説明

地図表示システム

【課題】 Webページの表示と地図表示とを連携させ、地理的位置関係に基づいたWebページの検索を可能とする。
【解決手段】 Webページの作成者は、Webサーバに、Webページとメタデータとを対応づけて格納しておく。メタデータとは、Webページに関連する登録地点の地理情報を含むXMLデータである。地図表示システムは、表示V04に示すように、Webページを表示するとともに、メタデータを解析して、登録地点を含む地図をマップビューに表示する。地図には、他のWebページへのリンクを付したマーカICNを併せて表示する。ユーザがマーカをクリックすると、矢印A04,A03で示すように変遷し、新たなWebページおよび地図が表示される。こうすることにより、地理的な位置関係を利用したWebページ検索が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Webページと地図とを連携させて表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットなどネットワークで接続された種々のサーバによってWebページが提供されている環境(以下、このような環境を「Web空間」と称する)では、Webページにアクセスすることにより多種多様な情報を比較的簡易に入手することができる。Webページの中には、特定の地点に関する情報を提供するものがある。例えば、観光案内情報を提供するWebページなどである。このようなWebページでは、該当する地点が自動的に地図で提示されると便利である。特許文献1はかかる観点から、Webページの表示に連動して、対応する地点を地図上に表示するシステムを開示している。このシステムは、ユーザがWebページにアクセスする度に、都市名など、地理情報を表すキーワードを解析し、その結果を地図上に表示するものである。
【0003】
【特許文献1】特開2000−194715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日では、Web空間で提供される情報量が非常に多く、かえってユーザが所望する情報を効率的に検索することが困難になってきている。このような状況下で、効率的な情報検索を可能とし、Web空間の有効活用を図るため、種々の検索エンジンが提案され、実用化されている。
【0005】
しかし、地理情報を活用した情報検索は、十分、実用化されてはいない。例えば、観光案内情報を検索する場合には、ある観光地のWebページを検索した後、その付近の案内情報が欲しくなるのが通常である。従来は、このような場合でも、観光地の地名等をキーワードにしながら、いくつかのWebページを閲覧し、その場所を確認することで、情報を得るしかなかった。このような検索方法は、非効率的であり、また地理的に近接した最適な情報が漏れなく得られるという保証もなかった。
【0006】
これは観光案内に特有の課題ではなく、地理的な位置関係に重点を置いた情報検索をする場合に共通の課題であった。Web空間は、地理的な位置関係とは無関係に情報が格納されていることが原因である。本発明は、こうした課題に鑑み、Web空間と地理的な位置関係とを関連付け、地理的な位置関係を利用した実用的な情報検索を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の地図表示システムは、Web空間に散在するWebページと、そのWebページに関連する登録地点を含む地図とを表示する。この地図表示システムは、スタンドアロンで稼働する装置として構成することもできるし、複数のコンピュータやサーバをネットワークで接続したシステムとして構成することもできる。本発明で利用するWebページには、登録地点の位置を表す地理情報を含むメタデータが用意されているものとする。地理情報としては、緯度経度などの座標値、住所などを用いることができる。メタデータは、Webページと独立のファイルとして用意してもよいし、Webページ中に組み込んでもよい。独立のファイルとする場合には、Webページとメタデータを1対1の対応関係で用いてもよいし、複数のWebページに対して1つのメタデータを用いてもよい。メタデータはWebページの作成者が作成してもよいし、Webページの作成者から作成を依頼された受任者が、Webページの作成者による指示に従って作成してもよい。後者の態様には、地図表示システムの管理者が、Webページ作成者からの指示に従ってメタデータを作成する態様も含まれる。
【0008】
本発明の地図表示システムは、メタデータを管理するためのメタデータ管理部、Web表示部、地図を表示するための地図データベース、および地図表示部を備えている。Web表示部は、ユーザからの指定に従って、Webページを表示する。地図表示部は、地図データベースを参照して、登録地点周辺の地図を表示する。登録地点は、指定されたWebページに対応するメタデータに含まれる地理情報に基づいて特定することができる。また、地図表示部は、登録地点と異なる地点にいずれかのWebページへのリンクを付したマーカを設置した状態で地図を表示する。マーカはリンクを付した文字列、図形などとすることができる。地図表示システムは、複数のWebページに対応するメタデータを管理しているため、これを参照することにより、表示対象となるリンクやマーカの位置も特定可能である。
【0009】
本発明によれば、ユーザが指定したWebページの表示に連動して、地図が表示されるため、登録地点の位置を直ちに確認することができる。メタデータに含まれている位置情報を用いるため、登録地点を正確かつ容易に特定できる利点もある。また、地図上には登録地点以外のリンクを付したマーカが表示されるため、ユーザはこのマーカをクリック等することで、他のWebページを閲覧することができる。この結果、登録地点近辺の情報を検索するなど、地理的な位置関係に従って、Webページの検索が可能となる。
【0010】
メタデータ管理部は、Webページの作成者等が地図表示システムに登録したメタデータを管理するようにしてもよい。また、メタデータ管理部がWeb空間を検索し、複数のWebページに対応するメタデータを収集するようにしてもよい。この態様によれば、Webページの作成者等は、メタデータを用意しさえすれば、地図表示システムへの登録といった煩雑な処理をするまでなく、そのWebページを地図表示システムによる検索対象とすることができる利点がある。また、逆に、メタデータを削除すれば、そのWebページを地図表示システムによる検索対象から容易に外すことも可能である。
【0011】
メタデータには、地理情報に加えて、地図の表示態様を制御する表示制御情報を含めてもよい。表示制御情報には、例えば、地図表示の代表点の位置、地図の表示範囲、つまり地図のサイズや縮尺などを含めることができる。これらを全て含める必要はなく、一部のみを含めても良い。地図表示部は、メタデータを解析することにより、表示制御情報に応じた地図を表示する。
【0012】
こうすることにより、Webページの作成者の意図に沿った地図を表示させることが可能となり、システムの利便性を向上させることができる。例えば、登録地点の位置を地図の中心からずらし、登録地点と駅とが地図内に収まるように代表地点および縮尺を設定すれば、最寄りの駅から登録地点までの案内地図を提供することができる。また、別の例として、本店と支店とを含む店舗案内図を表示する場合には、これらの店舗の位置に応じて広域の縮尺を指定すればよい。
【0013】
地図には、表示範囲内に含まれる全てのリンクを表示するようにしてもよいし、その一部を表示するようリンクの範囲を制御してもよい。第1の態様として、メタデータ管理部に、複数のWebページに対応するメタデータを関連づけて管理させ、地図表示部は、この関連に応じて地図に表示すべきリンクの範囲を制御する方法を採ることができる。メタデータの関連づけは、例えば、階層的または並列的に設けられたディレクトリに分類して格納する方法を採ることができる。この場合は、Webページの作成者等がメタデータを格納すべきディレクトリを指定可能としてもよいし、メタデータまたはWebページ内のキーワード等に基づいてメタデータ管理部が判断してもよい。このように関連づけを行っている場合には、あるWebページに対応するメタデータと同一ディレクトリ内のメタデータや、所定の階層関係にあるディレクトリ内のメタデータを用いて表示すべきリンクの範囲を制御することができる。
【0014】
また、別の態様として、例えば、メタデータの登録時に、Webページの作成者等が、当該メタデータに関連づけるべきメタデータを地図表示システムが提供するリストから選択するようにしてもよい。地図表示システムは、この選択結果を、別途、テーブル等で管理しておけばよい。
【0015】
リンクの範囲を制御するための第2の態様として、メタデータには、地図に表示すべきリンクの範囲を制御する関連情報を含めてもよい。地図表示部は、この関連情報に応じてマーカを表示する。こうすることにより、多数のマーカが地図上に雑然と現れる状態を回避でき、Webページ作成者の意図に沿ったマーカ、例えば、Webページに関連が深い情報へのリンクを示すマーカに絞って表示させることができる。
【0016】
関連情報は、例えば、表示すべきリンクを個別に指定するものとしてもよいし、カテゴリや地域情報などで指定するものとしてもよい。カテゴリとは、「教育機関」、「商店」など、Webページの内容を表す属性を言う。カテゴリは、「教育機関/大学」のように階層的に設定しておくこともできる。地域情報とは、行政界などで表される地理的範囲を特定する情報を言う(以下、地域情報を「リージョン」と称することもある)。地域情報も、「福岡県/北九州市」のように階層的に設定しておくこともできる。カテゴリやリージョンを、階層的に設定した場合、関連情報は任意の階層でリンクの範囲を特定可能とすることが好ましい。こうすることでリンクの範囲を柔軟に指定可能となる。
【0017】
本発明で用いるメタデータの少なくとも一部は、Web空間内で階層的に散在していてもよい。この場合の階層的とは、例えば、上位のディレクトリ内に下位のディレクトリが作成されている状態において、メタデータが上位のディレクトリ、下位のディレクトリの一方のみ、または双方に存在する場合を意味する。この場合、メタデータ管理部は、各メタデータの階層を併せて管理しておくことにより、地図表示部は、この階層に基づき、指定されたWebページに対応するメタデータ以外のメタデータも用いて地図表示を行うことができる。例えば、指定されたWebページに対応するメタデータが存在しない場合には、他の階層のメタデータを利用して地図を表示させることができる。また、指定されたWebページに対応するメタデータが存在する場合でも、他の階層のメタデータを利用することで、地図に表示すべきリンクの範囲を広範に設定することが可能となる。
【0018】
利用すべき階層は、種々の規則で設定することができる。例えば、指定されたWebページの階層から、所定段階だけ上の階層までのメタデータを利用する方法を採ることができる。これは換言すれば、上位層のメタデータが、下位層の地図表示に影響を及ぼすことを意味する。この場合、メタデータが見つかるまで上の階層を検索するようにしてもよいし、1段階だけ上の階層を見るなど段階数を予め固定しておいてもよい。また、トップのドメインまで遡って検索するようにしてもよい。別の態様として、指定されたWebページの階層から、所定段階だけ下位の階層までのメタデータを利用する方法を採っても良い。このように多階層のメタデータを利用する場合において、メタデータの表示制御情報同士が抵触する場合には、上位層優先、下位層優先など、予め定めた規則でいずれかを優先的に用いるようにすればよい。
【0019】
Web空間内にはメタデータが対応づけられていないWebページ(以下、「非対応Webページ」と称する)も存在し得る。このように指定されたWebページに対応するメタデータが存在しない場合の地図表示としては、何も表示しない、地図と無関係の情報を表示させる、ホームとして予め登録された地点周辺のデフォルト地図を表示させる、従前の地図表示を維持するなどの態様が考えられる。本発明では、これらいずれの態様も適用可能であるが、特に従前の地図表示を維持することが好ましい。こうすることで、非対応Webページが指定された場合でも、容易に従前の地図を利用したWebページの検索に戻ることができる。
【0020】
地図表示システムは、ユーザから地図の表示態様に関する指示を受け付け可能とし、地図表示部がこの指示に応じて、表示すべきリンクの範囲も含めて地図の表示態様を更新してもよい。表示態様に関する指示としては、例えば、地図の表示範囲の移動や拡大/縮小、表示すべきリンクの種別、数の指示などが挙げられる。例えば、地図の縮小が指示された場合には、従前よりも広い範囲の広域地図が表示されるとともに、広がった部分にも新たなマーカが追加表示されることになる。このようにユーザが表示態様を指示可能とすることにより、ユーザ自身が見やすい地図を得ることができるとともに、地理的関係に基づくWebページの検索範囲をユーザが任意に調整可能となるため、システムの利便性が更に向上する。
【0021】
本発明では、地図に表示すべきマーカの位置に応じて、地図表示部が地図の表示範囲を設定するようにしてもよい。表示範囲は、地図の縦横の距離で設定してもよいし、縮尺で設定してもよい。表示範囲は、表示すべき全マーカを含むように指定してもよいし、登録地点に近い所定数のマーカを含むように指定してもよい。これらの態様によれば、Webページ作成者が地図の表示範囲を指定していない場合でも、見やすい地図を提供することが可能となる。また、関連情報によって表示すべきリンクの範囲のみを指定すれば、Webページの作成者の意図したマーカを含む地図が自動的に表示されるため、メタデータ設定の負荷が軽くなるという利点もある。
【0022】
地図表示システムには、管理しているメタデータに対応するWebページへのリンクを付したマーカを、所定の規則で階層化したツリー構造で表示可能としてもよい。所定の規則としては、例えば、ディレクトリなどの階層、カテゴリやリージョンなどの階層を用いることができる。このツリー表示は、Webページの表示、地図表示とは別に行うことが好ましい。このツリー表示を利用することにより、地理的関係を利用したWebページの検索と、上述の規則に基づく関係を利用した検索とを柔軟に使い分けることが可能となり、システムの利便性を向上させることができる。
【0023】
この態様では、メタデータ管理部がメタデータの管理状況を反映してツリー表示を更新することが好ましい。新しいメタデータが発見または登録された場合には、ツリー表示に情報が追加表示され、従前のメタデータが削除された場合には、それに対応する表示がツリー表示からも削除される。こうすることで、最新の情報を有効活用することができる。同様に、メタデータの収集結果は、地図表示上のマーカにも反映させることが好ましい。
【0024】
本発明では、以上で説明した通り、メタデータを活用して種々の表示を実現する。このためには、Web空間内から、本発明のシステムに対応した適正なメタデータを識別し、管理可能とすることが好ましい。かかる観点から、地図表示システムの対象となるメタデータには識別データを付してもよい。メタデータ管理部が、この識別データを付したメタデータのみを収集対象とすることにより、適正なメタデータの管理が容易となる。この態様では、地図表示システムが、Webページの作成者からメタデータの発行要求を受け付けると、既発行のメタデータと異なる識別データを発行可能とすることが好ましい。こうすることにより、識別データの真正性、一義性を維持しやすくなる。識別データは、数字等の組み合わせでメタデータに固有に設定されたIDとしてもよいし、電子署名など申請者の情報も含めたものとしてもよい。
【0025】
本発明の地図表示システムには、更に種々の付加的な機能を設けることも可能である。例えば、ユーザが、地図表示とWebページの表示の切換指示を行えるようにしてもよい。切換指示が発行されると、地図表示部はWebページを表示していたWeb表示エリアに地図を表示する。また、Web表示部は地図を表示していた地図表示エリアにWebページを表示する。つまり、地図表示とWebページの表示位置が切り換えられる。Webページの表示エリアの方が地図の表示エリアよりも大きく設定されている場合には、切換指示によって、地図が大きな表示エリアに合わせて拡大表示される。こうすることで、ユーザは地図上のマーカを容易に選択することが可能となり、地理的な位置関係を利用したWebページの検索の利便性を向上させることができる。また、ユーザがマーカを指定して、新たなWebページを表示する場合には、上述の切換を元に戻し、通常通り、Web表示エリアにWebページを表示し、地図表示エリアに地図を表示することが好ましい。こうすることで、更に表示の切換指示を行うまでなく、ユーザはWebページの内容を本来の表示状態で閲覧することが可能となる。
【0026】
以上で説明した種々の特徴は、必ずしも全て備えられている必要はなく、一部を省略したり、適宜、組み合わせたりしてもよい。また、本発明は、地図表示システムとしての態様の他、上述したメタデータの格納、管理、提供を主として行う地図表示サーバという態様や、上述したWebページおよび地図表示をコンピュータによって実現する地図表示方法という態様や、この地図表示を実現するためのコンピュータプログラムという態様を採ることもできる。コンピュータプログラムとしての態様には、地図表示システム全体の機能をコンピュータによって実現させるためのプログラムや、Webページおよび地図の表示を実現させる地図ブラウザなどの態様が含まれる。また、このコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体という態様を採っても良い。この場合の記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施例について以下の順序で説明する。
A.システム構成:
B.メタデータの管理:
C.表示画面概要:
D.制御処理:
D1.メタデータ発行処理:
D2.メタデータ管理処理:
D3.表示制御処理:
E.変形例:
【0028】
A.システム構成:
図1は実施例としての地図表示システムの構成を示す説明図である。地図表示システムは、Webブラウザと電子地図とを連携させた表示システムである。主な機能として、Webページの閲覧機能、Webページに対応する地点を地図上に表示する機能、地図上に表示されたマーカをマウス等のポインタでクリックすることにより、そのマーカに付されたリンク先のWebページを表示させる機能などが挙げられる。
【0029】
実施例の地図表示システムは、サーバ200と、端末100とをインターネットINTで接続して構成される。図中の例では、端末100はパーソナルコンピュータである。端末100には、この他、携帯電話、PDAなど種々の装置が利用可能である。本実施例では、サーバ200と端末100によって地図表示システムを構成する例を示すが、地図表示システムはスタンドアロンで稼働する装置として構成することも可能である。また、図の例では、インターネットINTを適用した例を示したが、インターネットINTに代えて、イントラネットなどの限定的なネットワークを用いることも可能である。
【0030】
Webサーバ300[1]、300[2](以下、両者をWebサーバ300と総称することもある)は、インターネット上でWebページを提供する。Webページには観光案内や、企業・大学等の案内など、特定の地点または地域に関する情報を提供するものがある。本実施例では、このように特定の地点または地域(以下、これらの地点または地域の代表点を「登録地点」と称する)の情報を提供するWebページには、Webサーバ300上に登録地点の位置等を表す地理情報を含むメタデータを格納しておく。メタデータはWebページの作成者が、準備するデータである。メタデータの内容および構造については、後で説明する。地図表示システムは、Webページを表示するとともに、メタデータを参照して、Webページに対応する地図を提供するのである。本明細書では、Webサーバによって提供される種々のWebページにアクセス可能な環境を、多数のWebページが存在する情報空間という意味で「Web空間」と呼ぶこともある。
【0031】
全てのWebページが、何らかの地点または地域に関する情報を提供するとは限らず、「登録地点」が存在しないWebページもある。また、登録地点があるWebページの中にもメタデータを用意していないものもある。本実施例の地図表示システムは、このようにメタデータが用意されていないWebページを閲覧する際には、Webページの内容は地図表示に反映されず、通常のWebブラウザとして機能する。この意味で、メタデータが用意されていないWebページを、本明細書では「非対応Webページ」と称する。以下、本明細書では、説明の便宜上、「Webページ」は、当該Webページに対応するメタデータが用意されているものを意味する用語として用いる。
【0032】
図中には、地図表示システムとしての機能を提供するためのサーバ200の機能ブロックを併せて示した。本実施例では、これらの機能ブロックは、それぞれの機能を実現するコンピュータプログラムをサーバ200にインストールすることによってソフトウェア的に実現される。このコンピュータプログラムは、例えば、JAVA(登録商標)などの言語で作成することができる。図中の機能ブロックの少なくとも一部は、ASICなどの回路によって、ハードウェア的に構成することも可能である。
【0033】
通信部202は、インターネットINTを介して端末100等と通信を行う機能を奏する。地図DBは、地図表示に用いられるデータベースであり、地形、地物等を表すポリゴンデータや、それらの属性などを格納している。本実施例では、サーバ200から端末100に地図データを提供する構成を採っているが、地図DBを他のWebサーバ300から提供する構成としてもよいし、端末100側に用意したり、DVD等の媒体によって提供する構成としてもよい。
【0034】
サービスプロバイダモジュール210は、地図表示システムにおいて、複数の端末100に共通した種々のサービスを統合的に提供する。主なサービスは、Webページの作成者に対するメタデータの発行、および種々のWebサーバ300で提供されているメタデータの収集・管理である。
【0035】
これらの機能は、サービスプロバイダモジュール210に備えられたリージョンマネージャ212、メタデータマネージャ214、カテゴリマネージャ216によって提供される。メタデータマネージャ214は、Web空間をサーチしてメタデータを収集し、メタデータストレージ218に格納する。また、従前に存在したメタデータがWebサーバ300から削除された場合には、これに対応するメタデータをメタデータストレージ218から削除する。このようにメタデータマネージャ214は、Web空間とメタデータストレージ218との間でメタデータの同期をとる機能を奏する。メタデータマネージャ214は、また新規のメタデータを発行する機能も奏する。リージョンマネージャ212は、メタデータストレージ218に収集・格納されているメタデータの地理情報に基づいて、市町村などの行政界区分に従った階層構造でメタデータを管理する。カテゴリマネージャ216は、Webページで提供される情報の内容に応じて、予め階層的に設定された種別に区分し、この区分に従ってメタデータストレージ218内のメタデータを管理する。本実施例では、Web空間から収集したメタデータは、メタデータストレージ218内に格納するものとしたが、メタデータマネージャ214が保持する構成としてもよい。
【0036】
図中には、端末100の機能ブロックを併せて示した。これらの機能ブロックもソフトウェア、ハードウェアのいずれによって構成することも可能である。通信部102は、インターネットを介した通信を実現する。コマンド入力部104は、端末100のキーボード、マウスなどのデバイス操作を通じて、ユーザから指定されるコマンドを入力する。表示制御部106は、端末100のディスプレイの表示内容を制御する。通信部102、コマンド入力部104、表示制御部106の機能は、端末100のOS(Operating System)によって提供してもよい。
【0037】
ブラウザモジュール120は、地図表示システムのユーザインタフェースを提供する。本実施例では、地図表示システムは、Webブラウザビュー、マップビュー、ツリービュー、ユーザビューという4つの画面を並列配置した表示を行う。Webブラウザビューは、Webページの表示エリアである。マップビューは、地図の表示エリアである。ユーザビューは、地図表示の内容等を指定するためのインタフェースを提供するエリアである。ツリービューは、階層的に管理されたメタデータのリストを表示するエリアである。それぞれの表示内容は、Webブラウザビューコントローラ122、マップビューコントローラ124、ユーザビューコントローラ126、ツリービューコントローラ128によって制御される。
【0038】
エージェントモジュール110は、ブラウザモジュール120と、サーバ200およびWebサーバ300との仲介をする。例えば、Webページを表示する場合には、ブラウザモジュール120から指定されたWebサーバ300にアクセスし、Webページのデータをブラウザモジュール120に受け渡す。地図の表示や、メタデータを用いる処理を行う場合には、ブラウザモジュール120とサーバ200との仲介を行うのである。エージェントモジュール110は、また、ブラウザモジュール120内の各コントローラ間の仲介も行う。
【0039】
以上で説明したシステム構成は、一例に過ぎない。本実施例の地図表示システムは、主としてサービスプロバイダモジュール210、ブラウザモジュール120、およびエージェントモジュール110の連携によって提供されるものである。従って、地図表示システムとしては、これら3つのモジュールを備えた種々の構成が可能である。1台のパーソナルコンピュータ上に全てのモジュールを搭載すればスタンドアロンで稼働する装置とすることができる。また、3つのモジュールを更に多数のサーバの分散処理によって提供する構成を採っても良い。
【0040】
B.メタデータの管理:
図2はメタデータの内容を示す説明図である。図2(a)、図2(b)の2種類を例示した。図2(a)は図示の都合上、メタデータの一部のみを示している。本実施例では、メタデータは、XMLを用いて記述しており、データの内容は、それぞれタグによって規定される。図中の左端の番号は、説明の便宜のために付した行番号である。
【0041】
図2(a)は「九州工業大学吉田研究室」のWebページ(図2(a)の8行目のタイトル欄参照)に付されたURLの内容を示している。2行目は、メタデータのIDを表している。この例では、「ID=1」である。Web空間上の各メタデータを識別可能とするため、後述する通り、地図表示システムのメタデータマネージャ214が一義的なIDを発行するものとした。3行目は、対応するWebページのURLを表している。図2(a)の例では、上述の吉田研究室のトップページへのURLが付されている。5〜7行目は、登録地点の位置情報を表している。位置情報は、後述する通り、地図表示の際に活用される情報である。図2(a)の例では、吉田研究室の所在地の住所で位置情報が示されている。位置情報は、この他、緯度経度などの座標値で示しても良い。
【0042】
10〜13行目はカテゴリ情報を表している。カテゴリとは、「教育機関」、「商店」など、Webページの内容を表す属性を言う。カテゴリ情報は、後述する通り、地図表示やWebページの検索に活用される情報である。本実施例では、予め階層的に設定されたカテゴリの中から、Webページの作成者が最も適切と考えるものを選択して設定するものとした。図2(a)の例では、「教育機関」という上位カテゴリ内の「大学」とい下位カテゴリが選択されていることになる。カテゴリは任意の階層で選択可能であり、例えば、図2(a)の例において、「大学」という下位カテゴリの指定をやめ、「教育機関」という上位層のカテゴリを選択してもよい。
【0043】
14行目以降は、表示制御情報を表している。表示制御情報は、後述する通り、Webページの登録地点周辺の地図の表示態様を制御するために活用される。図2(a)の例では、16行目〜29行目で示される第1ビューと、30行目以降で示される第2ビューの2種類をユーザが選択的に使用可能な例を示した。ただし、図示の都合上、31行目以降の記載は省略してある。第1ビューの定義の中は、タイトル(17行目)、関連情報の定義(18〜25行目)、および描画条件の定義(26〜28行目)に分かれる。タイトルは、地図に表示される見出しである。描画条件は、地図の表示範囲を規定するデータである。図中では具体的な指定例を省略したが、表示範囲の縦横の距離、または地図の縮尺を用いて指定することができる。
【0044】
本実施例では、後述する通り、地図上に他のWebページへのリンクを付したマーカが表示される。関連情報はこのマーカの数、種類等を指定する情報である。関連情報は、個別指定、カテゴリ指定、リージョン指定の3通りの方法で指定可能とした。図2(a)は個別指定を例示している。19行目に示した「Relationship Type="Group"」は個別指定を意味するタグである。図2(a)では、21行目、22行目において、表示対象として2つのURLが指定されている。URLの数は1または3以上であってもよい。
【0045】
個別指定されたURLに対応するマーカの表示位置は、それぞれのURLに対応するメタデータの登録地点に基づいて決めるものとした。URLと共に、マーカの表示位置を併せて指定する方法をとってもよい。ただし、この場合は、関連情報で指定した地理情報と、URLで指定されたWebページ(以下、「関連ページ」と呼ぶ)の登録地点との同期がとれなくなるおそれがある。例えば、関連ページの登録地点が引っ越し等によって変更された場合、関連ページの作成者は、それに対応するメタデータの地理情報を更新することはできるものの、この関連ページのURLを指定している他人のWebページ(以下、「呼出ページ」と呼ぶ)のメタデータに記録された地理情報は更新することができない。このため、呼出ページのメタデータで指定された地理情報と、関連ページの登録地点との不整合が生じるおそれがある。これに対し、本実施例の方法では、関連ページのメタデータを参照して、地理情報を特定するため、こうした不整合を容易に回避することが可能となる。
【0046】
図2(b)は、関連情報をカテゴリ指定した例を示している。22行目に示した「Relationship Type="Introduction"」はカテゴリ指定を意味するタグである。図2(b)では、25行目、26行目において、表示対象として、「生活/飲食店」、「生活/交通機関」という2つのカテゴリが指定されている。個別指定の場合と異なり、カテゴリ指定の場合、このカテゴリに対応するWebページが包括的に指定されていることになる。地図上には、これらのマーカが表示される。個別指定の場合と同様、各マーカの表示位置は、それぞれのメタデータを参照することで特定可能である。
【0047】
図2(b)は、「ホテル周辺の案内図」を表示するためのビューを指定するメタデータである(19行目参照)。そして、関連情報には、ホテルへの訪問客が必要とする情報として、飲食店や交通機関をカテゴリ指定で示している。これらの情報を個別指定しようとすれば、ホテルのWebページ作成者は、周辺の飲食店や交通機関を自身で調査する必要がある。これに対し、関連情報のカテゴリ指定をすれば、こうした調査を行うまでなく、Webページの閲覧者が必要であろうと想定される情報のカテゴリを指定しさえすれば済む。このように、カテゴリ指定には、高い負荷をかけるまでなく、Webページの閲覧者に対して適切な情報を提供することができる利点がある。
【0048】
関連情報をリージョン指定した例については、図示を省略したが、指定方法はカテゴリ指定(図2(b)参照)と同様である。図2(b)において「生活/飲食店」のカテゴリが指定されているのに対し、「福岡県/北九州市」など行政界の形式で指定される点で相違する。
【0049】
図3はメタデータの管理方法を示す説明図である。リージョンマネージャ212、メタデータマネージャ214、カテゴリマネージャ216の機能を模式的に示した。メタデータマネージャ214は、Web空間を検索して、メタデータを収集する。本実施例では、収集したメタデータは、メタデータストレージ218に格納する。図中には、「ID=1〜3」の3通りのメタデータが収集・格納されている例を示した。メタデータストレージ218は、メタデータマネージャ214と一体的な構成としてもよい。
【0050】
メタデータマネージャ214は、収集したメタデータについて、図示するように、IDとURLとを対応づけるテーブルを作成する。このテーブルは、使用済みのIDの特定、およびURLをキーとするIDの検索を容易にするために利用される。これらの処理は、メタデータストレージ218に格納された各メタデータを順次、参照することによって行うことも可能であるため、上述のテーブルの作成を省略する構成も可能である。
【0051】
リージョンマネージャ212は、市町村などの行政界区分に従った階層構造でメタデータを管理する。リージョンマネージャ212は、この階層構造に対応したテーブルを保持しており、それぞれの階層に、対応するメタデータのIDを格納している。図中には、「**市」に「ID=1、3」が対応し、「××市」に「ID=2」が対応している例を示した。図示の都合上、「市」に対応するメタデータのみを示したが、これより上位の「県」の階層に対応するメタデータ、下位の「町」に対応するメタデータも同様に格納する。これらの対応関係に基づいて、リージョンマネージャ212は、行政界区分に従って、メタデータストレージ218内の各メタデータを特定することが可能となる(図中の実線矢印参照)。
【0052】
カテゴリマネージャ216は、予め階層的に設定されたカテゴリに従って、メタデータを管理する。カテゴリは、地図表示システムの運営側で任意に設定可能である。Webページの作成者は、設定されたカテゴリの中から、自己のWebページに該当するものを選択するため、どのWebページも、いずれかのカテゴリには対応している。カテゴリマネージャ216は、図示するように、カテゴリの階層構造に応じたテーブルを保持しており、それぞれの階層に、対応するメタデータのIDを格納している。図中には、「教育/大学」というカテゴリに「ID=1、2」が対応し、「食料品/コンビニ」というカテゴリに「ID=3」が対応している例を示した。更に、上位の階層、または下位の階層についても、それぞれ対応するIDを格納可能である。これらの対応関係に基づいて、カテゴリマネージャ216は、カテゴリに従って、メタデータストレージ218内の各メタデータを特定することが可能となる(図中の破線矢印参照)。
【0053】
C.表示画面概要:
図4は表示画面の概要を示す説明図である。図の右上に全体の表示画面例を示した。図示する通り、本実施例では、表示画面は4つの表示エリアに分かれる。一つ目はWebブラウザビュー(WebBrouserView)である。Webブラウザビューは、通常のブラウザと同様の機能を有しており、Webページを表示する。2つめはマップビュー(MapView)である。図の左上にその拡大図を示した。マップビューは、Webページの登録地点を含む地図を表示する。地図の表示態様は、先に図2で説明した通り、メタデータによって規定される。図の例では、地図中に3カ所のマーカが併せて表示されている。このマーカは、メタデータの関連情報によって指定されたリンクに対応するものである。ユーザが、マップビューで、いずれかのマーカをクリックすると、それに対応するURLで指定されたWebページをWebブラウザビューに表示させることができる。
【0054】
3つ目の表示エリアは、ツリービュー(TreeView)である。図の右下に拡大図を示した。ツリービューは、リージョンマネージャ212およびカテゴリマネージャ216が管理している内容をツリー構造で表示する。左側の例が、カテゴリマネージャ216によって表示される内容であり、「教育機関/大学」などの階層構造に従って、各Webページへのリンクが表示される。右側の例が、リージョンマネージャ212によって表示される内容であり、図の例では、「福岡県北九州市」の区ごとに、各Webページへのリンクが表示されている。両者のツリーは上側に設けられたタブをクリックすることで切換可能となっている。ユーザは、ツリービューで表示された各リンクをクリックすることで、対応するWebページをWebブラウザビューに表示させることができる。
【0055】
4つめの表示エリアは、ユーザビュー(UserView)である。図の左下に拡大図を示した。ユーザビューは、地図の表示態様を調整するための調整画面と、URLリストの2種類をタブで切り換えて表示可能である。図中には、調整画面例を示した。この画面では、地図の代表点の位置、スケール、マップタイプを指定可能である。代表点の位置は、地点の名称(図中の「View」欄)、または緯度経度で指定することができる。ユーザビューは、必ずしも地点、緯度経度の双方を指定可能とする必要はなく、いずれか一方のみを指定可能としてもよい。スケールは地図の縮尺であり、スライドバーによって指定される。マップタイプは、2次元地図、3次元地図など、地図の種別の指定である。タブでURLリストを選択すると、ユーザがこれまでに閲覧したWebページの履歴がリスト表示される。
【0056】
本実施例では、上述の4つの表示エリアまたはビューを設けた例を示した。本実施例では、これらのビューは並列的に表示されるが、タブなどによって切換可能としてもよい。ただし、Webページと地図の連携を図るという本実施例の効果を十分に活かすためには、少なくともWebページと地図の2つは並列表示させておくことが好ましい。表示画面は、図4に示した配置およびサイズに限定されるものではなく、4つのビューのサイズを可変としてもよい。ただし、情報を得る主要な画面はWebブラウザビューであるため、デフォルトの設定では、Webブラウザビューのサイズをマップビューその他の画面よりも大きく設定しておくことが実用的である。
【0057】
図5は表示画面の変遷を示す説明図である。表示V01に示すように、ユーザがWebブラウザビューのアドレス欄B01にURLを入力すると、表示画面は、矢印A01のように変遷し、指定されたWebページがWebブラウザビューに表示される(表示V03参照)。また、表示V02に示すように、ユーザがツリービューのいずれかのリンクをクリックした場合も、表示画面は、矢印A02のように変遷し、リンクに対応するWebページが表示される(表示V03参照)。
【0058】
表示V03は、上述の態様に従ってWebページを表示する過渡状態を模式的に示している。この状態では、地図表示システムは、Webページに対応するメタデータの解析を完了していない。従って、マップビューおよびツリービューには、Webページに対応する表示はなされていない。Webページに対応するメタデータが存在しない場合も同様である。図において、マップビューおよびツリービューが白抜きとなっているのは、Webページに対応する表示がなされていないという意味である。実際には、従前の表示が保持されている。こうすることにより、仮にメタデータが用意されていいないWebページを表示させた場合でも、マップビューやツリービューを利用したWebページの指定を従前通り利用することが可能となるからである。もっとも、従前の表示を保持することは必須ではなく、メタデータの解析完了前、またはメタデータが存在しない場合には、図示する通り、マップビューやツリービューを白抜き表示したり、既定の他の画面を表示したりする構成を採っても良い。
【0059】
メタデータの解析が完了すると、矢印A03に示すように表示画面は変遷し、表示V04に示すように、メタデータの内容を反映した画面がマップビュー、ツリービュー、ユーザビューに表示される。先に説明した通り、マップビューには、メタデータで示された表示態様で地図が表示され、関連情報で指定されたマーカICNが表示される。ツリービューには、メタデータに対応する階層を中心として、リンクがツリー構造で表示される。ユーザビューには、メタデータで指定された表示態様がデフォルト値として表示される。
【0060】
ユーザビューにおいて、ユーザが表示態様を調整すると、矢印A05に示すように表示態様が変遷し、マップビューに示した地図の表示態様が変化する。代表点を変化させれば、地図の表示位置が移動することとなり、スケールを変化させれば、地図の表示範囲が変化することになる。また、変化させる前の地図では表示範囲外となっていたマーカが、地図の表示範囲を広げることで、新たに追加表示されるなど、地図内のマーカの表示も地図の表示態様に応じて変化する。
【0061】
ユーザがマップビューにおいて、マーカICNをクリックすると、矢印A04に示すように表示画面が変遷し、対応する新たなWebページがWebブラウザビューに表示される。ユーザが、ツリービューのリンクを選択した場合や、Webページ内のリンクを選択した場合も同様である。また、新たなWebページのメタデータに従って、マップビュー、ツリービューの表示画面も更新される。このように、本実施例の地図表示システムでは、マップビュー上のマーカをクリックすることによって、新たなWebページを表示させることが可能であるため、Webページの登録地点間の地理的関係を利用した情報検索を行うことが可能となる。
【0062】
図6は表示画面変遷時の各モジュールの動作を示す説明図である。図5中に矢印A01〜A05で示したそれぞれの変遷を実現するための動作を示した。図6(a)は、Webブラウザビューで新たなURLが指定された場合の動作を表している。図5においてアドレス欄B01にURLを入力した状態からの変遷(矢印A01)、およびWebページ内のリンクをクリックした場合の変遷(矢印A04)に対応する。Webブラウザビューコントローラ122は、これらの指定を受け付け、表示を更新する旨の変更イベントの発生をエージェントモジュール110に伝達する。エージェントモジュール110は、この変更イベントに応じて、指定されたWebページをWebブラウザビューコントローラ122に返すとともに、Webページに対応するメタデータに応じて、表示内容の更新を、マップビューコントローラ124、ツリービューコントローラ128、ユーザビューコントローラ126に指示する。これによって、図5中の矢印A03に示したように、メタデータを反映した表示が行われる。
【0063】
図6(b)は、マップビューまたはツリービューで新たなURLが指定された場合の動作を表している。図5の表示V04のマップビューでマーカICNをクリックした場合、またはツリービューでリンクをクリックした場合の変遷(矢印A04)に対応する。マップビューコントローラ124またはツリービューコントローラ128は、これらの指定を受け付け、変更イベントをエージェントモジュール110に伝達する。エージェントモジュール110は、この変更イベントに応じて、指定されたWebページをWebブラウザビューコントローラ122に返して、表示内容の更新を指示する。この指示によって、Webページが更新されると、図6(a)に示したのと同じ動作によって、マップビュー、ツリービュー、ユーザビューもそれぞれ変更される。
【0064】
図6(c)は、ユーザビューで表示態様の調整が指示された場合、およびURLリストからいずれかのリンクが選択された場合の動作を表している。図5の矢印A05に対応する。ユーザビューコントローラ126は、表示態様の調整指示を受け付け、変更イベントをエージェントモジュール110に伝達する。エージェントモジュール110は、この変更イベントに応じて、マップビューコントローラ124に対して表示態様の更新を指示する。また、ユーザがURLリスト中のリンクを選択指定した場合、ユーザビューコントローラ126は、この指定を受け付け、変更イベントをエージェントモジュール110に伝達する。エージェントモジュール110は、この変更イベントに応じて、指定されたWebページをWebブラウザビューコントローラ122に返すとともに、Webページに対応するメタデータに応じて、表示内容の更新を、マップビューコントローラ124、ツリービューコントローラ128、ユーザビューコントローラ126に指示する。これによって、図5中の矢印A03に示したように、メタデータを反映した表示が行われる。
【0065】
D.制御処理:
図4〜6で示した表示を実現するための制御処理について以下、順に説明する。
D1.メタデータ発行処理:
図7はメタデータ発行処理のフローチャートである。図2に示した通り、メタデータはXMLファイルであるため、全体をユーザが新規に作成することも可能ではあるが、本実施例では、一義的なIDを付したメタデータをサーバ200が発行する方法を採用した。こうすることによって、メタデータの新規作成、削除などを容易に管理することが可能となる。IDは、また不正なメタデータを排除するためにも使用することができる。地図表示システムは、サーバ200が発行した正規のIDを付したメタデータのみを有効扱いとすればよい。IDの不正な流用を回避するため、電子署名など申請者の情報を含めたIDや、メタデータを対応づけるURLを含むIDを用いても良い。
【0066】
図中には、左側に端末100が実行する処理、右側にサーバ200が実行する処理を示した。ユーザが端末100から、サーバ200にアクセスすると、サーバ200は、登録用のインタフェース画面を提供する(ステップS10)。ユーザは、この画面で、メタデータを対応づけるWebページのURLを入力する(ステップS100)。サーバ200は、このURLを受け付け(ステップS12)、メタデータマネージャ214が保持する対応テーブル(図3参照)を検索して、新たなメタデータIDを発行し(ステップS14)、このIDを含むメタデータを端末100に交付する(ステップS16)。
【0067】
この時点のメタデータは、URLとIDが格納されているだけであり、地理情報、表示制御情報、関連情報はタグが用意されているだけである。ユーザは、端末100で、このメタデータを編集し、地理情報、表示制御情報等を付加する(ステップS102)。編集が完了すると、ユーザはWebページと同一ディレクトリに、メタデータを格納して公開する(ステップS104)。そして、サーバ200に対して、新規なメタデータの登録を請求する(ステップS106)。
【0068】
サーバ200は、この請求を受けると、ユーザがステップS100で指定したURLに従って、Web空間を検索し、該当するメタデータを取得して(ステップS18)、メタデータストレージ218およびメタデータマネージャ内の管理テーブルに登録する(ステップS20)。この登録処理は、簡素化することも可能である。例えば、メタデータを発行する時点(ステップS14)で、管理テーブルへの登録を行っても良い。登録請求(ステップS106)に代えて、ユーザが作成したメタデータを、サーバ200に送付させるようにしてもよい。ただし、実施例のようにサーバ200がメタデータを取得する方法(ステップS18)を採れば、併せてメタデータがWebページと同一のディレクトリに格納されていることを確認することができる利点がある。
【0069】
D2.メタデータ管理処理:
図8はメタデータ管理処理のフローチャートである。メタデータマネージャ214によって実行される処理であり、メタデータストレージ218および管理テーブルの内容を更新するための処理である。本実施例では、サーバ200の管理者が手動でこれらの管理を行う他、メタデータマネージャ214がWeb空間を自動的に巡回して、これらの更新を行えるようにした。
【0070】
この処理において、サーバ200の管理者による手動管理が指定された場合(ステップS30)、サーバ200は、新規メタデータの登録や、既存のメタデータの削除などの指示を受け付け(ステップS31)、この指示内容を、メタデータストレージ218およびメタデータマネージャ214の管理テーブルに反映させる。例えば、新規メタデータの登録が指示された場合には、指示されたメタデータをメタデータストレージ218に格納するとともに、管理テーブルにその内容を登録する。既存のメタデータの削除が指示された場合には、指示されたメタデータをメタデータストレージ218から削除するとともに、管理テーブルからもその内容を削除する。
【0071】
手動管理が指定されていない場合(ステップS30)、サーバ200は自動管理を実行する。自動管理は、所定のタイミングで行うことができる。例えば、1日単位または1週間単位など、予め指定された周期で繰り返し実行するようにしてもよいし、先に説明したメタデータ発行処理(図7)が実行された時に行うようにしてもよい。自動管理では、サーバ200はWeb空間内を巡回してメタデータを収集・確認する。この処理を効率的に実行するために、本実施例では、既存のメタデータが登録されているディレクトリを中心として巡回する方法を採用した。Web空間内に存在するWebページは無数にあるため、これら全てについて巡回してメタデータを収集・確認することは多大な負荷となるからである。本実施例では、先に説明した通り、サーバ200が発行したメタデータを活用するものとしているため、このような限定的な巡回方法を採用したとしても、メタデータの収集・確認に大きな漏れは生じない。
【0072】
上述の方法で巡回を行うため、サーバ200は、まず既登録のメタデータを所定の規則に従って選択する(ステップS35)。例えば、管理テーブルに登録された順序、IDの順序などに従って選択すればよい。サーバ200は、選択されたメタデータに対応するWebページにアクセスし(ステップS36)、そのディレクトリ内にメタデータが存在するか否かを確認するとともに、Webページに含まれるリンクを抽出する(ステップS37)。
【0073】
サーバ200は、上記確認の結果をメタデータストレージ218およびメタデータマネージャ214の管理テーブルに反映する(ステップS38)。先に説明した通り、発行済みのメタデータが削除されている場合には、メタデータストレージ218および管理テーブルからも削除する。新規のメタデータが用意されている場合には、それを取得して、メタデータストレージ218に格納し、必要に応じて管理テーブルの内容を更新する。
【0074】
次に、サーバ200は、ステップS37で抽出したリンクに基づいてWebページにアクセスし(ステップS39、S36)、メタデータの確認等の処理を実行する(ステップS37〜39)。アクセスした先のWebページでも同様にリンクを抽出し、更にアクセス先を広げて、メタデータの検索を繰り返す。リンクをたどってWebページを広げる範囲に制限を加えても良い。例えば、既登録のメタデータに対応するWebページに含まれるリンク先のみ、または更にその先、所定段階のリンクを経たWebページまでを巡回範囲に制限してもよい。また、メタデータが対応づけられていないWebページに至った時点で、そこからのリンクをたどることを中止してもよい。サーバ200は、以上の処理を、既登録のメタデータ全てについて終了するまで、繰り返し実行する(ステップS40)。
【0075】
このメタデータ管理処理によって、メタデータストレージ218およびメタデータマネージャ214の管理テーブルは、最新の状態に保持される。従って、Webページの作成者は、メタデータの内容を変更したい場合、サーバ200に変更申請などの特別な処理を行うまでなく、新たなメタデータをWebページと同じディレクトリに格納するだけで済む。また、メタデータの利用を中止したい場合には、Web空間からメタデータを削除すれば足りる。Webページを格納するディレクトリを変更する場合も、Webページおよびメタデータを共に、新たなディレクトリに移行しさえすればよい。このように、メタデータ管理処理によって、本実施例を利用する際のメタデータの管理を容易化することができ、本システムの利便性を向上させることができる。
【0076】
D3.表示制御処理:
図9は表示制御処理のフローチャートである。端末100のエージェントモジュール110およびブラウザモジュール120が実行する処理である。処理を開始すると、端末100は、表示すべきURLの変更有無を判断する(ステップS50)。WebブラウザビューにおいてURLが入力された場合、Webページ内のリンクがクリックされた場合、マップビューのマーカやツリービューのリンクがクリックされた場合には、端末100はURLの変更有りと判断し、その他の場合にはURLの変更無し、と判断する。
【0077】
URLの変更無し、と判断した場合(ステップS50)、端末100は、次に表示態様の変更有無を判断する(ステップS55)。ユーザビューで表示態様が調整されている場合には、表示態様の変更有りと判断し(ステップS55)、新たに指示された表示位置およびスケールを入力して(ステップS56)、地図表示制御処理(ステップS60)を実行する。地図表示制御処理とは、マップビューを表示するための処理である。これによって、ユーザの指示に従った地図がマップビューに表示される。地図表示制御処理の具体的な処理内容については後述する。表示態様の変更が指示されていない場合には(ステップS55)、端末100は表示内容を変更する必要がないと判断し、そのまま表示制御処理を終了する。
【0078】
URLの変更有りと判断した場合(ステップS50)、端末100は新たなURLに対応するWebページのデータを取得して、Webブラウザビューを更新する(ステップS51)。端末100は、次に、新しいWebページに対応するメタデータの有無を確認する(ステップS52)。サーバ200のメタデータマネージャ214に問い合わせることによって確認可能である。メタデータが無い場合には(ステップS52)、マップビュー、ツリービュー、およびユーザビューの表示を変更する必要はないと判断して、表示制御処理を終了する。
【0079】
メタデータがある場合には(ステップS52)、端末100は、サーバ200からメタデータを取得し、その内容を解析する(ステップS53)。先に説明した通り、メタデータには、マップビューの表示制御情報、関連情報が含まれている(図2参照)。端末100は、地図表示制御処理を実行し(ステップS60)、これらの情報を反映した地図をマップビューに表示する。
【0080】
端末100は、ツリー表示範囲を決定し、ツリービューを更新する(ステップS70)。端末100は、ツリービューに、カテゴリのツリーを表示する場合には、この表示に必要な情報をカテゴリマネージャ216に問い合わせる。カテゴリマネージャ216は、表示すべきWebページに対応するカテゴリを特定し、同一カテゴリに属するリンク、同一の上位カテゴリ内に属するリンクなどを所定数抽出して、ツリー表示用のデータとして端末100に受け渡す。ツリービューにおいて、行政界のツリーを表示する場合には、同様の処理によって、表示に必要な情報をリージョンマネージャ212から取得することができる。
【0081】
端末100は、次に、メタデータで指定された表示位置およびスケールを用いてユーザビューを更新する(ステップS71)。ここでは、表示位置やスケールは、ユーザビューの初期状態を表す値として用いられる。メタデータで指定された表示位置やスケールを用いることなく、既定値を初期値として、ユーザビューを表示してもよい。
【0082】
図10は地図表示制御処理のフローチャートである。ブラウザモジュール120のマップビューコントローラ124が実行する処理である。端末100は、メタデータを取得、解析して(ステップS61)、地図表示位置およびスケールを設定する(ステップS62)。この際、メタデータよりも個別指定、つまり、ユーザビューによって指定された表示位置およびスケールを優先する。こうすることで、ユーザビューによる指定に応じて地図の表示態様を切り換えることが可能となる。
【0083】
図の右側にメタデータの取得方法を示した。各種のWebページおよびメタデータが階層的に構成されたディレクトリに格納されている場合、本実施例では、メタデータは下位層のディレクトリにも影響を及ぼすものとした。本実施例では、以下に説明する通り、表示位置およびスケールの設定は、こうしたディレクトリ構造も考慮して行う。
【0084】
図中の例では、「www.***1.ac.jp」というディレクトリ(以下、「ドメイン」と呼ぶこともある)内に「***2」、「top」、「top/abc」、「top/bcd」などのディレクトリが階層的に構成されている。メタデータは下位層のディレクトリにも影響を及ぼすため、「top」内のメタデータ内の表示制御情報や関連情報は、下位層のディレクトリ「top/abc」、「top/bcd」の表示時にも利用される(図中の矢印Aa、Ab参照)。ただし、これらの下位層のディレクトリ内にメタデータが存在する場合には、下位層のメタデータが優先される。例えば、「top」および「top/abc」の双方でスケールが指定されている場合には、下位層である「top/abc」で指定されたスケールが利用されるのである。双方にメタデータが存在している場合であっても、地図の表示位置が上位層である「top」でのみ指定されている場合には、指示内容は抵触していないため、「top」で指定された表示位置が利用される。従って、端末100は、ステップS61においては、Webページに該当するメタデータとともに、ドメインまで遡って上位層のメタデータも取得し、それぞれ下位層における指示内容優先というルールの下で、表示位置およびスケールを設定するのである。
【0085】
端末100は、またメタデータから関連情報を抽出し(ステップS63)、マーカの表示位置を特定する。そして、以上の処理で設定された表示位置、スケールおよびマーカの位置に基づいて地図を表示する(ステップS64)。地図表示に必要なデータは、サーバ200の地図DB204から取得する。地図のサイズは、表示位置、スケールで規定され、その地図上には、関連情報で示された位置にリンク付きのマーカが表示されることになる。
【0086】
先に説明した通り、本実施例では、関連情報は、個別指定、カテゴリ指定、リージョン指定のいずれかの方法で指定される。個別指定されている時には、メタデータ中で指定されているURLに対応する登録位置がマーカの表示位置となる。カテゴリ指定されている場合には、指定されたカテゴリに属するメタデータの一覧を、サーバ200のカテゴリマネージャ216から取得し、これらのメタデータに対応する登録位置をマーカの表示位置とする。リージョン指定されている場合には、指定されたリージョンに属するメタデータの一覧を、サーバ200のリージョンマネージャ212から取得し、これらのメタデータに対応する登録位置をマーカの表示位置とする。
【0087】
関連情報が何も指定されていない場合には、メタデータが格納されているディレクトリ構造を考慮して、他の階層にあるメタデータから関連情報を取得するようにしてもよい。例えば、下位層「top/abc」、「top/bcd」で関連情報が指定されていない場合、上位層「top」のメタデータにおける関連情報を用いるようにしてもよい(図中の矢印Aa、Ab)。また、図中の矢印Acに示すように、下位層「top/abc」で関連情報が指定されていない場合、上位層「top」まで遡った後、その下位に属する他のディレクトリ「top/bcd」のメタデータにおける関連情報を用いるようにしてもよい。更に、矢印Adに示すように、ドメインまで遡ってそこに属する他の階層のディレクトリ「***2」のメタデータにおける関連情報を用いるようにしてもよい。これらの態様においては、何段階上位層まで遡るかを予め設定しておいてもよいし、また所定数の関連情報が得られるまで参照するディレクトリの範囲を広げるようにしてもよい。
【0088】
以上で説明した実施例の地図表示システムによれば、Webページを表示した時に、その登録位置を含む地図を連動させて表示することができる。ユーザは、表示された地図に基づいて、Webページの登録位置を地図で確認することができる。例えば、観光案内などでは、Webページで紹介している観光地を容易に確認することが可能となる。地図表示システムは、この地図上に他のWebページへのリンクを付したマーカを表示する。従って、ユーザは、このマーカを利用することで地理的位置関係に基づいて他のWebページを検索することが可能となる。例えば、観光地のWebページを開いた時に表示される地図に基づいて、その観光地の付近にある他の観光地その他の施設のWebページを容易に参照することが可能となる。
【0089】
更に、実施例の地図表示システムは、メタデータマネージャ214が、Web空間内のメタデータを収集し、変更・削除について管理することができる。このため、Webページの提供者が、サーバ200に対して新規のメタデータの登録や、格納場所および内容の変更、削除などの通知等を行うまでなく、Web空間内のメタデータとメタデータマネージャ214の管理内容との同期を容易に取ることができる。
【0090】
E.変形例:
(1) 実施例では、メタデータをWebページとは別の独立したファイルとして構成し、Webページと同一のディレクトリに格納する場合を説明した。メタデータの形式および格納場所についてはこの他、種々の態様を採ることができる。例えば、メタデータをWebページの一部に組み込んでもよい。こうすることにより、両者の対応関係を容易に保持することができ、新規のWebページの登録、格納場所の移動も容易に行うことができる利点がある。この場合、メタデータストレージ218には、Webページも含めたデータを格納するようにしてもよいし、Webページからメタデータに相当する部分のみを抽出して格納するようにしてもよい。
【0091】
別の態様として、メタデータとWebページとを一対一で用意するのではなく、複数のWebページに対応した統合的なメタデータを用いるようにしてもよい。この時、統合可能な範囲は、メタデータの格納場所と同一のディレクトリ内のWebページに限定してもよいし、メタデータの格納場所と同一および下位層のディレクトリ内のWebページとしてもよい。
【0092】
(2) 実施例では、表示位置およびスケールを、メタデータによって設定する例を示した。メタデータによって、これらの表示態様が指定されていない場合、地図表示システムは、既定の表示位置およびスケールで地図を表示してもよいし、関連情報を用いて表示態様を設定してもよい。後者の例では、端末100は、地図表示制御処理(図10)のステップS64において、関連情報によって指定された全マーカの表示位置を求め、これらの重心点を表示位置に設定し、全マーカが入るようスケールを決定すればよい。表示態様の設定時に使用するマーカは、Webページの登録地点から近い順に所定数内というように制限してもよい。
【0093】
(3) 実施例では、Webブラウザビューのサイズをマップビューよりも大きくした例を示したが、マップビューでマーカを選択する場合には、地図を拡大表示した方が便利である。先に説明した通り、各ビューのサイズを可変としておけば、ユーザは、必要に応じてマップビューを拡大すればよい。しかし、この場合は、マーカを選択した後、Webページが表示されると、その情報を閲覧するために、再びWebブラウザビューのサイズを大きく調整しなおさなくてはならず、煩雑である。そこで、次に示すように、地図表示システムでは、変形例として、ビューのサイズを簡易に切換可能な機能を設けても良い。
【0094】
図11は変形例における表示画面例を示す説明図である。Webページを表示する時点では、表示V11に示すように、WebブラウザビューはウィンドウW1に表示され、マップビューはウィンドウW2に表示され、ツリービューはウィンドウW3に表示され、ユーザビューはウィンドウW4に表示される。各ビューの表示サイズは、図示する通り、Webブラウザビューが一番大きい。マップビューには、地図の他、切換ボタンBuが表示される。
【0095】
この状態で、ユーザが切換ボタンBuをクリックすると、表示V12のように表示状態が切り替わる。ウィンドウW1にマップビューが表示され、ウィンドウW2にWebブラウザビューが表示される。ウィンドウW1、W2のサイズは従前のままであるため、マップビューのサイズが最大となる。ここには従前と同一範囲の地図が拡大表示される。こうすることによって、ユーザは地図上でマーカを容易に認識、選択することができる。マーカを選択すると、リンクに応じて新たなWebページが表示される。この時点では、再び表示V11の状態に戻り、Webブラウザビューはサイズ最大のウィンドウW1に表示される。
【0096】
図11に示した表示の切換は、地図表示制御処理(図10)のステップS64で比較的容易に実現することができる。地図を表示する際の各ビューとウィンドウとの対応関係を、切換ボタンが押された時のみ変更すればよい。つまり、デフォルト設定では、
Webブラウザビュー→ウィンドウW1;
マップビュー →ウィンドウW2;
ツリービュー →ウィンドウW3;
ユーザビュー →ウィンドウW4;
というように各ビューとウィンドウを対応づけておき、切換ボタンBuが押された時には、
Webブラウザビュー→ウィンドウW2;
マップビュー →ウィンドウW1;
という切換えを行えばよい。この切換えは、切換ボタンBuが押された時のみ有効としておくことにより、新たなWebページを表示する際には、デフォルトの対応付けに容易に戻すことができる。
【0097】
(4) 実施例では、メタデータマネージャ214が、Web空間内のメタデータを収集する例を示した。本実施例は、Webページの作成者が、メタデータをサーバ200に登録するものとして構成してもよい。例えば、実施例におけるメタデータ発行処理(図7参照)において登録請求(ステップS106)の際に、メタデータを併せてサーバ200に送信する方法を採ることができる。メタデータマネージャ214は、このメタデータを受け取り、メタデータストレージ218に格納する。Webページの作成者は、メタデータの変更・削除をする場合も、同様にサーバ200にアクセスして、これらの処理を要求することになる。かかる構成では、メタデータマネージャ214は、Web空間内の検索をしないため、メタデータをWebページと同一ディレクトリに格納しておく必要(ステップS104)はない。
【0098】
上述の態様においては、メタデータを登録する際に、サーバ200の格納先となるディレクトリをWebページ作成者が選択可能としてもよい。登録請求(ステップS106)の際に、サーバ200から端末100に、格納先をツリービュー(図4参照)から選択する方法を採ることができる。ツリー構造で表示するのは、カテゴリ、リージョンなど関連情報で特定可能な階層構造と異なり、メタデータ管理用に設定された固有の階層構造であってもよい。このように階層構造を指定してメタデータを登録可能とすることにより、Web空間内でメタデータを階層的に格納した場合と同じく、地図表示制御処理(図10参照)において階層をまたがってメタデータの影響を及ぼすことが可能となる。
【0099】
(5) 実施例では、Webページの作成者がメタデータを準備し、WebページとともにWebサーバ内に格納する例を示した。実施例では、このメタデータは、メタデータマネージャ214がWeb空間を検索し、収集してメタデータストレージ128に格納することで利用可能とした。本実施例では、メタデータは、必ずしもWebページの作成者によって作成されたものである必要はない。例えば、Webページの作成者から依頼を受けた受任者がメタデータを作成し、そのメタデータを、地図表示システムのサーバ200に登録したり、受任者自身のサーバに格納したりしてもよい。受任者自身のサーバに格納する場合には、Webページとメタデータとを関連づけるため、例えば、Webサーバ内にメタデータの所在を示すURL、メタデータストレージ218内や受任者のサーバ内でメタデータが存在するディレクトリを特定するパス情報、その他の所在情報を格納しておけばよい。こうすることにより、メタデータマネージャ214は、所在情報で指定されたWebサーバから、Webページに対応するメタデータを適切に収集することが可能となる。この態様によれば、メタデータを作成する技術力を有しない者でも、登録地点の指定など、必要な情報を指定するだけで、本実施例の地図表示システムでの検索対象として容易に参加することが可能となる。
【0100】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。実施例および変形例で示した種々の特徴は、必ずしも全てを備えている必要はなく、適宜、一部を省略することも可能である。また、実施例で示した種々の処理は、端末100およびサーバ200のいずれで行うことも可能であり、両者の分散処理によって実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施例としての地図表示システムの構成を示す説明図である。
【図2】メタデータの内容を示す説明図である。
【図3】メタデータの管理方法を示す説明図である。
【図4】表示画面の概要を示す説明図である。
【図5】表示画面の変遷を示す説明図である。
【図6】表示画面変遷時の各モジュールの動作を示す説明図である。
【図7】メタデータ発行処理のフローチャートである。
【図8】メタデータ管理処理のフローチャートである。
【図9】表示制御処理のフローチャートである。
【図10】地図表示制御処理のフローチャートである。
【図11】変形例における表示画面例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0102】
100…端末
102…通信部
104…コマンド入力部
106…表示制御部
110…エージェントモジュール
120…ブラウザモジュール
122…Webブラウザビューコントローラ
124…マップビューコントローラ
126…ユーザビューコントローラ
128…ツリービューコントローラ
200…サーバ
202…通信部
204…地図DB
210…サービスプロバイダモジュール
212…リージョンマネージャ
214…メタデータマネージャ
216…カテゴリマネージャ
218…メタデータストレージ
300…Webサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Web空間に散在するWebページを表示するとともに、該Webページに関連する登録地点を含む地図を表示する地図表示システムであって、
前記登録地点の位置を表す地理情報を含むメタデータを、複数のWebページ分、管理するメタデータ管理部と、
ユーザからの指定に従って、前記Webページを表示するWeb表示部と、
地図を表示するための地図データベースと、
前記地図データベースを参照し、少なくとも前記指定されたWebページに対応するメタデータを用いて、前記登録地点と異なる地点にいずれかのWebページへのリンクを付したマーカを設置した状態で前記登録地点周辺の地図を表示する地図表示部とを備える地図表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の地図表示システムであって、
前記Webページに対応するメタデータは、前記Web空間に散在しており、
前記メタデータ管理部は、前記Web空間を検索し、複数のWebページに対応するメタデータを収集する地図表示システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の地図表示システムであって、
前記メタデータは、前記地図の表示態様を制御する表示制御情報を含み、
前記地図表示部は、前記表示制御情報に応じた地図を表示する地図表示システム。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の地図表示システムであって、
前記メタデータ管理部は、複数のWebページに対応するメタデータを関連づけて管理しており、
前記地図表示部は、前記関連に応じて前記地図に表示すべきリンクの範囲を制御する地図表示システム。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか記載の地図表示システムであって、
前記メタデータは、前記地図に表示すべきリンクの範囲を制御する関連情報を含み、
前記地図表示部は、前記関連情報に応じて前記マーカを表示する地図表示システム。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載の地図表示システムであって、
前記メタデータの少なくとも一部は、前記Web空間内で階層的に散在しており、
前記メタデータ管理部は、前記メタデータにつき、前記階層を併せて管理しており、
前記地図表示部は、前記階層に基づき、前記指定されたWebページに対応するメタデータ以外のメタデータも用いて、前記地図表示を行う地図表示システム。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか記載の地図表示システムであって、
前記地図表示部は、前記指定されたWebページに対応するメタデータが存在しない場合には、従前の地図表示を維持する地図表示システム。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか記載の地図表示システムであって、
ユーザから前記地図の表示態様に関する指示を受け付けるユーザ指示受付部を有し、
前記地図表示部は、表示すべきマーカも含めて、前記指示に応じて前記地図の表示態様を更新する地図表示システム。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか記載の地図表示システムであって、
前記地図表示部は、前記地図に表示すべきマーカの位置に応じて、前記地図の表示範囲を設定する地図表示システム。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか記載の地図表示システムであって、
前記メタデータに対応するWebページへのリンクを付したマーカを、所定の規則で階層化したツリー構造で表示するツリー表示部を有し、
前記ツリー表示部は、前記メタデータ管理部による前記メタデータの管理状況に応じて前記表示を更新する地図表示システム。
【請求項11】
請求項1〜10いずれか記載の地図表示システムであって、
前記メタデータには識別データが付されており、
前記メタデータ管理部は、
前記Webページの作成者による前記メタデータの発行要求を受け付け、
既発行のメタデータと異なる識別データを発行する地図表示システム。
【請求項12】
請求項1〜11いずれか記載の地図表示システムであって、
ユーザから地図表示とWebページの表示の切換指示を受け付ける指示受付部を有し、
前記地図表示部は、前記切換指示に応じて、前記Webページを表示していたWeb表示エリアに前記地図を表示し、
前記Web表示部は、該切換指示に応じて、前記地図を表示していた地図表示エリアに前記Webページを表示する地図表示システム。
【請求項13】
Web空間に散在するWebページを表示するとともに、該Webページに関連する登録地点を含む地図を表示する地図表示方法であって、コンピュータが実行する工程として、
前記登録地点の位置を表す地理情報を含むメタデータまたは該メタデータへのリンクを、複数のWebページ分、前記コンピュータのメモリ内に記憶させることにより管理する工程と、
ユーザからの指定に従って、前記Webページのデータを前記Web空間から取得し、前記コンピュータのメモリ内に記憶させるとともに、該Webページを表示する工程と、
前記地図データベースを参照し、少なくとも前記指定されたWebページに対応するメタデータを用いて、いずれかのWebページへのリンクを付したマーカを前記登録地点と異なる地点に設置するためのマーカ表示データを用意して、前記コンピュータのメモリ内に保持するとともに、該マーカ表示用データと前記地図データベース内のデータとを合成したデータを生成して、前記登録地点周辺の地図を表示する工程とを備える地図表示方法。
【請求項14】
Web空間に散在するWebページを表示するとともに、該Webページに関連する登録地点を含む地図を表示するためのコンピュータプログラムであって、
前記登録地点の位置を表す地理情報を含むメタデータまたは該メタデータへのリンクを、複数のWebページ分、前記コンピュータのメモリ内に記憶させることにより管理するためのサブプログラムと、
ユーザからの指定に従って、前記Webページのデータを前記Web空間から取得し、前記コンピュータのメモリ内に記憶させるとともに、該Webページを表示するサブプログラムと、
前記地図データベースを参照し、少なくとも前記指定されたWebページに対応するメタデータを用いて、いずれかのWebページへのリンクを付したマーカを前記登録地点と異なる地点に設置するためのマーカ表示データを用意して、前記コンピュータのメモリ内に保持するとともに、該マーカ表示用データと前記地図データベース内のデータとを合成したデータを生成して、前記登録地点周辺の地図を表示するサブプログラムとを備えるコンピュータプログラム。
【請求項15】
Web空間に散在するWebページを表示するとともに、該Webページに関連する登録地点を含む地図を表示する地図表示ブラウザであって、
前記地図表示ブラウザがインストールされたコンピュータ内またはコンピュータ外に設けられ、前記登録地点の位置を表す地理情報を含むメタデータを、複数のWebページ分、管理するための管理モジュールにアクセスし、前記メタデータの少なくとも一部を取得し、前記コンピュータのメモリ内に記憶させるサブプログラムと、
ユーザからの指定に従って、前記Webページのデータを前記Web空間から取得し、前記コンピュータのメモリ内に記憶させるとともに、該Webページを表示するサブプログラムと、
前記地図データベースを参照し、少なくとも前記指定されたWebページに対応するメタデータを用いて、いずれかのWebページへのリンクを付したマーカを前記登録地点と異なる地点に設置するためのマーカ表示データを用意して、前記コンピュータのメモリ内に保持するとともに、該マーカ表示用データと前記地図データベース内のデータとを合成したデータを生成して、前記登録地点周辺の地図を表示するサブプログラムとを備える地図表示ブラウザ。
【請求項16】
請求項15記載の地図表示ブラウザがインストールされた端末とネットワークで接続され、Web空間に散在するWebページを前記端末に表示するとともに、該Webページに関連する登録地点を含む地図を前記端末に表示させる地図表示サーバであって、
複数のWebページに対応するメタデータを格納しておくためのメタデータストレージと、
前記Web空間を検索し、複数のWebページに対応するメタデータを収集し、前記メタデータストレージに格納させるとともに、前記地図表示ブラウザからの要求に対応するメタデータを、前記端末に提供するメタデータ管理部とを備える地図表示サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−46681(P2008−46681A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218888(P2006−218888)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 九州工業大学 大学院情報工学研究科 情報創成工学専攻、「修士論文発表会 プログラム・概要集」、平成18年2月17日、社団法人 情報処理学会 九州支部、「火の国情報シンポジウム2006 論文集 CD−ROM」、平成18年3月13日
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】