地中埋設構造物浮上抑制装置
【課題】地震によりマンホールなどの地中埋設構造物が浮き上がる現象は従来から多く発生しているが、この現象はライフラインの破壊や救援車両の通行の阻げとなる為、これを防ぐ方策が求められていたが、施工が容易で効果が確実な方策は見当たらなかった。
【構成】円筒状をなし、上部は蓋板によって閉塞され、下端には掘進用の掘削刃が、外周には螺旋翼がそれぞれ固定され、回転推進により地盤強度の十分な深さに定着せしめられる翼付アンカーと;下端が前記翼付アンカーの上部に固定され、上部が固定対象である地中埋設構造物に接続される構造物固定用シャフト;とから地中埋設構造物浮上抑制装置を構成した。
【構成】円筒状をなし、上部は蓋板によって閉塞され、下端には掘進用の掘削刃が、外周には螺旋翼がそれぞれ固定され、回転推進により地盤強度の十分な深さに定着せしめられる翼付アンカーと;下端が前記翼付アンカーの上部に固定され、上部が固定対象である地中埋設構造物に接続される構造物固定用シャフト;とから地中埋設構造物浮上抑制装置を構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は地中埋設構造物浮上抑制装置、詳しくは、地震によってマンホールなどの地中埋設構造物が浮き上がる現象を効果的に阻止出来る装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
過去に発生した多くの大規模地震の際には、マンホールや地下水槽などの地中埋設構造物が地表に浮き上がる現象が発生しており、下水道、上水道などのライフラインの破壊や救援に向かう緊急自動車の通行を阻害したりする事態を招いていた。
【0003】
この地中埋設構造物の浮き上がり現象は、地盤が緩く地下水位の高いところでは、地震発生の際に、地盤内の間隙水圧が上昇して過剰間隙水圧となり、この過剰間隙水圧がマンホールなどの地中埋設構造物を押し上げることによって発生するものと考えられている。
【特許文献1】なし
【非特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来においては、この浮き上がり現象を防ぐ為、マンホールなどの地中埋設構造物の下部や下端に、セメントミルクを注入固化して地盤との間で抵抗を得る方法が多く用いられていたが、繰り返し起こる地震によって、セメントミルクが老化剥離し、最終的には地震に耐えられなくなってしまうことが多く、十分な対策とは言えなかった。
【0005】
又、マンホールなどの地中埋設構造物の周壁の各所に、静水圧では開放されず、過剰間隙水圧が加わった際にのみ開放される過剰間隙水圧消散弁を複数個取付け、この消散弁によって過剰間隙水圧の上昇を軽減させて地中埋設構造物の浮き上がりを抑制する試みもなされているが、必ずしも十分な効果を発揮するには到っておらず、根本的な解決策とは言えなかった。
【0006】
本発明者は、地震発生時のライフライン破壊や救援車両の通行の阻げとなる地中埋設構造物の浮き上がり現象を阻止する方策を鋭意研究した結果、低コストでこの現象を効果的に阻止出来る便利な装置を開発することに成功し、本発明としてここに提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
円筒状をなし、上部は蓋板によって閉塞され、下端には掘進用の掘削刃が、外周には螺旋翼がそれぞれ固定され、回転推進により地盤強度の十分な深さに定着せしめられる翼付アンカーと;下端が前記翼付アンカーの上部に固定され、上部が固定対象である地中埋設構造物に接続される構造物固定用シャフト;とから地中埋設構造物浮上抑制装置を構成することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る地中埋設構造物浮上抑制装置は、翼付アンカーを地盤強度の十分な支持層まで回転推進させ、そこに定着させ、構造物固定用シャフトによってマンホールなどの地中埋設構造物と翼付アンカーとを繋ぐことにより、地中埋設構造物を強固に固定するものであり、無排土で、極めて容易に施工出来、新設施設だけではなく、既存の施設にも何ら問題なく適用可能であり、地震に伴うマンホールなどの地中埋設構造物の浮き上がり現象を効果的に阻止し、上下水道などのライフラインや救援車両の通行路を確保し、地震による被害の拡大を最小限に抑えることが出来る効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
地盤の安定した支持層まで無排土で回転推進される翼付アンカーと、固定対象である地中埋設構造物と前記翼付アンカーとを繋ぎ合わせる構造物固定用シャフトとから地中埋設構造物浮上抑制装置を構成した点に最大の特徴がある。
【実施例1】
【0010】
図1はこの発明に係る地中埋設構造物浮上抑制装置の一実施例の縦断面図、図2は同じく、その底面図である。
【0011】
図中1は、この発明に係る地中埋設構造物浮上抑制装置の主要構成要素である翼付アンカーであり、筒状をなし、上部の開口部が円板上の蓋板2、下端の開口部が蓋板3によってそれぞれ閉塞されている鋼製の円筒体4の下端には、三角形をした一対の掘進用の掘削刃11,11が、図2に示す様に、円筒体4の軸芯からそれぞれ逆方向へ斜めにわずかに傾いた状態で固定されており、円筒体4の周壁5には、螺旋翼6が周壁5に巻き付く様に固定されている。なお、図中12は、掘削刃11を所定の角度に保つ為の保持板である。又、掘削刃11は、図3及び図4に示すものの様に、等間隔で円筒体4の周壁5にその基部18が固定され、それぞれの刃先19が下方に向かって突出したものであっても良い。なお、その場合、掘削刃11を螺旋翼6の下端から円筒体4の直径の1.5倍前後の間隔を取って、その下方に固定すれば、螺旋翼6の回転推進がよりスムーズになり、鉛直推進も容易になる。
【0012】
又、円筒体4の周壁5の上部からは、横方向へ向かって板状をなした一対の係止腕材8,8が突設されている。
【0013】
一方、図中15は構造物固定用シャフトであり、ネジ止め、溶接などの適宜手段によって翼付アンカー1の蓋板2の中央から上方に向かって植設されており、その上部は図5に示す様に、固定補助具9を介してマンホールなどの地中埋設構造物10の上部周壁に固定される様になっている。なお、この構造物固定用シャフト15の長さは、翼付アンカー1を十分に地盤強度がある所定深さに位置させることが出来るに足る寸法となっている。
【0014】
次に、図5及び図6を参照しながら、この実施例の使用方法について説明する。図6に示す様な、円筒体4の外径より大きな内径を有し、下端に翼付アンカー1の周壁5の上部に形成されている係止腕材8を係止可能な係合用切欠部14を有する回転ロッド13を用意し、係止腕材8,8に、係合用切欠部14を係合させ、翼付アンカー1と回転ロッド13とを接続し、回転ロッド13を適宜手段によって回転させて、固定すべき地中埋設構造物10近傍の地表から、十分に地盤強度のある所定深さまで無排土で回転推進させて、翼付アンカー1をその位置に定着させる。
【0015】
翼付アンカー1の定着が完了したなら、回転ロッド13の係合用切欠部14と翼付アンカー1の係止腕材8の係合を解き、回転ロッド13を引き抜き、翼付アンカー1に植設されている構造物固定用シャフト15の上部を固定補助具9を介してマンホールなどの地中埋設構造物10の上部にしっかりと固定する。なお、図6中、20は砂であり、回転ロッド13の内径側に砂20を供給しながら翼付アンカー1の回転推進を行えば、回転ロッド13を引き抜いた際に、図5に示す様に、この砂20が回転ロッド13の推進経路に充填されるので、地震発生時の過剰間隙水はこの部分に吸収される為、翼付アンカー1の地盤保持力は一層強力になる。
【0016】
なお、回転ロッド13を係合させる為の係止腕材8は、円筒体4の外側に設けるだけではなく、図7及び図8に示すものの様に、円筒体4の内側に、その対向した内周壁間をまたいで係止腕材8′を取付けても良く、この場合には図9に示す様に、円筒体4の内径より小さい外径の回転ロッド13′を円筒体4の内側に差し込み、その先端に形成されている係合用切欠部14′を係止腕材8′に係合させて翼付アンカー1の回転推進を行う。なお、この場合にも、回転ロッド13′の内径側に砂を供給しながら翼付アンカー1の回転推進を行う様にしても良い。
【0017】
又、螺旋翼6は図1及び図2に示したもののほか、図10、図11及び図12に示すものの様に、一対の半円形状翼体16,16を円筒体4の下端にX状に交差する様に固定したものや、図13及び図14に示すものの様に、螺旋翼6の表面に凸条17が形成されたものでも良く、翼付アンカー1を回転推進すべき地盤の土質、翼付アンカー1の大きさ、地中埋設構造物10の規模などに応じて適宜選択すれば良い。
【0018】
更に、図15に示すものの様に、螺旋翼6の周縁を上方に折り曲げて折り曲げ片7を形成しても良く、この様にすることにより、螺旋翼6の土砂抵抗はより一層大きくなる。
【0019】
以上述べた通り、この地中埋設構造物浮上抑制装置は、翼付アンカーを地盤強度の十分な支持層まで回転推進させ、そこに定着させ、構造物固定用シャフトによってマンホールなどの地中埋設構造物を強固に固定するものであり、無排土で極めて容易に施工出来、新設施設だけではなく、既存の施設にも何ら問題なく適用可能であり、地震に伴うマンホールなどの地中埋設構造物の浮き上がり現象を効果的に阻止し、上下水道などのライフラインや救援車両の通行路を確保し、地震による被害の拡大を最小限に抑えることが出来る効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0020】
水槽やマンホール、その他地中埋設構造物一般に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係る地中埋設構造物浮上抑制装置の一実施例の縦断面図。
【図2】同じく、下方から見たその底面図。
【図3】同じく、掘削刃11が円筒体4の周壁5に固定されている実施例の縦断面図。
【図4】同じく、下方から見たその底面図。
【図5】同じく、実際に地中埋設構造物の固定に用いた状態を示した説明図。
【図6】同じく、翼付アンカー1に回転ロッド13を係合させた状態の側面図。
【図7】同じく、係止腕材8′が円筒体4の内側に形成されている実施例の縦断面図。
【図8】図7に示した実施例を上方から見た状態の平面図。
【図9】図7に示した翼付アンカー1に回転ロッド13′を係合させた状態の側面図。
【図10】螺旋翼6が、一対の半円形状翼体16,16によって構成されている実施例の一部を切欠いて描いた側面図。
【図11】図10に示す実施例を下方から見た状態の底面図。
【図12】図10に示す実施例を90°横方向に変位した位置から見た側面図。
【図13】螺旋翼6に凸条17が形成されている実施例の縦断面図。
【図14】図13に示す実施例を下方から見た底面図。
【図15】螺旋翼6の周縁に折り曲げ片7が形成されている断面図の一部を切欠いて描いた側面図。
【符号の説明】
【0022】
1 翼付アンカー
2 蓋板
3 蓋板
4 円筒体
5 周壁
6 螺旋翼
7 折り返し片
8 係止腕材
9 固定補助具
10 地中埋設構造物
11 掘削刃
12 保持板
13 回転ロッド
14 係合用切欠部
15 構造物固定用シャフト
16 半円形状翼体
17 凸条
18 基部
19 刃先
20 砂
【技術分野】
【0001】
この発明は地中埋設構造物浮上抑制装置、詳しくは、地震によってマンホールなどの地中埋設構造物が浮き上がる現象を効果的に阻止出来る装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
過去に発生した多くの大規模地震の際には、マンホールや地下水槽などの地中埋設構造物が地表に浮き上がる現象が発生しており、下水道、上水道などのライフラインの破壊や救援に向かう緊急自動車の通行を阻害したりする事態を招いていた。
【0003】
この地中埋設構造物の浮き上がり現象は、地盤が緩く地下水位の高いところでは、地震発生の際に、地盤内の間隙水圧が上昇して過剰間隙水圧となり、この過剰間隙水圧がマンホールなどの地中埋設構造物を押し上げることによって発生するものと考えられている。
【特許文献1】なし
【非特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来においては、この浮き上がり現象を防ぐ為、マンホールなどの地中埋設構造物の下部や下端に、セメントミルクを注入固化して地盤との間で抵抗を得る方法が多く用いられていたが、繰り返し起こる地震によって、セメントミルクが老化剥離し、最終的には地震に耐えられなくなってしまうことが多く、十分な対策とは言えなかった。
【0005】
又、マンホールなどの地中埋設構造物の周壁の各所に、静水圧では開放されず、過剰間隙水圧が加わった際にのみ開放される過剰間隙水圧消散弁を複数個取付け、この消散弁によって過剰間隙水圧の上昇を軽減させて地中埋設構造物の浮き上がりを抑制する試みもなされているが、必ずしも十分な効果を発揮するには到っておらず、根本的な解決策とは言えなかった。
【0006】
本発明者は、地震発生時のライフライン破壊や救援車両の通行の阻げとなる地中埋設構造物の浮き上がり現象を阻止する方策を鋭意研究した結果、低コストでこの現象を効果的に阻止出来る便利な装置を開発することに成功し、本発明としてここに提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
円筒状をなし、上部は蓋板によって閉塞され、下端には掘進用の掘削刃が、外周には螺旋翼がそれぞれ固定され、回転推進により地盤強度の十分な深さに定着せしめられる翼付アンカーと;下端が前記翼付アンカーの上部に固定され、上部が固定対象である地中埋設構造物に接続される構造物固定用シャフト;とから地中埋設構造物浮上抑制装置を構成することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る地中埋設構造物浮上抑制装置は、翼付アンカーを地盤強度の十分な支持層まで回転推進させ、そこに定着させ、構造物固定用シャフトによってマンホールなどの地中埋設構造物と翼付アンカーとを繋ぐことにより、地中埋設構造物を強固に固定するものであり、無排土で、極めて容易に施工出来、新設施設だけではなく、既存の施設にも何ら問題なく適用可能であり、地震に伴うマンホールなどの地中埋設構造物の浮き上がり現象を効果的に阻止し、上下水道などのライフラインや救援車両の通行路を確保し、地震による被害の拡大を最小限に抑えることが出来る効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
地盤の安定した支持層まで無排土で回転推進される翼付アンカーと、固定対象である地中埋設構造物と前記翼付アンカーとを繋ぎ合わせる構造物固定用シャフトとから地中埋設構造物浮上抑制装置を構成した点に最大の特徴がある。
【実施例1】
【0010】
図1はこの発明に係る地中埋設構造物浮上抑制装置の一実施例の縦断面図、図2は同じく、その底面図である。
【0011】
図中1は、この発明に係る地中埋設構造物浮上抑制装置の主要構成要素である翼付アンカーであり、筒状をなし、上部の開口部が円板上の蓋板2、下端の開口部が蓋板3によってそれぞれ閉塞されている鋼製の円筒体4の下端には、三角形をした一対の掘進用の掘削刃11,11が、図2に示す様に、円筒体4の軸芯からそれぞれ逆方向へ斜めにわずかに傾いた状態で固定されており、円筒体4の周壁5には、螺旋翼6が周壁5に巻き付く様に固定されている。なお、図中12は、掘削刃11を所定の角度に保つ為の保持板である。又、掘削刃11は、図3及び図4に示すものの様に、等間隔で円筒体4の周壁5にその基部18が固定され、それぞれの刃先19が下方に向かって突出したものであっても良い。なお、その場合、掘削刃11を螺旋翼6の下端から円筒体4の直径の1.5倍前後の間隔を取って、その下方に固定すれば、螺旋翼6の回転推進がよりスムーズになり、鉛直推進も容易になる。
【0012】
又、円筒体4の周壁5の上部からは、横方向へ向かって板状をなした一対の係止腕材8,8が突設されている。
【0013】
一方、図中15は構造物固定用シャフトであり、ネジ止め、溶接などの適宜手段によって翼付アンカー1の蓋板2の中央から上方に向かって植設されており、その上部は図5に示す様に、固定補助具9を介してマンホールなどの地中埋設構造物10の上部周壁に固定される様になっている。なお、この構造物固定用シャフト15の長さは、翼付アンカー1を十分に地盤強度がある所定深さに位置させることが出来るに足る寸法となっている。
【0014】
次に、図5及び図6を参照しながら、この実施例の使用方法について説明する。図6に示す様な、円筒体4の外径より大きな内径を有し、下端に翼付アンカー1の周壁5の上部に形成されている係止腕材8を係止可能な係合用切欠部14を有する回転ロッド13を用意し、係止腕材8,8に、係合用切欠部14を係合させ、翼付アンカー1と回転ロッド13とを接続し、回転ロッド13を適宜手段によって回転させて、固定すべき地中埋設構造物10近傍の地表から、十分に地盤強度のある所定深さまで無排土で回転推進させて、翼付アンカー1をその位置に定着させる。
【0015】
翼付アンカー1の定着が完了したなら、回転ロッド13の係合用切欠部14と翼付アンカー1の係止腕材8の係合を解き、回転ロッド13を引き抜き、翼付アンカー1に植設されている構造物固定用シャフト15の上部を固定補助具9を介してマンホールなどの地中埋設構造物10の上部にしっかりと固定する。なお、図6中、20は砂であり、回転ロッド13の内径側に砂20を供給しながら翼付アンカー1の回転推進を行えば、回転ロッド13を引き抜いた際に、図5に示す様に、この砂20が回転ロッド13の推進経路に充填されるので、地震発生時の過剰間隙水はこの部分に吸収される為、翼付アンカー1の地盤保持力は一層強力になる。
【0016】
なお、回転ロッド13を係合させる為の係止腕材8は、円筒体4の外側に設けるだけではなく、図7及び図8に示すものの様に、円筒体4の内側に、その対向した内周壁間をまたいで係止腕材8′を取付けても良く、この場合には図9に示す様に、円筒体4の内径より小さい外径の回転ロッド13′を円筒体4の内側に差し込み、その先端に形成されている係合用切欠部14′を係止腕材8′に係合させて翼付アンカー1の回転推進を行う。なお、この場合にも、回転ロッド13′の内径側に砂を供給しながら翼付アンカー1の回転推進を行う様にしても良い。
【0017】
又、螺旋翼6は図1及び図2に示したもののほか、図10、図11及び図12に示すものの様に、一対の半円形状翼体16,16を円筒体4の下端にX状に交差する様に固定したものや、図13及び図14に示すものの様に、螺旋翼6の表面に凸条17が形成されたものでも良く、翼付アンカー1を回転推進すべき地盤の土質、翼付アンカー1の大きさ、地中埋設構造物10の規模などに応じて適宜選択すれば良い。
【0018】
更に、図15に示すものの様に、螺旋翼6の周縁を上方に折り曲げて折り曲げ片7を形成しても良く、この様にすることにより、螺旋翼6の土砂抵抗はより一層大きくなる。
【0019】
以上述べた通り、この地中埋設構造物浮上抑制装置は、翼付アンカーを地盤強度の十分な支持層まで回転推進させ、そこに定着させ、構造物固定用シャフトによってマンホールなどの地中埋設構造物を強固に固定するものであり、無排土で極めて容易に施工出来、新設施設だけではなく、既存の施設にも何ら問題なく適用可能であり、地震に伴うマンホールなどの地中埋設構造物の浮き上がり現象を効果的に阻止し、上下水道などのライフラインや救援車両の通行路を確保し、地震による被害の拡大を最小限に抑えることが出来る効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0020】
水槽やマンホール、その他地中埋設構造物一般に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に係る地中埋設構造物浮上抑制装置の一実施例の縦断面図。
【図2】同じく、下方から見たその底面図。
【図3】同じく、掘削刃11が円筒体4の周壁5に固定されている実施例の縦断面図。
【図4】同じく、下方から見たその底面図。
【図5】同じく、実際に地中埋設構造物の固定に用いた状態を示した説明図。
【図6】同じく、翼付アンカー1に回転ロッド13を係合させた状態の側面図。
【図7】同じく、係止腕材8′が円筒体4の内側に形成されている実施例の縦断面図。
【図8】図7に示した実施例を上方から見た状態の平面図。
【図9】図7に示した翼付アンカー1に回転ロッド13′を係合させた状態の側面図。
【図10】螺旋翼6が、一対の半円形状翼体16,16によって構成されている実施例の一部を切欠いて描いた側面図。
【図11】図10に示す実施例を下方から見た状態の底面図。
【図12】図10に示す実施例を90°横方向に変位した位置から見た側面図。
【図13】螺旋翼6に凸条17が形成されている実施例の縦断面図。
【図14】図13に示す実施例を下方から見た底面図。
【図15】螺旋翼6の周縁に折り曲げ片7が形成されている断面図の一部を切欠いて描いた側面図。
【符号の説明】
【0022】
1 翼付アンカー
2 蓋板
3 蓋板
4 円筒体
5 周壁
6 螺旋翼
7 折り返し片
8 係止腕材
9 固定補助具
10 地中埋設構造物
11 掘削刃
12 保持板
13 回転ロッド
14 係合用切欠部
15 構造物固定用シャフト
16 半円形状翼体
17 凸条
18 基部
19 刃先
20 砂
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状をなし、上部は蓋板によって閉塞され、下端には掘進用の掘削刃が、外周には螺旋翼がそれぞれ固定され、回転推進により地盤強度の十分な深さに定着せしめられる翼付アンカーと;下端が前記翼付アンカーの上部に固定され、上部が固定対象である地中埋設構造物に接続される構造物固定用シャフト;とからなることを特徴とする地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項2】
三角形状をなした一対の掘削刃が円筒体の軸芯からそれぞれ逆方向に斜めにわずかに傾いて固定されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項3】
複数の掘削刃の基部が円筒体の周壁に間隔をあけて固定され、それぞれの刃先が下方に向かって突出していることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項4】
地中埋設物がマンホールであることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項5】
螺旋翼が、円筒体の下端にX状に交差して固定された一対の半円形状の翼体によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項6】
螺旋翼の表面に同心円状の凸条が形成されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項7】
螺旋翼の周縁に、上方に向かって折り曲げられた折り曲げ片が形成されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項1】
円筒状をなし、上部は蓋板によって閉塞され、下端には掘進用の掘削刃が、外周には螺旋翼がそれぞれ固定され、回転推進により地盤強度の十分な深さに定着せしめられる翼付アンカーと;下端が前記翼付アンカーの上部に固定され、上部が固定対象である地中埋設構造物に接続される構造物固定用シャフト;とからなることを特徴とする地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項2】
三角形状をなした一対の掘削刃が円筒体の軸芯からそれぞれ逆方向に斜めにわずかに傾いて固定されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項3】
複数の掘削刃の基部が円筒体の周壁に間隔をあけて固定され、それぞれの刃先が下方に向かって突出していることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項4】
地中埋設物がマンホールであることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項5】
螺旋翼が、円筒体の下端にX状に交差して固定された一対の半円形状の翼体によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項6】
螺旋翼の表面に同心円状の凸条が形成されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【請求項7】
螺旋翼の周縁に、上方に向かって折り曲げられた折り曲げ片が形成されていることを特徴とする請求項1記載の地中埋設構造物浮上抑制装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−69557(P2008−69557A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249050(P2006−249050)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(592198404)千代田工営株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(592198404)千代田工営株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
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