垂直型潤滑剤塗布装置
【課題】垂直に配置されたカッターナイフの下方に配置されたカッターナイフはもとより、上方に配置されたカッターナイフの刃先にも安定的に潤滑剤を塗布する装置を提供する。
【解決手段】垂直な塗布面に潤滑剤を塗布する垂直型潤滑剤塗布装置であって、少なくとも塗布用フェルト材、毛細管用紐、流路、シール材からなり、前記塗布用フェルト材は分割されており、前記流路と前記塗布用フェルト材とは前記毛細管用紐を通じて繋がっている塗布ヘッドを備えたことを特徴とする垂直型潤滑剤塗布装置。
【解決手段】垂直な塗布面に潤滑剤を塗布する垂直型潤滑剤塗布装置であって、少なくとも塗布用フェルト材、毛細管用紐、流路、シール材からなり、前記塗布用フェルト材は分割されており、前記流路と前記塗布用フェルト材とは前記毛細管用紐を通じて繋がっている塗布ヘッドを備えたことを特徴とする垂直型潤滑剤塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器製造工程において、紙容器(更に詳細には、円筒状あるいは楕円筒状の紙容器)の胴部を作製する際に、胴部の原紙を円筒状あるいは楕円筒状に成形して筒状の紙筒とした後、前記紙筒を切断して1個単位の紙容器の胴部を作る際に用いられるカッターナイフの刃に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は円筒状あるいは楕円筒状の紙容器の製造工程の一例を示す。
【0003】
一般的にロール状に巻かれた胴部材用原紙は、その表面及び裏面に例えばポリエチレン樹脂をラミネートして表裏加工され(S1)、次に表裏加工された原紙は搬送されながら筒状に成形され(S2)、その後カッターナイフで紙容器1個分の胴部に切断される(S3)。1個の紙容器の胴部に切断された胴部材は、別途作製された底部と接着され(S4)、その後、胴部開口部のトップカール加工が施され(S5)、紙容器が製造される。その後内容物の充填が行なわれた後、開口部が蓋材と接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−081248号公報
【特許文献2】特開平11−033459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図2は上記筒状に成形された胴部材用原紙から紙容器1個分の胴部に切断された断面を模式的に示す図である。図2に示される紙容器は、胴部用原紙1の内側及び外側にはポリエチレン樹脂2及び3がラミネートされている。切断に用いるカッターナイフには様々な形状のカッターナイフを採用することが出来るが、切断した後の切断面には図3に示すようなポリエチレン樹脂のバリ100が発生することがある。このバリ100はカッターナイフの刃先で先ずポリエチレン樹脂3の層を切り込む際に切断不良が原因となってポリエチレン樹脂3の層の一部が胴部用原紙1から剥離して発生するものである。また内側のポリエチレン樹脂2の層を切断する際にも同様にポリエチレン樹脂のバリが発生する場合がある。更に、胴部用原紙1の表面が破れてキズ付きが発生する場合がある。
【0006】
上記ポリエチレン樹脂2及び3のバリや胴部用原紙のキズ付きはカッターナイフの刃先とポリエチレン樹脂2及び3や胴部用原紙の摩擦が原因となって発生するものである。これを解消するために図4に示すようにカッターナイフ4の刃先5に潤滑剤6を塗布することが行われる。
【0007】
図4に示すようなカッターナイフ4の刃先5に潤滑剤6を塗布する場合には、潤滑剤6をスプレー方式で塗布する方法や、スリット状の隙間から潤滑剤6を接触させて塗布する方法や、潤滑剤6を含侵させた含侵材をカッターナイフ4の刃先5に接触させて塗布する方法がある。
【0008】
上記カッターナイフ4の刃先5に潤滑剤6を塗布する各方法のうち、スプレー方式では潤滑剤6が周囲に飛散にする問題があり、スリット状の隙間から潤滑剤6を押し出して塗布する場合には塗布装置自体が大掛かりなものとなり、設備費用やスペースの問題が発生してしまう。
【0009】
それ故、潤滑剤6を含侵させた含侵材をカッターナイフ4の刃先5に押し当てて塗布する方法が望ましいが、図5に示すように複数のカッターナイフ例えば4−1、及び4−2が水平に配置された場合は潤滑剤6は、含侵材7−1及び7−2に均一に供給することが出来、その結果カッターナイフ4−1、及び4−2の刃先に潤滑剤11−1及び11−2を同量に塗布することが出来る。
【0010】
一方、図6に示すようにカッターナイフ4−1、及び4−2が垂直に配置された場合には、上方に配置されたカッターナイフ4−1に接触させた含侵材7−1には、下方に配置されたカッターナイフ4−2に接触させた含侵材7−2に比較して潤滑剤の供給量が少なくなり、その結果上方に位置する含侵材7−1には、下方に位置する含侵材7−2に比較して潤滑剤の供給量が少なくなる。このため、カッターナイフ4−1に塗布される潤滑剤11−1はカッターナイフ4−2に塗布される潤滑剤11−2より少量となってしまう。少量となった場合には、刃先の一部に潤滑剤が塗布されないという結果となり、上記ポリエチレン樹脂のバリや胴部用原紙の表面が破れてキズ付きが発生する原因となる。一般的に操作性の観点から上記筒状に成形された胴部材用原紙は水平方向に搬送されるためカッターナイフは図6に示されるように垂直に位置される。
【0011】
本発明は係る問題点に鑑みて、垂直に配置されたカッターナイフの下方に配置されたカッターナイフはもとより、上方に配置されたカッターナイフの刃先にも安定的に潤滑剤を塗布する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、垂直な塗布面に潤滑剤を塗布する垂直型潤滑剤塗布装置であって、少なくとも塗布用フェルト材、毛細管用紐、流路、シール材からなり、前記塗布用フェルト材は分割されており、前記流路と前記塗布用フェルト材とは前記毛細管用紐を通じて繋がっている塗布ヘッドを備えたことを特徴とする垂直型潤滑剤塗布装置である。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、前記毛細管用紐は、フェルト材であることを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置である。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、前記塗布用フェルト材は垂直な塗布面に沿って配置されたことを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置である。
【0015】
本発明の請求項4に係る発明は、前記垂直な塗布面に前記塗布用フェルト材を押圧して潤滑剤を塗布することを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置である。
【0016】
本発明の請求項5に係る発明は、前記塗布ヘッドを複数備えたことを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の垂直型潤滑剤塗布装置によれば、円筒状あるいは楕円筒状に成形された紙筒を切断して1個単位の紙容器の胴部を作る際に用いられる複数のカッターナイフの刃が垂直に配置された場合においても、下方に配置されたカッターナイフはもとより、上方に配置されたカッターナイフの刃先にも安定的に潤滑剤を塗布することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】円筒状あるいは楕円筒状の紙容器の製造工程の一例を示す図。
【図2】筒状に成形された胴部材用原紙から紙容器1個分の胴部に切断された断面を模式的に示す図。
【図3】切断した後の切断面に発生したポリエチレン樹脂のバリを示す図。
【図4】カッターナイフを示す図。
【図5】カッターナイフが水平に配置された場合を示す図。
【図6】カッターナイフが垂直に配置された場合図。
【図7】本発明に係る垂直型潤滑剤塗布装置の概略構成を示す図。
【図8】本発明に係る塗布ヘッドを側面から見た模式図。
【図9】(a)は本発明に係る塗布ヘッドの一例を正面から見た模式図。(b)は塗布ヘッド、カッターナイフ、紙筒の位置関係を示す図。
【図10】本発明に係る垂直型潤滑剤塗布装置を使用してカッターナイフの刃先に潤滑剤を塗布し、紙筒を切断する動作フローを示す図。
【図11】(a)はカッターナイフの刃先に塗布用フェルト材を押圧することを示す図。(b)は塗布された潤滑剤がカッターナイフの他の片面に回りこむことを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
図7は本発明に係る垂直型潤滑剤塗布装置の概略構成を示す図である。潤滑剤貯蔵タンク21に貯蔵される潤滑剤はポンプ22によって送液され、配管23、電磁弁24、配管25を介して塗布ヘッド26に供給される。紙筒成形装置(図示せず)から出力される紙筒有無信号27が“無”の場合にはタイマー28が作動し設定時間後に電磁弁24が「閉」となって潤滑剤は塗布ヘッド26に供給されない。紙筒有無信号27が“有”の場合は電磁弁24は「開」となって、常時潤滑剤は塗布ヘッド26に供給される。垂直型潤滑剤塗布装置は図示されない制御部によって動作制御される。尚、潤滑剤を塗布ヘッド26に送液する方法及び制御は適宜、既存の技術を採用すればよい。
【0021】
図8は本発明に係る塗布ヘッドの断面を示す模式図を示す。塗布ヘッドは複数の塗布用フェルト材31、毛細管用紐32、流路33、シール材34からなり、前記塗布用フェルト材31は31−1〜31−4に分割されており、前記流路33と前記塗布用フェルト材31とは前記毛細管用紐32を通じて繋がっている。ここで、毛細管用紐32は糸状のフェルト材を紐に編んだものを用いることによって良好な毛細管効果が得られ、その結果塗布用フェルト材31に潤滑剤を送り込むことが出来る。
【0022】
潤滑剤としては、紙容器の内面塗布に使用される流動パラフィンを用いることが出来る。
【0023】
塗布用フェルト材31は31−1〜31−4に分割されることによって、上方に位置する塗布用フェルト材31−1と下方に位置する塗布用フェルト材31−4の潤滑剤の量を同じく保つことが出来る。
【0024】
流路33は流路形成シール部材A35と、流路33を挟んで対向する流路形成シール部材B36によって形成され、シール材34によってシールされる。シール材34には一般的に使用されるOリング(オーリング)を用いることによって潤滑剤の漏れを防ぐことが出来る。
【0025】
図9(a)は本発明に係る塗布ヘッドの一例を正面から見た模式図である。図9(b)は塗布ヘッド、カッターナイフ、紙筒の位置関係を示す図である。図9(a)に示される塗布ヘッドは塗布用フェルト材を31−1〜31−8までの8個を有する例であって、塗布面である各カッターナイフ41−1〜41−8の刃先に沿って近接した位置に配置されている。50は円筒状に成形された紙筒を示し、カッターナイフ41−1〜41−8及び
それに近接した塗布用フェルト材31−1〜31−8が紙筒50を囲むようにその外周の近傍に配置されている。
【0026】
上記紙筒50は図9(a)に示されるカッターナイフ41−1〜41−8の移動方向を示す矢印51−1〜51−8の方向に移動することによって切断される。
【0027】
図10に本発明に係る垂直型潤滑剤塗布装置を使用してカッターナイフの刃先に潤滑剤を塗布し、紙筒を切断する動作フローを示す。
【0028】
先ず、カッターナイフの刃先と塗布ヘッドが接触していない状態から、カッターナイフの刃先に塗布ヘッドが水平移動し(C1)、次にカッターナイフの刃先に塗布ヘッドの塗布用フェルト材が押圧され潤滑剤が塗布される(C2)。潤滑剤が塗布された後、塗布ヘッドがステップ(C1)と逆方向に水平移動し塗布用フェルト材がカッターナイフの刃先から離れる(C3)。一方紙筒は搬送されており(C4)、紙筒位置センサーが切断位置を検知し(C5)、ステップ(C2)で既に潤滑剤が塗布されているカッターナイフは、紙筒の搬送方向と同じ方向にしかも同速度で水平に移動し(C6)、カッターナイフが移動しながら紙筒を切断する(C7)。切断後カッターナイフは紙筒の外周外側に戻る(図9の矢印51−1〜51−8と逆方向に戻る)(C8)。その後カッターナイフは原点(ステップ(C5)で移動する前の位置)に戻り(C9)、その後ステップ(C1)に移行する。
【0029】
上記ではカッターナイフの刃先の片面に塗布用フェルト材を押圧して潤滑剤を塗布する場合を例示したが、図11(a)に示すようにカッターナイフ(例えば41−1)の刃先に塗布用フェルト材(例えば31−1)を押圧することによって、図11(b)に示すように塗布された潤滑剤60は他の片面に回りこむことが出来るため、両面に塗布用フェルト材を接触させる必要はない。
【0030】
カッターナイフは、上記の説明による形状及び刃先の構造に限定されるものではない。
【0031】
カッターナイフは、紙筒の搬送方向と同じ方向にしかも同速度で水平に移動し、カッターナイフが移動しながら紙筒を切断する場合を例示したが、これに限定されるのもではなく、カッターナイフを移動せず、固定された位置で紙筒を切断し、紙筒を間歇搬送しても良い。
【0032】
更に塗布ヘッドは1個の場合を例示したが、生産効率を考慮して前記塗布ヘッドを複数備えることが望ましい。
【0033】
このように本発明の垂直型潤滑剤塗布装置によれば、円筒状あるいは楕円筒状に成形された紙筒を切断して1個単位の紙容器の胴部を作る際に用いられる複数のカッターナイフの刃が垂直に配置された場合においても、下方に配置されたカッターナイフはもとより、上方に配置されたカッターナイフの刃先にも安定的に潤滑剤を塗布することが出来る。その結果ポリエチレン樹脂のバリや胴部用原紙の表面が破れてキズ付きが発生することを防止することが出来る
【符号の説明】
【0034】
1・・・胴部用原紙
2、3・・・ポリエチレン樹脂
4・・・カッターナイフ
4−1、4−2・・・カッターナイフ
5・・・カッターナイフの刃先
6・・・潤滑剤
7−1,7−2・・・含侵材
11−1,11−2・・・カッターナイフに塗布される潤滑剤
21・・・潤滑剤貯蔵タンク
22・・・ポンプ
23、25・・・配管
24・・・電磁弁
26・・・塗布ヘッド
27・・・紙筒有無信号
28・・・タイマー
31・・・複数の塗布用フェルト材
31−1〜31−8・・・分割されたフェルト材
32・・・毛細管用紐
33・・・流路
34・・・シール材
35・・・流路形成シール部材A
36・・・流路形成シール部材B
41−1〜41−8・・・カッターナイフ
50・・・円筒状に成形された紙筒
51−1〜51−8・・・カッターナイフ41−1〜41−8の移動方向を示す矢印
60・・・カッターナイフの両面に塗布された潤滑剤
100・・・ポリエチレン樹脂のバリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器製造工程において、紙容器(更に詳細には、円筒状あるいは楕円筒状の紙容器)の胴部を作製する際に、胴部の原紙を円筒状あるいは楕円筒状に成形して筒状の紙筒とした後、前記紙筒を切断して1個単位の紙容器の胴部を作る際に用いられるカッターナイフの刃に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は円筒状あるいは楕円筒状の紙容器の製造工程の一例を示す。
【0003】
一般的にロール状に巻かれた胴部材用原紙は、その表面及び裏面に例えばポリエチレン樹脂をラミネートして表裏加工され(S1)、次に表裏加工された原紙は搬送されながら筒状に成形され(S2)、その後カッターナイフで紙容器1個分の胴部に切断される(S3)。1個の紙容器の胴部に切断された胴部材は、別途作製された底部と接着され(S4)、その後、胴部開口部のトップカール加工が施され(S5)、紙容器が製造される。その後内容物の充填が行なわれた後、開口部が蓋材と接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−081248号公報
【特許文献2】特開平11−033459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図2は上記筒状に成形された胴部材用原紙から紙容器1個分の胴部に切断された断面を模式的に示す図である。図2に示される紙容器は、胴部用原紙1の内側及び外側にはポリエチレン樹脂2及び3がラミネートされている。切断に用いるカッターナイフには様々な形状のカッターナイフを採用することが出来るが、切断した後の切断面には図3に示すようなポリエチレン樹脂のバリ100が発生することがある。このバリ100はカッターナイフの刃先で先ずポリエチレン樹脂3の層を切り込む際に切断不良が原因となってポリエチレン樹脂3の層の一部が胴部用原紙1から剥離して発生するものである。また内側のポリエチレン樹脂2の層を切断する際にも同様にポリエチレン樹脂のバリが発生する場合がある。更に、胴部用原紙1の表面が破れてキズ付きが発生する場合がある。
【0006】
上記ポリエチレン樹脂2及び3のバリや胴部用原紙のキズ付きはカッターナイフの刃先とポリエチレン樹脂2及び3や胴部用原紙の摩擦が原因となって発生するものである。これを解消するために図4に示すようにカッターナイフ4の刃先5に潤滑剤6を塗布することが行われる。
【0007】
図4に示すようなカッターナイフ4の刃先5に潤滑剤6を塗布する場合には、潤滑剤6をスプレー方式で塗布する方法や、スリット状の隙間から潤滑剤6を接触させて塗布する方法や、潤滑剤6を含侵させた含侵材をカッターナイフ4の刃先5に接触させて塗布する方法がある。
【0008】
上記カッターナイフ4の刃先5に潤滑剤6を塗布する各方法のうち、スプレー方式では潤滑剤6が周囲に飛散にする問題があり、スリット状の隙間から潤滑剤6を押し出して塗布する場合には塗布装置自体が大掛かりなものとなり、設備費用やスペースの問題が発生してしまう。
【0009】
それ故、潤滑剤6を含侵させた含侵材をカッターナイフ4の刃先5に押し当てて塗布する方法が望ましいが、図5に示すように複数のカッターナイフ例えば4−1、及び4−2が水平に配置された場合は潤滑剤6は、含侵材7−1及び7−2に均一に供給することが出来、その結果カッターナイフ4−1、及び4−2の刃先に潤滑剤11−1及び11−2を同量に塗布することが出来る。
【0010】
一方、図6に示すようにカッターナイフ4−1、及び4−2が垂直に配置された場合には、上方に配置されたカッターナイフ4−1に接触させた含侵材7−1には、下方に配置されたカッターナイフ4−2に接触させた含侵材7−2に比較して潤滑剤の供給量が少なくなり、その結果上方に位置する含侵材7−1には、下方に位置する含侵材7−2に比較して潤滑剤の供給量が少なくなる。このため、カッターナイフ4−1に塗布される潤滑剤11−1はカッターナイフ4−2に塗布される潤滑剤11−2より少量となってしまう。少量となった場合には、刃先の一部に潤滑剤が塗布されないという結果となり、上記ポリエチレン樹脂のバリや胴部用原紙の表面が破れてキズ付きが発生する原因となる。一般的に操作性の観点から上記筒状に成形された胴部材用原紙は水平方向に搬送されるためカッターナイフは図6に示されるように垂直に位置される。
【0011】
本発明は係る問題点に鑑みて、垂直に配置されたカッターナイフの下方に配置されたカッターナイフはもとより、上方に配置されたカッターナイフの刃先にも安定的に潤滑剤を塗布する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、垂直な塗布面に潤滑剤を塗布する垂直型潤滑剤塗布装置であって、少なくとも塗布用フェルト材、毛細管用紐、流路、シール材からなり、前記塗布用フェルト材は分割されており、前記流路と前記塗布用フェルト材とは前記毛細管用紐を通じて繋がっている塗布ヘッドを備えたことを特徴とする垂直型潤滑剤塗布装置である。
【0013】
本発明の請求項2に係る発明は、前記毛細管用紐は、フェルト材であることを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置である。
【0014】
本発明の請求項3に係る発明は、前記塗布用フェルト材は垂直な塗布面に沿って配置されたことを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置である。
【0015】
本発明の請求項4に係る発明は、前記垂直な塗布面に前記塗布用フェルト材を押圧して潤滑剤を塗布することを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置である。
【0016】
本発明の請求項5に係る発明は、前記塗布ヘッドを複数備えたことを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の垂直型潤滑剤塗布装置によれば、円筒状あるいは楕円筒状に成形された紙筒を切断して1個単位の紙容器の胴部を作る際に用いられる複数のカッターナイフの刃が垂直に配置された場合においても、下方に配置されたカッターナイフはもとより、上方に配置されたカッターナイフの刃先にも安定的に潤滑剤を塗布することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】円筒状あるいは楕円筒状の紙容器の製造工程の一例を示す図。
【図2】筒状に成形された胴部材用原紙から紙容器1個分の胴部に切断された断面を模式的に示す図。
【図3】切断した後の切断面に発生したポリエチレン樹脂のバリを示す図。
【図4】カッターナイフを示す図。
【図5】カッターナイフが水平に配置された場合を示す図。
【図6】カッターナイフが垂直に配置された場合図。
【図7】本発明に係る垂直型潤滑剤塗布装置の概略構成を示す図。
【図8】本発明に係る塗布ヘッドを側面から見た模式図。
【図9】(a)は本発明に係る塗布ヘッドの一例を正面から見た模式図。(b)は塗布ヘッド、カッターナイフ、紙筒の位置関係を示す図。
【図10】本発明に係る垂直型潤滑剤塗布装置を使用してカッターナイフの刃先に潤滑剤を塗布し、紙筒を切断する動作フローを示す図。
【図11】(a)はカッターナイフの刃先に塗布用フェルト材を押圧することを示す図。(b)は塗布された潤滑剤がカッターナイフの他の片面に回りこむことを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
図7は本発明に係る垂直型潤滑剤塗布装置の概略構成を示す図である。潤滑剤貯蔵タンク21に貯蔵される潤滑剤はポンプ22によって送液され、配管23、電磁弁24、配管25を介して塗布ヘッド26に供給される。紙筒成形装置(図示せず)から出力される紙筒有無信号27が“無”の場合にはタイマー28が作動し設定時間後に電磁弁24が「閉」となって潤滑剤は塗布ヘッド26に供給されない。紙筒有無信号27が“有”の場合は電磁弁24は「開」となって、常時潤滑剤は塗布ヘッド26に供給される。垂直型潤滑剤塗布装置は図示されない制御部によって動作制御される。尚、潤滑剤を塗布ヘッド26に送液する方法及び制御は適宜、既存の技術を採用すればよい。
【0021】
図8は本発明に係る塗布ヘッドの断面を示す模式図を示す。塗布ヘッドは複数の塗布用フェルト材31、毛細管用紐32、流路33、シール材34からなり、前記塗布用フェルト材31は31−1〜31−4に分割されており、前記流路33と前記塗布用フェルト材31とは前記毛細管用紐32を通じて繋がっている。ここで、毛細管用紐32は糸状のフェルト材を紐に編んだものを用いることによって良好な毛細管効果が得られ、その結果塗布用フェルト材31に潤滑剤を送り込むことが出来る。
【0022】
潤滑剤としては、紙容器の内面塗布に使用される流動パラフィンを用いることが出来る。
【0023】
塗布用フェルト材31は31−1〜31−4に分割されることによって、上方に位置する塗布用フェルト材31−1と下方に位置する塗布用フェルト材31−4の潤滑剤の量を同じく保つことが出来る。
【0024】
流路33は流路形成シール部材A35と、流路33を挟んで対向する流路形成シール部材B36によって形成され、シール材34によってシールされる。シール材34には一般的に使用されるOリング(オーリング)を用いることによって潤滑剤の漏れを防ぐことが出来る。
【0025】
図9(a)は本発明に係る塗布ヘッドの一例を正面から見た模式図である。図9(b)は塗布ヘッド、カッターナイフ、紙筒の位置関係を示す図である。図9(a)に示される塗布ヘッドは塗布用フェルト材を31−1〜31−8までの8個を有する例であって、塗布面である各カッターナイフ41−1〜41−8の刃先に沿って近接した位置に配置されている。50は円筒状に成形された紙筒を示し、カッターナイフ41−1〜41−8及び
それに近接した塗布用フェルト材31−1〜31−8が紙筒50を囲むようにその外周の近傍に配置されている。
【0026】
上記紙筒50は図9(a)に示されるカッターナイフ41−1〜41−8の移動方向を示す矢印51−1〜51−8の方向に移動することによって切断される。
【0027】
図10に本発明に係る垂直型潤滑剤塗布装置を使用してカッターナイフの刃先に潤滑剤を塗布し、紙筒を切断する動作フローを示す。
【0028】
先ず、カッターナイフの刃先と塗布ヘッドが接触していない状態から、カッターナイフの刃先に塗布ヘッドが水平移動し(C1)、次にカッターナイフの刃先に塗布ヘッドの塗布用フェルト材が押圧され潤滑剤が塗布される(C2)。潤滑剤が塗布された後、塗布ヘッドがステップ(C1)と逆方向に水平移動し塗布用フェルト材がカッターナイフの刃先から離れる(C3)。一方紙筒は搬送されており(C4)、紙筒位置センサーが切断位置を検知し(C5)、ステップ(C2)で既に潤滑剤が塗布されているカッターナイフは、紙筒の搬送方向と同じ方向にしかも同速度で水平に移動し(C6)、カッターナイフが移動しながら紙筒を切断する(C7)。切断後カッターナイフは紙筒の外周外側に戻る(図9の矢印51−1〜51−8と逆方向に戻る)(C8)。その後カッターナイフは原点(ステップ(C5)で移動する前の位置)に戻り(C9)、その後ステップ(C1)に移行する。
【0029】
上記ではカッターナイフの刃先の片面に塗布用フェルト材を押圧して潤滑剤を塗布する場合を例示したが、図11(a)に示すようにカッターナイフ(例えば41−1)の刃先に塗布用フェルト材(例えば31−1)を押圧することによって、図11(b)に示すように塗布された潤滑剤60は他の片面に回りこむことが出来るため、両面に塗布用フェルト材を接触させる必要はない。
【0030】
カッターナイフは、上記の説明による形状及び刃先の構造に限定されるものではない。
【0031】
カッターナイフは、紙筒の搬送方向と同じ方向にしかも同速度で水平に移動し、カッターナイフが移動しながら紙筒を切断する場合を例示したが、これに限定されるのもではなく、カッターナイフを移動せず、固定された位置で紙筒を切断し、紙筒を間歇搬送しても良い。
【0032】
更に塗布ヘッドは1個の場合を例示したが、生産効率を考慮して前記塗布ヘッドを複数備えることが望ましい。
【0033】
このように本発明の垂直型潤滑剤塗布装置によれば、円筒状あるいは楕円筒状に成形された紙筒を切断して1個単位の紙容器の胴部を作る際に用いられる複数のカッターナイフの刃が垂直に配置された場合においても、下方に配置されたカッターナイフはもとより、上方に配置されたカッターナイフの刃先にも安定的に潤滑剤を塗布することが出来る。その結果ポリエチレン樹脂のバリや胴部用原紙の表面が破れてキズ付きが発生することを防止することが出来る
【符号の説明】
【0034】
1・・・胴部用原紙
2、3・・・ポリエチレン樹脂
4・・・カッターナイフ
4−1、4−2・・・カッターナイフ
5・・・カッターナイフの刃先
6・・・潤滑剤
7−1,7−2・・・含侵材
11−1,11−2・・・カッターナイフに塗布される潤滑剤
21・・・潤滑剤貯蔵タンク
22・・・ポンプ
23、25・・・配管
24・・・電磁弁
26・・・塗布ヘッド
27・・・紙筒有無信号
28・・・タイマー
31・・・複数の塗布用フェルト材
31−1〜31−8・・・分割されたフェルト材
32・・・毛細管用紐
33・・・流路
34・・・シール材
35・・・流路形成シール部材A
36・・・流路形成シール部材B
41−1〜41−8・・・カッターナイフ
50・・・円筒状に成形された紙筒
51−1〜51−8・・・カッターナイフ41−1〜41−8の移動方向を示す矢印
60・・・カッターナイフの両面に塗布された潤滑剤
100・・・ポリエチレン樹脂のバリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直な塗布面に潤滑剤を塗布する垂直型潤滑剤塗布装置であって、少なくとも塗布用フェルト材、毛細管用紐、流路、シール材からなり、前記塗布用フェルト材は分割されており、前記流路と前記塗布用フェルト材とは前記毛細管用紐を通じて繋がっている塗布ヘッドを備えたことを特徴とする垂直型潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
前記毛細管用紐は、フェルト材であることを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
前記塗布用フェルト材は垂直な塗布面に沿って配置されたことを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
前記垂直な塗布面に前記塗布用フェルト材を押圧して潤滑剤を塗布することを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置。
【請求項5】
前記塗布ヘッドを複数備えたことを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置。
【請求項1】
垂直な塗布面に潤滑剤を塗布する垂直型潤滑剤塗布装置であって、少なくとも塗布用フェルト材、毛細管用紐、流路、シール材からなり、前記塗布用フェルト材は分割されており、前記流路と前記塗布用フェルト材とは前記毛細管用紐を通じて繋がっている塗布ヘッドを備えたことを特徴とする垂直型潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
前記毛細管用紐は、フェルト材であることを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
前記塗布用フェルト材は垂直な塗布面に沿って配置されたことを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
前記垂直な塗布面に前記塗布用フェルト材を押圧して潤滑剤を塗布することを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置。
【請求項5】
前記塗布ヘッドを複数備えたことを特徴とする請求項1記載の垂直型潤滑剤塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−24733(P2012−24733A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168114(P2010−168114)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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