説明

地図・写真表示装置およびプログラム

【課題】地図に対応付けられている写真を表示させる際のユーザの操作負担を軽減させる。
【解決手段】表示部に表示している写真画像データの表示態様(表示倍率、方位角、仰角等)が変更された場合、この表示態様を表わす情報を、表示状態情報として記憶部に記憶させておき、他の写真画像データが選択された場合、記憶部から表示状態情報を読み出し、この表示態様情報に従って調整された写真画像データに基づく写真を表示部に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図の各位置に対応する写真の画像データを表示する地図・写真表示装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地図の各位置で撮影された、風景や建造物あるいは設備等の写真を、地図の各位置にそれぞれ対応付けて表示可能なものがある。
例えば、GPS( Global Positioning System )等が搭載されている携帯端末によって撮影された写真を、GPSによって検出された撮影地点を表わす位置情報とともに携帯端末からサーバに送信する。このサーバは、受信した位置情報に基づき、写真の画像データを地図データと対応づけて記憶部に記憶させ、表示部に表示されている地図のうちある位置が操作部を介して指定されると、当該指定された位置の位置情報と対応付けられている写真の画像データを表示させる(例えば、特許文献1参照)。
また、このような技術を利用して、例えば、地図において右隣に移動することを表わす操作情報が操作部から入力された場合、現在表示している写真の方位角(地面と水平方向における向きを表わし、ある方向と基準となる方向との間の角の角度)を変更することなく、現在表示している写真の画像データの右隣の位置を表わす位置情報と対応付けられている写真の画像データを表示するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−157897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば現在表示している写真が拡大表示されている場合、右隣に移動すると、この表示倍率が元の倍率に戻ってしまい、他の写真が表示されるたびに、写真の画像データの拡大率や縮小率をユーザが調整しなければならず、ユーザの操作が煩雑となる問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、地図に対応付けられている写真を表示させる際のユーザの操作負担を軽減させる地図・写真表示装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、ユーザからの操作を受け付け、操作に応じた操作情報を出力する操作部と、表示画像データに基づく画像を表示する表示部と、地図における位置を表わす位置情報に対応付けて、当該位置において撮影された写真を表わす写真画像データを記憶するとともに、前記表示部に表示されている当該写真画像データの表示態様を表わす表示状態情報を記憶する記憶部と、前記操作部から前記写真画像データを変更することを表わす操作情報が入力されると、前記記憶部から前記表示状態情報を読み出し、この表示状態情報に従って、前記操作情報に応じて決定される前記写真画像データを前記表示部に表示させる表示画像データを生成し、表示部に出力する画像表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明は、上記の発明において、前記記憶部が、予め決められた表示態様情報を含む基準表示設定情報を記憶し、前記画像表示制御部が、前記操作部を介して、前記写真画像データの表示態様を前記基準表示設定情報に変更することを表わす操作情報が入力された場合、前記記憶部から基準表示設定情報を読み出し、この基準表示設定情報に従って前記写真画像データを表示させる表示画像データを生成することを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記の発明において、前記記憶部が、地図における位置を表わす位置情報に対応付けて、異なる時間に撮影された複数の写真を表わす写真画像データを記憶し、前記画像表示制御部が、前記操作部を介して、前記表示部に表示されている写真画像データと異なる時間に撮影された他の写真画像データを表示することを表わす操作情報が入力された場合、前記表示部に表示されている写真画像データと対応付けられている位置情報、および、操作情報で表わされる撮影時間情報に基づき、この位置情報および撮影時間情報と対応付けられている写真画像データを検索し、検索によって得られた前記写真画像データを前記表示部に表示させる表示画像データを生成することを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決するために、本発明は、コンピュータに、ユーザからの操作を受け付け、操作に応じた操作情報を出力する操作機能、表示画像データに基づく画像を表示する表示機能、地図における位置を表わす位置情報に対応付けて、当該位置において撮影された写真を表わす写真画像データを記憶するとともに、前記表示機能に表示されている当該写真画像データの表示態様を表わす表示状態情報を記憶する記憶機能、前記操作機能から前記写真画像データを変更することを表わす操作情報が入力されると、前記記憶機能から前記表示状態情報を読み出し、この表示状態情報に従って、前記操作情報に応じて決定される前記写真画像データを前記表示機能に表示させる表示画像データを生成し、表示機能に出力する画像表示制御機能、を実現させるためのプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、地図に対応付けられている写真を表示させる際のユーザの操作負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る地図・写真表示装置の一例について示す概略図である。
【図2】本発明に係る表示部に表示される画像の一例を示す概略図である。
【図3】本発明に係る地図データの一例を説明するための参考図である。
【図4】本発明に係る記憶部に記憶される画像検索情報の一例を説明するための参考図である。
【図5】本発明に係る記憶部に記憶される他画像連結情報の一例を説明するための参考図である。
【図6】本発明に係る記憶部に記憶される表示状態情報の一例を説明するための参考図である。
【図7】本発明に係る地図・写真表示装置の動作フローの一例について説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明に係る表示部に表示される画像の他の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る地図・写真表示装置1の一例について示す概略図である。
図1に示す通り、地図・写真表示装置1は、例えばパーソナルコンピューター等の計算処理装置であって、操作部11と、表示部12と、記憶部13と、画像表示制御部14とを備える。この地図・写真表示装置1は、記憶部13に記憶されている地図データと、この地図データの各位置に対応付けられている写真画像データとを利用して、例えば、地図データに基づき表示部12に表示された地図のある位置が操作部11を介して指定された場合、指定された位置で撮影された写真画像データを表示部12に表示する。
本実施形態において、この写真画像データは、360°のパノラマ写真に基づく画像データであって、地面に対して水平な方向のX軸とY軸(互いに直交する)、および地面に対して垂直な方向のZ軸を用いた3次元画像を例に、以下説明する。
また、X−Y平面と平行な水平方向における向きを方位角で、このX−Y平面と直交するZ軸を含む垂直方向における向きを仰角で、それぞれ表わす。
【0013】
操作部11は、例えばマウスやキーボード等であって、ユーザからの操作を受け付け、操作に応じた操作情報を出力する。
【0014】
表示部12は、例えば液晶表示装置等であって、画像表示制御部14によって生成される表示画像データに基づき、例えば、図2に示すような画像を表示する。図2は、表示部12に表示される画像の一例を示す概略図である。なお、本実施形態において、図2に示すような画像を表示する表示モードを地図・写真表示モードといい、この地図・写真表示モードは、記憶部13に記憶されている実行プログラムが起動されることにより実行される。
【0015】
図2に示す通り、表示画像データに基づき表示部12に表示される画像は、地図表示領域210と、ポイント情報表示領域220と、写真表示領域230とを含む。
地図表示領域210には、記憶部13に記憶されている地図データに基づく地図が表示される。この地図表示領域210には、地図における位置を指定するための地図ポインタMPが表示されている。
この地図ポインタMPは、例えば、地図上に表示されているポインタであって、操作部11のマウスによって地図上のある位置に合わせられることで、ユーザによって指定された位置を表わすとともに、当該位置における方位角を表わす。図2に示す地図ポインタMPは、図示の通り、指定された位置として、円形のポインタで示される位置を表わすとともに、扇形の図形が示されている位置が当該位置における方位角を表わしており画像において左向きの方向を表わしている。
【0016】
ポイント情報表示領域220は、記憶部13に記憶されている、各写真画像データの属性情報等を含むポイント情報を表示する。このポイント情報表示領域220は、表示されているポイント情報だけでなく、ポイント情報に含まれる各項目(例えば、「撮影日:2009/05/28」や、「金物番号:73」等)をポインタで指定することによって、当該項目と対応付けられている情報を選択可能に表示することができる。
【0017】
写真表示領域230には、記憶部13に記憶されている写真画像データが表示される。この写真表示領域230に表示されている写真画像は、操作部11を介して指定された、仰角、方位角、および表示倍率に従って変更される。
例えば、図2に示すように画面の奥にのびる通路の写真が写真表示領域230に表示されている場合、この写真表示領域230の上端部あるいは下端部にポインタをあわせてマウスのボタンを押下した状態で移動させることで、マウスが移動した方向に従って仰角が変更される。また、写真表示領域230の右端部あるいは左端部にポインタをあわせてマウスのボタンを押下した状態で移動させることで、マウスが移動した方向に従って方位角が変更される。また、写真表示領域230の下方に表示されている「+」あるいは「−」の表示倍率変更ボタン231にポインタを合わせてクリックすることで、倍率が変更される。
【0018】
また、写真表示領域230には、上下左右の4方向の矢印で示す他画像選択ボタン232と、この他画像選択ボタンの中央に配置されている丸印で表わされる基準方向選択ボタン233とが表示されている。
この他画像選択ボタン232は、記憶部13に記憶されている他画像関連情報320に基づき、写真表示領域230に表示されている写真画像データの地図上の位置に対して、対応付けられている他画像情報の写真画像データの地図上の位置を方位角に対応する向きで表わす。例えば、図2に示すように、地図ポインタMPが地図方位角(以下に説明するが、地図上における向きを方位角で表わすもの)270°の方向を向いている場合、上向きの他画像選択ボタン232は、地図方位角270°の方向にある他画像情報の写真画像データを指定するための指示キーを、下向きの他画像選択ボタン232は、地図方位角90°の方向にある他画像情報の写真画像データを指定するための指示キーを表わしている。
また、基準方向選択ボタン233が指定されることにより、画像表示制御部14は、指定された時よりも以前に写真表示領域230に表示されていた写真画像の表示態様(例えば、表示倍率、方位角、仰角等)を記憶部13の記憶領域(以下に説明する表示状態情報)から消去して、記憶部13において予め決められている基準表示設定情報340に従って、指定されている写真画像データの画像を表示部12に表示させる。この場合、画像表示制御部14は、基準表示設定情報340から読み出した表意態様を表わす情報に従って、指定された写真画像データを表示するものであってもよく、表示状態情報350に読み出した基準表示設定情報340の値を書き込み、表示態様情報350に書き込まれている基準表示設定情報340の値に従って、指定された写真画像データを表示するものであってもよい。
【0019】
記憶部13は、地図を示す地図データと、この地図の各位置において周囲が撮影された写真の写真画像データと、この地図における位置を表わす位置情報等と写真画像データとを対応付ける画像検索情報310と、他画像連結情報320と、を記憶する。また、この記憶部13は、写真画像データが表示部12に表示されている場合、この写真画像データの表示態様を表わす表示状態情報350を記憶する。
この写真画像データは、例えば画角180°以上のレンズが取り付けられたカメラによって撮影された前側の写真と、後側の写真とをそれぞれ連結して生成された画像データであって、撮影位置から見て360°の範囲を含む画像データである。
【0020】
地図データは、図3に示す通り、X軸(mapX)とY軸(mapY)からなる座標で、撮影現場の各位置を表わす地図を示す情報である。図3は、地図データの一例を説明するための参考図である。なお、この撮影現場は、例えば、実線で示される通信用地下トンネルである。
図3に示す通り、写真画像データと対応付けられている撮影現場の各位置を示すポイントP1〜16に対して、この地図データの座標(mapX,mapY)が与えられている。
また、地図データには、地図の各ポイントにおける方向を表わす地図方位角が0〜360°の範囲で予め決められている。
【0021】
写真画像データは、地図データのポイントP1〜P16に対応する位置で撮影された写真の画像データであって、各ポイントP1〜P16にそれぞれ対応する写真画像データFile1〜16を含む。
【0022】
画像検索情報310は、図4に示す通り、写真画像データと、地図用座標(位置情報)と、表示用座標と、基準方位角と、ポイント情報とを、それぞれ対応づけた情報である。
写真画像データFile1〜16は、各写真画像データが撮影された位置を示す地図用座標で表わされるポイントP1〜P16に、それぞれ対応付けられている。
地図用座標は、各ポイントP1〜P16の座標を表わす。
表示用座標は、表示部12に表示させるための座標であって、各ポイントP1〜P16に対応する座標を表わす。
【0023】
基準方位角は、各写真画像データが表示部12に表示される際、基準となる方向として予め決められている方向を表わす。この基準方位角は、各ポイントP1〜P16から見える撮影現場の方向を表わし、地図方位角0〜360°で表わされる。例えば、写真画像データFile5は、地図方位角0°の方向が基準方位角として決められており、基準方位角に従って写真画像データFile5が表示部12に表示された場合、ポイントP5から見て地図方位角0°の方向に広がる撮影現場を表わす写真が表示される。
【0024】
ポイント情報は、各写真画像データが撮影された位置に関する属性情報や、各写真画像データの属性情報を含む。
この写真画像データが撮影された位置に関する属性情報は、例えば、当該位置と特定位置(例えば、局境)との距離を表わす局境からの距離と、当該位置を含む他の画像データ等を表わす他システム設備の項目を含む。この他システム設備の項目としては、撮影された位置を含む平面図や、断面図、特殊部を表わす構造図、あるいは、撮影された位置において調査された点検データ調査表等を含む。
また、各写真画像データの属性情報は、例えば、この写真画像データにおいて撮影された位置の最寄りの金物を識別する情報である金物番号と、この写真画像データが撮影された撮影日とを含む。この金物とは、建物の躯体に施工された通信用地下トンネルにおいて設置されるケーブル等を支持する支持部材である。また、この撮影日は、複数の撮影日が含まれ、各撮影日に撮影された写真画像データがさらに対応付けられるものであってもよい。
【0025】
他画像連結情報320は、図5に示す通り、互いに対応付けられている、各写真画像データを表わすポイント画像データと、このポイント画像データが表わす写真画像データの撮影された位置の近く(例えば隣接する)にある他の写真画像データを表わす連結画像データと、地図データの座標においてポイント画像データが表わす写真画像データから連結画像データが表わす写真画像データの位置する方向を地図方位角で表わす連結画像位置方向と、を含む。
【0026】
また、この記憶部13は、図6に示す通り、基準画像情報330と、基準表示設定情報340と、基準画像情報350とをさらに記憶する。
基準画像情報330は、地図・写真表示モードが起動された際に、最初に表示される写真画像データを表わすファイル名を記憶する。
基準表示設定情報340は、基準方向選択ボタン233が指定された際に参照される情報であって、表示倍率、方位角、および仰角等の表示態様を表わす情報を含む。
表示状態情報350は、表示部12に表示されている写真画像データの表示倍率、方位角、および仰角等の表示態様を表わす情報であって、変更された表示倍率、方位角、および仰角等の値が画像表示制御部14によって更新された最も新しい情報を記憶する。
【0027】
図1に戻って、画像表示制御部14は、操作部11から写真画像データを変更することを表わす操作情報が入力されると、記憶部13から表示状態情報350を読み出し、この表示状態情報350に従って、操作情報に応じて決定される写真画像データを表示部12に表示させる。
また、画像表示制御部14は、操作部11を介して表示倍率、方位角、および仰角等の表示態様を表わす情報を変更することを表わす操作情報が入力された場合、変更された表示倍率、方位角、および仰角等を表示状態情報350に記憶し、表示状態情報350に含まれる情報を更新する。
さらに、画像表示制御部14は、基準方向選択ボタン233が指定されたことを表わす操作情報が操作部11から入力された場合、記憶部13の表示状態情報350に、基準表示設定情報340から読み出した表示倍率、方位角、および仰角等の表示態様を表わす情報を記憶させる。
【0028】
具体的に説明すると、画像表示制御部14は、画像検索部141と、画像生成部142とを含む。
画像検索部141は、操作部11を介して地図ポインタMPの位置が変更され、あるいは、他画像選択ボタン232が指定されることにより、操作部11から写真画像データを変更することを表わす操作情報が入力されると、当該操作情報に基づき、記憶部13の画像検索情報310を参照して、指定された写真画像データを検索するとともに、記憶部13の基準表示設定情報340から読み出した表示倍率、方位角(画像検索情報310において、指定された写真画像データと対応付けられている基準方位角)、および仰角等の表示態様を表わす情報を表示状態情報350に記憶させる。また、画像検索部141は、指定された写真画像データを検索によって得ると、この得られた写真画像データを画像生成部142に出力する。
【0029】
画像生成部142は、画像検索部141から入力される写真画像データを、表示状態情報350に従って調整し、この調整された写真画像データを含む表示画像データを生成して、表示部12に出力する。
【0030】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る地図・写真表示装置1の動作フローの一例について説明する。図7は、本実施形態に係る地図・写真表示装置1の動作フローの一例を説明するためのフローチャートである。
図7に示す通り、操作部11から、地図・写真表示モードを起動する操作情報が画像表示制御部14に入力されると、画像表示制御部14は、記憶部13から地図・写真表示モードのプログラムを読み出して地図・写真表示モードを起動する(ステップST1)。そして、画像検索部141は、記憶部13から基準画像情報330を読み出し、この基準画像情報330に示される写真画像データFile1を記憶部13から読み出すとともに、基準表示設定情報340から読み出した表示倍率“1倍”、方位角“基準方位角”、および仰角“0°”等の表示態様を表わす情報を表示状態情報350に記憶させる(ステップST2)。
また、画像検索部141は、画像検索情報310を参照して、この写真画像データFile1と対応付けられている情報(地図用座標(7,1.5)、表示用座標(100,98)、基準方位角0°、ポイント情報)を検索によって得るとともに、他画像連結情報320を参照して、この写真画像データFile1と対応付けられている情報(連結画像データFile2、連結画像位置方向0°)を検索によって得る。この画像検索部141は、写真画像データFile1に、検索によって得られた情報(地図用座標(7,1.5)、表示用座標(100,98)、基準方位角0°、ポイント情報、連結画像データFile2、連結画像位置方向0°)を対応付けて、画像生成部142に出力する。
【0031】
そして、画像生成部142は、得られた基準方位角0°に従って、写真画像データFile1に基づき基準方位角0°の方向に広がる写真を写真表示領域230に表示させるとともに、表示用座標(100,98)およびポイント情報をポイント情報領域220に表示させる表示画像データを生成する。また、画像生成部142は、この表示画像データを生成する際、記憶部13から地図データを読み出すとともに、地図用座標(7,1.5)に基づき、地図データに対応する位置に基準方位角0°を示す方向で地図ポインタMPを表示させる地図表示領域210を生成する。さらに、画像生成部142は、この表示画像データを生成する際、他画像連結情報320を検索して得られた情報(連結画像データFile2、連結画像位置方向0°)に基づき、基準方位角0°を上向きの矢印方向とした場合における連結画像位置方向0°の方向を表わす他画像選択ボタン232を、表示させる写真表示領域230を生成する。ここでは、基準方位角0°と連結画像位置方向0°が一致しているため、上向きの矢印方向を表わす他画像選択ボタン232が表示される。また、画像生成部142は、この表示画像データを生成する際、表示倍率変更ボタン231および基準方向選択ボタン233を表示させる写真表示領域230を生成する。
そして、表示部12は、画像生成部142によって生成された表示画像データが表示部12に出力されると、表示画像データに基づく画像が表示する(ステップST3)。
【0032】
ここで、画像表示制御部14は、操作部11を介して操作情報が入力されたか否かを判断し(ステップST4)、操作情報が入力された場合(ステップST4−YES)、この操作情報が、表示部12に表示されている写真画像データの表示態様を変更することを表わす操作か否かを判断する(ステップST5)。
例えば、操作部11を介して、表示倍率、あるいは方位角、もしくは仰角を変更することを表わす操作情報であった場合、画像表示制御部14は、表示部12に表示されている写真画像データの表示態様を変更することを表わす操作情報が入力されたことを検出し(ステップST5−YES)、変更された表示倍率、あるいは方位角、もしくは仰角を記憶部13の表示状態情報350に記憶させる。また、画像表示制御部14の画像生成部142は、表示状態情報350から読み出したこれら変更された表示倍率、あるいは方位角、もしくは仰角に従って、表示部12に表示されている写真画像データを調整し、この調整された写真画像データの画像を写真表示領域230に表示する表示画像データを生成して、表示部12に出力する。そして、表示部12は、この表示画像データに基づく画像を表示する(ステップST6)。
【0033】
一方、ステップST4において、入力された操作情報が、表示部12に表示されている写真画像データの表示態様を変更することを表わす操作でない場合(ステップST5−NO)、画像表示制御部14は、例えば、他画像選択ボタン232が指定されたことを表わす操作情報であるか否かを判断する(ステップST7)。言い換えると、他画像選択ボタン232によって表わされる方位角の方向において、他画像関連情報320によって対応付けられている写真画像データが指定されたか否か判断する。
他画像選択ボタン232が指定されたことを表わす操作情報が検出された場合(ステップST7−YES)、画像検索部141は、ステップST7の時点において表示部12に表示されていた写真画像データ(例えば、File11)に基づき、画像検索情報310を参照して、写真画像データFile11と対応付けられている基準方位角270°を読み出す。そして、画像検索部141は、この基準方位角270°を上向きの矢印方向とした場合、他画像連結情報320を参照して、指定された他画像選択ボタン232によって表わされる方位角の方向に対応する連結画像データを読み出し、画像生成部142に出力する。
また、画像検索部141は、基準表示設定情報340から読み出した情報を表示状態情報350に書き込む。
【0034】
例えば、図2に示すように、地図ポインタMPが基準方位角270°の方向を向いている場合、写真表示領域230には、図示の通り、上向きの他画像選択ボタン232と、下向きの他画像選択ボタン232が表示されている。ここで、上向きの他画像選択ボタン232が操作部11を介して指定されると、操作部11は、上向きの他画像選択ボタン232が指定されたことを表わす情報を画像検索部141に出力する。これにより、画像検索部141は、基準方位角270°と同じ値を有する連結画像位置方向と他画像連結情報320で対応付けられている連結画像データを検索する。つまり、画像検索部141は、他画像連結情報320において、ポイント画像データに示される写真画像データFile11と対応付けられている情報(連結画像データ“File10”と連結画像位置方向“90°”、および、連結画像データ“File12”と連結画像位置方向“270°”)のうち、地図方位角270°と同じ方向を表わす連結画像位置情報270°と対応付けられている写真画像データFile12を、表示する写真画像データとして得る。
【0035】
一方、ステップST7において、入力された操作情報が、他画像選択ボタン232が指定されたことを表わす操作情報でないと判断された場合(ステップST7−NO)、画像検索部141は、入力された操作情報が地図ポインタMPの位置の変更を表わす操作情報であるか否かを判断する(ステップST9)。
入力された操作情報が地図ポインタMPの位置の変更を表わす操作情報であることが検出された場合(ステップST9−YES)、画像検索部141は、地図ポインタMPによって指定されている位置を表わす位置情報を検出するとともに、この位置情報に基づき、画像検索情報310を参照して、対応付けられている写真画像データ、表示用座標、基準方位角、およびポイント情報を検索によって得て、この写真画像データを表示する写真画像データとして記憶部13から読み出す(ステップST10)。また、画像検索部141は、検索によって得られた写真画像データに基づき基準表示設定情報340から読み出した表示倍率、方位角、および仰角等の表示態様を表わす情報を表示状態情報350に記憶させるとともに、画像連結情報320を参照して、この写真画像データと対応付けられている情報(連結画像データ、連結画像位置方向)を検索によって得る。
【0036】
そして、画像生成部142は、表示状態情報350に記憶されている表示倍率、方位角、および仰角等の表示態様を表わす情報を読み出し、これら読み出した情報に従って、画像検索部141から入力される写真画像データを調整する。次いで、画像生成部142は、この調整された写真画像データを含む表示画像データを生成し、表示部12に出力する(ステップST11)。
【0037】
そして、操作部11を介して地図・写真表示モードを終了することを表わす操作情報が入力された場合、画像表示制御部14は、地図・写真表示モードを終了させる(ステップST12−YES)。
【0038】
上述の通り、表示部12に表示している写真画像データの表示態様(表示倍率、方位角、仰角等)が変更された場合、この表示態様を表わす情報を、表示状態情報350として記憶部13に記憶させておき、他の写真画像データが指定された場合、記憶部13から表示状態情報350を読み出し、この表示態様情報350に従って調整された写真画像データに基づく写真を表示部12に表示させるようにした。これにより、写真画像データが変更される前後において、表示倍率、方位角、仰角等の表示態様を変更する調整値を再度指定することなく、既に指定されている調整値をそのまま利用することができる。よって、ユーザの操作負担が軽減され、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0039】
また、基準方向選択ボタン233が指定されたことを表わす操作情報が操作部11から入力された場合、画像表示制御部14は、指定された時よりも以前に写真表示領域230に表示されていた写真画像の表示態様(例えば、表示倍率、方位角、仰角等)を表わす情報でなく、記憶部13において予め決められている基準表示設定情報に従って、指定されている写真画像データの画像を表示部12に表示させるようにした。これにより、表示倍率、方位角、仰角等を複雑に変更した場合であっても、迅速に予め決められている状態となるため、地図上の向きや写真の上下等が分からなくなった場合等の助けとなり、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0040】
さらに、情報検索情報310は、写真画像データおよび地図用座標と対応付けられている撮影日を含み、この撮影日には、複数の撮影日が含まれ、各撮影日に撮影された写真画像データがこの撮影日と対応付けられている。例えば、図8に示す通り、同じ撮影位置において撮影された複数の撮影日(2009/05/28、2008/10/24、2008/09/14、2004/06/24・・・)が情報検索情報310の撮影日に含まれ、これらの撮影日に撮影された写真画像データが対応付けられている。
また、表示部12に表示されるポイント情報表示領域220は、表示されているポイント情報の各項目をポインタで指定することによって、当該項目と対応付けられている情報を選択可能に表示することができる。
そして、ポイント情報表示領域220の撮影日にポインタを指定することによって、情報検索情報310の撮影日に含まれる複数の撮影日が選択可能に表示される。この撮影日に中から、“2009/05/28”が指定された場合、図8に示すように、この撮影日に撮影された写真として対応付けられている写真画像データに基づく画像を表示する。また、この撮影日に中から、“2008/10/24”と、“2008/09/14”が指定された場合、図8に示すように、この撮影日に撮影された写真が2枚並べられて、表示される。
これにより、同じ地図上の位置において撮影された過去の写真も表示することができる。また、複数の写真を並べて表示することにより、その違いをより明確に見つけやすくなる。
【0041】
また、この他システム設備として、撮影された位置を含む平面図や、断面図、特殊部を表わす構造図、あるいは、撮影された位置において調査された点検データ調査表等を含むことにより、図8に示すように、撮影された位置に関する他の図面やデータ等を表示することができる。
【0042】
なお、本実施形態に係る地図・写真表示装置1は、上記構成に限られず、例えば、以下に示すような構成や機能を備えるものであってもよい。
例えば、画像表示制御部14の画像検索部141は、基準方向選択ボタン233が指定されたことを表わす操作情報が操作部11から入力された場合、記憶部13に記憶されている表示状態情報350に記憶されている情報を消去する構成であってもよく、基準方向選択ボタン233が指定された場合、基準表示設定情報340に記憶されている情報を読み出し、表示状態情報350に記憶させる構成であってもよい。この場合、基準表示設定情報340あるいは表示状態情報350に記憶されている仰角および表示倍率のうち、少なくともいずれか一方を参照して表示画像データを作成することが好ましい。
【0043】
画像検索部141は、基準表示設定情報340あるいは表示状態情報350であることを表わす情報を写真画像データに対応付けて、画像生成部142に出力する構成であってもよい。この画像生成部142は、基準表示設定情報340あるいは表示状態情報350であることを表わす情報に応じて、記憶部13に記憶されている基準表示設定情報340あるいは表示状態情報350を読み出し、これらに含まれる表示倍率、方位角、および仰角等の表示態様を表わす情報に従って、表示画像データを生成する構成であってもよい。
【0044】
また、地図ポインタMPは、指定された位置と一致する地図用座標が画像検索情報310に含まれていない場合、座標上において最も近い地図用座標の写真画像データを検索するものであってもよい。
さらに、上述の例においては、地下に広がる通信用地下トンネルで撮影された写真を利用する例について説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、建物内の通路や部屋で撮影された写真であってもよく、屋外で撮影された写真であってもよい。
【0045】
なお、地図・写真表示装置1等の動作の過程は、コンピュータに実行させるためのプログラムや、このプログラムとしてコンピュータ読み取り可能な記録媒体として利用可能であり、コンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0046】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に記憶したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 地図・写真表示装置
11 操作部
12 表示部
13 記憶部
14 画像表示制御部
141 画像検索部
142 画像生成部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの操作を受け付け、操作に応じた操作情報を出力する操作部と、
表示画像データに基づく画像を表示する表示部と、
地図における位置を表わす位置情報に対応付けて、当該位置において撮影された写真を表わす写真画像データを記憶するとともに、前記表示部に表示されている当該写真画像データの表示態様を表わす表示状態情報を記憶する記憶部と、
前記操作部から前記写真画像データを変更することを表わす操作情報が入力されると、前記記憶部から前記表示状態情報を読み出し、この表示状態情報に従って、前記操作情報に応じて決定される前記写真画像データを前記表示部に表示させる表示画像データを生成し、表示部に出力する画像表示制御部と
を備えることを特徴とする地図・写真表示装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
予め決められた表示態様情報を含む基準表示設定情報を記憶し、
前記画像表示制御部は、
前記操作部を介して、前記写真画像データの表示態様を前記基準表示設定情報に変更することを表わす操作情報が入力された場合、前記記憶部から基準表示設定情報を読み出し、この基準表示設定情報に従って前記写真画像データを表示させる表示画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の地図・写真表示装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
地図における位置を表わす位置情報に対応付けて、異なる時間に撮影された複数の写真を表わす写真画像データを記憶し、
前記画像表示制御部は、
前記操作部を介して、前記表示部に表示されている写真画像データと異なる時間に撮影された他の写真画像データを表示することを表わす操作情報が入力された場合、前記表示部に表示されている写真画像データと対応付けられている位置情報、および、操作情報で表わされる撮影時間情報に基づき、この位置情報および撮影時間情報と対応付けられている写真画像データを検索し、検索によって得られた前記写真画像データを前記表示部に表示させる表示画像データを生成することを特徴とする請求項1あるいは2に記載の地図・写真表示装置。
【請求項4】
コンピュータに、
ユーザからの操作を受け付け、操作に応じた操作情報を出力する操作機能、
表示画像データに基づく画像を表示する表示機能、
地図における位置を表わす位置情報に対応付けて、当該位置において撮影された写真を表わす写真画像データを記憶するとともに、前記表示機能に表示されている当該写真画像データの表示態様を表わす表示状態情報を記憶する記憶機能、
前記操作機能から前記写真画像データを変更することを表わす操作情報が入力されると、前記記憶機能から前記表示状態情報を読み出し、この表示状態情報に従って、前記操作情報に応じて決定される前記写真画像データを前記表示機能に表示させる表示画像データを生成し、表示機能に出力する画像表示制御機能、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−81724(P2011−81724A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235410(P2009−235410)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(500140127)エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社 (61)
【Fターム(参考)】