在庫管理方法、在庫管理装置及び在庫管理システム
【課題】流体の在庫量を正確に把握することのできる在庫管理方法、在庫管理装置及び在庫管理システムを提供する。
【解決手段】在庫の変動の際に誤差を生じ易い流体の在庫を正確に把握するために、按分処理を履歴ファイルに基づいて自動実行し、その上で乖離率を求め、乖離率上限及び下限の範囲から逸脱していないか否かを検証し、逸脱していればアラームを表示部に表示する。このように装置を構成することにより、多数の品目に対して瞬時に適切な標準使用量の修正を実施することができる。
【解決手段】在庫の変動の際に誤差を生じ易い流体の在庫を正確に把握するために、按分処理を履歴ファイルに基づいて自動実行し、その上で乖離率を求め、乖離率上限及び下限の範囲から逸脱していないか否かを検証し、逸脱していればアラームを表示部に表示する。このように装置を構成することにより、多数の品目に対して瞬時に適切な標準使用量の修正を実施することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理方法、在庫管理装置及び在庫管理システムに関する。より詳細には、流体の在庫を正確に管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流通や生産の現場では、売上等の金銭面に関する情報の正確性を維持するため、商品や物品の在庫状況を正確に把握する必要がある。このため、正確な在庫量を取得して、在庫を管理する帳簿やデータベースに記されている在庫量のズレを修正する、棚卸が定期的に実施される。
これまで、棚卸は商品や物品の流通を一旦停止して実施していた。しかし、例えばコンビニエンスストア等に代表される24時間営業の商店や、消耗品を生産する生産現場では、その業態故に商品や物品の流通を停止することが難しい。そこで、在庫の増減状態を履歴としてデータベースに記録し、商品や物品の流通を止めずに棚卸を実施する技術(例えば特許文献1)が用いられている。
【0003】
特に生産現場では、在庫状況を把握する対象となる物品に、流体も含まれる。例えば、プリンタのトナーや液体インクが該当する。
流体の、固体の物品と異なる特徴は、在庫の把握が自然数ではなく「量」として扱われる点にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−328281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流体は、ドラム缶等に封入された状態で生産設備の貯蔵庫に供給され、貯蔵庫から所定の量ずつ生産に使用される。このとき、ドラム缶は構造的に内容物を一定量で貯蔵庫へ供給することを保証できる。重量を計測すればよいからである。しかし、貯蔵庫から流体を取り出す際にパイプ等を使用する場合、パイプは貯蔵庫から原材料を取り出す際、誤差を生じる。例えば流体がプリンタ用のトナーカートリッジである場合、トナーカートリッジは粉体である。粉体は、その中に空気が混じっているので、湿度の変動等で体積と実際の重量に変動を生じる。原材料を使用する際に変動を生じる、ということは、固体よりも棚卸の際に誤差が生じ易いことを意味する。棚卸の際に生じる変動を小さくするには、この標準使用量が変動することを把握し、変動が大きくならないように標準使用量を修正することが望まれる。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、流体の在庫量を正確に把握することのできる在庫管理方法、在庫管理装置及び在庫管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の在庫管理方法は、各レコードを一意に識別するためのユニークな情報であるレコード番号フィールドと、各品目を一意に識別する品番が格納される子品番フィールドと、子品番フィールドの品目が使用された結果として生成される成果物の品番である親品番フィールドと、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される増減量フィールドと、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別する在庫修正フラグフィールドとを有する履歴ファイルを、子品番フィールドに対して選択した所定の品番の品目について現在日時から直近の棚卸実施日時まで絞り込む履歴ファイル絞り込みステップと、子品番フィールドと、親品番フィールドと、子品番フィールドの品番の品目を按分対象とするか否かを示す按分対象フラグとを有する構成マスタを、履歴ファイル絞り込みステップで絞り込まれた履歴ファイルのレコードの子品番フィールドと親品番フィールドの値で検索して、構成マスタの按分対象フラグを参照し、履歴ファイルのレコードが按分対象であれば、レコード番号フィールドと、増減量フィールドの値が転記される減少量フィールドと、按分率フィールドとを有する配列変数にレコードのレコード番号フィールドの値と増減量フィールドの値を転記する配列変数転記ステップと、履歴ファイル絞り込みステップで絞り込まれた履歴ファイルのレコードの在庫修正フラグフィールドが棚卸の内容であることを示していれば増減量を読み出して棚卸修正量として保持する棚卸修正量保持ステップと、配列変数の全レコードの在庫減少量フィールドの値を合算し、配列変数の各レコードの按分率を算出して按分率フィールドに記入する按分率算出ステップと、配列変数の全レコードの按分率と棚卸修正量を乗算して各レコードの按分量を算出する按分量算出ステップと、配列変数のレコード番号フィールドの値が指し示す履歴ファイルの該当レコードの時点での在庫量である理論在庫を求め、理論在庫に按分量を加算した値である仮想現在庫で除算して乖離率を得る乖離率算出ステップと、乖離率が品目に設定されている乖離率範囲に含まれるか否かを判断し、乖離率範囲を超えている場合はアラームを設定するステップとを有する。
【0008】
在庫の変動の際に誤差を生じ易い流体の在庫を正確に把握するために、按分処理を履歴ファイルに基づいて自動実行し、その上で乖離率を求め、乖離率上限及び下限の範囲から逸脱していないか否かを検証し、逸脱していればアラームを表示部に表示する。このように装置を構成することにより、多数の品目に対して瞬時に適切な標準使用量の修正を実施することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、流体の在庫量を正確に把握することのできる在庫管理方法、在庫管理装置及び在庫管理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】在庫管理装置と、在庫管理装置が取り扱う事象を示す概略図である。
【図2】在庫管理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図3】在庫管理システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】在庫管理装置の表示部に表示される画面の遷移を示す状態遷移図である。
【図5】在庫管理装置が内蔵するテーブルのフィールドとサンプルレコードを示す図である。
【図6】按分処理にて在庫管理装置が内部で生成する配列変数の構成を示す図である。
【図7】按分処理を説明するための、在庫の変化を示すグラフのサンプルである。
【図8】棚卸処理を示すフローチャートである。
【図9】按分処理を示すフローチャートである。
【図10】按分処理を示すフローチャートである。
【図11】在庫照会・棚卸画面の一例を示す図である。
【図12】は按分数照会画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、在庫管理装置と、在庫管理装置が取り扱う事象を示す概略図である。
工場施設101では、様々な原材料が収蔵されている倉庫102から、必要な原材料103を出庫し、一旦貯蔵庫104に蓄積する。そして、生産設備105が原材料103を使用して、所定の物品106を製造する。
倉庫102に収蔵されている原材料103には、流体も含まれる。流体はドラム缶107に封入されており、出庫伝票108に従って出庫が行われる。
貯蔵庫104に蓄積されている原材料103は、製造指示伝票109に従って、パイプ110から弁111を操作することで生産設備105へ供給され、生産設備105によって使用される。
【0012】
ドラム缶107は、構造的に内容物を一定量で貯蔵庫104へ供給することを保証できる。重量を計測すればよいからである。しかし、パイプ110と弁111は貯蔵庫104から原材料103を取り出す際、誤差を生じる。例えば原材料103がトナーカートリッジである場合、トナーカートリッジは粉体である。粉体は、その中に空気が混じっているので、湿度の変動等で体積と実際の重量に変動を生じる。原材料103を使用する際に変動を生じる、ということは、固体よりも棚卸の際に誤差が生じ易いことを意味する。
一般的に、製造現場で流体を使用する際には、誤差を生じ難くするために、使用量を予め定めた単位量で区切って使用する。これ以降、この単位量のことを「標準使用量」と呼ぶ。棚卸の際に生じる変動を小さくするには、この標準使用量が変動することを把握し、変動が大きくならないように標準使用量を修正することが望まれる。
本実施形態の在庫管理装置112は、出庫伝票108と、製造指示伝票109と、目視等による棚卸の、これら事象のデータを入力し、逐一記録すると共に、標準使用量を修正する目安を算出し、必要に応じてアラームを表示する。
【0013】
図2は、在庫管理装置112のソフトウェア構成を示すブロック図である。在庫管理装置112自体は、情報処理装置としての観点から見ると、周知の一般的なコンピュータである。バスにCPU、ROM、RAM、不揮発性ストレージであるハードディスク装置(以下「HDD」と略)の他、ディスプレイとキーボードやマウス等が接続されている。図2は、コンピュータに在庫管理装置112の機能を提供するプログラムを読み込ませて実行した結果、コンピュータ上に実現されるソフトウェアの機能を示す。
【0014】
入出力制御部202は、初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207を選択的に切り替えて、表示制御部208と操作部209とを接続する切替スイッチの役目を担う。
ディスプレイである表示部210は、入出力制御部202と表示制御部208を通じて、初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207が生成する表示画面情報のうちの一つを、選択的に表示する。
キーボードやマウス等の操作部209は、入出力制御部202を通じて、初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207が生成する表示画面情報のうちの一つに対し、選択的に操作情報を与える。
初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207は、必要に応じて、伝票ファイル211、在庫ファイル212、品目マスタ213、確定日マスタ214、履歴ファイル215、そして構成マスタ216からデータを読み出し、また書き込む。
【0015】
在庫管理装置112はスタンドアロンのコンピュータ(パソコン)で実現できるが、webサーバと端末で構成することもできる。
図3は、在庫管理システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。図3中、図2の在庫管理装置112と同等の機能ブロックは同じ番号を付している。
在庫管理システム301を構成するクライアント302とwebサーバ303は、ネットワーク304で接続されている。図2の点線で示される境界線を境に、左側をクライアント302として分離し、右側をwebサーバ303として分離し、webサーバプログラム305を介してクライアント302の入出力制御部306と接続する。
このようにシステムを構成しても、在庫管理装置112と同等の機能が実現できる。
また、図3の在庫管理システム301を単一のパソコンに収めて、在庫管理装置112を実現することもできる。
これ以降は、図2の在庫管理装置112を対象に説明するが、以上の説明で明らかなように、図3の在庫管理システム301でも同等の機能が提供できる。
【0016】
図3において、webサーバプログラム305は、操作部209から入出力制御部306を通じて入力される操作情報に基づいて、初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207のうちの一つを選択的に実行する。そして、その実行結果である表示画面情報を、入出力制御部306を通じて表示制御部208に送信する。
したがって、図2の入出力制御部202は、図3の入出力制御部306とwebサーバプログラム305の機能が一体化したものと解することができる。
【0017】
図4は、在庫管理装置112の表示部210に表示される画面の遷移を示す状態遷移図である。
在庫管理装置112を起動すると、最初に初期メニュー画面作成部203が作動して初期メニュー画面が表示部210に表示される(初期メニュー画面表示状態S401)。操作部209を操作して、表示部210に表示される選択項目を選択することで、在庫照会・棚卸画面と伝票入力画面のいずれかを表示部210に表示することができる。
【0018】
初期メニュー画面に表示されている選択項目の「伝票入力」を選択すると、伝票入力画面作成部204が作動して伝票入力画面が表示部210に表示される(伝票入力画面表示状態S402)。伝票に記載されている様々な項目を入力する画面である。伝票入力画面の詳細は省略する。
【0019】
初期メニュー画面に表示されている選択項目の「在庫照会・棚卸」を選択すると、在庫照会・棚卸画面作成部205が作動して在庫照会・棚卸画面が表示部210に表示される(在庫照会・棚卸画面表示状態S403)。表示部210には品目毎の在庫状況が表形式で表示される。在庫照会・棚卸画面の詳細は図11にて後述する。
【0020】
在庫照会・棚卸画面に表示されている品目のうち、任意の一つの品目を選択すると、品目詳細画面作成部206が作動して品目詳細画面が表示部210に表示される(品目詳細画面表示状態S404)。表示部210には選択した品目の詳細な在庫状況と、棚卸で判明した現在の正確な在庫(以下「現在庫」)の入力欄が表示される。この在庫照会・棚卸画面で、現在庫を入力する。品目詳細画面の詳細は省略する。
【0021】
品目詳細画面が表示されている状態で、所定のボタンを押すと、按分数照会画面作成部207が作動して按分数照会画面が表示部210に表示される(按分数照会画面表示状態S405)。表示部210には選択した品目の増減履歴と、按分の結果が表形式で表示される。按分数照会画面の詳細は図12にて後述する。
【0022】
図5は、在庫管理装置112が内蔵するテーブルのフィールドとサンプルレコードを示す図である。
在庫ファイル212は、品目毎に現在の理論上の在庫(以下「理論在庫」)が記録される。理論在庫とは、直前の現在庫から伝票による増減を経た結果の在庫数量である。棚卸を実施すると、理論在庫と現在庫が一致する。
「品番」フィールドは、各品目を一意に識別するコード(品番)が格納される。品番は英数文字を使用するのが望ましい。
「在庫量」フィールドは、理論在庫が記録される。
在庫ファイル212はその性質上、伝票と棚卸によって常時内容が変動するが、レコード数は殆ど増減しない。
【0023】
品目マスタ213は、各品目の詳細な情報が記述される、変更される機会の少ないマスタテーブルである。
「品番」フィールドは、在庫ファイル212のそれと等しい。
「品目名」フィールドは、品番に該当する品目の名称(品目名)が格納される。
「乖離率上限」フィールドは、当該品目が流体である場合に、按分を実施した後、理論在庫と現在庫との乖離率を求め、その乖離率の許される上限(乖離率上限)が格納される。
「乖離率下限」フィールドは、当該品目が流体である場合に、按分を実施した後、理論在庫と現在庫との乖離率を求め、その乖離率の許される下限(乖離率上限)が格納される。
「乖離率管理フラグ」フィールドは、当該品目が流体である場合に、乖離率の管理を行うか否かを示すフラグが格納される。
品目マスタ213に記録される品目が固体である場合は、乖離率を管理する必要がないので、「乖離率上限」フィールドと「乖離率下限」フィールドは空欄であり、「乖離率管理フラグ」フィールドには「管理しない」ことを示すフラグが格納される。
【0024】
品目マスタ213に記録される品目が流体である場合は、使用の際に使用量を正確に把握できるか否かで分かれる。固体と同様に正確な使用量を把握できる場合は、固体と同様に乖離率を管理する必要がないが、そうでない場合は「乖離率上限」フィールドと「乖離率下限」フィールドには適切な数値が格納され、「乖離率管理フラグ」フィールドには「管理する」ことを示すフラグが格納される。
【0025】
伝票ファイル211は、出庫伝票108や製造指示伝票109の諸項目が記録される。
「品番」フィールドは、在庫ファイル212及び品目マスタ213のそれと等しい。
「増減量」フィールドは、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される。
「伝票日付」フィールドは、伝票に記録されている日付が記録される。
以上の項目以外にも多数の項目が存在するが、詳細は省略する。
伝票ファイル211はその性質上、伝票の増加に伴ってレコード数が増加する。
【0026】
確定日マスタ214は、品目毎に直前の棚卸を実施した日が記録される。
「品番」フィールドは、在庫ファイル212、品目マスタ213及び伝票ファイル211のそれと等しい。
「確定日」フィールドは、棚卸を実施した日が格納される。
確定日マスタ214はその性質上、「確定日」フィールドの値は更新されるものの、レコード数は殆ど増減しない。
【0027】
履歴ファイル215は、品目毎に出庫伝票108や製造指示伝票109によって増減した履歴情報が記録される。
「レコード番号」フィールドは、レコードを一意に識別するためのユニークな番号であり、新たなレコードが生成される度に直前のレコード番号の最大値から1増加した値が記録される。勿論、一意性を担保できるなら、数値だけでなく、アルファベットも含めても良い。
「子品番」フィールドは、在庫ファイル212、品目マスタ213及び伝票ファイル211の「品番」フィールドと等しい。
「親品番」フィールドは、「子品番」フィールドの品目が使用された結果として生成される製品(成果物)の品番である。
「増減量」フィールドと、「伝票日付」フィールドは、伝票ファイル211のそれと等しい。つまり、伝票ファイル211で伝票の入力が完遂すると、伝票ファイル211に1レコードが追記されると共に、「増減量」フィールドと「伝票日付」フィールドの値がこの履歴ファイル215に転記される。
「登録日時」フィールドは、当該レコードが履歴ファイル215に追記された時点の日時が格納される。
「在庫修正フラグ」フィールドは、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別するためのフラグフィールドである。このフィールドが論理の「真(YES)」である場合は、当該レコードは棚卸の結果、理論在庫から現在庫に修正するために増減した値が格納されていることを示す。
履歴ファイル215はその性質上、伝票の増加と棚卸に伴ってレコード数が増加する。
【0028】
構成マスタ216は、親の品目(製品)と子の品目(原材料103)との関係を示すマスタテーブルである。
「子品番」フィールドと「親品番」フィールドは、履歴ファイル215のそれと等しい。
「按分対象フラグ」フィールドは、この親品番の品目に当該子品番の品目が使用された場合に、按分の対象とするか否かを示すフラグフィールドである。
「標準使用量」フィールドは、この親品番の品目に当該子品番の品目が使用された場合に、親の品目の重量に対する子の品目の重量を示す割合である。
構成マスタ216はその性質上、品目マスタ213と同様に変更される機会が少ない。
【0029】
図6は、後述する按分処理にて在庫管理装置112が内部で生成する配列変数601の構成を示す図である。
配列変数601は、品目詳細画面作成部206が後述する按分処理を実施する際に、図示しないRAM上に一時的に生成するテーブルである。
「レコード番号」フィールドは、履歴ファイル215のそれと等しい。
「減少量」フィールドは、履歴ファイル215の「増減量」フィールドの値と等しい。つまり、按分処理を実行する際、履歴ファイル215の所定のレコードから、レコード番号と増減量が転記される。「増減量」とせずに「減少量」と名称を異にしたのは、按分処理が在庫量が減少した際にのみ発生することに因る。
「按分率」フィールドは、按分処理の結果算出した、按分量を当該レコードに分配する割合の値(按分率)が格納される。按分率は、配列変数601の全レコードの「減少量」フィールドの合計値で、各レコードの「減少量」フィールドの値を割った値である。したがって、配列変数601の全てのレコードの「按分率」フィールドの値を合計すると、「1」になる。
【0030】
図7は、按分処理を説明するための、在庫の変化を示すグラフのサンプルである。
図7では、品目Aの在庫の変化を記したグラフであるとする。
今、時点t5で品目Aの棚卸を実施して、この時点が現在であるとする。
時点t0は、直前の棚卸の時点である。
時点t1は、ある製品を製造するために、品目Aを数量x1だけ使用したことを示す。
時点t2は、ある製品を製造するために、品目Aを数量x2だけ使用したことを示す。
時点t3は、補充するために、品目Aを数量x3だけ出庫したことを示す。
時点t4は、ある製品を製造するために、品目Aを数量x4だけ使用したことを示す。
時点t5は、棚卸を実施した結果、品目Aの理論在庫を現在庫に合わせ込むため、数量x5のズレ修正を実施したことを示す。
【0031】
上述の在庫の変化の内、時点t1、t2そしてt4が、品目Aの在庫が減少した時点である。しかし、親品目によっては按分処理の対象外である場合もある。これを区別するのが、構成マスタ216の「按分対象フラグ」フィールドである。
【0032】
今、時点t1とt4において、品目Aを使用した親の品目に関し、「按分対象フラグ」が真であるとする。
按分対象の総使用量は、x1+x4である。
時点t1の按分率は、x1/(x1+x4)であり、時点t4の按分率は、x4/(x1+x4)である。
時点t1の按分量は、x5・x1/(x1+x4)であり、時点t4の按分量は、x5・x4/(x1+x4)である。
時点t5の理論在庫はズレ修正が行われて現在庫と一致している。そこで、時点t5の理論在庫をXnとすると、時点t4の理論在庫Xt4は、Xt4=Xn−x5である。この理論在庫Xt4に対し、按分量x5・x4/(x1+x4)が加算される。これが按分である。以下同様に:
時刻t3の理論在庫Xt3=Xt4+x4=Xn−x5+x4
時刻t2の理論在庫Xt2=Xt3−x3=Xn−x5+x4−x3
時刻t1の理論在庫Xt1=Xt2+x2=Xn−x5+x4−x3+x2
時刻t0の理論在庫Xt0=Xt1+x1=Xn−x5+x4−x3+x2+x1
そして、時刻t1の理論在庫Xt1に対し、按分量x1・x4/(x1+x4)が加算される。
【0033】
時点t4の理論在庫Xt4に対し、按分処理を行った在庫量(以下「仮想現在庫」)をXn4とする。仮想現在庫Xn4に対し、理論在庫Xt4がどれだけかけ離れているかの割合が、乖離率である。乖離率D=(Xt4/Xn4)−1=((Xn−x5)/(Xn−x5+x5・x4/(x1+x4)))−1となる。
このようにして算出した乖離率Dは、品目マスタ213に記録されている乖離率上限及び乖離率下限の値の範囲内にあるか否かが検証される。検証の結果、乖離率の許容範囲から外れていれば、在庫照会・棚卸画面において該当する品目を他の品目とは異なる色で表示する。
【0034】
図8は棚卸処理を示すフローチャートである。
初期メニュー画面に表示されている選択項目の「在庫照会・棚卸」を選択すると(S801)、在庫照会・棚卸画面作成部205が作動して在庫照会・棚卸画面が表示部210に表示される(S802)。使用者は操作部209を操作して、表示部210に表示されているボタンのうち、一つを選択する(S803)。
使用者によって選択されたボタンが、在庫照会・棚卸画面の表示範囲を変更した再表示の指示であれば(S804のYES)、再び在庫照会・棚卸画面作成部205が作動して、異なる表示範囲で在庫照会・棚卸画面が表示部210に表示される(S802)。
使用者によって選択されたボタンが、在庫照会・棚卸画面の表示範囲を変更した再表示の指示でない場合(S804のNO)、当該ボタンは品目を指定した棚卸の指示でなければ(S805のNO)、それは初期メニュー画面へ復帰する指示であるので、入出力制御部202は初期メニュー画面作成部203を起動して一連の処理を終了する(S806)。
【0035】
使用者によって選択されたボタンが、在庫照会・棚卸画面の表示範囲を変更した再表示の指示でない場合(S804のNO)、当該ボタンは品目を指定した棚卸の指示であれば(S805のYES)、それは品目詳細画面へ遷移する指示であるので、入出力制御部202は品目詳細画面作成部206を起動する(S807)。使用者は、操作部209を操作して、表示部210に表示されている現在庫の入力欄に現在庫を入力する(S808)。すると、品目詳細画面作成部206によって按分処理が実行された(S809)後、再び在庫照会・棚卸画面作成部205が作動して、異なる表示範囲で在庫照会・棚卸画面が表示部210に表示される(S802)。
【0036】
図9及び図10は、按分処理を示すフローチャートである。図8のステップS809の内容を示す。
処理を開始すると(図9のS901)、品目詳細画面作成部206は図示しないリアルタイムクロックから現在日時を取得する(S902)。次に、品目詳細画面作成部206は確定日マスタ214を見て、処理対象となる品目の確定日を取得する(S903)。そして、品目詳細画面作成部206は確定日と品目を検索のキーとして、履歴ファイル215を絞り込む(S904)。このステップS904の処理で絞り込んだ結果の、履歴ファイル215のレコードは、入力された時点の順に並んでいるものとする。そこで、品目詳細画面作成部206は、参照ポインタを絞り込んだ履歴ファイル215のレコードのうちの最新のレコードに移動する(S905)。
【0037】
ステップS902は、直前に実行された図8のステップS808で、現在庫を入力した直後に実行される。つまり、ステップS902でリアルタイムクロックから取得される日時情報は、ステップS808で正確な現在庫を入力して、履歴ファイル215に修正レコードが追記された瞬間の日時情報である。ステップS904では、履歴ファイルのレコードを、直近の確定日(ステップS903で取得)から棚卸を実行した現時点までの範囲に絞り込む。
確定日マスタ214の「確定日」フィールドには、確定日、つまり日付のデータしか格納されておらず、時刻情報が含まれていない。しかし、履歴ファイルの在庫修正フラグを見ることで、容易に該当する日付の棚卸が実施されたレコードを特定できる。特定したレコードの登録日時を取得して、その登録日時以降のレコードが絞込みの対象となる。
本実施形態は在庫管理装置、すなわちシングルユーザの対話型データベース管理装置を説明しているが、これがマルチユーザの在庫管理システムであっても、同様である。目視にて現在庫を把握した後、クライアント302から現在庫をwebサーバ303に入力するまでの間に、現在庫の変動さえ起きなければ、現在庫の正確性が担保できる。
【0038】
これ以降はループ処理である。
品目詳細画面作成部206は、参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードの「在庫修正フラグ」フィールドを見て、在庫修正フラグが論理の真であるか否か確認する(S906)。当該レコードが修正を示すレコードであるなら(S906のYES)、「増減量」フィールドにはズレの修正量が記録されているので、この修正量を図示しないRAM内に設けた変数に保持した(S907)後、参照ポインタの位置を1レコード後退させる(S908)。
【0039】
ステップS906で、当該レコードの在庫修正フラグが論理の偽であるなら(S906のNO)、品目詳細画面作成部206は次に「増減量」フィールドの値が正の値か負の値かを確認する(S909)。正の値であれば、それは出庫によって在庫量が増加したことを示すので(S909のYES)、按分処理の対象外のレコードである。よって、何もせずに参照ポインタの位置を1レコード後退させる(S908)。
【0040】
ステップS909で、「増減量」フィールドの値が負の値であれば、それは使用によって在庫量が減少したことを示す(S909のNO)。そこで、品目詳細画面作成部206は次に、参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードの「親品番」フィールドと「子品番」フィールドの値で、構成マスタ216を検索し、ヒットしたレコードの「按分対象フラグ」フィールドの値を見る(S910)。
【0041】
ステップS910で、按分対象フラグが論理の真であるなら(S910のYES)、参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードは按分対象である。そこで、品目詳細画面作成部206は配列変数601に、当該レコードの「増減量」フィールドの値と、「レコード番号」フィールドの値を転記して、1レコード追記した(S911)後、参照ポインタの位置を1レコード後退させる(S908)。
【0042】
ステップS910で、按分対象フラグが論理の偽であるなら(S910のNO)、参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードは按分対象外である。よって、品目詳細画面作成部206は何もせずに参照ポインタの位置を1レコード後退させる(S908)。
【0043】
ステップS908の1レコード後退処理の後、品目詳細画面作成部206は現在の参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードが存在するのか否かを確認する(S912)。まだレコードが存在するなら(S912のNO)、再度ステップS906から処理を繰り返す。
【0044】
ステップS912で、現在の参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードが存在しないなら(S912のYES)、履歴ファイル215の参照処理は終了したので、次に配列変数601を操作する処理に移行する(図9の「A」マークから図10の「A」マークへ)。
最初に、品目詳細画面作成部206は配列変数601の各レコードの「減少量」フィールドの総和を求め、レコード毎の「減少量」フィールドをこの総和で割り、按分率を算出し、各レコードの「按分率」フィールドに書き込む(図10のS1013)。
次に、品目詳細画面作成部206は参照ポインタを配列変数601の最初のレコードに移動する(S1014)。
【0045】
これ以降はループ処理である。
品目詳細画面作成部206は、参照ポインタが指し示す配列変数601のレコードの「按分率」フィールドの値と、図9のステップS907で取得して保持した修正量を乗算し、按分量を算出する(S1015)。
次に品目詳細画面作成部206は、参照ポインタが指し示す配列変数601のレコードの「レコード番号」フィールドの値で履歴ファイル215を再度検索し、当該レコードの理論在庫と仮想現在庫を算出して、乖離率を計算する。そして、品目詳細画面作成部206は、この乖離率が、品目マスタ213の「乖離率上限」フィールドの値と「乖離率下限」フィールドの値で規定される乖離率範囲の中に含まれているかを確認する(S1016)。
【0046】
ステップS1016にて算出した乖離率が、品目マスタ213上で予め定められた乖離率範囲に含まれているのならば(S1016のYES)、品目詳細画面作成部206は参照ポインタを配列変数601の次のレコードに移動させて(S1017)、まだレコードが存在するか否か確認する(S1018)。まだレコードが存在するなら(S1018のNO)、再度ステップS1015から繰り返す。レコードが存在しないなら(S1018のYES)、処理を終了する(S1019)。
【0047】
ステップS1016にて算出した乖離率が、品目マスタ213上で予め定められた乖離率範囲から外れているのならば(S1016のNO)、品目詳細画面作成部206は当該品目についてアラームフラグを設定し、図示しないRAMに保持して(S1020)、処理を終了する(S1019)。
【0048】
図11は在庫照会・棚卸画面の一例を示す図である。テーブル形式で表示される。
「品番」項目は、在庫ファイル212、品目マスタ213、伝票ファイル211及び履歴ファイル215の「品番」フィールドと等しい。
「品名」項目は、品目マスタ213の「品目名」フィールドと等しい。
「現在庫」項目は、在庫ファイル212の「在庫量」フィールドと等しい。したがって、「品番」項目と「現在庫」項目の組み合わせは、在庫ファイル212のレコードそのものである。
「乖離率」項目は、図10のステップS1016で算出された値である。
【0049】
「品番」項目及び「品名」項目は、マウス等のポインティングデバイスでクリックすることが可能である。複数表示されているこれら項目の内の一つをクリックすると、選択された品番の品目の品目詳細画面が表示部に表示され、当該品目について棚卸を実行できる(修正した現在庫を入力して登録する)。棚卸の結果、図9及び図10の按分処理が実行され、ステップS1020のアラームフラグが立つと、表示画面が在庫照会・棚卸画面に戻った際、当該品目の「乖離率」の数値の表示色が変化する。算出した乖離率が「乖離率下限」フィールドの値よりも下回っていた場合は、乖離率の欄内の数値が赤色で表示され、算出した乖離率が「乖離率上限」フィールドの値よりも上回っていた場合は、乖離率の欄内の数値が青色で表示される。
【0050】
図12(a)、(b)及び(c)は按分数照会画面の一例を示す図である。
図12(a)は表示部210に表示される按分数照会画面の全体を示す図である。
図12(b)及び(c)は、按分数照会画面を拡大表示した図である。按分数照会画面は在庫照会・棚卸画面と同様にテーブル形式であるが、表示される項目数が多いために横方向に長いので、図12(b)と(c)で分けて表している。つまり、図12(b)の右端に、図12(c)の左端が続く。
【0051】
「品目」欄は、表示している品目の品番を表示する欄である。
「増減日」項目及び「時刻」項目は、在庫量の修正を行った日時である。
「修正量」項目は、その修正で増減された量量である。
「修正後在庫」項目は、修正後の在庫量である。
「親品目」項目は、現在表示中の品目を使用して生産した品目(親品目)を指す。
「製造日」項目及び「時刻」項目は、親品目を生産した日時である。
「親出来高量」項目は、親品目を生産した量である。
「使用量」項目は、親品目を生産するために使用したときに、貯蔵庫から引き落とされた、現在表示中の品目の使用量である。具体的には、親出来高量×構成マスタの標準使用量で求められる。
「標準使用量」項目は、
「按分対象」項目は、構成マスタの「按分対象フラグ」フィールドの値である。
「按分量」項目は、按分計算される各使用量÷按分対象の使用量合計×修正量である。
「按分後使用量」項目は、按分量を考慮した使用量である。
「按分後標準使用量」項目は、按分量を考慮した標準使用量である。
【0052】
図11の在庫照会・棚卸画面にてアラームが表示された品目は、標準使用量を修正する必要が生じる。その修正すべき値を按分数照会画面作成部207で演算し、図12の「按分後標準使用量」項目で表示する。実際に標準使用量を修正する際には、別途、汎用のデータベースマネージャプログラム等を用いて、品目マスタを直接手作業で修正することとなる。
【0053】
本実施形態は以下の応用例が考えられる。
(1)上述の実施形態に係る在庫管理装置は、処理済みの伝票に基づいて、あくまでも過去分の棚卸を実施するときにアラーム表示を行ったが、実施予定の生産計画を示す製造指示伝票に基づいて按分処理を実施することもできる。
【0054】
本実施形態では在庫管理装置を開示した。
在庫の変動の際に誤差を生じ易い流体の在庫を正確に把握するために、按分処理を履歴ファイルに基づいて自動実行し、その上で乖離率を求め、乖離率上限及び下限の範囲から逸脱していないか否かを検証し、逸脱していればアラームを表示部に表示する。このように装置を構成することにより、多数の品目に対して瞬時に適切な標準使用量の修正を実施することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【符号の説明】
【0056】
101…工場施設、102…倉庫、103…原材料、104…貯蔵庫、105…生産設備、106…物品、107…ドラム缶、108…出庫伝票、109…製造指示伝票、110…パイプ、111…弁、112…在庫管理装置、202…入出力制御部、203…初期メニュー画面作成部、204…伝票入力画面作成部、205…在庫照会・棚卸画面作成部、206…品目詳細画面作成部、207…按分数照会画面作成部、208…表示制御部、209…操作部、210…表示部、211…伝票ファイル、212…在庫ファイル、213…品目マスタ、214…確定日マスタ、215…履歴ファイル、216…構成マスタ、301…在庫管理システム、302…クライアント、303…webサーバ、304…ネットワーク、305…webサーバプログラム、306…入出力制御部、601…配列変数
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理方法、在庫管理装置及び在庫管理システムに関する。より詳細には、流体の在庫を正確に管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流通や生産の現場では、売上等の金銭面に関する情報の正確性を維持するため、商品や物品の在庫状況を正確に把握する必要がある。このため、正確な在庫量を取得して、在庫を管理する帳簿やデータベースに記されている在庫量のズレを修正する、棚卸が定期的に実施される。
これまで、棚卸は商品や物品の流通を一旦停止して実施していた。しかし、例えばコンビニエンスストア等に代表される24時間営業の商店や、消耗品を生産する生産現場では、その業態故に商品や物品の流通を停止することが難しい。そこで、在庫の増減状態を履歴としてデータベースに記録し、商品や物品の流通を止めずに棚卸を実施する技術(例えば特許文献1)が用いられている。
【0003】
特に生産現場では、在庫状況を把握する対象となる物品に、流体も含まれる。例えば、プリンタのトナーや液体インクが該当する。
流体の、固体の物品と異なる特徴は、在庫の把握が自然数ではなく「量」として扱われる点にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−328281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流体は、ドラム缶等に封入された状態で生産設備の貯蔵庫に供給され、貯蔵庫から所定の量ずつ生産に使用される。このとき、ドラム缶は構造的に内容物を一定量で貯蔵庫へ供給することを保証できる。重量を計測すればよいからである。しかし、貯蔵庫から流体を取り出す際にパイプ等を使用する場合、パイプは貯蔵庫から原材料を取り出す際、誤差を生じる。例えば流体がプリンタ用のトナーカートリッジである場合、トナーカートリッジは粉体である。粉体は、その中に空気が混じっているので、湿度の変動等で体積と実際の重量に変動を生じる。原材料を使用する際に変動を生じる、ということは、固体よりも棚卸の際に誤差が生じ易いことを意味する。棚卸の際に生じる変動を小さくするには、この標準使用量が変動することを把握し、変動が大きくならないように標準使用量を修正することが望まれる。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、流体の在庫量を正確に把握することのできる在庫管理方法、在庫管理装置及び在庫管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の在庫管理方法は、各レコードを一意に識別するためのユニークな情報であるレコード番号フィールドと、各品目を一意に識別する品番が格納される子品番フィールドと、子品番フィールドの品目が使用された結果として生成される成果物の品番である親品番フィールドと、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される増減量フィールドと、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別する在庫修正フラグフィールドとを有する履歴ファイルを、子品番フィールドに対して選択した所定の品番の品目について現在日時から直近の棚卸実施日時まで絞り込む履歴ファイル絞り込みステップと、子品番フィールドと、親品番フィールドと、子品番フィールドの品番の品目を按分対象とするか否かを示す按分対象フラグとを有する構成マスタを、履歴ファイル絞り込みステップで絞り込まれた履歴ファイルのレコードの子品番フィールドと親品番フィールドの値で検索して、構成マスタの按分対象フラグを参照し、履歴ファイルのレコードが按分対象であれば、レコード番号フィールドと、増減量フィールドの値が転記される減少量フィールドと、按分率フィールドとを有する配列変数にレコードのレコード番号フィールドの値と増減量フィールドの値を転記する配列変数転記ステップと、履歴ファイル絞り込みステップで絞り込まれた履歴ファイルのレコードの在庫修正フラグフィールドが棚卸の内容であることを示していれば増減量を読み出して棚卸修正量として保持する棚卸修正量保持ステップと、配列変数の全レコードの在庫減少量フィールドの値を合算し、配列変数の各レコードの按分率を算出して按分率フィールドに記入する按分率算出ステップと、配列変数の全レコードの按分率と棚卸修正量を乗算して各レコードの按分量を算出する按分量算出ステップと、配列変数のレコード番号フィールドの値が指し示す履歴ファイルの該当レコードの時点での在庫量である理論在庫を求め、理論在庫に按分量を加算した値である仮想現在庫で除算して乖離率を得る乖離率算出ステップと、乖離率が品目に設定されている乖離率範囲に含まれるか否かを判断し、乖離率範囲を超えている場合はアラームを設定するステップとを有する。
【0008】
在庫の変動の際に誤差を生じ易い流体の在庫を正確に把握するために、按分処理を履歴ファイルに基づいて自動実行し、その上で乖離率を求め、乖離率上限及び下限の範囲から逸脱していないか否かを検証し、逸脱していればアラームを表示部に表示する。このように装置を構成することにより、多数の品目に対して瞬時に適切な標準使用量の修正を実施することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、流体の在庫量を正確に把握することのできる在庫管理方法、在庫管理装置及び在庫管理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】在庫管理装置と、在庫管理装置が取り扱う事象を示す概略図である。
【図2】在庫管理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図3】在庫管理システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】在庫管理装置の表示部に表示される画面の遷移を示す状態遷移図である。
【図5】在庫管理装置が内蔵するテーブルのフィールドとサンプルレコードを示す図である。
【図6】按分処理にて在庫管理装置が内部で生成する配列変数の構成を示す図である。
【図7】按分処理を説明するための、在庫の変化を示すグラフのサンプルである。
【図8】棚卸処理を示すフローチャートである。
【図9】按分処理を示すフローチャートである。
【図10】按分処理を示すフローチャートである。
【図11】在庫照会・棚卸画面の一例を示す図である。
【図12】は按分数照会画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、在庫管理装置と、在庫管理装置が取り扱う事象を示す概略図である。
工場施設101では、様々な原材料が収蔵されている倉庫102から、必要な原材料103を出庫し、一旦貯蔵庫104に蓄積する。そして、生産設備105が原材料103を使用して、所定の物品106を製造する。
倉庫102に収蔵されている原材料103には、流体も含まれる。流体はドラム缶107に封入されており、出庫伝票108に従って出庫が行われる。
貯蔵庫104に蓄積されている原材料103は、製造指示伝票109に従って、パイプ110から弁111を操作することで生産設備105へ供給され、生産設備105によって使用される。
【0012】
ドラム缶107は、構造的に内容物を一定量で貯蔵庫104へ供給することを保証できる。重量を計測すればよいからである。しかし、パイプ110と弁111は貯蔵庫104から原材料103を取り出す際、誤差を生じる。例えば原材料103がトナーカートリッジである場合、トナーカートリッジは粉体である。粉体は、その中に空気が混じっているので、湿度の変動等で体積と実際の重量に変動を生じる。原材料103を使用する際に変動を生じる、ということは、固体よりも棚卸の際に誤差が生じ易いことを意味する。
一般的に、製造現場で流体を使用する際には、誤差を生じ難くするために、使用量を予め定めた単位量で区切って使用する。これ以降、この単位量のことを「標準使用量」と呼ぶ。棚卸の際に生じる変動を小さくするには、この標準使用量が変動することを把握し、変動が大きくならないように標準使用量を修正することが望まれる。
本実施形態の在庫管理装置112は、出庫伝票108と、製造指示伝票109と、目視等による棚卸の、これら事象のデータを入力し、逐一記録すると共に、標準使用量を修正する目安を算出し、必要に応じてアラームを表示する。
【0013】
図2は、在庫管理装置112のソフトウェア構成を示すブロック図である。在庫管理装置112自体は、情報処理装置としての観点から見ると、周知の一般的なコンピュータである。バスにCPU、ROM、RAM、不揮発性ストレージであるハードディスク装置(以下「HDD」と略)の他、ディスプレイとキーボードやマウス等が接続されている。図2は、コンピュータに在庫管理装置112の機能を提供するプログラムを読み込ませて実行した結果、コンピュータ上に実現されるソフトウェアの機能を示す。
【0014】
入出力制御部202は、初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207を選択的に切り替えて、表示制御部208と操作部209とを接続する切替スイッチの役目を担う。
ディスプレイである表示部210は、入出力制御部202と表示制御部208を通じて、初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207が生成する表示画面情報のうちの一つを、選択的に表示する。
キーボードやマウス等の操作部209は、入出力制御部202を通じて、初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207が生成する表示画面情報のうちの一つに対し、選択的に操作情報を与える。
初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207は、必要に応じて、伝票ファイル211、在庫ファイル212、品目マスタ213、確定日マスタ214、履歴ファイル215、そして構成マスタ216からデータを読み出し、また書き込む。
【0015】
在庫管理装置112はスタンドアロンのコンピュータ(パソコン)で実現できるが、webサーバと端末で構成することもできる。
図3は、在庫管理システムのソフトウェア構成を示すブロック図である。図3中、図2の在庫管理装置112と同等の機能ブロックは同じ番号を付している。
在庫管理システム301を構成するクライアント302とwebサーバ303は、ネットワーク304で接続されている。図2の点線で示される境界線を境に、左側をクライアント302として分離し、右側をwebサーバ303として分離し、webサーバプログラム305を介してクライアント302の入出力制御部306と接続する。
このようにシステムを構成しても、在庫管理装置112と同等の機能が実現できる。
また、図3の在庫管理システム301を単一のパソコンに収めて、在庫管理装置112を実現することもできる。
これ以降は、図2の在庫管理装置112を対象に説明するが、以上の説明で明らかなように、図3の在庫管理システム301でも同等の機能が提供できる。
【0016】
図3において、webサーバプログラム305は、操作部209から入出力制御部306を通じて入力される操作情報に基づいて、初期メニュー画面作成部203、伝票入力画面作成部204、在庫照会・棚卸画面作成部205、品目詳細画面作成部206、そして按分数照会画面作成部207のうちの一つを選択的に実行する。そして、その実行結果である表示画面情報を、入出力制御部306を通じて表示制御部208に送信する。
したがって、図2の入出力制御部202は、図3の入出力制御部306とwebサーバプログラム305の機能が一体化したものと解することができる。
【0017】
図4は、在庫管理装置112の表示部210に表示される画面の遷移を示す状態遷移図である。
在庫管理装置112を起動すると、最初に初期メニュー画面作成部203が作動して初期メニュー画面が表示部210に表示される(初期メニュー画面表示状態S401)。操作部209を操作して、表示部210に表示される選択項目を選択することで、在庫照会・棚卸画面と伝票入力画面のいずれかを表示部210に表示することができる。
【0018】
初期メニュー画面に表示されている選択項目の「伝票入力」を選択すると、伝票入力画面作成部204が作動して伝票入力画面が表示部210に表示される(伝票入力画面表示状態S402)。伝票に記載されている様々な項目を入力する画面である。伝票入力画面の詳細は省略する。
【0019】
初期メニュー画面に表示されている選択項目の「在庫照会・棚卸」を選択すると、在庫照会・棚卸画面作成部205が作動して在庫照会・棚卸画面が表示部210に表示される(在庫照会・棚卸画面表示状態S403)。表示部210には品目毎の在庫状況が表形式で表示される。在庫照会・棚卸画面の詳細は図11にて後述する。
【0020】
在庫照会・棚卸画面に表示されている品目のうち、任意の一つの品目を選択すると、品目詳細画面作成部206が作動して品目詳細画面が表示部210に表示される(品目詳細画面表示状態S404)。表示部210には選択した品目の詳細な在庫状況と、棚卸で判明した現在の正確な在庫(以下「現在庫」)の入力欄が表示される。この在庫照会・棚卸画面で、現在庫を入力する。品目詳細画面の詳細は省略する。
【0021】
品目詳細画面が表示されている状態で、所定のボタンを押すと、按分数照会画面作成部207が作動して按分数照会画面が表示部210に表示される(按分数照会画面表示状態S405)。表示部210には選択した品目の増減履歴と、按分の結果が表形式で表示される。按分数照会画面の詳細は図12にて後述する。
【0022】
図5は、在庫管理装置112が内蔵するテーブルのフィールドとサンプルレコードを示す図である。
在庫ファイル212は、品目毎に現在の理論上の在庫(以下「理論在庫」)が記録される。理論在庫とは、直前の現在庫から伝票による増減を経た結果の在庫数量である。棚卸を実施すると、理論在庫と現在庫が一致する。
「品番」フィールドは、各品目を一意に識別するコード(品番)が格納される。品番は英数文字を使用するのが望ましい。
「在庫量」フィールドは、理論在庫が記録される。
在庫ファイル212はその性質上、伝票と棚卸によって常時内容が変動するが、レコード数は殆ど増減しない。
【0023】
品目マスタ213は、各品目の詳細な情報が記述される、変更される機会の少ないマスタテーブルである。
「品番」フィールドは、在庫ファイル212のそれと等しい。
「品目名」フィールドは、品番に該当する品目の名称(品目名)が格納される。
「乖離率上限」フィールドは、当該品目が流体である場合に、按分を実施した後、理論在庫と現在庫との乖離率を求め、その乖離率の許される上限(乖離率上限)が格納される。
「乖離率下限」フィールドは、当該品目が流体である場合に、按分を実施した後、理論在庫と現在庫との乖離率を求め、その乖離率の許される下限(乖離率上限)が格納される。
「乖離率管理フラグ」フィールドは、当該品目が流体である場合に、乖離率の管理を行うか否かを示すフラグが格納される。
品目マスタ213に記録される品目が固体である場合は、乖離率を管理する必要がないので、「乖離率上限」フィールドと「乖離率下限」フィールドは空欄であり、「乖離率管理フラグ」フィールドには「管理しない」ことを示すフラグが格納される。
【0024】
品目マスタ213に記録される品目が流体である場合は、使用の際に使用量を正確に把握できるか否かで分かれる。固体と同様に正確な使用量を把握できる場合は、固体と同様に乖離率を管理する必要がないが、そうでない場合は「乖離率上限」フィールドと「乖離率下限」フィールドには適切な数値が格納され、「乖離率管理フラグ」フィールドには「管理する」ことを示すフラグが格納される。
【0025】
伝票ファイル211は、出庫伝票108や製造指示伝票109の諸項目が記録される。
「品番」フィールドは、在庫ファイル212及び品目マスタ213のそれと等しい。
「増減量」フィールドは、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される。
「伝票日付」フィールドは、伝票に記録されている日付が記録される。
以上の項目以外にも多数の項目が存在するが、詳細は省略する。
伝票ファイル211はその性質上、伝票の増加に伴ってレコード数が増加する。
【0026】
確定日マスタ214は、品目毎に直前の棚卸を実施した日が記録される。
「品番」フィールドは、在庫ファイル212、品目マスタ213及び伝票ファイル211のそれと等しい。
「確定日」フィールドは、棚卸を実施した日が格納される。
確定日マスタ214はその性質上、「確定日」フィールドの値は更新されるものの、レコード数は殆ど増減しない。
【0027】
履歴ファイル215は、品目毎に出庫伝票108や製造指示伝票109によって増減した履歴情報が記録される。
「レコード番号」フィールドは、レコードを一意に識別するためのユニークな番号であり、新たなレコードが生成される度に直前のレコード番号の最大値から1増加した値が記録される。勿論、一意性を担保できるなら、数値だけでなく、アルファベットも含めても良い。
「子品番」フィールドは、在庫ファイル212、品目マスタ213及び伝票ファイル211の「品番」フィールドと等しい。
「親品番」フィールドは、「子品番」フィールドの品目が使用された結果として生成される製品(成果物)の品番である。
「増減量」フィールドと、「伝票日付」フィールドは、伝票ファイル211のそれと等しい。つまり、伝票ファイル211で伝票の入力が完遂すると、伝票ファイル211に1レコードが追記されると共に、「増減量」フィールドと「伝票日付」フィールドの値がこの履歴ファイル215に転記される。
「登録日時」フィールドは、当該レコードが履歴ファイル215に追記された時点の日時が格納される。
「在庫修正フラグ」フィールドは、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別するためのフラグフィールドである。このフィールドが論理の「真(YES)」である場合は、当該レコードは棚卸の結果、理論在庫から現在庫に修正するために増減した値が格納されていることを示す。
履歴ファイル215はその性質上、伝票の増加と棚卸に伴ってレコード数が増加する。
【0028】
構成マスタ216は、親の品目(製品)と子の品目(原材料103)との関係を示すマスタテーブルである。
「子品番」フィールドと「親品番」フィールドは、履歴ファイル215のそれと等しい。
「按分対象フラグ」フィールドは、この親品番の品目に当該子品番の品目が使用された場合に、按分の対象とするか否かを示すフラグフィールドである。
「標準使用量」フィールドは、この親品番の品目に当該子品番の品目が使用された場合に、親の品目の重量に対する子の品目の重量を示す割合である。
構成マスタ216はその性質上、品目マスタ213と同様に変更される機会が少ない。
【0029】
図6は、後述する按分処理にて在庫管理装置112が内部で生成する配列変数601の構成を示す図である。
配列変数601は、品目詳細画面作成部206が後述する按分処理を実施する際に、図示しないRAM上に一時的に生成するテーブルである。
「レコード番号」フィールドは、履歴ファイル215のそれと等しい。
「減少量」フィールドは、履歴ファイル215の「増減量」フィールドの値と等しい。つまり、按分処理を実行する際、履歴ファイル215の所定のレコードから、レコード番号と増減量が転記される。「増減量」とせずに「減少量」と名称を異にしたのは、按分処理が在庫量が減少した際にのみ発生することに因る。
「按分率」フィールドは、按分処理の結果算出した、按分量を当該レコードに分配する割合の値(按分率)が格納される。按分率は、配列変数601の全レコードの「減少量」フィールドの合計値で、各レコードの「減少量」フィールドの値を割った値である。したがって、配列変数601の全てのレコードの「按分率」フィールドの値を合計すると、「1」になる。
【0030】
図7は、按分処理を説明するための、在庫の変化を示すグラフのサンプルである。
図7では、品目Aの在庫の変化を記したグラフであるとする。
今、時点t5で品目Aの棚卸を実施して、この時点が現在であるとする。
時点t0は、直前の棚卸の時点である。
時点t1は、ある製品を製造するために、品目Aを数量x1だけ使用したことを示す。
時点t2は、ある製品を製造するために、品目Aを数量x2だけ使用したことを示す。
時点t3は、補充するために、品目Aを数量x3だけ出庫したことを示す。
時点t4は、ある製品を製造するために、品目Aを数量x4だけ使用したことを示す。
時点t5は、棚卸を実施した結果、品目Aの理論在庫を現在庫に合わせ込むため、数量x5のズレ修正を実施したことを示す。
【0031】
上述の在庫の変化の内、時点t1、t2そしてt4が、品目Aの在庫が減少した時点である。しかし、親品目によっては按分処理の対象外である場合もある。これを区別するのが、構成マスタ216の「按分対象フラグ」フィールドである。
【0032】
今、時点t1とt4において、品目Aを使用した親の品目に関し、「按分対象フラグ」が真であるとする。
按分対象の総使用量は、x1+x4である。
時点t1の按分率は、x1/(x1+x4)であり、時点t4の按分率は、x4/(x1+x4)である。
時点t1の按分量は、x5・x1/(x1+x4)であり、時点t4の按分量は、x5・x4/(x1+x4)である。
時点t5の理論在庫はズレ修正が行われて現在庫と一致している。そこで、時点t5の理論在庫をXnとすると、時点t4の理論在庫Xt4は、Xt4=Xn−x5である。この理論在庫Xt4に対し、按分量x5・x4/(x1+x4)が加算される。これが按分である。以下同様に:
時刻t3の理論在庫Xt3=Xt4+x4=Xn−x5+x4
時刻t2の理論在庫Xt2=Xt3−x3=Xn−x5+x4−x3
時刻t1の理論在庫Xt1=Xt2+x2=Xn−x5+x4−x3+x2
時刻t0の理論在庫Xt0=Xt1+x1=Xn−x5+x4−x3+x2+x1
そして、時刻t1の理論在庫Xt1に対し、按分量x1・x4/(x1+x4)が加算される。
【0033】
時点t4の理論在庫Xt4に対し、按分処理を行った在庫量(以下「仮想現在庫」)をXn4とする。仮想現在庫Xn4に対し、理論在庫Xt4がどれだけかけ離れているかの割合が、乖離率である。乖離率D=(Xt4/Xn4)−1=((Xn−x5)/(Xn−x5+x5・x4/(x1+x4)))−1となる。
このようにして算出した乖離率Dは、品目マスタ213に記録されている乖離率上限及び乖離率下限の値の範囲内にあるか否かが検証される。検証の結果、乖離率の許容範囲から外れていれば、在庫照会・棚卸画面において該当する品目を他の品目とは異なる色で表示する。
【0034】
図8は棚卸処理を示すフローチャートである。
初期メニュー画面に表示されている選択項目の「在庫照会・棚卸」を選択すると(S801)、在庫照会・棚卸画面作成部205が作動して在庫照会・棚卸画面が表示部210に表示される(S802)。使用者は操作部209を操作して、表示部210に表示されているボタンのうち、一つを選択する(S803)。
使用者によって選択されたボタンが、在庫照会・棚卸画面の表示範囲を変更した再表示の指示であれば(S804のYES)、再び在庫照会・棚卸画面作成部205が作動して、異なる表示範囲で在庫照会・棚卸画面が表示部210に表示される(S802)。
使用者によって選択されたボタンが、在庫照会・棚卸画面の表示範囲を変更した再表示の指示でない場合(S804のNO)、当該ボタンは品目を指定した棚卸の指示でなければ(S805のNO)、それは初期メニュー画面へ復帰する指示であるので、入出力制御部202は初期メニュー画面作成部203を起動して一連の処理を終了する(S806)。
【0035】
使用者によって選択されたボタンが、在庫照会・棚卸画面の表示範囲を変更した再表示の指示でない場合(S804のNO)、当該ボタンは品目を指定した棚卸の指示であれば(S805のYES)、それは品目詳細画面へ遷移する指示であるので、入出力制御部202は品目詳細画面作成部206を起動する(S807)。使用者は、操作部209を操作して、表示部210に表示されている現在庫の入力欄に現在庫を入力する(S808)。すると、品目詳細画面作成部206によって按分処理が実行された(S809)後、再び在庫照会・棚卸画面作成部205が作動して、異なる表示範囲で在庫照会・棚卸画面が表示部210に表示される(S802)。
【0036】
図9及び図10は、按分処理を示すフローチャートである。図8のステップS809の内容を示す。
処理を開始すると(図9のS901)、品目詳細画面作成部206は図示しないリアルタイムクロックから現在日時を取得する(S902)。次に、品目詳細画面作成部206は確定日マスタ214を見て、処理対象となる品目の確定日を取得する(S903)。そして、品目詳細画面作成部206は確定日と品目を検索のキーとして、履歴ファイル215を絞り込む(S904)。このステップS904の処理で絞り込んだ結果の、履歴ファイル215のレコードは、入力された時点の順に並んでいるものとする。そこで、品目詳細画面作成部206は、参照ポインタを絞り込んだ履歴ファイル215のレコードのうちの最新のレコードに移動する(S905)。
【0037】
ステップS902は、直前に実行された図8のステップS808で、現在庫を入力した直後に実行される。つまり、ステップS902でリアルタイムクロックから取得される日時情報は、ステップS808で正確な現在庫を入力して、履歴ファイル215に修正レコードが追記された瞬間の日時情報である。ステップS904では、履歴ファイルのレコードを、直近の確定日(ステップS903で取得)から棚卸を実行した現時点までの範囲に絞り込む。
確定日マスタ214の「確定日」フィールドには、確定日、つまり日付のデータしか格納されておらず、時刻情報が含まれていない。しかし、履歴ファイルの在庫修正フラグを見ることで、容易に該当する日付の棚卸が実施されたレコードを特定できる。特定したレコードの登録日時を取得して、その登録日時以降のレコードが絞込みの対象となる。
本実施形態は在庫管理装置、すなわちシングルユーザの対話型データベース管理装置を説明しているが、これがマルチユーザの在庫管理システムであっても、同様である。目視にて現在庫を把握した後、クライアント302から現在庫をwebサーバ303に入力するまでの間に、現在庫の変動さえ起きなければ、現在庫の正確性が担保できる。
【0038】
これ以降はループ処理である。
品目詳細画面作成部206は、参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードの「在庫修正フラグ」フィールドを見て、在庫修正フラグが論理の真であるか否か確認する(S906)。当該レコードが修正を示すレコードであるなら(S906のYES)、「増減量」フィールドにはズレの修正量が記録されているので、この修正量を図示しないRAM内に設けた変数に保持した(S907)後、参照ポインタの位置を1レコード後退させる(S908)。
【0039】
ステップS906で、当該レコードの在庫修正フラグが論理の偽であるなら(S906のNO)、品目詳細画面作成部206は次に「増減量」フィールドの値が正の値か負の値かを確認する(S909)。正の値であれば、それは出庫によって在庫量が増加したことを示すので(S909のYES)、按分処理の対象外のレコードである。よって、何もせずに参照ポインタの位置を1レコード後退させる(S908)。
【0040】
ステップS909で、「増減量」フィールドの値が負の値であれば、それは使用によって在庫量が減少したことを示す(S909のNO)。そこで、品目詳細画面作成部206は次に、参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードの「親品番」フィールドと「子品番」フィールドの値で、構成マスタ216を検索し、ヒットしたレコードの「按分対象フラグ」フィールドの値を見る(S910)。
【0041】
ステップS910で、按分対象フラグが論理の真であるなら(S910のYES)、参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードは按分対象である。そこで、品目詳細画面作成部206は配列変数601に、当該レコードの「増減量」フィールドの値と、「レコード番号」フィールドの値を転記して、1レコード追記した(S911)後、参照ポインタの位置を1レコード後退させる(S908)。
【0042】
ステップS910で、按分対象フラグが論理の偽であるなら(S910のNO)、参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードは按分対象外である。よって、品目詳細画面作成部206は何もせずに参照ポインタの位置を1レコード後退させる(S908)。
【0043】
ステップS908の1レコード後退処理の後、品目詳細画面作成部206は現在の参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードが存在するのか否かを確認する(S912)。まだレコードが存在するなら(S912のNO)、再度ステップS906から処理を繰り返す。
【0044】
ステップS912で、現在の参照ポインタが指し示す履歴ファイル215のレコードが存在しないなら(S912のYES)、履歴ファイル215の参照処理は終了したので、次に配列変数601を操作する処理に移行する(図9の「A」マークから図10の「A」マークへ)。
最初に、品目詳細画面作成部206は配列変数601の各レコードの「減少量」フィールドの総和を求め、レコード毎の「減少量」フィールドをこの総和で割り、按分率を算出し、各レコードの「按分率」フィールドに書き込む(図10のS1013)。
次に、品目詳細画面作成部206は参照ポインタを配列変数601の最初のレコードに移動する(S1014)。
【0045】
これ以降はループ処理である。
品目詳細画面作成部206は、参照ポインタが指し示す配列変数601のレコードの「按分率」フィールドの値と、図9のステップS907で取得して保持した修正量を乗算し、按分量を算出する(S1015)。
次に品目詳細画面作成部206は、参照ポインタが指し示す配列変数601のレコードの「レコード番号」フィールドの値で履歴ファイル215を再度検索し、当該レコードの理論在庫と仮想現在庫を算出して、乖離率を計算する。そして、品目詳細画面作成部206は、この乖離率が、品目マスタ213の「乖離率上限」フィールドの値と「乖離率下限」フィールドの値で規定される乖離率範囲の中に含まれているかを確認する(S1016)。
【0046】
ステップS1016にて算出した乖離率が、品目マスタ213上で予め定められた乖離率範囲に含まれているのならば(S1016のYES)、品目詳細画面作成部206は参照ポインタを配列変数601の次のレコードに移動させて(S1017)、まだレコードが存在するか否か確認する(S1018)。まだレコードが存在するなら(S1018のNO)、再度ステップS1015から繰り返す。レコードが存在しないなら(S1018のYES)、処理を終了する(S1019)。
【0047】
ステップS1016にて算出した乖離率が、品目マスタ213上で予め定められた乖離率範囲から外れているのならば(S1016のNO)、品目詳細画面作成部206は当該品目についてアラームフラグを設定し、図示しないRAMに保持して(S1020)、処理を終了する(S1019)。
【0048】
図11は在庫照会・棚卸画面の一例を示す図である。テーブル形式で表示される。
「品番」項目は、在庫ファイル212、品目マスタ213、伝票ファイル211及び履歴ファイル215の「品番」フィールドと等しい。
「品名」項目は、品目マスタ213の「品目名」フィールドと等しい。
「現在庫」項目は、在庫ファイル212の「在庫量」フィールドと等しい。したがって、「品番」項目と「現在庫」項目の組み合わせは、在庫ファイル212のレコードそのものである。
「乖離率」項目は、図10のステップS1016で算出された値である。
【0049】
「品番」項目及び「品名」項目は、マウス等のポインティングデバイスでクリックすることが可能である。複数表示されているこれら項目の内の一つをクリックすると、選択された品番の品目の品目詳細画面が表示部に表示され、当該品目について棚卸を実行できる(修正した現在庫を入力して登録する)。棚卸の結果、図9及び図10の按分処理が実行され、ステップS1020のアラームフラグが立つと、表示画面が在庫照会・棚卸画面に戻った際、当該品目の「乖離率」の数値の表示色が変化する。算出した乖離率が「乖離率下限」フィールドの値よりも下回っていた場合は、乖離率の欄内の数値が赤色で表示され、算出した乖離率が「乖離率上限」フィールドの値よりも上回っていた場合は、乖離率の欄内の数値が青色で表示される。
【0050】
図12(a)、(b)及び(c)は按分数照会画面の一例を示す図である。
図12(a)は表示部210に表示される按分数照会画面の全体を示す図である。
図12(b)及び(c)は、按分数照会画面を拡大表示した図である。按分数照会画面は在庫照会・棚卸画面と同様にテーブル形式であるが、表示される項目数が多いために横方向に長いので、図12(b)と(c)で分けて表している。つまり、図12(b)の右端に、図12(c)の左端が続く。
【0051】
「品目」欄は、表示している品目の品番を表示する欄である。
「増減日」項目及び「時刻」項目は、在庫量の修正を行った日時である。
「修正量」項目は、その修正で増減された量量である。
「修正後在庫」項目は、修正後の在庫量である。
「親品目」項目は、現在表示中の品目を使用して生産した品目(親品目)を指す。
「製造日」項目及び「時刻」項目は、親品目を生産した日時である。
「親出来高量」項目は、親品目を生産した量である。
「使用量」項目は、親品目を生産するために使用したときに、貯蔵庫から引き落とされた、現在表示中の品目の使用量である。具体的には、親出来高量×構成マスタの標準使用量で求められる。
「標準使用量」項目は、
「按分対象」項目は、構成マスタの「按分対象フラグ」フィールドの値である。
「按分量」項目は、按分計算される各使用量÷按分対象の使用量合計×修正量である。
「按分後使用量」項目は、按分量を考慮した使用量である。
「按分後標準使用量」項目は、按分量を考慮した標準使用量である。
【0052】
図11の在庫照会・棚卸画面にてアラームが表示された品目は、標準使用量を修正する必要が生じる。その修正すべき値を按分数照会画面作成部207で演算し、図12の「按分後標準使用量」項目で表示する。実際に標準使用量を修正する際には、別途、汎用のデータベースマネージャプログラム等を用いて、品目マスタを直接手作業で修正することとなる。
【0053】
本実施形態は以下の応用例が考えられる。
(1)上述の実施形態に係る在庫管理装置は、処理済みの伝票に基づいて、あくまでも過去分の棚卸を実施するときにアラーム表示を行ったが、実施予定の生産計画を示す製造指示伝票に基づいて按分処理を実施することもできる。
【0054】
本実施形態では在庫管理装置を開示した。
在庫の変動の際に誤差を生じ易い流体の在庫を正確に把握するために、按分処理を履歴ファイルに基づいて自動実行し、その上で乖離率を求め、乖離率上限及び下限の範囲から逸脱していないか否かを検証し、逸脱していればアラームを表示部に表示する。このように装置を構成することにより、多数の品目に対して瞬時に適切な標準使用量の修正を実施することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態例について説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
【符号の説明】
【0056】
101…工場施設、102…倉庫、103…原材料、104…貯蔵庫、105…生産設備、106…物品、107…ドラム缶、108…出庫伝票、109…製造指示伝票、110…パイプ、111…弁、112…在庫管理装置、202…入出力制御部、203…初期メニュー画面作成部、204…伝票入力画面作成部、205…在庫照会・棚卸画面作成部、206…品目詳細画面作成部、207…按分数照会画面作成部、208…表示制御部、209…操作部、210…表示部、211…伝票ファイル、212…在庫ファイル、213…品目マスタ、214…確定日マスタ、215…履歴ファイル、216…構成マスタ、301…在庫管理システム、302…クライアント、303…webサーバ、304…ネットワーク、305…webサーバプログラム、306…入出力制御部、601…配列変数
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各レコードを一意に識別するためのユニークな情報であるレコード番号フィールドと、各品目を一意に識別する品番が格納される子品番フィールドと、前記子品番フィールドの品目が使用された結果として生成される成果物の品番である親品番フィールドと、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される増減量フィールドと、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別する在庫修正フラグフィールドとを有する履歴ファイルを、前記子品番フィールドに対して選択した所定の品番の品目について現在日時から直近の棚卸実施日時まで絞り込む履歴ファイル絞り込みステップと、
前記子品番フィールドと、前記親品番フィールドと、前記子品番フィールドの品番の品目を按分対象とするか否かを示す按分対象フラグとを有する構成マスタを、前記履歴ファイル絞り込みステップで絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記子品番フィールドと前記親品番フィールドの値で検索して、前記構成マスタの前記按分対象フラグを参照し、前記履歴ファイルのレコードが按分対象であれば、前記レコード番号フィールドと、前記増減量フィールドの値が転記される在庫減少量フィールドと、按分率フィールドとを有する配列変数に前記レコードの前記レコード番号フィールドの値と前記増減量フィールドの値を転記する配列変数転記ステップと、
前記履歴ファイル絞り込みステップで絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記在庫修正フラグフィールドが棚卸の内容であることを示していれば前記増減量を読み出して棚卸修正量として保持する棚卸修正量保持ステップと、
前記配列変数の全レコードの前記在庫減少量フィールドの値を合算し、前記配列変数の各レコードの按分率を算出して前記按分率フィールドに記入する按分率算出ステップと、
前記配列変数の全レコードの前記按分率と前記棚卸修正量を乗算して各レコードの按分量を算出する按分量算出ステップと、
前記配列変数の前記レコード番号フィールドの値が指し示す前記履歴ファイルの該当レコードの時点での在庫量である理論在庫を求め、前記理論在庫に前記按分量を加算した値である仮想現在庫で除算して乖離率を得る乖離率算出ステップと、
前記乖離率が前記品目に設定されている乖離率範囲に含まれるか否かを判断し、前記乖離率範囲を超えている場合はアラームを設定するステップと
を有する在庫管理方法。
【請求項2】
各レコードを一意に識別するためのユニークな情報であるレコード番号フィールドと、各品目を一意に識別する品番が格納される子品番フィールドと、前記子品番フィールドの品目が使用された結果として生成される成果物の品番である親品番フィールドと、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される増減量フィールドと、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別する在庫修正フラグフィールドとを有する履歴ファイルと、
前記子品番フィールドと、前記親品番フィールドと、前記子品番フィールドの品番の品目を按分対象とするか否かを示す按分対象フラグとを有する構成マスタと、
前記レコード番号フィールドと、前記増減量フィールドの値が転記される在庫減少量フィールドと、按分率フィールドとを有する配列変数と、
表示部と、
前記履歴ファイルを、前記子品番フィールドに対して選択した所定の品番の品目について現在日時から直近の棚卸実施日時まで絞り込み、絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記子品番フィールドと前記親品番フィールドの値で検索して、前記構成マスタの前記按分対象フラグを参照し、前記履歴ファイルのレコードが按分対象であれば、前記配列変数に前記レコードの前記レコード番号フィールドの値と前記増減量フィールドの値を転記し、絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記在庫修正フラグフィールドが棚卸の内容であることを示していれば前記増減量を読み出して棚卸修正量として保持し、前記配列変数の全レコードの前記在庫減少量フィールドの値を合算し、前記配列変数の各レコードの按分率を算出して前記按分率フィールドに記入し、前記配列変数の全レコードの前記按分率と前記棚卸修正量を乗算して各レコードの按分量を算出し、前記配列変数の前記レコード番号フィールドの値が指し示す前記履歴ファイルの該当レコードの時点での在庫量である理論在庫を求め、前記理論在庫に前記按分量を加算した値である仮想現在庫で除算して乖離率を得て、前記乖離率が前記品目に設定されている乖離率範囲に含まれるか否かを判断し、前記乖離率範囲を超えている場合は、前記品目に対してアラームを明示した、前記表示部に表示するための画面情報を作成する在庫照会・棚卸画面作成部と
を具備する在庫管理装置。
【請求項3】
表示部を備えるクライアントと、
前記クライアントにネットワークを介して接続され、各レコードを一意に識別するためのユニークな情報であるレコード番号フィールドと、各品目を一意に識別する品番が格納される子品番フィールドと、前記子品番フィールドの品目が使用された結果として生成される成果物の品番である親品番フィールドと、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される増減量フィールドと、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別する在庫修正フラグフィールドとを有する履歴ファイルと、前記子品番フィールドと、前記親品番フィールドと、前記子品番フィールドの品番の品目を按分対象とするか否かを示す按分対象フラグとを有する構成マスタと、前記レコード番号フィールドと、前記増減量フィールドの値が転記される在庫減少量フィールドと、按分率フィールドとを有する配列変数と、前記履歴ファイルを、前記子品番フィールドに対して選択した所定の品番の品目について現在日時から直近の棚卸実施日時まで絞り込み、絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記子品番フィールドと前記親品番フィールドの値で検索して、前記構成マスタの前記按分対象フラグを参照し、前記履歴ファイルのレコードが按分対象であれば、前記配列変数に前記レコードの前記レコード番号フィールドの値と前記増減量フィールドの値を転記し、絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記在庫修正フラグフィールドが棚卸の内容であることを示していれば前記増減量を読み出して棚卸修正量として保持し、前記配列変数の全レコードの前記在庫減少量フィールドの値を合算し、前記配列変数の各レコードの按分率を算出して前記按分率フィールドに記入し、前記配列変数の全レコードの前記按分率と前記棚卸修正量を乗算して各レコードの按分量を算出し、前記配列変数の前記レコード番号フィールドの値が指し示す前記履歴ファイルの該当レコードの時点での在庫量である理論在庫を求め、前記理論在庫に前記按分量を加算した値である仮想現在庫で除算して乖離率を得て、前記乖離率が前記品目に設定されている乖離率範囲に含まれるか否かを判断し、前記乖離率範囲を超えている場合は、前記品目に対してアラームを明示した、前記表示部に表示するための画面情報を作成する在庫照会・棚卸画面作成部とを備えるサーバと
を具備する在庫管理システム。
【請求項1】
各レコードを一意に識別するためのユニークな情報であるレコード番号フィールドと、各品目を一意に識別する品番が格納される子品番フィールドと、前記子品番フィールドの品目が使用された結果として生成される成果物の品番である親品番フィールドと、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される増減量フィールドと、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別する在庫修正フラグフィールドとを有する履歴ファイルを、前記子品番フィールドに対して選択した所定の品番の品目について現在日時から直近の棚卸実施日時まで絞り込む履歴ファイル絞り込みステップと、
前記子品番フィールドと、前記親品番フィールドと、前記子品番フィールドの品番の品目を按分対象とするか否かを示す按分対象フラグとを有する構成マスタを、前記履歴ファイル絞り込みステップで絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記子品番フィールドと前記親品番フィールドの値で検索して、前記構成マスタの前記按分対象フラグを参照し、前記履歴ファイルのレコードが按分対象であれば、前記レコード番号フィールドと、前記増減量フィールドの値が転記される在庫減少量フィールドと、按分率フィールドとを有する配列変数に前記レコードの前記レコード番号フィールドの値と前記増減量フィールドの値を転記する配列変数転記ステップと、
前記履歴ファイル絞り込みステップで絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記在庫修正フラグフィールドが棚卸の内容であることを示していれば前記増減量を読み出して棚卸修正量として保持する棚卸修正量保持ステップと、
前記配列変数の全レコードの前記在庫減少量フィールドの値を合算し、前記配列変数の各レコードの按分率を算出して前記按分率フィールドに記入する按分率算出ステップと、
前記配列変数の全レコードの前記按分率と前記棚卸修正量を乗算して各レコードの按分量を算出する按分量算出ステップと、
前記配列変数の前記レコード番号フィールドの値が指し示す前記履歴ファイルの該当レコードの時点での在庫量である理論在庫を求め、前記理論在庫に前記按分量を加算した値である仮想現在庫で除算して乖離率を得る乖離率算出ステップと、
前記乖離率が前記品目に設定されている乖離率範囲に含まれるか否かを判断し、前記乖離率範囲を超えている場合はアラームを設定するステップと
を有する在庫管理方法。
【請求項2】
各レコードを一意に識別するためのユニークな情報であるレコード番号フィールドと、各品目を一意に識別する品番が格納される子品番フィールドと、前記子品番フィールドの品目が使用された結果として生成される成果物の品番である親品番フィールドと、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される増減量フィールドと、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別する在庫修正フラグフィールドとを有する履歴ファイルと、
前記子品番フィールドと、前記親品番フィールドと、前記子品番フィールドの品番の品目を按分対象とするか否かを示す按分対象フラグとを有する構成マスタと、
前記レコード番号フィールドと、前記増減量フィールドの値が転記される在庫減少量フィールドと、按分率フィールドとを有する配列変数と、
表示部と、
前記履歴ファイルを、前記子品番フィールドに対して選択した所定の品番の品目について現在日時から直近の棚卸実施日時まで絞り込み、絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記子品番フィールドと前記親品番フィールドの値で検索して、前記構成マスタの前記按分対象フラグを参照し、前記履歴ファイルのレコードが按分対象であれば、前記配列変数に前記レコードの前記レコード番号フィールドの値と前記増減量フィールドの値を転記し、絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記在庫修正フラグフィールドが棚卸の内容であることを示していれば前記増減量を読み出して棚卸修正量として保持し、前記配列変数の全レコードの前記在庫減少量フィールドの値を合算し、前記配列変数の各レコードの按分率を算出して前記按分率フィールドに記入し、前記配列変数の全レコードの前記按分率と前記棚卸修正量を乗算して各レコードの按分量を算出し、前記配列変数の前記レコード番号フィールドの値が指し示す前記履歴ファイルの該当レコードの時点での在庫量である理論在庫を求め、前記理論在庫に前記按分量を加算した値である仮想現在庫で除算して乖離率を得て、前記乖離率が前記品目に設定されている乖離率範囲に含まれるか否かを判断し、前記乖離率範囲を超えている場合は、前記品目に対してアラームを明示した、前記表示部に表示するための画面情報を作成する在庫照会・棚卸画面作成部と
を具備する在庫管理装置。
【請求項3】
表示部を備えるクライアントと、
前記クライアントにネットワークを介して接続され、各レコードを一意に識別するためのユニークな情報であるレコード番号フィールドと、各品目を一意に識別する品番が格納される子品番フィールドと、前記子品番フィールドの品目が使用された結果として生成される成果物の品番である親品番フィールドと、伝票によって指示された在庫量の増減の数量が記録される増減量フィールドと、当該レコードが伝票の内容であるのか、棚卸の内容であるのかを識別する在庫修正フラグフィールドとを有する履歴ファイルと、前記子品番フィールドと、前記親品番フィールドと、前記子品番フィールドの品番の品目を按分対象とするか否かを示す按分対象フラグとを有する構成マスタと、前記レコード番号フィールドと、前記増減量フィールドの値が転記される在庫減少量フィールドと、按分率フィールドとを有する配列変数と、前記履歴ファイルを、前記子品番フィールドに対して選択した所定の品番の品目について現在日時から直近の棚卸実施日時まで絞り込み、絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記子品番フィールドと前記親品番フィールドの値で検索して、前記構成マスタの前記按分対象フラグを参照し、前記履歴ファイルのレコードが按分対象であれば、前記配列変数に前記レコードの前記レコード番号フィールドの値と前記増減量フィールドの値を転記し、絞り込まれた前記履歴ファイルのレコードの前記在庫修正フラグフィールドが棚卸の内容であることを示していれば前記増減量を読み出して棚卸修正量として保持し、前記配列変数の全レコードの前記在庫減少量フィールドの値を合算し、前記配列変数の各レコードの按分率を算出して前記按分率フィールドに記入し、前記配列変数の全レコードの前記按分率と前記棚卸修正量を乗算して各レコードの按分量を算出し、前記配列変数の前記レコード番号フィールドの値が指し示す前記履歴ファイルの該当レコードの時点での在庫量である理論在庫を求め、前記理論在庫に前記按分量を加算した値である仮想現在庫で除算して乖離率を得て、前記乖離率が前記品目に設定されている乖離率範囲に含まれるか否かを判断し、前記乖離率範囲を超えている場合は、前記品目に対してアラームを明示した、前記表示部に表示するための画面情報を作成する在庫照会・棚卸画面作成部とを備えるサーバと
を具備する在庫管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−98832(P2011−98832A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256578(P2009−256578)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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