説明

在庫管理システム

【課題】営業部門による投機的な販売計画の投入を抑制しつつ、同部門に過度な作業負荷がかかることのない在庫管理システムを実現する。
【解決手段】販売計画支援サーバ12は、以下の処理などを実行する。イレギュラ出荷除去済の出荷実績データに基づき、将来の需要予測値及び安全在庫量を算出する。営業部門のPC20に、イレギュラ基準値以下の販売計画投入基準値が記載された販売計画入力画面を送信する。PC20からリードタイム外の販売計画値が送信された場合、専用在庫記憶手段に格納する。リードタイム内の場合には、欠品が発生するか否かを判定し、欠品が発生する場合は販売計画値の投入を拒絶する。欠品が発生しない場合は、販売計画値を専用在庫記憶手段に格納する。PC20からリードタイム内の販売計画値を下方修正する入力がなされた場合、マイナス分を解放在庫記憶手段に格納すると共に、専用在庫記憶手段から減じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は在庫管理システムに係り、特に、通常の需要を超えるイレギュラな需要に関しては販売計画として営業部門にデータを入力させる仕組みを備えた在庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
調達部門によって多数の製品を外部から仕入れ、営業部門によってこれらの製品を顧客に販売するビジネス形態の企業においては、欠品リスクと不良在庫化リスクとのバランスを図ることが極めて重要となる。
すなわち、営業部門が注文を取ってきても在庫が底をついていてはせっかくの販売機会を失うこととなる一方、在庫を抱えすぎると売れ残りが生じる結果となる。
このため、多くの企業においては、過去の所定期間の出荷実績データに基づいて将来の需要量を予測し、この予測結果に基づいて製品の発注業務を遂行している。
【非特許文献1】ハートビート:デフレ経済では早く作った者勝ち(下)/メーカーだけでなく、販売サイドもデル化が進む[平成17年9月6日検索] インターネットURL:http://japan.internet.com/isreport/20020422/3.html
【非特許文献2】SQL-RETAIL/製品の特徴[平成17年9月6日検索] インターネットURL:http://www.tre-inc.com/products/sqlretail/sqlretail.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、営業部門には通常の需要に基づく注文の他に、突発的に大量の注文が入る場合があり、過去の出荷実績に基づいて需要予測量を算出する従来のシステムでは、このようなイレギュラな出荷実績データの混入により、需要予測量が不安定化すると共に、不良在庫の発生確率が上昇するという問題があった。
【0004】
これに対し、事前にイレギュラな出荷分を全てカットし、通常の需要に基づく出荷実績に基づいて予測値を算出するようにすれば、比較的低い水準の予測値を安定的に得ることが可能となるが、こんどは在庫に余裕がほとんどなくなり、イレギュラな需要には全く対応できなくなるという問題が生じる。
この場合も、営業部門に対しイレギュラな需要については事前に販売計画として逐一申告することを義務付け、通常の需要分とは別枠で調達するようにすれば欠品リスクを低減することが可能となるが、営業部門の作業負荷が大きくなりすぎ、円滑な営業活動に支障を来すおそれが生じる。
しかも、商品の仕入れには所定の期間(納品リードタイム)を要し、この期間内にイレギュラ需要の申告がなされても欠品となる危険性が高いため、常に各商品の納品リードタイムを意識した上で申告することが営業部門には求められる。
以上の結果、実際の予想よりも多めにイレギュラ需要を申告するように営業部門が行動するようになり、かえって過剰在庫が増加するというジレンマも生じる。
【0005】
この発明は、過去の出荷実績に基づく需要予測値に従って商品の仕入計画値を算出する従来のシステムが抱えていた上記の問題を解決するために案出されたものであり、営業部門による投機的な販売計画の投入を抑制でき、しかも営業部門に対し過度な作業負荷がかかることを抑制できる在庫管理システムを提供することを目的としている。
また、この発明は、イレギュラな需要を反映させた仕入計画値を自動生成できる在庫管理システムを提供することをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した在庫管理システムは、各商品の納品リードタイムを設定しておく記憶手段と、各商品のイレギュラ基準値を設定しておく記憶手段と、各商品の出荷実績データを格納しておく出荷実績記憶手段と、各商品の出荷実績データの中で、上記イレギュラ基準値を超えるものを格納しておくイレギュラ出荷実績記憶手段と、各商品の入庫予定データを格納しておく入庫予定記憶手段と、各商品の在庫実績データを格納しておく在庫実績記憶手段と、各営業部門が投入した特定商品に係る特定期間における販売計画値を、当該営業部門に関連付けて格納しておく専用在庫記憶手段と、各営業部門が上記の納品リードタイム内における販売計画値を下方修正した場合に、そのマイナス分の値を解放在庫として当該営業部門及び日付(解放日)に関連付けて格納しておく解放在庫記憶手段と、各商品の過去の一定期間における出荷実績データの中で、予め設定されたイレギュラ基準値を超える出荷実績データを除去し、残りの出荷実績データの平均値で置き換える処理を実行するイレギュラ出荷除去手段と、このイレギュラ除去済みの出荷実績データに基づいて、将来における所定期間毎の需要量を算出する需要予測手段と、上記イレギュラ除去済みの出荷実績データと、過去の需要予測データとの誤差に基づいて、現時点における安全在庫量を算出する安全在庫算出手段と、営業部門の端末装置から特定の商品に係る販売計画投入のリクエストが送信された場合に、上記イレギュラ基準値以下の販売計画投入基準値が記載された販売計画入力画面を生成し、当該端末に送信する手段と、上記販売計画入力画面を通じて、将来の特定期間(例えば特定の週)について販売計画投入基準値以上の販売計画値が入力された場合に、当該期間が現時点から起算して当該商品の納品リードタイム内であるか否かを判断する手段と、納品リードタイム外である場合には、入力された販売計画値を上記の専用在庫記憶手段に格納する手段と、納品リードタイム内である場合には、上記の在庫実績データ、入庫予定データ、需要予測値、販売計画値に基づき、納品リードタイムに含まれる日毎に終了在庫量を算出する手段と、この終了在庫量が現時点における安全在庫量+専用在庫量よりも小さくなる欠品が、納品リードタイム内に発生するか否かを判定する手段と、納品リードタイム内において上記の欠品が発生する場合には、当該販売計画値の投入を拒絶する旨のメッセージを上記端末装置に送信する手段と、納品リードタイム内において上記欠品が発生しない場合には、当該販売計画値を上記の専用在庫記憶手段に格納する手段と、上記販売計画入力画面を通じて、納品リードタイム内における販売計画値を下方修正する入力がなされた場合に、そのマイナス分の値を上記解放在庫記憶手段に格納する手段と、このマイナス分の値を上記専用在庫記憶手段から減ずる手段と、解放在庫記憶手段に登録された各商品の解放在庫データに対し、それぞれの解放日よりも後に生じた販売計画値及びイレギュラ除去済みの出荷実績データを充当させて解放日の早い順に消去する解放在庫更新手段と、各営業部門に係るイレギュラ出荷実績データと専用在庫データとを比較し、専用在庫データとイレギュラ出荷データとの差を算出する手段と、上記の算出結果がマイナスの値となった場合に、そのマイナス分の値を当該営業部門及び商品に関連付けてペナルティリストに登録する手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載した在庫管理システムは、請求項1に記載のシステムであって、さらに、上記の在庫実績データ、入庫予定データ、需要予測値、販売計画値に基づき、将来における日次の終了在庫量を算出する手段と、各商品の納品リードタイム内における累積入庫予定量、累積需要予測値、累積販売計画値を日次で算出する手段と、上記日次の終了在庫量+累積入庫予定量−累積需要予測値−累積販売計画値を計算することにより、リードタイム後在庫量を日次で導く手段と、上記のリードタイム後在庫量から現時点における安全在庫量及び専用在庫量を減じることにより、値がマイナスとなる欠品発生日を探知する手段と、上記の欠品発生日からリードタイム分遡った日を発注日と認定し、当該発注日に少なくともマイナス分の値を関連付けた仕入計画値を生成する手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の在庫管理システムにあっては、イレギュラ除去済みの出荷実績データに基づいて将来の需要予測値及び現在の安全在庫量が算出される仕組みであるため、在庫量が過度に大きくなることを回避できる。
また、営業部門が販売計画を投入する際に端末装置に表示される販売計画入力画面には、販売計画投入基準値が明示されており、これを超えるイレギュラ需要が存在する場合のみ販売計画の投入が義務付けられる仕組みであるため、営業部門に過度の負担を課すことを防止できる。
また、販売計画値を一旦投入した後は、専用在庫として当該営業部門に関連付けられ、あとで下方修正した場合にも、既に発注が完了している納品リードタイム内では解放在庫として当該営業部門との関連性が維持される仕組みであるため、定期的に各営業部門の在庫量を監査し、所定以上の在庫量に対しては何らかのペナルティを課すように運用することにより、事前に必要以上の在庫を確保しようとする営業サイドの投機的な動きを牽制することが可能となる。
また、この解放在庫は営業部門の責任を明確化するために設けられた概念であり、実際には他の営業部門の利用に供されるため、不良在庫となることを極力抑えることが可能となる。
また、納品リードタイム内において新規に販売計画値を投入する際には、欠品発生の有無がまず判定され、欠品が生じない場合に限って当該販売計画値が受け入れられる仕組みを備えているため、欠品のリスクを最小限に抑えることができる。
さらに、事前に専用在庫を確保することなくイレギュラな出荷を行った場合には、その事実がペナルティリストに登録される仕組みを備えているため、イレギュラ需要に関しては事前に販売計画を投入すべきことを営業部門に義務付けることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の在庫管理システムにあっては、リードタイム後在庫量がマイナスとなる欠品発生日を探知し、そこから納品リードタイム分遡った日を発注日と認定して最小限の仕入計画値を算出する仕組みを備えているため、在庫量を最小限に抑えつつ、欠品の発生を有効に回避することができる。
また、仕入計画値の算出に際しては、販売計画値及び専用在庫量が用いられるため、イレギュラ需要を反映させた仕入計画値を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、この発明に係る在庫管理システム10の機能構成を示すブロック図であり、このシステム10は、販売計画支援サーバ12と、仕入計画支援サーバ14と、ファイルサーバ16を備えている。
また、販売計画支援サーバ12には、インターネット等の通信網18を介して、多数の営業部門用PC端末20が接続されている。
また、仕入計画支援サーバ14には、イントラネット等の通信網22を介して、多数の調達部門用PC端末24が接続されている。
ファイルサーバ16のハードディスク25には、各種のデータファイルが格納されている。以下において、その一例を説明する。
【0011】
まず、図2は商品マスタの構成を示すものであり、各レコードはJANコード、型番、納品リードタイム、ロット単位数、最小ロット数等のデータ項目を備えている。
図3は、出荷実績更新データの構成を示すものであり、各レコードは日付、営業部門名、JANコード、出荷数量のデータ項目を備えている。
図4は、在庫実績更新データの構成を示すものであり、各レコードは日付、JANコード、在庫数量のデータ項目を備えている。
図5は、入庫予定更新データの構成を示すものであり、各レコードは日付、JANコード、入庫予定数量のデータ項目を備えている。
図6は、イレギュラ出荷実績データの構成を示すものであり、各レコードは日付、営業部門名、JANコード、イレギュラ出荷数量のデータ項目を備えている。
【0012】
図7は、出荷実績時系列(日次)データの構成を示すものであり、各レコードは型番、営業部門名、出荷実績1〜1095のデータ項目を備えている。「出荷実績1〜1095」は、365(日)×3(年)分の出荷実績データを保持することを意味する。
図8は、出荷実績時系列(週次)データの構成を示すものであり、各レコードは型番、営業部門名、出荷実績1〜52のデータ項目を備えている。「出荷実績1〜52」は、52(週)分の出荷実績データを保持することを意味する。
図9は、在庫実績時系列データの構成を示すものであり、各レコードは型番、在庫実績1〜1095のデータ項目を備えている。「在庫実績1〜1095」は、365(日)×3(年)分の在庫実績データを保持することを意味する。
図10は、入庫予定時系列データの構成を示すものであり、各レコードは型番、入庫予定1〜84のデータ項目を備えている。「入庫予定1〜84」は、7×12(日)分の入庫予定データを保持することを意味する。
【0013】
図11は、制御パラメータデータの構成を示すものであり、各レコードは型番、イレギュラ基準値、安全在庫評価期間、販売計画投入基準値、安全在庫下限値、指定安全在庫日数、需要予測モデルID等のデータ項目を備えている。
図12は、予測値分割比率データの構成を示すものであり、各レコードは型番、部門1の比率1〜部門nの比率のデータ項目を備えている。
【0014】
図13は、営業部門別の販売計画時系列データの構成を示すものであり、各レコードは型番、営業部門名、販売計画1〜64のデータ項目を備えている。「販売計画1〜64」は、52+12(週)分の販売計画データを保持することを意味する。
図14は、需要予測時系列(週次)データの構成を示すものであり、各レコードは型番、営業部門名、需要予測1〜64のデータ項目を備えている。「需要予測1〜64」は、52+12(週)分の需要予測データを保持することを意味する。
【0015】
図15は、解放在庫管理データの構成を示すものであり、各レコードは解放日付、計上日付、営業部門名、型番、出荷数量のデータ項目を備えている。
図16は、ペナルティリストデータの構成を示すものであり、各レコードは日付、営業部門名、JANコード、イレギュラ出荷数量のデータ項目を備えている。
図17は、専用在庫時系列データの構成を示すものであり、各レコードは型番、営業部門名、在庫量1〜52のデータ項目を備えている。「在庫量1〜52」は、52(週)分の専用在庫データを保持することを意味する。
図18は、解放在庫時系列データの構成を示すものであり、各レコードは型番、営業部門名、在庫量1〜52のデータ項目を備えている。「在庫量1〜52」は、52(週)分の解放在庫データを保持することを意味する。
【0016】
営業部門の担当者(以下「営業部員」)が、このシステム10を用いて販売計画を投入する場合には、まずPC端末20からインターネット経由で販売計画支援サーバ12にアクセスし、販売計画の投入をリクエストする。
これに対し販売計画支援サーバ12は、アイテム選択画面を生成してPC端末20に送信する。
この結果、PC端末20のWebブラウザ上または専用アプリケーション上には、当該企業が取り扱っている商品のカテゴリが列記されたアイテム選択画面が表示される(図示省略)。
これに対し営業部員が特定のカテゴリをクリックすると、当該カテゴリに包含される具体的なアイテム(商品)の型番がリスト表示される。
【0017】
このリストの中から特定のアイテムを営業部員が選択すると、これを受けた販売計画支援サーバ12は販売計画入力画面を生成し、PC端末20に送信する。
図19に示すように、この販売計画入力画面26は、週単位で専用在庫、解放在庫、予測値、販売計画値の項目が設けられている。
以下、図20及び図21のフローチャートに従い、この販売計画入力画面26を生成するまでの処理手順及びこの入力画面を通じて入力された販売計画値に対する処理手順について説明する。
【0018】
まず、PC端末20から特定アイテムの選択情報が送信されると、これを受けた販売計画支援サーバ12は(図20のS10)、ファイルサーバ16を介して前日の出荷実績更新データ(図3参照)を取り出し、これによって出荷実績時系列(日次)データ(図7参照)を更新する(S12)。
【0019】
つぎに販売計画支援サーバ12は、制御パラメータデータ(図11参照)を参照し、当該アイテムに係るイレギュラ基準値を取得する(S14)と共に、この基準値に照らしてイレギュラ出荷と判定された出荷実績データを、上記の出荷実績時系列(日次)データの中から除去し、残りの出荷実績データの平均値に置き換える(S16)。
すなわち、出荷実績更新データの中には、通常の営業活動によって発生した出荷実績の他に、特定の企業に対する一括納入のように突発的に発生した多量の出荷実績が混入している可能性がある。
そして、このようなイレギュラな出荷実績に基づいて後述の需要予測値や安全在庫数を導き出すと、必要以上に高い需要予測値や安全在庫数が導き出される危険性がある。
そこで、イレギュラな出荷と通常の出荷との分水嶺として機能するイレギュラ基準値が、予め調達部門によって各アイテム毎に設定され、制御パラメータデータファイルに格納されている。
【0020】
図22は、イレギュラ出荷実績データを除去する処理のイメージを示すものであり、ある日の出荷実績データαがイレギュラ基準値を超えていた場合(図22(a))に、当該出荷データ自体を除去した後、残りの出荷実績データの平均値で補完する(図22(b))様子が描かれている。
このイレギュラ基準値は、過去の一定期間中における販売量の日単位の標準偏差σのN倍+平均販売量という形で設定されている。
【0021】
つぎに販売計画支援サーバ12は、このイレギュラ出荷除去済の出荷実績時系列(日次)データを週単位で集計し、出荷実績時系列(週次)データ(図8参照)を更新する(S18)。
【0022】
つぎに販売計画支援サーバ12は、制御パラメータデータの需要予測モデルIDを参照して当該アイテムに設定された需要予測モデルを特定した後(S20)、イレギュラ除去済の出荷実績(日次)データに当該需要予測モデルを適用し、需要予測値を算出する(S22)。
【0023】
この需要予測モデルとしては、過去の出荷実績データから季節の変動と出荷規模の変化を読み取り、将来の需要予測値を導く「ARMAモデル」が基本となる。
このARMAモデルは、具体的には1年前の同日におけるリードタイム累積出荷量を参照値とし、これに参照時点前後の需要平均値と直近の需要平均値との比を掛けて高さ調整した数値を、現時点からリードタイム後の基準累積出荷量予測値とするものである。
販売計画支援サーバ12は、イレギュラ出荷実績データを除去した出荷実績(日次)時系列データに対して、このARMAモデルを適用して上記の基準累積出荷量予測値を算出した後、これを週次予測値に計算し直すことにより、需要予測値(週次)を導く。
【0024】
このARMAモデルの場合、最低でも過去1年間の出荷実績データが必要となるため、発売間もないアイテムについては適用できないという問題がある。
そこで、このようなアイテムについては「他アイテム参照モデル」や「一定値モデル」が補完的な需要予測モデルとして用意されている。
「他アイテム参照モデル」は、類似する他のアイテムの実績データや当該アイテムが属する商品カテゴリ全体の実績データに基づいて需要予測を行うモデルである。この他アイテム参照モデルを指定する際には、モデル適用開始日、参照アイテムの型番または上位分類を特定するコードがパラメータとして設定される。
また、「一定値モデル」は、その名の通り常に一定数量の予測値を出力するモデルであり、適切な参照商品が存在しない場合等に適用される。この一定値モデルを指定する際には、モデル適用開始日及び予測値がパラメータとして設定される。
【0025】
つぎに販売計画支援サーバ12は、以下の計算式を用いて当該アイテムの安全在庫数を決定する(S24)。
安全在庫数=k×σ×√LT
ただし、k:安全係数
σ:予測誤差(予測値−実績値)の日単位の標準偏差
LT:当該アイテムのリードタイム
【0026】
安全係数Kは、現時点までの出荷実績データ(イレギュラ出荷除去済)に基づき、当該アイテムの出荷・発注の自動シミュレーションをK=0(安全在庫数=0)からスタートさせ、過去の全ての期間で欠品数が0となるまでKを一つずつ増加させていくことで決定される。
また、予測誤差の日単位の標準偏差σは、直近N日における予測誤差のばらつき度合を図る指標であり、Nは安全在庫評価期間として制御パラメータデータファイルに予め設定されている。
例えばN=3の場合、90日分の予測誤差から標準偏差が計算される。
安全係数k及び予測誤差σは、上記の通り最新の出荷データに基づいて決定されるものであり、その値は日々更新される。この結果、安全在庫数も日々更新されることとなる。
【0027】
なお、過去の実績データが少ないため上記のシミュレーション期間が短くなる場合などには、システム10による安全在庫の自動算出結果が極端に低くなる可能性がある。
このため、予め安全在庫の下限値が、安全在庫下限値として制御パラメータデータファイルに設定されている。そして、自動算出結果がこの下限値を下回った場合には、自動的に下限値が採用される。
この下限値は、日次出荷量の標準偏差σのN倍という形式で設定されている。
【0028】
つぎに販売計画支援サーバ12は、部門別予測値分割比率を算出する(S26)。
具体的には、アイテム毎に過去1年分の当該営業部門の出荷数を同期間における全営業部門の出荷数で割ることにより、部門別予測値分割比率が算出され、データファイルに格納される(図12参照)。
【0029】
つぎに販売計画支援サーバ12は、専用在庫の時系列データを更新する(S28)。
ここで「専用在庫」とは、企業内の各営業部門に割り当てられた在庫を意味し、各営業部門が販売計画として投入した在庫量が、システム内において専用在庫として確保される。
まず販売計画支援サーバ12は、図23に示すように、専用在庫時系列データファイルから該当アイテム及び営業部門に係る専用在庫時系列データを抽出する(S28a)と共に、イレギュラ出荷実績データファイルから前回の更新時から現時点までに蓄積された該当アイテム及び営業部門に係るイレギュラ出荷実績データを抽出する(S28b)。
そして、現時点において専用在庫が十分に確保されているか否かを判定し(S28c)、Yesの場合には専用在庫をイレギュラ出荷分減じる(S28d)。
これに対しNo、すなわち専用在庫が不足している場合には、専用在庫からイレギュラ出荷分を減じると共に、マイナス分をペナルティリストに追加する(S28e)。
【0030】
図24は、この専用在庫の時系列データの更新処理の要領を示す図表であり、例えばXYZアイテムについて東北営業部は2005年10月04日の時点で1,500個の専用在庫を抱えており、また500個のイレギュラ出荷実績が記録されているため、1,500−500=1,000となり、以後の専用在庫量が1,000個に更新される。
これに対しα営業部は、同アイテムについて現時点で専用在庫が0個であるにもかかわらず500個のイレギュラ出荷実績が記録されているため、0−500=−500となり、マイナス分の500個がペナルティリストデータとしてファイルに格納されることとなる。
また、関西営業部は、同アイテムについて同時点で専用在庫が300個であるにもかかわらず500個のイレギュラ出荷実績が記録されているため、300−500=−200となり、専用在庫量が0に減算されると同時に、マイナス分の200個がペナルティリストデータとしてファイルに格納される。
【0031】
つぎに販売計画支援サーバ12は、解放在庫の時系列データ及び解放在庫管理データを更新する(S30)。
各営業部門は、上記のように販売計画を投入することによって専用在庫を確保することができるが、その後リードタイム内における販売計画の縮小がなされた場合には、その減少分の在庫量が解放在庫時系列データファイルに移動されると共に、解放在庫管理データファイルに登録される。
すなわち「解放在庫」とは、各営業部門によって販売計画が投入され、一旦は専用在庫として当該営業部門に割り当てられた後、リードタイム内に販売計画の縮小がなされた場合に、専用在庫から除外された在庫分を意味する。
この解放在庫はすでに特定の営業部門の専用在庫から除外されているため、他の営業部門の利用に順次供されることとなるが、リードタイム内の販売計画は既に発注済であり、不良在庫化する危険性を帯びているため、その責任を明確にする目的で営業部門との関連付けが維持される。
【0032】
以下、図25に従い、解放在庫の時系列データ及び解放在庫管理データの更新処理の手順について説明する。
まず販売計画支援サーバ12は、同図(a)に示すように、出荷実績更新データファイルから前回更新時から現在までに登録された部門別/アイテム別の出荷実績更新データ30を抽出すると共に、イレギュラ出荷実績データファイルから前回更新時から現在までに登録されたイレギュラ出荷実績データ32を抽出する。
つぎに販売計画支援サーバ12は、出荷実績更新データからイレギュラ出荷分を除去してイレギュラ除去済の部門別アイテム別出荷実績データ34を生成し(S30a)、さらにこれから部門・日付を捨象してアイテム別に集計することにより、イレギュラ除去済のアイテム別出荷実績データ36を生成する(S30b)。
【0033】
図26は、上記の処理の具体例を示す図表である。
例えば、図26(a)の部門別アイテム別出荷実績更新データには、2005年10月02日における東北営業部の「49*********15」アイテムに係る数量として1,200が登録されているが、同図(b)の部門別アイテム別イレギュラ出荷実績更新データには東北営業部の同アイテムに係る数量として1,000が登録されているため、同図(c)のイレギュラ除去済の部門別アイテム別出荷実績データには差引200の数量が登録されている。
さらに、同図(d)のイレギュラ除去済の出荷実績データでは、全営業部門に係るイレギュラ除去済の出荷実績がアイテム毎に記録されている。
【0034】
つぎに販売計画支援サーバ12は、図25(b)に示すように、前回の更新処理時の全営業部門に係る販売計画データ38と現時点での全営業部門に係る販売計画データ40とを比較し、当該アイテムに係る販売計画の追加分データ42を抽出する(S30c)。
【0035】
つぎに販売計画支援サーバ12は、図25(c)に示すように、上記のイレギュラ除去済のアイテム別出荷実績データ36及び販売計画追加分データ42に基づいて、解放在庫管理データ44及び解放在庫時系列データ46を更新する(S30d)。
図27は、解放在庫管理データの更新処理の具体的イメージを示す図表であり、解放日の早い順に整列配置された解放在庫管理データに対し、イレギュラ除去済の出荷実績データ及び販売計画追加分データを上から適用し、解放在庫管理データを消去または減算する様子が描かれている。
上記のように、イレギュラ除去済の出荷実績データを用いて解放在庫管理データを更新する理由は、イレギュラ出荷については販売計画の投入によって専用在庫が確保されているためである。
販売計画支援サーバ12は、解放在庫管理データの更新後、消滅した解放在庫管理データに対応する解放在庫を解放在庫時系列データから減じる更新処理を実行する。
【0036】
つぎに販売計画支援サーバ12は、制御パラメータデータを参照し、当該アイテムに係る納品リードタイム、販売計画投入基準、次回入庫予定、最小ロットの各情報を取得する(S32)。
【0037】
つぎに販売計画支援サーバ12は、上記の販売計画入力画面26を生成し、営業部員のPC端末20に送信する(図21のS34)。
この販売計画入力画面26は、図19に示したように、週単位で専用在庫、解放在庫、予測値、販売計画値の項目が設けられていると共に、専用在庫及び解放在庫の項目には上記において更新した最新の値がセットされている。
また、予測値の項目には、上記において算出した当該アイテムの需要予測値を当該営業部門の分割比率で分割し、週単位で集計した値がセットされている。
さらに、欄外にはアイテムの型番、現在日、納品リードタイム、最小ロット数、販売計画投入基準、次回入庫予定の各情報が表示されている。
【0038】
これに対し営業部員は、特定の週の販売計画項目に任意の販売計画値を上書入力する。
これを受けた販売計画支援サーバ12は(S36)、まず当該週が納品リードタイム外であるか否かを判定する(S38)。
ここでリードタイム外であると判定されると、入力した数値がそのまま販売計画項目に表示されると共に、それ以降の専用在庫の項目にその数値が反映される(S40)。例えば、08月11日(現時点)において10月03日から始まる週の項目に1,500個の販売計画を新規投入した場合、当日以降の専用在庫が500から2,000に変更される。
この状態で営業部員が販売計画の確定ボタン50をクリックすると、表示された数値がそのまま専用在庫の時系列データファイルに更新登録される(S42)。
すなわち、リードタイム外であれば、営業部員は自由に販売計画の新規投入が認められると共に、投入済の販売計画に対する増減変更も許容されることとなる。
【0039】
一方、数値を入力した販売計画の項目がリードタイム内である場合には、入力した数値が従前の数値と比較して上方修正となるのか、下方修正となるのかが判定される(S44)。
ここで例えば、販売計画値が500とあったのを300に書き換えた場合には下方修正となるため、マイナス分の200が同じ週の解放在庫の項目に加算表示されると共に、同週の専用在庫の項目から200個が減算表示される(S46)。
その後、営業部員が販売計画の確定ボタン50をクリックすると、表示された数値がそのまま専用在庫及び解放在庫の時系列データファイルに更新登録される(S48)。
【0040】
このように、リードタイム内とリードタイム外とで販売計画値の下方修正に対する扱いを異にしているのは、以下の理由による。
すなわち、リードタイム外の販売計画であれば、まだ発注されていないため下方修正しても不良在庫化する危険がないのに対し、リードタイム内の販売計画にはすでに発注が完了している筈であり、不良在庫化する可能性がある。
このため、リードタイム内の下方修正分については解放在庫として記録しておくことで、関与した営業部門の責任を明確化することとしている。
【0041】
これに対し、08月29日から始まる週のように、販売計画値が0であったところに500を書き加えた場合には上方修正となるため、在庫推移のシミュレーションを実行し、販売計画支援サーバ12はリードタイム内において欠品が生じる可能性があるか否かを判定する(S50)。
図28は、この在庫推移シミュレーションの内容を説明するための図表であり、列方向に日にちが設定されると共に、行方向にa)開始在庫、b)入庫予定、c)需要予測、d)販売計画、e)終了在庫、f)安全在庫(現時点)、g)専用在庫(現時点)、e)-f)-g)の各項目が設定されている。
【0042】
ここで、a)開始在庫には原則として前日の終了在庫が表示されるが、シミュレーション開始日(=計画立案日)の開始在庫には当日の在庫実績データが表示されている。
また、b)入庫予定には、該当日における入庫予定数量が表示されている。この入庫予定数量は、出荷可能数量として取り扱われる。
c)需要予測には、該当アイテムに係る全社的な需要予測値が表示されている。
d)販売計画には、営業部員によって設定された販売計画値がセットされる。ただし、販売計画は週次で設定されるため、この表においては週の初めの日に販売計画値が計上される。
e)終了在庫には、a)開始在庫+b)入庫予定−c)需要予測−d)販売計画の数値がセットされる。要するに、該当日における終業時の予想在庫数量(日末在庫量)を意味する。
f)安全在庫には、上記S24において算出された該当アイテムの現時点での安全在庫数がセットされる。
g)専用在庫には、当該営業部門及び他の営業部門が既に確保している該当アイテムの専用在庫総量がセットされる。
e)-f)-g)の項目には、e)終了在庫−f)安全在庫−g)専用在庫の数値がセットされる。すなわち、終了在庫数から欠品を防ぐために絶対的に確保する必要のある安全在庫数及び既に何れかの営業部門によって確保されている専用在庫数を差し引いた余剰の在庫数量を意味しており、ここには解放在庫も含まれている。
【0043】
ここで例えば、先の営業部員が10月20日に1,500個の販売計画を投入すると、販売計画支援サーバ12は以後の日における各在庫数量を再計算し、新たな数値を各項目に充填していく。
そして、リードタイム内においてe)-f)-g)項目にマイナスの数値が出現した場合には、その時点において欠品が生じる危険性があると判断する。
図においては、10月23日に−155となり、以後マイナスの数値が増加していくため、販売計画値の変更を拒否するメッセージがPC端末20の画面上にポップアップ表示され、販売計画値の変更が拒絶される(S52)。
【0044】
これに対し、リードタイム以降においてマイナスの数値がe)-f)-g)項目に出現しても、当日に発注をかければ間に合うため、販売計画の投入が認められることとなる。
具体的には、上方修正した数値に応じて以降の必要項目における表示内容が変更され(S54)、確定入力後に表示された数値がそのまま専用在庫の時系列データファイルに更新登録される(S56)。
【0045】
販売計画の投入に際し、営業部員は画面上に表示された販売計画投入基準を参照し、これ以上の突発的な需要が予想される場合にのみ販売計画を投入すれば済み、これより需要が低い場合には「安全在庫」として調達部門側が在庫確保の責任を負う仕組みであるため、営業部門に対して過度の事務的負荷が掛かることを有効に防止できる。この販売計画投入基準値としては、当該アイテムのイレギュラ基準値よりも低い値が調達部門によって予め設定され、制御パラメータデータファイルに登録されている。
反対に、一旦販売計画として数値を入力した以上は、専用在庫あるいは解放在庫として当該営業部門に関連付けられ、これを売り捌く責任が明確化されることとなる。このため、例えば年度末において専用在庫及び解放在庫の合計が設定値よりも多かった場合に、その数量に応じて当該部門にマイナスの評価を与えることが可能となり、営業部門の投機的な動きを牽制することが期待できる。
【0046】
また、追加調達が可能なリードタイム外における販売計画の投入及び変更は自由に認められるのに対し、リードタイム内においては欠品の可能性がないことを確認した上で販売計画の積み増しを認める仕組みであるため、欠品が発生する危険性を極力排除することができる。
さらに、十分な専用在庫を事前に確保しない状態でイレギュラな出荷を行った場合には、その事実がペナルティリストに記録される仕組みを備えているため、各営業部門に対し必要なイレギュラ出荷については事前に報告するよう間接的に強制することが可能となる。
【0047】
上記のように、出荷実績データからイレギュラ出荷データが事前に除去され、これに基づいて安全在庫数が算出されるため、過去のイレギュラな出荷に基づいて安全在庫数が必要以上に増大することを有効に防止できる。
【0048】
つぎに、仕入計画支援サーバ14の機能について説明する。
まず、仕入計画支援サーバ14においても販売計画支援サーバ12におけると同様に、過去の出荷実績データからイレギュラ出荷データを除去して平均出荷データに置き換える処理を実行し、日次の需要予測値を算出する機能を備えている。
また、日次の需要予測値、安全在庫評価期間及び安全在庫下限値に基づいて安全在庫数を決定する機能、販売計画時系列データ、入庫予定データ、専用在庫時系列データから必要なデータを抽出する機能を備えている。
そして、仕入計画支援サーバ14は少なくとも1日に1回、上記の各データに基づいて各アイテムの在庫推移シミュレーションを実行し、欠品が発生する日を推定すると共に、これに基づいて仕入計画を自動生成する。
【0049】
図29は、在庫量の推移と欠品発生日及び発注日との関係を示す概念図である。
図中の折れ線は在庫量の増減を表しており、実線部分は過去の実績データに、また破線部分は将来の予測データに対応している。
この在庫量は、入庫によって瞬間的に増加し、日々の出荷に基づいて徐々に減少していくものであるが、仕入計画支援サーバ14は常に安全在庫以上の在庫量が維持されるように、必要な仕入計画を策定するようにプログラムされている。
ここで、ある日(計画日)のシミュレーションにおいて将来のX日に欠品が発生することが判明した場合、販売計画支援サーバ12はその欠品発生日を起点に当該アイテムのリードタイム分遡った日を発注日と認定し、必要最小限の仕入計画値を出力する。
【0050】
図30は、在庫推移シミュレーションの一例を示す図表であり、列方向に日にちが設定されると共に、行方向にa)開始在庫、b)入庫予定、c)需要予測、d)販売計画、e)終了在庫、f)LT累積入庫予定、g)LT累積予測値、h)LT累積販売計画値、i)LT日後在庫(e+f-g-h)、j)安全在庫(現時点)、k)専用在庫(現時点)、l)発注判定(i-j-k)の各項目が設定されている。
ここで、f)LT累積入庫予定は、リードタイム期間(翌日から数えてLT日分)の累積の入庫予定量を意味する。
また、g)LT累積予測値は、リードタイム期間(翌日から数えてLT日分)の累積の需要予測値を意味する。
また、h)LT累積販売計画値は、リードタイム期間(翌日から数えてLT日分)の累積の販売計画値を意味する。
また、i)LT日後在庫(e+f-g-h)は、e)終了在庫+f)LT累積入庫予定−g)LT累積予測値−h)LT累積販売計画値を意味する。
また、l)発注判定(i-j-k)は、i)LT日後在庫(e+f-g-h)−j)安全在庫(現時点)−k)専用在庫(現時点)を意味する。
なお、a)開始在庫、b)入庫予定、c)需要予測、d)販売計画、e)終了在庫、j)安全在庫(現時点)、k)専用在庫(現時点)については図28において説明した通りであるため、重複の説明は省略する。
【0051】
この図表より明らかなように、10月06日の計画日においてリードタイムが7日に設定されたアイテムについて在庫推移シミュレーションを実行したところ、10月13日においてl)発注判定が「−155」となり、マイナスの値となるため、仕入計画支援サーバ14は10月13日を欠品発生日と認定すると共に、これより7日間遡った10月06日(計画日)を発注日と認定する。
すなわち、10月13日のLT日後在庫は545個でプラスの値であるが、ここから優先的に確保すべき安全在庫数及び専用在庫数を差し引くと「−155」となり、安全在庫や専用在庫を維持できなくなるため、納品リードタイムを考慮して10月06日を発注日としている。
【0052】
つぎに販売計画支援サーバ12は、商品マスタを参照して当該アイテムのロット単位数及び最小ロット数を取得し、これらを以下の式に代入して10月13日のl)発注判定がプラスとなるための最小限の発注量を算出する。
発注数量=ロット単位数×(最小ロット数+N)>不足分
但し、N≧0
上記の例では、10月13日に不足分が155個であるため、ロット単位数=50、最小ロット数=2の場合、N=2とすれば上記の式を満たすことになる。
すなわち、50×(2+2)=200となり、10月06日における発注量は200個となる。
【0053】
仕入計画支援サーバ14は、少なくとも1日1回、上記のシミュレーションを各アイテム毎に実行し、仕入計画を生成する。
これに対し調達部門の担当者は、PC端末24を介して仕入計画支援サーバ14に毎日アクセスして仕入計画をチェックし、適当なタイミングで仕入先に対する発注を行う。
なお、上記の在庫推移シミュレーションの課程で、リードタイム内での欠品が避けられないと判定した場合、仕入計画支援サーバ14は「将来欠品アラーム」を調達部員のPC端末24に出力し、注意を喚起する。
これを受けた調達部員は、仕入先に対して緊急調達を依頼する等の手段を講じる。
【0054】
調達部門においては、各商品のカテゴリ毎に担当者が決められており、PC端末24から仕入計画支援サーバ14にアクセスすると、当該担当者専用の設定画面が送信される。
これに対し各調達部員は、設定画面上で特定のアイテムを選択し、その在庫推移シミュレーションの実行をリクエストする。
つぎに調達部員は、画面上に表される在庫推移の折れ線グラフや図表を監視しながら、イレギュラー基準値や安全在庫下限値、安全在庫日数、販売計画投入基準等の設定値を加減し、その効果を視覚的に確認する。
そして、最適の値を見出した調達部員は、確定ボタンをクリックして設定値の保存をリクエストする。
これを受けた仕入計画支援サーバ14は、送信された設定値を該当のアイテムに関連付け、ファイルサーバ16を介して制御パラメータデータファイルに格納する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明に係る在庫管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】商品マスタの構成を示す説明図である。
【図3】出荷実績更新データの構成を示す説明図である。
【図4】在庫実績更新データの構成を示す説明図である。
【図5】入庫予定更新データの構成を示す説明図である。
【図6】イレギュラ出荷実績データの構成を示す説明図である。
【図7】出荷実績時系列(日次)データの構成を示す説明図である。
【図8】出荷実績時系列(週次)データの構成を示す説明図である。
【図9】在庫実績時系列データの構成を示す説明図である。
【図10】入庫予定時系列データの構成を示す説明図である。
【図11】制御パラメータデータの構成を示す説明図である。
【図12】予測値分割比率データの構成を示す説明図である。
【図13】販売計画時系列データの構成を示す説明図である。
【図14】需要予測時系列(週次)データの構成を示す説明図である。
【図15】解放在庫管理データの構成を示す説明図である。
【図16】ペナルティリストデータの構成を示す説明図である。
【図17】専用在庫時系列データの構成を示す説明図である。
【図18】解放在庫時系列データの構成を示す説明図である。
【図19】販売計画入力画面を示すレイアウト図である。
【図20】このシステムにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図21】このシステムにおける処理手順を示すフローチャートである。
【図22】イレギュラ出荷実績データを除去する処理のイメージを示す説明図である。
【図23】専用在庫時系列データ等の更新処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】専用在庫時系列データ等の更新処理の具体例を示す図表である。
【図25】解放在庫管理データ等の更新処理の手順を示す説明図である。
【図26】イレギュラ除去済の出荷実績データを生成する際の具体例を示す図表である。
【図27】解放在庫管理データを更新する際の具体例を示す図表である。
【図28】納品リードタイム内において欠品が生じるか否かを確認するための在庫推移シミュレーションの具体例を示す図表である。
【図29】在庫量の推移と欠品発生日及び発注日との関係を示す概念図である。
【図30】発注日を特定するための在庫推移シミュレーションの具体例を示す図表である。
【符号の説明】
【0056】
10 在庫管理システム
12 販売計画支援サーバ
14 仕入計画支援サーバ
16 ファイルサーバ
18 通信網
20 営業部員用PC端末
22 通信網
24 調達部員用PC端末
25 ハードディスク
26 販売計画入力画面
30 出荷実績更新データ
32 イレギュラ出荷実績データ
34 部門別アイテム別出荷実績データ
36 アイテム別出荷実績データ
38 販売計画データ
40 販売計画データ
42 販売計画追加分データ
42 販売計画の追加分データ
44 解放在庫管理データ
46 解放在庫時系列データ
50 確定ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各商品の納品リードタイムを設定しておく記憶手段と、
各商品のイレギュラ基準値を設定しておく記憶手段と、
各商品の出荷実績データを格納しておく出荷実績記憶手段と、
各商品の出荷実績データの中で、上記イレギュラ基準値を超えるものを格納しておくイレギュラ出荷実績記憶手段と、
各商品の入庫予定データを格納しておく入庫予定記憶手段と、
各商品の在庫実績データを格納しておく在庫実績記憶手段と、
各営業部門が投入した特定商品に係る特定期間における販売計画値を、当該営業部門に関連付けて格納しておく専用在庫記憶手段と、
各営業部門が上記の納品リードタイム内における販売計画値を下方修正した場合に、そのマイナス分の値を解放在庫として当該営業部門及び日付(解放日)に関連付けて格納しておく解放在庫記憶手段と、
各商品の過去の一定期間における出荷実績データの中で、予め設定されたイレギュラ基準値を超える出荷実績データを除去し、残りの出荷実績データの平均値で置き換える処理を実行するイレギュラ出荷除去手段と、
このイレギュラ除去済みの出荷実績データに基づいて、将来における所定期間毎の需要量を算出する需要予測手段と、
上記イレギュラ除去済みの出荷実績データと、過去の需要予測データとの誤差に基づいて、現時点における安全在庫量を算出する安全在庫算出手段と、
営業部門の端末装置から特定の商品に係る販売計画投入のリクエストが送信された場合に、上記イレギュラ基準値以下の販売計画投入基準値が記載された販売計画入力画面を生成し、当該端末に送信する手段と、
上記販売計画入力画面を通じて、将来の特定期間について販売計画投入基準値以上の販売計画値が入力された場合に、当該期間が現時点から起算して当該商品の納品リードタイム内であるか否かを判断する手段と、
納品リードタイム外である場合には、入力された販売計画値を上記の専用在庫記憶手段に格納する手段と、
納品リードタイム内である場合には、上記の在庫実績データ、入庫予定データ、需要予測値、販売計画値に基づき、納品リードタイムに含まれる日毎に終了在庫量を算出する手段と、
この終了在庫量が現時点における安全在庫量+専用在庫量よりも小さくなる欠品が、納品リードタイム内に発生するか否かを判定する手段と、
納品リードタイム内において上記の欠品が発生する場合には、当該販売計画値の投入を拒絶する旨のメッセージを上記端末装置に送信する手段と、
納品リードタイム内において上記欠品が発生しない場合には、当該販売計画値を上記の専用在庫記憶手段に格納する手段と、
上記販売計画入力画面を通じて、納品リードタイム内における販売計画値を下方修正する入力がなされた場合に、そのマイナス分の値を上記解放在庫記憶手段に格納する手段と、
このマイナス分の値を上記専用在庫記憶手段から減ずる手段と、
解放在庫記憶手段に登録された各商品の解放在庫データに対し、それぞれの解放日よりも後に生じた販売計画値及びイレギュラ除去済みの出荷実績データを充当させて解放日の早い順に消去する解放在庫更新手段と、
各営業部門に係るイレギュラ出荷実績データと専用在庫データとを比較し、専用在庫データとイレギュラ出荷データとの差を算出する手段と、
上記の算出結果がマイナスの値となった場合に、そのマイナス分の値を当該営業部門及び商品に関連付けてペナルティリストに登録する手段と、
を備えたことを特徴とする在庫管理管理システム。
【請求項2】
上記の在庫実績データ、入庫予定データ、需要予測値、販売計画値に基づき、将来における日次の終了在庫量を算出する手段と、
各商品の納品リードタイム内における累積入庫予定量、累積需要予測値、累積販売計画値を日次で算出する手段と、
上記日次の終了在庫量+累積入庫予定量−累積需要予測値−累積販売計画値を計算することにより、リードタイム後在庫量を日次で導く手段と、
上記のリードタイム後在庫量から現時点における安全在庫量及び専用在庫量を減じることにより、値がマイナスとなる欠品発生日を探知する手段と、
上記の欠品発生日からリードタイム分遡った日を発注日と認定し、当該発注日に少なくともマイナス分の値を関連付けた仕入計画値を生成する手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の在庫管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2007−140785(P2007−140785A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332016(P2005−332016)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】