説明

地中熱利用装置

【課題】 高効率に運転可能で、かつ施工性を良好にしてコスト低減を図ることができる地中熱利用装置を提供すること。
【解決手段】地中熱交換器2とヒートポンプ3とを一次冷媒配管5で接続し、この一次冷媒配管5中の自然冷媒から一次凝縮・蒸発器9を介して空調室内機4側に熱を供給、または一次冷媒配管5中の自然冷媒で空調室内機4側から熱を吸収するようにしたので、一次側の循環ポンプで熱媒水を循環させる場合と比較して、循環に要するエネルギーが削減でき、空気調整装置1全体のエネルギー効率を十分に高効率化することができる。さらに、地中熱交換器2とヒートポンプ3とを一次冷媒配管5で接続したことで、これらの各機器間を水配管で接続した場合と比較して、配管の施工性を向上させることができるとともに、施工コストを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中熱利用装置に関し、詳しくは、地中に埋設した地中熱交換器から採熱(または放熱)した地中熱を利用し、ヒートポンプを介して負荷側に熱を供給(または負荷側から熱を吸収)する地中熱利用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された地中熱交換器と、この地中熱交換器に接続されたヒートポンプと、このヒートポンプに接続された空調機器等の熱交換器とを備えた地中熱利用装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような地中熱利用のヒートポンプシステムは、安定した温度を有する大地の地中熱を熱源として利用し、この熱源に対して採放熱するものであり、外気に対して採放熱する空気熱源方式のシステムと比較しても、年間を通して変化が小さく安定した地中温度を利用することで、冷房および暖房の両方について高効率に運転できるシステムである。従って、地中熱利用のヒートポンプシステムでは、省エネルギー化や、低ランニングコスト化、二酸化炭素の排出抑制等の効果に加えて、大気に排熱しないことでヒートアイランド現象の抑制効果も期待されている。
【0003】
そして、特許文献1に記載された地中熱利用装置は、地中熱交換器とヒートポンプとが水配管からなる第一循環路で接続され、ヒートポンプと放熱管とが水等の熱媒配管(以下、水配管と記す)からなる第二循環路で接続され、ヒートポンプ内部には、冷媒配管からなる第三循環路が設けられている。そして、暖房時においては、第一循環路に循環された第一熱媒で地中熱を採熱し、この熱を第三循環路内の第三熱媒(冷媒)で吸収するとともに、第二循環路内の第二熱媒に供給して第二熱媒を昇温することで、熱交換器から放熱されるように構成されている。冷房時においては、逆に第一熱媒から地中に放熱し、この第一熱媒で第三熱媒から熱を吸収し第三熱媒を冷却し、この第三熱媒と第二熱媒との間で熱交換して第二熱媒を冷却し、熱交換器により空調空間から採熱するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−302122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の地中熱利用装置では、第一循環路内の第一熱媒が水や不凍液等の熱媒水からなり、この第一熱媒を循環ポンプによって地中熱交換器側に循環させる必要があるため、熱源(一次)側の循環ポンプを駆動するためのエネルギーが大きくなり、装置全体における運転エネルギーの高効率化が十分に実現できないという問題がある。
さらに、第一循環路が水配管から構成されているため、配管に水勾配を設けたり、エア抜きが必要になったり、配管同士をねじ接続する必要があったりするため、配管工事の施工性が悪化するとともに施工コストが増大してしまうという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、高効率に運転可能で、かつ施工性を良好にしてコスト低減を図ることができる地中熱利用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の地中熱利用装置は、地中に埋設された地中熱交換器と、この地中熱交換器に接続されたヒートポンプと、このヒートポンプに接続された負荷機と、前記地中熱交換器と前記ヒートポンプとを接続する一次側配管とを備え、前記一次側配管は、冷媒を循環させる冷媒配管であり、前記ヒートポンプには、前記一次側配管中の冷媒との間で熱交換を実施する熱交換器が設けられ、この熱交換器を介して前記負荷機に熱を供給または負荷機から熱を吸収することを特徴とする。
【0008】
ここで、負荷機としては、室内の冷房、暖房、または冷暖房を行う空調室内機や、冷蔵(冷凍)温蔵機、給湯器、冷水器など、ヒートポンプから供給される(またはヒートポンプで吸収される)熱を利用した各種の機器が例示できる。
【0009】
以上の本発明によれば、地中熱交換器とヒートポンプとを接続する一次側配管を冷媒配管とし、この一次側配管中の冷媒と熱交換器を介して負荷機に熱を供給または負荷機から熱を吸収するようにしたので、従来のように一次側の循環ポンプで熱媒水を循環させる場合と比較して、循環に要する大きなエネルギーが削減できる。従って、装置全体のエネルギー効率を十分に高効率化することができる。
さらに、地中熱交換器とヒートポンプとを冷媒配管で接続したことで、従来のように水配管で接続した場合の制約を受けなくでき、配管の施工性を向上させることができるとともに、施工コストを低減することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の地中熱利用装置は、請求項1に記載の地中熱利用装置において、前記一次側配管中の冷媒は、前記地中熱交換器からの採熱時において、当該冷媒のガス化および液化による比重変化で自然循環されることを特徴とする。
このような構成によれば、採熱時において、一次側配管中の冷媒がガス化および液化による比重変化で自然循環されるので、冷媒の循環に要するエネルギーがさらに削減でき、装置全体のエネルギー効率を一層向上させることができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の地中熱利用装置は、請求項1または請求項2に記載の地中熱利用装置において、前記一次側配管は、放熱用配管と採熱用配管とに分岐されるとともに、これらの放熱用配管と採熱用配管とが切替可能に構成され、前記放熱用配管には、前記冷媒が所定圧力で封入され、前記採熱用配管には、前記放熱用配管中の冷媒よりも低い圧力で前記冷媒が封入されていることを特徴とする。
このような構成によれば、放熱用配管および採熱用配管の各々において、放熱または採熱に適した所定の圧力で冷媒を封入しておくことで、地中熱交換器における地盤への放熱効率または地盤からの採熱効率を高めて、装置の運転効率をさらに向上させることができる。また、採熱用配管における冷媒の封入圧力を適宜調節することで、ヒートポンプの熱交換器で冷却されて液化した冷媒が地中熱交換器へ向かって自然下降し、地中熱交換器で昇温されてガス化した冷媒がヒートポンプに向かって自然上昇するようにでき、循環ポンプを用いなくても冷媒を自然循環させることができる。
【0012】
また、請求項4に記載の地中熱利用装置は、請求項1または請求項2に記載の地中熱利用装置において、前記一次側配管には、当該一次側配管中の冷媒の圧力を調節する圧力調節手段が設けられ、この圧力調節手段により、採熱時における前記一次側配管中の冷媒の圧力が放熱時よりも低く調節されることを特徴とする。
このような構成によれば、放熱時または採熱時において、圧力調節手段により一次側配管中の冷媒の圧力を放熱または採熱に適した圧力に調節することで、地中熱交換器における地盤への放熱効率または地盤からの採熱効率を高めて、装置の運転効率をさらに向上させることができる。また、採熱時において一次側配管中の冷媒の圧力を適宜調節することで、ヒートポンプの熱交換器で冷却されて液化した冷媒が地中熱交換器へ向かって自然下降し、地中熱交換器で昇温されてガス化した冷媒がヒートポンプに向かって自然上昇するようにでき、循環ポンプを用いなくても冷媒を自然循環させることができる。
【0013】
また、請求項5に記載の地中熱利用装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の地中熱利用装置において、前記一次側配管中の冷媒が二酸化炭素冷媒であることを特徴とする。
このような構成によれば、一次側の冷媒として自然冷媒である二酸化炭素冷媒を用いることで、前述のように冷媒の搬送動力を低減することができるとともに、環境負荷も軽減することができる。
【0014】
さらに、請求項6に記載の地中熱利用装置は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の地中熱利用装置において、前記一次側配管には、前記地中熱交換器に対して大気放熱用凝縮器および/または大気採熱用蒸発器が前記ヒートポンプと切替可能に接続されており、前記大気放熱用凝縮器は、前記地中熱交換器からの放熱により地盤に蓄えられた余剰な熱を大気に放熱し、前記大気採熱用蒸発器は、前記地中熱交換器の採熱により温度低下した地盤に対して大気からの熱を採熱して供給することを特徴とする。
ここで、大気放熱用凝縮器および大気採熱用蒸発器は、少なくともいずれか一方が一次側配管に接続されていればよく、両方が接続されていてもよい。
このような構成によれば、例えば前記負荷機が空調機であって、夏期における冷房負荷が過大になって地中熱交換器からの放熱量が暖房負荷時の採熱量を超えてしまい、熱が地盤に蓄積されて地中温度が上昇してしまう可能性がある場合に、地中熱交換器からの一次側配管の接続を大気放熱用凝縮器側に切り替え、地盤中の余剰な熱を大気放熱用凝縮器から大気に放熱することで、地中温度の上昇を防止することができ、長期間に渡って安定した地盤への放熱を実施することができる。一方、冬期における暖房負荷が冷房負荷よりも過大になった場合には、地中熱交換器からの一次側配管の接続を大気採熱用蒸発器側に切り替え、大気から採熱した熱を地盤に供給することで、地中温度の低下を防止して長期間に渡って安定した地盤からの採熱を実施することができる。
【0015】
また、請求項7に記載の地中熱利用装置は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の地中熱利用装置において、前記ヒートポンプと前記負荷機とは、冷媒を循環させる冷媒配管で構成された二次側配管で接続され、前記ヒートポンプには、前記二次側配管中の冷媒を圧縮する圧縮機と、前記二次側配管中の冷媒を膨張させる膨張弁とが設けられ、前記熱交換器は、前記一次側配管中の冷媒を用いて前記二次側配管中の冷媒を凝縮または蒸発させる一次凝縮・蒸発器であり、前記負荷機には、前記ヒートポンプの圧縮機で圧縮された高温の前記二次側配管中の冷媒を凝縮させる、または前記ヒートポンプの膨張弁で膨張された低温の前記二次側配管中の冷媒を蒸発させる二次凝縮・蒸発器が設けられていることを特徴とする。
ここで、一次凝縮・蒸発器および二次凝縮・蒸発器としては、それぞれ二次側配管中の冷媒を凝縮させるものでもよく、また冷媒を蒸発させるものでもよく、さらに冷媒を凝縮させる機能および冷媒を蒸発させる機能の両方の機能を有したものでもよい。ただし、一次凝縮・蒸発器で冷媒を凝縮させた場合には、二次凝縮・蒸発器は、冷媒を蒸発させるように構成され、一次凝縮・蒸発器で冷媒を蒸発させた場合には、二次凝縮・蒸発器は、冷媒を凝縮させるように構成されている。
【0016】
以上の構成によれば、ヒートポンプと負荷機とを冷媒配管で接続し、二次凝縮・蒸発器を負荷機に設けたので、一次凝縮・蒸発器である熱交換器で一次側配管中の冷媒から熱を吸収(または一次側配管中の冷媒に熱を放熱)した二次側配管中の冷媒が圧縮機または膨張弁を介して負荷機まで運ばれて循環することとなり、従来のような二次側の循環ポンプが不要にできる。また、ヒートポンプの一次凝縮・蒸発器から負荷機の二次凝縮・蒸発器まで冷媒が直接循環されるので、負荷側の熱媒水への熱交換が不要となり、熱交換によるロスを最小限にすることができる。従って、熱効率をさらに良好にし、かつ二次側の循環ポンプの駆動エネルギーを省略することができるので、装置全体のエネルギー効率を一層高効率化することができる。
さらに、ヒートポンプと負荷機とを冷媒配管で接続したことで、二次側の配管の施工性も向上させることができるとともに、施工コストをさらに低減することができる。
【0017】
さらに、請求項8に記載の地中熱利用装置は、請求項7に記載の地中熱利用装置において、前記ヒートポンプには、複数の前記負荷機が接続され、これら複数の負荷機を同時に、または複数の負荷機ごとに、運転および停止が切替制御可能に構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、ヒートポンプに接続された複数の負荷機を、同時または個別に切替制御することで、例えば、負荷機が空調室内機である場合には、複数の部屋における冷房や暖房を集中制御したり、各部屋ごとに個別制御したりを任意に選択することにより、個別の遠隔発停やスケジュール運転等、省エネルギー運転が実施できる。
そして、このようなヒートポンプおよび複数の空調室内機で構成された個別分散方式の空調システムとしては、ビル用マルチ方式のシステムが一般的に用いられており、ヒートポンプと複数の空調室内機との接続工事や、制御配線工事等が標準化されているため、このビル用マルチ方式の標準化された施工システムを利用することで、さらなる施工コストの低減を図ることができる。
【0018】
また、請求項9に記載の地中熱利用装置は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の地中熱利用装置において、前記地中熱交換器は、互いに並列および/または直列に複数接続され、これら複数の地中熱交換器を接続した一系統の前記一次側配管に1台または複数の前記ヒートポンプが接続されていることを特徴とする。
このような構成によれば、負荷機側(二次側)で必要とされる負荷に応じて、複数のヒートポンプの運転、停止を切り替えたりすることができ、装置全体の運転効率を一層向上させることができる。
【0019】
さらに、請求項10に記載の地中熱利用装置は、請求項9に記載の地中熱利用装置において、前記複数の地中熱交換器に接続された前記一次側配管が複数系統設けられ、これら複数の一次側配管の系統ごとに前記冷媒の循環および停止が切替制御可能に構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、負荷に応じて複数の一次側配管の系統の循環、停止を切り替えることで、冷媒の搬送動力の軽減による適正化が可能となり、装置全体の運転効率を向上させることができるとともに、採放熱する地盤への負担を軽減して地中温度の安定化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る地中熱利用装置としての空気調整装置1を示す概略構成図である。
図1において、空気調整装置1は、地盤G中に埋設された地中熱交換器2と、この地中熱交換器2に接続されたヒートポンプ3と、このヒートポンプ3に接続された負荷機としての空調室内機4と、地中熱交換器2とヒートポンプ3とを接続してCO2 等の自然冷媒を循環させる一次冷媒配管(一次側配管)5と、ヒートポンプ3と空調室内機4とを接続して冷媒を循環させる二次冷媒配管(二次側配管)6とを備えて構成されている。
そして、空気調整装置1は、地中熱交換器2から一次冷媒配管5中の自然冷媒を介して採熱(または放熱)した地中熱を利用し、ヒートポンプ3により二次冷媒配管6中の冷媒を昇温(または冷却)し、この冷媒を介して空調室内機4により空調空間Aに熱を供給(または空調空間Aから熱を吸収)して空調空間Aの室温を調節するものである。
【0022】
ヒートポンプ3には、二次冷媒配管6中の冷媒を圧縮する圧縮機7と、二次冷媒配管6中の冷媒を膨張させる膨張弁8と、一次冷媒配管5中の自然冷媒を用いて二次冷媒配管6中の冷媒を凝縮または蒸発させる一次凝縮・蒸発器(熱交換器)9とが設けられている。
空調室内機4には、ヒートポンプ3の圧縮機7で圧縮された高温の冷媒を凝縮させる、またはヒートポンプ3の膨張弁8で膨張された低温の冷媒を蒸発させる二次凝縮・蒸発器10が設けられている。
【0023】
また、一次冷媒配管5は、ヒートポンプ3から地中熱交換器2側に延びた出口およびヒートポンプ3への入口位置において二股に分岐されており、分岐された一方が放熱用配管5Aとされ、他方が採熱用配管5Bとされている。これらの放熱用配管5Aおよび採熱用配管5Bには、それぞれ分岐位置近傍に切替弁11が設けられており、冷房時における放熱用配管5Aと暖房時における採熱用配管5Bとを切り替えて自然冷媒を循環させることができるように構成されている。さらに、放熱用配管5Aおよび採熱用配管5Bには、それぞれ異なる封入圧力で自然冷媒が封入され、採熱用配管5Bにおける封入圧力が放熱用配管5Aにおける封入圧力よりも低く設定されている。この封入圧力としては、自然冷媒が気化〜液化の状態変化を起こすのに適した圧力に設定されており、例えば、放熱用配管5Aにおいて、冷房時に30℃〜25℃の状態変化を起こす封入圧力として7MPa 程度に設定され、採熱用配管5Bにおいて、暖房時に0℃〜5℃の状態変化を起こす封入圧力として3.5MPa 程度に設定されている。
【0024】
また、放熱用配管5Aには、自然冷媒を循環させる循環ポンプ12が設けられている。一方、採熱用配管5Bには、自然冷媒を循環させるためのポンプ等が設けられていない。すなわち、冬期の暖房運転時において、採熱用配管5Bでは、ヒートポンプ3の一次凝縮・蒸発器9によって熱を奪われた自然冷媒が凝縮(液化)して比重が大きくなり、重力落下することで地中熱交換器2内を下降し、地中熱交換器2によって地中から採熱した自然冷媒が蒸発(気化)して比重が小さくなり、この浮力によって地中熱交換器2内を上昇するようになっている。このような自然冷媒の状態変化を利用した自然循環によって、採熱用配管5Bにおいて、ポンプ等の循環装置が不要にできるようになっている。
【0025】
以上の空気調整装置1では、夏期における冷房運転時においては、放熱用配管5A側の切替弁11が開かれ、採熱用配管5B側の切替弁11が閉じられる。
そして、循環ポンプ12は、放熱用配管5A中の自然冷媒をヒートポンプ3の一次凝縮・蒸発器9から地中熱交換器2に送るとともに、地中熱交換器2での熱交換により地中に放熱して温度の下がった自然冷媒を一次凝縮・蒸発器9に戻す。
ヒートポンプ3において、図1に矢印で示すように、一次凝縮・蒸発器9は、圧縮機7で圧縮された二次冷媒配管6中の冷媒と一次冷媒配管5中の自然冷媒との間で熱交換を行い、二次冷媒配管6中の冷媒を凝縮させる。凝縮されて冷却された二次冷媒配管6中の冷媒は膨張弁8で膨張された後、二次冷媒配管6を通って空調室内機4へ送られる。
空調室内機4において、二次凝縮・蒸発器10は、膨張弁8から送られた冷媒と空調空間Aの内気との間で熱交換を行い、内気を冷却し二次冷媒配管6中の冷媒を蒸発させる。蒸発して昇温された冷媒は圧縮機7で再度圧縮されて一次凝縮・蒸発器9へ送られ、一次冷媒配管5中の自然冷媒との間で熱交換が行われる。
以上のようなサイクルを繰り返すことで、一次および二次の冷媒配管5,6中の冷媒を介して空調空間Aの熱を地中に排熱し、空調空間Aの冷房が実施される。
【0026】
一方、冬期における暖房運転時においては、放熱用配管5A側の切替弁11が閉じられ、採熱用配管5B側の切替弁11が開かれる。
そして、採熱用配管5B中の自然冷媒は、前述したように、地中熱交換器2で昇温されて気化するとともに、一次凝縮・蒸発器9で冷却されて液化することで、ヒートポンプ3の一次凝縮・蒸発器9と地中熱交換器2との間を自然循環する。
ヒートポンプ3において、二次冷媒配管6中の冷媒が図1の括弧内に示す矢印の方向に循環され、一次凝縮・蒸発器9は、膨張弁8で膨張された冷媒と一次冷媒配管5中の自然冷媒との間で熱交換を行い、二次冷媒配管6中の冷媒を蒸発させる。蒸発されて昇温された冷媒は圧縮機7で圧縮された後、二次冷媒配管6を通って空調室内機4へ送られる。
空調室内機4において、二次凝縮・蒸発器10は、圧縮機7から送られた二次冷媒配管6中の冷媒と空調空間Aの内気との間で熱交換を行い、内気を加熱し冷媒を凝縮させる。凝縮されて冷却された二次冷媒配管6中の冷媒は膨張弁8で再度膨張されて一次凝縮・蒸発器9へ送られ、一次冷媒配管5中の自然冷媒との間で熱交換が行われる。
以上のようなサイクルを繰り返すことで、一次および二次の冷媒配管5,6中の冷媒を介して地中から採熱した熱を空調空間Aに供給し、空調空間Aの暖房が実施される。
【0027】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、地中熱交換器2とヒートポンプ3とを一次冷媒配管5で接続し、この一次冷媒配管5中の自然冷媒から一次凝縮・蒸発器9を介して空調室内機4側に熱を供給、または一次冷媒配管5中の自然冷媒で空調室内機4側から熱を吸収する、冷媒熱搬送方式を採用したので、一次側の循環ポンプで熱媒水を循環させる場合と比較して、循環に要する大きなエネルギーが削減でき、空気調整装置1全体のエネルギー効率を十分に高効率化することができる。
【0028】
(2)さらに、ヒートポンプ3と空調室内機4とを二次冷媒配管6で接続し、二次凝縮・蒸発器10を空調室内機4に設けたので、一次凝縮・蒸発器9で一次冷媒配管5中の自然冷媒から熱を吸収(または一次冷媒配管5中の自然冷媒中の冷媒に熱を放熱)した二次冷媒配管6中の冷媒が圧縮機7または膨張弁8を介して空調室内機4まで運ばれて循環することとなり、二次側の循環ポンプが不要にできる。また、ヒートポンプ3の一次凝縮・蒸発器9から空調室内機4の二次凝縮・蒸発器10まで冷媒が直接循環されるので、熱交換によるロスを最小限にすることができる。従って、熱効率をさらに良好にし、かつ二次側の循環ポンプの駆動エネルギーを省略することができるので、空気調整装置1全体のエネルギー効率を一層高効率化することができる。
【0029】
(3)さらに、地中熱交換器2とヒートポンプ3とを一次冷媒配管5で接続し、ヒートポンプ3と空調室内機4とを二次冷媒配管6で接続したことで、これらの各機器間を水配管で接続した場合の制約を受けなくでき、配管の施工性を向上させることができるとともに、施工コストを低減することができる。
【0030】
(4)また、一次冷媒配管5を放熱用配管5Aおよび採熱用配管5Bで構成し、各々の配管5A,5Bに放熱または採熱に適した所定の圧力で自然冷媒を封入しておくことで、地中熱交換器2における地盤への放熱効率または地盤からの採熱効率を高めることができる。さらに、採熱用配管5Bにおける冷媒の封入圧力を調節して、自然冷媒が自然循環するようにしたことで、採熱用配管5Bの循環ポンプ等を省略することができ、冷媒の循環に要するエネルギーをさらに削減してエネルギー効率を一層向上させることができる。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る地中熱利用装置としての空気調整装置1Aについて、図2に基づいて説明する。
図2は、本実施形態の空気調整装置1Aを示す概略構成図である。
空気調整装置1Aは、前記第1実施形態の空気調整装置1と同様の地中熱交換器2、ヒートポンプ3、空調室内機4、および二次冷媒配管6を備えたものであって、一次冷媒配管5の構成が第1実施形態と相違している。
【0032】
すなわち、一次冷媒配管5には、一次冷媒配管5中の自然冷媒の圧力を調節する圧力調節手段としての圧力調整装置13が設けられるとともに、循環ポンプ12を跨いで迂回経路5Cが設けられている。そして、迂回経路5Cの途中位置、および迂回経路5Cの分岐部分の循環ポンプ12寄りの位置には、それぞれ切替弁11が設けられている。このような一次冷媒配管5では、冷房運転時(放熱時)においては、迂回経路5Cの途中位置の切替弁11を閉じ、循環ポンプ12側の切替弁11を開くとともに、圧力調整装置13により一次冷媒配管5中の自然冷媒の封入圧力を上昇(つまり前述のように放熱に適した7MPa 程度の封入圧力に調整)させ、循環ポンプ12によって自然冷媒が循環されるようになっている。一方、暖房運転時(採熱時)においては、迂回経路5Cの途中位置の切替弁11を開き、循環ポンプ12側の切替弁11を閉じるとともに、圧力調整装置13により一次冷媒配管5中の自然冷媒の封入圧力を低下(つまり前述のように採熱に適した3.5MPa 程度の封入圧力に調整)させ、状態変化による自然循環によって自然冷媒が循環されるようになっている。
【0033】
このような本実施形態によれば、前述の(1)〜(3)の効果に加えて以下のような効果がある。
(5)すなわち、放熱時または採熱時において、圧力調整装置13により一次冷媒配管5中の自然冷媒の圧力を放熱または採熱に適した圧力に調節することで、地中熱交換器2における地盤への放熱効率または地盤からの採熱効率を高めることができる。また、採熱時において一次冷媒配管5中の自然冷媒が自然循環するようにしたことで、循環ポンプ12の運転を停止することができ、冷媒の循環に要するエネルギーをさらに削減してエネルギー効率を一層向上させることができる。
さらに、封入圧力の異なる採熱用配管および放熱用配管を兼用することにより、イニシャルコストの低減や、地中熱交換器2内部や一次冷媒配管5の経路における配管設置、敷設スペースを低減することができる。
【0034】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る地中熱利用装置としての空気調整装置1Bについて、図3に基づいて説明する。
図3は、本実施形態の空気調整装置1Bを示す概略構成図である。
空気調整装置1Bは、前記第1実施形態の空気調整装置1と同様の地中熱交換器2、ヒートポンプ3、および一次冷媒配管5を備えたものであって、ヒートポンプ3に複数の空調室内機4が接続され、これら複数の空調室内機4を同時に、または複数の空調室内機4ごとに、運転および停止が切替制御可能に構成されている点が第1実施形態と相違している。なお、本実施形態の空気調整装置1Bにおいて、一次冷媒配管5を前記第2実施形態と同様に構成してもよい。
【0035】
複数の空調室内機4は、建物に設けられる複数の居室等の独立した空調空間Aにそれぞれ設けられ、二次冷媒配管6を介して1台のヒートポンプ3に各々並列に接続されている。そして、ヒートポンプ3と各空調空間Aの空調室内機4との間には、制御連絡配線14が接続されており、ヒートポンプ3と各空調室内機4とが互いに連動して動作するようになっている。
また、建物の管理室や制御室等には、集中制御装置(制御盤)15が設けられ、この集中制御装置15と各空調室内機4とは、集中制御配線16で接続されている。さらに、各空調空間Aにおいて、空調室内機4には、リモコン等の個別制御装置17が設けられている。
【0036】
以上の空気調整装置1Bでは、第1実施形態の空気調整装置1と同様に、一次および二次の冷媒配管5,6中の冷媒を介して各空調空間Aの熱を地中に排熱して冷房する、あるいは地中から採熱した熱を各空調空間Aに供給して暖房するように構成されている。
そして、集中制御装置15からの指令により、各空調空間Aの空調室内機4の運転、停止が遠隔操作で切り替えられるようになっている。この遠隔操作としては、全ての空調空間Aの空調室内機4を一斉に運転または停止させるものでもよく、各空調空間Aの空調室内機4を個別に運転または停止させるものでもよい。また、集中制御装置15において設定された運転スケジュールに従って、各空調空間Aの空調室内機4が動作するように構成されていてもよい。さらに、集中制御装置15による運転制御に加えて、各空調空間Aの個別制御装置17によっても空調室内機4が操作可能に構成されている。
【0037】
このような本実施形態によれば、前述の(1)〜(5)の効果に加えて以下のような効果がある。
(6)すなわち、複数の空調空間Aにおける冷房や暖房を集中制御したり、各空調空間Aごとに個別制御したりできるので、集中または個別の遠隔発停や、スケジュール運転等の省エネルギー運転が実施できる。
【0038】
(7)さらに、ヒートポンプ3と各空調空間Aの空調室内機4との接続工事や、制御配線工事等としては、個別分散方式の空調システムとして標準化されたビル用マルチ方式の施工システムが利用可能なので、さらなる施工コストの低減を図ることができる。
【0039】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係る地中熱利用装置としての空気調整装置1Cについて、図4に基づいて説明する。
図4は、本実施形態の空気調整装置1Cを示す概略構成図である。
本実施形態の空気調整装置1Cは、一次冷媒配管5の構成、複数の地中熱交換器2が互いに並列に接続されている点、および一次冷媒配管5に地盤温度回復用の大気放熱用凝縮器18が接続されている点が、前記第3実施形態の空気調整装置1Bと相違し、その他の構成は、第3実施形態と略同様である。なお、ここでは、複数の地中熱交換器2を並列に接続したものについて説明するが、複数の地中熱交換器2が互いに直列に接続されていてもよい。また、複数の地中熱交換器2が複数のヒートポンプ3に接続されていてもよく、さらには、複数の地中熱交換器2を接続した系統が複数設けられていてもよい。
【0040】
空気調整装置1Cでは、複数の地中熱交換器2が互いに並列に一次冷媒配管5で接続されている。これら複数の地中熱交換器2としては、建物の基礎杭である鋼管杭に内蔵されたものが好適である。また、一次冷媒配管5には、地盤温度回復用の大気放熱用凝縮器18が、ヒートポンプ3と切替可能に接続されている。この大気放熱用凝縮器18は、熱交換器18Aと、ファン18Bとを備え、一次冷媒配管5中の自然冷媒と外気との間で熱交換することで自然冷媒を冷却するために用いられる。つまり、夏期の冷房運転時における地中熱交換器2から地盤Gへの放熱量が、冬期の暖房運転時における採熱量に対し、地盤Gの自然回復力を含めてもバランスしない程過多な場合は、地盤Gの余剰な熱を大気放熱用凝縮器18から大気に放熱開放し、地中温度を回復させて長期的に地中熱を使用可能にするものである。
【0041】
そして、一次冷媒配管5の構成は、前記第2実施形態と略同様であり、複数の切替弁11によって放熱時と採熱時とで循環経路が切り替えられるとともに、図示しない圧力調整装置によって一次冷媒配管5中の自然冷媒の封入圧力が調整されるようになっている。また、一次冷媒配管5において、放熱時の循環経路における循環ポンプ12の手前位置には、受液器19が設けられている。この受液器19は、冷房運転時(放熱時)においては、地中熱交換器2で凝縮された自然冷媒の一部が液化されずにガス混じりで戻ってきたとしても、循環ポンプ12にエア噛みが生じないようにするためのものであり、受液器19で気液分離された液体の自然冷媒が循環ポンプ12に送られるようになっている。一方、採熱時においては、前述のように状態変化による自然循環によって自然冷媒が循環されるため、循環ポンプ12の運転が不要になっている。
【0042】
このような本実施形態によれば、前述の(1)〜(3)、(5)〜(7)の効果に加えて以下のような効果がある。
(8)すなわち、夏期の冷房負荷が冬期の暖房負荷よりも過大になるような場合に、地盤中の余剰な熱を大気放熱用凝縮器18から大気に放熱することで、地中温度の上昇を防止することができ、長期間に渡って安定した地盤への採熱を実施することができる。
【0043】
(9)また、負荷に応じて複数の地中熱交換器2を適宜切り替えて運転する、あるいは複数の地中熱交換器2を接続した系統を複数設け、これら複数系統を適宜切り替えて運転すれば、地盤Gへの負担を抑制しつつ、空気調整装置1C全体の運転効率を一層向上させることができる。
【0044】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記各実施形態においては、空気調整装置1,1A,1B,1Cについて説明したが、本発明の地中熱利用装置としては、冷暖房可能な空気調整装置に限らず、冷房のみ可能な冷房装置や暖房のみ可能な暖房装置でもよく、また冷蔵庫(冷凍庫)や温蔵機、給湯器、冷水器などであってもよい。
【0045】
また、前記各実施形態では、ヒートポンプ3の一次凝縮・蒸発器9と空調室内機4の二次凝縮・蒸発器10との間を二次冷媒配管6で接続して冷媒を直接循環させる方式が採用されていたが、二次側配管は、水や不凍液等の熱媒水を循環させる水配管であってもよく、この場合には、ヒートポンプ3内に二次凝縮・蒸発器10を設け、一次および二次凝縮・蒸発器9,10、圧縮機7および膨張弁8間に冷媒を循環させる冷媒配管を設ければよい。
また、前記第1〜第3実施形態では、前記第4実施形態における受液器19の説明を省略したが、第1〜第3実施形態の一次冷媒配管5においても同様な受液器が設けられており、循環ポンプ12のエア噛みが防止できるようになっている。
【0046】
また、前記第4実施形態では、一次冷媒配管5に大気放熱用凝縮器18を接続したが、これに限らず、地盤温度回復用の大気採熱用蒸発器を接続してもよく、大気放熱用凝縮器と大気採熱用蒸発器とを並列かつ切替可能に接続してもよい。このような大気採熱用蒸発器を接続すれば、冬期における暖房負荷が冷房負荷よりも過大になった場合には、地中熱交換器からの一次側配管の接続を大気採熱用蒸発器側に切り替え、大気から採熱した熱を地盤に供給することで、地中温度の低下を防止して長期間に渡って安定した地盤からの採熱を実施することができるようになる。
【0047】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態に係る地中熱利用装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る地中熱利用装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る地中熱利用装置を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る地中熱利用装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0049】
2…地中熱交換器、3…ヒートポンプ、4…負荷機としての空調室内機、5…一次側配管としての一次冷媒配管、5A…放熱用配管、5B…採熱用配管、6…二次側配管としての二次冷媒配管、7…圧縮機、8…膨張弁、9…一次凝縮・蒸発器(熱交換器)、10…二次凝縮・蒸発器、13…圧力調節手段としての圧力調整装置、18…大気放熱用凝縮器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設された地中熱交換器と、この地中熱交換器に接続されたヒートポンプと、このヒートポンプに接続された負荷機と、前記地中熱交換器と前記ヒートポンプとを接続する一次側配管とを備え、
前記一次側配管は、冷媒を循環させる冷媒配管であり、
前記ヒートポンプには、前記一次側配管中の冷媒との間で熱交換を実施する熱交換器が設けられ、この熱交換器を介して前記負荷機に熱を供給または負荷機から熱を吸収することを特徴とする地中熱利用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地中熱利用装置において、
前記一次側配管中の冷媒は、前記地中熱交換器からの採熱時において、当該冷媒のガス化および液化による比重変化で自然循環されることを特徴とする地中熱利用装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の地中熱利用装置において、
前記一次側配管は、放熱用配管と採熱用配管とに分岐されるとともに、これらの放熱用配管と採熱用配管とが切替可能に構成され、
前記放熱用配管には、前記冷媒が所定圧力で封入され、
前記採熱用配管には、前記放熱用配管中の冷媒よりも低い圧力で前記冷媒が封入されていることを特徴とする地中熱利用装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の地中熱利用装置において、
前記一次側配管には、当該一次側配管中の冷媒の圧力を調節する圧力調節手段が設けられ、この圧力調節手段により、採熱時における前記一次側配管中の冷媒の圧力が放熱時よりも低く調節されることを特徴とする地中熱利用装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の地中熱利用装置において、
前記一次側配管中の冷媒が二酸化炭素冷媒であることを特徴とする地中熱利用装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の地中熱利用装置において、
前記一次側配管には、前記地中熱交換器に対して大気放熱用凝縮器および/または大気採熱用蒸発器が前記ヒートポンプと切替可能に接続されており、
前記大気放熱用凝縮器は、前記地中熱交換器からの放熱により地盤に蓄えられた余剰な熱を大気に放熱し、前記大気採熱用蒸発器は、前記地中熱交換器の採熱により温度低下した地盤に対して大気から採熱した熱を供給することを特徴とする地中熱利用装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の地中熱利用装置において、
前記ヒートポンプと前記負荷機とは、冷媒を循環させる冷媒配管で構成された二次側配管で接続され、
前記ヒートポンプには、前記二次側配管中の冷媒を圧縮する圧縮機と、前記二次側配管中の冷媒を膨張させる膨張弁とが設けられ、前記熱交換器は、前記一次側配管中の冷媒を用いて前記二次側配管中の冷媒を凝縮または蒸発させる一次凝縮・蒸発器であり、
前記負荷機には、前記ヒートポンプの圧縮機で圧縮された高温の前記二次側配管中の冷媒を凝縮させる、または前記ヒートポンプの膨張弁で膨張された低温の前記二次側配管中の冷媒を蒸発させる二次凝縮・蒸発器が設けられていることを特徴とする地中熱利用装置。
【請求項8】
請求項7に記載の地中熱利用装置において、
前記ヒートポンプには、複数の前記負荷機が接続され、これら複数の負荷機を同時に、または複数の負荷機ごとに、運転および停止が切替制御可能に構成されていることを特徴とする地中熱利用装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の地中熱利用装置において、
前記地中熱交換器は、互いに並列および/または直列に複数接続され、これら複数の地中熱交換器を接続した一系統の前記一次側配管に1台または複数の前記ヒートポンプが接続されていることを特徴とする地中熱利用装置。
【請求項10】
請求項9に記載の地中熱利用装置において、
前記複数の地中熱交換器に接続された前記一次側配管が複数系統設けられ、これら複数の一次側配管の系統ごとに前記冷媒の循環および停止が切替制御可能に構成されていることを特徴とする地中熱利用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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