地盤の補強構造及び補強方法
【課題】トンネルの掘削にともなう地盤の緩み、変形、崩壊等の異常を防止する地盤の補強構造及び補強方法を提供する。
【解決手段】トンネル掘削予定箇所2の周辺の地盤3内に、地表からトンネル掘削予定箇所2へ斜め又は鉛直にそれぞれ埋設される引張材5と、引張材5の下部に、引張材5の外周を囲うように設けられる定着体7と、引張材5の下端に接続される延長材9と、地表からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜めにそれぞれ埋設される圧縮材11と、引張材5と圧縮材11とを連結し、地表面に接するように設置される受圧板13とが設けられる。
【解決手段】トンネル掘削予定箇所2の周辺の地盤3内に、地表からトンネル掘削予定箇所2へ斜め又は鉛直にそれぞれ埋設される引張材5と、引張材5の下部に、引張材5の外周を囲うように設けられる定着体7と、引張材5の下端に接続される延長材9と、地表からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜めにそれぞれ埋設される圧縮材11と、引張材5と圧縮材11とを連結し、地表面に接するように設置される受圧板13とが設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルを掘削する際に地盤の崩壊を防止するための補強構造及び補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
崖錐や地滑り地帯のトンネル坑口施工、土砂地山、土被りの小さなトンネル施工などの場合に、トンネル掘削にともない地盤が緩み、地盤変形が生じて地滑りや斜面崩壊が発生する可能性がある。そこで、トンネル掘削にともなう地盤の緩み、地盤の変形及び斜面の崩壊の防止などを目的として種々の対策工が施工される。
【0003】
例えば、非特許文献1においては、図20に示すように、トンネル坑口の斜面よりトンネル掘削予定箇所60に向けて、ボーリングにて孔を穿孔し、この孔内に鉄筋等の補強材を挿入してセメントミルク又はモルタル等のグラウト材を充填し、垂直縫地ボルト61を地中に埋設する垂直縫地ボルト工法が示されている。かかる工法によれば、トンネル掘削にともなう地山変形を防止するための力を、硬化したグラウト材を介して鉄筋に負担させることにより地山固有のせん断強度を向上させることができ、また、地滑り面等に生じる滑動力に対しては、鉄筋のせん断剛性及び曲げ剛性にて抵抗することにより地滑りを防止することができる。
【0004】
また、特許文献2においては、トンネル外周面を先受けするコンクリート製の覆工体を切羽の前方に所定長さ形成し、この覆工体により覆われた部分を掘削するプレライニング工法が示されている。この覆工体は、例えば、チェーンカッター等の細溝掘削機械を用いてトンネル外周に沿って所定幅の掘削溝を順次形成するとともに、その掘削溝にコンクリート圧送管を通じてコンクリートを充填する工程を周方向に繰り返すことによって一体形成される。かかる工法によれば、覆工体が地山の掘削すべきトンネル部分を覆うように形成されているために、覆工体内を掘削していくことにより、トンネル掘削にともなう地山変形を防止することができ、また、掘削時にトンネルの天端部が崩落することなく安全にトンネルを掘削することができる。
【非特許文献1】トンネル・ライブラリー第5号 山岳トンネルの補助工法、平成6年3月20日発行、社団法人土木学会
【特許文献1】特開平6−212877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の縫地工法は、トンネル掘削にともなうトンネル坑口付近における不安定化のメカニズムを考慮しておらず、設計方法も確立されていないために、鉄筋等の補強材の設置間隔や埋設長は経験的に決められていた。したがって、過小設計又は過大設計の可能性があり、合理的な施工方法ではないという問題点があった。
【0006】
また、鉄筋等の補強材はトンネル掘削断面内まで打設されているために、トンネル掘削と同時に補強材を切断しなければならず、この切断作業に手間と時間がかかり日進距離が短くなるという問題点があった。一方、補強材をトンネル断面内までに挿入せずにトンネル上方まで挿入した場合においては、トンネル切羽前面の緩みを防止する効果が少なくなるために、鏡ボルト打設等の切羽の緩み防止対策が必要となり、この切羽の緩み防止対策に手間と時間がかかるという問題点があった。
【0007】
そして、プレライニング工法を用いた場合は、トンネル外周面に覆工体を形成することにより、切羽に作用する鉛直荷重は低減するが、切羽前面の緩みに対する効果は少ないために、鏡ボルト打設等の切羽の緩み防止対策が必要となり、この切羽の緩み防止対策にさらに手間と時間がかかるという問題点があった。また、トンネル外周面に覆工体を形成する作業はトンネル内の切羽近傍で行うために、掘削作業を中断しなければならず、トンネル掘削作業に工期がかかるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、トンネルの掘削にともなう地盤の緩み、変形、崩壊等の異常を防止する地盤の補強構造及び補強方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決する本発明の地盤の補強構造は、トンネル掘削予定箇所周辺に予め施工される地盤の補強構造であって、地表からトンネル掘削予定箇所へ斜め又は鉛直に埋設され、緊張力を与えられる引張材と、該引張材の外周に設けられ、前記引張材を地盤に固定する定着体と、地表からトンネル掘削予定箇所の側方へ斜め又は鉛直に埋設され、地盤に固定される圧縮材と、地表面に設置され、前記引張材と前記圧縮材とを地表面上にて連結する受圧板とからなることを特徴とする(第1の発明)。
【0010】
本発明によれば、定着体を地盤に固定するとともに、引張材を受圧板に接続し、この引張材を緊張させて受圧板を反力材とすることにより、トンネル掘削にともない切羽前方で生じる地盤の鉛直方向圧縮ひずみ及び切羽直上での地盤の引張りひずみを抑制することが可能になる。さらに、トンネルとトンネル坑口周辺の斜面との間に存在する地盤や地滑り面の拘束力が増加することにより、滑り抵抗力を大きくすることができ、斜面の安定性が向上する。つまり、崖錐や地滑り地帯のトンネル坑口施工、土砂地山、土被りの小さなトンネル施工などの場合に、切羽の安定性及びトンネル坑口の斜面の安定性が向上するとともに、切羽の掘削作業中に今後掘削する予定箇所の地盤の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記引張材の下端に延長材が接続され、該延長材は地盤に固定されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記延長材は、トンネル掘削時に破砕されることを特徴とする。
【0013】
第4の発明の地盤の補強方法は、トンネル掘削予定箇所周辺に予め施工する地盤の補強方法において、地表からトンネル掘削予定箇所へ斜め又は鉛直に、下端に切断可能な延長材が接続された引張材を埋設する工程と、該引張材を定着体にて地盤に固定する工程と、地表からトンネル掘削予定箇所の側方へ斜め又は鉛直に圧縮材を埋設して地盤に固定する工程と、前記引張材と前記圧縮材とを地表面上にて連結する受圧板を地表面に設置する工程と、前記引張材を緊張する工程と、前記延長材を地盤に固定する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の地盤の補強構造によれば、トンネルの掘削にともなう地盤の緩み、変形、崩壊等の異常を防止することが可能となる。また、トンネル掘削予定箇所の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る地盤の補強構造の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造1によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す正断面図であり、図2は、本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造1によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す側断面図である。図1及び図2に示すように、トンネル掘削予定箇所2の周辺の地盤3内に、地表からトンネル掘削予定箇所2へ斜め又は鉛直にそれぞれ埋設される引張材5と、引張材5の下部に、引張材5の外周を囲うように設けられる定着体7と、引張材5の下端に接続される延長材9と、地表からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜めにそれぞれ埋設される圧縮材11と、引張材5と圧縮材11とを連結し、地表面に接するように設置される受圧板13とが設けられる。
【0016】
図3は、本発明の第一実施形態に係る引張材5、定着体7及び延長材9の設置状態を示す図である。図3に示すように、引張材5の下端に延長材9が接続され、この接続部分Cがトンネル天端位置TTの上側近傍となるように、地盤3に削孔されたボーリング孔15内に挿入されている。引張材5は、下部は定着体7内に埋設され、上端はナット等のねじ部材27と螺合し、受圧板13に接続されて緊張力を与えられる鋼材であり、本実施形態においては、曲げ剛性の大きい、例えば、鉄筋を用いる。ここで、引張材5は定着体7を介して地盤3に固定されている。
【0017】
定着体7は、ボーリング孔15内の引張材5の外周を囲うように、引張材5の下端から所定の深度までの区間にセメントミルクやモルタル等のグラウト材を充填することにより形成され、地盤3に固定されている。
【0018】
引張材5の下端に接続されている棒状の延長材9は、延長材9の外周を囲うように、延長材9の下端から接続部分Cの深度までの区間にセメントミルクやモルタル等のグラウト材を充填することにより形成される固結体19を介して地盤3に固定されている。延長材9は、本実施形態においては、軽量で圧縮剛性及び曲げ剛性が大きく、かつ破砕の容易な材料である、例えば、FRPを用いる。
【0019】
図4は、本発明の第一実施形態に係る圧縮材11の設置状態を示す図である。図4に示すように、圧縮材11は、ボーリング孔16内の圧縮材11の外周を囲うように、孔底から圧縮材11の上端部までの区間にセメントミルクやモルタル等のグラウト材を充填することにより形成される固結体23を介して地盤3に固定されている。圧縮材11は、本実施形態においては、圧縮剛性及び曲げ剛性の大きな、例えば、鋼管を用いる。
【0020】
図5は、本発明の第一実施形態に係る受圧板13の平面図である。図5に示すように、受圧板13には複数の貫通孔25、29が設けられており、受圧板13の両側に、長手方向に設けられている貫通孔29には圧縮材11の上端が挿入され、固結体23にて受圧板13に接続されている。また、貫通孔29同士の間に設けられている貫通孔25には引張材5が挿通され、引張材5の上端はナット等のねじ部材27と螺合して受圧板13に接続されている。受圧板13は、補強箇所上方の地表面全体を覆うように配置される。受圧板13は、本実施形態においては、例えば、プレキャストコンクリートフレームを用いる。
【0021】
次に、本実施形態の地盤3の補強構造1の施工方法を施工手順に従って説明する。
図6〜図12は、本発明の第一実施形態に係る地盤3の補強構造1の施工手順を示す図である。
【0022】
まず、図6に示すように、削孔機にて地表からトンネル掘削予定箇所2へ斜め又は鉛直にボーリング孔15を削孔する。削孔方法は、ロータリーパーカッション式、ダウンザホールハンマー式等の種々の方法を用いることが可能である。そして、下端に切断可能な延長材9が接続され、下部にグラウト充填が可能なパッカー31を有する引張材5をボーリング孔15に挿入する。なお、地盤3に埋設する引張材5の本数は地盤強度等の現場状況により適宜変更する。
【0023】
また、図7に示すように、地上に設置されたグラウト注入用ポンプ33にてホース等の注入管35を介してパッカー31内にグラウト材を圧入してパッカー31を膨張させ、パッカー31の外周を孔壁15aに密着させる。パッカー31は硬化するとともに、地盤3に固定される。
【0024】
そして、図8に示すように、グラウト注入用ポンプ33にてホース等の注入管38を介して、パッカー31の上面から所定の深度までグラウト材を充填し、硬化させて定着体7を形成する。パッカー31の上面からグラウト材を充填することにより、パッカー31と定着体7とは一体化するために、本実施形態においては、パッカー31の下面からグラウト材の上面までを定着体7とする。定着体7は硬化するとともに、地盤3に固定される。そして、引張材5は定着体7を介して地盤3に固定される。
【0025】
次に、図9に示すように、削孔機にて地表からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜めにボーリング孔16を削孔する。そして、ボーリング孔16に圧縮材11を挿入する。
【0026】
また、図10に示すように、受圧板13の貫通孔25に引張材5の上端を挿通させると同時に、貫通孔29に圧縮材11の上端を挿入し、受圧板13を地表面に設置する。そして、グラウト注入用ポンプ33にてホース等の注入管39を介して、孔底から受圧板13の貫通孔29の表面まで完全に圧縮材11を覆うようにグラウト材を充填し、硬化させて固結体23を形成する。固結体23は硬化するとともに、地盤3に固定される。そして、圧縮材11は固結体23を介して地盤3に固定される。なお、地盤3に埋設する圧縮材11の本数は地盤強度等の現場状況により適宜変更する。
【0027】
そして、図11に示すように、受圧板13の上面より露出している引張材5の上端をねじ部材27と螺合し、引張材5を受圧板13に接続する。ここで、ねじ部材27を締め付けることにより引張材5にプレストレスを与えて緊張した状態となるように調整する。
【0028】
最後に、図12に示すように、グラウト注入用ポンプ33にてホース等の注入管43を介して孔底から接続部分C近傍までグラウト材を圧入し、硬化させて固結体19を形成する。固結体19は硬化するとともに、地盤3に固定される。そして、延長材9は固結体19を介して地盤3に固定され、補強構造1が形成される。
【0029】
上述した手順にてトンネル坑口周辺に、切羽が到達するよりも前に予め補強構造1を形成し、地盤3を強固に補強する。
【0030】
図13は、本発明の第一実施形態に係る地盤3の補強構造1を施工された地山にトンネルを掘削した状態を示す図である。図13に示すように、トンネル掘削時は、作業員が延長材9を切断することなく、切羽を掘削すると同時に延長材9が破砕されて除去される。
トンネル内に二次吹付を行い、インバートコンクリートを打設した後に、切羽が通過した地盤3内に埋設されている引張材5、圧縮材11及び受圧板13を撤去する。
なお、本実施形態において、引張材5、圧縮材11及び受圧板13を撤去する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、このまま埋め殺ししてもよい。
【0031】
以上のようにして構築された地盤3の補強構造1によれば、切羽の安定性及びトンネル坑口の斜面の安定性が向上するとともに、トンネルの掘削作業中に今後掘削する予定箇所の地盤3の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削作業を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【0032】
また、定着体7及び延長材9を地盤3に固定するとともに、引張材5を受圧板13に接続し、この引張材5を緊張させて受圧板13を反力材とすることにより、トンネル掘削にともない切羽前方で生じる地盤3の鉛直方向圧縮ひずみ及び切羽直上での地盤3の引張りひずみを抑制することが可能になる。また、トンネルとトンネル坑口周辺の斜面との間に存在する地盤3や地滑り面の拘束力が増加するために、滑り抵抗力を大きくすることができ、斜面の安定性が向上する。さらに、曲げ剛性の大きい引張材5を用いることにより、地滑り面の滑り抵抗力を大きくすることができ、斜面の安定性が向上する。
【0033】
また、圧縮材11を地盤3に固定して、トンネル掘削にともなうトンネル側部の鉛直方向の圧縮ひずみ及びトンネル方向への水平変位に対して圧縮材11の圧縮剛性、曲げ剛性にて抵抗するために、トンネル側方への緩みの進展を抑制することが可能になる。そして、曲げ剛性の大きい圧縮材11を用いることにより、地滑り面の滑り抵抗力を大きくすることができ、斜面の安定性が向上する。
【0034】
そして、地表面に引張材5と圧縮材11とを連結する受圧板13を設けることにより、引張材5の反力を支持するとともに、引張材5の荷重を圧縮材11に伝達することが可能となる。
【0035】
さらに、トンネル掘削予定箇所2に延長材9を埋設することにより、トンネル掘削にともなう切羽前面の鉛直方向荷重及び切羽方向への水平変位に対して圧縮部材、曲げ部材として抵抗するために、切羽の緩みの進展を抑制することが可能になる。したがって、鏡ボルト等の切羽に対する補強作業が不要となる。
【0036】
そして、延長材9は、トンネル掘削時に破砕されることにより、掘削作業を中断することなく延長材9を除去することが可能となる。したがって、切断作業の手間が省けることにより、日進距離を長くすることが可能となる。
【0037】
また、引張材5の下部に設けられたパッカー31にてボーリング孔15内を、上下方向のグラウト材の移動を禁止するように分断し、パッカー31の上に定着体7を、下方に固結体19を設けることにより、引張力を定着体7にのみ作用させ、固結体19には作用させないことが可能となる。
【0038】
次に、本発明における第一実施形態と異なる他の実施形態を示す。下記に示す説明において、第一実施形態と同様の技術を用いたものと対応する部分には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0039】
図14は、本発明の第二実施形態に係る地盤3の補強構造51によりトンネル坑口予定箇所の周辺を補強した状態を示す側断面図である。図14に示すように、トンネル掘削予定箇所2の周辺の地盤3内に、引張材5と、定着体7と、延長材9と、地表に露出する引張材5の上端部の近傍からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜め又は鉛直に埋設される圧縮材11と、受圧板13とが設けられる。地表において隣接する引張材5同士の間隔、圧縮材11と引張材5との間隔を共に狭くし、第一実施形態と比較して受圧板13を小さくしたものである。
【0040】
以上のようにして構築された地盤3の補強構造51によれば、切羽の安定性及びトンネル坑口の斜面の安定性が向上するとともに、トンネルの掘削作業中に今後掘削する予定箇所の地盤3の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削作業を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【0041】
また、地表において隣接する引張材5同士の間隔、圧縮材11と引張材5との間隔を狭くし、受圧板13を小さくしたことにより、受圧板13を設置するための地表面の清掃及び整形の範囲を狭くすることが可能となる。したがって、清掃及び整形作業にかかる時間を短縮することが可能となる。さらに、受圧板13を小さくしたことにより重量が軽くなるために、現場での設置作業が容易になる。
【0042】
図15は、本発明の第三実施形態に係る引張材5、延長材9及び定着体17の設置状態を示す図である。図15に示すように、引張材5の下端に延長材9が接続され、この接続部分Cがトンネル天端位置TTの上側近傍となるように、地盤3に削孔されたボーリング孔15内に挿入されている。
【0043】
引張材5の下部及び延長材9は定着体17内に埋設され、引張材5及び延長材9は定着体17を介して地盤3に固定されている。また、引張材5の上端はナット等のねじ部材27と螺合し、引張材5は受圧板13に接続されて緊張力を与えられる。
【0044】
定着体17は、ボーリング孔15内の延長材9の外周及び引張材5の下部外周を囲うように、ボーリング孔15の孔底から引張材5下部近傍の所定の深度までの区間にグラウト材を一回で充填することにより形成される。
【0045】
引張材5を緊張することにより生じる定着体17への引張力は、定着体17の上端面が最も大きく、深度方向へ上端面からの距離が長くなるとともに定着体17と孔壁15aとの間で生じる付着力により低減されて、上端面から、ある長さL以上になると定着体17への引張力の影響が無くなる。この長さLの位置がトンネル天端位置TTの上側近傍になるように、定着体17の上端面の深度を調整する。
【0046】
なお、長さLは、地質等の地盤条件により異なるために、現場毎に設計する。
また、トンネル掘削時は、定着体17の上端面より長さL以深の定着体17の部分、つまり延長材9の外周部分を破砕して除去するために、延長材9を除去することにより定着体17に作用する引張力を低減することはない。
【0047】
図16は、本発明の第三実施形態に係る地盤3の補強構造59によりトンネル坑口予定箇所の周辺を補強した状態を示す正断面図である。図16に示すように、トンネル掘削予定箇所2の周辺の地盤3内に、引張材5と、定着体17と、延長材9と、地表に露出する引張材5の上端部の近傍からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜め又は鉛直に埋設される圧縮材11と、受圧板13とが設けられる。
【0048】
以上のようにして構築された地盤3の補強構造59によれば、切羽の安定性及びトンネル坑口の斜面の安定性が向上するとともに、トンネルの掘削作業中に今後掘削する予定箇所の地盤3の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削作業を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【0049】
また、延長材9の外周及び引張材5の下部外周を囲うように、ボーリング孔15の孔底から引張材5下部近傍の所定の深度までの区間にグラウト材を一回で充填することにより、パッカー31をグラウトにて膨張させ、このパッカー31の上・下側に定着体7、固結体19を構築する方法よりも、定着体17を短時間で施工することが可能となる。また、グラウト材の圧入回数を1回にしたことにより、グラウト注入用ポンプ33の清掃等の圧入毎に行う作業回数が減少し、現場での地盤補強作業を容易にする。
【0050】
なお、上述したすべての実施形態において、引張材5を緊張させ、受圧板13に固定するための定着具としてねじ部材27を使用する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、くさび形の定着具を使用して引張材5を緊張させ、受圧板13に固定する方法を用いてもよい。
【0051】
また、上述したすべての実施形態において、補強箇所の地表面全体を覆う板状の受圧板13について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図17又は図18に示すような地表面を格子状に覆う板状の受圧板52、53を用いてもよい。ここで、地面を覆わない部分の枠内54には景観保護のために植生を行うことが望ましい。
【0052】
そして、上述したすべての実施形態において、受圧板13にてすべての引張材5とすべての圧縮材11とを連結する方法について説明したが、この方法に限定されるものではなく、例えば、図19に示すように、ベルト状の受圧板55にて、切羽と並行する引張材5と圧縮材11とのみを連結する方法を用いてもよい。
【0053】
さらに、上述したすべての実施形態において、プレキャストコンクリートからなる受圧板13を用いたが、この材質に限定されるものではなく、例えば、鋼板、現場打ちの鉄筋コンクリート、アルミ合金等の受圧板を用いてもよい。
【0054】
そして、上述したすべての実施形態において、補強構造1、51、59を構築する際に、引張材5を埋設し、この引張材5を定着体7又は定着体17にて地盤3に固定した後に、圧縮材11を埋設し、この圧縮材11を固結体23にて地盤3に固定する順序で説明したが、この順序に限定されるものではなく、圧縮材11を埋設して固結体23にて地盤3に固定した後に、引張材5を埋設して定着体7又は定着体17にて地盤3に固定する順序でもよく、さらに、引張材5を埋設して定着体7又は定着体17にて地盤3に固定する作業と、圧縮材11を埋設して固結体23にて地盤3に固定する作業とを同時に行ってもよい。
【0055】
なお、上述したすべての実施形態において、孔底から孔口まで同一径のボーリング孔15を用いる方法について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、定着体7又は定着体17を設置する区間が拡幅されたボーリング孔を削孔し、この区間に定着体7又は定着体17を嵌合させて、引張材5の緊張力を地盤3に伝達する方法を用いてもよい。
【0056】
なお、上述したすべての実施形態は、地表面近傍地盤の強度を改良した後にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す正断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す側断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る引張材、定着体及び延長材の設置状態を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る圧縮材の設置状態を示す図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る受圧板の平面図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のためのボーリング孔に引張材、延長材を挿入した状態を示す図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のためのパッカー内にセメントミルクを圧入した状態を示す図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のために引張材の外周下部にセメントミルクを充填した状態を示す図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のためのボーリング孔に圧縮材を挿入した状態を示す図である。
【図10】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のために圧縮材の外周にセメントミルクを圧入した状態を示す図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のための引張材を緊張させた状態を示す図である。
【図12】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のために延長材の外周にセメントミルクを圧入した状態を示す図である。
【図13】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造を施工した地山にトンネルを掘削した状態を示す図である。
【図14】本発明の第二実施形態に係る地盤の補強構造によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す側断面図である。
【図15】本発明の第三実施形態に係る引張材、延長材及び定着体の設置状態を示す図である。
【図16】本発明の第三実施形態に係る地盤の補強構造によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す側断面図である。
【図17】本発明に係る受圧板の他の形状を示す平面図である。
【図18】本発明に係る受圧板の他の形状を示す平面図である。
【図19】本発明に係る受圧板の他の形状を示す平面図である。
【図20】従来の縫地工法を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1、51、59 補強構造
2 トンネル掘削予定箇所
3 地盤
5 引張材
7、17 定着体
9 延長材
11 圧縮材
13、52、53、55 受圧板
15、16 ボーリング孔
15a 孔壁
19、23 固結体
25、29 貫通孔
27 ねじ部材
31 パッカー
33 グラウト注入用ポンプ
35、38、39、43 注入管
54 枠内
C 接続部分
TT トンネル天端位置
L 長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルを掘削する際に地盤の崩壊を防止するための補強構造及び補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
崖錐や地滑り地帯のトンネル坑口施工、土砂地山、土被りの小さなトンネル施工などの場合に、トンネル掘削にともない地盤が緩み、地盤変形が生じて地滑りや斜面崩壊が発生する可能性がある。そこで、トンネル掘削にともなう地盤の緩み、地盤の変形及び斜面の崩壊の防止などを目的として種々の対策工が施工される。
【0003】
例えば、非特許文献1においては、図20に示すように、トンネル坑口の斜面よりトンネル掘削予定箇所60に向けて、ボーリングにて孔を穿孔し、この孔内に鉄筋等の補強材を挿入してセメントミルク又はモルタル等のグラウト材を充填し、垂直縫地ボルト61を地中に埋設する垂直縫地ボルト工法が示されている。かかる工法によれば、トンネル掘削にともなう地山変形を防止するための力を、硬化したグラウト材を介して鉄筋に負担させることにより地山固有のせん断強度を向上させることができ、また、地滑り面等に生じる滑動力に対しては、鉄筋のせん断剛性及び曲げ剛性にて抵抗することにより地滑りを防止することができる。
【0004】
また、特許文献2においては、トンネル外周面を先受けするコンクリート製の覆工体を切羽の前方に所定長さ形成し、この覆工体により覆われた部分を掘削するプレライニング工法が示されている。この覆工体は、例えば、チェーンカッター等の細溝掘削機械を用いてトンネル外周に沿って所定幅の掘削溝を順次形成するとともに、その掘削溝にコンクリート圧送管を通じてコンクリートを充填する工程を周方向に繰り返すことによって一体形成される。かかる工法によれば、覆工体が地山の掘削すべきトンネル部分を覆うように形成されているために、覆工体内を掘削していくことにより、トンネル掘削にともなう地山変形を防止することができ、また、掘削時にトンネルの天端部が崩落することなく安全にトンネルを掘削することができる。
【非特許文献1】トンネル・ライブラリー第5号 山岳トンネルの補助工法、平成6年3月20日発行、社団法人土木学会
【特許文献1】特開平6−212877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の縫地工法は、トンネル掘削にともなうトンネル坑口付近における不安定化のメカニズムを考慮しておらず、設計方法も確立されていないために、鉄筋等の補強材の設置間隔や埋設長は経験的に決められていた。したがって、過小設計又は過大設計の可能性があり、合理的な施工方法ではないという問題点があった。
【0006】
また、鉄筋等の補強材はトンネル掘削断面内まで打設されているために、トンネル掘削と同時に補強材を切断しなければならず、この切断作業に手間と時間がかかり日進距離が短くなるという問題点があった。一方、補強材をトンネル断面内までに挿入せずにトンネル上方まで挿入した場合においては、トンネル切羽前面の緩みを防止する効果が少なくなるために、鏡ボルト打設等の切羽の緩み防止対策が必要となり、この切羽の緩み防止対策に手間と時間がかかるという問題点があった。
【0007】
そして、プレライニング工法を用いた場合は、トンネル外周面に覆工体を形成することにより、切羽に作用する鉛直荷重は低減するが、切羽前面の緩みに対する効果は少ないために、鏡ボルト打設等の切羽の緩み防止対策が必要となり、この切羽の緩み防止対策にさらに手間と時間がかかるという問題点があった。また、トンネル外周面に覆工体を形成する作業はトンネル内の切羽近傍で行うために、掘削作業を中断しなければならず、トンネル掘削作業に工期がかかるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、トンネルの掘削にともなう地盤の緩み、変形、崩壊等の異常を防止する地盤の補強構造及び補強方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決する本発明の地盤の補強構造は、トンネル掘削予定箇所周辺に予め施工される地盤の補強構造であって、地表からトンネル掘削予定箇所へ斜め又は鉛直に埋設され、緊張力を与えられる引張材と、該引張材の外周に設けられ、前記引張材を地盤に固定する定着体と、地表からトンネル掘削予定箇所の側方へ斜め又は鉛直に埋設され、地盤に固定される圧縮材と、地表面に設置され、前記引張材と前記圧縮材とを地表面上にて連結する受圧板とからなることを特徴とする(第1の発明)。
【0010】
本発明によれば、定着体を地盤に固定するとともに、引張材を受圧板に接続し、この引張材を緊張させて受圧板を反力材とすることにより、トンネル掘削にともない切羽前方で生じる地盤の鉛直方向圧縮ひずみ及び切羽直上での地盤の引張りひずみを抑制することが可能になる。さらに、トンネルとトンネル坑口周辺の斜面との間に存在する地盤や地滑り面の拘束力が増加することにより、滑り抵抗力を大きくすることができ、斜面の安定性が向上する。つまり、崖錐や地滑り地帯のトンネル坑口施工、土砂地山、土被りの小さなトンネル施工などの場合に、切羽の安定性及びトンネル坑口の斜面の安定性が向上するとともに、切羽の掘削作業中に今後掘削する予定箇所の地盤の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記引張材の下端に延長材が接続され、該延長材は地盤に固定されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記延長材は、トンネル掘削時に破砕されることを特徴とする。
【0013】
第4の発明の地盤の補強方法は、トンネル掘削予定箇所周辺に予め施工する地盤の補強方法において、地表からトンネル掘削予定箇所へ斜め又は鉛直に、下端に切断可能な延長材が接続された引張材を埋設する工程と、該引張材を定着体にて地盤に固定する工程と、地表からトンネル掘削予定箇所の側方へ斜め又は鉛直に圧縮材を埋設して地盤に固定する工程と、前記引張材と前記圧縮材とを地表面上にて連結する受圧板を地表面に設置する工程と、前記引張材を緊張する工程と、前記延長材を地盤に固定する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の地盤の補強構造によれば、トンネルの掘削にともなう地盤の緩み、変形、崩壊等の異常を防止することが可能となる。また、トンネル掘削予定箇所の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る地盤の補強構造の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造1によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す正断面図であり、図2は、本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造1によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す側断面図である。図1及び図2に示すように、トンネル掘削予定箇所2の周辺の地盤3内に、地表からトンネル掘削予定箇所2へ斜め又は鉛直にそれぞれ埋設される引張材5と、引張材5の下部に、引張材5の外周を囲うように設けられる定着体7と、引張材5の下端に接続される延長材9と、地表からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜めにそれぞれ埋設される圧縮材11と、引張材5と圧縮材11とを連結し、地表面に接するように設置される受圧板13とが設けられる。
【0016】
図3は、本発明の第一実施形態に係る引張材5、定着体7及び延長材9の設置状態を示す図である。図3に示すように、引張材5の下端に延長材9が接続され、この接続部分Cがトンネル天端位置TTの上側近傍となるように、地盤3に削孔されたボーリング孔15内に挿入されている。引張材5は、下部は定着体7内に埋設され、上端はナット等のねじ部材27と螺合し、受圧板13に接続されて緊張力を与えられる鋼材であり、本実施形態においては、曲げ剛性の大きい、例えば、鉄筋を用いる。ここで、引張材5は定着体7を介して地盤3に固定されている。
【0017】
定着体7は、ボーリング孔15内の引張材5の外周を囲うように、引張材5の下端から所定の深度までの区間にセメントミルクやモルタル等のグラウト材を充填することにより形成され、地盤3に固定されている。
【0018】
引張材5の下端に接続されている棒状の延長材9は、延長材9の外周を囲うように、延長材9の下端から接続部分Cの深度までの区間にセメントミルクやモルタル等のグラウト材を充填することにより形成される固結体19を介して地盤3に固定されている。延長材9は、本実施形態においては、軽量で圧縮剛性及び曲げ剛性が大きく、かつ破砕の容易な材料である、例えば、FRPを用いる。
【0019】
図4は、本発明の第一実施形態に係る圧縮材11の設置状態を示す図である。図4に示すように、圧縮材11は、ボーリング孔16内の圧縮材11の外周を囲うように、孔底から圧縮材11の上端部までの区間にセメントミルクやモルタル等のグラウト材を充填することにより形成される固結体23を介して地盤3に固定されている。圧縮材11は、本実施形態においては、圧縮剛性及び曲げ剛性の大きな、例えば、鋼管を用いる。
【0020】
図5は、本発明の第一実施形態に係る受圧板13の平面図である。図5に示すように、受圧板13には複数の貫通孔25、29が設けられており、受圧板13の両側に、長手方向に設けられている貫通孔29には圧縮材11の上端が挿入され、固結体23にて受圧板13に接続されている。また、貫通孔29同士の間に設けられている貫通孔25には引張材5が挿通され、引張材5の上端はナット等のねじ部材27と螺合して受圧板13に接続されている。受圧板13は、補強箇所上方の地表面全体を覆うように配置される。受圧板13は、本実施形態においては、例えば、プレキャストコンクリートフレームを用いる。
【0021】
次に、本実施形態の地盤3の補強構造1の施工方法を施工手順に従って説明する。
図6〜図12は、本発明の第一実施形態に係る地盤3の補強構造1の施工手順を示す図である。
【0022】
まず、図6に示すように、削孔機にて地表からトンネル掘削予定箇所2へ斜め又は鉛直にボーリング孔15を削孔する。削孔方法は、ロータリーパーカッション式、ダウンザホールハンマー式等の種々の方法を用いることが可能である。そして、下端に切断可能な延長材9が接続され、下部にグラウト充填が可能なパッカー31を有する引張材5をボーリング孔15に挿入する。なお、地盤3に埋設する引張材5の本数は地盤強度等の現場状況により適宜変更する。
【0023】
また、図7に示すように、地上に設置されたグラウト注入用ポンプ33にてホース等の注入管35を介してパッカー31内にグラウト材を圧入してパッカー31を膨張させ、パッカー31の外周を孔壁15aに密着させる。パッカー31は硬化するとともに、地盤3に固定される。
【0024】
そして、図8に示すように、グラウト注入用ポンプ33にてホース等の注入管38を介して、パッカー31の上面から所定の深度までグラウト材を充填し、硬化させて定着体7を形成する。パッカー31の上面からグラウト材を充填することにより、パッカー31と定着体7とは一体化するために、本実施形態においては、パッカー31の下面からグラウト材の上面までを定着体7とする。定着体7は硬化するとともに、地盤3に固定される。そして、引張材5は定着体7を介して地盤3に固定される。
【0025】
次に、図9に示すように、削孔機にて地表からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜めにボーリング孔16を削孔する。そして、ボーリング孔16に圧縮材11を挿入する。
【0026】
また、図10に示すように、受圧板13の貫通孔25に引張材5の上端を挿通させると同時に、貫通孔29に圧縮材11の上端を挿入し、受圧板13を地表面に設置する。そして、グラウト注入用ポンプ33にてホース等の注入管39を介して、孔底から受圧板13の貫通孔29の表面まで完全に圧縮材11を覆うようにグラウト材を充填し、硬化させて固結体23を形成する。固結体23は硬化するとともに、地盤3に固定される。そして、圧縮材11は固結体23を介して地盤3に固定される。なお、地盤3に埋設する圧縮材11の本数は地盤強度等の現場状況により適宜変更する。
【0027】
そして、図11に示すように、受圧板13の上面より露出している引張材5の上端をねじ部材27と螺合し、引張材5を受圧板13に接続する。ここで、ねじ部材27を締め付けることにより引張材5にプレストレスを与えて緊張した状態となるように調整する。
【0028】
最後に、図12に示すように、グラウト注入用ポンプ33にてホース等の注入管43を介して孔底から接続部分C近傍までグラウト材を圧入し、硬化させて固結体19を形成する。固結体19は硬化するとともに、地盤3に固定される。そして、延長材9は固結体19を介して地盤3に固定され、補強構造1が形成される。
【0029】
上述した手順にてトンネル坑口周辺に、切羽が到達するよりも前に予め補強構造1を形成し、地盤3を強固に補強する。
【0030】
図13は、本発明の第一実施形態に係る地盤3の補強構造1を施工された地山にトンネルを掘削した状態を示す図である。図13に示すように、トンネル掘削時は、作業員が延長材9を切断することなく、切羽を掘削すると同時に延長材9が破砕されて除去される。
トンネル内に二次吹付を行い、インバートコンクリートを打設した後に、切羽が通過した地盤3内に埋設されている引張材5、圧縮材11及び受圧板13を撤去する。
なお、本実施形態において、引張材5、圧縮材11及び受圧板13を撤去する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、このまま埋め殺ししてもよい。
【0031】
以上のようにして構築された地盤3の補強構造1によれば、切羽の安定性及びトンネル坑口の斜面の安定性が向上するとともに、トンネルの掘削作業中に今後掘削する予定箇所の地盤3の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削作業を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【0032】
また、定着体7及び延長材9を地盤3に固定するとともに、引張材5を受圧板13に接続し、この引張材5を緊張させて受圧板13を反力材とすることにより、トンネル掘削にともない切羽前方で生じる地盤3の鉛直方向圧縮ひずみ及び切羽直上での地盤3の引張りひずみを抑制することが可能になる。また、トンネルとトンネル坑口周辺の斜面との間に存在する地盤3や地滑り面の拘束力が増加するために、滑り抵抗力を大きくすることができ、斜面の安定性が向上する。さらに、曲げ剛性の大きい引張材5を用いることにより、地滑り面の滑り抵抗力を大きくすることができ、斜面の安定性が向上する。
【0033】
また、圧縮材11を地盤3に固定して、トンネル掘削にともなうトンネル側部の鉛直方向の圧縮ひずみ及びトンネル方向への水平変位に対して圧縮材11の圧縮剛性、曲げ剛性にて抵抗するために、トンネル側方への緩みの進展を抑制することが可能になる。そして、曲げ剛性の大きい圧縮材11を用いることにより、地滑り面の滑り抵抗力を大きくすることができ、斜面の安定性が向上する。
【0034】
そして、地表面に引張材5と圧縮材11とを連結する受圧板13を設けることにより、引張材5の反力を支持するとともに、引張材5の荷重を圧縮材11に伝達することが可能となる。
【0035】
さらに、トンネル掘削予定箇所2に延長材9を埋設することにより、トンネル掘削にともなう切羽前面の鉛直方向荷重及び切羽方向への水平変位に対して圧縮部材、曲げ部材として抵抗するために、切羽の緩みの進展を抑制することが可能になる。したがって、鏡ボルト等の切羽に対する補強作業が不要となる。
【0036】
そして、延長材9は、トンネル掘削時に破砕されることにより、掘削作業を中断することなく延長材9を除去することが可能となる。したがって、切断作業の手間が省けることにより、日進距離を長くすることが可能となる。
【0037】
また、引張材5の下部に設けられたパッカー31にてボーリング孔15内を、上下方向のグラウト材の移動を禁止するように分断し、パッカー31の上に定着体7を、下方に固結体19を設けることにより、引張力を定着体7にのみ作用させ、固結体19には作用させないことが可能となる。
【0038】
次に、本発明における第一実施形態と異なる他の実施形態を示す。下記に示す説明において、第一実施形態と同様の技術を用いたものと対応する部分には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0039】
図14は、本発明の第二実施形態に係る地盤3の補強構造51によりトンネル坑口予定箇所の周辺を補強した状態を示す側断面図である。図14に示すように、トンネル掘削予定箇所2の周辺の地盤3内に、引張材5と、定着体7と、延長材9と、地表に露出する引張材5の上端部の近傍からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜め又は鉛直に埋設される圧縮材11と、受圧板13とが設けられる。地表において隣接する引張材5同士の間隔、圧縮材11と引張材5との間隔を共に狭くし、第一実施形態と比較して受圧板13を小さくしたものである。
【0040】
以上のようにして構築された地盤3の補強構造51によれば、切羽の安定性及びトンネル坑口の斜面の安定性が向上するとともに、トンネルの掘削作業中に今後掘削する予定箇所の地盤3の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削作業を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【0041】
また、地表において隣接する引張材5同士の間隔、圧縮材11と引張材5との間隔を狭くし、受圧板13を小さくしたことにより、受圧板13を設置するための地表面の清掃及び整形の範囲を狭くすることが可能となる。したがって、清掃及び整形作業にかかる時間を短縮することが可能となる。さらに、受圧板13を小さくしたことにより重量が軽くなるために、現場での設置作業が容易になる。
【0042】
図15は、本発明の第三実施形態に係る引張材5、延長材9及び定着体17の設置状態を示す図である。図15に示すように、引張材5の下端に延長材9が接続され、この接続部分Cがトンネル天端位置TTの上側近傍となるように、地盤3に削孔されたボーリング孔15内に挿入されている。
【0043】
引張材5の下部及び延長材9は定着体17内に埋設され、引張材5及び延長材9は定着体17を介して地盤3に固定されている。また、引張材5の上端はナット等のねじ部材27と螺合し、引張材5は受圧板13に接続されて緊張力を与えられる。
【0044】
定着体17は、ボーリング孔15内の延長材9の外周及び引張材5の下部外周を囲うように、ボーリング孔15の孔底から引張材5下部近傍の所定の深度までの区間にグラウト材を一回で充填することにより形成される。
【0045】
引張材5を緊張することにより生じる定着体17への引張力は、定着体17の上端面が最も大きく、深度方向へ上端面からの距離が長くなるとともに定着体17と孔壁15aとの間で生じる付着力により低減されて、上端面から、ある長さL以上になると定着体17への引張力の影響が無くなる。この長さLの位置がトンネル天端位置TTの上側近傍になるように、定着体17の上端面の深度を調整する。
【0046】
なお、長さLは、地質等の地盤条件により異なるために、現場毎に設計する。
また、トンネル掘削時は、定着体17の上端面より長さL以深の定着体17の部分、つまり延長材9の外周部分を破砕して除去するために、延長材9を除去することにより定着体17に作用する引張力を低減することはない。
【0047】
図16は、本発明の第三実施形態に係る地盤3の補強構造59によりトンネル坑口予定箇所の周辺を補強した状態を示す正断面図である。図16に示すように、トンネル掘削予定箇所2の周辺の地盤3内に、引張材5と、定着体17と、延長材9と、地表に露出する引張材5の上端部の近傍からトンネル掘削予定箇所2の側方へ斜め又は鉛直に埋設される圧縮材11と、受圧板13とが設けられる。
【0048】
以上のようにして構築された地盤3の補強構造59によれば、切羽の安定性及びトンネル坑口の斜面の安定性が向上するとともに、トンネルの掘削作業中に今後掘削する予定箇所の地盤3の補強作業を予め行うことができるために、トンネルの掘削作業を妨げない。したがって、トンネル掘削作業を安全に、かつ短期間で施工することが可能となる。
【0049】
また、延長材9の外周及び引張材5の下部外周を囲うように、ボーリング孔15の孔底から引張材5下部近傍の所定の深度までの区間にグラウト材を一回で充填することにより、パッカー31をグラウトにて膨張させ、このパッカー31の上・下側に定着体7、固結体19を構築する方法よりも、定着体17を短時間で施工することが可能となる。また、グラウト材の圧入回数を1回にしたことにより、グラウト注入用ポンプ33の清掃等の圧入毎に行う作業回数が減少し、現場での地盤補強作業を容易にする。
【0050】
なお、上述したすべての実施形態において、引張材5を緊張させ、受圧板13に固定するための定着具としてねじ部材27を使用する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、くさび形の定着具を使用して引張材5を緊張させ、受圧板13に固定する方法を用いてもよい。
【0051】
また、上述したすべての実施形態において、補強箇所の地表面全体を覆う板状の受圧板13について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図17又は図18に示すような地表面を格子状に覆う板状の受圧板52、53を用いてもよい。ここで、地面を覆わない部分の枠内54には景観保護のために植生を行うことが望ましい。
【0052】
そして、上述したすべての実施形態において、受圧板13にてすべての引張材5とすべての圧縮材11とを連結する方法について説明したが、この方法に限定されるものではなく、例えば、図19に示すように、ベルト状の受圧板55にて、切羽と並行する引張材5と圧縮材11とのみを連結する方法を用いてもよい。
【0053】
さらに、上述したすべての実施形態において、プレキャストコンクリートからなる受圧板13を用いたが、この材質に限定されるものではなく、例えば、鋼板、現場打ちの鉄筋コンクリート、アルミ合金等の受圧板を用いてもよい。
【0054】
そして、上述したすべての実施形態において、補強構造1、51、59を構築する際に、引張材5を埋設し、この引張材5を定着体7又は定着体17にて地盤3に固定した後に、圧縮材11を埋設し、この圧縮材11を固結体23にて地盤3に固定する順序で説明したが、この順序に限定されるものではなく、圧縮材11を埋設して固結体23にて地盤3に固定した後に、引張材5を埋設して定着体7又は定着体17にて地盤3に固定する順序でもよく、さらに、引張材5を埋設して定着体7又は定着体17にて地盤3に固定する作業と、圧縮材11を埋設して固結体23にて地盤3に固定する作業とを同時に行ってもよい。
【0055】
なお、上述したすべての実施形態において、孔底から孔口まで同一径のボーリング孔15を用いる方法について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、定着体7又は定着体17を設置する区間が拡幅されたボーリング孔を削孔し、この区間に定着体7又は定着体17を嵌合させて、引張材5の緊張力を地盤3に伝達する方法を用いてもよい。
【0056】
なお、上述したすべての実施形態は、地表面近傍地盤の強度を改良した後にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す正断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す側断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る引張材、定着体及び延長材の設置状態を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る圧縮材の設置状態を示す図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る受圧板の平面図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のためのボーリング孔に引張材、延長材を挿入した状態を示す図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のためのパッカー内にセメントミルクを圧入した状態を示す図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のために引張材の外周下部にセメントミルクを充填した状態を示す図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のためのボーリング孔に圧縮材を挿入した状態を示す図である。
【図10】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のために圧縮材の外周にセメントミルクを圧入した状態を示す図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のための引張材を緊張させた状態を示す図である。
【図12】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造のために延長材の外周にセメントミルクを圧入した状態を示す図である。
【図13】本発明の第一実施形態に係る地盤の補強構造を施工した地山にトンネルを掘削した状態を示す図である。
【図14】本発明の第二実施形態に係る地盤の補強構造によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す側断面図である。
【図15】本発明の第三実施形態に係る引張材、延長材及び定着体の設置状態を示す図である。
【図16】本発明の第三実施形態に係る地盤の補強構造によりトンネル坑口予定箇所周辺を補強した状態を示す側断面図である。
【図17】本発明に係る受圧板の他の形状を示す平面図である。
【図18】本発明に係る受圧板の他の形状を示す平面図である。
【図19】本発明に係る受圧板の他の形状を示す平面図である。
【図20】従来の縫地工法を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1、51、59 補強構造
2 トンネル掘削予定箇所
3 地盤
5 引張材
7、17 定着体
9 延長材
11 圧縮材
13、52、53、55 受圧板
15、16 ボーリング孔
15a 孔壁
19、23 固結体
25、29 貫通孔
27 ねじ部材
31 パッカー
33 グラウト注入用ポンプ
35、38、39、43 注入管
54 枠内
C 接続部分
TT トンネル天端位置
L 長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル掘削予定箇所周辺に予め施工される地盤の補強構造であって、
地表からトンネル掘削予定箇所へ斜め又は鉛直に埋設され、緊張力を与えられる引張材と、
該引張材の外周に設けられ、前記引張材を地盤に固定する定着体と、
地表からトンネル掘削予定箇所の側方へ斜め又は鉛直に埋設され、地盤に固定される圧縮材と、
地表面に設置され、前記引張材と前記圧縮材とを地表面上にて連結する受圧板とからなることを特徴とする地盤の補強構造。
【請求項2】
前記引張材の下端に延長材が接続され、該延長材は地盤に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の地盤の補強構造。
【請求項3】
前記延長材は、トンネル掘削時に破砕されることを特徴とする請求項2に記載の地盤の補強構造。
【請求項4】
トンネル掘削予定箇所周辺に予め施工する地盤の補強方法において、
地表からトンネル掘削予定箇所へ斜め又は鉛直に、下端に切断可能な延長材が接続された引張材を埋設する工程と、
該引張材を定着体にて地盤に固定する工程と、
地表からトンネル掘削予定箇所の側方へ斜め又は鉛直に圧縮材を埋設して地盤に固定する工程と、
前記引張材と前記圧縮材とを地表面上にて連結する受圧板を地表面に設置する工程と、
前記引張材を緊張する工程と、
前記延長材を地盤に固定する工程とを備えることを特徴とする地盤の補強方法。
【請求項1】
トンネル掘削予定箇所周辺に予め施工される地盤の補強構造であって、
地表からトンネル掘削予定箇所へ斜め又は鉛直に埋設され、緊張力を与えられる引張材と、
該引張材の外周に設けられ、前記引張材を地盤に固定する定着体と、
地表からトンネル掘削予定箇所の側方へ斜め又は鉛直に埋設され、地盤に固定される圧縮材と、
地表面に設置され、前記引張材と前記圧縮材とを地表面上にて連結する受圧板とからなることを特徴とする地盤の補強構造。
【請求項2】
前記引張材の下端に延長材が接続され、該延長材は地盤に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の地盤の補強構造。
【請求項3】
前記延長材は、トンネル掘削時に破砕されることを特徴とする請求項2に記載の地盤の補強構造。
【請求項4】
トンネル掘削予定箇所周辺に予め施工する地盤の補強方法において、
地表からトンネル掘削予定箇所へ斜め又は鉛直に、下端に切断可能な延長材が接続された引張材を埋設する工程と、
該引張材を定着体にて地盤に固定する工程と、
地表からトンネル掘削予定箇所の側方へ斜め又は鉛直に圧縮材を埋設して地盤に固定する工程と、
前記引張材と前記圧縮材とを地表面上にて連結する受圧板を地表面に設置する工程と、
前記引張材を緊張する工程と、
前記延長材を地盤に固定する工程とを備えることを特徴とする地盤の補強方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−40028(P2007−40028A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227176(P2005−227176)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】
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