地図データ配信システム
【課題】 サーバ装置から端末装置に地図データを配信する場合に、サーバ装置においてベクトル画像用としてデータベースに登録管理されている地図データをイメージ画像用の地図データに高速に変換できるようにして、地図データの配信処理時間の短縮化を図る。
【解決手段】 複数のサーバ装置1a〜1cを備え、その内の一つのサーバ装置1aは、端末装置2からの地図データの取得要求に対して、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を他のサーバ装置1b,1cに対して分担させる分散処理機能部14と、各サーバ装置1a〜1cで分散処理して得られるイメージ画像用の地図データを合成するイメージ合成機能部15とを備えている。
【解決手段】 複数のサーバ装置1a〜1cを備え、その内の一つのサーバ装置1aは、端末装置2からの地図データの取得要求に対して、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を他のサーバ装置1b,1cに対して分担させる分散処理機能部14と、各サーバ装置1a〜1cで分散処理して得られるイメージ画像用の地図データを合成するイメージ合成機能部15とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データの配信を行う地図データ配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
GIS(Geographic Information System)においては、サーバ装置側において地図データと道路、建築物、ライフライン、土地所有権等の各種情報とを連携して蓄積するとともに、利用者が端末装置からネットワークを通じてサーバ装置にアクセスして地図データやこれに関連した上記の各種情報を任意に取り出せるようにすることが必要となる。
【0003】
このようなGISの基礎となる地図データ配信システムにおいては、利用者の要求に応じてデータベースから取り出した地図データをできるだけ短時間の内に利用者に配信できるようにすることが望ましい。
【0004】
ところで、従来の地図データ配信システムにおいては、イメージ画像用の地図データとベクトル画像用の地図データとを個別に管理してデータベースに格納している。ここで、イメージ画像用の地図データは汎用のWebブラウザ等によって簡単に画像表示できる利点があるものの、拡大、縮小、データ編集等を行いづらい。これに対して、ベクトル画像用の地図データは、画像を拡大、縮小しても鮮明さを失うことが少なく、データ編集も比較的容易であるが、ベクトル画像として表示するためにはブラウザの負担が大きく、また、ベクトル画像を表示するブラウザを備えていない端末装置も存在する。
【0005】
そのため、従来技術では、サーバ装置側においてベクトル画像用の地図データをデータベースに管理するようにし、イメージ画像しか表示できないようなブラウザを備えた端末装置から地図データの表示要求があったときには、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換した上で当該端末装置に配信するようにしたシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
その際、図形の空間管理機能を付加するために、地図データベースに記憶されている地図データを階層構造化して一旦木構造を構築した後、この木構造に構築された地図データをイメージ画像用に変換することも行われている(例えば、特許文献2,3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−150047号公報
【特許文献2】特許2880004号公報
【特許文献3】特開平7−282225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の地図データ配信システムにおいて、ベクトル画像を表示するブラウザを備えない多数の端末装置からサーバ装置に対してそれぞれ異なる地図データの表示要求が同時に出されたときには、一台のサーバ装置において地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を行っている。このため、当該サーバ装置に負荷が集中し、データ変換に時間がかかる事態が生じている。
【0009】
特に、地図データベースに記憶されている地図データについて、図形の空間管理機能を付加するために階層構造化して多次元分割木構造(Multi Dimensional Tree 、以下、MD木構造という)を構築する場合、従来は、図形単位でMD木構造の整合性を確保するようにしているため、MD木構造を構築するのに時間がかかっている。なお、MD木構造の理論については、例えば「電子情報通信学会論文誌D」vol.J71−D,No.9,1988年9月,1745〜1752頁に示されている。
【0010】
また、端末装置側がイメージ画像用の地図データを表示するブラウザしか備えていない場合であっても、端末装置において表示されているイメージ画像について、その地図上の標識等の図形を指定してその位置に関連した情報を引き出すことができれば便利である。
【0011】
しかしながら、従来は、サーバ装置において作成されたイメージ画像用の地図データは、単純にそのまま端末装置に送られてイメージ画像として表示されるだけなので、端末装置側ではイメージ画像として表示されている地図上の標識等の図形を指定してその位置に関連した情報を引き出すことができなかった。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、サーバ装置側においてベクトル画像用としてデータベースに登録管理されている地図データを高速に木構造として構築し、それに基づいてこの木構造の地図データをイメージ画像用の地図データに変換できるようにして配信処理時間の短縮化を図ることを目的とする。
【0013】
また、本発明は、端末装置側において、イメージ画像として表示されているにもかかわらず、ベクトル画像に類似した操作、すなわちイメージ画像として表示されている地図上の標識等の図形を指定すると、その位置に関連した情報を引き出すことができるなど、利便性を高めた地図データ配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の地図データ配信システムは、サーバ装置と端末装置とがネットワークを介して接続され、上記サーバ装置は、ベクトル画像用の地図データが記憶された地図データベースと、この地図データベースに記憶されている地図データを木構造に構築する木構造構築手段と、この木構造に構築された地図データをイメージ画像用の地図データに変換するイメージ化手段とを備え、このイメージ化手段でイメージ画像用に変換された地図データを端末装置に配信する地図データ配信システムであって、上記サーバ装置は複数設けられ、その内の少なくとも一つのサーバ装置は、端末装置からの地図データの取得要求に対して、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を他のサーバ装置に対して分担させる処理分散手段と、各サーバ装置で分散処理して得られるイメージ画像用の地図データを合成する合成手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多数の端末装置から同時にイメージ画像用の地図データの取得要求があった場合、複数のサーバ装置によってベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を分散処理した後に合成するので、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に高速に変換して各端末装置に配信することができる。このため、従来のように一つのサーバ装置に負荷が集中することがなくなり、配信処理時間の短縮化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における地図データ配信システムの全体を示す構成図である。
【0017】
この実施の形態1の地図データ配信システムは、複数(ここでは3台分)のサーバ装置1a,1b,1cを備え、これらの各サーバ装置1a〜1c相互間、およびサーバ装置1a〜1cと端末装置2との間がネットワーク3を介して互いに接続されている。なお、図中には便宜上、一つの端末装置2しか示していないが、通常、ネットワーク3には多数の端末装置が接続される。また、各サーバ装置1a〜1cに対しては、ベクトル画像用の地図データを記憶する一つの地図データベース4が共通に付属している。
【0018】
また、各々のサーバ装置1a〜1cは、地図データベース4に記憶されているベクトル画像用の地図データを階層構造化して木構造に構築する木構造構築手段としての木構造生成機能部11、この木構造生成機能部11で木構造に構築された地図データを管理保持する内部木構造管理機能部12、およびこの内部木構造管理機能部12で木構造に構築されて保持されている地図データをイメージ画像用の地図データに変換するイメージ化手段としてのイメージ化処理機能部13を備えている。
【0019】
さらに、各サーバ装置1a〜1cの内の一つのサーバ装置1aは、端末装置2からのイメージ画像用の地図データの取得要求に対して、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を他のサーバ装置1b,1cに対して分担させる処理分散手段としての分散処理機能部14、各サーバ装置1a〜1cで分散処理して得られるイメージ画像用の地図データを合成する合成手段としてのイメージ合成機能部15を備えている。
【0020】
そして、いま、分散処理機能部14およびイメージ合成機能部15を備えたサーバ装置1aを主サーバ装置、残りの他のサーバ装置1b,1cを副サーバ装置としたとき、例えば、主サーバ装置1aは、地図データの赤色表示に関するイメージ化処理を、残りの一方の副サーバ装置1bは緑色表示に関するイメージ化処理を、他方の副サーバ装置1cは青色表示に関するイメージ化処理をそれぞれ分担して処理するように予め設定されている。また、主サーバ装置1aが合成後のイメージ画像用の地図データを取得要求のあった所定の端末装置2に対してネットワーク3を介して配信するようになっている。
【0021】
次に、上記構成を備えた地図データ配信システムの動作について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図中符号Sは各処理ステップを意味する。
【0022】
いま、ある端末装置2はイメージ画像を表示するWebブラウザのみを備えているものとし、当該端末装置2からイメージ画像表示のための地図データの取得要求があった場合、主サーバ装置1aがこの取得要求を受け取ると(ステップ11)、処理分散機能部14が地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理の一部を副サーバ装置1b,1cに対して依頼する(ステップ12)。
【0023】
主サーバ装置1aは、端末装置2から要求のあった地図表示に必要なベクトル画像用の地図データを地図データベース4から読み出し、木構造生成機能部11で木構造を構築して内部木構造管理機能部12で木構造に構築された地図データを保持する(ステップ131)。続いて、イメージ化処理機能部13で木構造に構築されて保持されている地図データについて自己が分担する赤色表示に関する地図データをイメージ画像用に変換する(ステップ141)。
【0024】
また、主サーバ装置1aから分担依頼を受けた各副サーバ装置1b,1cは、端末装置2から要求のあった地図表示に必要なベクトル画像用の地図データを地図データベース4から読み出し、木構造生成機能部11で木構造を構築して内部木構造管理機能部12で木構造に展開された地図データを保持する(ステップ132,133)。続いて、イメージ化処理機能部13において木構造に構築されて保持されている地図データについて自己が分担する緑色表示や青色表示に関する地図データをイメージ画像用に変換する(ステップ142,143)。そして、このイメージ画像用の地図データを主サーバ装置1aに転送する(ステップ152,153)。
【0025】
主サーバ装置1aのイメージ化合成機能部15は、自己が分担して作成した赤色表示に関する地図データ、および各副サーバ装置1b,1cでそれぞれ分担処理して作成した緑色表示や青色表示に関する地図データを合成する(ステップ16)。そして、主サーバ装置1aは、合成後のイメージ画像用の地図データをネットワーク3を介して地図表示要求のあった端末装置2に配信する(ステップ17)。
【0026】
このように、この実施の形態1では、ある端末装置2からイメージ画像用の地図データの取得要求があった場合、複数のサーバ装置1a〜1cによって地図データを各色情報ごとにベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を分担するので、多数の端末装置2から同時にイメージ画像用の地図データの取得要求があった場合でも従来のように一つのサーバ装置に負荷が集中することがなくなり、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に高速に変換して各端末装置2に配信することができる。
【0027】
なお、この実施の形態1では、主サーバ装置1aには処理分散機能部14やイメージ合成機能部15だけでなく、木構造生成機能部11、内部木構造管理機能部12、イメージ化処理機能部13を設けて地図データの赤色表示に関するイメージ化処理を分担させているが、例えば1台の主サーバ装置と3台の副サーバ装置とを設け、主サーバ装置は処理分散機能部14による分散処理とイメージ合成機能部15による合成処理のみを分担し、3台の副サーバ装置が赤色、青色、緑色の各表示に関するイメージ化処理を分担させることにより、各サーバ装置の負荷を一層軽減させて処理の高速化を図るようにすることも可能である。
【0028】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2における地図データ配信システムの全体を示す構成図であり、実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0029】
この実施の形態2の地図データ配信システムにおいて、主サーバ装置1aには、端末装置2に配信されるイメージ画像用の地図データの4隅にバイナリ化された座標データを埋め込む位置情報埋込手段としての位置情報埋込処理部16が設けられ、また、端末装置2には、ディスプレイなどに表示されたイメージ画像についてマウス等で指定された箇所の座標位置を計算してこの座標位置の情報を主サーバ装置1aに送信する座標情報計算処理部21が設けられている。さらに、各サーバ装置1a〜1cの内部木構造管理機能部12は、端末装置2で指定される座標位置の箇所に対応した図形を木構造の地図データから検索するようになっている。
【0030】
その他の構成は、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0031】
次に、上記構成を備えた地図データ配信システムの動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図中符号Sは各処理ステップを意味する。
【0032】
いま、ある端末装置2はイメージ画像を表示するWebブラウザのみを備えているものとし、当該端末装置2からイメージ画像用の地図データの取得要求があった場合(ステップ21)、主サーバ装置1aがこの取得要求を受け取ると(ステップ31)、処理分散機能部14が地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理の一部を副サーバ装置1b,1cに対して依頼する。そして、各サーバ装置1a〜1cの木構造生成機能部11は、地図データベース4から所要のベクトル画像用の地図データを読み出して木構造を作成する(ステップ32)。続いて、イメージ化処理機能部13が各色情報ごとのイメージ画像用の地図データを作成し(ステップ33)、主サーバ装置1aが各イメージ画像用の地図データを合成する。
【0033】
続いて、主サーバ装置1aの位置情報埋込処理部16は、イメージ画像用の地図データの4隅に座標データA1〜A4(ここでは0,1で表現して位置を特定できるようにしたバイナリデータ)を埋め込む(ステップ34)。そして、座標データを埋め込んだ地図データを端末装置2に配信する(ステップ35)。
【0034】
したがって、端末装置2の画面には、Webブラウザによりイメージ画像用の地図データの4隅に座標データA1〜A4が埋め込まれた状態の地図Fが表示される(ステップ22)。この場合、地図データと座標データは基本的にイメージ画像用のデータであるので、Webブラウザの負荷は小さい。そして、利用者が端末装置2に表示されている地図Fの中の一つの図形Pを、例えばマウス等によってクリックして指定すると(ステップ23)、これに応じて座標情報計算処理部21は、この指定された図形Pがある箇所の座標位置を地図Fの4隅に予め埋め込まれている座標データA1〜A4に基づいて計算し(ステップ24)、この図形Pの座標位置の情報を主サーバ装置1aに送信する(ステップ25)。
【0035】
端末装置2からの座標位置の情報を主サーバ装置1aが受け取ると(ステップ36)、主サーバ装置1aの処理分散機能部14は、この座標位置の情報を副サーバ装置1b,1cにも転送する。
【0036】
したがって、各サーバ装置1a〜1cの内部木構造管理機能部12は、端末装置2で指定された座標位置に対応した図形Pを木構造の地図データから検索し(ステップ37)、次いで、図5に示すように、イメージ化処理機能部13が図形Pに外接する矩形領域(B1〜B4の各頂点で囲まれる領域)についてのイメージ画像用の地図データのみを再度作成する(ステップ38)。その際、元の図形Pの色と異なった色になるように、各サーバ装置1a〜1c間で色情報の配分割合が変更される。そして、図形Pを含む矩形領域(B1〜B4)内の地図データは、主サーバ装置1aのイメージ合成機能部15で合成された後、端末装置2に送信される(ステップ39)。
【0037】
端末装置2のWebブラウザは、受信した矩形領域(B1〜B4)のイメージ画像用の地図データを再描画する(ステップ26)。このため、例えば、画像表示されている地図Fの内、図形Pを含む矩形領域B1〜B4内の部分が色変えされて表示されるようになる。
【0038】
このように、この実施の形態2では、実施の形態1と同様に各サーバ装置1a〜1cの負荷を軽減して地図データの配信処理の高速化を図ることができるだけでなく、別個の通信プロトコルを定義しなくてもイメージ画像用の地図データの一部に座標データを埋め込んで端末装置2側に送ることができるため、端末装置2側において地図F上の図形Pの位置を正確に計算することが可能になる。そして、端末装置2側ではイメージ画像を表示するブラウザだけを備えている場合でもベクトル画像に類似した操作、すなわち配信されたイメージ画像用の地図データで作成された地図F上の標識等の図形Pを指定することでその位置に関連した情報を引き出すことが可能になる。このため、イメージ画像用の地図データの利便性を一層高めることができる。
【0039】
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3における地図データ配信システムの全体を示す構成図であり、実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0040】
XML形式のデータは、データの属性とデータの内容とを関連付けて任意に定義することができる。したがって、図形の空間管理機能を付加するためにベクトル画像用の地図データがMD木構造に構築されている場合、このMD木構造の地図データをXML形式で記述することで、MD木構造を構築するための情報を保持したままデータベースに格納することができる。逆に、XML形式のデータをデータベースから読み出したときには、このXML形式のデータはMD木構造を構築するための情報を既に保持しているため、XML化された地図データから簡単にMD木構造を再構築することができ、MD木構造作成の計算が不要である。
【0041】
そこで、この実施の形態3の地図データ配信システムにおいては、各サーバ装置1a〜1cに付属して、ベクトル画像用の地図データを格納する地図データベースだけでなく、XML化された地図データを格納するXML対応データベース5が設けられている。
【0042】
さらに、各サーバ装置1a〜1cには、MD木構造の地図データをXML化してXML対応データベース5に登録するXML変換手段としてのXMLデータ生成機能部17、およびXML対応データベース5に登録されているXML化された地図データをMD木構造に変換する木構造変換手段としてのXMLデータ読出機能部18が設けられている。
【0043】
その他の構成は、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0044】
次に、上記構成を備えた地図データ配信システムにおける動作、特に、ここではXML対応データベース5に対する地図データの書き込み動作、および読み出し動作について、図7および図8に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図中符号Sは各処理ステップを意味する。
【0045】
従来、内部木構造管理機能部12でMD木構造として管理保持している地図データをデータベースに蓄積する場合、XML化せずに地図データに含まれる図形の位置座標、形状、色等のデータを個別に取り出してデータベースに登録している。その結果、データベースに登録する際にはMD木構造を構築するための情報が失われている。それゆえ、データベースからこれらの地図データを読み出す際には、これらの地図データからMD木構造を作成するため計算を再度行う必要があり、その処理に時間がかかっていた。
【0046】
これに対して、この実施の形態3では、端末装置2から例えば主サーバ装置1aに対して地図データの登録要求があると、これに応じて、各サーバ装置1a〜1cのXMLデータ生成機能部17は、内部木構造管理機能部12においてMD木構造で管理保持している地図データをXML化した後(ステップ41)、このXML化された地図データをXML対応データベース5に登録する(ステップ42)。この場合、MD木構造の地図データをXML形式で記述することで、MD木構造を構築するための情報を保持したままXML対応データベース5に格納することができる。
【0047】
そして、端末装置2から主サーバ装置1aに地図データの読み出し要求があると、これに応じて、各サーバ装置1a〜1cのXMLデータ読出機能部18は、XML対応データベース5に登録されているXML化された地図データを取得し(ステップ51)、このXML化された地図データをMD木構造の地図データに変換する(ステップ52)。この場合、XML対応データベース5から読み出されるXML化された地図データは、MD木構造を構築するための情報を既に保持しているため、XML化された地図データから簡単にMD木構造を再構築することができて、従来のような木構造作成の計算が不要である。
【0048】
その他の動作については、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0049】
このように、この実施の形態3では、MD木構造の地図データをXML化してXML対応データベース5に書き込むことができるので、XML対応データベース5から読み出したXML形式の地図データによって、MD木構造を簡単に再構築することができ、地図データの配信処理の短縮化に寄与することができる。
【0050】
なお、XMLデータ生成機能部17において、MD木構造の地図データと共に時間情報もXML化してXML対応データベース5に登録することで、時間指定により地図データを表示することもできる。つまり、MD木構造を使用すると地図データのみならず時間情報も表現することができ、しかも、このMD木構造をXML化することでXML対応データベース5には時間情報を同時に登録することができる。
【0051】
したがって、図9に示すように、端末装置2において時間指定した地図データの表示要求があると、これに応じて各サーバ装置1a〜1cのXMLデータ読出機能部18は、XML対応データベース5にXML化して登録されている地図データを読み出し(ステップ61)、時間指定の有無を判断する(ステップ62)。このとき、地図データに時間指定がある場合には、その指定した時間にMD木構造を再構成し(ステップ63)、XMLデータをMD木構造の地図データに変換する(ステップ64)。
【0052】
実施の形態4.
この実施の形態4では、上記の実施の形態1〜3において各サーバ装置1a〜1cに設けられている木構造生成機能部11において、地図データベース4に記憶されているベクトル画像用の地図データをMD木構造として構築する際の処理の高速化を図るようにしたものである。ここでは、木構造生成機能部11における従来の処理内容と本発明の処理内容とを比較しつつ説明する。
【0053】
木構造生成機能部11が地図データベース4に記憶されているベクトル画像用の地図データをMD木構造に構築する場合、従来は、図10(a)に示すように、1図形単位でMD木構造のリーフの拡張やノード構造の整合性をチェックしているために、MD木構造を構築する際に時間や負荷がかかっている。
【0054】
すなわち、ベクトル画像用の地図データをMD木構造に変換する際、従来は、図11(a)のフローチャートに示すように、処理対象となる図形全体の内から一つの図形を選出し(ステップ71)、ループカウンタのカウント数が処理対象となっている総図形数を越えるか否かを判断する(ステップ72)。このとき、総図形数を越えているときには処理対象となる全図形についてのMD木構造への変換処理が完了しているので処理を終了する一方、総図形数を越えない場合には、新規の一つの図形をMD木構造に投入し(ステップ73)、MD木構造のリーフを検索し(ステップ74)、管理領域(L1,L2など)内に格納可能なリーフか否かを判断する(ステップ75)。
【0055】
このとき、管理領域内に格納可能でないリーフの場合には、さらに他のMD木構造のリーフを検索する(ステップ76)。一方、管理領域内に格納可能なリーフの場合には、既存のリーフに当該図形が格納可能か否かを判断し(ステップ76)、図形が既存リーフに格納できるときにはリーフを図形に投入する(ステップ78)。既存のリーフに図形を格納できないときには新たにリーフを生成した後(ステップ77)、この新たに生成したリーフに図形に投入する(ステップ78)。
【0056】
そして、リーフノードの親ノードの生成が必要であるか否かを判断し(ステップ79)、リーフノードの親ノードの生成が必要ならば親ノードを生成する(ステップ80)。また、親ノードの生成が必要なければ、ループ後処理を行った後(ステップ81)、ステップ71に戻って新たに処理対象となる図形を選出する。
【0057】
このように、木構造生成機能部11は、従来、1図形単位でMD木構造の整合性を確保するために複雑な処理を実行しているため、MD木構造を構築する際に時間や負荷がかかっている。
【0058】
通常、地図データベース4に登録されているベクトル画像用の地図データをMD木構造に変換する場合、1メッシュ単位で読み出すことが多く、また、このメッシュ単位でMD木構造を管理することが多い。また、MD木構造の空間管理のための管理領域は、矩形領域が互いに直交するX方向、Y方向に適切な図形分布となるように分割される。
【0059】
この実施の形態4では、この点に着目して、図10(b)に示すように、各図形をメッシュ単位で一括してプールし、このプールした図形の集合をMD木構造を構築する際に予測される管理領域の分割処理を疑似的に行って疑似的なMD木構造を構築する。つまり、矩形の管理領域のX方向、Y方向の分割位置を偏差値を利用して推測し、この分割をリーフが分割される目安となる数(ここではリーフの最大格納数の2/3)まで順次繰り返すことで疑似的な木構造を構築する。このようにすれば、従来は1図形ごとにMD木構造の整合性をチェックしてノードやリーフの拡張や縮退を行っていたのに対して、この実施の形態4では単純なメッシュ単位の領域分割であるため、図形集合の全体をチェックする処理に変更されてMD木構造の構築処理が高速化される。
【0060】
すなわち、木構造生成機能部11がベクトル画像用の地図データを木構造に構築する際、この実施の形態4では、図11(b)のフローチャートに示すように、処理対象となる図形全体について、まず、矩形の管理領域がX方向に適切な図形分布となるように先ずX方向に分割する(ステップ91)。なお、MD木構造の分割数をここでは3に設定しているので、管理領域をX方向に3分割することを前提に管理領域をX方向に1:2で分割(偏差値で66の位置で分割)する。
【0061】
そして、次に、図形の数は1リーフに格納できる数を越えているか否かを判断する(ステップ92)。1リーフに格納できる数を越えているときには、次にY方向に管理領域を分割する(ステップ93)。この場合のY方向の分割位置も、X方向と同様に、管理領域をY方向に1:2で分割(偏差値で66の位置で分割)する。そして、図形の数は1リーフに格納できる数を越えているか否かを判断する(ステップ94)。1リーフに格納できる数を越えているときには、ステップ91に戻って再度、X方向の分割を実行する。
【0062】
こうして、X方向、Y方向について図形の数が1リーフに格納できる数を越えたときには、分割順に連番を振り、木構造の1階層から順にノードとして変換してノード構造を生成する(ステップ95)。続いて、最下層のノードはリーフとして分割数分のリーフを生成する(ステップ96)。そして、各リーフに図形を投入する(ステップ97)。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、上記の実施の形態1〜4に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用することができる。また、各実施の形態1〜4の任意の機能を組み合わせてシステムを構築することが可能である。また、ここでは地図データ配信システムについて説明したが、これに限定されず、同様な機能が要求されるシステム、例えばCADシステムや図形作成システムなどへの応用も可能である。また、各実施の形態1〜4では、3台のサーバ装置1a〜1cを設けているが、この台数に限定されるものではない。さらに、端末装置2におけるイメージ画像表示のソフトウエアとしてWebブラウザを用いているが、これに限らず同様の機能をもつ専用のソフトウエアで実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1における地図データ配信システムの全体を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における地図データ配信システムの動作説明に供するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2における地図データ配信システムの全体を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態2における地図データ配信システムの動作説明に供するフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2における地図データ配信システムにおいて、地図データの一部を再度作成する場合の動作説明図である。
【図6】本発明の実施の形態3における地図データ配信システムの全体を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態3において、MD木構造の地図データをXML化してXML対応データベースに書き込む場合の動作説明に供するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3において、XML化された地図データをXML対応データベースから読み出してMD木構造を構築する場合の動作説明に供するフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態3において、XML化された地図データに時間情報が付加されてXML対応データベースに登録されている場合において、このXMLデータベースからXML化された地図データを読み出して指定時間にMD木構造を構築する場合の動作説明に供するフローチャートである。
【図10】木構造生成機能部において地図データベースに登録されているベクトル画像用の地図データをMD木構造に構築する場合の従来の処理内容と本発明の処理内容とを比較して示す説明図である。
【図11】木構造生成機能部において地図データベースに登録されているベクトル画像用の地図データをMD木構造に構築する場合の従来の処理内容と本発明の処理内容とを比較して示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1a〜1c サーバ装置、2 端末装置、3 ネットワーク、4 地図データベース、5 XML対応データベース、11 木構造生成機能部(木構造構築手段)、
12 内部木構造管理機能部、13 イメージ化処理機能部(イメージ化手段)、
14 分散処理機能部(処理分散手段)、15 イメージ合成機能部(合成手段)、
16 位置情報埋込処理部(位置情埋込手段)、
17 XMLデータ生成機能部(XML変換手段)、
18 XMLデータ読出機能部(木構造変換手段)、21 座標情報計算処理部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データの配信を行う地図データ配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
GIS(Geographic Information System)においては、サーバ装置側において地図データと道路、建築物、ライフライン、土地所有権等の各種情報とを連携して蓄積するとともに、利用者が端末装置からネットワークを通じてサーバ装置にアクセスして地図データやこれに関連した上記の各種情報を任意に取り出せるようにすることが必要となる。
【0003】
このようなGISの基礎となる地図データ配信システムにおいては、利用者の要求に応じてデータベースから取り出した地図データをできるだけ短時間の内に利用者に配信できるようにすることが望ましい。
【0004】
ところで、従来の地図データ配信システムにおいては、イメージ画像用の地図データとベクトル画像用の地図データとを個別に管理してデータベースに格納している。ここで、イメージ画像用の地図データは汎用のWebブラウザ等によって簡単に画像表示できる利点があるものの、拡大、縮小、データ編集等を行いづらい。これに対して、ベクトル画像用の地図データは、画像を拡大、縮小しても鮮明さを失うことが少なく、データ編集も比較的容易であるが、ベクトル画像として表示するためにはブラウザの負担が大きく、また、ベクトル画像を表示するブラウザを備えていない端末装置も存在する。
【0005】
そのため、従来技術では、サーバ装置側においてベクトル画像用の地図データをデータベースに管理するようにし、イメージ画像しか表示できないようなブラウザを備えた端末装置から地図データの表示要求があったときには、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換した上で当該端末装置に配信するようにしたシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
その際、図形の空間管理機能を付加するために、地図データベースに記憶されている地図データを階層構造化して一旦木構造を構築した後、この木構造に構築された地図データをイメージ画像用に変換することも行われている(例えば、特許文献2,3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−150047号公報
【特許文献2】特許2880004号公報
【特許文献3】特開平7−282225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の地図データ配信システムにおいて、ベクトル画像を表示するブラウザを備えない多数の端末装置からサーバ装置に対してそれぞれ異なる地図データの表示要求が同時に出されたときには、一台のサーバ装置において地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を行っている。このため、当該サーバ装置に負荷が集中し、データ変換に時間がかかる事態が生じている。
【0009】
特に、地図データベースに記憶されている地図データについて、図形の空間管理機能を付加するために階層構造化して多次元分割木構造(Multi Dimensional Tree 、以下、MD木構造という)を構築する場合、従来は、図形単位でMD木構造の整合性を確保するようにしているため、MD木構造を構築するのに時間がかかっている。なお、MD木構造の理論については、例えば「電子情報通信学会論文誌D」vol.J71−D,No.9,1988年9月,1745〜1752頁に示されている。
【0010】
また、端末装置側がイメージ画像用の地図データを表示するブラウザしか備えていない場合であっても、端末装置において表示されているイメージ画像について、その地図上の標識等の図形を指定してその位置に関連した情報を引き出すことができれば便利である。
【0011】
しかしながら、従来は、サーバ装置において作成されたイメージ画像用の地図データは、単純にそのまま端末装置に送られてイメージ画像として表示されるだけなので、端末装置側ではイメージ画像として表示されている地図上の標識等の図形を指定してその位置に関連した情報を引き出すことができなかった。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、サーバ装置側においてベクトル画像用としてデータベースに登録管理されている地図データを高速に木構造として構築し、それに基づいてこの木構造の地図データをイメージ画像用の地図データに変換できるようにして配信処理時間の短縮化を図ることを目的とする。
【0013】
また、本発明は、端末装置側において、イメージ画像として表示されているにもかかわらず、ベクトル画像に類似した操作、すなわちイメージ画像として表示されている地図上の標識等の図形を指定すると、その位置に関連した情報を引き出すことができるなど、利便性を高めた地図データ配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の地図データ配信システムは、サーバ装置と端末装置とがネットワークを介して接続され、上記サーバ装置は、ベクトル画像用の地図データが記憶された地図データベースと、この地図データベースに記憶されている地図データを木構造に構築する木構造構築手段と、この木構造に構築された地図データをイメージ画像用の地図データに変換するイメージ化手段とを備え、このイメージ化手段でイメージ画像用に変換された地図データを端末装置に配信する地図データ配信システムであって、上記サーバ装置は複数設けられ、その内の少なくとも一つのサーバ装置は、端末装置からの地図データの取得要求に対して、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を他のサーバ装置に対して分担させる処理分散手段と、各サーバ装置で分散処理して得られるイメージ画像用の地図データを合成する合成手段と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多数の端末装置から同時にイメージ画像用の地図データの取得要求があった場合、複数のサーバ装置によってベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を分散処理した後に合成するので、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に高速に変換して各端末装置に配信することができる。このため、従来のように一つのサーバ装置に負荷が集中することがなくなり、配信処理時間の短縮化を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における地図データ配信システムの全体を示す構成図である。
【0017】
この実施の形態1の地図データ配信システムは、複数(ここでは3台分)のサーバ装置1a,1b,1cを備え、これらの各サーバ装置1a〜1c相互間、およびサーバ装置1a〜1cと端末装置2との間がネットワーク3を介して互いに接続されている。なお、図中には便宜上、一つの端末装置2しか示していないが、通常、ネットワーク3には多数の端末装置が接続される。また、各サーバ装置1a〜1cに対しては、ベクトル画像用の地図データを記憶する一つの地図データベース4が共通に付属している。
【0018】
また、各々のサーバ装置1a〜1cは、地図データベース4に記憶されているベクトル画像用の地図データを階層構造化して木構造に構築する木構造構築手段としての木構造生成機能部11、この木構造生成機能部11で木構造に構築された地図データを管理保持する内部木構造管理機能部12、およびこの内部木構造管理機能部12で木構造に構築されて保持されている地図データをイメージ画像用の地図データに変換するイメージ化手段としてのイメージ化処理機能部13を備えている。
【0019】
さらに、各サーバ装置1a〜1cの内の一つのサーバ装置1aは、端末装置2からのイメージ画像用の地図データの取得要求に対して、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を他のサーバ装置1b,1cに対して分担させる処理分散手段としての分散処理機能部14、各サーバ装置1a〜1cで分散処理して得られるイメージ画像用の地図データを合成する合成手段としてのイメージ合成機能部15を備えている。
【0020】
そして、いま、分散処理機能部14およびイメージ合成機能部15を備えたサーバ装置1aを主サーバ装置、残りの他のサーバ装置1b,1cを副サーバ装置としたとき、例えば、主サーバ装置1aは、地図データの赤色表示に関するイメージ化処理を、残りの一方の副サーバ装置1bは緑色表示に関するイメージ化処理を、他方の副サーバ装置1cは青色表示に関するイメージ化処理をそれぞれ分担して処理するように予め設定されている。また、主サーバ装置1aが合成後のイメージ画像用の地図データを取得要求のあった所定の端末装置2に対してネットワーク3を介して配信するようになっている。
【0021】
次に、上記構成を備えた地図データ配信システムの動作について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図中符号Sは各処理ステップを意味する。
【0022】
いま、ある端末装置2はイメージ画像を表示するWebブラウザのみを備えているものとし、当該端末装置2からイメージ画像表示のための地図データの取得要求があった場合、主サーバ装置1aがこの取得要求を受け取ると(ステップ11)、処理分散機能部14が地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理の一部を副サーバ装置1b,1cに対して依頼する(ステップ12)。
【0023】
主サーバ装置1aは、端末装置2から要求のあった地図表示に必要なベクトル画像用の地図データを地図データベース4から読み出し、木構造生成機能部11で木構造を構築して内部木構造管理機能部12で木構造に構築された地図データを保持する(ステップ131)。続いて、イメージ化処理機能部13で木構造に構築されて保持されている地図データについて自己が分担する赤色表示に関する地図データをイメージ画像用に変換する(ステップ141)。
【0024】
また、主サーバ装置1aから分担依頼を受けた各副サーバ装置1b,1cは、端末装置2から要求のあった地図表示に必要なベクトル画像用の地図データを地図データベース4から読み出し、木構造生成機能部11で木構造を構築して内部木構造管理機能部12で木構造に展開された地図データを保持する(ステップ132,133)。続いて、イメージ化処理機能部13において木構造に構築されて保持されている地図データについて自己が分担する緑色表示や青色表示に関する地図データをイメージ画像用に変換する(ステップ142,143)。そして、このイメージ画像用の地図データを主サーバ装置1aに転送する(ステップ152,153)。
【0025】
主サーバ装置1aのイメージ化合成機能部15は、自己が分担して作成した赤色表示に関する地図データ、および各副サーバ装置1b,1cでそれぞれ分担処理して作成した緑色表示や青色表示に関する地図データを合成する(ステップ16)。そして、主サーバ装置1aは、合成後のイメージ画像用の地図データをネットワーク3を介して地図表示要求のあった端末装置2に配信する(ステップ17)。
【0026】
このように、この実施の形態1では、ある端末装置2からイメージ画像用の地図データの取得要求があった場合、複数のサーバ装置1a〜1cによって地図データを各色情報ごとにベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を分担するので、多数の端末装置2から同時にイメージ画像用の地図データの取得要求があった場合でも従来のように一つのサーバ装置に負荷が集中することがなくなり、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に高速に変換して各端末装置2に配信することができる。
【0027】
なお、この実施の形態1では、主サーバ装置1aには処理分散機能部14やイメージ合成機能部15だけでなく、木構造生成機能部11、内部木構造管理機能部12、イメージ化処理機能部13を設けて地図データの赤色表示に関するイメージ化処理を分担させているが、例えば1台の主サーバ装置と3台の副サーバ装置とを設け、主サーバ装置は処理分散機能部14による分散処理とイメージ合成機能部15による合成処理のみを分担し、3台の副サーバ装置が赤色、青色、緑色の各表示に関するイメージ化処理を分担させることにより、各サーバ装置の負荷を一層軽減させて処理の高速化を図るようにすることも可能である。
【0028】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2における地図データ配信システムの全体を示す構成図であり、実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0029】
この実施の形態2の地図データ配信システムにおいて、主サーバ装置1aには、端末装置2に配信されるイメージ画像用の地図データの4隅にバイナリ化された座標データを埋め込む位置情報埋込手段としての位置情報埋込処理部16が設けられ、また、端末装置2には、ディスプレイなどに表示されたイメージ画像についてマウス等で指定された箇所の座標位置を計算してこの座標位置の情報を主サーバ装置1aに送信する座標情報計算処理部21が設けられている。さらに、各サーバ装置1a〜1cの内部木構造管理機能部12は、端末装置2で指定される座標位置の箇所に対応した図形を木構造の地図データから検索するようになっている。
【0030】
その他の構成は、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0031】
次に、上記構成を備えた地図データ配信システムの動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図中符号Sは各処理ステップを意味する。
【0032】
いま、ある端末装置2はイメージ画像を表示するWebブラウザのみを備えているものとし、当該端末装置2からイメージ画像用の地図データの取得要求があった場合(ステップ21)、主サーバ装置1aがこの取得要求を受け取ると(ステップ31)、処理分散機能部14が地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理の一部を副サーバ装置1b,1cに対して依頼する。そして、各サーバ装置1a〜1cの木構造生成機能部11は、地図データベース4から所要のベクトル画像用の地図データを読み出して木構造を作成する(ステップ32)。続いて、イメージ化処理機能部13が各色情報ごとのイメージ画像用の地図データを作成し(ステップ33)、主サーバ装置1aが各イメージ画像用の地図データを合成する。
【0033】
続いて、主サーバ装置1aの位置情報埋込処理部16は、イメージ画像用の地図データの4隅に座標データA1〜A4(ここでは0,1で表現して位置を特定できるようにしたバイナリデータ)を埋め込む(ステップ34)。そして、座標データを埋め込んだ地図データを端末装置2に配信する(ステップ35)。
【0034】
したがって、端末装置2の画面には、Webブラウザによりイメージ画像用の地図データの4隅に座標データA1〜A4が埋め込まれた状態の地図Fが表示される(ステップ22)。この場合、地図データと座標データは基本的にイメージ画像用のデータであるので、Webブラウザの負荷は小さい。そして、利用者が端末装置2に表示されている地図Fの中の一つの図形Pを、例えばマウス等によってクリックして指定すると(ステップ23)、これに応じて座標情報計算処理部21は、この指定された図形Pがある箇所の座標位置を地図Fの4隅に予め埋め込まれている座標データA1〜A4に基づいて計算し(ステップ24)、この図形Pの座標位置の情報を主サーバ装置1aに送信する(ステップ25)。
【0035】
端末装置2からの座標位置の情報を主サーバ装置1aが受け取ると(ステップ36)、主サーバ装置1aの処理分散機能部14は、この座標位置の情報を副サーバ装置1b,1cにも転送する。
【0036】
したがって、各サーバ装置1a〜1cの内部木構造管理機能部12は、端末装置2で指定された座標位置に対応した図形Pを木構造の地図データから検索し(ステップ37)、次いで、図5に示すように、イメージ化処理機能部13が図形Pに外接する矩形領域(B1〜B4の各頂点で囲まれる領域)についてのイメージ画像用の地図データのみを再度作成する(ステップ38)。その際、元の図形Pの色と異なった色になるように、各サーバ装置1a〜1c間で色情報の配分割合が変更される。そして、図形Pを含む矩形領域(B1〜B4)内の地図データは、主サーバ装置1aのイメージ合成機能部15で合成された後、端末装置2に送信される(ステップ39)。
【0037】
端末装置2のWebブラウザは、受信した矩形領域(B1〜B4)のイメージ画像用の地図データを再描画する(ステップ26)。このため、例えば、画像表示されている地図Fの内、図形Pを含む矩形領域B1〜B4内の部分が色変えされて表示されるようになる。
【0038】
このように、この実施の形態2では、実施の形態1と同様に各サーバ装置1a〜1cの負荷を軽減して地図データの配信処理の高速化を図ることができるだけでなく、別個の通信プロトコルを定義しなくてもイメージ画像用の地図データの一部に座標データを埋め込んで端末装置2側に送ることができるため、端末装置2側において地図F上の図形Pの位置を正確に計算することが可能になる。そして、端末装置2側ではイメージ画像を表示するブラウザだけを備えている場合でもベクトル画像に類似した操作、すなわち配信されたイメージ画像用の地図データで作成された地図F上の標識等の図形Pを指定することでその位置に関連した情報を引き出すことが可能になる。このため、イメージ画像用の地図データの利便性を一層高めることができる。
【0039】
実施の形態3.
図6は本発明の実施の形態3における地図データ配信システムの全体を示す構成図であり、実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【0040】
XML形式のデータは、データの属性とデータの内容とを関連付けて任意に定義することができる。したがって、図形の空間管理機能を付加するためにベクトル画像用の地図データがMD木構造に構築されている場合、このMD木構造の地図データをXML形式で記述することで、MD木構造を構築するための情報を保持したままデータベースに格納することができる。逆に、XML形式のデータをデータベースから読み出したときには、このXML形式のデータはMD木構造を構築するための情報を既に保持しているため、XML化された地図データから簡単にMD木構造を再構築することができ、MD木構造作成の計算が不要である。
【0041】
そこで、この実施の形態3の地図データ配信システムにおいては、各サーバ装置1a〜1cに付属して、ベクトル画像用の地図データを格納する地図データベースだけでなく、XML化された地図データを格納するXML対応データベース5が設けられている。
【0042】
さらに、各サーバ装置1a〜1cには、MD木構造の地図データをXML化してXML対応データベース5に登録するXML変換手段としてのXMLデータ生成機能部17、およびXML対応データベース5に登録されているXML化された地図データをMD木構造に変換する木構造変換手段としてのXMLデータ読出機能部18が設けられている。
【0043】
その他の構成は、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0044】
次に、上記構成を備えた地図データ配信システムにおける動作、特に、ここではXML対応データベース5に対する地図データの書き込み動作、および読み出し動作について、図7および図8に示すフローチャートを参照して説明する。なお、図中符号Sは各処理ステップを意味する。
【0045】
従来、内部木構造管理機能部12でMD木構造として管理保持している地図データをデータベースに蓄積する場合、XML化せずに地図データに含まれる図形の位置座標、形状、色等のデータを個別に取り出してデータベースに登録している。その結果、データベースに登録する際にはMD木構造を構築するための情報が失われている。それゆえ、データベースからこれらの地図データを読み出す際には、これらの地図データからMD木構造を作成するため計算を再度行う必要があり、その処理に時間がかかっていた。
【0046】
これに対して、この実施の形態3では、端末装置2から例えば主サーバ装置1aに対して地図データの登録要求があると、これに応じて、各サーバ装置1a〜1cのXMLデータ生成機能部17は、内部木構造管理機能部12においてMD木構造で管理保持している地図データをXML化した後(ステップ41)、このXML化された地図データをXML対応データベース5に登録する(ステップ42)。この場合、MD木構造の地図データをXML形式で記述することで、MD木構造を構築するための情報を保持したままXML対応データベース5に格納することができる。
【0047】
そして、端末装置2から主サーバ装置1aに地図データの読み出し要求があると、これに応じて、各サーバ装置1a〜1cのXMLデータ読出機能部18は、XML対応データベース5に登録されているXML化された地図データを取得し(ステップ51)、このXML化された地図データをMD木構造の地図データに変換する(ステップ52)。この場合、XML対応データベース5から読み出されるXML化された地図データは、MD木構造を構築するための情報を既に保持しているため、XML化された地図データから簡単にMD木構造を再構築することができて、従来のような木構造作成の計算が不要である。
【0048】
その他の動作については、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【0049】
このように、この実施の形態3では、MD木構造の地図データをXML化してXML対応データベース5に書き込むことができるので、XML対応データベース5から読み出したXML形式の地図データによって、MD木構造を簡単に再構築することができ、地図データの配信処理の短縮化に寄与することができる。
【0050】
なお、XMLデータ生成機能部17において、MD木構造の地図データと共に時間情報もXML化してXML対応データベース5に登録することで、時間指定により地図データを表示することもできる。つまり、MD木構造を使用すると地図データのみならず時間情報も表現することができ、しかも、このMD木構造をXML化することでXML対応データベース5には時間情報を同時に登録することができる。
【0051】
したがって、図9に示すように、端末装置2において時間指定した地図データの表示要求があると、これに応じて各サーバ装置1a〜1cのXMLデータ読出機能部18は、XML対応データベース5にXML化して登録されている地図データを読み出し(ステップ61)、時間指定の有無を判断する(ステップ62)。このとき、地図データに時間指定がある場合には、その指定した時間にMD木構造を再構成し(ステップ63)、XMLデータをMD木構造の地図データに変換する(ステップ64)。
【0052】
実施の形態4.
この実施の形態4では、上記の実施の形態1〜3において各サーバ装置1a〜1cに設けられている木構造生成機能部11において、地図データベース4に記憶されているベクトル画像用の地図データをMD木構造として構築する際の処理の高速化を図るようにしたものである。ここでは、木構造生成機能部11における従来の処理内容と本発明の処理内容とを比較しつつ説明する。
【0053】
木構造生成機能部11が地図データベース4に記憶されているベクトル画像用の地図データをMD木構造に構築する場合、従来は、図10(a)に示すように、1図形単位でMD木構造のリーフの拡張やノード構造の整合性をチェックしているために、MD木構造を構築する際に時間や負荷がかかっている。
【0054】
すなわち、ベクトル画像用の地図データをMD木構造に変換する際、従来は、図11(a)のフローチャートに示すように、処理対象となる図形全体の内から一つの図形を選出し(ステップ71)、ループカウンタのカウント数が処理対象となっている総図形数を越えるか否かを判断する(ステップ72)。このとき、総図形数を越えているときには処理対象となる全図形についてのMD木構造への変換処理が完了しているので処理を終了する一方、総図形数を越えない場合には、新規の一つの図形をMD木構造に投入し(ステップ73)、MD木構造のリーフを検索し(ステップ74)、管理領域(L1,L2など)内に格納可能なリーフか否かを判断する(ステップ75)。
【0055】
このとき、管理領域内に格納可能でないリーフの場合には、さらに他のMD木構造のリーフを検索する(ステップ76)。一方、管理領域内に格納可能なリーフの場合には、既存のリーフに当該図形が格納可能か否かを判断し(ステップ76)、図形が既存リーフに格納できるときにはリーフを図形に投入する(ステップ78)。既存のリーフに図形を格納できないときには新たにリーフを生成した後(ステップ77)、この新たに生成したリーフに図形に投入する(ステップ78)。
【0056】
そして、リーフノードの親ノードの生成が必要であるか否かを判断し(ステップ79)、リーフノードの親ノードの生成が必要ならば親ノードを生成する(ステップ80)。また、親ノードの生成が必要なければ、ループ後処理を行った後(ステップ81)、ステップ71に戻って新たに処理対象となる図形を選出する。
【0057】
このように、木構造生成機能部11は、従来、1図形単位でMD木構造の整合性を確保するために複雑な処理を実行しているため、MD木構造を構築する際に時間や負荷がかかっている。
【0058】
通常、地図データベース4に登録されているベクトル画像用の地図データをMD木構造に変換する場合、1メッシュ単位で読み出すことが多く、また、このメッシュ単位でMD木構造を管理することが多い。また、MD木構造の空間管理のための管理領域は、矩形領域が互いに直交するX方向、Y方向に適切な図形分布となるように分割される。
【0059】
この実施の形態4では、この点に着目して、図10(b)に示すように、各図形をメッシュ単位で一括してプールし、このプールした図形の集合をMD木構造を構築する際に予測される管理領域の分割処理を疑似的に行って疑似的なMD木構造を構築する。つまり、矩形の管理領域のX方向、Y方向の分割位置を偏差値を利用して推測し、この分割をリーフが分割される目安となる数(ここではリーフの最大格納数の2/3)まで順次繰り返すことで疑似的な木構造を構築する。このようにすれば、従来は1図形ごとにMD木構造の整合性をチェックしてノードやリーフの拡張や縮退を行っていたのに対して、この実施の形態4では単純なメッシュ単位の領域分割であるため、図形集合の全体をチェックする処理に変更されてMD木構造の構築処理が高速化される。
【0060】
すなわち、木構造生成機能部11がベクトル画像用の地図データを木構造に構築する際、この実施の形態4では、図11(b)のフローチャートに示すように、処理対象となる図形全体について、まず、矩形の管理領域がX方向に適切な図形分布となるように先ずX方向に分割する(ステップ91)。なお、MD木構造の分割数をここでは3に設定しているので、管理領域をX方向に3分割することを前提に管理領域をX方向に1:2で分割(偏差値で66の位置で分割)する。
【0061】
そして、次に、図形の数は1リーフに格納できる数を越えているか否かを判断する(ステップ92)。1リーフに格納できる数を越えているときには、次にY方向に管理領域を分割する(ステップ93)。この場合のY方向の分割位置も、X方向と同様に、管理領域をY方向に1:2で分割(偏差値で66の位置で分割)する。そして、図形の数は1リーフに格納できる数を越えているか否かを判断する(ステップ94)。1リーフに格納できる数を越えているときには、ステップ91に戻って再度、X方向の分割を実行する。
【0062】
こうして、X方向、Y方向について図形の数が1リーフに格納できる数を越えたときには、分割順に連番を振り、木構造の1階層から順にノードとして変換してノード構造を生成する(ステップ95)。続いて、最下層のノードはリーフとして分割数分のリーフを生成する(ステップ96)。そして、各リーフに図形を投入する(ステップ97)。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、上記の実施の形態1〜4に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用することができる。また、各実施の形態1〜4の任意の機能を組み合わせてシステムを構築することが可能である。また、ここでは地図データ配信システムについて説明したが、これに限定されず、同様な機能が要求されるシステム、例えばCADシステムや図形作成システムなどへの応用も可能である。また、各実施の形態1〜4では、3台のサーバ装置1a〜1cを設けているが、この台数に限定されるものではない。さらに、端末装置2におけるイメージ画像表示のソフトウエアとしてWebブラウザを用いているが、これに限らず同様の機能をもつ専用のソフトウエアで実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1における地図データ配信システムの全体を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における地図データ配信システムの動作説明に供するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2における地図データ配信システムの全体を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態2における地図データ配信システムの動作説明に供するフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2における地図データ配信システムにおいて、地図データの一部を再度作成する場合の動作説明図である。
【図6】本発明の実施の形態3における地図データ配信システムの全体を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態3において、MD木構造の地図データをXML化してXML対応データベースに書き込む場合の動作説明に供するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3において、XML化された地図データをXML対応データベースから読み出してMD木構造を構築する場合の動作説明に供するフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態3において、XML化された地図データに時間情報が付加されてXML対応データベースに登録されている場合において、このXMLデータベースからXML化された地図データを読み出して指定時間にMD木構造を構築する場合の動作説明に供するフローチャートである。
【図10】木構造生成機能部において地図データベースに登録されているベクトル画像用の地図データをMD木構造に構築する場合の従来の処理内容と本発明の処理内容とを比較して示す説明図である。
【図11】木構造生成機能部において地図データベースに登録されているベクトル画像用の地図データをMD木構造に構築する場合の従来の処理内容と本発明の処理内容とを比較して示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1a〜1c サーバ装置、2 端末装置、3 ネットワーク、4 地図データベース、5 XML対応データベース、11 木構造生成機能部(木構造構築手段)、
12 内部木構造管理機能部、13 イメージ化処理機能部(イメージ化手段)、
14 分散処理機能部(処理分散手段)、15 イメージ合成機能部(合成手段)、
16 位置情報埋込処理部(位置情埋込手段)、
17 XMLデータ生成機能部(XML変換手段)、
18 XMLデータ読出機能部(木構造変換手段)、21 座標情報計算処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と端末装置とがネットワークを介して接続され、上記サーバ装置は、ベクトル画像用の地図データが記憶された地図データベースと、この地図データベースに記憶されている地図データを木構造に構築する木構造構築手段と、この木構造に構築された地図データをイメージ画像用の地図データに変換するイメージ化手段とを備え、このイメージ化手段でイメージ画像用に変換された地図データを上記端末装置に配信する地図データ配信システムであって、
上記サーバ装置は複数設けられ、その内の少なくとも一つのサーバ装置は、上記端末装置からの地図データの取得要求に対して、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を他のサーバ装置に対して分担させる処理分散手段と、各サーバ装置で分散処理して得られるイメージ画像用の地図データを合成する合成手段と、を備えることを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項2】
上記サーバ装置は、上記端末装置に配信されるイメージ画像用の地図データに座標データを埋め込む位置情報埋込手段と、上記端末装置で指定される座標位置に対応した図形を木構造の地図データから検索する手段とを備える一方、上記端末装置には表示されたイメージ画像について指定された箇所の座標位置を計算してこの座標位置の情報を上記サーバ装置に送信する手段を備えることを特徴とする請求項1記載の地図データ配信システム。
【請求項3】
上記サーバ装置は、XML化された地図データを記憶するXML対応データベースを備えるとともに、木構造の地図データをXML化して上記XML対応データベースに登録するXML変換手段と、上記XML対応データベースに登録されているXML化された地図データを木構造に変換する木構造変換手段と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地図データ配信システム。
【請求項4】
上記XMLデータ変換手段は、多次元分割木構造の地図データと共に時間情報もXML化してXML対応データベースに登録するものであることを特徴とする請求項3記載の地図データ配信システム。
【請求項5】
上記地図データベースに記憶されている地図データを木構造に構築する上記木構造構築手段は、1メッシュ単位で図形をプールし、このプールされた図形を多次元分割木構造が行うと予測される管理領域を一括して分割することで疑似的な多次元分割木構造を構築するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の地図データ配信システム。
【請求項1】
サーバ装置と端末装置とがネットワークを介して接続され、上記サーバ装置は、ベクトル画像用の地図データが記憶された地図データベースと、この地図データベースに記憶されている地図データを木構造に構築する木構造構築手段と、この木構造に構築された地図データをイメージ画像用の地図データに変換するイメージ化手段とを備え、このイメージ化手段でイメージ画像用に変換された地図データを上記端末装置に配信する地図データ配信システムであって、
上記サーバ装置は複数設けられ、その内の少なくとも一つのサーバ装置は、上記端末装置からの地図データの取得要求に対して、地図データをベクトル画像用からイメージ画像用に変換する処理を他のサーバ装置に対して分担させる処理分散手段と、各サーバ装置で分散処理して得られるイメージ画像用の地図データを合成する合成手段と、を備えることを特徴とする地図データ配信システム。
【請求項2】
上記サーバ装置は、上記端末装置に配信されるイメージ画像用の地図データに座標データを埋め込む位置情報埋込手段と、上記端末装置で指定される座標位置に対応した図形を木構造の地図データから検索する手段とを備える一方、上記端末装置には表示されたイメージ画像について指定された箇所の座標位置を計算してこの座標位置の情報を上記サーバ装置に送信する手段を備えることを特徴とする請求項1記載の地図データ配信システム。
【請求項3】
上記サーバ装置は、XML化された地図データを記憶するXML対応データベースを備えるとともに、木構造の地図データをXML化して上記XML対応データベースに登録するXML変換手段と、上記XML対応データベースに登録されているXML化された地図データを木構造に変換する木構造変換手段と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地図データ配信システム。
【請求項4】
上記XMLデータ変換手段は、多次元分割木構造の地図データと共に時間情報もXML化してXML対応データベースに登録するものであることを特徴とする請求項3記載の地図データ配信システム。
【請求項5】
上記地図データベースに記憶されている地図データを木構造に構築する上記木構造構築手段は、1メッシュ単位で図形をプールし、このプールされた図形を多次元分割木構造が行うと予測される管理領域を一括して分割することで疑似的な多次元分割木構造を構築するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の地図データ配信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−10765(P2006−10765A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183855(P2004−183855)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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