地盤攪拌装置の管理システム
【課題】 バックホウなどバケット式の装置を用いて、地盤の浅層を改良する際に、その地盤の攪拌改良がどれだけ進んだかを示す攪拌改良具合の指標となるものがないために、地盤の攪拌改良具合を、作業者が土の色むら等を見て判断せざるを得ないという課題があった。
【解決手段】 本体に回動可能に支持されたブーム3と、該ブーム3に回動可能に連結されたアーム4と、該アーム4に回動可能に連結されたバケット5とを有する攪拌混合装置の管理システムにおいて、バケット5により地盤を攪拌する攪拌回数をカウントする攪拌回数カウント手段を有する。
【解決手段】 本体に回動可能に支持されたブーム3と、該ブーム3に回動可能に連結されたアーム4と、該アーム4に回動可能に連結されたバケット5とを有する攪拌混合装置の管理システムにおいて、バケット5により地盤を攪拌する攪拌回数をカウントする攪拌回数カウント手段を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を攪拌する地盤攪拌装置の管理システムに関する。詳しくは、本体に回動可能に支持されたブームと、該ブームに回動可能に連結されたアームと、該アームに回動可能に連結されたバケットと、を有する地盤攪拌装置の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、セメント系固化材や石灰系固化材を使用した化学的固化による地盤改良工法が知られている。この地盤改良工法は、一般的に改良する深度によって大きく2つに分類される。ひとつは地表面から−3m付近までの改良でこれを浅層改良工法または表層改良工法と呼び、もうひとつは−3mより深い部分の改良でこれを深層改良工法と呼んでいる。
【0003】
この浅層改良工法の技術として、次の技術が知られている。この技術は、ブーム、アームおよびバケットを駆動して自動掘削するバックホウであって、このバックホウは、ブーム、アームおよびバケットのそれぞれの回動角度を角度センサにより検出し、その角度センサにより検出されたブーム、アームおよびバケットの各回動角度を用いて、バケットの刃先の深さを算出できるものであった(たとえば、特許文献1)。
【0004】
また、深層改良工法の技術として、次の技術が知られている。この技術は、リーダーマストに昇降自在に装着された駆動部に、攪拌翼を有する攪拌軸を装着し、この攪拌軸を駆動部のモータにより回転駆動して地盤を掘削すると共に、地盤改良用固化材等と水を混合したセメントミルクを注入し、土砂と地盤攪拌して地盤を改良する地盤改良機であって、この地盤改良機は、攪拌ヘッドの深度・昇降速度、攪拌軸の回転数、攪拌ヘッドの羽根枚数から地盤土の単位長さ当たりの地盤攪拌回数を算出できるものであった(たとえば、特許文献2)。
【0005】
このように、深層改良工法を用いるものとして、リーダーマストを装着した専用機械に種々の管理装置が装着され、それによって管理するシステムが既に存在するが、浅層改良工法を用いるものは、施工機械に汎用性のバックホウを使用し、バックホウに装着したバケットにて改良材と現地土砂を攪拌混合して固化する方法が多く、バケットの位置を検出する技術はあったものの、攪拌混合度合いを管理する最も重要な要素である攪拌回数については、バケットの動きが複雑なことからそれを管理する装置は従来存在しなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平5−311692号公報
【特許文献2】特開2000−220134号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のバックホウ(バケット式)では、地盤の浅層を改良する際に、その地盤の攪拌改良がどれだけ進んだかを示す攪拌改良具合の指標となるものがないために、地盤の攪拌改良具合を、作業者が土の色むら等を見て判断せざるを得なかった。このことから、作業者は作業を行いながら土の色むら等を判断するといった負担が強いられ、また、作業者の熟練の度合いや作業者の感覚によって攪拌改良具合の判断が異なる場合があり、思ったように地盤が攪拌改良できていない場合もあった。また、特許文献2の地盤改良機(ロータリー式)は、地盤土の単位長さ当たりの地盤攪拌回数を算出することができるものの、このロータリー式では、ガラや礫が多く含まれる表層盛土部分を改良する場合や、地盤の固い支持層を改良する場合に、攪拌翼が欠損したり、うまく攪拌できないことが多かった。また、ロータリー式では、ロータリー式専用の油圧配管が必要でコスト高になるのみならず、作業を複雑化するという問題もあった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、地盤の浅層改良の攪拌改良具合を判断する作業者の負担を軽減するとともに、地盤の攪拌を品質よく行うことができる地盤攪拌装置の管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、
本体に回動可能に支持されたブームと、該ブームに回動可能に連結されたアームと、該アームに回動可能に連結されたバケットとを有する攪拌混合装置の管理システムにおいて、バケットにより地盤を攪拌する攪拌回数をカウントする攪拌回数カウント手段を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、バケットにより地盤を攪拌する攪拌回数がカウントできるので、この攪拌回数を用いて地盤の攪拌改良具合を判断できる。これにより、攪拌改良具合を判断する際の作業者の負担を軽減することができるとともに、作業者により攪拌品質が異なることも少なくなり、均一な品質で攪拌することができる。
【0011】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数を表示する表示手段を、さらに有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、カウントされた攪拌回数が表示手段に表示されるので、作業者はこの表示手段に表示された攪拌回数を見て地盤の攪拌改良具合を判断でき、地盤の攪拌改良効率を向上させることができる。
【0013】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、アームもしくはバケットの特定部分の位置を検出する位置検出手段を、さらに有し、攪拌回数カウント手段は、地盤を攪拌する際に、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、あらかじめ定められた距離以上になったときに攪拌回数を加算することを特徴とする。
【0014】
地盤を攪拌する際には、アームもしくはバケットの特定部分の位置が必ず一定以上の距離だけ変動する。このように、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、あらかじめ定められた距離以上になれば地盤の攪拌が行われたと判断することにより、単純な方法で攪拌回数を計測することができる。
【0015】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1の態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、アームもしくはバケットの特定部分の位置を検出する位置検出手段を、さらに有し、攪拌回数カウント手段は、地盤を攪拌する際に、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置が、上限位置から下限位置まであらかじめ定められた距離以上変動し、さらに、該下限位置から上限位置まであらかじめ定められた距離以上変動したときに攪拌回数を加算することを特徴とする。
【0016】
地盤を攪拌する際には、アームもしくはバケットの特定部分の位置が必ず上方向および下方向に一定以上の距離だけ変動する。このように、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置が、上限位置から下限位置まであらかじめ定められた距離以上変動し、さらに、該下限位置から上限位置まであらかじめ定められた距離以上変動したときに地盤の攪拌が行われたと判断することにより、攪拌回数を正確かつ確実に計測することができる。
【0017】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第4の態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置が上限位置もしくは下限位置であることを判定する位置判定手段を、さらに有し、該位置判定手段は、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、下方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して上方向の変動になった場合に、該下方向から上方向に変化した位置を下限位置と判定し、上方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して下方向の変動になった場合に、該上方向から下方向に変化した位置を上限位置と判定することを特徴とする。
【0018】
本発明では、アームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、下方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して上方向に変動すれば、アームもしくはバケットの特定部分の位置が下降から上昇に変換したと判断することができる。また、アームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、上方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して下方向に変動すれば、アームもしくはバケットの特定部分の位置が上昇から下降に変換したと判断することができる。このように、アームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が該下方向から上方向に変化した位置を下限位置と判定することにより、下限位置を簡単かつ確実に検出することができ、また、アームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が上方向から下方向に変化した位置を上限位置と判定することにより、上限位置を簡単かつ確実に検出することができる。
【0019】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第1〜5のいずれかの態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、攪拌回数のカウントをスタートさせるカウント開始手段を、さらに有することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、攪拌回数のカウントをスタートさせるカウント開始手段を設けているので、攪拌回数のカウントを開始させるタイミングを任意に設定でき、作業者の作業性を向上させることができる。
【0021】
本発明のうち第7の態様に係るものは、第1〜6のいずれかの態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、攪拌回数を設定する攪拌回数設定手段と、攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数が、攪拌回数設定手段により設定された攪拌回数に達したことを報知する報知手段と、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数が、攪拌回数設定手段により設定された攪拌回数に達したことを報知するので、作業者があらかじめ攪拌したい回数だけ正確かつ確実に攪拌することができる。
【0023】
本発明のうち第8の態様に係るものは、第1〜7のいずれかの態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、取出可能な記録媒体を装着する装着手段と、装着手段に装着された取出可能な記録媒体にデータの記録を行う記録手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、装着手段に装着された記録媒体にデータの記録し、その記録媒体を取り出して、パソコンなどを使用して攪拌状況のデータを集計、分析などを行い、その結果をプリンタなどを用いて出力することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、地盤を攪拌する攪拌回数を容易かつ確実に算出することができ、地盤の攪拌を品質よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の地盤攪拌装置の管理システムの一実施形態について図面を参照にしながら説明する。本実施形態では、地盤攪拌装置としてバックホウについて説明するが、これに限らず、地盤を攪拌する装置であればその他のものも含む。図1は、本発明の一実施形態におけるバックホウの側面図である。
【0027】
図1に示すように、バックホウ1は、上部旋回体2、ブーム3、アーム4、バケット5、および下部走行体6などから構成されている。
【0028】
下部走行体6は、キャタピラ7を備え、該キャタピラ7を駆動させることにより地上を走行することができる。
【0029】
上部旋回体2は、下部走行体6の上部に旋回部8を介して設置され、油圧モー夕により360度旋回できるようになっている。上部旋回体2には、ブーム3が回動可能に支持されており、上部旋回体2とブーム3の中間部との間にはブームシリンダ(アクチュエータ)9が連結されている。ブーム3は、ブームシリンダ9の伸縮に基づいてブーム3と上部旋回体2との連結部(図示略)を中心に回動するようになっている。ブーム3の先端部にはアーム4が回動可能に支持されており、ブーム3の中間部とアーム4の末端部との間にはアームシリンダ(アクチュエータ)10が連結されている。
【0030】
アーム4は、アームシリンダ10の伸縮に基づいてブーム3とアーム4との連結部3aを中心に回動するようになっている。アーム4の先端部には、バケット5が回動可能に連結(支持)されており、アーム4の中間部とバケット5の基端部との間にはバケットシリンダ(アクチュエータ)11が連結されている。
【0031】
バケット5は、バケットシリンダ11の伸縮に基づいてアーム4とバケット5との連結部4aを中心に回動するようになっている。各シリンダ9〜11は、ピストンロッド9a〜11aの伸縮運動によってストロークが調節され、ブーム3,アーム4,バケット5が夫々個々に駆動されるようになっている。
【0032】
また、ブーム3には、ブーム3の回動角を測定する角度センサ12が設置(図面背面に設置)され、アーム4には、アーム4の回動角を測定する角度センサ13が設置されている。これらの角度センサ12、13としては、ポテンショメータ等が用いられる。尚、上部旋回体2,下部走行体6、および旋回部8により本体1が構成されている。
【0033】
バケット5には、圧送ホース14(図3参照)が取り付けられている。この圧送ホース14を用いて、外部のスラリープラント(図示略)からバックホウ1の後部を介して、セメント系固化材と水を混合したセメントミルクがバケット5に送られ、バケット5に取り付けられた圧送ホース14からセメントミルクが噴射される。圧送ホース14から送られてくるセメントミルクの流量は、流量センサ15により検出される。
【0034】
上部旋回体2の前側には、運転室16が設けられている。この運転室16内には、図2に示すようにシート17が備え付けられている。作業員は、このシート17に座ってバックボー1の運転を行う。図2は、本発明の一実施形態におけるバックホウの運転室内の座席を示す図である。
【0035】
図2に示すように、シート17の右側には第1操作レバー18が設けられ、シート17の左側には第2操作レバー19が設けられている。この第1操作レバー18を前方に操作することによりブーム3が下がり、後方に操作することによりブーム3が上がり、右方に操作することによりバケット5がダンプし、左方に操作することによりバケット5が堀削する。また、第2操作レバー19を前方に操作することによりアーム4が下がり、後方に操作することによりアーム4が上がり、右方に操作することにより上部旋回体2が右旋回し、左方に操作することにより上部旋回体2が左旋回する。
【0036】
上述したように、バケット5には、圧送ホース14が取り付けられている(図3および図4参照)。この圧送ホース14を用いてスラリープラント(図示略)からバケット5にセメントミルクが送られ、その送られたセメントミルクが圧送ホース吐出口20から吐き出される。また、バケット5には、攪拌プレート21が設けられている。このバケット5が回動(連結部4aを軸に回動)することにより、セメントミルクなどが攪拌プレート21と攪拌プレート21の間を潜り抜け、地盤が攪拌される。ここで、図3は、本発明の一実施形態におけるバケットの正面図であり、図4は、本発明の一実施形態におけるバケットの側面図である。
【0037】
シート17の右側には、移動可能なエスミックスラリー工法管理装置(以下「管理装置」)100が設置されている(図5参照)。図5は、本発明の一実施形態におけるバックホウの管理装置を示す図である。
【0038】
図5に示すように、管理装置100には、操作パネル22と、開始/完了スイッチ23、中断/再開スイッチ24、電源スイッチ25、そしてフューズケース26が備えられている。
【0039】
操作パネル22は、深度、流量、攪拌回数などを設定および表示するものである。なお、操作パネル22の詳細は、図6を用いて後述する。電源スイッチ25は、管理装置100のON/OFFスイッチであり、この電源スイッチ25が押されることにより管理装置10が作業可能状態になる。
【0040】
開始/完了スイッチ23は、地盤の攪拌回数の計測を開始または開始した後に終了させるスイッチであり、作業者により、この開始/完了スイッチ23が押されることにより、地盤の攪拌回数の計測が開始され、そして、攪拌回数の計測が実行されているときに、この開始/完了スイッチ23が押されることにより、攪拌回数の計測が終了する。また、中断/再開スイッチ24は、地盤の攪拌回数の計測を中断し、またその中断した攪拌回数の計測を再開させるスイッチであり、攪拌回数の計測が実行されているときに、作業者により、中断/再開スイッチ24が押されることにより、攪拌回数の計測が中断し、そして、攪拌回数の計測が中断しているときに、この中断/再開スイッチ24が押されることにより、再び攪拌回数の計測が実行される。
【0041】
次に、図6を用いて、操作パネルについて詳細に説明する。図6は、本発明の一実施形態におけるバックホウの管理装置の操作パネルを示す図である。なお、この操作パネル22は、タッチパネル式になっている。
【0042】
図6に示すように、操作パネル22には、機械番号表示部27と、格子番号表示部28と、日付時間表示部29が設けられている。
【0043】
機械番号表示部27は、機械が複数ある場合に設定した機械番号を表示するもので、この機械番号表示部27に触れることにより、その設定画面が表示され機械番号を設定することができる。格子番号表示部28は、作業する格子(ブロック)番号を表示するもので、格子番号表示部28に触れることにより、その設定画面が表示され格子番号を設定することができる。日付時間表示部29は、現在の日付・時間を表示するもので、この日付時間表示部29に触れることにより、その設定画面が表示され日付時間を設定することができる。
【0044】
また、操作パネル22には、掘削深度表示部30、深度設定表示部31、積算流量表示部32、および瞬時流量表示部33が設けられている。
【0045】
掘削深度表示部30は、現在の掘削深度を表示するもので、この掘削深度は、後述する設定画面を用いて入力されたブーム3の長さとアーム4の長さ、および角度センサ12、13により検出されたブーム角とアーム角を用いて算出される。なお、この掘削深度は、開始/完了スイッチ23を押すことにより、自動的にゼロリセットして計測が開始される。すなわち、作業者は、後述するように、地盤改良位置にバックホウ1をセットしバケット5をゼロ位置(深度)に合わせ、開始/完了スイッチ23を押すことにより、掘削深度が自動的にゼロリセットされる。深度設定表示部31は、設定した深度を表示するもので、この深度設定表示部31に触れることにより、その設定画面が表示され深度を設定することができる。積算流量表示部32は、開始/完了スイッチ23が押されてから、スラリープラントから送り込まれたセメントミルクの積算流量値を表示するものであり、また、瞬時流量表示部33は、スラリープラントから送り込まれるセメントミルクの流量の瞬間値を表示するものであり、この積算流量および瞬時流量は、流量センサ15を用いて検出される。
【0046】
また、操作パネル22には、1層攪拌計測中スイッチ34、2層攪拌計測中スイッチ35、および3層攪拌計測中スイッチ36が設けられている。この1層攪拌計測中スイッチ34〜3層攪拌計測中スイッチ36は、攪拌回数を計測する層を設定および表示するためのスイッチであり、たとえば、1層の攪拌回数を計測する際には、1層攪拌計測中スイッチ34を押すことにより、1層攪拌計測中スイッチが「ON」となり、1層の攪拌回数がスイッチの色が変化する。
【0047】
また、操作パネル22には、計測値表示部34a、35a、36a、37、設計値表示部34b、35b、36b、38が設けられている。
【0048】
計測値表示部34aは、1層攪拌計測中スイッチ34が押された状態(「ON状態」)で計測された攪拌回数を表示するもので、計測値表示部35aは、2層攪拌計測中スイッチ35が押された状態(「ON状態」)で計測された攪拌回数を表示するもので、また、計測値表示部36aは、3層攪拌計測中スイッチ36が押された状態(「ON状態」)で計測された攪拌回数を表示するものである。また、計測値表示部37は、計測値表示部34a〜36aに表示された回数の合計値を表示するものである。すなわち、計測値表示部37には、1層から3層までの全攪拌回数のトータル攪拌回数が表示される。設計値表示部34b〜36bは、それぞれ1層〜3層までの攪拌回数の設計値(計画値)を表示するもので、この設計値表示部34b〜36bのいずれかに触れることにより、その設定画面が表示され設計値を設定することができる(図7参照)。また、設計値表示部38は、設計値表示部34b〜36bに表示された回数の合計値を表示するものである。
【0049】
また、操作パネル22には、設定画面スイッチ39、およびブーム角アーム角スイッチ40が設けられている。
【0050】
設定画面スイッチ39は、ブーム3の長さ、およびアーム4の長さを入力するためのスイッチで、この設定画面スイッチ39を押すことにより、その設定画面が表示されブーム長、およびアーム長を設定することができる。なお、このブーム長、およびアーム長は、それぞれ回転ピン(回転軸)の芯間の寸法(図8参照)が入力される。また、ブーム角アーム角スイッチ40は、深度設定表示部31に入力された深度のときのブーム角およびアーム角を表示させるためのスイッチで、このブーム角アーム角スイッチ40を押すことにより、深度設定表示部31に入力された深度のときのブーム角およびアーム角が表示される。そして、この表示されたブーム角およびアーム角の表示値を、実際のブーム3、アーム4のピン間を結んだ線と水平線からできる角度に合うように調整することにより、正確なブーム角、アーム角を表示させることができる。
【0051】
また、操作パネル19には、上部位置表示部41、下部位置表示部42、攪拌距離表示部43が設けられている。上部位置表示部41は、直近に判定(検出)された上部位置を表示するものであり、下部位置表示部42は、直近に判定(検出)された下部位置を表示するものである。そして、攪拌距離表示部43は、上部位置表示部41と下部位置表示部42の差を表示するものである。これらを表示することにより、作業者は、これらの数値を見ながら攪拌作業を行うことができる。計測状態表示部44は、攪拌回数の計測状態を表示するもので、攪拌回数の計測が開始されたときや攪拌回数の計測されているときには、計測状態表示部44の上段に「開始中」と表示され、攪拌回数の計測が完了したときには、計測状態表示部44の上段に「完了」と表示され、また、攪拌回数の計測が中断されているときには、計測状態表示部44の下段に「中断」と表示される。
【0052】
次に、図7を用いて、設計攪拌回数等の設定について説明する。図7は、操作パネルの設定画面を示す図である。設定画面45には、攪拌基準設定表示部46、設計攪拌回数表示部47〜49、施工設定表示部50〜52、テンキー53が設けられている。
【0053】
攪拌基準設定表示部46は、攪拌基準設定距離を表示するもので、攪拌基準設定表示部46に触れることにより攪拌基準設定距離が入力できる状態になり、作業者はテンキー53を用いて攪拌基準設定距離を入力し、「登録ボタン」を押すことにより攪拌基準設定距離が登録される。なお、攪拌基準設定距離は、後述するように、攪拌回数を計測する際に用いられるものである。また、設計攪拌回数表示部47は、1層の設計値34b(図6参照)を表示するもので、設計攪拌回数表示部47に触れることにより設計攪拌回数(設計値34b)が入力できる状態になり、作業者はテンキー53を用いて設計攪拌回数(設計値34b)を入力し、「登録ボタン」を押すことにより設計攪拌回数(設計値34b)が登録される。また、設計攪拌回数表示部48は、2層の設計値35b(図6参照)を設定するもので、また、設計攪拌回数表示部49は、3層の設計値36b(図6参照)を設定するものである。なお、設定の方法は、設計攪拌回数表示部47と同様であるので説明は省略する。ここで、テンキー53の「設定終了」は、設定画面45を用いてすべての入力が終了した後に押すもので、これにより登録された数値が記録手段(図示略)に記憶される。施工設定表示部50は、設計攪拌回数表示部47の設計値34bが入力されているときに点灯するランプであり、施工設定表示部51は、設計攪拌回数表示部48の設計値35bが入力されているときに点灯するランプであり、施工設定表示部52は、設計攪拌回数表示部49の設計値36bが入力されているときに点灯するランプである。このように、たとえば、設計攪拌回数表示部47と設計攪拌回数表示部49のみに設計攪拌回数が入力されているときには、施工設定表示部50と施工設定表示部52が点灯され、施工設定表示部51は点灯しない。また、これらの施工設定表示部50〜52の中で点灯していない層、すなわち、設計攪拌回数表示部47〜49に設計攪拌回数が入力されていない層については、攪拌計測中スイッチ34〜36(図6参照)を押しても、その攪拌計測中スイッチが「ON」にならず、その層の攪拌回数計測中スイッチの色も変化しない。
【0054】
次に、図9を用いて、バックホウ1の構成の概略について説明する。図9は、本発明の一実施形態におけるバックホウの主たる構成を示す図である。
【0055】
図9に示すように、角度センサ12、13は、管理装置100に接続されている。そして、角度センサ12、13により検出されたブーム角とアーム角が管理装置100に入力されると、その入力されたブーム角とアーム角、およびあらかじめ入力されているブーム3の長さとアーム4の長さを用いて掘削深度が算出される。具体的には、ブーム3の長さとブーム角、アーム4の長さとアーム角を用いて、アーム4とバケット5との連結部4aの位置が求められ、その連結部4aの位置を用いて掘削深度が算出される。そして、その算出された掘削深度は、操作パネル22の掘削深度表示部30(図6参照)に表示される。また、流量センサ15と管理装置100も接続され、流量センサ15により検出されたスラリープラントから送り込まれたセメントミルクの流量が管理装置100に入力されると、その入力された流量が瞬時流量表示部33(図6参照)に表示される。また、開始/完了スイッチ23が押されてからの積算流量が算出され、その算出された積算流量は操作パネル22の積算流量表示部32(図6参照)に表示される。
【0056】
管理装置100には、CFカード挿入口(図示略)が設けられ、そのCFカード挿入口にCFカード54を挿入し、管理装置100内のデータをCFカード54に記憶することができる。そして、データが記憶されたCFカード54を管理装置100から取り出し、その取り出されたCFカード54をパソコン55に差し込んで、そのCFカード54に記憶されているデータの集計、分析などを行い、その結果をプリンタ56を用いて出力することができる。
【0057】
次に、図10を用いて、攪拌回数の計測方法を説明する。図10は、本発明の一実施形態におけるバックホウの攪拌回数の計測方法を説明する図ある。
【0058】
作業者は、まず、バックホウ1を作業領域付近に移動させて停止させ、バケット5が掘削作業位置にくるように上部旋回体2を所定位置まで回動させる。そして、作業者により開始/完了スイッチ23が押されると、押されたタイミングでのアーム4とバケット5の連結部4aの位置が掘削深度「0m」(最初の攪拌上部位置)に設定される。なお、攪拌回数を計測する際には、上述したように、あらかじめ深度設定(図6参照)、攪拌基準設定および設計攪拌回数(図7参照)が管理装置100の操作パネル22を用いて入力されている。
【0059】
地盤を攪拌するためには、まず、ブーム3およびアーム4を引き下げることにより、バケット5の先端部を地盤の中に入り込ませ(図10(a))、バケット5の先端が地盤の中に入り込めば、その後、ブーム3、アーム4およびバケット5を回動させることにより地盤を攪拌させる(図10(b))。そして、やがて連結部4aが下部位置に達し、その位置を攪拌下部位置として検出(判定)する。
【0060】
連結部4aが下部位置に達すると、ブーム3およびアーム4を引き上げることにより、地盤が攪拌され、そして、やがて上部位置に達する。この上部位置に達すると、この位置を攪拌上部位置として検出(判定)し、攪拌上部位置の値を今回の攪拌上部位置の値に更新する(入れ替える)。このように、連結部4aが攪拌上部位置から攪拌下部位置へ、攪拌下部位置から攪拌上部位置に移動し、その連結部4aの移動距離が上述した攪拌基準設定距離(図7)以上かを判断して攪拌回数を計測する。詳細は、図11〜図15を用いて後述する。
【0061】
次に、図11〜図15を用いて、攪拌回数の計測方法について詳述する。図11は、本発明の一実施形態における攪拌回数処理のフローチャートである。
【0062】
まず、S11において、電源が「ON」かが判断される。電源が「ON」か否かは、電源スイッチ25(図5参照)が押されたか否かにより判断される。そして、S11で「YES」の場合は、S12に進む。
【0063】
次に、S12において、攪拌基準設定距離が入力されているかが判断される。攪拌基準設定距離は、設定画面45(図7)を用いて入力される。この攪拌基準設定距離は、攪拌回数の計測に用いられる。そして、S12で「YES」の場合は、S13に進む。
【0064】
次に、S13において、開始/完了ボタンが「ON」かが判断される。そして、S13で「YES」の場合は、S14に進み、S14により、計測値34b、35b、36b、38がリセットされる(図6参照)。これにより、計測値34b、35b、36b、38が、すべて「0回」となる。
【0065】
S15において、計測フラグ処理が実行される。この計測フラグ処理により、1層〜3層のいずれの攪拌回数を計測するかが決定される。なお、計測フラグ処理については図12を用いて後述する。
【0066】
S16において、攪拌回数計測処理が実行される。この攪拌回数計測処理により、攪拌回数が計測される。なお、攪拌回数計測処理については図13を用いて後述する。
【0067】
S17において、開始/完了ボタンが「OFF」かが判断される。この開始/完了ボタン23が「OFF」かは、開始/完了ボタン23が「ON」の状態のときに、再度開始/完了ボタン23が押されたか否かにより判断される。そして、S17により「NO」と判断された場合にはS18に進み、S18により中断/再開スイッチ24が「ON」かが判断され、S18により「NO」と判断されたときには、S17により「YES」と判断されるまで、S16→S17→S18→S16の処理が実行される。また、S18で「YES」と判断された場合は、S18により「NO」と判断されるまでS17→S18→S17の処理が実行される。なお、S17で「YES」と判断された場合は最初に戻り再度S11が実行される。これにより、攪拌回数が計測される。
【0068】
次に、図12を用いて、攪拌回数処理のサブルーチンである計測フラグ処理について説明する。図12は、攪拌回数処理のサブルーチンである計測フラグ処理を示す図である。この計測フラグ処理は、1層〜3層のいずれの攪拌回数を計測するかを決定するためのものである。
【0069】
まず、S21において、3層攪拌回数スイッチが「ON」かが判断される。この3層攪拌回数スイッチが「ON」かは、3層攪拌回数スイッチ36(図6参照)が押されたか否かにより判断される。そして、S21により「YES」と判断された場合にはS22に進み、S22により3層計測フラグが「ON」となる。この3層計測フラグが「ON」になると、攪拌回数が3層攪拌回数の計測値として計測される(図6参照)。また、S21により「NO」と判断されたときはS23に進む。
【0070】
S23において、2層攪拌回数スイッチが「ON」かが判断される。この2層攪拌回数スイッチが「ON」かは、2層攪拌回数スイッチ35(図6参照)が押されたか否かにより判断される。そして、S23により「YES」と判断された場合にはS24に進み、S24により2層計測フラグが「ON」となる。この2層計測フラグが「ON」になると、攪拌回数が2層攪拌回数の計測値として計測される(図6参照)。また、S23により「NO」と判断されたときはS25に進む。
【0071】
S25において、1層攪拌回数スイッチが「ON」かが判断される。この1層攪拌回数スイッチが「ON」かは、1層攪拌回数スイッチ34(図6参照)が押されたか否かにより判断される。そして、S25により「YES」と判断された場合にはS26に進み、S26により1層計測フラグが「ON」となる。この1層計測フラグが「ON」になると、攪拌回数が1層攪拌回数の計測値として計測される(図6参照)。また、S25により「NO」と判断された場合は、S27により報知手段(ブザー、ランプなど(図示略))を「ON」にし、再びS21に進み、1層攪拌回数スイッチ34〜3層攪拌回数スイッチ36のいずれかが押されるまで、S21→S23→S25→S27→S21の処理が実行される。そして、S21、S23、またはS25のいずれかにより「YES」と判断された場合は、S22、S24、またはS26の処理が実行され、S28により報知手段が「OFF」となり計測フラグ処理が終了する。
【0072】
次に、攪拌回数処理のサブルーチンである攪拌回数計測処理について説明する。図13は、攪拌回数処理のサブルーチンである攪拌回数計測処理を示す図である。この攪拌回数計測処理により、攪拌回数が計測される。
【0073】
まず、S31において、攪拌回数(N)が「0」であるかが判断される。そして、S31により「YES」と判断された場合は、S32により攪拌上部位置が計測される。この攪拌上部位置は、開始/完了スイッチ23が押されたタイミングでのアーム4とバケット5との連結部4aの位置が攪拌上部位置をして計測される。なお、本実施形態では、この開始/完了スイッチ23が押されたタイミングでのアーム4とバケット5との連結部4aの位置を深度「0m」となるように設定している。そして、S33により、位置フラグ(FI)を「1」に、差分フラグ(FS)を「0」に設定する。この位置フラグ(FI)は、次に計測する位置が攪拌上部位置か攪拌下部位置かを判断するためのフラグである。また、S31により「NO」と判断された場合は、S34に進む。
【0074】
次に、S34において、位置フラグ(FI)が「1」かが判断される。そして、S34により「YES」と判断された場合にはS35に進み、攪拌下部位置が判定(計測)される。このように、位置フラグ(FI)が「1」の場合には攪拌下部位置が判定(計測)される。
【0075】
攪拌下部位置判定処理(S35)では、攪拌下部位置が判定(計測)される。具体的には、今まで下方向に変動していたアーム4とバケット5の連結部4aの位置の変動が、3回連続して上方向になった場合に、その下方向から上方向に変化した位置を攪拌下部位置と判断している。このように、アーム4とバケット5の連結部4aの位置の変動が下方向から上方向に変化した位置を攪拌下限位置と判断することにより、攪拌下限位置を簡単かつ確実に検出することができる。
【0076】
次に、S36において、攪拌上部位置と攪拌下部位置との差分が所定値以上かが判断される。この所定値は、攪拌基準設定表示部46を用いて設定した距離である(図7参照)。なお、本実施形態では、所定値として、0.7mが設定されている。そして、S36により「YES」と判断された場合は、S37により差分フラグ(FS)を「1」に設定し、S38により位置フラグ(FI)を「2」に設定する。そして、S38の処理が実行されると攪拌回数計測処理は終了するが、図11を用いて上述したように、開始/完了スイッチ23が「OFF」になるまで再度攪拌回数計測処理が実行される(S16→S17→S18→S16(図11))。再度実行される攪拌回数計測処理では、S31により「NO」となり、S34により「NO」(位置フラグ(FI)が「2」に設定されている(S38))となり、S39により攪拌上部位置が判定(計測)される。
【0077】
攪拌上部位置判定処理(S39)では、攪拌上部位置が判定(計測)される。具体的には、今まで上方向に変動していたアーム4とバケット5の連結部4aの位置の変動が、3回連続して下方向になった場合に、その上方向から下方向に変化した位置を攪拌上部位置と判断している。このように、アーム4とバケット5の連結部4aの位置の変動が上方向から下方向に変化した位置を攪拌上限位置と判断することにより、攪拌上限位置を簡単かつ確実に検出することができる。
【0078】
次に、S40において、攪拌下部位置と攪拌上部位置との差分が所定値以上かが判断される。そして、S40により「YES」と判断された場合は、S41に進む。
【0079】
次に、S41において、差分フラグ(FS)が「1」かが判断される。そして、S41により「YES」と判断された場合は、S42により攪拌回数カウント処理が実行される。ここで、S41により「YES」になる場合、つまり、差分フラグ(FS)が「1」に設定される場合は、上述したように、攪拌上部位置と攪拌下部位置との差分が所定値(0.7m)以上の場合である。この攪拌回数カウント処理では、攪拌回数のカウントが行われる。なお、攪拌回数カウント処理の詳細は、図14を用いて後述する。そして、S43により差分フラグ(FS)を「0」に設定し、S44により位置フラグ(FI)を「1」に設定する。S44の処理が実行されると攪拌回数計測処理は終了するが、図11を用いて上述したように、開始/完了スイッチ23が「OFF」になるまで再度攪拌回数計測処理が実行される(S16→S17→S18→S16(図11))。再度実行される攪拌回数計測処理では、S31により「NO」となり、S34により「YES」(位置フラグが「1」に設定されている(S44))となり、S35により攪拌下部位置が判定(計測)される。
【0080】
次に、攪拌回数計測処理のサブルーチンである攪拌回数カウント処理について説明する。図14は、攪拌回数計測処理のサブルーチンである攪拌回数カウント処理を示す図である。この攪拌回数カウント処理により、攪拌回数がカウントされる。
【0081】
まず、S51において、攪拌回数(N)に「1」加算される。ここで、この攪拌回数(N)は、攪拌回数(N1〜N3)の総和である。
【0082】
次に、S52において、3層計測フラグが「ON」かが判断される。この3層計測フラグは、3層攪拌回数スイッチ36(図6参照)が押された場合に「ON」となる(S21(図12))。そして、S52により「YES」と判断された場合にはS53に進み、S53により攪拌回数(N3)が「1」加算され、攪拌回数カウント処理が終了する。また、S52により「NO」と判断されたときはS54に進む。
【0083】
次に、S54において、2層計測フラグが「ON」かが判断される。この2層計測フラグは、2層攪拌回数スイッチ35(図6参照)が押された場合に「ON」となる(S23(図12))。そして、S54により「YES」と判断された場合にはS55に進み、S55により攪拌回数(N2)が「1」加算され、攪拌回数カウント処理が終了する。また、S54により「NO」と判断されたときはS56に進む。
【0084】
次に、S56において、1層計測フラグが「ON」かが判断される。この1層計測フラグは、1層攪拌回数スイッチ34(図6参照)が押された場合に「ON」となる(S25(図12))。そして、S56により「YES」と判断された場合にはS57に進み、S57により攪拌回数(N1)が「1」加算され、攪拌回数カウント処理が終了する。また、S56により「NO」と判断されたときは再びS52に進む。そして、S52、S54、またはS56のいずれかが「ON」になるまで、S56→S52→S54→S56の処理が行われ、「ON」になれば1層〜3層のいずれかの攪拌回数を「1」加算して攪拌回数カウント処理が終了する。
【0085】
なお、攪拌回数カウント処理により、攪拌回数(N1、N2、N3、N)が加算され、その加算された攪拌回数が、設計値(34b、35b、36b、38)に達したときに報知手段(ブザー、ランプなど)に報知するようにしてもよい。このようにすれば、作業者は、攪拌回数(N1、N2、N3、N)が設計値(34b、35b、36b、38)に達したことを知ることができ、作業者があらかじめ攪拌したい回数だけ正確かつ確実に攪拌することができる。またこの場合、攪拌回数(N1、N2、N3、N)によって、ブザー(報知手段)の音を異ならせたり、ランプ(報知手段)の色を異ならすようにしてもよい。
【0086】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0087】
以下、本発明の変形例について説明する。
(1) 本実施形態では、アーム4とバケット5との連結部4aの位置を用いて掘削深度が算出されたが、これに限らず、アーム4もしくはバケット5の特定部分の位置を用いて掘削深度を算出してもよい。そして、そのアーム4もしくはバケット5の特定部分の位置を用いて、攪拌上部位置、攪拌下部位置を判定(検出)し、攪拌回数を計測してもよい。
【0088】
(2) 本実施形態では、バケット5に取り付けられた圧送ホース14からセメントミルクを噴射させるものを用いて説明したが、これに限定されず、バケット5を用いて、地盤を攪拌するものであれば本発明の範囲にすべて含まれる。
【0089】
(3) 本実施形態では、管理装置100および角度センサー12、13を設けたバックホウ1を用いて地盤の攪拌を行い、その攪拌回数を計測することについて説明したが、このバックホウ1は、地盤の攪拌のみならず、土砂の移動などその他の作業も行うことができるものであってのよい。また、管理装置100および角度センサー12、13は、バックホウ1に着脱自在に設けられているので、管理装置100および角度センサー12、13を、他の同種のバックホウ1のみならず異種のバックホウ1にも容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の一実施形態におけるバックホウの側面図である。
【図2】同バックホウの運転室内の座席を示す図である。
【図3】同バックホウに用いられるバケットの正面図である。
【図4】同バックホウに用いられるバケットの側面図である。
【図5】同バックホウの管理装置を示す図である。
【図6】同バックホウの管理装置の操作パネルを示す図である。
【図7】同操作パネルの設定画面を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態におけるバックホウのブーム長、アーム長とブーム角、アーム角の関係を示す図である。
【図9】同バックホウの主たる構成を示す図である。
【図10】同バックホウの攪拌回数の計測方法を説明する図ある。
【図11】同バックホウの攪拌回数処理を示すフローチャートである。
【図12】同攪拌回数処理のサブルーチンである計測フラグ処理を示す図である。
【図13】同攪拌回数処理のサブルーチンである攪拌回数計測処理を示す図である。
【図14】同攪拌回数計測処理のサブルーチンである攪拌回数カウント処理を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 バックホウ
3 ブーム
4 アーム
4a 連結部
5 バケット
12 角度センサ
13 角度センサ
22 操作パネル
23 開始/完了スイッチ
25 電源スイッチ
30 掘削深度表示部
31 深度設定表示部
34b 設計値
35b 設計値
36b 設計値
45 設定画面
46 攪拌基準設定表示部
47 設計攪拌回数表示部
54 CFカード
100 管理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を攪拌する地盤攪拌装置の管理システムに関する。詳しくは、本体に回動可能に支持されたブームと、該ブームに回動可能に連結されたアームと、該アームに回動可能に連結されたバケットと、を有する地盤攪拌装置の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、セメント系固化材や石灰系固化材を使用した化学的固化による地盤改良工法が知られている。この地盤改良工法は、一般的に改良する深度によって大きく2つに分類される。ひとつは地表面から−3m付近までの改良でこれを浅層改良工法または表層改良工法と呼び、もうひとつは−3mより深い部分の改良でこれを深層改良工法と呼んでいる。
【0003】
この浅層改良工法の技術として、次の技術が知られている。この技術は、ブーム、アームおよびバケットを駆動して自動掘削するバックホウであって、このバックホウは、ブーム、アームおよびバケットのそれぞれの回動角度を角度センサにより検出し、その角度センサにより検出されたブーム、アームおよびバケットの各回動角度を用いて、バケットの刃先の深さを算出できるものであった(たとえば、特許文献1)。
【0004】
また、深層改良工法の技術として、次の技術が知られている。この技術は、リーダーマストに昇降自在に装着された駆動部に、攪拌翼を有する攪拌軸を装着し、この攪拌軸を駆動部のモータにより回転駆動して地盤を掘削すると共に、地盤改良用固化材等と水を混合したセメントミルクを注入し、土砂と地盤攪拌して地盤を改良する地盤改良機であって、この地盤改良機は、攪拌ヘッドの深度・昇降速度、攪拌軸の回転数、攪拌ヘッドの羽根枚数から地盤土の単位長さ当たりの地盤攪拌回数を算出できるものであった(たとえば、特許文献2)。
【0005】
このように、深層改良工法を用いるものとして、リーダーマストを装着した専用機械に種々の管理装置が装着され、それによって管理するシステムが既に存在するが、浅層改良工法を用いるものは、施工機械に汎用性のバックホウを使用し、バックホウに装着したバケットにて改良材と現地土砂を攪拌混合して固化する方法が多く、バケットの位置を検出する技術はあったものの、攪拌混合度合いを管理する最も重要な要素である攪拌回数については、バケットの動きが複雑なことからそれを管理する装置は従来存在しなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平5−311692号公報
【特許文献2】特開2000−220134号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のバックホウ(バケット式)では、地盤の浅層を改良する際に、その地盤の攪拌改良がどれだけ進んだかを示す攪拌改良具合の指標となるものがないために、地盤の攪拌改良具合を、作業者が土の色むら等を見て判断せざるを得なかった。このことから、作業者は作業を行いながら土の色むら等を判断するといった負担が強いられ、また、作業者の熟練の度合いや作業者の感覚によって攪拌改良具合の判断が異なる場合があり、思ったように地盤が攪拌改良できていない場合もあった。また、特許文献2の地盤改良機(ロータリー式)は、地盤土の単位長さ当たりの地盤攪拌回数を算出することができるものの、このロータリー式では、ガラや礫が多く含まれる表層盛土部分を改良する場合や、地盤の固い支持層を改良する場合に、攪拌翼が欠損したり、うまく攪拌できないことが多かった。また、ロータリー式では、ロータリー式専用の油圧配管が必要でコスト高になるのみならず、作業を複雑化するという問題もあった。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、地盤の浅層改良の攪拌改良具合を判断する作業者の負担を軽減するとともに、地盤の攪拌を品質よく行うことができる地盤攪拌装置の管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、
本体に回動可能に支持されたブームと、該ブームに回動可能に連結されたアームと、該アームに回動可能に連結されたバケットとを有する攪拌混合装置の管理システムにおいて、バケットにより地盤を攪拌する攪拌回数をカウントする攪拌回数カウント手段を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、バケットにより地盤を攪拌する攪拌回数がカウントできるので、この攪拌回数を用いて地盤の攪拌改良具合を判断できる。これにより、攪拌改良具合を判断する際の作業者の負担を軽減することができるとともに、作業者により攪拌品質が異なることも少なくなり、均一な品質で攪拌することができる。
【0011】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数を表示する表示手段を、さらに有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、カウントされた攪拌回数が表示手段に表示されるので、作業者はこの表示手段に表示された攪拌回数を見て地盤の攪拌改良具合を判断でき、地盤の攪拌改良効率を向上させることができる。
【0013】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、アームもしくはバケットの特定部分の位置を検出する位置検出手段を、さらに有し、攪拌回数カウント手段は、地盤を攪拌する際に、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、あらかじめ定められた距離以上になったときに攪拌回数を加算することを特徴とする。
【0014】
地盤を攪拌する際には、アームもしくはバケットの特定部分の位置が必ず一定以上の距離だけ変動する。このように、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、あらかじめ定められた距離以上になれば地盤の攪拌が行われたと判断することにより、単純な方法で攪拌回数を計測することができる。
【0015】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1の態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、アームもしくはバケットの特定部分の位置を検出する位置検出手段を、さらに有し、攪拌回数カウント手段は、地盤を攪拌する際に、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置が、上限位置から下限位置まであらかじめ定められた距離以上変動し、さらに、該下限位置から上限位置まであらかじめ定められた距離以上変動したときに攪拌回数を加算することを特徴とする。
【0016】
地盤を攪拌する際には、アームもしくはバケットの特定部分の位置が必ず上方向および下方向に一定以上の距離だけ変動する。このように、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置が、上限位置から下限位置まであらかじめ定められた距離以上変動し、さらに、該下限位置から上限位置まであらかじめ定められた距離以上変動したときに地盤の攪拌が行われたと判断することにより、攪拌回数を正確かつ確実に計測することができる。
【0017】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第4の態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置が上限位置もしくは下限位置であることを判定する位置判定手段を、さらに有し、該位置判定手段は、位置検出手段により検出されたアームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、下方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して上方向の変動になった場合に、該下方向から上方向に変化した位置を下限位置と判定し、上方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して下方向の変動になった場合に、該上方向から下方向に変化した位置を上限位置と判定することを特徴とする。
【0018】
本発明では、アームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、下方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して上方向に変動すれば、アームもしくはバケットの特定部分の位置が下降から上昇に変換したと判断することができる。また、アームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が、上方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して下方向に変動すれば、アームもしくはバケットの特定部分の位置が上昇から下降に変換したと判断することができる。このように、アームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が該下方向から上方向に変化した位置を下限位置と判定することにより、下限位置を簡単かつ確実に検出することができ、また、アームもしくはバケットの特定部分の位置の変動が上方向から下方向に変化した位置を上限位置と判定することにより、上限位置を簡単かつ確実に検出することができる。
【0019】
本発明のうち第6の態様に係るものは、第1〜5のいずれかの態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、攪拌回数のカウントをスタートさせるカウント開始手段を、さらに有することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、攪拌回数のカウントをスタートさせるカウント開始手段を設けているので、攪拌回数のカウントを開始させるタイミングを任意に設定でき、作業者の作業性を向上させることができる。
【0021】
本発明のうち第7の態様に係るものは、第1〜6のいずれかの態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、攪拌回数を設定する攪拌回数設定手段と、攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数が、攪拌回数設定手段により設定された攪拌回数に達したことを報知する報知手段と、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数が、攪拌回数設定手段により設定された攪拌回数に達したことを報知するので、作業者があらかじめ攪拌したい回数だけ正確かつ確実に攪拌することができる。
【0023】
本発明のうち第8の態様に係るものは、第1〜7のいずれかの態様に係る地盤攪拌装置の管理システムであって、取出可能な記録媒体を装着する装着手段と、装着手段に装着された取出可能な記録媒体にデータの記録を行う記録手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、装着手段に装着された記録媒体にデータの記録し、その記録媒体を取り出して、パソコンなどを使用して攪拌状況のデータを集計、分析などを行い、その結果をプリンタなどを用いて出力することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、地盤を攪拌する攪拌回数を容易かつ確実に算出することができ、地盤の攪拌を品質よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の地盤攪拌装置の管理システムの一実施形態について図面を参照にしながら説明する。本実施形態では、地盤攪拌装置としてバックホウについて説明するが、これに限らず、地盤を攪拌する装置であればその他のものも含む。図1は、本発明の一実施形態におけるバックホウの側面図である。
【0027】
図1に示すように、バックホウ1は、上部旋回体2、ブーム3、アーム4、バケット5、および下部走行体6などから構成されている。
【0028】
下部走行体6は、キャタピラ7を備え、該キャタピラ7を駆動させることにより地上を走行することができる。
【0029】
上部旋回体2は、下部走行体6の上部に旋回部8を介して設置され、油圧モー夕により360度旋回できるようになっている。上部旋回体2には、ブーム3が回動可能に支持されており、上部旋回体2とブーム3の中間部との間にはブームシリンダ(アクチュエータ)9が連結されている。ブーム3は、ブームシリンダ9の伸縮に基づいてブーム3と上部旋回体2との連結部(図示略)を中心に回動するようになっている。ブーム3の先端部にはアーム4が回動可能に支持されており、ブーム3の中間部とアーム4の末端部との間にはアームシリンダ(アクチュエータ)10が連結されている。
【0030】
アーム4は、アームシリンダ10の伸縮に基づいてブーム3とアーム4との連結部3aを中心に回動するようになっている。アーム4の先端部には、バケット5が回動可能に連結(支持)されており、アーム4の中間部とバケット5の基端部との間にはバケットシリンダ(アクチュエータ)11が連結されている。
【0031】
バケット5は、バケットシリンダ11の伸縮に基づいてアーム4とバケット5との連結部4aを中心に回動するようになっている。各シリンダ9〜11は、ピストンロッド9a〜11aの伸縮運動によってストロークが調節され、ブーム3,アーム4,バケット5が夫々個々に駆動されるようになっている。
【0032】
また、ブーム3には、ブーム3の回動角を測定する角度センサ12が設置(図面背面に設置)され、アーム4には、アーム4の回動角を測定する角度センサ13が設置されている。これらの角度センサ12、13としては、ポテンショメータ等が用いられる。尚、上部旋回体2,下部走行体6、および旋回部8により本体1が構成されている。
【0033】
バケット5には、圧送ホース14(図3参照)が取り付けられている。この圧送ホース14を用いて、外部のスラリープラント(図示略)からバックホウ1の後部を介して、セメント系固化材と水を混合したセメントミルクがバケット5に送られ、バケット5に取り付けられた圧送ホース14からセメントミルクが噴射される。圧送ホース14から送られてくるセメントミルクの流量は、流量センサ15により検出される。
【0034】
上部旋回体2の前側には、運転室16が設けられている。この運転室16内には、図2に示すようにシート17が備え付けられている。作業員は、このシート17に座ってバックボー1の運転を行う。図2は、本発明の一実施形態におけるバックホウの運転室内の座席を示す図である。
【0035】
図2に示すように、シート17の右側には第1操作レバー18が設けられ、シート17の左側には第2操作レバー19が設けられている。この第1操作レバー18を前方に操作することによりブーム3が下がり、後方に操作することによりブーム3が上がり、右方に操作することによりバケット5がダンプし、左方に操作することによりバケット5が堀削する。また、第2操作レバー19を前方に操作することによりアーム4が下がり、後方に操作することによりアーム4が上がり、右方に操作することにより上部旋回体2が右旋回し、左方に操作することにより上部旋回体2が左旋回する。
【0036】
上述したように、バケット5には、圧送ホース14が取り付けられている(図3および図4参照)。この圧送ホース14を用いてスラリープラント(図示略)からバケット5にセメントミルクが送られ、その送られたセメントミルクが圧送ホース吐出口20から吐き出される。また、バケット5には、攪拌プレート21が設けられている。このバケット5が回動(連結部4aを軸に回動)することにより、セメントミルクなどが攪拌プレート21と攪拌プレート21の間を潜り抜け、地盤が攪拌される。ここで、図3は、本発明の一実施形態におけるバケットの正面図であり、図4は、本発明の一実施形態におけるバケットの側面図である。
【0037】
シート17の右側には、移動可能なエスミックスラリー工法管理装置(以下「管理装置」)100が設置されている(図5参照)。図5は、本発明の一実施形態におけるバックホウの管理装置を示す図である。
【0038】
図5に示すように、管理装置100には、操作パネル22と、開始/完了スイッチ23、中断/再開スイッチ24、電源スイッチ25、そしてフューズケース26が備えられている。
【0039】
操作パネル22は、深度、流量、攪拌回数などを設定および表示するものである。なお、操作パネル22の詳細は、図6を用いて後述する。電源スイッチ25は、管理装置100のON/OFFスイッチであり、この電源スイッチ25が押されることにより管理装置10が作業可能状態になる。
【0040】
開始/完了スイッチ23は、地盤の攪拌回数の計測を開始または開始した後に終了させるスイッチであり、作業者により、この開始/完了スイッチ23が押されることにより、地盤の攪拌回数の計測が開始され、そして、攪拌回数の計測が実行されているときに、この開始/完了スイッチ23が押されることにより、攪拌回数の計測が終了する。また、中断/再開スイッチ24は、地盤の攪拌回数の計測を中断し、またその中断した攪拌回数の計測を再開させるスイッチであり、攪拌回数の計測が実行されているときに、作業者により、中断/再開スイッチ24が押されることにより、攪拌回数の計測が中断し、そして、攪拌回数の計測が中断しているときに、この中断/再開スイッチ24が押されることにより、再び攪拌回数の計測が実行される。
【0041】
次に、図6を用いて、操作パネルについて詳細に説明する。図6は、本発明の一実施形態におけるバックホウの管理装置の操作パネルを示す図である。なお、この操作パネル22は、タッチパネル式になっている。
【0042】
図6に示すように、操作パネル22には、機械番号表示部27と、格子番号表示部28と、日付時間表示部29が設けられている。
【0043】
機械番号表示部27は、機械が複数ある場合に設定した機械番号を表示するもので、この機械番号表示部27に触れることにより、その設定画面が表示され機械番号を設定することができる。格子番号表示部28は、作業する格子(ブロック)番号を表示するもので、格子番号表示部28に触れることにより、その設定画面が表示され格子番号を設定することができる。日付時間表示部29は、現在の日付・時間を表示するもので、この日付時間表示部29に触れることにより、その設定画面が表示され日付時間を設定することができる。
【0044】
また、操作パネル22には、掘削深度表示部30、深度設定表示部31、積算流量表示部32、および瞬時流量表示部33が設けられている。
【0045】
掘削深度表示部30は、現在の掘削深度を表示するもので、この掘削深度は、後述する設定画面を用いて入力されたブーム3の長さとアーム4の長さ、および角度センサ12、13により検出されたブーム角とアーム角を用いて算出される。なお、この掘削深度は、開始/完了スイッチ23を押すことにより、自動的にゼロリセットして計測が開始される。すなわち、作業者は、後述するように、地盤改良位置にバックホウ1をセットしバケット5をゼロ位置(深度)に合わせ、開始/完了スイッチ23を押すことにより、掘削深度が自動的にゼロリセットされる。深度設定表示部31は、設定した深度を表示するもので、この深度設定表示部31に触れることにより、その設定画面が表示され深度を設定することができる。積算流量表示部32は、開始/完了スイッチ23が押されてから、スラリープラントから送り込まれたセメントミルクの積算流量値を表示するものであり、また、瞬時流量表示部33は、スラリープラントから送り込まれるセメントミルクの流量の瞬間値を表示するものであり、この積算流量および瞬時流量は、流量センサ15を用いて検出される。
【0046】
また、操作パネル22には、1層攪拌計測中スイッチ34、2層攪拌計測中スイッチ35、および3層攪拌計測中スイッチ36が設けられている。この1層攪拌計測中スイッチ34〜3層攪拌計測中スイッチ36は、攪拌回数を計測する層を設定および表示するためのスイッチであり、たとえば、1層の攪拌回数を計測する際には、1層攪拌計測中スイッチ34を押すことにより、1層攪拌計測中スイッチが「ON」となり、1層の攪拌回数がスイッチの色が変化する。
【0047】
また、操作パネル22には、計測値表示部34a、35a、36a、37、設計値表示部34b、35b、36b、38が設けられている。
【0048】
計測値表示部34aは、1層攪拌計測中スイッチ34が押された状態(「ON状態」)で計測された攪拌回数を表示するもので、計測値表示部35aは、2層攪拌計測中スイッチ35が押された状態(「ON状態」)で計測された攪拌回数を表示するもので、また、計測値表示部36aは、3層攪拌計測中スイッチ36が押された状態(「ON状態」)で計測された攪拌回数を表示するものである。また、計測値表示部37は、計測値表示部34a〜36aに表示された回数の合計値を表示するものである。すなわち、計測値表示部37には、1層から3層までの全攪拌回数のトータル攪拌回数が表示される。設計値表示部34b〜36bは、それぞれ1層〜3層までの攪拌回数の設計値(計画値)を表示するもので、この設計値表示部34b〜36bのいずれかに触れることにより、その設定画面が表示され設計値を設定することができる(図7参照)。また、設計値表示部38は、設計値表示部34b〜36bに表示された回数の合計値を表示するものである。
【0049】
また、操作パネル22には、設定画面スイッチ39、およびブーム角アーム角スイッチ40が設けられている。
【0050】
設定画面スイッチ39は、ブーム3の長さ、およびアーム4の長さを入力するためのスイッチで、この設定画面スイッチ39を押すことにより、その設定画面が表示されブーム長、およびアーム長を設定することができる。なお、このブーム長、およびアーム長は、それぞれ回転ピン(回転軸)の芯間の寸法(図8参照)が入力される。また、ブーム角アーム角スイッチ40は、深度設定表示部31に入力された深度のときのブーム角およびアーム角を表示させるためのスイッチで、このブーム角アーム角スイッチ40を押すことにより、深度設定表示部31に入力された深度のときのブーム角およびアーム角が表示される。そして、この表示されたブーム角およびアーム角の表示値を、実際のブーム3、アーム4のピン間を結んだ線と水平線からできる角度に合うように調整することにより、正確なブーム角、アーム角を表示させることができる。
【0051】
また、操作パネル19には、上部位置表示部41、下部位置表示部42、攪拌距離表示部43が設けられている。上部位置表示部41は、直近に判定(検出)された上部位置を表示するものであり、下部位置表示部42は、直近に判定(検出)された下部位置を表示するものである。そして、攪拌距離表示部43は、上部位置表示部41と下部位置表示部42の差を表示するものである。これらを表示することにより、作業者は、これらの数値を見ながら攪拌作業を行うことができる。計測状態表示部44は、攪拌回数の計測状態を表示するもので、攪拌回数の計測が開始されたときや攪拌回数の計測されているときには、計測状態表示部44の上段に「開始中」と表示され、攪拌回数の計測が完了したときには、計測状態表示部44の上段に「完了」と表示され、また、攪拌回数の計測が中断されているときには、計測状態表示部44の下段に「中断」と表示される。
【0052】
次に、図7を用いて、設計攪拌回数等の設定について説明する。図7は、操作パネルの設定画面を示す図である。設定画面45には、攪拌基準設定表示部46、設計攪拌回数表示部47〜49、施工設定表示部50〜52、テンキー53が設けられている。
【0053】
攪拌基準設定表示部46は、攪拌基準設定距離を表示するもので、攪拌基準設定表示部46に触れることにより攪拌基準設定距離が入力できる状態になり、作業者はテンキー53を用いて攪拌基準設定距離を入力し、「登録ボタン」を押すことにより攪拌基準設定距離が登録される。なお、攪拌基準設定距離は、後述するように、攪拌回数を計測する際に用いられるものである。また、設計攪拌回数表示部47は、1層の設計値34b(図6参照)を表示するもので、設計攪拌回数表示部47に触れることにより設計攪拌回数(設計値34b)が入力できる状態になり、作業者はテンキー53を用いて設計攪拌回数(設計値34b)を入力し、「登録ボタン」を押すことにより設計攪拌回数(設計値34b)が登録される。また、設計攪拌回数表示部48は、2層の設計値35b(図6参照)を設定するもので、また、設計攪拌回数表示部49は、3層の設計値36b(図6参照)を設定するものである。なお、設定の方法は、設計攪拌回数表示部47と同様であるので説明は省略する。ここで、テンキー53の「設定終了」は、設定画面45を用いてすべての入力が終了した後に押すもので、これにより登録された数値が記録手段(図示略)に記憶される。施工設定表示部50は、設計攪拌回数表示部47の設計値34bが入力されているときに点灯するランプであり、施工設定表示部51は、設計攪拌回数表示部48の設計値35bが入力されているときに点灯するランプであり、施工設定表示部52は、設計攪拌回数表示部49の設計値36bが入力されているときに点灯するランプである。このように、たとえば、設計攪拌回数表示部47と設計攪拌回数表示部49のみに設計攪拌回数が入力されているときには、施工設定表示部50と施工設定表示部52が点灯され、施工設定表示部51は点灯しない。また、これらの施工設定表示部50〜52の中で点灯していない層、すなわち、設計攪拌回数表示部47〜49に設計攪拌回数が入力されていない層については、攪拌計測中スイッチ34〜36(図6参照)を押しても、その攪拌計測中スイッチが「ON」にならず、その層の攪拌回数計測中スイッチの色も変化しない。
【0054】
次に、図9を用いて、バックホウ1の構成の概略について説明する。図9は、本発明の一実施形態におけるバックホウの主たる構成を示す図である。
【0055】
図9に示すように、角度センサ12、13は、管理装置100に接続されている。そして、角度センサ12、13により検出されたブーム角とアーム角が管理装置100に入力されると、その入力されたブーム角とアーム角、およびあらかじめ入力されているブーム3の長さとアーム4の長さを用いて掘削深度が算出される。具体的には、ブーム3の長さとブーム角、アーム4の長さとアーム角を用いて、アーム4とバケット5との連結部4aの位置が求められ、その連結部4aの位置を用いて掘削深度が算出される。そして、その算出された掘削深度は、操作パネル22の掘削深度表示部30(図6参照)に表示される。また、流量センサ15と管理装置100も接続され、流量センサ15により検出されたスラリープラントから送り込まれたセメントミルクの流量が管理装置100に入力されると、その入力された流量が瞬時流量表示部33(図6参照)に表示される。また、開始/完了スイッチ23が押されてからの積算流量が算出され、その算出された積算流量は操作パネル22の積算流量表示部32(図6参照)に表示される。
【0056】
管理装置100には、CFカード挿入口(図示略)が設けられ、そのCFカード挿入口にCFカード54を挿入し、管理装置100内のデータをCFカード54に記憶することができる。そして、データが記憶されたCFカード54を管理装置100から取り出し、その取り出されたCFカード54をパソコン55に差し込んで、そのCFカード54に記憶されているデータの集計、分析などを行い、その結果をプリンタ56を用いて出力することができる。
【0057】
次に、図10を用いて、攪拌回数の計測方法を説明する。図10は、本発明の一実施形態におけるバックホウの攪拌回数の計測方法を説明する図ある。
【0058】
作業者は、まず、バックホウ1を作業領域付近に移動させて停止させ、バケット5が掘削作業位置にくるように上部旋回体2を所定位置まで回動させる。そして、作業者により開始/完了スイッチ23が押されると、押されたタイミングでのアーム4とバケット5の連結部4aの位置が掘削深度「0m」(最初の攪拌上部位置)に設定される。なお、攪拌回数を計測する際には、上述したように、あらかじめ深度設定(図6参照)、攪拌基準設定および設計攪拌回数(図7参照)が管理装置100の操作パネル22を用いて入力されている。
【0059】
地盤を攪拌するためには、まず、ブーム3およびアーム4を引き下げることにより、バケット5の先端部を地盤の中に入り込ませ(図10(a))、バケット5の先端が地盤の中に入り込めば、その後、ブーム3、アーム4およびバケット5を回動させることにより地盤を攪拌させる(図10(b))。そして、やがて連結部4aが下部位置に達し、その位置を攪拌下部位置として検出(判定)する。
【0060】
連結部4aが下部位置に達すると、ブーム3およびアーム4を引き上げることにより、地盤が攪拌され、そして、やがて上部位置に達する。この上部位置に達すると、この位置を攪拌上部位置として検出(判定)し、攪拌上部位置の値を今回の攪拌上部位置の値に更新する(入れ替える)。このように、連結部4aが攪拌上部位置から攪拌下部位置へ、攪拌下部位置から攪拌上部位置に移動し、その連結部4aの移動距離が上述した攪拌基準設定距離(図7)以上かを判断して攪拌回数を計測する。詳細は、図11〜図15を用いて後述する。
【0061】
次に、図11〜図15を用いて、攪拌回数の計測方法について詳述する。図11は、本発明の一実施形態における攪拌回数処理のフローチャートである。
【0062】
まず、S11において、電源が「ON」かが判断される。電源が「ON」か否かは、電源スイッチ25(図5参照)が押されたか否かにより判断される。そして、S11で「YES」の場合は、S12に進む。
【0063】
次に、S12において、攪拌基準設定距離が入力されているかが判断される。攪拌基準設定距離は、設定画面45(図7)を用いて入力される。この攪拌基準設定距離は、攪拌回数の計測に用いられる。そして、S12で「YES」の場合は、S13に進む。
【0064】
次に、S13において、開始/完了ボタンが「ON」かが判断される。そして、S13で「YES」の場合は、S14に進み、S14により、計測値34b、35b、36b、38がリセットされる(図6参照)。これにより、計測値34b、35b、36b、38が、すべて「0回」となる。
【0065】
S15において、計測フラグ処理が実行される。この計測フラグ処理により、1層〜3層のいずれの攪拌回数を計測するかが決定される。なお、計測フラグ処理については図12を用いて後述する。
【0066】
S16において、攪拌回数計測処理が実行される。この攪拌回数計測処理により、攪拌回数が計測される。なお、攪拌回数計測処理については図13を用いて後述する。
【0067】
S17において、開始/完了ボタンが「OFF」かが判断される。この開始/完了ボタン23が「OFF」かは、開始/完了ボタン23が「ON」の状態のときに、再度開始/完了ボタン23が押されたか否かにより判断される。そして、S17により「NO」と判断された場合にはS18に進み、S18により中断/再開スイッチ24が「ON」かが判断され、S18により「NO」と判断されたときには、S17により「YES」と判断されるまで、S16→S17→S18→S16の処理が実行される。また、S18で「YES」と判断された場合は、S18により「NO」と判断されるまでS17→S18→S17の処理が実行される。なお、S17で「YES」と判断された場合は最初に戻り再度S11が実行される。これにより、攪拌回数が計測される。
【0068】
次に、図12を用いて、攪拌回数処理のサブルーチンである計測フラグ処理について説明する。図12は、攪拌回数処理のサブルーチンである計測フラグ処理を示す図である。この計測フラグ処理は、1層〜3層のいずれの攪拌回数を計測するかを決定するためのものである。
【0069】
まず、S21において、3層攪拌回数スイッチが「ON」かが判断される。この3層攪拌回数スイッチが「ON」かは、3層攪拌回数スイッチ36(図6参照)が押されたか否かにより判断される。そして、S21により「YES」と判断された場合にはS22に進み、S22により3層計測フラグが「ON」となる。この3層計測フラグが「ON」になると、攪拌回数が3層攪拌回数の計測値として計測される(図6参照)。また、S21により「NO」と判断されたときはS23に進む。
【0070】
S23において、2層攪拌回数スイッチが「ON」かが判断される。この2層攪拌回数スイッチが「ON」かは、2層攪拌回数スイッチ35(図6参照)が押されたか否かにより判断される。そして、S23により「YES」と判断された場合にはS24に進み、S24により2層計測フラグが「ON」となる。この2層計測フラグが「ON」になると、攪拌回数が2層攪拌回数の計測値として計測される(図6参照)。また、S23により「NO」と判断されたときはS25に進む。
【0071】
S25において、1層攪拌回数スイッチが「ON」かが判断される。この1層攪拌回数スイッチが「ON」かは、1層攪拌回数スイッチ34(図6参照)が押されたか否かにより判断される。そして、S25により「YES」と判断された場合にはS26に進み、S26により1層計測フラグが「ON」となる。この1層計測フラグが「ON」になると、攪拌回数が1層攪拌回数の計測値として計測される(図6参照)。また、S25により「NO」と判断された場合は、S27により報知手段(ブザー、ランプなど(図示略))を「ON」にし、再びS21に進み、1層攪拌回数スイッチ34〜3層攪拌回数スイッチ36のいずれかが押されるまで、S21→S23→S25→S27→S21の処理が実行される。そして、S21、S23、またはS25のいずれかにより「YES」と判断された場合は、S22、S24、またはS26の処理が実行され、S28により報知手段が「OFF」となり計測フラグ処理が終了する。
【0072】
次に、攪拌回数処理のサブルーチンである攪拌回数計測処理について説明する。図13は、攪拌回数処理のサブルーチンである攪拌回数計測処理を示す図である。この攪拌回数計測処理により、攪拌回数が計測される。
【0073】
まず、S31において、攪拌回数(N)が「0」であるかが判断される。そして、S31により「YES」と判断された場合は、S32により攪拌上部位置が計測される。この攪拌上部位置は、開始/完了スイッチ23が押されたタイミングでのアーム4とバケット5との連結部4aの位置が攪拌上部位置をして計測される。なお、本実施形態では、この開始/完了スイッチ23が押されたタイミングでのアーム4とバケット5との連結部4aの位置を深度「0m」となるように設定している。そして、S33により、位置フラグ(FI)を「1」に、差分フラグ(FS)を「0」に設定する。この位置フラグ(FI)は、次に計測する位置が攪拌上部位置か攪拌下部位置かを判断するためのフラグである。また、S31により「NO」と判断された場合は、S34に進む。
【0074】
次に、S34において、位置フラグ(FI)が「1」かが判断される。そして、S34により「YES」と判断された場合にはS35に進み、攪拌下部位置が判定(計測)される。このように、位置フラグ(FI)が「1」の場合には攪拌下部位置が判定(計測)される。
【0075】
攪拌下部位置判定処理(S35)では、攪拌下部位置が判定(計測)される。具体的には、今まで下方向に変動していたアーム4とバケット5の連結部4aの位置の変動が、3回連続して上方向になった場合に、その下方向から上方向に変化した位置を攪拌下部位置と判断している。このように、アーム4とバケット5の連結部4aの位置の変動が下方向から上方向に変化した位置を攪拌下限位置と判断することにより、攪拌下限位置を簡単かつ確実に検出することができる。
【0076】
次に、S36において、攪拌上部位置と攪拌下部位置との差分が所定値以上かが判断される。この所定値は、攪拌基準設定表示部46を用いて設定した距離である(図7参照)。なお、本実施形態では、所定値として、0.7mが設定されている。そして、S36により「YES」と判断された場合は、S37により差分フラグ(FS)を「1」に設定し、S38により位置フラグ(FI)を「2」に設定する。そして、S38の処理が実行されると攪拌回数計測処理は終了するが、図11を用いて上述したように、開始/完了スイッチ23が「OFF」になるまで再度攪拌回数計測処理が実行される(S16→S17→S18→S16(図11))。再度実行される攪拌回数計測処理では、S31により「NO」となり、S34により「NO」(位置フラグ(FI)が「2」に設定されている(S38))となり、S39により攪拌上部位置が判定(計測)される。
【0077】
攪拌上部位置判定処理(S39)では、攪拌上部位置が判定(計測)される。具体的には、今まで上方向に変動していたアーム4とバケット5の連結部4aの位置の変動が、3回連続して下方向になった場合に、その上方向から下方向に変化した位置を攪拌上部位置と判断している。このように、アーム4とバケット5の連結部4aの位置の変動が上方向から下方向に変化した位置を攪拌上限位置と判断することにより、攪拌上限位置を簡単かつ確実に検出することができる。
【0078】
次に、S40において、攪拌下部位置と攪拌上部位置との差分が所定値以上かが判断される。そして、S40により「YES」と判断された場合は、S41に進む。
【0079】
次に、S41において、差分フラグ(FS)が「1」かが判断される。そして、S41により「YES」と判断された場合は、S42により攪拌回数カウント処理が実行される。ここで、S41により「YES」になる場合、つまり、差分フラグ(FS)が「1」に設定される場合は、上述したように、攪拌上部位置と攪拌下部位置との差分が所定値(0.7m)以上の場合である。この攪拌回数カウント処理では、攪拌回数のカウントが行われる。なお、攪拌回数カウント処理の詳細は、図14を用いて後述する。そして、S43により差分フラグ(FS)を「0」に設定し、S44により位置フラグ(FI)を「1」に設定する。S44の処理が実行されると攪拌回数計測処理は終了するが、図11を用いて上述したように、開始/完了スイッチ23が「OFF」になるまで再度攪拌回数計測処理が実行される(S16→S17→S18→S16(図11))。再度実行される攪拌回数計測処理では、S31により「NO」となり、S34により「YES」(位置フラグが「1」に設定されている(S44))となり、S35により攪拌下部位置が判定(計測)される。
【0080】
次に、攪拌回数計測処理のサブルーチンである攪拌回数カウント処理について説明する。図14は、攪拌回数計測処理のサブルーチンである攪拌回数カウント処理を示す図である。この攪拌回数カウント処理により、攪拌回数がカウントされる。
【0081】
まず、S51において、攪拌回数(N)に「1」加算される。ここで、この攪拌回数(N)は、攪拌回数(N1〜N3)の総和である。
【0082】
次に、S52において、3層計測フラグが「ON」かが判断される。この3層計測フラグは、3層攪拌回数スイッチ36(図6参照)が押された場合に「ON」となる(S21(図12))。そして、S52により「YES」と判断された場合にはS53に進み、S53により攪拌回数(N3)が「1」加算され、攪拌回数カウント処理が終了する。また、S52により「NO」と判断されたときはS54に進む。
【0083】
次に、S54において、2層計測フラグが「ON」かが判断される。この2層計測フラグは、2層攪拌回数スイッチ35(図6参照)が押された場合に「ON」となる(S23(図12))。そして、S54により「YES」と判断された場合にはS55に進み、S55により攪拌回数(N2)が「1」加算され、攪拌回数カウント処理が終了する。また、S54により「NO」と判断されたときはS56に進む。
【0084】
次に、S56において、1層計測フラグが「ON」かが判断される。この1層計測フラグは、1層攪拌回数スイッチ34(図6参照)が押された場合に「ON」となる(S25(図12))。そして、S56により「YES」と判断された場合にはS57に進み、S57により攪拌回数(N1)が「1」加算され、攪拌回数カウント処理が終了する。また、S56により「NO」と判断されたときは再びS52に進む。そして、S52、S54、またはS56のいずれかが「ON」になるまで、S56→S52→S54→S56の処理が行われ、「ON」になれば1層〜3層のいずれかの攪拌回数を「1」加算して攪拌回数カウント処理が終了する。
【0085】
なお、攪拌回数カウント処理により、攪拌回数(N1、N2、N3、N)が加算され、その加算された攪拌回数が、設計値(34b、35b、36b、38)に達したときに報知手段(ブザー、ランプなど)に報知するようにしてもよい。このようにすれば、作業者は、攪拌回数(N1、N2、N3、N)が設計値(34b、35b、36b、38)に達したことを知ることができ、作業者があらかじめ攪拌したい回数だけ正確かつ確実に攪拌することができる。またこの場合、攪拌回数(N1、N2、N3、N)によって、ブザー(報知手段)の音を異ならせたり、ランプ(報知手段)の色を異ならすようにしてもよい。
【0086】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0087】
以下、本発明の変形例について説明する。
(1) 本実施形態では、アーム4とバケット5との連結部4aの位置を用いて掘削深度が算出されたが、これに限らず、アーム4もしくはバケット5の特定部分の位置を用いて掘削深度を算出してもよい。そして、そのアーム4もしくはバケット5の特定部分の位置を用いて、攪拌上部位置、攪拌下部位置を判定(検出)し、攪拌回数を計測してもよい。
【0088】
(2) 本実施形態では、バケット5に取り付けられた圧送ホース14からセメントミルクを噴射させるものを用いて説明したが、これに限定されず、バケット5を用いて、地盤を攪拌するものであれば本発明の範囲にすべて含まれる。
【0089】
(3) 本実施形態では、管理装置100および角度センサー12、13を設けたバックホウ1を用いて地盤の攪拌を行い、その攪拌回数を計測することについて説明したが、このバックホウ1は、地盤の攪拌のみならず、土砂の移動などその他の作業も行うことができるものであってのよい。また、管理装置100および角度センサー12、13は、バックホウ1に着脱自在に設けられているので、管理装置100および角度センサー12、13を、他の同種のバックホウ1のみならず異種のバックホウ1にも容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の一実施形態におけるバックホウの側面図である。
【図2】同バックホウの運転室内の座席を示す図である。
【図3】同バックホウに用いられるバケットの正面図である。
【図4】同バックホウに用いられるバケットの側面図である。
【図5】同バックホウの管理装置を示す図である。
【図6】同バックホウの管理装置の操作パネルを示す図である。
【図7】同操作パネルの設定画面を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態におけるバックホウのブーム長、アーム長とブーム角、アーム角の関係を示す図である。
【図9】同バックホウの主たる構成を示す図である。
【図10】同バックホウの攪拌回数の計測方法を説明する図ある。
【図11】同バックホウの攪拌回数処理を示すフローチャートである。
【図12】同攪拌回数処理のサブルーチンである計測フラグ処理を示す図である。
【図13】同攪拌回数処理のサブルーチンである攪拌回数計測処理を示す図である。
【図14】同攪拌回数計測処理のサブルーチンである攪拌回数カウント処理を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
1 バックホウ
3 ブーム
4 アーム
4a 連結部
5 バケット
12 角度センサ
13 角度センサ
22 操作パネル
23 開始/完了スイッチ
25 電源スイッチ
30 掘削深度表示部
31 深度設定表示部
34b 設計値
35b 設計値
36b 設計値
45 設定画面
46 攪拌基準設定表示部
47 設計攪拌回数表示部
54 CFカード
100 管理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に回動可能に支持されたブームと、該ブームに回動可能に連結されたアームと、該アームに回動可能に連結されたバケットとを有する攪拌混合装置の管理システムにおいて、
前記バケットにより地盤を攪拌する攪拌回数をカウントする攪拌回数カウント手段を有することを特徴とする攪拌混合装置の管理システム。
【請求項2】
前記攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数を表示する表示手段を、さらに有することを特徴とする請求項1記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項3】
前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置を検出する位置検出手段を、さらに有し、
前記攪拌回数カウント手段は、地盤を攪拌する際に、前記位置検出手段により検出された前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置の変動が、あらかじめ定められた距離以上になったときに攪拌回数を加算することを特徴とする請求項1記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項4】
前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置を検出する位置検出手段を、さらに有し、
前記攪拌回数カウント手段は、地盤を攪拌する際に、前記位置検出手段により検出された前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置が、上限位置から下限位置まであらかじめ定められた距離以上変動し、さらに、該下限位置から上限位置まであらかじめ定められた距離以上変動したときに攪拌回数を加算することを特徴とする請求項1記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項5】
前記位置検出手段により検出された前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置が上限位置もしくは下限位置であることを判定する位置判定手段を、さらに有し、
該位置判定手段は、前記位置検出手段により検出された前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置の変動が、下方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して上方向の変動になった場合に、該下方向から上方向に変化した位置を下限位置と判定し、上方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して下方向の変動になった場合に、該上方向から下方向に変化した位置を上限位置と判定することを特徴とする請求項4記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項6】
前記攪拌回数のカウントをスタートさせるカウント開始手段を、さらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項7】
前記攪拌回数を設定する攪拌回数設定手段と、
前記攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数が、前記攪拌回数設定手段により設定された攪拌回数に達したことを報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項8】
取出可能な記録媒体を装着する装着手段と、
前記装着手段に装着された取出可能な記録媒体にデータの記録を行う記録手段と、を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項1】
本体に回動可能に支持されたブームと、該ブームに回動可能に連結されたアームと、該アームに回動可能に連結されたバケットとを有する攪拌混合装置の管理システムにおいて、
前記バケットにより地盤を攪拌する攪拌回数をカウントする攪拌回数カウント手段を有することを特徴とする攪拌混合装置の管理システム。
【請求項2】
前記攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数を表示する表示手段を、さらに有することを特徴とする請求項1記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項3】
前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置を検出する位置検出手段を、さらに有し、
前記攪拌回数カウント手段は、地盤を攪拌する際に、前記位置検出手段により検出された前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置の変動が、あらかじめ定められた距離以上になったときに攪拌回数を加算することを特徴とする請求項1記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項4】
前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置を検出する位置検出手段を、さらに有し、
前記攪拌回数カウント手段は、地盤を攪拌する際に、前記位置検出手段により検出された前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置が、上限位置から下限位置まであらかじめ定められた距離以上変動し、さらに、該下限位置から上限位置まであらかじめ定められた距離以上変動したときに攪拌回数を加算することを特徴とする請求項1記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項5】
前記位置検出手段により検出された前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置が上限位置もしくは下限位置であることを判定する位置判定手段を、さらに有し、
該位置判定手段は、前記位置検出手段により検出された前記アームもしくは前記バケットの特定部分の位置の変動が、下方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して上方向の変動になった場合に、該下方向から上方向に変化した位置を下限位置と判定し、上方向の変動からあらかじめ定められた回数連続して下方向の変動になった場合に、該上方向から下方向に変化した位置を上限位置と判定することを特徴とする請求項4記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項6】
前記攪拌回数のカウントをスタートさせるカウント開始手段を、さらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項7】
前記攪拌回数を設定する攪拌回数設定手段と、
前記攪拌回数カウント手段によりカウントされた攪拌回数が、前記攪拌回数設定手段により設定された攪拌回数に達したことを報知する報知手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の攪拌混合装置の管理システム。
【請求項8】
取出可能な記録媒体を装着する装着手段と、
前記装着手段に装着された取出可能な記録媒体にデータの記録を行う記録手段と、を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の攪拌混合装置の管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−52257(P2009−52257A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219130(P2007−219130)
【出願日】平成19年8月25日(2007.8.25)
【特許番号】特許第4157152号(P4157152)
【特許公報発行日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(391051049)株式会社エステック (28)
【出願人】(506343704)株式会社トーメック (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月25日(2007.8.25)
【特許番号】特許第4157152号(P4157152)
【特許公報発行日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(391051049)株式会社エステック (28)
【出願人】(506343704)株式会社トーメック (12)
【Fターム(参考)】
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