説明

地盤改良体測定装置

【課題】センサーケーブルの破損あるいは断線を防止し、さらには、所望深度における未固化地盤改良体の比抵抗値を正確に測定できる地盤改良体測定装置を提供する。
【解決手段】軸方向に連結される複数の中空ロッド2を有してなるスウェーデン式サウンディング試験機を用いた地盤改良体の測定装置1であって、前記中空ロッド2の先端側には、少なくとも2つの電極部3dを有するセンサー部3が設けられ、該センサー部3からは、センサーケーブル4が延設されてなり、前記センサーケーブル4は、前記中空ロッド2内を通って、未固化地盤改良体G1の所望深度における前記電極間の比抵抗値を測定可能な測定器100に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未固化地盤改良体の掘削土とセメントミルク等の固化材液の混合状態を検出するための比抵抗値を測定する地盤改良体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、戸建住宅などの建物を建てる際、その建物を建てる地盤が軟らかい場合は、地盤を補強するために、掘削土とセメントミルク等の固化材液との攪拌混合により円柱状の地盤改良体を形成した上で、建物を建てる方法が知られている。
【0003】
そして、その地盤改良体の形成方法としては、特許文献1に記載のように、下端部に掘削刃を有し、その上のロッド周面に攪拌翼を有する掘削ロッドを回転させつつ、セメントミルク等の固化材液を吐出しながら所望深度まで掘進させた後、掘削ロッドを回転させ、掘削土とセメントミルク等の固化材液を攪拌しながら引き抜くことにより地盤改良体を形成する方法が知られている。
【0004】
ところで、このように掘削土とセメントミルク等の固化材液を攪拌して固化させることによって形成される地盤改良体の攪拌程度の検査は、次のような検査方法が知られている。
【0005】
すなわち、地盤改良体にボーリングによって孔を明け、その孔内の所望深度の箇所から地盤改良体の試料を取り出し、その取り出した試料を基に攪拌の程度を検査するという検査方法である。
【0006】
しかしながら、上記検査方法は、セメントミルク等の固化後に行われるので、あらかじめ攪拌の程度を調整することができないという問題があった。
【0007】
そこで、上記問題点を解決する方法として、図6に示すような地盤改良体測定装置を用いた検査方法が知られている。
【0008】
図6に示すように、地盤Gには、地盤改良体G1が形成され、この形成された地盤改良体G1は、未固化状態である。そして、この未固化地盤改良体G1には、人手によって地盤改良体測定装置Kが貫入されている。
【0009】
この地盤改良体測定装置Kは、中実ロッド104及び未固化地盤改良体G1の比抵抗値を測定可能な測定器100を有し、この測定器100には、センサーケーブル101が接続されている。また、中実ロッド104の先端側には、センサー部102が設けられ、そのセンサー部102には、上記センサーケーブル101が一体的に設けられている。そして、そのセンサー部102の外周には、所要間隔を置いて、リング状の電極部103,103が設けられている。また、中実ロッド104の軸方向外周部分には、上記センサーケーブル101及びセンサー部102が、複数のビニールテープ105を用いて固定されている。
【0010】
このように構成される地盤改良体測定装置Kは、図6に示すように、未固化地盤改良体G1の所望深度まで貫入させられる。そして、その地盤改良体測定装置Kが所望深度まで貫入させられると、測定器100の電源が入れられる。これにより、電極部103,103の電極間が通電状態となり、この通電状態における比抵抗値を測定器100で測定することができる。しかして、未固化地盤改良体G1の所望深度における攪拌程度を検査することができる。すなわち、通電状態における電極部103,103の電極間の比抵抗値は、未固化地盤改良体G1の所望深度において、十分な攪拌が行われていれば、所望深度の深さに関わらず、大きく変化しないのに対し、十分な攪拌が行われていなければ、電極部103,103の電極間の比抵抗値は大きく変化する。それゆえ、その変化を測定器100にて測定することで、未固化地盤改良体G1の所望深度における攪拌程度を検査することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭58−29374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来の地盤改良体測定装置Kは、上述したように、未固化状態の地盤改良体G1の所望深度における攪拌程度を検査することができるため、あらかじめ攪拌の程度を調整することができるという効果があった。しかしながら、上記従来の地盤改良体測定装置Kには、次のような問題が生じていた。
【0013】
すなわち、上記従来の地盤改良体測定装置Kは、センサーケーブル101を、中実ロッド104の軸方向外周部分に複数のビニールテープ105を用いて固定しているだけであるため、センサーケーブル101が、外部に剥き出しになっている。そのため、センサーケーブル101が破損あるいは断線しやすいという問題が生じていた。
【0014】
また、地盤改良体測定装置Kは、人手によって、未固化地盤改良体G1に貫入されているため、未固化地盤改良体G1に、地盤改良体測定装置Kを垂直に貫入させることができない。さらには、感覚で、地盤改良体測定装置Kを未固化地盤改良体G1に貫入させているだけであるため、所望深度における未固化地盤改良体G1の比抵抗値を大雑把にしか測定できないという問題が生じていた。
【0015】
そこで本発明は、上述の情況に鑑み、センサーケーブルの破損あるいは断線を防止し、さらには、所望深度における未固化地盤改良体の比抵抗値を正確に測定できる地盤改良体測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1の発明にかかる地盤改良体測定装置は、軸方向に連結される複数の中空ロッド2,20を有してなるスウェーデン式サウンディング試験機を用いた地盤改良体の測定装置1,50であって、前記中空ロッド2,20の先端側には、少なくとも2つの電極部3dを有するセンサー部3,30が設けられ、該センサー部3,30からは、センサーケーブル4が延設されてなり、前記センサーケーブル4は、前記中空ロッド2,20内を通って、未固化地盤改良体G1の所望深度における前記電極間の比抵抗値を測定可能な測定器100に接続されてなることを特徴としている。
【0017】
請求項2の発明は、前記請求項1に記載の地盤改良体測定装置において、前記スウェーデン式サウンディング試験機は、機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機であって、前記中空ロッド2,20を、前記未固化地盤改良体G1に垂直に自動貫入可能であることを特徴としている。
【0018】
請求項3の発明は、前記請求項1又は2に記載の地盤改良体測定装置において、前記中空ロッド2,20の先端側に設けられる前記センサー部3,30は、着脱自在に設けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明にかかる地盤改良体測定装置1,50によれば、センサー部3,30から延設されたセンサーケーブル4は、中空ロッド2,20内を通って、未固化地盤改良体G1の所望深度における比抵抗値を測定可能な測定器100に接続されている。そのため、センサーケーブル4を、従来の地盤改良体測定値Kのように、外部に剥き出しにしていなため、センサーケーブルの破損あるいは断線を防止することができる。
【0020】
また、本発明は、スウェーデン式サウンディング試験機を用いている。スウェーデン式サウンディング試験機は、一般に、手動方式または機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機が知られており、本発明は、いずれかの試験機を用いるものである。
【0021】
手動方式のスウェーデン式サウンディング試験機を用いた場合、すなわち、地盤改良体測定装置1を用いた場合は、手動方式のスウェーデン式サウンディング試験機で使用される錘6を用いて、中空ロッド2,20を、未固化地盤改良体G1に貫入している。そのため、従来の地盤改良体測定装置Kに比べて、中空ロッド2,20を未固化地盤改良体G1により垂直に貫入させることができる。一方、機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機を使用した場合、すなわち、地盤改良体測定装置50を用いた場合は、中空ロッド2,20を地盤、すなわち、未固化地盤改良体G1に垂直に自動貫入可能であるから、人手を介さず中空ロッド2,20を未固化地盤改良体G1に垂直に貫入させることができる。そのため、中空ロッド2,20を未固化地盤改良体G1に、確実に垂直に貫入させることができる。
【0022】
さらには、手動方式または機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機共に、手動方式または機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機で使用される中空ロッド2,20表面に刻設されている25cm刻みの目盛り2bを用いることが可能であるから、従来の地盤改良体測定値Kに比べて、地盤改良体測定装置1を未固化地盤改良体G1の所望深度まで貫入させやすい。
【0023】
しかして、手動方式または機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機を用いることにより、正確に所望深度における未固化地盤改良体の比抵抗値を測定することができる。そして、特に、請求項2の発明のように、機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機を用いていれば、より正確に所望深度における未固化地盤改良体の比抵抗値を測定することができる。
【0024】
請求項3の発明によれば、前記中空ロッド2,20の先端側に設けられる前記センサー部3,30を、着脱自在に設けているから、センサー部3,30が破損したとしても、地盤改良体測定装置を全て取り替える必要がなく、センサー部3,30のみを取り替えればよいから、ランニングコストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る地盤改良体測定装置を示し、手動方式のスウェーデン式サウンディング試験機を用いた中空ロッドの地盤貫入状態を示す縦断面図である。
【図2】(a)は同形態に係る中空ロッドの連結部の縦断面図、(b)は(a)のX−X線の断面矢視図、(c)は同形態に係る中空ロッドの先端側要部の縦断面図、である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る中空ロッドの先端側要部の縦断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る地盤改良体測定装置を示し、機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機を用いた中空ロッドの地盤貫入状態を示す縦断面図である。
【図5】同形態の使用状態を示す要部の正面図である。
【図6】従来の地盤改良体測定装置を示し、その測定装置を地盤に貫入した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る地盤改良体測定装置の第1実施形態について、図1及び図2を参照して具体的に説明する。
【0027】
図1に示すように、地盤改良体測定装置1は、手動方式のスウェーデン式サウンディング試験機を用いたものである。この地盤改良体測定装置1は、軸方向に連結される鉄製またはステンレス鋼製からなる複数の中空ロッド2と、その中空ロッド2の先端側に着脱自在に設けられるセンサー部3と、を有し、そのセンサー部3からは、センサーケーブル4が延設されている。そして、その延設されたセンサーケーブル4は、上記中空ロッド2内を通って、測定器100に接続されている。また、上記中空ロッド2上には、クランプ5が取り付けられ、そのクランプ5上には、複数枚の円板状の錘6(10kgが2枚と25kgが3枚で計95kg、載荷用クランプの重さ5kgとの合計で100kg)が取り付けられている。なお、図中の7は貫入位置の地表に載置した底板である。
【0028】
中空ロッド2は、図2(a)に示すように、軸方向に連結され、その連結部分には、図2(a)及び(b)に示すようにジョイント部材10が使用されている。このジョイント部材10は、筒状で外周に雄ねじ11が形成されており、中心孔12の両端部12aには、その中心孔12にセンサーケーブル4を通す際に、センサーケーブル4がジョイント部材10に引っ掛からないようにラッパ状に開いた形状になっている。一方、中空ロッド2の両端部の内周には雌ねじ2aが形成されており、該雌ねじ2aにジョイント部材10の雄ねじ11を螺合することにより、図2(a)の如く上下の中空ロッド2の端面同士が直接に接する形で連結される。また、中空ロッド2の表面には、図1に示すように、25cm刻みで、目盛り2bが刻設されている。
【0029】
センサー部3は、図2(c)に示すように、先端が尖った形状からなるセンサー部本体3aを有し、そのセンサー部本体3aの基端部には雄ねじ3bが設けられている。そして、そのセンサー部本体3aの先端側外周には、硬質樹脂等で形成される絶縁体3cが設けられ、その絶縁体3cの外周面には、リング状の電極部3dが1〜2cmの間隔を空けて4つ設けられている。なお、本実施形態では、電極部3dを4つ設けたものを例示したが、4つ以上あっても良いし、4つ以下でも良い。すなわち、少なくも2つの電極部を有しておればよい。
【0030】
このように構成されるセンサー部3は、図2(c)に示すように、中空ロッド2の両端部内周に形成されている雌ねじ2aに、センサー部3の雄ねじ3bを螺合することにより、中空ロッド2の先端側に取り付けられる。そのため、センサー部3が破損したとしても、地盤改良体測定装置1を全て取り替える必要がなく、センサー部3のみを取り替えればよいから、ランニングコストを低く抑えることができる。
【0031】
センサーケーブル4は、図2(c)に示すように、先端側が絶縁体3cに埋設され、そして、その絶縁体3cに埋設されたセンサーケーブル4は、4股に分かれて、リング状の電極部3dに夫々接続されている。一方、絶縁体3cに埋設されていないセンサーケーブル4は、図1及び図2(c)に示すように、中空ロッド2の先端側に穿設された開口部2c及び中空ロッド2内を通って、測定器100に接続されている。
【0032】
以上のように構成される地盤改良体測定装置1は、図1に示すように、中空ロッド2を未固化地盤改良体G1の所望深度まで貫入させるのであるが、その貫入方法は、錘6を順次載せて、中空ロッド2表面に刻設された25cm刻みの目盛り2bを参照し、未固化地盤改良体G1の所望深度まで貫入させるというものである。このように、未固化地盤改良体G1の所望深度まで中空ロッド2を貫入させた後、その所望深度における地盤の比抵抗値を測定するにあたって、電極部3dの最上部および最下部に電流を印加した上で、内側2つの電極部3dの電位、すなわち、比抵抗値を測定器100で測定する。これにより、未固化地盤改良体G1の所望深度における比抵抗値を測定することができる。
【0033】
以上説明した本発明の実施形態によれば、センサー部3から延設されたセンサーケーブル4は、中空ロッド2内を通って、未固化地盤改良体G1の所望深度における比抵抗値を測定可能な測定器100に接続されているから、従来の地盤改良体測定値Kのようにセンサーケーブル4を外部に剥き出しにしていなため、センサーケーブルの破損あるいは断線を防止することができる。
【0034】
また、本発明の実施形態における地盤改良体測定装置1は、手動方式のスウェーデン式サウンディング試験機で使用される錘6を用いて、中空ロッド2を未固化地盤改良体G1に貫入しているから、従来の地盤改良体測定装置Kに比べて、より垂直に貫入させることができる。さらに、地盤改良体測定装置1は、手動方式のスウェーデン式サウンディング試験機で使用される中空ロッド2表面に刻設されている25cm刻みの目盛り2bを用いて、未固化地盤改良体G1に貫入されているから、従来の地盤改良体測定値Kに比べて、地盤改良体測定装置1を未固化地盤改良体G1の所望深度まで貫入させやすい。
【0035】
しかして、本発明の実施形態によれば、手動方式のスウェーデン式サウンディング試験機を用いているから、従来の地盤改良体測定値Kに比べて、正確に所望深度における未固化地盤改良体の比抵抗値を測定することができる。
【0036】
なお、手動方式のスウェーデン式サウンディング試験機には、一般に、ロッド基端部に手回し用のハンドルが設けられているが、勿論、本実施形態においても、中空ロッド2の基端部に手回し用のハンドルを設けてもよい。ただし、手回し用のハンドルを設ける際は、そのハンドルに、センサーケーブル4を通すための孔を設ける必要があることは言うまでもない。
【0037】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る地盤改良体測定装置の第2実施形態について、図3を参照して具体的に説明する。なお、第1実施形態と同一構成については、同一の符号を付し、説明は省略する。
【0038】
図3に示すように、中空ロッド20の先端側には、中空ロッド2の先端側に穿設されている開口部2cを設けていない。中空ロッド20と中空ロッド2の差異はこの点のみであり、その余の点は全く同一である。そして、このように構成される中空ロッド20の先端側には、センサー部30が着脱自在に設けられている。
【0039】
センサー部30は、先端が尖った形状からなるセンサー部本体30aを有し、そのセンサー部本体30aの内部には図示はしないが、センサーケーブル4を通すための孔が穿設されている。また、センサー部本体30aの基端部には雄ねじ30bが設けられ、その雄ねじ30bの内部には、センサーケーブル4を通すための孔が穿設されている。なお、センサー部本体30aの先端側外周には、センサー部3と同様、絶縁体3cが設けられ、その絶縁体3cの外周面には、リング状の電極部3dが1〜2cmの間隔を空けて4つ設けられている。
【0040】
このように構成されるセンサー部30は、図3に示すように中空ロッド20の両端部内周に形成されている雌ねじ2aに、センサー部30の雄ねじ30bを螺合することにより、中空ロッド20の先端側に取り付けられる。そして、センサーケーブル4は、センサー部本体30a及び雄ねじ30b内に穿設されている孔を通って、中空ロッド20内に配設される。
【0041】
しかして、以上説明した本発明の実施形態によれば、センサー部30から延設されたセンサーケーブル4は、未固化地盤改良体G1内で外部に剥き出しにされる部分がないため、センサーケーブルの破損あるいは断線をより確実に防止することができる。
【0042】
<第3実施形態>
次に、本発明に係る地盤改良体測定装置の第3実施形態について、図4及び図5を参照して具体的に説明する。なお、第1実施形態と同一構成については、同一の符号を付し、説明は省略する。
【0043】
図4に示すように、地盤改良体測定装置50は、機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機を用いたものである。この地盤改良体測定装置50は、地盤改良体測定装置本体51を有しており、その装置本体51は、無限軌道帯輪からなる走行駆動手段52によって走行可能となっている。そして、この装置本体51にパンタグラフ式伸縮装置53を介して昇降台54が取り付けられている。
【0044】
パンタグラフ式伸縮装置53は、X状のリンク機構55を有し、そのリンク機構55は、昇降台54の幅方向前後方向に一対設けられている。そして、図5に示すように、リンク機構55の中央部で流体圧シリンダ60のピストンロッド60aが連杆56を介して連結されている。また、図4及び図5に示すように、リンク機構55の先端部にはガイドローラ57が設けられており、装置本体51及び昇降台54には、夫々、ガイドレール58,59が設けられている。これにより、流体圧シリンダ60が伸縮作動すれば、その伸縮作動に応じてリンク機構60の先端部に設けたガイドローラ57がガイドレール58,59に沿って転動し、昇降台54が図4及び図5に示すように、上下に正確に昇降するようになっている。
【0045】
一方、昇降台54には、中空ロッド2を未固化地盤改良体G1に垂直貫入できるように、その中空ロッド2を垂直に掴持するチャック部70が設けられている。そして、そのチャック部70の下部には、中空ロッド2を回転駆動するロッド回転駆動部71が設けられている。ロッド回転駆動部71には、油圧モータ72が備えられ、その油圧モータ72の出力軸73がチャック部70に連結されている。なお、チャック部70にはチャックレバー74が設けられ、そのチャックレバー74を操作して中空ロッド2を掴持したり、開放するようになっている。そして、その開放の際、中空ロッド2が下方に落下するのを防止するために、チャック部70の下部にはロッドストッパー75が設けられている。
【0046】
他方、装置本体51には、走行駆動手段52を駆動させるための空冷4サイクルエンジン76が収容され、そのエンジン76の出力を利用して流体圧シリンダ60を駆動させるための油圧ユニット77と、同じくそのエンジン76の出力を利用して上記ロッド回転駆動部71を駆動させるための油圧ユニット78が設けられている。そして、流体圧シリンダ60を駆動させるための油圧ユニット77には昇降レバー77aが設けられ、ロッド回転駆動部71を駆動させるための油圧ユニット78には回転レバー78aが設けられている。この昇降レバー77a、回転レバー78aによって、油圧ユニット77,78が夫々操作できるようになっている。
【0047】
また、装置本体51には、昇降台54と一体に下降する中空ロッド2の貫入深度を測定するための測定部80が設けられている。この測定部80は、直立設置されてなる棒状の深度目盛り81を有し、この目盛り81に対応して昇降台54には指針82が設けられている。なお、符号90は、走行駆動手段52の走行方向を操舵する操舵レバーであり、符号91は、走行駆動手段18の走行速度を調整するアクセルレバーやブレーキが取り付けられている把手である。
【0048】
以上のように構成される地盤改良体測定装置50は、図4に示すように、中空ロッド2を未固化地盤改良体G1の所望深度まで貫入させるのであるが、その貫入方法は、次のようなものである。
【0049】
まず、昇降レバー77aを操作して流体圧シリンダ60を駆動させる。これにより、その流体圧シリンダ60の伸縮駆動力によって昇降台54が下降する。なお、その際、回転レバー78aを操作して、ロッド回転駆動部71を回転させてもよい。
【0050】
しかして、昇降台54が下降し、さらに、ロッド回転駆動部71が回転すると、中空ロッド2が回転しながら、未固化地盤改良体G1に貫入される。そして、このように貫入される中空ロッド2を未固化地盤改良体G1の所望深度まで貫入させるには、深度目盛り81、あるいは、中空ロッド2の表面に25cm刻みで刻設されている目盛り2bを参照して、貫入させればよい。
【0051】
以上説明した本発明の実施形態によれば、中空ロッド2は、昇降台54またはロッド回転駆動部71を用いることにより、未固化地盤改良体G1に垂直に自動貫入される。そのため、中空ロッド2は、人手を介さず、未固化地盤改良体G1に垂直に自動貫入しえるから、中空ロッド2を未固化地盤改良体G1に、確実に垂直に貫入させることができる。さらに、地盤改良体測定装置50は、第1実施形態と同様、機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機でも使用される中空ロッド2表面に刻設されている25cm刻みの目盛り2bを用いて、未固化地盤改良体G1に中空ロッド2を貫入させているから、中空ロッド2を未固化地盤改良体G1の所望深度まで貫入させやすい。
【0052】
しかして、本発明の実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、中空ロッド2を未固化地盤改良体G1に垂直に自動貫入可能な機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機を用いているから、より正確に所望深度における未固化地盤改良体の比抵抗値を測定することができる。
【0053】
なお、本発明の実施形態において、例示した機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機は、あくまで一例であり、中空ロッドを未固化地盤改良体に垂直に自動貫入可能な機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機であれば、種々様々なものを用いることができる。また、第2実施形態において例示した中空ロッド20を、本実施形態に適用させることは勿論可能である。
【0054】
一方、第1実施形態〜第3実施形態において、例示した中空ロッド2,20は、JIS規格に制定されたスウェーデン式サウンディング試験の規定寸法に合致するものに限らず、種々の内外径を有するものを採用することができる。
【0055】
また、第1実施形態〜第3実施形態において、中空ロッドの先端側にセンサー部を着脱自在に設ける方法として、中空ロッド2,20の両端部内周に形成されている雌ねじ2aと、センサー部3,30の雄ねじ3b、30bを螺合する方法を例示したが、雄ねじ、雌ねじを逆にしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,50 地盤改良体測定装置
2,20 中空ロッド
2a (中空ロッドの)雌ねじ
2b 目盛り
3,30 センサー部
3b,30b (センサー部の)雄ねじ
3d 電極部
4 センサーケーブル
100 測定器
G1 未固化地盤改良体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に連結される複数の中空ロッドを有してなるスウェーデン式サウンディング試験機を用いた地盤改良体の測定装置であって、
前記中空ロッドの先端側には、少なくとも2つの電極部を有するセンサー部が設けられ、該センサー部からは、センサーケーブルが延設されてなり、
前記センサーケーブルは、前記中空ロッド内を通って、未固化地盤改良体の所望深度における前記電極間の比抵抗値を測定可能な測定器に接続されてなることを特徴とする地盤改良体測定装置。
【請求項2】
前記スウェーデン式サウンディング試験機は、機械方式のスウェーデン式サウンディング試験機であって、前記中空ロッドを、前記未固化地盤改良体に垂直に自動貫入可能であることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良体測定装置。
【請求項3】
前記中空ロッドの先端側に設けられる前記センサー部は、着脱自在に設けられてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤改良体測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−169598(P2011−169598A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30839(P2010−30839)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(596091428)報国エンジニアリング株式会社 (10)
【Fターム(参考)】