地図情報管理装置、地図情報管理方法及び地図情報管理プログラム
【課題】走行画像から空領域を抽出し、当該空領域に関する情報を地図情報に含める地図情報管理装置を提供する。
【解決手段】地図情報管理装置は、道路上の走行画像データ等を取得し、上記画像データについて、所定の解析処理を行い、当該画像データ中における空領域情報を特定する。そして、地図情報管理装置は、上記空領域情報を地図情報へ登録する。具体的に、空領域情報登録手段は、地図情報にリンクを有している場合、画像データの撮影位置に対応するリンクに上記空領域情報を紐付けて登録する。このように、地図情報管理装置は、画像データから空領域を特定し、当該空領域に関する情報を地図情報へ登録するので、画像データの撮影位置に関する場所周辺の道路が開けているか否かを判断し得る情報を保持することができる。
【解決手段】地図情報管理装置は、道路上の走行画像データ等を取得し、上記画像データについて、所定の解析処理を行い、当該画像データ中における空領域情報を特定する。そして、地図情報管理装置は、上記空領域情報を地図情報へ登録する。具体的に、空領域情報登録手段は、地図情報にリンクを有している場合、画像データの撮影位置に対応するリンクに上記空領域情報を紐付けて登録する。このように、地図情報管理装置は、画像データから空領域を特定し、当該空領域に関する情報を地図情報へ登録するので、画像データの撮影位置に関する場所周辺の道路が開けているか否かを判断し得る情報を保持することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行道路上の画像データから空領域の情報を地図情報に含める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置やPC上で動作して地図を表示するアプリケーションなどにおいて使用される地図データには、道路の車線数等、道路に関連するデータが含まれている。このような道路に関するデータは、実際の道路について撮影した画像データに対して画像認識処理を行うことにより取得される。車載カメラにより道路上の走行画像を撮影し、画像認識処理により道路に関するデータを取得する例が特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−98853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、走行画像から道路だけでなく、空領域に関する情報を抽出すれば、道路に関する情報だけでなく、道の見通し等、各種有益な情報を得ることができる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが例として挙げられる。本発明は、走行画像から空領域を抽出し、当該空領域に関する情報を地図情報に含める地図情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、地図情報管理装置であって、地図情報を保持する地図情報保持手段と、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段と、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段と、前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項7に記載の発明は、地図情報を保持する装置における地図情報管理方法であって、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得工程と、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出工程と、前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項8に記載の発明は、地図情報を保持するコンピュータ上で実行される地図情報管理プログラムであって、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段、前記空領域情報を前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態では、地図情報管理装置であって、地図情報を保持する地図情報保持手段と、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段と、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段と、前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段と、を備える。
【0010】
上記の地図情報管理装置は、具体的にナビゲーション装置やサーバ装置に適用することができる。画像情報取得手段が、道路上の走行画像データ等を取得し、空領域抽出手段が、上記走行画像データについて、所定の解析処理(例えば、メディアンフィルタの適用処理、2値化処理)を行い、当該走行画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する。ここでいう空領域情報とは、画像データから特定した空領域の形状情報(座標情報)や、空領域の左右端点と、画像データの中央点とをそれぞれ結ぶ線分がなす角度情報等をいう。そして、空領域情報登録手段は、上記空領域情報を地図情報へ登録する。具体的に、空領域情報登録手段は、地図情報にリンクを有している場合、画像データの撮影位置に対応するリンクに上記空領域情報を紐付けて登録する。
【0011】
このように、地図情報管理装置は、画像データから空領域を特定し、当該空領域に関する情報(空領域情報)を地図情報へ登録するので、画像データの撮影位置に関する場所周辺の道路が開けているか否かを判断し得る情報を保持することができる。
【0012】
上記地図情報管理装置の一態様では、空領域情報は、前記空領域の形状情報である。この場合、地図情報管理装置は、空領域の形状情報を保持するので、画像データ周辺の空領域の面積や、空領域の形状特性(横長や縦長等)を導くことができる情報を保持することができる。
【0013】
上記地図情報管理装置の他の一態様では、前記空領域情報は、前記空領域の左右の端点と、画像データ中央点とをそれぞれ結ぶ線分がなす角度に関する情報である。この場合、地図情報管理装置は、当該角度に関する情報を参照することにより、画像データの撮影位置周辺の道路が開けているか否かを判断することができる。
【0014】
上記地図情報管理装置のさらに他の一態様では、前記空領域情報は、前記角度について、前記画像データ中央点を基準として分断した左部分角度情報と右部分角度情報とを含む。画像データ中央点を基準として分断するとは、中央点から画像の上辺へ垂線を引くことにより分断すること等をいう。このように、地図情報管理装置は、左部分角度と右部分角度を有することにより、当該左部分角度と当該右部分角度を比較すれば、左右のいずれの方向に遮蔽物が近いか判断することができる。
【0015】
上記地図情報管理装置のさらに他の一態様では、空領域情報に基づいて経路を決定する経路検索手段をさらに備える。この場合、地図情報管理装置は、登録されている空領域情報を用いて開けている道路を優先して経路検索を行うことができる。
【0016】
上記地図情報管理装置のさらに他の一態様では、前記空領域情報抽出手段が抽出した空領域に基づいて、前記画像データにおける空領域中のオブジェクトを抽出する画像内オブジェクト抽出手段をさらに備える。この場合、地図情報管理装置は、空領域情報抽出手段が抽出した空領域から地図オブジェクト(例えば、電線等)を抽出するので、複数のオブジェクトの直線が含まれている領域(建物周辺など)から抽出する場合に比して、適切にオブジェクトを抽出することができる。
【0017】
本発明の他の実施形態では、地図情報を保持する装置における地図情報管理方法であって、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得工程と、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出工程と、前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録工程と、を備える。このような地図情報管理方法によっても、画像データから空領域を特定し、当該空領域に関する情報を地図情報へ登録するので、画像データの撮影位置に関する場所周辺の道路が開けているか否かを判断し得る情報を保持することができる。
【0018】
本発明のさらに他の観点では、地図情報を保持するコンピュータ上で実行される地図情報管理プログラムであって、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段、前記空領域情報を前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段、として前記コンピュータを機能させる。このような地図情報管理プログラムを、各種装置上で実行することにより、本発明の地図情報管理装置を実現することができる。なお、この地図情報管理プログラムは記録媒体に記録した状態で好適に取り扱うことができる。
【実施例】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0020】
[発明の概要]
本願発明による地図情報管理装置は、例えば、サーバ装置により適用される。図1(A)に示すように、地図情報管理装置100は、撮影装置と接続しているナビゲーション装置300で撮影した道路上の画像データをナビゲーション装置300から取得し、当該画像データについて解析処理を行い、空領域情報を特定する。ここで、空領域情報とは、画像データ中における空が占める部分の範囲に関する情報をいう。空領域情報として、狭小度等がある。狭小度とは、空が見える広さ・狭さ(視界の広さ)を示す情報であり、具体例として、図1(B)に示すような、画像領域の中心点である点P2と、空領域の端点である点P1、点P3とを結んだ線分がなす角度Ang1に関する情報である。このように、地図情報管理装置100は、ナビゲーション装置300から取得した画像データに対して画像解析処理を行い、画像データ中の空領域を特定し、当該空領域に関する情報を画像データの撮影位置に関する地図情報(例えば、リンク情報等)に紐付けて管理する。
【0021】
これによれば、地図情報管理装置100は、画像データの撮影位置周辺の空領域に関する情報を地図情報と関連付けておくことができるので、撮影位置周辺の見通しの良さ等を特定することができる。
【0022】
なお、画像データは、撮影カメラと接続されたナビゲーション装置300を搭載した車両(例えば、現地調査用車両)等から撮影したものである。以下に、撮影カメラと接続しているナビゲーション装置300について説明する。
【0023】
[ナビゲーション装置]
図2に、本発明の実施例に係るナビゲーション装置300の構成を示す。図2に示すように、ナビゲーション装置300は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、入力装置60、及び撮影カメラ70を備える。
【0024】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0025】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0026】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置300全体の制御を行う。
【0027】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して利用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0028】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0029】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としても良いし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしても良く、また、テレビチューナを内蔵したハードディスクレコーダでも良い。
【0030】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。
【0031】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報を受信したり、所定のサーバからの種々の情報(例えば、天気情報等)を受信したりする。
【0032】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0033】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、ディスクドライブ31、又はRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0034】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0035】
さらに、入力装置60は、音声ユニットも含める。音声ユニットは、音声認識部及びマイクを備える。利用者が発生した音声には、マイクにより集音され、音声認識部へ入力される。音声認識部は、利用者による音声指示を認識処理し、認識結果をシステムコントローラ20へ供給する。これにより、利用者は、リモコンやタッチパネルの代わりに、音声により指示等を入力することができる。
【0036】
撮影カメラ70は、車両に取り付けられ、システムコントローラ20の制御に応じて、撮影を行う。システムコントローラ20は、撮影カメラ70を介して得られた画像データを画像ファイル化し、当該画像ファイルの属性情報として、GPS受信機18を介して得られた撮影時の位置情報(撮影位置情報)や撮影方向の情報を付加する。
【0037】
ナビゲーション装置300は、生成した画像ファイルをデータ記憶ユニット36へ保存したり、通信装置38を介して地図情報管理装置100へ送信したりする。
【0038】
[地図情報管理装置]
図3は、本発明の実施例に係る地図情報管理方法を適用した地図情報管理装置100の概略構成を示す図である。
【0039】
地図情報管理装置100は、本実施例では、サーバ装置により構成され、システムバス111と、CPU(Central Processing Unit)112と、メモリ113と、キーボード114と、マウスなどの座標指示デバイス115と、ディスプレイ116と、通信装置117と、地図情報データベース118とを備える。ここで、キーボード114及び座標指示デバイス115は、入力装置である。また、ディスプレイ116は、出力装置である。通信装置117は、他の装置とデータを授受する所定の通信装置である。CPU112は、地図情報管理装置100全体を制御し、入出力装置の制御を行う。
【0040】
CPU112、メモリ113、地図情報データベース118は、システムバス111に接続される。キーボード114、座標指示デバイス115、ディスプレイ116、通信装置117も図示しないインタフェースを介してシステムバス111に接続される。メモリ113は、作業メモリとしても使用される。地図情報データベース118は、各種地図情報をテーブル形式等で保持する。
【0041】
[地図情報管理ユニット]
図4は、地図情報管理ユニット200の機能ブロック図である。地図情報管理ユニット200は、実体的には、地図情報管理装置100の構成要素により構成される。図4に示すように、地図情報管理ユニット200は、画像情報取得部201、空領域情報抽出部202、空領域情報登録部203、経路探索部204、画像内オブジェクト抽出部205、及び空間変化検出部206を備える。
【0042】
画像情報取得部201は、通信装置117を介して、ナビゲーション装置300から画像ファイルを取得する。これにより、画像情報取得部201は、画像ファイルに含まれる画像データ、撮影時の情報、及び撮影方向の情報を取得することができる。ここで、画像情報取得部201は、複数の画像ファイルを取得する。
【0043】
空領域情報抽出部202は、画像情報取得部201が取得した画像データに対して、各種画像解析処理を施し、空領域情報を抽出する。ここで、空領域情報とは、画像データにおける空領域の面積に関する情報や、狭小度に関する情報をいう。詳細については、後述する。
【0044】
空領域情報登録部203は、空領域情報抽出部202が抽出した空領域情報を地図情報データベース118へ登録する。
【0045】
ここで、地図データベース118内で保存している各種テーブル情報について説明する。図5(A)で示すようなノードやリンクについて、図5(B)に示すリンクテーブルや、図5(C)に示すようなノードテーブルを地図情報データベース118に格納している。なお、図5(B)に示すリンクテーブルや図5(C)に示すノードテーブルのカラム(ID511等)は、最小構成であり、他のカラムを追加するようにしても良い。
【0046】
図5(B)に示すリンクテーブルでは、ID511と、FromNodeID512と、ToNodeID513と、Geometry514とを有するレコードを保持する。ここでID511は、オブジェクトのIDであり、FromNodeID512は、開始位置に対応するノードのIDを示し、ToNodeID513は、終了位置に対応するノードのIDを示し、Geometry514は、リンクを構成する形状データ(点列)を示す。
【0047】
図5(C)に示すノードテーブルでは、ID521と、Geometry522とを有するレコードを保持する。ここで、ID521は、ノードのIDを示し、Geometry522は、ノードの形状データを示す。
【0048】
図6(A)に示す、狭小度テーブルは、ID531、Angle532、RightAngle533、LeftAngle534、CameraAngle535を有するレコードを保持する。
【0049】
ID531は、狭小度テーブルの各レコード用の識別子である。Angle532は、図6(B)に示すように、画像の中央点である点P2と、空領域の端点である点P1及び点P3とを結んだ線分がなす角度Ang1である。
【0050】
RightAngle533は、図6(C)に示すように、点P2から画像領域の上辺L1へ垂線を下ろし、当該垂線と上辺L1の交点である点を点P4とした場合における、線分P2−P3と線分P2−P4とがなす角度Ang2である。
【0051】
LeftAngle534は、図6(C)に示す線分P1−P2と線分P2−P4とがなす角度Ang3である。
【0052】
CameraAngle535は、画像ファイルの属性情報として含まれている撮影方向情報である。
【0053】
そして、上記狭小度の情報を紐付けた場合における、リンクテーブルの例を、図7(A)及び図7(B)に示す。図7(A)は、1つのリンクに狭小度を紐付けた場合の例であり、図7(B)は、リンクの向き毎に狭小度を紐付けた場合の例である。
【0054】
図7(A)におけるNarrowID541、図7(B)におけるFromToNarrowID542及びToFromNarrowID543は、狭小度テーブルで保持しているレコードのいずれかのID531を有している。これにより、図7(A)及び図7(B)のリンクテーブルのレコードと、狭小度テーブルのレコードが紐づくこととなる。
【0055】
経路探索部204は、リンクテーブルや狭小度テーブルのレコードを参照して、経路探索を行う。具体的には、経路探索部204は、利用者が開けた道路を優先して走行することを希望していた場合、経路候補に対応するリンクに紐付いている狭小度テーブルのAngle532を参照して、当該Angle532の値が大きいリンクを選択することにより、開けている道路を優先した経路検索を行う。
【0056】
画像内オブジェクト抽出部205は、画像データ内における空領域中から、オブジェクト(例えば、電線等)を抽出する。
【0057】
空間変化検出部206は、取得した画像データの位置に対応するリンクについて狭小度情報が存在する場合、当該画像データから抽出した狭小度情報と、登録済みの狭小度情報とを比較することにより、設置設備の変化の有無を検出する。
【0058】
[地図情報管理方法]
次に、地図情報管理ユニット200により、画像データから空領域に関する情報を抽出する方法について、図8(A)〜図8(D)を用いて説明する。
【0059】
まず、画像情報取得部201は、図8(A)に示す画像データを取得したものとする。そして、空領域情報抽出部202は、画像データを高速化のために縮小処理(間引き処理)を行う。そして、空領域情報抽出部202は、画像データに対してメディアンフィルタを適用し、さらに2値化する。この結果を図8(B)に示す。そして、空領域情報抽出部202は、公知の領域成長法を用いて領域分割し、分割された各領域を囲む座標軸に平行な最小矩形(minX,minY−maxX,maxY)を求める。そして、空領域情報抽出部202は、各領域のminY=0かつ、maxYが底面280でない領域を選択する。図8(C)の図の場合、空領域情報抽出部202は、領域270A、領域270Bを選択することになる。
【0060】
空領域情報抽出部202は、上記領域270内における平均HSV(H:Hue(色相)、S:Saturation(彩度)、V:Value(明度))を求めて、その中で最も明るい(V値)領域を空領域とする。図8(C)の場合、領域270Bが空領域となる。空領域を特定したイメージを図8(D)に示す。
【0061】
そして、空領域情報抽出部202は、画像データの中央点である点P2と、空領域の左右の端点(点P1、点P3)等を用いて、V字角度である角度Ang1や、右角度である角度Ang2や、左角度である角度Ang3を求める。そして、空領域情報登録部203は、上記V字角度等を含めた狭小度レコードを狭小度テーブルへ登録する。そして、空領域情報登録部203は、登録した狭小度レコードと、対応するリンクレコードとを紐付ける。
【0062】
このように、地図情報管理ユニット200は、取得した画像データについて、各種画像解析処理を行い、空領域を抽出し、空領域の広さを示す狭小度に関するレコードを登録すると共に、当該狭小度のレコードとリンクレコードとを対応付けて登録する。
【0063】
これによれば、地図情報管理ユニット200は、空領域の広さから、撮影位置場所周辺の見通しの良さを推測し得る情報を保持することができる。
【0064】
また、空領域情報抽出部202は、画像データの空領域に基づく狭小度情報(V字角度、右角度、左角度)を算出し、当該狭小度を画像データの撮影位置に対応するリンク情報に紐付けている。この場合、地図情報管理ユニット200は、リンク情報に対応する狭小度を参照すれば、当該リンク周辺の道路が開けているか否かを認識することができる。
【0065】
例えば、図9(A)に示すように、空領域のV字角度(角度Ang1)が大きい場合、地図情報管理ユニット200は、当該空領域の位置は、開けた空間であると判断することができる。
【0066】
そして、図9(B)に示すように、空領域のV字角度の右側(角度Ang2)が急である場合、地図情報管理ユニット200は、左側に比べて右側は遮蔽物が近く、狭い空間であると判断することができる。また、図9(C)に示すように、空領域のV字角度の左右とも急な角度である場合、地図情報管理ユニット200は、非常に狭いと判断することができる。
【0067】
経路探索部204は、空領域情報登録部203が登録した狭小度の情報を用いて、経路を探索する。具体的には、経路探索部204は、経路候補となるリンクに関連する狭小度を参照し、利用者が視界の広い道路を通過することを希望している場合は、狭小度のV字角度である角度Ang1が大きいリンクを優先的に適用した経路を提示する。また、経路探索部204は、利用者が視界の狭い道路を通過することを希望している場合は、狭小度のV字角度が小さいリンクを優先的に適用した経路を提示する。このように、地図情報管理ユニット200は、道路上の視界の広さに応じた経路を提示することができる。
【0068】
また、画像内オブジェクト抽出部205は、空領域情報抽出部202が、画像データから特定した空領域中から、オブジェクト(例えば、電線等)を抽出する。
【0069】
この場合、地図情報管理ユニット200は、空領域を特定した後に、空領域中から電線を抽出するので、電線以外の直線も含まれている建物の高さから電線を抽出する場合に比して、適切に電線等のオブジェクトを抽出することができる。
【0070】
上述の実施例では、空領域情報抽出部202が、空領域を抽出した後に、狭小度を算出し、空領域情報登録部203が当該狭小度を地図情報へ登録する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、空領域情報抽出部202が、空領域を抽出した後に、当該空領域の形状情報(画像データ中の座標情報等)を特定し、空領域情報登録部203が当該空領域の形状情報を地図情報に登録し、当該形状情報とリンクとを紐付けるようにしても良い。この場合、地図情報管理ユニット200は、上記の空領域の形状情報から導き出される面積や形状特性に基づいて、画像の撮影位置における道路の見通し状況を判断することができる。
【0071】
図10(A)に示すように、空領域290の面積が大きく、空領域の形状が横長となっている場合、地図情報管理ユニット200は、当該空領域290の画像の撮影位置は、開けている場所であると判断することができる。
【0072】
図10(B)に示すように、空領域290の面積がやや大きく、空領域の形状が横長となっている場合、地図情報管理ユニット200は、当該空領域290の画像の撮影位置は、一般道のような場所であると判断することができる。
【0073】
図10(C)に示すように、空領域290の面積が小さく、空領域の形状が縦長となっている場合、地図情報管理ユニット200は、当該空領域290の画像の撮影位置は、狭い道路であると判断することができる。
【0074】
このように、地図情報管理ユニット200は、空領域における形状情報を保持することにより、画像の撮影位置における見通し状況を判断することができる。
【0075】
[地図情報管理処理]
次に、本実施例による地図情報管理処理について、図11を参照して説明する。図11は、本実施例による地図情報管理処理のフローチャートである。地図情報管理処理は、図3に示す地図情報管理装置100のCPU12がメモリ13に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0076】
まず、画像情報取得部201が、画像データ等を取得する(ステップS1)。そして空領域情報抽出部202は、当該画像データを縮小し(ステップS2)、メディアンフィルタの適用及び2値化処理を行う(ステップS3)。空領域情報抽出部202は、領域分割を行い(ステップS4)、画像の上部の領域の内、明度が最も高い領域を空領域とする(ステップS5)。そして、空領域情報抽出部202は、空領域の狭小度を算出し(ステップS6)、空領域情報登録部203は、当該狭小度を地図情報データベース118へ登録すると共に、当該狭小度と画像データの撮影位置に対応するリンクとを紐付けて(ステップS7)、処理を終了する。
【0077】
以上述べたように、地図情報管理ユニット200は、地図情報を保持する地図情報保持手段と、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段と、画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段と、空領域情報を、撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段と、を備える。
【0078】
このように、地図情報管理ユニット200は、画像データから空領域を特定し、当該空領域に関する情報を地図情報へ登録するので、画像データの撮影位置に関する場所周辺の道路が開けているか否かを判断し得る情報を保持することができる。
【0079】
[他の実施例]
上述の実施例では、空領域情報抽出部202が空領域の情報を抽出し、空領域の狭小度情報を算出し、空領域情報登録部203が当該狭小度情報を地図情報データベース118へ新規に登録する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、同一リンクに既に狭小度の情報が紐付けられていて、登録済みの狭小度と新規に算出した狭小度の値が異なる場合、空間変化検出部206は、空間変化がある旨を通知するようにしても良い。
【0080】
この場合、地図情報管理ユニット200は、登録済みの狭小度と、新規に算出した狭小度を比較することにより、容易に同一箇所における空間変化を検知すると共に、当該空間変化を通知することができる。
【0081】
上述の実施例では、地図情報管理ユニット200は、リンクに対して狭小度情報を紐付ける場合について述べたが、本発明は、これに限られず、空領域情報をリンク内における所定距離毎(例えば、5m毎)に細分化したリンクを設け、当該細分化したリンクと、狭小度情報とを紐付けるようにしても良い。この場合、地図情報管理ユニット200は、実際の撮影位置から近い範囲のリンクに狭小度情報を紐付けることになるのでリンクに紐付けられている狭小度情報の信頼性を向上させることができる。
【0082】
上述の実施例では、地図情報管理ユニット200は、リンクに対して空領域情報を紐付ける場合について述べたが、本発明は、これに限られず、リンクを構成する、各座標値の情報と狭小度情報とを紐付けるようにしても良い。
【0083】
上述の実施例では、経路探索部204は、狭小度の情報を用いて経路を探索する場合について述べたが、本発明はこれに限られず、空領域情報として、空領域の形状情報が登録されている場合、当該形状情報から特定し得る面積情報に基づいて経路探索をするようにしても良い。
【0084】
上述の実施例では、特に記載していなかったが、地図情報管理ユニット200が空領域のV字の両端の点(例えば、図6(C)における点P1と点P3)周辺部の画像を抽出し、当該抽出した周辺部の画像について、ラプラシアンフィルタによるフォーカス検出処理を行い、フォーカス検出処理の結果で得られた値によって、装着レンズの被写界深度に応じた相対距離を算出するようにしても良い。
【0085】
この場合、地図情報管理ユニット200は、抽出した周辺部の画像がいわゆるピンボケ気味であれば遠いと判断でき、フォーカスが合っていれば、近いと判断できる。
【0086】
なお、被写界深度が浅く、フォーカスが無限大ではないレンズで撮影された画像データであることが前提条件となる。
【0087】
上述の実施例では、地図情報管理ユニット200をサーバ装置へ適用する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、ナビゲーション装置等、他の種々のコンピュータ装置へ適用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】ナビゲーション装置とサーバの概要を説明する図である。
【図2】ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】サーバ装置の構成図である。
【図4】地図情報管理ユニットの機能構成を示すブロック図である。
【図5】リンクテーブル等のデータ構造を説明する図である。
【図6】狭小度テーブルのデータ構造を説明する図である。
【図7】狭小度を含むリンクテーブルのデータ構造を説明する図である。
【図8】空領域情報の抽出方法を説明する図である。
【図9】狭小度と道路上の視界の広さを示す図である。
【図10】空領域の面積と道路上の視界の広さを示す図である。
【図11】地図情報管理処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
111 システムバス
112 CPU
113 メモリ
114 キーボード
115 座標指示デバイス
116 ディスプレイ
117 通信装置
118 データベース
100 地図情報管理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行道路上の画像データから空領域の情報を地図情報に含める方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置やPC上で動作して地図を表示するアプリケーションなどにおいて使用される地図データには、道路の車線数等、道路に関連するデータが含まれている。このような道路に関するデータは、実際の道路について撮影した画像データに対して画像認識処理を行うことにより取得される。車載カメラにより道路上の走行画像を撮影し、画像認識処理により道路に関するデータを取得する例が特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−98853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、走行画像から道路だけでなく、空領域に関する情報を抽出すれば、道路に関する情報だけでなく、道の見通し等、各種有益な情報を得ることができる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが例として挙げられる。本発明は、走行画像から空領域を抽出し、当該空領域に関する情報を地図情報に含める地図情報管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、地図情報管理装置であって、地図情報を保持する地図情報保持手段と、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段と、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段と、前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項7に記載の発明は、地図情報を保持する装置における地図情報管理方法であって、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得工程と、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出工程と、前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項8に記載の発明は、地図情報を保持するコンピュータ上で実行される地図情報管理プログラムであって、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段、前記空領域情報を前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態では、地図情報管理装置であって、地図情報を保持する地図情報保持手段と、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段と、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段と、前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段と、を備える。
【0010】
上記の地図情報管理装置は、具体的にナビゲーション装置やサーバ装置に適用することができる。画像情報取得手段が、道路上の走行画像データ等を取得し、空領域抽出手段が、上記走行画像データについて、所定の解析処理(例えば、メディアンフィルタの適用処理、2値化処理)を行い、当該走行画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する。ここでいう空領域情報とは、画像データから特定した空領域の形状情報(座標情報)や、空領域の左右端点と、画像データの中央点とをそれぞれ結ぶ線分がなす角度情報等をいう。そして、空領域情報登録手段は、上記空領域情報を地図情報へ登録する。具体的に、空領域情報登録手段は、地図情報にリンクを有している場合、画像データの撮影位置に対応するリンクに上記空領域情報を紐付けて登録する。
【0011】
このように、地図情報管理装置は、画像データから空領域を特定し、当該空領域に関する情報(空領域情報)を地図情報へ登録するので、画像データの撮影位置に関する場所周辺の道路が開けているか否かを判断し得る情報を保持することができる。
【0012】
上記地図情報管理装置の一態様では、空領域情報は、前記空領域の形状情報である。この場合、地図情報管理装置は、空領域の形状情報を保持するので、画像データ周辺の空領域の面積や、空領域の形状特性(横長や縦長等)を導くことができる情報を保持することができる。
【0013】
上記地図情報管理装置の他の一態様では、前記空領域情報は、前記空領域の左右の端点と、画像データ中央点とをそれぞれ結ぶ線分がなす角度に関する情報である。この場合、地図情報管理装置は、当該角度に関する情報を参照することにより、画像データの撮影位置周辺の道路が開けているか否かを判断することができる。
【0014】
上記地図情報管理装置のさらに他の一態様では、前記空領域情報は、前記角度について、前記画像データ中央点を基準として分断した左部分角度情報と右部分角度情報とを含む。画像データ中央点を基準として分断するとは、中央点から画像の上辺へ垂線を引くことにより分断すること等をいう。このように、地図情報管理装置は、左部分角度と右部分角度を有することにより、当該左部分角度と当該右部分角度を比較すれば、左右のいずれの方向に遮蔽物が近いか判断することができる。
【0015】
上記地図情報管理装置のさらに他の一態様では、空領域情報に基づいて経路を決定する経路検索手段をさらに備える。この場合、地図情報管理装置は、登録されている空領域情報を用いて開けている道路を優先して経路検索を行うことができる。
【0016】
上記地図情報管理装置のさらに他の一態様では、前記空領域情報抽出手段が抽出した空領域に基づいて、前記画像データにおける空領域中のオブジェクトを抽出する画像内オブジェクト抽出手段をさらに備える。この場合、地図情報管理装置は、空領域情報抽出手段が抽出した空領域から地図オブジェクト(例えば、電線等)を抽出するので、複数のオブジェクトの直線が含まれている領域(建物周辺など)から抽出する場合に比して、適切にオブジェクトを抽出することができる。
【0017】
本発明の他の実施形態では、地図情報を保持する装置における地図情報管理方法であって、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得工程と、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出工程と、前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録工程と、を備える。このような地図情報管理方法によっても、画像データから空領域を特定し、当該空領域に関する情報を地図情報へ登録するので、画像データの撮影位置に関する場所周辺の道路が開けているか否かを判断し得る情報を保持することができる。
【0018】
本発明のさらに他の観点では、地図情報を保持するコンピュータ上で実行される地図情報管理プログラムであって、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段、前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段、前記空領域情報を前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段、として前記コンピュータを機能させる。このような地図情報管理プログラムを、各種装置上で実行することにより、本発明の地図情報管理装置を実現することができる。なお、この地図情報管理プログラムは記録媒体に記録した状態で好適に取り扱うことができる。
【実施例】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0020】
[発明の概要]
本願発明による地図情報管理装置は、例えば、サーバ装置により適用される。図1(A)に示すように、地図情報管理装置100は、撮影装置と接続しているナビゲーション装置300で撮影した道路上の画像データをナビゲーション装置300から取得し、当該画像データについて解析処理を行い、空領域情報を特定する。ここで、空領域情報とは、画像データ中における空が占める部分の範囲に関する情報をいう。空領域情報として、狭小度等がある。狭小度とは、空が見える広さ・狭さ(視界の広さ)を示す情報であり、具体例として、図1(B)に示すような、画像領域の中心点である点P2と、空領域の端点である点P1、点P3とを結んだ線分がなす角度Ang1に関する情報である。このように、地図情報管理装置100は、ナビゲーション装置300から取得した画像データに対して画像解析処理を行い、画像データ中の空領域を特定し、当該空領域に関する情報を画像データの撮影位置に関する地図情報(例えば、リンク情報等)に紐付けて管理する。
【0021】
これによれば、地図情報管理装置100は、画像データの撮影位置周辺の空領域に関する情報を地図情報と関連付けておくことができるので、撮影位置周辺の見通しの良さ等を特定することができる。
【0022】
なお、画像データは、撮影カメラと接続されたナビゲーション装置300を搭載した車両(例えば、現地調査用車両)等から撮影したものである。以下に、撮影カメラと接続しているナビゲーション装置300について説明する。
【0023】
[ナビゲーション装置]
図2に、本発明の実施例に係るナビゲーション装置300の構成を示す。図2に示すように、ナビゲーション装置300は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、入力装置60、及び撮影カメラ70を備える。
【0024】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0025】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0026】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置300全体の制御を行う。
【0027】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して利用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0028】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0029】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としても良いし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしても良く、また、テレビチューナを内蔵したハードディスクレコーダでも良い。
【0030】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。
【0031】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報を受信したり、所定のサーバからの種々の情報(例えば、天気情報等)を受信したりする。
【0032】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0033】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、ディスクドライブ31、又はRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0034】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0035】
さらに、入力装置60は、音声ユニットも含める。音声ユニットは、音声認識部及びマイクを備える。利用者が発生した音声には、マイクにより集音され、音声認識部へ入力される。音声認識部は、利用者による音声指示を認識処理し、認識結果をシステムコントローラ20へ供給する。これにより、利用者は、リモコンやタッチパネルの代わりに、音声により指示等を入力することができる。
【0036】
撮影カメラ70は、車両に取り付けられ、システムコントローラ20の制御に応じて、撮影を行う。システムコントローラ20は、撮影カメラ70を介して得られた画像データを画像ファイル化し、当該画像ファイルの属性情報として、GPS受信機18を介して得られた撮影時の位置情報(撮影位置情報)や撮影方向の情報を付加する。
【0037】
ナビゲーション装置300は、生成した画像ファイルをデータ記憶ユニット36へ保存したり、通信装置38を介して地図情報管理装置100へ送信したりする。
【0038】
[地図情報管理装置]
図3は、本発明の実施例に係る地図情報管理方法を適用した地図情報管理装置100の概略構成を示す図である。
【0039】
地図情報管理装置100は、本実施例では、サーバ装置により構成され、システムバス111と、CPU(Central Processing Unit)112と、メモリ113と、キーボード114と、マウスなどの座標指示デバイス115と、ディスプレイ116と、通信装置117と、地図情報データベース118とを備える。ここで、キーボード114及び座標指示デバイス115は、入力装置である。また、ディスプレイ116は、出力装置である。通信装置117は、他の装置とデータを授受する所定の通信装置である。CPU112は、地図情報管理装置100全体を制御し、入出力装置の制御を行う。
【0040】
CPU112、メモリ113、地図情報データベース118は、システムバス111に接続される。キーボード114、座標指示デバイス115、ディスプレイ116、通信装置117も図示しないインタフェースを介してシステムバス111に接続される。メモリ113は、作業メモリとしても使用される。地図情報データベース118は、各種地図情報をテーブル形式等で保持する。
【0041】
[地図情報管理ユニット]
図4は、地図情報管理ユニット200の機能ブロック図である。地図情報管理ユニット200は、実体的には、地図情報管理装置100の構成要素により構成される。図4に示すように、地図情報管理ユニット200は、画像情報取得部201、空領域情報抽出部202、空領域情報登録部203、経路探索部204、画像内オブジェクト抽出部205、及び空間変化検出部206を備える。
【0042】
画像情報取得部201は、通信装置117を介して、ナビゲーション装置300から画像ファイルを取得する。これにより、画像情報取得部201は、画像ファイルに含まれる画像データ、撮影時の情報、及び撮影方向の情報を取得することができる。ここで、画像情報取得部201は、複数の画像ファイルを取得する。
【0043】
空領域情報抽出部202は、画像情報取得部201が取得した画像データに対して、各種画像解析処理を施し、空領域情報を抽出する。ここで、空領域情報とは、画像データにおける空領域の面積に関する情報や、狭小度に関する情報をいう。詳細については、後述する。
【0044】
空領域情報登録部203は、空領域情報抽出部202が抽出した空領域情報を地図情報データベース118へ登録する。
【0045】
ここで、地図データベース118内で保存している各種テーブル情報について説明する。図5(A)で示すようなノードやリンクについて、図5(B)に示すリンクテーブルや、図5(C)に示すようなノードテーブルを地図情報データベース118に格納している。なお、図5(B)に示すリンクテーブルや図5(C)に示すノードテーブルのカラム(ID511等)は、最小構成であり、他のカラムを追加するようにしても良い。
【0046】
図5(B)に示すリンクテーブルでは、ID511と、FromNodeID512と、ToNodeID513と、Geometry514とを有するレコードを保持する。ここでID511は、オブジェクトのIDであり、FromNodeID512は、開始位置に対応するノードのIDを示し、ToNodeID513は、終了位置に対応するノードのIDを示し、Geometry514は、リンクを構成する形状データ(点列)を示す。
【0047】
図5(C)に示すノードテーブルでは、ID521と、Geometry522とを有するレコードを保持する。ここで、ID521は、ノードのIDを示し、Geometry522は、ノードの形状データを示す。
【0048】
図6(A)に示す、狭小度テーブルは、ID531、Angle532、RightAngle533、LeftAngle534、CameraAngle535を有するレコードを保持する。
【0049】
ID531は、狭小度テーブルの各レコード用の識別子である。Angle532は、図6(B)に示すように、画像の中央点である点P2と、空領域の端点である点P1及び点P3とを結んだ線分がなす角度Ang1である。
【0050】
RightAngle533は、図6(C)に示すように、点P2から画像領域の上辺L1へ垂線を下ろし、当該垂線と上辺L1の交点である点を点P4とした場合における、線分P2−P3と線分P2−P4とがなす角度Ang2である。
【0051】
LeftAngle534は、図6(C)に示す線分P1−P2と線分P2−P4とがなす角度Ang3である。
【0052】
CameraAngle535は、画像ファイルの属性情報として含まれている撮影方向情報である。
【0053】
そして、上記狭小度の情報を紐付けた場合における、リンクテーブルの例を、図7(A)及び図7(B)に示す。図7(A)は、1つのリンクに狭小度を紐付けた場合の例であり、図7(B)は、リンクの向き毎に狭小度を紐付けた場合の例である。
【0054】
図7(A)におけるNarrowID541、図7(B)におけるFromToNarrowID542及びToFromNarrowID543は、狭小度テーブルで保持しているレコードのいずれかのID531を有している。これにより、図7(A)及び図7(B)のリンクテーブルのレコードと、狭小度テーブルのレコードが紐づくこととなる。
【0055】
経路探索部204は、リンクテーブルや狭小度テーブルのレコードを参照して、経路探索を行う。具体的には、経路探索部204は、利用者が開けた道路を優先して走行することを希望していた場合、経路候補に対応するリンクに紐付いている狭小度テーブルのAngle532を参照して、当該Angle532の値が大きいリンクを選択することにより、開けている道路を優先した経路検索を行う。
【0056】
画像内オブジェクト抽出部205は、画像データ内における空領域中から、オブジェクト(例えば、電線等)を抽出する。
【0057】
空間変化検出部206は、取得した画像データの位置に対応するリンクについて狭小度情報が存在する場合、当該画像データから抽出した狭小度情報と、登録済みの狭小度情報とを比較することにより、設置設備の変化の有無を検出する。
【0058】
[地図情報管理方法]
次に、地図情報管理ユニット200により、画像データから空領域に関する情報を抽出する方法について、図8(A)〜図8(D)を用いて説明する。
【0059】
まず、画像情報取得部201は、図8(A)に示す画像データを取得したものとする。そして、空領域情報抽出部202は、画像データを高速化のために縮小処理(間引き処理)を行う。そして、空領域情報抽出部202は、画像データに対してメディアンフィルタを適用し、さらに2値化する。この結果を図8(B)に示す。そして、空領域情報抽出部202は、公知の領域成長法を用いて領域分割し、分割された各領域を囲む座標軸に平行な最小矩形(minX,minY−maxX,maxY)を求める。そして、空領域情報抽出部202は、各領域のminY=0かつ、maxYが底面280でない領域を選択する。図8(C)の図の場合、空領域情報抽出部202は、領域270A、領域270Bを選択することになる。
【0060】
空領域情報抽出部202は、上記領域270内における平均HSV(H:Hue(色相)、S:Saturation(彩度)、V:Value(明度))を求めて、その中で最も明るい(V値)領域を空領域とする。図8(C)の場合、領域270Bが空領域となる。空領域を特定したイメージを図8(D)に示す。
【0061】
そして、空領域情報抽出部202は、画像データの中央点である点P2と、空領域の左右の端点(点P1、点P3)等を用いて、V字角度である角度Ang1や、右角度である角度Ang2や、左角度である角度Ang3を求める。そして、空領域情報登録部203は、上記V字角度等を含めた狭小度レコードを狭小度テーブルへ登録する。そして、空領域情報登録部203は、登録した狭小度レコードと、対応するリンクレコードとを紐付ける。
【0062】
このように、地図情報管理ユニット200は、取得した画像データについて、各種画像解析処理を行い、空領域を抽出し、空領域の広さを示す狭小度に関するレコードを登録すると共に、当該狭小度のレコードとリンクレコードとを対応付けて登録する。
【0063】
これによれば、地図情報管理ユニット200は、空領域の広さから、撮影位置場所周辺の見通しの良さを推測し得る情報を保持することができる。
【0064】
また、空領域情報抽出部202は、画像データの空領域に基づく狭小度情報(V字角度、右角度、左角度)を算出し、当該狭小度を画像データの撮影位置に対応するリンク情報に紐付けている。この場合、地図情報管理ユニット200は、リンク情報に対応する狭小度を参照すれば、当該リンク周辺の道路が開けているか否かを認識することができる。
【0065】
例えば、図9(A)に示すように、空領域のV字角度(角度Ang1)が大きい場合、地図情報管理ユニット200は、当該空領域の位置は、開けた空間であると判断することができる。
【0066】
そして、図9(B)に示すように、空領域のV字角度の右側(角度Ang2)が急である場合、地図情報管理ユニット200は、左側に比べて右側は遮蔽物が近く、狭い空間であると判断することができる。また、図9(C)に示すように、空領域のV字角度の左右とも急な角度である場合、地図情報管理ユニット200は、非常に狭いと判断することができる。
【0067】
経路探索部204は、空領域情報登録部203が登録した狭小度の情報を用いて、経路を探索する。具体的には、経路探索部204は、経路候補となるリンクに関連する狭小度を参照し、利用者が視界の広い道路を通過することを希望している場合は、狭小度のV字角度である角度Ang1が大きいリンクを優先的に適用した経路を提示する。また、経路探索部204は、利用者が視界の狭い道路を通過することを希望している場合は、狭小度のV字角度が小さいリンクを優先的に適用した経路を提示する。このように、地図情報管理ユニット200は、道路上の視界の広さに応じた経路を提示することができる。
【0068】
また、画像内オブジェクト抽出部205は、空領域情報抽出部202が、画像データから特定した空領域中から、オブジェクト(例えば、電線等)を抽出する。
【0069】
この場合、地図情報管理ユニット200は、空領域を特定した後に、空領域中から電線を抽出するので、電線以外の直線も含まれている建物の高さから電線を抽出する場合に比して、適切に電線等のオブジェクトを抽出することができる。
【0070】
上述の実施例では、空領域情報抽出部202が、空領域を抽出した後に、狭小度を算出し、空領域情報登録部203が当該狭小度を地図情報へ登録する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、空領域情報抽出部202が、空領域を抽出した後に、当該空領域の形状情報(画像データ中の座標情報等)を特定し、空領域情報登録部203が当該空領域の形状情報を地図情報に登録し、当該形状情報とリンクとを紐付けるようにしても良い。この場合、地図情報管理ユニット200は、上記の空領域の形状情報から導き出される面積や形状特性に基づいて、画像の撮影位置における道路の見通し状況を判断することができる。
【0071】
図10(A)に示すように、空領域290の面積が大きく、空領域の形状が横長となっている場合、地図情報管理ユニット200は、当該空領域290の画像の撮影位置は、開けている場所であると判断することができる。
【0072】
図10(B)に示すように、空領域290の面積がやや大きく、空領域の形状が横長となっている場合、地図情報管理ユニット200は、当該空領域290の画像の撮影位置は、一般道のような場所であると判断することができる。
【0073】
図10(C)に示すように、空領域290の面積が小さく、空領域の形状が縦長となっている場合、地図情報管理ユニット200は、当該空領域290の画像の撮影位置は、狭い道路であると判断することができる。
【0074】
このように、地図情報管理ユニット200は、空領域における形状情報を保持することにより、画像の撮影位置における見通し状況を判断することができる。
【0075】
[地図情報管理処理]
次に、本実施例による地図情報管理処理について、図11を参照して説明する。図11は、本実施例による地図情報管理処理のフローチャートである。地図情報管理処理は、図3に示す地図情報管理装置100のCPU12がメモリ13に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0076】
まず、画像情報取得部201が、画像データ等を取得する(ステップS1)。そして空領域情報抽出部202は、当該画像データを縮小し(ステップS2)、メディアンフィルタの適用及び2値化処理を行う(ステップS3)。空領域情報抽出部202は、領域分割を行い(ステップS4)、画像の上部の領域の内、明度が最も高い領域を空領域とする(ステップS5)。そして、空領域情報抽出部202は、空領域の狭小度を算出し(ステップS6)、空領域情報登録部203は、当該狭小度を地図情報データベース118へ登録すると共に、当該狭小度と画像データの撮影位置に対応するリンクとを紐付けて(ステップS7)、処理を終了する。
【0077】
以上述べたように、地図情報管理ユニット200は、地図情報を保持する地図情報保持手段と、撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段と、画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段と、空領域情報を、撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段と、を備える。
【0078】
このように、地図情報管理ユニット200は、画像データから空領域を特定し、当該空領域に関する情報を地図情報へ登録するので、画像データの撮影位置に関する場所周辺の道路が開けているか否かを判断し得る情報を保持することができる。
【0079】
[他の実施例]
上述の実施例では、空領域情報抽出部202が空領域の情報を抽出し、空領域の狭小度情報を算出し、空領域情報登録部203が当該狭小度情報を地図情報データベース118へ新規に登録する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、同一リンクに既に狭小度の情報が紐付けられていて、登録済みの狭小度と新規に算出した狭小度の値が異なる場合、空間変化検出部206は、空間変化がある旨を通知するようにしても良い。
【0080】
この場合、地図情報管理ユニット200は、登録済みの狭小度と、新規に算出した狭小度を比較することにより、容易に同一箇所における空間変化を検知すると共に、当該空間変化を通知することができる。
【0081】
上述の実施例では、地図情報管理ユニット200は、リンクに対して狭小度情報を紐付ける場合について述べたが、本発明は、これに限られず、空領域情報をリンク内における所定距離毎(例えば、5m毎)に細分化したリンクを設け、当該細分化したリンクと、狭小度情報とを紐付けるようにしても良い。この場合、地図情報管理ユニット200は、実際の撮影位置から近い範囲のリンクに狭小度情報を紐付けることになるのでリンクに紐付けられている狭小度情報の信頼性を向上させることができる。
【0082】
上述の実施例では、地図情報管理ユニット200は、リンクに対して空領域情報を紐付ける場合について述べたが、本発明は、これに限られず、リンクを構成する、各座標値の情報と狭小度情報とを紐付けるようにしても良い。
【0083】
上述の実施例では、経路探索部204は、狭小度の情報を用いて経路を探索する場合について述べたが、本発明はこれに限られず、空領域情報として、空領域の形状情報が登録されている場合、当該形状情報から特定し得る面積情報に基づいて経路探索をするようにしても良い。
【0084】
上述の実施例では、特に記載していなかったが、地図情報管理ユニット200が空領域のV字の両端の点(例えば、図6(C)における点P1と点P3)周辺部の画像を抽出し、当該抽出した周辺部の画像について、ラプラシアンフィルタによるフォーカス検出処理を行い、フォーカス検出処理の結果で得られた値によって、装着レンズの被写界深度に応じた相対距離を算出するようにしても良い。
【0085】
この場合、地図情報管理ユニット200は、抽出した周辺部の画像がいわゆるピンボケ気味であれば遠いと判断でき、フォーカスが合っていれば、近いと判断できる。
【0086】
なお、被写界深度が浅く、フォーカスが無限大ではないレンズで撮影された画像データであることが前提条件となる。
【0087】
上述の実施例では、地図情報管理ユニット200をサーバ装置へ適用する場合について述べたが、本発明は、これに限られず、ナビゲーション装置等、他の種々のコンピュータ装置へ適用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】ナビゲーション装置とサーバの概要を説明する図である。
【図2】ナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】サーバ装置の構成図である。
【図4】地図情報管理ユニットの機能構成を示すブロック図である。
【図5】リンクテーブル等のデータ構造を説明する図である。
【図6】狭小度テーブルのデータ構造を説明する図である。
【図7】狭小度を含むリンクテーブルのデータ構造を説明する図である。
【図8】空領域情報の抽出方法を説明する図である。
【図9】狭小度と道路上の視界の広さを示す図である。
【図10】空領域の面積と道路上の視界の広さを示す図である。
【図11】地図情報管理処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
111 システムバス
112 CPU
113 メモリ
114 キーボード
115 座標指示デバイス
116 ディスプレイ
117 通信装置
118 データベース
100 地図情報管理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を保持する地図情報保持手段と、
撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段と、
前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段と、
前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段と、を備えることを特徴とする地図情報管理装置。
【請求項2】
前記空領域情報は、前記空領域の形状情報であることを特徴とする請求項1に記載の地図情報管理装置。
【請求項3】
前記空領域情報は、前記空領域の左右の端点と、画像データ中央点とをそれぞれ結ぶ線分がなす角度に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の地図情報管理装置。
【請求項4】
前記空領域情報は、前記角度を前記画像データ中央点を基準として分断した左部分角度情報と右部分角度情報とを含むことを特徴とする請求項3に記載の地図情報管理装置。
【請求項5】
空領域情報に基づいて経路を決定する経路検索手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地図情報管理装置。
【請求項6】
前記空領域情報抽出手段が抽出した空領域に基づいて、前記画像データにおける空領域中のオブジェクトを抽出する画像内オブジェクト抽出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の地図情報管理装置。
【請求項7】
地図情報を保持する装置における地図情報管理方法であって、
撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得工程と、
前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出工程と、
前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録工程と、を備えることを特徴とする地図情報管理方法。
【請求項8】
地図情報を保持するコンピュータ上で実行される地図情報管理プログラムであって、
撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段、
前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段、
前記空領域情報を前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする地図情報管理プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の地図情報管理プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【請求項1】
地図情報を保持する地図情報保持手段と、
撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段と、
前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段と、
前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段と、を備えることを特徴とする地図情報管理装置。
【請求項2】
前記空領域情報は、前記空領域の形状情報であることを特徴とする請求項1に記載の地図情報管理装置。
【請求項3】
前記空領域情報は、前記空領域の左右の端点と、画像データ中央点とをそれぞれ結ぶ線分がなす角度に関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の地図情報管理装置。
【請求項4】
前記空領域情報は、前記角度を前記画像データ中央点を基準として分断した左部分角度情報と右部分角度情報とを含むことを特徴とする請求項3に記載の地図情報管理装置。
【請求項5】
空領域情報に基づいて経路を決定する経路検索手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地図情報管理装置。
【請求項6】
前記空領域情報抽出手段が抽出した空領域に基づいて、前記画像データにおける空領域中のオブジェクトを抽出する画像内オブジェクト抽出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の地図情報管理装置。
【請求項7】
地図情報を保持する装置における地図情報管理方法であって、
撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得工程と、
前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出工程と、
前記空領域情報を、前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録工程と、を備えることを特徴とする地図情報管理方法。
【請求項8】
地図情報を保持するコンピュータ上で実行される地図情報管理プログラムであって、
撮影位置情報及び画像データを取得する画像情報取得手段、
前記画像データについて、解析処理を行い、画像データ中における空領域を示す空領域情報を特定する空領域情報抽出手段、
前記空領域情報を前記撮影位置情報と関連する地図情報へ登録する空領域情報登録手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする地図情報管理プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の地図情報管理プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−156815(P2010−156815A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334726(P2008−334726)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】
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