説明

地下水の浄化方法及びその装置

【課題】鉄の除去部分とマンガンの除去部分とを分離し、微生物の活動に適した溶存酸素濃度を与えられるようにした地下水の浄化装置を提供すること。
【解決手段】筒状の濾過処理塔1の内部を区画して、上向流を形成する第1流路4と、この第1流路4と上部で連通して下向流を形成する第2流路5とを形成し、第1流路4に除鉄用濾材2を配設し、第2流路5に除マンガン用濾材3を配設するとともに、第1流路4の除鉄用濾材2の下に原水導入部6と、酸素又は酸素を溶解させた水導入部7とを設け、除鉄用濾材2の上に酸素又は酸素を溶解させた水及び微細気泡導入部8を設け、かつ第1流路4と第2流路5の連通部の上にフロスを排出するフロス排出部9を設け、第2流路5の除マンガン用濾材3の下に処理水の導出部10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下水の浄化装置に関し、特に、鉄の除去部分とマンガンの除去部分とを分離し、その各部に於いて各々の微生物の活動に適した溶存酸素濃度を与えられるようにした地下水の浄化方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
井戸水などの地下水中には、鉄、マンガン及びアンモニア性窒素等が溶解しているケースが見られる。
従来の地下水の浄化装置では、上記物質の塩素酸化による除去が試みられていたが、塩素剤注入管理の難しさや、仮にそれらの物質が除去されたにせよ残留塩素濃度の高すぎによる「カルキ臭」、さらに塩素と地下水中の有機化合物との反応による有害な副生成物の発生など、次第に社会的に受容され難くなり、その結果、地下水源としての取水井が数多く放棄されている。
【0003】
このような状況の中で、今後受け入れられる可能性のある地下水の浄化装置としては、地中に生息するバクテリアを利用して、鉄、マンガン及びアンモニア性窒素を除去する地下水の浄化装置がある。
この地下水の浄化装置は、薬品として唯一使用の可能性があるものは、微生物を活性化させるためのリン酸塩位のものである(但し法定の滅菌用の塩素剤は除く)。
【0004】
ところで、このような地下水の浄化装置では、原水に対して微生物を作用させる過程で、溶存酸素を補給するのが微生物によるFe、Mn、NH4+除去の常法であるが、除鉄バクテリアと除マンガンバクテリアでは適する溶存酸素濃度が異なり、従来の浄化装置では、筒状に形成した1つの濾過処理塔にこれらのバクテリアを一緒に担持することから、各々のバクテリア群に適する溶存酸素のコントロールが困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の地下水の浄化装置が有する問題点に鑑み、鉄の除去部分とマンガンの除去部分とを分離し、微生物の活動に適した溶存酸素濃度を与えられるようにした地下水の浄化方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本第1発明の地下水の浄化方法は、除鉄用濾材を配設した第1流路に、酸素又は酸素を溶解させた水を一次DOとして供給して、原水中の除鉄処理に必要な濃度の溶存酸素を供給した後、除マンガン用濾材を配設した第2流路に、酸素又は酸素を溶解させた水を二次DOとして供給して、原水中の除マンガン処理に必要な濃度の溶存酸素を供給することを特徴とする。
【0007】
そして、この地下水の浄化方法を実施するための本発明の地下水の浄化装置は、筒状の濾過処理塔の内部を区画して、上向流を形成する第1流路と、該第1流路と上部で連通して下向流を形成する第2流路とを形成し、第1流路に除鉄用濾材を配設し、第2流路に除マンガン用濾材を配設するとともに、第1流路の除鉄用濾材の下に原水導入部と、酸素又は酸素を溶解させた水導入部とを設け、除鉄用濾材の上に酸素又は酸素を溶解させた水及び微細気泡導入部を設け、かつ第1流路と第2流路の連通部の上にフロスを排出するフロス排出部を設け、第2流路の除マンガン用濾材の下に処理水の導出部を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、同様に、この地下水の浄化方法を実施するための本発明の地下水の浄化装置は、筒状の濾過処理塔の内部を区画して、下向流を形成する第1流路と、該第1流路と接続流路を介することによって連通して下向流を形成する第2流路とを形成し、第1流路に除鉄用濾材を配設し、第2流路に除マンガン用濾材を配設するとともに、第1流路に原水導入部と、酸素又は酸素を溶解させた水導入部とを設け、接続流路の始端部に酸素又は酸素を溶解させた水導入部を、終端部に気液分離部を設け、第2流路の除マンガン用濾材の下に処理水の導出部を設けたことを特徴とする。
【0009】
この場合において、除鉄用濾材に、除鉄バクテリアを担持する除鉄用濾材を用いるようにすることができる。
【0010】
また、除マンガン用濾材に、除マンガンバクテリアを担持する除マンガン用濾材を用いることができる。
【0011】
さらに、本第2発明の地下水の浄化装置は、筒状の濾過処理塔の内部を区画して、上向流を形成する第1流路と、該第1流路と上部で連通して下向流を形成する第2流路とを形成し、第1流路に緩速撹拌機構を構成するプレートを配設し、第2流路に濾材を配設するとともに、第1流路に原水導入部と過マンガン酸カリウム溶液導入部とを設け、緩速撹拌機構の上に微細気泡を発生する気泡導入部を設け、かつ第1流路と第2流路の連通部の上にフロスを排出するフロス排出部を設け、第2流路の濾材の下に処理水の導出部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本第1発明の地下水の浄化方法及びその装置によれば、鉄の除去部分とマンガンの除去部分とを分離し、微生物の活動に適した溶存酸素濃度を与えることができ、これにより、バクテリアの活性を高めるとともに、濾材におけるバクテリアの住み分けを促進し、浄化の効率を向上させることができる。
【0013】
また、除鉄用濾材に、除鉄バクテリアを担持する除鉄用濾材を用いるようにしたり、除マンガン用濾材に、除マンガンバクテリアを担持する除マンガン用濾材を用いるようにすることにより、原水中の除鉄処理や除マンガン処理を微生物により行うことができる。
【0014】
また、本第2発明の地下水の浄化装置によれば、本第1発明の地下水の浄化装置とほぼ同構造の装置を用いて、鉄やマンガン濃度が極めて高い場合や鉄バクテリアやマンガンバクテリアの数が増えるのも待っていられないような緊急の場合等でも、除鉄、除マンガン処理を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の地下水の浄化方法及びその装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1〜図2に、本発明の地下水の浄化装置の第1実施例を示す。
この地下水の浄化装置は、筒状の濾過処理塔1の内部を区画して、上向流を形成する第1流路4と、この第1流路4と上部で連通して下向流を形成する第2流路5とを形成し、第1流路4に除鉄バクテリアを担持する除鉄用濾材2を配設し、第2流路5に除マンガンバクテリアを担持する除マンガン用濾材3を配設するとともに、第1流路4の除鉄用濾材2の下に原水導入部6と、酸素又は酸素を溶解させた水導入部7とを設け、除鉄用濾材2の上に酸素又は酸素を溶解させた水及び微細気泡導入部8を設け、かつ第1流路4と第2流路5の連通部の上にフロスを排出するフロス排出部9を設け、第2流路5の除マンガン用濾材3の下に処理水の導出部10を設けている。
【0017】
濾過処理塔1は、縦置きした有底の外筒11と、この外筒11内に同心状に配設された有底の内筒12とを備え、内筒12の内部を第1流路4、外筒11と内筒12の間を第2流路5としている。
外筒11は、上部を内筒12よりも高くすることにより、内筒12との連通部を形成するとともに、裁頭円錐状のホッパ13を上部に設置することにより、水酸化第二鉄細片群のフロスをオーバーフローにより排出するフロス排出部9を形成している。
【0018】
第1流路4には除鉄バクテリアが繁殖する除鉄用濾材2が配設されるとともに、第2流路5には除マンガンバクテリアが繁殖する除マンガン用濾材3が配設されている。
これらは装置のコンパクト化を狙ったものであり、各々のバクテリア群に適した濃度の溶存酸素の補給を行い、かつ除マンガン用濾材3にとってその阻害要因ともなりかねない鉄水酸化物塊と一体化した除鉄バクテリアの除去を効果的に行うためのものである。
【0019】
次に、本実施例の地下水の浄化装置の作用を説明する。
原水の流れに沿って各処理工程をたどっていくと、まず取水井からポンプアップされた地下水は内筒12の下端部の原水導入部6より内筒12に対して接線方向に流入し、内筒内旋回流を形成する。
また、図3に示すガス溶解塔14の溶解タンクで酸素を溶解させた水(この場合、酸素(又は空気)を用いることもできる。)を、酸素又は酸素を溶解させた水導入部7から一次DOとして一次DOノズル15から内筒12に注入し、原水中のFe2+の酸化に必要な濃度の溶存酸素を供給する。
【0020】
溶存酸素の補給を受けた原水は、直ちに上向流にて、除鉄バクテリアを繁殖させてある除鉄用濾材2の中を通過してゆく。
この過程で、Fe2+は除鉄バクテリアの外側に水酸化第二鉄層として固形化して水中から除去されるとともに、常に上向流によりバクテリアの担持体である除鉄用濾材2が緩やかに動いているために、除鉄用濾材2表面の余剰の水酸化第二鉄層がこすれ合い、余剰の水酸化第二鉄の細片が上方向へ排出されてゆく。その結果、原水と除鉄バクテリアの接触がよく維持されることになる。
【0021】
内筒12をさらに上昇していくと、減圧ノズル(二次DOノズル)16を装着した酸素又は酸素を溶解させた水及び微細気泡導入部8にこれらの水酸化第二鉄の細片が到達する。
そこに於いて、減圧ノズル(二次DOノズル)16から放出されている数十ミクロンの直径の微細気泡とこれらの細片が合体し、図2に示すように、上昇速度を増しながら処理塔頂部の水面に向かってゆく。
この場合、図3に示すガス溶解塔14の溶解タンクで酸素を溶解させた水(この場合、酸素(又は空気)を用いることもできる。)を、二次DOとして酸素又は酸素を溶解させた水及び微細気泡導入部8から、減圧ノズル(二次DOノズル)16を介して、内筒12に注入し、原水中の除マンガン処理に必要な濃度の溶存酸素を供給する。
水面に達した多数の気泡と水酸化第二鉄細片群はフロスを形成し、以下のような操作の内のいずれかにより水中から排除される。
この場合、内筒12の適宜位置において、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等の凝集剤を添加し、フロック化を促進させることができる。
操作その1:フロスを専用のスクレーパーのようなかき寄せ機により処理塔の頂部からかき落とす。
操作その2:処理水導出部10に設けたフロス放出用遮断弁17を閉じ、処理塔内の水位を上昇させ、水面にたまったフロス層を処理塔の外へ流去させる。
この場合、操作1と操作2を併用してもよい。
濾層内の気泡は、除マンガン用濾材3内においてDO又はDNとして水中に溶解していた空気や酸素や窒素が析出、集合することにより大径化して生じ、正常な濾過を妨げる働きをするが、上記の操作により下向流速によって濾層内に拘束されていた気泡が上方へ浮力のために抜けてゆき、通常の濾過速度を維持することが可能になる。
【0022】
以上のように、余剰な鉄の水酸化物は殆んど除去されるのであるが、これと同時に微細気泡から水中に二次DOとして溶存酸素がもたらされる。
微細気泡から水中に酸素がもたらされることにより、連通部の反転流中の水中の溶存酸素濃度は除鉄部分よりも高められることとなる。
これが次の工程である除マンガン処理にとって都合のよい条件となり、除マンガンバクテリアの除マンガン機能が高められることとなる。
この場合、溶存酸素濃度は、ある一定限度を超えると除鉄バクテリアの活性・生育にとって好ましくない条件となるが、各部に於いて各々の微生物の活動に適した溶存酸素濃度を与えることにより、結果的に各々の濾材に於けるバクテリアの住み分けができるようになる。
【0023】
なお、除鉄用濾材2は、逆洗管20、21から逆洗水や逆洗空気を供給することによって逆洗浄して、捕捉物質や余剰なバクテリア及び鉄酸化物等を内筒12上部のフロス排出部9から排泥管22を介して濾過処理塔1の外へ流去できるようにしている。
また、除マンガン用濾材3は、処理水導出部10の逆洗管18から逆洗水を供給することによって逆洗浄して、捕捉物質や余剰なバクテリア及びマンガン酸化物等を外筒11上部の排水管19から濾過処理塔1の外へ流去できるようにしている。
【0024】
このように、DOに富んだ中間処理水のほんの一部はフロスの除去に伴って流出してゆくが、大部分は図示したように反転して下降し、除マンガン用濾材3を通過してゆく。
この除マンガン用濾材3の上部は、粒状活性炭のような比較的粗な濾材で構成され、下部はケイ砂、支持砂利層で構成され、除マンガン機能を果たすと同時に、ある程度の除濁機能を果たすようになっている。
必要とあれば、別体として除濁専用のコンベンショナルな急速濾過器を設置してもよい。
なお、アンモニア性窒素の除去は、この除マンガン用濾材3で行うことができ、また、アンモニアの除去は除鉄用濾材2でも行うことができる。
【0025】
かくして、本実施例の地下水の浄化装置によれば、筒状の濾過処理塔1の内部に、除鉄バクテリアを担持する除鉄用濾材2と、除マンガンバクテリアを担持する除マンガン用濾材3とを配設した地下水の浄化装置において、濾過処理塔1の内部を区画して、上向流を形成する第1流路4と、該第1流路4と上部で連通して下向流を形成する第2流路5とを形成し、第1流路4に除鉄用濾材2を配設し、第2流路5に除マンガン用濾材3を配設するとともに、第1流路4の除鉄用濾材2の下に原水導入部6と酸素又は酸素を溶解させた水導入部7とを設け、除鉄用濾材2の上に酸素又は酸素を溶解させた水及び微細気泡導入部8を設け、かつ第1流路4と第2流路5の連通部の上にフロスを排出するフロス排出部9を設け、第2流路5の除マンガン用濾材3の下に処理水導出部10を設けることから、鉄の除去部分とマンガンの除去部分とを分離し、その各部に於いて各々の微生物の活動に適した溶存酸素濃度を与えることができ、これにより、各バクテリアの活性を高めるとともに、各々の濾材におけるバクテリアの住み分けを促進し、浄化の効率を向上させることができる。
【実施例2】
【0026】
ところで、上記第1実施例の地下水の浄化装置においては、原水中の除マンガン処理に、除マンガンバクテリアを担持する除マンガン用濾材3を用いるようにしたが、図4の本発明の地下水の浄化装置の第2実施例のチャート図に示すように、除マンガン処理を、高性能の除マンガン用濾材を用いて行うこともできる。
この除マンガン用濾材には、マンガン砂を好適に用いることができ、特に、セラミックを基材に用い、MnOの付着量を増大させることができるようにしたものをより好適に用いることができる。
これにより、コンパクトなスペース内で高度の除マンガン処理を行うことができる。
なお、現在の水道法では滅菌のために塩素注入を行わざるを得ないことから、除鉄及びアンモニア性窒素の除去の完了した水に対してマンガン砂による除マンガン処理を行っても何らの問題もない。さらに、除マンガン処理をバクテリア処理とした場合に必要となる可能性のある除濁、除菌のための後凝集やそれに引き続く別体の砂濾過が不要になる(この第2実施例の地下水の浄化装置だけで、高レベルの処理水を得ることができる)という利点がある。
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1実施例の地下水の浄化装置と同様である。
【実施例3】
【0027】
また、上記第1及び第2実施例の地下水の浄化装置においては、筒状の濾過処理塔1の内部を区画して、上向流を形成する第1流路4と、この第1流路4と上部で連通して下向流を形成する第2流路5とを形成するようにしたが、図5の本発明の地下水の浄化装置の第3実施例に示すように、筒状の濾過処理塔1の内部を区画して、下向流を形成する第1流路4と、この第1流路4と接続流路23を介することによって連通して下向流を形成する第2流路5とを形成し、第1流路4に除鉄バクテリアを担持する除鉄用濾材2を配設し、第2流路5に除マンガンバクテリアを担持する除マンガン用濾材3を配設するとともに、第1流路4に原水導入部6と、酸素又は酸素を溶解させた水導入部7とを設け、接続流路23の始端部に酸素又は酸素を溶解させた水導入部8Aを、終端部に気液分離部24を設け、第2流路5の除マンガン用濾材3の下に処理水の導出部10を設けている。
そして、本実施例のように、第1流路4において下向流を形成するようにすることによって、原水中に高濃度(例えば、5mg/L以上)の鉄分が存在する場合の鉄分の除去を効率よく行うことができるとともに、従来技術を転用しやすく、装置の設計を簡易に行うことができる利点がある。
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1実施例の地下水の浄化装置と同様である。
【実施例4】
【0028】
さらに、鉄やマンガン濃度が極めて高い場合には、バクテリア処理に代えて、鉄やマンガンに対する酸化力が強く、しかも反応が極めて迅速な過マンガン酸カリウム等の薬品による処理を行ってもよい。特に、鉄バクテリアやマンガンバクテリアの数が増えるのも待っていられないような緊急時には有用な手法となる。
具体的には、上記第1実施例の図1〜図2に示す濾過処理塔1と同様の装置を使用し、内筒12に収容する鉄バクテリアを繁殖させるべき除鉄用濾材2に代えて、内筒12中に、原水中に過マンガン酸カリウム溶液を注入した後に形成され始める水酸化鉄とマンガン酸化物が一体化したフロックをさらに成長させ大径化させるための緩速撹拌機構を組み込む。一例として、迂流を形成させるようなプレートを何段か入れ、フロックの形成を促進するようにする。
また、酸素又は酸素を溶解させた水導入部7から導入する溶存酸素を含んだ水の代わりに、過マンガン酸カリウム溶液を注入し、それよりFe2+とMn2+の酸化による固形化を行わしめる。
内筒12の中で注入した薬品との反応が完結し、微小フロックができた時点で、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等の凝集剤を添加し、フロック化を促進させる。
フロックが十分に成長した段階(内筒12の上方部)で、減圧ノズル(二次DOノズル)16から放出させた微細気泡をフロックに付着させ、フロスとして系外へ排出する。残るアンモニア性窒素については、フロス除去後の反転流中にリン酸塩を若干注入し、外筒11に収容する除マンガン用濾材3に対応する濾材中に繁殖したバクテリアにより硝化を行って除去することができる。
【0029】
以上、本発明の地下水の浄化方法及びその装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、実施例に記載した構成を適宜組み合わせるなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の地下水の浄化方法及びその装置は、鉄の除去部分とマンガンの除去部分とを分離し、その各部に於いて各々の微生物の活動に適した溶存酸素濃度を与えるという特性を有していることから、例えば、高速でコンパクトな地下水の浄化装置として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の地下水の浄化装置の第1実施例を示す正面図である。
【図2】同正面断面図である。
【図3】同浄化装置を用いた地下水の浄化システムを示すチャート図である。
【図4】本発明の第2実施例の地下水の浄化装置を用いた地下水の浄化システムを示すチャート図である。
【図5】本発明の地下水の浄化装置の第3実施例を示し、(a)は正面断面図、(b)は気液分離部の詳細図である。
【符号の説明】
【0032】
1 濾過処理塔
2 除鉄用濾材
3 除マンガン用濾材
4 第1流路
5 第2流路
6 原水導入部
7 酸素又は酸素を溶解させた水導入部(一次DO)
8 酸素又は酸素を溶解させた水及び微細気泡導入部(二次DO)
8A 酸素又は酸素を溶解させた水導入部(二次DO)
9 フロス排出部
10 処理水導出部
11 外筒
12 内筒
13 ホッパ
14 ガス溶解塔
15 一次DOノズル
16 減圧ノズル(二次DOノズル)
17 フロス放出用遮断弁
18 逆洗管
19 排水管
20 逆洗管
21 逆洗管
22 排泥管
23 接続流路
24 気液分離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除鉄用濾材を配設した第1流路に、酸素又は酸素を溶解させた水を一次DOとして供給して、原水中の除鉄処理に必要な濃度の溶存酸素を供給した後、除マンガン用濾材を配設した第2流路に、酸素又は酸素を溶解させた水を二次DOとして供給して、原水中の除マンガン処理に必要な濃度の溶存酸素を供給することを特徴とする地下水の浄化方法。
【請求項2】
筒状の濾過処理塔の内部を区画して、上向流を形成する第1流路と、該第1流路と上部で連通して下向流を形成する第2流路とを形成し、第1流路に除鉄用濾材を配設し、第2流路に除マンガン用濾材を配設するとともに、第1流路の除鉄用濾材の下に原水導入部と、酸素又は酸素を溶解させた水導入部とを設け、除鉄用濾材の上に酸素又は酸素を溶解させた水及び微細気泡導入部を設け、かつ第1流路と第2流路の連通部の上にフロスを排出するフロス排出部を設け、第2流路の除マンガン用濾材の下に処理水の導出部を設けたことを特徴とする地下水の浄化装置。
【請求項3】
筒状の濾過処理塔の内部を区画して、下向流を形成する第1流路と、該第1流路と接続流路を介することによって連通して下向流を形成する第2流路とを形成し、第1流路に除鉄用濾材を配設し、第2流路に除マンガン用濾材を配設するとともに、第1流路に原水導入部と、酸素又は酸素を溶解させた水導入部とを設け、接続流路の始端部に酸素又は酸素を溶解させた水導入部を、終端部に気液分離部を設け、第2流路の除マンガン用濾材の下に処理水の導出部を設けたことを特徴とする地下水の浄化装置。
【請求項4】
除鉄用濾材に、除鉄バクテリアを担持する除鉄用濾材を用いるようにしたことを特徴とする請求項2又は3記載の地下水の浄化装置。
【請求項5】
除マンガン用濾材に、除マンガンバクテリアを担持する除マンガン用濾材を用いるようにしたことを特徴とする請求項2、3又は4記載の地下水の浄化装置。
【請求項6】
筒状の濾過処理塔の内部を区画して、上向流を形成する第1流路と、該第1流路と上部で連通して下向流を形成する第2流路とを形成し、第1流路に緩速撹拌機構を構成するプレートを配設し、第2流路に濾材を配設するとともに、第1流路に原水導入部と過マンガン酸カリウム溶液導入部とを設け、緩速撹拌機構の上に微細気泡を発生する気泡導入部を設け、かつ第1流路と第2流路の連通部の上にフロスを排出するフロス排出部を設け、第2流路の濾材の下に処理水の導出部を設けたことを特徴とする地下水の浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−61809(P2007−61809A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106460(P2006−106460)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000238186)扶桑建設工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】