説明

垂直磁気記録媒体およびその製造方法

【課題】 生産性の高いメッキ技術による軟磁性裏打ち層を有する垂直磁気記録媒体であって、ノイズ、特にスパイクノイズを抑制した垂直磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】 本垂直磁気記録媒体は、無電解メッキによって作製された軟磁性裏打ち層であって、その下面側部分が上面側部分に比し低い保磁力(Hc)を有する軟磁性裏打ち層を垂直磁気記録層の下側に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録層の下側に軟磁性裏打ち層が形成された垂直磁気記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録の高密度化を実現するための技術として、従来の長手磁気記録方式に代えて、垂直磁気記録方式が注目されつつある(たとえば非特許文献1参照。)特に、情報記録を担う垂直磁気記録層の下側に、磁気ヘッドから発生する磁束を通しやすい軟磁性裏打ち層と呼ばれる軟磁性膜を付与した垂直磁気記録媒体は2層垂直磁気記録媒体と呼ばれることがあり、磁気ヘッドから発生する磁界の強度とその勾配を増大でき、記録分解能を向上させ得るとともに媒体からの漏洩磁束も増加させ得ることから、高密度記録が可能な垂直磁気記録媒体として好適である。
【特許文献1】特開平6−180834号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平10−214719号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】先端デバイス材料ハンドブック,電子情報通信学会編,オーム社,1993年,p.334−338
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のごとく、垂直磁気記録媒体に軟磁性裏打ち層として軟磁性膜を付与することは記録再生特性の向上に非常に効果的であるが、その適当とされる膜厚は約200〜400nm以上と記録層と比較して倍以上の厚さが必要であり、従来の媒体各層の成膜に用いられるスパッタリング法でそのすべてを形成すると生産コストが非常に割高となり、量産化が困難である。
【0004】
これに対し、無電解メッキ法は、成膜スピードが大きく、容易に厚膜を得ることができ、なおかつバッチ処理が可能であるため非常に生産性に優れる。しかしながら、従来の無電解メッキ法により、軟磁性膜を、単層でもしくは単一の条件で成膜して軟磁性裏打ち層に用いようとした場合、軟磁性裏打ち層に必要な条件である磁区の安定性、磁気異方性の制御および低保磁力化といった条件を全て満足させることは困難であり、軟磁性裏打ち層起因のノイズが低減できないという課題があった。
【0005】
このような軟磁性裏打ち層起因のノイズとしては、スパイクノイズ、消磁時のノイズ、広域トラックイレーズノイズ(WATER:Wide−Area Track Noise)を挙げることができる。スパイクノイズとは、磁区の形成により生じるノイズで、軟磁性裏打ち層に形成された磁壁により生じるものであることが知られている。消磁時のノイズとは、DCイレーズ等の消磁時に残存するノイズで、S/N比を悪化させる原因となる。一般的には垂直方向の磁気異方性が小さい方がノイズを小さくできるとされている。広域トラックイレーズノイズとは、情報の記録時に本来記録されるべきビットから離れた広い範囲のビットの磁化が減磁あるいは消磁されてしまう現象で、面方向の磁気異方性が大きい方がノイズを小さくできると考えられている。
【0006】
このような軟磁性裏打ち層の磁壁形成の制御については、軟磁性裏打ち層の上層や下層にCo合金等の強磁性層を形成し、これを所望の方向に磁化させるように着磁する方法や、同様に、反強磁性薄膜を形成し層間の交換結合を利用して磁化を一方向に固定する方法(たとえば特許文献1,2参照。)などが提案されているが、構成が複雑であったり、高コストである等の問題があり、更に、高品質化への強い要請もあって、ノイズを低減させる技術へのニーズは強い。
【0007】
本発明は、上記ニーズに応え、生産性の高いメッキ技術による軟磁性裏打ち層を有する垂直磁気記録媒体であって、ノイズ、特にスパイクノイズを抑制し、更にその他のノイズの抑制も容易にできる、垂直磁気記録媒体を提供することを目的としている。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によれば、垂直磁気記録層の下側に軟磁性裏打ち層を有する垂直磁気記録媒体であって、軟磁性裏打ち層が無電解メッキによって作製されたものであり、軟磁性裏打ち層の下面側部分が上面側部分に比し低い保磁力(Hc)を有する垂直磁気記録媒体が提供される。
【0009】
本発明態様により、生産性の高いメッキ技術による軟磁性裏打ち層を有する垂直磁気記録媒体であって、ノイズ、特にスパイクノイズを抑制した垂直磁気記録媒体が得られる。更にその他のノイズの抑制も容易にできる場合もあり得る。
【0010】
無電解メッキが、実質的に同一組成のメッキ液を使用して行われたものであること、無電解メッキが、メッキ浴から被メッキ物を取り出すことなく行われたものであること、軟磁性裏打ち層の下面側部分のHcが5Oe以下であること、軟磁性裏打ち層の上面側部分のHcが10Oe以上であること、軟磁性裏打ち層が、その上面側部分に比し低い保磁力(Hc)を有する中間部分を有すること、膜厚が、下面側部分については0.1〜1.0μmの範囲、上面側部分については0.1〜1.0μmの範囲にあること、軟磁性裏打ち層が、Fe,CoおよびNiからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料を含むことおよび、軟磁性裏打ち層がさらにBとPの少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の他の一態様によれば、上記垂直磁気記録媒体の製造方法において、無電解メッキにおける、メッキ液濃度、メッキ液温度、付与する磁界およびメッキ浴の撹拌条件からなる群から選ばれた少なくとも一つの条件を変更して、上記下面側部分と上面側部分とを作製する垂直磁気記録媒体の製造方法が提供される。
【0012】
本発明態様により、ノイズ、特にスパイクノイズを抑制した垂直磁気記録媒体を、生産性よく得ることができる。
【0013】
めっき液として、Fe,CoおよびNiからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料の塩を含むめっき液を使用することおよび、メッキの還元剤としてBを含有する化合物とPを含有する化合物の少なくともいずれか一方を使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、生産性の高いメッキ技術による軟磁性裏打ち層を有する垂直磁気記録媒体であって、ノイズ、特にスパイクノイズを抑制した垂直磁気記録媒体が得られる。更にその他のノイズの抑制も容易にできる場合もあり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を図、表、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、表、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0016】
本発明に係る垂直磁気記録媒体は、図1に例示するように、垂直磁気記録層の下側に軟磁性裏打ち層を有し、軟磁性裏打ち層の下面側部分が上面側部分に比し低い保磁力(Hc)を有する。軟磁性裏打ち層は無電解メッキによって作製される。
【0017】
図1には、基板1の上に軟磁性裏打ち層の下面側部分2,軟磁性裏打ち層の上面側部分3,第1中間層(NiFe)5,第2中間層(Ta)6,第3中間層(Ru)7,垂直磁気記録層(CoCrPt−SiO2)8を積層した断面構造が示されている。下面側部分2と上面側部分3とで軟磁性裏打ち層4が構成されている。なお、図1はあくまで例示である。本発明に係る垂直磁気記録媒体は、本発明の趣旨に反しない限り、上記と異なる構成でもよく、その他の層を含んでいてもよい。
【0018】
このような構造にすることにより、磁壁の発生を抑えスパイクノイズを抑制することができる。表1は、相対的に低いHcの軟磁性膜(条件1)と相対的に高いHcの軟磁性膜(条件2)と、条件1の膜を下側に、条件2の膜を上側に積層した軟磁性膜(条件3)についての成膜条件およびHc値を示す例であり、図2はそれらの磁気光学Kerr効果による観察結果を示す写真である。
【0019】
条件1の写真では磁壁が観察されている。条件2の写真では磁壁が観察されなくなるが、表1に示すごとくHcが大きく軟磁性膜の特徴を損なっている。これに対し、これら二つの条件の膜を積層した条件3の膜では、磁壁は観察されず、しかも、Hcを低く抑えることが可能であった。
【0020】
すなわち、軟磁性膜としての性能を確保しつつスパイクノイズを抑制できることが判明した。また、この構成では、下面側部分のHcを低くすることにより、上面側部分のHcに関する制限を緩和することができるので、別の磁気特性を付与することが容易になる。たとえば、面内方向の磁気異方性を大きくして、スパイクノイズの発生しない条件で高い面内の磁気異方性を実現することが可能となる。このようにすればWATERを抑制することも可能となる。
【0021】
下面側部分のHcについては、上記条件を満たす限り特に制限はないが、あまり大きいと軟磁性裏打ち層全体としてのHcも大きくなるので、5Oe以下であることが好ましい。
【0022】
上面側部分のHcについても、上記条件を満たす限り特に制限はないが、あまり小さいと、本発明に係る構成を採用する意義が薄れるので、一般的には10Oe以上であることが好ましい。
【0023】
なお、図1では、下面側部分2と上面側部分3とが明確に分けて示してあるが、この層分けは便宜上のものであり、明確に分かれている必要はない。たとえばHcが下面側から上面側に向け次第に大きくなるようになっていてもよい。
【0024】
また、下面側部分と上面側部分との間に中間部分と呼ぶことのできる部分が存在してもよい。下面側部分と中間部分と上面側部分とは、Hcが段階的に変化していてもよいが、次第に変化するようになっていてもよい。そのいずれの場合についても、中間部分としては、上面側部分に比し低いHcを有することがスパイクノイズ抑制の上からは好ましい。ただし、そのHcは、下面側部分に比し低くても高くてもよい。
【0025】
下面側部分と上面側部分との膜厚については、特に制限はなく、垂直磁気記録媒体用の軟磁性裏打ち層に必要とされる膜厚を採用すればよい。一般的には、下面側部分については0.1〜1.0μmの範囲、上面側部分については0.1〜1.0μmの範囲、軟磁性裏打ち層全体としては0.2〜2.0μmの範囲にあることが好ましい。
【0026】
なお、本発明において、下面側部分と上面側部分との比較におけるHcの値は、得られた軟磁性裏打ち層から切り出した部分について測定する必要はなく、下面側部分と上面側部分とがそれぞれ形成される条件で得られた単独の薄膜について測定したHcの値を使用すればよい。
【0027】
本発明に係る軟磁性裏打ち層は、Fe,CoおよびNiからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料を含むものであることが好ましい。このような組成により、好ましい特性を有する軟磁性裏打ち層が得られる。この軟磁性裏打ち層はBとPの少なくともいずれか一方を含むことがより好ましい。これらの材料により、上記のHcの組み合わせを容易に実現できる。これらの材料は、複数種存在する場合には合金の形態を取るものと考えられる。
【0028】
上記軟磁性裏打ち層中の各材料の組成割合については特に制限はなく、裏打ち膜としての所望の特性に応じて任意に選択することができる。
【0029】
垂直磁気記録媒体の製造において、本発明に係る軟磁性裏打ち層を作製するには、公知のメッキ技術を採用することができ、上記下面側部分の特性と上面側部分の特性とは、メッキ条件を変更することにより種々変更することができる。このため、ノイズ、特にスパイクノイズを抑制した垂直磁気記録媒体を、生産性よく得ることができる。
【0030】
変更できるメッキ条件としては、無電解メッキにおける、メッキ液の組成、メッキ液濃度、メッキ液温度、付与する磁界およびメッキ浴の撹拌条件を挙げることができる。この内、メッキ液の組成は変更が容易でない場合があるが、その他の条件である、メッキ液濃度、メッキ液温度、付与する磁界およびメッキ浴の撹拌条件については一般に変更が容易である。従って、本発明に係る垂直磁気記録媒体の製造方法において、無電解メッキにおける、メッキ液濃度、メッキ液温度、付与する磁界およびメッキ浴の撹拌条件からなる群から選ばれた少なくとも一つの条件を変更して、上記下面側部分と上面側部分とを作製することは、好ましい特性の軟磁性裏打ち層を容易に作製でき、従って、好ましい特性を有する垂直磁気記録媒体を容易に作製できるので有用である。
【0031】
メッキ液の組成変更以外の条件変更は、メッキ浴から被メッキ物を取り出すことなく行ってもよい。このようにすると生産性を高くでき、有利である。特に、メッキ液温度、付与する磁界およびメッキ浴の撹拌条件は、実質的に同一組成のメッキ液を使用したまま行えるため有利である。これらの条件にメッキ浴の温度およびメッキ液のpHを加えてもよい。ここで、「実質的に」とは、バッチ操作のメッキ中に最初の組成が次第に変化する程度の変化は同一であると見なせることを意味する。より具体的には、Hcと異方性磁界とが目標とする範囲内に収まっていれば実質的に同一組成と考えて差し支えない。
【0032】
付与する磁界としては、磁界強度、磁界を掛ける方向等の条件を変更することができる。メッキ浴の撹拌条件としては、メッキ液循環量、メッキ浴に備えた撹拌機の撹拌速度および基板回転速度を挙げることができる。
【0033】
上記条件の変更は、めっき液濃度を変更する場合を除いて、メッキ膜の組成変更を実質的に伴わない。従って、下面側部分と上面側部分とは化学分析では区別できない。上記条件変更をある程度の時間を掛けて行う場合には、Hcの値の変化も段階的ではなく、次第に変化するものとなる。
【0034】
このメッキには、公知のメッキ液組成を使用することができる。Fe,CoおよびNiからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料の塩を含むメッキ液を使用することができ、好ましい。メッキの還元剤としてBを含有する化合物とPを含有する化合物の少なくともいずれか一方を使用することが好ましい。こうすれば、金属への還元をスムーズに行うことができる。
【0035】
このようにして、本発明に係る垂直磁気記録媒体の製造方法により、軟磁性裏打ち層を有する垂直磁気記録媒体であって、ノイズ、特にスパイクノイズを抑制した垂直磁気記録媒体を生産性高く得ることができる。また、この構成では、下面側部分のHcを低くすることにより、上面側部分のHcに関する制限を緩和することができるので、別の磁気特性を付与することが容易になる。たとえば、面内方向の磁気異方性を大きくして、WATERを抑制することも可能となる。
【実施例】
【0036】
次に本発明の実施例を詳述する。Hcは、理研電子社製のVSM(Vibrating Sample Magnetometer:試料振動型磁力計)で測定した。
【0037】
[実施例1]
硫酸鉄、硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび還元剤としてホウ素化合物を含むメッキ液を使用し、表1に示す条件で、相対的に低いHcの軟磁性膜(条件1)、相対的に高いHcの軟磁性膜(条件2)および条件1の膜を下側に、条件2の膜を上側に積層した軟磁性膜(条件3)を作製した。この結果、表1に示すHcと図2の結果が得られた。なお、表中の回転速度は、基板(ディスク)を、ディスクの回転軸(すなわち、ディスクの中心を通り、ディスク面に垂直な軸)を中心に回転させたときの回転数を表す。メッキ液濃度は一定に保ち、メッキ液温度は60℃に保った。
【0038】
条件1の軟磁性膜のみでは表1のHcおよびB−H曲線より理解できるように、軟磁性は充分であるが磁区が観察された。また、条件2の軟磁性膜のみでは写真から分かるように磁区は抑制できるが、表1およびB−H曲線より理解できるように軟磁性は不十分であった。これに対し、条件3の軟磁性膜では、表1のHcおよびB−H曲線より理解できるように、軟磁性を充分低く保つことができ、かつ、写真から分かるように磁区も抑制できた。
【0039】
【表1】

なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0040】
(付記1)
垂直磁気記録層の下側に軟磁性裏打ち層を有する垂直磁気記録媒体であって、
当該軟磁性裏打ち層が無電解メッキによって作製されたものであり、
当該軟磁性裏打ち層の下面側部分が上面側部分に比し低い保磁力(Hc)を有する
垂直磁気記録媒体。
【0041】
(付記2)
前記無電解メッキが、実質的に同一組成のメッキ液を使用して行われたものである、付記1に記載の垂直磁気記録媒体。
【0042】
(付記3)
前記無電解メッキが、メッキ浴から被メッキ物を取り出すことなく行われたものである、付記1または2に記載の垂直磁気記録媒体。
【0043】
(付記4)
前記軟磁性裏打ち層の下面側部分のHcが5Oe以下である、付記1〜3のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
【0044】
(付記5)
前記軟磁性裏打ち層の上面側部分のHcが10Oe以上である、付記1〜4のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
【0045】
(付記6)
前記軟磁性裏打ち層が、その上面側部分に比し低い保磁力(Hc)を有する中間部分を有する、付記1〜5のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
【0046】
(付記7)
膜厚が、前記下面側部分については0.1〜1.0μmの範囲、前記上面側部分については0.1〜1.0μmの範囲にある、付記1〜6のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
【0047】
(付記8)
前記軟磁性裏打ち層が、Fe,CoおよびNiからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料を含む、付記1〜7のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
【0048】
(付記9)
前記軟磁性裏打ち層がさらにBとPの少なくともいずれか一方を含む、付記8に記載の垂直磁気記録媒体。
【0049】
(付記10)
付記1〜9のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法において、
無電解メッキにおける、メッキ液濃度、メッキ液温度、付与する磁界およびメッキ浴の撹拌条件からなる群から選ばれた少なくとも一つの条件を変更して、前記下面側部分と上面側部分とを作製する、
垂直磁気記録媒体の製造方法。
【0050】
(付記11)
前記めっき液として、Fe,CoおよびNiからなる群から選ばれた少なくとも一つの材料の塩を含むめっき液を使用する、付記10に記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【0051】
(付記12)
前記メッキの還元剤としてBを含有する化合物とPを含有する化合物の少なくともいずれか一方を使用する、付記10または11のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る垂直磁気記録媒体の模式的横断面図である。
【図2】本発明に係る軟磁性裏打ち層の効果を説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
1 基板
2 軟磁性裏打ち層の下面側部分
3 軟磁性裏打ち層の上面側部分
4 軟磁性裏打ち層
5 第1中間層
6 第2中間層
7 第3中間層
8 垂直磁気記録層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直磁気記録層の下側に軟磁性裏打ち層を有する垂直磁気記録媒体であって、
当該軟磁性裏打ち層が無電解メッキによって作製されたものであり、
当該軟磁性裏打ち層の下面側部分が上面側部分に比し低い保磁力(Hc)を有する
垂直磁気記録媒体。
【請求項2】
前記無電解メッキが、実質的に同一組成のメッキ液を使用して行われたものである、請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項3】
前記無電解メッキが、メッキ浴から被メッキ物を取り出すことなく行われたものである、請求項1または2に記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項4】
前記軟磁性裏打ち層が、その上面側部分に比し低い保磁力(Hc)を有する中間部分を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
【請求項5】
裏打ち層の請求項1〜4のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体の製造方法において、
無電解メッキにおける、メッキ液濃度、メッキ液温度、付与する磁界およびメッキ浴の撹拌条件からなる群から選ばれた少なくとも一つの条件を変更して、前記下面側部分と上面側部分とを作製する、
垂直磁気記録媒体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−244605(P2006−244605A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58679(P2005−58679)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】