地層評価のための装置及び方法
【課題】地下層を貫通する井戸坑に配置されたダウンホール工具による地下層の地層評価を実行するための技術を提供する。
【解決手段】地下層を貫通する井戸坑に配置可能なダウンホール工具のための粘度計−密度計。地層は、そこに少なくとも1つの流体を含む。ダウンホール工具は、流体の少なくとも一部分を粘度計−密度計に搬送するようになっている。粘度計−密度計は、センサユニットと少なくとも1つの磁石を含む。センサユニットは、ダウンホール工具内に配置可能であり、少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタと、この少なくとも2つのコネクタ間に緊張状態で吊られ、それにより、粘度計−密度計がダウンホール工具内に配置され、ダウンホール工具が地下層内に配置されて地下層から流体を受け取る時に流体との相互作用に対して利用可能であるワイヤとを含む。コネクタ及びワイヤは、周波数発振器を形成するように構成される。
【解決手段】地下層を貫通する井戸坑に配置可能なダウンホール工具のための粘度計−密度計。地層は、そこに少なくとも1つの流体を含む。ダウンホール工具は、流体の少なくとも一部分を粘度計−密度計に搬送するようになっている。粘度計−密度計は、センサユニットと少なくとも1つの磁石を含む。センサユニットは、ダウンホール工具内に配置可能であり、少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタと、この少なくとも2つのコネクタ間に緊張状態で吊られ、それにより、粘度計−密度計がダウンホール工具内に配置され、ダウンホール工具が地下層内に配置されて地下層から流体を受け取る時に流体との相互作用に対して利用可能であるワイヤとを含む。コネクタ及びワイヤは、周波数発振器を形成するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下層を貫通する井戸坑に配置されたダウンホール工具による地下層の地層評価を実行するための技術に関する。より具体的には、限定的ではないが、本発明は、ダウンホール工具によって引き込まれた及び/又は評価された地層流体の粘性及び密度のような流体パラメータを判断するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸坑は、炭化水素を探して生成するために掘削される。ビットがその先端に付いたダウンホール掘削工具を地中に前進させて井戸坑を形成する。掘削工具を前進させる時に、掘削工具を通じて掘削泥水を吸い上げて掘削ビットから排出して掘削工具を冷却して掘り屑を取り除く。掘削泥水は、更に、井戸坑の内側を覆うマッドケーキを形成する。
掘削作業中、井戸坑が貫通する地層の様々な評価を行うことが望ましい。場合によっては、掘削工具を除去してワイヤライン工具を井戸坑内に配備し、地層を試験及び/又はサンプリングすることができる。他の場合には、周囲の地層を試験及び/又はサンプリングするための装置を掘削工具に装備することができ、その掘削工具を使用して試験又はサンプリングを行うことができる。例えば、これらのサンプル又は試験を使用して貴重な炭化水素の位置を示すことができる。
【0003】
地層評価では、多くの場合、試験及び/又はサンプリングのためにダウンホール工具内に地層からの流体を引き込むことが必要である。プローブのような様々な装置をダウンホール工具から延ばして井戸坑を取り囲む地層との流体連通を確立し、流体をダウンホール工具内に引き込む。典型的なプローブは、ダウンホール工具から延ばされて井戸坑の側壁に対して配置された円形要素である。プローブの先端のゴムパッカーを利用して井戸坑の壁とのシールを作り出す。井戸坑とのシールを形成するために使用される別の装置は、二重パッカーと呼ばれている。二重パッカーを用いて、2つのエラストマー性リングが工具の回りに半径方向に広がり、それらの間の井戸坑の一部分を隔離する。リングは、井戸坑壁とのシールを形成し、流体を井戸坑の隔離部分の中に、更にダウンホール工具内の入口の中に引き込ませる。
【0004】
井戸坑の内側を覆うマッドケーキは、プローブ及び/又は二重パッカーが井戸坑壁に対してシールを作るのを助ける上で有用であることが多い。シールができた状態で、地層からの流体は、ダウンホール工具内の圧力を下げることにより入口を通してダウンホール工具内に引き込まれる。ダウンホール工具に使用されるプローブ及び/又はパッカーの例は、米国特許第6,301,959号、第4,860,581号、第4,936,139号、第6,585,045号、第6,609,568号、及び第6,719,049号、並びに米国特許出願第2004/0000433号で説明されている。
【0005】
地層評価は、一般的に、ダウンホール工具に引き込まれた流体に関して行われる。現在、ダウンホール工具に入る流体の様々な測定、事前調査、及び/又はサンプル収集を行うための技術が存在する。しかし、地層流体がダウンホール工具内を通る時に、井戸坑流体及び/又は掘削泥水のような様々な汚染物質が地層流体と共に工具に入る場合があることが見出されている。これらの汚染物質は、測定値及び/又は地層流体のサンプルの品質に影響を与えることがある。更に、汚染は、より多くの試験及び/又はサンプリングのための付加的な時間を必要とすることにより、井戸坑作業の遅延による経費をもたらす場合がある。更に、このような問題は、誤差を含む及び/又は使用できない誤った結果を生じるであろう。
【0006】
従って、ダウンホール工具に入り込む地層流体は、有効な試験を行う上で十分に「清浄」又は「未使用」であることが望ましい。すなわち、地層流体は、汚染がほとんどないか又は全くないものであるべきである。汚染物質が地層流体と共にダウンホール工具に入るのを排除しようという試みが行われてきた。例えば、米国特許第4,951,749号で示すように、フィルタをプローブ内に設置して汚染物質が地層流体と共にダウンホール工具に入るのを阻止している。更に、Hrametzに付与された米国特許第6,301,959号に示すように、プローブには、清浄な流体がプローブに入る時に汚染流体を清浄な流体からそらすための保護リングが設けられている。ダウンホール工具に入る流体は、一般的に流路を通過し、サンプルチャンバに捕捉されるか又は井戸坑内に捨てることができる。様々な弁、ゲージ、及び他の構成要素を流路に沿って組み込み、流体がダウンホール工具を通る時にそれをそらし、試験し、及び/又は捕捉することができる。
【0007】
ダウンホール工具を通る流体を試験して様々なダウンホールパラメータ又は特性を判断することができる。貯蔵状態での流体の粘性、密度、及び相挙動のような炭化水素貯蔵流体の熱物理学的特性を用いて、潜在的な埋蔵量を評価し、有孔媒体における流量を判断し、とりわけ完成システム、分離システム、処理システム、及び計量システムを設計することができる。
流体の粘性を判断する様々な技術が開発されている。例えば、捩りワイヤのための固定点間に吊り下げられたボブを有する粘度計も、例えば、米国特許第5,763,766号及び第6,070,457号に説明されているように提案されている。粘度計はまた、振動する物体で形成されてきた。1つのこのような粘度計は、炭化水素生成井戸において地層流体又は濾液の粘性、密度、及び誘電率を測定することを目的としてダウンホール用途に使用されている。例えば、国際特許公告番号WO02/093126では、炭化水素生成井戸内の地層流体又は濾液の粘性、密度、及び誘電率のリアルタイムの直接測定値及び推定値をもたらすためにパイプ内の音叉共振器が開示されている。2つの柱の間にクランプ留めされたワイヤを有する別の粘度計は、例えば、「Tλを超える加圧Heの粘性」、「Physica 76」(1974年)、177〜180頁、及び「振動ワイヤ粘度計」、「The Review of Scientific Instruments」、第35巻、第10号、(1694年10月)、1345〜1348頁に説明されているような実験室環境で使用されている。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,301,959号
【特許文献2】米国特許第4,860,581号
【特許文献3】米国特許第4,936,139号
【特許文献4】米国特許第6,585,045号
【特許文献5】米国特許第6,609,568号
【特許文献6】米国特許第6,719,049号
【特許文献7】米国特許出願第2004/0000433号
【特許文献8】米国特許第4,951,749号
【特許文献9】米国特許第5,763,766号
【特許文献10】米国特許第6,070,457号
【特許文献11】国際特許公告番号WO02/093126
【非特許文献1】「Tλを超える加圧Heの粘性」、「Physica 76」(1974年)、177〜180頁
【非特許文献2】「振動ワイヤ粘度計」、「The Review of Scientific Instruments」、第35巻、第10号、(1694年10月)、1345〜1348頁
【非特許文献3】Retsina、T.;Richardson、S.M.;Wakeham、W.A.著「応用科学研究」、1987年、43、325〜346頁
【非特許文献4】Retsina、T.;Richardson、S.M.;Wakeham、W.A.著、1986年、43、127〜158頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
粘性を測定する技術が存在するにも関わらず、好ましくは重力場に対するダウンホールでのセンサの位置に関係なく、ダウンホールでの正確な粘性測定値を提供する必要性が依然として存在する。このようなシステムは、精度及び/又は正確さの検査を提供することができることが望ましい。このようなシステムは、厳しい井戸坑環境での使用に適応した単純な構成を備えることが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、本発明は、地下層を貫通する井戸坑に配置可能なダウンホール工具のための粘度計−密度計に関する。ダウンホール工具は、地層内の流体の少なくとも一部分を粘度計−密度計に搬送するようになっている。粘度計−密度計は、ダウンホール工具内に配置可能なセンサユニットを含む。センサユニットは、少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ、ワイヤ、及び少なくとも1つの磁石を含む。ワイヤは、粘度計−密度計がダウンホール工具内に配置され、かつダウンホール工具が地下層内に配置されて流体を地下層から受け取る時に流体と相互作用するのに利用可能であるように、少なくとも2つのコネクタ間に張った状態で吊られている。コネクタ及びワイヤは、周波数発振器を形成するように構成される。上述の少なくとも1つの磁石は、ワイヤと相互作用する磁場を発生する。
【0011】
コネクタとワイヤは、周波数発振器を形成するように類似の熱膨張率を有する材料で構成することができる。例えば、コネクタとワイヤは、単一種類の材料で構成され、ダウンホール条件によって引き起こされる熱及び弾性変形によるワイヤの共振周波数の変動を実質的に排除することができる。粘度計−密度計には、ワイヤがコネクタによって吊り下げられた流管を装備することもでき、この例においては、流管、コネクタ、及びワイヤは、周波数発振器を形成するように類似の熱膨張率を有する材料で構成されることが望ましい。
【0012】
別の態様では、センサユニットには、コネクタに対するワイヤの回転を防止するための手段が更に装備される。ワイヤの回転を防止するための手段は、ワイヤに接続したボスを含むことができ、ボスは、非円形断面を有している。
更に別の態様では、粘度計−密度計には、ワイヤと相互作用する流体の少なくとも2つのパラメータ(例えば、粘性及び密度)を計算するためのフィードバックをワイヤから受け取る分析回路が更に装備される。
【0013】
更に別の態様では、本発明は、壁を有して地下層を貫通する井戸坑に配置可能なダウンホール工具に関する。地層は、一般的に、そこに天然ガス及び石油のような流体を有する。ダウンホール工具には、ハウジング、流体連通装置、及び粘度計−密度計が装備される。ハウジングは、少なくとも1つの評価空洞を封入する。流体連通装置は、井戸坑の壁との密封係合のためにハウジングから延長可能である。流体連通装置は、流体を地層から受け取ってこのような流体を評価空洞内に堆積させるために評価空洞と連通した少なくとも1つの入口を有する。粘度計−密度計には、評価空洞内に配置されたセンサユニットが装備される。センサユニットには、少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ、ワイヤ、及び磁石が装備される。ワイヤは、それが評価空洞内の流体との相互作用に利用可能であるように、上述の少なくとも2つのコネクタ間に張った状態で吊られている。コネクタとワイヤは、周波数発振器を形成するように構成される。少なくとも1つの磁石は、ワイヤと相互作用する磁場を発生する。粘度計は、上述のいずれかのバージョンとすることができる。
【0014】
更に別の態様では、ダウンホール工具には、既知の特性、例えば、粘性及び密度を有する流体を収容する比較チャンバを装備することができる。比較チャンバ内のダウンホール条件、例えば、圧力及び温度は、評価空洞内のダウンホール条件と類似(好ましくは同一)である。ダウンホールが、評価空洞内の未知のパラメータの流体内に配置された一方のセンサユニットと、比較チャンバ内の既知のパラメータの流体と共に配置された他方のセンサユニットとを含むように、ダウンホール工具には、比較チャンバ内のセンサユニットも装備される。評価空洞内の流体の未知のパラメータの少なくとも2つ(例えば、粘性及び密度)を示す信号が次に計算される。
【0015】
更に別の態様では、本発明は、未知の流体を有する地層を貫通する井戸坑内でその流体の少なくとも2つの未知のパラメータを測定する方法に関する。本方法においては、ダウンホール工具の流体連通装置は、井戸坑の壁と密封係合した状態で設けられる。流体は、次に、地層からダウンホール工具内の評価空洞の中に引き込まれる。評価空洞内の流体のデータは、評価空洞内に配置されて2つのコネクタ間に吊されたワイヤを有する粘度計−密度計でサンプリングされる。ワイヤ及びコネクタは、周波数発振器を形成するように構成される。
この態様では、評価空洞は、流路又はサンプルチャンバとすることができる。粘度計−密度計によってサンプリングされたデータを用いて、評価空洞内でサンプリングされたデータを利用して少なくとも2つのパラメータを計算することができる。この少なくとも2つのパラメータは、粘性及び密度を含む。
【0016】
更に別の態様では、本方法は、評価空洞内の流体の温度及び圧力に関連した温度及び圧力を有する比較チャンバ内の既知の流体に対してデータをサンプリングする段階を含むことができる。この例においては、本方法は、一般的に、比較チャンバからサンプリングされたデータと評価空洞からサンプリングされたデータとを利用して、評価空洞内の未知の流体の少なくとも2つのパラメータを計算する段階を更に含む。
【0017】
更に別の態様では、本発明は、流体の粘性及び密度のような少なくとも2つの流体パラメータを計算するための分析回路に供給されるか又はそこに含むことができるコンピュータ可読媒体に関する。この例においては、コンピュータ可読媒体は、(1)一方のセンサユニットが未知のパラメータの流体内に配置され、他方のセンサユニットが既知のパラメータの流体と共に配置された少なくとも2つのセンサユニットからフィードバックを受け取り、(2)この一方のセンサユニットが配置された流体の未知のパラメータの少なくとも2つを示す信号を計算し、同時に未知のパラメータの流体内のセンサユニットを取り囲む井戸坑条件の変動を実質的に排除するための論理を含む。信号を計算するための論理は、例えば、センサユニットから受け取ったデータのジョイント・インバージョンを実行するための論理を含むことができる。
上述の本発明の態様の各々においては、少なくとも2つの流体パラメータは、同時に計算されることが好ましい。
【0018】
本発明の上述の特徴及び利点を詳細に理解することができるように、先に簡単に要約した本発明のより詳細な説明は、添付図面に示すその実施形態を参照することによって行うことができる。しかし、本発明は他の同等に有効な実施形態を受け入れることができるので、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、従って、その範囲を限定するように解釈されないことに注意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の現時点で好ましい実施形態を上述の図面に示し、以下で詳細に説明する。好ましい実施形態を説明する際に共通又は類似の要素を特定するために同様又は同一の参照番号を使用する。図面は必ずしも縮尺通りではなく、図面中のいくつかの特徴及びいくつかの図は、明瞭さ及び正確さのために縮尺において誇張され又は概略で示す場合がある。
【0020】
定義
いくつかの用語は、それらが初めて使用される時に本説明を通して定義され、一方、本説明で使用されるいくつかの他の用語は以下のように定義される。
「環状」とは、環、環に関すること、又は環を形成すること、すなわち、円又は楕円のような閉鎖曲線の形状の線、帯、又は構成を意味する。
「汚染流体」とは、流体が井戸坑掘削時に使用された泥水からの濾液のような汚染物質を含むために、炭化水素流体サンプリング及び/又は評価に一般的に許容可能ではない流体、例えば、気体又は液体を意味する。
「ダウンホール工具」とは、関連する1以上の地下層の評価、生成、及び/又は管理に関係したダウンホール作業を行うためのドリルストリング、ワイヤライン、及びコイル配管のような手段により井戸坑内に配備される工具を意味する。
【0021】
「作動的に接続された」とは、情報、力、エネルギ、又は物質(流体を含む)を伝達するか又は誘導するために直接的又は間接的に接続されたことを意味する。
「未使用流体」とは、十分に純粋、無垢、自然、非汚染、又はそれ以外に流体サンプリング及び分析分野において有効な炭化水素サンプリング及び/又は評価のための所定の地層を満足できる程度に表すと考えられる地下流体、例えば、気体又は液体を意味する。
「流体」とは、「未使用流体」又は「汚染流体」のいずれかを意味する。
【0022】
「クランプ」とは、2以上の部品をそれらを確実に保持するために互いに結合又は締付け又は圧迫するように設計された装置を意味する。
「コネクタ」とは、ワイヤの一部分を固く接合又は把持するためのクランプのようなあらゆる装置又はアセンブリを意味する。
「周波数発振器」とは、井戸坑条件、例えば、温度及び圧力の変化が、張られたワイヤの共振周波数に実質的な影響を与えず、それによって様々な井戸坑条件における張られたワイヤから得られた読取値が、張られたワイヤと相互作用する流体の特性を満足できる程度に表すように、真空内の張られたワイヤの共振周波数(以下、「f0」と呼ぶ)が予測可能であることを意味する。
【0023】
詳細説明
図1は、リグ12から井戸坑14内に吊り下げられる本発明により構成されたダウンホール工具10を示している。ダウンホール工具10は、掘削、コイル配管、又は他のダウンホール工具のような、地層評価を行うことができるあらゆる種類の工具とすることができる。図1のダウンホール工具10は、ワイヤラインケーブル16を通じてリグ12から井戸坑14内に配置され、かつ地層Fの近くに配置された従来のワイヤライン工具である。ダウンホール工具10には、井戸坑14の壁20(以下、「壁20」又は「井戸坑壁20」と呼ぶ)との密封を行うようになったプローブ18が装備されており、矢印によって示すように、流体を地層Fからダウンホール工具10内に引き込むものである。バックアップピストン22及び24は、ダウンホール工具10のプローブ18を井戸坑壁20に押し当てるのを助けるものである。
【0024】
図2は、本発明により構成されたダウンホール工具30の別の例を示している。図2のダウンホール工具30は、掘削中測定(MWD)掘削工具、掘削中ログ(LWD)掘削工具、又は当業者に公知である他の掘削工具の1以上(又は、それ自体の場合もある)の間で搬送することができる掘削工具である。ダウンホール工具30は、井戸坑14を形成するためにリグ12によって駆動されるドリルストリング32に取り付けられる。ダウンホール工具30は、矢印で示すように、地層Fからダウンホール工具30内に流体を引き込むために井戸坑14の壁20との密封を行うようになったプローブ18を含む。以下で説明する粘度計−密度計又はセンサユニットは、ダウンホール工具10又はダウンホール工具30と共に使用することができる。
【0025】
図3Aは、流体流れシステム34を示す図1のダウンホール工具10の一部分の概略図である。プローブ18は、井戸坑壁20との係合のためにダウンホール工具10のハウジング35から延長されることが好ましい。プローブ18には、井戸坑壁20との密封を行うためのパッカー36が装備されている。パッカー36は、井戸坑壁20に接触して井戸坑14の内側を覆うマッドケーキ40によるシールを形成する。マッドケーキ40は、井戸坑壁20に溶け出して井戸坑14回りに侵入区域42を作り出す。侵入区域42は、泥水及び地層F及び地層F内に含まれた未使用流体44の一部分を含む周囲の地層を汚す他の井戸坑流体を含む。
【0026】
プローブ18には、評価流路46が設けられることが好ましい。流体を流路に引き込むためのプローブ及び二重パッカーのような流体連通装置の例は、米国特許第4,860,581号及び第4,936,139号に示されている。
評価流路46は、ダウンホール工具10内に延びており、試験及び/又はサンプリングのために未使用流体44のような流体をダウンホール工具10に通すのに使用される。評価流路46は、未使用流体44のサンプルを収集するサンプルチャンバ50まで延びる。ポンプ52を使用すると、流体を流路46内に引くことができる。
【0027】
図3Aは、流体を地層から引くのに使用されるダウンホール工具のサンプル構成を示すが、プローブ、流路、及びダウンホール工具の様々な構成を用いることができ、本発明の範囲を限定することは意図していないことを当業者は認めるであろう。
例えば、図3Bは、別々の流路内に流体を引き込むための修正プローブ18a及び流体流れシステム34aを有するダウンホール工具10の別のバージョンの一部分の概略図である。より具体的には、図3Bに示す流体流れシステム34aは、流体流れシステム34aが評価流路46並びにそれぞれの流路46及び46aに付随するポンプ52a及び52bに加えて清掃流路46aを含む点を除き、図3Aに示す流体流れシステム34と類似のものである。図3Bに示すプローブ18aは、空洞56aが流路46と連通し、空洞56bが流路46aと連通する2つの別々の空洞56a及び56bをプローブ18aが有する点を除き、図3Aに示すプローブ18と類似のものである。空洞56bは、空洞56aが「未使用流体」を地層Fから引くことを可能にするために、空洞56bが「汚染流体」を地層Fから引き込むように、空洞56aの回りに延びている。汚染流体は、清掃流路46aから吐き出され、出口57を通じて井戸坑14内に入る。流体を別々の流路に引き込むために使用されるプローブ及び二重パッカーのような流体連通装置の例は、本発明の出願人に譲渡された米国特許第6,719,049号及び米国特許公告出願第20040000433号、及びHalliburtonに譲渡された米国特許第6,301,959号に示されている。
【0028】
本発明によれば、粘度計−密度計60(a、b、c)は、評価空洞内流体の粘性を測定する評価流路46、清掃流路46a、又はサンプルチャンバ50のようなダウンホール工具10内の評価空洞に付随するものである。図3Bに示す例においては、粘度計−密度計60は、明瞭さを期すために参照番号60a、60b、及び60cと説明されている。粘度計−密度計60は、図4、図5、及び図6により詳細に示されている。
また、ダウンホール工具30には、ダウンホール工具10の図3A及び図3Bに示すバージョンと類似の方法で、ハウジング、プローブ、流体流れシステム、パッカー、評価流路、清掃流路、サンプルチャンバ、ポンプ、及び粘度計−密度計を装備することができる。
【0029】
ここで図4から図6を参照して、評価流路46内にある評価空洞に関して詳細に以下に説明する。しかし、以下の説明は、清掃流路46a又はサンプルチャンバ50内にある評価空洞にも同等に適用可能であることを理解すべきである。また、粘度計−密度計60をダウンホール工具10に関連して説明するが、このような説明は、ダウンホール工具30に同等に適用可能であることを理解すべきである。更に、粘度計−密度計60を評価流路46及び46aに沿って配置した図3A及び図3Bを示すが、ダウンホールパラメータを測定するダウンホール工具10回りの様々な場所に粘度計−密度計60を配置することができる。
【0030】
一般的に、粘度計−密度計60は、センサユニット62、1以上の磁石64(a、b)、信号プロセッサ66、及び分析回路68を有する。図4に示す例においては、粘度計−密度計60には、図4においては参照番号64a及び64bによって指定された2つの磁石が装備されている。センサユニット62には、少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ72と、粘度計−密度計60のセンサユニット62がダウンホール工具10内に配置され、かつダウンホール工具10が地下層F内に配置されて、流体を地層Fから受け取る時にワイヤ74が流体との相互作用に利用可能であるように少なくとも2つのコネクタ72間に吊されたワイヤ74(図5)とが装備される。磁石64a及び64bは、ワイヤ74内を流れる正弦波電流と相互作用する磁場を発する。信号プロセッサ66は、信号路75a及び75bを通じてワイヤ74と電気的に通信する。信号路75a及び75bは、ワイヤ、ケーブル、又は空中通信リンクとすることができる。信号プロセッサ66は、正弦波電流を形成する駆動電流をワイヤ74に供給し、一般的に、正弦波電流によってワイヤ74は、供給される信号に従って振動又は共振する。一般的に、信号プロセッサ66からワイヤ74に供給される信号は、信号の周波数が所定の方法で変わる掃引周波数一定電流信号と考えることができる。
【0031】
分析回路68は、フィードバックをワイヤ74から受け取る。正弦波電流は、ワイヤ74内を流れ、周波数が共振周波数に近い一般的に最低次数モードの時に、検出可能な運動起電力(emf)が発生する。共振時の周波数の関数として測定されるのは、駆動電圧及び運動emfである。一般的に、分析回路68は、ワイヤ74の共振周波数を示すフィードバックをワイヤ74から受け取る。流体の粘性により、ワイヤ74の共振周波数は、所定の方法で変わり、これは、流体の粘性の判断を可能にするものである。ワイヤ74からのフィードバックから粘性を判断する方法を以下に詳細に説明する。分析回路68は、フィードバックをワイヤ74から受け取って流体の粘性を計算することができるあらゆる種類の回路とすることができる。一般的に、分析回路68は、分析回路68が粘性を計算することを可能にするメモリ又はディスクのようなコンピュータ可読媒体上に記憶されたソフトウエアプログラムを実行するコンピュータプロセッサを含むことになる。しかし、特定的な実施形態では、アナログ又は他の形式の装置を使用して分析回路68を実行することができることを理解すべきである。例えば、分析回路68は、アナログ/デジタル変換器、その次に流体の粘性を計算する復号器を含むことができる。分析回路68及び信号プロセッサ66を図4に別々に示すが、分析回路68及び信号プロセッサ66は、単一の回路で実行するか又は別々の回路で実行することができることを理解すべきである。更に、分析回路68及び信号プロセッサ66は、図4ではダウンホール工具10内にあると示されているが、信号プロセッサ66及び/又は分析回路68は、ダウンホール工具10の外部に位置することができることを理解すべきである。例えば、掃引信号を発生させる信号プロセッサ66は、ダウンホール工具10内に位置することができ、一方、分析回路68は、井戸坑14近傍か又は井戸坑14から遠く離れた場所に位置するモニタリングセンター内で井戸坑14の外側に位置する。
【0032】
また、粘度計−密度計60のセンサユニット62には、ハウジング76が装備される。ハウジング76は、チャンネル78(図5及び図6)と、チャンネル78と連通する入口80と、チャンネル78と連通する出口82とを形成する。図4に示す例においては、流体は、評価流路46内で方向84に流れている。従って、流体がセンサユニット62と遭遇した時、流体は、入口80を通過してチャンネル78に入ると出口82を通じてハウジング76を出る。また、ハウジング76に評価流路46の内側寸法よりも小さい外側寸法が設けられた時に、ある一定の量の流体も、ハウジング76の外面88と評価流路46の内面89の間に形成されたチャンネル87(図4)内のハウジング76を通過することになる。
【0033】
ワイヤ74は、流体がハウジング76を通る時に流体がコネクタ72間の実質的にワイヤ74全体と接触するようにチャンネル78に配置される。これによって、流体が確実にコネクタ72間のワイヤ74の全長に亘って流れ、流体間にあるワイヤ74の清掃を容易にする。ワイヤ74は、ワイヤ74の張り及びワイヤ74を取り囲む流体の粘性によって複数の基本モード共振周波数(又は、その高調波)で振動することができる導電材料で構成される。ワイヤ74は、流体密度とワイヤ74密度の差が大きいほど感度が大きくなるために、大きな密度を有する材料で構成されることが望ましい。また、流体密度とワイヤ密度の比を通じて密度がワイヤ回りの流体に対して感度を提供する一方、ワイヤ74は、安定した共振をもたらすために高いヤング率を有することが必要である。様々な材料をワイヤ74に使用することができる。例えば、ワイヤ74は、タングステン又はクロメルで構成することができる。ワイヤ74が天然ガスのような気体を感知するのに使用される時、ワイヤ74は、相対的に滑らかな外面を有することが好ましい。この例においては、クロメルは、ワイヤ74を構成する上での好ましい材料である。
【0034】
図4に示すように、磁石64は、評価流路46の外部に配置され、かつ評価流路46の外面に取り付けられることが好ましい。また、磁石64は、ハウジング76に組み込むことができる。代替的に、ハウジング76は、磁性材料で構成することができる。
図5及び6に示すように、ハウジング76には、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92を装備することができる。第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、協働してチャンネル78を構成する。第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、磁石64によって生成された磁場がハウジング76からの実質的な干渉なしにワイヤ74と相互作用することができるように、導電非磁性材料で構成されることが好ましい。例えば、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、K500モネル、タングステン、又は別の種類の非磁性材料、例えばステンレス鋼のようなダウンホール適合材料で構成することができる。
【0035】
また、ハウジング76には、第1のハウジング部材90を第2のハウジング部材92から絶縁するために、第1のハウジング部材90と第2のハウジング部材92の間に配置される絶縁層96(図5)が装備される。ワイヤ74は、絶縁層96の両側の間に延びて第1のハウジング部材90を第2のハウジング部材92に電気的に接続する。絶縁層96は、第1の絶縁層98と第2の絶縁層100で構成することができる。ワイヤ74には、第1の端部102と第2の端部104が装備される。第1の絶縁層98は、ワイヤ74の第1の端部102の近くに配置され、第2の絶縁層100は、ワイヤ74の第1の第2の端部104の近くに配置される。ワイヤ74は、チャンネル78に掛かり、第1のハウジング部材90を第2のハウジング部材92と電気的に接続する役目をする。
【0036】
図4に示すセンサユニット62の例においては、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92の各々は、第1の端部108、第2の端部110、及び第1の端部108と第2の端部110の間の中間部分112を有すると特徴付けることができる。第1の端部108及び第2の端部110には、中間部分112の断面積又は直径よりも小さい断面積又は直径が設けられる。従って、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92の各々は、第1の端部108と第2の端部110を中間部分112から分離する肩部114を有する。入口80及び出口82は、チャンネル78がハウジング76の中間部分112を通るように肩部114の近くで第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92内に形成される。肩部114は、流体を入口80に導くような形状となっている。
【0037】
信号路75a及び75bをセンサユニット62に連結するために、粘度計−密度計60には、更に、第1のハウジング部材90に結合された第1の端子116と、第2のハウジング部材92に結合された第2の端子118とが装備される。従って、信号プロセッサ66及び分析回路68は、信号路75a及び75bを通じて第1及び第2の端子116及び118に連絡している。信号路75a及び75bは、一般的に、1以上のフィードスルー120を通じて評価流路46を通って延びることに注意すべきである。フィードスルー120は、流体が評価流路46に形成された開口部を通るのを防止すると同時に、信号路75a及び75bが評価流路46を通って延びることを可能にするための流体密封シールを提供する。
【0038】
第1の端子116及び第2の端子118は、構成及び機能が同一とすることができる。第1の端子116及び第2の端子118を実施するために、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92には、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92の第1の端部108及び第2の端部110のいずれかに形成されるネジ穴124を設けることができる。図5に示す例においては、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92には、第1の端部108及び第2の端部110の両方に形成されるネジ穴124が設けられている。また、図4から図6に示すように、第1の端子116及び第2の端子118には、信号路75a及び75bの各々を第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92に連結するためにネジ付き留め具126が装備されている。
【0039】
第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、あらゆる適切な機械的又は化学的な種類のアセンブリによって互いに接続される。図6に示すように、粘度計−密度計60には、第1のハウジング部材90を第2のハウジング部材92に固定する複数のネジ付き留め具130(図6)が設けられている。ネジ付き留め具130は、一般的に、鋼又はアルミニウムのような導電材料で構成されることに注意すべきである。また、ネジ付き留め具130が第1のハウジング部材90と第2のハウジング部材92の間に電気経路を形成するのを防止するために、粘度計−密度計60には、ネジ付き留め具130の各々を第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92の一方から絶縁させるために、複数の絶縁フィードスルー132が装備される。
【0040】
粘度計−密度計60のセンサユニット62は、あらゆる適切なアセンブリによって評価流路46内に固定することができる。センサユニット62は、評価流路46内での長さ方向の移動及び評価流路46内での回転移動を防止するように固定することができることを理解すべきである。信号路75a及び75bには、評価流路46内でのセンサユニット62の長さ方向の移動及び/又は回転移動を防止するのに十分な剛性を与えることが好ましい。また、付加的な固定手段を使用して、評価流路46内のセンサユニット62の移動を防止することができる。例えば、評価流路46内のセンサユニット62の長さ方向の移動を防止するために、センサユニット62の下流側で直径を短縮することができる。
【0041】
当業者によって理解されるように、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、ネジ付き留め具130によって互いに固定された時に、協働してコネクタ72を形成する。ワイヤ74は、以下のように接続して緊張させる。ワイヤ74は、一端で接続される。他端は、第2のコネクタ72に通して供給されるが緊張させない。緩いコネクタ72から突出する端部から質量(図示せず)が取り付けられる。地球の重力場内でワイヤ74から吊り下げられた質量のマグニチュードでワイヤ径に対する張力、従って、共振周波数が判断され、約1kHzの共振周波数は、直径0.1mmのワイヤで吊された500gの質量で得ることができる。ワイヤ74の直径を変えると測定対象の粘性範囲を変えることができる。約24時間後、ワイヤ74は、第2の端部をクランプ締めして質量を取り除く。この手順によってワイヤ74内の捩れが少なくなる。ワイヤ74は、次に、各熱サイクル間でかなり安定した共振周波数を有するワイヤをもたらすために加熱されて冷却され、粘度計−密度計60の場合、ワイヤ74共振周波数は、60sの程度の共振に亘る周波数の関数として複素電圧を判断するのに必要な時間中は安定している必要がある。
【0042】
粘性を計算するために、磁場がある場合に正弦波電流がワイヤ74内に流される。磁場は、ワイヤ74に垂直であり、正弦波電流が存在する場合には、磁場が原因となってワイヤ74が移動する。得られる誘導起電力(運動emf)又は複素電圧は、駆動電圧に追加される。運動emfは、駆動電圧がオフセットされるか又はゼロにされるロックイン増幅器又はスペクトルアナライザを含む信号プロセッサを有する分析回路68を通じて検出することができる。電流周波数が基本共振周波数に近いか又はそのものである時、ワイヤ74は共振する。複素電圧は、通常は共振に亘る周波数で測定され、観察結果が解式、ワイヤ密度、及び半径と組み合わされて既知の密度の流体に対する粘性が判断される。電流のマグニチュードは、流体の粘性に依存し、許容可能なSN比が検出回路で得られるように変更され、35mAよりも小さい値が一般的に使用され、得られる複素運動emfは、数マイクロボルトである。電流のマグニチュードに加えて、ワイヤ74の直径はまた、上限作動粘性を決め、ワイヤ直径を大きくすると、上限作動粘性が大きくなる。これ以外にもワイヤ運動を励起して検出する方法はあるが、いずれもロックイン増幅器ほど便利ではない。
【0043】
ワイヤ74から受け取ったフィードバックから流体の粘性及び密度を計算するために、分析回路68は、以下のように作動する。ワイヤ74は、磁場内に置かれ、交流をワイヤ74に通すことによって定常状態の横振動に駆動される。ワイヤ間で発生する得られる電圧Vは、2つの成分から成る。
【0044】
【0045】
第1の項V1は、単に定置ワイヤの電気インピーダンスから生じ、一方、第2のV2は、磁場が存在する場合にワイヤの運動から生じる。V1は、以下で示される。
【0046】
【0047】
方程式(2)においては、fは、ワイヤ74が磁場が存在する場合に駆動される周波数であり、一方、a、b、cは、実験結果を用いた回帰によって決まる調整可能なパラメータである。パラメータa、b、cは、ワイヤの電気インピーダンスを説明し、電圧信号が可能な限り最も感度の高い範囲で検出されることを保証するために、ロックイン増幅器内で使用されるオフセットを吸収するものでもある。V2の第2の成分は、以下によって計器の解式で与えられる。
【0048】
【0049】
方程式(3)においては、Λは振幅、f0は真空状態でのワイヤ共振周波数、Δ0はワイヤの内部減衰、βはワイヤによって変位した流体から生じた付加質量、β’は流体粘性による減衰である。
流体の付加質量β及び粘性抵抗β’を明らかにする振動ワイヤの流体機構は、以下によって表すことができる。
【0050】
【0051】
及び
【0052】
【0053】
ただし、k及びk’は以下で与えられる。
【0054】
【0055】
及び
【0056】
【0057】
方程式(6)及び(7)において、Aは、以下で示す複素量である。
【0058】
【0059】
ここで、
【0060】
【0061】
方程式(8)において、K0及びK1は、修正ベッセル関数であり、Ωは、半径Rの円筒形ワイヤ回りの流れを特徴付けるレイノルズ数に関係するものである。方程式(9)において、流体粘性及び密度は、それぞれη及びρで示されている。従って、流体粘性及び密度は、方程式(1)から(9)により予測される同相電圧及び直交電圧が周波数の関数に亘って実験的に求めた値と一致するように値を調整することによって判断することができる。データが収集される周波数範囲は、一般的に約fr±5gであり、ただし、gは共振曲線の半値幅であり、frは基本横共振周波数である。SN比が大きく、周波数の増加と共に大きくなる電気的クロストークがゼロの電気的に完全な装置においては、帯域幅の選択は重要ではない。しかし、これは、Q{=f/(2g)}が、帯域幅が増加した時に起こる1になる時には極めて重要であり、これは、粘性の増加と、駆動電圧が増加しない限り、対応するSN比の減少と共に起こり、測定が行われる帯域幅を判断することの重要性は、以下で明らかになる。
【0062】
方程式(4)から(9)は、以下を仮定することによって得られる。(1)ワイヤ74の半径がワイヤ74の長さと比較すると小さい、(2)流体の圧縮性が無視できる、(3)流体を含むハウジング76の半径が、境界効果が無視できるようにワイヤ半径と比較すると大きい、及び(4)振動の振幅が小さい。文献で報告されている振動ワイヤ粘度計においては、共振周波数は、ワイヤの張力及びワイヤを取り囲む流体の密度の両方に敏感であり、この密度に対する感度は、多くの場合、ワイヤを上部でクランプ締めして質量を下端に取り付け、アルキメデスの原理を利用することによって大きくなる。しかし、密度を代替ソース、例えば、状態方程式から求めた場合、共振線幅だけが安定していればよい。
【0063】
一般的に、粘度計−密度計60のような振動ワイヤ粘度計は、理論的には較正定数を決める必要がない絶対的な装置である。しかし、実際には、密度及び半径のようなワイヤ74の一部分の物理特性は、独立した方法では十分な精度まで判断することはできない。従って、それらの特性は、通常は較正によって判断する。これを行うために、測定は、真空及び粘性及び密度が既知である流体の両方において行われる。前者によってΔ0が得られる。ワイヤ半径Rは、粘性測定を行うのに必要とされる他の唯一の未知の変数である。較正流体の粘性及び密度が与えられると、単一の測定でワイヤ半径を判断することができる。
【0064】
1.解式の修正
ワイヤ74間に発生する複素電圧Vは、ワイヤ74の電気インピーダンスから生じるV1と磁場が存在する場合にワイヤ74の運動から生じるV2から成る(方程式1)。電気インピーダンスによる寄与以外に、V1も、電気的クロストーク又は他の形態の結合のような背景ノイズの原因となる。これらの干渉により、振動ワイヤ74の共振周波数近くの周波数間隔に亘って相対的に滑らかな背景が生じる。測定複素電圧を周波数の関数として適切に再現するために、付加的な周波数依存パラメータを方程式(2)に含める。すなわち、
【0065】
【0066】
方程式(10)の付加的な周波数依存項を考慮に入れないと、測定複素電圧は、解式に十分には適さないことが多く、その結果、流体密度及び粘性における大きな誤差を招くことになる。これは、特に高粘性流体に当て嵌まる。
【0067】
2.振動ワイヤからの流体密度及び粘性の判断
流体密度及び粘性を判断するには、振動ワイヤ74の解式によるデータ当て嵌めが必要である。最小自乗当て嵌めの方法は、1組のデータの最適な特徴付けは、当て嵌めモデル(又は解式)からのデータのずれの自乗の和を最小にするものであるという考えに基づいている。ずれの自乗の和は、以下のカイ自乗(又はχ2)と呼ぶ適合度統計に密接に関係するものである。
【0068】
【0069】
ただし、fiは周波数指数、D(fi)及びV(fi)は、それぞれ、記録された複素電圧及び解式であり、νは、Nデータ点を当て嵌めるための自由度の数である。流体密度及び粘性を含む未知のパラメータを見つける時に、(11)で定義されたカイ自乗測度を最小化するために、最小自乗判断基準が以下のように公式化される。
【0070】
【0071】
ただし、「ρ」、「η」、「f0」、「Λ」、「a」、「b」、「c」、及び「d」は、未知のパラメータである。「Levenberg−Marquardt」アルゴリズム[14]によってこの最小化問題を解く非線形回帰手順が与えられる。
【0072】
全ての未知パラメータのうちでも特に、振動振幅(すなわち、Λ)と定置ワイヤの電気インピーダンス及び他の背景干渉に関係する定数(すなわち、a、b、c、及びd)とは、最小化手順によって良好に求められる。しかし、密度、粘性、及びf0間の基本的な不確定性は、それ自体の当て嵌めによって密度及び粘性の正しい値を選別することを妨げている。この基本的な不確実性を絶つために、密度、粘性、及びf0間の付加的な関係を当て嵌め手順における制約条件として使用する。数学的には、これらの変数間の関係は、一般関数の形に書くことができる。
【0073】
【0074】
代替的に、この関係はまた、データから導出することができる共振の半値幅(g)及び共振周波数(fr)のような付加的な測定結果も含むことができる。
【0075】
【0076】
方程式(13)〜(14)は、較正手順を通して又はフィールドデータに基づいて実験的に確立することができる。本発明の好ましい実施形態は、方程式(13)〜(14)の特別の場合、具体的には、固定f0により定義された超平面である。Retsina他(Retsina、T.;Richardson、S.M.;Wakeham、W.A.著「応用科学研究」、1987年、43、325〜346頁、及び、Retsina、T.;Richardson、S.M.;Wakeham、W.A.著、1986年、43、127〜158頁)で論じされているように、f0は、ワイヤ74に作用する張力に直接的に関係する真空状態におけるワイヤ74の共振周波数と指定することができる。f0が既知であるか又は与えられた場合、固定f0によって定められた超平面に関する最小値調査を限定することができる。
【0077】
図7aは、上述のように、粘性及び密度を同時に計算する流れ図134を示している。最初に、ブロック134a、b、及びcで示すように、ワイヤ直径、ワイヤ密度、及び内部減衰係数に対する定数と、流体密度、粘性、及び共振周波数f0に対する初期推定値と、同じく制約条件G(密度、粘性、及び共振周波数f0)とを計算ブロック134dに入力する。その後、初期ワイヤ応答をブロック134dによって表されているように計算する。初期ワイヤ応答は、同相及び直交電圧において計算することができる。
【0078】
同相及び直交電圧のような周波数の関数としての入力データは、ブロック134eで示すように受け取られ、その後、ブロック134fで示すように、データと計算された応答の間の差異に基づいてカイ自乗を計算する。次に、流体密度、粘性、共振周波数、及びラムダの推定値a、b、c、及びdの更新が受け取られる。非線形回帰分析のいずれかを用いると、ブロック134gで示すように、更新データを得ることができる。その後、分析回路68は、カイ自乗及び推定値の更新に基づいて収束試験を適用する(ブロック134hで示すように)。収束試験によって収束が所定の又は許容可能な量以内の収束を示す場合、処理は、段階134iに分岐し、そこで、流体密度及び粘性が出力される。しかし、収束試験で収束が所定の量を外れる収束を示す場合、処理は段階134dに戻り、そこで、ワイヤ応答を更新された流体密度、粘性、及び共振周波数に基づいて再計算し、収束試験で収束が所定の量内になるまで段階134d、134e、134f、134g、及び134hを繰り返す。
【0079】
図7bは、以下の事項以外は図7aに関して上述したものと同一の方法で粘性及び密度を同時に計算する流れ図を示している。図7aと同一である図7bの段階には、明瞭さを目的として同一参照番号でラベル付けされていることに注意すべきである。
図7に表す粘性及び密度を計算する処理においては、センサユニット62を試験して共振周波数f0を判断する。センサユニット62を較正するために、既知の流体を有する環境チャンバにセンサユニット62を入れ、その後、較正データが得られるように温度及び圧力を変える。その後、ブロック136bで示すように、較正データを分析回路68に入力し、ブロック136cで示すように、このような較正データを利用して共振周波数f0を計算する。
【0080】
図8は、全体的最小値が存在する固定f0超平面によって切り取られたカイ自乗性能表面を示すグラフである。グラフは、軸F、D、及びVを含む。F軸は、Hzによるf0の周波数を表す。D軸は、kg/m3によるワイヤ74を取り囲む流体の密度を表す。V軸は、cpによるワイヤ74を取り囲む流体の粘性を表す。濃淡部の意味は、カイ自乗の値であり、暗色は、低カイ自乗値である。最小値137の位置によって密度及び粘性推定値が得られる。
【0081】
f0が安定しており、±1Hz以内で既知である場合、広範囲の流体に対して3〜4%以内で流体密度を判断することができる。誤差は、高密度流体の方が小さい(1%から2%)。±0.5Hz以内で既知である場合、密度誤差は、広範囲の流体に対して約1〜2%になる。粘性の誤差は、一般的に、f0が±1Hzである場合は密度誤差(約3%)よりも小さい。同様に、粘性の誤差は、高密度流体の方が小さい。流体密度及び粘性を同時に推定するには、好ましい実施形態では、様々な異なる温度及び圧力において安定して予測可能なf0をもたらす周波数発振器を形成するセンサユニットが必要である。ダウンホール環境における一般的な温度及び圧力範囲は、50から200℃及び2.07から172.4MPa(300から25000psi)の範囲である。
【0082】
粘度計−密度計60と共に使用されるセンサユニット150の別のバージョンを図9に示している。以下でより詳細に説明するように、センサユニット150は、センサユニット150が平行に延びる絶縁層96によって分離された導電性の第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92を有するのではなく、ワイヤ156を取り囲む絶縁流管154によって分離された一対の導電コネクタ152が装備される点を除き、上述のセンサユニット62と構成及び機能が類似のものである。センサユニット150に関して、以下でより詳細に説明する。
【0083】
センサユニット150は、センサユニット150が浸漬される流体の密度及び粘性のような少なくとも2つの異なるパラメータをセンサユニット150によって生成されたデータから同時に計算することができるように、安定して予測可能なf0をもたらす周波数発振器を形成する。
コネクタ152は、図9においては、明瞭さを目的として参照番号152a及び152bによって指定されている。これらのコネクタ152は、構成及び機能は同一である。従って、これより以降コネクタ152aのみに対して説明する。コネクタ152aには、クランプ部材158、クランプ板160、及びクランプ板160をクランプ部材158に連結するための少なくとも1つの留め具162が装備されている。クランプ部材158は、いずれかの適切な嵌め会いアセンブリを通じて流管154に連結される。例えば、図9に示すように、クランプ部材158には、端部支持体166が流管154によって支持されるように、流管154の所定の一部分と嵌合する端部支持体166が設けられている。図9に示すバージョンにおいては、流管154には、ネックダウン部分168が設けられており、端部支持体166は、ネックダウン部分168を覆うように配置されたカラーを形成する。また、クランプ部材158には、端部支持体166に連結されてそれから延びるフランジ170が設けられている。ワイヤ156の中心をフランジ170上に置くために、少なくとも1つのレジストレーション・ピン174がフランジ170上に設けられている。クランプ部材158には、ワイヤ156が図9に示すようにレジストレーション・ピン174間に螺合することができるように、少なくとも2つの離間したレジストレーション・ピン174が設けられることが望ましい。
【0084】
留め具162は、ワイヤ156を固定するためにクランプ板160をクランプ部材158に連結するものである。留め具162は、クランプ部材158をクランプ板160に連結することができるあらゆる種類の装置とすることができる。例えば、留め具162は、ネジとすることができる。
流管154は、ワイヤ156と類似の熱膨張率を有する材料で構成されることが好ましい。ワイヤ156がタングステンで構成された時、流管154は、「Shapal−M」のようなセラミックで構成することができる。
【0085】
流体が開口部180を通じて流管154を出入りすることを可能にするために、少なくとも1つの開口部180がクランプ部材158に形成されている。図9に示すように、クランプ部材158には、各々が半円の形状を有する少なくとも2つの開口部108を設けることができる。しかし、開口部180の形状は、設計担当者の希望によって変わる可能性があることを理解すべきである。より詳細には、開口部180は、非対称形、対称形、又は奇抜な形状を有する可能性があることを理解すべきである。
ワイヤ156は、上述のワイヤ74と類似の方法で構成される。ワイヤ156は、ワイヤ74がハウジング76内で支持されて張られたのと類似の方法で、流管154内で支持されて張られる。信号プロセッサ66からの信号路75a及び75bと分析回路68は、ネジ、ボルト、又は端子などのようなあらゆる適切な方法でそれぞれのコネクタに連結される。
【0086】
上述のように、センサユニット150のf0、つまり方程式(1)の真空における共振が安定したものである場合、密度及び粘性の両方を共振に亘る周波数の関数として測定された複素電圧から判断することが可能である。センサユニット150は、絶縁された材料から形成された流管154により分離された2つの金属コネクタ152を含む。これらの材料は、異なる弾性特性、及び場合によっては熱特性も有する。コネクタ152及び流管154は、ワイヤ156の張力だけで互いに保持されることが好ましい。
【0087】
センサユニット150は、流体特性及び圧力による影響を受けないf0を有することが好ましい。後者は、小さいがワイヤ材料の圧縮性からの計算可能な寄与を有する場合がある。更に、共振器の構成における異なる材料の使用から生じる異なる熱膨張率を含む、温度変動に対するワイヤ156の応答は、測定可能か又は計算可能であるべきである。ワイヤ156は、垂直磁場が存在する場合に電流をそれに通すことによって張力が掛けられて横運動を開始する。これらの要素は、楕円断面を有するワイヤ156から生じるであろうワイヤ156の回転移動を排除することによりセンサユニット150を改良することができることを示唆しており、センサユニット150も、電流がワイヤを通して流れることを可能にするためにワイヤ156の各端部を絶縁すべきである。
【0088】
タングステンは、表面は粗いが、ヤング率E(≒411GPa)及び密度ρs(≒19,300kg・m-3)が他の材料に対して高いために、液体を伴う測定用のワイヤ156には好ましい材料である。ワイヤ156に張力を掛けた時に、前者は、安定した共振をもたらす助けをし、一方、後者は、方程式(4)及び(5)の比ρ/ρsを通じてワイヤ156回りの流体に感受性をもたらすものである。表面の粗さの影響は、振動振幅が小さくかつレイノルド数が100よりも小さいことを条件として無視できるものである。密度の測定に関しては、ワイヤ密度は、付加質量の概念から導出されるように、流体の密度に向う傾向があることが望ましい。従って、タングステンを使用することができるが、タングステンよりも低い密度を有する他の材料も測定対象の流体の予想密度によっては許容可能である。
【0089】
異なる熱膨張の影響を最小限に抑えるために、ワイヤ材料のこの選択は、コネクタ152、流管154、及び緊張機構に使用する材料を決定する。流管154を形成する絶縁材料の機械的特性は、ワイヤ156及びコネクタ152の両方に使用される材料にできるだけ近いものであることが望ましい。例えば、ワイヤ張力に及ぼす異なる熱膨張の影響は、温度が周囲環境から外れているので、タングステンの熱膨張率と同等の線形の熱膨張率を有する材料を選択することによって小さくすることができるであろう。圧縮強度が1GPaである高い熱膨張率を有する機械加工可能なセラミックである「Shapal−M」は、T=298Kの時の線形熱膨張率α=(1/L)dL/dT=5.2・10-6K-1を有し、一方、α(W、298K)≒4.5・10-6k-1である。絶縁材料の代替材料としては、窒化アルミニウム又は「Macor」のいずれかを含むことができるであろうが、これらの材料のαはWと同等ではない。
【0090】
上述の判断基準は、温度、圧力、及び流体特性から生じるf0の変動を小さくするために、図11及び図12に示す振動ワイヤ粘度計−密度計60のセンサユニット200の別のバージョンを作製するために使用したものである。センサユニット200は、同じ熱膨張及び弾性特性を有するタングステンのようなほとんど同じ材料でセンサユニット200を構成すると同時に、ワイヤ156の回転も最小限に抑えて流体特性の変動から生じるf0に及ぼす影響を小さくすることにより温度及び圧力の影響が低減される点を除き、構成及び機能がセンサユニット150と類似のものである。図11に示すセンサユニット200は、いずれもタングステンで形成された2つのコネクタ204及び206とワイヤ202が保持されるコネクタ204及び206との間に配置された流管208から成る。ワイヤ202は、各コネクタ204及び206に固く連結される。例えば、図11及び図12に示す例においては、ワイヤ202は、各コネクタ204及び206に電子ビーム溶接(EBW)される。
【0091】
コネクタ204は、ボス212と末端部分214を含む。ボス212は、ワイヤ202に連結され、ワイヤ202の回転を防止するように設計される。例えば、ボス212に非円形の断面、例えば四角形を設けて、ワイヤ202の回転を防止することができる。ボス212は、末端部分214に形成された空洞内に配置される。ボス212は、コネクタ206とのアラインメントを容易にする形状となっている。ボス212は、コネクタ206とのアラインメントを容易にするのに適切なあらゆる形状で形成することができる。例えば、ボス212は、コネクタ206とのアラインメントを容易にするためにテーパ付き又は円錐形端部を含むことができる。ワイヤ202をボス212に固く固定するあらゆる適切な方法を通じてボス212にワイヤ202を取り付けることができる。例えば、ワイヤ202をボス212内に形成されたスロット(図示せず)内に配置し、ボス212がワイヤ202回りでクランプを形成するように、上述のように電子ビーム溶接することができる。
【0092】
コネクタ206には、端部マウント216、ボス218、絶縁体220、及びボス218及び端部マウント216との相対的な位置を調節する調節アセンブリ222が設けられている。ボス218は、ボス212がワイヤ202に連結されるのと同じ方法でワイヤ202に連結される。ボス218は、ワイヤの回転を防止するように設計される。例えば、ボス218には、ワイヤ202の回転を防止するために非円形の断面、例えば四角形を設けることができる。ボス218は、端部マウント216内に形成された空洞224内に配置される。
【0093】
絶縁体220は、端部マウント216とボス218の間の電気的隔離を行うものである。図11及び図12に示す実施形態では、絶縁体220は、端部マウント216内の空洞224を裏打ちし、かつ端部マウント216の面226に亘って延びるスリーブとして形成される。絶縁体220は、ダウンホール環境に耐えることができるあらゆる絶縁材料で形成することができる。例えば、「Shapal−M」のようなセラミック材料で構成することができる。
【0094】
調節アセンブリ222は、ワイヤ202の張力の調節を可能にするためにボス212と端部マウント216の間の相対的な位置を調節することができるあらゆる装置とすることができる。例えば、調節アセンブリ222は、ボス212に螺合したワイヤ緊張ナット230を含むことができる。勿論、これ以外にもワイヤ202の緊張を可能にするためにワイヤ202をハウジングにクランプ締めするのに使用することができる構成は数多くある。例えば、図示のように2つのクランプ又はコネクタの間又はバネの使用である。
【0095】
上述のように、張られた振動ワイヤ74、156、又は202は、温度、圧力、及び流体に対して安定した共振周波数を有することが望ましい。安定した共振周波数は、本質的に、一定のワイヤ張力という要件に合ったものになる。安定した発振器を機械的考察だけから構成することはもっともらしいが、相対測定の概念によって別のソリューションが提供される。粘度計−密度計60の1つ(60aと指定)が未知の粘性及び密度の流体内に配置され、粘度計−密度計60の別のもの(60bと指定)が既知の粘性及び密度の流体内に配置された2以上の粘度計−密度計60を有する点を除き上述のダウンホール10と構成及び機能が類似であるダウンホール10aの別のバージョンの断片図を図13に示す。粘度計−密度計60a及び60bには、磁石64a及び64bが装備される。この手法では、2つの類似のセンサユニット250a及び250bが使用され、一方は未知の特性、例えば密度及び粘性を有する流体内に浸漬され、他方は、既知の特性を有する流体内に浸漬される。センサユニット250a及び250bは、上述のセンサユニット62、150、又は200に対して上述の方法で構成することができる。
【0096】
センサユニット250aは、評価流路252内に配置され、評価流路252は、上述の評価流路46、清掃流路46a、又はサンプルチャンバ50とすることができる。ダウンホール工具10aにおいては、流路252と流体連通しているエルボ又は継手254が設けられている。継手254は、既知の流体及びセンサユニット250bが配置された比較チャンバ255を形成する。ダウンホール工具10aには、流路252内の圧力を均等化する圧力均等化アセンブリ256が装備されている。一般的に、圧力均等化アセンブリ256は、評価流路252と比較チャンバ255の間の圧力を均等化することができるあらゆる装置とすることができる。例えば、図13に示すように、圧力均等化アセンブリ256は、比較チャンバ255に対して移動して圧力を均等化する往復ピストン258を含むことができる。
【0097】
センサユニット250a及び250bは、駆動電圧を供給し、かつ上述のように粘性及び密度のような1以上の流体パラメータを判断するための1以上の信号プロセッサ260及び分析回路262に接続される。信号プロセッサ260及び分析回路262は、構成及び機能は上述の信号プロセッサ66及び分析回路68と類似のものである。
センサユニット250a及び250b間の共振の比率は、例えば、図14a及び図14bにおいて図示するように判断される。図14aは、図13に示す2つの粘度計−密度計60a及び60bを利用して流体の密度及び粘性を計算する処理170を示している。処理170は、上述の図7aで利用されたものと類似の段階を有する。明瞭さを目的として、類似の段階は、同じ参照番号134a、134b、134d、134e、134f、134g、134h、及び134iとラベル付けされており、改めて詳細には説明しない。
【0098】
一般的に、比較チャンバ255に入ることになる流体密度及び粘性は、段階172及び174で示すように、「米国標準技術局(NIST)」の表を利用するなどの公知の方法によって判断される。分析回路262は、段階176で示すように、信号をセンサユニット250bから受け取り、その後、段階178で示すように、比較チャンバ255内の流体の既知の密度及び粘性に基づいて共振周波数を計算する。その後、分析回路262は、図7Aに対して上述した方法で粘性及び密度を計算する。
【0099】
流路252内の未知の流体の流体密度及び粘性を計算する別の処理を図14bに示している。処理180においては、ブロック182及び183で示すように、流体密度、粘性、及びラムダの初期推定値a、b、c、及びdを分析回路262に入力する。ブロック184で示すように、ワイヤ直径、ワイヤ密度、及び内部減衰係数のような定数を分析回路262に入力する。ブロック186で示すように、流路252内のセンサユニット250aが露出される温度及び圧力のような他の入力を分析回路262に入力する。その後、ブロック188及び190で表すように、センサユニット250a及び250bから同相電圧及び直交電圧のような入力データを読取り、ブロック183で示すように、センサ250a及び250bからのデータのジョイント・インバージョンを計算する。その後、分析回路262は、ブロック192で示すように、センサユニット250aを取り囲む流体の流体密度及び粘性を出力する。
粘性及び密度を計算する以上の2つの方法を説明したが、2つのセンサユニット250a及び250bによって生成された出力の比率測定のようなあらゆる方法を利用することができると考えられる点を理解すべきである。
【0100】
センサユニット250a及び250b内のワイヤが類似の構成(好ましくは同一構成)であり、同じ温度及び圧力に露出されることを条件として、これらの変数から生じる不安定性は排除され、安定した発振器であることを示すデータが得られる。両方の概念、すなわち、比較又は比率測定とセンサユニット150及び200に関して上述した安定した幾何学的形状とが組み合わされた場合、共振器は安定であり、かつ密度及び粘性の両方を提供することができることになることはあり得ることである。
【0101】
本発明の好ましい及び代替的な実施形態においてその真の精神から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることが以上の説明から理解されるであろう。本明細書で含まれる装置は、手動及び/又は自動的に作動して望ましい作業を行うことができる。この作動は、必要に応じて及び/又は生成されたデータ、検出された条件、及び/又はダウンホール作業からの結果の分析に基づいて実行することができる。
【0102】
本明細書は、例証のみを意図したものであり、限定する意味に解釈されるべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の言語によってのみ判断されるべきである。特許請求の範囲の「含む」という用語は、特許請求の範囲の要素の示された列挙事項が開放グループであるように「少なくとも含む」を意味するものとする。「a」、「an」、及び他の単数形は、特に除外しない限り、その複数形を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】ワイヤライン工具がリグから吊された、内部粘度計−密度計を有するダウンホールワイヤライン工具の概略部分断面図である。
【図2】ダウンホール掘削工具がリグから吊された、内部粘度計−密度計を有するダウンホール掘削工具の概略部分断面図である。
【図3A】井戸坑の側壁に対して見当合わせしたプローブとダウンホール工具内の評価流路内に配置された粘度計−密度計とを有する図1のダウンホール工具の一部分の概略図である。
【図3B】二重パッカーと組み合わせて利用される清掃流路を有する図1のダウンホール工具の別のバージョンの一部分の概略図である。
【図4】評価空洞内に配置された粘度計−密度計の側面図である。
【図5】吊されたワイヤを示す図4の粘度計−密度計のセンサユニットの断面図である。
【図6】図4に示す粘度計−密度計のセンサユニットの分解斜視図である。
【図7a】粘性及び密度を同時に計算する方法を示す論理流れ図である。
【図7b】粘性及び密度を同時に計算する別の方法を示す論理流れ図である。
【図8】粘性及び密度の計算において利用される最小値を示す固定f0超平面によって切り取られたカイ自乗性能表面を示すグラフである。
【図9】粘度計−密度計の別のセンサユニットの分解斜視図である。
【図10】図9に示すセンサユニットの上面図である。
【図11】センサユニットの別のバージョンの側面図である。
【図12】図11の線12−12に沿って切り取られた図11のセンサユニットの断面図である。
【図13】粘度計−密度計の1つが未知の粘性及び密度の流体内に配置され、粘度計−密度計の別のものが既知の粘性及び密度の流体内に配置された2以上の粘度計−密度計を有するダウンホール工具の別のバージョンの断片概略図である。
【図14a】図13に示す構成を利用して粘性及び密度を同時に計算する方法を示す論理流れ図である。
【図14b】図13に示す構成を利用して粘性及び密度を同時に計算する別の方法を示す論理流れ図である。
【符号の説明】
【0104】
10 ダウンホール工具
12 リグ
14 井戸坑
18 プローブ
20 井戸坑壁
F 地層
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下層を貫通する井戸坑に配置されたダウンホール工具による地下層の地層評価を実行するための技術に関する。より具体的には、限定的ではないが、本発明は、ダウンホール工具によって引き込まれた及び/又は評価された地層流体の粘性及び密度のような流体パラメータを判断するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸坑は、炭化水素を探して生成するために掘削される。ビットがその先端に付いたダウンホール掘削工具を地中に前進させて井戸坑を形成する。掘削工具を前進させる時に、掘削工具を通じて掘削泥水を吸い上げて掘削ビットから排出して掘削工具を冷却して掘り屑を取り除く。掘削泥水は、更に、井戸坑の内側を覆うマッドケーキを形成する。
掘削作業中、井戸坑が貫通する地層の様々な評価を行うことが望ましい。場合によっては、掘削工具を除去してワイヤライン工具を井戸坑内に配備し、地層を試験及び/又はサンプリングすることができる。他の場合には、周囲の地層を試験及び/又はサンプリングするための装置を掘削工具に装備することができ、その掘削工具を使用して試験又はサンプリングを行うことができる。例えば、これらのサンプル又は試験を使用して貴重な炭化水素の位置を示すことができる。
【0003】
地層評価では、多くの場合、試験及び/又はサンプリングのためにダウンホール工具内に地層からの流体を引き込むことが必要である。プローブのような様々な装置をダウンホール工具から延ばして井戸坑を取り囲む地層との流体連通を確立し、流体をダウンホール工具内に引き込む。典型的なプローブは、ダウンホール工具から延ばされて井戸坑の側壁に対して配置された円形要素である。プローブの先端のゴムパッカーを利用して井戸坑の壁とのシールを作り出す。井戸坑とのシールを形成するために使用される別の装置は、二重パッカーと呼ばれている。二重パッカーを用いて、2つのエラストマー性リングが工具の回りに半径方向に広がり、それらの間の井戸坑の一部分を隔離する。リングは、井戸坑壁とのシールを形成し、流体を井戸坑の隔離部分の中に、更にダウンホール工具内の入口の中に引き込ませる。
【0004】
井戸坑の内側を覆うマッドケーキは、プローブ及び/又は二重パッカーが井戸坑壁に対してシールを作るのを助ける上で有用であることが多い。シールができた状態で、地層からの流体は、ダウンホール工具内の圧力を下げることにより入口を通してダウンホール工具内に引き込まれる。ダウンホール工具に使用されるプローブ及び/又はパッカーの例は、米国特許第6,301,959号、第4,860,581号、第4,936,139号、第6,585,045号、第6,609,568号、及び第6,719,049号、並びに米国特許出願第2004/0000433号で説明されている。
【0005】
地層評価は、一般的に、ダウンホール工具に引き込まれた流体に関して行われる。現在、ダウンホール工具に入る流体の様々な測定、事前調査、及び/又はサンプル収集を行うための技術が存在する。しかし、地層流体がダウンホール工具内を通る時に、井戸坑流体及び/又は掘削泥水のような様々な汚染物質が地層流体と共に工具に入る場合があることが見出されている。これらの汚染物質は、測定値及び/又は地層流体のサンプルの品質に影響を与えることがある。更に、汚染は、より多くの試験及び/又はサンプリングのための付加的な時間を必要とすることにより、井戸坑作業の遅延による経費をもたらす場合がある。更に、このような問題は、誤差を含む及び/又は使用できない誤った結果を生じるであろう。
【0006】
従って、ダウンホール工具に入り込む地層流体は、有効な試験を行う上で十分に「清浄」又は「未使用」であることが望ましい。すなわち、地層流体は、汚染がほとんどないか又は全くないものであるべきである。汚染物質が地層流体と共にダウンホール工具に入るのを排除しようという試みが行われてきた。例えば、米国特許第4,951,749号で示すように、フィルタをプローブ内に設置して汚染物質が地層流体と共にダウンホール工具に入るのを阻止している。更に、Hrametzに付与された米国特許第6,301,959号に示すように、プローブには、清浄な流体がプローブに入る時に汚染流体を清浄な流体からそらすための保護リングが設けられている。ダウンホール工具に入る流体は、一般的に流路を通過し、サンプルチャンバに捕捉されるか又は井戸坑内に捨てることができる。様々な弁、ゲージ、及び他の構成要素を流路に沿って組み込み、流体がダウンホール工具を通る時にそれをそらし、試験し、及び/又は捕捉することができる。
【0007】
ダウンホール工具を通る流体を試験して様々なダウンホールパラメータ又は特性を判断することができる。貯蔵状態での流体の粘性、密度、及び相挙動のような炭化水素貯蔵流体の熱物理学的特性を用いて、潜在的な埋蔵量を評価し、有孔媒体における流量を判断し、とりわけ完成システム、分離システム、処理システム、及び計量システムを設計することができる。
流体の粘性を判断する様々な技術が開発されている。例えば、捩りワイヤのための固定点間に吊り下げられたボブを有する粘度計も、例えば、米国特許第5,763,766号及び第6,070,457号に説明されているように提案されている。粘度計はまた、振動する物体で形成されてきた。1つのこのような粘度計は、炭化水素生成井戸において地層流体又は濾液の粘性、密度、及び誘電率を測定することを目的としてダウンホール用途に使用されている。例えば、国際特許公告番号WO02/093126では、炭化水素生成井戸内の地層流体又は濾液の粘性、密度、及び誘電率のリアルタイムの直接測定値及び推定値をもたらすためにパイプ内の音叉共振器が開示されている。2つの柱の間にクランプ留めされたワイヤを有する別の粘度計は、例えば、「Tλを超える加圧Heの粘性」、「Physica 76」(1974年)、177〜180頁、及び「振動ワイヤ粘度計」、「The Review of Scientific Instruments」、第35巻、第10号、(1694年10月)、1345〜1348頁に説明されているような実験室環境で使用されている。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,301,959号
【特許文献2】米国特許第4,860,581号
【特許文献3】米国特許第4,936,139号
【特許文献4】米国特許第6,585,045号
【特許文献5】米国特許第6,609,568号
【特許文献6】米国特許第6,719,049号
【特許文献7】米国特許出願第2004/0000433号
【特許文献8】米国特許第4,951,749号
【特許文献9】米国特許第5,763,766号
【特許文献10】米国特許第6,070,457号
【特許文献11】国際特許公告番号WO02/093126
【非特許文献1】「Tλを超える加圧Heの粘性」、「Physica 76」(1974年)、177〜180頁
【非特許文献2】「振動ワイヤ粘度計」、「The Review of Scientific Instruments」、第35巻、第10号、(1694年10月)、1345〜1348頁
【非特許文献3】Retsina、T.;Richardson、S.M.;Wakeham、W.A.著「応用科学研究」、1987年、43、325〜346頁
【非特許文献4】Retsina、T.;Richardson、S.M.;Wakeham、W.A.著、1986年、43、127〜158頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
粘性を測定する技術が存在するにも関わらず、好ましくは重力場に対するダウンホールでのセンサの位置に関係なく、ダウンホールでの正確な粘性測定値を提供する必要性が依然として存在する。このようなシステムは、精度及び/又は正確さの検査を提供することができることが望ましい。このようなシステムは、厳しい井戸坑環境での使用に適応した単純な構成を備えることが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、本発明は、地下層を貫通する井戸坑に配置可能なダウンホール工具のための粘度計−密度計に関する。ダウンホール工具は、地層内の流体の少なくとも一部分を粘度計−密度計に搬送するようになっている。粘度計−密度計は、ダウンホール工具内に配置可能なセンサユニットを含む。センサユニットは、少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ、ワイヤ、及び少なくとも1つの磁石を含む。ワイヤは、粘度計−密度計がダウンホール工具内に配置され、かつダウンホール工具が地下層内に配置されて流体を地下層から受け取る時に流体と相互作用するのに利用可能であるように、少なくとも2つのコネクタ間に張った状態で吊られている。コネクタ及びワイヤは、周波数発振器を形成するように構成される。上述の少なくとも1つの磁石は、ワイヤと相互作用する磁場を発生する。
【0011】
コネクタとワイヤは、周波数発振器を形成するように類似の熱膨張率を有する材料で構成することができる。例えば、コネクタとワイヤは、単一種類の材料で構成され、ダウンホール条件によって引き起こされる熱及び弾性変形によるワイヤの共振周波数の変動を実質的に排除することができる。粘度計−密度計には、ワイヤがコネクタによって吊り下げられた流管を装備することもでき、この例においては、流管、コネクタ、及びワイヤは、周波数発振器を形成するように類似の熱膨張率を有する材料で構成されることが望ましい。
【0012】
別の態様では、センサユニットには、コネクタに対するワイヤの回転を防止するための手段が更に装備される。ワイヤの回転を防止するための手段は、ワイヤに接続したボスを含むことができ、ボスは、非円形断面を有している。
更に別の態様では、粘度計−密度計には、ワイヤと相互作用する流体の少なくとも2つのパラメータ(例えば、粘性及び密度)を計算するためのフィードバックをワイヤから受け取る分析回路が更に装備される。
【0013】
更に別の態様では、本発明は、壁を有して地下層を貫通する井戸坑に配置可能なダウンホール工具に関する。地層は、一般的に、そこに天然ガス及び石油のような流体を有する。ダウンホール工具には、ハウジング、流体連通装置、及び粘度計−密度計が装備される。ハウジングは、少なくとも1つの評価空洞を封入する。流体連通装置は、井戸坑の壁との密封係合のためにハウジングから延長可能である。流体連通装置は、流体を地層から受け取ってこのような流体を評価空洞内に堆積させるために評価空洞と連通した少なくとも1つの入口を有する。粘度計−密度計には、評価空洞内に配置されたセンサユニットが装備される。センサユニットには、少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ、ワイヤ、及び磁石が装備される。ワイヤは、それが評価空洞内の流体との相互作用に利用可能であるように、上述の少なくとも2つのコネクタ間に張った状態で吊られている。コネクタとワイヤは、周波数発振器を形成するように構成される。少なくとも1つの磁石は、ワイヤと相互作用する磁場を発生する。粘度計は、上述のいずれかのバージョンとすることができる。
【0014】
更に別の態様では、ダウンホール工具には、既知の特性、例えば、粘性及び密度を有する流体を収容する比較チャンバを装備することができる。比較チャンバ内のダウンホール条件、例えば、圧力及び温度は、評価空洞内のダウンホール条件と類似(好ましくは同一)である。ダウンホールが、評価空洞内の未知のパラメータの流体内に配置された一方のセンサユニットと、比較チャンバ内の既知のパラメータの流体と共に配置された他方のセンサユニットとを含むように、ダウンホール工具には、比較チャンバ内のセンサユニットも装備される。評価空洞内の流体の未知のパラメータの少なくとも2つ(例えば、粘性及び密度)を示す信号が次に計算される。
【0015】
更に別の態様では、本発明は、未知の流体を有する地層を貫通する井戸坑内でその流体の少なくとも2つの未知のパラメータを測定する方法に関する。本方法においては、ダウンホール工具の流体連通装置は、井戸坑の壁と密封係合した状態で設けられる。流体は、次に、地層からダウンホール工具内の評価空洞の中に引き込まれる。評価空洞内の流体のデータは、評価空洞内に配置されて2つのコネクタ間に吊されたワイヤを有する粘度計−密度計でサンプリングされる。ワイヤ及びコネクタは、周波数発振器を形成するように構成される。
この態様では、評価空洞は、流路又はサンプルチャンバとすることができる。粘度計−密度計によってサンプリングされたデータを用いて、評価空洞内でサンプリングされたデータを利用して少なくとも2つのパラメータを計算することができる。この少なくとも2つのパラメータは、粘性及び密度を含む。
【0016】
更に別の態様では、本方法は、評価空洞内の流体の温度及び圧力に関連した温度及び圧力を有する比較チャンバ内の既知の流体に対してデータをサンプリングする段階を含むことができる。この例においては、本方法は、一般的に、比較チャンバからサンプリングされたデータと評価空洞からサンプリングされたデータとを利用して、評価空洞内の未知の流体の少なくとも2つのパラメータを計算する段階を更に含む。
【0017】
更に別の態様では、本発明は、流体の粘性及び密度のような少なくとも2つの流体パラメータを計算するための分析回路に供給されるか又はそこに含むことができるコンピュータ可読媒体に関する。この例においては、コンピュータ可読媒体は、(1)一方のセンサユニットが未知のパラメータの流体内に配置され、他方のセンサユニットが既知のパラメータの流体と共に配置された少なくとも2つのセンサユニットからフィードバックを受け取り、(2)この一方のセンサユニットが配置された流体の未知のパラメータの少なくとも2つを示す信号を計算し、同時に未知のパラメータの流体内のセンサユニットを取り囲む井戸坑条件の変動を実質的に排除するための論理を含む。信号を計算するための論理は、例えば、センサユニットから受け取ったデータのジョイント・インバージョンを実行するための論理を含むことができる。
上述の本発明の態様の各々においては、少なくとも2つの流体パラメータは、同時に計算されることが好ましい。
【0018】
本発明の上述の特徴及び利点を詳細に理解することができるように、先に簡単に要約した本発明のより詳細な説明は、添付図面に示すその実施形態を参照することによって行うことができる。しかし、本発明は他の同等に有効な実施形態を受け入れることができるので、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、従って、その範囲を限定するように解釈されないことに注意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の現時点で好ましい実施形態を上述の図面に示し、以下で詳細に説明する。好ましい実施形態を説明する際に共通又は類似の要素を特定するために同様又は同一の参照番号を使用する。図面は必ずしも縮尺通りではなく、図面中のいくつかの特徴及びいくつかの図は、明瞭さ及び正確さのために縮尺において誇張され又は概略で示す場合がある。
【0020】
定義
いくつかの用語は、それらが初めて使用される時に本説明を通して定義され、一方、本説明で使用されるいくつかの他の用語は以下のように定義される。
「環状」とは、環、環に関すること、又は環を形成すること、すなわち、円又は楕円のような閉鎖曲線の形状の線、帯、又は構成を意味する。
「汚染流体」とは、流体が井戸坑掘削時に使用された泥水からの濾液のような汚染物質を含むために、炭化水素流体サンプリング及び/又は評価に一般的に許容可能ではない流体、例えば、気体又は液体を意味する。
「ダウンホール工具」とは、関連する1以上の地下層の評価、生成、及び/又は管理に関係したダウンホール作業を行うためのドリルストリング、ワイヤライン、及びコイル配管のような手段により井戸坑内に配備される工具を意味する。
【0021】
「作動的に接続された」とは、情報、力、エネルギ、又は物質(流体を含む)を伝達するか又は誘導するために直接的又は間接的に接続されたことを意味する。
「未使用流体」とは、十分に純粋、無垢、自然、非汚染、又はそれ以外に流体サンプリング及び分析分野において有効な炭化水素サンプリング及び/又は評価のための所定の地層を満足できる程度に表すと考えられる地下流体、例えば、気体又は液体を意味する。
「流体」とは、「未使用流体」又は「汚染流体」のいずれかを意味する。
【0022】
「クランプ」とは、2以上の部品をそれらを確実に保持するために互いに結合又は締付け又は圧迫するように設計された装置を意味する。
「コネクタ」とは、ワイヤの一部分を固く接合又は把持するためのクランプのようなあらゆる装置又はアセンブリを意味する。
「周波数発振器」とは、井戸坑条件、例えば、温度及び圧力の変化が、張られたワイヤの共振周波数に実質的な影響を与えず、それによって様々な井戸坑条件における張られたワイヤから得られた読取値が、張られたワイヤと相互作用する流体の特性を満足できる程度に表すように、真空内の張られたワイヤの共振周波数(以下、「f0」と呼ぶ)が予測可能であることを意味する。
【0023】
詳細説明
図1は、リグ12から井戸坑14内に吊り下げられる本発明により構成されたダウンホール工具10を示している。ダウンホール工具10は、掘削、コイル配管、又は他のダウンホール工具のような、地層評価を行うことができるあらゆる種類の工具とすることができる。図1のダウンホール工具10は、ワイヤラインケーブル16を通じてリグ12から井戸坑14内に配置され、かつ地層Fの近くに配置された従来のワイヤライン工具である。ダウンホール工具10には、井戸坑14の壁20(以下、「壁20」又は「井戸坑壁20」と呼ぶ)との密封を行うようになったプローブ18が装備されており、矢印によって示すように、流体を地層Fからダウンホール工具10内に引き込むものである。バックアップピストン22及び24は、ダウンホール工具10のプローブ18を井戸坑壁20に押し当てるのを助けるものである。
【0024】
図2は、本発明により構成されたダウンホール工具30の別の例を示している。図2のダウンホール工具30は、掘削中測定(MWD)掘削工具、掘削中ログ(LWD)掘削工具、又は当業者に公知である他の掘削工具の1以上(又は、それ自体の場合もある)の間で搬送することができる掘削工具である。ダウンホール工具30は、井戸坑14を形成するためにリグ12によって駆動されるドリルストリング32に取り付けられる。ダウンホール工具30は、矢印で示すように、地層Fからダウンホール工具30内に流体を引き込むために井戸坑14の壁20との密封を行うようになったプローブ18を含む。以下で説明する粘度計−密度計又はセンサユニットは、ダウンホール工具10又はダウンホール工具30と共に使用することができる。
【0025】
図3Aは、流体流れシステム34を示す図1のダウンホール工具10の一部分の概略図である。プローブ18は、井戸坑壁20との係合のためにダウンホール工具10のハウジング35から延長されることが好ましい。プローブ18には、井戸坑壁20との密封を行うためのパッカー36が装備されている。パッカー36は、井戸坑壁20に接触して井戸坑14の内側を覆うマッドケーキ40によるシールを形成する。マッドケーキ40は、井戸坑壁20に溶け出して井戸坑14回りに侵入区域42を作り出す。侵入区域42は、泥水及び地層F及び地層F内に含まれた未使用流体44の一部分を含む周囲の地層を汚す他の井戸坑流体を含む。
【0026】
プローブ18には、評価流路46が設けられることが好ましい。流体を流路に引き込むためのプローブ及び二重パッカーのような流体連通装置の例は、米国特許第4,860,581号及び第4,936,139号に示されている。
評価流路46は、ダウンホール工具10内に延びており、試験及び/又はサンプリングのために未使用流体44のような流体をダウンホール工具10に通すのに使用される。評価流路46は、未使用流体44のサンプルを収集するサンプルチャンバ50まで延びる。ポンプ52を使用すると、流体を流路46内に引くことができる。
【0027】
図3Aは、流体を地層から引くのに使用されるダウンホール工具のサンプル構成を示すが、プローブ、流路、及びダウンホール工具の様々な構成を用いることができ、本発明の範囲を限定することは意図していないことを当業者は認めるであろう。
例えば、図3Bは、別々の流路内に流体を引き込むための修正プローブ18a及び流体流れシステム34aを有するダウンホール工具10の別のバージョンの一部分の概略図である。より具体的には、図3Bに示す流体流れシステム34aは、流体流れシステム34aが評価流路46並びにそれぞれの流路46及び46aに付随するポンプ52a及び52bに加えて清掃流路46aを含む点を除き、図3Aに示す流体流れシステム34と類似のものである。図3Bに示すプローブ18aは、空洞56aが流路46と連通し、空洞56bが流路46aと連通する2つの別々の空洞56a及び56bをプローブ18aが有する点を除き、図3Aに示すプローブ18と類似のものである。空洞56bは、空洞56aが「未使用流体」を地層Fから引くことを可能にするために、空洞56bが「汚染流体」を地層Fから引き込むように、空洞56aの回りに延びている。汚染流体は、清掃流路46aから吐き出され、出口57を通じて井戸坑14内に入る。流体を別々の流路に引き込むために使用されるプローブ及び二重パッカーのような流体連通装置の例は、本発明の出願人に譲渡された米国特許第6,719,049号及び米国特許公告出願第20040000433号、及びHalliburtonに譲渡された米国特許第6,301,959号に示されている。
【0028】
本発明によれば、粘度計−密度計60(a、b、c)は、評価空洞内流体の粘性を測定する評価流路46、清掃流路46a、又はサンプルチャンバ50のようなダウンホール工具10内の評価空洞に付随するものである。図3Bに示す例においては、粘度計−密度計60は、明瞭さを期すために参照番号60a、60b、及び60cと説明されている。粘度計−密度計60は、図4、図5、及び図6により詳細に示されている。
また、ダウンホール工具30には、ダウンホール工具10の図3A及び図3Bに示すバージョンと類似の方法で、ハウジング、プローブ、流体流れシステム、パッカー、評価流路、清掃流路、サンプルチャンバ、ポンプ、及び粘度計−密度計を装備することができる。
【0029】
ここで図4から図6を参照して、評価流路46内にある評価空洞に関して詳細に以下に説明する。しかし、以下の説明は、清掃流路46a又はサンプルチャンバ50内にある評価空洞にも同等に適用可能であることを理解すべきである。また、粘度計−密度計60をダウンホール工具10に関連して説明するが、このような説明は、ダウンホール工具30に同等に適用可能であることを理解すべきである。更に、粘度計−密度計60を評価流路46及び46aに沿って配置した図3A及び図3Bを示すが、ダウンホールパラメータを測定するダウンホール工具10回りの様々な場所に粘度計−密度計60を配置することができる。
【0030】
一般的に、粘度計−密度計60は、センサユニット62、1以上の磁石64(a、b)、信号プロセッサ66、及び分析回路68を有する。図4に示す例においては、粘度計−密度計60には、図4においては参照番号64a及び64bによって指定された2つの磁石が装備されている。センサユニット62には、少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ72と、粘度計−密度計60のセンサユニット62がダウンホール工具10内に配置され、かつダウンホール工具10が地下層F内に配置されて、流体を地層Fから受け取る時にワイヤ74が流体との相互作用に利用可能であるように少なくとも2つのコネクタ72間に吊されたワイヤ74(図5)とが装備される。磁石64a及び64bは、ワイヤ74内を流れる正弦波電流と相互作用する磁場を発する。信号プロセッサ66は、信号路75a及び75bを通じてワイヤ74と電気的に通信する。信号路75a及び75bは、ワイヤ、ケーブル、又は空中通信リンクとすることができる。信号プロセッサ66は、正弦波電流を形成する駆動電流をワイヤ74に供給し、一般的に、正弦波電流によってワイヤ74は、供給される信号に従って振動又は共振する。一般的に、信号プロセッサ66からワイヤ74に供給される信号は、信号の周波数が所定の方法で変わる掃引周波数一定電流信号と考えることができる。
【0031】
分析回路68は、フィードバックをワイヤ74から受け取る。正弦波電流は、ワイヤ74内を流れ、周波数が共振周波数に近い一般的に最低次数モードの時に、検出可能な運動起電力(emf)が発生する。共振時の周波数の関数として測定されるのは、駆動電圧及び運動emfである。一般的に、分析回路68は、ワイヤ74の共振周波数を示すフィードバックをワイヤ74から受け取る。流体の粘性により、ワイヤ74の共振周波数は、所定の方法で変わり、これは、流体の粘性の判断を可能にするものである。ワイヤ74からのフィードバックから粘性を判断する方法を以下に詳細に説明する。分析回路68は、フィードバックをワイヤ74から受け取って流体の粘性を計算することができるあらゆる種類の回路とすることができる。一般的に、分析回路68は、分析回路68が粘性を計算することを可能にするメモリ又はディスクのようなコンピュータ可読媒体上に記憶されたソフトウエアプログラムを実行するコンピュータプロセッサを含むことになる。しかし、特定的な実施形態では、アナログ又は他の形式の装置を使用して分析回路68を実行することができることを理解すべきである。例えば、分析回路68は、アナログ/デジタル変換器、その次に流体の粘性を計算する復号器を含むことができる。分析回路68及び信号プロセッサ66を図4に別々に示すが、分析回路68及び信号プロセッサ66は、単一の回路で実行するか又は別々の回路で実行することができることを理解すべきである。更に、分析回路68及び信号プロセッサ66は、図4ではダウンホール工具10内にあると示されているが、信号プロセッサ66及び/又は分析回路68は、ダウンホール工具10の外部に位置することができることを理解すべきである。例えば、掃引信号を発生させる信号プロセッサ66は、ダウンホール工具10内に位置することができ、一方、分析回路68は、井戸坑14近傍か又は井戸坑14から遠く離れた場所に位置するモニタリングセンター内で井戸坑14の外側に位置する。
【0032】
また、粘度計−密度計60のセンサユニット62には、ハウジング76が装備される。ハウジング76は、チャンネル78(図5及び図6)と、チャンネル78と連通する入口80と、チャンネル78と連通する出口82とを形成する。図4に示す例においては、流体は、評価流路46内で方向84に流れている。従って、流体がセンサユニット62と遭遇した時、流体は、入口80を通過してチャンネル78に入ると出口82を通じてハウジング76を出る。また、ハウジング76に評価流路46の内側寸法よりも小さい外側寸法が設けられた時に、ある一定の量の流体も、ハウジング76の外面88と評価流路46の内面89の間に形成されたチャンネル87(図4)内のハウジング76を通過することになる。
【0033】
ワイヤ74は、流体がハウジング76を通る時に流体がコネクタ72間の実質的にワイヤ74全体と接触するようにチャンネル78に配置される。これによって、流体が確実にコネクタ72間のワイヤ74の全長に亘って流れ、流体間にあるワイヤ74の清掃を容易にする。ワイヤ74は、ワイヤ74の張り及びワイヤ74を取り囲む流体の粘性によって複数の基本モード共振周波数(又は、その高調波)で振動することができる導電材料で構成される。ワイヤ74は、流体密度とワイヤ74密度の差が大きいほど感度が大きくなるために、大きな密度を有する材料で構成されることが望ましい。また、流体密度とワイヤ密度の比を通じて密度がワイヤ回りの流体に対して感度を提供する一方、ワイヤ74は、安定した共振をもたらすために高いヤング率を有することが必要である。様々な材料をワイヤ74に使用することができる。例えば、ワイヤ74は、タングステン又はクロメルで構成することができる。ワイヤ74が天然ガスのような気体を感知するのに使用される時、ワイヤ74は、相対的に滑らかな外面を有することが好ましい。この例においては、クロメルは、ワイヤ74を構成する上での好ましい材料である。
【0034】
図4に示すように、磁石64は、評価流路46の外部に配置され、かつ評価流路46の外面に取り付けられることが好ましい。また、磁石64は、ハウジング76に組み込むことができる。代替的に、ハウジング76は、磁性材料で構成することができる。
図5及び6に示すように、ハウジング76には、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92を装備することができる。第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、協働してチャンネル78を構成する。第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、磁石64によって生成された磁場がハウジング76からの実質的な干渉なしにワイヤ74と相互作用することができるように、導電非磁性材料で構成されることが好ましい。例えば、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、K500モネル、タングステン、又は別の種類の非磁性材料、例えばステンレス鋼のようなダウンホール適合材料で構成することができる。
【0035】
また、ハウジング76には、第1のハウジング部材90を第2のハウジング部材92から絶縁するために、第1のハウジング部材90と第2のハウジング部材92の間に配置される絶縁層96(図5)が装備される。ワイヤ74は、絶縁層96の両側の間に延びて第1のハウジング部材90を第2のハウジング部材92に電気的に接続する。絶縁層96は、第1の絶縁層98と第2の絶縁層100で構成することができる。ワイヤ74には、第1の端部102と第2の端部104が装備される。第1の絶縁層98は、ワイヤ74の第1の端部102の近くに配置され、第2の絶縁層100は、ワイヤ74の第1の第2の端部104の近くに配置される。ワイヤ74は、チャンネル78に掛かり、第1のハウジング部材90を第2のハウジング部材92と電気的に接続する役目をする。
【0036】
図4に示すセンサユニット62の例においては、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92の各々は、第1の端部108、第2の端部110、及び第1の端部108と第2の端部110の間の中間部分112を有すると特徴付けることができる。第1の端部108及び第2の端部110には、中間部分112の断面積又は直径よりも小さい断面積又は直径が設けられる。従って、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92の各々は、第1の端部108と第2の端部110を中間部分112から分離する肩部114を有する。入口80及び出口82は、チャンネル78がハウジング76の中間部分112を通るように肩部114の近くで第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92内に形成される。肩部114は、流体を入口80に導くような形状となっている。
【0037】
信号路75a及び75bをセンサユニット62に連結するために、粘度計−密度計60には、更に、第1のハウジング部材90に結合された第1の端子116と、第2のハウジング部材92に結合された第2の端子118とが装備される。従って、信号プロセッサ66及び分析回路68は、信号路75a及び75bを通じて第1及び第2の端子116及び118に連絡している。信号路75a及び75bは、一般的に、1以上のフィードスルー120を通じて評価流路46を通って延びることに注意すべきである。フィードスルー120は、流体が評価流路46に形成された開口部を通るのを防止すると同時に、信号路75a及び75bが評価流路46を通って延びることを可能にするための流体密封シールを提供する。
【0038】
第1の端子116及び第2の端子118は、構成及び機能が同一とすることができる。第1の端子116及び第2の端子118を実施するために、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92には、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92の第1の端部108及び第2の端部110のいずれかに形成されるネジ穴124を設けることができる。図5に示す例においては、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92には、第1の端部108及び第2の端部110の両方に形成されるネジ穴124が設けられている。また、図4から図6に示すように、第1の端子116及び第2の端子118には、信号路75a及び75bの各々を第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92に連結するためにネジ付き留め具126が装備されている。
【0039】
第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、あらゆる適切な機械的又は化学的な種類のアセンブリによって互いに接続される。図6に示すように、粘度計−密度計60には、第1のハウジング部材90を第2のハウジング部材92に固定する複数のネジ付き留め具130(図6)が設けられている。ネジ付き留め具130は、一般的に、鋼又はアルミニウムのような導電材料で構成されることに注意すべきである。また、ネジ付き留め具130が第1のハウジング部材90と第2のハウジング部材92の間に電気経路を形成するのを防止するために、粘度計−密度計60には、ネジ付き留め具130の各々を第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92の一方から絶縁させるために、複数の絶縁フィードスルー132が装備される。
【0040】
粘度計−密度計60のセンサユニット62は、あらゆる適切なアセンブリによって評価流路46内に固定することができる。センサユニット62は、評価流路46内での長さ方向の移動及び評価流路46内での回転移動を防止するように固定することができることを理解すべきである。信号路75a及び75bには、評価流路46内でのセンサユニット62の長さ方向の移動及び/又は回転移動を防止するのに十分な剛性を与えることが好ましい。また、付加的な固定手段を使用して、評価流路46内のセンサユニット62の移動を防止することができる。例えば、評価流路46内のセンサユニット62の長さ方向の移動を防止するために、センサユニット62の下流側で直径を短縮することができる。
【0041】
当業者によって理解されるように、第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92は、ネジ付き留め具130によって互いに固定された時に、協働してコネクタ72を形成する。ワイヤ74は、以下のように接続して緊張させる。ワイヤ74は、一端で接続される。他端は、第2のコネクタ72に通して供給されるが緊張させない。緩いコネクタ72から突出する端部から質量(図示せず)が取り付けられる。地球の重力場内でワイヤ74から吊り下げられた質量のマグニチュードでワイヤ径に対する張力、従って、共振周波数が判断され、約1kHzの共振周波数は、直径0.1mmのワイヤで吊された500gの質量で得ることができる。ワイヤ74の直径を変えると測定対象の粘性範囲を変えることができる。約24時間後、ワイヤ74は、第2の端部をクランプ締めして質量を取り除く。この手順によってワイヤ74内の捩れが少なくなる。ワイヤ74は、次に、各熱サイクル間でかなり安定した共振周波数を有するワイヤをもたらすために加熱されて冷却され、粘度計−密度計60の場合、ワイヤ74共振周波数は、60sの程度の共振に亘る周波数の関数として複素電圧を判断するのに必要な時間中は安定している必要がある。
【0042】
粘性を計算するために、磁場がある場合に正弦波電流がワイヤ74内に流される。磁場は、ワイヤ74に垂直であり、正弦波電流が存在する場合には、磁場が原因となってワイヤ74が移動する。得られる誘導起電力(運動emf)又は複素電圧は、駆動電圧に追加される。運動emfは、駆動電圧がオフセットされるか又はゼロにされるロックイン増幅器又はスペクトルアナライザを含む信号プロセッサを有する分析回路68を通じて検出することができる。電流周波数が基本共振周波数に近いか又はそのものである時、ワイヤ74は共振する。複素電圧は、通常は共振に亘る周波数で測定され、観察結果が解式、ワイヤ密度、及び半径と組み合わされて既知の密度の流体に対する粘性が判断される。電流のマグニチュードは、流体の粘性に依存し、許容可能なSN比が検出回路で得られるように変更され、35mAよりも小さい値が一般的に使用され、得られる複素運動emfは、数マイクロボルトである。電流のマグニチュードに加えて、ワイヤ74の直径はまた、上限作動粘性を決め、ワイヤ直径を大きくすると、上限作動粘性が大きくなる。これ以外にもワイヤ運動を励起して検出する方法はあるが、いずれもロックイン増幅器ほど便利ではない。
【0043】
ワイヤ74から受け取ったフィードバックから流体の粘性及び密度を計算するために、分析回路68は、以下のように作動する。ワイヤ74は、磁場内に置かれ、交流をワイヤ74に通すことによって定常状態の横振動に駆動される。ワイヤ間で発生する得られる電圧Vは、2つの成分から成る。
【0044】
【0045】
第1の項V1は、単に定置ワイヤの電気インピーダンスから生じ、一方、第2のV2は、磁場が存在する場合にワイヤの運動から生じる。V1は、以下で示される。
【0046】
【0047】
方程式(2)においては、fは、ワイヤ74が磁場が存在する場合に駆動される周波数であり、一方、a、b、cは、実験結果を用いた回帰によって決まる調整可能なパラメータである。パラメータa、b、cは、ワイヤの電気インピーダンスを説明し、電圧信号が可能な限り最も感度の高い範囲で検出されることを保証するために、ロックイン増幅器内で使用されるオフセットを吸収するものでもある。V2の第2の成分は、以下によって計器の解式で与えられる。
【0048】
【0049】
方程式(3)においては、Λは振幅、f0は真空状態でのワイヤ共振周波数、Δ0はワイヤの内部減衰、βはワイヤによって変位した流体から生じた付加質量、β’は流体粘性による減衰である。
流体の付加質量β及び粘性抵抗β’を明らかにする振動ワイヤの流体機構は、以下によって表すことができる。
【0050】
【0051】
及び
【0052】
【0053】
ただし、k及びk’は以下で与えられる。
【0054】
【0055】
及び
【0056】
【0057】
方程式(6)及び(7)において、Aは、以下で示す複素量である。
【0058】
【0059】
ここで、
【0060】
【0061】
方程式(8)において、K0及びK1は、修正ベッセル関数であり、Ωは、半径Rの円筒形ワイヤ回りの流れを特徴付けるレイノルズ数に関係するものである。方程式(9)において、流体粘性及び密度は、それぞれη及びρで示されている。従って、流体粘性及び密度は、方程式(1)から(9)により予測される同相電圧及び直交電圧が周波数の関数に亘って実験的に求めた値と一致するように値を調整することによって判断することができる。データが収集される周波数範囲は、一般的に約fr±5gであり、ただし、gは共振曲線の半値幅であり、frは基本横共振周波数である。SN比が大きく、周波数の増加と共に大きくなる電気的クロストークがゼロの電気的に完全な装置においては、帯域幅の選択は重要ではない。しかし、これは、Q{=f/(2g)}が、帯域幅が増加した時に起こる1になる時には極めて重要であり、これは、粘性の増加と、駆動電圧が増加しない限り、対応するSN比の減少と共に起こり、測定が行われる帯域幅を判断することの重要性は、以下で明らかになる。
【0062】
方程式(4)から(9)は、以下を仮定することによって得られる。(1)ワイヤ74の半径がワイヤ74の長さと比較すると小さい、(2)流体の圧縮性が無視できる、(3)流体を含むハウジング76の半径が、境界効果が無視できるようにワイヤ半径と比較すると大きい、及び(4)振動の振幅が小さい。文献で報告されている振動ワイヤ粘度計においては、共振周波数は、ワイヤの張力及びワイヤを取り囲む流体の密度の両方に敏感であり、この密度に対する感度は、多くの場合、ワイヤを上部でクランプ締めして質量を下端に取り付け、アルキメデスの原理を利用することによって大きくなる。しかし、密度を代替ソース、例えば、状態方程式から求めた場合、共振線幅だけが安定していればよい。
【0063】
一般的に、粘度計−密度計60のような振動ワイヤ粘度計は、理論的には較正定数を決める必要がない絶対的な装置である。しかし、実際には、密度及び半径のようなワイヤ74の一部分の物理特性は、独立した方法では十分な精度まで判断することはできない。従って、それらの特性は、通常は較正によって判断する。これを行うために、測定は、真空及び粘性及び密度が既知である流体の両方において行われる。前者によってΔ0が得られる。ワイヤ半径Rは、粘性測定を行うのに必要とされる他の唯一の未知の変数である。較正流体の粘性及び密度が与えられると、単一の測定でワイヤ半径を判断することができる。
【0064】
1.解式の修正
ワイヤ74間に発生する複素電圧Vは、ワイヤ74の電気インピーダンスから生じるV1と磁場が存在する場合にワイヤ74の運動から生じるV2から成る(方程式1)。電気インピーダンスによる寄与以外に、V1も、電気的クロストーク又は他の形態の結合のような背景ノイズの原因となる。これらの干渉により、振動ワイヤ74の共振周波数近くの周波数間隔に亘って相対的に滑らかな背景が生じる。測定複素電圧を周波数の関数として適切に再現するために、付加的な周波数依存パラメータを方程式(2)に含める。すなわち、
【0065】
【0066】
方程式(10)の付加的な周波数依存項を考慮に入れないと、測定複素電圧は、解式に十分には適さないことが多く、その結果、流体密度及び粘性における大きな誤差を招くことになる。これは、特に高粘性流体に当て嵌まる。
【0067】
2.振動ワイヤからの流体密度及び粘性の判断
流体密度及び粘性を判断するには、振動ワイヤ74の解式によるデータ当て嵌めが必要である。最小自乗当て嵌めの方法は、1組のデータの最適な特徴付けは、当て嵌めモデル(又は解式)からのデータのずれの自乗の和を最小にするものであるという考えに基づいている。ずれの自乗の和は、以下のカイ自乗(又はχ2)と呼ぶ適合度統計に密接に関係するものである。
【0068】
【0069】
ただし、fiは周波数指数、D(fi)及びV(fi)は、それぞれ、記録された複素電圧及び解式であり、νは、Nデータ点を当て嵌めるための自由度の数である。流体密度及び粘性を含む未知のパラメータを見つける時に、(11)で定義されたカイ自乗測度を最小化するために、最小自乗判断基準が以下のように公式化される。
【0070】
【0071】
ただし、「ρ」、「η」、「f0」、「Λ」、「a」、「b」、「c」、及び「d」は、未知のパラメータである。「Levenberg−Marquardt」アルゴリズム[14]によってこの最小化問題を解く非線形回帰手順が与えられる。
【0072】
全ての未知パラメータのうちでも特に、振動振幅(すなわち、Λ)と定置ワイヤの電気インピーダンス及び他の背景干渉に関係する定数(すなわち、a、b、c、及びd)とは、最小化手順によって良好に求められる。しかし、密度、粘性、及びf0間の基本的な不確定性は、それ自体の当て嵌めによって密度及び粘性の正しい値を選別することを妨げている。この基本的な不確実性を絶つために、密度、粘性、及びf0間の付加的な関係を当て嵌め手順における制約条件として使用する。数学的には、これらの変数間の関係は、一般関数の形に書くことができる。
【0073】
【0074】
代替的に、この関係はまた、データから導出することができる共振の半値幅(g)及び共振周波数(fr)のような付加的な測定結果も含むことができる。
【0075】
【0076】
方程式(13)〜(14)は、較正手順を通して又はフィールドデータに基づいて実験的に確立することができる。本発明の好ましい実施形態は、方程式(13)〜(14)の特別の場合、具体的には、固定f0により定義された超平面である。Retsina他(Retsina、T.;Richardson、S.M.;Wakeham、W.A.著「応用科学研究」、1987年、43、325〜346頁、及び、Retsina、T.;Richardson、S.M.;Wakeham、W.A.著、1986年、43、127〜158頁)で論じされているように、f0は、ワイヤ74に作用する張力に直接的に関係する真空状態におけるワイヤ74の共振周波数と指定することができる。f0が既知であるか又は与えられた場合、固定f0によって定められた超平面に関する最小値調査を限定することができる。
【0077】
図7aは、上述のように、粘性及び密度を同時に計算する流れ図134を示している。最初に、ブロック134a、b、及びcで示すように、ワイヤ直径、ワイヤ密度、及び内部減衰係数に対する定数と、流体密度、粘性、及び共振周波数f0に対する初期推定値と、同じく制約条件G(密度、粘性、及び共振周波数f0)とを計算ブロック134dに入力する。その後、初期ワイヤ応答をブロック134dによって表されているように計算する。初期ワイヤ応答は、同相及び直交電圧において計算することができる。
【0078】
同相及び直交電圧のような周波数の関数としての入力データは、ブロック134eで示すように受け取られ、その後、ブロック134fで示すように、データと計算された応答の間の差異に基づいてカイ自乗を計算する。次に、流体密度、粘性、共振周波数、及びラムダの推定値a、b、c、及びdの更新が受け取られる。非線形回帰分析のいずれかを用いると、ブロック134gで示すように、更新データを得ることができる。その後、分析回路68は、カイ自乗及び推定値の更新に基づいて収束試験を適用する(ブロック134hで示すように)。収束試験によって収束が所定の又は許容可能な量以内の収束を示す場合、処理は、段階134iに分岐し、そこで、流体密度及び粘性が出力される。しかし、収束試験で収束が所定の量を外れる収束を示す場合、処理は段階134dに戻り、そこで、ワイヤ応答を更新された流体密度、粘性、及び共振周波数に基づいて再計算し、収束試験で収束が所定の量内になるまで段階134d、134e、134f、134g、及び134hを繰り返す。
【0079】
図7bは、以下の事項以外は図7aに関して上述したものと同一の方法で粘性及び密度を同時に計算する流れ図を示している。図7aと同一である図7bの段階には、明瞭さを目的として同一参照番号でラベル付けされていることに注意すべきである。
図7に表す粘性及び密度を計算する処理においては、センサユニット62を試験して共振周波数f0を判断する。センサユニット62を較正するために、既知の流体を有する環境チャンバにセンサユニット62を入れ、その後、較正データが得られるように温度及び圧力を変える。その後、ブロック136bで示すように、較正データを分析回路68に入力し、ブロック136cで示すように、このような較正データを利用して共振周波数f0を計算する。
【0080】
図8は、全体的最小値が存在する固定f0超平面によって切り取られたカイ自乗性能表面を示すグラフである。グラフは、軸F、D、及びVを含む。F軸は、Hzによるf0の周波数を表す。D軸は、kg/m3によるワイヤ74を取り囲む流体の密度を表す。V軸は、cpによるワイヤ74を取り囲む流体の粘性を表す。濃淡部の意味は、カイ自乗の値であり、暗色は、低カイ自乗値である。最小値137の位置によって密度及び粘性推定値が得られる。
【0081】
f0が安定しており、±1Hz以内で既知である場合、広範囲の流体に対して3〜4%以内で流体密度を判断することができる。誤差は、高密度流体の方が小さい(1%から2%)。±0.5Hz以内で既知である場合、密度誤差は、広範囲の流体に対して約1〜2%になる。粘性の誤差は、一般的に、f0が±1Hzである場合は密度誤差(約3%)よりも小さい。同様に、粘性の誤差は、高密度流体の方が小さい。流体密度及び粘性を同時に推定するには、好ましい実施形態では、様々な異なる温度及び圧力において安定して予測可能なf0をもたらす周波数発振器を形成するセンサユニットが必要である。ダウンホール環境における一般的な温度及び圧力範囲は、50から200℃及び2.07から172.4MPa(300から25000psi)の範囲である。
【0082】
粘度計−密度計60と共に使用されるセンサユニット150の別のバージョンを図9に示している。以下でより詳細に説明するように、センサユニット150は、センサユニット150が平行に延びる絶縁層96によって分離された導電性の第1のハウジング部材90及び第2のハウジング部材92を有するのではなく、ワイヤ156を取り囲む絶縁流管154によって分離された一対の導電コネクタ152が装備される点を除き、上述のセンサユニット62と構成及び機能が類似のものである。センサユニット150に関して、以下でより詳細に説明する。
【0083】
センサユニット150は、センサユニット150が浸漬される流体の密度及び粘性のような少なくとも2つの異なるパラメータをセンサユニット150によって生成されたデータから同時に計算することができるように、安定して予測可能なf0をもたらす周波数発振器を形成する。
コネクタ152は、図9においては、明瞭さを目的として参照番号152a及び152bによって指定されている。これらのコネクタ152は、構成及び機能は同一である。従って、これより以降コネクタ152aのみに対して説明する。コネクタ152aには、クランプ部材158、クランプ板160、及びクランプ板160をクランプ部材158に連結するための少なくとも1つの留め具162が装備されている。クランプ部材158は、いずれかの適切な嵌め会いアセンブリを通じて流管154に連結される。例えば、図9に示すように、クランプ部材158には、端部支持体166が流管154によって支持されるように、流管154の所定の一部分と嵌合する端部支持体166が設けられている。図9に示すバージョンにおいては、流管154には、ネックダウン部分168が設けられており、端部支持体166は、ネックダウン部分168を覆うように配置されたカラーを形成する。また、クランプ部材158には、端部支持体166に連結されてそれから延びるフランジ170が設けられている。ワイヤ156の中心をフランジ170上に置くために、少なくとも1つのレジストレーション・ピン174がフランジ170上に設けられている。クランプ部材158には、ワイヤ156が図9に示すようにレジストレーション・ピン174間に螺合することができるように、少なくとも2つの離間したレジストレーション・ピン174が設けられることが望ましい。
【0084】
留め具162は、ワイヤ156を固定するためにクランプ板160をクランプ部材158に連結するものである。留め具162は、クランプ部材158をクランプ板160に連結することができるあらゆる種類の装置とすることができる。例えば、留め具162は、ネジとすることができる。
流管154は、ワイヤ156と類似の熱膨張率を有する材料で構成されることが好ましい。ワイヤ156がタングステンで構成された時、流管154は、「Shapal−M」のようなセラミックで構成することができる。
【0085】
流体が開口部180を通じて流管154を出入りすることを可能にするために、少なくとも1つの開口部180がクランプ部材158に形成されている。図9に示すように、クランプ部材158には、各々が半円の形状を有する少なくとも2つの開口部108を設けることができる。しかし、開口部180の形状は、設計担当者の希望によって変わる可能性があることを理解すべきである。より詳細には、開口部180は、非対称形、対称形、又は奇抜な形状を有する可能性があることを理解すべきである。
ワイヤ156は、上述のワイヤ74と類似の方法で構成される。ワイヤ156は、ワイヤ74がハウジング76内で支持されて張られたのと類似の方法で、流管154内で支持されて張られる。信号プロセッサ66からの信号路75a及び75bと分析回路68は、ネジ、ボルト、又は端子などのようなあらゆる適切な方法でそれぞれのコネクタに連結される。
【0086】
上述のように、センサユニット150のf0、つまり方程式(1)の真空における共振が安定したものである場合、密度及び粘性の両方を共振に亘る周波数の関数として測定された複素電圧から判断することが可能である。センサユニット150は、絶縁された材料から形成された流管154により分離された2つの金属コネクタ152を含む。これらの材料は、異なる弾性特性、及び場合によっては熱特性も有する。コネクタ152及び流管154は、ワイヤ156の張力だけで互いに保持されることが好ましい。
【0087】
センサユニット150は、流体特性及び圧力による影響を受けないf0を有することが好ましい。後者は、小さいがワイヤ材料の圧縮性からの計算可能な寄与を有する場合がある。更に、共振器の構成における異なる材料の使用から生じる異なる熱膨張率を含む、温度変動に対するワイヤ156の応答は、測定可能か又は計算可能であるべきである。ワイヤ156は、垂直磁場が存在する場合に電流をそれに通すことによって張力が掛けられて横運動を開始する。これらの要素は、楕円断面を有するワイヤ156から生じるであろうワイヤ156の回転移動を排除することによりセンサユニット150を改良することができることを示唆しており、センサユニット150も、電流がワイヤを通して流れることを可能にするためにワイヤ156の各端部を絶縁すべきである。
【0088】
タングステンは、表面は粗いが、ヤング率E(≒411GPa)及び密度ρs(≒19,300kg・m-3)が他の材料に対して高いために、液体を伴う測定用のワイヤ156には好ましい材料である。ワイヤ156に張力を掛けた時に、前者は、安定した共振をもたらす助けをし、一方、後者は、方程式(4)及び(5)の比ρ/ρsを通じてワイヤ156回りの流体に感受性をもたらすものである。表面の粗さの影響は、振動振幅が小さくかつレイノルド数が100よりも小さいことを条件として無視できるものである。密度の測定に関しては、ワイヤ密度は、付加質量の概念から導出されるように、流体の密度に向う傾向があることが望ましい。従って、タングステンを使用することができるが、タングステンよりも低い密度を有する他の材料も測定対象の流体の予想密度によっては許容可能である。
【0089】
異なる熱膨張の影響を最小限に抑えるために、ワイヤ材料のこの選択は、コネクタ152、流管154、及び緊張機構に使用する材料を決定する。流管154を形成する絶縁材料の機械的特性は、ワイヤ156及びコネクタ152の両方に使用される材料にできるだけ近いものであることが望ましい。例えば、ワイヤ張力に及ぼす異なる熱膨張の影響は、温度が周囲環境から外れているので、タングステンの熱膨張率と同等の線形の熱膨張率を有する材料を選択することによって小さくすることができるであろう。圧縮強度が1GPaである高い熱膨張率を有する機械加工可能なセラミックである「Shapal−M」は、T=298Kの時の線形熱膨張率α=(1/L)dL/dT=5.2・10-6K-1を有し、一方、α(W、298K)≒4.5・10-6k-1である。絶縁材料の代替材料としては、窒化アルミニウム又は「Macor」のいずれかを含むことができるであろうが、これらの材料のαはWと同等ではない。
【0090】
上述の判断基準は、温度、圧力、及び流体特性から生じるf0の変動を小さくするために、図11及び図12に示す振動ワイヤ粘度計−密度計60のセンサユニット200の別のバージョンを作製するために使用したものである。センサユニット200は、同じ熱膨張及び弾性特性を有するタングステンのようなほとんど同じ材料でセンサユニット200を構成すると同時に、ワイヤ156の回転も最小限に抑えて流体特性の変動から生じるf0に及ぼす影響を小さくすることにより温度及び圧力の影響が低減される点を除き、構成及び機能がセンサユニット150と類似のものである。図11に示すセンサユニット200は、いずれもタングステンで形成された2つのコネクタ204及び206とワイヤ202が保持されるコネクタ204及び206との間に配置された流管208から成る。ワイヤ202は、各コネクタ204及び206に固く連結される。例えば、図11及び図12に示す例においては、ワイヤ202は、各コネクタ204及び206に電子ビーム溶接(EBW)される。
【0091】
コネクタ204は、ボス212と末端部分214を含む。ボス212は、ワイヤ202に連結され、ワイヤ202の回転を防止するように設計される。例えば、ボス212に非円形の断面、例えば四角形を設けて、ワイヤ202の回転を防止することができる。ボス212は、末端部分214に形成された空洞内に配置される。ボス212は、コネクタ206とのアラインメントを容易にする形状となっている。ボス212は、コネクタ206とのアラインメントを容易にするのに適切なあらゆる形状で形成することができる。例えば、ボス212は、コネクタ206とのアラインメントを容易にするためにテーパ付き又は円錐形端部を含むことができる。ワイヤ202をボス212に固く固定するあらゆる適切な方法を通じてボス212にワイヤ202を取り付けることができる。例えば、ワイヤ202をボス212内に形成されたスロット(図示せず)内に配置し、ボス212がワイヤ202回りでクランプを形成するように、上述のように電子ビーム溶接することができる。
【0092】
コネクタ206には、端部マウント216、ボス218、絶縁体220、及びボス218及び端部マウント216との相対的な位置を調節する調節アセンブリ222が設けられている。ボス218は、ボス212がワイヤ202に連結されるのと同じ方法でワイヤ202に連結される。ボス218は、ワイヤの回転を防止するように設計される。例えば、ボス218には、ワイヤ202の回転を防止するために非円形の断面、例えば四角形を設けることができる。ボス218は、端部マウント216内に形成された空洞224内に配置される。
【0093】
絶縁体220は、端部マウント216とボス218の間の電気的隔離を行うものである。図11及び図12に示す実施形態では、絶縁体220は、端部マウント216内の空洞224を裏打ちし、かつ端部マウント216の面226に亘って延びるスリーブとして形成される。絶縁体220は、ダウンホール環境に耐えることができるあらゆる絶縁材料で形成することができる。例えば、「Shapal−M」のようなセラミック材料で構成することができる。
【0094】
調節アセンブリ222は、ワイヤ202の張力の調節を可能にするためにボス212と端部マウント216の間の相対的な位置を調節することができるあらゆる装置とすることができる。例えば、調節アセンブリ222は、ボス212に螺合したワイヤ緊張ナット230を含むことができる。勿論、これ以外にもワイヤ202の緊張を可能にするためにワイヤ202をハウジングにクランプ締めするのに使用することができる構成は数多くある。例えば、図示のように2つのクランプ又はコネクタの間又はバネの使用である。
【0095】
上述のように、張られた振動ワイヤ74、156、又は202は、温度、圧力、及び流体に対して安定した共振周波数を有することが望ましい。安定した共振周波数は、本質的に、一定のワイヤ張力という要件に合ったものになる。安定した発振器を機械的考察だけから構成することはもっともらしいが、相対測定の概念によって別のソリューションが提供される。粘度計−密度計60の1つ(60aと指定)が未知の粘性及び密度の流体内に配置され、粘度計−密度計60の別のもの(60bと指定)が既知の粘性及び密度の流体内に配置された2以上の粘度計−密度計60を有する点を除き上述のダウンホール10と構成及び機能が類似であるダウンホール10aの別のバージョンの断片図を図13に示す。粘度計−密度計60a及び60bには、磁石64a及び64bが装備される。この手法では、2つの類似のセンサユニット250a及び250bが使用され、一方は未知の特性、例えば密度及び粘性を有する流体内に浸漬され、他方は、既知の特性を有する流体内に浸漬される。センサユニット250a及び250bは、上述のセンサユニット62、150、又は200に対して上述の方法で構成することができる。
【0096】
センサユニット250aは、評価流路252内に配置され、評価流路252は、上述の評価流路46、清掃流路46a、又はサンプルチャンバ50とすることができる。ダウンホール工具10aにおいては、流路252と流体連通しているエルボ又は継手254が設けられている。継手254は、既知の流体及びセンサユニット250bが配置された比較チャンバ255を形成する。ダウンホール工具10aには、流路252内の圧力を均等化する圧力均等化アセンブリ256が装備されている。一般的に、圧力均等化アセンブリ256は、評価流路252と比較チャンバ255の間の圧力を均等化することができるあらゆる装置とすることができる。例えば、図13に示すように、圧力均等化アセンブリ256は、比較チャンバ255に対して移動して圧力を均等化する往復ピストン258を含むことができる。
【0097】
センサユニット250a及び250bは、駆動電圧を供給し、かつ上述のように粘性及び密度のような1以上の流体パラメータを判断するための1以上の信号プロセッサ260及び分析回路262に接続される。信号プロセッサ260及び分析回路262は、構成及び機能は上述の信号プロセッサ66及び分析回路68と類似のものである。
センサユニット250a及び250b間の共振の比率は、例えば、図14a及び図14bにおいて図示するように判断される。図14aは、図13に示す2つの粘度計−密度計60a及び60bを利用して流体の密度及び粘性を計算する処理170を示している。処理170は、上述の図7aで利用されたものと類似の段階を有する。明瞭さを目的として、類似の段階は、同じ参照番号134a、134b、134d、134e、134f、134g、134h、及び134iとラベル付けされており、改めて詳細には説明しない。
【0098】
一般的に、比較チャンバ255に入ることになる流体密度及び粘性は、段階172及び174で示すように、「米国標準技術局(NIST)」の表を利用するなどの公知の方法によって判断される。分析回路262は、段階176で示すように、信号をセンサユニット250bから受け取り、その後、段階178で示すように、比較チャンバ255内の流体の既知の密度及び粘性に基づいて共振周波数を計算する。その後、分析回路262は、図7Aに対して上述した方法で粘性及び密度を計算する。
【0099】
流路252内の未知の流体の流体密度及び粘性を計算する別の処理を図14bに示している。処理180においては、ブロック182及び183で示すように、流体密度、粘性、及びラムダの初期推定値a、b、c、及びdを分析回路262に入力する。ブロック184で示すように、ワイヤ直径、ワイヤ密度、及び内部減衰係数のような定数を分析回路262に入力する。ブロック186で示すように、流路252内のセンサユニット250aが露出される温度及び圧力のような他の入力を分析回路262に入力する。その後、ブロック188及び190で表すように、センサユニット250a及び250bから同相電圧及び直交電圧のような入力データを読取り、ブロック183で示すように、センサ250a及び250bからのデータのジョイント・インバージョンを計算する。その後、分析回路262は、ブロック192で示すように、センサユニット250aを取り囲む流体の流体密度及び粘性を出力する。
粘性及び密度を計算する以上の2つの方法を説明したが、2つのセンサユニット250a及び250bによって生成された出力の比率測定のようなあらゆる方法を利用することができると考えられる点を理解すべきである。
【0100】
センサユニット250a及び250b内のワイヤが類似の構成(好ましくは同一構成)であり、同じ温度及び圧力に露出されることを条件として、これらの変数から生じる不安定性は排除され、安定した発振器であることを示すデータが得られる。両方の概念、すなわち、比較又は比率測定とセンサユニット150及び200に関して上述した安定した幾何学的形状とが組み合わされた場合、共振器は安定であり、かつ密度及び粘性の両方を提供することができることになることはあり得ることである。
【0101】
本発明の好ましい及び代替的な実施形態においてその真の精神から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることが以上の説明から理解されるであろう。本明細書で含まれる装置は、手動及び/又は自動的に作動して望ましい作業を行うことができる。この作動は、必要に応じて及び/又は生成されたデータ、検出された条件、及び/又はダウンホール作業からの結果の分析に基づいて実行することができる。
【0102】
本明細書は、例証のみを意図したものであり、限定する意味に解釈されるべきではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の言語によってのみ判断されるべきである。特許請求の範囲の「含む」という用語は、特許請求の範囲の要素の示された列挙事項が開放グループであるように「少なくとも含む」を意味するものとする。「a」、「an」、及び他の単数形は、特に除外しない限り、その複数形を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】ワイヤライン工具がリグから吊された、内部粘度計−密度計を有するダウンホールワイヤライン工具の概略部分断面図である。
【図2】ダウンホール掘削工具がリグから吊された、内部粘度計−密度計を有するダウンホール掘削工具の概略部分断面図である。
【図3A】井戸坑の側壁に対して見当合わせしたプローブとダウンホール工具内の評価流路内に配置された粘度計−密度計とを有する図1のダウンホール工具の一部分の概略図である。
【図3B】二重パッカーと組み合わせて利用される清掃流路を有する図1のダウンホール工具の別のバージョンの一部分の概略図である。
【図4】評価空洞内に配置された粘度計−密度計の側面図である。
【図5】吊されたワイヤを示す図4の粘度計−密度計のセンサユニットの断面図である。
【図6】図4に示す粘度計−密度計のセンサユニットの分解斜視図である。
【図7a】粘性及び密度を同時に計算する方法を示す論理流れ図である。
【図7b】粘性及び密度を同時に計算する別の方法を示す論理流れ図である。
【図8】粘性及び密度の計算において利用される最小値を示す固定f0超平面によって切り取られたカイ自乗性能表面を示すグラフである。
【図9】粘度計−密度計の別のセンサユニットの分解斜視図である。
【図10】図9に示すセンサユニットの上面図である。
【図11】センサユニットの別のバージョンの側面図である。
【図12】図11の線12−12に沿って切り取られた図11のセンサユニットの断面図である。
【図13】粘度計−密度計の1つが未知の粘性及び密度の流体内に配置され、粘度計−密度計の別のものが既知の粘性及び密度の流体内に配置された2以上の粘度計−密度計を有するダウンホール工具の別のバージョンの断片概略図である。
【図14a】図13に示す構成を利用して粘性及び密度を同時に計算する方法を示す論理流れ図である。
【図14b】図13に示す構成を利用して粘性及び密度を同時に計算する別の方法を示す論理流れ図である。
【符号の説明】
【0104】
10 ダウンホール工具
12 リグ
14 井戸坑
18 プローブ
20 井戸坑壁
F 地層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下層を貫通する井戸坑に配置可能なダウンホール工具のための粘度計−密度計であって、該ダウンホール工具が該地層の流体の少なくとも一部分を該粘度計−密度計に搬送するようになっており、
少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ、及び
前記少なくとも2つのコネクタ間に緊張状態で吊られ、それにより、粘度計−密度計がダウンホール工具内に配置され、該ダウンホール工具が地下層内に配置されて該地下層から流体を受け取る時に該流体との相互作用に対して利用可能であるワイヤ、
を含み、前記コネクタ及び前記ワイヤが周波数発振器を形成するように構成された、前記ダウンホール工具内に配置可能なセンサユニットと、
前記ワイヤと相互作用する磁場を発生する少なくとも1つの磁石と、
を含むことを特徴とする粘度計−密度計。
【請求項2】
前記コネクタ及び前記ワイヤは、単一種類の材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項3】
前記コネクタに対する前記ワイヤの回転を防止するための手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項4】
前記ワイヤの回転を防止するための手段は、該ワイヤに接続した非円形断面を有するボスを更に含むことを特徴とする請求項3に記載の粘度計−密度計。
【請求項5】
前記ワイヤと相互作用する流体の少なくとも2つのパラメータを計算するためのフィードバックを該ワイヤから受け取る分析回路を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項6】
前記2つのパラメータは、粘性及び密度であることを特徴とする請求項5に記載の粘度計−密度計。
【請求項7】
前記コネクタ及び前記ワイヤは、前記周波数発振器を形成するために類似の熱膨張率を有する材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項8】
前記ワイヤが前記コネクタによって吊られた流管を更に含み、
前記流管、前記コネクタ、及び前記ワイヤは、前記周波数発振器を形成するために類似の熱膨張率を有する材料で構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項9】
一方のセンサユニットが未知のパラメータの流体内に配置され、他方のセンサユニットが既知のパラメータの流体と共に配置された少なくとも2つのセンサユニットからのフィードバックを受け取り、かつ、該一方のセンサユニットが配置された該流体の該未知のパラメータの少なくとも2つを示す信号を計算する一方で、該未知のパラメータの流体内の該センサユニットを取り囲む井戸坑条件の変動を実質的に排除するための論理を含むことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記信号を計算するための論理は、前記センサユニットから受け取ったデータのジョイント・インバージョンを実行するための論理を含むことを特徴とする請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記2つの未知のパラメータは、粘性及び密度であることを特徴とする請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
壁を有する井戸坑に配置可能であり、流体を有する地下層を貫通するダウンホール工具であって、
少なくとも1つの評価空洞を封入したハウジングと、
井戸坑の壁との密封係合のために前記ハウジングから延長可能であり、かつ、地層から流体を受け取ってこのような流体を前記評価空洞内に堆積させるための該評価空洞と連通した少なくとも1つの入口を有する流体連通装置と、
粘度計−密度計と、
を含み、
前記粘度計−密度計は、
少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ、及び
前記少なくとも2つのコネクタ間に緊張状態で吊られ、それによって前記評価空洞内の前記流体との相互作用に対して利用可能であるワイヤ、
を含み、前記コネクタ及び前記ワイヤが周波数発振器を形成するように構成された、該評価空洞内に配置されたセンサユニットと、
前記ワイヤと相互作用する磁場を発生する少なくとも1つの磁石と、
を含む、
ことを特徴とする工具。
【請求項13】
前記コネクタ及び前記ワイヤは、単一種類の材料で構成されることを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項14】
前記コネクタに対して前記ワイヤの回転を防止するための手段を更に含むことを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項15】
前記ワイヤの回転を防止するための手段は、該ワイヤに接続した非円形断面を有するボスを更に含むことを特徴とする請求項14に記載のダウンホール工具。
【請求項16】
前記ワイヤと相互作用する流体の少なくとも2つのパラメータを計算するためのフィードバックを該ワイヤから受け取る分析回路を更に含むことを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項17】
前記2つのパラメータは、粘性及び密度であることを特徴とする請求項16に記載のダウンホール工具。
【請求項18】
前記コネクタ及び前記ワイヤは、前記周波数発振器を形成するために類似の熱膨張率を有する材料で構成されることを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項19】
前記ワイヤが前記コネクタによって吊られた流管を更に含み、
前記流管、前記コネクタ、及び前記ワイヤは、前記周波数発振器を形成するために類似の熱膨張率を有する材料で構成される、
ことを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項20】
チャンバ内のダウンホール条件が前記評価空洞内のダウンホール条件と類似である、既知の特性の流体を収容する比較チャンバを更に含み、
また、前記比較チャンバ内のセンサユニットが設けられ、それにより、前記評価空洞内の未知のパラメータの流体内に配置された一方のセンサユニットと、該比較チャンバ内の既知のパラメータの流体と共に配置された他方のセンサユニットとを含む、
ことを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項21】
未知の流体を有する地層を貫通する井戸坑内の該流体の少なくとも2つの未知のパラメータを測定する方法であって、
ダウンホール工具の流体連通装置を井戸坑の壁と密封係合させて配置する段階と、
地層から前記ダウンホール工具内の評価空洞の中に流体を引き込む段階と、
前記評価空洞内に配置されて2つのコネクタ間に吊されたワイヤを有し、該ワイヤ及び該コネクタが周波数発振器を形成するように構成された粘度計−密度計を用いて該評価空洞内の前記流体のデータをサンプリングする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記評価空洞は、流路であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記評価空洞は、サンプルチャンバであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記評価空洞内でサンプリングされたデータを利用して少なくとも2つのパラメータを計算する段階を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも2つのパラメータは、粘性及び密度を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記評価空洞内の前記流体の温度及び圧力に関連した温度及び圧力を有する比較チャンバ内の既知の流体に対してデータをサンプリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記比較チャンバからサンプリングしたデータと前記評価空洞からサンプリングしたデータとを利用して、該評価空洞内の前記未知の流体の少なくとも2つのパラメータを計算する段階を更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項1】
地下層を貫通する井戸坑に配置可能なダウンホール工具のための粘度計−密度計であって、該ダウンホール工具が該地層の流体の少なくとも一部分を該粘度計−密度計に搬送するようになっており、
少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ、及び
前記少なくとも2つのコネクタ間に緊張状態で吊られ、それにより、粘度計−密度計がダウンホール工具内に配置され、該ダウンホール工具が地下層内に配置されて該地下層から流体を受け取る時に該流体との相互作用に対して利用可能であるワイヤ、
を含み、前記コネクタ及び前記ワイヤが周波数発振器を形成するように構成された、前記ダウンホール工具内に配置可能なセンサユニットと、
前記ワイヤと相互作用する磁場を発生する少なくとも1つの磁石と、
を含むことを特徴とする粘度計−密度計。
【請求項2】
前記コネクタ及び前記ワイヤは、単一種類の材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項3】
前記コネクタに対する前記ワイヤの回転を防止するための手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項4】
前記ワイヤの回転を防止するための手段は、該ワイヤに接続した非円形断面を有するボスを更に含むことを特徴とする請求項3に記載の粘度計−密度計。
【請求項5】
前記ワイヤと相互作用する流体の少なくとも2つのパラメータを計算するためのフィードバックを該ワイヤから受け取る分析回路を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項6】
前記2つのパラメータは、粘性及び密度であることを特徴とする請求項5に記載の粘度計−密度計。
【請求項7】
前記コネクタ及び前記ワイヤは、前記周波数発振器を形成するために類似の熱膨張率を有する材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項8】
前記ワイヤが前記コネクタによって吊られた流管を更に含み、
前記流管、前記コネクタ、及び前記ワイヤは、前記周波数発振器を形成するために類似の熱膨張率を有する材料で構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の粘度計−密度計。
【請求項9】
一方のセンサユニットが未知のパラメータの流体内に配置され、他方のセンサユニットが既知のパラメータの流体と共に配置された少なくとも2つのセンサユニットからのフィードバックを受け取り、かつ、該一方のセンサユニットが配置された該流体の該未知のパラメータの少なくとも2つを示す信号を計算する一方で、該未知のパラメータの流体内の該センサユニットを取り囲む井戸坑条件の変動を実質的に排除するための論理を含むことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記信号を計算するための論理は、前記センサユニットから受け取ったデータのジョイント・インバージョンを実行するための論理を含むことを特徴とする請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記2つの未知のパラメータは、粘性及び密度であることを特徴とする請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
壁を有する井戸坑に配置可能であり、流体を有する地下層を貫通するダウンホール工具であって、
少なくとも1つの評価空洞を封入したハウジングと、
井戸坑の壁との密封係合のために前記ハウジングから延長可能であり、かつ、地層から流体を受け取ってこのような流体を前記評価空洞内に堆積させるための該評価空洞と連通した少なくとも1つの入口を有する流体連通装置と、
粘度計−密度計と、
を含み、
前記粘度計−密度計は、
少なくとも2つの空間的に配置されたコネクタ、及び
前記少なくとも2つのコネクタ間に緊張状態で吊られ、それによって前記評価空洞内の前記流体との相互作用に対して利用可能であるワイヤ、
を含み、前記コネクタ及び前記ワイヤが周波数発振器を形成するように構成された、該評価空洞内に配置されたセンサユニットと、
前記ワイヤと相互作用する磁場を発生する少なくとも1つの磁石と、
を含む、
ことを特徴とする工具。
【請求項13】
前記コネクタ及び前記ワイヤは、単一種類の材料で構成されることを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項14】
前記コネクタに対して前記ワイヤの回転を防止するための手段を更に含むことを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項15】
前記ワイヤの回転を防止するための手段は、該ワイヤに接続した非円形断面を有するボスを更に含むことを特徴とする請求項14に記載のダウンホール工具。
【請求項16】
前記ワイヤと相互作用する流体の少なくとも2つのパラメータを計算するためのフィードバックを該ワイヤから受け取る分析回路を更に含むことを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項17】
前記2つのパラメータは、粘性及び密度であることを特徴とする請求項16に記載のダウンホール工具。
【請求項18】
前記コネクタ及び前記ワイヤは、前記周波数発振器を形成するために類似の熱膨張率を有する材料で構成されることを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項19】
前記ワイヤが前記コネクタによって吊られた流管を更に含み、
前記流管、前記コネクタ、及び前記ワイヤは、前記周波数発振器を形成するために類似の熱膨張率を有する材料で構成される、
ことを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項20】
チャンバ内のダウンホール条件が前記評価空洞内のダウンホール条件と類似である、既知の特性の流体を収容する比較チャンバを更に含み、
また、前記比較チャンバ内のセンサユニットが設けられ、それにより、前記評価空洞内の未知のパラメータの流体内に配置された一方のセンサユニットと、該比較チャンバ内の既知のパラメータの流体と共に配置された他方のセンサユニットとを含む、
ことを特徴とする請求項12に記載のダウンホール工具。
【請求項21】
未知の流体を有する地層を貫通する井戸坑内の該流体の少なくとも2つの未知のパラメータを測定する方法であって、
ダウンホール工具の流体連通装置を井戸坑の壁と密封係合させて配置する段階と、
地層から前記ダウンホール工具内の評価空洞の中に流体を引き込む段階と、
前記評価空洞内に配置されて2つのコネクタ間に吊されたワイヤを有し、該ワイヤ及び該コネクタが周波数発振器を形成するように構成された粘度計−密度計を用いて該評価空洞内の前記流体のデータをサンプリングする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記評価空洞は、流路であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記評価空洞は、サンプルチャンバであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記評価空洞内でサンプリングされたデータを利用して少なくとも2つのパラメータを計算する段階を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも2つのパラメータは、粘性及び密度を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記評価空洞内の前記流体の温度及び圧力に関連した温度及び圧力を有する比較チャンバ内の既知の流体に対してデータをサンプリングする段階を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記比較チャンバからサンプリングしたデータと前記評価空洞からサンプリングしたデータとを利用して、該評価空洞内の前記未知の流体の少なくとも2つのパラメータを計算する段階を更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【公開番号】特開2006−177149(P2006−177149A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369244(P2005−369244)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(502210208)シュラムバーガー テクノロジー ベスローテン フェンノートシャップ (3)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(502210208)シュラムバーガー テクノロジー ベスローテン フェンノートシャップ (3)
[ Back to top ]