地盤改良施工支援システムとその支援方法
【課題】 作業者の技量に関係なく施工データの作成ができる地盤改良施工支援システムとその支援方法の提供。
【解決手段】 地盤を掘削してセメントと水を注入し攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機1の制御装置6であって、地盤改良のための施工条件のデータを入力する入力手段42と、前記入力手段42で入力したデータをもとに、セメントミルクの積算流量値を演算する第1の演算手段332と、前記第1の演算手段332で演算されたセメントミルクの演算積算流量値を表示する演算積算流量表示手段42とからなり、地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの演算積算流量値が求められ、地盤改良の施工支援を行える。施工条件のデータは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、地盤改良の深度データ及びセメントと水の配合比データであることが好ましい。
【解決手段】 地盤を掘削してセメントと水を注入し攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機1の制御装置6であって、地盤改良のための施工条件のデータを入力する入力手段42と、前記入力手段42で入力したデータをもとに、セメントミルクの積算流量値を演算する第1の演算手段332と、前記第1の演算手段332で演算されたセメントミルクの演算積算流量値を表示する演算積算流量表示手段42とからなり、地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの演算積算流量値が求められ、地盤改良の施工支援を行える。施工条件のデータは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、地盤改良の深度データ及びセメントと水の配合比データであることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良機により地盤改良を行うための施工データを作成して地盤改良の施工支援を行う地盤改良施工支援システムとその支援方法に関する。更に詳しくは、地盤の掘削、セメントと水とからなるセメントミルクの注入、攪拌混合等の施工を地盤改良機で行う前に、適切な施工データの作成が容易に行える地盤改良支援システムとその支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良は、地盤改良機により地盤を掘削し、その掘削孔にセメント等の地盤改良材(地盤硬化材、地盤固化材などともいう)を注入して地盤を強化するために行われる。基本的な地盤改良の工法は種々あって公知である。その工法の一例を説明すると、地盤改良機において、先ず回転する回転チューブ体の下端部の掘削ビットで地盤深層まで掘削する。掘削しながら回転チューブ体の下方部分に取り付けられる攪拌翼で掘削孔中の地盤構成物体を攪拌し、攪拌翼から地盤改良材を噴出させ注入し地盤改良する形で行なわれている。
【0003】
回転チューブ体は中空体であるので、地盤改良材は上方からこの回転チューブ体の内部を通って供給される。地盤改良材は、水とセメントとからなるセメントミルクとして、地盤改良機の上部側からホース等を介して供給される。住宅等構造物の地盤改良では、軟弱地盤に対して柱状改良を行うことが多く行われる。この柱状になるものは地盤をセメントミルクとともに攪拌混合し固化させたものである。この柱状体は上部に設置される建造物等の基礎になるので、品質が高く強固で安定したものが要求される。この地盤改良は前述のように通常は地盤改良機で行われる。
【0004】
この地盤改良機による柱状改良工法の工程は、一般的に図2に示すようになっていることが多い。この地盤改良は、地盤を掘削するとともに、地盤改良材等であるセメントと水とを混合したセメントミルクの注入し土砂と攪拌混合して地盤を改良する工法である。この地盤改良機の管理装置としていろいろな提案がなされている。例えば、従来の地盤改良機の管理装置では、施工時に多くの管理項目を管理しなければならないが、管理すべき項目が多いとかえって煩わしくなり、能率が低下してしまうという問題点があった。
そこで、管理項目を減らすことで管理が容易になり、また良好な管理がおこなわれているかの判断を瞬時に正確に行うことができ、さらに当初予想していなかった地層の変化に対しても対応することができる地盤改良機の管理方法及び管理装置がよく知られている(例えば、特許文献1、2参照)。一方、土木基礎工事における土質安定剤であるグラウトを注入する場合において、掘削刃の進入速度に応じてグラウトの注入量を刻々と正確に制御するグラウト注入制御装置も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
地盤改良を行って杭の品質を保持するためには、設計通りの施工管理を行うことが必要であり、地盤改良機を操作する作業者の知識、経験、技量の差により杭の品質に良否が生じてしまうおそれがあるという問題点があった。すなわち、地盤改良のための施工条件のデータから、地盤改良施工のための施工データを求め、実際に地盤改良機を操作することは、知識、経験が浅く技量が少し未熟な作業者にとってはたいへん難しい作業の一つである。例えば、地盤改良を行うためのセメントミルクの流量計算、どのような流量・速度で施工するのがよいのか等の検討は作業者に委ねられており、経験、技量に関係なく作業者が即座に検討を行えるものではない。また、施工データの作成に時間がかかり地盤改良作業の作業能率を低下させたり、計算ミス等人為的ミスを発生させるおそれもあるという問題点もあった。
【特許文献1】特許第3437108号公報
【特許文献2】特開2002−038463号公報
【特許文献3】特開昭54−009408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2の地盤改良機の技術は、施工している時の状態の管理について提案されたものであり、特許文献3の技術も施工時のグラウトの注入量の制御を行うものであった。すなわち、施工前に行われる施工データ作成の支援を行うものではなかった。
【0007】
そこで、地盤改良の施工に入る前に、作業者が地盤改良のための施工条件のデータを、簡単な操作例えば表示画面の誘導に従って入力操作するのみで、施工データが求められ、かつ、その施工データを確認することで地盤改良のイメージをつかむことができるような施工支援方法の開発が要望されていた。例えば、現場において、表示画面の表示による誘導に従って入力操作するのみで、セメントミルクの必要積算流量値等施工データの自動計算等を行えるようなものの開発が要望されていた。すなわち、施工前に、セメントミルクの必要積算流量値等を作業者が計算することなく、施工条件のデータを入力するのみで施工データを求めることができれば、施工支援としてたいへん心強いものとなる。また、施工前に施工データを求め、出力しておけば、その施工データに沿って、微調整や補正を行うことも容易であり、知識や技量の少し劣る作業者、経験が少し足りない作業者であっても品質の高い地盤改良を行うことができる。
【0008】
本発明は、以上の技術背景に基づき、従来の問題点を解決するためになされたもので、次の目的を達成した。
【0009】
本発明の目的は、作業者の技量に関係なく、表示画面の表示による誘導に従って、所定の施工条件のデータを入力するのみで、施工前に地盤改良のための施工データが容易に求められ、施工支援することができる地盤改良の施工支援システムとその支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の地盤改良施工支援システムは、地盤を掘削するとともにセメントミルクを注入し、攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機の制御装置において、前記制御装置に設けられ、地盤改良のための所定の施工条件のデータを入力する入力手段と、前記制御装置に設けられ、前記データをもとに、前記セメントミルクの積算流量値を演算する第1の演算手段と、前記制御装置に設けられ、前記第1の演算手段で演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を表示する演算積算流量表示手段とからなり、前記地盤改良機による地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの積算流量値が求められるようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明2の地盤改良施工支援システムは、本発明1において、
前記データは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、地盤改良の深度データ、及び、セメントと水の配合比データが含まれているものであることを特徴とする。
【0012】
本発明3の地盤改良施工支援システムは、本発明1又は2において、
前記演算積算流量値を、所定の経過深度区間ごとに分割し、前記区間ごとに分割した積算流量値及び/又は昇降動作のパターンを出力するための出力手段を前記制御装置に設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明4の地盤改良施工支援システムは、本発明1又は2において、
前記演算積算流量値を満足させるために必要な前記地盤改良機の昇降速度及び前記セメントミルクの瞬時流量を、所定の経過深度区間ごとに演算する第2の演算手段と、前記演算された前記昇降速度及び/又は前記瞬時流量とを表示する速度・流量表示手段を前記制御装置に設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明5の地盤改良施工支援システムは、本発明1から4において、
前記入力手段からのデータ入力は、前記表示手段に表示された表示画面の表示内容に基づいて行えるようにしたことを特徴とする。
【0015】
本発明6の地盤改良施工支援方法は、
地盤を掘削するとともにセメントミルクを注入し、攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機の制御装置における制御方法において、前記制御装置に、地盤改良のための所定の施工条件のデータを入力する工程と、入力した前記データをもとに前記セメントミルクの演算積算流量値を求めるための演算を行う工程と、演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を演算積算流量表示手段に表示する工程とからなり、前記地盤改良機による地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの積算流量値が求められるようにしたことを特徴とする。
【0016】
本発明7の地盤改良施工支援方法は、本発明6において、
前記データは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、掘削の深度データ、及び、セメントと水の配合比データが含まれているものであることを特徴とする。
【0017】
本発明8の地盤改良施工支援方法は、本発明6又は7において、
演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を所定の経過深度区間ごとに分割し、前記分割された区間ごとの積算流量値を出力するための工程が設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明9の地盤改良施工支援方法は、本発明6から8において、
前記演算積算流量値を満足させるために必要な前記地盤改良機の昇降速度及び前記セメントミルクの瞬時流量を、所定の経過深度区間ごとに演算するための工程と、前記演算された前記昇降速度及び/又は前記瞬時流量を表示するための工程を設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明10の地盤改良施工支援方法は、本発明6から9において、
前記データを入力する工程は、前記表示手段に表示された表示画面の表示内容に基づいて行えるようにしたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明は、地盤改良の施工前にセメント添加量、杭径、改良深度及び配合比の4つの施工条件のデータを、表示画面の表示による誘導に従って入力することで杭1本当たりのセメントミルクの積算流量、各改良深度ごとの昇降速度、瞬時流量等地盤改良の施工工事に必要な施工データを自動的に得ることができ表示画面上に表示できる。また、自動計算され求められた施工データをプリンタ等出力手段に出力することができ、作業者が出力結果を確認することもできる。さらに、表示手段の表示画面の内容に基づき、表示画面の表示内容に誘導されて施工条件のデータを入力しているので、入力ミス等人為的ミスの減少が図れる。
【0021】
作業者の技量、経験等に関係なく施工条件データの入力操作で、地盤改良のための施工データを容易に作成できるようになった。この結果、どんな作業者であっても、施工前に地盤改良の施工の状態を把握してイメージすることができるようになった。また、施工前に施工データを求め、出力しておけば、施工時にその施工データに沿って、微調整や補正を行うことも容易であり、知識や技量の少し劣る作業者、経験が少し足りない作業者であっても品質の高い地盤改良を行うことができる。
さらに、施工データ作成時間の短縮が図れ、地盤改良の作業能率向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の地盤改良支援システムとその支援方法について、図面をもとに詳細にその実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の施工支援システムを適用した地盤改良機の全体構成図、図2は、攪拌ヘッドによる掘削、攪拌混合の状態を示す説明図、図3は、施工支援システムのフロー図、図11は、制御装置の構成を示すブロック図である。
図4は、柱状改良施工支援の表示画面図、図5は、杭一本当たりの積算流量計算式を示す表示画面図、図6は、セメントと水の配合比(配合量)を示す表示画面図、図7は、経過流量プリント機能における条件設定を行うための表示画面図、図8は、流量の経過を数値で示す印字例図、図9は、1ストロークの場合における深度、積算流量対応印字パターン例図、図10は、施工流量・フィード速度計算機能を示す表示画面図である。
【0024】
図1は、本実施の形態の地盤改良機1の全体構成を示す。図1において、地盤改良機1の前面にはリーダ2が設けられ、このリーダ2には攪拌軸3の駆動装置4が上下方向に移動可能に設けられている。この駆動装置4はワイヤ(図示せず)によってリーダ側壁に設けられたシリンダにより上下動する。
【0025】
この駆動装置4は、攪拌のための回転駆動機能を有していて攪拌軸3を回転駆動する。又攪拌軸3の端部には、先端側から掘削翼と、共回り防止装置と、複数の攪拌翼により構成される攪拌ヘッド5が設けられていて、地盤を掘削しながら攪拌する。一方攪拌に際しては、掘削の際攪拌軸3の上方からセメントと水の混練したセメントミルクを注入するようになっている。このセメントミルクは攪拌軸3の内部を通り、攪拌ヘッド5の先端部から吐出される。吐出されたセメントミルクは地盤とともに攪拌混合され、最終的には固化し地盤改良柱状体となる。
【0026】
この地盤の柱状改良工法の工程は、一般的に図2に示すようになっていることが多い。すなわち、攪拌ヘッド5の抗芯セットを行う工程S1に始まり、地盤の掘削、セメントミルクの注入、混合、攪拌を行う工程S2、攪拌ヘッド5を上下に移動させて攪拌を行う工程S3、S4、攪拌混合が完了する工程S5、このとき攪拌ヘッド5は上方に引き上げられている。最終的に基礎打設により固化し地盤改良柱状体が完成する(S6)。これに関連して、地盤改良の施工工事を支援するための地盤改良支援プログラムを内蔵する制御装置6が地盤改良機1の操作室8の内部又は操作室8の近傍に設けられ、作業者が操作できるようになっている。
【0027】
図11は、地盤改良支援プログラムを内蔵した制御装置6を示すブロック図である。制御装置6には、種々のデータ処理を行う情報処理手段としてのCPU30が設けられており、CPU30には、バス31を介して主記憶装置としてROM32、RAM33が接続されている。
CPU30は、ROM32に記憶されているシステムプログラム及びデータと、RAM32にロード(メモリ中に読み込むこと)されたプログラム及びデータに従って動作する。このようにRAM33にロードされるプログラムとしては、施工支援プログラム331、第1演算プログラム332、第2演算プログラム333、施工支援モニタープログラム338、表示手段41に対して文字や図形の表示を行う表示制御プログラム等がある。
【0028】
また、バス31には、インタフェースを介して、表示手段41、入力手段42、出力手段(プリンタ)43、検出手段(検出センサ)44、メモリーカード読取書込手段45等が接続されている。さらに、バス31には、施工データファイルメモリ34、配合量データファイルメモリ35等も接続されている。
【0029】
以上のように構成されている地盤改良機1において、必要なセメントミルクを注入し地盤改良を施工しているときの施工状態を確認するためのデータが必要であるが、そのデータを得るための検出手段(検出センサ)44が地盤改良機1の本体に設けられている。これらのデータの検出のための手段は、よく使用されている周知なものであるので詳細な説明を省略するが、対象となるものは次のようなものである。攪拌軸の回転数を検出するための回転数検出手段、攪拌軸の駆動電流を検出するための電流検出手段及びトルクを検出するためのトルク検出手段、セメントミルクの吐出量を検出するためのセメントミルク流量検出手段、攪拌ヘッドの深度を検出するための深度検出手段、給圧検出手段、フィード速度(昇降速度)検出手段等である。
【0030】
本実施の形態の制御装置6は、現場で作業者が施工支援システムの表示画面の表示を見ながら入力データ(施工条件のデータ)を入力することで適切な施工データの作成等ができる施工支援システムとし、そのためのプログラムを有したものとなっている。
【0031】
次にその施工支援システムについて説明する。この施工支援システムは現場で地盤改良機1の表示手段(ディスプレイ)41に表示された表示内容への応答によりキー入力操作が容易にできるようになっているものである。すなわち、表示画面の表示内容に誘導されて施工条件のデータ等の入力をすることができる。この施工支援システムの施工支援プログラムは、図3に示すフロー図に沿っている。次にこのフロー図の流れに沿ってその内容を説明する。地盤改良の施工工事の前に、本実施の形態の地盤改良の施工支援システムを起動させ(S101)、表示装置41に「施工支援システムのメニュー」を表示させる(S102)。本形態の施工支援システムのメニュー項目は、「柱状改良支援」、「プリント(深度・積算流量印字機能)」等となっている。
【0032】
先ず「柱状改良支援」を選択するための入力手段であるボタンキーを押す(S103)と、柱状改良支援メニューが表示される(S104)。本発明のメインをなすのは、この柱状改良支援メニューで選択される内容である。その内容項目は、「セメントミルク流量計算機能」「深度・経過流量設定」、「フィード速度・瞬時流量設定」等となっている。次に「セメントミルク流量計算機能」のボタンキーを選択し押す(S105)と、図4に示した表示画面になる。この画面により、杭一本当たりの積算流量値算出のための入力をする。
【0033】
この算出のためには、施工条件のデータである地盤に注入する「セメント添加量」、地盤に掘削する杭の「杭径」、地盤改良の「改良深度」及びセメントと水の「配合比(配合量)」の4項目の数値を入力手段であるキー(入力手段)42により入力する(S106)。施工条件のデータは、柱状改良工事の現場で与えられることが多い「セメント添加量」、「杭径」、「改良深度」及び「配合比(配合量)」であることが好ましい。このキー42は、画面上に表示されたキー部分にタッチすることでキー入力が可能なタッチキー方式のものであるが、表示手段41の表示画面の近傍に操作キーを設けたものであってもよい。カーソルキー42bの操作により画面の入力項目を選択する。例えば、第1から第4の入力表示部41a〜41dにカーソルを移動させることで選択する。選択後、数値キー42a、ENTキー等で数値を入力していく。この入力をすると、数値キー42aに隣接する第1の入力表示部(セメント添加量表示部)41a、第2の入力表示部(杭径表示部)41b、第3の入力表示部(深度表示部)41c、第4の入力表示部(配合比表示部)41dに入力した数値が表示される。全項目の数値が入力されると、制御装置6の第1の演算手段(第1演算プログラム)332により杭一本当たりの積算流量値が自動的に計算され、結果は表示手段41の第5の入力表示部(杭1本当たりの積算流量値表示部)41eに、積算流量値として表示される(S107)。
【0034】
また、この杭1本当たりの積算流量値の計算は、次に示す式1、式2に従って行われる(図5参照)。
【0035】
1m3 当たりのセメントミルク
=(セメント添加量/セメント比重)*(1+3.15*配合比) (式1)
杭一本当たりの積算流量値
=(杭径/2)2 *π*改良深度*1m3 当たりのセメントミルク (式2)
【0036】
例えば、第1の入力表示部(セメント添加量表示部)41aに「300」の数値を、第2の入力表示部(杭径表示部)41bに「600」の数値を、第3の入力表示部(深度表示部)41cに「3.5」の数値を、第4の入力表示部(配合比表示部)41dに「0.7」の数値を入力すると、式1、2に基づいて自動計算され、第5の入力表示部(杭1本当たりの積算流量値表示部)41eに「302」の数値が表示される(図4参照)。
【0037】
また、図4の表示画面で「詳細」ボタンキー42dを押すと、図5にその例を示すが、杭一本当たりの積算流量の計算式が表示される。さらに、図5の表示画面で「配合量」ボタンキー42eを押すと、図6にその一例を示すが、配合量データファイル35に記憶されたセメントと水の配合比(配合量の割合)の詳細データが表示されるようになっている。この図6の表示は、作業者が、地盤の状況を考慮した適切な配合比(配合量)を決める際の参考とすることができる。
【0038】
次に、経過流量を印字(プリント)する機能について説明する。所望のデータを入力し設定後、施工支援システムメニューから「プリント」を選択する(S140)。印刷開始方向の選択を行う(S141)。
【0039】
例えば、印刷開始方向の選択で「下降側」を選択すると図7に示すような画面が表示される。図7は、経過流量プリント機能における条件設定を行うための表示画面図である。この表示画面から、第6の入力表示部41fに深度のデータを、第7の入力表示部41gに積算流量のデータを入力する。なお、下降側を選択した場合、改良深度の数値データは、深度1<深度2、深度2>深度3、深度3<深度4、深度4>深度5、深度5<深度6のような関係になるように入力する。また、積算流量の数値データは、積算流量1<積算流量2、積算流量2<積算流量3、積算流量3<積算流量4、積算流量4<積算流量5、積算流量5<積算流量6のような関係になるように入力する。そして、この表示画面からは、最大2ストローク分の入力が可能になっている。
【0040】
前述したデータを入力した例で説明を行うと、例えば、深度1=0、積算流量1=0、深度2=3.5、積算流量2=151、深度3=0、積算流量3=302のように、第6の入力表示部41fの各入力表示部、第7の入力表示部41gの各入力表示部にデータを入力する。このデータの入力は、カーソルキー42b、数値キー42a、ENTキー等で行う。入力データが正確に入力された場合には、設定キーを押圧操作するとよい。なお、この例では、下降側と上昇側で、同一の積算流量の数値を入力しているが、異なる数値を入力してもよい。
【0041】
戻りキーで所定の画面(図示せず)に戻り、この画面から「経過流量プリント機能」を選択する(S142)。次のような印字をすることができる。すなわち、前述した第1の演算手段(第1演算プログラム)332により計算された「杭一本当たりの積算流量」を所定の経過深度区間(例えば、本実施の形態においては0.5m間隔としている)で分割し、区間ごとの積算流量値を出力手段(プリンタ)43で印字又は印刷することができる。このような区間ごとの積算流量値を予め出力しておくと、実際に地盤改良を施工したときの検出データとの比較が容易である。
【0042】
その印字例を図8に示す。図8は、セメント添加量300kg/m3、杭径φ600mm、改良長(改良深度)L3.5m、配合比W/C0.7の数値を入力し杭一本当たり積算流量を分割した場合の印字例を示す。そして、地盤改良の施工を行う際、掘削時・引き上げ時に、施工前に求めたその深度における通過時の積算流量値が印字された数値を見ながら施工を行うとたいへん便利である。
【0043】
又、図示していない画面から「深度・積算流量対応印字パターン」を選択すると、図9に一例を示すような地盤改良のための昇降動作パターンから選択された動作パターンが、表示手段41に表示されるとともに、出力手段(プリンタ)43で印刷することができる。この動作パターンは1ストロークの動作確認パターンを示すものであり、図示していないが1.5ストローク、2ストローク等の昇降動作パターンも用意されている。入力されたデータが正確であれば、そのデータに従って昇降動作パターンが選択され、表示又は出力(印刷)することができる。このようにすることで、昇降動作をパターンとして容易に確認することができる。図8のような印字例と組み合わせると、施工の状態のイメージを把握するのが容易となる。
【0044】
続いて、フィード速度、瞬時流量計算機能について説明する。なお、フィード速度、瞬時流量計算機能は、経過流量印字(プリント)機能の後に行うことが好ましい。この加工支援システムメニューから「フィード速度、瞬時流量設定選択機能」を選択する(S120)。図10は、その表示画面であり、下降開始時の設定による表示画面を示している。画面の右側に示す「改良深度」入力表示部41hと「積算流量」入力表示部41iに、カーソルキー42b、数値キー42a、ENTキー等で数値を入力する(S121)。入力後、その下部に示される「速度」入力表示部41j又は「瞬時流量」入力表示部41kのいずれか一方に数値を数字キー42a、ENTキー等によって入力すると(S122)、設定した改良深度と設定した積算流量を満たすために必要な理想的速度又は瞬時流量が第2の演算手段(第2演算プログラム)333で自動計算され、表示部41mの1〜2、2〜3、3〜4、・・に表示される。(S123)。なお、杭1本当たりの積算流量値の表示部には、経過流量印字機能で入力された値を表示することが好ましいが、同様な方法で入力してもよい。
【0045】
また、第2の演算手段(第2演算プログラム)では、式3、式4に基づいて自動計算される。
瞬時流量 = 速度*積算流量/改良深度 (式3)
速 度 = 瞬時流量*改良深度/積算流量 (式4)
【0046】
例えば、改良深度「3.5」m、積算流量「151」Lであるとき、「速度」入力表示部41jに「1.0」を入力すると、式3、式4で自動計算がなされ、「速度」入力表示部41jの隣に、瞬時流量「43」が表示される。逆に、改良深度「3.5」m、積算流量「151」Lであるとき、「瞬時流量」入力表示部41kに「43」を入力すると、式3、式4で自動計算がなされ、「瞬時流量」入力表示部41kの隣に速度「1.0」が表示される(図10参照)。
【0047】
この実施の形態では、セメントミルク流量計算機能、プリント機能(深度積算流量印字機能)、フィード速度・瞬時流量計算機能の順に選択していくと、施工条件のデータから施工データが容易に求められ、表示、出力することができる。すなわち、この形態の施工支援システム及び施工支援方法を利用して施工前に、施工データを作成して表示又は出力(印字、印刷)することができるので、地盤改良工事の概要のイメージが施工前につかめる。例えば、深度と積算流量の関係を示す区間ごとの積算流量値、昇降動作パターンなどの表示又は出力(印字、印刷)されたデータを見ることでイメージをつかむことができる。さらに、図7、図10のような表示画面を出力(印刷)しておくとさらによい。
また、この施工支援システム及び施工支援方法を利用して作成された施工データ等は、施工データメモリ34に記憶させることができる。
【0048】
施工データを表示、出力(印字、印刷)等し、施工データを確認した後、施工支援モニター機能を起動させ、地盤改良の施工を行う(S151,S152)。施工支援モニター機能を起動させることで、検出手段(検出センサ)44のデータをモニター(確認)しながら地盤改良を行うことができる。また、施工前に作成された施工データに沿って、施工時に微調整や補正を行うことも容易であり、知識や技量の少し劣る作業者、経験が少し足りない作業者であっても品質の高い地盤改良を容易に行うことができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の施工支援システムを適用した地盤改良機の全体構成図である。
【図2】図2は、攪拌ヘッドによる掘削、攪拌混合の状態を示す説明図である。
【図3】図3は、施工支援システムのフロー図である。
【図4】図4は、柱状改良施工支援の表示画面図である。
【図5】図5は、杭一本当たりの積算流量計算式を示す表示画面図である。
【図6】図6は、セメントと水の配合比(配合量)を示す表示画面図である。
【図7】図7は、経過流量プリント機能における条件設定を行うための表示画面図である。
【図8】図8は、流量の経過を数値で示す印字例図である。
【図9】図9は、1ストロークの場合における深度、積算流量対応印字パターン例図である。
【図10】図10は、施工流量・フィード速度計算機能を示す表示画面図である。
【図11】図11は、制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1…地盤改良機
2…リーダ
3…攪拌軸
4…駆動装置
5…攪拌ヘッド
6…制御装置
30…CPU
32…ROM
33…RAM
41…表示手段
42…入力手段
43…出力手段(プリンタ)
44…検出手段(検出センサ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良機により地盤改良を行うための施工データを作成して地盤改良の施工支援を行う地盤改良施工支援システムとその支援方法に関する。更に詳しくは、地盤の掘削、セメントと水とからなるセメントミルクの注入、攪拌混合等の施工を地盤改良機で行う前に、適切な施工データの作成が容易に行える地盤改良支援システムとその支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良は、地盤改良機により地盤を掘削し、その掘削孔にセメント等の地盤改良材(地盤硬化材、地盤固化材などともいう)を注入して地盤を強化するために行われる。基本的な地盤改良の工法は種々あって公知である。その工法の一例を説明すると、地盤改良機において、先ず回転する回転チューブ体の下端部の掘削ビットで地盤深層まで掘削する。掘削しながら回転チューブ体の下方部分に取り付けられる攪拌翼で掘削孔中の地盤構成物体を攪拌し、攪拌翼から地盤改良材を噴出させ注入し地盤改良する形で行なわれている。
【0003】
回転チューブ体は中空体であるので、地盤改良材は上方からこの回転チューブ体の内部を通って供給される。地盤改良材は、水とセメントとからなるセメントミルクとして、地盤改良機の上部側からホース等を介して供給される。住宅等構造物の地盤改良では、軟弱地盤に対して柱状改良を行うことが多く行われる。この柱状になるものは地盤をセメントミルクとともに攪拌混合し固化させたものである。この柱状体は上部に設置される建造物等の基礎になるので、品質が高く強固で安定したものが要求される。この地盤改良は前述のように通常は地盤改良機で行われる。
【0004】
この地盤改良機による柱状改良工法の工程は、一般的に図2に示すようになっていることが多い。この地盤改良は、地盤を掘削するとともに、地盤改良材等であるセメントと水とを混合したセメントミルクの注入し土砂と攪拌混合して地盤を改良する工法である。この地盤改良機の管理装置としていろいろな提案がなされている。例えば、従来の地盤改良機の管理装置では、施工時に多くの管理項目を管理しなければならないが、管理すべき項目が多いとかえって煩わしくなり、能率が低下してしまうという問題点があった。
そこで、管理項目を減らすことで管理が容易になり、また良好な管理がおこなわれているかの判断を瞬時に正確に行うことができ、さらに当初予想していなかった地層の変化に対しても対応することができる地盤改良機の管理方法及び管理装置がよく知られている(例えば、特許文献1、2参照)。一方、土木基礎工事における土質安定剤であるグラウトを注入する場合において、掘削刃の進入速度に応じてグラウトの注入量を刻々と正確に制御するグラウト注入制御装置も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
地盤改良を行って杭の品質を保持するためには、設計通りの施工管理を行うことが必要であり、地盤改良機を操作する作業者の知識、経験、技量の差により杭の品質に良否が生じてしまうおそれがあるという問題点があった。すなわち、地盤改良のための施工条件のデータから、地盤改良施工のための施工データを求め、実際に地盤改良機を操作することは、知識、経験が浅く技量が少し未熟な作業者にとってはたいへん難しい作業の一つである。例えば、地盤改良を行うためのセメントミルクの流量計算、どのような流量・速度で施工するのがよいのか等の検討は作業者に委ねられており、経験、技量に関係なく作業者が即座に検討を行えるものではない。また、施工データの作成に時間がかかり地盤改良作業の作業能率を低下させたり、計算ミス等人為的ミスを発生させるおそれもあるという問題点もあった。
【特許文献1】特許第3437108号公報
【特許文献2】特開2002−038463号公報
【特許文献3】特開昭54−009408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2の地盤改良機の技術は、施工している時の状態の管理について提案されたものであり、特許文献3の技術も施工時のグラウトの注入量の制御を行うものであった。すなわち、施工前に行われる施工データ作成の支援を行うものではなかった。
【0007】
そこで、地盤改良の施工に入る前に、作業者が地盤改良のための施工条件のデータを、簡単な操作例えば表示画面の誘導に従って入力操作するのみで、施工データが求められ、かつ、その施工データを確認することで地盤改良のイメージをつかむことができるような施工支援方法の開発が要望されていた。例えば、現場において、表示画面の表示による誘導に従って入力操作するのみで、セメントミルクの必要積算流量値等施工データの自動計算等を行えるようなものの開発が要望されていた。すなわち、施工前に、セメントミルクの必要積算流量値等を作業者が計算することなく、施工条件のデータを入力するのみで施工データを求めることができれば、施工支援としてたいへん心強いものとなる。また、施工前に施工データを求め、出力しておけば、その施工データに沿って、微調整や補正を行うことも容易であり、知識や技量の少し劣る作業者、経験が少し足りない作業者であっても品質の高い地盤改良を行うことができる。
【0008】
本発明は、以上の技術背景に基づき、従来の問題点を解決するためになされたもので、次の目的を達成した。
【0009】
本発明の目的は、作業者の技量に関係なく、表示画面の表示による誘導に従って、所定の施工条件のデータを入力するのみで、施工前に地盤改良のための施工データが容易に求められ、施工支援することができる地盤改良の施工支援システムとその支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の地盤改良施工支援システムは、地盤を掘削するとともにセメントミルクを注入し、攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機の制御装置において、前記制御装置に設けられ、地盤改良のための所定の施工条件のデータを入力する入力手段と、前記制御装置に設けられ、前記データをもとに、前記セメントミルクの積算流量値を演算する第1の演算手段と、前記制御装置に設けられ、前記第1の演算手段で演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を表示する演算積算流量表示手段とからなり、前記地盤改良機による地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの積算流量値が求められるようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明2の地盤改良施工支援システムは、本発明1において、
前記データは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、地盤改良の深度データ、及び、セメントと水の配合比データが含まれているものであることを特徴とする。
【0012】
本発明3の地盤改良施工支援システムは、本発明1又は2において、
前記演算積算流量値を、所定の経過深度区間ごとに分割し、前記区間ごとに分割した積算流量値及び/又は昇降動作のパターンを出力するための出力手段を前記制御装置に設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明4の地盤改良施工支援システムは、本発明1又は2において、
前記演算積算流量値を満足させるために必要な前記地盤改良機の昇降速度及び前記セメントミルクの瞬時流量を、所定の経過深度区間ごとに演算する第2の演算手段と、前記演算された前記昇降速度及び/又は前記瞬時流量とを表示する速度・流量表示手段を前記制御装置に設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明5の地盤改良施工支援システムは、本発明1から4において、
前記入力手段からのデータ入力は、前記表示手段に表示された表示画面の表示内容に基づいて行えるようにしたことを特徴とする。
【0015】
本発明6の地盤改良施工支援方法は、
地盤を掘削するとともにセメントミルクを注入し、攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機の制御装置における制御方法において、前記制御装置に、地盤改良のための所定の施工条件のデータを入力する工程と、入力した前記データをもとに前記セメントミルクの演算積算流量値を求めるための演算を行う工程と、演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を演算積算流量表示手段に表示する工程とからなり、前記地盤改良機による地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの積算流量値が求められるようにしたことを特徴とする。
【0016】
本発明7の地盤改良施工支援方法は、本発明6において、
前記データは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、掘削の深度データ、及び、セメントと水の配合比データが含まれているものであることを特徴とする。
【0017】
本発明8の地盤改良施工支援方法は、本発明6又は7において、
演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を所定の経過深度区間ごとに分割し、前記分割された区間ごとの積算流量値を出力するための工程が設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明9の地盤改良施工支援方法は、本発明6から8において、
前記演算積算流量値を満足させるために必要な前記地盤改良機の昇降速度及び前記セメントミルクの瞬時流量を、所定の経過深度区間ごとに演算するための工程と、前記演算された前記昇降速度及び/又は前記瞬時流量を表示するための工程を設けたことを特徴とする。
【0019】
本発明10の地盤改良施工支援方法は、本発明6から9において、
前記データを入力する工程は、前記表示手段に表示された表示画面の表示内容に基づいて行えるようにしたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明は、地盤改良の施工前にセメント添加量、杭径、改良深度及び配合比の4つの施工条件のデータを、表示画面の表示による誘導に従って入力することで杭1本当たりのセメントミルクの積算流量、各改良深度ごとの昇降速度、瞬時流量等地盤改良の施工工事に必要な施工データを自動的に得ることができ表示画面上に表示できる。また、自動計算され求められた施工データをプリンタ等出力手段に出力することができ、作業者が出力結果を確認することもできる。さらに、表示手段の表示画面の内容に基づき、表示画面の表示内容に誘導されて施工条件のデータを入力しているので、入力ミス等人為的ミスの減少が図れる。
【0021】
作業者の技量、経験等に関係なく施工条件データの入力操作で、地盤改良のための施工データを容易に作成できるようになった。この結果、どんな作業者であっても、施工前に地盤改良の施工の状態を把握してイメージすることができるようになった。また、施工前に施工データを求め、出力しておけば、施工時にその施工データに沿って、微調整や補正を行うことも容易であり、知識や技量の少し劣る作業者、経験が少し足りない作業者であっても品質の高い地盤改良を行うことができる。
さらに、施工データ作成時間の短縮が図れ、地盤改良の作業能率向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の地盤改良支援システムとその支援方法について、図面をもとに詳細にその実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の施工支援システムを適用した地盤改良機の全体構成図、図2は、攪拌ヘッドによる掘削、攪拌混合の状態を示す説明図、図3は、施工支援システムのフロー図、図11は、制御装置の構成を示すブロック図である。
図4は、柱状改良施工支援の表示画面図、図5は、杭一本当たりの積算流量計算式を示す表示画面図、図6は、セメントと水の配合比(配合量)を示す表示画面図、図7は、経過流量プリント機能における条件設定を行うための表示画面図、図8は、流量の経過を数値で示す印字例図、図9は、1ストロークの場合における深度、積算流量対応印字パターン例図、図10は、施工流量・フィード速度計算機能を示す表示画面図である。
【0024】
図1は、本実施の形態の地盤改良機1の全体構成を示す。図1において、地盤改良機1の前面にはリーダ2が設けられ、このリーダ2には攪拌軸3の駆動装置4が上下方向に移動可能に設けられている。この駆動装置4はワイヤ(図示せず)によってリーダ側壁に設けられたシリンダにより上下動する。
【0025】
この駆動装置4は、攪拌のための回転駆動機能を有していて攪拌軸3を回転駆動する。又攪拌軸3の端部には、先端側から掘削翼と、共回り防止装置と、複数の攪拌翼により構成される攪拌ヘッド5が設けられていて、地盤を掘削しながら攪拌する。一方攪拌に際しては、掘削の際攪拌軸3の上方からセメントと水の混練したセメントミルクを注入するようになっている。このセメントミルクは攪拌軸3の内部を通り、攪拌ヘッド5の先端部から吐出される。吐出されたセメントミルクは地盤とともに攪拌混合され、最終的には固化し地盤改良柱状体となる。
【0026】
この地盤の柱状改良工法の工程は、一般的に図2に示すようになっていることが多い。すなわち、攪拌ヘッド5の抗芯セットを行う工程S1に始まり、地盤の掘削、セメントミルクの注入、混合、攪拌を行う工程S2、攪拌ヘッド5を上下に移動させて攪拌を行う工程S3、S4、攪拌混合が完了する工程S5、このとき攪拌ヘッド5は上方に引き上げられている。最終的に基礎打設により固化し地盤改良柱状体が完成する(S6)。これに関連して、地盤改良の施工工事を支援するための地盤改良支援プログラムを内蔵する制御装置6が地盤改良機1の操作室8の内部又は操作室8の近傍に設けられ、作業者が操作できるようになっている。
【0027】
図11は、地盤改良支援プログラムを内蔵した制御装置6を示すブロック図である。制御装置6には、種々のデータ処理を行う情報処理手段としてのCPU30が設けられており、CPU30には、バス31を介して主記憶装置としてROM32、RAM33が接続されている。
CPU30は、ROM32に記憶されているシステムプログラム及びデータと、RAM32にロード(メモリ中に読み込むこと)されたプログラム及びデータに従って動作する。このようにRAM33にロードされるプログラムとしては、施工支援プログラム331、第1演算プログラム332、第2演算プログラム333、施工支援モニタープログラム338、表示手段41に対して文字や図形の表示を行う表示制御プログラム等がある。
【0028】
また、バス31には、インタフェースを介して、表示手段41、入力手段42、出力手段(プリンタ)43、検出手段(検出センサ)44、メモリーカード読取書込手段45等が接続されている。さらに、バス31には、施工データファイルメモリ34、配合量データファイルメモリ35等も接続されている。
【0029】
以上のように構成されている地盤改良機1において、必要なセメントミルクを注入し地盤改良を施工しているときの施工状態を確認するためのデータが必要であるが、そのデータを得るための検出手段(検出センサ)44が地盤改良機1の本体に設けられている。これらのデータの検出のための手段は、よく使用されている周知なものであるので詳細な説明を省略するが、対象となるものは次のようなものである。攪拌軸の回転数を検出するための回転数検出手段、攪拌軸の駆動電流を検出するための電流検出手段及びトルクを検出するためのトルク検出手段、セメントミルクの吐出量を検出するためのセメントミルク流量検出手段、攪拌ヘッドの深度を検出するための深度検出手段、給圧検出手段、フィード速度(昇降速度)検出手段等である。
【0030】
本実施の形態の制御装置6は、現場で作業者が施工支援システムの表示画面の表示を見ながら入力データ(施工条件のデータ)を入力することで適切な施工データの作成等ができる施工支援システムとし、そのためのプログラムを有したものとなっている。
【0031】
次にその施工支援システムについて説明する。この施工支援システムは現場で地盤改良機1の表示手段(ディスプレイ)41に表示された表示内容への応答によりキー入力操作が容易にできるようになっているものである。すなわち、表示画面の表示内容に誘導されて施工条件のデータ等の入力をすることができる。この施工支援システムの施工支援プログラムは、図3に示すフロー図に沿っている。次にこのフロー図の流れに沿ってその内容を説明する。地盤改良の施工工事の前に、本実施の形態の地盤改良の施工支援システムを起動させ(S101)、表示装置41に「施工支援システムのメニュー」を表示させる(S102)。本形態の施工支援システムのメニュー項目は、「柱状改良支援」、「プリント(深度・積算流量印字機能)」等となっている。
【0032】
先ず「柱状改良支援」を選択するための入力手段であるボタンキーを押す(S103)と、柱状改良支援メニューが表示される(S104)。本発明のメインをなすのは、この柱状改良支援メニューで選択される内容である。その内容項目は、「セメントミルク流量計算機能」「深度・経過流量設定」、「フィード速度・瞬時流量設定」等となっている。次に「セメントミルク流量計算機能」のボタンキーを選択し押す(S105)と、図4に示した表示画面になる。この画面により、杭一本当たりの積算流量値算出のための入力をする。
【0033】
この算出のためには、施工条件のデータである地盤に注入する「セメント添加量」、地盤に掘削する杭の「杭径」、地盤改良の「改良深度」及びセメントと水の「配合比(配合量)」の4項目の数値を入力手段であるキー(入力手段)42により入力する(S106)。施工条件のデータは、柱状改良工事の現場で与えられることが多い「セメント添加量」、「杭径」、「改良深度」及び「配合比(配合量)」であることが好ましい。このキー42は、画面上に表示されたキー部分にタッチすることでキー入力が可能なタッチキー方式のものであるが、表示手段41の表示画面の近傍に操作キーを設けたものであってもよい。カーソルキー42bの操作により画面の入力項目を選択する。例えば、第1から第4の入力表示部41a〜41dにカーソルを移動させることで選択する。選択後、数値キー42a、ENTキー等で数値を入力していく。この入力をすると、数値キー42aに隣接する第1の入力表示部(セメント添加量表示部)41a、第2の入力表示部(杭径表示部)41b、第3の入力表示部(深度表示部)41c、第4の入力表示部(配合比表示部)41dに入力した数値が表示される。全項目の数値が入力されると、制御装置6の第1の演算手段(第1演算プログラム)332により杭一本当たりの積算流量値が自動的に計算され、結果は表示手段41の第5の入力表示部(杭1本当たりの積算流量値表示部)41eに、積算流量値として表示される(S107)。
【0034】
また、この杭1本当たりの積算流量値の計算は、次に示す式1、式2に従って行われる(図5参照)。
【0035】
1m3 当たりのセメントミルク
=(セメント添加量/セメント比重)*(1+3.15*配合比) (式1)
杭一本当たりの積算流量値
=(杭径/2)2 *π*改良深度*1m3 当たりのセメントミルク (式2)
【0036】
例えば、第1の入力表示部(セメント添加量表示部)41aに「300」の数値を、第2の入力表示部(杭径表示部)41bに「600」の数値を、第3の入力表示部(深度表示部)41cに「3.5」の数値を、第4の入力表示部(配合比表示部)41dに「0.7」の数値を入力すると、式1、2に基づいて自動計算され、第5の入力表示部(杭1本当たりの積算流量値表示部)41eに「302」の数値が表示される(図4参照)。
【0037】
また、図4の表示画面で「詳細」ボタンキー42dを押すと、図5にその例を示すが、杭一本当たりの積算流量の計算式が表示される。さらに、図5の表示画面で「配合量」ボタンキー42eを押すと、図6にその一例を示すが、配合量データファイル35に記憶されたセメントと水の配合比(配合量の割合)の詳細データが表示されるようになっている。この図6の表示は、作業者が、地盤の状況を考慮した適切な配合比(配合量)を決める際の参考とすることができる。
【0038】
次に、経過流量を印字(プリント)する機能について説明する。所望のデータを入力し設定後、施工支援システムメニューから「プリント」を選択する(S140)。印刷開始方向の選択を行う(S141)。
【0039】
例えば、印刷開始方向の選択で「下降側」を選択すると図7に示すような画面が表示される。図7は、経過流量プリント機能における条件設定を行うための表示画面図である。この表示画面から、第6の入力表示部41fに深度のデータを、第7の入力表示部41gに積算流量のデータを入力する。なお、下降側を選択した場合、改良深度の数値データは、深度1<深度2、深度2>深度3、深度3<深度4、深度4>深度5、深度5<深度6のような関係になるように入力する。また、積算流量の数値データは、積算流量1<積算流量2、積算流量2<積算流量3、積算流量3<積算流量4、積算流量4<積算流量5、積算流量5<積算流量6のような関係になるように入力する。そして、この表示画面からは、最大2ストローク分の入力が可能になっている。
【0040】
前述したデータを入力した例で説明を行うと、例えば、深度1=0、積算流量1=0、深度2=3.5、積算流量2=151、深度3=0、積算流量3=302のように、第6の入力表示部41fの各入力表示部、第7の入力表示部41gの各入力表示部にデータを入力する。このデータの入力は、カーソルキー42b、数値キー42a、ENTキー等で行う。入力データが正確に入力された場合には、設定キーを押圧操作するとよい。なお、この例では、下降側と上昇側で、同一の積算流量の数値を入力しているが、異なる数値を入力してもよい。
【0041】
戻りキーで所定の画面(図示せず)に戻り、この画面から「経過流量プリント機能」を選択する(S142)。次のような印字をすることができる。すなわち、前述した第1の演算手段(第1演算プログラム)332により計算された「杭一本当たりの積算流量」を所定の経過深度区間(例えば、本実施の形態においては0.5m間隔としている)で分割し、区間ごとの積算流量値を出力手段(プリンタ)43で印字又は印刷することができる。このような区間ごとの積算流量値を予め出力しておくと、実際に地盤改良を施工したときの検出データとの比較が容易である。
【0042】
その印字例を図8に示す。図8は、セメント添加量300kg/m3、杭径φ600mm、改良長(改良深度)L3.5m、配合比W/C0.7の数値を入力し杭一本当たり積算流量を分割した場合の印字例を示す。そして、地盤改良の施工を行う際、掘削時・引き上げ時に、施工前に求めたその深度における通過時の積算流量値が印字された数値を見ながら施工を行うとたいへん便利である。
【0043】
又、図示していない画面から「深度・積算流量対応印字パターン」を選択すると、図9に一例を示すような地盤改良のための昇降動作パターンから選択された動作パターンが、表示手段41に表示されるとともに、出力手段(プリンタ)43で印刷することができる。この動作パターンは1ストロークの動作確認パターンを示すものであり、図示していないが1.5ストローク、2ストローク等の昇降動作パターンも用意されている。入力されたデータが正確であれば、そのデータに従って昇降動作パターンが選択され、表示又は出力(印刷)することができる。このようにすることで、昇降動作をパターンとして容易に確認することができる。図8のような印字例と組み合わせると、施工の状態のイメージを把握するのが容易となる。
【0044】
続いて、フィード速度、瞬時流量計算機能について説明する。なお、フィード速度、瞬時流量計算機能は、経過流量印字(プリント)機能の後に行うことが好ましい。この加工支援システムメニューから「フィード速度、瞬時流量設定選択機能」を選択する(S120)。図10は、その表示画面であり、下降開始時の設定による表示画面を示している。画面の右側に示す「改良深度」入力表示部41hと「積算流量」入力表示部41iに、カーソルキー42b、数値キー42a、ENTキー等で数値を入力する(S121)。入力後、その下部に示される「速度」入力表示部41j又は「瞬時流量」入力表示部41kのいずれか一方に数値を数字キー42a、ENTキー等によって入力すると(S122)、設定した改良深度と設定した積算流量を満たすために必要な理想的速度又は瞬時流量が第2の演算手段(第2演算プログラム)333で自動計算され、表示部41mの1〜2、2〜3、3〜4、・・に表示される。(S123)。なお、杭1本当たりの積算流量値の表示部には、経過流量印字機能で入力された値を表示することが好ましいが、同様な方法で入力してもよい。
【0045】
また、第2の演算手段(第2演算プログラム)では、式3、式4に基づいて自動計算される。
瞬時流量 = 速度*積算流量/改良深度 (式3)
速 度 = 瞬時流量*改良深度/積算流量 (式4)
【0046】
例えば、改良深度「3.5」m、積算流量「151」Lであるとき、「速度」入力表示部41jに「1.0」を入力すると、式3、式4で自動計算がなされ、「速度」入力表示部41jの隣に、瞬時流量「43」が表示される。逆に、改良深度「3.5」m、積算流量「151」Lであるとき、「瞬時流量」入力表示部41kに「43」を入力すると、式3、式4で自動計算がなされ、「瞬時流量」入力表示部41kの隣に速度「1.0」が表示される(図10参照)。
【0047】
この実施の形態では、セメントミルク流量計算機能、プリント機能(深度積算流量印字機能)、フィード速度・瞬時流量計算機能の順に選択していくと、施工条件のデータから施工データが容易に求められ、表示、出力することができる。すなわち、この形態の施工支援システム及び施工支援方法を利用して施工前に、施工データを作成して表示又は出力(印字、印刷)することができるので、地盤改良工事の概要のイメージが施工前につかめる。例えば、深度と積算流量の関係を示す区間ごとの積算流量値、昇降動作パターンなどの表示又は出力(印字、印刷)されたデータを見ることでイメージをつかむことができる。さらに、図7、図10のような表示画面を出力(印刷)しておくとさらによい。
また、この施工支援システム及び施工支援方法を利用して作成された施工データ等は、施工データメモリ34に記憶させることができる。
【0048】
施工データを表示、出力(印字、印刷)等し、施工データを確認した後、施工支援モニター機能を起動させ、地盤改良の施工を行う(S151,S152)。施工支援モニター機能を起動させることで、検出手段(検出センサ)44のデータをモニター(確認)しながら地盤改良を行うことができる。また、施工前に作成された施工データに沿って、施工時に微調整や補正を行うことも容易であり、知識や技量の少し劣る作業者、経験が少し足りない作業者であっても品質の高い地盤改良を容易に行うことができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明の施工支援システムを適用した地盤改良機の全体構成図である。
【図2】図2は、攪拌ヘッドによる掘削、攪拌混合の状態を示す説明図である。
【図3】図3は、施工支援システムのフロー図である。
【図4】図4は、柱状改良施工支援の表示画面図である。
【図5】図5は、杭一本当たりの積算流量計算式を示す表示画面図である。
【図6】図6は、セメントと水の配合比(配合量)を示す表示画面図である。
【図7】図7は、経過流量プリント機能における条件設定を行うための表示画面図である。
【図8】図8は、流量の経過を数値で示す印字例図である。
【図9】図9は、1ストロークの場合における深度、積算流量対応印字パターン例図である。
【図10】図10は、施工流量・フィード速度計算機能を示す表示画面図である。
【図11】図11は、制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1…地盤改良機
2…リーダ
3…攪拌軸
4…駆動装置
5…攪拌ヘッド
6…制御装置
30…CPU
32…ROM
33…RAM
41…表示手段
42…入力手段
43…出力手段(プリンタ)
44…検出手段(検出センサ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤を掘削するとともにセメントミルクを注入し、攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機の制御装置(6)において、
前記制御装置に設けられ、地盤改良のための所定の施工条件のデータを入力する入力手段(42)と、
前記制御装置に設けられ、前記データをもとに、前記セメントミルクの積算流量値を演算する第1の演算手段(30,332)と、
前記制御装置に設けられ、前記第1の演算手段で演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を表示する演算積算流量表示手段(41)とからなり、
前記地盤改良機による地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの積算流量値が求められるようにした
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の地盤改良施工支援システムにおいて、
前記データは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、地盤改良の深度データ、及び、セメントと水の配合比データが含まれているものである
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の地盤改良施工支援システムにおいて、
前記演算積算流量値を、所定の経過深度区間ごとに分割し、前記区間ごとに分割した積算流量値及び/又は昇降動作のパターンを出力するための出力手段(43)を前記制御装置(6)に設けた
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の地盤改良施工支援システムにおいて、
前記演算積算流量値を満足させるために必要な前記地盤改良機の昇降速度及び前記セメントミルクの瞬時流量を、所定の経過深度区間ごとに演算する第2の演算手段と、
前記演算された前記昇降速度及び/又は前記瞬時流量を表示する速度・流量表示手段とを前記制御装置に設けた
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された地盤改良施工支援システムにおいて、
前記入力手段からのデータ入力は、前記表示手段に表示された表示画面の表示内容に基づいて行えるようにした
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項6】
地盤を掘削するとともにセメントミルクを注入し、攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機の制御装置における制御方法において、
前記制御装置に、地盤改良のための所定の施工条件のデータを入力する工程と、
入力した前記データをもとに前記セメントミルクの積算流量値を求めるための演算を行う工程と、
演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を演算積算流量表示手段に表示する工程とからなり、
前記地盤改良機による地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの積算流量値が求められるようにした
ことを特徴とする地盤改良施工支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載の地盤改良施工支援方法において、
前記データは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、掘削の深度データ、及び、セメントと水の配合比データが含まれているものである
ことを特徴とする地盤改良機の施工支援方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の地盤改良施工支援方法において、
演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を所定の経過深度区間ごとに分割し、前記分割された区間ごとの積算流量値を出力するための工程が設けられている
ことを特徴とする地盤改良施工支援方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載された地盤改良施工支援方法において、
前記演算積算流量値を満足させるために必要な前記地盤改良機の昇降速度及び前記セメントミルクの瞬時流量を、所定の経過深度区間ごとに演算するための工程と、
前記演算された前記昇降速度及び/又は前記瞬時流量を表示するための工程を設けた
ことを特徴とする地盤改良施工支援方法。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか1項に記載された地盤改良施工支援方法において、
前記データを入力する工程は、前記表示手段に表示された表示画面の表示内容に基づいて行えるようにしたものである
ことを特徴とする地盤改良施工支援方法。
【請求項1】
地盤を掘削するとともにセメントミルクを注入し、攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機の制御装置(6)において、
前記制御装置に設けられ、地盤改良のための所定の施工条件のデータを入力する入力手段(42)と、
前記制御装置に設けられ、前記データをもとに、前記セメントミルクの積算流量値を演算する第1の演算手段(30,332)と、
前記制御装置に設けられ、前記第1の演算手段で演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を表示する演算積算流量表示手段(41)とからなり、
前記地盤改良機による地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの積算流量値が求められるようにした
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の地盤改良施工支援システムにおいて、
前記データは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、地盤改良の深度データ、及び、セメントと水の配合比データが含まれているものである
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の地盤改良施工支援システムにおいて、
前記演算積算流量値を、所定の経過深度区間ごとに分割し、前記区間ごとに分割した積算流量値及び/又は昇降動作のパターンを出力するための出力手段(43)を前記制御装置(6)に設けた
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の地盤改良施工支援システムにおいて、
前記演算積算流量値を満足させるために必要な前記地盤改良機の昇降速度及び前記セメントミルクの瞬時流量を、所定の経過深度区間ごとに演算する第2の演算手段と、
前記演算された前記昇降速度及び/又は前記瞬時流量を表示する速度・流量表示手段とを前記制御装置に設けた
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載された地盤改良施工支援システムにおいて、
前記入力手段からのデータ入力は、前記表示手段に表示された表示画面の表示内容に基づいて行えるようにした
ことを特徴とする地盤改良施工支援システム。
【請求項6】
地盤を掘削するとともにセメントミルクを注入し、攪拌混合して地盤を改良する地盤改良機の制御装置における制御方法において、
前記制御装置に、地盤改良のための所定の施工条件のデータを入力する工程と、
入力した前記データをもとに前記セメントミルクの積算流量値を求めるための演算を行う工程と、
演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を演算積算流量表示手段に表示する工程とからなり、
前記地盤改良機による地盤改良の施工前に、前記セメントミルクの積算流量値が求められるようにした
ことを特徴とする地盤改良施工支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載の地盤改良施工支援方法において、
前記データは、地盤に注入するセメント添加量データ、地盤に掘削する杭の杭径データ、掘削の深度データ、及び、セメントと水の配合比データが含まれているものである
ことを特徴とする地盤改良機の施工支援方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の地盤改良施工支援方法において、
演算された前記セメントミルクの演算積算流量値を所定の経過深度区間ごとに分割し、前記分割された区間ごとの積算流量値を出力するための工程が設けられている
ことを特徴とする地盤改良施工支援方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載された地盤改良施工支援方法において、
前記演算積算流量値を満足させるために必要な前記地盤改良機の昇降速度及び前記セメントミルクの瞬時流量を、所定の経過深度区間ごとに演算するための工程と、
前記演算された前記昇降速度及び/又は前記瞬時流量を表示するための工程を設けた
ことを特徴とする地盤改良施工支援方法。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか1項に記載された地盤改良施工支援方法において、
前記データを入力する工程は、前記表示手段に表示された表示画面の表示内容に基づいて行えるようにしたものである
ことを特徴とする地盤改良施工支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−336300(P2006−336300A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162241(P2005−162241)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(390025759)株式会社ワイビーエム (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(390025759)株式会社ワイビーエム (26)
【Fターム(参考)】
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