆動される(ステップS12)。次に、駆動検出部109によって、ローター30の所定量の駆動が検出されたか否かが判定される(ステップS13)。
ステップS13において、ローター30の所定量の駆動が検出された場合には駆動制御が終了する。この際の駆動制御モードは、例えば周波数設定回路546に記憶され、次回の駆動が開始された際にステップS11の処理で参照される。即ち、次回の駆動開始時の駆動周波数は、前記定常駆動制御モードによるf0で駆動される。ステップS13において、ローター30の所定量の駆動が検出されていない場合には、周波数設定回路546により、所定時間t0を経過したか否かが判定される(ステップS14)。
所定時間t0が経過するまでは、ステップS12,S13の処理が繰り返される(ステップS14の「No」判定)。所定時間t0が経過したら(ステップS14の「Yes」判定)、周波数設定回路546による強制駆動制御モードによって圧電アクチュエーター20が駆動される(ステップS15)。
【0086】
次に、ステップS13と同様にローター30の所定量の駆動が検出されたか否かが判定される(ステップS16)。ステップS16において、ローター30の所定量の駆動が検出された場合(Yes)には駆動制御が終了する。この際の駆動制御モードは、例えば周波数設定回路546に記憶され、次回の駆動が開始された際にステップS11の処理で参照される。即ち、強制駆動モードでの駆動が連続して5回未満の場合は、次回駆動開始時の駆動周波数が強制駆動モードでの駆動周波数f1が設定される。上記5回に達した場合にはステップS12により定常駆動制御モードの駆動周波数で駆動される。ステップS16において、ローター30の所定量の駆動が検出されていない場合には、タイムアウトか否かが判定される(ステップS17)。
タイムアウトになるまでは、ステップS15,S16の処理が繰り返される(ステップS17の「No」判定)。タイムアウトになった場合(ステップS17の「Yes」判定)には、駆動制御が終了する。
【0087】
ステップS11において、前回の駆動が強制駆動制御モードでの駆動であったと判定された場合には、強制駆動制御モードでの駆動回数が5回連続して行われたか否かが判定される(ステップS18)。この判定は、例えば、周波数設定回路546が強制駆動制御モードでの駆動回数を記憶しておくことによって可能とされる。ステップS18において、5回連続で、強制駆動制御モードで駆動したと判定された場合には、正常に駆動できる状態になったであろうとみなされ、ステップS12以後の処理が行われる。
すなわち、定常駆動制御モードに切り替えられ、駆動周波数f0での駆動が開始される。ステップS18において、5回連続で、強制駆動制御モードで駆動していないと判定された場合には、ステップS15以後の処理が行われる。すなわち、強制駆動制御モードが継続され、所定駆動周波数f1での駆動が行われる。
【0088】
[2−5.第2実施形態の作用効果]
第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、一旦強制駆動制御モードが実行された場合、その強制駆動制御モードによる駆動回数が5回連続して行われるまでは、強制駆動制御モードが継続して実行される。このため、定常駆動制御モードから強制駆動制御モードに切り替えられても、次の圧電アクチュエーター20の制御時に定常駆動制御モードが再度実行され駆動が検出できず強制駆動制御モードに切り替える場合に比べると、ローター30等の被駆動体の駆動時間も短くでき、消費電力も低減できる。
また、強制駆動制御モードを連続して行う所定回数を、使用環境などに応じて適切に設定すれば、予測される外的要因に対して適切に対応することができる。
【0089】
[3.第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
[3−1.圧電アクチュエーターの駆動制御装置の構成]
本実施形態は、第2実施形態と駆動周波数f0つまり定常駆動制御モードに戻すタイミングのみが相違し、その他の部分は同じである。第2実施形態では、単純に所定駆動周波数f1による駆動回数を所定回数繰り返すことにより外的負荷要因がなくなったとみなして定常駆動制御モードに戻したのに対して、本実施形態では、「所定駆動周波数f1での駆動後、駆動終了を検出するまでの時間」を制御要因とすることで、実際の負荷具合を考慮したより低電力の制御を可能とするものである。以下、第2実施形態との相違点を中心に詳しく説明する。
【0090】
本実施形態では、図5に示す周波数設定回路546は、強制駆動制御モードでの駆動、が、所定時間t1以内に終了した場合に、以後の駆動の際には負荷要因が解消されていると判断して、アップカウントクロック信号(P1)を出力し、駆動回路105から出力される駆動信号の周波数を、駆動周波数f1から定常駆動制御モード用の駆動周波数f0に切り替える。
【0091】
図11は、本実施形態での駆動信号と検出信号のタイミングチャートを示す。定常駆動制御モードによる駆動周波数f0での駆動において、所定時間t0を過ぎても駆動検出信号が得られない場合に強制駆動制御モードに切り替えて駆動することは、第1実施形態および第2実施形態と同様である。本実施形態では、第2実施形態と同様、その後の周期的な駆動においても強制駆動制御モードによる駆動が継続される。そして、この駆動周波数f1での駆動において、所定時間t1以内に駆動検出信号が得られた場合に、異常状態が解消したであろうと判断して、定常駆動制御モードに戻される。
【0092】
所定時間t1は、所定時間t0に所定時間t2を加算した時間、すなわちt0<t1であり、次回の駆動の際には通常に駆動できる状態になっていると考えられる時間が設定される。なお、所定時間t1は、圧電アクチュエーター20の駆動特性によって初期的に求めることができる。
【0093】
[3−2.圧電アクチュエーターの駆動制御方法]
図12は、本実施形態での駆動制御処理の流れを示すフローチャートである。先ず、駆動制御が開始されると、前回の駆動制御モードが強制駆動制御モードであったか否かが判定される(ステップS31)。この判定は、例えば、周波数設定回路546が前回の駆動の際にその駆動が強制駆動制御モードによるものか否かを記憶しておくことによって可能とされる。ステップS31において、前回の駆動が強制駆動制御モードでなかったと判定された場合には、定常駆動制御モードで駆動される(ステップS32)。次に、駆動検出部109によって、ローター30の所定量の駆動が検出されたか否かが判定される(ステップS33)。ステップS33において、ローター30の所定量の駆動が検出された場合(図11「通常状態」で駆動信号が出力されたケース)には駆動制御が終了する。この際の駆動制御モード、すなわち上記駆動制御モードは、例えば周波数設定回路546に記憶され、次回の駆動が開始された際にステップS31の処理で参照される。ステップS33において、ローター30の所定量の駆動が検出されていない場合には、周波数設定回路546により、所定時間t0を経過したか否かが判定される(ステップS34)。所定時間t0が経過するまでは、ステップS32,S33の処理が繰り返される(ステップS34の「No」判定)。所定時間t0が経過したら(図11「異常状態」で駆動信号が1番目に出力されたケース)(ステップS34の「Yes」判定)、周波数設定回路546の制御による強制駆動制御モードによる所定駆動周波数f1によって圧電アクチュエーター20が駆動される(ステップS35)。
【0094】
次に、ステップS33と同様にローター30の所定量の駆動が検出されたか否かが判定される(ステップS36)。ステップS36において、ローター30の所定量の駆動が検出された場合には、駆動制御モードに強制駆動制御モードが設定され(ステップS37)、駆動制御が終了する。この駆動制御モード、即ち強制駆動制御モードは、例えば周波数設定回路546に記憶され、次回の駆動を開始した際にステップS31の処理で参照される。ステップS36において、駆動が検出されていない場合には、タイムアウトになるまでは、ステップS35,S36の処理が繰り返される(ステップS38の「No」判定)。タイムアウトになった場合(ステップS38の「Yes」判定)には、駆動制御が終了する。
【0095】
ステップS31において、前回の駆動制御モードが強制駆動制御モードであったと判定された場合には、周波数設定回路546による強制駆動制御モードで駆動される(ステップS39)。次に、駆動検出部109によって、ローター30の所定量の駆動が検出されたか否かが判定される(ステップS40)。ステップS40において、ローター30の所定量の駆動が検出された場合には、周波数設定回路546により、その検出が所定時間t1経過前であったか否かが判定される(ステップS41)。ステップS41において、所定時間t1を経過した後に検出された(図11「異常状態」で駆動信号が2番目に出力されたケース)と判定された場合(ステップS41「Yes」判定)には、駆動制御が終了する。次回の強制駆動制御モードでの周波数f1が設定される。ステップS41において、所定時間t1の経過前に検出された(図11「異常状態」で駆動信号が3番目に出力されたケース)と判定された場合(ステップS41「No」判定)には、駆動制御モードに定常駆動制御モードが設定され(ステップS42)、駆動制御が終了する。この駆動制御モード、即ち定常駆動制御モードは、例えば周波数設定回路546に記憶され、次回の駆動を開始した際にステップS31の処理で参照される。ステップS40において、ローター30の所定量の駆動が検出されていない場合には、タイムアウトになるまでは、ステップS39,S40の処理が繰り返される(ステップS43の「No」判定)。タイムアウトになった場合(ステップS43の「Yes」判定)には、駆動制御が終了する。
【0096】
[3−3.第3実施形態の作用効果]
第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、強制駆動制御モード時の駆動検出時間によって、定常駆動制御モードに戻すのか、強制駆動制御モードのまま制御を続けるのかを判断できる。すなわち、強制駆動制御モードにおいてもローター30等の被駆動体が所定量駆動するまでにある程度の時間が必要な場合には、定常駆動制御モードでは駆動できない可能性が高い。本実施形態では、このような場合は、強制駆動制御モードを継続するため、被駆動体を確実に駆動することができる。
また、強制駆動制御モードによる被駆動体の駆動時間が短くなれば、定常駆動制御モードでも駆動できる状態であることが判明するため、次回は定常駆動制御モードに戻して制御を行うことができ、消費電力を低減することができる。
【0097】
[4.変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限ったものではない。
例えば、駆動制御装置100が強制駆動制御モードで圧電アクチュエーター20を制御する場合に、定常駆動制御モード時の駆動信号の周波数f0から圧電素子22の縦振動の共振周波数fr1側に所定周波数分シフトした周波数の駆動信号を圧電素子22に印加し、その後、駆動検出信号が入力されるまで設定時間毎に、圧電素子22に印加される駆動信号の周波数を所定周波数分シフトすることで、強制駆動制御モード時の駆動信号の周波数f1を、徐々に縦振動の共振周波数fr1に近づけるように制御してもよい。
この場合、例えば、定常駆動制御モード時は、被駆動体を駆動可能な駆動力に僅かに足りない場合に、被駆動体を駆動可能な最小限の駆動力を与えることができ、必要最小限の消費電力での駆動を実現することができる。また、1回の周波数シフトでは駆動できない場合には、さらに周波数シフトを行うことができるので、被駆動体を確実に駆動することができる。
【0098】
また、前記実施形態では、強制駆動制御モード時に、周波数設定回路546からUDカウンター542にパルスを出力してUDカウンター542のカウンター値を変更して駆動周波数f1に設定していたが、駆動周波数f1が固定値である場合には、UDカウンター542を駆動周波数f1に対応する値にセットすることで設定してもよい。
すなわち、図13に示すように、周波数設定回路546は、UDカウンター542にリセット信号、セット信号を出力して、UDカウンター542のカウンター値を所定値に設定できるようにしている。
【0099】
ここで、定常駆動制御モード時は、クロック回路544からのクロック信号がUDカウンター542のアップカウント入力、ダウンカウント入力に入力されてカウンター値が変化する。
そして、強制駆動制御モードに移行すると、周波数設定回路546は、現在のカウンター値を記憶し、続いて、UDカウンター542をリセットし、予め設定されている駆動周波数f1に対応するカウンター値にUDカウンター542をセットする。これにより、駆動信号の周波数はf1に変更される。
また、強制駆動制御モードから定常駆動制御モードに復帰する場合には、周波数設定回路546はUDカウンター542をリセットし、周波数設定回路546に記憶していたカウンター値にUDカウンター542をセットする。これにより、駆動信号の周波数は前回の定常駆動制御モード時の駆動周波数f0に戻る。
このように、セット・リセットによりカウンター値を切り替える構成とすることによって、回路構成をシンプルなものとすることができる。
【0100】
また、前記各実施形態において、定常駆動制御モード時の駆動制御の目標位相差を変化させて、より低電力の駆動制御を行うようにしてもよい。
すなわち、定常駆動制御モードでの駆動が所定回数以上連続している場合には、定常駆動制御モードでの駆動力をより弱めても駆動できる可能性が高い。この場合、目標位相差を下げて、よりトルクが小さく、低電力の駆動制御に移行してもよい。
【0101】
図14は、駆動可能周波数領域における駆動信号の周波数f、位相差θ、トルク(駆動力)Tおよび電力Pの関係図である。
駆動信号の周波数fと位相差θは、図3に示した通り相関があり、そしてこれらとトルクT、電力Pとも相関がある。つまり、駆動信号の周波数f、位相差θを選択することで、トルクT、電力Pを制御できることになる。
ここで、最適駆動周波数f0は、ローター30を駆動可能な駆動力が得られる限界ぎりぎりの周波数に設定されるのではなく、多少のマージンを付加して設定されている。具体的には、被駆動体であるローター30を駆動させる場合、最低限必要なトルクTminに対し、安全率、例えば3倍のトルクT1で駆動できるように位相差が設定される。つまり、T1−TminはトルクTの余裕分となり、同様に、電力PについてもP1−Pminの電力は無駄に消費していることになる。
【0102】
そこで、所定回数、例えば80回の駆動で所定駆動周波数f1での駆動(強制駆動制御モード)がなかった場合には、外的変動による負荷変動はないものと判断して、位相差θを下げて、つまり、駆動周波数f0から駆動周波数f2へと周波数を上げることによって、トルクは下がるが被駆動体を駆動させるトルクは確保できるとともに、より低電力の駆動制御を行うことができる。この場合、駆動周波数f2は、圧電アクチュエーター20の駆動特性によって初期的に設定することができる。また、駆動周波数f2まで周波数を段階的にシフトして制御してもよい。
【0103】
さらに、前記実施形態では、圧電アクチュエーター20を電子時計1の時分針の駆動に用いていたが、これに限らず、電子時計1の秒針の駆動あるいは日付表示機構の駆動に用いてもよい。このようにすれば、電子時計1の一層の薄型化が実現できるとともに、圧電アクチュエーターがステッピングモーターよりも磁性の影響を受けにくいことから、電子時計の高耐磁化をも図ることができる。
【0104】
また、例えば、圧電素子22の種類は、前述した振動動作が可能であれば特に前記実施形態で説明したものに限定されるものではない。例えば、長手方向と幅方向において駆動電極が2等分された構成により4つの駆動電極を備える圧電素子や、幅方向において3等分され、その3等分された電極の外側の2つがさらに長手方向において2等分された構成により5つの駆動電極を備える圧電素子であってもよい。これらを用いた場合には、対角方向の駆動電極(後者の場合は3分割したうち中心の駆動電極を含む。)に駆動信号を印加することによって、幅方向の中心部に設けられた振動体の突起部を縦振動及び屈曲振動として振動させてローター30を前記実施形態と同様に駆動することができる。この場合、駆動信号が印加される電極を他の対角方向の電極に変えることで、ローター30に当接される突起部の振動による楕円状の回転の方向を変えることができる。すなわち、ローター30の回転方向を変えることができる。
【0105】
さらに、上記インピーダンスが最も小さな周波数は、前述した縦振動の共振周波数に限定されるものではない。例えば、振動体の平面形状、駆動電極の配置、圧電素子の特性等の諸条件によっては屈曲振動の共振周波数が縦振動の共振周波数よりもインピーダンスが小さい場合が生じ得る。その場合、前述した強制駆動制御処理は、定常駆動制御モードの際の駆動周波数(f0)よりも高い固定周波数(屈曲振動の共振周波数に近い方向の周波数)の駆動信号を圧電素子に印加することになる。
【0106】
なお、前記各実施形態では、圧電アクチュエーターの適用例として腕時計を例示したが、これに限定されず、本発明は、懐中時計、置時計、掛け時計などにも適用できる。これらの各種時計において、例えばからくり人形などを駆動する機構としても利用できる。
また、時計以外に、カメラのズームやオートフォーカス機構、フィルムの巻き上げ機構、プリンターの紙送り機構や、乗り物並びに人形などの玩具類を駆動する機構などにも、本発明の圧電アクチュエーターの駆動制御装置を適宜利用できる。本発明の駆動制御装置は、時計、カメラやプリンター、玩具などをはじめとして、携帯情報端末、電話機などの圧電アクチュエーターを用いた各種電子機器に広く利用できる。
【0107】
さらに、本発明の圧電アクチュエーターの駆動制御装置は、ICで構成することができる。また、そのICと圧電アクチュエーターとを基板に取り付けることで、駆動制御装置付きの圧電アクチュエーターモジュールとして用いることもできる。そして、この圧電アクチュエーターモジュールを外装ケースに組む込むことで電子機器を構成することもできる。
【符号の説明】
【0108】
1…電子時計、5…IC、20…圧電アクチュエーター、21…振動体、22…圧電素子、23…補強板、25…当接部、30…ローター、40…輪列、100…駆動制御装置、101…位相差−電圧変換回路、102…定電圧回路、103…比較回路、104…電圧調整回路、105…駆動回路(ドライバー)、106…電圧制御発振器(VCO)、107…振幅検出回路、108…駆動時間検出部、109…駆動検出部、542…UD(アップダウン)カウンター、543…D/A変換器、544…クロック回路、545…第1制御回路、546…周波数設定回路、547…信号選択回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、
前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段と、
前記被駆動体の駆動を検出する駆動検出手段とを備え、
前記駆動検出手段は、前記圧電アクチュエーターによって前記被駆動体が所定量駆動したことを検出すると駆動検出信号を前記駆動制御手段に出力し、
前記駆動制御手段は、
前記圧電素子に所定周波数の駆動信号を印加する定常駆動制御モードと、前記圧電素子に、前記定常駆動制御モード時の駆動信号の周波数よりも、前記圧電素子のインピーダンスが小さくなる周波数の駆動信号を印加する強制駆動制御モードとを切替可能であり、
前記定常駆動制御モードで前記圧電アクチュエーターの駆動を開始した後、所定時間内に前記駆動検出信号が入力されなかった場合は、前記強制駆動制御モードに切り替える
ことを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電駆動装置において、
前記駆動制御手段は、
前記圧電アクチュエーターを一定間隔で駆動制御するとともに、
前記定常駆動制御モードから強制駆動制御モードに切り替えた場合、その次から所定回数の圧電アクチュエーターの駆動制御は前記強制駆動制御モードで実行し、
前記所定回数の強制駆動制御モードでの駆動制御を行った後は、次の圧電アクチュエーターの駆動制御モードを前記定常駆動制御モードに設定する
ことを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電駆動装置において、
前記駆動制御手段は、
前記圧電アクチュエーターを一定間隔で駆動制御するとともに、
前記定常駆動制御モードから強制駆動制御モードに切り替えた時は、次の圧電アクチュエーターの駆動制御モードを前記強制駆動制御モードに設定し、
前記強制駆動制御モードで圧電アクチュエーターの駆動制御を開始した後、所定時間内に前記駆動検出信号が入力された場合は、次の圧電アクチュエーターの駆動制御モードを前記定常駆動制御モードに設定し、
前記強制駆動制御モードで圧電アクチュエーターの駆動制御を開始した後、所定時間内に前記駆動検出信号が入力されなかった場合は、次の圧電アクチュエーターの駆動制御モードを前記強制駆動制御モードのままに維持する
ことを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
前記定常駆動制御モードは、
前記圧電アクチュエーターの駆動開始時は、前回圧電アクチュエーターの駆動制御を行った際の駆動停止時の周波数の駆動信号を印加する固定駆動周波数制御を行い、
その後、前記振動体が所定レベル以上の振動状態となった場合は、振動状態に応じて前記駆動信号の周波数を制御する可変駆動周波数制御を行う
ことを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
前記駆動制御手段は、
前記強制駆動制御モードで圧電アクチュエーターを制御する場合は、前記圧電素子の縦振動の共振周波数または縦振動の共振周波数に対する周波数の差が所定値以内の予め設定された周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加する
ことを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の圧電駆動装置において、
前記駆動制御手段は、
前記強制駆動制御モードで圧電アクチュエーターを制御する場合は、前記定常駆動制御モード時の駆動信号の周波数から前記インピーダンスが小さくなる周波数側に所定周波数分シフトした周波数の駆動信号を前記圧電素子に印加し、
その後、前記駆動検出信号が入力されるまで設定時間毎に、前記圧電素子に印加される駆動信号の周波数を前記所定周波数分シフトする
ことを特徴とする圧電駆動装置。
【請求項7】
圧電素子を有しこの圧電素子への駆動信号の印加により縦振動および屈曲振動を発生する振動体を備えて前記振動体の振動を被駆動体に伝達する圧電アクチュエーターと、
前記圧電素子への駆動信号の印加を制御する駆動制御手段と、
前記被駆動体の駆動を検出する駆動検出手段とを備えた圧電駆動装置の制御方法であって、
前記駆動検出手段は、前記圧電アクチュエーターによって前記被駆動体が所定量駆動したことを検出すると駆動検出信号を前記駆動制御手段に出力し、
前記圧電素子に所定周波数の駆動信号を印加する定常駆動制御モードと、前記圧電素子に、前記定常駆動制御モード時の駆動信号の周波数よりも、前記圧電素子のインピーダンスが小さくなる周波数の駆動信号を印加する強制駆動制御モードとを切替可能とされ、
前記定常駆動制御モードで前記圧電アクチュエーターの駆動を開始した後、所定時間内に前記駆動検出信号が入力されなかった場合は、前記強制駆動制御モードに切り替える
ことを特徴とする圧電駆動装置の制御方法。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の圧電駆動装置と、
前記圧電駆動装置により駆動される被駆動体とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器において、
前記被駆動体は、計時部で計時された計時情報を表示する計時情報表示部であることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−252471(P2010−252471A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97710(P2009−97710)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】