説明

地下電力ケーブル防災用シートおよび地下電力ケーブルの防災方法

【課題】この発明は、電力の供給トラブルを防止することが可能な、地下電力ケーブル防災用シートおよび地下電力ケーブルの防災方法を提供することにある。
【解決手段】ポリ塩化ビニールを主成分とし、これにアルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムの少なくとも一つを混合させた混合物を、アラミド繊維からなるシートに含侵させたことを特徴とする地下電力ケーブル防災用シートおよびこれを用いた地下電力ケーブル防災方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地下に埋設された電力ケーブルの防災用シートおよびこれを用いた地下電力ケーブルの防災方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防災、景観の改善、路上スペースの確保等の目的で地下に埋設菅によって埋設される地下電力ケーブルには、通電中に何らかの不具合によって、爆発等の事故が発生した場合、その損害を最小限に留めるため、例えば図2に示すように、ケーブル18をアラミド繊維からなる防災シート12、14、16で3層程度に巻いて処置する方法が用いられている。
【0003】
複数層にシートで巻いた場合、一番外側の最外層シート12には外部から水分が浸み込まないようにポリ塩化ビニール(PVC)のコーティングを施しているのが普通である。通常地下電力ケーブルはその送電時には90℃以上もの導体温度になる。
【0004】
このため、爆発時等における、防災シートの強度の観点から、最外層シート12にかかる負荷を軽減させる目的で、地下電力ケーブル18と第1の防災シート16の間、第1の防災シート16と第2の防災シート14、第2の防災シート14と、最外層防災シート12との間には、意図的に多少の隙間S1、S2、S3を設けるようにしてある。
これらの隙間には、防災シートを構成しているアラミド繊維、ポリ塩化ビニール(PVC)自体の熱伝導性率が、それぞれ0.04W/(m・K)、0,17W(m・K)と低いため、導体温度が外に逃げ切れず蓄積される。特に、ポリ塩化ビニール(PVC)のコーティングが施されている最外層シート12と隣り合わせの内側の防災シート14の間の隙間には熱がいっそうこもりやすい。
【0005】
そのため、この部分の温度は60℃から70℃の熱が蓄積され、本来必要とされるケーブルのスペックが発揮できない状況になることがあった。
(特許文献1を参照)
【0006】
【特許文献1】特許第3663103号公報
【特許文献2】特開2007−282333
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、特に最外層の防災シートの放熱性を高めることによって各防災シート間の隙間に熱のこもりを無くし、電力の供給トラブルを防止することが可能な、地下電力ケーブル防災用シートおよび地下電力ケーブルの防災方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための
請求項1の発明では、ポリ塩化ビニールを主成分とし、これにアルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムの少なくとも一つを混合させた混合物を、アラミド繊維からなるシートに含侵させた地下電力ケーブル防災用シートを特徴とする。
請求項2の発明では、地下電力ケーブルの防災方法であって、地下に埋設されている電力ケーブルの束を包むアラミド繊維からなる第1の防災シート層、該第1の防災シート層の外側に位置し、前記第1の防災シートを包むアラミド繊維からなる第2の防災シート層、該第2の防災シート層の外側に位置し、前記2の防災シート層を包む、ポリ塩化ビニールを主成分とし、これにアルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムの少なくとも一つを混合させた混合物を、アラミド繊維からなるシートに含侵させたことを特徴とする地下電力ケーブル防災用シートの組み合わせ構造による、地下電力ケーブルの防災方法を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1発明は、ポリ塩化ビニールを主成分とし、これにアルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムの少なくとも一つを混合させるか、または2種類、3種類すべてを混合させた混合物を、アラミド繊維からなるシートに含侵させた構成としたことにより、耐久性、耐熱性に加え放熱性に優れた地下電力ケーブル用防災シートを提供することができる。
【0009】
請求項2発明は、地下電力ケーブルの防災方法であって、地下に埋設されている電力ケーブルの束を包むアラミド繊維からなる第1の防災シート層、該第1の防災シート層の外側に位置し、前記第1の防災シートを包むアラミド繊維からなる第2の防災シート層、該第2の防災シート層の外側に位置し、前記2の防災シート層を包む、ポリ塩化ビニールを主成分とし、これにアルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムの少なくとも一つを混合させた混合物を、アラミド繊維からなるシートに含侵させたことを特徴とする地下電力ケーブル防災用シートの組み合わせに構成としたため、特に熱がこもりやすい最外層内放熱性を良くし、地下電力ケーブルのスペックを確実に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0010】
以下にこの発明の地下電力ケーブル用防災シートの好適実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は実施例1の地下電力ケーブル用防災シートと防災方法を示す地下電力ケーブルの埋設状態をしめす断面図である。
【0011】
図1において、1は地下に埋設された管路である、管路1の中心部にはケーブル5配置され、該ケーブル5の周りは、アラミド繊維からなる第1の防災シート4が巻かれケーブル5を包み込んでいる。該第1の防災シート4の外側には、同じようにアラミド繊維からなる第2の防災シート3が巻かれ第1の防災シート4を包み込んでいる。そして、前記第2の防災シート3の外側には最外層シート2が巻かれ、第2の防災シート3を包みこんでいる。
【0012】
該最外層防災シート2は、前記第1の防災シート4および第2の防災シート3とは異なり、アラミド繊維からなるシートに主成分としてポリ塩化ビニール、これに、アルミナ、ジルコニア、窒化アウルミニウム、のいずれか1成分、又は2成分、あるいは3成分すべてを混合させたものを含浸させたもが有効である。
【0013】
アルミナ、ジルコニア、窒化アウルミニウム、はいずれも熱伝導率が高く、いわゆる放熱性が高いので、篭り熱が溜りやすい最外層シート2と該最外層シート2と隣合わせの内側の防災シートで構成される隙間部分の温度の上昇があっても管路1の側に放熱され、前記隙間部分の温度の上昇が少ない。
【0014】
尚、本実施例ではアラミド繊維からなるシート2を2層用いたが、場合によってはこれに限定されず第1の防災シート4と最外層の防災シート2の2層構成としてもよい。
【0015】
以上のような構成のため、耐久性、耐熱性に加え放熱性に優れた地下電力ケーブル用防災シートを提供することができるとともに、地下電力ケーブルのスペックを確実に確保することができる。
【0016】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で種々設計しうること勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 実施例1の地下電力ケーブル防災用シートおよび地下電力ケーブルの防災方法蒸用シートを示す構成断面図である。
【図2】 従来の地下電力ケーブル防災用シートおよび地下電力ケーブルの防災方法蒸用シートを示す構成断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 管路
2 最外層防災シート
3 第2の防災シート
4 第1の防災シート
5 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ塩化ビニールを主成分とし、これにアルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムの少なくとも一つを混合させた混合物を、アラミド繊維からなるシートに含侵させたことを特徴とする地下電力ケーブル防災用シート。
【請求項2】
地下電力ケーブルの防災方法であって、地下に埋設されている電力ケーブルの束を包むアラミド繊維からなる第1の防災シート層、該第1の防災シート層の外側に位置し、前記第1の防災シートを包むアラミド繊維からなる第2の防災シート層、該第2の防災シート層の外側に位置し、前記2の防災シート層を包む、ポリ塩化ビニールを主成分とし、これにアルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウムの少なくとも一つを混合させた混合物を、アラミド繊維からなるシートに含侵させたことを特徴とする地下電力ケーブル防災用シートの組み合わせにより、地下電力ケーブルを防災することを特徴とする地下電力ケーブルの防災方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−273344(P2009−273344A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146258(P2008−146258)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(599099526)株式会社光和 (9)
【Fターム(参考)】