型枠フライヤー及び型枠フライヤー用のフライヤー環境制御方法
【課題】 固定型の蒸気シールド及び窒素注入点の組み合わせにより、製品がフライヤーに進入する際の、製品上における蒸気や水の凝集の可能性を劇的に減少させると同時に、フライヤーの前面に進入する外気の量を減少させ、油の酸化や劣化を大きく減少させることができるフライヤーを提供する。
【解決手段】 フライヤーは、全体を包み込むフライヤーフードと、フライヤーフード上のダンパーやファンを備える蒸気の排出スタックと、操作中に製品がフライする油に進入する製品進入地点と、製品を受け入れる上流端部に隣接する中間部と、フライヤーフード内の製品進入地点から下流に位置される固定型の蒸気シールドとを備え、蒸気シールドは、油鍋の中間部前端から立ち上がりフライヤーフードに連結され、蒸気が製品進入地点へ移動しないように蒸気シールドによってフライヤーの中間部から上流端部を分離する。
【解決手段】 フライヤーは、全体を包み込むフライヤーフードと、フライヤーフード上のダンパーやファンを備える蒸気の排出スタックと、操作中に製品がフライする油に進入する製品進入地点と、製品を受け入れる上流端部に隣接する中間部と、フライヤーフード内の製品進入地点から下流に位置される固定型の蒸気シールドとを備え、蒸気シールドは、油鍋の中間部前端から立ち上がりフライヤーフードに連結され、蒸気が製品進入地点へ移動しないように蒸気シールドによってフライヤーの中間部から上流端部を分離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナック食品の製造のためのフライヤーアセンブリ及びフライヤーアセンブリの環境制御に関する。より詳細には、本発明は、フライヤーハウジング内の密閉された環境において、不活性かつ非凝縮性のガスが正確に射出できる場所に位置するガスを使用して、揚げ物を調理する、即ちフライする媒体、換言すれば油の劣化、フライする媒体を減少させることによる製品の損傷、及び蒸気や酸素のような望ましくない凝縮性ガスあるいは反応ガスに対する製品の露出を抑制する。
【背景技術】
【0002】
スナックはフライヤーを使用して製造されることが周知である。一般的に、ポテトチップスのようなスナックは生地から製造され、重ねられ、処理のために個々の一片(プリフォーム)にカットされる。処理は、プリフォームをフライヤーにおいて調理してスナックを製造する工程を含む。周知の方法によるフライヤーは、製品のあらゆる部分が揚げられる必要性が高いスナック食品産業において使用される。通常、これらのフライヤーが、スナックを高温の油の流れを通過させることにより、同スナックが製造される。
【0003】
特にポテトチップスにおいて、プリフォームが成形され望ましい製品の形状に調理可能なため、型フライヤーは有益である。型フライヤーとは、通常二つのコンベヤ、すなわち上部コンベヤと下部コンベヤを有するスナック製造用のフライヤーである。各コンベヤ上に、対向するコンベヤのモールドや、表面と相互に作用するよう設計される型枠や、表面を有する。プリフォームがフライヤー内にセットされた後、型枠上端や接触する表面は、現在調理中のプリフォームがフライヤーから退出するまではプリフォームを油の表面下に維持する。
【0004】
通常、ポテトのスライスは、フライすると蒸気を開放する。多くの周知の方法による十分な油でフライする工程において、フライ中に開放される蒸気の量は、酸素が調理油に侵入したり酸化することを防止する。しかしながら、通常製造後のポテトチップスは、新鮮なポテトのスライスに比べて、フライすると含まれる水分がはるかに少ない。フライヤーへ酸素が侵入することを防止するための蒸気が少ないため、調理油の酸化が早くなる。周知の方法において、この課題は、調理油上方の雰囲気中に蒸気を散布することにより解決を図ってきた。周知の方法によるシステムも、油をフライヤーから放出及び廃棄し、廃棄した油と新鮮な油を交換することにより、油の酸化レベルを制御する。
【0005】
図1は周知の方法による型フライヤーの例を示す。フライヤーアセンブリ10は、プリフォームを移動させるためのコンベヤを備えるフライヤーハウジング12を有する。ハウジング12内における周囲の望ましい状況を維持するため、蒸気や不活性ガスがフライヤー内の油の上方及び周囲の部分を循環し、ポート14を通して供給される。ポートの数は必要に応じて追加することが可能である。上部ベルト20はフライヤーハウジング12の上部に配置され、二つのローラー22,24により支持されて周回される。下部ベルト30は上部ベルト20の下方に配置される。下部ベルト30は連続するループベルトであり、二つのローラー32,34により周回可能に支持される。多量の油52を含むフライヤー鍋50はフライヤーハウジング12内に設けられて、少なくとも上部ベルト20及び下部ベルト30の一部は、相互に隣接する際に、油52を通過する。油52は、油注入口54から油流出口56へフライヤー鍋50を通過して、例えばポンプ(図示しない)により循環する。フライヤー鍋50の周囲を覆う蒸気により、油は望ましい調理温度に維持される。
【0006】
調理時に、プリフォームは入口側ローラー32近辺から延びる下部ベルト30によりフライヤーへ案内される。その後、プリフォームは上部ベルト20により上部から搬送され、下部ベルト30が上部ベルト20に極めて近接する地点まで案内される。少なくともこの地点に達するまでに、プリフォームは少なくとも一つの型枠表面に接触する。図示は省略するが、型枠は上部ベルト20の少なくとも外部表面上に位置する。そして、型枠は下部ベルト30の外部表面上にも位置する場合がある。プリフォームが油52を通過して互いに平行である上部ベルト20及び下部ベルト30の間に留まると、油入口53における高温の調理油52に案内される。その後、プリフォームは油鍋50内の高温の油52を通過して搬送され、油出口55において油52から退出するまで完全に油52に浸される。典型的な型フライヤーは240°F乃至400°F(約116℃乃至204℃)の間の油フライ温度で操作され、好適には320°F乃至380°F(約160℃乃至193℃)の間で操作される。その後、調理されたスナックは油により搬送され、下部ベルト30の出口部分に沿って案内され、出口側ローラー34付近における調味や所望に応じて包装等、次の包括的な工程に移送される。
【0007】
周知の方法の例のフライヤーアセンブリ10のような型フライヤーを使用して、ポテトチップスのようなスナック食品は、標準的かつ望ましい形状で製造可能である。個々の一片のフライには、しわ、折れ曲がり、塊、調理面への接着といった多くの課題がある。型フライヤーを使用することにより、他のタイプのフライヤーとは異なり、多数のこれらの課題は解決可能である。
【0008】
型フライヤーはスナックのフライにおける多くの課題を解決するものの、大量の油を必要とする。装置の大部分は、フライされる食品とともに高温の油を通過しなければならず、その製品を調理するのに十分な時間沈んだ状態を維持する必要がある。従来の型フライヤーにおいては、二本のコンベヤベルト、少なくとも一つの製品型枠、及び調理される製品を浸すために十分な油が必要である。従って、この大量の油を熱し、循環させ、維持するために大量のエネルギー及びコストが必要である。
【0009】
さらに、酸化した油と新鮮な油を交換するのに関して多くのコストが必要である。この理由として型フライヤーは、空気及び油の間を循環する表面を備える少なくとも一本のコンベヤを有する点が挙げられる。この構成要素はそれ自体が酸素を油に案内する。システムにおける油は、空気及び油の境界面における酸素、及び、油に浸ったコンベヤの材料からの酸素を吸収するにつれ、徐々に酸化する。油の酸化は時間がたつと悪臭を放つ原因となる。従って、システムにおいて酸化した油は定期的に新鮮な油と交換される必要がある。よって、フライヤーの性能に悪影響を与えることなく、油に浸されるフライヤーの構成要素の部分を減少させることが有効である。仮に構成要素の油に浸される部分を減少させられる場合、このような構成要素が酸素を油に案内する機会も減少させることが可能となる。このため、油の酸化を遅らせ、酸化した油と新鮮な油の交換に関するコストを減少させることができる。更に、油を熱し、循環させ、維持するための支出も減少させることができる。
【0010】
成形されたスナックは、サイズ及び形状において均一に製造可能であることが望ましい。この均一性により、スナックを一列に並べて包装可能である。よって、袋の中においてバラバラに包装されるのとは異なり、スナック製品は容器内に包装可能となる。キャニスターによる包装は、スナックの破損をある程度防止しつつ、大量のキャニスター及び個々のキャニスターにおけるスナックの搬送性を向上させる。また、キャニスターは、開封後の製品の劣化を防止すべく蓋を使用して密封可能である。
【0011】
曲線を描く楕円のような単一の形状(例えば、長手方向において上方に湾曲している楕円)を備えた製品の包装のために、スナックはキャニスター内に充填されるに先立って、
積載される。スナックは直接に一枚一枚が積載されるか、屋根板が重なり合うように部分的に重ね合わされる。このような重なり合いの後、製品は一斉に押圧されて、各片は互いに直接重なり合う。凹部が上向きでも下向きでも湾曲した製品を積み重ね合わせることは可能だが、製品の形状いかんにより、製品は一定の向きにおいてのみ重ね合わせに順応する。
【0012】
例えば、上方に湾曲する部分を備える肉薄の楕円状の製品は、凹部が上方を向いているよりむしろ下方を向いているほうが容易に積載される。二つの隣接する製品が重なり合わなかった場合において、仮にこれらの隣接する端部が異なる高さにある場合でも、これらの製品は単に強制的に重なり合わせられるに過ぎない。凹部が上方を向いている場合、二つの隣接する楕円状の製品は、これらの端部がコンベヤに対して平坦となり、製品が互いに押圧し合うと、これらの端部が互いに直面するため再び重ね合わせることができない。しかしながら、凹部が下方を向いていると、移動する方向において下方に湾曲する端部により製品は前後に揺動可能である。この揺動可能であることにより、二つの製品の隣接する端部が、同じ垂直方向の位置において相互に直面することはまず起こりえない。従って、製品は、部分的に重なり合うことが可能であり、その結果、相互に重なり合うことが可能である。
【0013】
従来の型枠は凸状であり、凹部を上方に向け下部ベルトから離間させてスナックの形状を作る。凹部が上向きであると調味に好適であるが、凹部が下向きだと、上述のように積載に好適である。従って、製品は包装前に裏返す必要がある。仮に調理された製品の凹部が、フライヤー底部ベルトに対して下方から面する状態で、製品がフライヤーから離間した場合、調味の効率において僅かに損失があるものの、製品を反転させる必要はない。
【0014】
従来の方法による型フライヤーが直面する別の課題は、調理する製品の形状の変化に適応可能な下部コンベヤを設けることが困難であることにある。通常、フライする製品はある形状でフライヤーに進入し、別の形状となって退出するため、プリフォームの形状及び調理された製品の形状の両方を収容可能な製品容器を備える従来の方法による下部コンベヤを設計することは困難である。
【0015】
上記課題に対する解決策は、特許文献1に開示され、その全体がここで開示されたものとする。具体的には、スナック製品を調理するための型フライヤーは、図2において開示される。フライヤーアセンブリ100は入口域102においてフライされるスナック製品を受け入れる。調理後、スナック製品は、出口域104においてフライヤーアセンブリ100から退出する。入口域102及び出口域104の間には、調理するスナック製品上のフライヤーの環境を制御するためのポート114を有するフライヤーハウジング112が設けられる。単一のポートとして図示されているが、ポート114は多数のポートの代表に過ぎず、付加的な実施例に影響を与えるように任意の数が設けられる。図示されるように、フライヤーアセンブリ100は、フレーク状の脱水したポテトから構成される生地のように、実質的にポテトから作られるスナックを調理するのに使用される。しかしながら、本発明により形成されるスナックは、代替的な澱粉質の混合体により構成される。
【0016】
調理される前に、好適なスナックを製造するために処理された生地は、シート状に形成されプリフォーム(未調理のスナック)になる。通常、生地は、澱粉製品、砂糖、及びその他の添加剤との実質的に乾燥した混合体により構成される。ここで使用される澱粉製品の例は、いかなる澱粉も含み、天然の(非人工の)澱粉及び人工の澱粉を問わず、食品製品のきめ、一貫性及び耐久性を向上させる能力、並びに生地の食品製品への処理を向上させる能力により選出される。その全ては当該技術分野において周知である。
【0017】
図2において、フライヤーアセンブリ100は上部コンベヤ120、底部入口側コンベ
ヤ130、及び底部出口側コンベヤ140を備える型フライヤーによりプリフォーム(図示しない)を処理する。上部コンベヤ120上において、複数の型枠(図示しない)が外側の環境に向かって配置され、プリフォームに係合し、かつプリフォームを型枠成型し、調理された形状を有するスナックを製造する。上部コンベヤ120は油を通過させる鎖リンク構造体により構成される。鎖リンク構造体は、例えばステンレススチールやその他の金属、セラミック、高温の油への暴露にも耐えるポリマーベースの耐久性を備えた材料により形成される。上部コンベヤ120を二つのローラー122,124が支持する。図示するように、二つのローラー122,124は上部コンベヤ120に噛合する歯を含み、回転力を供給する。通常、回転力は二つのローラー122,124のうち一つのみにより供給される。
【0018】
調理において、プリフォームは底部入口側コンベヤ130上の上部コンベヤ120に搬送される。底部入口側コンベヤ130は油を通過させる鎖リンク構造体により構成される。鎖リンク構造体は、例えばステンレススチールやその他のタイプの金属、セラミック、高温の油への暴露にも耐えられるポリマーベースの耐久性を備えた材料により構成される。これに代えて、底部入口側コンベヤ130は、食品用製品で開口を有する耐久性及び柔軟性を備える材料にして、フライする油の温度に耐えられるものにより構成されてもよい。底部入口側コンベヤ130は、いくつかのローラー132,134,136及び138により支持及び案内され、少なくともその内の一つ134は油に浸される。図2に示されるように、いくつかのローラー132,134,136及び138に関する底部入口側コンベヤ130の通路は、本発明による入口側コンベヤ通路の一例である。好適な通路は、フライヤーの油の除去を最小限にとどめ、入口側コンベヤの冷却を許容し、他の点では経済的であるものである。図示するローラーの配置により決定される通路は、底部入口側コンベヤ130にフライヤーハウジング12の外側領域を通過させる。フライヤーハウジング12の外側領域を通過することにより、プリフォームに接触する前に底部入口側コンベヤ130は冷却される。底部入口側コンベヤ130を冷却することにより、プリフォームが調理油152に進入する前にプリフォームが熱に暴露されることを最小限にとどめる。このような調理前の熱への暴露は、プリフォームの望ましくない損傷やしわの原因となりうる。
【0019】
図2における構成は、回転力がフライヤーハウジング112の外側のローラー、すなわち入口側ローラー132に供給されるため有効である。通常、フライヤーハウジングの体積は、加熱及びフライヤー雰囲気の制御のような経済的理由により最小限にされるため、フライヤーハウジング112の外側の入口側ローラー132のような構成要素の位置決めが望ましい。後に図示するが、通路は追加可能である。入口側ローラー132において、プリフォームは底部入口側コンベヤ130の搬送領域に配置され、フライヤーハウジング112内に搬送される。これに代えて、プリフォームは、調理油152に浸される前に熱に暴露されることを抑制するために、底部入口側コンベヤ130の上方の油に進入する位置付近に配置される。事前の浸漬による熱的圧力は、プリフォームのしわ及び変形の原因となりうる。油152における調理前に熱への暴露を抑制することが重要である。事前の浸漬による熱への暴露は、プリフォームが底部入口側コンベヤに張り付くことを助長する。その結果、上部コンベヤにプリフォームが移動することが困難になる。事前の浸漬による熱への暴露を抑制する方法の別例は、底部入口側コンベヤの搬送領域の長さを最小にすることである。搬送領域は、入口側ローラー132及び浸漬するローラー134の間の底部入口側コンベヤの最表面である。例えば、底部入口側コンベヤは、フライヤーハウジング内へ水平に案内され、油鍋150に到着した後に、迅速に下方に傾斜して油に進入する。
【0020】
しかしながら、底部入口側コンベヤ130上のプリフォームが、上部コンベヤ120と底部入口側コンベヤ130とが互いに平行になり、極めて近接する位置に近づくように、底部入口側コンベヤも下方に傾斜される必要がある。プリフォームは、上部コンベヤ12
0上の型枠と接触することが多いために、底部入口側コンベヤ130の表面上の構成において有効に配置される。上部コンベヤ及び下部コンベヤが極めて近接して相互に平行になり始める位置において、プリフォームは上方から上部コンベヤ120上及び下方から底部入口側コンベヤ130の外側表面上の型枠間に配置される。高温の油152にて調理するフライヤー油鍋150内へプリフォームを指向させるために、上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130は油152内へのアーチ状の通路に沿って案内される。
【0021】
しかしながら、底部入口側コンベヤ130上のプリフォームが、上部コンベヤ120と底部入口側コンベヤ130とが互いに平行になり、極めて近接する位置に近づくように、底部入口側コンベヤも下方に傾斜される必要がある。プリフォームは、上部コンベヤ120上の型枠と接触することが多いために、底部入口側コンベヤ130の表面上の構成において有効に配置される。上部コンベヤ及び下部コンベヤが極めて近接して相互に平行になり始める位置において、プリフォームは上方から上部コンベヤ120上及び下方から底部入口側コンベヤ130の外側表面上の型枠間に配置される。高温の油152にて調理するフライヤー油鍋150内へプリフォームを指向させるために、上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130は油152内へのアーチ状の通路に沿って案内される。
【0022】
上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130の間の空間は、両コンベヤ120,130が油に進入する角度同様、少なくとも各プリフォームの一部が常に少なくとも一つのコンベヤと接触するように調整される必要がある。仮に空間及び角度が適切に調整されていない場合には、油表面におけるコンベヤ120,130間の水平距離は、製品の長さより長くなる。底部入口側コンベヤ130から上部コンベヤ120に搬送される間、製品全体はある領域における油表面で、またはその付近で保持される必要がある。従って、空間及び角度は制御される必要がある。コンベヤの空間及び角度が適切に調整される場合、上部コンベヤ120及び底部コンベヤ130間の空気及び油境界面の長さは、各プリフォームの長さより短い。換言すれば、上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130間の水平距離は、フロート長としても周知であるが、製品の長さより短くする必要がある。これにより、製品が常に積極的制御下におかれることが保証される。例えば、油への侵入角度が非常に小さい場合には、上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130間では狭小な空間のみが、油表面におけるそれらコンベヤ間の水平距離が製品と同じ長さになる前に許容される。しかしながら、侵入角度が急峻な場合には、二つのコンベヤ120,130間ではより広い上下に延びる空間が、油表面におけるそれらコンベヤ間の水平距離と製品とが同一の長さになる前に許容される。フロート長を製品の長さより短く維持することにより、製品に積極的制御を発揮するため、少なくとも一つのコンベヤが少なくとも製品の一部にいつでも接触する。
【0023】
底部入口側コンベヤ130が油鍋の入口域158において、油152に接触すると、スナックは高温の油152に浸され、フライされ始める。フライが始まると同時に、下方に傾斜する上部コンベヤ120はプリフォームを強制的に上部コンベヤ120上の型枠の形状を取るように成型する。製品が上部コンベヤ120の型枠に接すると、底部入口側コンベヤ130はこれらスナックの調理には不要となる。底部入口側コンベヤ130は、浸漬するローラー134を周回し、その帰還路に新しいプリフォームを受け入れさせ始める。この底部入口側コンベヤ130の帰還領域は、搬送後の領域と呼ばれる。底部入口側コンベヤ130及び底部出口側コンベヤ140の通路は、上方から油内へプリフォームを搬送するために少なくとも部分的に傾斜していることに留意する必要がある。
【0024】
プリフォームは上部コンベヤ120の型枠に維持されるために、油152より低密度である必要はないことに留意する必要がある。油より高密度であるプリフォームが汚れた油内に沈むことは当然であるが、調理中に油152から放出されるガスにより、プリフォームには上方に向かう力が作用する。この上向きの力は、プリフォームを上部コンベヤの型
枠に堅固に維持する。図1に示される周知の方法によるフライヤーとして上述した従来の型フライヤーとは異なり、上述のフライヤーアセンブリ100及びその他の本発明によるフライヤーアセンブリは、下部コンベヤを油鍋全体にわたって通過させるものではない。図2に示すように、これによりフライヤー油鍋150の領域151の体積を減少させることができる。
【0025】
図2において、油鍋の入口域158は、フライヤー油鍋150の一領域であり、浸されるローラー134及びフライヤー油入口154を十分収容できる大きさである。高温の油152は、フライヤー油鍋150を通過して循環され、油152はスナックが調理されると、これらスナックとともに流動する。油入口154は、油鍋150の入口側において油を提供し、油出口156は油鍋150の終端において油を受け入れる。油出口156及び油入口154の間において、油は浄化され、加熱され、さらに油が不要な場合にはポンプでくみ出される。好適な実施例において、油は、製品調理時の製品による妨害を最小限にするため、製品及び上部コンベヤ120の速度と等しいか僅かに遅い速度で移動する。更に、油152並びに各種コンベヤ120,130,及び140の速度は、製品に対する積極的制御を向上させるために順次段階的に上昇させることができる。例えば、油152は、底部入口側コンベヤ130からの製品の除去を補助するために、底部入口側コンベヤ130より僅かに速く流動させることができる。上部コンベヤ120は、製品を上部コンベヤの型枠に堅固に押圧するために、油152の流動速度より僅かに速く移動するように設計可能である。同様に、後述する底部出口側コンベヤ140は、製品を上部コンベヤ120から底部出口側コンベヤ140まで適切に移動させるために、上部コンベヤ120と同一の速度、或いは上部コンベヤより僅かに速く移動するようにしてもよい。
【0026】
製品が油鍋の入口域158を通過して下流に搬送されると、体積が減少された領域151に遭遇する。フライヤー油鍋の幅は変化しないため、この領域151においては高さが減少可能である。この減少は、底部コンベヤが省略されている構造であるため、この領域に沿って可能である。従って、スナックが上部コンベヤ120に沿って調理される領域付近のみにおいて油が必要とされる。よって、領域151に沿った高さは、型枠を備えた上部コンベヤ120の高さよりも大きい必要があるが、二つのコンベヤを収容する必要はない。周知の方法によるコンベヤを使用する型フライヤーアセンブリは、型枠を備える上部コンベヤ、調理油152にスナックを搬入及び搬出するために使用される下部コンベヤ同様、これらのコンベヤを案内するのに必要なローラー及びその他の構成要素を浸すのに十分な大量の油を必要とする。これにより、大量の油の加熱、浄化、ポンプによるくみ出し及び維持のために、周知の方法による型フライヤーアセンブリを操作するコストは上昇する。本発明により底部コンベヤをなくし、領域151の体積を減少させることによって油量を減少させ、油の加熱及び維持に関するコストを削減できる。
【0027】
更に、底部コンベヤを省略して体積を減少した領域151は、酸化した油を新鮮な油と交換するに際してコストを削減する。体積を減少した領域151においては底部コンベヤが省略されているため、常に油内に浸される底部コンベヤ材料が減少する。従って、底部コンベヤが油内に酸素を導入して酸化する機会を減少する。これにより油が酸化する速度が減少する。同様に酸化した油を新鮮な油に置き換える頻度も減少する。油の酸化は調味油152が悪臭を放つ原因となり、このことは製品の新鮮さを減少させる原因になるため、この構造は有効である。従って、油の酸化を減少させることにより、油152及び製品のうちいずれも新鮮に保つために支出されるコストを削減できる。体積を減少した領域151を備える型フライヤー100がフライヤーの一部を通過する底部コンベヤの必要性を排除する。これにより、プリフォームをフライヤー内に搬送するコンベヤ材料が少なくなる。従って、フライヤー内に搬送するためにプリフォームを底部コンベヤ材料が受け入れる前に、底部コンベヤ材料を冷却するのに必要となるエネルギーが減少される。底部コンベヤ材料を減少させることにより、必要となるこれらの支持機構、例えば、ローラー、支持体、及び、駆動軸も減少させられる。これにより、機械の誤作動及び機能不全の可能性も減少させられる。従って、体積の減少した領域151を備える型フライヤー100は、加熱及び冷却コストを削減し、機械の誤作動の発生を減少させることにより生産性を向上できる。
【0028】
好適な実施例において、油鍋150自体は、熱交換面として機能し、同面を介して熱が油に移動する。熱交換面の領域を拡大するために、油鍋150は、起伏をつけられるか、段をつけられる。例えば、油鍋150は、大小の波をつけられた鍋やフィン付きの鍋で構成される。従って、油152は油鍋150の長さ方向における下流に延びる溝の内部及び上方を流れる。このような起伏、或いは段がつけられた油鍋は、表面領域対体積の比が高くなる。その結果、油がフライヤーに沿って移動するにつれ調理する製品により放散及び吸収される熱をより効率的に補充する。フライヤーにおける油152を適切なフライ温度に維持するために、加熱した流体が油鍋150の下で接触して流れるよう供給される。油鍋150を加熱する方法の別例では、例えば、油鍋の下に電気により加熱する要素を使用したり、加熱するための放射熱源を使用したりする。
【0029】
体積を減少した領域151の終端において、スナックはフライヤー油鍋出口160を通過する。出口160におけるフライヤー油鍋150は、油鍋入口域158における領域に類似する拡張した深みを有するが、入口及び出口域の深みは同一である必要はない。出口域において、底部出口側コンベヤ140は、油に浸るローラー142を通過後、上部コンベヤに近接し、平行となる。
【0030】
底部出口側コンベヤ140は、ローラー142,144,146,148により形成される通路を介して周回可能に支持される。これは、多くの可能なフライヤー出口側コンベヤ通路の一例を示すものである。底部入口側コンベヤ130と同様に、底部出口側コンベヤ140は食品用製品で柔軟性及び耐久性を備える材料にして、フライヤーの処理状況にも耐久可能であるものにより構成される。これら材料としては例えば、金属、各種プラスチック、セラミックが挙げられる。底部出口側コンベヤ140は、油がコンベヤを通過できるように、油を通過させる材料によっても構成される必要がある。油に浸るローラー142は、底部出口側コンベヤ140が徐々に新しい調理されるスナックに近接するように、上部コンベヤ120及び底部出口側コンベヤ140が相互に近接して平行となる場所の前方かつ下方に配置される。上部コンベヤ120及び底部コンベヤ140が調理されたスナックを間に包み込んで、調味油152を退出すると、調味油152の上方への力は、もはや上部コンベヤ120に対してスナックを支持できない。スナックは底部出口側コンベヤ140の受け入れ領域と接触するよう案内される。必要ならば、蒸気や不活性ガスを、型枠表面からの出発点における調理されたスナックを補助するために、型枠を通過して、あるいは型枠において通風させることもできる。底部出口側コンベヤ140は、油152を退出した後、一定の区間上部コンベヤ120と平行に延びる必要がある。その結果、製品は、最終的に型枠から取り払われる際に、適切な位置につくようになる。出口側ローラー146を通過後、調理されたスナックは調味及び包装のために次の工程に移送される。出口側ローラー146を通過後、底部出口側コンベヤ140は、油152に案内され、更なるスナックを受け入れる。この底部出口側コンベヤの帰還する区域は、受け入れ前領域と呼ばれる。
【0031】
図2は、底部出口側コンベヤによる製品のフライヤー外部の傾斜した通路から次のコンベヤに搬送する前の平行な通路への移送を示している。搬送速度が速い場合においては、製品が底部出口側コンベヤ140との接触から離間することを防止するために、この移送はできる限り円滑にして、かつ徐々に行われることが重要である。図2は傾斜した部分と水平な部分の間の移送においては一つのローラー144のみを示しているが、変化をできるだけ緩慢にするようにローラーを追加することが可能である。この理由としては、底部
入口側コンベヤ130及び底部出口側コンベヤ140は、互いに独立して動作し、各コンベヤは、製品の形状に適合するよう具体的に設計されている点が挙げられる。入口側コンベヤ130は、平坦なプリフォームを受け入れるために、1個あるいは複数の平坦な表面を有する。出口側コンベヤ140は、これに代えて湾曲した調理された製品を受け入れるために湾曲した鞍型を有してもよい。更に、底部コンベヤ130,140は互いに異なる材料から形成され、それぞれの機能に適合するために異なる構造を有する。
【0032】
入口側コンベヤ130及び出口側コンベヤ140を別々に設けることの別の有効な点は、それぞれを異なる速度で作動させることができることにある。底部入口側コンベヤ130は、搬送速度Vdeliveringにて移動する。油152は油速度Voilにて移動する。上部コンベヤ120は、上部コンベヤ速度Vtop conveyorにて移動する。底部出口側コンベヤ140は、除去速度Vremovingにて移動する。これら四つの媒体の速度は、以下の関係を有する。
【0033】
Vdelivering ≦ Voil ≦ Vtop conveyor ≦ Vremoving
好適な実施例において、出口側コンベヤ140の速度は、上部コンベヤ120の速度と等しくても僅かに速くてもよい。上部コンベヤ120の速度は、油152の速度より僅かに速い。また、油152の速度は、入口側コンベヤ130の速度より僅かに速い。各連続するコンベヤを先行するコンベヤより僅かに速い搬送速度で作動させることにより、製品に対する積極的制御が、特に入口において維持できる。各連続する媒体は、製品を先行する媒体に沿って、及び先行する媒体から効果的に抜き去る。
【0034】
しかしながら、仮に調理された製品が油152から引き上げられた後、上部コンベヤ120の型枠に一時的に癒着する傾向にある場合は、底部出口側コンベヤ140及び上部コンベヤ120を同じ速度で作動させることが望ましい。これにより、製品が最終的に上部コンベヤ120から離間した後、底部出口側コンベヤ140上の適切な位置に確実につくようになる。
【0035】
図3乃至8は、フライヤー入口域202及び出口域204の本発明による別例を示す。これらに図示するフライヤー入口域202は、図2に示す上述のフライヤー入口域102と同じ特徴を有し、類似した設計及び構造である。図3乃至8を参照すると、二つのローラー222,224によって支持される上部コンベヤ220を備えるフライヤーハウジング212が示されている。供給領域及び供給後領域を有する底部入口側コンベヤ230は、ローラー232,234,235,236,237,238のうち少なくとも二つにより支持される。フライヤー油鍋250は、高温の油252を含む。油鍋入口域258内において、油注入口254及び底部入口側コンベヤ230を支持するための少なくとも一つのローラーを十分に含む領域が示されている。
【0036】
調理の際に、プリフォームは、フライヤーハウジング212内に進入する前に底部入口側コンベヤ230の供給領域上に配置される。プリフォームが油内に搬送されると、調理開始点226においてフライを開始する。その後、スナックは、まず底部入口側コンベヤ230の表面から分離し始める。次に、底部入口側コンベヤ230から分離された各片は、上部コンベヤ220と接触する前に、油252の表面において一時的に保持される。油鍋入口域258における浸ったローラー234は、底部入口側コンベヤ230の供給後領域を、フライされる新しいプリフォームを収集するために帰還させる。スナックは、浸ったローラー234に達した時点で上部コンベヤ220の型枠の表面に配置される。上部コンベヤ220上の位置におけるスナックは、調理の工程を完了するために体積を減少した領域251内に移送される。図3乃至8に示すこの体積を減少した領域251は、図2の体積を減少した領域151と同じ特徴及び効果を有する。これらの効果は、油の加熱、ポンプによるくみ出し、維持管理、交換のコストの削減、油の酸化の抑制、底部コンベヤの冷却コストの削減、及び機械的誤作動の可能性の低減による生産性の向上等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
図3に、油鍋入口域258の長手方向の領域内における底部入口側コンベヤ230全体を示す。この長手方向の領域は、フライヤーハウジング212内にコンベヤを完全に収容するため、フライヤーハウジング212の外部においては冷却させるものではない。これにより熱の損失、油の酸化が防止され、底部入口側コンベヤ230の通路を単純化している。しかしながら、その適用及びこれに関する材料によっては、このような配置は、プリフォームに対して過度の熱を付与することがある。
【0038】
図4は、フライヤーハウジング212の外部に実質的な部分を有する通路をたどる底部入口側コンベヤ230を示す。底部入口側コンベヤ230が高温の調理油に暴露されると拡張し伸長するため、一つあるいはそれ以上のローラーが移動可能に設けられる。従って、コンベヤはピンと張った状態を維持できる。例えば、低位置における外部の入口側ローラー237は、高位置における外部の入口側ローラー238の方へ、あるいは、入口側ローラー238から離間するように移動する。その結果、所望に応じて底部入口側コンベヤ230をゆるめたりピンと張ったりできる。本実施例においては、底部コンベヤ230を有効に冷却できる。図5に示すように、フライヤーハウジング212の外部に配置されるロ―ラーから回転力が供給される。これは、高温の油252内に浸される駆動軸に関して作動する駆動機構の必要性がないため有効である。高温の油252及びフライヤーハウジング212内の機構を単純化することは、有効である。この理由として、油鍋入口域258の寸法が減少でき、従って、収容する油量も減少できる点が挙げられる。一定の時間における熱及び油に暴露される構成要素の部分は減少できる。従って、維持管理及び清掃の間隔を減少できる。
【0039】
図6は、底部入口側コンベヤ230の付加的な通路を示す。図6において、底部入口側コンベヤ230は、フライヤー入口近傍の二つのローラー235,236によって高温の油252の外部に案内される。しかし、底部入口側コンベヤ230は、フライヤーハウジング212内にまだ維持される。この配置により、底部入口側コンベヤ230には、フライヤー外部の環境にコンベヤが暴露されることなくプリフォームを受け入れる前に冷却する機会が与えられる。図4で示しているものと同様に図6も、底部入口側コンベヤ230の供給領域及び供給後領域の間に配置される油入口254を示す。油入口254がこのように配置されることにより、油は、油入口254から体積の減少した領域251に流れる場合に、底部入口側コンベヤ230の供給領域及び供給後領域の双方を通過すると言うよりは、むしろ供給領域のみを通過する。注入口251からフライヤーの出口の方に流れる流体を妨害するコンベヤが一層分少ないので、油252を所望の流速においてフライヤーを通過してポンプでくみ出すために必要となる圧力は、減少される。
【0040】
図7に、プリフォーム216が底部入口側コンベヤ230の供給領域上に配置されたフライヤー入口域202の別例を示す。プリフォーム216が油252に接近する方向へ案内されると、上部コンベヤ220の表面上の型枠が直接上方に配置される。プリフォーム216が調理開始点226において油252に進入すると、傾斜する上部コンベヤ220により油内へと下方に押圧され、型枠の表面に巻き付く。浸ったローラー234によって底部入口側コンベヤ230が次のプリフォームを受け入れるために油252を退出した後、調理するスナック218は、上部コンベヤ220とともに、下方に底部コンベヤが一切配置されない、体積を減少した領域251の方へ、かつ領域251を通過して搬送される。図2の記載において言及したように、油252は、製品による妨害を最小限にするために製品とともに流動する。
【0041】
図8は、フライヤー出口域204内における複数の調理するスナック218を示す。図8のフライヤー出口域204は、図2に示す上述のフライヤー出口域104と同じ特徴を有し、かつ類似した設計及び構造である。体積を減少した領域251の終端において、スナック218は、底部出口側コンベヤ240を含む油鍋250の領域の上方に移送される。底部出口側コンベヤ240は、浸ったローラー242を上部コンベヤ220の下方に配置するために、傾斜した角度において設けられる。これにより、調理するスナック218は、上部コンベヤ220の型枠表面に対して未だに位置されるが、底部出口側コンベヤ240が、浸ったローラー242から離間して上昇し周回すると、上部コンベヤ220及び底部出口側コンベヤ240の間に配置されることになる。油252との接触から解放されると、十分に調理されたスナック219は、上部コンベヤ220の型枠から自然に分離するか、蒸気や不活性ガスの噴射を使用して、取り払われる。その後、十分に調理されたスナック219は、調味及び包装等の工程に移送される。
【0042】
図9,10は上部コンベヤ320上に配置される複数の型枠325を示す。図9は、上部コンベヤ320上のこれらの型枠の横断方向における断面図を示す。調理油352からの上向きの力は、複数の型枠352の表面に対する位置に調理するスナック318を支持する。これらの型枠325は、複数の支持体327により上部コンベヤ320に保持される。上部コンベヤ320及び型枠325は、油を通過させる鎖リンク構造体により構成される。鎖リンク構造体は、例えばステンレススチールやその他の金属、セラミック、高温の油への暴露にも耐えるポリマーベースの耐久性を備えた材料により形成される。これに代えて、上部コンベヤ320は、食品用製品で開口を有する耐久性及び柔軟性を備える材料にして、フライする油の温度に耐えられるものにより構成されてもよい。更に、各型枠325は、複数の開口や溝を備えるよう形成され、これらにより蒸気やその他の気体が上昇及び通過、あるいは調理油352から退出可能となる。これは、調理により放出される気体を除去するために設けられるが、仮に除去されない場合には、スナックを収集して取り払う。図10は、図9の型枠325の斜視図である。図中複数の開口329が示される。好適な実施例において、これらの開口は、型枠325の表面に対して垂直な軸と言うよりは、むしろ上部コンベヤ320に対して垂直な軸に沿って穿設される。このようにして開口を穿設することにより、プリフォーム材料が開口329内へ上昇する場合に、製品の型枠表面に対する望ましくない癒着が防止される。図10は更に鎖状に蝶番式に取り付けられた複数の横断方向における型枠領域326を示す。これにより、上部コンベヤ320は、食品を成型するための堅固な凹状の表面を有し、また、ローラーの周囲の湾曲した通路をつたうことも可能である。更に、型枠325は、キャニスタータイプの容器内に積載される単一の形状を有するスナックを形成するように配置されている。
【0043】
複数の十分に調理されたスナック319を図11に示す。スナック319は、調味及び包装等の工程のために出口側コンベヤ340上に移送される。スナック319は、凸状の型枠325により形成されるため、スナック319は、凹状に形成され、これらの凹部は上方を指向している。図示するように、これらの形状は、楕円であり、各調理されたスナック319の長手方向の端部は、出口側コンベヤ340の表面から上方に湾曲している。通常の楕円形状を図示するが、プリフォームの形状いかんにより方形、円形や、三角形等のその他の形状も可能である。
【0044】
図12,13はそれぞれ図9,10の型枠の配置の別例を示す。図12は、複数の型枠425を有する上部コンベヤ420の横断方向における断面図であり、型枠425は、複数のスナック418と比較して凹状である。図12における凹状の型枠425は、図11における凸状の型枠325と類似した構造である。図12における凹状の型枠425は、複数の支持体427により上部コンベヤ420に支持される。このような設計により、調理するスナック418は、凸状の形状を有し、これらの凸部は、下方を指向している。図10と同様に、図13は、鎖状に蝶番式に取り付けられた複数の横断方向における型枠領
域426を示す。これにより、上部コンベヤ420は、堅固な凹状の表面を有し、食品を成型するための複数の個々の型枠425上の調理する製品に関して凹状である。また、ローラーの周囲の湾曲した通路をつたうことも可能である。型枠425は、複数の支持体427により上部コンベヤ420に装着され、図10に記載の開口と同じ特性を備える複数の開口を有する。
【0045】
複数の十分に調理されたスナック419の凸状の形状を図14に示す。出口側コンベヤ440上にこれらは移送される。これらのスナック419は、同一の形状を有するために積載可能である。積載されると、スナックには包装の準備が施される。スナックは凸状の形状に成型されるため、積載及び包装前においてスナックを反転させる必要はない。これにより、反転させる装置が不要となるため、経済的に優れる。図示するように、形状は楕円であり、各調理されたスナック419の長手方向の端部は、出口側コンベヤ440の表面に向けて下方に湾曲している。通常の楕円形状が図示されているが、プリフォームの形状いかんにより方形、円形や、三角形等のその他の形状も可能である。
【0046】
図9乃至14は、積載される単一の形状を有する製品を製造するための単一の形状を有する枠型の使用法を示しているが、多くの型枠の形状が使用可能であり、また、相互に組み合わせることも可能である。仮に不揃いの形状であれば、これに代えて、積載されない製品が望ましい。例えば、代替的な型枠の断面図は、正弦曲線の各種領域に類似する。
【0047】
図15,16は、複数の油鍋拡張部560,562,564,566,568を使用するフライヤーの入口域502及び出口域504を示し、これら油鍋拡張部によりフライヤーの油鍋550の断面領域における変化による油の速度の上下変動から調理する製品を隔離する。幅が一定であっても、深さが変化するため油鍋550の断面領域は変化する。図15において、油鍋入口域550は、底部入口側コンベヤ530を収容すべく十分な深みを有する必要がある。体積を減少した領域551は、底部入口側コンベヤ530を収容する必要はない。図16において、体積を減少した領域551の後の油鍋550の深みは、底部出口側コンベヤ540を収容するために増加される必要がある。
【0048】
容積測定用の油流動速度が固定されると、油速度は、油が流動して通過する断面積に対して反比例する。図3において、例えば、油入口254から体積を減少した領域251に流動する油252は、体積を減少した領域251に進入すると、断面領域において減少することになる。この断面領域の減少により、油252の速度は体積を減少した領域251において増加することになる。従って、上部コンベヤ220の速度は一定であるものの、油鍋250の様々な領域において油の速度は異なる。これらの速度の変動により、望ましくないことに製品が妨害され、更には上部コンベヤ220の型枠から製品が時期尚早に取り払われることになる。好適な実施例において、油252は、上部コンベヤ220と等しいか僅かに遅い速度で流動する。図2の点で説明したように、油の速度は、積極的に運搬するために、上部コンベヤの速度より僅かに遅く、出口側コンベヤの速度より僅かに速くなるように設計されている。
【0049】
鍋拡張部を使用することなく、製品はこれらの三カ所の油の速度の異なる領域を通過する必要がある。すなわち、遅い油鍋入口域、速い体積を減少した領域、及び遅い油鍋出口域である。しかしながら、図15,16においては、複数の鍋拡張部560,562,564,566,568が製品の周囲の油の速度の変動を抑制するために、使用可能である。例えば、図15において、第1の入口側鍋拡張部560は、油鍋内の油における底部出口側コンベヤの供給領域及び供給後領域の間に配置可能である。第2の入口側鍋拡張部562は、同様に、底部入口側コンベヤ530及び体積を減少した領域551の間に配置可能である。図16において、第1の出口側拡張部は、油鍋550内の油552における体積を減少した領域551及び底部出口側コンベヤ540の受け入れ領域の間に配置可能である。同様に、第2の入口側鍋拡張部562は底部入口側コンベヤ530及び体積を減少した領域551の間に配置可能である。図16において、第1の出口側拡張部は油鍋550内の油552における体積を減少した領域551及び底部出口側コンベヤ540の受け入れ領域の間に配置可能である。第2の出口側拡張部は底部出口側コンベヤ540の受け入れ領域及び受け入れ前領域の間に配置可能である。同様に、第3の出口側拡張部は底部出口側コンベヤ540の受け入れ前領域及び油鍋550の下流端の間に配置可能である。
【0050】
図15,16の鍋拡張部を使用して、体積の減少した領域における速度の範囲は、製品が油に進入する前から製品が油を退出する後まで効果的に拡張される。鍋拡張部の全てが、油鍋550の体積を減少した領域551の底部と水平面において同じレベルであるため、油の通路の断面が一定な状態を維持する。従って、油の速度は、油入口554から様々な鍋拡張部の上方を越えて、体積の減少した領域551を通過して流動する間、一定な状態を維持する。図15における上流の油鍋拡張部560は、断面領域における減少に合わすべく油時間を付与するために、製品が油に進入する地点の前まで伸長する必要がある。同様に、図16における最深の下流の鍋拡張部568は、同最深の下流の鍋拡張部568の終端における断面領域における伸長による妨害から製品を回避させるために、調理された製品が油を退出する地点の前まで伸長する必要がある。様々な鍋拡張部の上下方向における位置は、鍋拡張部にわたって体積の減少した領域551を通過する油の量の変化を相殺するために、僅かに変更可能である。例えば、各鍋の上下方向におけるレベルは、製品による油の吸収を相殺するために段階を追って少しずつ増加可能である。図15において、上流の鍋拡張部560の下流端部は、下流の油鍋拡張部562の上流端部同様に、底部入口側コンベヤ530にできる限り近接するよう伸長する必要がある。これにより、油鍋拡張部560,562の上方における速度領域が、これらの鍋拡張部の下方における速度領域から可能な限り確実に分離される。同様に、図16において、上流、中流、及び下流の鍋拡張部564,566,568は、これら鍋拡張部の上方及び下方における油の速度の領域が分離した状態を維持するために底部出口側コンベヤ540に可能な限り近接して伸長する必要がある。
【0051】
図15において、上流の油鍋拡張部560の上方における油の通路の断面積は、油552が底部入口側コンベヤ530を通過すると、一時的にかつ僅かに減少する。従って、油552は、底部入口側コンベヤ530を通過する間、一時的に速度が上昇する。プリフォームが上部コンベヤ520において調理され始めると、更なる下流における油の速度の妨害は好ましくないため、この特定の油の速度の上昇は、好適である。油の速度の僅かな上昇により、プリフォームが底部入口側コンベヤから取り払われることが促進されるため、上部コンベヤ520の型枠に接触可能となる。
【0052】
図15は、底部入口側コンベヤ530及び複数のローラー532,534,536,537,538によって形成されるある特定の底部入口側コンベヤの通路における鍋拡張部の使用を示す。その他の通路が、図3乃至7に示す通路を含み、使用可能であるが、これらに限定されるものではない。同様に、鍋拡張部を使用するフライヤーの出口域の実施例は、図16に示す構成要素の特定の配置に限定されるものではない。例えば、図16は油が油出口556において退出する前に、体積の減少した領域551を通過して、最深の下流の鍋拡張部568を越えて、鍋と分離した油収集領域570に流れ落ちている状態の出口域504における構成要素のある特定の配置を示すものである。油収集領域及び出口域の鍋拡張部564,566,568の下方の油の本体の間におけるバルブ580は、変更可能である。変更により、鍋の間におけるこれらの鍋拡張部を通過する油の小片のみが底部出口側コンベヤ540用の浸ったローラー524を含むかなり汚れた領域557内に進入し、バルブ580を通過できる。
【0053】
これに代えて、油552は、本体から分離した収集領域570に流入する必要はない。
これに代えて、油は油鍋550内及び出口域の鍋拡張部564,566,568の下方における残留油と合流するために、最深の下流の鍋拡張部568の上方を通過して流動してもよい。
【0054】
図17a及び17bは、二つのコンベヤ640,645間の転移点を示す。これらの図は、更に、いかにして調理された製品649が、フライヤーから取り払われた後に、底部出口側コンベヤ645から中間の輸送コンベヤ640に円滑に移送されるかを示す。図17aは二つの連続する、多レーンの、交差したコンベヤ640,645の一つのレーンのみを示す斜視図であり、一つのコンベヤの各レーンは、他方の案内ローラー641,642の上方を通過する。図17bは、二つの連続する、多レーンの、交差したコンベヤの複数のレーンを示す断面図である。図17a,17bを参照すると、二つの連続するコンベヤ640,645の個別に離間したレーンを交差させることにより、製品619は、常に少なくとも一つのコンベヤの積極的制御下におかれる。図17aにおいて、例えば、製品が底部出口側コンベヤ645から中間の搬送コンベヤ640に移送されると仮定する。出口側コンベヤ645上においては、各片は、シート643に搬送される。シート643は、製品各片をその中間部において支持する。図17aにおいて、仮に、例えば、製品が底部出口側コンベヤ645から中間の輸送コンベヤ640まで移送されるものとする。出口側コンベヤ645上では、各片は、シート643により搬送される。シート643は、その中間部において各製品を支持する。製品619が、コンベヤ640,645の交差した部分に至ると、製品各片は、シート643によりその中間部において支持され、コンベヤ645上に配置されると同時に、その端部付近は支持パネル644に支持され、コンベヤ640上に配置される。製品619が、コンベヤ640,645の交差した部分を通過すると、製品はもはやシート643によっては支持されなくなり、中間の搬送コンベヤ640上の支持パネル644によりその端部付近を支持される。製品は、製品の支持される領域が製品の中間部と端部とを替わりながら、このようにしてコンベヤからコンベヤに円滑に移送可能である。これに代えて、製品は反対の方向に、すなわち製品端部支持コンベヤから製品中間部支持コンベヤに移送可能である。更に、底部出口側コンベヤは、製品の中間部よりむしろその端部近傍を支持することによりフライヤー外に搬送するよう設計可能である。このような場合において、製品は、その中間部を支持する中間のコンベヤに移送可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】米国特許出願第10/347993号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0056】
本発明により形成された型フライヤーアセンブリを使用することによって、フライヤー油鍋の体積の減少により構成要素、加熱、維持、油、及びその他のコストが削減される。フライヤー内の連続する底部コンベヤを除去することにより、製造されるスナックの品質に影響を与えることなくフライヤー油鍋の体積を減少させることが可能となる。底部コンベヤがフライヤー油鍋の全長にわたって連続して延びるわけではないため、周知の方法による連続したコンベヤと比較して、本発明によるフライヤーにおいては、必要とされる支持体及び内蔵される構成要素の数は減少される。フライヤーを通過して延びる構成要素が減少されるため、油の酸化が防止可能である。更に、潜在的に故障しうる構成要素の数が減少されるため生産性が向上する。
【0057】
フライヤーを通過する連続した底部コンベヤを除去し、底部入口側コンベヤと底部出口側コンベヤにより置き換えることにより、フライする工程において、各底部コンベヤを異なる調理前状況及び調理後状況に適合するよう効果的に設計可能である。底部入口側コンベヤ及び底部出口側コンベヤは、その機能、配置、及び操作の状況に適合するように、異なる形状を有し、異なる材料から構成され、異なる速度で周回することが可能である。例えば、フライヤーのある実施例において、底部入口側コンベヤは、平坦なプリフォームを受け入れるために、平坦な、開口を有するポリマーシートから構成される。底部出口側コンベヤは、調理されて湾曲した製品を受け入れるための湾曲したシートを有する鎖のレーンにより構成される。
【0058】
上述のフライヤーに適用される酸化を減少させて油の品質を維持するための周知の方法によるアプローチは、過剰な酸素による油−ガス境界面を一掃するために、部分的に密閉された環境に蒸気を追加することである。上述するように、通常製造されたポテトチップスは、この目的のための型フライヤーにおいて十分な蒸気を産出するものではない。従って、蒸気の追加が必要である。しかしながら、いずれの場合においても、フライする油内に進入する製品上に過剰な蒸気が蓄積し、不都合な結果を招来しうる。更に、高速な型フライの工程において、生のチップスは、高速にて移動するコンベヤ上のフライヤー内に案内される必要がある。高速なコンベヤ及び製品は、フライヤーの前面端部に混入した空気を搬送することになり、これにより、フライヤー環境における酸素のレベルが上昇し、油の酸化が上昇する。製品の損傷レベルは、例えば生地の水分含有量、レシチン含有量、油の乱流のような多くの要因により影響を受けるものの、本願発明者はフライヤー入口側(フライヤー前面端部)における生地上の蒸気の濃度も、製品の損傷レベルに大いに影響を与えることを発見した。例えば、フライする油に進入する際に過剰な蒸気を蓄積する製品は、型枠に中心に保持されたり、望ましくない特性を備えた望ましくない形状にフライされたりするような課題に遭遇しうる。フライする雰囲気における蒸気レベルの上昇は、製品の損傷の上昇の要因となるが、同時にフライする油の酸化速度も減少させる。その逆が蒸気レベルの下降とともに発生する。従って、蒸気レベルのみの操作は、酸素値(または濃度)及び損傷率の間においてトレードオフを必要とする。よって、一方を減少させるために他方を犠牲にしたり、フライする油を廃棄することよりはむしろ、同時に酸素値及び製品の損傷率を減少させるための装置及び方法に対するニーズがある。
【0059】
周知の方法によるシステムも、フライ後において、窒素ガスを使用し、酸素を、仕上がった製品が冷却し包装されるまでその製品に寄せ付けないようにしてきた。しかしながら、周知の方法によるシステムにおいては、ここで開示されるような、油の劣化速度及び製品の損傷率を同時に減少させるために、散布する蒸気及び窒素ガスを組み合わせて使用してきたものはない。
【0060】
従って、フライヤーの雰囲気の状態を制御するための、特に、すぐ上に記載したものと同一または類似する型フライヤーを使用する際に制御するための、製品の改良、並びに、そのような装置を設計及び最適化する方法に対するニーズがある。理想的には、このような改良は、蒸気による製品の損傷を減少させつつフライする環境から酸素を除去する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0061】
本発明の好適な実施例による型フライヤーは、所望の形状を備えるポテトチップスのような調理されたスナックを製造するための上部コンベヤを有する。上部コンベヤは、フライヤー内において長手方向に延び、フライヤー油鍋の上方に配置される。未調理のスナックは、調理するために、底部入口側コンベヤによりフライヤー内における油内に移送される。未調理のスナックを移送後、底部入口側コンベヤは、フライヤーの油鍋から周回して離間するよう構成されている。スナックは、油内において上昇し、上部コンベヤ上における型枠の表面に配置される。しかしながら、本発明によるフライヤーのハウジング装置及び最適化の方法は、周知の方法によるフライヤーを含むその他のフライヤーにも使用可能であるということに留意する必要がある。
【0062】
好適な実施例における型フライヤーに関して、本発明は、フライヤーの主要部における散布される蒸気、及び、フライヤーハウジングの蒸気で遮蔽された前面端部における、或いは前面端部の近傍における正確に位置された点から導入される窒素ガスを使用する。固定型の蒸気シールド及び正確に配置された窒素注入点のこの組み合わせは、製品がフライヤーに進入する際の、製品上における蒸気や水の凝集の可能性を劇的に減少させるために操作可能である。この方法は、同時に、フライヤーの前面に進入する外気の量を減少させるようにも設計可能であり、その結果、油の酸化や劣化を大きく減少させることができる。従って、本発明は、フライされる製品の損傷及び油の酸化や劣化を同時に減少させる方法を提供する。
【0063】
上記及び本発明の付加的な特徴及び効果は、以下に記載の詳細な説明により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】連続した上部コンベヤ及び下部コンベヤを備える周知の方法によるフライヤーの断面図。
【図2】米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの断面図。
【図3】底部入口側コンベヤの様々な形状を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの前面端部の断面図。
【図4】底部入口側コンベヤの様々な形状を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの前面端部の断面図。
【図5】底部入口側コンベヤの様々な形状を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの前面端部の断面図。
【図6】底部入口側コンベヤの様々な形状を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの前面端部の断面図。
【図7】スナックがフライヤーの油内に供給されることを示す、図3乃至6による型フライヤー入口部分の付加的な実施例の部分的な断面図。
【図8】フライヤーの油から収集されるスナックを示す図3乃至7のフライヤーの入口域とともに使用可能である、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの出口域の断面図。
【図9】米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの上部コンベヤに設けられる凸状の形状を有する型枠の部分的な断面図。
【図10】図9の上部コンベヤ上に設けられる型枠の部分的な上部の斜視図。
【図11】図9及び10の型枠により形成される底部出口側コンベヤ上を搬送される凸状の形状を有するスナックの部分的な上部の斜視図。
【図12】米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの上部コンベヤ上に設けられる凸状の形状を有する型枠の部分的な断面図。
【図13】図12の上部コンベヤ上に設けられる型枠の部分的な上部の斜視図。
【図14】図12及び13の型枠により形成される底部出口側コンベヤ上を搬送される凸状の形状を有するスナックの部分的な上部の斜視図。
【図15】油鍋拡張部を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーにおける入口の領域の断面図。
【図16】油鍋拡張部を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーにおける出口の領域の断面図。
【図17a】米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの二つの交差したコンベヤに沿って搬送される凸状の形状を有するスナックの上部の斜視図。
【図17b】図17aのスナック及び交差したコンベヤの前面の断面図。
【図18】開示される発明の好適な実施例における蒸気シールド及び窒素注入点を有するフライヤーの前面端部の断面図。
【図19】基礎のケースにおけるフライヤー前面端部の断面図における窒素粒子のトレース図。
【図20】基礎のケースにおけるフライヤー前面端部の断面図における蒸気粒子のトレース図。
【図21】基礎のケースにおけるフライヤー前面端部の断面図における酸素粒子のトレース図。
【図22】フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び、蒸気の濃度の勾配の、ケース9(蒸気シールドを配置)に対するケース8(蒸気シールドを省略)の比較を示す図。
【図23】フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び、蒸気の濃度の勾配の、ケース9(中濃度の窒素、中濃度の蒸気)に対するケース5(高濃度の窒素、低濃度の蒸気)の比較を示す図。
【図24】フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び、蒸気の濃度の勾配の、ケース9(最初の入口域の設計)に対するケース1(変更した入口域の設計)の比較を示す図。
【図25】入口域及び四つの窒素ポートを有するフライヤー前面端部の断面図における窒素の濃度の勾配を示す図。
【図26】図25に示すフライヤー前面端部における酸素の濃度の勾配を示す図。
【図27】図25に示すフライヤー前面端部における蒸気の濃度の勾配を示す図。
【図28】図25に示すフライヤー前面端部の断面図における蒸気粒子のトレース図。
【図29】図25に示す蒸気シールドの空隙の領域の断面の拡大図により時間の経過を示す九つのスライドにおいて蒸気の濃度の勾配を示す図。
【図30】本発明の改良をほどこした入口域を省略したフライヤーにおける時間(x軸即ち横軸で単位は日)に対するフライする油の劣化(y軸即ち縦軸)を示すグラフ。
【図31】本発明の好適な実施例による前面端部の入口域を有するフライヤーにおける時間(x軸即ち横軸で単位は日)に対するフライする油の劣化(y軸即ち縦軸)を示すグラフ。
【図32】好適な実施例において、高速にて流動散布する蒸気、並びに、蒸気シールドの空隙近傍の上部、下部、及び、蒸気側のポートからの窒素ガスの様々な流動速度において操作した後の、酸素レベル及び不良発生のデータを示す立方体の座標。
【図33】好適な実施例において、中速にて流動散布する蒸気、並びに、蒸気シールドの空隙近傍の上部、下部、及び、蒸気側のポートからの窒素ガスの様々な流動速度において操作した後の、酸素レベル及び不良発生のデータを示す立方体の座標。 本特許或いは出願は、カラーで仕上げた少なくとも一つの図面を含む。カラーの図面を含む、この特許或いは特許出願公開公報は、請求及び必要な費用の負担により特許庁から提供される。本発明の特徴と考えられる新規の特徴は、付加された請求項において開示される。しかしながら、発明自体は、使用の好適なモード、更なる目的、及びその効果も同様に、以下の実施例の詳細な記載が添付の図面とともに読まれると最も理解されるものである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
装置
背景技術において既に述べたように、散布される蒸気は、フライヤーの上方の密封された領域に案内され、調理油を望ましくなく酸化や劣化させる酸素と交換される。ここで使用されるように、散布される蒸気及び蒸気は、交換可能であり、いかなる不活性ガスも含むことができる。ここで使用される不活性ガスは、製品やフライする媒体とは反応しないガスである。散布される蒸気のような不活性ガスを使用することは、フライする製品がフライヤー内の空気と交換されるための十分な蒸気を放出しない場合において、特に有用である。散布される蒸気の使用に加えて、油の酸化や劣化による損失は、フライヤー自体に変更を加えることによっても減少可能である。例えば、型を形成しフライした製品を製造する際に、周知の方法による二つの型枠を有する型フライヤー(各製品の一片のために、二つの型枠の表面、すなわち上部及び下部)は、米国特許出願第10/347993号明細書に開示されるような一つの型枠を有する型フライヤー(各製品の一片のために、一つの型枠の表面)に置き換え可能である。型枠の表面の数が減少することにより、型枠コンベヤとともにフライヤー内に引き込まれる酸素の量が減少することになる。このような型フライヤーにおいても、一定時間経過後に新鮮な油と交換する必要があるフライする油は、減少される。一つの型枠を有する型フライヤーに関して、本発明の装置及び最適化の方法がここに開示される。本発明の装置及び最適化の方法は、周知の方法による型フライヤー、従来からの深型のフライヤー及び表面が浮遊するフライヤーといったその他のフライヤーにも有効であるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
しかしながら、散布される蒸気を使用することに起因する、ある望ましくない結果として、蒸気が、フライヤーに進入する低温の生地上に凝縮する点が挙げられる。製品進入域における蒸気への暴露は、例えば、しわ、並びに、その他の形状への変形及び表面の変形のうち少なくともいずれか一方のような製品の損傷の原因となることが周知である。製品の品質に影響を与えることに加えて、これらの損傷により、製品のバルク密度に影響が及ぼされ、製品が効率よく積載される性能及び包装される性能が阻害される。
【0067】
発明者は、この課題に対する一つの解決策として、フライヤーの入口に、あるいは入口近傍に蒸気シールドを配置することを発見した。ここで使用されるように、蒸気シールドは、物理的境界であり、フライヤーハウジングの幅を鍋内の油の表面に近接した地点からフライヤーへの進入口における進入する製品の上方の地点まで拡張するものである。この蒸気シールドの目的は、フライヤーの前面の製品進入部分における入口域を保護し、入口域の外部と分離した異なる雰囲気を形成することである。この目的を果たすものなら、一連のバッフルを含み、いかなる構造体も使用可能である。このような蒸気シールドにより、蒸気が、進入する生地に接触することが防止される。これにより、凝縮による損傷の発生は減少するが、それでもなお少数の蒸気は、蒸気シールドにおける空隙を通過してフライヤーに侵入可能である。コンベヤの単体のベルト(あるいは複数のベルト)及びフライヤーに進入する製品は、フライヤー内に周囲の空気から酸素も侵入させうる。蒸気シールドは、フライヤーの入口から、散布される蒸気、或いは製品の蒸気を取り払った状態を維持するため、フライヤー入口における酸素を置換するための別の機構が必要である。
【0068】
発明者は、この課題に対する解決策を発見した。フライヤーの前面端部はフライヤーの入口において、或いは、入口近傍において蒸気シールドを備えることに加え、フライヤーの入口の蒸気シールドの上方までの部分をできるだけ多く囲うことのできる入口域を有する。少なくとも一つのノズルかポートを有する不活性ガスのマニフォールドが、この入口域に配置可能であり、同入口域を非凝縮型の不活性ガスで充填し、かつ連続して補充し、これにより酸素と蒸気を交換する。ここで使用されるように、非凝縮型の不活性ガスは、フライする媒体に進入する製品上において凝縮せず、また、工程の状況下で製品やフライする媒体と反応しないガスである。非凝縮型の不活性ガスは、窒素、アルゴン、二酸化炭素、及びヘリウムから構成可能であるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施例において、マニフォールドは入口域の開口を横断して比較的均一に流動する非凝縮型の不活性ガスを排出する。本発明の一実施例においては、非凝縮型の不活性ガスの均一な流動は、複数のノズルによりもたらされる。代替的な実施例においては、非凝縮型の不活性ガスの均一な流動は、マニフォールドの連続するスリットによりもたらされる。上記は、入口域の開口を非凝縮型の不活性ガスで押し流し、蒸気のような凝縮性を備えた不活性ガスが入口域に侵入することを防止するという目的を達成する方法の例である。この解決策により、フライヤーの操作者は、(散布される蒸気を使用して行う)酸素の置換及び(凝縮による)製品の損傷の間の均衡の課題を回避可能である。フライヤー入口の前面に、伸長したフードも配置可能である。これにより、フライヤー入口を周囲の空気から保護することができる。このような伸長したフードは、不活性ガスのマニフォールドを具備してもよい。
【0069】
しかしながら、発明者は、入口域(及びもしあれば伸長したフード)を非凝縮型の不活性ガスで単に充填するだけでは、十分ではないということを更に発見した。非凝縮型の不活性ガスの流れの案内及び配向の正確な位置は、システムの酸素がフライヤーのフードに侵入することを防止する能力、及び、散布される蒸気が蒸気シールドにおける空隙を通過することを防止し、ポンプでフライヤーの前面端部の入口域内に移動する型枠コンベヤによりくみ出されることを防止する能力に、影響を与える。好適な実施例において、フライヤーハウジングの前面端部は、フライヤーハウジングの前面部分を封じ込めたフライヤーの容積の残りから分離する蒸気シールドを有する。蒸気シールドは、型枠コンベヤが通過する開口を有する。理想的には、コンベヤの開口は、コンベヤが通過するように十分大きく形成可能であるが、安全上の理由からコンベヤより僅かに大きくも形成可能である。業務用の寸法を有するフライヤー内の蒸気シールドは、好適には、コンベヤの周囲に1インチ(約2.5cm)未満の空隙、より好適には1/2インチ(約1.3cm)未満の開口、最も好適には1/4インチ(約0.6cm)である空隙を有する入口域開口から構成される。その結果、コンベヤは蒸気シールドと接触しなくなる。一実施例において、蒸気シールドは、型枠コンベヤ及び蒸気シールド間の空隙が一定となるように構成される。非凝縮型の不活性ガス用のノズルは、様々な場所に様々な角度で配置可能である。ノズルのうちのいくつかは、蒸気がポンプで保護された製品入口側環境内にくみ出されることを防止するように配置可能である。その他のノズルは、移送される製品とともに外気がフライヤー内に侵入することを防止するように配置可能である。これにより、生地がフライする油内に、表面の過剰な凝縮した蒸気や酸素を搬送することなく侵入可能な、低濃度の蒸気及び低濃度の酸素の前面端部の入口域を実現する。
【0070】
図18は、好適な実施例におけるフライヤーの前面端部の断面図である。 フライヤーは、フライヤーハウジング1806の主要部に散布される蒸気を案内するための蒸気ヘッダー1824を有する。ドリップシールド1808は、製品がフライヤーに進入する際に製品上への滴下による凝縮を防止する。排出スタック1826は、再利用及び再加熱のためにフライヤーハウジング1806から蒸気を追い出す。本発明の別例によると、フライヤーは、蒸気シールド1820及び窒素注入マニフォールド1812,1830,1840,1850も有する。ステンレス鋼やその他の食品用材料は、前面端部の入口域1860及び蒸気シールド1820用に使用可能である。通常、ある実施例において、フライヤーの前面端部は、窒素マニフォールドを三カ所に有する。すなわち、1)前面近傍かつ製品進入ベルトに近接した型枠コンベヤ1814(同型枠コンベヤ1814は、型枠コンベヤ側支持体1816及び型枠コンベヤ支持フレーム1810により支持される)の下方に設けられる注入マニフォールド1812。同注入マニフォールド1812は、下方にかつ僅かにフライヤー(例えば、不活性ガスポートが非凝縮型不活性ガスを上流かつ下方に配向し、望ましくないガスが製品進入地点に侵入することを防止する。)の前面の方に流動する非凝縮型不活性ガスを備えた、フライヤーの幅方向に沿って設けられる複数のノズルを有する。2)非凝縮型の不活性ガス側あるいは上流側の蒸気シールド1820上の型枠コンベヤの空隙1822の上方の注入マニフォールド1850及び下方の注入マニフォールド1830。各注入マニフォールド1830,1850は、シールド及び型枠コンベヤに関して一定の角度により型枠コンベヤの空隙1822の方に浮遊する非凝縮型不活性ガスを備えた、フライヤーの幅方向に沿って設けられる複数のノズルを有する。3)蒸気シールド1820の蒸気側あるいは下流側上の型枠コンベヤの空隙1822付近の注入マニフォールド1840。同注入マニフォールド1840は、空隙1822あたりを浮遊するガスを備えた、フライヤーの幅方向に沿って設けられる複数のノズルを有する。本実施例においては、非凝縮型の不活性ガスは、蒸気が入口域1860に侵入することを防止するために遮蔽体として有効に機能する。しかしながら、酸素及び蒸気のシールドの好適な度合いにより、その他の実施例においては、非凝縮型の不活性ガスを導入する箇所は、少なくても多くてもよいということに留意する必要がある。好適な実施例に関して、ガスマニフォールドの配置について説明したが、ガスマニフォールドの配置及び数は、使用されるフライヤーのタイプを含むその他の要因によって変更も可能である。しかし、これらに限定されるものではない。代替的な実施例において、入口域開口1822は、入口域1860内の分離した異なる雰囲気を維持するための非ガスの機械的なシールを使用可能であるということに留意する必要がある。例えば、実施例において、入口域開口1822の全長の部分に沿ってブラシを配置可能である。
【0071】
コストを含み、変更は、計算流体力学(CFD)モデルを使用して最適化可能であり、これにより入口域開口1822においてガスによるシールを形成するために有効な方法が決定される。方法には、好適なシール、並びに、入口域1860における酸素及び非凝縮型ガスの好適なレベルのうち少なくともいずれか一方のために必要である非凝縮型不活性ガスの量を減少させて、それに従いコストを減少させる方法が含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、高い圧力により十分な量の非凝縮型不活性ガスを入口域内にくみ出すことにより、入口域1860において単に圧力を高めることが可能であり、これにより、入口域1860から開口1822を通過して強制的に流動される。従って、開口1822からの凝縮型のガスが入口域1860に侵入することが防止される。これに代えて、フライヤーフード全体が非凝縮型不活性ガスにより充填されてもよい。しかしながら、このような選択肢は、所望のものより高価となることがあるし、潜在的な安全性の問題も引き起こすことがある。従って、後述する設計及び最適化の方法が、その他の実施例における非凝縮型不活性ガスの最適な配置、数、指向を決定するために使用可能である。
最適化の方法
好適な実施例において、CFD(Computation Fluid Dynamics)モデルが、最適な配置を決定し、蒸気シールド、バッフル、及び非凝縮型の不活性ガスのノズルを配置するために使用される。効率性という観点からは、非凝縮型の不活性ガスを、分離した前面端部の入口に導入するだけでは十分ではない。配置もまた重要であり、発明者は、不適切な配置により、前面端部の入口が低濃度の酸素の環境及び低濃度の凝縮性ガスや蒸気の環境を創造するという目的を果たすことができないことの要因となることを発見した。ここで使用されるように、低濃度の酸素の環境とは、好適には酸素が5重量%以下であり、更に好適には1重量%以下であり、最も好適には0.5重量%以下である。ここで使用されるように、低濃度の凝縮性のガス環境とは、ガスが、工程の状況下において、好適には露点より上の約1°F(約−17℃)以上であり、より好適には露点より上の約10°F(約−12℃)以上であり、最も好適には露点より上の約20°F(約−6.7℃)以上である。ある場合において、非凝縮型の不活性ガスノズルの不適切な配置により、更に油の劣化が悪化しうる。
【0072】
本発明による蒸気を遮蔽した前面端部の入口域を有する連続したフライヤーにおける環境制御を設計及び最適化する方法は、以下のステップ、即ち
a)油の上方の雰囲気を制御するためのフライヤーフードを有し、かつ連続的に密封されたフライヤーから開始する工程と、
b)環境中の臨界点における酸素及び蒸気の濃度を測定する工程と、可能であれば、予め定めた環境の目標(特定の酸素レベル下、或いは、特定の油の劣化の状況下)との将来における比較のために測定することと、
c)前面端部の環境のCFDモデルを創造する工程と、同環境は、温度、最初のガスの濃度、体積、物理的境界、流れ、圧力、移動境界等のような望ましい環境特性を含むことと、
d)工程システムの動的なシミュレーションを行う工程と、ガスの濃度、温度、圧力、及び流れのような、結果として得られる環境特性を特定することと、
e)将来の比較のための基礎として、CFDシミュレーションを介して、特に油の表面における酸素の濃度を減少させる際のシステムの効果、及び、製品進入領域における凝縮したガスや露点を減少させる際の効果を測定、或いは特定する工程と、
f)望ましい環境の目標の更なる最適化の機会の範囲を特定する工程と、
g)蒸気シールドを追加して分離した前面端部を形成することによりフライヤーのモデルを変更する工程と、これにより製品の浸る地点の周囲の領域を封じ込めることと、前述の目標を達成するために必要があると考えられる、最低限の数の非凝縮型の不活性ガスのマニフォールド、及びノズル(或いは、その他の非凝縮型ガスを分配する方法)を追加することと、
h)CFDシミュレーションを介して、入口域の環境に影響を付与可能な変更をして、設計した実験、パラメーター研究を実施する工程と、
i)シミュレーションを介して、非凝縮型不活性ガスの使用を最低限にしながら、入口域の環境における酸素及び蒸気を減少させる際の変更したフライヤーシステムの効果を測定する工程と、
j)仮に故障箇所がある場合において、酸素の濃度及び蒸気の濃度の少なくともいずれか一方が望ましくないレベルであるか、不活性ガスの使用が最小限でない場合のフライヤーシステムにおける故障箇所を特定する工程と、
k)ガス供給(不活性ガス及び蒸気のうち少なくともいずれか一方)の流動速度を変更し、ガス供給(不活性ガス及び蒸気のうち少なくともいずれか一方)の配向を変更し、蒸気シールドの配置及び設計のうち少なくともいずれか一方を変更し、フライヤー環境からの蒸気の除去を最適化するために、スタックのダンパー及びファンのうち少なくともいずれか一方を変更し、或いは、不活性ガスマニフォールドの数を変更することにより故障箇所におけるフライヤーモデルを変更する工程と、
l)最小限の不活性ガスの使用レベルにより好適な酸素及び蒸気の濃度に達するまで、工程i)乃至k)、即ち有効性の決定、故障箇所の特定、及びフライヤーモデルの変更の工程を繰り返す工程により構成される。
【0073】
この工程は、物理的なフライヤーモデルや製造フライヤーシステムを使用することによっても実施可能だが、CFDほど効果的ではない。
図19乃至24は、上記に列挙された最適化方法の実施例により計測された窒素、酸素、及び蒸気レベルを示す色濃度図及び粒子のトレース図のうち少なくともいずれか一方である。図19乃至24の各図において、濃度のレベルは、色によって示され、赤(色スペクトルのうち、上部にある)は、比較的高濃度であることを示し、紫(色スペクトルのうち、底部にある)は、0%を示す。窒素濃度に関して、図示の幅は100%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。蒸気の濃度に関して、図示の幅は、100%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。酸素濃度に関して、図示の幅は、5%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。
【0074】
本方法の好適な実施例を実施する際に、発明者は、工程a)に従って、米国特許出願第10/347993号明細書に関して記載されるような、連続する、一つの型枠を有する型フライヤーの使用から開始した。工程b)においては、酸素及び蒸気の濃度を、フライヤー前面端部の隅から隅まで計測する。工程c)において、この情報は、その他の環境特性すなわち温度、体積、物理的境界、流動速度、圧力、及び移動境界等と組み合わせて使用され、前面端部の環境の計算流体力学(CFD)を形成する。その後、工程d)において、工程システムの力学的シミュレーションが行われ、システムモデルを向上させるために実際の実地試験のデータと比較される。力学的シミュレーション、実際の試験のデータとの比較、及びモデルへの調整の繰り返しの後、CFDモデルは受け入れ可能な正確さの度合いまでフライヤーの前面端部の動き(例、結果として生ずる環境特性)を予期可能である。工程e)において、将来の比較のための基礎として、CFDモデルは、特に油表面における酸素の濃度を減少させる際、及び製品入口域における蒸気を減少させる際のシステムの有効性を決定及び予期の少なくともいずれか一方を行うために使用される。
【0075】
図19乃至21は、本発明の方法の工程f)乃至i)の結果を示すものである。しかしながら、装置及びフライヤーの雰囲気の制御を最適化する方法は、その他のフライヤーシステムにも使用可能であるということに留意する必要がある。好適な実施例においては、特に、図19は、基礎のケースにおけるフライヤーの前面端部の断面図における窒素粒子のトレース図である。図20は、基礎のケースにおけるフライヤーの前面端部の断面図における蒸気の粒子のトレース図である。図21は、基礎のケースにおけるフライヤーの前面端部の断面図における酸素の粒子のトレース図である。方法のステップf)乃至g)に従って、一つの窒素マニフォールドが、型枠コンベヤの下方及び製品の浸る地点(製品が型枠コンベヤと接触し、強制的にフライする油内に下方に侵入させる)の近傍に配置された。窒素のマニフォールドは、図19乃至21において示されるが、図18において示されるものと類似している。窒素マニフォールドのノズルは、当初下流の製品が浸る点に向かって下方の角度において案内されていたが、これは、最も有効な配置だと仮定されていたからである。方法の工程h)及びi)に従って、窒素、酸素、及び蒸気の粒子のトレース及び濃度は、基礎のデータを確立するために測定された。
【0076】
図から明らかなように、図19に示す窒素の流れは、予期したように、窒素のマニフォールドから下方の角度に流れると、最も濃度が高くなる。窒素の一部は、伸長したフード内に流入し、伸長したフードの上部の周囲を循環するのみである。その後、窒素の一部は、循環することなく伸長したフードの底部を強制的に通過させられる。フライヤーの内部の窒素は循環し、下流及びフライヤーハウジングの上部におけるフライヤー排出口から最終的に退出した。
【0077】
当初は、窒素を製品の浸る地点に向かって下方の角度に案内することが最も効果的であると理論化されたが、図20は、窒素の流れは実際には、周囲の蒸気を窒素自体とともに製品が浸る地点の方へ案内してしまうことを示している。実際、蒸気は、製品入口地点の周囲のガスのまとまりにより概算で50%により構成されている。伸長したフード内にお
ける比較的停滞した窒素により、少量の蒸気が、伸長したフードを直接迂回し、上方に、フライヤー内へ供給される製品上に直接移動する要因にもなる。同様に、図21は最初の窒素マニフォールドの配置からの窒素の流れは、実際に、その流れとともに酸素を製品の浸る地点に案内するものであることを示している。方法の工程h)及びi)を実施する際に、発明者は、下記のケーススタディーを実行した。
【0078】
【表1】
図22乃至24は、方法のス工程h)及びi)の比較の結果を示している。
【0079】
図22は、ケース9(蒸気シールド配置)に対するケース8(蒸気シールドなし)の比較であり、フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び蒸気の濃度の勾配を示す。ケース9の結果は、方法の工程d)に従って、フライヤーの全断面領域にわたる蒸気シールドを追加することにより、発明者がフライヤーハウジングを変更した後、得られた。通常、蒸気シールドはフライヤーの長さ方向を横断する。好適な実施例において、蒸気シールドは、ステンレス鋼の薄いシートから形成されるが、その他の食品用製品で耐熱性、不透過性、及び耐腐食性を備えた材料により代用可能である。ある実施例において、蒸気シールドにおける開口は、型枠コンベヤに蒸気シールドを通過させ、コンベヤ及び蒸気シールド間には双方が接触しないよう小さな空隙が維持される。方法の工程i)を実施する際、発明者は、フライヤーの蒸気シールドにより遮蔽された前面端部における窒素、酸素、及び蒸気の濃度レベルを測定した。その結果は、図22におけるケース9にて示される。ケース8,9において、270立方メートル/hrの窒素及び800kg/hrの蒸気がフライヤーフードに供給された。二つのケースの間の唯一の相違点は、蒸気シールドの存在(ケース9)やその欠落(ケース8)である。
【0080】
障害の起こっている箇所を特定することに関する、方法の工程j)において、発明者は、蒸気シールドがフライヤー前面端部に存在する蒸気の量を実際に減少させたものの(少なくとも80%乃至概算で50%まで蒸気の濃度を減少させる)、製品が浸る地点における蒸気の量はまだ相当あり、概算で50%に上ることに注意した。更に、フライヤーの前面端部(特に入口域)における蒸気の欠如によって、多くの酸素が空間を占めることとなり、窒素の流れは、前面端部からの酸素を交換するのに十分ではなかった。製品の浸る地点における酸素レベルはなお約4%の高さであった。周囲の空気からの酸素は、入口域内の窒素の蒸気の層の下を徐々に移動しながら油の表面に沿って製品に侵入することとなる。発明者は、更に、大量の蒸気が、蒸気シールドの型枠コンベヤの開口を通過して漏出することにも注意した。
【0081】
図23は、ケース9(中濃度の窒素、中濃度の蒸気)に対するケース5(高濃度の窒素、低濃度の蒸気)の比較であり、フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び蒸気の濃度の勾配を示す。左側の列はケース5の結果を示し、右側の列はケース9の結果を示すものである。図から明らかなように、蒸気の流れを増加し、窒素の流れを減少させることにより(ケース5からケース9への移動)入口域における窒素レベルを下降させ、入口域における蒸気レベルを上昇させ、入口域における酸素レベルには影響をほとんど与えない。これとは逆にケース9からケース5への移動が行われると、蒸気の流れを減少させ、窒素の流れを上昇させると、入口域の窒素レベルが上昇し、蒸気レベルは下降し、酸素レベルはほとんど変化しない。重要なことに、これらの結果は、この特定の実施例及び窒素のマニフォールドの配置において、入口域における窒素の流動速度を、過剰な窒素が蒸気シールドの型枠コンベヤの空隙を通過して漏出し始めるほどに(図23におけるケース5に示すように)、単に上昇させるだけでは、製品が浸る地点から酸素は防止されない。
【0082】
上述のような障害の箇所を特定した後、発明者は、方法の工程k)に従って、プライマリー窒素マニフォールドの方向を変え(以前は、一つの窒素マニフォールド)、様々な箇所に窒素マニフォールドを追加し、複数の窒素マニフォールドの間に窒素の流れを再配分することによりフライヤーを変更した。発明者は、結果に満足がいくまで工程i)乃至k)を繰り返した。その後、プライマリー窒素マニフォールドは、製品が浸る地点よりはむしろフライヤー入口に向かって下方の角度に再び向けられる。図24は、左側の列に示すケース1(入口域の設計変更)の右側の列に示すケース9(最初の入口域の設計)に対する比較である。ケース1においてテストされた、変更された入口域及びフライヤーの設計によって、ケース9においてテストされた、原型の入口域及びフライヤーの設計よりむしろ窒素流動速度は遅くなり、蒸気流動速度は速くなる。全体的な酸素の濃度は、ケース1の変更された入口域において非常に低かった。更に、製品の浸る地点における酸素の濃度は、0.5%未満であった。これは、ケース9でテストされた原型の入口域の設計の同位置における概算にて4%の酸素の濃度より劇的に低かった。
【0083】
ケース1の変更された入口域は、図24の左側の列に示すが、入口の僅かに下流の窒素のノズル又はマニフォールド(入口に向かって下方に向く)、空隙に配向された上部蒸気シールド空隙ノズル、及び、同じく空隙に配向された下部蒸気シールド空隙ノズルから構成される。この特定の配置により製品の進入する領域における雰囲気の制御が向上したが、発明者は、上部及び下部の空隙ノズルからの窒素ガスが蒸気の大部分を放出したにもかかわらず、蒸気の一部は、なお型枠コンベヤに沿って、及び蒸気シールドの空隙を通過可能であることを理解した。従って、発明者は、蒸気シールドの空隙の近傍及び型枠コンベヤの帰還する部分の下方における蒸気側の非凝縮型のガスのマニフォールドや窒素マニフォールド(蒸気シールドの下流)を計算流体力学モデルに加えることにより、更に入口域の設計に変更を加えた。複数のノズルやポートを有するこの蒸気側の窒素マニフォールドは、図25乃至28に示すが、上方に向けられ、窒素を上方の型枠コンベヤに案内し、その空隙を通過させる。これによって、蒸気が前面端部の入口域に侵入することを更に防止する。好適な実施例において、蒸気側のマニフォールドは上方に配向されるが、これを型コンベヤ上方に配置しガスの流れを下方に向けることも可能であるということに留意する必要がある。
【0084】
図25乃至28は、上記に列挙された最適化方法から生じる他のフライヤーの実施例に従って計測された窒素、酸素、及び蒸気レベルを示す色濃度図及び粒子のトレース図のうち少なくともいずれか一方である。図25乃至28の各図において、濃度のレベルは、色によって示され、赤(色スペクトルの内、上部にある)は、比較的高濃度であることを示し、紫(色スペクトルの内、底部にある)は、0%を示す。窒素濃度に関して、図示の幅は100%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。蒸気の濃度に関して、図示の幅は
、100%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。酸素濃度に関して、図示の幅は、5%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。これらの図は、特に図25は、前面端部の入口域からの蒸気を排出しようとして、どのように蒸気側の窒素マニフォールドが防止手段として機能するかを示す。下流における蒸気シールドの空隙に隣接して囲む領域における蒸気を交換するために窒素を使用することにより、蒸気側のマニフォールドは、空隙を通過可能な蒸気の量を更に減少させる。蒸気側マニフォールドは、更に、入口域の上部及び下部のシールドの空隙のマニフォールドの仕事量を減少させる。
【0085】
図29は、図25に示す蒸気シールドの空隙の領域の断面の拡大図であり、経時的に示す九つのスライドにおいて蒸気の濃度の勾配を示したものである。スライドは、1乃至9まで左から右かつ上から下の順に配置される。この濃度の速写の経過は、CFDモデルから現像された。第1のスライド(シミュレーション内において0.0316秒により撮影)は、最初の仮定の状況を示し、入口域が窒素のみを含み、入口域における上部及び下部の空隙のマニフォールドが蒸気シールドの空隙の方に窒素を導入し、蒸気側窒素マニフォールドが窒素を導入し始めたところである。第2のスライド(0.1579秒により撮影)において、蒸気側マニフォールドからの窒素は、ノズルの真上の領域における蒸気の小さな一部と交換されて、型枠コンベヤの型枠のうちの一つの下方における蒸気と交換され始めた。上部及び下部の空隙のマニフォールドからの窒素は、空隙の方に流動し、蒸気が入口域内を通過することを防止することが理解できる。しかしながら、コンベヤは、特に型枠コンベヤの型枠の下方における領域において、右から左に移動されると、前面端部の入口域内に少量の蒸気を案内する。第3及び第4のスライドは、上部及び下部の空隙のマニフォールドからの窒素が、蒸気シールドの空隙のすぐ下流の領域における蒸気と交換されることを示す。上部及び下部の空隙のマニフォールド並びに蒸気側マニフォールドからの窒素の流れは、空隙の領域全体を窒素により充填し始めた。最後のスライド(1.5795秒により撮影)までに、窒素は、蒸気シールドの空隙の後ろにおける散布される蒸気を希釈することにより、蒸気シールドの空隙を通過する蒸気の量を減少させることを有効に補助してきたと理解できる。スライド3,4において示すように、蒸気側マニフォールドの窒素の流れが空隙の領域に達する前は、空隙における蒸気の濃度は約50%であったが、スライド9において示すように、蒸気側マニフォールドの窒素の流れが、蒸気シールドの空隙の後方における領域に十分な時間散布されると、空隙における蒸気の濃度は、概算で10乃至20%減少された。これらのスライドから理解できるように、蒸気側の窒素のマニフォールドは、入口域における蒸気を大いに減少させる。
【0086】
図30は、本発明の入口域の改良を実施していないフライヤーにおける時間(x軸即ち横軸で単位は日)に対するフライする油の劣化(y軸即ち縦軸)を示すグラフである。フライする油における劣化の数値が高いと、フライした製品の品質保持期間を短縮するため、劣化の数値は可能な限り低く維持することが望ましい。発明者が実施したある好適な実施例において、窒素マニフォールドを備える入口域を追加する前と後のフライヤーの油における劣化の数値を比較すると、操作者は、油の劣化の数値が好適な閾値以下に維持されることがわかる。閾値は、棒グラフを横断する水平方向の線として示される。しかしながら、このような閾値はいかなるレベルも取り得る任意の数値であり、製品の新鮮さ、品質保持期間、及びその他の要因に依存するということに留意する必要がある。通常、油の新鮮さは、連続して、或いはバッチ処理により、酸化や劣化した油を新鮮な油と交換することにより維持される。
【0087】
図31は、本発明の好適な実施例による前面端部の入口域を有するフライヤーにおける時間(x軸即ち横軸で単位は日)に対するフライする油の数値(y軸即ち縦軸)を示すグラフである。図30の結果と図31のそれとを比較すると、油の品質における有効な向上が理解できる。入口域及び窒素マニフォールドを付与する前における油の劣化の数値の大部分は、約0.83乃至1.04の範囲であったが、入口域及び窒素マニフォールドの付
与した後における油の劣化の数値の大部分は、約0.74乃至0.91の範囲であった。更に、ある実施例においては、劣化による汚れた油のパーセンテージは、約50%向上した。
【0088】
図32は、好適な実施例において、高速にて流動散布する蒸気、並びに、蒸気シールドの空隙近傍の上部、下部、及び、蒸気側のポートからの窒素ガスの様々な流動速度において操作した後の、酸素レベル及び不良発生のデータを示す立方体の座標である。図33は、好適な実施例において、中速にて流動散布する蒸気、並びに、蒸気シールドの空隙近傍の上部、下部、及び、蒸気側のポートからの窒素ガスの様々な流動速度において操作した後の、酸素レベル及び不良発生のデータを示す立方体の座標である。双方の立方体の座標において、垂直方向の位置(立方体の上部或いは底部)は、下部の蒸気シールドの空隙の窒素マニフォールド(20standard cubic meters per hour(scmh)及び60scmhの双方とも)を通過する窒素の流動速度を示し、水平方向の位置は、蒸気側窒素マニフォールド(140scmhも180scmhも双方とも)を通過する窒素の流動速度を示し、奥行きは上部或いは上方の蒸気シールドの空隙の窒素マニフォールド(140scmhも180scmhも双方とも)を通過する窒素の流動速度を示す。立方体の座標の八つの頂点は、それぞれ八つの実施例の結果を示し、上部の数値は、前面端部の入口域(或いはフード)における酸素の濃度の率であり、底部の数値は、製品における不良率である。例えば、散布する蒸気の流動速度が高速であり、下部の空隙の窒素マニフォールドが140scmhで、上部の空隙の窒素マニフォールドが20scmhで、蒸気側窒素マニフォールドが140scmhであった場合において、フードにおける酸素の濃度の率は0.02%であり、蒸気の濃度によるフライした製品の主要な不良率は0.2%を示した。図32,33に示すもののような、実験の結果及び立方体の座標は、蒸気及び窒素ガスの流動速度を最適化するために使用可能であり、この場合においては、約0.2%或いはそれ以下の酸素の濃度の率及び濃度による不良の発生の防止を達成できる。図33は、散布する蒸気が中程度の流動速度であり、下部の空隙の窒素マニフォールドが20scmh乃至60scmhの間で、上部の空隙の窒素マニフォールドが20scmh乃至40scmhの間で、蒸気側窒素マニフォールドが140scmh乃至180scmhである場合において、フ―ドにおける酸素の濃度の率が約0.2%或いはそれ以下であり、濃度による不良の発生が計測できなかったことを示す。実際において、入口域或いは蒸気シールド及び窒素マニフォールドにより、油の劣化する速度を減少させることによって、フライする油の効率を50%以上向上し(油の効率=[良品において実際に搬送される油の量]/[使用される油の総量])、蒸気による製品不良の量が減少した。
【0089】
窒素マニフォールド(或いは、その他の不活性ガスマニフォールド)は、好適には、比較的均一に分布する窒素ガスの遮蔽体を案内するための多ポートのマニフォールドから構成される。単一のノズルやポートのそれぞれからの複合的な窒素の流れは、各ポートを離れると即座に理想的に結合し、このような不活性ガスの遮蔽体を形成する。ある実施例においては、各ポートは、各方向に窒素ガスが及ぶように、ファン型の形状を有し、これにより全体にわたるガスの遮蔽体を形成する。ある実施例においては、このガスの遮蔽体は、入口域の開口の幅方向に延びる。目的は、入口域の開口を蒸気の流れにより押し流し、非凝縮型ガスが入口域に侵入することを防止することである。従って、本発明の精神及び範囲を逸脱しなければ、当業者が認識する、不活性ガスを案内するその他の装置も使用可能である。
【0090】
ある実施例において、不活性ガスは、環境中に案内される前にあらかじめ加熱される。非凝縮型不活性ガスは、好適には約212°F(約100℃)以上の温度まで予め加熱され、更に好適には約300°F(約149℃)以上の温度まで予め加熱され、もっとも好適には約350°F(約177℃)以上の温度まで予め加熱される。不活性ガスを加熱することにより、密度が減少する。これにより、開放された環境における体積が増加し、一
定量のガスによる効果を促進し、不活性ガスの使用を減少させ、一定の性能を得ることができる。更に、加熱された非凝縮型ガスにより、入口域における露点が低く維持され。その結果、製品の不良品発生率を更に減少させる。当業者は、仮に蒸気が結露しなくなるまで十分加熱されるなら、加熱された蒸気を非凝縮型不活性ガスとして使用することまで、この概念を拡張可能であると認識される。
【0091】
本発明は、蒸気の濃度を課題とするその他のタイプのフライヤー及びその他の食品製品脱水システムに適用可能である。例えば、フライされる製品が一方の端部から案内され、他方の端部より退出されるような従来の深型フライ装置(バッチあるいは連続)において、フライする油の直上における前面端部の供給領域は、蒸気シールドによりフライヤーの本体から分離され、その結果、フライにより放出される蒸気は、上流に移動せず、低温の進入する製品上において凝縮しない。仮にフライする油の劣化も懸念される場合においては、蒸気シールドから上流におけるフライヤーの前面端部は、入口域を形成するために密封可能であり、不活性ガスマニフォールド、ノズル、及び、ポートは、入口域内における酸素を交換するために使用可能である。入口域の効果は、上述のCFDモデリングによる方法により最適化可能である。しかしながら、総当たりによる実験、パイロットプラントによるモデリング等その他の最適化の方法も使用可能であるが、これらに限定されるものではない。総当たりによる最適化の方法においては、例えば、すでに存在するフライヤーをテストし、変更の様々な組み合わせと比較するために、テストを繰り返しながら漸進的に変更する。そして、最適な結果をもたらす設定を使用して最終的な構成を発見する。仮に、数学的なモデリングが使用される場合において、いくつかのテストの結果が採用され、これらのデータは、入力される変数及び出力される結果の間における数学的関係を導くために挿入される。これらの数学的関係は、理論上の最適な構成及び流動速度のうち少なくともいずれか一方を決定するために使用可能である。
【0092】
好適な実施例を参照して本発明が詳細に開示され説明されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、形状及び詳細において、当業者により様々な変更が可能であると理解される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナック食品の製造のためのフライヤーアセンブリ及びフライヤーアセンブリの環境制御に関する。より詳細には、本発明は、フライヤーハウジング内の密閉された環境において、不活性かつ非凝縮性のガスが正確に射出できる場所に位置するガスを使用して、揚げ物を調理する、即ちフライする媒体、換言すれば油の劣化、フライする媒体を減少させることによる製品の損傷、及び蒸気や酸素のような望ましくない凝縮性ガスあるいは反応ガスに対する製品の露出を抑制する。
【背景技術】
【0002】
スナックはフライヤーを使用して製造されることが周知である。一般的に、ポテトチップスのようなスナックは生地から製造され、重ねられ、処理のために個々の一片(プリフォーム)にカットされる。処理は、プリフォームをフライヤーにおいて調理してスナックを製造する工程を含む。周知の方法によるフライヤーは、製品のあらゆる部分が揚げられる必要性が高いスナック食品産業において使用される。通常、これらのフライヤーが、スナックを高温の油の流れを通過させることにより、同スナックが製造される。
【0003】
特にポテトチップスにおいて、プリフォームが成形され望ましい製品の形状に調理可能なため、型フライヤーは有益である。型フライヤーとは、通常二つのコンベヤ、すなわち上部コンベヤと下部コンベヤを有するスナック製造用のフライヤーである。各コンベヤ上に、対向するコンベヤのモールドや、表面と相互に作用するよう設計される型枠や、表面を有する。プリフォームがフライヤー内にセットされた後、型枠上端や接触する表面は、現在調理中のプリフォームがフライヤーから退出するまではプリフォームを油の表面下に維持する。
【0004】
通常、ポテトのスライスは、フライすると蒸気を開放する。多くの周知の方法による十分な油でフライする工程において、フライ中に開放される蒸気の量は、酸素が調理油に侵入したり酸化することを防止する。しかしながら、通常製造後のポテトチップスは、新鮮なポテトのスライスに比べて、フライすると含まれる水分がはるかに少ない。フライヤーへ酸素が侵入することを防止するための蒸気が少ないため、調理油の酸化が早くなる。周知の方法において、この課題は、調理油上方の雰囲気中に蒸気を散布することにより解決を図ってきた。周知の方法によるシステムも、油をフライヤーから放出及び廃棄し、廃棄した油と新鮮な油を交換することにより、油の酸化レベルを制御する。
【0005】
図1は周知の方法による型フライヤーの例を示す。フライヤーアセンブリ10は、プリフォームを移動させるためのコンベヤを備えるフライヤーハウジング12を有する。ハウジング12内における周囲の望ましい状況を維持するため、蒸気や不活性ガスがフライヤー内の油の上方及び周囲の部分を循環し、ポート14を通して供給される。ポートの数は必要に応じて追加することが可能である。上部ベルト20はフライヤーハウジング12の上部に配置され、二つのローラー22,24により支持されて周回される。下部ベルト30は上部ベルト20の下方に配置される。下部ベルト30は連続するループベルトであり、二つのローラー32,34により周回可能に支持される。多量の油52を含むフライヤー鍋50はフライヤーハウジング12内に設けられて、少なくとも上部ベルト20及び下部ベルト30の一部は、相互に隣接する際に、油52を通過する。油52は、油注入口54から油流出口56へフライヤー鍋50を通過して、例えばポンプ(図示しない)により循環する。フライヤー鍋50の周囲を覆う蒸気により、油は望ましい調理温度に維持される。
【0006】
調理時に、プリフォームは入口側ローラー32近辺から延びる下部ベルト30によりフライヤーへ案内される。その後、プリフォームは上部ベルト20により上部から搬送され、下部ベルト30が上部ベルト20に極めて近接する地点まで案内される。少なくともこの地点に達するまでに、プリフォームは少なくとも一つの型枠表面に接触する。図示は省略するが、型枠は上部ベルト20の少なくとも外部表面上に位置する。そして、型枠は下部ベルト30の外部表面上にも位置する場合がある。プリフォームが油52を通過して互いに平行である上部ベルト20及び下部ベルト30の間に留まると、油入口53における高温の調理油52に案内される。その後、プリフォームは油鍋50内の高温の油52を通過して搬送され、油出口55において油52から退出するまで完全に油52に浸される。典型的な型フライヤーは240°F乃至400°F(約116℃乃至204℃)の間の油フライ温度で操作され、好適には320°F乃至380°F(約160℃乃至193℃)の間で操作される。その後、調理されたスナックは油により搬送され、下部ベルト30の出口部分に沿って案内され、出口側ローラー34付近における調味や所望に応じて包装等、次の包括的な工程に移送される。
【0007】
周知の方法の例のフライヤーアセンブリ10のような型フライヤーを使用して、ポテトチップスのようなスナック食品は、標準的かつ望ましい形状で製造可能である。個々の一片のフライには、しわ、折れ曲がり、塊、調理面への接着といった多くの課題がある。型フライヤーを使用することにより、他のタイプのフライヤーとは異なり、多数のこれらの課題は解決可能である。
【0008】
型フライヤーはスナックのフライにおける多くの課題を解決するものの、大量の油を必要とする。装置の大部分は、フライされる食品とともに高温の油を通過しなければならず、その製品を調理するのに十分な時間沈んだ状態を維持する必要がある。従来の型フライヤーにおいては、二本のコンベヤベルト、少なくとも一つの製品型枠、及び調理される製品を浸すために十分な油が必要である。従って、この大量の油を熱し、循環させ、維持するために大量のエネルギー及びコストが必要である。
【0009】
さらに、酸化した油と新鮮な油を交換するのに関して多くのコストが必要である。この理由として型フライヤーは、空気及び油の間を循環する表面を備える少なくとも一本のコンベヤを有する点が挙げられる。この構成要素はそれ自体が酸素を油に案内する。システムにおける油は、空気及び油の境界面における酸素、及び、油に浸ったコンベヤの材料からの酸素を吸収するにつれ、徐々に酸化する。油の酸化は時間がたつと悪臭を放つ原因となる。従って、システムにおいて酸化した油は定期的に新鮮な油と交換される必要がある。よって、フライヤーの性能に悪影響を与えることなく、油に浸されるフライヤーの構成要素の部分を減少させることが有効である。仮に構成要素の油に浸される部分を減少させられる場合、このような構成要素が酸素を油に案内する機会も減少させることが可能となる。このため、油の酸化を遅らせ、酸化した油と新鮮な油の交換に関するコストを減少させることができる。更に、油を熱し、循環させ、維持するための支出も減少させることができる。
【0010】
成形されたスナックは、サイズ及び形状において均一に製造可能であることが望ましい。この均一性により、スナックを一列に並べて包装可能である。よって、袋の中においてバラバラに包装されるのとは異なり、スナック製品は容器内に包装可能となる。キャニスターによる包装は、スナックの破損をある程度防止しつつ、大量のキャニスター及び個々のキャニスターにおけるスナックの搬送性を向上させる。また、キャニスターは、開封後の製品の劣化を防止すべく蓋を使用して密封可能である。
【0011】
曲線を描く楕円のような単一の形状(例えば、長手方向において上方に湾曲している楕円)を備えた製品の包装のために、スナックはキャニスター内に充填されるに先立って、
積載される。スナックは直接に一枚一枚が積載されるか、屋根板が重なり合うように部分的に重ね合わされる。このような重なり合いの後、製品は一斉に押圧されて、各片は互いに直接重なり合う。凹部が上向きでも下向きでも湾曲した製品を積み重ね合わせることは可能だが、製品の形状いかんにより、製品は一定の向きにおいてのみ重ね合わせに順応する。
【0012】
例えば、上方に湾曲する部分を備える肉薄の楕円状の製品は、凹部が上方を向いているよりむしろ下方を向いているほうが容易に積載される。二つの隣接する製品が重なり合わなかった場合において、仮にこれらの隣接する端部が異なる高さにある場合でも、これらの製品は単に強制的に重なり合わせられるに過ぎない。凹部が上方を向いている場合、二つの隣接する楕円状の製品は、これらの端部がコンベヤに対して平坦となり、製品が互いに押圧し合うと、これらの端部が互いに直面するため再び重ね合わせることができない。しかしながら、凹部が下方を向いていると、移動する方向において下方に湾曲する端部により製品は前後に揺動可能である。この揺動可能であることにより、二つの製品の隣接する端部が、同じ垂直方向の位置において相互に直面することはまず起こりえない。従って、製品は、部分的に重なり合うことが可能であり、その結果、相互に重なり合うことが可能である。
【0013】
従来の型枠は凸状であり、凹部を上方に向け下部ベルトから離間させてスナックの形状を作る。凹部が上向きであると調味に好適であるが、凹部が下向きだと、上述のように積載に好適である。従って、製品は包装前に裏返す必要がある。仮に調理された製品の凹部が、フライヤー底部ベルトに対して下方から面する状態で、製品がフライヤーから離間した場合、調味の効率において僅かに損失があるものの、製品を反転させる必要はない。
【0014】
従来の方法による型フライヤーが直面する別の課題は、調理する製品の形状の変化に適応可能な下部コンベヤを設けることが困難であることにある。通常、フライする製品はある形状でフライヤーに進入し、別の形状となって退出するため、プリフォームの形状及び調理された製品の形状の両方を収容可能な製品容器を備える従来の方法による下部コンベヤを設計することは困難である。
【0015】
上記課題に対する解決策は、特許文献1に開示され、その全体がここで開示されたものとする。具体的には、スナック製品を調理するための型フライヤーは、図2において開示される。フライヤーアセンブリ100は入口域102においてフライされるスナック製品を受け入れる。調理後、スナック製品は、出口域104においてフライヤーアセンブリ100から退出する。入口域102及び出口域104の間には、調理するスナック製品上のフライヤーの環境を制御するためのポート114を有するフライヤーハウジング112が設けられる。単一のポートとして図示されているが、ポート114は多数のポートの代表に過ぎず、付加的な実施例に影響を与えるように任意の数が設けられる。図示されるように、フライヤーアセンブリ100は、フレーク状の脱水したポテトから構成される生地のように、実質的にポテトから作られるスナックを調理するのに使用される。しかしながら、本発明により形成されるスナックは、代替的な澱粉質の混合体により構成される。
【0016】
調理される前に、好適なスナックを製造するために処理された生地は、シート状に形成されプリフォーム(未調理のスナック)になる。通常、生地は、澱粉製品、砂糖、及びその他の添加剤との実質的に乾燥した混合体により構成される。ここで使用される澱粉製品の例は、いかなる澱粉も含み、天然の(非人工の)澱粉及び人工の澱粉を問わず、食品製品のきめ、一貫性及び耐久性を向上させる能力、並びに生地の食品製品への処理を向上させる能力により選出される。その全ては当該技術分野において周知である。
【0017】
図2において、フライヤーアセンブリ100は上部コンベヤ120、底部入口側コンベ
ヤ130、及び底部出口側コンベヤ140を備える型フライヤーによりプリフォーム(図示しない)を処理する。上部コンベヤ120上において、複数の型枠(図示しない)が外側の環境に向かって配置され、プリフォームに係合し、かつプリフォームを型枠成型し、調理された形状を有するスナックを製造する。上部コンベヤ120は油を通過させる鎖リンク構造体により構成される。鎖リンク構造体は、例えばステンレススチールやその他の金属、セラミック、高温の油への暴露にも耐えるポリマーベースの耐久性を備えた材料により形成される。上部コンベヤ120を二つのローラー122,124が支持する。図示するように、二つのローラー122,124は上部コンベヤ120に噛合する歯を含み、回転力を供給する。通常、回転力は二つのローラー122,124のうち一つのみにより供給される。
【0018】
調理において、プリフォームは底部入口側コンベヤ130上の上部コンベヤ120に搬送される。底部入口側コンベヤ130は油を通過させる鎖リンク構造体により構成される。鎖リンク構造体は、例えばステンレススチールやその他のタイプの金属、セラミック、高温の油への暴露にも耐えられるポリマーベースの耐久性を備えた材料により構成される。これに代えて、底部入口側コンベヤ130は、食品用製品で開口を有する耐久性及び柔軟性を備える材料にして、フライする油の温度に耐えられるものにより構成されてもよい。底部入口側コンベヤ130は、いくつかのローラー132,134,136及び138により支持及び案内され、少なくともその内の一つ134は油に浸される。図2に示されるように、いくつかのローラー132,134,136及び138に関する底部入口側コンベヤ130の通路は、本発明による入口側コンベヤ通路の一例である。好適な通路は、フライヤーの油の除去を最小限にとどめ、入口側コンベヤの冷却を許容し、他の点では経済的であるものである。図示するローラーの配置により決定される通路は、底部入口側コンベヤ130にフライヤーハウジング12の外側領域を通過させる。フライヤーハウジング12の外側領域を通過することにより、プリフォームに接触する前に底部入口側コンベヤ130は冷却される。底部入口側コンベヤ130を冷却することにより、プリフォームが調理油152に進入する前にプリフォームが熱に暴露されることを最小限にとどめる。このような調理前の熱への暴露は、プリフォームの望ましくない損傷やしわの原因となりうる。
【0019】
図2における構成は、回転力がフライヤーハウジング112の外側のローラー、すなわち入口側ローラー132に供給されるため有効である。通常、フライヤーハウジングの体積は、加熱及びフライヤー雰囲気の制御のような経済的理由により最小限にされるため、フライヤーハウジング112の外側の入口側ローラー132のような構成要素の位置決めが望ましい。後に図示するが、通路は追加可能である。入口側ローラー132において、プリフォームは底部入口側コンベヤ130の搬送領域に配置され、フライヤーハウジング112内に搬送される。これに代えて、プリフォームは、調理油152に浸される前に熱に暴露されることを抑制するために、底部入口側コンベヤ130の上方の油に進入する位置付近に配置される。事前の浸漬による熱的圧力は、プリフォームのしわ及び変形の原因となりうる。油152における調理前に熱への暴露を抑制することが重要である。事前の浸漬による熱への暴露は、プリフォームが底部入口側コンベヤに張り付くことを助長する。その結果、上部コンベヤにプリフォームが移動することが困難になる。事前の浸漬による熱への暴露を抑制する方法の別例は、底部入口側コンベヤの搬送領域の長さを最小にすることである。搬送領域は、入口側ローラー132及び浸漬するローラー134の間の底部入口側コンベヤの最表面である。例えば、底部入口側コンベヤは、フライヤーハウジング内へ水平に案内され、油鍋150に到着した後に、迅速に下方に傾斜して油に進入する。
【0020】
しかしながら、底部入口側コンベヤ130上のプリフォームが、上部コンベヤ120と底部入口側コンベヤ130とが互いに平行になり、極めて近接する位置に近づくように、底部入口側コンベヤも下方に傾斜される必要がある。プリフォームは、上部コンベヤ12
0上の型枠と接触することが多いために、底部入口側コンベヤ130の表面上の構成において有効に配置される。上部コンベヤ及び下部コンベヤが極めて近接して相互に平行になり始める位置において、プリフォームは上方から上部コンベヤ120上及び下方から底部入口側コンベヤ130の外側表面上の型枠間に配置される。高温の油152にて調理するフライヤー油鍋150内へプリフォームを指向させるために、上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130は油152内へのアーチ状の通路に沿って案内される。
【0021】
しかしながら、底部入口側コンベヤ130上のプリフォームが、上部コンベヤ120と底部入口側コンベヤ130とが互いに平行になり、極めて近接する位置に近づくように、底部入口側コンベヤも下方に傾斜される必要がある。プリフォームは、上部コンベヤ120上の型枠と接触することが多いために、底部入口側コンベヤ130の表面上の構成において有効に配置される。上部コンベヤ及び下部コンベヤが極めて近接して相互に平行になり始める位置において、プリフォームは上方から上部コンベヤ120上及び下方から底部入口側コンベヤ130の外側表面上の型枠間に配置される。高温の油152にて調理するフライヤー油鍋150内へプリフォームを指向させるために、上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130は油152内へのアーチ状の通路に沿って案内される。
【0022】
上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130の間の空間は、両コンベヤ120,130が油に進入する角度同様、少なくとも各プリフォームの一部が常に少なくとも一つのコンベヤと接触するように調整される必要がある。仮に空間及び角度が適切に調整されていない場合には、油表面におけるコンベヤ120,130間の水平距離は、製品の長さより長くなる。底部入口側コンベヤ130から上部コンベヤ120に搬送される間、製品全体はある領域における油表面で、またはその付近で保持される必要がある。従って、空間及び角度は制御される必要がある。コンベヤの空間及び角度が適切に調整される場合、上部コンベヤ120及び底部コンベヤ130間の空気及び油境界面の長さは、各プリフォームの長さより短い。換言すれば、上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130間の水平距離は、フロート長としても周知であるが、製品の長さより短くする必要がある。これにより、製品が常に積極的制御下におかれることが保証される。例えば、油への侵入角度が非常に小さい場合には、上部コンベヤ120及び底部入口側コンベヤ130間では狭小な空間のみが、油表面におけるそれらコンベヤ間の水平距離が製品と同じ長さになる前に許容される。しかしながら、侵入角度が急峻な場合には、二つのコンベヤ120,130間ではより広い上下に延びる空間が、油表面におけるそれらコンベヤ間の水平距離と製品とが同一の長さになる前に許容される。フロート長を製品の長さより短く維持することにより、製品に積極的制御を発揮するため、少なくとも一つのコンベヤが少なくとも製品の一部にいつでも接触する。
【0023】
底部入口側コンベヤ130が油鍋の入口域158において、油152に接触すると、スナックは高温の油152に浸され、フライされ始める。フライが始まると同時に、下方に傾斜する上部コンベヤ120はプリフォームを強制的に上部コンベヤ120上の型枠の形状を取るように成型する。製品が上部コンベヤ120の型枠に接すると、底部入口側コンベヤ130はこれらスナックの調理には不要となる。底部入口側コンベヤ130は、浸漬するローラー134を周回し、その帰還路に新しいプリフォームを受け入れさせ始める。この底部入口側コンベヤ130の帰還領域は、搬送後の領域と呼ばれる。底部入口側コンベヤ130及び底部出口側コンベヤ140の通路は、上方から油内へプリフォームを搬送するために少なくとも部分的に傾斜していることに留意する必要がある。
【0024】
プリフォームは上部コンベヤ120の型枠に維持されるために、油152より低密度である必要はないことに留意する必要がある。油より高密度であるプリフォームが汚れた油内に沈むことは当然であるが、調理中に油152から放出されるガスにより、プリフォームには上方に向かう力が作用する。この上向きの力は、プリフォームを上部コンベヤの型
枠に堅固に維持する。図1に示される周知の方法によるフライヤーとして上述した従来の型フライヤーとは異なり、上述のフライヤーアセンブリ100及びその他の本発明によるフライヤーアセンブリは、下部コンベヤを油鍋全体にわたって通過させるものではない。図2に示すように、これによりフライヤー油鍋150の領域151の体積を減少させることができる。
【0025】
図2において、油鍋の入口域158は、フライヤー油鍋150の一領域であり、浸されるローラー134及びフライヤー油入口154を十分収容できる大きさである。高温の油152は、フライヤー油鍋150を通過して循環され、油152はスナックが調理されると、これらスナックとともに流動する。油入口154は、油鍋150の入口側において油を提供し、油出口156は油鍋150の終端において油を受け入れる。油出口156及び油入口154の間において、油は浄化され、加熱され、さらに油が不要な場合にはポンプでくみ出される。好適な実施例において、油は、製品調理時の製品による妨害を最小限にするため、製品及び上部コンベヤ120の速度と等しいか僅かに遅い速度で移動する。更に、油152並びに各種コンベヤ120,130,及び140の速度は、製品に対する積極的制御を向上させるために順次段階的に上昇させることができる。例えば、油152は、底部入口側コンベヤ130からの製品の除去を補助するために、底部入口側コンベヤ130より僅かに速く流動させることができる。上部コンベヤ120は、製品を上部コンベヤの型枠に堅固に押圧するために、油152の流動速度より僅かに速く移動するように設計可能である。同様に、後述する底部出口側コンベヤ140は、製品を上部コンベヤ120から底部出口側コンベヤ140まで適切に移動させるために、上部コンベヤ120と同一の速度、或いは上部コンベヤより僅かに速く移動するようにしてもよい。
【0026】
製品が油鍋の入口域158を通過して下流に搬送されると、体積が減少された領域151に遭遇する。フライヤー油鍋の幅は変化しないため、この領域151においては高さが減少可能である。この減少は、底部コンベヤが省略されている構造であるため、この領域に沿って可能である。従って、スナックが上部コンベヤ120に沿って調理される領域付近のみにおいて油が必要とされる。よって、領域151に沿った高さは、型枠を備えた上部コンベヤ120の高さよりも大きい必要があるが、二つのコンベヤを収容する必要はない。周知の方法によるコンベヤを使用する型フライヤーアセンブリは、型枠を備える上部コンベヤ、調理油152にスナックを搬入及び搬出するために使用される下部コンベヤ同様、これらのコンベヤを案内するのに必要なローラー及びその他の構成要素を浸すのに十分な大量の油を必要とする。これにより、大量の油の加熱、浄化、ポンプによるくみ出し及び維持のために、周知の方法による型フライヤーアセンブリを操作するコストは上昇する。本発明により底部コンベヤをなくし、領域151の体積を減少させることによって油量を減少させ、油の加熱及び維持に関するコストを削減できる。
【0027】
更に、底部コンベヤを省略して体積を減少した領域151は、酸化した油を新鮮な油と交換するに際してコストを削減する。体積を減少した領域151においては底部コンベヤが省略されているため、常に油内に浸される底部コンベヤ材料が減少する。従って、底部コンベヤが油内に酸素を導入して酸化する機会を減少する。これにより油が酸化する速度が減少する。同様に酸化した油を新鮮な油に置き換える頻度も減少する。油の酸化は調味油152が悪臭を放つ原因となり、このことは製品の新鮮さを減少させる原因になるため、この構造は有効である。従って、油の酸化を減少させることにより、油152及び製品のうちいずれも新鮮に保つために支出されるコストを削減できる。体積を減少した領域151を備える型フライヤー100がフライヤーの一部を通過する底部コンベヤの必要性を排除する。これにより、プリフォームをフライヤー内に搬送するコンベヤ材料が少なくなる。従って、フライヤー内に搬送するためにプリフォームを底部コンベヤ材料が受け入れる前に、底部コンベヤ材料を冷却するのに必要となるエネルギーが減少される。底部コンベヤ材料を減少させることにより、必要となるこれらの支持機構、例えば、ローラー、支持体、及び、駆動軸も減少させられる。これにより、機械の誤作動及び機能不全の可能性も減少させられる。従って、体積の減少した領域151を備える型フライヤー100は、加熱及び冷却コストを削減し、機械の誤作動の発生を減少させることにより生産性を向上できる。
【0028】
好適な実施例において、油鍋150自体は、熱交換面として機能し、同面を介して熱が油に移動する。熱交換面の領域を拡大するために、油鍋150は、起伏をつけられるか、段をつけられる。例えば、油鍋150は、大小の波をつけられた鍋やフィン付きの鍋で構成される。従って、油152は油鍋150の長さ方向における下流に延びる溝の内部及び上方を流れる。このような起伏、或いは段がつけられた油鍋は、表面領域対体積の比が高くなる。その結果、油がフライヤーに沿って移動するにつれ調理する製品により放散及び吸収される熱をより効率的に補充する。フライヤーにおける油152を適切なフライ温度に維持するために、加熱した流体が油鍋150の下で接触して流れるよう供給される。油鍋150を加熱する方法の別例では、例えば、油鍋の下に電気により加熱する要素を使用したり、加熱するための放射熱源を使用したりする。
【0029】
体積を減少した領域151の終端において、スナックはフライヤー油鍋出口160を通過する。出口160におけるフライヤー油鍋150は、油鍋入口域158における領域に類似する拡張した深みを有するが、入口及び出口域の深みは同一である必要はない。出口域において、底部出口側コンベヤ140は、油に浸るローラー142を通過後、上部コンベヤに近接し、平行となる。
【0030】
底部出口側コンベヤ140は、ローラー142,144,146,148により形成される通路を介して周回可能に支持される。これは、多くの可能なフライヤー出口側コンベヤ通路の一例を示すものである。底部入口側コンベヤ130と同様に、底部出口側コンベヤ140は食品用製品で柔軟性及び耐久性を備える材料にして、フライヤーの処理状況にも耐久可能であるものにより構成される。これら材料としては例えば、金属、各種プラスチック、セラミックが挙げられる。底部出口側コンベヤ140は、油がコンベヤを通過できるように、油を通過させる材料によっても構成される必要がある。油に浸るローラー142は、底部出口側コンベヤ140が徐々に新しい調理されるスナックに近接するように、上部コンベヤ120及び底部出口側コンベヤ140が相互に近接して平行となる場所の前方かつ下方に配置される。上部コンベヤ120及び底部コンベヤ140が調理されたスナックを間に包み込んで、調味油152を退出すると、調味油152の上方への力は、もはや上部コンベヤ120に対してスナックを支持できない。スナックは底部出口側コンベヤ140の受け入れ領域と接触するよう案内される。必要ならば、蒸気や不活性ガスを、型枠表面からの出発点における調理されたスナックを補助するために、型枠を通過して、あるいは型枠において通風させることもできる。底部出口側コンベヤ140は、油152を退出した後、一定の区間上部コンベヤ120と平行に延びる必要がある。その結果、製品は、最終的に型枠から取り払われる際に、適切な位置につくようになる。出口側ローラー146を通過後、調理されたスナックは調味及び包装のために次の工程に移送される。出口側ローラー146を通過後、底部出口側コンベヤ140は、油152に案内され、更なるスナックを受け入れる。この底部出口側コンベヤの帰還する区域は、受け入れ前領域と呼ばれる。
【0031】
図2は、底部出口側コンベヤによる製品のフライヤー外部の傾斜した通路から次のコンベヤに搬送する前の平行な通路への移送を示している。搬送速度が速い場合においては、製品が底部出口側コンベヤ140との接触から離間することを防止するために、この移送はできる限り円滑にして、かつ徐々に行われることが重要である。図2は傾斜した部分と水平な部分の間の移送においては一つのローラー144のみを示しているが、変化をできるだけ緩慢にするようにローラーを追加することが可能である。この理由としては、底部
入口側コンベヤ130及び底部出口側コンベヤ140は、互いに独立して動作し、各コンベヤは、製品の形状に適合するよう具体的に設計されている点が挙げられる。入口側コンベヤ130は、平坦なプリフォームを受け入れるために、1個あるいは複数の平坦な表面を有する。出口側コンベヤ140は、これに代えて湾曲した調理された製品を受け入れるために湾曲した鞍型を有してもよい。更に、底部コンベヤ130,140は互いに異なる材料から形成され、それぞれの機能に適合するために異なる構造を有する。
【0032】
入口側コンベヤ130及び出口側コンベヤ140を別々に設けることの別の有効な点は、それぞれを異なる速度で作動させることができることにある。底部入口側コンベヤ130は、搬送速度Vdeliveringにて移動する。油152は油速度Voilにて移動する。上部コンベヤ120は、上部コンベヤ速度Vtop conveyorにて移動する。底部出口側コンベヤ140は、除去速度Vremovingにて移動する。これら四つの媒体の速度は、以下の関係を有する。
【0033】
Vdelivering ≦ Voil ≦ Vtop conveyor ≦ Vremoving
好適な実施例において、出口側コンベヤ140の速度は、上部コンベヤ120の速度と等しくても僅かに速くてもよい。上部コンベヤ120の速度は、油152の速度より僅かに速い。また、油152の速度は、入口側コンベヤ130の速度より僅かに速い。各連続するコンベヤを先行するコンベヤより僅かに速い搬送速度で作動させることにより、製品に対する積極的制御が、特に入口において維持できる。各連続する媒体は、製品を先行する媒体に沿って、及び先行する媒体から効果的に抜き去る。
【0034】
しかしながら、仮に調理された製品が油152から引き上げられた後、上部コンベヤ120の型枠に一時的に癒着する傾向にある場合は、底部出口側コンベヤ140及び上部コンベヤ120を同じ速度で作動させることが望ましい。これにより、製品が最終的に上部コンベヤ120から離間した後、底部出口側コンベヤ140上の適切な位置に確実につくようになる。
【0035】
図3乃至8は、フライヤー入口域202及び出口域204の本発明による別例を示す。これらに図示するフライヤー入口域202は、図2に示す上述のフライヤー入口域102と同じ特徴を有し、類似した設計及び構造である。図3乃至8を参照すると、二つのローラー222,224によって支持される上部コンベヤ220を備えるフライヤーハウジング212が示されている。供給領域及び供給後領域を有する底部入口側コンベヤ230は、ローラー232,234,235,236,237,238のうち少なくとも二つにより支持される。フライヤー油鍋250は、高温の油252を含む。油鍋入口域258内において、油注入口254及び底部入口側コンベヤ230を支持するための少なくとも一つのローラーを十分に含む領域が示されている。
【0036】
調理の際に、プリフォームは、フライヤーハウジング212内に進入する前に底部入口側コンベヤ230の供給領域上に配置される。プリフォームが油内に搬送されると、調理開始点226においてフライを開始する。その後、スナックは、まず底部入口側コンベヤ230の表面から分離し始める。次に、底部入口側コンベヤ230から分離された各片は、上部コンベヤ220と接触する前に、油252の表面において一時的に保持される。油鍋入口域258における浸ったローラー234は、底部入口側コンベヤ230の供給後領域を、フライされる新しいプリフォームを収集するために帰還させる。スナックは、浸ったローラー234に達した時点で上部コンベヤ220の型枠の表面に配置される。上部コンベヤ220上の位置におけるスナックは、調理の工程を完了するために体積を減少した領域251内に移送される。図3乃至8に示すこの体積を減少した領域251は、図2の体積を減少した領域151と同じ特徴及び効果を有する。これらの効果は、油の加熱、ポンプによるくみ出し、維持管理、交換のコストの削減、油の酸化の抑制、底部コンベヤの冷却コストの削減、及び機械的誤作動の可能性の低減による生産性の向上等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
図3に、油鍋入口域258の長手方向の領域内における底部入口側コンベヤ230全体を示す。この長手方向の領域は、フライヤーハウジング212内にコンベヤを完全に収容するため、フライヤーハウジング212の外部においては冷却させるものではない。これにより熱の損失、油の酸化が防止され、底部入口側コンベヤ230の通路を単純化している。しかしながら、その適用及びこれに関する材料によっては、このような配置は、プリフォームに対して過度の熱を付与することがある。
【0038】
図4は、フライヤーハウジング212の外部に実質的な部分を有する通路をたどる底部入口側コンベヤ230を示す。底部入口側コンベヤ230が高温の調理油に暴露されると拡張し伸長するため、一つあるいはそれ以上のローラーが移動可能に設けられる。従って、コンベヤはピンと張った状態を維持できる。例えば、低位置における外部の入口側ローラー237は、高位置における外部の入口側ローラー238の方へ、あるいは、入口側ローラー238から離間するように移動する。その結果、所望に応じて底部入口側コンベヤ230をゆるめたりピンと張ったりできる。本実施例においては、底部コンベヤ230を有効に冷却できる。図5に示すように、フライヤーハウジング212の外部に配置されるロ―ラーから回転力が供給される。これは、高温の油252内に浸される駆動軸に関して作動する駆動機構の必要性がないため有効である。高温の油252及びフライヤーハウジング212内の機構を単純化することは、有効である。この理由として、油鍋入口域258の寸法が減少でき、従って、収容する油量も減少できる点が挙げられる。一定の時間における熱及び油に暴露される構成要素の部分は減少できる。従って、維持管理及び清掃の間隔を減少できる。
【0039】
図6は、底部入口側コンベヤ230の付加的な通路を示す。図6において、底部入口側コンベヤ230は、フライヤー入口近傍の二つのローラー235,236によって高温の油252の外部に案内される。しかし、底部入口側コンベヤ230は、フライヤーハウジング212内にまだ維持される。この配置により、底部入口側コンベヤ230には、フライヤー外部の環境にコンベヤが暴露されることなくプリフォームを受け入れる前に冷却する機会が与えられる。図4で示しているものと同様に図6も、底部入口側コンベヤ230の供給領域及び供給後領域の間に配置される油入口254を示す。油入口254がこのように配置されることにより、油は、油入口254から体積の減少した領域251に流れる場合に、底部入口側コンベヤ230の供給領域及び供給後領域の双方を通過すると言うよりは、むしろ供給領域のみを通過する。注入口251からフライヤーの出口の方に流れる流体を妨害するコンベヤが一層分少ないので、油252を所望の流速においてフライヤーを通過してポンプでくみ出すために必要となる圧力は、減少される。
【0040】
図7に、プリフォーム216が底部入口側コンベヤ230の供給領域上に配置されたフライヤー入口域202の別例を示す。プリフォーム216が油252に接近する方向へ案内されると、上部コンベヤ220の表面上の型枠が直接上方に配置される。プリフォーム216が調理開始点226において油252に進入すると、傾斜する上部コンベヤ220により油内へと下方に押圧され、型枠の表面に巻き付く。浸ったローラー234によって底部入口側コンベヤ230が次のプリフォームを受け入れるために油252を退出した後、調理するスナック218は、上部コンベヤ220とともに、下方に底部コンベヤが一切配置されない、体積を減少した領域251の方へ、かつ領域251を通過して搬送される。図2の記載において言及したように、油252は、製品による妨害を最小限にするために製品とともに流動する。
【0041】
図8は、フライヤー出口域204内における複数の調理するスナック218を示す。図8のフライヤー出口域204は、図2に示す上述のフライヤー出口域104と同じ特徴を有し、かつ類似した設計及び構造である。体積を減少した領域251の終端において、スナック218は、底部出口側コンベヤ240を含む油鍋250の領域の上方に移送される。底部出口側コンベヤ240は、浸ったローラー242を上部コンベヤ220の下方に配置するために、傾斜した角度において設けられる。これにより、調理するスナック218は、上部コンベヤ220の型枠表面に対して未だに位置されるが、底部出口側コンベヤ240が、浸ったローラー242から離間して上昇し周回すると、上部コンベヤ220及び底部出口側コンベヤ240の間に配置されることになる。油252との接触から解放されると、十分に調理されたスナック219は、上部コンベヤ220の型枠から自然に分離するか、蒸気や不活性ガスの噴射を使用して、取り払われる。その後、十分に調理されたスナック219は、調味及び包装等の工程に移送される。
【0042】
図9,10は上部コンベヤ320上に配置される複数の型枠325を示す。図9は、上部コンベヤ320上のこれらの型枠の横断方向における断面図を示す。調理油352からの上向きの力は、複数の型枠352の表面に対する位置に調理するスナック318を支持する。これらの型枠325は、複数の支持体327により上部コンベヤ320に保持される。上部コンベヤ320及び型枠325は、油を通過させる鎖リンク構造体により構成される。鎖リンク構造体は、例えばステンレススチールやその他の金属、セラミック、高温の油への暴露にも耐えるポリマーベースの耐久性を備えた材料により形成される。これに代えて、上部コンベヤ320は、食品用製品で開口を有する耐久性及び柔軟性を備える材料にして、フライする油の温度に耐えられるものにより構成されてもよい。更に、各型枠325は、複数の開口や溝を備えるよう形成され、これらにより蒸気やその他の気体が上昇及び通過、あるいは調理油352から退出可能となる。これは、調理により放出される気体を除去するために設けられるが、仮に除去されない場合には、スナックを収集して取り払う。図10は、図9の型枠325の斜視図である。図中複数の開口329が示される。好適な実施例において、これらの開口は、型枠325の表面に対して垂直な軸と言うよりは、むしろ上部コンベヤ320に対して垂直な軸に沿って穿設される。このようにして開口を穿設することにより、プリフォーム材料が開口329内へ上昇する場合に、製品の型枠表面に対する望ましくない癒着が防止される。図10は更に鎖状に蝶番式に取り付けられた複数の横断方向における型枠領域326を示す。これにより、上部コンベヤ320は、食品を成型するための堅固な凹状の表面を有し、また、ローラーの周囲の湾曲した通路をつたうことも可能である。更に、型枠325は、キャニスタータイプの容器内に積載される単一の形状を有するスナックを形成するように配置されている。
【0043】
複数の十分に調理されたスナック319を図11に示す。スナック319は、調味及び包装等の工程のために出口側コンベヤ340上に移送される。スナック319は、凸状の型枠325により形成されるため、スナック319は、凹状に形成され、これらの凹部は上方を指向している。図示するように、これらの形状は、楕円であり、各調理されたスナック319の長手方向の端部は、出口側コンベヤ340の表面から上方に湾曲している。通常の楕円形状を図示するが、プリフォームの形状いかんにより方形、円形や、三角形等のその他の形状も可能である。
【0044】
図12,13はそれぞれ図9,10の型枠の配置の別例を示す。図12は、複数の型枠425を有する上部コンベヤ420の横断方向における断面図であり、型枠425は、複数のスナック418と比較して凹状である。図12における凹状の型枠425は、図11における凸状の型枠325と類似した構造である。図12における凹状の型枠425は、複数の支持体427により上部コンベヤ420に支持される。このような設計により、調理するスナック418は、凸状の形状を有し、これらの凸部は、下方を指向している。図10と同様に、図13は、鎖状に蝶番式に取り付けられた複数の横断方向における型枠領
域426を示す。これにより、上部コンベヤ420は、堅固な凹状の表面を有し、食品を成型するための複数の個々の型枠425上の調理する製品に関して凹状である。また、ローラーの周囲の湾曲した通路をつたうことも可能である。型枠425は、複数の支持体427により上部コンベヤ420に装着され、図10に記載の開口と同じ特性を備える複数の開口を有する。
【0045】
複数の十分に調理されたスナック419の凸状の形状を図14に示す。出口側コンベヤ440上にこれらは移送される。これらのスナック419は、同一の形状を有するために積載可能である。積載されると、スナックには包装の準備が施される。スナックは凸状の形状に成型されるため、積載及び包装前においてスナックを反転させる必要はない。これにより、反転させる装置が不要となるため、経済的に優れる。図示するように、形状は楕円であり、各調理されたスナック419の長手方向の端部は、出口側コンベヤ440の表面に向けて下方に湾曲している。通常の楕円形状が図示されているが、プリフォームの形状いかんにより方形、円形や、三角形等のその他の形状も可能である。
【0046】
図9乃至14は、積載される単一の形状を有する製品を製造するための単一の形状を有する枠型の使用法を示しているが、多くの型枠の形状が使用可能であり、また、相互に組み合わせることも可能である。仮に不揃いの形状であれば、これに代えて、積載されない製品が望ましい。例えば、代替的な型枠の断面図は、正弦曲線の各種領域に類似する。
【0047】
図15,16は、複数の油鍋拡張部560,562,564,566,568を使用するフライヤーの入口域502及び出口域504を示し、これら油鍋拡張部によりフライヤーの油鍋550の断面領域における変化による油の速度の上下変動から調理する製品を隔離する。幅が一定であっても、深さが変化するため油鍋550の断面領域は変化する。図15において、油鍋入口域550は、底部入口側コンベヤ530を収容すべく十分な深みを有する必要がある。体積を減少した領域551は、底部入口側コンベヤ530を収容する必要はない。図16において、体積を減少した領域551の後の油鍋550の深みは、底部出口側コンベヤ540を収容するために増加される必要がある。
【0048】
容積測定用の油流動速度が固定されると、油速度は、油が流動して通過する断面積に対して反比例する。図3において、例えば、油入口254から体積を減少した領域251に流動する油252は、体積を減少した領域251に進入すると、断面領域において減少することになる。この断面領域の減少により、油252の速度は体積を減少した領域251において増加することになる。従って、上部コンベヤ220の速度は一定であるものの、油鍋250の様々な領域において油の速度は異なる。これらの速度の変動により、望ましくないことに製品が妨害され、更には上部コンベヤ220の型枠から製品が時期尚早に取り払われることになる。好適な実施例において、油252は、上部コンベヤ220と等しいか僅かに遅い速度で流動する。図2の点で説明したように、油の速度は、積極的に運搬するために、上部コンベヤの速度より僅かに遅く、出口側コンベヤの速度より僅かに速くなるように設計されている。
【0049】
鍋拡張部を使用することなく、製品はこれらの三カ所の油の速度の異なる領域を通過する必要がある。すなわち、遅い油鍋入口域、速い体積を減少した領域、及び遅い油鍋出口域である。しかしながら、図15,16においては、複数の鍋拡張部560,562,564,566,568が製品の周囲の油の速度の変動を抑制するために、使用可能である。例えば、図15において、第1の入口側鍋拡張部560は、油鍋内の油における底部出口側コンベヤの供給領域及び供給後領域の間に配置可能である。第2の入口側鍋拡張部562は、同様に、底部入口側コンベヤ530及び体積を減少した領域551の間に配置可能である。図16において、第1の出口側拡張部は、油鍋550内の油552における体積を減少した領域551及び底部出口側コンベヤ540の受け入れ領域の間に配置可能である。同様に、第2の入口側鍋拡張部562は底部入口側コンベヤ530及び体積を減少した領域551の間に配置可能である。図16において、第1の出口側拡張部は油鍋550内の油552における体積を減少した領域551及び底部出口側コンベヤ540の受け入れ領域の間に配置可能である。第2の出口側拡張部は底部出口側コンベヤ540の受け入れ領域及び受け入れ前領域の間に配置可能である。同様に、第3の出口側拡張部は底部出口側コンベヤ540の受け入れ前領域及び油鍋550の下流端の間に配置可能である。
【0050】
図15,16の鍋拡張部を使用して、体積の減少した領域における速度の範囲は、製品が油に進入する前から製品が油を退出する後まで効果的に拡張される。鍋拡張部の全てが、油鍋550の体積を減少した領域551の底部と水平面において同じレベルであるため、油の通路の断面が一定な状態を維持する。従って、油の速度は、油入口554から様々な鍋拡張部の上方を越えて、体積の減少した領域551を通過して流動する間、一定な状態を維持する。図15における上流の油鍋拡張部560は、断面領域における減少に合わすべく油時間を付与するために、製品が油に進入する地点の前まで伸長する必要がある。同様に、図16における最深の下流の鍋拡張部568は、同最深の下流の鍋拡張部568の終端における断面領域における伸長による妨害から製品を回避させるために、調理された製品が油を退出する地点の前まで伸長する必要がある。様々な鍋拡張部の上下方向における位置は、鍋拡張部にわたって体積の減少した領域551を通過する油の量の変化を相殺するために、僅かに変更可能である。例えば、各鍋の上下方向におけるレベルは、製品による油の吸収を相殺するために段階を追って少しずつ増加可能である。図15において、上流の鍋拡張部560の下流端部は、下流の油鍋拡張部562の上流端部同様に、底部入口側コンベヤ530にできる限り近接するよう伸長する必要がある。これにより、油鍋拡張部560,562の上方における速度領域が、これらの鍋拡張部の下方における速度領域から可能な限り確実に分離される。同様に、図16において、上流、中流、及び下流の鍋拡張部564,566,568は、これら鍋拡張部の上方及び下方における油の速度の領域が分離した状態を維持するために底部出口側コンベヤ540に可能な限り近接して伸長する必要がある。
【0051】
図15において、上流の油鍋拡張部560の上方における油の通路の断面積は、油552が底部入口側コンベヤ530を通過すると、一時的にかつ僅かに減少する。従って、油552は、底部入口側コンベヤ530を通過する間、一時的に速度が上昇する。プリフォームが上部コンベヤ520において調理され始めると、更なる下流における油の速度の妨害は好ましくないため、この特定の油の速度の上昇は、好適である。油の速度の僅かな上昇により、プリフォームが底部入口側コンベヤから取り払われることが促進されるため、上部コンベヤ520の型枠に接触可能となる。
【0052】
図15は、底部入口側コンベヤ530及び複数のローラー532,534,536,537,538によって形成されるある特定の底部入口側コンベヤの通路における鍋拡張部の使用を示す。その他の通路が、図3乃至7に示す通路を含み、使用可能であるが、これらに限定されるものではない。同様に、鍋拡張部を使用するフライヤーの出口域の実施例は、図16に示す構成要素の特定の配置に限定されるものではない。例えば、図16は油が油出口556において退出する前に、体積の減少した領域551を通過して、最深の下流の鍋拡張部568を越えて、鍋と分離した油収集領域570に流れ落ちている状態の出口域504における構成要素のある特定の配置を示すものである。油収集領域及び出口域の鍋拡張部564,566,568の下方の油の本体の間におけるバルブ580は、変更可能である。変更により、鍋の間におけるこれらの鍋拡張部を通過する油の小片のみが底部出口側コンベヤ540用の浸ったローラー524を含むかなり汚れた領域557内に進入し、バルブ580を通過できる。
【0053】
これに代えて、油552は、本体から分離した収集領域570に流入する必要はない。
これに代えて、油は油鍋550内及び出口域の鍋拡張部564,566,568の下方における残留油と合流するために、最深の下流の鍋拡張部568の上方を通過して流動してもよい。
【0054】
図17a及び17bは、二つのコンベヤ640,645間の転移点を示す。これらの図は、更に、いかにして調理された製品649が、フライヤーから取り払われた後に、底部出口側コンベヤ645から中間の輸送コンベヤ640に円滑に移送されるかを示す。図17aは二つの連続する、多レーンの、交差したコンベヤ640,645の一つのレーンのみを示す斜視図であり、一つのコンベヤの各レーンは、他方の案内ローラー641,642の上方を通過する。図17bは、二つの連続する、多レーンの、交差したコンベヤの複数のレーンを示す断面図である。図17a,17bを参照すると、二つの連続するコンベヤ640,645の個別に離間したレーンを交差させることにより、製品619は、常に少なくとも一つのコンベヤの積極的制御下におかれる。図17aにおいて、例えば、製品が底部出口側コンベヤ645から中間の搬送コンベヤ640に移送されると仮定する。出口側コンベヤ645上においては、各片は、シート643に搬送される。シート643は、製品各片をその中間部において支持する。図17aにおいて、仮に、例えば、製品が底部出口側コンベヤ645から中間の輸送コンベヤ640まで移送されるものとする。出口側コンベヤ645上では、各片は、シート643により搬送される。シート643は、その中間部において各製品を支持する。製品619が、コンベヤ640,645の交差した部分に至ると、製品各片は、シート643によりその中間部において支持され、コンベヤ645上に配置されると同時に、その端部付近は支持パネル644に支持され、コンベヤ640上に配置される。製品619が、コンベヤ640,645の交差した部分を通過すると、製品はもはやシート643によっては支持されなくなり、中間の搬送コンベヤ640上の支持パネル644によりその端部付近を支持される。製品は、製品の支持される領域が製品の中間部と端部とを替わりながら、このようにしてコンベヤからコンベヤに円滑に移送可能である。これに代えて、製品は反対の方向に、すなわち製品端部支持コンベヤから製品中間部支持コンベヤに移送可能である。更に、底部出口側コンベヤは、製品の中間部よりむしろその端部近傍を支持することによりフライヤー外に搬送するよう設計可能である。このような場合において、製品は、その中間部を支持する中間のコンベヤに移送可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】米国特許出願第10/347993号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0056】
本発明により形成された型フライヤーアセンブリを使用することによって、フライヤー油鍋の体積の減少により構成要素、加熱、維持、油、及びその他のコストが削減される。フライヤー内の連続する底部コンベヤを除去することにより、製造されるスナックの品質に影響を与えることなくフライヤー油鍋の体積を減少させることが可能となる。底部コンベヤがフライヤー油鍋の全長にわたって連続して延びるわけではないため、周知の方法による連続したコンベヤと比較して、本発明によるフライヤーにおいては、必要とされる支持体及び内蔵される構成要素の数は減少される。フライヤーを通過して延びる構成要素が減少されるため、油の酸化が防止可能である。更に、潜在的に故障しうる構成要素の数が減少されるため生産性が向上する。
【0057】
フライヤーを通過する連続した底部コンベヤを除去し、底部入口側コンベヤと底部出口側コンベヤにより置き換えることにより、フライする工程において、各底部コンベヤを異なる調理前状況及び調理後状況に適合するよう効果的に設計可能である。底部入口側コンベヤ及び底部出口側コンベヤは、その機能、配置、及び操作の状況に適合するように、異なる形状を有し、異なる材料から構成され、異なる速度で周回することが可能である。例えば、フライヤーのある実施例において、底部入口側コンベヤは、平坦なプリフォームを受け入れるために、平坦な、開口を有するポリマーシートから構成される。底部出口側コンベヤは、調理されて湾曲した製品を受け入れるための湾曲したシートを有する鎖のレーンにより構成される。
【0058】
上述のフライヤーに適用される酸化を減少させて油の品質を維持するための周知の方法によるアプローチは、過剰な酸素による油−ガス境界面を一掃するために、部分的に密閉された環境に蒸気を追加することである。上述するように、通常製造されたポテトチップスは、この目的のための型フライヤーにおいて十分な蒸気を産出するものではない。従って、蒸気の追加が必要である。しかしながら、いずれの場合においても、フライする油内に進入する製品上に過剰な蒸気が蓄積し、不都合な結果を招来しうる。更に、高速な型フライの工程において、生のチップスは、高速にて移動するコンベヤ上のフライヤー内に案内される必要がある。高速なコンベヤ及び製品は、フライヤーの前面端部に混入した空気を搬送することになり、これにより、フライヤー環境における酸素のレベルが上昇し、油の酸化が上昇する。製品の損傷レベルは、例えば生地の水分含有量、レシチン含有量、油の乱流のような多くの要因により影響を受けるものの、本願発明者はフライヤー入口側(フライヤー前面端部)における生地上の蒸気の濃度も、製品の損傷レベルに大いに影響を与えることを発見した。例えば、フライする油に進入する際に過剰な蒸気を蓄積する製品は、型枠に中心に保持されたり、望ましくない特性を備えた望ましくない形状にフライされたりするような課題に遭遇しうる。フライする雰囲気における蒸気レベルの上昇は、製品の損傷の上昇の要因となるが、同時にフライする油の酸化速度も減少させる。その逆が蒸気レベルの下降とともに発生する。従って、蒸気レベルのみの操作は、酸素値(または濃度)及び損傷率の間においてトレードオフを必要とする。よって、一方を減少させるために他方を犠牲にしたり、フライする油を廃棄することよりはむしろ、同時に酸素値及び製品の損傷率を減少させるための装置及び方法に対するニーズがある。
【0059】
周知の方法によるシステムも、フライ後において、窒素ガスを使用し、酸素を、仕上がった製品が冷却し包装されるまでその製品に寄せ付けないようにしてきた。しかしながら、周知の方法によるシステムにおいては、ここで開示されるような、油の劣化速度及び製品の損傷率を同時に減少させるために、散布する蒸気及び窒素ガスを組み合わせて使用してきたものはない。
【0060】
従って、フライヤーの雰囲気の状態を制御するための、特に、すぐ上に記載したものと同一または類似する型フライヤーを使用する際に制御するための、製品の改良、並びに、そのような装置を設計及び最適化する方法に対するニーズがある。理想的には、このような改良は、蒸気による製品の損傷を減少させつつフライする環境から酸素を除去する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0061】
本発明の好適な実施例による型フライヤーは、所望の形状を備えるポテトチップスのような調理されたスナックを製造するための上部コンベヤを有する。上部コンベヤは、フライヤー内において長手方向に延び、フライヤー油鍋の上方に配置される。未調理のスナックは、調理するために、底部入口側コンベヤによりフライヤー内における油内に移送される。未調理のスナックを移送後、底部入口側コンベヤは、フライヤーの油鍋から周回して離間するよう構成されている。スナックは、油内において上昇し、上部コンベヤ上における型枠の表面に配置される。しかしながら、本発明によるフライヤーのハウジング装置及び最適化の方法は、周知の方法によるフライヤーを含むその他のフライヤーにも使用可能であるということに留意する必要がある。
【0062】
好適な実施例における型フライヤーに関して、本発明は、フライヤーの主要部における散布される蒸気、及び、フライヤーハウジングの蒸気で遮蔽された前面端部における、或いは前面端部の近傍における正確に位置された点から導入される窒素ガスを使用する。固定型の蒸気シールド及び正確に配置された窒素注入点のこの組み合わせは、製品がフライヤーに進入する際の、製品上における蒸気や水の凝集の可能性を劇的に減少させるために操作可能である。この方法は、同時に、フライヤーの前面に進入する外気の量を減少させるようにも設計可能であり、その結果、油の酸化や劣化を大きく減少させることができる。従って、本発明は、フライされる製品の損傷及び油の酸化や劣化を同時に減少させる方法を提供する。
【0063】
上記及び本発明の付加的な特徴及び効果は、以下に記載の詳細な説明により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】連続した上部コンベヤ及び下部コンベヤを備える周知の方法によるフライヤーの断面図。
【図2】米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの断面図。
【図3】底部入口側コンベヤの様々な形状を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの前面端部の断面図。
【図4】底部入口側コンベヤの様々な形状を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの前面端部の断面図。
【図5】底部入口側コンベヤの様々な形状を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの前面端部の断面図。
【図6】底部入口側コンベヤの様々な形状を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの前面端部の断面図。
【図7】スナックがフライヤーの油内に供給されることを示す、図3乃至6による型フライヤー入口部分の付加的な実施例の部分的な断面図。
【図8】フライヤーの油から収集されるスナックを示す図3乃至7のフライヤーの入口域とともに使用可能である、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの出口域の断面図。
【図9】米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの上部コンベヤに設けられる凸状の形状を有する型枠の部分的な断面図。
【図10】図9の上部コンベヤ上に設けられる型枠の部分的な上部の斜視図。
【図11】図9及び10の型枠により形成される底部出口側コンベヤ上を搬送される凸状の形状を有するスナックの部分的な上部の斜視図。
【図12】米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの上部コンベヤ上に設けられる凸状の形状を有する型枠の部分的な断面図。
【図13】図12の上部コンベヤ上に設けられる型枠の部分的な上部の斜視図。
【図14】図12及び13の型枠により形成される底部出口側コンベヤ上を搬送される凸状の形状を有するスナックの部分的な上部の斜視図。
【図15】油鍋拡張部を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーにおける入口の領域の断面図。
【図16】油鍋拡張部を示す、米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーにおける出口の領域の断面図。
【図17a】米国特許出願第10/347993号に開示される型フライヤーの二つの交差したコンベヤに沿って搬送される凸状の形状を有するスナックの上部の斜視図。
【図17b】図17aのスナック及び交差したコンベヤの前面の断面図。
【図18】開示される発明の好適な実施例における蒸気シールド及び窒素注入点を有するフライヤーの前面端部の断面図。
【図19】基礎のケースにおけるフライヤー前面端部の断面図における窒素粒子のトレース図。
【図20】基礎のケースにおけるフライヤー前面端部の断面図における蒸気粒子のトレース図。
【図21】基礎のケースにおけるフライヤー前面端部の断面図における酸素粒子のトレース図。
【図22】フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び、蒸気の濃度の勾配の、ケース9(蒸気シールドを配置)に対するケース8(蒸気シールドを省略)の比較を示す図。
【図23】フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び、蒸気の濃度の勾配の、ケース9(中濃度の窒素、中濃度の蒸気)に対するケース5(高濃度の窒素、低濃度の蒸気)の比較を示す図。
【図24】フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び、蒸気の濃度の勾配の、ケース9(最初の入口域の設計)に対するケース1(変更した入口域の設計)の比較を示す図。
【図25】入口域及び四つの窒素ポートを有するフライヤー前面端部の断面図における窒素の濃度の勾配を示す図。
【図26】図25に示すフライヤー前面端部における酸素の濃度の勾配を示す図。
【図27】図25に示すフライヤー前面端部における蒸気の濃度の勾配を示す図。
【図28】図25に示すフライヤー前面端部の断面図における蒸気粒子のトレース図。
【図29】図25に示す蒸気シールドの空隙の領域の断面の拡大図により時間の経過を示す九つのスライドにおいて蒸気の濃度の勾配を示す図。
【図30】本発明の改良をほどこした入口域を省略したフライヤーにおける時間(x軸即ち横軸で単位は日)に対するフライする油の劣化(y軸即ち縦軸)を示すグラフ。
【図31】本発明の好適な実施例による前面端部の入口域を有するフライヤーにおける時間(x軸即ち横軸で単位は日)に対するフライする油の劣化(y軸即ち縦軸)を示すグラフ。
【図32】好適な実施例において、高速にて流動散布する蒸気、並びに、蒸気シールドの空隙近傍の上部、下部、及び、蒸気側のポートからの窒素ガスの様々な流動速度において操作した後の、酸素レベル及び不良発生のデータを示す立方体の座標。
【図33】好適な実施例において、中速にて流動散布する蒸気、並びに、蒸気シールドの空隙近傍の上部、下部、及び、蒸気側のポートからの窒素ガスの様々な流動速度において操作した後の、酸素レベル及び不良発生のデータを示す立方体の座標。 本特許或いは出願は、カラーで仕上げた少なくとも一つの図面を含む。カラーの図面を含む、この特許或いは特許出願公開公報は、請求及び必要な費用の負担により特許庁から提供される。本発明の特徴と考えられる新規の特徴は、付加された請求項において開示される。しかしながら、発明自体は、使用の好適なモード、更なる目的、及びその効果も同様に、以下の実施例の詳細な記載が添付の図面とともに読まれると最も理解されるものである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
装置
背景技術において既に述べたように、散布される蒸気は、フライヤーの上方の密封された領域に案内され、調理油を望ましくなく酸化や劣化させる酸素と交換される。ここで使用されるように、散布される蒸気及び蒸気は、交換可能であり、いかなる不活性ガスも含むことができる。ここで使用される不活性ガスは、製品やフライする媒体とは反応しないガスである。散布される蒸気のような不活性ガスを使用することは、フライする製品がフライヤー内の空気と交換されるための十分な蒸気を放出しない場合において、特に有用である。散布される蒸気の使用に加えて、油の酸化や劣化による損失は、フライヤー自体に変更を加えることによっても減少可能である。例えば、型を形成しフライした製品を製造する際に、周知の方法による二つの型枠を有する型フライヤー(各製品の一片のために、二つの型枠の表面、すなわち上部及び下部)は、米国特許出願第10/347993号明細書に開示されるような一つの型枠を有する型フライヤー(各製品の一片のために、一つの型枠の表面)に置き換え可能である。型枠の表面の数が減少することにより、型枠コンベヤとともにフライヤー内に引き込まれる酸素の量が減少することになる。このような型フライヤーにおいても、一定時間経過後に新鮮な油と交換する必要があるフライする油は、減少される。一つの型枠を有する型フライヤーに関して、本発明の装置及び最適化の方法がここに開示される。本発明の装置及び最適化の方法は、周知の方法による型フライヤー、従来からの深型のフライヤー及び表面が浮遊するフライヤーといったその他のフライヤーにも有効であるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
しかしながら、散布される蒸気を使用することに起因する、ある望ましくない結果として、蒸気が、フライヤーに進入する低温の生地上に凝縮する点が挙げられる。製品進入域における蒸気への暴露は、例えば、しわ、並びに、その他の形状への変形及び表面の変形のうち少なくともいずれか一方のような製品の損傷の原因となることが周知である。製品の品質に影響を与えることに加えて、これらの損傷により、製品のバルク密度に影響が及ぼされ、製品が効率よく積載される性能及び包装される性能が阻害される。
【0067】
発明者は、この課題に対する一つの解決策として、フライヤーの入口に、あるいは入口近傍に蒸気シールドを配置することを発見した。ここで使用されるように、蒸気シールドは、物理的境界であり、フライヤーハウジングの幅を鍋内の油の表面に近接した地点からフライヤーへの進入口における進入する製品の上方の地点まで拡張するものである。この蒸気シールドの目的は、フライヤーの前面の製品進入部分における入口域を保護し、入口域の外部と分離した異なる雰囲気を形成することである。この目的を果たすものなら、一連のバッフルを含み、いかなる構造体も使用可能である。このような蒸気シールドにより、蒸気が、進入する生地に接触することが防止される。これにより、凝縮による損傷の発生は減少するが、それでもなお少数の蒸気は、蒸気シールドにおける空隙を通過してフライヤーに侵入可能である。コンベヤの単体のベルト(あるいは複数のベルト)及びフライヤーに進入する製品は、フライヤー内に周囲の空気から酸素も侵入させうる。蒸気シールドは、フライヤーの入口から、散布される蒸気、或いは製品の蒸気を取り払った状態を維持するため、フライヤー入口における酸素を置換するための別の機構が必要である。
【0068】
発明者は、この課題に対する解決策を発見した。フライヤーの前面端部はフライヤーの入口において、或いは、入口近傍において蒸気シールドを備えることに加え、フライヤーの入口の蒸気シールドの上方までの部分をできるだけ多く囲うことのできる入口域を有する。少なくとも一つのノズルかポートを有する不活性ガスのマニフォールドが、この入口域に配置可能であり、同入口域を非凝縮型の不活性ガスで充填し、かつ連続して補充し、これにより酸素と蒸気を交換する。ここで使用されるように、非凝縮型の不活性ガスは、フライする媒体に進入する製品上において凝縮せず、また、工程の状況下で製品やフライする媒体と反応しないガスである。非凝縮型の不活性ガスは、窒素、アルゴン、二酸化炭素、及びヘリウムから構成可能であるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施例において、マニフォールドは入口域の開口を横断して比較的均一に流動する非凝縮型の不活性ガスを排出する。本発明の一実施例においては、非凝縮型の不活性ガスの均一な流動は、複数のノズルによりもたらされる。代替的な実施例においては、非凝縮型の不活性ガスの均一な流動は、マニフォールドの連続するスリットによりもたらされる。上記は、入口域の開口を非凝縮型の不活性ガスで押し流し、蒸気のような凝縮性を備えた不活性ガスが入口域に侵入することを防止するという目的を達成する方法の例である。この解決策により、フライヤーの操作者は、(散布される蒸気を使用して行う)酸素の置換及び(凝縮による)製品の損傷の間の均衡の課題を回避可能である。フライヤー入口の前面に、伸長したフードも配置可能である。これにより、フライヤー入口を周囲の空気から保護することができる。このような伸長したフードは、不活性ガスのマニフォールドを具備してもよい。
【0069】
しかしながら、発明者は、入口域(及びもしあれば伸長したフード)を非凝縮型の不活性ガスで単に充填するだけでは、十分ではないということを更に発見した。非凝縮型の不活性ガスの流れの案内及び配向の正確な位置は、システムの酸素がフライヤーのフードに侵入することを防止する能力、及び、散布される蒸気が蒸気シールドにおける空隙を通過することを防止し、ポンプでフライヤーの前面端部の入口域内に移動する型枠コンベヤによりくみ出されることを防止する能力に、影響を与える。好適な実施例において、フライヤーハウジングの前面端部は、フライヤーハウジングの前面部分を封じ込めたフライヤーの容積の残りから分離する蒸気シールドを有する。蒸気シールドは、型枠コンベヤが通過する開口を有する。理想的には、コンベヤの開口は、コンベヤが通過するように十分大きく形成可能であるが、安全上の理由からコンベヤより僅かに大きくも形成可能である。業務用の寸法を有するフライヤー内の蒸気シールドは、好適には、コンベヤの周囲に1インチ(約2.5cm)未満の空隙、より好適には1/2インチ(約1.3cm)未満の開口、最も好適には1/4インチ(約0.6cm)である空隙を有する入口域開口から構成される。その結果、コンベヤは蒸気シールドと接触しなくなる。一実施例において、蒸気シールドは、型枠コンベヤ及び蒸気シールド間の空隙が一定となるように構成される。非凝縮型の不活性ガス用のノズルは、様々な場所に様々な角度で配置可能である。ノズルのうちのいくつかは、蒸気がポンプで保護された製品入口側環境内にくみ出されることを防止するように配置可能である。その他のノズルは、移送される製品とともに外気がフライヤー内に侵入することを防止するように配置可能である。これにより、生地がフライする油内に、表面の過剰な凝縮した蒸気や酸素を搬送することなく侵入可能な、低濃度の蒸気及び低濃度の酸素の前面端部の入口域を実現する。
【0070】
図18は、好適な実施例におけるフライヤーの前面端部の断面図である。 フライヤーは、フライヤーハウジング1806の主要部に散布される蒸気を案内するための蒸気ヘッダー1824を有する。ドリップシールド1808は、製品がフライヤーに進入する際に製品上への滴下による凝縮を防止する。排出スタック1826は、再利用及び再加熱のためにフライヤーハウジング1806から蒸気を追い出す。本発明の別例によると、フライヤーは、蒸気シールド1820及び窒素注入マニフォールド1812,1830,1840,1850も有する。ステンレス鋼やその他の食品用材料は、前面端部の入口域1860及び蒸気シールド1820用に使用可能である。通常、ある実施例において、フライヤーの前面端部は、窒素マニフォールドを三カ所に有する。すなわち、1)前面近傍かつ製品進入ベルトに近接した型枠コンベヤ1814(同型枠コンベヤ1814は、型枠コンベヤ側支持体1816及び型枠コンベヤ支持フレーム1810により支持される)の下方に設けられる注入マニフォールド1812。同注入マニフォールド1812は、下方にかつ僅かにフライヤー(例えば、不活性ガスポートが非凝縮型不活性ガスを上流かつ下方に配向し、望ましくないガスが製品進入地点に侵入することを防止する。)の前面の方に流動する非凝縮型不活性ガスを備えた、フライヤーの幅方向に沿って設けられる複数のノズルを有する。2)非凝縮型の不活性ガス側あるいは上流側の蒸気シールド1820上の型枠コンベヤの空隙1822の上方の注入マニフォールド1850及び下方の注入マニフォールド1830。各注入マニフォールド1830,1850は、シールド及び型枠コンベヤに関して一定の角度により型枠コンベヤの空隙1822の方に浮遊する非凝縮型不活性ガスを備えた、フライヤーの幅方向に沿って設けられる複数のノズルを有する。3)蒸気シールド1820の蒸気側あるいは下流側上の型枠コンベヤの空隙1822付近の注入マニフォールド1840。同注入マニフォールド1840は、空隙1822あたりを浮遊するガスを備えた、フライヤーの幅方向に沿って設けられる複数のノズルを有する。本実施例においては、非凝縮型の不活性ガスは、蒸気が入口域1860に侵入することを防止するために遮蔽体として有効に機能する。しかしながら、酸素及び蒸気のシールドの好適な度合いにより、その他の実施例においては、非凝縮型の不活性ガスを導入する箇所は、少なくても多くてもよいということに留意する必要がある。好適な実施例に関して、ガスマニフォールドの配置について説明したが、ガスマニフォールドの配置及び数は、使用されるフライヤーのタイプを含むその他の要因によって変更も可能である。しかし、これらに限定されるものではない。代替的な実施例において、入口域開口1822は、入口域1860内の分離した異なる雰囲気を維持するための非ガスの機械的なシールを使用可能であるということに留意する必要がある。例えば、実施例において、入口域開口1822の全長の部分に沿ってブラシを配置可能である。
【0071】
コストを含み、変更は、計算流体力学(CFD)モデルを使用して最適化可能であり、これにより入口域開口1822においてガスによるシールを形成するために有効な方法が決定される。方法には、好適なシール、並びに、入口域1860における酸素及び非凝縮型ガスの好適なレベルのうち少なくともいずれか一方のために必要である非凝縮型不活性ガスの量を減少させて、それに従いコストを減少させる方法が含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、高い圧力により十分な量の非凝縮型不活性ガスを入口域内にくみ出すことにより、入口域1860において単に圧力を高めることが可能であり、これにより、入口域1860から開口1822を通過して強制的に流動される。従って、開口1822からの凝縮型のガスが入口域1860に侵入することが防止される。これに代えて、フライヤーフード全体が非凝縮型不活性ガスにより充填されてもよい。しかしながら、このような選択肢は、所望のものより高価となることがあるし、潜在的な安全性の問題も引き起こすことがある。従って、後述する設計及び最適化の方法が、その他の実施例における非凝縮型不活性ガスの最適な配置、数、指向を決定するために使用可能である。
最適化の方法
好適な実施例において、CFD(Computation Fluid Dynamics)モデルが、最適な配置を決定し、蒸気シールド、バッフル、及び非凝縮型の不活性ガスのノズルを配置するために使用される。効率性という観点からは、非凝縮型の不活性ガスを、分離した前面端部の入口に導入するだけでは十分ではない。配置もまた重要であり、発明者は、不適切な配置により、前面端部の入口が低濃度の酸素の環境及び低濃度の凝縮性ガスや蒸気の環境を創造するという目的を果たすことができないことの要因となることを発見した。ここで使用されるように、低濃度の酸素の環境とは、好適には酸素が5重量%以下であり、更に好適には1重量%以下であり、最も好適には0.5重量%以下である。ここで使用されるように、低濃度の凝縮性のガス環境とは、ガスが、工程の状況下において、好適には露点より上の約1°F(約−17℃)以上であり、より好適には露点より上の約10°F(約−12℃)以上であり、最も好適には露点より上の約20°F(約−6.7℃)以上である。ある場合において、非凝縮型の不活性ガスノズルの不適切な配置により、更に油の劣化が悪化しうる。
【0072】
本発明による蒸気を遮蔽した前面端部の入口域を有する連続したフライヤーにおける環境制御を設計及び最適化する方法は、以下のステップ、即ち
a)油の上方の雰囲気を制御するためのフライヤーフードを有し、かつ連続的に密封されたフライヤーから開始する工程と、
b)環境中の臨界点における酸素及び蒸気の濃度を測定する工程と、可能であれば、予め定めた環境の目標(特定の酸素レベル下、或いは、特定の油の劣化の状況下)との将来における比較のために測定することと、
c)前面端部の環境のCFDモデルを創造する工程と、同環境は、温度、最初のガスの濃度、体積、物理的境界、流れ、圧力、移動境界等のような望ましい環境特性を含むことと、
d)工程システムの動的なシミュレーションを行う工程と、ガスの濃度、温度、圧力、及び流れのような、結果として得られる環境特性を特定することと、
e)将来の比較のための基礎として、CFDシミュレーションを介して、特に油の表面における酸素の濃度を減少させる際のシステムの効果、及び、製品進入領域における凝縮したガスや露点を減少させる際の効果を測定、或いは特定する工程と、
f)望ましい環境の目標の更なる最適化の機会の範囲を特定する工程と、
g)蒸気シールドを追加して分離した前面端部を形成することによりフライヤーのモデルを変更する工程と、これにより製品の浸る地点の周囲の領域を封じ込めることと、前述の目標を達成するために必要があると考えられる、最低限の数の非凝縮型の不活性ガスのマニフォールド、及びノズル(或いは、その他の非凝縮型ガスを分配する方法)を追加することと、
h)CFDシミュレーションを介して、入口域の環境に影響を付与可能な変更をして、設計した実験、パラメーター研究を実施する工程と、
i)シミュレーションを介して、非凝縮型不活性ガスの使用を最低限にしながら、入口域の環境における酸素及び蒸気を減少させる際の変更したフライヤーシステムの効果を測定する工程と、
j)仮に故障箇所がある場合において、酸素の濃度及び蒸気の濃度の少なくともいずれか一方が望ましくないレベルであるか、不活性ガスの使用が最小限でない場合のフライヤーシステムにおける故障箇所を特定する工程と、
k)ガス供給(不活性ガス及び蒸気のうち少なくともいずれか一方)の流動速度を変更し、ガス供給(不活性ガス及び蒸気のうち少なくともいずれか一方)の配向を変更し、蒸気シールドの配置及び設計のうち少なくともいずれか一方を変更し、フライヤー環境からの蒸気の除去を最適化するために、スタックのダンパー及びファンのうち少なくともいずれか一方を変更し、或いは、不活性ガスマニフォールドの数を変更することにより故障箇所におけるフライヤーモデルを変更する工程と、
l)最小限の不活性ガスの使用レベルにより好適な酸素及び蒸気の濃度に達するまで、工程i)乃至k)、即ち有効性の決定、故障箇所の特定、及びフライヤーモデルの変更の工程を繰り返す工程により構成される。
【0073】
この工程は、物理的なフライヤーモデルや製造フライヤーシステムを使用することによっても実施可能だが、CFDほど効果的ではない。
図19乃至24は、上記に列挙された最適化方法の実施例により計測された窒素、酸素、及び蒸気レベルを示す色濃度図及び粒子のトレース図のうち少なくともいずれか一方である。図19乃至24の各図において、濃度のレベルは、色によって示され、赤(色スペクトルのうち、上部にある)は、比較的高濃度であることを示し、紫(色スペクトルのうち、底部にある)は、0%を示す。窒素濃度に関して、図示の幅は100%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。蒸気の濃度に関して、図示の幅は、100%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。酸素濃度に関して、図示の幅は、5%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。
【0074】
本方法の好適な実施例を実施する際に、発明者は、工程a)に従って、米国特許出願第10/347993号明細書に関して記載されるような、連続する、一つの型枠を有する型フライヤーの使用から開始した。工程b)においては、酸素及び蒸気の濃度を、フライヤー前面端部の隅から隅まで計測する。工程c)において、この情報は、その他の環境特性すなわち温度、体積、物理的境界、流動速度、圧力、及び移動境界等と組み合わせて使用され、前面端部の環境の計算流体力学(CFD)を形成する。その後、工程d)において、工程システムの力学的シミュレーションが行われ、システムモデルを向上させるために実際の実地試験のデータと比較される。力学的シミュレーション、実際の試験のデータとの比較、及びモデルへの調整の繰り返しの後、CFDモデルは受け入れ可能な正確さの度合いまでフライヤーの前面端部の動き(例、結果として生ずる環境特性)を予期可能である。工程e)において、将来の比較のための基礎として、CFDモデルは、特に油表面における酸素の濃度を減少させる際、及び製品入口域における蒸気を減少させる際のシステムの有効性を決定及び予期の少なくともいずれか一方を行うために使用される。
【0075】
図19乃至21は、本発明の方法の工程f)乃至i)の結果を示すものである。しかしながら、装置及びフライヤーの雰囲気の制御を最適化する方法は、その他のフライヤーシステムにも使用可能であるということに留意する必要がある。好適な実施例においては、特に、図19は、基礎のケースにおけるフライヤーの前面端部の断面図における窒素粒子のトレース図である。図20は、基礎のケースにおけるフライヤーの前面端部の断面図における蒸気の粒子のトレース図である。図21は、基礎のケースにおけるフライヤーの前面端部の断面図における酸素の粒子のトレース図である。方法のステップf)乃至g)に従って、一つの窒素マニフォールドが、型枠コンベヤの下方及び製品の浸る地点(製品が型枠コンベヤと接触し、強制的にフライする油内に下方に侵入させる)の近傍に配置された。窒素のマニフォールドは、図19乃至21において示されるが、図18において示されるものと類似している。窒素マニフォールドのノズルは、当初下流の製品が浸る点に向かって下方の角度において案内されていたが、これは、最も有効な配置だと仮定されていたからである。方法の工程h)及びi)に従って、窒素、酸素、及び蒸気の粒子のトレース及び濃度は、基礎のデータを確立するために測定された。
【0076】
図から明らかなように、図19に示す窒素の流れは、予期したように、窒素のマニフォールドから下方の角度に流れると、最も濃度が高くなる。窒素の一部は、伸長したフード内に流入し、伸長したフードの上部の周囲を循環するのみである。その後、窒素の一部は、循環することなく伸長したフードの底部を強制的に通過させられる。フライヤーの内部の窒素は循環し、下流及びフライヤーハウジングの上部におけるフライヤー排出口から最終的に退出した。
【0077】
当初は、窒素を製品の浸る地点に向かって下方の角度に案内することが最も効果的であると理論化されたが、図20は、窒素の流れは実際には、周囲の蒸気を窒素自体とともに製品が浸る地点の方へ案内してしまうことを示している。実際、蒸気は、製品入口地点の周囲のガスのまとまりにより概算で50%により構成されている。伸長したフード内にお
ける比較的停滞した窒素により、少量の蒸気が、伸長したフードを直接迂回し、上方に、フライヤー内へ供給される製品上に直接移動する要因にもなる。同様に、図21は最初の窒素マニフォールドの配置からの窒素の流れは、実際に、その流れとともに酸素を製品の浸る地点に案内するものであることを示している。方法の工程h)及びi)を実施する際に、発明者は、下記のケーススタディーを実行した。
【0078】
【表1】
図22乃至24は、方法のス工程h)及びi)の比較の結果を示している。
【0079】
図22は、ケース9(蒸気シールド配置)に対するケース8(蒸気シールドなし)の比較であり、フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び蒸気の濃度の勾配を示す。ケース9の結果は、方法の工程d)に従って、フライヤーの全断面領域にわたる蒸気シールドを追加することにより、発明者がフライヤーハウジングを変更した後、得られた。通常、蒸気シールドはフライヤーの長さ方向を横断する。好適な実施例において、蒸気シールドは、ステンレス鋼の薄いシートから形成されるが、その他の食品用製品で耐熱性、不透過性、及び耐腐食性を備えた材料により代用可能である。ある実施例において、蒸気シールドにおける開口は、型枠コンベヤに蒸気シールドを通過させ、コンベヤ及び蒸気シールド間には双方が接触しないよう小さな空隙が維持される。方法の工程i)を実施する際、発明者は、フライヤーの蒸気シールドにより遮蔽された前面端部における窒素、酸素、及び蒸気の濃度レベルを測定した。その結果は、図22におけるケース9にて示される。ケース8,9において、270立方メートル/hrの窒素及び800kg/hrの蒸気がフライヤーフードに供給された。二つのケースの間の唯一の相違点は、蒸気シールドの存在(ケース9)やその欠落(ケース8)である。
【0080】
障害の起こっている箇所を特定することに関する、方法の工程j)において、発明者は、蒸気シールドがフライヤー前面端部に存在する蒸気の量を実際に減少させたものの(少なくとも80%乃至概算で50%まで蒸気の濃度を減少させる)、製品が浸る地点における蒸気の量はまだ相当あり、概算で50%に上ることに注意した。更に、フライヤーの前面端部(特に入口域)における蒸気の欠如によって、多くの酸素が空間を占めることとなり、窒素の流れは、前面端部からの酸素を交換するのに十分ではなかった。製品の浸る地点における酸素レベルはなお約4%の高さであった。周囲の空気からの酸素は、入口域内の窒素の蒸気の層の下を徐々に移動しながら油の表面に沿って製品に侵入することとなる。発明者は、更に、大量の蒸気が、蒸気シールドの型枠コンベヤの開口を通過して漏出することにも注意した。
【0081】
図23は、ケース9(中濃度の窒素、中濃度の蒸気)に対するケース5(高濃度の窒素、低濃度の蒸気)の比較であり、フライヤー前面端部における窒素、酸素、及び蒸気の濃度の勾配を示す。左側の列はケース5の結果を示し、右側の列はケース9の結果を示すものである。図から明らかなように、蒸気の流れを増加し、窒素の流れを減少させることにより(ケース5からケース9への移動)入口域における窒素レベルを下降させ、入口域における蒸気レベルを上昇させ、入口域における酸素レベルには影響をほとんど与えない。これとは逆にケース9からケース5への移動が行われると、蒸気の流れを減少させ、窒素の流れを上昇させると、入口域の窒素レベルが上昇し、蒸気レベルは下降し、酸素レベルはほとんど変化しない。重要なことに、これらの結果は、この特定の実施例及び窒素のマニフォールドの配置において、入口域における窒素の流動速度を、過剰な窒素が蒸気シールドの型枠コンベヤの空隙を通過して漏出し始めるほどに(図23におけるケース5に示すように)、単に上昇させるだけでは、製品が浸る地点から酸素は防止されない。
【0082】
上述のような障害の箇所を特定した後、発明者は、方法の工程k)に従って、プライマリー窒素マニフォールドの方向を変え(以前は、一つの窒素マニフォールド)、様々な箇所に窒素マニフォールドを追加し、複数の窒素マニフォールドの間に窒素の流れを再配分することによりフライヤーを変更した。発明者は、結果に満足がいくまで工程i)乃至k)を繰り返した。その後、プライマリー窒素マニフォールドは、製品が浸る地点よりはむしろフライヤー入口に向かって下方の角度に再び向けられる。図24は、左側の列に示すケース1(入口域の設計変更)の右側の列に示すケース9(最初の入口域の設計)に対する比較である。ケース1においてテストされた、変更された入口域及びフライヤーの設計によって、ケース9においてテストされた、原型の入口域及びフライヤーの設計よりむしろ窒素流動速度は遅くなり、蒸気流動速度は速くなる。全体的な酸素の濃度は、ケース1の変更された入口域において非常に低かった。更に、製品の浸る地点における酸素の濃度は、0.5%未満であった。これは、ケース9でテストされた原型の入口域の設計の同位置における概算にて4%の酸素の濃度より劇的に低かった。
【0083】
ケース1の変更された入口域は、図24の左側の列に示すが、入口の僅かに下流の窒素のノズル又はマニフォールド(入口に向かって下方に向く)、空隙に配向された上部蒸気シールド空隙ノズル、及び、同じく空隙に配向された下部蒸気シールド空隙ノズルから構成される。この特定の配置により製品の進入する領域における雰囲気の制御が向上したが、発明者は、上部及び下部の空隙ノズルからの窒素ガスが蒸気の大部分を放出したにもかかわらず、蒸気の一部は、なお型枠コンベヤに沿って、及び蒸気シールドの空隙を通過可能であることを理解した。従って、発明者は、蒸気シールドの空隙の近傍及び型枠コンベヤの帰還する部分の下方における蒸気側の非凝縮型のガスのマニフォールドや窒素マニフォールド(蒸気シールドの下流)を計算流体力学モデルに加えることにより、更に入口域の設計に変更を加えた。複数のノズルやポートを有するこの蒸気側の窒素マニフォールドは、図25乃至28に示すが、上方に向けられ、窒素を上方の型枠コンベヤに案内し、その空隙を通過させる。これによって、蒸気が前面端部の入口域に侵入することを更に防止する。好適な実施例において、蒸気側のマニフォールドは上方に配向されるが、これを型コンベヤ上方に配置しガスの流れを下方に向けることも可能であるということに留意する必要がある。
【0084】
図25乃至28は、上記に列挙された最適化方法から生じる他のフライヤーの実施例に従って計測された窒素、酸素、及び蒸気レベルを示す色濃度図及び粒子のトレース図のうち少なくともいずれか一方である。図25乃至28の各図において、濃度のレベルは、色によって示され、赤(色スペクトルの内、上部にある)は、比較的高濃度であることを示し、紫(色スペクトルの内、底部にある)は、0%を示す。窒素濃度に関して、図示の幅は100%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。蒸気の濃度に関して、図示の幅は
、100%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。酸素濃度に関して、図示の幅は、5%乃至0%であり、すなわち赤から紫である。これらの図は、特に図25は、前面端部の入口域からの蒸気を排出しようとして、どのように蒸気側の窒素マニフォールドが防止手段として機能するかを示す。下流における蒸気シールドの空隙に隣接して囲む領域における蒸気を交換するために窒素を使用することにより、蒸気側のマニフォールドは、空隙を通過可能な蒸気の量を更に減少させる。蒸気側マニフォールドは、更に、入口域の上部及び下部のシールドの空隙のマニフォールドの仕事量を減少させる。
【0085】
図29は、図25に示す蒸気シールドの空隙の領域の断面の拡大図であり、経時的に示す九つのスライドにおいて蒸気の濃度の勾配を示したものである。スライドは、1乃至9まで左から右かつ上から下の順に配置される。この濃度の速写の経過は、CFDモデルから現像された。第1のスライド(シミュレーション内において0.0316秒により撮影)は、最初の仮定の状況を示し、入口域が窒素のみを含み、入口域における上部及び下部の空隙のマニフォールドが蒸気シールドの空隙の方に窒素を導入し、蒸気側窒素マニフォールドが窒素を導入し始めたところである。第2のスライド(0.1579秒により撮影)において、蒸気側マニフォールドからの窒素は、ノズルの真上の領域における蒸気の小さな一部と交換されて、型枠コンベヤの型枠のうちの一つの下方における蒸気と交換され始めた。上部及び下部の空隙のマニフォールドからの窒素は、空隙の方に流動し、蒸気が入口域内を通過することを防止することが理解できる。しかしながら、コンベヤは、特に型枠コンベヤの型枠の下方における領域において、右から左に移動されると、前面端部の入口域内に少量の蒸気を案内する。第3及び第4のスライドは、上部及び下部の空隙のマニフォールドからの窒素が、蒸気シールドの空隙のすぐ下流の領域における蒸気と交換されることを示す。上部及び下部の空隙のマニフォールド並びに蒸気側マニフォールドからの窒素の流れは、空隙の領域全体を窒素により充填し始めた。最後のスライド(1.5795秒により撮影)までに、窒素は、蒸気シールドの空隙の後ろにおける散布される蒸気を希釈することにより、蒸気シールドの空隙を通過する蒸気の量を減少させることを有効に補助してきたと理解できる。スライド3,4において示すように、蒸気側マニフォールドの窒素の流れが空隙の領域に達する前は、空隙における蒸気の濃度は約50%であったが、スライド9において示すように、蒸気側マニフォールドの窒素の流れが、蒸気シールドの空隙の後方における領域に十分な時間散布されると、空隙における蒸気の濃度は、概算で10乃至20%減少された。これらのスライドから理解できるように、蒸気側の窒素のマニフォールドは、入口域における蒸気を大いに減少させる。
【0086】
図30は、本発明の入口域の改良を実施していないフライヤーにおける時間(x軸即ち横軸で単位は日)に対するフライする油の劣化(y軸即ち縦軸)を示すグラフである。フライする油における劣化の数値が高いと、フライした製品の品質保持期間を短縮するため、劣化の数値は可能な限り低く維持することが望ましい。発明者が実施したある好適な実施例において、窒素マニフォールドを備える入口域を追加する前と後のフライヤーの油における劣化の数値を比較すると、操作者は、油の劣化の数値が好適な閾値以下に維持されることがわかる。閾値は、棒グラフを横断する水平方向の線として示される。しかしながら、このような閾値はいかなるレベルも取り得る任意の数値であり、製品の新鮮さ、品質保持期間、及びその他の要因に依存するということに留意する必要がある。通常、油の新鮮さは、連続して、或いはバッチ処理により、酸化や劣化した油を新鮮な油と交換することにより維持される。
【0087】
図31は、本発明の好適な実施例による前面端部の入口域を有するフライヤーにおける時間(x軸即ち横軸で単位は日)に対するフライする油の数値(y軸即ち縦軸)を示すグラフである。図30の結果と図31のそれとを比較すると、油の品質における有効な向上が理解できる。入口域及び窒素マニフォールドを付与する前における油の劣化の数値の大部分は、約0.83乃至1.04の範囲であったが、入口域及び窒素マニフォールドの付
与した後における油の劣化の数値の大部分は、約0.74乃至0.91の範囲であった。更に、ある実施例においては、劣化による汚れた油のパーセンテージは、約50%向上した。
【0088】
図32は、好適な実施例において、高速にて流動散布する蒸気、並びに、蒸気シールドの空隙近傍の上部、下部、及び、蒸気側のポートからの窒素ガスの様々な流動速度において操作した後の、酸素レベル及び不良発生のデータを示す立方体の座標である。図33は、好適な実施例において、中速にて流動散布する蒸気、並びに、蒸気シールドの空隙近傍の上部、下部、及び、蒸気側のポートからの窒素ガスの様々な流動速度において操作した後の、酸素レベル及び不良発生のデータを示す立方体の座標である。双方の立方体の座標において、垂直方向の位置(立方体の上部或いは底部)は、下部の蒸気シールドの空隙の窒素マニフォールド(20standard cubic meters per hour(scmh)及び60scmhの双方とも)を通過する窒素の流動速度を示し、水平方向の位置は、蒸気側窒素マニフォールド(140scmhも180scmhも双方とも)を通過する窒素の流動速度を示し、奥行きは上部或いは上方の蒸気シールドの空隙の窒素マニフォールド(140scmhも180scmhも双方とも)を通過する窒素の流動速度を示す。立方体の座標の八つの頂点は、それぞれ八つの実施例の結果を示し、上部の数値は、前面端部の入口域(或いはフード)における酸素の濃度の率であり、底部の数値は、製品における不良率である。例えば、散布する蒸気の流動速度が高速であり、下部の空隙の窒素マニフォールドが140scmhで、上部の空隙の窒素マニフォールドが20scmhで、蒸気側窒素マニフォールドが140scmhであった場合において、フードにおける酸素の濃度の率は0.02%であり、蒸気の濃度によるフライした製品の主要な不良率は0.2%を示した。図32,33に示すもののような、実験の結果及び立方体の座標は、蒸気及び窒素ガスの流動速度を最適化するために使用可能であり、この場合においては、約0.2%或いはそれ以下の酸素の濃度の率及び濃度による不良の発生の防止を達成できる。図33は、散布する蒸気が中程度の流動速度であり、下部の空隙の窒素マニフォールドが20scmh乃至60scmhの間で、上部の空隙の窒素マニフォールドが20scmh乃至40scmhの間で、蒸気側窒素マニフォールドが140scmh乃至180scmhである場合において、フ―ドにおける酸素の濃度の率が約0.2%或いはそれ以下であり、濃度による不良の発生が計測できなかったことを示す。実際において、入口域或いは蒸気シールド及び窒素マニフォールドにより、油の劣化する速度を減少させることによって、フライする油の効率を50%以上向上し(油の効率=[良品において実際に搬送される油の量]/[使用される油の総量])、蒸気による製品不良の量が減少した。
【0089】
窒素マニフォールド(或いは、その他の不活性ガスマニフォールド)は、好適には、比較的均一に分布する窒素ガスの遮蔽体を案内するための多ポートのマニフォールドから構成される。単一のノズルやポートのそれぞれからの複合的な窒素の流れは、各ポートを離れると即座に理想的に結合し、このような不活性ガスの遮蔽体を形成する。ある実施例においては、各ポートは、各方向に窒素ガスが及ぶように、ファン型の形状を有し、これにより全体にわたるガスの遮蔽体を形成する。ある実施例においては、このガスの遮蔽体は、入口域の開口の幅方向に延びる。目的は、入口域の開口を蒸気の流れにより押し流し、非凝縮型ガスが入口域に侵入することを防止することである。従って、本発明の精神及び範囲を逸脱しなければ、当業者が認識する、不活性ガスを案内するその他の装置も使用可能である。
【0090】
ある実施例において、不活性ガスは、環境中に案内される前にあらかじめ加熱される。非凝縮型不活性ガスは、好適には約212°F(約100℃)以上の温度まで予め加熱され、更に好適には約300°F(約149℃)以上の温度まで予め加熱され、もっとも好適には約350°F(約177℃)以上の温度まで予め加熱される。不活性ガスを加熱することにより、密度が減少する。これにより、開放された環境における体積が増加し、一
定量のガスによる効果を促進し、不活性ガスの使用を減少させ、一定の性能を得ることができる。更に、加熱された非凝縮型ガスにより、入口域における露点が低く維持され。その結果、製品の不良品発生率を更に減少させる。当業者は、仮に蒸気が結露しなくなるまで十分加熱されるなら、加熱された蒸気を非凝縮型不活性ガスとして使用することまで、この概念を拡張可能であると認識される。
【0091】
本発明は、蒸気の濃度を課題とするその他のタイプのフライヤー及びその他の食品製品脱水システムに適用可能である。例えば、フライされる製品が一方の端部から案内され、他方の端部より退出されるような従来の深型フライ装置(バッチあるいは連続)において、フライする油の直上における前面端部の供給領域は、蒸気シールドによりフライヤーの本体から分離され、その結果、フライにより放出される蒸気は、上流に移動せず、低温の進入する製品上において凝縮しない。仮にフライする油の劣化も懸念される場合においては、蒸気シールドから上流におけるフライヤーの前面端部は、入口域を形成するために密封可能であり、不活性ガスマニフォールド、ノズル、及び、ポートは、入口域内における酸素を交換するために使用可能である。入口域の効果は、上述のCFDモデリングによる方法により最適化可能である。しかしながら、総当たりによる実験、パイロットプラントによるモデリング等その他の最適化の方法も使用可能であるが、これらに限定されるものではない。総当たりによる最適化の方法においては、例えば、すでに存在するフライヤーをテストし、変更の様々な組み合わせと比較するために、テストを繰り返しながら漸進的に変更する。そして、最適な結果をもたらす設定を使用して最終的な構成を発見する。仮に、数学的なモデリングが使用される場合において、いくつかのテストの結果が採用され、これらのデータは、入力される変数及び出力される結果の間における数学的関係を導くために挿入される。これらの数学的関係は、理論上の最適な構成及び流動速度のうち少なくともいずれか一方を決定するために使用可能である。
【0092】
好適な実施例を参照して本発明が詳細に開示され説明されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、形状及び詳細において、当業者により様々な変更が可能であると理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライする油を含む油鍋と、
油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
同フライヤーフード上においてダンパーやファンを備える少なくとも一つの蒸気の排出スタックと、
油鍋においてフライされる製品を受け入れるための上流端部と、
操作中に製品がフライする油に進入する製品進入地点と、
該上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、
製品を除去するための、フライヤー中間部に隣接する下流端部と、フライヤーフード内の製品進入地点から下流に位置される固定型の蒸気シールドとを備え、同蒸気シールドは、油鍋の中間部前端から立ち上がり、フライヤーフードに連結される構造となっていて、蒸気が製品進入地点へ移動しないように、蒸気シールドによってフライヤーの中間部から上流端部を分離する構造になっていることを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記フライヤーは、非凝縮型不活性ガスを導入するための少なくとも一つの非凝縮型不活性ガスのマニフォールドを備えていることと、各マニフォールドは少なくとも一つのガスポートを有することと、同非凝縮型不活性ガスのポートは上流端部内に位置されていることとを特徴とする請求項1に記載のフライヤー。
【請求項3】
前記少なくとも一つの非凝縮型不活性ガスのポートは、不活性ガスを上流かつ下方に指向させることを特徴とする請求項2に記載のフライヤー。
【請求項4】
前記非凝縮型不活性ガスは、窒素から構成されていることを特徴とする請求項2に記載のフライヤー。
【請求項5】
前記フライヤーは少なくとも一つのポートを有する非凝縮型不活性ガスのマニフォールドを更に備えていることと、同ポートは、ポートを通過する非凝縮型不活性ガスの流れが入口域内へのガスの侵入を減少させるように配向されていることとを特徴とする請求項2に記載のフライヤー。
【請求項6】
前記非凝縮型不活性ガスのマニフォールドは、入口域開口の上方、或いは下方に配置されることと、ポ―トは、同ポートを通過する不活性ガスの流れが入口域内へのガスの進入を減少させるように配向されていることとを特徴とする請求項5に記載のフライヤー。
【請求項7】
前記非凝縮型不活性ガスは、予め加熱されていることを特徴とする請求項2に記載のフライヤー。
【請求項8】
フライヤーであって、
油鍋と、
同油鍋に含まれるフライする油と、
油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
油鍋においてフライされる製品を受け入れるための上流端部と、
製品が操作中にフライする油に進入する製品進入地点と、
上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、
フライヤー中間部に隣接し、製品を除去するための下流端部と、フライヤーフード内に配置され、少なくとも部分的にフライする油に浸る型枠コンベヤと、同型枠コンベヤは、フライする油に進入後、製品が嵌るように設計されることと、同型枠コンベヤは、浸る部分及び帰還部から更に構成されることと、
製品進入地点から下流にかつフライヤーフード内に配置される固定型の蒸気シールドと、同蒸気シールドは、油鍋の中間部前端から立ち上がり、フライヤーフードに連結される構造となっていて、蒸気が製品進入地点へ移動しないように、蒸気シールドによって上流端部及びフライヤー中間部を分離し、該製品進入地点の周囲の体積を包み込む前面端部の入口域を形成することと、更に該蒸気シールドは、型枠コンベヤが通過可能な空隙を形成することと、
非凝縮型不活性ガスを導入するための少なくとも一つの第1のポートを有する不活性ガスマニフォールドと、同不活性ガスマニフォールドは、前面端部の入口域内において、フライする油の上方かつ製品進入地点から上流に配置されることとを特徴とするフライヤー。
【請求項9】
前記フライヤーは少なくとも第2のポートを有する第2の不活性ガスマニフォールドを更に備えていることと、同第2の不活性ガスマニフォールドは、型枠コンベヤに隣接し、かつ蒸気シールドの空隙からすぐ上流に配置されていることを特徴とする請求項8に記載のフライヤー。
【請求項10】
前記フライヤーは、少なくとも第3の不活性ガスポートを有する第3の不活性ガスマニフォールドを更に備えていることと、同第3の不活性ガスマニフォールドは、型枠コンベヤの帰還部の下方かつ蒸気シールドの空隙からすぐ上流に配置されていることと、更に、第2の不活性ガスマニフォールドは、型枠コンベヤの帰還部の上方かつ蒸気シールドの空隙からすぐ上流に配置さていることとを特徴とする請求項9に記載のフライヤー。
【請求項11】
前記フライヤーは、少なくとも一つのポートを有する第4の不活性ガスマニフォールドを更に備えていることと、同第4の不活性ガスマニフォールドは、型枠コンベヤに隣接し、かつ蒸気シールドの空隙からすぐ上流に配置されていることと、更に、第4の不活性ガスポートは、蒸気シールドの空隙の周囲における蒸気シールドの表面とおおよそ平行である方向に配向されていることを特徴とする請求項10に記載のフライヤー。
【請求項12】
前記第1の不活性ガスポートは、上流に指向し、かつフライする油及びフライヤーフードの上流端部に向かって下方に指向していることを特徴とする請求項8に記載のフライヤー。
【請求項13】
CFDモデルを使用してフライヤーのCFDモデルの製品進入地点における蒸気の濃度及び酸素の濃度を調整することによりフライヤーの雰囲気制御を最適化する方法であって、同フライヤーは、
油鍋と、
同油鍋に含まれるフライする油と、
油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
油鍋においてフライされる製品を受け入れるための上流端部と、
製品が操作中にフライする油に進入する製品進入地点と、
上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、
フライヤー中間部に隣接し、製品を除去するための下流端部に位置し、フライヤーフード内に配置され、少なくとも部分的にフライする油に浸る型枠コンベヤと、同型枠コンベヤは、フライする油に進入後、製品が嵌るように設計されることと、同型枠コンベヤは、浸る部分及び帰還部から更に構成されることと、
製品進入地点から下流にかつフライヤーフード内に配置される固定型の蒸気シールドと、これにより上流端部及びフライヤー中間部を分離し、該製品進入地点の周囲の体積を包み込む前面端部の入口域を形成することと、該蒸気シールドは、型枠コンベヤが通過可能な蒸気シールドの空隙により更に構成されることと、
それぞれが不活性ガスを案内するための複数のポートを有する複数の不活性ガスマニフォールドから構成され、同マニフォールドは、製品進入地点近傍及び入口域開口近傍のうち少なくともいずれか一方に配置されることと、
該フライヤーの雰囲気制御を最適化する方法は、製品をフライするに先立って、
a)任意のポートのガス流動速度で複数の最初のポートを介して不活性ガスを導入する工程と、
b)所定の散布蒸気の流動速度においてフライヤーフード内におけるフライヤー中間部内に散布蒸気を導入する工程と、
c)以下の(i)乃至(iv)の副工程、即ち、
(i)前面端部の入口域にわたるいくつかの地点において酸素、蒸気、及び不活性ガスの濃度を測定する副工程と、
(ii)副工程(i)の測定結果に基づいてポートのガス流動速度及び散布蒸気の流動速度を変更する副工程と、
(iii)前面端部の入口域のCFDモデルを創造するために十分な測定が行われるまで副工程(i)乃至(ii)を繰り返す副工程と、
(iv)副工程(i)乃至(iii)から得られるデータと、環境特性との相関関係を算定し、これらにより前面端部の入口域のCFDモデルを創造する副工程を実施することにより前面端部の入口域のCFDモデルを創造する工程と、
d)ガスの濃度、温度、流動パターン、及び圧力を含む、フライヤー内部における動的及び静的状況の環境特性を予期するために、工程c)において創造されたCFDモデルのシミュレーションを実施する工程と、
e)CFDモデルから、ガスの濃度、温度、流動パターン、及び圧力を含む環境特性を算定し、描画する工程と、
f)重要な領域における環境特性を測定する工程と、
g)CFDモデルにおける故障箇所が推定される場合には、故障箇所を特定する工程と、仮に故障箇所が存在する場合において、蒸気及び酸素の濃度のうち少なくともいずれか一方が好適なものより大きいかを特定することと、
h)CFDモデルにおける散布する蒸気の流動速度の変更、不活性ガスの流動速度の変更、不活性ガスの供給の方向の変更、付加的なマニフォールドの追加、入口域構造の変更、及び不活性ガスのポートの変更の、環境に影響を付与する変更のいずれかを変更することにより故障箇所におけるCFDモデルを変更する工程と、
i)CFDモデルの製品進入地点における蒸気の濃度が、望ましい最大の受け入れ可能な蒸気の濃度より少なく、かつ、酸素の濃度が、最大の受け入れ可能なレベル以下となるまで工程d)乃至h)を繰り返す工程から構成されることを特徴とするフライヤーにおけるフライヤーの雰囲気制御を最適化する方法。
【請求項14】
フライヤーであって、
フライする油を含むための油鍋と、
同油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
ダンパーやファンを備える、フライヤーフード上における少なくとも一つの蒸気の排出スタックと、
固定型の蒸気シールドにより境界を形成される入口域を有する油鍋においてフライされる製品を受け入れるための上流端部と、
同入口域は、製品が操作中にフライする油に進入する製品進入地点を包囲することと、
上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、該蒸気シールドは、フライヤーフード内の製品進入地点から下流に位置され、油鍋の中間部前端から立ち上がり、フライヤーフードに連結される構造となっていて、蒸気が製品進入地点へ移動しないように、蒸気シールドによってフライヤーの中間部から上流端部を分離する構造になっていることと、
フライヤーの中間部に隣接し、製品を除去するための下流端部から構成されることを特徴とするフライヤー。
【請求項15】
油の劣化及びフライヤーにおけるフライされる製品の損傷を減少させる方法であって、同方法は、
a)フライヤーを供給する工程と、同フライヤーは、
フライする油を含むための油鍋と、
同油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
ダンパーやファンを備える、フライヤーフード上における少なくとも一つの蒸気の排出スタックと、
固定型の蒸気シールドを備える入口域を有する上流端部と、同上流端部は、油鍋におけるフライされる製品を受け入れるために設けられることと、同入口域は、少なくとも一つのノズルやポートを有する少なくとも一つのマニフォールドを更に包囲することと、
上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、
フライヤーの中間部に隣接し、製品を除去するための下流端部から構成されることと、
前記蒸気シールドは、フライヤーフード内の製品進入地点から下流に位置され、油鍋の中間部前端から立ち上がり、フライヤーフードに連結される構造となっていて、蒸気が製品進入地点へ移動しないように、蒸気シールドによってフライヤーの中間部から上流端部を分離する構造になっていることと、
b)マニフォールド及びノズルを配置する工程と、
c)入口域内に低濃度の凝縮型ガスの環境及び低濃度の酸素の環境を創造するために、工程b)におけるマニフォールド及びノズル内に非凝縮型不活性ガスを導入する工程とから構成されることを特徴とする油の劣化及びフライヤーにおけるフライされる製品の損傷を減少させる方法。
【請求項16】
前記非凝縮型不活性ガスは、予め加熱されていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記低濃度の凝縮型ガスの環境は、露点温度及び入口域における温度から構成されることと、同露点温度は、入口域における温度より上の5°F(約−15℃)以上であることとを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記低濃度の酸素の環境は、1重量%未満の酸素から構成されていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ノズルは、入口域開口を横断する遮蔽体を形成することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ステップc)における前記非凝縮型不活性ガスは、結露しなくなるまで加熱された蒸気から構成されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項1】
フライする油を含む油鍋と、
油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
同フライヤーフード上においてダンパーやファンを備える少なくとも一つの蒸気の排出スタックと、
油鍋においてフライされる製品を受け入れるための上流端部と、
操作中に製品がフライする油に進入する製品進入地点と、
該上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、
製品を除去するための、フライヤー中間部に隣接する下流端部と、フライヤーフード内の製品進入地点から下流に位置される固定型の蒸気シールドとを備え、同蒸気シールドは、油鍋の中間部前端から立ち上がり、フライヤーフードに連結される構造となっていて、蒸気が製品進入地点へ移動しないように、蒸気シールドによってフライヤーの中間部から上流端部を分離する構造になっていることを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記フライヤーは、非凝縮型不活性ガスを導入するための少なくとも一つの非凝縮型不活性ガスのマニフォールドを備えていることと、各マニフォールドは少なくとも一つのガスポートを有することと、同非凝縮型不活性ガスのポートは上流端部内に位置されていることとを特徴とする請求項1に記載のフライヤー。
【請求項3】
前記少なくとも一つの非凝縮型不活性ガスのポートは、不活性ガスを上流かつ下方に指向させることを特徴とする請求項2に記載のフライヤー。
【請求項4】
前記非凝縮型不活性ガスは、窒素から構成されていることを特徴とする請求項2に記載のフライヤー。
【請求項5】
前記フライヤーは少なくとも一つのポートを有する非凝縮型不活性ガスのマニフォールドを更に備えていることと、同ポートは、ポートを通過する非凝縮型不活性ガスの流れが入口域内へのガスの侵入を減少させるように配向されていることとを特徴とする請求項2に記載のフライヤー。
【請求項6】
前記非凝縮型不活性ガスのマニフォールドは、入口域開口の上方、或いは下方に配置されることと、ポ―トは、同ポートを通過する不活性ガスの流れが入口域内へのガスの進入を減少させるように配向されていることとを特徴とする請求項5に記載のフライヤー。
【請求項7】
前記非凝縮型不活性ガスは、予め加熱されていることを特徴とする請求項2に記載のフライヤー。
【請求項8】
フライヤーであって、
油鍋と、
同油鍋に含まれるフライする油と、
油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
油鍋においてフライされる製品を受け入れるための上流端部と、
製品が操作中にフライする油に進入する製品進入地点と、
上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、
フライヤー中間部に隣接し、製品を除去するための下流端部と、フライヤーフード内に配置され、少なくとも部分的にフライする油に浸る型枠コンベヤと、同型枠コンベヤは、フライする油に進入後、製品が嵌るように設計されることと、同型枠コンベヤは、浸る部分及び帰還部から更に構成されることと、
製品進入地点から下流にかつフライヤーフード内に配置される固定型の蒸気シールドと、同蒸気シールドは、油鍋の中間部前端から立ち上がり、フライヤーフードに連結される構造となっていて、蒸気が製品進入地点へ移動しないように、蒸気シールドによって上流端部及びフライヤー中間部を分離し、該製品進入地点の周囲の体積を包み込む前面端部の入口域を形成することと、更に該蒸気シールドは、型枠コンベヤが通過可能な空隙を形成することと、
非凝縮型不活性ガスを導入するための少なくとも一つの第1のポートを有する不活性ガスマニフォールドと、同不活性ガスマニフォールドは、前面端部の入口域内において、フライする油の上方かつ製品進入地点から上流に配置されることとを特徴とするフライヤー。
【請求項9】
前記フライヤーは少なくとも第2のポートを有する第2の不活性ガスマニフォールドを更に備えていることと、同第2の不活性ガスマニフォールドは、型枠コンベヤに隣接し、かつ蒸気シールドの空隙からすぐ上流に配置されていることを特徴とする請求項8に記載のフライヤー。
【請求項10】
前記フライヤーは、少なくとも第3の不活性ガスポートを有する第3の不活性ガスマニフォールドを更に備えていることと、同第3の不活性ガスマニフォールドは、型枠コンベヤの帰還部の下方かつ蒸気シールドの空隙からすぐ上流に配置されていることと、更に、第2の不活性ガスマニフォールドは、型枠コンベヤの帰還部の上方かつ蒸気シールドの空隙からすぐ上流に配置さていることとを特徴とする請求項9に記載のフライヤー。
【請求項11】
前記フライヤーは、少なくとも一つのポートを有する第4の不活性ガスマニフォールドを更に備えていることと、同第4の不活性ガスマニフォールドは、型枠コンベヤに隣接し、かつ蒸気シールドの空隙からすぐ上流に配置されていることと、更に、第4の不活性ガスポートは、蒸気シールドの空隙の周囲における蒸気シールドの表面とおおよそ平行である方向に配向されていることを特徴とする請求項10に記載のフライヤー。
【請求項12】
前記第1の不活性ガスポートは、上流に指向し、かつフライする油及びフライヤーフードの上流端部に向かって下方に指向していることを特徴とする請求項8に記載のフライヤー。
【請求項13】
CFDモデルを使用してフライヤーのCFDモデルの製品進入地点における蒸気の濃度及び酸素の濃度を調整することによりフライヤーの雰囲気制御を最適化する方法であって、同フライヤーは、
油鍋と、
同油鍋に含まれるフライする油と、
油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
油鍋においてフライされる製品を受け入れるための上流端部と、
製品が操作中にフライする油に進入する製品進入地点と、
上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、
フライヤー中間部に隣接し、製品を除去するための下流端部に位置し、フライヤーフード内に配置され、少なくとも部分的にフライする油に浸る型枠コンベヤと、同型枠コンベヤは、フライする油に進入後、製品が嵌るように設計されることと、同型枠コンベヤは、浸る部分及び帰還部から更に構成されることと、
製品進入地点から下流にかつフライヤーフード内に配置される固定型の蒸気シールドと、これにより上流端部及びフライヤー中間部を分離し、該製品進入地点の周囲の体積を包み込む前面端部の入口域を形成することと、該蒸気シールドは、型枠コンベヤが通過可能な蒸気シールドの空隙により更に構成されることと、
それぞれが不活性ガスを案内するための複数のポートを有する複数の不活性ガスマニフォールドから構成され、同マニフォールドは、製品進入地点近傍及び入口域開口近傍のうち少なくともいずれか一方に配置されることと、
該フライヤーの雰囲気制御を最適化する方法は、製品をフライするに先立って、
a)任意のポートのガス流動速度で複数の最初のポートを介して不活性ガスを導入する工程と、
b)所定の散布蒸気の流動速度においてフライヤーフード内におけるフライヤー中間部内に散布蒸気を導入する工程と、
c)以下の(i)乃至(iv)の副工程、即ち、
(i)前面端部の入口域にわたるいくつかの地点において酸素、蒸気、及び不活性ガスの濃度を測定する副工程と、
(ii)副工程(i)の測定結果に基づいてポートのガス流動速度及び散布蒸気の流動速度を変更する副工程と、
(iii)前面端部の入口域のCFDモデルを創造するために十分な測定が行われるまで副工程(i)乃至(ii)を繰り返す副工程と、
(iv)副工程(i)乃至(iii)から得られるデータと、環境特性との相関関係を算定し、これらにより前面端部の入口域のCFDモデルを創造する副工程を実施することにより前面端部の入口域のCFDモデルを創造する工程と、
d)ガスの濃度、温度、流動パターン、及び圧力を含む、フライヤー内部における動的及び静的状況の環境特性を予期するために、工程c)において創造されたCFDモデルのシミュレーションを実施する工程と、
e)CFDモデルから、ガスの濃度、温度、流動パターン、及び圧力を含む環境特性を算定し、描画する工程と、
f)重要な領域における環境特性を測定する工程と、
g)CFDモデルにおける故障箇所が推定される場合には、故障箇所を特定する工程と、仮に故障箇所が存在する場合において、蒸気及び酸素の濃度のうち少なくともいずれか一方が好適なものより大きいかを特定することと、
h)CFDモデルにおける散布する蒸気の流動速度の変更、不活性ガスの流動速度の変更、不活性ガスの供給の方向の変更、付加的なマニフォールドの追加、入口域構造の変更、及び不活性ガスのポートの変更の、環境に影響を付与する変更のいずれかを変更することにより故障箇所におけるCFDモデルを変更する工程と、
i)CFDモデルの製品進入地点における蒸気の濃度が、望ましい最大の受け入れ可能な蒸気の濃度より少なく、かつ、酸素の濃度が、最大の受け入れ可能なレベル以下となるまで工程d)乃至h)を繰り返す工程から構成されることを特徴とするフライヤーにおけるフライヤーの雰囲気制御を最適化する方法。
【請求項14】
フライヤーであって、
フライする油を含むための油鍋と、
同油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
ダンパーやファンを備える、フライヤーフード上における少なくとも一つの蒸気の排出スタックと、
固定型の蒸気シールドにより境界を形成される入口域を有する油鍋においてフライされる製品を受け入れるための上流端部と、
同入口域は、製品が操作中にフライする油に進入する製品進入地点を包囲することと、
上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、該蒸気シールドは、フライヤーフード内の製品進入地点から下流に位置され、油鍋の中間部前端から立ち上がり、フライヤーフードに連結される構造となっていて、蒸気が製品進入地点へ移動しないように、蒸気シールドによってフライヤーの中間部から上流端部を分離する構造になっていることと、
フライヤーの中間部に隣接し、製品を除去するための下流端部から構成されることを特徴とするフライヤー。
【請求項15】
油の劣化及びフライヤーにおけるフライされる製品の損傷を減少させる方法であって、同方法は、
a)フライヤーを供給する工程と、同フライヤーは、
フライする油を含むための油鍋と、
同油鍋の真上において全体を包み込むフライヤーフードと、
ダンパーやファンを備える、フライヤーフード上における少なくとも一つの蒸気の排出スタックと、
固定型の蒸気シールドを備える入口域を有する上流端部と、同上流端部は、油鍋におけるフライされる製品を受け入れるために設けられることと、同入口域は、少なくとも一つのノズルやポートを有する少なくとも一つのマニフォールドを更に包囲することと、
上流端部に隣接するフライヤーの中間部と、
フライヤーの中間部に隣接し、製品を除去するための下流端部から構成されることと、
前記蒸気シールドは、フライヤーフード内の製品進入地点から下流に位置され、油鍋の中間部前端から立ち上がり、フライヤーフードに連結される構造となっていて、蒸気が製品進入地点へ移動しないように、蒸気シールドによってフライヤーの中間部から上流端部を分離する構造になっていることと、
b)マニフォールド及びノズルを配置する工程と、
c)入口域内に低濃度の凝縮型ガスの環境及び低濃度の酸素の環境を創造するために、工程b)におけるマニフォールド及びノズル内に非凝縮型不活性ガスを導入する工程とから構成されることを特徴とする油の劣化及びフライヤーにおけるフライされる製品の損傷を減少させる方法。
【請求項16】
前記非凝縮型不活性ガスは、予め加熱されていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記低濃度の凝縮型ガスの環境は、露点温度及び入口域における温度から構成されることと、同露点温度は、入口域における温度より上の5°F(約−15℃)以上であることとを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記低濃度の酸素の環境は、1重量%未満の酸素から構成されていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ノズルは、入口域開口を横断する遮蔽体を形成することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
ステップc)における前記非凝縮型不活性ガスは、結露しなくなるまで加熱された蒸気から構成されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2011−230002(P2011−230002A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184314(P2011−184314)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2007−553094(P2007−553094)の分割
【原出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(500208519)フリト−レイ ノース アメリカ インコーポレイテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】FRITO−LAY NORTH AMERICA,INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2007−553094(P2007−553094)の分割
【原出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(500208519)フリト−レイ ノース アメリカ インコーポレイテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】FRITO−LAY NORTH AMERICA,INC.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]