地中構造物、地中構造物の構築方法
【課題】地中構造物に大きな浮力が作用する場合であっても、この浮力に抵抗できるようにする。
【解決手段】地中構造物本体10の外周面に、地中構造物本体10と一体となるように地中壁20の表面に対して略垂直方向に突出する突出部30を形成する。突出部30は、地中連続壁20の内部の地盤を掘削した後、地中連続壁20の内部から外側に向かって掘削機により円柱状のトンネルを掘削し、このトンネル内に地中構造物本体10と一体に鉄筋コンクリート構造物を構築することにより形成する。
【解決手段】地中構造物本体10の外周面に、地中構造物本体10と一体となるように地中壁20の表面に対して略垂直方向に突出する突出部30を形成する。突出部30は、地中連続壁20の内部の地盤を掘削した後、地中連続壁20の内部から外側に向かって掘削機により円柱状のトンネルを掘削し、このトンネル内に地中構造物本体10と一体に鉄筋コンクリート構造物を構築することにより形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな浮力が作用しても、この浮力に抵抗し、浮き上がりを抑制しうる地中構造物及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地中構造物を構築する場合には、地中構造物の周囲を取り囲むように地中壁を構築し、この地中壁と一体となるように地中構造物を構築する方法が用いられている。
このような地中構造物には、地下水などにより浮力が作用する。そこで、浮力に抵抗できるよう、地中構造物の自重を大きくする方法、地中壁に拡底部を形成し、拡底部の支圧力により抵抗する方法(例えば、特許文献1参照)、永久アンカーにより地盤に固定する方法(例えば、特許文献2参照)などが用いられている。
【特許文献1】特開2000―178966号公報
【特許文献2】特開平9―328771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、大深度かつ大断面の地下構造物が計画されている。このような大深度の地中構造物では、地中構造物の地下水位より低い部分の体積が大きくなるため、地中構造物に作用する浮力も大きくなる。このような場合、上記の方法では浮力に十分に抵抗することができない虞がある。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、大深度、大断面の地中構造物のように、地中構造物に大きな浮力が作用する場合であっても、この浮力に抵抗できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の地中構造物は、地中構造物本体と、当該地中構造物本体と一体に構築された地中壁と、前記地中壁の表面から、その軸方向が前記地中壁の表面に対して略垂直になるように突出する柱体状の突出部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の地中構造物の構築方法は、地中構造物本体と、当該地中構造物本体と一体に構築された地中壁と、前記地中壁の表面から、その軸方向が前記地中壁の表面に対して略垂直になるように突出する柱体状の突出部と、を備えた地中構造物の構築方法であって、前記地中壁を構築する地中壁構築ステップと、前記地中壁の内側を掘削する地盤掘削ステップと、前記地中壁の内側から当該地中壁を貫通し、当該地中壁に対して略垂直方向に外周に延びるようにトンネルを削孔するトンネル削孔ステップと、前記地中壁と一体に前記地中構造物本体を構築するとともに、当該地中構造物本体と一体となるように前記トンネル内にコンクリート構造物を形成することにより前記突出部を構築する突出部構築ステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の地中構造物の構築方法において、前記トンネル削孔ステップの前に、前記トンネルの周囲の地盤を地盤改良する地盤改良ステップを備えてもよい。
なお、上記の地盤改良とは、地盤に止水性及び掘削安定性を期待できるようにすることを意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トンネルを利用して地中構造物の外周に突出部を構築することにより、突出部の鉛直投影面積を非常に大きくすることができる。これにより、突出部が周囲の地盤より大きな支圧力を受けることができるため、地中構造物に大きな浮力が作用しても、これに抵抗することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の地中構造物の一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の地中構造物1の構成を示し、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA−A´断面図である。本実施形態の地中構造物1は、その深さが50mを超えるような大深度地中構造物であり、図1に示すように、地中に平面視矩形状に形成された地中連続壁20と、地中連続壁20の下部から外側に向かって地中連続壁20の表面に対して略垂直に突出する複数の突出部30と、地中連続壁20の内部に構築された地中構造物本体10とにより構成される。
【0010】
地中構造物本体10は、例えば、建物の地下階などであり、鉄筋コンクリート造の基礎部11と側壁部12とを含んで構成される。地中構造物本体10は、側壁部12が地中連続壁20と一体になるように構築されおり、また、基礎部11が突出部30と一体となるように構築されている。
【0011】
突出部30は、地中構造物本体10の基礎部11と一体に構築された円柱状の鉄筋コンクリート部材からなる。突出部30は後述するように地盤中を掘進可能な削孔機によりトンネルを削孔し、このトンネルの内部に地中構造物本体10と一体になるようにコンクリートを打設して構築されている。このため、削孔機の削孔長さを調整することにより、突出部30の地中連続壁20からの突出長さを自在に調整することができる。
【0012】
なお、突出部30の突出長さは、その鉛直投影面積の合計と、地盤の長期耐力(100t/m2〜300t/m2)との積が、地中構造物1に作用する浮力以上となるように決定するとよい。
【0013】
地中連続壁20は、平面視において地中構造物本体10の外周に沿うように構築されており、その下端が地中構造物本体10よりも深い位置まで到達している。
【0014】
このような地中構造物1には、地盤内の地下水などにより浮力が作用する。特に、本実施形態のような大深度の地中構造物1では、地下水位よりも低い部分の体積が大きいため、大きな浮力が作用する。これに対して、本実施形態の地中構造物1では、外側に向かって突出する突出部30を備え、この突出部30の地中構造物1に浮力が作用した際に上部に地盤から支圧力を受けることとなるため、浮力に対して抵抗することができる。
【0015】
以下、本実施形態の地中構造物1の構築方法を図2〜図12を参照しながら説明する。なお、図2〜図6の各図において、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。また、図7〜図12は、地中構造物本体10と突出部30との接合部の拡大断面図である。
【0016】
まず、図2に示すように、地中構造物本体10の外周に相当する位置に筒状に地中連続壁20を構築する。
次に、図3に示すように、地中連続壁20の内部60の地盤を基礎部11の下面に相当する深さまで掘削する。
【0017】
次に、図4及び図8に示すように、地中連続壁20の外部の突出部30に相当する部分の周囲の地盤2にセメントペーストなどを注入し、この部分の地盤を改良し、止水性及び掘削安定性を有する改良地盤70を形成する。なお、セメントペーストは地中連続壁20を貫通するように、注入管を挿入し、この管を通して注入すればよい。
【0018】
次に、図9に示すように、地中連続壁20の内部60から、削孔機100により地中連続壁20を貫通し、先端が所定の位置まで到達するまで地盤を円柱状に削孔し、トンネル50を形成する。この際、トンネル50の地中連続壁20から突出した部分の周囲の地盤2が改良地盤70であるため、地盤2が崩壊したり、地下水がトンネル50の内部に流れ込んだりすることを防止できる。そして、図10に示すように、例えば、地中連続壁20の内部側から牽引するなどの方法により、削孔機100を地中連続壁20の内部側へと引抜き、図11に示すように、削孔機100により削孔したトンネル50の内周面にセグメント51を取り付ける。これにより、図5に示す状態となる。
【0019】
次に、図12に示すように、地中連続壁20の内側から、先端がトンネル50の先端近傍まで到達するように、基礎部11及び突出部30を構成する鉄筋13を配筋する。
次に、図5及び図13に示すように、トンネル50の内部及び地中連続壁20の内部60に一体となるように、基礎部11及び突出部30を構成するコンクリート14、31を打設する。
【0020】
次に、図6に示すように、地中連続壁20と一体に側壁部12を構築する。そして、図7に示すように通常の地中構造物を構築する場合と同様に、地中連続壁20の内部に、基礎部11及び側壁部12と一体に、地中構造物本体10の残りの部分を構築することにより本実施形態の地中構造物1の構築作業が完了する。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、トンネル50の内部空間を利用して突出部30を地中構造物本体10と一体に構築することにより、平面視において大断面の突出部30を形成することができる。これにより、この突出部30が周囲の地盤より支圧力を受けるため、大深度の地中構造物1に作用する大きな浮力に対しても抵抗することができる。
【0022】
なお、上記の各実施形態では、地中構造物本体10の基礎部11に相当する高さに突出部30を設ける構成としたが、これに限らず、他の高さに設ける構成としてもよいし、複数の突出部を設ける構成としてもよい。
また、上記の各実施形態では、鉛直断面が円形のトンネルを削孔するものとしたが、これに限らず矩形などのトンネルを削孔してもよく、トンネルの形状は問わない。
【0023】
また、突出部を設ける高さ位置は、本実施形態のように、基礎部と略等しい高さに限らず、地盤の特性に合わせて適宜調整すればよい。
また、上記の各実施形態では、掘進可能な削孔機によりトンネルを形成し、このトンネルを利用して突出部を構築するものとしたが、これに限らず、推進工法、パイプルーフ工法などの非開削工法などによりトンネルを形成し、このトンネル孔を利用して突出部を構築してもよい。
また、本実施形態では、地中連続壁を地中構造物本体の外周を取り囲むように構築したが、これに限らず、地中構造物の外周の一部と一体に構築されている構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の地中構造物の構成を示し、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA−A´断面図である。
【図2】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その1)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図3】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その2)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図4】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その3)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図5】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その4)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図6】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その5)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図7】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その6)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図8】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その7)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図9】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その8)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図10】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その9)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図11】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その10)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図12】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その11)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図13】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その12)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 地中構造物 2 地盤
10 地中構造物本体 11 基礎部
12 側壁部 13 鉄筋
14 コンクリート 20 地中連続壁
30 突出部 50 トンネル
51 セグメント 60 地中連続壁の内部
70 改良地盤 100 削孔機
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな浮力が作用しても、この浮力に抵抗し、浮き上がりを抑制しうる地中構造物及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地中構造物を構築する場合には、地中構造物の周囲を取り囲むように地中壁を構築し、この地中壁と一体となるように地中構造物を構築する方法が用いられている。
このような地中構造物には、地下水などにより浮力が作用する。そこで、浮力に抵抗できるよう、地中構造物の自重を大きくする方法、地中壁に拡底部を形成し、拡底部の支圧力により抵抗する方法(例えば、特許文献1参照)、永久アンカーにより地盤に固定する方法(例えば、特許文献2参照)などが用いられている。
【特許文献1】特開2000―178966号公報
【特許文献2】特開平9―328771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、大深度かつ大断面の地下構造物が計画されている。このような大深度の地中構造物では、地中構造物の地下水位より低い部分の体積が大きくなるため、地中構造物に作用する浮力も大きくなる。このような場合、上記の方法では浮力に十分に抵抗することができない虞がある。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、大深度、大断面の地中構造物のように、地中構造物に大きな浮力が作用する場合であっても、この浮力に抵抗できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の地中構造物は、地中構造物本体と、当該地中構造物本体と一体に構築された地中壁と、前記地中壁の表面から、その軸方向が前記地中壁の表面に対して略垂直になるように突出する柱体状の突出部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の地中構造物の構築方法は、地中構造物本体と、当該地中構造物本体と一体に構築された地中壁と、前記地中壁の表面から、その軸方向が前記地中壁の表面に対して略垂直になるように突出する柱体状の突出部と、を備えた地中構造物の構築方法であって、前記地中壁を構築する地中壁構築ステップと、前記地中壁の内側を掘削する地盤掘削ステップと、前記地中壁の内側から当該地中壁を貫通し、当該地中壁に対して略垂直方向に外周に延びるようにトンネルを削孔するトンネル削孔ステップと、前記地中壁と一体に前記地中構造物本体を構築するとともに、当該地中構造物本体と一体となるように前記トンネル内にコンクリート構造物を形成することにより前記突出部を構築する突出部構築ステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の地中構造物の構築方法において、前記トンネル削孔ステップの前に、前記トンネルの周囲の地盤を地盤改良する地盤改良ステップを備えてもよい。
なお、上記の地盤改良とは、地盤に止水性及び掘削安定性を期待できるようにすることを意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トンネルを利用して地中構造物の外周に突出部を構築することにより、突出部の鉛直投影面積を非常に大きくすることができる。これにより、突出部が周囲の地盤より大きな支圧力を受けることができるため、地中構造物に大きな浮力が作用しても、これに抵抗することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の地中構造物の一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の地中構造物1の構成を示し、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA−A´断面図である。本実施形態の地中構造物1は、その深さが50mを超えるような大深度地中構造物であり、図1に示すように、地中に平面視矩形状に形成された地中連続壁20と、地中連続壁20の下部から外側に向かって地中連続壁20の表面に対して略垂直に突出する複数の突出部30と、地中連続壁20の内部に構築された地中構造物本体10とにより構成される。
【0010】
地中構造物本体10は、例えば、建物の地下階などであり、鉄筋コンクリート造の基礎部11と側壁部12とを含んで構成される。地中構造物本体10は、側壁部12が地中連続壁20と一体になるように構築されおり、また、基礎部11が突出部30と一体となるように構築されている。
【0011】
突出部30は、地中構造物本体10の基礎部11と一体に構築された円柱状の鉄筋コンクリート部材からなる。突出部30は後述するように地盤中を掘進可能な削孔機によりトンネルを削孔し、このトンネルの内部に地中構造物本体10と一体になるようにコンクリートを打設して構築されている。このため、削孔機の削孔長さを調整することにより、突出部30の地中連続壁20からの突出長さを自在に調整することができる。
【0012】
なお、突出部30の突出長さは、その鉛直投影面積の合計と、地盤の長期耐力(100t/m2〜300t/m2)との積が、地中構造物1に作用する浮力以上となるように決定するとよい。
【0013】
地中連続壁20は、平面視において地中構造物本体10の外周に沿うように構築されており、その下端が地中構造物本体10よりも深い位置まで到達している。
【0014】
このような地中構造物1には、地盤内の地下水などにより浮力が作用する。特に、本実施形態のような大深度の地中構造物1では、地下水位よりも低い部分の体積が大きいため、大きな浮力が作用する。これに対して、本実施形態の地中構造物1では、外側に向かって突出する突出部30を備え、この突出部30の地中構造物1に浮力が作用した際に上部に地盤から支圧力を受けることとなるため、浮力に対して抵抗することができる。
【0015】
以下、本実施形態の地中構造物1の構築方法を図2〜図12を参照しながら説明する。なお、図2〜図6の各図において、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。また、図7〜図12は、地中構造物本体10と突出部30との接合部の拡大断面図である。
【0016】
まず、図2に示すように、地中構造物本体10の外周に相当する位置に筒状に地中連続壁20を構築する。
次に、図3に示すように、地中連続壁20の内部60の地盤を基礎部11の下面に相当する深さまで掘削する。
【0017】
次に、図4及び図8に示すように、地中連続壁20の外部の突出部30に相当する部分の周囲の地盤2にセメントペーストなどを注入し、この部分の地盤を改良し、止水性及び掘削安定性を有する改良地盤70を形成する。なお、セメントペーストは地中連続壁20を貫通するように、注入管を挿入し、この管を通して注入すればよい。
【0018】
次に、図9に示すように、地中連続壁20の内部60から、削孔機100により地中連続壁20を貫通し、先端が所定の位置まで到達するまで地盤を円柱状に削孔し、トンネル50を形成する。この際、トンネル50の地中連続壁20から突出した部分の周囲の地盤2が改良地盤70であるため、地盤2が崩壊したり、地下水がトンネル50の内部に流れ込んだりすることを防止できる。そして、図10に示すように、例えば、地中連続壁20の内部側から牽引するなどの方法により、削孔機100を地中連続壁20の内部側へと引抜き、図11に示すように、削孔機100により削孔したトンネル50の内周面にセグメント51を取り付ける。これにより、図5に示す状態となる。
【0019】
次に、図12に示すように、地中連続壁20の内側から、先端がトンネル50の先端近傍まで到達するように、基礎部11及び突出部30を構成する鉄筋13を配筋する。
次に、図5及び図13に示すように、トンネル50の内部及び地中連続壁20の内部60に一体となるように、基礎部11及び突出部30を構成するコンクリート14、31を打設する。
【0020】
次に、図6に示すように、地中連続壁20と一体に側壁部12を構築する。そして、図7に示すように通常の地中構造物を構築する場合と同様に、地中連続壁20の内部に、基礎部11及び側壁部12と一体に、地中構造物本体10の残りの部分を構築することにより本実施形態の地中構造物1の構築作業が完了する。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、トンネル50の内部空間を利用して突出部30を地中構造物本体10と一体に構築することにより、平面視において大断面の突出部30を形成することができる。これにより、この突出部30が周囲の地盤より支圧力を受けるため、大深度の地中構造物1に作用する大きな浮力に対しても抵抗することができる。
【0022】
なお、上記の各実施形態では、地中構造物本体10の基礎部11に相当する高さに突出部30を設ける構成としたが、これに限らず、他の高さに設ける構成としてもよいし、複数の突出部を設ける構成としてもよい。
また、上記の各実施形態では、鉛直断面が円形のトンネルを削孔するものとしたが、これに限らず矩形などのトンネルを削孔してもよく、トンネルの形状は問わない。
【0023】
また、突出部を設ける高さ位置は、本実施形態のように、基礎部と略等しい高さに限らず、地盤の特性に合わせて適宜調整すればよい。
また、上記の各実施形態では、掘進可能な削孔機によりトンネルを形成し、このトンネルを利用して突出部を構築するものとしたが、これに限らず、推進工法、パイプルーフ工法などの非開削工法などによりトンネルを形成し、このトンネル孔を利用して突出部を構築してもよい。
また、本実施形態では、地中連続壁を地中構造物本体の外周を取り囲むように構築したが、これに限らず、地中構造物の外周の一部と一体に構築されている構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の地中構造物の構成を示し、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA−A´断面図である。
【図2】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その1)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図3】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その2)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図4】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その3)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図5】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その4)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図6】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その5)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図7】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その6)であり、(A)は平面図、(B)は(A)におけるA―A´断面図である。
【図8】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その7)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図9】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その8)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図10】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その9)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図11】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その10)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図12】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その11)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【図13】本実施形態の地中構造物の構築方法を説明するための図(その12)であり、地中構造物本体と突出部との接合部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 地中構造物 2 地盤
10 地中構造物本体 11 基礎部
12 側壁部 13 鉄筋
14 コンクリート 20 地中連続壁
30 突出部 50 トンネル
51 セグメント 60 地中連続壁の内部
70 改良地盤 100 削孔機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中構造物本体と、当該地中構造物本体と一体に構築された地中壁と、前記地中壁の表面から、その軸方向が前記地中壁の表面に対して略垂直になるように突出する柱体状の突出部と、を備えることを特徴とする地中構造物。
【請求項2】
地中構造物本体と、当該地中構造物本体と一体に構築された地中壁と、前記地中壁の表面から、その軸方向が前記地中壁の表面に対して略垂直になるように突出する柱体状の突出部と、を備えた地中構造物の構築方法であって、
前記地中壁を構築する地中壁構築ステップと、
前記地中壁の内側を掘削する地盤掘削ステップと、
前記地中壁の内側から当該地中壁を貫通し、当該地中壁に対して略垂直方向に外周に延びるようにトンネルを削孔するトンネル削孔ステップと、
前記地中壁と一体に前記地中構造物本体を構築するとともに、当該地中構造物本体と一体となるように前記トンネル内にコンクリート構造物を形成することにより前記突出部を構築する突出部構築ステップと、を備えることを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項3】
請求項2記載の地中構造物の構築方法であって、
前記トンネル削孔ステップの前に、
少なくとも前記トンネルの周囲に相当する部分の地盤を地盤改良する地盤改良ステップを備えることを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項1】
地中構造物本体と、当該地中構造物本体と一体に構築された地中壁と、前記地中壁の表面から、その軸方向が前記地中壁の表面に対して略垂直になるように突出する柱体状の突出部と、を備えることを特徴とする地中構造物。
【請求項2】
地中構造物本体と、当該地中構造物本体と一体に構築された地中壁と、前記地中壁の表面から、その軸方向が前記地中壁の表面に対して略垂直になるように突出する柱体状の突出部と、を備えた地中構造物の構築方法であって、
前記地中壁を構築する地中壁構築ステップと、
前記地中壁の内側を掘削する地盤掘削ステップと、
前記地中壁の内側から当該地中壁を貫通し、当該地中壁に対して略垂直方向に外周に延びるようにトンネルを削孔するトンネル削孔ステップと、
前記地中壁と一体に前記地中構造物本体を構築するとともに、当該地中構造物本体と一体となるように前記トンネル内にコンクリート構造物を形成することにより前記突出部を構築する突出部構築ステップと、を備えることを特徴とする地中構造物の構築方法。
【請求項3】
請求項2記載の地中構造物の構築方法であって、
前記トンネル削孔ステップの前に、
少なくとも前記トンネルの周囲に相当する部分の地盤を地盤改良する地盤改良ステップを備えることを特徴とする地中構造物の構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−59622(P2010−59622A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223895(P2008−223895)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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