地中熱交換器及び空調システム
【課題】密封された二酸化炭素を介して冷媒と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器において、何らかの原因で外壁に亀裂が生じて内側の二酸化炭素が地中へ洩れてしまった場合であっても、熱交換能力の低下を最小限に抑えることができるようにする。
【解決手段】二酸化炭素が封入された密封空間(7)を内側に形成した複数の外筒部(3)を軸方向に並べることにより、地中熱交換器の本体部(1a)を形成する。
【解決手段】二酸化炭素が封入された密封空間(7)を内側に形成した複数の外筒部(3)を軸方向に並べることにより、地中熱交換器の本体部(1a)を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器、及びそれを利用した空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、密封された熱媒体を介して被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器が知られている。この地中熱交換器は、例えば冷凍サイクルを行う冷媒回路等に利用されている。特許文献1には、暖房運転において、地中熱を利用して上記冷媒回路の冷媒(被熱交換流体)を加熱する地中熱交換器が開示されている。
【0003】
特許文献1の地中熱交換器は、外管(外筒部)と該外管の内側に挿入された内管とからなる二重管式熱交換器で構成されている。上記内管は、その両端が閉塞されて内側に密閉空間が形成されている。この密閉空間に上記熱媒体が封入されている。上記外管は、その内側に上記冷媒回路の冷媒が流れる冷媒通路が形成されている。
【0004】
そして、上記内管は、その上下端が外管の内側から管軸方向に突出するように外管の管内側に固定されている。上記外管から下側へ突出した内管は、その内管の管軸方向が鉛直方向に沿うように地中に埋設される。つまり、上記内管の下方部分は地中の土壌と接触し、上記内管の上方部分は上記外管の冷媒通路を流れる冷媒と接触している。
【0005】
このような構成において、地中よりも低い温度の冷媒を上記冷媒流路に流すと、上記内管の上側では、地中温度で平衡蒸気圧にあった熱媒体蒸気と上記外管の冷媒通路を流れる冷たい冷媒とが熱交換して該熱媒体が凝縮するとともに、その凝縮熱で冷媒が加熱される。凝縮して液化した冷たい熱媒体は内管内を上側から下側に向かって下降する。上記内管の下端側では、地中の土壌と熱媒体とが熱交換して該熱媒体が地中温度と平衡な蒸気圧になるように蒸発をする。この蒸発した熱媒体は内管内を下端側から上端側に向かって再び上昇する。つまり、上記内管がヒートパイプとなって、地中の熱で冷媒配管内の冷媒を加熱することができる。
【特許文献1】国際公開第WO2004/111559号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1のような従来の地中熱交換器において、自然災害等により地中に埋設した管に亀裂が生じた場合、その亀裂部分から熱媒体が洩れてしまうことが考えられる。こうなると、上記密閉空間内の熱媒体の量が減り、地中熱交換器の熱交換能力が低下してしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、密封された熱媒体を介して被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器において、何らかの原因で管内の熱媒体が管外側へ洩れてしまった場合であっても、熱交換能力の低下を最小限に抑えることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、被熱交換流体が流れる流体流路(6)と熱媒体を密閉した密閉空間(7)とが形成された本体部(1a)を有し、上記本体部(1a)を地中に埋設することにより、上記熱媒体を介して被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器を前提としている。
【0009】
そして、上記地中熱交換器の本体部(1a)は、複数の外筒部(3)と、該複数の外筒部(3)の内側に挿入された内管(2)とを有し、上記内管(2)の内側に上記流体流路(6)が形成され、上記各外筒部(3)の内側には、上記内管(2)のうち該外筒部(3)の内側に挿入された挿入部分を囲むように上記密閉空間(7)が形成されていることを特徴としている。
【0010】
第1の発明では、外筒部(3)を複数にすることで、上記本体部(1a)に複数の密閉空間(7)が形成されている。こうすると、仮に自然災害等により、ある外筒部(3)に亀裂が生じても、その亀裂が生じた外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が地中に洩れるのみで、他の外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が地中に洩れないようにすることができる
第2の発明は、第1の発明において、上記複数の外筒部(3)は、並列、直列、又は直並列に配設されていることを特徴としている。ここで、上記複数の外筒部(3)は直並列に配列とは、外筒部(3)が直列方向と並列方向とにそれぞれ配列されていることをいう。
【0011】
第2の発明では、上記複数の外筒部(3)を並列に配設することで、直列に配設した場合に比べて、複数の外筒部(3)を地中に埋めるために深い穴を掘る必要がなくなる。逆に、上記複数の外筒部(3)を直列に配設することで、並列に配設した場合に比べて、その配設面積が小さくなる。
【0012】
又、上記複数の外筒部(3)を直並列に配設することで、全ての外筒部(3)を直列に配設した場合に比べて、複数の外筒部(3)を地中に埋めるための穴を深く掘る必要がなく、全ての外筒部(3)を並列に配設した場合に比べて、その配設面積が小さくなる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、上記内管(2)は、直列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、直列方向に隣り合う外筒部(3)と外筒部(3)との間で各外筒部(3)ごとに分割した複数の分割管(2a)で形成され、隣り合う上記分割管(2a)と上記分割管(2a)との間には、これらの分割管(2a)同士を連結する直列用の内管連結部材(9)が設けられていることを特徴としている。
【0014】
第3の発明では、複数の外筒部(3)の内側に挿入される内管(2)を各外筒部(3)ごとに分割している。この内管(2)を分割して形成された分割管(2a)を各外筒部(3)に挿入している。そして、隣り合う分割管(2a)同士を直列用の内管連結部材(9)で接続している。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、上記本体部(1a)は、直列方向に分割された複数の分割部(23)を有し、上記各分割部(23)は、上記各外筒部(3)と該各外筒部(3)に挿入固定された上記分割管(2a)とにより構成されていることを特徴としている。
【0016】
第4の発明では、上記内管(2)を上記外筒部(3)ごとに分割し、その内管(2)の分割管(2a)を該分割管(2a)に対応する外筒部(3)に固定したものを上記分割部(23)として構成することができる。
【0017】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、直列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、直列方向に隣り合う外筒部(3)と外筒部(3)とが軸方向に空間を隔てて並べられるとともに、該空間には、これらの外筒部(3)同士を上記直列用の内管連結部材(9)を囲うようにして連結する外筒部用の連結部材(20)が設けられていることを特徴としている。
【0018】
第5の発明では、上記外筒部用の連結部材(20)を設けることにより、直列方向に隣り合う分割部(23)同士の連結を確実に行うことができる。又、この外筒部用の連結部材(20)が上記直列用の内管連結部材(9)を囲うように配置されているので、該直列用の内管連結部材(9)を保護することができる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、上記外筒部用の連結部材(20)には、上記直列用の内管連結部材(9)に対向する位置に開口部(16)が形成されていることを特徴としている。
【0020】
第6の発明では、上記開口部(16)を通じて上記直列用の内管連結部材(9)を操作することにより、直列方向に隣り合う分割管(2a)同士の連結作業を行うことができる。
【0021】
第7の発明は、第2の発明において、並列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、並列方向に配設された各外筒部(3)に対応する内管(2)同士を接続する並列用の内管連結部材(17)を備えていることを特徴としている。
【0022】
第7の発明では、上記並列用の内管連結部材(17)により、並列方向に配設された各外筒部(3)に対応する内管(2)同士を互いに連結することができるようになる。
【0023】
第8の発明は、第1から第7の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)及び上記内管(2)は、該外筒部(3)の内周面(21)と内管(2)の外周面(22)とが互いに実質的に接触するように配置されていることを特徴としている。
【0024】
ここで、本発明の地中熱交換器を埋設した後、上記内管(2)の流体流路(6)に地中の土壌よりも低い温度の被熱交換流体を流すと、上記外筒部(3)内に封入された熱媒体は、上記内管(2)の外周面(22)を介して、該熱媒体よりも温度の低い被熱交換流体に熱を放出して凝縮する。このとき、被熱交換流体は、熱媒体の凝縮熱を吸収することにより、加熱される。
【0025】
上記内管(2)の外周面(22)で凝縮して液化した熱媒体は、上記外筒部(3)の内周面(21)を介して、該熱媒体よりも温度の高い地中の土壌から熱を吸収して蒸発する。上記外筒部(3)の内周面(21)で蒸発して気化した熱媒体は、再び上記内管(2)の外周面(22)で凝縮する。このように、上記熱媒体が凝縮及び蒸発を繰り返すことにより、地中の土壌の熱が熱媒体を介して被熱交換流体へ伝えられ、該被熱交換流体が加熱される。
【0026】
逆に、上記内管(2)の流体流路(6)に地中の土壌よりも高い温度の被熱交換流体を流したとすると、上記熱媒体は、上記外筒部(3)の内周面(21)で凝縮し、上記内管(2)の外周面(22)で蒸発する。これにより、被熱交換流体の熱が熱媒体を介して地中の土壌へ伝えられ、該被熱交換流体が冷却される。
【0027】
第8の発明では、上記外筒部(3)の内周面(21)と上記内管(2)の外周面(22)とを互いに実質的に接触させることにより、この接触部分を介して、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体が他方の面へ流れるようになる。ここで、実質的に接触している状態とは、上記外筒部(3)と上記内管(2)とが直接的に接触している状態と、液化した熱媒体を介して間接的に接触している状態とを含んでいる。
【0028】
第9の発明は、第8の発明において、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)には、円周方向に沿って円周溝(30,31)が形成されていることを特徴としている。
【0029】
第9の発明では、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体が、その一方の面に形成された円周溝(30,31)に保持されながら該円周溝(30)に沿って円周方向へ流れるようになる。この熱媒体は、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の接触部分を介して他方の面へ流れる。この他方の面へ流れた熱媒体は、その他方の面に形成された円周溝(30,31)に保持されながら該円周溝(30)に沿って円周方向へ流れて蒸発するようになる。尚、この円周溝(30,31)は、螺旋状に形成されていてもよい。
【0030】
第10の発明は、第1から第9の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で液化した熱媒体を他方の面に搬送する液体搬送部材(8)が設けられていることを特徴としている。
【0031】
第10の発明では、上記液体搬送部材(8)により、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で液化した熱媒体を、他方の面へ積極的に搬送して蒸発させることができるようになる。
【0032】
第11の発明は、第10の発明において、上記液体搬送部材(8)はウィックであり、そのウィックは、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の両方に接触するように設けられていることを特徴としている。ここで、ウィックとは、内部に多数の微細な孔が形成された多孔質体のことであり、この微細な孔が連なることで毛細管状の通路を形成している。そして、毛細管現象により、この毛細管状の通路を液体が流れる。尚、この多孔質体は、金属又はセラミックの粉末を焼結させることで形成してもよいし、メッシュ状の金属を重ね合わせたり、金属繊維を束ねたりして形成してもよい。
【0033】
第11の発明では、上記液体搬送部材(8)をウィックで構成することにより、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の一方の面で凝縮した液化した熱媒体を、上記ウィックの毛細管現象で他方の面へ積極的に搬送して蒸発させることができるようになる。
【0034】
第12の発明は、第1から第11の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、二酸化炭素であることを特徴としている。
【0035】
第12の発明では、何らかの原因で外筒部(3)に亀裂が生じて、その亀裂部分から熱媒体が地中に洩れたとしても、熱媒体を二酸化炭素で構成しているので、地中の土壌や地下水を汚染しないようにすることができる。
【0036】
第13の発明は、第1から第11の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、水であることを特徴としている。
【0037】
第13の発明では、何らかの原因で外筒部(3)に亀裂が生じて、その亀裂部分から熱媒体が地中に洩れたとしても、第5の発明と同様に、地中の土壌や地下水を汚染しないようにすることができる。又、水は、二酸化炭素に比べて潜熱が大きいので、外筒部(3)に封入する水の量を少なくすることができる。
【0038】
第14の発明は、第1から第11の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、アンモニアであることを特徴としている。
【0039】
第14の発明では、アンモニアが二酸化炭素に比べて使用圧力範囲が低いことを利用して、外筒部(3)の薄肉化を図ることができる。又、アンモニアは、二酸化炭素に比べて蒸発潜熱が大きいので、水と同様に外筒部(3)に封入するアンモニアの量を少なくすることができる。
【0040】
第15の発明は、第1から第14の何れか1つの発明において、複数の外筒部(3)のうち少なくとも1つが、他の外筒部(3)とは軸方向の長さが異なるように構成されていることを特徴としている。
【0041】
第15の発明では、上記地中熱交換器を、軸方向の長さが異なる外筒部(3)を組み合わせて構成している。例えば、長さの異なる外筒部(3)間で比較すると、長さの短い外筒部(3)の方が、長さの長い外筒部(3)よりも伝熱面積が小さいので、熱交換能力も小さい。したがって、長さが異なる外筒部(3)を組み合わせて、所望の熱交換能力となるように、上記地中熱交換器を組み立てることができる。
【0042】
第16の発明は、第1から第14の何れか1つの発明において、複数の外筒部(3)は、その軸方向の長さが全て等しいことを特徴としている。
【0043】
第16の発明では、同じ長さの外筒部(3)を複数製作し、それらの外筒部(3)を配列することにより、地中熱交換器を形成する。
【0044】
第17の発明は、圧縮機(14)と熱源側熱交換器(1)と膨張機構(12)と利用側熱交換器(11)とが接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えた空調システムを前提としている。
【0045】
そして、上記空調システムにおいて、第1から第16の発明の何れか1つに記載の地中熱交換器の内管(2)が上記冷媒回路(10)に接続されて、上記熱源側熱交換器(1)が上記地中熱交換器を構成することを特徴としている。
【0046】
第17の発明では、上記空調システムにおいて、蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおける熱源側熱交換器(1)として地中熱交換器を利用することができる。上記空調システムが暖房装置の場合は、上記地中熱交換器が蒸発器となり、上記利用側熱交換器(11)が凝縮器となる。そして、この地中熱交換器において、上記膨張機構(12)を流出した低圧冷媒と地中の土壌とが熱交換を行い、地中の土壌から該低圧冷媒が吸熱することにより、該低圧冷媒を蒸発させることができる。
【0047】
一方、上記空調システムが冷房装置の場合は、上記地中熱交換器が凝縮器となり、上記利用側熱交換器(11)が蒸発器となる。そして、この地中熱交換器において、上記圧縮機(14)から吐出した高圧冷媒と地中の土壌とが熱交換を行い、該高圧冷媒が地中の土壌に放熱することにより、該高圧冷媒を凝縮させることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、上記本体部(1a)において、仮に自然災害等により、ある外筒部(3)に亀裂が生じても、その亀裂が生じた外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が地中に洩れるのみで、他の外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が洩れることはない。これにより、上記本体部(1a)から外側に洩れる熱媒体の量を従来よりも少なくすることができ、地中熱交換器の熱交換能力の低下を最小限に抑えることができる。
【0049】
また、上記第2の発明によれば、複数の外筒部(3)を並列に配設することにより、該複数の外筒部(3)を地中に埋めるための穴の深さを短くでき、上記複数の外筒部(3)を直列に配設することにより、該複数の外筒部(3)の配設面積を小さくできる。
【0050】
また、上記第3の発明によれば、上記内管(2)を分割して形成された分割管(2a)を各外筒部(3)に挿入している。そして、隣り合う分割管(2a)同士を直列用の内管連結部材(9)で接続することにより、複数の外筒部(3)からなる地中熱交換器を形成している。こうすると、内管(2)の外側に複数の外筒部(3)を挿入する場合に比べて、上記地中熱交換器を製作しやすくすることができる。
【0051】
また、上記第4の発明によれば、上記外筒部(3)に上記分割管(2a)を固定したものを上記分割部(23)として構成することができる。このように構成すると、上記本体部(1a)を分割しない場合に比べて、上記地中熱交換器の製作を容易に行うことができる。尚、本体部(1a)を分割する場合には、上記本体部(1a)を製作しやすい長さに分割するとよい。
【0052】
また、上記第5の発明によれば、上記外筒部用の連結部材(20)により、隣り合う分割部(23)同士を確実に連結することができるとともに、上記直列用の内管連結部材(9)を保護することができる。これにより、上記地中熱交換器の品質を向上させることができる。
【0053】
また、上記第6の発明によれば、上記開口部(16)から上記内管用の連結部材(9)を操作することにより、隣り合う分割管(2a)同士の連結作業を行うことができ、上記地中熱交換器の連結作業の効率化を図ることができる。
【0054】
また、上記第7の発明によれば、上記並列用の内管連結部材(17)により、並列方向に配設された各外筒部(3)に対応する内管(2)同士を接続することができる。
【0055】
また、上記第8の発明によれば、上記外筒部(3)と上記内管(2)とを接触させることにより、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体を確実に他方の面へ導き、他方の面で蒸発させることができるようになる。これにより、上記地中熱交換器の熱交換能力を向上させることができる。
【0056】
また、上記第9の発明によれば、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体は、その一方の面に形成された円周溝(30,31)で下方へ落ちないように保持されながら他方の面へ導かれ、その他方の面に形成された円周溝(30,31)で下方へ落ちないように保持されながら溝全体に広がりながら蒸発する。
【0057】
このように、液化した熱媒体を円周溝(30,31)で下方へ落ちないように保持しながら、液化した熱媒体を一方の面から他方の面へ導くことができ、上記円周溝(30,31)を設けない場合に比べて、より多量の熱媒体が他方の面へ導かれるようになる。これにより、上記地中熱交換器の熱交換能力をさらに向上させることができる。
【0058】
また、上記第10の発明によれば、上記液体搬送部材(8)を利用して、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体を他方の面へ積極的に搬送することができる。これにより、上記地中熱交換器の熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0059】
また、上記第11の発明によれば、上記液体搬送部材(8)としてウィックを利用することにより、該液体搬送部材(8)の低コスト化を図りつつ、熱媒体を搬送することができ、上記地中熱交換器の高効率化と低コスト化とを両立することができる。
【0060】
また、上記第12,13の発明によれば、何らかの原因で外筒部(3)に亀裂が生じて、その亀裂部分から熱媒体が地中に洩れたとしても、その熱媒体が二酸化炭素であるので地中の土壌や地下水を汚染することがない。したがって、地球環境に配慮した地中熱交換器を提供することができる。
【0061】
また、上記第14の発明によれば、熱媒体としてアンモニアを用いることにより、二酸化炭素を用いた場合に比べて、被熱交換流体及び地中の土壌に対する熱媒体の熱交換量を増やすことができる。これにより、上記地中熱交換器の熱交換能力を向上させることができる。
【0062】
また、上記第15の発明によれば、上記地中熱交換器を組み立てる場合に、所望の熱交換能力となるように、長さが異なる外筒部(3)を組み合わせることができる。これにより、最適な熱交換能力を有する地中熱交換器を提供することができる。
【0063】
また、上記第16の発明によれば、同じ長さの外筒部(3)を複数製作し、それらの外筒部(3)を配列することにより、地中熱交換器を形成できる。これにより、様々な長さの外筒部(3)を製作する必要がないので、外筒部(3)の製作コストを低減できる。
【0064】
また、上記第17の発明によれば、上記空調システムにおいて、上記地中熱交換器の外筒部(3)に亀裂が生じて、その外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が地中へ洩れてしまった場合であっても、他の外筒部(3)から熱媒体が洩れないので、地中熱交換器の熱交換能力の低下を最小限に抑えることができる。したがって、上記空調システムの能力低下も最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0066】
《実施形態1》
本実施形態1の暖房装置は、地中の熱を利用して室内を暖房するものであり、本発明の空調システムを構成する。
【0067】
〈暖房装置の構成〉
上記暖房装置は、図7に示すように、冷媒回路(10)を備えている。上記冷媒回路(10)は、圧縮機(14)と室内熱交換器(利用側熱交換器)(11)と膨張弁(膨張機構)(12)と地中熱交換器(熱源側熱交換器)(1)とが冷媒配管で接続されてなる。ここで、上記地中熱交換器(1)は地中に埋設され、上記室内熱交換器(11)は室内に設置されている。尚、地下に機械室がある場合には、その機械室に上記暖房装置における室内熱交換器(11)及び地中熱交換器(1)以外の要素機器、つまり、圧縮機(14)や膨張弁(12)等が設置されていてもよい。
【0068】
上記冷媒回路(10)には冷媒(被熱交換流体)が封入されている。この冷媒が冷媒回路(10)を循環することにより、上記地中熱交換器(1)が蒸発器となり、上記室内熱交換器(11)が凝縮器となって、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うように構成されている。
【0069】
上記地中熱交換器(1)は、内部に密封された二酸化炭素(熱媒体)を介して、地中の土壌と冷媒回路を流れる冷媒とを熱交換させるものである。この地中熱交換器(1)の詳細は後述する。上記圧縮機(14)は全密閉型であって、該圧縮機(14)に電気的に接続されたインバータ(図示省略)により容量可変に構成されている。この圧縮機(14)では、吸入した冷媒を所定圧力まで圧縮して吐出するように構成されている。
【0070】
上記室内熱交換器(11)は、図示は省略しているが、伝熱管が複数パスに配列されるとともに該伝熱管と直交して多数のアルミフィンが配置されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成されている。この室内熱交換器(11)の近傍には室内ファン(13)が設置されている。そして、上記伝熱管の管内側を冷媒が流れ、上記伝熱管の管外側にあるアルミフィン間を上記室内ファン(13)から送られる室内空気が流れ、両者が熱交換を行うように構成されている。上記膨張弁(12)は、開度可変の電子膨張弁によって構成されている。この膨張弁(12)の開度が変更されて、該膨張弁(12)を流れる冷媒の減圧量が調整される。
【0071】
〈地中熱交換器の構成〉
上記地中熱交換器(1)は、図1に示すように、複数の分割ユニット(分割部)(23)を管軸方向に直列に連結することにより構成された本体部(1a)を有している。そして、上記地中熱交換器(1)は、この本体部(1a)管軸方向が鉛直方向に沿うように地中に埋没している。
【0072】
上記分割ユニット(23)は、それぞれ外筒部(3)と分割管(2a)とを有し、該外筒部(3)の管内側に該分割管(2a)が挿入固定された二重管式の熱交換器を構成する。尚、上記各分割ユニット(23)の長さは全て同じ長さである。
【0073】
上記外筒部(3)は、その上端部に上側閉塞板(4)、その下端部に下側閉塞板(5)がそれぞれ取り付けられている。尚、最下段の分割ユニット(23)を除く各分割ユニット(23)の上記上側閉塞板(4)及び上記下側閉塞板(5)には、それぞれ2つの貫通孔が設けられている。上記最下段の分割ユニット(23)は、上記上側閉塞板(4)のみに2つの貫通孔が設けられている。そして、上記各外筒部(3)を両方の閉塞板(4,5)で閉塞することにより、その内側に密閉空間(7)が形成されている。この密閉空間(7)には、所定量の二酸化炭素が密封されている。尚、上記冷媒回路(9)の冷媒が地中熱交換器(1)に流入するときの温度がだいたい−10℃から40℃の間であることから、二酸化炭素が、この−10℃から40℃の間で相変化するように封入されている。
【0074】
又、最上段と最下段の分割ユニット(23)を除く各分割ユニット(23)の外筒部(3)において、両方の閉塞板(4,5)から軸方向に該外筒部(3)と同径の筒壁(20)が延びている。この筒壁(20)が、上記外筒部用の連結部材を構成している。この筒壁(20)には、図5に示すように、後述するユニオン(9)に触れるための開口部(16)が設けられている。尚、図示していないが、上記開口部(16)を塞ぐための側板が設けられている。この側板により、上記ユニオン(9)を保護することができる。
【0075】
上記筒壁(20)の先端部には、隣り合う外筒部(3)を連結するための差し込み部が形成されている。
【0076】
尚、最上段の分割ユニット(23)は、上記下側閉塞板(5)から軸方向に該外筒部(3)と同径の筒壁(20)が延びており、その先端に上記差し込み部が形成されている。最下段の分割ユニット(23)の場合には、上記上側閉塞板(4)から軸方向に該外筒部(3)と同径の筒壁(20)が延びており、その先端に上記差し込み部が形成されている。
【0077】
又、上記各分割ユニット(23)の外筒部(3)において、上記密閉空間(7)に面する内壁面(内周面)(21)には、図3に示すように、円周方向に沿うように複数の円周溝(30)が形成されている。
【0078】
上記分割管(2a)は、直管状に形成されたもの、及びU字状に形成されたものの2種類がある。これらの分割管(2a)が互いに接続されることにより、内管(2)が形成されている。尚、この分割管(2a)は、図2に示すように、その外壁面(22)が上記外筒部(3)における密閉空間(7)に面した内壁面(21)に接触するように、上記外筒部(3)に固定されている。つまり、上記分割管(2a)が接続されて形成された内管(2)の外壁面(22)は、外筒部(3)における密閉空間(7)に面した内壁面(21)に接触している。又、上記分割管(2a)の外壁面(22)には、100ミクロン程度の円周溝(31)が多数形成されている。尚、この円周溝(31)の形状は、単なる例示である。
【0079】
又、最下段の分割ユニット(23)を除く各分割ユニット(23)には、管端部分が上記密閉空間(7)から突出するように上記直管状の2本の分割管(2a)が上記上側閉塞板(4)及び上記下側閉塞板(5)の各貫通孔に挿入固定されている。一方、上記最下段の分割ユニット(23)には、管端部分が上記密閉空間(7)から突出するように上記U字状の分割管(2a)が上記上側閉塞板(4)の各貫通孔に挿入固定されている。
【0080】
又、隣り合う分割管(2a)の管端部には、その分割管(2a)同士を連結するためのユニオン(9)が設けられている。このユニオン(9)が、上記分割管(2a)同士を上記密閉空間(7)の外側で連結する内管用の連結部材(9)を構成する。そして、これら分割管(2a)がユニオン(9)で連結されて内管(2)を構成する。
【0081】
そして、この内管(2)の一端が上記圧縮機(14)の吐出側から延びる冷媒配管に接続され、他端が上記膨張弁(12)の入口側から延びる冷媒配管に接続されている。このように接続されることにより、上記内管(2)の管内側に上記冷媒回路(10)の冷媒が流れる冷媒通路(流体流路)(6)が形成されている。
【0082】
−運転動作−
次に、上記暖房装置の動作について説明する。
【0083】
上記圧縮機(14)で所定圧力まで圧縮された後に吐出された高圧冷媒は、上記室内熱交換器(11)に流入する。上記室内熱交換器(11)では、上記高圧冷媒が上記室内ファン(13)から送られる室内空気に放熱して凝縮した後で該室内熱交換器(11)を流出する。一方、上記室内空気はこの凝縮熱により暖められる。その結果、室内の暖房が行われる。上記室内熱交換器(11)を流出した高圧冷媒は上記膨張弁(12)に流入する。上記膨張弁(12)では、高圧冷媒が所定圧力まで減圧されて低圧冷媒になった後で該膨張弁(12)を流出する。このとき、この減圧後の低圧冷媒の飽和温度が地中の土壌の温度よりも低くなるように上記膨張弁(12)で上記低圧冷媒が減圧される。
【0084】
上記膨張弁(12)を流出した低圧冷媒は、上記地中熱交換器(1)に流入する。上記地中熱交換器(1)では、低圧冷媒が地中の熱を吸収して蒸発した後で該地中熱交換器(1)を流出する。上記地中熱交換器(1)を流出した低圧冷媒は、上記圧縮機(14)に吸入され、所定圧力まで圧縮された後、再び上記室内熱交換器(11)に流入する。このように冷媒が冷媒回路(10)内を循環することにより、室内の暖房が行われる。
【0085】
次に、上記地中熱交換器(1)の動作について説明する。
【0086】
上記膨張弁(12)から流出した低圧冷媒は、上記地中熱交換器(1)における最上段の分割ユニット(23)の分割管(2a)から流入する。そして、上記分割管(2a)に流入した低圧冷媒は最下段の分割ユニット(23)へ向かって下方へ流れ、該最下段の分割ユニット(23)でUターンした後、最上段の分割ユニット(23)へ向かって上方へ流れ、該最上段の分割ユニット(23)から流出する。尚、上記分割管(2a)内に地中の土壌の温度よりも低い温度の低圧冷媒が流入するとき、各密閉空間(7)内の二酸化炭素の飽和温度は土壌と低圧冷媒との間の温度になるものとする。
【0087】
この場合、図4に示すように、二酸化炭素が、該二酸化炭素の飽和温度よりも低い温度の分割管(2a)の外壁面(外周面)(22)で凝縮する。この二酸化炭素の凝縮熱を上記冷媒回路(9)の冷媒が吸収して蒸発する。この蒸発した冷媒は、上記地中熱交換器(1)から流出した後、上記圧縮機(14)に吸入される。
【0088】
上記外壁面(22)で凝縮して液化した二酸化炭素は、該外壁面(22)の円周溝(31)により、下方へ落ちることなく保持されながら該円周溝(31)に沿って円周方向へ広がるように流れる。そして、この液化した二酸化炭素は、上記外筒部(3)及び上記分割管(2a)の接触部分を介して、上記外筒部(3)の内壁面(21)へ導かれる。外筒部(3)の内壁面(21)へ導かれた二酸化炭素は、外筒部(3)の円周溝(30)により、下方へ落ちることなく保持されながら該円周溝(30)に沿って円周方向へ広がるように流れる。そして、この内壁面(21)で二酸化炭素が蒸発する。上記内壁面(21)で蒸発してガス化した二酸化炭素は、分割空間(7a)内の二酸化炭素の密度差により、上記分割管(2a)の外壁面(22)の方へ移動して、その外壁面(22)で再び凝縮する。このように二酸化炭素が相変化を繰り返すことにより、その二酸化炭素を介して、上記外筒部(3)の外側にある地中の土壌と上記分割管(2a)の内側を流れる冷媒とが熱交換する。
【0089】
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、複数の外筒部(3)を軸方向に並べることにより、上記本体部(1a)に複数の密閉空間(7)を形成することができる。こうすると、仮に自然災害等により、ある外筒部(3)に亀裂が生じても、その亀裂が生じた外筒部(3)の密閉空間(7)から二酸化炭素が地中に洩れるのみで、他の外筒部(3)の密閉空間(7)から二酸化炭素が洩れることはない。これにより、上記外筒部(3)から外側に洩れる二酸化炭素の量を少なくすることができ、地中熱交換器の熱交換能力の低下を最小限に抑えることができる。
【0090】
又、複数の外筒部(3)の数を変えることで、任意の長さの地中熱交換器を現地で簡便に設置できる。
【0091】
さらに、冷媒回路(10)の冷媒が流れる上記内管(2)は、地中では、分割ユニット(23)や筒壁(20)で強度体で保護された内部にある(土壌とは直接触れない)ので、破損や腐食劣化などから保護され、冷媒回路(10)の冷媒が内管(2)から漏洩することによる土壌及び地下水汚染を回避できる。
【0092】
また、本実施形態1によれば、上記内管(2)を上記外筒部(3)ごとに分割し、その内管(2)の分割管(2a)を該分割管(2a)に対応する外筒部(3)に固定したものを上記分割部(23)として構成することができる。このように構成すると、上記本体部(1a)を分割しない場合に比べて、上記地中熱交換器の製作を容易に行うことができる。この場合、上記本体部(1a)を工場生産が容易で、埋設現場へ搬入しやすく、性能が低下しない長さに分割するとよい。
【0093】
尚、上記分割部(23)は工場生産できるのであり、その分割部(23)の生産性も品質も管理できる。又、任意の長さの地中熱交換器を現地で簡便に設置でき、しかも、垂直方向の長さが短く区分化できるので(内部に密封した熱媒体の移動距離が管理でき)全長に関わりなく熱交換性能は一定に保たれる。
【0094】
又、例えば上記地中熱交換器を地中に埋設する場合には、一旦本体部(1a)を管軸方向に立設させた後でなければ、該本体部(1a)を埋設することができない。本実施形態1によれば、例えば上記本体部(1a)を立設しやすい長さに分割することにより、その分割部(23)の立設作業を容易にして、地中熱交換器の埋設作業の効率化を図ることができる。
【0095】
また、本実施形態1によれば、上記外筒部(3)の閉塞板(4,5)から軸方向に延びる筒壁(20)により、上記ユニオン(9)を保護することができるとともに、上記筒壁(20)の先端に形成された差し込み部により、隣り合う分割部(23)同士を確実に連結することができる。これにより、上記地中熱交換器の品質を向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態1によれば、上記開口部(16)を通じて上記ユニオン(9)を締めることにより、隣り合う分割管(2a)同士の連結作業を行うことができ、上記地中熱交換器の連結作業の効率化を図ることができる。
【0097】
又、本実施形態1によれば、上記外筒部(3)と上記分割管(2a)とを接触させることにより、上記分割管(2a)の外壁面(22)で凝縮して液化した二酸化炭素を確実に上記外筒部(3)の内壁面(21)へ導くことができる。又、上記外筒部(3)の内壁面(21)及び上記内管(2)の外壁面(22)にはそれぞれ円周溝(30,31)が形成されているので、液化した二酸化炭素を円周溝(30,31)で下方へ落ちないように保持しながら上記外筒部(3)の内壁面(21)へより多く導き、蒸発させることができる。これにより、上記地中熱交換器(1)の熱交換能力を向上させることができる。
【0098】
また、本実施形態1によれば、何らかの原因で外筒部(3)に亀裂が生じて、その亀裂部分から熱媒体が地中に洩れたとしても、その熱媒体が二酸化炭素であるので地中を汚染することがない。また、地中熱交換器の内部では、上記内管(2)が土壌から隔離されている。これにより、上記内管(2)の腐食などの劣化に起因して、冷媒が漏洩し土壌及び地下水を汚染するのを回避できる。このことから、地球環境に配慮した地中熱交換器を提供することができる。
【0099】
−実施形態1の変形例1−
上記実施形態1の地中熱交換器では、上記本体部(1a)の分割管(2a)におけるユニオン(9)近傍の形状が直管状に形成されていたが、変形例1では、図6に示すように、そのユニオン(9)近傍の分割管(2a)の形状が曲管状に形成されている。
【0100】
尚、この曲管状の各分割管(2a)を両方の閉塞板(4,5)の貫通孔を貫通させて上記各外筒部(3)の内側に挿入しやすくなるように、上記ユニオン(9)の両端にはエルボ継手(9a)を設けている。
【0101】
このように上記分割管(2a)を曲管状に形成すると、ユニオン(9)を横向きにすることができ、隣り合う密閉空間(7)同士の距離を短くすることができる。この距離が短くなった分、密閉空間(7)を長くすることができるので、上記地中熱交換器の性能を向上させることができる。また、ユニオン(9)を横向きにすることで、地中熱交換器に地震などで垂直方向の圧縮や伸びの力が加わったとしても、直接、ユニオン(9)にその力が加わらないように回避できる。
【0102】
−実施形態1の変形例2−
上記実施形態1では、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の構成要素である複数の分割管(2a)に円周溝(30,31)を設けることにより、上記各分割管(2a)の外壁面(2b)で液化した二酸化炭素を上記外筒部(3)の内壁面(3a)へより多く導くことで上記地中熱交換器の熱交換能力を向上させていたが、変形例では、上記円周溝(30,31)に代わってウィック(8)を設けている。
【0103】
このウィック(8)を設けた地中熱交熱交換器(1)を図8から図11に示す。ここで、図8から図11の地中熱交熱交換器(1)は、それぞれ上記内管(2)の形状が異なっている。この形状の違いによる効果は後述する。
【0104】
上記ウィック(8)は、上記外筒部(3)の内壁面(21)及び上記内管(2)の外壁面(22)の両方に接触するように設けられている。こうすると、上記ウィック(8)の毛細管現象を利用して、上記外筒部(3)の外壁面(22)で凝縮した液化した熱媒体を、上記円周溝(30,31)に比べて、上記外筒部(3)の内壁面(21)へより積極的に搬送して蒸発させることができる。これにより、上記地中熱交換器(1)の熱交換効率をより一層向上させることができる。又、このウィック(8)を上記外筒部(3)の内壁面(21)に貼り付けるだけの比較的簡単な構成で上記地中熱交換器(1)の熱交換効率を高めることができる。
【0105】
又、図8の地中熱交換器は、各分割管(2a)の曲管部分が上記筒壁(20)の内側に位置している。図9の地中熱交換器は、各分割管(2a)の曲管部分が上記密閉空間(7)に位置している。図10の地中熱交換器は、各分割管(2a)の曲管部分が全て上記筒壁(20)の内側に位置している。図11の地中熱交換器は、各分割管(2a)の曲管部分の一方が上記筒壁(20)の内側に、他方が上記密閉空間(7)に位置している。このように、各分割管(2a)の曲管部分を様々な位置に配置してもよい。
【0106】
《実施形態2》
本実施形態2の空調装置は、地中の熱を利用して室内を冷暖房するものであり、本発明の空調システムを構成する。
【0107】
上記空調装置は、図12に示すように、実施形態1と同様に、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えている。実施形態1との違いは、冷媒の循環方向を可逆に切り換える四路切換弁(15)が上記冷媒回路(10)に接続されている点と、地中熱交換器(1)を形成する複数の外筒部(3)が直並列に配設されている点である。
【0108】
上記四路切換弁(15)は4つのポートを有している。上記四路切換弁(15)の第1ポートが上記圧縮機(14)の吐出側に接続され、第2ポートが上記圧縮機(14)の吸入側に接続され、第3ポートが室内熱交換器(11)に接続され、第4ポートが第1冷媒配管(9)に接続されている。
【0109】
そして、第1ポートおよび第3ポートが互いに連通し且つ第2ポートおよび第4ポートが互いに連通する第1状態(図12に実線で示す状態)と、第1ポートおよび第4ポートが互いに連通し且つ第2ポートおよび第3ポートが互いに連通する第2状態(図12に破線で示す状態)とにそれぞれ切換可能となっている。そして、この四路切換弁(15)の切換動作によって冷媒の循環方向を可逆にすることができる。
【0110】
又、上記地中熱交換器(1)は、複数の本体部(1a)が互いに並列に配列されることにより、構成されている。つまり、上記外筒部(3)が直並列に配設されており、具体的には、上記外筒部(3)が直列方向に4つ、並列方向に4つ配設されている。
【0111】
そして、このように配設された複数の外筒部(3)のうち、上記各本体部(1a)の最上部に配設された外筒部(3)を有する分割ユニット(23)において、一方の分割管(2a)の上端はそれぞれ第1連結配管(17a)の枝管に接続され、他方の分割管(2a)の上端はそれぞれ第2連結配管(17b)の枝管に接続されている。この第1と第2の連結配管(17a,17b)が、並列用の内管連結部材(17)を構成する。
【0112】
この第1連結配管(17a)は第1冷媒配管(9)と連通し、第2連結配管(17b)は膨張弁(12)から延びる冷媒配管と連通している。尚、第1連結配管(17a)の各枝管には第1閉鎖弁(SV1)が、第2連結配管(17a)の各枝管には第2閉鎖弁(SV2)が、それぞれ設けられている。
【0113】
上記空調装置において、その他の構成は、実施形態1の暖房装置と同等であるため、説明は省略する。
【0114】
−運転動作−
次に、上記空調装置の動作について説明する。この空調装置では、上記四路切換弁(15)を第1状態に設定すると暖房運転を行い、第2状態に設定すると冷房運転を行う。
【0115】
−暖房運転−
上記暖房運転では、上記圧縮機(14)から吐出された高圧冷媒が上記四路切換弁(15)を経て、上記室内熱交換器(11)に流入する。上記室内熱交換器(11)では、上記高圧冷媒が上記室内ファン(13)から送られる室内空気に放熱して凝縮した後で該室内熱交換器(11)を流出する。一方、上記室内空気はこの凝縮熱により暖められる。その結果、室内の暖房が行われる。
【0116】
上記室内熱交換器(11)を流出した高圧冷媒は上記膨張弁(12)で減圧されて、低圧冷媒となった後で、上記第2連結配管(17b)を経て、地中熱交換器(1)の各本体部(1a)に分流する。各本体部(1a)の動作は、実施形態1の暖房装置と同等なので、説明は省略する。上記各本体部(1a)を流出した低圧冷媒は、上記第1連結配管(17a)を経て合流し、第1冷媒配管(9)と四路切換弁(15)とを通過した後で上記圧縮機(14)に吸入される。上記圧縮機(14)では、低圧冷媒が所定圧力まで圧縮されて、高圧冷媒となった後で吐出されて、その高圧冷媒は、再び上記四路切換弁(15)を経て、上記室内熱交換器(11)に流入する。このように冷媒が冷媒回路(10)内を循環することにより、暖房運転が行われる。
【0117】
−冷房運転−
上記冷房運転では、上記圧縮機(14)から吐出された高圧冷媒が、上記四路切換弁(15)と上記第1冷媒配管(9)とを通過した後で、上記第1連結配管(17a)を経て、地中熱交換器(1)の各本体部(1a)に分流する。各本体部(1a)の動作は後述する。上記各本体部(1a)を流出した高圧冷媒は、上記第2連結配管(17b)を経て合流した後で、上記膨張弁(12)に流入する。
【0118】
上記膨張弁(12)に流入した高圧冷媒は、所定圧力まで減圧されて低圧冷媒となり、該膨張弁(12)を流出する。上記膨張弁(12)に流出した低圧冷媒は、室内熱交換器(11)に流入する。上記室内熱交換器(11)では、上記低圧冷媒が上記室内ファン(13)から送られる室内空気から吸熱して蒸発した後で該室内熱交換器(11)を流出する。一方、上記室内空気は、放熱して冷却される。その結果、室内の冷房が行われる。
【0119】
上記室内熱交換器(11)を流出した低圧冷媒は、四路切換弁(15)とを通過した後で上記圧縮機(14)に吸入される。上記圧縮機(14)では、低圧冷媒が所定圧力まで圧縮されて、高圧冷媒となった後で吐出されて、その高圧冷媒は、再び上記地中熱交換器(1)の各本体部(1a)に分流する。このように冷媒が冷媒回路(10)内を循環することにより、冷房運転が行われる。
【0120】
−地中熱交換器の動作−
次に、上記地中熱交換器(1)の動作について説明する。
【0121】
上記圧縮機(14)から吐出された高圧冷媒は分流して、各本体部(1a)における最上段の分割ユニット(23)の分割管(2a)に流入する。そして、上記分割管(2a)に流入した低圧冷媒は最下段の分割ユニット(23)へ向かって下方へ流れ、該最下段の分割ユニット(23)でUターンした後、最上段の分割ユニット(23)へ向かって上方へ流れ、該最上段の分割ユニット(23)から流出する。尚、上記分割管(2a)内に地中の土壌の温度よりも高い温度の高圧冷媒が流入するとき、各密閉空間(7)内の二酸化炭素の飽和温度は土壌と高圧冷媒との間の温度になるものとする。
【0122】
上記各分割管(2a)に高圧冷媒が流入すると、図13に示すように、暖房運転とは違い、上記密閉空間(7)内の二酸化炭素が上記分割管(2a)の外周面で蒸発するとともに、その蒸発でガス化した熱媒体が、その密度差により上記外筒部(3)の内周面に導かれて凝縮する。そして、上記外筒部(3)の内周面で凝縮した熱媒体は、上記外筒部(3)及び上記分割管(2a)の接触部分を介して該外筒部(3)の内周面から上記分割管(2a)の外周面に伝わり、該分割管(2a)の外周面で再び蒸発する。
【0123】
このように二酸化炭素が蒸発及び凝縮を繰り返すことにより、この二酸化炭素を介して、上記分割管(2a)の内側を流れる高圧冷媒から上記外筒部(3)の外側にある地中の土壌へ該高圧冷媒の熱が放出される。つまり、上記分割管(2a)を介して上記冷媒回路(10)の高圧冷媒が上記密閉空間(7)内の二酸化炭素へ熱を放出し、上記外筒部(3)を介して上記二酸化炭素がその熱を地中の土壌へ放出する。
【0124】
−実施形態2の効果−
本実施形態2によれば、上記複数の外筒部(3)を直並列に配設することで、全ての外筒部(3)を直列に配設した場合に比べて、複数の外筒部(3)を地中に埋めるための穴を深く掘る必要がなく、又、全ての外筒部(3)を並列に配設した場合に比べて、その配設面積を小さくすることができる。
【0125】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0126】
本実施形態では、複数の外筒部(3)を軸方向に並べることにより、上記本体部(1a)に複数の密閉空間(7)を形成しているが、さらに、各外筒部(3)の密閉空間(7)を軸方向に沿って複数の分割空間に区画する少なくとも1つ以上の隔壁を設けてもよい。こうすると、密閉空間(7)がさらに細分化され、上記外筒部(3)から外側に洩れる二酸化炭素の量をより一層少なくすることができ、地中熱交換器の熱交換能力の低下を最小限に抑えることができる。又、冷房運転時の液化した二酸化炭素のひき上げ蒸発性能を維持できる。
【0127】
本実施形態では、内管用の連結部材(9)を上記ユニオンで構成したが、これに限定される必要はなく、例えば、分割管(2a)の管端を差し込むだけで連結できる配管継手であってもよい。
【0128】
本実施形態1では空調システムを暖房装置で構成し、本実施形態2では空調システムを空調装置で構成したが、これに限定される必要はなく、上記空調システムを冷房装置で構成してもよい。
【0129】
この場合、上記地中熱交換器(1)が凝縮器を構成し、上記室内熱交換器(11)が蒸発器を構成するとともに、上記地中熱交換器(1)には地中の土壌よりも高い温度の冷媒が流入する。したがって、上記分割管(2a)の外壁面(22)が蒸発面を構成し、上記外筒部(3)の内壁面(21)が凝縮面を構成する。
【0130】
又、上記地中熱交換器(1)において、円周溝(30,31)とウィック(8)とを併用して用いてもよい。
【0131】
又、上記実施形態では、液体搬送部材をウィックで構成したが、これに限定される必要はなく、例えば、金属多孔質体、多孔質セラミック、繊維の集合体などであってもよいし、毛細管現象を利用した部材であってもよい。
【0132】
又、上記実施形態では、全て同じ長さの分割ユニット(23)を用いて上記地中熱交換器を組み立てているが、これに限定されず、例えば異なる長さの分割ユニット(23)を用いて地中熱交換器を組み立ててもよい。こうすると長さの異なる複数の分割ユニット(23)の中から、所望の熱交換能力に応じて分割ユニット(23)を選定した後、該地中熱交換器を組み立てることができる。
【0133】
又、上記実施形態では、熱媒体として二酸化炭素を用いたが、これに限定されず、例えば水やアンモニアであってもよい。こうすると、二酸化炭素に比べて、使用圧力範囲を低くすることができ、外筒部(3)の薄肉化を図ることができる。又、水やアンモニアは、二酸化炭素に比べて潜熱が大きいので、外筒部(3)に封入する冷媒量を少なくすることができる。又、本実施形態では、熱媒体が−10℃から40℃の間で相変化するように封入されていたが、これは単なる例示であり、その温度範囲外で相変化するように封入してもよい。
【0134】
又、上記実施形態では、上記分割ユニット(23)を一列に繋いで上記地中熱交換器を組み立てていたが、これに限定されず、図14に示すように、上記分割ユニット(23)が複数の列を構成するようにしてもよい。こうすると、例えば直列に配設した場合に比べて、複数の外筒部(3)を地中に埋めるために深い穴を掘る必要がなくなる。又、地中熱交換器が長尺の場合には、熱媒体の全面均一利用が難しいが、並列配置にすることにより、熱媒体の全面均一利用ができやすくなる。
【0135】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0136】
以上説明したように、本発明は、被熱交換流体と地中の土壌を熱交換させる地中熱交換器、及びそれを利用した空調システムについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の実施形態1に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る地中熱交換器の内部の詳細図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る地中熱交換器の動作中の拡大図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る地中熱交換器の開口部を示した図である。
【図6】本発明の実施形態1の変形例1に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係る暖房装置の冷媒回路図である。
【図8】本発明の実施形態1の変形例2に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図9】本発明の実施形態1の変形例2に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図10】本発明の実施形態1の変形例2に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図11】本発明の実施形態1の変形例2に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図12】本発明の実施形態2に係る空調装置の冷媒回路図である。
【図13】本発明の実施形態2に係る地中熱交換器の動作中の拡大図である。
【図14】その他の実施形態に係る空調装置の冷媒回路図である。
【符号の説明】
【0138】
1 地中熱交換器
1a 本体部
2 内管
2a 分割管
3 外筒部
6 流体流路(冷媒流路)
7 密閉空間
8 ウィック(液体搬送部材)
9 ユニオン(内管用の連結部材)
10 冷媒回路
23 分割部(分割ユニット)
【技術分野】
【0001】
本発明は、被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器、及びそれを利用した空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、密封された熱媒体を介して被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器が知られている。この地中熱交換器は、例えば冷凍サイクルを行う冷媒回路等に利用されている。特許文献1には、暖房運転において、地中熱を利用して上記冷媒回路の冷媒(被熱交換流体)を加熱する地中熱交換器が開示されている。
【0003】
特許文献1の地中熱交換器は、外管(外筒部)と該外管の内側に挿入された内管とからなる二重管式熱交換器で構成されている。上記内管は、その両端が閉塞されて内側に密閉空間が形成されている。この密閉空間に上記熱媒体が封入されている。上記外管は、その内側に上記冷媒回路の冷媒が流れる冷媒通路が形成されている。
【0004】
そして、上記内管は、その上下端が外管の内側から管軸方向に突出するように外管の管内側に固定されている。上記外管から下側へ突出した内管は、その内管の管軸方向が鉛直方向に沿うように地中に埋設される。つまり、上記内管の下方部分は地中の土壌と接触し、上記内管の上方部分は上記外管の冷媒通路を流れる冷媒と接触している。
【0005】
このような構成において、地中よりも低い温度の冷媒を上記冷媒流路に流すと、上記内管の上側では、地中温度で平衡蒸気圧にあった熱媒体蒸気と上記外管の冷媒通路を流れる冷たい冷媒とが熱交換して該熱媒体が凝縮するとともに、その凝縮熱で冷媒が加熱される。凝縮して液化した冷たい熱媒体は内管内を上側から下側に向かって下降する。上記内管の下端側では、地中の土壌と熱媒体とが熱交換して該熱媒体が地中温度と平衡な蒸気圧になるように蒸発をする。この蒸発した熱媒体は内管内を下端側から上端側に向かって再び上昇する。つまり、上記内管がヒートパイプとなって、地中の熱で冷媒配管内の冷媒を加熱することができる。
【特許文献1】国際公開第WO2004/111559号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1のような従来の地中熱交換器において、自然災害等により地中に埋設した管に亀裂が生じた場合、その亀裂部分から熱媒体が洩れてしまうことが考えられる。こうなると、上記密閉空間内の熱媒体の量が減り、地中熱交換器の熱交換能力が低下してしまう。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、密封された熱媒体を介して被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器において、何らかの原因で管内の熱媒体が管外側へ洩れてしまった場合であっても、熱交換能力の低下を最小限に抑えることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、被熱交換流体が流れる流体流路(6)と熱媒体を密閉した密閉空間(7)とが形成された本体部(1a)を有し、上記本体部(1a)を地中に埋設することにより、上記熱媒体を介して被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器を前提としている。
【0009】
そして、上記地中熱交換器の本体部(1a)は、複数の外筒部(3)と、該複数の外筒部(3)の内側に挿入された内管(2)とを有し、上記内管(2)の内側に上記流体流路(6)が形成され、上記各外筒部(3)の内側には、上記内管(2)のうち該外筒部(3)の内側に挿入された挿入部分を囲むように上記密閉空間(7)が形成されていることを特徴としている。
【0010】
第1の発明では、外筒部(3)を複数にすることで、上記本体部(1a)に複数の密閉空間(7)が形成されている。こうすると、仮に自然災害等により、ある外筒部(3)に亀裂が生じても、その亀裂が生じた外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が地中に洩れるのみで、他の外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が地中に洩れないようにすることができる
第2の発明は、第1の発明において、上記複数の外筒部(3)は、並列、直列、又は直並列に配設されていることを特徴としている。ここで、上記複数の外筒部(3)は直並列に配列とは、外筒部(3)が直列方向と並列方向とにそれぞれ配列されていることをいう。
【0011】
第2の発明では、上記複数の外筒部(3)を並列に配設することで、直列に配設した場合に比べて、複数の外筒部(3)を地中に埋めるために深い穴を掘る必要がなくなる。逆に、上記複数の外筒部(3)を直列に配設することで、並列に配設した場合に比べて、その配設面積が小さくなる。
【0012】
又、上記複数の外筒部(3)を直並列に配設することで、全ての外筒部(3)を直列に配設した場合に比べて、複数の外筒部(3)を地中に埋めるための穴を深く掘る必要がなく、全ての外筒部(3)を並列に配設した場合に比べて、その配設面積が小さくなる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、上記内管(2)は、直列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、直列方向に隣り合う外筒部(3)と外筒部(3)との間で各外筒部(3)ごとに分割した複数の分割管(2a)で形成され、隣り合う上記分割管(2a)と上記分割管(2a)との間には、これらの分割管(2a)同士を連結する直列用の内管連結部材(9)が設けられていることを特徴としている。
【0014】
第3の発明では、複数の外筒部(3)の内側に挿入される内管(2)を各外筒部(3)ごとに分割している。この内管(2)を分割して形成された分割管(2a)を各外筒部(3)に挿入している。そして、隣り合う分割管(2a)同士を直列用の内管連結部材(9)で接続している。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、上記本体部(1a)は、直列方向に分割された複数の分割部(23)を有し、上記各分割部(23)は、上記各外筒部(3)と該各外筒部(3)に挿入固定された上記分割管(2a)とにより構成されていることを特徴としている。
【0016】
第4の発明では、上記内管(2)を上記外筒部(3)ごとに分割し、その内管(2)の分割管(2a)を該分割管(2a)に対応する外筒部(3)に固定したものを上記分割部(23)として構成することができる。
【0017】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、直列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、直列方向に隣り合う外筒部(3)と外筒部(3)とが軸方向に空間を隔てて並べられるとともに、該空間には、これらの外筒部(3)同士を上記直列用の内管連結部材(9)を囲うようにして連結する外筒部用の連結部材(20)が設けられていることを特徴としている。
【0018】
第5の発明では、上記外筒部用の連結部材(20)を設けることにより、直列方向に隣り合う分割部(23)同士の連結を確実に行うことができる。又、この外筒部用の連結部材(20)が上記直列用の内管連結部材(9)を囲うように配置されているので、該直列用の内管連結部材(9)を保護することができる。
【0019】
第6の発明は、第5の発明において、上記外筒部用の連結部材(20)には、上記直列用の内管連結部材(9)に対向する位置に開口部(16)が形成されていることを特徴としている。
【0020】
第6の発明では、上記開口部(16)を通じて上記直列用の内管連結部材(9)を操作することにより、直列方向に隣り合う分割管(2a)同士の連結作業を行うことができる。
【0021】
第7の発明は、第2の発明において、並列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、並列方向に配設された各外筒部(3)に対応する内管(2)同士を接続する並列用の内管連結部材(17)を備えていることを特徴としている。
【0022】
第7の発明では、上記並列用の内管連結部材(17)により、並列方向に配設された各外筒部(3)に対応する内管(2)同士を互いに連結することができるようになる。
【0023】
第8の発明は、第1から第7の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)及び上記内管(2)は、該外筒部(3)の内周面(21)と内管(2)の外周面(22)とが互いに実質的に接触するように配置されていることを特徴としている。
【0024】
ここで、本発明の地中熱交換器を埋設した後、上記内管(2)の流体流路(6)に地中の土壌よりも低い温度の被熱交換流体を流すと、上記外筒部(3)内に封入された熱媒体は、上記内管(2)の外周面(22)を介して、該熱媒体よりも温度の低い被熱交換流体に熱を放出して凝縮する。このとき、被熱交換流体は、熱媒体の凝縮熱を吸収することにより、加熱される。
【0025】
上記内管(2)の外周面(22)で凝縮して液化した熱媒体は、上記外筒部(3)の内周面(21)を介して、該熱媒体よりも温度の高い地中の土壌から熱を吸収して蒸発する。上記外筒部(3)の内周面(21)で蒸発して気化した熱媒体は、再び上記内管(2)の外周面(22)で凝縮する。このように、上記熱媒体が凝縮及び蒸発を繰り返すことにより、地中の土壌の熱が熱媒体を介して被熱交換流体へ伝えられ、該被熱交換流体が加熱される。
【0026】
逆に、上記内管(2)の流体流路(6)に地中の土壌よりも高い温度の被熱交換流体を流したとすると、上記熱媒体は、上記外筒部(3)の内周面(21)で凝縮し、上記内管(2)の外周面(22)で蒸発する。これにより、被熱交換流体の熱が熱媒体を介して地中の土壌へ伝えられ、該被熱交換流体が冷却される。
【0027】
第8の発明では、上記外筒部(3)の内周面(21)と上記内管(2)の外周面(22)とを互いに実質的に接触させることにより、この接触部分を介して、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体が他方の面へ流れるようになる。ここで、実質的に接触している状態とは、上記外筒部(3)と上記内管(2)とが直接的に接触している状態と、液化した熱媒体を介して間接的に接触している状態とを含んでいる。
【0028】
第9の発明は、第8の発明において、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)には、円周方向に沿って円周溝(30,31)が形成されていることを特徴としている。
【0029】
第9の発明では、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体が、その一方の面に形成された円周溝(30,31)に保持されながら該円周溝(30)に沿って円周方向へ流れるようになる。この熱媒体は、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の接触部分を介して他方の面へ流れる。この他方の面へ流れた熱媒体は、その他方の面に形成された円周溝(30,31)に保持されながら該円周溝(30)に沿って円周方向へ流れて蒸発するようになる。尚、この円周溝(30,31)は、螺旋状に形成されていてもよい。
【0030】
第10の発明は、第1から第9の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で液化した熱媒体を他方の面に搬送する液体搬送部材(8)が設けられていることを特徴としている。
【0031】
第10の発明では、上記液体搬送部材(8)により、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で液化した熱媒体を、他方の面へ積極的に搬送して蒸発させることができるようになる。
【0032】
第11の発明は、第10の発明において、上記液体搬送部材(8)はウィックであり、そのウィックは、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の両方に接触するように設けられていることを特徴としている。ここで、ウィックとは、内部に多数の微細な孔が形成された多孔質体のことであり、この微細な孔が連なることで毛細管状の通路を形成している。そして、毛細管現象により、この毛細管状の通路を液体が流れる。尚、この多孔質体は、金属又はセラミックの粉末を焼結させることで形成してもよいし、メッシュ状の金属を重ね合わせたり、金属繊維を束ねたりして形成してもよい。
【0033】
第11の発明では、上記液体搬送部材(8)をウィックで構成することにより、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の一方の面で凝縮した液化した熱媒体を、上記ウィックの毛細管現象で他方の面へ積極的に搬送して蒸発させることができるようになる。
【0034】
第12の発明は、第1から第11の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、二酸化炭素であることを特徴としている。
【0035】
第12の発明では、何らかの原因で外筒部(3)に亀裂が生じて、その亀裂部分から熱媒体が地中に洩れたとしても、熱媒体を二酸化炭素で構成しているので、地中の土壌や地下水を汚染しないようにすることができる。
【0036】
第13の発明は、第1から第11の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、水であることを特徴としている。
【0037】
第13の発明では、何らかの原因で外筒部(3)に亀裂が生じて、その亀裂部分から熱媒体が地中に洩れたとしても、第5の発明と同様に、地中の土壌や地下水を汚染しないようにすることができる。又、水は、二酸化炭素に比べて潜熱が大きいので、外筒部(3)に封入する水の量を少なくすることができる。
【0038】
第14の発明は、第1から第11の何れか1つの発明において、上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、アンモニアであることを特徴としている。
【0039】
第14の発明では、アンモニアが二酸化炭素に比べて使用圧力範囲が低いことを利用して、外筒部(3)の薄肉化を図ることができる。又、アンモニアは、二酸化炭素に比べて蒸発潜熱が大きいので、水と同様に外筒部(3)に封入するアンモニアの量を少なくすることができる。
【0040】
第15の発明は、第1から第14の何れか1つの発明において、複数の外筒部(3)のうち少なくとも1つが、他の外筒部(3)とは軸方向の長さが異なるように構成されていることを特徴としている。
【0041】
第15の発明では、上記地中熱交換器を、軸方向の長さが異なる外筒部(3)を組み合わせて構成している。例えば、長さの異なる外筒部(3)間で比較すると、長さの短い外筒部(3)の方が、長さの長い外筒部(3)よりも伝熱面積が小さいので、熱交換能力も小さい。したがって、長さが異なる外筒部(3)を組み合わせて、所望の熱交換能力となるように、上記地中熱交換器を組み立てることができる。
【0042】
第16の発明は、第1から第14の何れか1つの発明において、複数の外筒部(3)は、その軸方向の長さが全て等しいことを特徴としている。
【0043】
第16の発明では、同じ長さの外筒部(3)を複数製作し、それらの外筒部(3)を配列することにより、地中熱交換器を形成する。
【0044】
第17の発明は、圧縮機(14)と熱源側熱交換器(1)と膨張機構(12)と利用側熱交換器(11)とが接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えた空調システムを前提としている。
【0045】
そして、上記空調システムにおいて、第1から第16の発明の何れか1つに記載の地中熱交換器の内管(2)が上記冷媒回路(10)に接続されて、上記熱源側熱交換器(1)が上記地中熱交換器を構成することを特徴としている。
【0046】
第17の発明では、上記空調システムにおいて、蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおける熱源側熱交換器(1)として地中熱交換器を利用することができる。上記空調システムが暖房装置の場合は、上記地中熱交換器が蒸発器となり、上記利用側熱交換器(11)が凝縮器となる。そして、この地中熱交換器において、上記膨張機構(12)を流出した低圧冷媒と地中の土壌とが熱交換を行い、地中の土壌から該低圧冷媒が吸熱することにより、該低圧冷媒を蒸発させることができる。
【0047】
一方、上記空調システムが冷房装置の場合は、上記地中熱交換器が凝縮器となり、上記利用側熱交換器(11)が蒸発器となる。そして、この地中熱交換器において、上記圧縮機(14)から吐出した高圧冷媒と地中の土壌とが熱交換を行い、該高圧冷媒が地中の土壌に放熱することにより、該高圧冷媒を凝縮させることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、上記本体部(1a)において、仮に自然災害等により、ある外筒部(3)に亀裂が生じても、その亀裂が生じた外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が地中に洩れるのみで、他の外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が洩れることはない。これにより、上記本体部(1a)から外側に洩れる熱媒体の量を従来よりも少なくすることができ、地中熱交換器の熱交換能力の低下を最小限に抑えることができる。
【0049】
また、上記第2の発明によれば、複数の外筒部(3)を並列に配設することにより、該複数の外筒部(3)を地中に埋めるための穴の深さを短くでき、上記複数の外筒部(3)を直列に配設することにより、該複数の外筒部(3)の配設面積を小さくできる。
【0050】
また、上記第3の発明によれば、上記内管(2)を分割して形成された分割管(2a)を各外筒部(3)に挿入している。そして、隣り合う分割管(2a)同士を直列用の内管連結部材(9)で接続することにより、複数の外筒部(3)からなる地中熱交換器を形成している。こうすると、内管(2)の外側に複数の外筒部(3)を挿入する場合に比べて、上記地中熱交換器を製作しやすくすることができる。
【0051】
また、上記第4の発明によれば、上記外筒部(3)に上記分割管(2a)を固定したものを上記分割部(23)として構成することができる。このように構成すると、上記本体部(1a)を分割しない場合に比べて、上記地中熱交換器の製作を容易に行うことができる。尚、本体部(1a)を分割する場合には、上記本体部(1a)を製作しやすい長さに分割するとよい。
【0052】
また、上記第5の発明によれば、上記外筒部用の連結部材(20)により、隣り合う分割部(23)同士を確実に連結することができるとともに、上記直列用の内管連結部材(9)を保護することができる。これにより、上記地中熱交換器の品質を向上させることができる。
【0053】
また、上記第6の発明によれば、上記開口部(16)から上記内管用の連結部材(9)を操作することにより、隣り合う分割管(2a)同士の連結作業を行うことができ、上記地中熱交換器の連結作業の効率化を図ることができる。
【0054】
また、上記第7の発明によれば、上記並列用の内管連結部材(17)により、並列方向に配設された各外筒部(3)に対応する内管(2)同士を接続することができる。
【0055】
また、上記第8の発明によれば、上記外筒部(3)と上記内管(2)とを接触させることにより、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体を確実に他方の面へ導き、他方の面で蒸発させることができるようになる。これにより、上記地中熱交換器の熱交換能力を向上させることができる。
【0056】
また、上記第9の発明によれば、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体は、その一方の面に形成された円周溝(30,31)で下方へ落ちないように保持されながら他方の面へ導かれ、その他方の面に形成された円周溝(30,31)で下方へ落ちないように保持されながら溝全体に広がりながら蒸発する。
【0057】
このように、液化した熱媒体を円周溝(30,31)で下方へ落ちないように保持しながら、液化した熱媒体を一方の面から他方の面へ導くことができ、上記円周溝(30,31)を設けない場合に比べて、より多量の熱媒体が他方の面へ導かれるようになる。これにより、上記地中熱交換器の熱交換能力をさらに向上させることができる。
【0058】
また、上記第10の発明によれば、上記液体搬送部材(8)を利用して、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の一方の面で凝縮して液化した熱媒体を他方の面へ積極的に搬送することができる。これにより、上記地中熱交換器の熱交換効率をより一層向上させることができる。
【0059】
また、上記第11の発明によれば、上記液体搬送部材(8)としてウィックを利用することにより、該液体搬送部材(8)の低コスト化を図りつつ、熱媒体を搬送することができ、上記地中熱交換器の高効率化と低コスト化とを両立することができる。
【0060】
また、上記第12,13の発明によれば、何らかの原因で外筒部(3)に亀裂が生じて、その亀裂部分から熱媒体が地中に洩れたとしても、その熱媒体が二酸化炭素であるので地中の土壌や地下水を汚染することがない。したがって、地球環境に配慮した地中熱交換器を提供することができる。
【0061】
また、上記第14の発明によれば、熱媒体としてアンモニアを用いることにより、二酸化炭素を用いた場合に比べて、被熱交換流体及び地中の土壌に対する熱媒体の熱交換量を増やすことができる。これにより、上記地中熱交換器の熱交換能力を向上させることができる。
【0062】
また、上記第15の発明によれば、上記地中熱交換器を組み立てる場合に、所望の熱交換能力となるように、長さが異なる外筒部(3)を組み合わせることができる。これにより、最適な熱交換能力を有する地中熱交換器を提供することができる。
【0063】
また、上記第16の発明によれば、同じ長さの外筒部(3)を複数製作し、それらの外筒部(3)を配列することにより、地中熱交換器を形成できる。これにより、様々な長さの外筒部(3)を製作する必要がないので、外筒部(3)の製作コストを低減できる。
【0064】
また、上記第17の発明によれば、上記空調システムにおいて、上記地中熱交換器の外筒部(3)に亀裂が生じて、その外筒部(3)の密閉空間(7)から熱媒体が地中へ洩れてしまった場合であっても、他の外筒部(3)から熱媒体が洩れないので、地中熱交換器の熱交換能力の低下を最小限に抑えることができる。したがって、上記空調システムの能力低下も最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0066】
《実施形態1》
本実施形態1の暖房装置は、地中の熱を利用して室内を暖房するものであり、本発明の空調システムを構成する。
【0067】
〈暖房装置の構成〉
上記暖房装置は、図7に示すように、冷媒回路(10)を備えている。上記冷媒回路(10)は、圧縮機(14)と室内熱交換器(利用側熱交換器)(11)と膨張弁(膨張機構)(12)と地中熱交換器(熱源側熱交換器)(1)とが冷媒配管で接続されてなる。ここで、上記地中熱交換器(1)は地中に埋設され、上記室内熱交換器(11)は室内に設置されている。尚、地下に機械室がある場合には、その機械室に上記暖房装置における室内熱交換器(11)及び地中熱交換器(1)以外の要素機器、つまり、圧縮機(14)や膨張弁(12)等が設置されていてもよい。
【0068】
上記冷媒回路(10)には冷媒(被熱交換流体)が封入されている。この冷媒が冷媒回路(10)を循環することにより、上記地中熱交換器(1)が蒸発器となり、上記室内熱交換器(11)が凝縮器となって、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うように構成されている。
【0069】
上記地中熱交換器(1)は、内部に密封された二酸化炭素(熱媒体)を介して、地中の土壌と冷媒回路を流れる冷媒とを熱交換させるものである。この地中熱交換器(1)の詳細は後述する。上記圧縮機(14)は全密閉型であって、該圧縮機(14)に電気的に接続されたインバータ(図示省略)により容量可変に構成されている。この圧縮機(14)では、吸入した冷媒を所定圧力まで圧縮して吐出するように構成されている。
【0070】
上記室内熱交換器(11)は、図示は省略しているが、伝熱管が複数パスに配列されるとともに該伝熱管と直交して多数のアルミフィンが配置されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成されている。この室内熱交換器(11)の近傍には室内ファン(13)が設置されている。そして、上記伝熱管の管内側を冷媒が流れ、上記伝熱管の管外側にあるアルミフィン間を上記室内ファン(13)から送られる室内空気が流れ、両者が熱交換を行うように構成されている。上記膨張弁(12)は、開度可変の電子膨張弁によって構成されている。この膨張弁(12)の開度が変更されて、該膨張弁(12)を流れる冷媒の減圧量が調整される。
【0071】
〈地中熱交換器の構成〉
上記地中熱交換器(1)は、図1に示すように、複数の分割ユニット(分割部)(23)を管軸方向に直列に連結することにより構成された本体部(1a)を有している。そして、上記地中熱交換器(1)は、この本体部(1a)管軸方向が鉛直方向に沿うように地中に埋没している。
【0072】
上記分割ユニット(23)は、それぞれ外筒部(3)と分割管(2a)とを有し、該外筒部(3)の管内側に該分割管(2a)が挿入固定された二重管式の熱交換器を構成する。尚、上記各分割ユニット(23)の長さは全て同じ長さである。
【0073】
上記外筒部(3)は、その上端部に上側閉塞板(4)、その下端部に下側閉塞板(5)がそれぞれ取り付けられている。尚、最下段の分割ユニット(23)を除く各分割ユニット(23)の上記上側閉塞板(4)及び上記下側閉塞板(5)には、それぞれ2つの貫通孔が設けられている。上記最下段の分割ユニット(23)は、上記上側閉塞板(4)のみに2つの貫通孔が設けられている。そして、上記各外筒部(3)を両方の閉塞板(4,5)で閉塞することにより、その内側に密閉空間(7)が形成されている。この密閉空間(7)には、所定量の二酸化炭素が密封されている。尚、上記冷媒回路(9)の冷媒が地中熱交換器(1)に流入するときの温度がだいたい−10℃から40℃の間であることから、二酸化炭素が、この−10℃から40℃の間で相変化するように封入されている。
【0074】
又、最上段と最下段の分割ユニット(23)を除く各分割ユニット(23)の外筒部(3)において、両方の閉塞板(4,5)から軸方向に該外筒部(3)と同径の筒壁(20)が延びている。この筒壁(20)が、上記外筒部用の連結部材を構成している。この筒壁(20)には、図5に示すように、後述するユニオン(9)に触れるための開口部(16)が設けられている。尚、図示していないが、上記開口部(16)を塞ぐための側板が設けられている。この側板により、上記ユニオン(9)を保護することができる。
【0075】
上記筒壁(20)の先端部には、隣り合う外筒部(3)を連結するための差し込み部が形成されている。
【0076】
尚、最上段の分割ユニット(23)は、上記下側閉塞板(5)から軸方向に該外筒部(3)と同径の筒壁(20)が延びており、その先端に上記差し込み部が形成されている。最下段の分割ユニット(23)の場合には、上記上側閉塞板(4)から軸方向に該外筒部(3)と同径の筒壁(20)が延びており、その先端に上記差し込み部が形成されている。
【0077】
又、上記各分割ユニット(23)の外筒部(3)において、上記密閉空間(7)に面する内壁面(内周面)(21)には、図3に示すように、円周方向に沿うように複数の円周溝(30)が形成されている。
【0078】
上記分割管(2a)は、直管状に形成されたもの、及びU字状に形成されたものの2種類がある。これらの分割管(2a)が互いに接続されることにより、内管(2)が形成されている。尚、この分割管(2a)は、図2に示すように、その外壁面(22)が上記外筒部(3)における密閉空間(7)に面した内壁面(21)に接触するように、上記外筒部(3)に固定されている。つまり、上記分割管(2a)が接続されて形成された内管(2)の外壁面(22)は、外筒部(3)における密閉空間(7)に面した内壁面(21)に接触している。又、上記分割管(2a)の外壁面(22)には、100ミクロン程度の円周溝(31)が多数形成されている。尚、この円周溝(31)の形状は、単なる例示である。
【0079】
又、最下段の分割ユニット(23)を除く各分割ユニット(23)には、管端部分が上記密閉空間(7)から突出するように上記直管状の2本の分割管(2a)が上記上側閉塞板(4)及び上記下側閉塞板(5)の各貫通孔に挿入固定されている。一方、上記最下段の分割ユニット(23)には、管端部分が上記密閉空間(7)から突出するように上記U字状の分割管(2a)が上記上側閉塞板(4)の各貫通孔に挿入固定されている。
【0080】
又、隣り合う分割管(2a)の管端部には、その分割管(2a)同士を連結するためのユニオン(9)が設けられている。このユニオン(9)が、上記分割管(2a)同士を上記密閉空間(7)の外側で連結する内管用の連結部材(9)を構成する。そして、これら分割管(2a)がユニオン(9)で連結されて内管(2)を構成する。
【0081】
そして、この内管(2)の一端が上記圧縮機(14)の吐出側から延びる冷媒配管に接続され、他端が上記膨張弁(12)の入口側から延びる冷媒配管に接続されている。このように接続されることにより、上記内管(2)の管内側に上記冷媒回路(10)の冷媒が流れる冷媒通路(流体流路)(6)が形成されている。
【0082】
−運転動作−
次に、上記暖房装置の動作について説明する。
【0083】
上記圧縮機(14)で所定圧力まで圧縮された後に吐出された高圧冷媒は、上記室内熱交換器(11)に流入する。上記室内熱交換器(11)では、上記高圧冷媒が上記室内ファン(13)から送られる室内空気に放熱して凝縮した後で該室内熱交換器(11)を流出する。一方、上記室内空気はこの凝縮熱により暖められる。その結果、室内の暖房が行われる。上記室内熱交換器(11)を流出した高圧冷媒は上記膨張弁(12)に流入する。上記膨張弁(12)では、高圧冷媒が所定圧力まで減圧されて低圧冷媒になった後で該膨張弁(12)を流出する。このとき、この減圧後の低圧冷媒の飽和温度が地中の土壌の温度よりも低くなるように上記膨張弁(12)で上記低圧冷媒が減圧される。
【0084】
上記膨張弁(12)を流出した低圧冷媒は、上記地中熱交換器(1)に流入する。上記地中熱交換器(1)では、低圧冷媒が地中の熱を吸収して蒸発した後で該地中熱交換器(1)を流出する。上記地中熱交換器(1)を流出した低圧冷媒は、上記圧縮機(14)に吸入され、所定圧力まで圧縮された後、再び上記室内熱交換器(11)に流入する。このように冷媒が冷媒回路(10)内を循環することにより、室内の暖房が行われる。
【0085】
次に、上記地中熱交換器(1)の動作について説明する。
【0086】
上記膨張弁(12)から流出した低圧冷媒は、上記地中熱交換器(1)における最上段の分割ユニット(23)の分割管(2a)から流入する。そして、上記分割管(2a)に流入した低圧冷媒は最下段の分割ユニット(23)へ向かって下方へ流れ、該最下段の分割ユニット(23)でUターンした後、最上段の分割ユニット(23)へ向かって上方へ流れ、該最上段の分割ユニット(23)から流出する。尚、上記分割管(2a)内に地中の土壌の温度よりも低い温度の低圧冷媒が流入するとき、各密閉空間(7)内の二酸化炭素の飽和温度は土壌と低圧冷媒との間の温度になるものとする。
【0087】
この場合、図4に示すように、二酸化炭素が、該二酸化炭素の飽和温度よりも低い温度の分割管(2a)の外壁面(外周面)(22)で凝縮する。この二酸化炭素の凝縮熱を上記冷媒回路(9)の冷媒が吸収して蒸発する。この蒸発した冷媒は、上記地中熱交換器(1)から流出した後、上記圧縮機(14)に吸入される。
【0088】
上記外壁面(22)で凝縮して液化した二酸化炭素は、該外壁面(22)の円周溝(31)により、下方へ落ちることなく保持されながら該円周溝(31)に沿って円周方向へ広がるように流れる。そして、この液化した二酸化炭素は、上記外筒部(3)及び上記分割管(2a)の接触部分を介して、上記外筒部(3)の内壁面(21)へ導かれる。外筒部(3)の内壁面(21)へ導かれた二酸化炭素は、外筒部(3)の円周溝(30)により、下方へ落ちることなく保持されながら該円周溝(30)に沿って円周方向へ広がるように流れる。そして、この内壁面(21)で二酸化炭素が蒸発する。上記内壁面(21)で蒸発してガス化した二酸化炭素は、分割空間(7a)内の二酸化炭素の密度差により、上記分割管(2a)の外壁面(22)の方へ移動して、その外壁面(22)で再び凝縮する。このように二酸化炭素が相変化を繰り返すことにより、その二酸化炭素を介して、上記外筒部(3)の外側にある地中の土壌と上記分割管(2a)の内側を流れる冷媒とが熱交換する。
【0089】
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、複数の外筒部(3)を軸方向に並べることにより、上記本体部(1a)に複数の密閉空間(7)を形成することができる。こうすると、仮に自然災害等により、ある外筒部(3)に亀裂が生じても、その亀裂が生じた外筒部(3)の密閉空間(7)から二酸化炭素が地中に洩れるのみで、他の外筒部(3)の密閉空間(7)から二酸化炭素が洩れることはない。これにより、上記外筒部(3)から外側に洩れる二酸化炭素の量を少なくすることができ、地中熱交換器の熱交換能力の低下を最小限に抑えることができる。
【0090】
又、複数の外筒部(3)の数を変えることで、任意の長さの地中熱交換器を現地で簡便に設置できる。
【0091】
さらに、冷媒回路(10)の冷媒が流れる上記内管(2)は、地中では、分割ユニット(23)や筒壁(20)で強度体で保護された内部にある(土壌とは直接触れない)ので、破損や腐食劣化などから保護され、冷媒回路(10)の冷媒が内管(2)から漏洩することによる土壌及び地下水汚染を回避できる。
【0092】
また、本実施形態1によれば、上記内管(2)を上記外筒部(3)ごとに分割し、その内管(2)の分割管(2a)を該分割管(2a)に対応する外筒部(3)に固定したものを上記分割部(23)として構成することができる。このように構成すると、上記本体部(1a)を分割しない場合に比べて、上記地中熱交換器の製作を容易に行うことができる。この場合、上記本体部(1a)を工場生産が容易で、埋設現場へ搬入しやすく、性能が低下しない長さに分割するとよい。
【0093】
尚、上記分割部(23)は工場生産できるのであり、その分割部(23)の生産性も品質も管理できる。又、任意の長さの地中熱交換器を現地で簡便に設置でき、しかも、垂直方向の長さが短く区分化できるので(内部に密封した熱媒体の移動距離が管理でき)全長に関わりなく熱交換性能は一定に保たれる。
【0094】
又、例えば上記地中熱交換器を地中に埋設する場合には、一旦本体部(1a)を管軸方向に立設させた後でなければ、該本体部(1a)を埋設することができない。本実施形態1によれば、例えば上記本体部(1a)を立設しやすい長さに分割することにより、その分割部(23)の立設作業を容易にして、地中熱交換器の埋設作業の効率化を図ることができる。
【0095】
また、本実施形態1によれば、上記外筒部(3)の閉塞板(4,5)から軸方向に延びる筒壁(20)により、上記ユニオン(9)を保護することができるとともに、上記筒壁(20)の先端に形成された差し込み部により、隣り合う分割部(23)同士を確実に連結することができる。これにより、上記地中熱交換器の品質を向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態1によれば、上記開口部(16)を通じて上記ユニオン(9)を締めることにより、隣り合う分割管(2a)同士の連結作業を行うことができ、上記地中熱交換器の連結作業の効率化を図ることができる。
【0097】
又、本実施形態1によれば、上記外筒部(3)と上記分割管(2a)とを接触させることにより、上記分割管(2a)の外壁面(22)で凝縮して液化した二酸化炭素を確実に上記外筒部(3)の内壁面(21)へ導くことができる。又、上記外筒部(3)の内壁面(21)及び上記内管(2)の外壁面(22)にはそれぞれ円周溝(30,31)が形成されているので、液化した二酸化炭素を円周溝(30,31)で下方へ落ちないように保持しながら上記外筒部(3)の内壁面(21)へより多く導き、蒸発させることができる。これにより、上記地中熱交換器(1)の熱交換能力を向上させることができる。
【0098】
また、本実施形態1によれば、何らかの原因で外筒部(3)に亀裂が生じて、その亀裂部分から熱媒体が地中に洩れたとしても、その熱媒体が二酸化炭素であるので地中を汚染することがない。また、地中熱交換器の内部では、上記内管(2)が土壌から隔離されている。これにより、上記内管(2)の腐食などの劣化に起因して、冷媒が漏洩し土壌及び地下水を汚染するのを回避できる。このことから、地球環境に配慮した地中熱交換器を提供することができる。
【0099】
−実施形態1の変形例1−
上記実施形態1の地中熱交換器では、上記本体部(1a)の分割管(2a)におけるユニオン(9)近傍の形状が直管状に形成されていたが、変形例1では、図6に示すように、そのユニオン(9)近傍の分割管(2a)の形状が曲管状に形成されている。
【0100】
尚、この曲管状の各分割管(2a)を両方の閉塞板(4,5)の貫通孔を貫通させて上記各外筒部(3)の内側に挿入しやすくなるように、上記ユニオン(9)の両端にはエルボ継手(9a)を設けている。
【0101】
このように上記分割管(2a)を曲管状に形成すると、ユニオン(9)を横向きにすることができ、隣り合う密閉空間(7)同士の距離を短くすることができる。この距離が短くなった分、密閉空間(7)を長くすることができるので、上記地中熱交換器の性能を向上させることができる。また、ユニオン(9)を横向きにすることで、地中熱交換器に地震などで垂直方向の圧縮や伸びの力が加わったとしても、直接、ユニオン(9)にその力が加わらないように回避できる。
【0102】
−実施形態1の変形例2−
上記実施形態1では、上記外筒部(3)及び上記内管(2)の構成要素である複数の分割管(2a)に円周溝(30,31)を設けることにより、上記各分割管(2a)の外壁面(2b)で液化した二酸化炭素を上記外筒部(3)の内壁面(3a)へより多く導くことで上記地中熱交換器の熱交換能力を向上させていたが、変形例では、上記円周溝(30,31)に代わってウィック(8)を設けている。
【0103】
このウィック(8)を設けた地中熱交熱交換器(1)を図8から図11に示す。ここで、図8から図11の地中熱交熱交換器(1)は、それぞれ上記内管(2)の形状が異なっている。この形状の違いによる効果は後述する。
【0104】
上記ウィック(8)は、上記外筒部(3)の内壁面(21)及び上記内管(2)の外壁面(22)の両方に接触するように設けられている。こうすると、上記ウィック(8)の毛細管現象を利用して、上記外筒部(3)の外壁面(22)で凝縮した液化した熱媒体を、上記円周溝(30,31)に比べて、上記外筒部(3)の内壁面(21)へより積極的に搬送して蒸発させることができる。これにより、上記地中熱交換器(1)の熱交換効率をより一層向上させることができる。又、このウィック(8)を上記外筒部(3)の内壁面(21)に貼り付けるだけの比較的簡単な構成で上記地中熱交換器(1)の熱交換効率を高めることができる。
【0105】
又、図8の地中熱交換器は、各分割管(2a)の曲管部分が上記筒壁(20)の内側に位置している。図9の地中熱交換器は、各分割管(2a)の曲管部分が上記密閉空間(7)に位置している。図10の地中熱交換器は、各分割管(2a)の曲管部分が全て上記筒壁(20)の内側に位置している。図11の地中熱交換器は、各分割管(2a)の曲管部分の一方が上記筒壁(20)の内側に、他方が上記密閉空間(7)に位置している。このように、各分割管(2a)の曲管部分を様々な位置に配置してもよい。
【0106】
《実施形態2》
本実施形態2の空調装置は、地中の熱を利用して室内を冷暖房するものであり、本発明の空調システムを構成する。
【0107】
上記空調装置は、図12に示すように、実施形態1と同様に、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えている。実施形態1との違いは、冷媒の循環方向を可逆に切り換える四路切換弁(15)が上記冷媒回路(10)に接続されている点と、地中熱交換器(1)を形成する複数の外筒部(3)が直並列に配設されている点である。
【0108】
上記四路切換弁(15)は4つのポートを有している。上記四路切換弁(15)の第1ポートが上記圧縮機(14)の吐出側に接続され、第2ポートが上記圧縮機(14)の吸入側に接続され、第3ポートが室内熱交換器(11)に接続され、第4ポートが第1冷媒配管(9)に接続されている。
【0109】
そして、第1ポートおよび第3ポートが互いに連通し且つ第2ポートおよび第4ポートが互いに連通する第1状態(図12に実線で示す状態)と、第1ポートおよび第4ポートが互いに連通し且つ第2ポートおよび第3ポートが互いに連通する第2状態(図12に破線で示す状態)とにそれぞれ切換可能となっている。そして、この四路切換弁(15)の切換動作によって冷媒の循環方向を可逆にすることができる。
【0110】
又、上記地中熱交換器(1)は、複数の本体部(1a)が互いに並列に配列されることにより、構成されている。つまり、上記外筒部(3)が直並列に配設されており、具体的には、上記外筒部(3)が直列方向に4つ、並列方向に4つ配設されている。
【0111】
そして、このように配設された複数の外筒部(3)のうち、上記各本体部(1a)の最上部に配設された外筒部(3)を有する分割ユニット(23)において、一方の分割管(2a)の上端はそれぞれ第1連結配管(17a)の枝管に接続され、他方の分割管(2a)の上端はそれぞれ第2連結配管(17b)の枝管に接続されている。この第1と第2の連結配管(17a,17b)が、並列用の内管連結部材(17)を構成する。
【0112】
この第1連結配管(17a)は第1冷媒配管(9)と連通し、第2連結配管(17b)は膨張弁(12)から延びる冷媒配管と連通している。尚、第1連結配管(17a)の各枝管には第1閉鎖弁(SV1)が、第2連結配管(17a)の各枝管には第2閉鎖弁(SV2)が、それぞれ設けられている。
【0113】
上記空調装置において、その他の構成は、実施形態1の暖房装置と同等であるため、説明は省略する。
【0114】
−運転動作−
次に、上記空調装置の動作について説明する。この空調装置では、上記四路切換弁(15)を第1状態に設定すると暖房運転を行い、第2状態に設定すると冷房運転を行う。
【0115】
−暖房運転−
上記暖房運転では、上記圧縮機(14)から吐出された高圧冷媒が上記四路切換弁(15)を経て、上記室内熱交換器(11)に流入する。上記室内熱交換器(11)では、上記高圧冷媒が上記室内ファン(13)から送られる室内空気に放熱して凝縮した後で該室内熱交換器(11)を流出する。一方、上記室内空気はこの凝縮熱により暖められる。その結果、室内の暖房が行われる。
【0116】
上記室内熱交換器(11)を流出した高圧冷媒は上記膨張弁(12)で減圧されて、低圧冷媒となった後で、上記第2連結配管(17b)を経て、地中熱交換器(1)の各本体部(1a)に分流する。各本体部(1a)の動作は、実施形態1の暖房装置と同等なので、説明は省略する。上記各本体部(1a)を流出した低圧冷媒は、上記第1連結配管(17a)を経て合流し、第1冷媒配管(9)と四路切換弁(15)とを通過した後で上記圧縮機(14)に吸入される。上記圧縮機(14)では、低圧冷媒が所定圧力まで圧縮されて、高圧冷媒となった後で吐出されて、その高圧冷媒は、再び上記四路切換弁(15)を経て、上記室内熱交換器(11)に流入する。このように冷媒が冷媒回路(10)内を循環することにより、暖房運転が行われる。
【0117】
−冷房運転−
上記冷房運転では、上記圧縮機(14)から吐出された高圧冷媒が、上記四路切換弁(15)と上記第1冷媒配管(9)とを通過した後で、上記第1連結配管(17a)を経て、地中熱交換器(1)の各本体部(1a)に分流する。各本体部(1a)の動作は後述する。上記各本体部(1a)を流出した高圧冷媒は、上記第2連結配管(17b)を経て合流した後で、上記膨張弁(12)に流入する。
【0118】
上記膨張弁(12)に流入した高圧冷媒は、所定圧力まで減圧されて低圧冷媒となり、該膨張弁(12)を流出する。上記膨張弁(12)に流出した低圧冷媒は、室内熱交換器(11)に流入する。上記室内熱交換器(11)では、上記低圧冷媒が上記室内ファン(13)から送られる室内空気から吸熱して蒸発した後で該室内熱交換器(11)を流出する。一方、上記室内空気は、放熱して冷却される。その結果、室内の冷房が行われる。
【0119】
上記室内熱交換器(11)を流出した低圧冷媒は、四路切換弁(15)とを通過した後で上記圧縮機(14)に吸入される。上記圧縮機(14)では、低圧冷媒が所定圧力まで圧縮されて、高圧冷媒となった後で吐出されて、その高圧冷媒は、再び上記地中熱交換器(1)の各本体部(1a)に分流する。このように冷媒が冷媒回路(10)内を循環することにより、冷房運転が行われる。
【0120】
−地中熱交換器の動作−
次に、上記地中熱交換器(1)の動作について説明する。
【0121】
上記圧縮機(14)から吐出された高圧冷媒は分流して、各本体部(1a)における最上段の分割ユニット(23)の分割管(2a)に流入する。そして、上記分割管(2a)に流入した低圧冷媒は最下段の分割ユニット(23)へ向かって下方へ流れ、該最下段の分割ユニット(23)でUターンした後、最上段の分割ユニット(23)へ向かって上方へ流れ、該最上段の分割ユニット(23)から流出する。尚、上記分割管(2a)内に地中の土壌の温度よりも高い温度の高圧冷媒が流入するとき、各密閉空間(7)内の二酸化炭素の飽和温度は土壌と高圧冷媒との間の温度になるものとする。
【0122】
上記各分割管(2a)に高圧冷媒が流入すると、図13に示すように、暖房運転とは違い、上記密閉空間(7)内の二酸化炭素が上記分割管(2a)の外周面で蒸発するとともに、その蒸発でガス化した熱媒体が、その密度差により上記外筒部(3)の内周面に導かれて凝縮する。そして、上記外筒部(3)の内周面で凝縮した熱媒体は、上記外筒部(3)及び上記分割管(2a)の接触部分を介して該外筒部(3)の内周面から上記分割管(2a)の外周面に伝わり、該分割管(2a)の外周面で再び蒸発する。
【0123】
このように二酸化炭素が蒸発及び凝縮を繰り返すことにより、この二酸化炭素を介して、上記分割管(2a)の内側を流れる高圧冷媒から上記外筒部(3)の外側にある地中の土壌へ該高圧冷媒の熱が放出される。つまり、上記分割管(2a)を介して上記冷媒回路(10)の高圧冷媒が上記密閉空間(7)内の二酸化炭素へ熱を放出し、上記外筒部(3)を介して上記二酸化炭素がその熱を地中の土壌へ放出する。
【0124】
−実施形態2の効果−
本実施形態2によれば、上記複数の外筒部(3)を直並列に配設することで、全ての外筒部(3)を直列に配設した場合に比べて、複数の外筒部(3)を地中に埋めるための穴を深く掘る必要がなく、又、全ての外筒部(3)を並列に配設した場合に比べて、その配設面積を小さくすることができる。
【0125】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0126】
本実施形態では、複数の外筒部(3)を軸方向に並べることにより、上記本体部(1a)に複数の密閉空間(7)を形成しているが、さらに、各外筒部(3)の密閉空間(7)を軸方向に沿って複数の分割空間に区画する少なくとも1つ以上の隔壁を設けてもよい。こうすると、密閉空間(7)がさらに細分化され、上記外筒部(3)から外側に洩れる二酸化炭素の量をより一層少なくすることができ、地中熱交換器の熱交換能力の低下を最小限に抑えることができる。又、冷房運転時の液化した二酸化炭素のひき上げ蒸発性能を維持できる。
【0127】
本実施形態では、内管用の連結部材(9)を上記ユニオンで構成したが、これに限定される必要はなく、例えば、分割管(2a)の管端を差し込むだけで連結できる配管継手であってもよい。
【0128】
本実施形態1では空調システムを暖房装置で構成し、本実施形態2では空調システムを空調装置で構成したが、これに限定される必要はなく、上記空調システムを冷房装置で構成してもよい。
【0129】
この場合、上記地中熱交換器(1)が凝縮器を構成し、上記室内熱交換器(11)が蒸発器を構成するとともに、上記地中熱交換器(1)には地中の土壌よりも高い温度の冷媒が流入する。したがって、上記分割管(2a)の外壁面(22)が蒸発面を構成し、上記外筒部(3)の内壁面(21)が凝縮面を構成する。
【0130】
又、上記地中熱交換器(1)において、円周溝(30,31)とウィック(8)とを併用して用いてもよい。
【0131】
又、上記実施形態では、液体搬送部材をウィックで構成したが、これに限定される必要はなく、例えば、金属多孔質体、多孔質セラミック、繊維の集合体などであってもよいし、毛細管現象を利用した部材であってもよい。
【0132】
又、上記実施形態では、全て同じ長さの分割ユニット(23)を用いて上記地中熱交換器を組み立てているが、これに限定されず、例えば異なる長さの分割ユニット(23)を用いて地中熱交換器を組み立ててもよい。こうすると長さの異なる複数の分割ユニット(23)の中から、所望の熱交換能力に応じて分割ユニット(23)を選定した後、該地中熱交換器を組み立てることができる。
【0133】
又、上記実施形態では、熱媒体として二酸化炭素を用いたが、これに限定されず、例えば水やアンモニアであってもよい。こうすると、二酸化炭素に比べて、使用圧力範囲を低くすることができ、外筒部(3)の薄肉化を図ることができる。又、水やアンモニアは、二酸化炭素に比べて潜熱が大きいので、外筒部(3)に封入する冷媒量を少なくすることができる。又、本実施形態では、熱媒体が−10℃から40℃の間で相変化するように封入されていたが、これは単なる例示であり、その温度範囲外で相変化するように封入してもよい。
【0134】
又、上記実施形態では、上記分割ユニット(23)を一列に繋いで上記地中熱交換器を組み立てていたが、これに限定されず、図14に示すように、上記分割ユニット(23)が複数の列を構成するようにしてもよい。こうすると、例えば直列に配設した場合に比べて、複数の外筒部(3)を地中に埋めるために深い穴を掘る必要がなくなる。又、地中熱交換器が長尺の場合には、熱媒体の全面均一利用が難しいが、並列配置にすることにより、熱媒体の全面均一利用ができやすくなる。
【0135】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0136】
以上説明したように、本発明は、被熱交換流体と地中の土壌を熱交換させる地中熱交換器、及びそれを利用した空調システムについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の実施形態1に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る地中熱交換器の内部の詳細図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る地中熱交換器の動作中の拡大図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る地中熱交換器の開口部を示した図である。
【図6】本発明の実施形態1の変形例1に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図7】本発明の実施形態1に係る暖房装置の冷媒回路図である。
【図8】本発明の実施形態1の変形例2に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図9】本発明の実施形態1の変形例2に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図10】本発明の実施形態1の変形例2に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図11】本発明の実施形態1の変形例2に係る地中熱交換器の縦断面図である。
【図12】本発明の実施形態2に係る空調装置の冷媒回路図である。
【図13】本発明の実施形態2に係る地中熱交換器の動作中の拡大図である。
【図14】その他の実施形態に係る空調装置の冷媒回路図である。
【符号の説明】
【0138】
1 地中熱交換器
1a 本体部
2 内管
2a 分割管
3 外筒部
6 流体流路(冷媒流路)
7 密閉空間
8 ウィック(液体搬送部材)
9 ユニオン(内管用の連結部材)
10 冷媒回路
23 分割部(分割ユニット)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被熱交換流体が流れる流体流路(6)と熱媒体を密閉した密閉空間(7)とが形成された本体部(1a)を有し、上記本体部(1a)を地中に埋設することにより、上記熱媒体を介して被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器であって、
上記本体部(1a)は、複数の外筒部(3)と、該複数の外筒部(3)の内側に挿入された内管(2)とを有し、
上記内管(2)の内側に上記流体流路(6)が形成され、
上記各外筒部(3)の内側には、上記内管(2)のうち該外筒部(3)の内側に挿入された挿入部分を囲むように上記密閉空間(7)が形成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項2】
請求項1において、
上記複数の外筒部(3)は、並列、直列、又は直並列に配設されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項3】
請求項2において、
上記内管(2)は、直列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、直列方向に隣り合う外筒部(3)と外筒部(3)との間で各外筒部(3)ごとに分割した複数の分割管(2a)で形成され、
隣り合う上記分割管(2a)と上記分割管(2a)との間には、これらの分割管(2a)同士を連結する直列用の内管連結部材(9)が設けられていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項4】
請求項3において、
上記本体部(1a)は、直列方向に分割された複数の分割部(23)を有し、
上記各分割部(23)は、上記各外筒部(3)と該各外筒部(3)に挿入固定された上記分割管(2a)とにより構成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項5】
請求項3又は4において、
直列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、直列方向に隣り合う外筒部(3)と外筒部(3)とが軸方向に空間を隔てて並べられるとともに、該空間には、これらの外筒部(3)同士を上記直列用の内管連結部材(9)を囲うようにして連結する外筒部用の連結部材(20)が設けられていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項6】
請求項5において、
上記外筒部用の連結部材(20)には、上記直列用の内管連結部材(9)に対向する位置に開口部(16)が形成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項7】
請求項2において、
並列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、並列方向に配設された各外筒部(3)に対応する内管(2)同士を接続する並列用の内管連結部材(17)を備えていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)及び上記内管(2)は、該外筒部(3)の内周面(21)と内管(2)の外周面(22)とが互いに実質的に接触するように配置されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項9】
請求項8において、
上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)には、円周方向に沿って円周溝(30,31)が形成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で液化した熱媒体を他方の面に搬送する液体搬送部材(8)が設けられていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項11】
請求項10において、
上記液体搬送部材(8)はウィックであり、そのウィックは、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の両方に接触するように設けられていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項12】
請求項1から11の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、二酸化炭素であることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項13】
請求項1から11の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、水であることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項14】
請求項1から11の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、アンモニアであることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項15】
請求項1から14の何れか1つにおいて、
複数の外筒部(3)のうち少なくとも1つが、他の外筒部(3)とは軸方向の長さが異なるように構成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項16】
請求項1から14の何れか1つにおいて、
複数の外筒部(3)は、その軸方向の長さが全て等しいことを特徴とする地中熱交換器。
【請求項17】
圧縮機(14)と熱源側熱交換器(1)と膨張機構(12)と利用側熱交換器(11)とが接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えた空調システムであって、
請求項1から16の何れか1つに記載の地中熱交換器が上記冷媒回路(10)に接続されて、上記熱源側熱交換器(1)が上記地中熱交換器を構成することを特徴とする空調システム。
【請求項1】
被熱交換流体が流れる流体流路(6)と熱媒体を密閉した密閉空間(7)とが形成された本体部(1a)を有し、上記本体部(1a)を地中に埋設することにより、上記熱媒体を介して被熱交換流体と地中の土壌とを熱交換させる地中熱交換器であって、
上記本体部(1a)は、複数の外筒部(3)と、該複数の外筒部(3)の内側に挿入された内管(2)とを有し、
上記内管(2)の内側に上記流体流路(6)が形成され、
上記各外筒部(3)の内側には、上記内管(2)のうち該外筒部(3)の内側に挿入された挿入部分を囲むように上記密閉空間(7)が形成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項2】
請求項1において、
上記複数の外筒部(3)は、並列、直列、又は直並列に配設されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項3】
請求項2において、
上記内管(2)は、直列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、直列方向に隣り合う外筒部(3)と外筒部(3)との間で各外筒部(3)ごとに分割した複数の分割管(2a)で形成され、
隣り合う上記分割管(2a)と上記分割管(2a)との間には、これらの分割管(2a)同士を連結する直列用の内管連結部材(9)が設けられていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項4】
請求項3において、
上記本体部(1a)は、直列方向に分割された複数の分割部(23)を有し、
上記各分割部(23)は、上記各外筒部(3)と該各外筒部(3)に挿入固定された上記分割管(2a)とにより構成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項5】
請求項3又は4において、
直列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、直列方向に隣り合う外筒部(3)と外筒部(3)とが軸方向に空間を隔てて並べられるとともに、該空間には、これらの外筒部(3)同士を上記直列用の内管連結部材(9)を囲うようにして連結する外筒部用の連結部材(20)が設けられていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項6】
請求項5において、
上記外筒部用の連結部材(20)には、上記直列用の内管連結部材(9)に対向する位置に開口部(16)が形成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項7】
請求項2において、
並列又は直並列に配設された複数の外筒部(3)のうち、並列方向に配設された各外筒部(3)に対応する内管(2)同士を接続する並列用の内管連結部材(17)を備えていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)及び上記内管(2)は、該外筒部(3)の内周面(21)と内管(2)の外周面(22)とが互いに実質的に接触するように配置されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項9】
請求項8において、
上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)には、円周方向に沿って円周溝(30,31)が形成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の一方の面で液化した熱媒体を他方の面に搬送する液体搬送部材(8)が設けられていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項11】
請求項10において、
上記液体搬送部材(8)はウィックであり、そのウィックは、上記外筒部(3)の内周面(21)及び上記内管(2)の外周面(22)の両方に接触するように設けられていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項12】
請求項1から11の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、二酸化炭素であることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項13】
請求項1から11の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、水であることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項14】
請求項1から11の何れか1つにおいて、
上記外筒部(3)の密閉空間(7)に封入された熱媒体は、アンモニアであることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項15】
請求項1から14の何れか1つにおいて、
複数の外筒部(3)のうち少なくとも1つが、他の外筒部(3)とは軸方向の長さが異なるように構成されていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項16】
請求項1から14の何れか1つにおいて、
複数の外筒部(3)は、その軸方向の長さが全て等しいことを特徴とする地中熱交換器。
【請求項17】
圧縮機(14)と熱源側熱交換器(1)と膨張機構(12)と利用側熱交換器(11)とが接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)を備えた空調システムであって、
請求項1から16の何れか1つに記載の地中熱交換器が上記冷媒回路(10)に接続されて、上記熱源側熱交換器(1)が上記地中熱交換器を構成することを特徴とする空調システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−156468(P2010−156468A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324067(P2008−324067)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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