説明

地下構造物用蓋

【課題】蓋本体を閉めた場合に、蓋本体と受枠とで段差が発生することを防止し、受枠に対して蓋本体を水平状態にして確実に収めることができる地下構造物用蓋を提供する。
【解決手段】受枠3と、受枠3の内側に突出し、先端に受載部8bを有し、中央に蝶番挿通孔8aを有する蝶番座8と、該蝶番座8の蝶番挿通孔8aに挿通された軸部9を有し、下端に抜け止め片5が形成され、上端にヘッド部6が形成された蝶番4と、下側に揺動可能に取付けられた前記蝶番4を介して、前記受枠3に対して開閉可能に取付けられる蓋本体2とを備えた地下構造物用蓋1において、前記蝶番4の軸部9は、縦断面において湾曲している湾曲面を含む凹部11を有し、蝶番座8の受載部8bは、蝶番挿通孔8aに臨む側の上面の少なくとも一部が湾曲面に倣っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール等の開口部に設置される地下構造物用蓋に関する。
なお、本明細書でいう「地下構造物用蓋」とは、下水道における地下埋設物、地下構造施設等と地上とを通じる開口部を閉塞する大型鉄蓋、マンホール蓋、汚水桝蓋、電力・通信における地下施設機器や地下ケーブル等を保護する開閉可能な共同溝用鉄蓋、送電用鉄蓋、配電用鉄蓋、上水道やガス配管における路面下の埋設導管及びその付属機器と地上とを結ぶ開閉扉としての機能を有する消火栓蓋、制水弁蓋、仕切弁蓋、空気弁蓋、ガス配管用蓋、量水器蓋等を総称する。
【背景技術】
【0002】
マンホール等の開口部に設置される地下構造物用蓋は、蓋本体と受枠とからなり、具体的には、この蓋本体が、蝶番を介して開閉可能に受枠に取付けられている(例えば特許文献1及び2参照)。従来、蓋本体を開く場合には、蓋本体の外周縁一端に設けられたバール孔に開閉バールを差し込んで蓋本体と受枠との食い込みを解除し、蝶番の抜け止め片が受枠の蝶番座に係止される状態まで蓋本体を斜め上方(具体的には作業者の手前側)に引き出した後、蓋本体を、蝶番を軸として180°水平旋回させるか、蝶番を支点として蓋本体を上方に持ち上げて180°垂直反転させていた。そして、蓋本体を閉めるときには上記と逆の動作を行い、作業者が蓋本体を斜め下方向(蝶番がある側の方向)に押し込んで受枠に収めていた。
【0003】
しかしながら、蓋本体を斜め下方向に押し込んで閉めようとすると、蓋本体の蝶番側が大きく受枠内に落ち込み、そのまま蓋本体が受枠に嵌り込んでしまう場合があった。そうすると、蓋本体を完全に受枠内に収めることができない事態が生じ、作業者は再び蓋本体を斜め上方に引き出し、閉め直していた。このことは、操作の煩雑及び作業効率の低下を招いていた。また、上述したような蓋本体の一方の端部のみが収められた状態で無理に押し込むと、蓋本体が斜めの状態で受枠内に嵌ったり、蓋本体を無理に押し込むことにより、蓋本体の蝶番側が受枠からずり上がってしまったりする。このことは、蓋本体と受枠とで段差を生じさせることになり、歩行者のつまづきを招いたり、段差上を車両が通過することによって蓋本体のさらなるずり上がりを招くことがあった。
【0004】
このような段差を除くため、蓋本体が受枠に対して斜めに嵌ってしまった場合には、蓋本体の周縁部を叩いて調整していたが、この調整がされない場合、そのままの状態で歩行者や車両の通行が再開されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭57−58296号公報
【特許文献2】特開2001−355252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、蓋本体を閉めた場合に、蓋本体と受枠とで段差が発生することを防止し、受枠に対して蓋本体を水平状態にして確実に収めることができる地下構造物用蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明では、受枠と、該受枠の内側に突出し、先端に受載部を有し、中央に蝶番挿通孔を有する蝶番座と、該蝶番座の蝶番挿通孔に挿通された軸部を有し、下端に抜け止め片が形成され、上端にヘッド部が形成された蝶番と、下側に揺動可能に取付けられた前記蝶番を介して、前記受枠に対して開閉可能に取付けられる蓋本体とを備えた地下構造物用蓋において、前記蝶番の軸部は、縦断面において湾曲している湾曲面を含む凹部を有し、前記蝶番座の受載部は、前記蝶番挿通孔に臨む側の上面の少なくとも一部が、前記湾曲面に倣ったことを特徴とする地下構造物用蓋を提供する。
【0008】
好ましくは、前記蝶番は、前記蓋本体が前記受枠内に収まった状態の閉位置と、前記抜け止め片が前記蝶番座に接触して前記受枠の内側方向に延びた状態の開位置との間で移動可能であり、前記蓋本体が蝶番側に押されることにより前記蝶番の軸部が前記蝶番座の受載部に沿って摺動しながら下降し、前記受載部が前記凹部に入り込んで前記蝶番が前記受載部を回転軸として回転するとともに前記蓋本体の上面が前記受枠の上面に対して略平行状態を維持したまま移動し、前記凹部が前記受載部から離れて前記蓋本体の上面が前記受枠の上面に対して略平行状態のまま落下して前記蝶番が閉位置となる。
【0009】
好ましくは、前記蝶番のヘッド部には、左右の少なくともいずれか一方に延出した突出片を有し、前記蓋本体の下側には前記突出片と当接可能な受け片が形成され、前記突出片と前記受け片が当接した状態で前記蝶番は前記受枠の上面に対して略垂直姿勢となる。
【0010】
好ましくは、前記蓋本体は、前記蓋本体を受枠に収める際に、前記受枠の上面と接するガイド部を有し、該ガイド部は、前記蓋本体の上面に対して略平行な下面を有している。
【0011】
好ましくは、前記ガイド部の下面又は前記受枠の上面には、前記ガイド部の移動を規制するための係止部が設けられている。
【0012】
好ましくは、前記ガイド部は、前記蓋本体に対して前記蝶番が取付けられた側と反対側の前記蓋本体の下側に露出して設けられ、前記蓋本体の中心から放射状に延び、前記蝶番と前記蓋本体の中心とを結ぶ中心線に対して対称となるように形成されている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、蝶番座の受載部は蝶番挿通孔に臨む側の上面の少なくとも一部が、蝶番に形成された凹部の湾曲面に倣っているため、蝶番座の受載部が凹部に当接し、蝶番が蝶番座の受載部を中心に回動することになる。したがって、蝶番が回動している間、蓋本体はそのままの姿勢で横方向(受枠の上面に対して平行方向)に移動する。これにより、蓋本体が受枠に対して斜め下方向に向かって入り込むことを防止できる。蝶番がある程度回動して蝶番が受枠の上面に対して略垂直姿勢になると、凹部が蝶番座の受載部から離れる。このとき、蓋本体が横方向に移動した後であるので、受枠に対して略平行状態のまま受枠に向けて落下する。よって、蓋本体を閉めた場合に、蓋本体と受枠とが斜めに嵌りこんで段差が発生することを防止し、受枠に対して蓋本体を略平行状態のまま確実に収めることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、蓋本体を受枠内に収めて閉める場合、すなわち蝶番を閉位置に移動させる場合に蝶番の凹部が蝶番座の受載部に入り込んで蝶番が回動している間は蓋本体を受枠に対して略平行状態のまま移動させることができる。そして、そのままの状態で凹部が受載部から離れることで蓋本体を受枠に対して落下させることができ、蝶番を閉位置に移動させることができる。このため、蓋本体を閉めた場合に、蓋本体と受枠とが斜めに嵌りこんで段差が発生することを防止し、受枠に対して蓋本体を略平行状態にして確実に収めることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、突出片と受け片が当接した状態で、蝶番の回動は規制される。このとき、受枠の上面に対して略垂直姿勢にある蝶番は、突出片と受け片を当接させて回動は規制されているが、さらに蝶番を横方向(受枠の外周方向)に移動させることができ、これに伴い蓋本体も受枠に対して略平行方向に移動させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、蓋本体を受枠の上面に沿ってガイド部を介して受枠に対して平行に移動させることができ、上述した蝶番の回動動作と相俟って、確実に蓋本体を受枠に対して平行に移動させることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、ガイド部の下面又は受枠の上面には、ガイド部の移動を規制するための係止部が設けられているため、地下構造物用蓋が傾斜した路面に設置されている場合であっても、蓋本体がその自重により受枠の上面に沿って受枠内に滑り落ちることを防止できる。
【0018】
請求項6の発明によれば、蓋本体が受枠に対して左右に少しずれた位置にあっても、放射状に形成されたガイド部が蓋本体を所定位置に導き、蓋本体を適切な状態にて受枠に収めることができる。すなわち、蝶番が開位置にあるときに、平面視で見て蓋本体の中心線とこの中心線に対応する受枠の中心線とが一致していない場合であっても、蓋本体が受枠に沿って移動する際に放射状に形成されたガイド部により両中心線が一致する方向に導かれる。このため、蓋本体を閉める作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る地下構造物用蓋の概略図である。
【図2】蝶番を蓋本体に取付けたときの一部概略断面図である。
【図3】蝶番の概略斜視図である。
【図4】蓋本体の概略底面図である。
【図5】蓋本体の概略右側面図である。
【図6】蓋本体が受枠に収まっていく状態を順番に示した概略断面図である。
【図7】蓋本体が受枠に収まっていく状態を順番に示した概略断面図である。
【図8】蓋本体が受枠に収まっていく状態を順番に示した概略断面図である。
【図9】蓋本体が受枠に収まっていく状態を順番に示した概略断面図である。
【図10】蓋本体が受枠に収まっていく状態を順番に示した概略断面図である。
【図11】蓋本体が受枠に収まっていく状態を順番に示した概略断面図である。
【図12】蓋本体が受枠に収まっていく状態を順番に示した概略断面図である。
【図13】補助バール孔近傍の概略断面図である。
【図14】受枠に蓋本体が収められたときの一部概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、本発明に係る地下構造物用蓋1は、略円盤形状の蓋本体2と、この蓋本体2が収まる略円環形状の受枠3とを備えている。
【0021】
受枠3は、マンホール等の開口部に設置され、受枠3の上面3aを露出させて埋設される。蓋本体2は、蝶番4を介して開閉可能に受枠3に取付けられている。図2及び図3を参照すれば明らかなように、蝶番4は下端において左右方向に抜け止め片5が突出して設けられている。また、蝶番4の上端にはヘッド部6が形成されている。ヘッド部6には左右方向に延びる回転軸7が形成されている。この回転軸7を介して蝶番4は蓋本体2の下側に揺動可能に取付けられる。具体的には、蓋本体2の裏面側には略箱体形状の軸受け体10が設けられ、この軸受け体10に回転軸7を軸支させて取付けられる。
【0022】
一方で、上述した受枠3の内周面には、中心方向に突出して蝶番座8が設けられている。この蝶番座8は、上下方向に貫通する蝶番挿通孔8aを形成しており、蝶番4の軸部9はこの蝶番挿通孔8aに挿通され、抜け止め片5を蝶番挿通孔8aの長手方向と交差する方向に位置させることで蝶番4が蝶番座8から抜けてしまうことは防止され、両者は連結される。これにより、軸部9が蝶番挿通孔8a内を挿通しながら移動することで、蓋本体2は受枠3に対して開閉動作される。
【0023】
蝶番4の軸部9には凹部11が形成されている。この凹部11は、左右幅方向にわたって軸部9の前側から後側に向けて凹んで形成されている。蓋本体2が受枠3内に収まったときの軸部9が蝶番座8の蝶番挿通孔8a内に挿通された状態で説明すると、蝶番座8の受載部8b側から蝶番挿通孔8a側に向けて左右幅方向にわたって凹んで形成されている。軸部9を長手方向に切断した縦断面において、凹部11の内面は湾曲している。すなわち、凹部11は湾曲面を有している。また、蝶番座8の受載部8bは、蝶番挿通孔8aに臨む側の上面の一部が、凹部11の湾曲面に倣って、略同曲率に形成されている。
【0024】
蝶番4のヘッド部6には、抜け止め片5と平行方向に延びる突出片13が形成されている。図1の例では、突出片13はヘッド部6の左右方向の両方に延出されているが、いずれか一方が延出されていればよい。一方で、蓋本体2の裏面に形成した軸受け体10には受け片14が形成され、この受け片14は突出片13と当接可能である。突出片13と受け片14が当接した状態(図1の状態)では、蝶番4は受枠3に対して略垂直姿勢となる。また、蓋本体2の裏面には放射状に延びるリブ15が複数形成されていて(図1では6個のリブ)、このうちいずれかはガイド部16として形成されている。図1の例では、ガイド部16は、蓋本体2に対して蝶番4が取付けられた側と反対側の下側に露出して設けられ、蝶番4と蓋本体2の中心とを結ぶ中心線C(図4参照)に対して対称(図4の例では中心線Cに対して30°の角度で対称)となるように形成されている。なお、ガイド部16をリブ15のいずれかと兼用して設けずに、リブ15とは別に設けてもよい。さらには、ガイド部16は、放射状に限らず、所定長さを有して延びていればどのような角度で設けられていてもよい(例えば井桁状)。
【0025】
上記のような構造を有する地下構造物用蓋1について、その開閉動作を図6〜図14を参照して以下に説明する。
【0026】
図6は蓋本体2が開いた状態を示している。この状態では、蝶番4の抜け止め片5が蝶番座8に係止され、蝶番4の軸部9は受枠3の中心方向に延びている。なお、このような図6における蝶番4の状態を開位置とする。このとき、蓋本体2のガイド部16はその下面において受枠3の蝶番座8が形成された反対側の受枠の上面3aに接している。すなわち、蓋本体2は受枠3の上面3a上に載置されている。ガイド部16の下面は蓋本体2の上面と略平行に形成されているため、この状態では蓋本体2の上面は受枠3の上面に対して略平行である。なお、ガイド部16には下方向に突出する突起17が形成されている。この突起17は、蓋本体2の移動を規制する係止部としての働きを有する。具体的には、受枠の上面3aと突起17が係止されるので、蓋本体2は受枠3に対して平行方向(矢印D方向)に移動されない。すなわち、後述するように、蓋本体2を受枠3に収める際にはガイド部16を受枠の上面3aに沿って移動させるわけだが、この移動が不用意に生じることを防止できる。例えば、傾斜している路面に受枠3が設置された場合、蓋本体2が自重により受枠3内に滑り落ちることを防止できる。なお、突起17ではなく受枠の上面3aを受け入れ可能な大きさの溝を形成して係止部としてもよく、受枠の上面3aに係止部を形成してもよい。
【0027】
作業者は、蓋本体2を受枠3に収める場合には、蓋本体2を矢印D方向(蝶番4が取付けられた側)に押し込む。これにより、図7に示すように、ガイド部16の下面と受枠の上面3aが摺動し、蓋本体2が受枠3に対して略平行方向に移動する。同時に、蝶番4と蝶番座8の受載部8bが摺接し、蝶番4は斜め下方向に移動する。この移動中は、蓋本体2は若干斜め下方向に向けて移動する。このとき、蓋本体2が受枠3に対して平面視で見て左右に少しずれた位置にあっても、上述したように放射状に形成されたガイド部16が蓋本体2を所定位置に導くことができる。すなわち、蝶番4が開位置にあるときに、平面視で見て蓋本体2の中心線Cとこの中心線Cに対応する受枠の中心線とが一致していない場合であっても、蓋本体2が受枠3に沿って移動する際にガイド部16により両中心線が一致する方向に導かれる。このため、蓋本体2を適切な位置にて受枠3に収めることができるようになる。
【0028】
そして、蝶番座8の受載部8bが蝶番4の凹部11内に入り込む。そして、図8に示すように、蝶番4は受載部8bを中心に矢印E方向に回動する。この回動動作は、凹部11の湾曲面と受載部8bの蝶番挿通孔8aに臨む上面とが摺接することにより生じる。すなわち、蝶番座8の受載部8bは、蝶番挿通孔8aに臨む側の上面の一部が、凹部11の湾曲面に倣って、略同曲率の部位を有するため、受載部8bが凹部11の湾曲面に当接している間は凹部11が受載部8bの蝶番挿通孔8aに臨む側の上面に沿って摺動し、蝶番4が受載部8bを中心に回動することになる。この回動動作中は、蓋本体2はそのままの姿勢で横方向(矢印D方向)に移動する。これにより、蓋本体2が受枠3に対して斜め下方向に向かって入り込むことを防止できる。上述したように、蓋本体2は受枠3の上面3aに沿ってガイド部16を介して受枠3に対して平行に移動するので、蝶番4の回動動作と相俟って、確実に蓋本体2は受枠3に対して平行に移動させることができる。
【0029】
そして、ある程度蝶番4が回動すると、上述した蝶番4の突出片13が軸受け体10の受け片14に突き当たる。この状態になって、蝶番4の矢印E方向への回動は規制され、蝶番4は上述した略垂直姿勢となる。この略垂直姿勢にて、凹部11の上端縁11aにおける湾曲面に対する接線Qは受枠3に対して平行若しくは受枠の中心方向に向けて斜め上方に延びている(図8では若干斜め上方に向けて延びている)。したがって、この状態での蝶番4は、回動は規制されているが凹部11は受載部8bに対して横方向(矢印D方向)に離れることが可能である。このため、図9に示すように、蓋本体2は矢印D方向に押し込まれているため、凹部11が受載部8bから離れ、蝶番4は横方向(矢印D方向)に移動される。このときにおいても、蓋本体2は受枠3に対して略平行状態を維持したまま移動している。
【0030】
そして、図10に示すように、蓋本体2が落下し始める。このときは、蓋本体2が横方向にある程度移動した後であるので、受枠3のほぼ真上に蓋本体2を配置している。そして、蓋本体2は受枠3に対して略平行状態のままであるため、そのまま受枠3に向けて落下する。よって、蓋本体2を閉めた場合に、蓋本体2と受枠3とで段差が発生することを防止し、受枠3に対して蓋本体2を略平行状態のまま確実に収めることができる。なお、開閉バールで蓋本体2を少し持ち上げながら受枠内に押し込むため、図10に示すとおり、蓋本体2は若干傾いた状態で落下するが、本発明で言う略平行状態とは、このように蓋本体2が若干傾いた状態も含まれる。
【0031】
そして、図11に示すように、蝶番4のヘッド部6に形成された突出部18が蝶番座8の受載部8bに当接する。具体的には、突出部18はヘッド部6の受載部8b側に向けて突出して設けられていて、この突出部18が蝶番4の落下に伴い受載部8bの上面に接触する。この突出部18も凹部11と同様な湾曲面が形成されている。したがって、以降はこの突出部18の湾曲面が受載部8bと摺接する。これにより、最終的に蓋本体2が正確な位置で受枠3に収まるようにガイドされる。
【0032】
そして、図12に示すように、突出部18が受載部8bに沿って移動するとともに、蓋本体2が受枠3内に収まる。このときの蝶番4の位置を閉位置とする。したがって、蓋本体2が開いた状態から受枠3内に収まる状態まで移動すると、蝶番4が開位置から閉位置に移動することになる。
【0033】
このように、蓋本体2を受枠3内に収めて閉める場合、すなわち蝶番4を開位置から閉位置に移動させる場合に、凹部11に蝶番座8の受載部8bが入り込み、蝶番4が受載部8bを中心に回動するので、蓋本体2の上面を受枠3の上面に対して略平行状態のまま横方向に移動させることができる。そして、そのままの状態で凹部11が受載部8bから離れることで蓋本体2を受枠3に対してほぼ真上から落下させることができるため、蓋本体2を閉めた場合に、蓋本体2と受枠3とで段差が発生することを防止し、受枠3に対して蓋本体2を略平行状態として確実に収めることができる。
【0034】
蓋本体2を開けるときは、上記と逆の手順となるが、蓋本体2を最初に引き上げる際、作業者は開閉バール等の工具を用いる。開閉バールは蓋本体2の外周縁の一端に設けられたバール孔19に開閉バールを挿し込んで引き上げる。また、中心線Cを挟んで60°の角度の位置に中心線Cに対して対称に補助バール孔23が設けられている(図4参照)。この補助バール孔23の下側には、図13に示すように、外側に向けて突出する突出部20がそれぞれ形成されている。このような突出部20があることにより、蓋本体2が受枠3からずり上がることを防止できる。この突出部20は、中心線Cを挟んで60°の角度の位置に中心線Cに対して対称に設けることが最も効果的である。また、図14に示すように、突出部20が形成された以外の蓋本体2の下側周縁部21は、受枠3の受枠本体3bの下面22よりも下側に延びている。これによっても、蓋本体2が受枠3からずり上がることを防止できる。
【0035】
一方で、上述した蓋本体2のガイド部16の下面を傾斜させてもよい。具体的には、ガイド部16の下面が蓋本体2の中心線Cから外側に向けて蓋本体の上面方向に傾斜させる。このようにすれば、蓋本体2が受枠3に対して平面視で見て左右に少しずれた位置にあるとき、すなわち蝶番4が開位置にあるときに、平面視で見て蓋本体2の中心線Cとこの中心線Cに対応する受枠の中心線とが一致していない場合であっても、蓋本体2が受枠の上面3aに沿って移動する際にガイド部16により両中心線が一致する方向に導かれる。このため、蓋本体2を適切な位置にて受枠3に収めることができるようになる。さらにこの効果を高めるため、ガイド部16の下面の傾斜角度を蓋本体2の中心に向けて徐々に大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 地下構造物用蓋
2 蓋本体
3 受枠
3a 受枠の上面
3b 受枠本体
4 蝶番
5 抜け止め片
6 ヘッド部
7 回転軸
8 蝶番座
8a 蝶番挿通孔
8b 受載部
9 軸部
10 軸受け体
11 凹部
13 突出片
14 受け片
15 リブ
16 ガイド部
17 突起(係止部)
18 突出部
19 バール孔
20 突出部
21 蓋本体の下側周縁部
22 枠本体の下面
23 補助バール孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受枠と、
該受枠の内側に突出し、先端に受載部を有し、中央に蝶番挿通孔を有する蝶番座と、
該蝶番座の蝶番挿通孔に挿通された軸部を有し、下端に抜け止め片が形成され、上端にヘッド部が形成された蝶番と、
下側に揺動可能に取付けられた前記蝶番を介して、前記受枠に対して開閉可能に取付けられる蓋本体と
を備えた地下構造物用蓋において、
前記蝶番の軸部は、縦断面において湾曲している湾曲面を含む凹部を有し、
前記蝶番座の受載部は、前記蝶番挿通孔に臨む側の上面の少なくとも一部が、前記湾曲面に倣ったことを特徴とする地下構造物用蓋。
【請求項2】
前記蝶番は、前記蓋本体が前記受枠内に収まった状態の閉位置と、前記抜け止め片が前記蝶番座に接触して前記受枠の内側方向に延びた状態の開位置との間で移動可能であり、
前記蓋本体が蝶番側に押されることにより前記蝶番の軸部が前記蝶番座の受載部に沿って摺動しながら下降し、
前記受載部が前記凹部に入り込んで前記蝶番が前記受載部を回転軸として回転するとともに前記蓋本体の上面が前記受枠の上面に対して略平行状態を維持したまま移動し、
前記凹部が前記受載部から離れて前記蓋本体の上面が前記受枠の上面に対して略平行状態のまま落下して前記蝶番が閉位置となることを特徴とする請求項1に記載の地下構造物用蓋。
【請求項3】
前記蝶番のヘッド部には、左右の少なくともいずれか一方に延出した突出片を有し、
前記蓋本体の下側には前記突出片と当接可能な受け片が形成され、
前記突出片と前記受け片が当接した状態で前記蝶番は前記受枠の上面に対して略垂直姿勢となる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の地下構造物用蓋。
【請求項4】
前記蓋本体は、前記蓋本体を受枠に収める際に、前記受枠の上面と接するガイド部を有し、
該ガイド部は、前記蓋本体の上面に対して略平行な下面を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の地下構造物用蓋。
【請求項5】
前記ガイド部の下面又は前記受枠の上面には、前記ガイド部の移動を規制するための係止部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の地下構造物用蓋。
【請求項6】
前記ガイド部は、前記蓋本体に対して前記蝶番が取付けられた側と反対側の前記蓋本体の下側に露出して設けられ、前記蓋本体の中心から放射状に延び、前記蝶番と前記蓋本体の中心とを結ぶ中心線に対して対称となるように形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の地下構造物用蓋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate