説明

地中管取替え装置

【課題】 地中の水が新設管内に浸入するのを防止すること。
【解決手段】 頭部12に連結された胴部14のうちアダプタリング48内を閉塞板56で閉塞し、閉塞板56のケーブル挿通孔76の縁に止水パッキン82を介して取り付けユニット84を固定し、取り付けユニット84を介してケーブル挿通孔76内を挿通したケーブル52、54を取り付けユニット84で摺動自在に支持し、頭部12内に水が浸入しても、この水がアダプタリング50を介して新設管18内に浸入するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下に埋設された下水道管等の既設管を、地面を開削することなく破壊しながら新設管に取り替えるときに使用する地中管取替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の地中管取替え装置としては、例えば、既設管の外径より大きな外径を有する胴部を備えた掘削機の後端に、新設管の保護スリーブとして役立つライナを取り付け、掘削機の先端を先にして、掘削機を既設管内に入り込ませながら、新設管またはライナとともに移動させて既設管を破断し、破断した既設管内に、新設管またはライナを入れるようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この地中管取替え装置によれば、地面を開削することなく、地下に埋設された下水道管等の既設管を破壊しながら新設管に取り替えることができる。
【0004】
【特許文献1】特公昭60−27873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術では、掘削機が挿入される胴部を防水構造にすることについては配慮されておらず、既設管を破壊した際に、地中の水が掘削機の周囲等から胴部内に入り込むと、この水が新設管内に入り込み、管の取り替え作業に支障を来たすことが危惧される。
【0006】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、地中の水が新設管内に浸入するのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に係る地中管取替え装置は、地中管内にその一部が挿入されて、前記地中管に径が拡大する方向の力を駆動エネルギーに応じて付与する頭部と、筒状に形成されて、長手方向の一端側に前記頭部が連結され、他端側には新設管が連結される胴部と、駆動源からの駆動エネルギーを前記頭部に供給するケーブルと、前記胴部のうち前記ケーブルが挿通する領域を残して前記胴部内を閉塞する閉塞板と、を備えてなる構成とした。
【0008】
(作用)頭部や胴部内に土砂が浸入するのを防止する構造としても、高圧水下では、頭部や胴部内に水が浸入することがある。しかし、胴部内を、ケーブルが挿通する領域を残して閉塞板で閉塞するようにしたため、既設管を新設管に取り替える作業を行っているときに、頭部内に水が浸入しても、この水が胴部を介して新設管内に浸入するのを防止することができ、新設管の敷設作業を円滑に行うことができる。
【0009】
請求項2に係る地中管取替え装置は、請求項1に記載の地中管取替え装置において、前記閉塞板には、前記ケーブルを挿通するケーブル挿通孔が形成され、前記ケーブルは、前記ケーブル挿通孔内に摺動自在に挿入されてなる構成とした。
【0010】
(作用)閉塞板にケーブル挿通孔を形成し、このケーブル挿通孔内にケーブルを摺動自在に挿入するようにしたため、既設管を新設管に取り替える作業を行っているときに、頭部と胴部の移動が同期しないで、胴部が長手方向にスライドし、ケーブルが長手方向に沿って伸縮しても、ケーブルを円滑に移動させることができるとともに、ケーブルが損傷するのを防止することができる。
【0011】
請求項3に係る地中管取替え装置は、請求項2に記載の地中管取替え装置において、前記ケーブル外周に装着された環状の弾性パッキンと、前記弾性パッキンを前記ケーブル挿通孔の縁に沿って前記閉塞板に固定するパッキン固定部材と、を備え、前記弾性パッキンと前記パッキン固定部材は、前記ケーブルと前記閉塞板のケーブル挿通孔との間隙を埋めてなる構成とした。
【0012】
(作用)ケーブル外周に環状の弾性パッキンを装着し、この弾性パッキンをケーブル挿通孔の縁に沿って配置して、パッキン固定部材で閉塞板に固定し、弾性パッキンとパッキン固定部材により、ケーブルと閉塞板のケーブル挿通孔との間隙を埋めるようにしたため、頭部内に水が浸入しても、この水が胴部を介して新設管内に浸入するのをより確実に防止することができる。
【0013】
請求項4に係る地中管取替え装置は、請求項2に記載の地中管取替え装置において、前記ケーブルとの間に間隙を残して前記ケーブルの周囲を囲むリングと、前記リングを間にして両側に分かれて配置されて前記ケーブル外周に装着された環状の弾性パッキンと、前記ケーブル挿通孔の縁に沿って配置された環状の止水パッキンと、前記止水パッキンを介して前記弾性パッキンと前記リングを前記閉塞板のうち前記ケーブル挿通孔近傍に固定するパッキン固定部材と、を備え、前記止水パッキンと前記弾性パッキンおよび前記パッキン固定部材は、前記ケーブルと前記閉塞板のケーブル挿通孔との間隙を埋めてなる構成とした。
【0014】
(作用)ケーブル外周にリングを間にしてその両側に弾性パッキンを装着し、ケーブル挿通孔の縁に沿って止水パッキンを配置し、止水パッキンを介して弾性パッキンとリングを閉塞板のうちケーブル挿通孔近傍に配置して、パッキン固定部材で閉塞板に固定し、止水パッキンと弾性パッキンおよびパッキン固定部材により、ケーブルと閉塞板のケーブル挿通孔との間隙を埋めるようにしたため、頭部内に水が浸入しても、この水が胴部を介して新設管内に浸入するのをより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、請求項1によれば、頭部内に水が浸入しても、この水が胴部を介して新設管内に浸入するのを防止することができ、新設管の敷設作業を円滑に行うことができる。
【0016】
請求項2によれば、ケーブルが長手方向に沿って伸縮しても、ケーブルを円滑に移動させることができるとともに、ケーブルが損傷するのを防止することができる。
【0017】
請求項3によれば、頭部内に水が浸入しても、この水が胴部を介して新設管内に浸入するのをより確実に防止することができる。
【0018】
請求項4によれば、頭部内に水が浸入しても、この水が胴部を介して新設管内に浸入するのをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例を示す地中管取替え装置の断面図、図2は、 図1のA−A線に沿う断面図、図3は、図1のB−B線に沿う断面図、図4は、図1のC−C線に沿う断面図、図5は、図1のD−D線に沿う断面図、図6は、取り付けユニットの断面図、図7は、取り付けユニットの分解斜視図である。
【0020】
図1において、地中管取替え装置10は、頭部12と胴部14を備えており、頭部12は、その先端側が、地中管としての既設管16内に挿入され、後端側が胴部14に連結され、胴部14の後端側が新設管18に連結されている。
【0021】
頭部12は、駆動エネルギー、例えば、油圧に応じて既設管16に径が拡大する方向の力を付与して、既設管16を破壊または破断するようになっている。
【0022】
具体的には、頭部12は、胴部14の先端周縁部20に径方向に揺動可能に連結された3対の後方ペタル22と、この後方ペタル22の先端に径方向に揺動可能に連結された3対の前方ペタル24と、この前方ペタル24の先端に連結された先端コーン26を備えている。なお、後方ペタル22や前方ペタル24としては、2対のものや、4対のものを用いたり、5枚のものを用いたりすることもできる。
【0023】
また、後方ペタル22と前方ペタル24には、前方刃や後方刃を付けない場合もあるが、付けた場合、3対の前方ペタル22のうち地中管取替え装置10の鉛直面に位置する一対の前方ペタル24の後端部には、図2及ぶ図3に示すように、それぞれ前方刃28が溶接等によって固定され、同じく、3対の後方ペタル22のうち一対の後方ペタル22の前端部には、それぞれ後方刃30が溶接等によって固定されている。各前方刃28と各後方刃30の前端側には、既設管16内を前進し易いようにテーパ部が設けられる。
【0024】
頭部12後端側には、流体圧(油圧又は空気圧)を駆動エネルギーとする駆動源、例えば、油圧源からの油圧で作動するアクチェータ32が中心軸34に沿って設置されており、アクチュエータ32のラム36の先端部38と後方ペタル22の先端部40とがリンク42によって連結されている。なお、ラム36の先端部38と前方ペタル22の後端部とをリンク42によって連結することも可能である。
【0025】
ここで、アクチュエータ32を作動させてラム36を前進させると、頭部12における前方刃28及び後方刃30の位置する部分の直径を大きく増大させることができ、ラム36を後進させると、頭部12における前方刃28及び後方刃30の位置する部分の直径を小さくして、前方ペタル24及び後方ペタル22を一直線にできる。前方刃28及び後方刃30の位置する部分の直径は、頭部12を縮径して既設管16に挿入したとき、前方刃28が既設管16に当接する程度が望ましい。前方ペタル24の後端部に前方刃28を取付、後方ペタル30の前端部に後方刃30を取り付けたのは、最も直径を増減できる位置で、なるべく両刃28、30を合わせた全長を長くするためである。
【0026】
各前方ペタル24の両側には側方張出し部24a、24bが設けられ、各後方ペタル22の両側には側方張出し部22a、22bが設けられている。各前方ペタル24の一側の側方張出し部24aは隣接する前方ペタル24の他側の側方張出し部24bと摺動可能に重なり、各ペタル24の他側の側方張出し部24bは隣接する前方ペタル24の一側の側方張出し部24aと摺動可能に重なる。各後方ペタル22の一側の側方張出し部22aは隣接する後方ペタル22の他側の側方張出し部22bと摺動可能に重なり、各後方ペタル22の他側の側方張出し部22bは隣接する後方ペタル22の一側の側方張出し部22aと摺動可能に重なる。
【0027】
各前方ペタル24と各後方ペタル22の両側にそれぞれ側方張出し部24a、24b、22a、22bを設けたことにより、前方刃28及び後方刃30の位置する部分の直径を大きく増大させても、相隣接する前方ペタル24間と相隣接する後方ペタル22間に隙間を生ずることがないので、地中管取替え装置10内に土砂や既設管16の破片が浸入することがなくなる。なお、先端コーン26には、牽引ケーブルを接続するために、スイベルジョイント(図示せず)が設けられる。
【0028】
一方、胴部14は、シールド筒44と、スライド筒46と、アダプタリング48、50を備え、胴部14内には、駆動源からの駆動エネルギーとして、例えば、油圧をアクチュエータ32に供給するケーブル52、54が胴部14の長手方向に沿って配置され、アダプタリング48内が、ゴム製ケーブル(ゴムホース)52、54を挿通するための領域を残して閉塞板56によって閉塞されている。
【0029】
シールド筒44は、分割可能な筒体として形成され、スライド筒46は、円筒状の小径部46aと大径部46bが一体となって形成され、円筒状に形成されたアダプタリング48、50は、長手方向の端部がボルト58を介して互いに連結され、アダプタリング50の長手方向端部に形成された新設管連結部60に新設管18が連結されるようになっている。
【0030】
シールド筒44の先端周縁部20には後方ペタル22の後端部が連結され、先端周縁部20の内周側にはフランジ62が形成され、フランジ62には貫通孔が形成されている。このフランジ62にはピン64を介して連結板66の一端側が連結されており、連結板66の他端側は、スライド筒46の小径部46a内周側に形成されたフランジ68の貫通孔内に挿入されたピン70を介して、フランジ68に連結されている。すなわち、シールド筒44は、連結板66を介してスライド筒46に連結され、小径部46aの頭部12側への移動が、ストッパ45との当接により阻止されている。
【0031】
スライド筒46は、小径部46aがシールド筒44の内側に配置され、大径部46bがアダプタリング48の外側にスライド自在に配置されている。すなわち、頭部12と新設管18が同期して移動できないときには、大径部46bがアダプリング48に対して、長手方向に沿ってスライドするようになっている。
【0032】
また、スライド筒46の小径部46aとシールド筒44との間には円環状のパッキン72が装着され、大径部46bとアダプタリング48との間には円環状のパッキン74が装着され、小径部46aとシールド筒44との間または大径部46bとアダプタリング48との間から胴部14内に土砂が浸入するのを防止する構造となっている。すなわち、パッキン72、74として、止水パッキンを用いずに、土砂の浸入を防止できる程度のものを用いている。これは、高圧水下で水の浸入を防止できる止水パッキンを用いると、頭部12を引っ張る際に、スライド筒46とアダプタリング48との間の抵抗が大きくなり、スライド筒46がアダプタリング48に対してスライドできず、推進管と推進管の継ぎ手部が開くことがあるためである。
【0033】
閉塞板56は、図4および図5に示すように、略円盤状に形成されて、その周縁がアダプタリング48の内周側に溶接等によって固着されており、この閉塞板56には、図6及び図7に示すように、略長方形形状のケーブル挿通孔76が形成されているとともに、ケーブル挿通孔76の周囲にボルト78を挿通するためのボルト挿通孔80が6箇所形成されている。
【0034】
この閉塞板56のうち新設管18側には止水パッキン82と取り付けユニット84が配置されており、取り付けユニット84は、ボルト78に挿通されたワッシャ81とボルト78に締結されたナット83で止水パッキン82を介して閉塞板56に固定されている。止水パッキン82は、略長方形形状に形成され、ケーブル挿通孔76と略同じ形状のケーブル挿通孔86が形成されているとともに、ケーブル挿通孔86の周囲にボルト挿通孔88が6箇所形成されている。なお、止水パッキン82に代わりに、液状シールを用いることもできる。
【0035】
取り付けユニット84は、略長方形形状に形成された取り付け板85を備えている。取り付け板85は、略長方形形状に形成されており、取り付け板85には、ケーブル52を挿通するためのケーブル挿通孔(図示せず)とケーブル54を挿通するためのケーブル挿通孔(図示せず)が形成されているとともに、ボルト78を挿通するためのボルト挿通孔89が形成されている。各ケーブル挿通孔の縁にはケーブル52、54をそれぞれ挿通するための筒体90、92が取り付け板85と一体となって形成されている。なお、筒体90、92を取り付け板85とは別体として形成し、筒体90、92を取り付け板85に溶接等で固定する構成とすることもできる。
【0036】
筒体90、92の中央部外周にはグリスニブル94、96が固定され、筒体90、92の長手方向端部には円環状の取り付け面98、100が形成されている。取り付け面98、100には、ボルト102を固定するための固定穴104が4箇所ずつ形成されている。各取り付け面98、100には、円環状の弾性パッキン106、金属製リング108、円環状の弾性パッキン110、円環状のパッキン押え112が順次装着される。
【0037】
この際、弾性パッキン106、110は、ケーブル52、54の摺動が自在となるように、ケーブル52、54外周面に装着され、リング108は、ケーブル52、54との間に間隙を残してケーブル52、54外周側に装着される。この後、パッキン抑え112のボルト挿通孔114内にそれぞれボルト102が挿通され、各ボルト102にナット116が締結されるようになっている。
【0038】
各ナット116の締結力を、パッキン押え112、弾性パッキン110、リング108、弾性パッキン106を介して取り付け面98、100に作用させることで、弾性パッキン110、リング108、弾性パッキン106がパッキン押え112により、取り付け面98、100にそれぞれ強固に固定される。
【0039】
閉塞板56に止水パッキン82を介して取り付け板85を固定し、取り付け板85の筒体90、92の取り付け面98、100にそれぞれ弾性パッキン106、リング108、弾性パッキン110を介してパッキン押え112を固定した状態で、ケーブル52、54をそれぞれケーブル挿通孔76、86、筒体90、92、弾性パッキン106、リング108、弾性パッキン110、パッキン押え112内に挿通すると、ケーブル52、54の外周側には、弾性パッキン106、リング108、弾性パッキン110、パッキン押え112が装着される。
【0040】
この際、ケーブル52、54は、弾性パッキン106、弾性パッキン110、パッキン押え112を介して取り付け板85の筒体90、92に摺動自在に支持され、ケーブル52、54とケーブル挿通孔76との間隙が止水パッキン82と、取り付け板85、筒体90、92、弾性パッキン106、リング108、弾性パッキン110、パッキン押え112を含む取り付けユニット84とによって閉塞される。
【0041】
すなわち、閉塞板56は、止水パッキン82、取り付けユニット84とともに、アダプタリング48内を、ケーブル52、54を挿通するための領域を残して閉塞する閉塞部材を構成するとともに、ケーブル52、54を摺動自在に支持する支持部材を構成することになる。
【0042】
アダプタリング48内を閉塞板56等を用いて閉塞することで、頭部12内に水が浸入し、この水がシールド筒44内に浸入しても、この水がアダプタリング50を介して新設管18内に浸入するのを防止することができ、頭部12に水が浸入しても、新設管18の敷設作業を円滑に行うことができる。
【0043】
また、ケーブル52、54は、取り付けユニット84を介して閉塞板56に摺動自在に支持されているので、頭部12と胴部14の移動が同期しないで、スライド筒46が長手方向にスライドし、ケーブル52、54が長手方向に沿って伸縮しても、ケーブル52、54を円滑に移動させることができるとともに、ケーブル52、54が損傷するのを防止することができる。
【0044】
また、リング108は、ケーブル52、54との間に間隙が形成されるように、内径の大きさが設定されており、このリング108には、ケーブル52、54外周側に潤滑剤としてのグリスを注入するためのグリス注入孔118が形成されている。このため、ケーブル52、54は、その外周側に、グリスニブル94、96から注入されたグリスがグリス注入孔118を介して注入されるので、移動がより円滑となる。
【0045】
この地中管取替え装置10によって既設管16を新設管18に取り替えるときは、図1に示したように、この地中管取替え装置10の新設管連結部60に新設管18を接続し、頭部12を縮径した状態で、先端コーン26を牽引ケーブルで引張るとともに、新設管18の後部を図示しないジャッキで押して、前方刃28が破壊前の既設管16に当接するか浅い傷を与える程度に、地中管取替え装置10を前進させる。
【0046】
次に、油圧源からの油圧をケーブル52を介してアクチュエータ32に供給し、アクチュエータ32を作動させてラム36を前進させて、頭部12における前方刃28及び後方刃30の位置する部分の直径を大きく増大させる。これにより、前方刃28及び後方刃30によって既設管16が切断破壊される。次に、油圧源からの油圧をケーブル54を介してアクチュエータ32に供給し、アクチュエータ32を作動させてラム36を後進させて、頭部12における前方刃28及び後方刃30の位置する部分の直径を小さくして、地中管取替え装置10を前進させる。
【0047】
以下、頭部12の縮径した状態での地中管取替え装置10の前進と、頭部12の拡径による既設管16の破壊とを繰り返すことによって、既設管16を新設管18に取り替えていくことができる。
【0048】
本実施例によれば、地中管取替え装置10を既設管16内に進入させて、アクチェータ32を作動させ、前方ペタル24及び後方ペタル22を揺動させ、前方刃28及び後方刃30の設けられた部分の直径を増大させることによって、容易に既設管16を破壊できる。そして、地中管取替え装置10の前進と、前方刃28及び後方刃30の設けられた部分の直径増大による既設管16の破壊とを繰り返すことにより、地面を開削することなく既設管16を新設管18へ取り替えることができる。
【0049】
また、本実施例によれば、アダプタリング48内を閉塞板56等を用いて閉塞するようにしたため、地中管取替え装置10を既設管16内に進入させて、既設管16を新設管18に取り替える作業を行っているときに、頭部12内に水が浸入し、この水がシールド筒44内に浸入しても、この水がアダプタリング50を介して新設管18内に浸入するのを防止することができ、頭部12に水が浸入しても、新設管18の敷設作業を円滑に行うことができる。
【0050】
また、本実施例によれば、ケーブル52、54は、取り付けユニット84を介して閉塞板56に摺動自在に支持されているので、地中管取替え装置10を既設管16内に進入させて、既設管16を新設管18に取り替える作業を行っているときに、頭部12と胴部14の移動が同期しないで、スライド筒46が長手方向にスライドし、ケーブル52、54が長手方向に沿って伸縮しても、ケーブル52、54を円滑に移動させることができるとともに、ケーブル52、54が損傷するのを防止することができる。
【0051】
また、アダプタリング48内を閉塞板56等を用いて閉塞するに際しては、閉塞板56に、ケーブル挿通孔76の代わりに、ケーブル52、54が挿通可能な円形のケーブル挿通孔を2個形成し、各ケーブル挿通孔の縁に沿って環状の止水パッキンを配置し、各止水パッキンを環状のパッキン固定部材(パッキン押え)で閉塞板56に固定し、各止水パッキンとパッキン固定部材で、ケーブル52、54と各ケーブル挿通孔との間隙を埋める構成を採用することもできる。
【0052】
また、ケーブル52、54の外周側には、グリスニブル94、96から注入されたグリスがグリス注入孔118を介して注入されるので、ケーブル52、54の移動を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施例を示す地中管取替え装置の断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図4】図1のC−C線に沿う断面図である。
【図5】図1のD−D線に沿う断面図である。
【図6】取り付けユニットの断面図である。
【図7】取り付けユニットの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
10 地中管取替え装置
12 頭部
14 胴部
16 既設管
18 新設管
48、50 アダプタリング
56 閉塞板
76 ケーブル挿通孔
82 止水パッキン
84 取り付けユニット
90、92 筒体
106 弾性パッキン
108 リング
110 弾性パッキン
112 パッキン押え

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中管内にその一部が挿入されて、前記地中管に径が拡大する方向の力を駆動エネルギーに応じて付与する頭部と、筒状に形成されて、長手方向の一端側に前記頭部が連結され、他端側には新設管が連結される胴部と、駆動源からの駆動エネルギーを前記頭部に供給するケーブルと、前記胴部のうち前記ケーブルが挿通する領域を残して前記胴部内を閉塞する閉塞板と、を備えてなる地中管取替え装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地中管取替え装置において、前記閉塞板には、前記ケーブルを挿通するケーブル挿通孔が形成され、前記ケーブルは、前記ケーブル挿通孔内に摺動自在に挿入されてなることを特徴とする地中管取替え装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地中管取替え装置において、前記ケーブル外周に装着された環状の弾性パッキンと、前記弾性パッキンを前記ケーブル挿通孔の縁に沿って前記閉塞板に固定するパッキン固定部材と、を備え、前記弾性パッキンと前記パッキン固定部材は、前記ケーブルと前記閉塞板のケーブル挿通孔との間隙を埋めてなることを特徴とする地中管取替え装置。
【請求項4】
請求項2に記載の地中管取替え装置において、前記ケーブルとの間に間隙を残して前記ケーブルの周囲を囲むリングと、前記リングを間にして両側に分かれて配置されて前記ケーブル外周に装着された環状の弾性パッキンと、前記ケーブル挿通孔の縁に沿って配置された環状の止水パッキンと、前記止水パッキンを介して前記弾性パッキンと前記リングを前記閉塞板のうち前記ケーブル挿通孔近傍に固定するパッキン固定部材と、を備え、前記止水パッキンと前記弾性パッキンおよび前記パッキン固定部材は、前記ケーブルと前記閉塞板のケーブル挿通孔との間隙を埋めてなることを特徴とする地中管取替え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−214989(P2008−214989A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55134(P2007−55134)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000127259)株式会社イセキ開発工機 (9)
【Fターム(参考)】