地盤の撹拌方法及び地盤の浄化方法
【課題】汚染された地盤を撹拌装置で撹拌する際の撹拌トルクを低減可能な地盤の撹拌方法及びその地盤を撹拌しながら浄化する地盤の浄化方法を提供する。
【解決手段】撹拌装置1は、ロッド2と、ロッド2先端部に取り付けられた撹拌翼3と、ロッド2及び撹拌翼3を回転させるためのベースマシン4と、を備えている。撹拌翼3には、流動体で潤滑性を有する栄養剤を送給するための送給路8が設けられており、撹拌翼3から地盤内に栄養剤を供給することができる。栄養剤を地盤内に供給することにより、撹拌翼3の周囲には、栄養剤が存在しているので、撹拌翼3と地盤との摩擦抵抗を低減できる。したがって、撹拌翼3を回転させるための撹拌トルクは低減する。
【解決手段】撹拌装置1は、ロッド2と、ロッド2先端部に取り付けられた撹拌翼3と、ロッド2及び撹拌翼3を回転させるためのベースマシン4と、を備えている。撹拌翼3には、流動体で潤滑性を有する栄養剤を送給するための送給路8が設けられており、撹拌翼3から地盤内に栄養剤を供給することができる。栄養剤を地盤内に供給することにより、撹拌翼3の周囲には、栄養剤が存在しているので、撹拌翼3と地盤との摩擦抵抗を低減できる。したがって、撹拌翼3を回転させるための撹拌トルクは低減する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染された地盤の撹拌方法及びその地盤を浄化する浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
汚染された地盤を浄化する際に、その地盤を撹拌するための撹拌装置21として、図13に示すように、ロッド2と、ロッド2の下端に取り付けられた撹拌部3’と、ロッド2を回転させるためのベースマシン4と、を備えたものが用いられている。この撹拌装置21で地盤を撹拌する際は、まず、撹拌部3’に設けられて開閉可能な撹拌翼3を閉じた状態でロッド2を回転させて地盤を掘削し、ロッド2の先端が汚染された地盤の下端よりもやや深い深度に到達したら掘削を停止する。次に、撹拌翼3を開き、撹拌翼3から地盤内に浄化剤を注入しつつ、撹拌翼3を回転させながら引き上げて、所定の深度に到達したら浄化剤の注入を停止するとともに、回転も停止する。その後、撹拌翼3を再び閉じて、地盤表層部Sを撹拌すること無く、撹拌翼3を地上へ引き上げる。
【0003】
また、特許文献1には、ロッドと、ロッドの外周に取り付けられた螺旋状羽根と、螺旋状羽根の表面に取り付けられて浄化剤を注入するための注入管と、ロッドを回転させるためのベースマシンと、を備えた撹拌装置が開示されている。この撹拌装置で地盤を撹拌する際は、まず、ロッド及び螺旋状羽根を回転させて地盤を掘削するとともに撹拌し、ロッドの先端が汚染された地盤の下端よりもやや深い深度に到達したら回転を停止する。次に、注入管から地盤内に浄化剤をスラリー状にして注入しつつ、ロッド及び螺旋状羽根を掘削時と反対方向に回転させながら地上へ引き上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−261811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した両方法では、広い範囲を効率良く撹拌できるように撹拌翼や螺旋状羽根の回転径を大きくすると、撹拌トルクが大きくなるので、撹拌翼や螺旋状羽根を回転させるためのベースマシンを大型化しなければならないが、その重量により、撹拌された後の軟弱状態の地盤を変形させてしまうおそれがあるため、撹拌翼や螺旋状羽根の回転径を大きくすることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、汚染された地盤を撹拌装置で撹拌する際の撹拌トルクを低減可能な地盤の撹拌方法及びその地盤を撹拌しながら浄化する地盤の浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、汚染された地盤を撹拌装置で撹拌する地盤撹拌方法において、
前記撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、潤滑性を有する微生物用の栄養剤を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給して、前記地盤と前記栄養剤とを混合することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、栄養剤は潤滑性を有するので、地盤内に供給されることにより、撹拌装置と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減して、撹拌装置を回転させるために必要な撹拌トルクを小さくすることができる。したがって、小型の撹拌装置で広い範囲の地盤を撹拌することが可能となる。
また、微生物用の栄養剤を地盤内に供給するので、地盤中の微生物を活発化させて汚染された地盤を浄化することができる。さらに、栄養剤と地盤とを混合することにより、浄化を長期間持続させることができる。
【0009】
本発明は、前記栄養剤を発泡させて供給することとしてもよい。
【0010】
本発明によれば、栄養剤を発泡させることにより、撹拌装置と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減することができるので、撹拌装置を回転させるために必要な撹拌トルクをより小さくすることができる。
また、スラリー状にして地盤内に供給する場合と比べて、水分量を大幅に低減することができるので、攪拌時の排泥量を削減することができる。
【0011】
また、本発明において、前記栄養剤は、グルコン酸及びグルコン酸塩、グルコン酸アミド、グルコン酸エステル、グルコン酸無水物等のグルコン酸誘導体のうち少なくとも1種類以上含有したもの、乳化動植物油、易分解性の乳化剤の何れかを含むこととしてもよい。
【0012】
本発明によれば、栄養剤に含まれるグルコン酸及びグルコン酸塩、グルコン酸アミド、グルコン酸エステル、グルコン酸無水物等のグルコン酸誘導体のうち少なくとも1種類以上含有したもの、乳化動植物油、易分解性の乳化剤は、入手性に優れている。
【0013】
また、本発明において、前記栄養剤とともに、浄化剤又は起泡剤の少なくとも何れか一方を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給することとしてもよい。
【0014】
本発明によれば、浄化剤を供給することにより、浄化を促進することができる。また、起泡剤を供給することにより、撹拌装置と地盤との間に生じる摩擦抵抗を大幅に低減することができるので、撹拌装置を回転させるために必要な撹拌トルクをより小さくすることができる。
【0015】
また、本発明において、前記撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、石膏系固化剤を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給することとしてもよい。
【0016】
本発明によれば、石膏系固化剤を供給することにより、地盤内の気泡を破泡することができる。これによって、地盤が締まり、地盤の軟弱化を防止できる。また、撹拌された地盤の排泥量を低減できる。さらに、石膏系固化剤を併用することで地盤の強度を増大させることができる。
【0017】
本発明は、汚染された地盤を原位置で浄化する地盤浄化方法において、
撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、潤滑性を有する微生物用の栄養剤を前記撹拌装置から前記地盤内に供給して、前記地盤と前記栄養剤とを混合することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、微生物用の栄養剤を地盤内に供給するので、地盤中の微生物を活発化させて汚染された地盤を浄化することができる。さらに、栄養剤と地盤とを混合することにより、浄化を長期間持続させることができる。
また、栄養剤は潤滑性を有するので、撹拌装置と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減して撹拌トルクを小さくすることができる。したがって、小型の撹拌装置で地盤内の広い範囲を撹拌することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、汚染された地盤を撹拌装置で撹拌する際の撹拌トルクを低減可能な地盤の撹拌方法及びその地盤を撹拌しながら浄化する地盤の浄化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る撹拌方法を説明するための地盤の断面模式図である。
【図2】各試験体に含まれる材料及びそれらの配合割合を示す一覧図である。
【図3】水と山砂とを混合した試験体No.2を示す図である。
【図4】栄養剤を発泡させた状態を示す図である。
【図5】起泡剤を発泡させた状態を示す図である。
【図6】撹拌トルクを測定するための測定装置を示す概略図である。
【図7】各試験体No.1〜No.4を撹拌している状態の一例を示す図である。
【図8】各試験体No.1〜No.4を撹拌した際の電流値の測定結果を示す一覧図である。
【図9】撹拌装置を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。
【図10】撹拌装置を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。
【図11】撹拌装置を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。
【図12】撹拌装置を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。
【図13】撹拌装置を用いた撹拌方法の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る地盤の撹拌方法及び浄化方法の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る撹拌方法を説明するための地盤の断面模式図である。
図1に示すように、汚染された地盤(図中の左下がり斜線のハッチング部分)を撹拌するための撹拌装置1は、ロッド2と、ロッド2の下端に接続された撹拌部3’と、撹拌部3’に設けられて開閉可能な撹拌翼3と、ロッド2及び撹拌部3’を回転させるためのベースマシン4と、を備えている。なお、以下の図において、左下がり斜線のハッチング部分は、汚染された地盤の範囲を示す。
【0023】
地上には、微生物を活性化させるための栄養剤を貯留するタンク5と、タンク5内の栄養剤を撹拌装置1へ供給するためのポンプ6と、ポンプ6を駆動するための発電機7が設けられている。
ポンプ6から送給された栄養剤は、ロッド2及び撹拌翼3を通って地盤内へ供給される。
【0024】
撹拌装置1の撹拌翼3は、ロッド2の径方向に突出した状態(すなわち、開いた状態)と、ロッド2の長手方向に沿った状態(すなわち、閉じた状態)との間で回動可能である。
【0025】
撹拌翼3には、栄養剤を送給するための送給路8が設けられており、撹拌翼3から地盤内に栄養剤を供給することができる。栄養剤としては、例えば、乳化動植物油のホイップクリームのように、泡状で潤滑性を有するものを用いる。
【0026】
次に、栄養剤を地盤内に供給した場合において、撹拌翼3を回転させるために必要な撹拌トルクの大きさについて検討するための実験を行ったので、以下にその詳細について述べる。
【0027】
実験は、栄養剤と地盤とを混合した試験体と、栄養剤を含まない地盤のみからなる試験体と、を作成し、それぞれの撹拌トルクの大きさを測定して比較した。また、栄養剤の代わりに水と地盤とを混合した試験体、及び起泡剤と地盤とを混合した試験体をそれぞれ作成して、撹拌トルクの大きさを測定した。
【0028】
まず、各試験体に含まれる材料について説明し、次に、各試験体の試験結果について説明する。
【0029】
図2は、各試験体に含まれる材料及びその配合割合を示す一覧図である。
図2に示すように、試験体No.1は、山砂のみからなる試験体である。
また、試験体No.2は、水と山砂とを混合した試験体である(図3参照)。
そして、試験体No.3は、栄養剤である乳化動植物油のホイップクリームを2〜4倍程度に発泡させて(図4参照)山砂と混合した試験体である。
さらに、試験体No.4は、起泡剤であるアルファオレフィンスルホン酸塩を8倍程度に発泡させて(図5参照)山砂と混合した試験体である。
【0030】
図6は、撹拌トルクを測定するための測定装置10を示す概略図である。
図6に示すように、測定装置10は、撹拌翼3と、モータ9と、モータ9の電流値を計測する計測器11とから構成されている。
【0031】
作成した各試験体No.1〜No.4をそれぞれ容器12に入れて所定の高さまで敷き詰めた後、締め固める。
【0032】
次に、この締め固めた各試験体No.1〜No.4の上にそれぞれ撹拌翼3を載置する。
そして、撹拌翼3を埋設するように、作成した各試験体No.1〜No.4をそれぞれ容器12内に入れる。
【0033】
各試験体No.1〜No.4内の撹拌翼3の上端を減速機付きモータ9(後述する)に接続し、撹拌可能な状態にする。
【0034】
図7は、各試験体No.1〜No.4を撹拌している状態の一例を示す図である。
図7に示すように、各試験体No.1〜No.4を撹拌翼3で撹拌し、その時のモータ9の電流値をそれぞれ計測した。電流値が大きい場合は、負荷が大きいこと、すなわち、撹拌トルクが大きいことを示す。本実施形態においては、モータ9を周波数1〜2Hz、回転数12rpmで回転させたが、この値に限定されるものではなく、適宜、変更可能である。
なお、負荷をかけることなく、大気中で撹拌翼3を回転させた際のモータ9の電流値は2.2Aであった。
【0035】
図8は、各試験体No.1〜No.4を撹拌した際の電流値の測定結果を示す一覧図である。
図8に示すように、試験体No.1、No.2、No.3、No.4の電流値は、それぞれ2.6A、2.3A、2.4A、2.3Aであった。
すなわち、電流値は、試験体No.2と試験体No.4とが同じ値で、最も小さく、試験体No.3がそれらよりもやや大きく、試験体No.1が最も大きかった。
【0036】
以上のように、撹拌トルクは、水や起泡剤を山砂と混合した場合が最も小さく、栄養剤を山砂と混合した場合が、それよりやや大きく、添加材を全く混合しない地盤のみの場合に最も大きいことが確認された。
【0037】
次に、撹拌装置1を用いた地盤の撹拌方法及び原位置での浄化方法について説明する。
【0038】
図9〜図12は、撹拌装置1を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。これらの図において、点状のハッチング部分は、栄養剤を供給して撹拌翼3にて撹拌した範囲を示し、また、右下がり斜線のハッチング部分は、石膏系固化剤を供給して撹拌翼3にて撹拌した範囲を示す。
【0039】
まず、図9に示すように、撹拌翼3を閉じた状態で地盤表層部Sを掘削する。
【0040】
次に、図10に示すように、撹拌部3’が汚染された地盤の上端付近に到達したら撹拌翼3を開き、撹拌翼3を回転させて地盤を撹拌しながら、撹拌翼3から栄養剤を地盤内に供給しつつ、深部方向へ掘進する。
本実施形態においては、栄養剤として、乳化動植物油であるホイップクリームに加水し、練り混ぜて泡立てたものを用いた。
栄養剤を地盤内に供給すると、撹拌翼3の周囲には、潤滑性を有する栄養剤が泡状で存在することになり、この状態で撹拌翼3を回転させることで、撹拌翼3と地盤との摩擦抵抗が低減するため、撹拌翼3を回転させるために必要な撹拌トルクを小さくすることができる。
【0041】
なお、本実施形態においては、乳化動植物油を泡立てて用いたが、これに限定されるものではなく、原液のまま用いてもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、栄養剤として乳化動植物油を用いたが、これに限定されるものではなく、易分解性の乳化剤やクロロクリンを用いてもよい。易分解性の乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルを用いることができる。また、クロロクリンとしては、例えば、グルコン酸及びグルコン酸塩、グルコン酸アミド、グルコン酸エステル、グルコン酸無水物等のグルコン酸誘導体のうち少なくとも1種類以上含有したものを用いることができる。要は、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレン等の有機化合物を分解可能な微生物を活性化させるものであれば良い。
【0043】
次に、図11に示すように、汚染された地盤の下端まで撹拌したら、撹拌翼3の回転を停止し、栄養剤の供給も停止する。
栄養剤が供給されたことにより、汚染された地盤内に存在する微生物が活性化され、有機化合物を分解して無害化することができる。
【0044】
その後、粒状の石膏系固化剤の送給を開始し、撹拌翼3より地盤内に供給する。そして、石膏系固化剤を地盤内に供給しつつ、再び、撹拌翼3を回転させて地盤を撹拌するとともに、撹拌翼3を引き上げる。その際に、栄養剤の気泡は、石膏系固化剤によって水分が奪われるため、破泡する。これによって、地盤が締まり、地盤の軟弱化を防止できる。また、撹拌された地盤の排泥量を低減できる。さらに、石膏系固化剤を併用することで地盤の強度を増大させることができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、石膏系固化剤を用いることにより栄養剤の気泡を破泡したが、これに限定されるものではなく、一般的な消泡剤を用いてもよいし、何も注入すること無く撹拌することにより自然に破泡させてもよい。
【0046】
そして、図12に示すように、撹拌部3’が汚染された地盤の上端に到達したら、撹拌翼3の引き上げを停止する。
【0047】
次に、石膏系固化剤の注入を停止し、撹拌翼3を閉じる。その後、撹拌翼3を地上へ引き上げる。
【0048】
上述した撹拌方法によれば、栄養剤が潤滑性を有するので、この栄養剤を注入しながら又は注入した後に、撹拌翼3を回転させることによって、撹拌翼3と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減して撹拌トルクを小さくすることができる。また、撹拌翼3を長くすることができる。したがって、小型の撹拌装置1で広い範囲の地盤を撹拌することが可能となる。
また、微生物用の栄養剤を地盤内に供給するので、地盤中の微生物を活発化させて汚染された地盤を浄化することができる。さらに、栄養剤と地盤とを混合することにより、浄化を長期間持続させることができる。
【0049】
また、栄養剤を発泡させることにより、撹拌翼3と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減することができるので、撹拌トルクをより小さくすることができる。
さらに、スラリー状にして地盤内に供給する場合と比べて、水分量を大幅に低減することができるので、攪拌時の排泥量を削減することができる。
【0050】
そして、栄養剤に含まれる乳化動植物油や易分解性の乳化剤やクロロクリンは、入手性に優れている。
【0051】
なお、本実施形態においては、地盤表層部Sを撹拌せずに、深層部Dのみを撹拌した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、地盤表層部Sも深層部Dと同様に撹拌してもよい。
【0052】
なお、本実施形態においては、汚染された地盤の上端で撹拌翼3を開き、地盤を撹拌しながら撹拌翼3を深部へ進行させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、まず、撹拌翼3を閉じた状態で汚染された地盤の下端まで掘進し、その後、撹拌翼3を開き、地盤を撹拌しながら撹拌翼3を引き上げてもよい。かかる場合には、撹拌翼3を引き上げながら、栄養剤を地盤内に供給する。
【0053】
なお、本実施形態においては、栄養剤のみを地盤内へ供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、栄養剤とともに、鉄粉等の浄化剤又はアルファオレフィンスルホン酸等の起泡剤の少なくとも何れか一方を撹拌翼3から供給してもよい。浄化剤を供給することにより、浄化を促進することができる。また、起泡剤を供給することにより、撹拌装置1と地盤との間に生じる摩擦抵抗を大幅に低減することができるので、撹拌トルクをより小さくすることができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、開閉可能な撹拌翼3を用いたが、これに限定されるものではなく、撹拌部3’の外周に羽根が螺旋状に取り付けられたものを用いても良く、その形状は問わない。
【0055】
なお、本実施形態においては、栄養剤と石膏系固化剤とをそれぞれ別々に地盤内に供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、栄養剤と石膏系固化剤とを混合して地盤内に同時に供給してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 撹拌装置
2 ロッド
3 撹拌翼
3’撹拌部
4 ベースマシン
5 タンク
6 ポンプ
7 発電機
8 送給路
9 モータ
10 測定装置
11 計測器
12 容器
21 撹拌装置
S 地盤表層部
D 深層部
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染された地盤の撹拌方法及びその地盤を浄化する浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
汚染された地盤を浄化する際に、その地盤を撹拌するための撹拌装置21として、図13に示すように、ロッド2と、ロッド2の下端に取り付けられた撹拌部3’と、ロッド2を回転させるためのベースマシン4と、を備えたものが用いられている。この撹拌装置21で地盤を撹拌する際は、まず、撹拌部3’に設けられて開閉可能な撹拌翼3を閉じた状態でロッド2を回転させて地盤を掘削し、ロッド2の先端が汚染された地盤の下端よりもやや深い深度に到達したら掘削を停止する。次に、撹拌翼3を開き、撹拌翼3から地盤内に浄化剤を注入しつつ、撹拌翼3を回転させながら引き上げて、所定の深度に到達したら浄化剤の注入を停止するとともに、回転も停止する。その後、撹拌翼3を再び閉じて、地盤表層部Sを撹拌すること無く、撹拌翼3を地上へ引き上げる。
【0003】
また、特許文献1には、ロッドと、ロッドの外周に取り付けられた螺旋状羽根と、螺旋状羽根の表面に取り付けられて浄化剤を注入するための注入管と、ロッドを回転させるためのベースマシンと、を備えた撹拌装置が開示されている。この撹拌装置で地盤を撹拌する際は、まず、ロッド及び螺旋状羽根を回転させて地盤を掘削するとともに撹拌し、ロッドの先端が汚染された地盤の下端よりもやや深い深度に到達したら回転を停止する。次に、注入管から地盤内に浄化剤をスラリー状にして注入しつつ、ロッド及び螺旋状羽根を掘削時と反対方向に回転させながら地上へ引き上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−261811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した両方法では、広い範囲を効率良く撹拌できるように撹拌翼や螺旋状羽根の回転径を大きくすると、撹拌トルクが大きくなるので、撹拌翼や螺旋状羽根を回転させるためのベースマシンを大型化しなければならないが、その重量により、撹拌された後の軟弱状態の地盤を変形させてしまうおそれがあるため、撹拌翼や螺旋状羽根の回転径を大きくすることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、汚染された地盤を撹拌装置で撹拌する際の撹拌トルクを低減可能な地盤の撹拌方法及びその地盤を撹拌しながら浄化する地盤の浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、汚染された地盤を撹拌装置で撹拌する地盤撹拌方法において、
前記撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、潤滑性を有する微生物用の栄養剤を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給して、前記地盤と前記栄養剤とを混合することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、栄養剤は潤滑性を有するので、地盤内に供給されることにより、撹拌装置と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減して、撹拌装置を回転させるために必要な撹拌トルクを小さくすることができる。したがって、小型の撹拌装置で広い範囲の地盤を撹拌することが可能となる。
また、微生物用の栄養剤を地盤内に供給するので、地盤中の微生物を活発化させて汚染された地盤を浄化することができる。さらに、栄養剤と地盤とを混合することにより、浄化を長期間持続させることができる。
【0009】
本発明は、前記栄養剤を発泡させて供給することとしてもよい。
【0010】
本発明によれば、栄養剤を発泡させることにより、撹拌装置と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減することができるので、撹拌装置を回転させるために必要な撹拌トルクをより小さくすることができる。
また、スラリー状にして地盤内に供給する場合と比べて、水分量を大幅に低減することができるので、攪拌時の排泥量を削減することができる。
【0011】
また、本発明において、前記栄養剤は、グルコン酸及びグルコン酸塩、グルコン酸アミド、グルコン酸エステル、グルコン酸無水物等のグルコン酸誘導体のうち少なくとも1種類以上含有したもの、乳化動植物油、易分解性の乳化剤の何れかを含むこととしてもよい。
【0012】
本発明によれば、栄養剤に含まれるグルコン酸及びグルコン酸塩、グルコン酸アミド、グルコン酸エステル、グルコン酸無水物等のグルコン酸誘導体のうち少なくとも1種類以上含有したもの、乳化動植物油、易分解性の乳化剤は、入手性に優れている。
【0013】
また、本発明において、前記栄養剤とともに、浄化剤又は起泡剤の少なくとも何れか一方を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給することとしてもよい。
【0014】
本発明によれば、浄化剤を供給することにより、浄化を促進することができる。また、起泡剤を供給することにより、撹拌装置と地盤との間に生じる摩擦抵抗を大幅に低減することができるので、撹拌装置を回転させるために必要な撹拌トルクをより小さくすることができる。
【0015】
また、本発明において、前記撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、石膏系固化剤を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給することとしてもよい。
【0016】
本発明によれば、石膏系固化剤を供給することにより、地盤内の気泡を破泡することができる。これによって、地盤が締まり、地盤の軟弱化を防止できる。また、撹拌された地盤の排泥量を低減できる。さらに、石膏系固化剤を併用することで地盤の強度を増大させることができる。
【0017】
本発明は、汚染された地盤を原位置で浄化する地盤浄化方法において、
撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、潤滑性を有する微生物用の栄養剤を前記撹拌装置から前記地盤内に供給して、前記地盤と前記栄養剤とを混合することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、微生物用の栄養剤を地盤内に供給するので、地盤中の微生物を活発化させて汚染された地盤を浄化することができる。さらに、栄養剤と地盤とを混合することにより、浄化を長期間持続させることができる。
また、栄養剤は潤滑性を有するので、撹拌装置と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減して撹拌トルクを小さくすることができる。したがって、小型の撹拌装置で地盤内の広い範囲を撹拌することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、汚染された地盤を撹拌装置で撹拌する際の撹拌トルクを低減可能な地盤の撹拌方法及びその地盤を撹拌しながら浄化する地盤の浄化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る撹拌方法を説明するための地盤の断面模式図である。
【図2】各試験体に含まれる材料及びそれらの配合割合を示す一覧図である。
【図3】水と山砂とを混合した試験体No.2を示す図である。
【図4】栄養剤を発泡させた状態を示す図である。
【図5】起泡剤を発泡させた状態を示す図である。
【図6】撹拌トルクを測定するための測定装置を示す概略図である。
【図7】各試験体No.1〜No.4を撹拌している状態の一例を示す図である。
【図8】各試験体No.1〜No.4を撹拌した際の電流値の測定結果を示す一覧図である。
【図9】撹拌装置を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。
【図10】撹拌装置を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。
【図11】撹拌装置を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。
【図12】撹拌装置を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。
【図13】撹拌装置を用いた撹拌方法の従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る地盤の撹拌方法及び浄化方法の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る撹拌方法を説明するための地盤の断面模式図である。
図1に示すように、汚染された地盤(図中の左下がり斜線のハッチング部分)を撹拌するための撹拌装置1は、ロッド2と、ロッド2の下端に接続された撹拌部3’と、撹拌部3’に設けられて開閉可能な撹拌翼3と、ロッド2及び撹拌部3’を回転させるためのベースマシン4と、を備えている。なお、以下の図において、左下がり斜線のハッチング部分は、汚染された地盤の範囲を示す。
【0023】
地上には、微生物を活性化させるための栄養剤を貯留するタンク5と、タンク5内の栄養剤を撹拌装置1へ供給するためのポンプ6と、ポンプ6を駆動するための発電機7が設けられている。
ポンプ6から送給された栄養剤は、ロッド2及び撹拌翼3を通って地盤内へ供給される。
【0024】
撹拌装置1の撹拌翼3は、ロッド2の径方向に突出した状態(すなわち、開いた状態)と、ロッド2の長手方向に沿った状態(すなわち、閉じた状態)との間で回動可能である。
【0025】
撹拌翼3には、栄養剤を送給するための送給路8が設けられており、撹拌翼3から地盤内に栄養剤を供給することができる。栄養剤としては、例えば、乳化動植物油のホイップクリームのように、泡状で潤滑性を有するものを用いる。
【0026】
次に、栄養剤を地盤内に供給した場合において、撹拌翼3を回転させるために必要な撹拌トルクの大きさについて検討するための実験を行ったので、以下にその詳細について述べる。
【0027】
実験は、栄養剤と地盤とを混合した試験体と、栄養剤を含まない地盤のみからなる試験体と、を作成し、それぞれの撹拌トルクの大きさを測定して比較した。また、栄養剤の代わりに水と地盤とを混合した試験体、及び起泡剤と地盤とを混合した試験体をそれぞれ作成して、撹拌トルクの大きさを測定した。
【0028】
まず、各試験体に含まれる材料について説明し、次に、各試験体の試験結果について説明する。
【0029】
図2は、各試験体に含まれる材料及びその配合割合を示す一覧図である。
図2に示すように、試験体No.1は、山砂のみからなる試験体である。
また、試験体No.2は、水と山砂とを混合した試験体である(図3参照)。
そして、試験体No.3は、栄養剤である乳化動植物油のホイップクリームを2〜4倍程度に発泡させて(図4参照)山砂と混合した試験体である。
さらに、試験体No.4は、起泡剤であるアルファオレフィンスルホン酸塩を8倍程度に発泡させて(図5参照)山砂と混合した試験体である。
【0030】
図6は、撹拌トルクを測定するための測定装置10を示す概略図である。
図6に示すように、測定装置10は、撹拌翼3と、モータ9と、モータ9の電流値を計測する計測器11とから構成されている。
【0031】
作成した各試験体No.1〜No.4をそれぞれ容器12に入れて所定の高さまで敷き詰めた後、締め固める。
【0032】
次に、この締め固めた各試験体No.1〜No.4の上にそれぞれ撹拌翼3を載置する。
そして、撹拌翼3を埋設するように、作成した各試験体No.1〜No.4をそれぞれ容器12内に入れる。
【0033】
各試験体No.1〜No.4内の撹拌翼3の上端を減速機付きモータ9(後述する)に接続し、撹拌可能な状態にする。
【0034】
図7は、各試験体No.1〜No.4を撹拌している状態の一例を示す図である。
図7に示すように、各試験体No.1〜No.4を撹拌翼3で撹拌し、その時のモータ9の電流値をそれぞれ計測した。電流値が大きい場合は、負荷が大きいこと、すなわち、撹拌トルクが大きいことを示す。本実施形態においては、モータ9を周波数1〜2Hz、回転数12rpmで回転させたが、この値に限定されるものではなく、適宜、変更可能である。
なお、負荷をかけることなく、大気中で撹拌翼3を回転させた際のモータ9の電流値は2.2Aであった。
【0035】
図8は、各試験体No.1〜No.4を撹拌した際の電流値の測定結果を示す一覧図である。
図8に示すように、試験体No.1、No.2、No.3、No.4の電流値は、それぞれ2.6A、2.3A、2.4A、2.3Aであった。
すなわち、電流値は、試験体No.2と試験体No.4とが同じ値で、最も小さく、試験体No.3がそれらよりもやや大きく、試験体No.1が最も大きかった。
【0036】
以上のように、撹拌トルクは、水や起泡剤を山砂と混合した場合が最も小さく、栄養剤を山砂と混合した場合が、それよりやや大きく、添加材を全く混合しない地盤のみの場合に最も大きいことが確認された。
【0037】
次に、撹拌装置1を用いた地盤の撹拌方法及び原位置での浄化方法について説明する。
【0038】
図9〜図12は、撹拌装置1を用いた撹拌方法の施工手順を示す図である。これらの図において、点状のハッチング部分は、栄養剤を供給して撹拌翼3にて撹拌した範囲を示し、また、右下がり斜線のハッチング部分は、石膏系固化剤を供給して撹拌翼3にて撹拌した範囲を示す。
【0039】
まず、図9に示すように、撹拌翼3を閉じた状態で地盤表層部Sを掘削する。
【0040】
次に、図10に示すように、撹拌部3’が汚染された地盤の上端付近に到達したら撹拌翼3を開き、撹拌翼3を回転させて地盤を撹拌しながら、撹拌翼3から栄養剤を地盤内に供給しつつ、深部方向へ掘進する。
本実施形態においては、栄養剤として、乳化動植物油であるホイップクリームに加水し、練り混ぜて泡立てたものを用いた。
栄養剤を地盤内に供給すると、撹拌翼3の周囲には、潤滑性を有する栄養剤が泡状で存在することになり、この状態で撹拌翼3を回転させることで、撹拌翼3と地盤との摩擦抵抗が低減するため、撹拌翼3を回転させるために必要な撹拌トルクを小さくすることができる。
【0041】
なお、本実施形態においては、乳化動植物油を泡立てて用いたが、これに限定されるものではなく、原液のまま用いてもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、栄養剤として乳化動植物油を用いたが、これに限定されるものではなく、易分解性の乳化剤やクロロクリンを用いてもよい。易分解性の乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルを用いることができる。また、クロロクリンとしては、例えば、グルコン酸及びグルコン酸塩、グルコン酸アミド、グルコン酸エステル、グルコン酸無水物等のグルコン酸誘導体のうち少なくとも1種類以上含有したものを用いることができる。要は、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレン等の有機化合物を分解可能な微生物を活性化させるものであれば良い。
【0043】
次に、図11に示すように、汚染された地盤の下端まで撹拌したら、撹拌翼3の回転を停止し、栄養剤の供給も停止する。
栄養剤が供給されたことにより、汚染された地盤内に存在する微生物が活性化され、有機化合物を分解して無害化することができる。
【0044】
その後、粒状の石膏系固化剤の送給を開始し、撹拌翼3より地盤内に供給する。そして、石膏系固化剤を地盤内に供給しつつ、再び、撹拌翼3を回転させて地盤を撹拌するとともに、撹拌翼3を引き上げる。その際に、栄養剤の気泡は、石膏系固化剤によって水分が奪われるため、破泡する。これによって、地盤が締まり、地盤の軟弱化を防止できる。また、撹拌された地盤の排泥量を低減できる。さらに、石膏系固化剤を併用することで地盤の強度を増大させることができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、石膏系固化剤を用いることにより栄養剤の気泡を破泡したが、これに限定されるものではなく、一般的な消泡剤を用いてもよいし、何も注入すること無く撹拌することにより自然に破泡させてもよい。
【0046】
そして、図12に示すように、撹拌部3’が汚染された地盤の上端に到達したら、撹拌翼3の引き上げを停止する。
【0047】
次に、石膏系固化剤の注入を停止し、撹拌翼3を閉じる。その後、撹拌翼3を地上へ引き上げる。
【0048】
上述した撹拌方法によれば、栄養剤が潤滑性を有するので、この栄養剤を注入しながら又は注入した後に、撹拌翼3を回転させることによって、撹拌翼3と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減して撹拌トルクを小さくすることができる。また、撹拌翼3を長くすることができる。したがって、小型の撹拌装置1で広い範囲の地盤を撹拌することが可能となる。
また、微生物用の栄養剤を地盤内に供給するので、地盤中の微生物を活発化させて汚染された地盤を浄化することができる。さらに、栄養剤と地盤とを混合することにより、浄化を長期間持続させることができる。
【0049】
また、栄養剤を発泡させることにより、撹拌翼3と地盤との間に生じる摩擦抵抗を低減することができるので、撹拌トルクをより小さくすることができる。
さらに、スラリー状にして地盤内に供給する場合と比べて、水分量を大幅に低減することができるので、攪拌時の排泥量を削減することができる。
【0050】
そして、栄養剤に含まれる乳化動植物油や易分解性の乳化剤やクロロクリンは、入手性に優れている。
【0051】
なお、本実施形態においては、地盤表層部Sを撹拌せずに、深層部Dのみを撹拌した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、地盤表層部Sも深層部Dと同様に撹拌してもよい。
【0052】
なお、本実施形態においては、汚染された地盤の上端で撹拌翼3を開き、地盤を撹拌しながら撹拌翼3を深部へ進行させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、まず、撹拌翼3を閉じた状態で汚染された地盤の下端まで掘進し、その後、撹拌翼3を開き、地盤を撹拌しながら撹拌翼3を引き上げてもよい。かかる場合には、撹拌翼3を引き上げながら、栄養剤を地盤内に供給する。
【0053】
なお、本実施形態においては、栄養剤のみを地盤内へ供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、栄養剤とともに、鉄粉等の浄化剤又はアルファオレフィンスルホン酸等の起泡剤の少なくとも何れか一方を撹拌翼3から供給してもよい。浄化剤を供給することにより、浄化を促進することができる。また、起泡剤を供給することにより、撹拌装置1と地盤との間に生じる摩擦抵抗を大幅に低減することができるので、撹拌トルクをより小さくすることができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、開閉可能な撹拌翼3を用いたが、これに限定されるものではなく、撹拌部3’の外周に羽根が螺旋状に取り付けられたものを用いても良く、その形状は問わない。
【0055】
なお、本実施形態においては、栄養剤と石膏系固化剤とをそれぞれ別々に地盤内に供給する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、栄養剤と石膏系固化剤とを混合して地盤内に同時に供給してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 撹拌装置
2 ロッド
3 撹拌翼
3’撹拌部
4 ベースマシン
5 タンク
6 ポンプ
7 発電機
8 送給路
9 モータ
10 測定装置
11 計測器
12 容器
21 撹拌装置
S 地盤表層部
D 深層部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染された地盤を撹拌装置で撹拌する地盤の撹拌方法において、
前記撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、潤滑性を有する微生物用の栄養剤を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給して、前記地盤と前記栄養剤とを混合することを特徴とする地盤の撹拌方法。
【請求項2】
前記栄養剤を発泡させて供給することを特徴とする請求項1に記載の地盤の撹拌方法。
【請求項3】
前記栄養剤は、グルコン酸及びグルコン酸塩、グルコン酸アミド、グルコン酸エステル、グルコン酸無水物等のグルコン酸誘導体のうち少なくとも1種類以上含有したもの、乳化動植物油、易分解性の乳化剤の何れかを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤の撹拌方法。
【請求項4】
前記栄養剤とともに、浄化剤又は起泡剤の少なくとも何れか一方を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給することを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載の地盤の撹拌方法。
【請求項5】
前記撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、石膏系固化剤を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給することを特徴とする請求項1に記載の地盤の撹拌方法。
【請求項6】
汚染された地盤を原位置で浄化する地盤浄化方法において、
撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、潤滑性を有する微生物用の栄養剤を前記撹拌装置から前記地盤内に供給して、前記地盤と前記栄養剤とを混合することを特徴とする地盤の浄化方法。
【請求項1】
汚染された地盤を撹拌装置で撹拌する地盤の撹拌方法において、
前記撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、潤滑性を有する微生物用の栄養剤を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給して、前記地盤と前記栄養剤とを混合することを特徴とする地盤の撹拌方法。
【請求項2】
前記栄養剤を発泡させて供給することを特徴とする請求項1に記載の地盤の撹拌方法。
【請求項3】
前記栄養剤は、グルコン酸及びグルコン酸塩、グルコン酸アミド、グルコン酸エステル、グルコン酸無水物等のグルコン酸誘導体のうち少なくとも1種類以上含有したもの、乳化動植物油、易分解性の乳化剤の何れかを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤の撹拌方法。
【請求項4】
前記栄養剤とともに、浄化剤又は起泡剤の少なくとも何れか一方を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給することを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載の地盤の撹拌方法。
【請求項5】
前記撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、石膏系固化剤を前記撹拌装置から前記地盤内へ供給することを特徴とする請求項1に記載の地盤の撹拌方法。
【請求項6】
汚染された地盤を原位置で浄化する地盤浄化方法において、
撹拌装置で前記地盤を撹拌しながら、潤滑性を有する微生物用の栄養剤を前記撹拌装置から前記地盤内に供給して、前記地盤と前記栄養剤とを混合することを特徴とする地盤の浄化方法。
【図1】
【図2】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図2】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【公開番号】特開2011−161372(P2011−161372A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26897(P2010−26897)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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